JP7219998B1 - 処置光制御システム、処理光制御方法、および処置光制御プログラム - Google Patents

処置光制御システム、処理光制御方法、および処置光制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】高い治療効果があり、かつユーザが継続して使用しやすい処置光制御システムを提供する。【解決手段】本発明の一態様は、点滅光を照射する光源と、光源の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御するコントローラと、光源が光を照射する空間領域に微粒子群を放出する微粒子群放出手段と、を備える処置光制御システムである。【選択図】図1

Description

本発明は、処置光制御システム、処理光制御方法、および処置光制御プログラムに関する。
アルツハイマー型認知症、および季節性情動障害のような脳の活動に関する疾患に対して、日々の継続的な光治療により、予防が行えることが知られている。
特許文献1には、このような光治療により脳の疾患への予防を行う眼鏡型の処置光照射デバイスが開示されている。
この処置光照射デバイスでは、ユーザの目に近接した位置にLEDを配置し、LEDから所定の周波数で点滅する処理光を照射することで、脳の疾患への予防となる視覚刺激をユーザに対して与えることができる。
特表2020-501853号公報
しかしながら、特許文献1に記載の処置光照射デバイスでは、眼に近接した位置から光を照射するため、確実に治療を行えるが、ユーザは顔に固定されたデバイスから至近距離で光を照射されるため、強い不快感を覚えることがある。
また一般的に、予防段階では治療対象者は健常者と同様の生活を行っており、予防対象となる疾患に関しての大きな弊害を感じていない。このため、将来発症することへの不安よりも、予防処置により感じるストレスの方が大きくなり、予防処置を中断してしまうことがある。
すなわち、従来の処置光照射デバイスでは、治療効果とユーザによる継続した使用のしやすさと、がトレードオフの関係になり、高い治療効果があり、かつユーザが継続して使用しやすいシステムの開発が求められていた。
本発明は、高い治療効果があり、かつユーザが継続して使用しやすい処置光制御システムを提供することを特徴とする。
本発明の一態様は、点滅光を照射する光源と、光源の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御するコントローラと、光源が光を照射する空間領域に微粒子群を放出する微粒子群放出手段と、を備える処置光制御システムである。
本発明の処置光制御システムによれば、高い治療効果と、ユーザにとって継続した使いやすさと、をともに実現することができる。
本発明の第1実施形態に係る処置光制御システムの外観図である。 図1に示す処置光制御システムのA-A断面図である。 図1に示す処置光制御システムの利用開始時におけるデータの流れを示す図である。 図2に示す風景についての説明図である。 図1に示す処置光制御システムのブロック図である。 パネル状のLED光源を示す図である。 図2に示すコントローラのハードウェア構成を示すブロック図である。 図2に示すコントローラの機能的構成を示すブロック図である。 ガンマ周波数で出力される光のパルス波形を示す図である。 点灯中にPWM制御を入れて生成される光のパルス波形を示す図である。 PWM制御による光量調整と、ON時間のインターバルのみによる光量調節と、のパルス波形を比較する図である。 処置用コンテンツの生成方法の一例を示す図である。 光および音のOFFを挿入する処理を示す図である。 処置用コンテンツから治療に適さない箇所を検出し、修正する処理を示す図である。 微粒子群放出デバイスが備えるミスト生成器のヘッド部の構造を示す図である。 バスピロー型のスマートスピーカの構造を示す図である。 管理アプリケーションの表示画面の一例を示す図である。 処置光制御システムの利用時におけるデータの通信状態を示す図である。 処置光制御システムの利用における処理を示す図である。 ユーザの状態の分析の処理を示す図である。 光源の変形例を示す図である。 プロジェクターを光源として使用する場合の位置関係を示す図である。 微粒子群に対して処置光をプロジェクターから投影した状態を示す図である。 小型プロジェクターを搭載したARグラスの模式図である。 変形例に係る処置用コンテンツの生成方法を示す図である。 微粒子群による処置用コンテンツへの視覚的な演出の例を示す図である。 図26における画面Xと対応する処置光制御システムの状態を示す図である。 図26に示す画面Yと対応する処置光制御システムの状態を示す図である。 処置光制御システムをトイレで使用する場合の外観図である。 処置光制御システムを娯楽施設で使用する場合の外観図である。 処置光制御システムを寝室で使用する場合の外観図である。 処置光制御システムをサーカディアンリズム調節に適用した際の処理を示す図である。 時系列に沿って波長が変化する映像の例を示す図である。 処置光制御システムを用いた検査システムが用いられるビジネスモデルを示す図である。 処置光制御システムを用いた保険・金融システムが用いられるビジネスモデルを示す図である。 保険会社が認知症に対する刺激処置・検査のプラットフォームを提供するビジネスモデルを示す図である。 処置光制御システムを利用した保険システムの利用開始時におけるデータの通信状態を示す図である。 保険管理サーバの機能的構成を示す図である。 処置光制御システムを利用した保険システムの利用時におけるデータの通信状態を示す図である。 管理サーバの評価モジュールが行う処理を示す図である。 ユーザの利用頻度に応じて付与される一次スコアに関する評価基準の例を示す図である。 検査結果に応じて付与される重み付け係数に関する評価基準の例を示す図である。 評価スコアに応じた報酬の内容に関する規定の例を示す図である。 法人向けに報酬を提供する際の処理を示す図である。 優良コンテンツの評価の例を示す図である。 光源のその他の変形例における周期的な照度変化の例を示す図である。 光源のその他の変形例における構成を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。図1は、本発明の第1実施形態に係る処置光制御システム1の外観図である。
(1)第1実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
本実施形態に係る処置光制御システム1(以下、単にシステム1という)は、主に、ユーザの眼に作用する光刺激として、ユーザにとって必要な処置を行う処置光を出力する機能を有するシステムである。
(1-1)システム1の構成および使用方法の概要
図1は、代表的な実施形態(第1実施形態)に係るシステム1の構成を示す図である。第1実施形態に係るシステム1は、認知症の予防や改善、進行の遅延を目的とした、ガンマ周波数の光刺激・音刺激を、浴室で行う際に用いられる。
一般的に、脳の大脳皮質では、ニューロンの集団が同期して発火し、シナプス活動を生じることで、周期的な神経活動 (oscillation;オシレーション)が発生している。それらの神経活動は周波数によって、シータ帯域(412Hz)やガンマ帯域(25100Hz)などに分類される。この説明において、ガンマ周波数とは、ガンマ帯域(25100Hz)に分類される神経活動と同等の周波数を示す。ガンマ帯域の神経活動は、特に注意、記憶、判断などの認知機能 (cognitive function) に深く関与していると考えられており、外部から入力することで、認知機能に対して有効な作用を与えることができるといわれている。以下の説明において、25Hz~100Hzをガンマ帯域と呼ぶ。
図1に示すように、ユーザは浴槽100に入ってからスマートスピーカ61に処置開始
を指示し、スマートスピーカ61の通信機能により周囲のデバイスを操作し、光刺激と音
刺激による処置を行う。
まず、浴室の照明装置80を消灯した後、治療に影響する光ノイズが無いことを光センサ81により確認する。次に、光源11からガンマ周波数の光刺激を照射するとともに、液晶ディスプレイ(映像表示部12)に映像を表示し、ミスト生成器32から浴槽100に向けてミストを放出する。
図2は、図1に示すシステム1のA-A断面図である。
図2に示すように、液晶ディスプレイに表示する映像として、特に夕焼けの雲海などの風景の動画が望ましい。画面下部に表示された雲海と、ミスト生成器32から放出されたミストが一体化し、複合的な視覚効果を生み出すことで、より臨場感のある体験がユーザに提供される。
また、スマートスピーカ61のスピーカ63機能によりガンマ周波数の音刺激を生成することで、光刺激と音刺激を組み合わせた処置が可能になる。
図3は、図1に示すシステム1の利用開始時におけるデータの流れを示す図である。
図3に示すように、システム1を使用する際には、ユーザは、事前準備として、ユーザは、ユーザ端末5で管理アプリケーションを立ち上げ、光刺激・音刺激による処置のプロトコル(処置プロトコル)を設定する。処置プロトコルには、液晶ディスプレイに表示する映像コンテンツや生成するミストの量、音刺激に用いる音声コンテンツ、処置時間などが含まれる。処置プロトコルのデータは、コントローラ20に予め送信される。
ユーザは浴槽100に入ってから、バスピロー型のスマートスピーカ61に治療開始を指示し、スマートスピーカ61の通信機能により周囲のデバイス(照明、処置光源、液晶ディスプレイ、バルブ)を操作し、光刺激による処置を行う。
まず、浴室の照明を消灯した後、治療に影響する光ノイズが無いことを光センサ81により確認する。
次に、処置光源と液晶ディスプレイのコントローラ20が、光源11からガンマ周波数の光刺激を照射し、液晶ディスプレイに映像を表示する。また、コントローラ20からの指令によりIoTバルブを開いて給湯を開始し、ミスト生成器32から浴槽100に向けてミストを放出する。
また、スマートスピーカ61に搭載されたスピーカ63からガンマ周波数の音刺激を生成することで、光刺激と音刺激を組み合わせた処置が可能になる。音刺激の効果を阻害するノイズはスマートスピーカ61のマイク64により検知され、スピーカ63のノイズキャンセリング機能により低減できる。
光・音刺激の処置を行った時間などの処置のログは、コントローラ20から管理アプリケーションに送信され、インターネット回線を通じてクラウドサーバ82上に保存される。
システム1は、液晶パネルから光刺激を出力するので、ユーザごとの好みの差や、ユーザの好みの変化に合わせた多様な映像を表示することが可能になる。一般的に、人に同じ視覚刺激を与え続けると、視覚的な慣れが生じ、対象物への注意力が低下する(飽きる)ことが知られている。一方、システム1では、液晶パネルの操作により光の透過パターンを動的に変化させることで、多様な好みの変化に合った映像を提供できる。
ただし、液晶パネルにより、多様な映像が表示できる一方で、光刺激の認知症に対する予防効果を考慮すると、光源11のサイズが1m×0.6m(46型テレビと同程度)と仮定すると、約1200cd/m 2以上の輝度が求められる。
一般的な作業用ディスプレイの最大輝度が300cd/m 2程度であることを考慮すると、ユーザは相当な眩しさを感じるディスプレイ映像を眺めることになる。
図4は、夕焼けの雲海をディスプレイに表示した場合と、実際に眺めた場合の位置関係の違いを示す図である。
図4に示すように、仮に強い光が照射されていても、人が好ましいと感じる風景として、例えば夕焼けの雲海が知られている。図4の中段に示すように、太陽が見えるエリアからは強い光が照射されるが、前方の雲のエリアで光が乱反射し、ゆらぐため、好ましい風景として眺めることができる。
一方、図4の下段に示すように、液晶ディスプレイに同様の映像を表示した場合、雲はディスプレイパネルの同一平面上にあるため、太陽を表示したエリアからの強い光はユーザに直接照射されてしまう。
(1-2)システム1の効果の概要
そこでシステム1は、液晶ディスプレイに加え、ミストなどの微粒子群を放出する微粒子群放出デバイス30を備えている。このため、ディスプレイから照射された光に立体的なゆらぎを生じさせ、ゆらぎのある自然風景と同様の好ましい視覚効果をユーザに提供することができる。すなわち、ユーザは不快感を覚えずに、楽しみながら認知症を予防できる。
このように、本発明は、映像出力装置の提供する多様な映像と、ミスト(微粒子群)の提供する光の立体的なゆらぎにより、光刺激に対する飽きと不快感の課題を解決し、ユーザがストレスなく光刺激による処置を継続し、認知症を予防することを可能にする。
また、システム1は、アルツハイマー型認知症の他に、パーキンソン病やうつ病(Depression)など、他の脳神経疾患や精神疾患の治療にも利用可能である。例えば、皮膚に対するガンマ周波数での刺激が、パーキンソン病の運動症状の改善に効果があることが示されている。システム1は、後述する皮膚刺激デバイス70によりユーザへの皮膚刺激も行えるため、システム1の利用により、さらに治療効果を高められる可能性がある。
(2)システム1の構成
システム1の構成について説明する。図5は、図1に示すシステム1の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、システム1は、光刺激デバイス10と、コントローラ20と、微粒子群放出デバイス30と、ユーザ分析デバイス40と、音声認識デバイス50と、音刺激デバイス60と、皮膚刺激デバイス70と、を備えている。システム1は、照明装置80、光センサ81、およびクラウドサーバ82と、有線または無線にて通信接続されている。また、システム1は、ユーザが使用するユーザ端末5と無線にて通信接続されている。
(2-1)光刺激デバイス10の構成
光刺激デバイス10は、光源11と映像表示部12とを備える映像出力装置である。
光刺激デバイス10の光源11は、主に前方に向けて点滅光を照射する。光源11として、パネル状のLED光源を用いることができる。図6は光刺激デバイス10のパネル状のLED光源を示す図である。
図6に示すように、パネル状のLED光源は、多数のLEDを上下および左右に格子状に配置した構造を有している。そして、パネル状のLED光源は、主に前方(ユーザが位置する方向)に向けて光を照射する。すなわち、光源11は、主に照射する方向に直交して一定の領域を占めている。
光源11には、強い光刺激を照射可能にするため、パネル全体にLEDを格子状に配置したLEDアレイを採用することが望ましい。光源11にLEDアレイを用いることで、例えば後述する散乱板と反射板などを経由して照射する構造に比べて光のロスが少なく、高輝度のLEDを高密度で配置することができる。
図1に示すように、光刺激デバイス10の映像表示部12は、光源11の前方に配置され、光源11から照射された光を透過させることで、映像面に所定の映像を表示する。映像表示部12にユーザの多様な好みに合った多様な映像が表示され、ミストにより光の立体的なゆらぎが生まれる。これらの手段により、ユーザは臨場感のある変化を楽しみながら、快適に光刺激を受容できる。
映像表示部12として用いられる液晶ディスプレイは、光が透過されるパターンを制御する。液晶ディスプレイの構造として、大きく分けてパッシブ方式とアクティブ方式の2つがあるが、応答性に優れたアクティブ方式の液晶ディスプレイを用いることが望ましい。
アクティブ方式の液晶パネルは、画素のそれぞれにアクティブ素子(トランジスタ)が搭載されている。それぞれのトランジスタは、トランジスタのスイッチングを行うX電極と、1列ごとに画素の点灯を行うY電極に接続されており、X電極にかかる電圧により各画素の表示レベルを調節できる。また、表示側にカラーフィルタを配置し、カラー表示を可能にすることが望ましい。
(2-2)コントローラ20の構成
次に、コントローラ20の構成について説明する。
まず、コントローラ20のハードウェア構成について説明する。
(2-2-1)コントローラ20のハードウェア構成
図7は、コントローラ20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7に示すように、コントローラ20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信IF24と、入出力IF25とを含んで構成される。
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されたプログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
プロセッサは、管理アプリケーションに関するプログラムを実行することで、例えば以下の処理を実行する。
・ユーザ端末5に入力された、光量や波長など光源11に関連した情報の処理
・映像出力デバイスが表示する映像の生成に関する処理
・微粒子群放出デバイス30からの微粒子群の放出に関する処理
・ユーザ分析デバイス40から入力されたユーザ情報に基づいて、各デバイスの制御量を決定する処理
これらの処理の詳細については後述する。
メモリ22は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・ダウンロードされてメモリに格納された各デバイスの制御を実行するプログラム
・情報処理を行うウェブブラウザのプログラム
ストレージ23は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)である。
通信IF24は、システム1が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。通信IF24は、具体的には、汎用の通信規格に対応したモジュールを用いることが望ましい。
入出力IF25は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード)、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ63等)とのインタフェースとして機能する。
コントローラ20としては、例えば、オープンソース・ハードウェアや、産業用CPUボードなどを採用することができる。
(2-2-2)コントローラ20の機能的構成
次に、コントローラ20の機能的構成について説明する。図8は、コントローラ20の機能的構成を示す図である。
コントローラ20は、通信部201、記憶部202、制御部203としての機能を発揮する。
通信部201は、コントローラ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
記憶部202は、コントローラ20が使用するデータおよびプログラムを記憶する。記憶部202は、処置プロトコルと、音声コマンドデータと、処置用コンテンツと、を記憶する。
処置プロトコルは、処置を行う際の各デバイスの制御の内容に関するデータである。
音声コマンドデータは、ユーザの発話音声に対して、システム1の各デバイスへの制御内容が対応づけられたデータである。
処置用コンテンツは、処置を行う際にユーザに対して出力される映像データ(光刺激)および音声データ(音刺激)を含むデータである。
制御部203は、コントローラ20のプロセッサ21がプログラムに従って処理を行うことにより、送受信部2031、コンテンツ生成モジュール2032、コンテンツ出力モジュール2033、デバイス制御モジュール2034、ノイズ検出モジュール2035、ユーザ分析モジュール2036としての機能を発揮する。
送受信部2031は、コントローラ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理、およびコントローラ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
コンテンツ生成モジュール2032は、光刺激および音刺激となる処置用コンテンツを生成する。処置用コンテンツとは、例えば認知症の治療においてシステム1を用いる場合には、ガンマ波に近い点滅周波数で強度が振幅する映像データおよび音データにより構成される。なお、処置用コンテンツは、音データを含まなくてもよい。この説明において、点滅周波数とは、照度の経時変化の波形をフーリエ変換した周波数スペクトルにおいて、最大のピークが得られる周波数を示す。処置用コンテンツの点滅周波数は、100Hz未満であることが好ましい。すなわち、システム1において、光源11のうち、少なくとも一部の領域における点滅周波数は、100Hz未満の点滅光を照射する。
すなわち、コンテンツ生成モジュール2032は、素材となる動画コンテンツに含まれる映像データおよび音データを、100Hz未満の点滅周波数に変換する。また、コンテンツ生成モジュール2032は、音声コンテンツを、所定の周期に沿って変調された音声信号に変換する。変換された音声信号は、コンテンツ出力モジュール2033により出力される。
具体的な処置用コンテンツの生成方法については、後述する。
ここで、システム1では、コンテンツ生成モジュール2032を用いて、処置用コンテンツを予め生成してもよい。この場合には、コンテンツ出力モジュール2033は、点滅する映像信号を映像出力装置から映像として出力する。
一方、システム1では、コンテンツ出力モジュール2033により、一般的な動画コンテンツに対する後述する出力制御により、光刺激デバイス10および音刺激デバイス60から出力してもよい。この場合には、処置用コンテンツを生成しなくてもよい。
コンテンツ出力モジュール2033は、既に処置用コンテンツが生成されている場合は、処置用コンテンツをそのまま光刺激デバイス10および音刺激デバイス60から出力する。
