JP7222748B2 - 受信装置及び配信サーバ - Google Patents
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オープンインターネット上でのHASによる動画配信のシステムでは、前述のように、スループットの低下が課題となっていた。CDN(Content Delivery Network)を利用することにより、スループットを向上させることはできるものの、UHD(Ultra High Definition)などのリッチなコンテンツが増加傾向にある現状では十分な対策とはならない。そこで、例えば、CDNよりさらにユーザ(視聴端末)の近くに配信サーバを設置し、低遅延かつ広帯域なネットワークを利用することでスループットを向上させることが考えられるが、このようなネットワークを常時利用すると、配信コストが増加してしまう。
動画配信用の配信サーバ10(第1の配信サーバ)は、Webサーバであり、オープンインターネット上に設置される。このとき、CDNが利用されてもよい。本実施形態では、ABRによる動画配信を想定し、ビットレートの異なる複数種類のセグメントファイルが配信サーバ10に配置され、選択的に配信される。なお、ユーザの視聴端末である受信装置30で実行されるプレーヤを構成するスクリプト類は、別のサーバに配置されてもよい。
配信サーバ10が設置されるネットワークを標準スライスと呼ぶ。
配信サーバ20が設置されるネットワークを高速スライスと呼ぶ。
受信装置30は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報処理装置であり、制御部が記憶部に格納されたソフトウェア(受信プログラム)を実行することにより、次の各機能部を実現する。
受信装置30は、データ受信部301と、スループット測定部302と、スループット管理部303と、バッファ管理部304と、映像再生部305と、バッファ量計測部306と、セグメントパス決定部307(経路決定部)と、セグメント要求部308(要求部)と、セグメント再要求部309(要求部)と、アクセス回数管理部310とを備える。
具体的には、セグメントパス決定部307は、バッファ量が第1の閾値より多いか、又はスループットがセグメントのビットレートより高い場合、標準スライスを介した配信サーバ10からの受信経路を選択する。一方、バッファ量が第1の閾値以下で、かつ、スループットがセグメントのビットレート以下の場合、セグメントパス決定部307は、標準スライスよりも高速な高速スライスを介した配信サーバ20からの受信経路を選択する。
さらに、セグメントパス決定部307は、バッファ量が第1の閾値より小さい第2の閾値以下の場合、スループットの値を現在より小さく補正し、高速スライスを介した配信サーバ20からの受信経路を選択する。
高速スライスを介した受信経路でセグメントを要求する場合、セグメントの要求部308は、セグメントデータの受信状態を示すパラメータを配信サーバ20へ通知する。受信状態を示すパラメータは、例えば、所定時間内に高速スライスからセグメントデータを受信した回数であるアクセス回数、現在のビットレート、スループットの予測値、又はバッファ量の少なくともいずれかを含む。
これらのパラメータに基づく優先度に応じて、配信サーバ20は、後述の処理によりセグメントの要求を受け入れるか拒否するかを判定する。
ただし、セグメント要求部308は、セグメント再要求部309により要求するセグメントのビットレートが一旦下げられると、後続のセグメントの受信を所定回以上行うまで、ビットレートの上昇を抑制する。
この後、セグメント再要求部309は、配信サーバ20から要求拒否の応答を受信すると、標準スライスを介した受信経路で、スループットの予測値よりも低いビットレートのうち最も高いビットレートのセグメントを要求する。
配信サーバ20は、配信サーバ10と同様のサーバ装置であり、制御部が記憶部21に格納されたソフトウェア(配信プログラム)を実行することにより、次の各機能部を実現する。これにより、配信サーバ20は、受信装置30からの要求に応じて、動画を構成するセグメントを、高速スライスを介して受信装置30へ配信する。
また、記憶部21は、標準スライスを介して受信装置30へ動画配信する配信サーバ10と共通のセグメントを記憶する。
具体的には、要求管理部201は、受信装置30において、バッファ量が第1の閾値以下で、かつ、セグメントを受信する際のスループットの予測値がセグメントのビットレート以下の場合に、標準スライスを介した受信経路に代えて、高速スライスを介した受信経路が選択されると、この受信装置30からセグメントの要求を受信する。このとき、要求管理部201は、受信装置30におけるセグメントの受信状態を示すパラメータと共に要求を受信し、これらのパラメータに基づいて、待ち行列に格納される要求を並べ替える。
