JP7219517B1 - 紙力増強剤の効果向上方法 - Google Patents

紙力増強剤の効果向上方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7219517B1
JP7219517B1 JP2022059841A JP2022059841A JP7219517B1 JP 7219517 B1 JP7219517 B1 JP 7219517B1 JP 2022059841 A JP2022059841 A JP 2022059841A JP 2022059841 A JP2022059841 A JP 2022059841A JP 7219517 B1 JP7219517 B1 JP 7219517B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper strength
agent
effect
composition
improving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022059841A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023150630A (ja
Inventor
貴之 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Katayama Chemical Works Co Ltd
Original Assignee
Katayama Chemical Works Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Katayama Chemical Works Co Ltd filed Critical Katayama Chemical Works Co Ltd
Priority to JP2022059841A priority Critical patent/JP7219517B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7219517B1 publication Critical patent/JP7219517B1/ja
Publication of JP2023150630A publication Critical patent/JP2023150630A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/64Paper recycling

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】製紙工程中の調成工程で使用される紙力増強剤の効果向上方法を提供する。【解決手段】製紙工程中の調成工程における紙力増強剤の効果向上方法であって、上記調成工程において、紙力増強剤を添加する紙力増強剤添加工程と、上記調成工程に添加される白水に上記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する組成物添加工程とを有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は製紙工程中の調成工程における紙力増強剤の効果向上方法に関する。
従来から、製紙工場では紙に強度を付与する紙力増強剤が使用されている。
近年、製紙工場では古紙の使用比率の増加により古紙由来の短繊維が含まれた紙力強度の弱い原料パルプが使用されている。また、古紙の使用により、抄紙白水中に含まれる金属イオンが抄紙系内の電気伝導度を上昇させ、原料パルプへ添加される紙力増強剤の効果を発揮しにくくしている。このような環境下で、紙力増強剤の効果を向上させる必要が生じているが、紙力増強剤の添加量を多くすることは水質の悪化を招き、環境上好ましくない。
また、ティッシュペーパー、洋紙、包装紙等の原料としては、主に針葉樹パルプや広葉樹パルプ等のバージンパルプが用いられるが、最終シートの紙力を保つためには、紙力増強の対策が必要となる。そのため、原料として古紙を用いない場合においても紙力増強剤は用いられており、環境面から、紙力増強剤の添加量を増やすことなく、その効果を向上させる必要が生じている。
ここで、紙力増強剤の添加量を低減させる方法としては、例えば、特許文献1に、古紙を主原料とする板紙の製造におけるパルプ化工程水に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような次亜塩素酸塩の水溶液と硫酸アンモニウム水溶液のような水溶性の無機アンモニウム塩の水溶液またはアンモニア水とを添加することにより、調成工程における紙力増強剤の添加量を効果的に低減できる方法が開示されている。
また、特許文献2には、紙の製造工程における澱粉の分解を抑制し、紙製品の強度劣化の生じない紙の製造方法を提供することが開示されている。具体的に、古紙が配合されている紙の製造方法において、(1)連続的又は間欠的に水質測定を行う工程、(2)前記(1)工程で得られた水質測定結果に基づいて澱粉分解能を有する微生物を不活化させる工程を含むことが開示されている。さらに、微生物を不活化させうる薬剤として、各種抗菌剤が開示されている。特許文献3にも、古紙やブロークパルプや内添の澱粉等を栄養源として微生物汚染が進行し、澱粉分解は紙製品の強度劣化を招くため、原料に対し酸化作用を有する殺菌剤を添加することで、微生物汚染による障害を制御することが開示されている。
なお、製紙工程の原料を殺菌する方法としては、例えば、特許文献4には、製紙工程の白水ラインに流入するように(a)次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加ポイントおよび(b)硫酸アンモニウム水溶液の添加ポイントの順に有効成分の添加ポイントが設けられた希釈水ラインの希釈水に、(a)成分と(b)成分とを添加して、前記希釈水ライン中で(a)成分と(b)成分との混合水溶液を調製すること、及び、上記混合水溶液のpHが8以上であることが開示されている。しかし、本文献には、紙力増強剤の効果を向上させる方法については開示されていない。