一方、コンテンツ出力モジュール2033は、未だ処置用コンテンツが生成されていない場合は、素材となる動画コンテンツを出力する際に、光刺激デバイス10および音刺激デバイス60の出力態様を制御する。すなわち、コンテンツ出力モジュール2033は、光刺激デバイス10および音刺激デバイス60から出力される光刺激および音刺激の点滅周波数が、予め設定された所定の周波数帯域である100Hz未満となるように制御する。
コンテンツ出力モジュール2033は、光源11の点滅周波数を、予め設定された所定の周波数帯域に含まれるように制御する。
光の点灯・点滅のインターバルを調節し、異なる周波数の光刺激を与える場合、光源11のON/OFF制御が必要になる。また、光をONにしている間に光量を調節する手段が必要である。
具体例として、コンテンツ出力モジュール2033が、LED光源から25~100Hzのガンマ帯域の光刺激を与える場合の制御方法を説明する。図9は、ガンマ周波数で出力される光のパルス波形を示す図である。この図では、Duty比(一周期に占めるON時間の割合)が50%における25Hz、40Hz、および100Hzのパルスの波形の例をそれぞれ示している。
図9に示すように、点灯(ON)と消灯(OFF)を一定の周期で繰り返す際、(Duty比)を50%とすると、ON時間は520msecの範囲で変動する。このON時間に照射される光量を調節する場合、以下の方法が考えられる。
・LEDやOLED(有機EL)などに流れる電流を制御する方法
・ON時間の長さ(Duty比)を調節する方法
・ON時間にPWM制御を入れる方法
ただし、LEDやOLED(有機EL)などに流れる電流の制御を段階的に行う場合には、電流を変更するごとに回路を切り替える必要があり、制御回路が複雑になる。
このため、コンテンツ出力モジュール2033は、ON時間の長さを調整する方法、およびON時間にPWM制御を入れる方法を行う。図10は、点灯中にPWM制御を入れて生成される光のパルス波形を示す図である。
図10に示すとおり、コンテンツ出力モジュール2033が、PWM制御による光量調節を行いつつ、ガンマ周波数の光刺激を生成する場合、「PWM制御による光照射」と「消灯」とを、1周期に1040msecで繰り返すことになる。そして、PWM制御に用いる周波数は、一般的にディスプレイ光源などと同様に60Hz以上であることが望ましい。
図11は、PWM制御による光量調整と、ON時間のインターバルのみによる光量調節と、のパルス波形を比較する図である。
図11に示すように、PWM制御による光量調整を行わない場合には、PWM制御による光量調整を行う場合と比較して、「発光時間」として視認されるインターバルが短くなる。この傾向は、必要な光量が少ない場合により顕著となり、ディスプレイに映像を投影した際に、映像を認知する時間が短くなるので、ユーザが映像コンテンツを明瞭に認識できなくなる可能性がある。
このため、コンテンツ出力モジュール2033による、光源11の光量調節はON時間中のPWM制御によって行うことが望ましい。また、ガンマ周波数の光刺激に関する過去の調査では、光パルスのDuty比が50%以下であることも考慮すると、OFF時間のインターバルは、少なくとも100Hzの周期の50%である5msec以上はあることが望ましい。
つまり、ガンマ周波数の光刺激の生成においては、1040msecを1周期とする一定の光のON/OFFパターンを繰り返し、かつ1周期の中に「5msec以上連続して消灯し続ける時間」を含ませることが望ましい。このようなコンテンツ出力モジュール2033による制御は、LEDだけでなくOLED等の他の光源11にも利用できる。
図8に示すデバイス制御モジュール2034は、システム1を構成する各デバイスを制御する。
デバイス制御モジュール2034が行う制御としては、以下が挙げられる。
・微粒子群放出デバイス30から、微粒子群を放出させる制御
・皮膚刺激デバイス70から皮膚刺激を出力させる制御
・その他、システム1に用いられる各種のIoTデバイスを駆動させる制御
ノイズ検出モジュール2035は、光センサ81のセンシングデータを用いて、システム1が使用される環境(浴室)内に進入する光ノイズを検出する。
また、ノイズ検出モジュール2035は、スマートスピーカ61のマイク64(図16参照)がセンシングした音に関するセンシングデータを用いて、システム1が使用される環境(浴室)内に進入する音ノイズを検出する。
ユーザ分析モジュール2036は、ユーザ分析デバイス40のセンシングデータを用いて、ユーザの状態および行動を分析する。ユーザ分析デバイス40が行うセンシング処理については、後述する。
(2-2-3)処置用コンテンツの生成方法
次に、コンテンツ生成モジュール2032による処置用コンテンツ(光刺激・音刺激)の生成方法について説明する。
まず、映像コンテンツとしては、一般的な写真やイラスト、絵画などの静止画や、映画や自然の風景の映像などをコンテンツとして利用できる。ファイル形式としてJPEG、 PNG、GIF、PSD、TIFFなどの画像ファイルや、AVI、MOV、WMV、MPEGなどの動画ファイルを映像コンテンツとして使用することができる。すなわち、コンテンツ生成モジュール2032は、映像コンテンツを所定の周期に沿って点滅する映像信号に変換する。
また、映像コンテンツと併用して、音楽や自然音、ラジオやPodCastなどの音声コンテンツを利用することができる。音声ファイルの形式として、MP3、WAV、AIFF、AAC、FLAC、Opusなどの音楽ファイルを音声コンテンツとして利用することができる。
コンテンツ生成モジュール2032による、ガンマ周波数で出力される処置用コンテンツの生成方法について説明する。
ガンマ周波数で出力される光刺激、音刺激を生成する場合には、コンテンツ生成モジュール2032は、光源11と音源のON/OFF制御を行い、光源11の点灯・消灯と、音声のON/OFFのインターバルを調節し、異なる周波数の光刺激・音刺激を生成する。図12は、処置用コンテンツの生成方法の一例を示す図である。
図12に示す例では、音声付きの動画データから、ガンマ帯域の処置用コンテンツ(光刺激、音刺激)を生成するアルゴリズムを説明している。
図12に示すように、例えば25~100Hzのガンマ帯域の光刺激・音刺激を与えるコンテンツを生成する場合、10~40msecの周期で等間隔に光OFF(黒画面)と音声OFFのインターバルを挿入する処理が利用できる。これらの処理により、一般的な音声付き動画コンテンツを、処置用コンテンツ(光刺激・音刺激)に変換できる。また、このように、映像と音声を一括処理することで、光刺激と音刺激の位相を容易に揃えることができる。
図13は、光および音のOFFを挿入する処理を示す図である。
図13に示すように、光と音声のOFFを挿入する処理には、以下の2つのやり方がある。
・元の映像と音声を切り取ってOFFを挿入する手法(図13の左側参照)
・元の映像と音声の再生速度を2倍速にするなど圧縮し、短縮された時間に応じてOFFを挿入する手法(図13の右側)
ここで、ガンマ周波数の光刺激について、光パルスのDuty比が50%以下であることが推奨されていることを考慮すると、OFF時間のインターバルは、少なくとも100Hzの周期の50%である5msec以上はあることが望ましい。
次に、処置用コンテンツの補正方法について説明する。
処置用コンテンツの補正の第1例として、実際に処置用コンテンツをシステム1から出力する際に、処置用コンテンツに含まれる光刺激と音刺激のタイミングをずらすことができる。このような場合、光刺激および音刺激の一方のOFFの挿入位置に対して、他方のOFFの挿入位置を、オフセットさせることができる。
例えば、光刺激に対するユーザの神経励起と、音刺激に対する神経励起と、の位相に5msecのズレがある場合、音刺激を光刺激に対して5msecオフセットすることで、誘導される神経励起の位相を合わせることができる。神経励起の位相のズレは個人差があるため、ユーザごとに調整することができる。
次に、処置用コンテンツの補正の第2例として、治療に適さない箇所を修正する処理を説明する。
例えば、処置用コンテンツの映像の一部の輝度が処置に適した範囲から外れていたり、処置用コンテンツの音量の一部が治療用に設定された範囲から外れていることがある。このような場合、当該処理用コンテンツを用いることで、目的とする効果が得られない可能性がある。
そこで、処置用コンテンツに含まれる映像データと音声データをスキャンし、輝度または音量が適切な範囲から外れるエラー部分について、適切な範囲に収まるように補正する。
具体的には、図14に示すように、以下のいずれかの処理を行う。図14は、処置用コンテンツから治療に適さない箇所を検出し、修正する処理を示す図である。
・エラー部分について、元データ(音声付き動画データ)の映像又は音と入れ替える
・エラー部分について、輝度を補正する
・エラー部分について、音量を補正する
なお、処置用コンテンツの生成方法として、映像・音声ファイルの両方にOFFを挿入する方法について記載したが、一方のファイルのみに挿入処理を行ってもよい。
また、光と音声のON/OFFは、処置用コンテンツのデータを音声付き動画データから、新たに生成する方法を説明したが、出力装置(映像出力装置およびスピーカ63)への制御により行ってもよい。例えば、映像出力装置が、バックライト付きの液晶ディスプレイを有している場合には、音声付き動画データへの加工を行うことなく、バックライトとスピーカ63へのON/OFFの制御により、処置用コンテンツの出力を行うことができる。
また、映像出力装置が、黒の画面を表示していても、バックライトが点灯している場合、光ノイズが生じるため、処置の効果が低減する可能性がある。
そこで、映像に合わせてバックライトの点灯を制御するシステムを利用することが望ましい。高性能の液晶ディスプレイでは、映像の黒の領域ではバックライトを消灯する制御が行われている。同様のシステムを利用することで、黒の映像を表示するタイミングでバックライトも消灯され、光ノイズが入ることを防止できる。
(2-3)微粒子群放出デバイス30の構成
図5に示す微粒子群放出デバイス30は、光源11が光を照射する空間領域に微粒子群を放出する。
微粒子群放出デバイス30は、液体又は固体に対して外部からエネルギーを印加して、微粒子群を生成する。微粒子群放出デバイス30は、水、油、無機物に対してエネルギーを印加することで微粒子化する。
微粒子群放出デバイス30が印加するエネルギーは、超音波、電気、熱等の各種のエネルギーが採用されうる。
図1に示すように、微粒子群放出デバイス30は、ミストを生成する器具として、ミストサウナなどで利用されるミスト生成器32を備えている。ミスト生成器32には、お湯が貯留される給湯部31が連結されている。図15は、微粒子群放出デバイス30が備えるミスト生成器32のヘッド部33の構造を示す図である。
図15に示すように、ミスト生成器32のヘッド部33には、水をミスト化して放出する複数のノズルが形成されている。ヘッド部33は、例えば温水が供給されることで、各ノズルからミストを放出する。なお、温水に代えて冷水をミスト生成器32のヘッド部33に供給してもよい。
なお、ミスト生成器32への給湯部31に、温水供給のON/OFFに関する通信制御機能を有するIoTデバイスとしての給水バルブを設けてもよい。温水供給を通信制御することで、例えばユーザ端末5の音声認識機能を用いて、自動でミスト生成器32にミスト生成を開始させることができる。
また、微粒子群放出デバイス30は、ミスト発生機からミストを放出することなく、シャワーから温水を放射して、霧を浴室内に発生させてもよい。ただし、ミストのブラウン運動による複雑な視覚効果が得られる点を考慮すると、ミストを微粒子群として利用することが望ましい。
(2-4)ユーザ分析デバイス40の構成
図5に示すユーザ分析デバイス40は、ユーザの位置、姿勢、視線の向き、および入眠状態のいずれかを検出する機能を有する。
ユーザ分析デバイス40は、CMOS、CCD等のイメージセンサを備えている。ユーザ分析デバイス40は、例えば、画素数10万~1000万pixel程度のUSBカメラを備えている。
ユーザ分析デバイス40は、ユーザの位置、体の動き、顔の向き、および眼の開閉などを測定して、ユーザの状態を分析する。
ユーザ分析デバイス40が、ユーザの状態を分析することで、ユーザが光刺激から眼を逸らしたり、眼を閉じたりしていないかを確認でき、処置が適切に行われているかどうかを評価することができる。
また、ユーザ分析デバイス40として、ユーザのまばたきを検知する電波センサを利用することができる。この場合には、カメラのように画像を取得する必要が無いため、ユーザのプライバシーなどの観点でメリットがある。
他にも、ユーザ分析デバイス40として、赤外線距離センサ、遮断センサ、又は超音波モーションセンサ等により、ユーザの位置を把握するシステムや、体表脈波の計測によりユーザの入眠を予測するシステムなどを採用することができる。
ユーザ分析デバイス40を構成する各センサの搭載位置は、映像出力装置上でもよいが、照明や窓など部屋の任意の位置に配置することができる。
また、本実施形態のように、システム1を浴室で使用する場合には、処置中のユーザの状態のモニタリング手段として、浴槽100に設置したセンサをユーザ分析デバイス40として利用しても良い。例えば、入浴中の居眠りなどの事故を防止するためにユーザの呼吸や脈拍、体動、体温などを検知する音センサや圧力センサ、温度センサをユーザ分析デバイス40として利用してもよい。これにより、ユーザの心拍数や呼吸音、体温などの異常を検知した場合に、スピーカ63からアラーム音を発したり、安全確認を呼びかけたりする処理を行うことができる。
(2-5)音声認識デバイス50および音刺激手段の構成
音声認識デバイス50は、ユーザの発話音声を認識する機能を有する。
音刺激手段は、一定の周期性を持ち、聴覚を介してユーザに対して入力される刺激を出力する機能を有する。
本実施形態では、音声認識デバイス50と音刺激手段が一体に形成されたスマートスピーカ61について説明する。
システム1では、浴室で使用できるスマートスピーカ61として、防水性を有するバスピロー型のスマートスピーカ61を採用することが望ましい。図1に示すように、スマートスピーカ61は、浴室内のうち、浴槽100に入るユーザの頭部に位置する部分に配置される。図16は、バスピロー型のスマートスピーカ61の構造を示す図である。
図16に示すように、バスピロー型のスマートスピーカ61は、頭部を支持する支持部62と、頭部の両隣に配置された一対の音声出力部と、を備えている。
一対の音声出力部それぞれには、スピーカ63およびマイク64が内蔵されている。左右一対のスピーカ63は、使用するユーザの両耳に近接する位置に配置される。また、音刺激手段には、音センサが内蔵されている。
このように、スマートスピーカ61は、使用するユーザの頭部を支える位置に配置されるため、ユーザの耳に近接した位置から音刺激を円滑にユーザに与えることができる。
また、なるべく音ノイズを排除した条件でユーザに音刺激を与えたいので、図示のとおり、左右からユーザの耳をカバーする形状が望ましい。
スマートスピーカ61は、内部のプロセッサに音声アプリケーションソフトを実行させることで、少なくとも以下の機能を発揮する。
・ユーザの発話による操作指示を認識する音声操作機能
・各デバイスおよび周辺のIoT機器の遠隔制御機能
これらの機能により、ユーザはユーザ端末5を使わなくても、自身の発話により、処置の開始を指示できる。
また、声紋認証機能などの生体認証機能を備えることで、システム1を使用するユーザを識別できるため、そのユーザに固有の処置プロトコルを呼び出すことも可能である。
なお、バスピロー型のスマートスピーカ61に替えて、音声認識手段と音刺激手段とを個別のデバイスとしてもよい。例えば、マイク64を備えた音声認識手段とは別に、防水性を備えたヘッドホンやイヤホン、又は骨伝導のスピーカ63などを音刺激手段として利用してもよい。
また、スマートスピーカ61は、超音波モーションセンサ、赤外線センサ、人感センサ、接触センサ、ユーザの接触によるデバイスの形状変化を検知するひずみセンサなどが搭載されていてもよい。これらのセンサを用いて、ユーザの頭部がスピーカ63付近にあることを検出し、ユーザの頭部の位置が適切であることを確認することで、ユーザの耳がスピーカ63に近づきすぎて音刺激が過剰になるといったトラブルを防止できる。
(2-6)皮膚刺激デバイス70の構成
皮膚刺激デバイス70は、電気又は超音波による一定の周期性を持ち、触覚を介してユーザに対して入力される刺激を出力する。なお、皮膚刺激デバイス70は電気刺激および超音波刺激を組み合わせてもよい。
皮膚刺激デバイス70として、電気刺激により神経疾患を治療するデバイスを採用することができる。このようなデバイスとして、腕時計型、イヤホン型、ヘッドバンド型、ベッドギア型、眼鏡型、鼻プラグ型、マウスピース型、パッチ型など様々な構造のデバイスが含まれる。
特に、ガンマ周波数の電気刺激を与えるデバイスを皮膚刺激デバイス70として採用し、ガンマ周波数の光刺激・音刺激による治療と組み合わせることで、認知症の予防や治療、認知能力の改善に効果のあるオシレーション(神経振動)を誘導することが可能になる。実際に、認知能力の改善効果をターゲットとして、これらのデバイスを用いて被験者の頭部への40Hzの電気刺激による処置が既に行われている。
(3)その他のデバイスおよびソフト
システム1と同時に用いられるその他のデバイスおよびソフトについて説明する。
(3-1)照明装置80の構成
システム1が設けられる空間(本実施形態では浴室)の照明装置80は、通信機能により遠隔操作されるIoTデバイスである。照明装置80は、Bluetooth(登録商標)等の各種の通信規格に対応した通信機能を用いて、ユーザ端末5への入力により操作される。
システム1を用いて、ガンマ周波数の光刺激を与える際は、光ノイズを避けるため、室内照明を消灯する必要がある。このため、ユーザが手動で消灯する手間を省くため、通信機能のあるIoTデバイスとしての照明装置80が用いられる。
(3-2)光センサ81の構成
システム1が設けられる空間には、光センサ81が設けられている。光センサ81は、通信機能を有し、システム1が設けられる空間において、消灯時にユーザが処置を受ける空間の光の量(すなわち、光ノイズ)を測定する。光センサ81は、検出したデータを通信機能によりユーザ端末5に送信するIoTデバイスである。
なお、液晶ディスプレイ、音刺激手段、照明などの同時に使用されるデバイスのいずれかに、光センサ81を内蔵してもよい。
(3-3)ユーザ端末5の構成
システム1は、ユーザ端末5により操作されてもよい。ユーザ端末5は、各種のアプリケーションソフトをインストールして操作できる端末である。具体的には、ユーザ端末5として、デスクトップPC、スマートフォン、VRデバイス、ARデバイスなどを採用することができる。ユーザ端末5がインストールするアプリケーションソフトとしては、例えば、以下が挙げられる。
・システム1を管理する管理アプリケーション
・スマートスピーカ61(音声認識デバイス50・音刺激デバイス60)を管理する音声アプリケーション
・その他のIoTデバイスを遠隔操作する操作アプリケーション
ユーザ端末5は、アプリケーションの操作と、データの確認等を行うため、タッチパネルなどのGraphical User Interface (GUI)を備えたものが望ましい。操作の容易性と普及率を考慮すると、汎用のスマートフォンが適している。
(3-4)防水手段
また、システム1は、防水手段を備えてもよい。具体的には、光源11と映像表示部12は、防水・防塵性能を持つことが望ましい。このため、例えば屋外用ディスプレイなどで用いられる完全密閉型の構造を利用することが望ましい。
(3-5)曇り防止手段
また、システム1は、曇り防止手段を備えてもよい。映像面に水滴をつくらない方がクリアな映像を表示できるため、映像表示部12は、ミスト生成器32から生成されるミストの付着による曇り防止対策をすることが望ましい。このため、親水性や疎水性のフィルムやコーティング剤を、映像表示部12の映像面に使用することが望ましい。また、例えば、濡れ広がりにより水滴を平滑化できる親水性のフィルムやコーティングを用いてもよい。
(3-6)管理アプリケーションの構成
次に、システム1の管理アプリケーションについて説明する。
光刺激・音刺激による処置の内容を管理するアプリケーションとして、PCやスマートフォンなどで利用されるアプリケーションソフトを利用することができる。
例えば、汎用のスマートフォンに対応したアプリケーションソフトを管理アプリケーションとすることができる。図17は、管理アプリケーションの表示画面の一例を示す図である。
図17に示すように、管理アプリケーションの表示画面では、光刺激や音刺激に用いるコンテンツデータなど、処置のプロトコルを管理するメニューと、処置のログを管理するメニューと、を備えることが望ましい。
ユーザは、処置プロトコルの管理メニューにより、以下の内容を選択する。
・処置に利用するコンテンツデータ(動画データ、画像データの種類)
・照射時間
・ディスプレイから出力される光刺激の輝度、強度範囲
・スピーカ63から出力される音刺激の強度範囲
これにより、ユーザは、自身が所望する態様に沿った処置プロトコルを設定することができる。
また、ユーザは、処置のログの管理メニューより、自身が行った処置の履歴を確認することができる。また、ユーザは、例えば、目標とする処置の合計時間に対する達成度などを確認することができる。
これにより、ユーザは処置を継続するモチベーションを高めることができる。また、複数のデバイスで管理アプリケーションを利用可能にするため、データがクラウドサーバ82上に保存されるアプリケーションが望ましい。
(3-7)クラウドサーバ82