要求管理部201は、要求のそれぞれに対応して、第2のキューに格納されてからの経過時間を計測し、所定の時間が経過すると、この要求を第1のキューの末尾に追加する。
受信装置30は、この処理により、セグメントの受信経路及び要求するビットレートを決定する。
このとき取得するセグメントのビットレートは限定されず、既定の初期値又は最高値などであってよい。また、初めにセグメントを要求する先は、標準スライスを介した配信サーバ10、又は高速スライスを介した配信サーバ20のいずれでもよい。例えば、配信サーバ20から高速に取得することで、受信装置30は、動画の再生が開始されるまでの待ち時間を短縮できる。
ここで、配信サーバ10及び20に用意されるセグメントのビットレートは、高い順にS[H],・・・,S[i],・・・,S[0]とする。
ここで、Nと後述のMとは、N>M>0の関係にあり、バッファ量がN(例えば8)より多ければバッファが十分にあることを示し、M(例えば2)以下であればバッファが枯渇し動画の再生が停止する可能性がある状態を示す。
ここで、配列T[]には、本処理の結果として、過去に配信サーバ20からセグメントを取得した時刻が新しい順に格納されているものとする。
要求管理部201は、セグメント送出用の待ち行列que_A(第1のキュー)と、que_Aへ追加するための待ち行列que_B(第2のキュー)とを用意する。
que_Bは、要求を一時的に保持する待ち行列であり、que_Aに空きができると先頭から順にque_Aへ追加される。ただし、que_Bの最大長まで要求が保持されている場合、新たに要求を受けると、優先度の低い要求が拒否されque_Bから消去される。
P=W1×C+W2×BF+W3×(S[i]/TP)+W[i]×S[i]
ここで、W1はアクセス回数C、W2はバッファ量BF、W3はスループットTPに対するビットレートS[i]の割合、W[i]は各ビットレートS[i]に対する重み係数である。
これらの重み係数Wを調整することにより、各パラメータの効果の比率を調整することができる。例えば、W1=1、W2=0、W3=0、W[i]=0に設定することで、アクセス回数Cが少ないものほど優先度Pを高くすることができる。
特に、UHD又はVR(Virtual Reality)などのリッチなコンテンツ、あるいは、ライブ配信において低遅延化のためにバッファ量を少なく設定しているときに有効である。
したがって、配信サーバ20は、高速スライスを介した配信サーバ20の利用頻度が高いなど、パラメータに基づく優先度が低い受信装置30からの要求を混雑状況に応じて拒否でき、これにより、複数の受信装置30が公平に高速スライスを利用できる。この結果、配信システム1は、高速スライスのパフォーマンスを維持しつつ、複数の受信装置30全体としてユーザ体験を向上させることができる。
これにより、配信サーバ20は、重み係数を調整することで、アクセス回数の少ない受信装置30、バッファ量が少ない受信装置30、ビットレートに対してスループットが低い受信装置30、特定のビットレートを要求する受信装置30など、優先的に配信する受信装置30を調整しつつ、全体のバッファの枯渇を抑制できる。
なお、重み係数は、受信装置30の数、高速スライスの性能、予め用意する各セグメントのビットレートなどに応じて適宜に設定されてよく、これにより、配信事業者の希望に適した配信動作が実現される。
これにより、配信サーバ20は、要求に対する応答の遅延を抑制しつつ、適切な優先順位によりセグメントを配信できる。
これにより、配信サーバ20は、長時間にわたって処理されず、かつ、拒否もされない要求が待ち行列に残されて応答が遅延する事態を抑制できる。
このとき、受信装置30は、スループットに応じて前回よりも低いビットレートのセグメントを要求することで、バッファの枯渇を防ぎ、動画の再生が停止する事態を抑制できる。
また、受信装置30は、ビットレートを下げた後は、後続のセグメントの受信を所定回以上行うまでビットレートを上げないことにより、ビットレートの頻繁な変動を抑制し、動画視聴におけるユーザ体験を向上できる。
10 第1の配信サーバ
20 第2の配信サーバ(配信装置)
21 記憶部
30 受信装置
201 要求管理部
202 セグメント送出部
301 データ受信部
302 スループット測定部
303 スループット管理部
304 バッファ管理部
305 映像再生部
306 バッファ量計測部
307 セグメントパス決定部(経路決定部)
308 セグメント要求部(要求部)
309 セグメント再要求部(要求部)
310 アクセス回数管理部
Claims (13)