システム1は、ネットワークを介してクラウドサーバ82と通信接続されている。
クラウドサーバ82には、ユーザ毎の処置プロトコル、および処置に関するログが少なくとも格納されている。
(4)システム1の処理
次に、システム1をユーザが使用する際の処理について説明する。
図18は、システム1の利用時におけるデータの通信状態を示す図である。
図18に示すように、ユーザ端末5の管理アプリケーションが、コントローラ20に対してユーザが選択した処置プロトコルと、設定された音声コマンドを送信し、コントローラ20の記憶部に記憶される。
そして、ユーザからの発話音声によりスマートスピーカ61に音声コマンドが入力されると、音声アプリケーションが、コントローラ20に音声コマンドを入力する。コントローラ20は、音声コマンドと対応づけられた処置プロトコルに従って、各デバイスを制御する。
コントローラ20は、管理アプリケーションに対して処置のログを出力する。
管理アプリケーションは、クラウドサーバ82に対して、以下のデータを送信する。
・処置のログ
・ユーザ分析手段が分析したユーザの状態に関するデータ
クラウドサーバ82は、送信された各データを記憶する。
図19は、システム1の利用における処理を示す図である。
まず、システム1ではまず、ユーザ音声の登録を行う(ステップS101)。
具体的には、スマートスピーカ61がユーザを識別できるようにするため、ユーザが、音声アプリケーションに自身の音声を登録する。
ユーザはユーザ端末5から、スマートスピーカ61の音声アプリケーション(以下、音声アプリケーション)にログインし、ユーザ端末5に起動した音声アプリケーション上で、自身の音声情報を登録する。例えば、音声アプリケーションが指定した言葉をユーザ端末5に対して発声することで、ユーザの音声の特性を音声アプリケーションに記憶させる。
音声アプリケーションは、汎用の通信規格に則った無線通信によりスマートスピーカ61とデータ通信を行う。音声アプリケーションは、デバイス名やデバイス固有のアドレスなどのデバイス情報とともに、スマートスピーカ61にユーザ音声情報を送信し、その後の操作において、音声によるユーザの識別を可能にする。
ステップS101の後に、ユーザは、ユーザ端末5を操作して、音声アプリケーションと管理アプリケーションとの連携を行う(ステップS102)。
具体的には、音声アプリケーションをシステム1の管理アプリケーションと連携し、音声アプリケーションに登録したユーザの音声情報と、管理アプリケーションのユーザの識別情報(ユーザ固有のユーザIDなど)を紐づける。
この操作により、例えばユーザがスマートスピーカ61に対して発話による指示を入力した際に、その音声に対応した処置プロトコルを呼び出すことが可能になる。音声アプリケーションと管理アプリケーションは1つのアプリケーションに統合されていてもよい。
ステップS102の後に、ユーザは、ユーザ端末5を操作して、スマートスピーカ61と、他のデバイスと、のペアリングを行う(ステップS103)。
具体的には、スマートスピーカ61にユーザが発話による指示を出した際に、スマートスピーカ61から処置開始の指示をコントローラ20に対して送信できるように、スマートスピーカ61とコントローラ20とのペアリング、すなわち、スマートスピーカ61から命令を送信するための通信設定を行う。また、スマートスピーカ61とその他のIoTデバイス(ミスト発生機の給水バルブ、照明装置80、光センサ81など)とも同様にペアリングを行う。
ステップS103の後に、ユーザは、ユーザ端末5を操作して、処置プロトコルおよび音声コマンドの設定を行う(ステップS104)。
具体的には、ユーザは、ユーザ端末5から管理アプリケーションにログインし、処置プロトコルの内容(映像・音声コンテンツ、ミストの量、処置時間など)を選択する。
例えば夕方の入浴時に処置を行う場合、「夕焼け」など青色が少ない映像コンテンツを選択することで、24時間周期の生体リズムであるサーカディアンリズムの乱れを防止できる。
次に、ユーザは、管理アプリケーション上で、選択された処置プロトコルを呼び出すための音声コマンドを設定する。音声コマンドとしては、例えば、スマートスピーカ61の名称に続けて、「処置を始めて」といった発話をするなど、スマートスピーカ61の名称と命令の組み合わせが考えられる。また、処置を中断、又は終了するコマンドを設定してもよい。
また、音声コマンドの設定では、処置プロトコルと音声コマンドの組み合わせを複数設定し、音声コマンドに応じた処置プロトコルを呼び出せるようにしてもよい。
管理アプリケーションは、設定された処置プロトコルと音声コマンドを、ユーザ端末5からコントローラ20に送信する。コントローラ20の記憶部に、これらのデータが保存され、各デバイスが処置を開始する準備が整う。なお、ステップS101からステップS104の処理は、システム1の2回目以降の使用においては省略することができる。
ステップS104の後に、ユーザの発話による処置開始の指示が行われる(ステップS105)
具体的には、ユーザは、システム1が設けられた浴室の浴槽100に入ってから、スマートスピーカ61に内蔵されたマイク64に対して発話による音声コマンドを入力し、処置の開始を指示する。この際、音声アプリケーションは、音声コマンドをコントローラ20に送信する。
ステップS105の後に、システム1は、ユーザの位置の確認を行う(ステップS106)。
ここで、ユーザの位置が適切でないことで、以下の不具合が想定される。
・ユーザの位置が適切でないことで、効果的な光刺激を与えられないおそれ
・ユーザの位置が適切でないことで、過剰な音刺激を与えるおそれ
これらの不具合を予防するため、ユーザの位置をスマートスピーカ61に搭載されたセンサによりセンシングする。コントローラ20のユーザ分析モジュール2036は、センシングされた情報を分析する。
ユーザの位置の確認を行うセンサは、光源11や室内照明等に搭載されてもよいし、単独のユーザ分析デバイス40として設置されても良いが、ユーザの頭部に近接するスマートスピーカ61に搭載されていることが効果的である。
ステップS106において、ユーザが適切な位置から外れていた場合(ステップS107のNo)は、システム1は、ユーザに適切な位置への移動を促す(ステップS108)。
具体的には、コントローラ20のユーザ分析モジュール2036が、スマートスピーカ61のスピーカ63から、ユーザの位置が適切でないことを示す音声アラートを出力させる。その後、再度、ユーザの位置確認(ステップS106)を行う。
一方、ステップS106において、ユーザが適切な位置にいる場合(ステップS107のYes)は、システム1は、照明の消灯およびノイズの確認を行う(ステップS109)。
具体的には、コントローラ20のデバイス制御モジュール2034が、照明装置80を消灯する。そして、コントローラ20のノイズ検出モジュール2035が、光センサ81からのセンシングデータを取得し、処置の妨げとなる光ノイズが無いかを確認する。
また、ノイズ検出モジュール2035は、スマートスピーカ61のマイク64からのセンシングデータを取得し、処置の妨げとなる音ノイズが無いかを確認する。
仮に、処置の妨げとなる光ノイズ又は音ノイズがあった場合(ステップS110のYes)は、ノイズ検出モジュール2035は、ユーザに対して遮光と遮音を促すための音声アラートをスマートスピーカ61から出力することで、ユーザに対して遮光、遮音を促す(ステップS111)。また、スピーカ63のノイズキャンセリング機能により、音ノイズを低減してもよい。
一方、処置の妨げとなる光ノイズ又は音ノイズがない場合(ステップS110のNo)は、処置を実行する(ステップS112)。
具体的には、コントローラ20のコンテンツ出力モジュール2033は、プロトコルに沿った光刺激を映像出力装置から出力する。同時に、コンテンツ出力モジュール2033は、スマートスピーカ61から、音刺激を出力する。コンテンツ出力モジュール2033は、処置プロトコルに設定された内容に従って、選択された処置用コンテンツをユーザに対して出力する。また、コントローラ20のデバイス制御モジュール2034は、微粒子群放出モジュールを制御して、微粒子群を浴室内に放出させる。
ここで、処置が実行されている間、コントローラ20のユーザ分析モジュール2036が、ユーザの状態を分析している。
図20は、ユーザの状態の分析の処理を示す図である。
図20に示すように、ユーザ分析モジュール2036は、ユーザの位置、顔の向きの確認を行う(ステップS121)
ステップS121において、ユーザの位置と顔の向きが適切な範囲内でない場合(ステップS122のNo)には、ユーザ分析モジュール2036は、ユーザに適切な位置への移動を促すアラートを、スマートスピーカ61から出力する。
一方、ステップS121において、ユーザの位置と顔の向きが適切な範囲内である場合(ステップS122のYes)には、ユーザ分析モジュール2036は、アラートを出力しない。
その後、コントローラ20のコンテンツ出力モジュール2033およびデバイス制御モジュール2034により、処置が継続される(ステップS124)。
ステップS112において選択された処置プロトコルに対応する処置が終了すると、システム1は、処置を完了し、データを保存する(ステップS113)。
具体的には、処置プロトコルに設定した処置時間に達したところで、コントローラ20のコンテンツ出力モジュール2033は、処置用コンテンツの出力を終了する。コントローラ20の制御部は、処置のログを生成し、ユーザ端末5の管理アプリケーションに送信され、送信されたデータはネットワーク経由でクラウドサーバ82に保存される。
以上により、システム1の処理が全て終了する。
なお、上記の浴室を利用したシステム1は、認知症対策だけでなく、Seasonal affective disorder(SAD)や冬季うつ、時差ぼけ、網膜疾患、疼痛抑制、ウェルネス改善など他の健康状態の異常に対する処置目的で利用しても良い。
(5)小括
以上説明したように、第1実施形態に係るシステム1では、光刺激を光刺激デバイス10によりユーザに対して出力する。このため、集中力を喚起してまばたきの回数を減らすことで、一定時間あたりにユーザの目に入る光の量を増加させ、処置の効果を高めることができる。
また、一般的な動画コンテンツから処置用コンテンツを生成するので、嗜好に個人差のあるユーザのそれぞれが好ましいと感じる処置用コンテンツを生成することが可能になる。
また、ユーザが特定の処置用コンテンツに飽きた場合にも、新たな処置用コンテンツをユーザの好みに合わせて生成することができる。すなわち、一定の点滅光のような従来の処置光とは異なり、ユーザにとって好ましく、常に新しい光刺激をユーザに対して与えることができ、転換することが可能になる。これにより、高い治療効果があり、かつユーザが継続して使用できる処置用コンテンツを提供することができる。
また、映像表示部12によりユーザの多様な好みに合った多様な映像が表示され、ミストにより立体的に変化する光の透過・反射パターンと、ディスプレイ面以外の視標ができる。これらの手段により、ユーザは臨場感のある変化を楽しみながら、快適に光刺激による処置を受けることができる。
また、微粒子群放出デバイス30が放出する霧や泡などの微粒子群は、空気や水などの媒体中でブラウン運動を起こし、映像出力装置が出力する光刺激を散乱することで、ユーザに視覚的な「ゆらぎ」を提供する。ブラウン運動は自然界で一般に見られるが、人工物では基本的に起きない現象であるため、ブラウン運動を起こしてゆらぐ微粒子群は「自然らしさ」「リラックス効果」「注意力の回復」などの好適な心理的影響をユーザに与える効果をもつ。
このため、微粒子群が自然に近い雰囲気をつくるため、映像出力装置が出力する映像(光刺激)における解像度などの質が低くても、映像に対してリアリティのある印象をユーザに与える効果も期待できる。また、液晶ディスプレイ等のデバイスは、強い光による劣化が生じやすいが、微粒子群はその場で生成され、消失するため、劣化による問題は生じない。
また、平面的なディスプレイと違い、微粒子群は奥行きのある動きをつくるため、視点が固定されにくく、微粒子群により散乱される光刺激をユーザが見ることで、眼精疲労の回復等の効果も期待できる。
また、微粒子群に反射した光がつくるパターンは常に変化し、「虹」「渦」などの現象による視覚効果をランダムなタイミングで提供するため、偶発的に生じる美的快感(脳の報酬回路の活性化)に対するユーザの期待を喚起し、集中力を継続させることができる。
さらに、微粒子群として供給される温水に香料又は薬剤を付加することで、匂いを付加したり、消臭効果や殺菌効果などを付与したりすることも可能であるため、空気浄化や消臭効果も期待できる。
その他、使用空間内の空気の流れに乗って向かってくる微粒子群を触ることによる触覚的な刺激など、映像だけでは得られない刺激をユーザに与えることができる。
また、システム1を浴室で使用する場合には、浴槽100に浸かるという行動は、日常生活の一部に含まれており、ユーザは新たな習慣を身につけなくても、これまでの習慣の中で認知症の予防を行うことができる。この点について、予防のための時間を新たにつくることは、忙しいユーザにとって困難であるため、ユーザの時間の節約および予防の習慣化という観点で大きなメリットがある。また、微粒子群の原料となる水や温水が容易に入手でき、さらに空気中に微粒子群を放出する弊害がない点でも、システム1を浴室で使うメリットがある。
また、システム1がユーザ分析デバイス40を有しているので、光刺激などの処置を実行する前に、ユーザの位置・顔の向きを確認することができる。そして、処置に適した範囲から外れていた場合は、ユーザに適切な位置への移動を促したり、光源11の位置を補正したりするなどの制御が可能になる。
また、ユーザ分析デバイス40により、ユーザと光源11の距離を計測し、距離に合わせて光量調節を行ったり、ユーザの瞬きの頻度を計測したりすることで処置中のユーザの集中度を評価することも可能になる。
(6)変形例
前述した各デバイスの変形例について以下に説明する。
(6-1)光源11の変形例
図21は、光源11の変形例を示す図である。
図21に示すように、変形例に係る光源11は、散乱板11Cと反射板11Bを利用した面構造を有している。
光源11は、散乱版と反射板11Bとが前後方向に並んで配置されている。
散乱版の左右両側には、複数のLEDが設けられている。散乱板11Cは、LEDからの光を散乱させ、反射板11Bが、散乱板11C側に向けて散乱光を反射することで、光源11全体として、前方に向けて光を照射する。
また、光源11は、複数の波長の光を用いてもよい。この場合には、波長の異なるLEDを均等に並べることが望ましい。また、散乱板11Cにおける上下左右の4つの側面のそれぞれに、異なる波長のLEDを配置してもよい。
例えば、青、緑、赤のLEDを利用する場合、以下のピーク波長のものを用いることが望ましい。
・青:480nm付近(サーカディアンリズム調節などに効果が期待できる)
・緑:525nm付近(疼痛抑制などに効果が期待できる)
・赤:670nm付近(細胞の活性化などに効果が期待できる)
また、有機物が発光する有機発光ダイオード(Organic light emitting diode ; OLED)を光源11として利用してもよい。
その他、レーザーダイオードを用いることが可能である。例えば、レーザーダイオードと導光棒を組み合わせた構造を上下に配列し、面光源をつくる方法が利用可能である。
さらに、LED、OLED以外の光源11として、キセノンランプ、ハロゲンランプ、重水素ランプ、水銀灯、エキシマランプ、白熱電球など様々な光源11が利用可能である。
光源11および映像表示部12に替えて、発光型ディスプレイを用いることもできる。
有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどの発光型ディスプレイは、ディスプレイのピクセルが発光するため、ディスプレイそのものを光源11として利用可能である。
また、プラズマディスプレイでは、蛍光体が塗布されたセルがディスプレイ平面に格子状に配置されている。それぞれのセルに放電現象を起こして紫外線を発生させ、紫外線により励起された蛍光体が発光する。光処置に適した波長の光を発する蛍光体を用いることで、処置用の光刺激として有効に利用できる。
フィールドエミッションディスプレイを用いる場合にも、電圧を印加することで電子ビームが照射される発光体として、処置に適した波長の光を発するものを蛍光体として用いることで、処置用の光刺激として利用できる。
また、それぞれのピクセルにLEDが配置された構造を有するマイクロLEDディスプレイを用いてもよい。
その他、LEDアレイを高速で回転させ、所定の位置を通過するタイミングに合わせて発光することで、残像を映像として視認させるディスプレイを用いてもよい。
また、これらのディスプレイはテレビやPCのモニタのように2D表示のディスプレイとして利用する他に、VRデバイスや、3次元ディスプレイに利用することもできる。その場合、右目用と左目用の映像をそれぞれ表示することで、立体的な映像の生成が可能になる。
また、映像を投影面に投影するプロジェクターを光源11として使用することもできる。図22は、プロジェクターを光源11として使用する場合の位置関係を示す図である。
図22に示すように、プロジェクターを光源11として利用する場合、ユーザは光源11を直視するのではなく、スクリーンやパネル等に投影された映像を視認することとなる。プロジェクターとしては、ブラウン管でつくりだした映像をスクリーンに投影する初期のCRT方式でもよい。この場合には、処置に適した波長の光をスクリーンに投影する。処置に必要な光量を確保するため、スクリーンは白色など反射の強いものが望ましい。
また、マイクロLEDディスプレイをプロジェクターとして用いてもよい。この場合には、特に量子フォトニックイメージング(QPI;Quantum Photonic Imaging)技術を用いたプロジェクターが、小型で高解像度・高輝度の映像を投写できるため好ましい。
QPIディスプレイの各ピクセルは、赤・緑・青の発光素子3層を積層した構造を持ち、底面にロジック回路、上面に光をガイドする構造をもつ。投写する対象としてユーザの手やARグラスの半透明ディスプレイなどが適している。
システム1に、QPIディスプレイを利用する場合、処置に適した波長の発光素子を選択して用いることが望ましい。
また、ARグラスなどユーザの眼に近接した位置で光を反射するデバイスは、離れた位置から光を照射する場合に比べて少ない光量で治療が行えるため、小型プロジェクターを処置に用いる際に適している。
図23は、微粒子群に対して処置光をプロジェクターから投影した状態を示す図である。
図23に示すように、映像出力装置からの光刺激の出力と併せて、プロジェクターから他の映像を、微粒子群に投影してもよい。この場合、微粒子群に投影した映像が付加的な光刺激となる。ガンマ周波数の光刺激による処置を行う際は、プロジェクターが投影する光刺激と、映像出力装置から出力される処置光源と、を同期して点滅させることが望ましい。
また、マイクロLEDなどを使った小型プロジェクターを光源11として用いる場合、小型プロジェクターを搭載したARグラスなどのウェアラブルデバイスも映像出力装置に含まれる。図24は、小型プロジェクターを搭載したARグラスの模式図である。
図24に示すように、2つの小型プロジェクターを側面に搭載したスマートグラスを映像出力装置として用いることができる。
小型プロジェクターは、眼鏡の左右のテンプル部のレンズ側にそれぞれ配置されている。
小型プロジェクターは、部分透過板で形成されたレンズに向けて処置光を照射する。処置光は、レンズに反射され、映像がクリアに視認できる空間である、アイボックスに映像として投影される。
その他、他にも、時計に小型プロジェクターを搭載し、手のひらなどに映像を投写する方法なども利用できる。
ここまで記載した光源11には、700~1400nm(典型的なピーク波長は850nm、940nm、1064nm)の近赤外光源を追加してもよい。近赤外線はミトコンドリア機能の活性化などによる健康改善、老化抑制、網膜の状態改善などの効果があることが知られている。
(6-2)映像表示部12の変形例
映像表示部12としては、前述のアクティブ方式の液晶ディスプレイに代えて、パッシブ形式の液晶ディスプレイを採用してもよい。パッシブ方式の液晶ディスプレイでは、液晶が封入された配向膜を挟むように、透明電極が配置されている。パッシブ方式を採用することで、構造がシンプルになり、コスト面でメリットがある。表示側にカラーフィルタを配置することで、カラーの液晶ディスプレイとして利用することができる。
また、液晶ディスプレイとして、エレクトロウェッティング(electro-wetting)方式のパネルを採用してもよい。この場合には、各ピクセルの撥水性絶縁層の表面の濡れ性を電圧の印加により変化させ、ピクセルに含まれるオイルの形状を変化させることで光の透過を制御する。
電圧を印加していない状態では、オイルが撥水性絶縁層の表面を覆うため、バックライトの光は遮断されるが、透明電極に電圧を印加すると絶縁層の表面が親水性に変化し、オイルがはじかれるため、バックライトの光が透過できるようになる。
この光透過のON/OFFをピクセルごとに切り替えることで、映像を表示することが可能になる。カラー表示を行う場合、複数の色のオイルを使う方法や、カラーフィルタを重ねる方法が考えられる。
また、液晶ディスプレイとして、エレクトロクロミック(electrochromic)方式のパネルを採用してもよい。この場合には、各ピクセルの色彩を電気的刺激(電圧の印加)により変化させることで、透過する光の波長を制御する。
パネルの構造は、パッシブ型の液晶ディスプレイと同様に、セルを上下から透明電極で挟む構造になっており、透明電極に電圧を印加することで、電極上に形成された発色層の酸化還元状態が変化し、発色する。それぞれのセルを個別に発色させることで、目的に沿った映像を表示することができる。
発色層の材質として、金属酸化物が使われることが多く、代表例として酸化タングステン(WO3)やプルシアンブルー、NiO、Ir(OH)xなどが知られている。
また、最近では異なる発色層を重ね、それぞれの発色層の色を調節することで、より多様な色彩を表現できるエレクトロクロミックパネルも開発されている。例えばはSVO(stabilized vanadium oxide;安定化酸化バナジウム)の層と、酸化タングステンの層を組み合わせ、それぞれの層に印加する電圧の組み合わせにより2次元的に色調が変化するパネルの製造が既に成功している。このような技術を用い、透過する光の波長を細かく制御してもよい。
また、前述した有機ELパネルは、それ自体が光源11となるが、強い光を発すると寿命が短くなるデメリットもあるため、光源11は別に設け、透過性のある有機ELパネルを光源11から照射される処置光を透過する液晶ディスプレイとして用いてもよい。
この場合には、有機ELディスプレイに透過性を持たせる手段として、パッシブ方式の液晶ディスプレイと同様に上下から透明電極で挟みこむ方法と、有機ELセルどうしの間に光が透過する透明領域をもうける方法が利用できる。
有機ELセル間に隙間を設ける場合、例えばRGBのセルが並ぶ列を隔てるように透明セルを並べる構造が考えられる。
御してもよい。
このように、映像出力装置における光源11を組み合わされる液晶ディスプレイは、テレビやPCのモニタのように2D表示のディスプレイとして利用する他に、VRデバイスや、3次元ディスプレイに利用することもできる。その場合、右目用と左目用の映像をそれぞれ表示することで、立体的な映像の生成が可能になる。
また、透過型ディスプレイを透過された処置光を、スクリーンやパネルに表示させてもよい。この場合には、光源11および透過型ディスプレイが、プロジェクターとして機能することになる。
透過型液晶パネルなど、透過型ディスプレイを用いたプロジェクターを用いる場合、光源11はプロジェクターの光源11にあたる位置に配置される。
例えば透過型液晶パネルを用いたカラープロジェクターの場合、光源11から照射された光はダイクロイック・ミラーにより赤・緑・青に分解され、透過型液晶パネルでつくった各色の映像が合成され、1組のレンズから投写される。
カラー表示については、ダイクロイック・ミラーによる分解ではなく、異なる色のLEDを点灯する方法を用いてもよい。また、単色の映像を投影してもよい。また、透過型パネルは、エレクトロウェッティング方式やエレクトロクロミック方式など液晶以外の映像表示手段を利用してもよい。
以上、映像表示部12の変形は、一般的なディスプレイと同様に光源11と一体化して構成されてもよいが、光源11とは分離して構成されてもよい。
また、光透過制御部に照射される光は、光源11から直接照射されたものではなく、反射板などを介して照射されたものでもよい。
例えば、電子ペーパーのように、バックライトの光を透過せず、手前から照射された光の反射パターンを制御する機構を、光刺激デバイス10として用いることも考えられる。
例えば、初期の電子ペーパーとして、ジリコンビーズ方式の反射パネルが挙げられる。これは、二色に塗り分けた固体粒子を利用しており、その粒子はジリコンビーズ(Gyricon beads)などと呼ばれる。
ジリコンビーズの上下は白・黒に塗り分けられており、それぞれマイナスとプラスに帯電している。ビーズに接した電極(ドライバ層)の電荷によりビーズが回転し、白黒が入れ替わる。これをピクセルごとに制御することで、画像を表示することが可能になる。
白・黒以外の色の組み合わせのビーズを用いるか、カラーフィルタ層を重ねることでカラー表示を行うことも可能である。
また、電気泳動式の反射パネルを備えた電子ペーパーを用いてもよい。電子ペーパーなどで使われる電気泳動方式のパネルでは、それぞれプラス・マイナスに帯電した2色の顔料粒子と、オイルを封入したマイクロカプセルをピクセルとして利用する。
マイクロカプセルの上下の電極に電圧をかけることで、一方の色の顔料が表示側に移動する。これをピクセルごとに行うことで、画像を表示することが可能になる。
RGBなど異なる色の顔料を用いるか、カラーフィルタ層を重ねることにより、カラーの映像を表示することもできる。
また、電子粉流体方式の反射パネルを備えた電子ペーパーを採用してもよい。
電子粉流体方式のパネルでは、電気泳動式と違ってオイルは用いず、それぞれプラス・マイナスに帯電した2色の電子粉粒体が空気中を移動する構造をもつ。
この構造では、セルの上下の電極に電圧をかけることで、一方の色の電子粉流体が表示側に移動する。これをピクセルごとに行うことで、画像を表示することが可能になる。
RGBなど異なる色の電子粉流体を用いるか、カラーフィルタ層を重ねることにより、カラーの映像を表示することもできる。
上記に説明したものの他、前述した各種の構造の液晶パネル(例えば、エレクトロウェッティング方式・エレクトロクロミック方式のパネル、透過性のある有機ELの背面に、反射板を配置し、映像出力装置として用いてもよい。
また、反射型液晶方式(Liquid Crystal on Silicon;LCoS方式)のプロジェクターを映像出力装置として用いてもよい。
反射型液晶方式のプロジェクターを光刺激デバイス10として利用する場合、光は反射型液晶パネルに反射した後、レンズから映像として透写される。
例えば3板式のLCoSプロジェクターでは、光源11から照射された光はダイクロイック・ミラーにより赤・緑・青に分解され、反射型液晶パネルでつくった各色の映像が合成され、1組のレンズから投写される。
カラー表示については、ダイクロイック・ミラーによる分解ではなく、異なる色のLEDを点灯する方法を用いてもよい。また、色を1つに限定し、モノクロの映像を投写してもよい。
反射型パネルとして、液晶の他に、エレクトロウェッティング方式・エレクトロクロミック方式、ジリコンビーズ方式、電気泳動式、 電子粉流体方式のパネルを用いてもよい。
また、DLP(Digital Light Processing)方式のプロジェクターを映像出力装置として用いてもよい。
DLP方式のプロジェクターを映像出力装置として利用する場合、光はDLPチップ(Digital Micromirror Device;DMDとも呼ばれる)に反射した後、レンズから映像として透写される。DLPチップには画素数ぶんの微細なミラーが搭載されており、ミラーの方向を変えることで、画素ごとの表示のON/OFFを制御できる。
例えばRGBのカラーDLP方式プロジェクターでは、光源11から照射された光は高速回転するカラーホイールを通過した光がDLPチップに反射して映像として投写される。RGBの色ごとに生成した画像を重ね合わせることで、カラー映像が合成できる。
カラー表示については、カラーホイールではなく、赤・緑・青のLEDの高速切り替えを利用してもよい。また、色を1つに限定し、モノクロの映像を投写してもよい。
また、レーザー光源とリフレクターにより映像を生成するARグラスを映像出力装置として用いてもよい。
スクリーンやパネル等に投影された映像を観察するのではなく、網膜に直接映像を投影する場合、レーザー光源を用いたシステムを映像出力装置として利用することができる。
例えば、RGBレーザーで照射した光を、MEMSミラーとリフレクターに反射させ、MEMSミラーの角度を高速で調整することで、ユーザの網膜に像を投影する技術が知られている。
この場合、MEMSミラーとリフレクターが反射型の映像表示部12となり、RGBレーザーが光源11となる。
また、映像出力装置は、透過性のある媒体に処置光としての映像を投写してもよい。すなわち、映像出力装置は、部分反射パネルなどの媒体に投影した映像を出力する。
この場合、一般的な映像をスクリーン等に投影するプロジェクターとは別に、光刺激の光源11を設け、ユーザは光源11からの光と、プロジェクターに投影された映像と、を同時に見ることになる。
具体的な機構として、前述したプロジェクターやARグラスが利用できる。
また、映像出力装置は、後述する微粒子群に映像を投影してもよい。
点滅する光を処置光として利用する場合、処置光の点滅に合わせ、プロジェクターなどの投影機の映像も同じタイミングで点滅させることが望ましい。
(6-3)微粒子群放出デバイス30の変形例
次に、微粒子群放出デバイス30の変形例について説明する。
システム1の微粒子群放出デバイス30は、前述した温水からミスト生成器32により生成されるミストに限られず、様々な微粒子群を用いることができる。以下に微粒子群の種類や生成手段、微粒子群の空間配置を制御する手段の候補を記載する。
(6-3-1)固体微粒子
微粒子群放出デバイス30は、固体微粒子を放出してもよい。
固体微粒子の材料として、線香などに使われるタブの木の樹皮や、タバコの葉などの植物原料が利用できる。また、低温条件では氷の微粒子も利用可能である。燃焼して煙を発生させる場合、添加材として燃焼を助けるための油脂や、固形化するための接着剤などが利用できる。
その他にも、微粒子群放出デバイス30は、乾燥粉末吸入器(Dry Powder Inhalation;DPI) に使われる乾燥粉末を放出してもよい。
具体的には、担体粒子の成分として糖アルコール、ポリオール結晶糖、無機塩、有機塩などが利用できる。一方、薬効をもつ活性粒子として、例えば、以下が挙げられる。
・ステロイド剤・気管支拡張薬、ニトレート、抗ヒスタミン薬、抗炎症剤、抗コリン剤、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト、抗アレルギー剤、制吐剤、ホルモン剤、交感神経作用剤、オピオイド、鎮痛剤、免疫調節剤、低血糖剤、麻酔剤アゴニストやオピエート解毒剤(opiate antidote)、ホスホジエステラーゼインヒビター(phospho diestera seinhibitor)、抗うつ剤、セロトニンアゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、アドレナリンアゴニスト、アドレナリン作用性ニューロンブロッカー、ベンゾジアゼピン、抗生物質および抗細菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、ワクチン、イムノグロブリン、局所麻酔薬、鎮痙剤、アンギオテンシン転換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターブロッカー、α-ブロッカー、抗不整脈剤、抗凝固剤、カリウムチャンネル調節因子、コレステロール低下剤、利尿剤、禁煙剤、ビスホスホネート、ドーパミンアゴニスト、核酸医薬、抗精神病剤
・その他、製薬学的に許容される塩又は前述のものの任意の誘導体
微粒子の生成方法として、例えば以下の方法が利用できる。
・固形物を機械的に粉砕する方法
・エア加圧によりノズルから放出する方法
・材料を加熱して燃焼させ、煙として放出する方法
燃焼により微粒子群を生成する場合、材料が炭化した微粒子が加熱による上昇気流に乗って上方に運ばれる。
(6-3-2)液体微粒子
代表的な液体微粒子として、前述した温水(水)の微粒子である霧が利用できる。微粒子群放出デバイス30は、ミスト生成器32に代えて、霧を生成する装置として、以下の装置を備えてもよい。
・超音波振動子による液体の破砕を原理とする超音波霧化器
・加熱した液体を冷やしながら排出するフォグマシン
・加圧空気と液体を同時にノズルから噴射する噴霧装置
また、微粒子群放出デバイス30は、ドライアイスにより空気中や周囲の水、又は空気中の水蒸気を霧化する方法を用いてもよい。
微粒子群放出デバイス30は同様に、アルコールや油などの液体も霧化して利用することが可能である。
また、微粒子群放出デバイス30は、電子タバコなどに用いられる香りのついたミストを放出してもよい。一般に、電子タバコは、ミントやコーヒーなどの香料を含む液体を加熱して霧化し、ミストとして供給する構造をもつ。
具体的な微粒子群の原料の成分の例として、プロピレングリコールやグリセロールなどに香料を混合した液体が利用できる。香料の例として、フルーツの香りやハーブの香り、樹木の香りが利用できる。天然フレーバー物質、人工フレーバー物質のいずれも利用可能である。
また、微粒子群放出デバイス30は、加圧噴霧式定量吸入器(pressurized Metered Dose Inhaler;PMDI)に用いられる薬効成分を含む溶液を用いてもよい。溶液の具体的な成分として、前述した各種の薬効成分を、アルコール類などの溶媒に溶かしたものを利用できる。また、酢酸塩やベンゼンスルホン酸塩などの塩類も用いることができる。
また、微粒子群放出デバイス30は、前述した固体微粒子および液体微粒子の混合物を放出してもよい。
また、システム1は、シャワーから放出される水滴や、噴水など流動する水を、光源11の照射範囲に配置することで、微粒子群として用いてもよい。
(6-3-3)液体中の気体微粒子
また、システム1で用いる微粒子群は、空気中を漂うものに限定されない。液体を漂う気体粒子を微粒子群として用いてもよい。
具体的には、浴槽100の底面に微粒子群放出デバイス30としてのエアレータを設置し、水面に投影した映像に合わせて気泡を生成する技術が利用できる。気泡の成分として、空気の他に炭酸ガスや窒素ガスなども利用できる。
このような気泡の生成方法として、モーター式やピエゾ式のダイヤフラムポンプにより取り込んだ気体を液中に放出する方法を用いることができる。
また、マイクロバブルやナノバブルなどの微細な気泡をつくる手法として、以下の方法を用いることができる。
・超音波(ultrasonication)を用いる方法
・エキシマレーザーアブレーション(excimer laser ablation)と呼ばれるプラズマを利用する方法
・乳化(emulsification)を用いる方法
・インクジェットプリント法(inkjet printing method)
このように浴槽100中に放出されたマイクロバブルやナノバブルは、浴槽100のお湯の中でブラウン運動を起こし、長時間残存するため、不規則な動きによる視覚的な効果をつくるのに適している。
また、システム1は、溶媒と分離する液体微粒子(水中の油脂など)や、固体微粒子(金属粉末、樹脂粉末など)を液体中で利用してもよい。磁性のある粒子や液体を用いる場合、磁気により挙動を制御することも可能である。
また、水生動物や海藻、プランクトンなどを含む水槽を、処置光を散乱させるデバイスとして利用することも可能である。
(6-4)微粒子群制御デバイス34
さらに、システム1は、微粒子群放出デバイス30が放出した微粒子群を、適切な位置に留めておくために、微粒子群の空間配置を制御する微粒子群制御デバイス34を備えてもよい。
微粒子群制御デバイス34は、微粒子群の空間配置を制御する方法として、微粒子群の移動を制御する技術や、微粒子群を除去する技術を用いることができる。以下に具体例を記載する。
(6-4-1)構造物による制御手段
間仕切りなど物理的な障壁を設けて、微粒子群の移動を抑制することができる。
例えば、カップ状の構造物の内側に微粒子を蓄積させる構造が利用できる。他にも、箱型や筒形など、微粒子群を特定の箇所に留める構造が利用できる。
(6-4-2)気流・液体流による制御手段
空気中に放出された微粒子群を、所望の位置に流し込んだり、除去したりする方法として流れの発生手段が利用できる。
例えば、気流を発生させる手段としてファンが利用できる。霧などの微粒子群が充満した環境でも使えるよう、防湿・防塵性のあるものが望ましい。また、コンプレッサーやバキュームポンプなどにより正圧・負圧を発生させ、流れをつくることができる。
また、特定の位置に微粒子群を運ぶ手段として、気体の塊を放出する技術が利用できる。
例えば気体を渦輪状に放出する技術が利用できる。放出する気体に含ませる成分として、前述した芳香成分や、薬効をもつ活性粒子が利用できる。
また、磁性を持つ微粒子群を利用する場合は、微粒子群の流れを電磁石やフェライト磁石などを微粒子群の移動方向の制御手段として利用することも可能である。
また、液体の流れをつくる場合は、水中モーターなどが利用できる。また、液体として磁性流体を用いる場合は、電磁石やフェライト磁石などを流れの制御手段として利用することも可能である。
(6-4-3)微粒子群の除去手段
微粒子群を除去し、除去されないエリアに微粒子群が残ることで、微粒子群が浮遊するエリアを制御することも可能である。以下に具体的な除去方法を記載する。
霧や氷の微粒子などの微粒子群を除去する方法として、赤外線照射による加熱除去が利用できる。赤外線の照射源としてカーボンファイバーヒーターや赤外光半導体レーザーなどが利用できる。
また、赤外光照射を液体中の気体微粒子に照射し、気体を加熱することで泡を膨張させ、液面に浮かび上がらせて除去することも可能である。
また、固体微粒子の流動を遮断する方法として、気体中の放電を利用する方法が存在する。例えば針電極と誘因電極に高電圧をかけ、針電極からの電子の放出によりイオン風(イオン化した塵埃や気体分子の流れ)を生じさせる機構が利用可能である。
イオン風は、液体微粒子を凝集させて水滴として落下させる場合にも利用できる。例えば、霧にイオン風を照射し、水滴を降らせて雨のような外観を演出することが考えられる。
一方、液体中の気泡を除去する手段としては、前述した赤外線の他に、加熱や負圧により気泡を膨張させて除去する方法や、加圧により気泡を収縮させて不可視化したり、液体に溶解させたりして除去する方法が利用できる。
(6-5)微粒子群認識デバイス35
さらに、システム1は、微粒子群放出デバイス30が放出した微粒子群の配置状態を把握するために、適切な位置に留めておくために、微粒子群の配置状態を認識する微粒子群認識デバイス35を備えてもよい。
微粒子群認識デバイス35は、微粒子群の配置状態を観測するために、CMOS、CCD等のイメージセンサを備えている。
微粒子群認識デバイス35は、例えば、画素数10万~1000万pixel程度のUSBカメラであってもよい。
微粒子群認識デバイス35は、微粒子群が生成される前の画像を初期状態として記録し、微粒子群生成後の画像を初期状態と比較し、ピクセルごとのRGB値の差から微粒子群の存在範囲を認識する。
また、微粒子群認識デバイス35は、赤外線距離センサや遮断センサ、超音波モーションセンサ等により、霧が存在するエリア(もしくは存在しないエリア)を認識してもよい。
これらの場合において、各センサの搭載位置は、光処置に用いるデバイス上でもよいが、照明や窓など部屋の任意の位置でもよい。
また、微粒子群認識デバイス35は、汎用の室内ロボットに搭載されたカメラを利用してもよい。
(6-6)曇り防止手段の変形例
映像出力装置における、曇りや汚れを除去する手段として、液体や気体のスプレー噴射を用いることもできる。例えば、洗浄液を吹き付ける機構が利用できる。
他にも、乾燥空気や熱風を吹き付ける機構や、負圧により汚れを吸引する機構、ワイパーにより物理的に水滴や塵を除去する機構などが利用可能である。
(6-7)音声認識デバイス50の変形例
音声認識のデバイスは、スマートスピーカ61にかえて、タッチパネル等から操作するタブレットやスマートフォン、PCなどを利用しても良い。
また、ユーザの位置や動作を認識するデバイスを、治療の開始や終了などのトリガーとして利用してもよい。
例えば、CMOSなどのイメージセンサや超音波モーションセンサ、赤外線センサ、人感センサ等によりユーザの行動を検知し、照明など他のデバイスを操作できるIoTデバイスが知られている。本発明の光処置の開始や終了において、これらのデバイスを利用してもよい。例えば、ユーザが起床したことを検知して処置を開始することが可能である。
(6-8)処置用コンテンツの変形例
次に、処理コンテンツの変形例について説明する。
(6-8-1)VRデバイスや立体視ディスプレイ用のコンテンツ
処置用コンテンツとしては、VRデバイスや立体視ディスプレイ用のコンテンツを用いてもよい。このような場合には、コンテンツ生成モジュール2032は、左目用と右目用の画像データをそれぞれ別に生成する。コンテンツ出力モジュール2033は、それぞれの画像を、映像出力装置としてのVRデバイス、又は立体視ディスプレイのディスプレイ上に表示することで、ユーザは立体的な映像をコンテンツとして利用できる。
特に、ユーザの注視を促す効果が高い映像として、自然風景の他に、「炎」、「絵画」、「人物の写真」、「ユーザのアルバムの写真」、「株価チャート」、または「模様」などが挙げられる。
(6-8-2)ゲームコンテンツ
処置用コンテンツとしては、ビデオゲームなどのコンテンツを用いてもよい。ゲームの映像を表示する機器として、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いることができる。
(6-8-3)処置用コンテンツ生成方法の変形例
図25は、変形例に係る処置用コンテンツの生成方法を示す図である。
図25に示すように、変形例に係る処置用コンテンツの生成方法では、コンテンツ生成モジュール2032は、画像と音声のはめ込みにより、処置用コンテンツを生成する。
すなわち、コンテンツ生成モジュール2032は、一定周期でON/OFFタイミングを配置したテンプレートデータのON部分に、用意した画像や音声ファイルを挿入することで、処置用コンテンツを生成する。
この生成方法を採用すれば、例えば、ユーザが持つアルバムの写真をランダムに再生することが可能である。この生成方法により得られる処置用コンテンツは、動画に比べると変化が乏しいデメリットはあるが、構成がシンプルになるため、ファイルサイズの節約や刺激の均一性の観点でメリットがある。