- 動画を構成するセグメントを順次受信して再生する受信装置であって、
前記セグメントを受信した際のスループットから後続のセグメントのスループットの予測値を算出するスループット管理部と、
受信した前記セグメントのバッファ量を計測するバッファ量計測部と、
前記バッファ量が第1の閾値より多いか、又は前記スループットの予測値が前記セグメントのビットレートより高い場合、標準スライスを介した第1の配信サーバからの受信経路を選択し、前記バッファ量が前記第1の閾値以下で、かつ、前記スループットの予測値が前記セグメントのビットレート以下の場合、前記標準スライスよりも高速な高速スライスを介した第2の配信サーバからの受信経路を選択する経路決定部と、
前記経路決定部により決定された受信経路で、前記セグメントを要求する要求部と、を備える受信装置。 - 前記要求部は、前記高速スライスを介した受信経路で前記セグメントを要求する場合、前記セグメントの受信状態を示すパラメータを前記第2の配信サーバへ通知し、当該パラメータに基づく優先度に応じて前記第2の配信サーバから要求拒否の応答を受信すると、前記標準スライスを介した受信経路で前記セグメントを要求する請求項1に記載の受信装置。
- 前記パラメータは、所定時間内に前記高速スライスから前記セグメントを受信した回数、現在のビットレート、前記スループットの予測値、又は前記バッファ量の少なくともいずれかを含む請求項2に記載の受信装置。
- 前記セグメントはそれぞれ、複数のビットレートにより選択的に配信され、
前記要求部は、前記第2の配信サーバから要求拒否の応答を受信すると、前記標準スライスを介した受信経路で、前記スループットよりも低いビットレートのうち最も高いビットレートの前記セグメントを要求する請求項2又は請求項3に記載の受信装置。 - 前記要求部は、前記バッファ量が第1の閾値よりも多く、かつ、前記スループットが現在より高いビットレートよりもさらに高い場合、当該現在よりも高いビットレートの前記セグメントを要求する請求項4に記載の受信装置。
- 前記要求部は、前記セグメントのビットレートを下げた場合、後続のセグメントの受信を所定回以上行うまで、ビットレートの上昇を抑制する請求項5に記載の受信装置。
- 前記経路決定部は、前記バッファ量が前記第1の閾値より小さい第2の閾値以下の場合、前記スループットの予測値を現在より小さく補正し、前記高速スライスを介した第2の配信サーバからの受信経路を選択する請求項4から請求項6のいずれかに記載の受信装置。
- 動画を構成するセグメントを受信装置へ配信する配信装置であって、
標準スライスを介して前記受信装置へ配信するサーバと共通の前記セグメントを記憶する記憶部と、
複数の前記受信装置からの要求を待ち行列で管理し、当該待ち行列の最大長を超える要求を拒否する要求管理部と、
前記要求管理部により受け入れられた要求に応じて、前記標準スライスよりも高速な高速スライスを介して前記セグメントを送出する送出部と、を備え、
前記要求管理部は、
前記受信装置において、前記セグメントのバッファ量が第1の閾値以下で、かつ、前記セグメントを受信した際のスループットに基づく後続のセグメントのスループットの予測値が前記セグメントのビットレート以下の場合に、前記標準スライスを介した受信経路に代えて、前記高速スライスを介した受信経路が選択されると、当該受信装置から、前記セグメントの受信状態を示すパラメータと共に前記要求を受信し、
前記パラメータに基づく優先度に応じて、前記待ち行列に格納される前記要求を並べ替える配信装置。 - 前記パラメータは、所定時間内に前記高速スライスから前記セグメントを受信した回数、現在のビットレート、前記スループットの予測値、又は前記バッファ量の少なくともいずれかを含み、
前記要求管理部は、前記パラメータの重み付けにより前記優先度を算出する請求項8に記載の配信装置。 - 前記要求管理部は、前記待ち行列として、先入れ先出しの第1のキューと、前記第1のキューに続く、前記優先度に応じて前記要求が並べ替えられる第2のキューと、を管理する請求項8又は請求項9に記載の配信装置。
- 前記要求管理部は、前記要求のそれぞれに対応して、前記第2のキューに格納されてからの経過時間を計測し、所定の時間が経過すると、当該要求を前記第1のキューの末尾に追加する請求項10に記載の配信装置。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の受信装置としてコンピュータを機能させるための受信プログラム。
- 請求項8から請求項11のいずれかに記載の配信装置としてコンピュータを機能させるための配信プログラム。
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