また、コンテンツ生成モジュール2032は、目的に合った波長の光を照射するために、処置用コンテンツの映像データに対して、色調変換を行ってもよい。
コンテンツ生成モジュール2032は、光処置の効果を高めるために、特定の波長を強くする目的で、画像や動画の色調を変換する処理を行う。
例えば、赤色光による処置用コンテンツを生成したい場合、緑色や青色の部分を赤色に変換する処理が利用できる。より具体的には、樹木の葉を緑から赤色に変換して紅葉を表現したり、青空を赤い空に変換して夕焼けを表現したりするなどの処理が利用可能である。
また、システム1では、放出された微粒子群を利用して、処置用コンテンツに視覚的な演出を行ってもよい。例えば、映像出力装置の映像面の手前に放出された微粒子群を用いて、雲や煙などを表現することができる。この際、コンテンツ生成モジュール2032は、微粒子群放出モジュールに対して、霧などの微粒子群を映像出力装置の前方に蓄積させる。
すなわち、コンテンツ生成モジュール2032は、雲が写っている空の写真を映像出力装置から出力される場合、その写真の中で雲が存在する相対的な空間領域を把握する。そして、把握した空間領域に微粒子群が漂うように、微粒子群の放出および配置制御を行う制御プログラムを微粒子群放出デバイス30、微粒子群制御デバイス34、および微粒子群認識デバイス35それぞれに実行させる。
図26は、微粒子群による処置用コンテンツへの視覚的な演出の例を示す図である。
図26に示すように、コンテンツ生成モジュール2032は、ユーザに見せるべき画像(ターゲット画像)が画面Xである場合には、微粒子群放出モジュールに対して、画像の下側に微粒子群が漂うように、微粒子群の放出に関する制御を微粒子群放出モジュールに実行させる。このような微粒子群の配置制御について、以下に詳述する。図27は、図26における画面Xの状態を示す図である。
図27は、図26における画面Xと対応するシステム1の状態を示す図である。
図27に示すように、雲が下方に位置する場合、微粒子群を下方で生成し、蓄積させる。微粒子群が霧である場合、重力方向に移動する傾向があるため、受け皿になる部分があれば気流制御や除去などを行わなくてもターゲット領域に霧を蓄積させることができる。
図28は、図26に示す画面Yと対応するシステム1の状態を示す図である。
図27に示すように、雲が上方に位置する場合、微粒子群も上方で生成させる。微粒子群が霧である場合、下方に流れないよう吸引ファンにより霧を上方に流動させ、かつ赤外線により画面の外に流れた霧は除去することで、「一定の位置に浮かんだ雲」が表現できる。
これらの例において、背景になる画像はディスプレイなどで可変的に表示することが望ましいが、絵画など固定された背景の前に球状の光源11を置いて太陽や月を表現したり、山や樹木などの立体模型により風景を表現したりしてもよい。
また、霧の形状制御に用いる赤外線照射器は、霧の除去だけでなく、ユーザの体を温めるヒーターの役割を兼ねてもよい。
また、システム1では、液体中の微粒子を利用して、処置用コンテンツに視覚的な演出を行ってもよい。
例えば、空気などの微粒子群を液体中に蓄積させる場合も、前述の処理と同様に微粒子群を蓄積させたい位置について、ターゲット画像等を用いて指定し、指定された位置に微粒子群が蓄積されるよう微粒子群の生成と移動・除去等を行ってもよい。
微粒子群を蓄積させる位置は、ターゲット画像から読み取っても、ユーザが微粒子群の蓄積位置を新たに指定してもよい。例えば、ユーザがソフトウェアの描画機能により、表示する画像コンテンツに雲の絵を描き込み、描き込まれた雲の位置に対応した配置で霧を生成・除去する制御プログラムを生成することができる。
また、ターゲット画像は2D画像でも3D画像でもよい。3D画像に合わせた制御を行う場合、微粒子群の生成・移動・除去をより複雑に制御する必要がある。このため、微粒子群の空間配置制御手段を複数設けたり、空間配置制御手段を移動するアクチュエータを設けたりすることが望ましい。
(6-9)ユーザ分析デバイス40の変形例
次に、ユーザ分析デバイス40の変形例について説明する。ここでは、各種のウェアラブルデバイスをユーザ分析デバイス40として用いる構成について説明する。
ユーザがウェアラブルデバイスを装着している場合、ウェアラブルデバイスをユーザ分析デバイス40として利用することで、ウェアラブルデバイスから得られる生体情報から、ユーザの異常を検知した際に治療を中断するなどの制御を行ってもよい。
(6-9-1)時計型のウェアラブルデバイス
ユーザ分析デバイス40として、ユーザの生体情報を取得できるスマートウォッチを採用することができる。
この場合には、ユーザ分析デバイス40は、例えば、心拍数、呼吸速度、血中酸素濃度、血圧、体温などの測定や、血液量の推定などをすることができる。
特に、心拍数や呼吸速度は、ユーザの精神状態や集中状態などの指標となるため、ユーザと処置用コンテンツの相性を把握するのに利用できる。また、ユーザの呼吸や心拍に異常がないかの安全確認にも利用できる。
また、スマートウォッチの多くが外部デバイスの操作機能も備えているため、処置の開始や終了を操作する端末として利用することもできる。
さらに、ユーザ分析デバイス40として、CMOSセンサやCCD、分光器、ハイパースペクトルカメラなどを備えているスマートウォッチを採用した場合には、ユーザが日中に浴びた光の波長のログを取得することができる。そして、例えばブルーライトを過剰に浴びている、又は日中に浴びる光の量が不足している、といったユーザの生活様式に即した傾向を把握することができる。このため、ユーザが日中に浴びた光の波長のログをユーザに適した処置をレコメンドする際などに利用することができる。
(6-9-2)眼鏡型・コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイス
ユーザ分析デバイス40として、眼鏡型・コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイス
を採用することができる。
例えば、ユーザ分析デバイス40として、眼鏡に近い形状で、搭載したカメラなどでユーザの見ている景色をトラッキングできるデバイスを採用することができる。これを用いることで、システム1の処置中に、ユーザが実際に光を直視できているかという情報や、ユーザに入力される光の実際の強度、又はユーザの眼の健康状態などをユーザ分析デバイス40により取得することができる。
また、例えば、カメラや赤外線センサ、眼電位(electrooculogram;EOG)センサによりまばたきなど目の活動を把握できるデバイスを、ユーザ分析デバイス40として採用してもよい。この場合には、システム1の光処置中に、ユーザが集中して光を観察できているかを把握することができる。
また、網膜のエリアごとの検査機能を持ったウェアラブルデバイスを、ユーザ分析デバイス40として採用してもよい。この場合には、網膜の状態をエリアごとに検査することができる。また、同じデバイスを赤色光の照射デバイスとしても利用できるため、網膜の状態が悪化しているエリアだけに対して、赤色光治療を行うことも可能である。
その他、ユーザ分析デバイス40として、CMOSセンサやCCD、分光器、ハイパースペクトルカメラなどを備えているスマートグラスを用いる場合、ユーザが日中に浴びた光の波長のログを取得することができる。この構成において、スマートウォッチ型のユーザ分析デバイス40よりも眼に近い位置でユーザが日中に浴びた光の波長のログを計測できるため、ユーザの眼に入った光の波長を、より正確に計測できる。
また、また、コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスをユーザ分析デバイス40として採用してもよい。この場合には、涙に含まれるメラトニンやインターロイキン-6などの濃度測定を行うことができる。また、システム1を、サーカディアンリズム調節やSeasonal Affective Disorder(SAD)の処置に用いる場合には、測定結果から推定されたユーザのサーカディアンリズムの位相を、処置のタイミングを決定する際の参照データとして利用することができる。
また、上記以外にも、イヤホン型、ヘッドホン型、衣類型、など様々なウェアラブルデバイスを、ユーザ分析デバイス40として用いることもできる。
また、寝具やトイレ、浴槽100などに搭載された各種の生体情報のセンサを、ユーザ分析デバイス40として用いることもできる。
(6-10)その他のデバイス
次にシステム1に付加可能なその他のデバイスについて説明する。
(6-10-1)遮光デバイス
システム1は、さらに遮光デバイスを備えてもよい。
ガンマ周波数の光刺激など、眼に光が入らないタイミングが必要な処置においては、例えば、浴室の窓から入る光などがノイズとなり、処置効果に悪影響をもたらす可能性がある。このため、遮光デバイスにより光ノイズの進入を防ぐことが必要となる場合がある。
遮光デバイスとしては、遠隔操作ができ、エレクトロクロミック方式で光の透過率を制御する窓が挙げられる。この窓は、透明電極への電圧の印加により、発色層の酸化状態が変化し、色が変化することで、外部からの光を遮光する。
また、遮光デバイスとしては、自動開閉機能をもつシャッターやブラインドなどの用いてもよい。
(6-10-2)遮音デバイス
システム1は、さらに遮音デバイスを備えてもよい。
例えば、ユーザがイヤホンやヘッドホンとして使用するウェアラブル端末から音刺激を受ける場合、ノイズキャンセリング機能を備えたウェアラブル端末を採用することで、当該ウェアラブル端末が遮音デバイスとしても機能する。
また、また、ユーザが離れた位置から音刺激を受ける場合、空間ノイズキャンセリング機能をもつスピーカ63を採用することで、当該スピーカ63が、遮音デバイスとしても機能する。この場合には、例えば、遮音デバイスは、音センサの入力情報と、ユーザの位置情報からユーザの耳元に届く音ノイズを推定し、音ノイズと動振幅・逆位相の音を生成してノイズを打ち消す。
また、防音材などの構造物を遮音デバイスとして採用してもよい。
(6-10-3)室内用ロボット
システム1は、さらに室内用ロボットを備えてもよい。
家庭やオフィスにおいて、安全管理やコミュニケーションをサポートするロボットをシステム1において利用してもよい。これらのロボットに搭載された各種のセンシング機能を本発明で実施するユーザの状態のセンシングに利用しても良い。
例えば、室内用ロボットにより、処置中のユーザが転倒や呼吸の異常などを起こさないか監視し、異常の発生時にはアラームを出してもよい。
また、先述した微粒子群の空間配置のモニタリングや、ユーザの顔の向きや眼の開閉の観測、他のデバイスの操作などをこれらのロボットが行ってもよい。
(7)その他の使用方法
次に、システム1を浴室以外で使用する構成について説明する。
(7―1)トイレでの使用
図29は、システム1をトイレで使用する場合の外観図である。
図29に示すように、システム1をトイレで使用する場合にも、前述した浴室での使用と同様の構成を有している。そして、スマートスピーカ61へのユーザからの発話指令により、他のデバイスを操作する。この際の具体的な処理な流れは、前述の処理と同様である。
ここで、スマートスピーカ61は、浴室と同様にユーザの耳に近接した位置に設置することで効果が最大化されるため、便器の背もたれ上部に配置することが望ましい。
また、トイレは浴室に比べて水濡れが問題になるため、微粒子群放出デバイス30としては、緩やかに霧を生成できる超音波霧化器が望ましい。
また、トイレは浴室に比べて利用回数が多く、一日に何回も利用するため、処置プロトコルの内容を毎回変更しても良い。例えば、時間帯による太陽光の波長の変化に対応した波長の光刺激をユーザに照射することが考えられる。また、表示する映像コンテンツも、時間帯に合わせた風景を表示することが望ましい。
また、トイレでシステム1を使用する場合には、ユーザと接触する便器に設置した生体情報のセンサをユーザ分析デバイス40として利用しても良い。
例えば、便座に設置した血中濃度センサや圧力センサ、電位センサなどによりユーザの状態をモニタリングする技術を用いることができる。これらの技術を利用することで、処置中にユーザの健康データを取得したり、ユーザの異常を検知してアラームを発したりすることができる。
また、トイレの使用時間は毎回異なるため、処置プロトコルで設定した時間に達する前にユーザが中断の音声コマンドを入力し、処置を終了しても良い。また、ユーザが立ち上がったことをモーションセンサや接触センサで検知し、処置を終了することもできる。
上記のトイレを利用したシステムは、ガンマ刺激治療だけでなく、Seasonal affective disorderや冬季うつ、時差ぼけ、網膜疾患、疼痛抑制、ウェルネス改善など他の健康状態の異常に対する予防や治療目的で利用しても良い。
(7-2)ディスコやカラオケボックスなどの娯楽施設での使用
図30は、システム1をディスコやカラオケボックスなどの娯楽施設で使用する場合の外観図である。
ディスコでは一般的に、ディスプレイに加え、複数のステージ照明とスピーカ63とが用いられる。
この使用例では、ディスプレイとステージ照明から、ガンマ周波数と周期のタイミングを同期させて光刺激を出力させる。デバイス毎に生成される光刺激・音刺激にズレが無いかどうかは、ディスプレイ上などに設置された光センサ81・マイク(音センサ)64の波形を見ることで確認し、コントローラ20のコンテンツ生成部がオフセットをかけることで補正する。
また、ディスコでシステム1を使用する場合には、微粒子群生成デバイスとして、舞台装置などで用いられるフォグマシンを用いることができる。
フォグマシンは、タンクから供給された液体(エチレングリコールと水の混合物など)を加熱し、冷やしながら排出することで大量のミストをつくる。このため、ディスコなど広いスペースでの利用に適している。
また、常にガンマ周波数の光刺激・音刺激を生成していると、ユーザが疲労する可能性があるため、通常のディスコと同様の音楽や映像を流す合間にガンマ刺激を生成するタイミングを設けてもよい。
刺激生成のタイミングを揃える方法としては、データにタイムスタンプをつけ、複数デバイスの出力のタイミングを同期させる方法を利用することができる。例えば、コンテンツ生成部が、映像コンテンツと音声コンテンツのそれぞれにタイムスタンプをつけることで、光刺激・音刺激ともに複数デバイスから同期した出力が可能となる。
(7-3)寝室での使用
システム1は、Seasonal Affective Disorder(季節性情動障害;SAD)や冬季うつの治療や予防を目的としたサーカディアンリズム調節に用いることもできる。SAD患者の多くが光量不足による気力の低下を課題としており、早朝の光照射が解決手段となる。
図31は、システム1を寝室で使用する場合の外観図である。
図31に示すように、サーカディアンリズム調節に用いる際には、システム1は、寝室に設けられる。
図32は、システム1をサーカディアンリズム調節に適用した際の処理を示す図である。
サーカディアンリズム調節では、まず、光刺激処置の管理アプリケーションの設定を行う(ステップS201)。
具体的には、ユーザは、ユーザ端末5から管理アプリケーションにログインし、目標とする起床時刻と処置プロトコルの内容(映像コンテンツ、ミストの量、処置時間など)を設定する。
ここで、サーカディアンリズム調節では、光刺激として、一般的な光治療に用いられる10005000Luxの光量と、480nm付近の波長を含む光を照射することが望ましい。十分な光量を得るため、映像表示部12としては、高輝度の液晶ディスプレイが適している。
また、サーカディアンリズム調節では、処理コンテンツとして、例えば日の出の映像を選択することで、朝の雰囲気を演出することができる。ディスプレイの前方に生成する微粒子群として、超音波霧化器により生成した霧を用いることが望ましい。
管理アプリケーションは、設定された処置プロトコルを、コントローラ20に送信する。コントローラ20のメモリにこれらのデータが保存され、処置を開始する準備が整う。
ステップS201の後に、処置プロトコルを実行する(ステップS202)。
具体的には、設定した起床時刻になったら、コンテンツ出力部は、映像出力装置を駆動して、プロトコルに沿った光刺激を生成する。光刺激自体が目覚ましとしても機能し、ユーザの覚醒が促進される。
さらにユーザの覚醒を促進するために、音刺激デバイス60からの音声の出力や、気体を渦輪状に放出してもよい。例えば、覚醒を促す柑橘類等の香りをつけた空気の渦輪をユーザの顔面付近に供給してもよい。
ステップS202の後に、システム1は、処置中のデータを記録する(ステップS203)。
具体的には、ユーザは寝起きの状態で、眼を閉じてしまう場合もあるため、正常に処置が行われているかどうかを確認するため、ユーザ分析デバイス40によりユーザの挙動を分析する。例えば、ユーザ分析デバイス40が、カメラにより、ユーザの顔の向きや眼の動き、ユーザの目が開いた状態で照射できた光の量と時間を記録する。また、一定時間当たりのまばたきの回数を計測することで、ユーザの集中度を評価する。
ここで、ユーザがウェアラブルデバイスを装着している場合、ウェアラブルデバイスから得られる心拍数や血中酸素飽和度などのデータを同時に取得してもよい。心拍数などのデータからユーザが処置中に感じているストレスを把握し、データとして蓄積することで、そのユーザに適した処置プロトコルが把握できる。また、心拍数の急激な増加など、ユーザの異常を検知した際に治療を中断するなどの制御を行ってもよい。
ステップS203の後に、システム1は、処置を完了し、データを保存する(ステップS204)。
具体的には、コントローラ20は、プロトコルの設定した処置時間に達したところで、各デバイスの駆動を終了する。処置のログはコントローラ20から管理アプリケーションに送信され、送信されたデータはネットワーク経由でクラウドサーバ82に保存される。
このような寝室でのシステム1の利用は、SADや冬季うつ対策だけでなく、認知症対策、時差ぼけ、網膜疾患、疼痛抑制、ウェルネス改善など他の健康状態の異常に対する処置目的でも利用できる。
次に、光刺激処置の効果のモニタリング方法について説明する。
上記の処置による効果を把握するため、ユーザ分析デバイス40としての腕時計型のウェアラブルデバイスや、寝具に組み込まれたセンサによる体温や脈拍、心拍、血圧、呼吸音などの測定が利用できる。これらのデータから入眠と起床のタイミングを把握することで、ユーザのサーカディアンリズムの位相が推定できる。
これらのセンシングデバイスのデータは、ユーザ端末5にインストールされた管理アプリケーションから参照できる。ユーザが、入眠と起床のリズムが目標に近づいているかどうかを把握することで、処置による効果をモニタリングできる。入眠・起床のタイミングは日ごとのバラつきがあるため、1週間1ヵ月程度のデータを集計し、平均値や中央値を評価することが望ましい。
また、ユーザ分析デバイス40として、コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスを用いる場合には、涙液中のコルチゾールやインターロイキン-6などの濃度を測定することも可能である。サーカディアンリズムの位相は、臨床的には、メラトニン濃度やコルチゾール濃度の経時的な変化を測定することで特定され、ユーザの唾液や血液などの検査により把握できるからである。
他にも、脳波記録法(EEG)、眼電図記録法(EOG)、筋電図記録法(EMG)、心電図記録法(ECG)など体に取り付けた電極による測定方法も、睡眠の正確なモニタリング方法として利用可能である。ただし、これらの測定方法は体液の採取や電極の取付けなどの作業が煩雑であり、日常的に利用するのは困難であるため、ウェアラブルデバイスによるセンシングが望ましい。
また、SADのように、サーカディアンリズムの乱れ以外にセロトニンの乱れなど複数の要因が関与する疾患の場合、サーカディアンリズムの位相ズレが解消されても、症状が改善しない可能性がある。
一方、システム1を使用すれば、サーカディアンリズムの位相ずれが解消したことを処置のログとして蓄積したデータを用いて報告することができ、医師など医療従事者に、投薬など他の治療手段を検討するための情報を提供できる。
また、システム1は、時差ぼけ、睡眠相後退症候群(DSPS)、睡眠相前進症候群(ASPS)などの予防や治療に用いることもできる。ASPSに対する処置を行う場合は、早朝ではなく夕方や夜間に光刺激処置を行うことが望ましい。
(7-4)赤色光による認知パフォーマンス改善等へのシステム1の利用
その他のシステム1の利用方法として、赤色光・赤外光によるフォトバイオモジュレーション療法(Photobiomodulation Therapy;PBMT)、および認知パフォーマンス改善が挙げられる。
PBMTは、特に網膜の老化抑制や損傷の治癒、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy ; DR)や加齢性黄斑変性症(Age-related Macular Degeneration ; AMD)の予防や治療を目的とする療法である。
赤色光による光刺激処置では、図32と同様に、まず、光刺激処置の管理アプリケーションの設定を行う。
ユーザは、ユーザ端末5から管理アプリケーションにログインし、処置プロトコルの内容(映像コンテンツ、ミストの量、処置時間など)を設定する。
この場合には、光刺激として、赤色領域(620~760nm)、特に670nmの波長の光を照射するため、微粒子群により散乱され、ユーザに入力される映像も日の出や夕焼けなど赤色の多い映像を用いることが望ましい。
また、近赤外光領域(780~825nm)、特に810nmの波長を含む光を併用することが望ましい。高輝度の赤色LEDが利用できる機構として、液晶ディスプレイの利用が適している。
具体的な処置用コンテンツとしては、夕焼けの雲海など、微粒子群が作る人工雲と相性の良い映像を表示することが望ましい。また、朝の赤色光照射(特に630nmの光)は寝起きの認知能力を改善し、睡眠惰性などに効果があることが知られているため、早朝に日の出を模した映像コンテンツを表示してもよい。
ディスプレイの前方に生成する微粒子群として、超音波霧化器により生成した霧を用いることが望ましい。
管理アプリケーションは、設定された処置プロトコルをコントローラ20に送信する。コントローラ20のメモリにこれらのデータが保存され、処置を開始する準備が整う。
次に、システム1は、前述の図32と同様に、処置プロトコルを実行し、処置中のデータを記録し、処理を完了し、データをクラウドサーバ82に保存する。
ここで、PBMTは眼の網膜の状態改善だけでなく、筋損傷など身体の状態改善にも効果があるため、浴室で利用し、眼を含む全身の状態改善に用いてもよい。その場合、認知症への処置に関する実施形態で記載した浴室を利用できる。
上記の赤色光による処置による効果を把握するため、スマートフォンなどのアプリケーションを利用した視力検査や、眼鏡型のウェアラブルデバイスによる網膜検査を利用することができる。
また、医療機関における検査として、視力検査、眼底検査、網膜画像診断、コントラスト感度(CCS)検査などを受診することで、より正確な診断結果を得ることができる。
(7-5)緑色光による疼痛抑制に本発明を適用する際の利用方法
その他のシステム1の利用方法として、反復性片頭痛(Episodic migraine;EM)や慢性片頭痛(Chronic migraine;CM)、手術後の疼痛などに対する疼痛抑制を目的とした緑色光による処置が挙げられる。この説明では、図31と同様に、手術後の療養中のユーザなどを想定し、病室のベッドの上で利用する構成を説明する。
緑色光による光刺激処置では、図32と同様に、まず、光刺激処置の管理アプリケーションの設定を行う。
ユーザは、ユーザ端末5から管理アプリケーションにログインし、処置プロトコルの内容(映像コンテンツ、ミストの量、処置時間など)を設定する。
この場合には、光刺激として、緑色領域(490~550nm)、特に525nmの付近の波長の光を照射する。また、強い光は疼痛の原因となるため、300Lux以下の低輝度の光を照射することが望ましい。ディスプレイとして、液晶ディスプレイの他に、有機ELディスプレイなども適している。
具体的な処置用コンテンツとしては、森林など緑色の多い映像を用いることが望ましい。ディスプレイの前方に生成する微粒子群として、超音波霧化器により生成した霧を用い、「霧がかかった森林」などの外観をつくることが望ましい。
微粒子群の成分としては、疼痛抑制効果のあるラベンダーの香りや、リナロールなどのテルペン系化合物、サリチル酸メチルなどのフェノール類を用いることで、疼痛抑制効果をより向上させることができる。
管理アプリケーションは、設定された処置プロトコルをコントローラ20に送信する。コントローラ20のメモリにこれらのデータが保存され、処置を開始する準備が整う。
次に、システム1は、前述の図32と同様に、処置プロトコルを実行し、処置中のデータを記録し、処理を完了し、データをクラウドサーバ82に保存する。ユーザは、ユーザ端末5を操作してもよいが、接触刺激により痛みが生じることをなるべく回避するため、音声や動作により処置が開始されることが望ましい。
上記の緑色光の処置による効果を把握するため、寝具に組み込まれたセンサによる体温や脈拍、心拍、血圧、呼吸音などの測定が利用できる。これらのデータからユーザのストレスレベルや睡眠の質を推定し、処置による効果が出ているかを判断できる。ウェアラブルデバイスによる測定を行っても良いが、デバイス装着によるユーザのストレスを考慮すると、寝具組み込み型のデバイスの利用が望ましい。
また、医療機関における検査として、疼痛レベルの問診や、血中や唾液中のセロトニンやノルアドレナリンの濃度やEEGによる脳波記録などが利用できる。
(7-6)健康状態・気分の改善へのシステム1の利用
その他のシステム1の利用方法として、健康状態・気分の改善のための処置が挙げられる。この場合、システム1は、時系列に沿って波長が変化する光刺激を用いる。図33は、時系列に沿って波長が変化する映像の例を示す図である。
図33に示すように、時系列に沿って波長が変化する映像としては、屋外の太陽光の変化を模した映像が用いられる。図示のとおり、経時的に映像における光の波長が変化している。
この使用方法では、屋外の日の出から日の入りまでの変化を表示するため、時間帯に応じた屋外の景色を表示することが望ましい。ユーザが居住する地域の景色でもよいが、世界各地の景色を経時変化も含めて再現し、表示することも可能である。
また、システム1において、ディスプレイと微粒子群を組み合わせて光刺激を制御する場合、ディスプレイは海と空の組み合わせなど、微粒子群が作る人工雲と相性の良い映像を表示することが望ましい。
また、システム1は、映像出力デバイスに代えて、太陽を模した球状の照明等の前に雲を模した微粒子群を放出するといったシンプルな構成を採用してもよい。
(7-6)長周期の光点滅によるリラックスや入眠促進へのシステム1
その他のシステム1の利用方法として、リラックス効果を目的とした、長周期で点滅する光の照射をシステム1で行うことが挙げられる。
ゆっくりと点滅する光はリラックス効果があり、睡眠誘導などに適しているため、例えば寝室で夜景などの画像をパターンとしてディスプレイに表示しながら点滅させ、入眠を促すことができる。
また、先述した疼痛抑制用の緑色光を点滅させることで、緑色光による疼痛抑制効果と点滅によるリラックス効果をユーザに提供することができる。
いずれの場合でも、点滅の周期は2秒以上であることが望ましい。
(7-7)適切な処置をレコメンドしてくれるシステム
ここまで、特定の疾患や健康不良の予防や治療を対象とした実施形態について記載したが、そもそもユーザが「自分は何の病気の対策をすべきか」が明確になっていない場合も存在する。特に予防段階では自覚症状が無いため、検査デバイスにより予兆を検知し、適切な処置をレコメンドしてもらえることが望ましい。
また、複数の処置に対応するため、処置デバイスも複数の処置に対応した構成であることが求められる。以下に、適切な処置を推定してユーザに対してレコメンドする処理について説明する。
まず、ユーザは検査デバイス(ウェアラブルデバイスやセンシングデバイス、スマートフォン等)のアプリケーションから、処置管理アプリケーションにデータを送信するよう設定する。処置管理アプリケーションは受信したデータを元にユーザの状態を分析し、必要な処置を推定する。
例えば、行動データからユーザの認知能力が低下していることが推定された場合、ガンマ周波数の光刺激・音刺激による処置をレコメンドできる。また、睡眠リズムが乱れていることが推定されたユーザには、早朝の青色光による処置をレコメンドできる。
その他、前述した各種のイメージセンサを備えたユーザ分析デバイス40から、ユーザが1日に浴びた光の履歴を把握し、不足している波長の光を推定できる。例えば、外出が少なく、赤色光を浴びる量が少ないユーザには、浴室における赤色光による処置を推奨できる。
また、医療機関の検査データを処置管理アプリケーションに入力し、適切な処置を判断する材料として利用しても良い。例えば、遺伝子検査の結果から、ApoE(コレステロール代謝関連の因子)の対立遺伝子ε4/ε4を持つことが判明した人は、ε3/ε3(Neutral型)に対して4倍程度の認知症リスクがある。このため、ガンマ周波数の光刺激・音刺激による処置を他のユーザよりも長時間行うことをレコメンドできる。
(7-8)複数の処置に対応したデバイスの構成
処置に用いるデバイスとして、以下3色のLED光源をバックライトに搭載した液晶ディスプレイが考えられる。必要な輝度を確保するため、LEDはパネル全体に密に配置されていることが望ましい。
・青:480nm付近(用途:認知症治療、サーカディアンリズム調節など)
・緑:525nm付近(用途:認知症治療、疼痛抑制など)
・赤:670nm付近(用途:認知症治療、PBMTなど)
上記の構成により、様々な処置に対応した光刺激を生成できるため、ユーザの状態に合わせて適切な波長や周波数のコンテンツを提供できる。
また、複数の処置を同時に行うこともできる。例えば起床時にガンマ周波数の光刺激を、青色の多い映像コンテンツ(青空の映像など)を使って提供することで、認知症とSADの両方を予防・治療する効果が得られる。
他にも、ガンマ周波数の光刺激を、赤色の多い映像コンテンツ(夕焼けの映像など)を使って提供することで、認知症と網膜疾患、皮膚疾患などを同時に処置できる。
映像出力装置は、特定の部屋や施設に備え付けていてもよいが、タブレット型のデバイスとして持ち歩き可能にし、適宜必要な場所に設置して利用しても良い。
(7-8)ゲームとしての利用
システム1において映像出力装置として用いるディスプレイやプロジェクターの映像、微粒子群放出デバイス30から放出される微粒子群などを、ゲームのコンテンツとして利用することができる。
例えば、ガンマ帯域(25~100Hz)の周波数の光刺激と音刺激による治療を行う場合、ゲームの映像と音にそれぞれ先述したOFFの挿入処理を行い、一定の周期でON/OFFを繰り返す映像・音を生成する。
映像のちらつきが発生するため、ロールプレイングゲームやクイズゲームなど文字を読む場面のあるコンテンツよりも、シューティングゲームやレーシングゲーム、アクションゲームなど、映像を主体とするコンテンツが望ましい。
また、ゲームとフィットネスを融合したコンテンツの映像として、本発明を利用することもできる。例えば、ユーザが自転車のペダルをこぐと、ゲーム内のプレイヤーも前に進むコンテンツが知られている。
これらのコンテンツを認知症治療用に改変することで、運動による認知症対策と光・音刺激による治療を並行して行うことができる。
また、青色光や赤色光、緑色光など、特定の波長をゲームの映像を処置に適した波長の色に変換することで、ゲームのプレイ中に治療を行うことができる。他にも、皮膚への電気刺激や超音波刺激を生成するデバイスをゲーム機に組み込むこともできる。
(7-9)ヨガ・瞑想・宗教的な儀式用の部屋における利用
ヨガや瞑想、マインドフルネスなどを行う部屋でシステム1を用いてもよい。
例えば、自然の風景の画像を眺めることで、マインドフルネスの実施に要する労力が減少することが示されており、光刺激デバイス10により出力される映像は、自然の風景を模倣したものであることが望ましい。
また、ヨガや瞑想を行う際は、ユーザがリラックスしていることが重要であり、心拍数などを記録するスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスによりリラックス状態が把握できる。これらのウェアラブルデバイスのデータも、治療履歴データとして取得しても良い。
また、祈りなど宗教的な儀式を行う部屋でシステム1を利用することも可能である。液晶ディスプレイには仏像や宗教画、寺院、神社、協会、神山などの画像を表示し、霧を手前に生成することで荘厳さや神聖さを演出することができる。
また、既存製品で、LEDつきの仏像なども知られている。それらの宗教的な意義のある構造物に処置光源を配置し、霧などの微粒子群を付加したものを処置デバイスとして利用することも可能である。
<第2実施形態>
(8)システム1の応用例について
次に、システム1の応用例について、第2実施形態として説明する。
なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号をふり、その説明を省略する。
まず、システム1と認知症の検査システムとの組み合わせについて説明する。
前述のとおり、システム1により、ユーザが継続して処置を行う負担が低減するが、さらに測定値や検査結果から処置の効果を把握することで、処置による具体的なメリットを実感でき、システム1を使用する継続のインセンティブが向上する。また、効果の高い処置プロトコルを検査結果から把握することができる。
例えば、刺激処置の実施ログと報酬を結びつけることができる。これにより、既存のシステムでは解決できなかった、光処置が継続できないという課題を、光処置の実施と報酬を結びつけ、金銭的なインセンティブを与えることにより解決することで、認知症を含む難治性疾患の改善が可能になる。
また、保険サービスや金融サービスとの連携により、買い物等に使えるポイントや融資など金銭的なメリットと処置の継続が直結することになり、ユーザが処置を継続するインセンティブが向上する。
上記の効果により、処置を受ける人が増えることで、処置プロトコルに含まれるコンテンツのニーズも増加し、処置用コンテンツの市場も拡大する。コンテンツメーカーもコンテンツ生成のための投資を行いやすくなり、コンテンツの質も向上する。コンテンツの質が向上するため、ユーザはより処置を受けるインセンティブがさらに向上し、より健康になる、という好循環が生まれる。
システム1で使われるコンテンツはユーザの健康状態を改善するためのコンテンツになるため、制作が社会貢献につながるという充実感をコンテンツのクリエイターが得ることができる。
また、検査データに基づいて処置用コンテンツを評価すれば、検査結果に基づいて処置用コンテンツを評価することで、「客観的な指標で改善効果が裏付けられたコンテンツ」を選別し、ユーザに提供できる。また、ユーザの処置に対する信頼感と安心感が向上する。このようなシステム1を用いた検査システムについて詳述する。
(8-1)システム1を用いた検査システムが用いられるビジネスモデル
この検査システムでは、例えばシステム1を、ユーザの好みに合ったコンテンツを提供するためのビジネスモデルとともに使用することができる。
ここで、光刺激・音刺激を与える各種のデバイスと管理アプリケーション、および処置による効果を評価するための検査デバイス(ウェアラブルデバイスなど)を特定の企業がプラットフォームとして提供する際のビジネスモデル商流について説明する。
図34は、システム1を用いた検査システムが用いられるビジネスモデルを示す図である。この図では、ビジネスモデルにおける商材の流れとして、「各種のデータ」、「物(デバイス)」、および「お金」の流れを図示している。
図34に示すように、このビジネスモデルでは、以下のプレイヤーが登場する。
・ユーザ:システム1を使用して必要な処置を行う者(主に一般の消費者を想定)
・処置・検査デバイスメーカー:システム1を製造してユーザに提供し、ユーザに対してシステム1を用いた適切な処理を提案する者(主に医療機器を製造する企業を想定)
・コンテンツメーカー:システム1において処置用コンテンツとなる動画データを生成して提供する者(主に動画制作会社などの企業、または個人を想定)
そして、このビジネスでは、デバイスメーカーは、システム1を構成する各デバイスを、処置の管理アプリケーションともにユーザに対して提供する。この際、個別に検査用のデバイスをユーザに提供してもよい。
ユーザは各デバイスの提供の対価として、利用料をデバイスメーカーに対して支払う。この際、各デバイスは、ユーザが買い取ってもよいし、レンタルにより、使用に応じた利用料をサブスクリプションにより支払ってもよい。
デバイスメーカーは、管理アプリケーション上で、処置に用いる映像や音声コンテンツをコンテンツメーカーが販売可能な販売プラットフォームをつくり、コンテンツメーカーからプラットフォーム利用料を徴収する。
コンテンツメーカーは、自身が制作した処置用コンテンツを販売プラットフォームに提供し、ユーザの利用に応じたコンテンツ利用料を回収する。
ユーザは、ユーザ端末5を操作して、管理アプリケーションに登録された処置用コンテンツのうち、自身が使用したいものを処置コマンドの登録において選択してシステム1を利用する。この際、ユーザは、使用の頻度に応じたポイントを取得する。
また、ユーザは、システム1を用いた後述する検査を行ってもよい。この検査結果は、認知長対策スコアとして記録される。
ユーザ端末5で起動される管理アプリケーションは、システム1の処置のログを取得する。また、ユーザがシステム1を用いて検査を行った場合には、管理アプリケーションが検査結果を取得する。
ここで、検査は、ユーザが獲得した利用ポイントを対価として行うこととしてもよい。すなわち、継続的にシステム1による処置を行った場合において、検査を行えるシステムとしてもよい。これにより、当該検査を継続的なシステム1の利用のインセンティブとすることができる。
デバイスメーカーは、管理アプリケーションのデータから、ユーザが選択したコンテンツの利用ログを取得する。コンテンツの利用ログを解析することで、そのユーザに適したコンテンツを推奨するシステムが構築できる。ユーザは自分の好みに合ったコンテンツの情報を効率よく取得できるので、メーカーとユーザの双方にメリットがある。
また、デバイスメーカーが認知症の検査用のデバイスも同時に提供することで、処置による効果のモニタリングを行ってもよい。例えば、システム1は、ユーザ分析デバイス40として、認知症の検査を行うために、以下に示すようなユーザの認知機能を評価するシステムを構築してもよい。
・ウェアラブルデバイスおよびスマートフォンに内蔵された運動センサ(加速度センサ又はジャイロセンサ等)によるユーザの運動機能の測定システム
・睡眠モニタリングデバイスによるサーカディアンリズムの評価システム
・スマートフォンへのユーザのタイピング速度の解析によるユーザの認知機能の評価システム
上記のシステム1によるユーザの認知機能の検査は、医療機関での検査に比べて精度は劣るが、日常的に利用できるため、特に認知症の初期段階の変化を検知するのに適している。システム1を構成するデバイスを利用したモニタリングシステムにより、ユーザは認知症が進行していないことや、改善していることを具体的なデータで確認しながら処置を継続できる。
また、検査システムによる測定結果から認知機能低下の傾向が観測された場合、ユーザに医療機関の検査を促すこともでき、治療開始が遅れることを防止できる。
(8-2)システム1を用いた保険・金融システムが用いられるビジネスモデル
次に、システム1を、保険ビジネスや金融ビジネスに適用した際の使用方法およびビジネスモデルを説明する。図35は、システム1を用いた保険・金融システムが用いられるビジネスモデルを示す図である。この図において、図34と同じ商材の流れについては破線で示し、その説明を省略する。このビジネスモデルにおいて、さらに登場するプレイヤーは以下のとおりである。
・医療機関:例えば認知症などの特定の疾患に対しての医療行為を行う機関(病院を想定)
・保険会社、金融会社:システム1から得られる情報に基づいてユーザの身体的危険を評価して保険サービス又は融資を提供する者
このビジネスモデルにおいて、ユーザは、特定の保険システムや金融システムに登録し、処置管理アプリケーションと連携させる。ユーザが受けた処置のログや、検査デバイスにより取得した検査結果は、保険サービスや金融サービスのアプリケーションに送信され、保険料や融資などの評価に反映される。
また、医療機関等による検査の受診履歴も、評価の対象になり得る。例えば、脳のfMRI画像診断、アミロイドPETイメージング、血液検査(アミロイドペプチド量など)、遺伝子検査(APoE遺伝子型など)、脳脊髄液検査(CSFタウ、アミロイドβ、フェリチン、鉄関連タンパク質)、脳波記録(EEG)、認知能力テスト、網膜画像診断などの検査が利用できる。検査結果はユーザにより保険サービスや金融サービスのアプリケーションに送信される。
上記のデータや診断結果は、例えば以下の観点で評価され、評価スコアに応じたポイントや割引、融資の際の優遇措置などの特典がユーザに提供される。
・処置を一定以上の頻度で、一定時間以上行っていること(風呂、トイレ、寝室など様々な場所で受けた処置時間の合計)
・定期的に検査を受診していること
・検査結果が一定の基準をクリアしている、または改善していること
例えば、ガンマ周波数の刺激による処置を毎日実施し、認知パフォーマンスやアミロイドβの蓄積レベルが正常な範囲内に収まっているユーザは、認知能力を長期的に維持できる可能性が高いと判断できる。このため、当該ユーザは、保険料を下げたり、融資を行う際の金利を下げたりするなどの報酬の対象となり得る。
また、管理アプリケーションや保険・金融システム管理のアプリケーションの画面に、認知症の検査を行う医療機関の広告を表示することで、ユーザのニーズに合った検査の情報を提供することができる。また、検査会社は利用者の増加につながるため、収益増加が期待でき、お互いにメリットのあるシステムが構築できる。
また、検査データが蓄積されることで、認知機能を維持したり改善したりするうえで効果的なコンテンツが明確になるため、ユーザは使えば使うほど認知症の予防を効率的に行うことができる。
上記のシステムは、ガンマ刺激治療だけでなく、Seasonal affective disorder や冬季うつ、時差ぼけ、網膜疾患、疼痛抑制、ウェルネス改善など、システム1の利用により改善が期待される他の健康状態の異常に対する予防や改善目的での使用に適用してもよい。
(8-3)保険会社が認知症に対する処置・検査のプラットフォームを提供する場合
より具体的な例として、システム1と保険サービスを融合したICTシステムを説明する。
一般的な保険サービスでは、ユーザ(又はユーザの所属企業)は保険者(保険会社など)に保険料を支払い、ユーザが医療機関を受診した際の受診料や、疾病による休業に対する補償の一部を保険者が負担する。また、保険者から医療機関に医療費が支払われる場合もある。
よって、システム1を利用することにより、認知機能を含むユーザの健康状態が改善されれば、保険者は負担を軽減し、収益を増やすことができるので、保険料を下げることも可能になる。以下に、具体的な保険サービスの例を説明する。
図36は、保険会社が認知症に対する刺激処置・検査のプラットフォームを提供するビジネスモデルを示す図である。この図において、前述した図34および図35と同様の部分は破線で示し、その説明を省略する。
図36に示すように、ユーザは保険者にサービス利用料を支払い、保険者はデバイスメーカーから購入したデバイス(刺激処置デバイス、検査デバイス)と、管理用のアプリケーション(以下、保険アプリケーションと呼ぶ)をユーザに支給する。デバイスはユーザやユーザの所属企業が購入してもよい。
ユーザはスマートフォンや端末で保険アプリケーションを利用し、アプリケーションのガイドに従って刺激処置デバイスと検査デバイスを利用する。様々な端末からアクセスできるよう、保険アプリケーションはWebブラウザからアクセス可能なWebアプリケーションであることが望ましい。
保険アプリケーションはユーザの処置のログと検査結果から、ユーザの認知症対策レベルを評価し、評価結果に従って保険料の割引などの報酬をユーザに還元する。また、コンテンツに対する評価を元に、ユーザが今後実施すべき処置の内容(処置用コンテンツなど)をレコメンドする。
適切に認知症対策を行っているユーザにはより多くの報酬が還元されるため、ユーザは処置を継続するインセンティブが得られる。また、今後実施すべき処置の内容についてもレコメンドが得られるため、より効果のある対策を行うことができ、利用するほど健康状態が改善される。
また、検査結果のログから処置の効果を客観的に評価できるため、効果の高いコンテンツを選別することができ、質の高いコンテンツをつくるコンテンツメーカーはより多くのコンテンツを販売できる。このような処理を行う保険システム2について以下に説明する。
(8-3-1)保険管理サーバ90の構成
図37は、システム1を利用した保険システム2の利用開始時におけるデータの通信状態を示す図である。
図37に示すように、保険システム2は、システム1とともに用いられる保険管理サーバ90(以下、単に管理サーバ90という)を備えている。
管理サーバ90は、プロセッサ91と、メモリ92と、ストレージ93と、通信IF94と、入出力IF95とを含んで構成される。
プロセッサ91は、メモリ99に記憶されたプログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
プロセッサは、保険アプリケーションに関するプログラムを実行することで、例えば以下の処理を実行する。
・システム1による処置のログの取得
・検査結果の取得
・処置のログおよび検査結果の解析(ユーザおよび優良コンテンツの評価)
・優良コンテンツのレコメンド
これらの処理の詳細については後述する。
メモリ92は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・保険アプリケーションに関するプログラム
・情報処理を行うウェブブラウザのプログラム
ストレージ93は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)である。
通信IF94は、システム1が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。通信IF94は、具体的には、汎用の通信規格に対応したモジュールを用いることが望ましい。
入出力IF95は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード)、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ63等)とのインタフェースとして機能する。
次に、管理サーバ90の機能的構成について説明する。図38は、管理サーバ90の機能的構成を示す図である。
管理サーバ90は、通信部901、記憶部902、制御部903としての機能を発揮する。
通信部901は、管理サーバ90が外部の装置と通信するための処理を行う。
記憶部902は、管理サーバ90が使用するデータおよびプログラムを記憶する。記憶部202は、ユーザ情報と、利用ログ、スコアと、検査結果と、評価ルールと、処理コンテンツと、を記憶する。
ユーザ情報は、ユーザID毎に記憶されたユーザの個人情報である。ユーザ情報には、氏名、年齢、性別、居住地、職業などが含まれる。
ユーザ情報には、以下の情報が含まれてもよい。
・ユーザが使用するユーザ端末5のデバイス情報
・ユーザの保険契約の内容
・システム1の利用により達成したい身体の機能的目標
・システム1のお気に入り処置コンテンツ
・ユーザに付与された評価スコア
利用ログは、ユーザがシステム1を利用した処置の履歴を示す情報である。利用ログには、少なくとも以下が含まれる。
・利用日時
・利用したユーザのユーザID
・処理プロトコルの内容(処置用コンテンツの情報、出力強度、出力時間など)
検査結果は、検査デバイスによる検査結果をユーザIDと対応づけた情報である。
検査結果には、ユーザが入力した、検査デバイスによらない健康診断の結果などが含まれてもよい。
評価ルールは、保険システム2における評価の基準が規定された情報である。評価ルールとしては、少なくとも以下の情報が含まれる。
・ユーザの利用頻度に応じて付与される一次スコアに関する評価基準
・検査結果に応じて付与される重み付け係数に関する評価基準
・評価スコアに応じた報酬の内容に関する規定
・優良コンテンツの評価に関する基準
なお、評価スコアは、一次スコアに重み付け係数を乗じた値として算出される。
コンテンツデータは、処置用コンテンツに変換されるまでの素材としてのコンテンツデータである。
コンテンツデータは、コンテンツスコアと対応づけられて記憶されてもよい。
制御部203は、管理サーバ90のプロセッサ21が、保険アプリケーションを実行することにより、送受信部9031、ログ取得モジュール9032、検査結果取得モジュール9033、評価モジュール9034、レコメンドモジュール9035としての機能を発揮する。
送受信部2031は、管理サーバ90が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理、および管理サーバ90が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
ログ取得モジュール9032は、システム1による処置のログをユーザ端末5のアプリケーションから取得する。ログ取得モジュール9032は、取得したログを、記憶部902に記憶する。すなわち、ログ取得モジュール9032は、光処置の実績として処置時間および処置頻度を記憶部902に記録する。
検査結果取得モジュール9033は、ユーザの検査結果を、検査デバイスから取得する。検査結果取得モジュール9033は、取得した検査結果を、記憶部902に記憶する。すなわち、検査結果取得モジュール9033は、ユーザの認知能力に関する検査結果を取得する。
評価モジュール9034は、後述する処理に従って、ユーザのシステム1の利用履歴および検査結果から、ユーザを評価して評価スコアを付与する。評価モジュール9034は、評価結果を記憶部202に記憶する。すなわち、評価モジュール9034は、記録された光処置の実績と、光処置の実績と検査結果により確認される、ユーザの認知能力の推移と、を踏まえて、ユーザを評価する。
また、評価モジュール9034は、複数のユーザの検査結果を比較することで、処置用コンテンツを評価して、優良コンテンツを特定する。評価モジュール9034は、評価結果を記憶部202に記憶する。
レコメンドモジュール9035は、評価モジュール9034の処理用コンテンツへの評価結果に基づいて、優良コンテンツをユーザに対してレコメンドする。
次に、保険システム2による処理について説明する。
保険システム2による処理は、次のステップに分けられる。
・Step1:保険アプリケーションの利用開始とデバイスの登録
・Step2:処置のログおよび検査結果の取得
・Step3:処置のログの解析とユーザの認知症対策レベルの評価
・Step4:コンテンツへの評価を踏まえたユーザへのレコメンド
これらの各ステップについて、以下に説明する。
(8-3-2)Step1:保険アプリケーションの利用開始とデバイスの登録
ユーザは、ユーザ端末5を用いて保険アプリケーションの利用登録を行う。ユーザは、キーボードやタッチパネルなどの入力デバイスからユーザID(例えばメールアドレスなど)とパスワード、年齢、性別などのユーザ情報を入力する。
図37に示すように、入力されたユーザ情報はユーザ端末5から、ネットワーク経由で保険アプリケーションを管理する管理サーバ90ーに送信される。送信された情報は、管理サーバ90の通信モジュールを介してメモリのユーザデータベースに保存される。
次に、ユーザは利用する処置デバイスと検査デバイスを保険アプリケーションに登録する。デバイス情報のアドレス情報が、近距離無線通信により、又は無線通信ネットワークを介してデバイスの通信モジュールからユーザ端末5の通信モジュールに送信され、ユーザ端末5のメモリに保存される。保存されたデバイス情報は、インターネットなどのネットワーク経由で、ユーザ端末5から管理サーバ90に送信され、記憶部902に記憶される。
以上のプロセスにより、管理サーバ90の記憶部902に、ユーザ情報として、ユーザIDに紐づいたユーザ端末5のデバイス情報が保存される。
(8-3-3)Step2:処置のログおよび検査結果の取得
図39は、システム1を利用した保険システム2の利用時におけるデータの通信状態を示す図である。
まず、保険システム2では、システム1による処置の実行と、処置のログの取得が行われる。
処置に用いられるコンテンツデータは、事前にコンテンツメーカーやクリエイターなどの製作者により生成される。コンテンツデータは、タイトルや製作者名、カテゴリーなどのテキストデータとともに、ネットワーク経由で管理サーバ90ーの通信モジュールに送信され、記憶部902に記憶される。
利用可能なコンテンツは保険アプリケーションのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上に表示される。
また、ユーザは、ユーザ端末5上で起動する保険アプリケーションを操作して、カテゴリーやキーワードによりシステム1の利用に際して、出力するコンテンツを検索することができる。
例えば、ユーザは保険アプリケーションの検索メニューから、ネットワーク経由でリクエストを送信する。管理サーバ90ーのプロセッサは、記憶部902のテキストデータとリクエストの内容を照合し、リクエストに合致するコンテンツを特定し、ネットワーク経由で送信し、保険アプリケーションのGUIに表示する。ユーザは好みに合ったコンテンツとその他の設定(光量、処置時間など)を選択し、処置プロトコルを決定する。
保険アプリケーションは、ユーザが選択した処置プロトコルを、無線通信により、ユーザ端末5からシステム1のコントローラ20に送信し、ユーザは指定したプロトコルに従った処置を受ける。
管理サーバ90のログ取得モジュール9032は、処置のログを取得する。具体的には、処置のログは、無線通信により、各デバイスからユーザ端末5に送信され、ユーザ端末5のメモリに保存される。保存された処置のログは、インターネットなどのネットワーク経由でユーザ端末5から管理サーバ90ーに送信される。ログ取得モジュール9032は、送信された処置のログを、ユーザの利用ログとして記憶部902に記憶させる。
次に、検査デバイスからの検査結果の取得について説明する。
ユーザは検査デバイスを利用し、認知機能の検査を行う。ここで、システム1のユーザ分析デバイス40を構成する検査デバイスを用いて検査を行ってもよいし、個別の検査デバイスを用いてもよい。具体的な検査デバイスと検査内容として、例えば以下の内容が含まれる。
まず、スマートフォン、タブレット又はPCによる検査では、例えば以下が挙げられる。
・入力デバイスからのタイピングスピード
・認知症テストアプリのスコア
・アンケートによる主観的な睡眠の質、気分などのスコア
・スマートフォンの位置情報の変化による運動量の評価
また、ウェアラブルデバイスによる検査では、例えば以下が挙げられる。
・ユーザの運動量の評価
・ユーザの生体情報を用いたサーカディアンリズムの位相の評価
・睡眠の質の評価(夜間の活動時間と頻度の少なさにより評価)
また、睡眠モニタリングデバイスによる検査では、例えば以下が挙げられる。
・ユーザの生体情報を用いたサーカディアンリズムの位相の評価
・睡眠の質の評価(夜間の活動時間と頻度の少なさにより評価)
また、検査機関の検査データ(ユーザが保険アプリケーションから手動入力)としては、例えば、以下が挙げられる。
・fMRI画像診断
・アミロイドPETイメージング
・血液検査(アミロイドペプチド量など)
・遺伝子検査(APoE遺伝子型など)
・脳脊髄液検査(CSFタウ、アミロイドβ、フェリチン、鉄関連タンパク質)
・脳波記録(EEG)
・認知能力テスト結果
・網膜画像診断
なお、これら以外の検査を行ってもよい。
上記の各検査から得られた検査データは、各検査デバイスからユーザ端末5に送信され、ユーザ端末5のメモリに保存される。保存された処置のログは、ネットワーク経由でユーザ端末5から管理サーバ90ーに送信される。検査結果取得モジュール9033は、送信された検査結果を取得し、記憶部902に記憶させる。
(8-3-4)Step3:処置のログの解析とユーザの認知症対策レベルの評価
図40は、管理サーバ90の評価モジュール9034が行う処理を示す図である。
図40に示すように、管理サーバ90の評価モジュール9034は、評価指示を受け付ける(ステップS301)。
具体的には、予め設定された時間間隔(例えば1日おきなど)で保険アプリケーションから入力される評価の指示を受け付ける。
次に、評価モジュール9034は、ユーザ情報を照会し、対象ユーザを特定する(ステップS302)
具体的には、評価モジュール9034は、評価対象となるユーザについて、ユーザ情報を参照して、デバイス情報からユーザIDを特定し、ユーザIDと紐づけられている利用ログおよび検査結果と特定する。
次に、評価モジュール9034は、処置頻度に応じて付与される一次スコアを付与する(ステップS303)。
具体的には、評価モジュール9034は、記憶部902に記憶された処置のログと評価基準を参照し、処置の頻度や時間に応じた一次スコアを算出する。図41は、ユーザの利用頻度に応じて付与される一次スコアに関する評価基準の例を示す図である。
図41に示すように、評価ルールとして、処置の実施頻度に応じた一次スコアが設定されている。
図示の例では、例えば、週5回以上の処置を行ったユーザには30ポイント、週2~4回の処置を行ったユーザには20ポイント、週1回以下の処置を行ったユーザには5ポイントを付与するという評価ルールが定められている。なお、処置の実施頻度に応じた一次スコアの評価基準は、任意に変更することができる。
ステップS303の後に、評価モジュール9034は、検査データを参照する(ステップS304)。
具体的には、評価モジュール9034は、ユーザIDを用いて、評価対象であるユーザについて、記憶部902に記憶された検査結果を特定する。
ステップS304の後に、評価モジュール9034は、検査データに応じた重み付けを計算する(ステップS305)。
具体的には、評価モジュール9034は、検査スコアの目標範囲を元に、検査結果を評価する。すなわち、評価モジュール9034は、ユーザの認知能力の推移を、予め設定されている基準値と、検査結果が示す値と、の比較により評価する。ここで認知能力の推移が評価されるケースとしては、以下のパターンが含まれる。
・認知能力が、システム1の利用により改善した場合
・認知能力が、システム1の利用により維持された場合
・認知能力の低下が、システム1の利用により想定よりも抑えられたと認められる場合
検査スコアの目標範囲は、健常者(軽度認知障害や認知症を発症していない者)の平均スコアと、認知障害を持つ人の平均スコアデータを元に設定できる。
例えば、タイピング速度であれば、以下の基準が知られている。
・健常者は平均115(キーストローク/min、95%信頼区間で±11)
・認知障害の症状のある人は平均87(キーストローク/min、95%信頼区間で±10)
これらを踏まえると、115±11の範囲を目標範囲として設定することができる。
目標範囲のデータは、保険会社等により予め作成され、評価基準として記憶部902に記憶されている。図42は、検査結果に応じて付与される重み付け係数に関する評価基準の例を示す図である。
図42の例では、以下のとおり重み付け係数(Y値)が設定されている。
・検査スコアが目標範囲以上のユーザは3
・目標範囲内のユーザは2
・目標範囲以下のユーザは1
・検査を行っていない場合は0.5
この例では、検査を実施しないユーザよりも、検査を実施したユーザに高い値を付与することで、使用頻度に応じた一次スコアが低くても、検査を実施することで評価スコアが増やすことができ、ユーザに対して検査を受けるインセンティブを与えることができる。
そして、評価モジュール9034は、評価対象となるユーザの検査結果を、評価基準として記憶された目標範囲データと比較することで、検査結果と目標範囲の比較から、重みづけ(Y値)を算出する。なお、目標範囲の設定は、ユーザ毎に行われていてもよい。この場合には、記憶部902に記憶される評価ルールにユーザIDが紐づけられている。
ステップS306の後に、評価モジュール9034は、ユーザへの報酬を決定する(ステップS306)。
具体的には、評価モジュール9034は、認知症対策レベルを示すスコアとしてX値とY値を掛け合わせた値を算出し、算出された値を元に、ユーザに提供する報酬を決定する。図43は、評価スコアに応じた報酬の内容に関する規定の例を示す図である。
図43に示す例では、報酬の内容として、保険料の割引が設定されている。図示のとおり、評価スコアの高いユーザほど割引率が増加し、より多くのメリットが得られることになる。決定された報酬の内容は、ユーザ情報と紐づけて記憶部902に記憶される。
ステップS306の後に、評価モジュール9034は、報酬の内容をユーザに対して通知する(ステップS308)。
具体的には、評価モジュール9034は、報酬の内容に関する情報を、ネットワーク経由でユーザ端末5に送信する。ユーザ端末5は、起動された保険アプリケーションのGUI上で報酬の内容に関する情報を表示することで、ユーザに対して報酬が付与されることを提示する。以上により、評価モジュール9034による処理が終了する。
次に、法人向けのサービスにおける報酬の決定の処理を説明する。
図44は、法人向けに報酬を提供する際の処理を示す図である。
図44に示すように、法人向けサービスとして本システムを提供する際は、保険料はユーザではなくユーザの所属する企業が支払うこととなる。この場合、例えばその法人に所属するユーザ全体における評価指数の値の平均値、または中央値により、当該法人への報酬が決定される。
以上のプロセスは週毎、月毎、年毎などサービス提供者の指定した一定期間ごとに実施され、データが蓄積される。
具体的には、まず、評価モジュール9034は、対象企業に所属するユーザのデータの呼び出しを行う(ステップS401)。
具体的には、評価モジュール9034は、対象企業の会社IDを用いて、ユーザDBから該当するユーザを抽出して、それぞれのユーザに対する処置のログおよび検査結果データを特定する。
ステップS401の後に、評価モジュール9034は、ユーザの評価指数の平均値又は中央値の算出を行う(ステップS402)。
ステップS402の後に、評価モジュール9034は、算出した値に応じた報酬を決定する(ステップS403)。
ステップS403の後に、評価モジュール9034は、報酬の内容を該当企業に通知する(ステップS404)。
具体的には、評価モジュール9034は、報酬の内容に関する情報を、評価対象である法人のコンピュータシステムに送信する。
以上により、法人向けのサービスにおける報酬の決定の処理が終了する。
(8-3-5)Step4:コンテンツへの評価を踏まえたユーザへのレコメンド
さらに、保険システム2では、コンテンツへの評価を踏まえたユーザへのレコメンドを行うことができる。すなわち、保険システム2は、ユーザごとの比較解析を踏まえた処置用コンテンツの評価とレコメンドを行う。
レコメンドモジュール9035は、蓄積されたデータを元に、ユーザごとの比較解析を行う。まず、レコメンドモジュール9035がユーザデータベースのデータを読み取り、一定期間(例えば一か月)ごとのYの値(検査結果に基づく重みづけ)の推移から、「値が継続的に向上しているユーザ」や「常に高い値を出しているユーザ」を抽出する。すなわち、レコメンドモジュール9035は、検査結果において、認知能力の推移に好適な傾向がみられる利用者群を抽出し、抽出された利用者群において、高い頻度で利用される映像コンテンツを特定する。ここで、認知能力の推移に好適な傾向がみられるユーザ群とは、以下が含まれる。
・認知能力が、システム1の利用により改善したユーザ群
・認知能力が、システム1の利用により維持されたユーザ群
・認知能力の低下が、システム1の利用により想定よりも抑えられたと認められるユーザ群
図45は、優良コンテンツの評価の例を示す図である。
図45に示すように、コンテンツのスコアは、それぞれの累計での利用回数により、以下のように算出できる。
・コンテンツα:2+4=6
・コンテンツβ:10+10=20
・コンテンツγ:5+5=10
そして、評価モジュール9034は、抽出されたユーザ(優良ユーザ)が所定の期間(例えば3か月)に利用した処置用コンテンツと、利用回数と、を算出し、優良ユーザが高い頻度で利用する傾向のあるコンテンツを特定する。
具体的な計算方法として、例えば優良ユーザの利用回数をコンテンツに対する評価スコアとして算出し、全ての優良ユーザで算出した値を合計することで、コンテンツに対する評価スコアが求められる。
ここで、優良ユーザが繰り返し使っているコンテンツは「認知能力の改善効果」と「好ましさ」の両方を満たす可能性が高いため、質の高いコンテンツと考えられる。コンテンツの評価は繰り返し行われ、コンテンツのスコアが常にアップデートされる。
次に、管理サーバ90のレコメンドモジュール9035は、ユーザが処置プロトコルを設定する画面を開いた際や、コンテンツを検索した際に、表示するコンテンツを呼び出す命令を管理サーバ90ーにネットワーク経由で送信する。レコメンドモジュール9035は、コンテンツのスコアを参照し、スコアの高いコンテンツから順に送信する。
送信されたコンテンツは、保険アプリケーション上で「推奨コンテンツ」や「検索上位のコンテンツ」として表示される。以上のプロセスを通じ、ユーザは優良なコンテンツを選択しやすくなり、より好ましく効果の高い処置を受けることができる。
(9)その他の変形例
なお、システム1の構成は適宜変更することができる。
例えば、上記の各実施形態では、システム1が、光源11と映像表示部12とを有する光刺激デバイス10と、微粒子群放出デバイス30と、を備える構成を示したが、この限りではない。システム1は、映像表示部12を備えることなく、光源11と微粒子群放出デバイス30とを備えてもよい。光源11から出力される光刺激が、微粒子群により散乱されることで、適度に強度が弱くなった光刺激として、ユーザに入力できるからである。
すなわち、システム1において映像表示部12と微粒子群放出デバイス30とは、光源11から照射される処置光を和らげるという点において、その機能が共通している。このため、映像表示部12と微粒子群放出デバイス30のいずれか一方のみを備えていてもよいし、互いに置き換え可能である。
また、システム1は、ユーザ分析デバイス40、音声認識デバイス50、音刺激デバイス60、および皮膚刺激デバイス70のうちの少なくともいずれかを備えていなくてもよい。この場合には、それぞれのデバイスによる利便性のメリットは少なくなるが、光刺激デバイス10および微粒子群放出デバイス30による処置を行うことができる。
また、システム1における光源11の点滅とは、必ずしも点灯(ON)と消灯(OFF)を繰り返すことを要しない。すなわち、点滅とは、可視光領域の波長の光の照度の増減の繰り返しを示し、常に点灯(ON)した状態で、所定の周波数に沿って照度が変化する態様を含む。照度が変化すれば、ユーザに視覚刺激を入力できるから。すなわち、光源11は、照度の高い状態と低い状態が交互に繰り返されれば良いため、低いタイミングで光源11を完全に消灯しなくてもよい。
なお、一般的なLED照明の出力電流波形の周波数は、光のちらつきなどの課題を防止するため、100Hz以上であることが要求されている。これに対して、システム1の光源11は、低い周波数で点滅する光の視覚刺激から得られる効果を利用するため、点滅の周波数100Hz未満である(周期が10msecより大きい)ことが望ましい。
図46は、光源11のその他の変形例における周期的な照度変化の例を示す図である。
システム1の光源11は、例えば以下の波形に沿って照度変化をしてもよい。
・図46A:矩形波に沿った照度変化
・図46B:正弦波に沿った照度変化
・図46C:三角波に沿った照度変化
・図46D:パルスの頻度が変化することで、平均的な照度に周期的な高低がある照度変化
そして、一定の周期Tで照度の増減を繰り返した場合、波形をフーリエ変換により一定の周波数をもつ正弦波・余弦波に分解した周波数スペクトルを作成すると、周波数f=1/Tで最大のピークが得られる。例えば、周期が25msecの場合、周波数40Hzで最大のピークが得られることとなる。すなわち、前述のとおり、システム1における点滅周波数は、照度の経時変化の波形をフーリエ変換した周波数スペクトルにおいて、最大のピークが得られる周波数を指している。
図47は、光源11のその他の変形例を示す図である。
図47に示すように、照度が変化する光源11は、照度を制御する照度コントローラ13とともに用いられる。照度コントローラ13は、電源などのエネルギー源14から、光源11に入力される電圧または電流を制御し、前述した照度変化の態様に沿って、光源11の照度を変化させることができる。
また、システム1では、音刺激および皮膚刺激の出力強度についても、一定の周期性を持たせることが有効である。すなわち、音刺激デバイス60が出力する音刺激、および皮膚刺激デバイス70が出力する皮膚刺激についても、光刺激と同様に、出力強度が制御される。具体的には、それぞれの刺激の強度の経時変化の波形をフーリエ変換した周波数スペクトルにおいて、最大のピークが得られる周波数(点滅周波数と対応する周波数)が所定の周波数帯域(100Hz未満、より好ましくはさらにガンマ帯域)であることが望ましい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態および変形例は、組合せ可能である。
(10)付記
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
(付記1)
点滅光を照射する光源11と、
光源11の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御するコントローラ20と、
光源11が光を照射する空間領域に微粒子群を放出する微粒子群放出手段30と、を備える処置光制御システム1。
(付記2)
主にユーザが位置する前方に向けて点滅光を照射する光源11と、
光源11の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御するコントローラ20と、
光源11の前方に配置され、光源11から照射された光を透過させることで、映像面に所定の映像を表示する映像表示部12と、を備える処置光制御システム1。
(付記3)
光源11は、主に照射する方向に直交して一定の領域を占め、
光源11のうち、少なくとも一部の領域における点滅周波数は、100Hz未満であることを特徴とする、付記1または2に記載の処置光制御システム1。
(付記4)
光源11は映像出力装置の一部である、付記1に記載の処置光制御システム1。
(付記5)
ユーザの位置、姿勢、視線の向き、および入眠状態のいずれかを検出するユーザ分析手段40をさらに備える、付記1又は2に記載の処置光制御システム1。
(付記6)
出力強度の増減の繰り返しの周波数が所定の周波数帯域に含まれ、聴覚を介してユーザに対して入力される音刺激を出力する音声刺激手段60をさらに備える、付記1又は2に記載の処置光制御システム1。
(付記7)
出力強度の増減の繰り返しの周波数が所定の周波数帯域に含まれ、触覚を介してユーザに対して入力される電気又は超音波による刺激を出力する皮膚刺激手段70をさらに備える、付記1又は2に記載の処置光制御システム1。
(付記8)
浴室に設けられて使用される、付記1又は2に記載の処置光制御システム1。
(付記9)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行する方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
光源11により、点滅光を照射させるステップと、
コントローラ20により、光源11の点滅周波数を所定の周波数帯域に含まれるように制御させるステップと、
微粒子群放出手段30により、光源11が光を照射する空間領域に微粒子群を放出させるステップと、を実行する、方法。
(付記10)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行するプログラムであって、
コンピュータのプロセッサに、
光源11により、点滅光を照射するステップと、
コントローラ20により、光源11の点滅周波数を所定の周波数帯域に含まれるように制御させるステップと、
微粒子群放出手段30により、光源11が光を照射する空間領域に微粒子群を放出するステップと、を実行させる、プログラム。
(付記11)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行する方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
光源11により、主にユーザが位置する前方に向けて点滅光を照射させるステップと、
コントローラ20により、光源11の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御させるステップと、
光源11の前方に配置された映像表示部12により、光源11から照射された光を透過させることで、映像面に所定の映像を表示させるステップと、を実行する、方法。
(付記12)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行するプログラムであって、
コンピュータのプロセッサに、
光源11により、主にユーザが位置する前方に向けて点滅光を照射させるステップと、
コントローラ20により、光源11の点滅周波数を、所定の周波数帯域に含まれるように制御させるステップと、
光源11の前方に配置された映像表示部12により、光源11から照射された光を透過させることで、映像面に所定の映像を表示させるステップと、を実行させる、プログラム。
(付記13)
プロセッサが、さらに、
ユーザの位置、姿勢、視線の向き、および入眠状態のいずれかを検出するステップを実行する、付記9又は11に記載の方法。
(付記14)
プロセッサが、さらに、
照明装置80を消灯するステップを実行する、付記9又は11に記載の方法。
(付記15)
プロセッサが、さらに、
光センサ81により、ユーザが処置を受ける空間の光の量を測定するステップを実行する、付記9又は11に記載の方法。
(付記16)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行する方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
映像コンテンツを所定の周期に沿って点滅する映像信号に変換するステップと、
点滅する映像信号を映像出力装置から映像として出力するステップと、
映像出力装置の前方に微粒子群を放出させるステップと、を実行する、方法。
(付記17)
プロセッサが、さらに、
音声コンテンツを、所定の周期に沿って変調された音声信号に変換するステップと、
音声信号を出力させるステップと、をさらに実行する、付記16に記載の方法。
(付記18)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行する方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
光処置の実績として処置時間および処置頻度を記録するステップと、
記録された光処置の実績に基づいて、ユーザを評価するステップと、
ユーザへの評価結果に基づいて、報酬を算出するステップと、を実行する、方法
(付記19)
プロセッサが、
ユーザの認知能力に関する検査結果を取得するステップをさらに実行し、
ユーザを評価するステップでは、光処置の実績と検査結果により確認される、ユーザの認知能力の推移と、を踏まえて、ユーザを評価する、付記18に記載の方法。
(付記20)
プロセッサが、
ユーザの認知能力の推移を、予め設定されている基準値と、検査結果が示す値と、の比較により評価する、付記19に記載の方法。
(付記21)
コンピュータを備えた処置光制御システム1が実行する方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
複数の利用者による映像コンテンツの光処置としての利用履歴を記録するステップと、
複数の利用者の検査結果を記録するステップと、
利用履歴と検査結果とに基づいて、複数の映像コンテンツを評価するステップを実行する、方法。
(付記22)
映像コンテンツを評価するステップでは、
プロセッサが、
検査結果において、認知能力の推移に好適な傾向がみられる利用者群を抽出するステップと、
抽出された利用者群において、高い頻度で利用される映像コンテンツを特定するステップと、を実行する。付記21に記載の方法
1 処置光制御システム
2 保険システム
5 ユーザ端末
10 光刺激デバイス
11 光源
12 映像表示部
20 コントローラ
30 微粒子群放出デバイス
31 給湯部
32ミスト生成器
33 ヘッド部
34 微粒子群制御デバイス
35 微粒子群認識デバイス
40 ユーザ分析デバイス
50 音声認識デバイス
60 音刺激デバイス
61 スマートスピーカ
62 指示部
63 スピーカ
64 マイク
70 皮膚刺激デバイス
80 照明装置
81 光センサ
82 クラウドサーバ
90 保険管理サーバ

Claims (16)

  1. 可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムであって、
    人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射する光源と、
    前記光源の点滅周波数を、前記ガンマ帯域に含まれるように制御するコントローラと、
    前記光源が光を照射する空間領域に霧として漂うことで、前記ユーザの眼に向けて照射された前記点滅光を散乱させて、当該点滅光による光刺激を和らげる微粒子群を放出する微粒子群放出手段と、を備える処置光制御システム。
  2. 可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムであって、
    人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射する光源と、
    前記光源の点滅周波数を、前記ガンマ帯域に含まれるように制御するコントローラと、
    前記光源の前方に配置され、例えば、液晶パネル、エレクトロウェッティングパネル、エレクトロクロミックパネル、又は透過性のある有機ELパネルからなり、前記光源から前方に向けて照射された光の透過パターンを電気的に制御する透過型パネルを備え、透過する光の波長を、前記透過型パネルを構成するピクセルごとに制御して、前記照射された前記点滅光の透過と遮断を前記ピクセルごとに切り替えることで、当該点滅光による光刺激を和らげながら、前記透過型パネルの映像面に所定の映像を表示する映像表示部と、を備える処置光制御システム。
  3. 前記光源は映像出力装置の一部である、請求項1に記載の処置光制御システム。
  4. ユーザの位置、視線の向き、および入眠状態のいずれかを検出するユーザ分析手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の処置光制御システム。
  5. 出力強度の増減の繰り返しの周波数が前記ガンマ帯域に含まれ、聴覚を介してユーザに対して入力される音刺激を出力する音声刺激手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の処置光制御システム。
  6. 出力強度の増減の繰り返しの周波数が前記ガンマ帯域に含まれ、触覚を介してユーザに対して入力される電気又は超音波による刺激を出力する皮膚刺激手段をさらに備える、請求項1又は2に記載の処置光制御システム。
  7. 前記光源および前記微粒子群放出手段は、ともに浴槽を備えた浴室内に配置され、
    前記光源は、前記浴槽内のユーザに向けて、前記点滅光を照射する、請求項1に記載の処置光制御システム。
  8. コンピュータを備え、可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムが実行する方法であって、
    コンピュータのプロセッサが、
    光源により、人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射させるステップと、
    コントローラにより、前記光源の点滅周波数を前記ガンマ帯域に含まれるように制御させるステップと、
    前記光源が光を照射する空間領域に霧として漂うことで、前記ユーザの眼に向けて照射された前記点滅光を散乱させて、当該点滅光による光刺激を和らげる微粒子群を放出する微粒子群放出手段により、前記空間領域に前記微粒子群を放出させるステップと、を実行する、方法。
  9. コンピュータを備え、可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムが実行するプログラムであって、
    コンピュータのプロセッサに、
    光源により、人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射するステップと、
    コントローラにより、前記光源の点滅周波数を前記ガンマ帯域に含まれるように制御させるステップと、
    前記光源が光を照射する空間領域に霧として漂うことで、前記ユーザの眼に向けて照射された前記点滅光を散乱させて、当該点滅光による光刺激を和らげる微粒子群を放出する微粒子群放出手段により、前記空間領域に前記微粒子群を放出するステップと、を実行させる、プログラム。
  10. コンピュータを備え、可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムが実行する方法であって、
    コンピュータのプロセッサが、
    光源により、主にユーザが位置する前方に向けて、人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射させるステップと、
    コントローラにより、前記光源の点滅周波数を、前記ガンマ帯域に含まれるように制御させるステップと、
    前記光源の前方に配置され、例えば、液晶パネル、エレクトロウェッティングパネル、エレクトロクロミックパネル、又は透過性のある有機ELパネルからなり、前記光源から前方に向けて照射された光の透過パターンを電気的に制御する透過型パネルを備える映像表示部により、透過する光の波長を、前記透過型パネルを構成するピクセルごとに制御して、前記照射された前記点滅光の透過と遮断を前記ピクセルごとに切り替えることで、当該点滅光による光刺激を和らげながら、前記透過型パネルの映像面に所定の映像を表示させるステップと、を実行する、方法。
  11. コンピュータを備え、可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムが実行するプログラムであって、
    コンピュータのプロセッサに、
    光源により、主にユーザが位置する前方に向けて、人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する前記点滅光を、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で照射させるステップと、
    コントローラにより、前記光源の点滅周波数を、前記ガンマ帯域に含まれるように制御させるステップと、
    前記光源の前方に配置され、例えば、液晶パネル、エレクトロウェッティングパネル、エレクトロクロミックパネル、又は透過性のある有機ELパネルからなり、前記光源から前方に向けて照射された光の透過パターンを電気的に制御する透過型パネルを備える映像表示部により、透過する光の波長を、前記透過型パネルを構成するピクセルごとに制御して、前記照射された前記点滅光の透過と遮断を前記ピクセルごとに切り替えることで、当該点滅光による光刺激を和らげながら、前記透過型パネルの映像面に所定の映像を表示させるステップと、を実行させる、プログラム。
  12. 前記プロセッサが、さらに、
    ユーザの位置、視線の向き、および入眠状態のいずれかを検出するステップを実行する、請求項8又は10に記載の方法。
  13. 前記プロセッサが、さらに、前記点滅光を照射させるステップに先立って、
    前記空間領域において用いられる前記光源以外の照明装置を消灯するステップを実行する、請求項8又は10に記載の方法。
  14. 前記プロセッサが、さらに、前記点滅光を照射させるステップに先立って、
    光センサにより、ユーザが処置を受ける空間である、前記空間領域において用いられる前記光源以外の照明装置から出力される光の量を測定するステップを実行する、請求項8又は10に記載の方法。
  15. コンピュータを備え、可視光である点滅光による光刺激をユーザの眼から入力することで、当該ユーザの神経振動を誘導して、認知症、脳神経疾患、又は精神疾患に対する処置を行う処置光制御システムが実行する方法であって、
    コンピュータのプロセッサが、
    映像コンテンツを人の認知機能と関連する周期的な神経活動の周波数である25Hz~100Hzのガンマ帯域で点滅する映像信号に変換するステップと、
    前記点滅する映像信号を映像出力装置から映像として、前記ユーザの眼に向けて眩しさを感じる強度で出力するステップと、
    映像出力装置の前方に、霧として漂うことで、前記ユーザの眼に向けて照射された前記映像信号を散乱させて、当該映像信号による光刺激を和らげる微粒子群を、微粒子群放出手段により放出させるステップと、を実行する、方法。
  16. 前記プロセッサが、さらに、
    音声コンテンツを、前記ガンマ帯域で増減を繰り返す音声信号に変換するステップと、
    前記音声信号を出力させるステップと、をさらに実行する、請求項15に記載の方法。
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