また、特許文献5には、紙力増強剤の効果向上方法が開示されており、製紙工程水に酸化剤(ハロゲンを含有する酸化剤及び/又は過酸化水素)を添加する工程と紙力増強剤を添加する工程とを有し、上記酸化剤と上記紙力増強剤が特定の濃度で接触することで、上記紙力増強剤の効果を向上する方法が開示されている。
特許第5621082号公報 特開2010-100945号公報 特開2011-226043号公報 特許第4914146号公報 特許第6664627号公報
上記特許文献1では、調成工程で添加される紙力増強剤の添加量を低減させるためにパルプ化工程のパルプ化工程水に薬剤を添加することが開示されている。また、上記特許文献2及び3には、紙の製造工程で微生物による澱粉分解を抑制するために酸化剤等の抗菌剤を添加することで、微生物障害の一種である紙力低下を防止できることが開示されている。これらはいずれも、紙力増強剤を添加する前の製紙工程水に対し薬剤を添加するものであり、紙力増強剤の効果自体を向上させるものではなかった。
また、製紙工程の原料を殺菌する方法が開示されている上記特許文献4にも紙力増強剤自体の効果を向上させる方法は開示されていなかった。
特許文献5は、紙力増強剤の効果向上方法に関する発明が開示されているが、紙力増強剤自体の効果を向上させる方法やそのような組成物についてはさらに検討の余地があった。
本発明は、製紙工程中の調成工程で使用される紙力増強剤の効果向上方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、製紙工程の調成工程で添加される紙力増強剤の効果向上用組成物を特定の方法で添加することで、従来の方法と比較してより紙力増強剤の効果が向上するという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、製紙工程中の調成工程における紙力増強剤の効果向上方法であって、上記調成工程において、紙力増強剤を添加する紙力増強剤添加工程と、上記調成工程に添加される白水に上記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する組成物添加工程とを有することを特徴とする紙力増強剤の効果向上方法である。
紙力増強剤の効果向上用組成物は、アンモニウム塩とハロゲン系酸化剤とを混合することにより生成される、又は、アンモニウム塩及びアルカリ剤を含む第一組成物とハロゲン系酸化剤とを混合する、若しくは、ハロゲン系酸化剤及びアルカリ剤を含む第二組成物とアンモニウム塩とを混合する、ことにより生成される、ことが好ましい。
アンモニウム塩は、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、臭化アンモニウム及びスルファミン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ハロゲン系酸化剤は、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩及び二酸化塩素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ハロゲン系酸化剤とアンモニウム塩とのモル比(ハロゲン系酸化剤:アンモニウム塩)は、残留塩素量と窒素とのモル比として1:1~1:2であることが好ましい。
第一組成物のpHが、4.5~8.5であることが好ましい。
紙力増強剤の効果向上用組成物と、紙力増強剤とが接触する際の前記紙力増強剤の効果向上用組成物の接触濃度が、0.1~35mg/Lであることが好ましい。
組成物添加工程後の調成工程水中の残留塩素濃度が、0.1~35mg/Lであることが好ましい。
本発明によれば、製紙工程中の調成工程で使用される紙力増強剤の効果向上方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示すものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることは無い。
本明細書中、「X~Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
上述の特許文献5に開示されているように、本発明の出願人は、製紙工程水に、酸化剤を添加する工程と、紙力増強剤を添加する工程とを有し、酸化剤(ハロゲンを有する酸化剤及び/又は過酸化水素)と上記紙力増強剤とが接触するものであり、上記紙力増強剤と上記酸化剤とが接触する際の上記酸化剤の接触濃度が0.1~35mg/Lであることを特徴とする紙力増強剤の効果向上方法の発明を開示している。本発明者らは紙力増強剤の更なる効果向上方法を鋭意検討した結果、製紙工程の調成工程で添加される紙力増強剤に対し紙力増強剤の効果向上用組成物を特定の方法で接触させることで、紙力増強剤の効果をより向上させることができるという事実を見出し、本発明の紙力増強剤の効果向上方法を完成させた。
通常、製紙工程は、パルプと呼ばれる紙の原料を製造するパルプ化工程と、紙を抄く前にパルプ繊維を物理的に加工したり薬品を添加したりする調成工程と、パルプをシート状に広げ、脱水、乾燥、表面加工などを行う抄紙工程とを有する。
本発明は、上述した製紙工程中の調成工程における紙力増強剤の効果向上方法である。
具体的には、上記調成工程において、紙力増強剤を添加する紙力増強剤添加工程と、上記調成工程に添加される白水に上記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する組成物添加工程とを有する。
上記紙力増強剤添加工程は、上記調成工程において紙原料に紙力増強剤を添加する。
本発明における紙力増強剤としては、製紙工程で通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、カチオン性、アニオン性、両性、非イオン性いずれのイオン性を持つものでもよい。例えば、カチオン性基が導入されたポリアクリルアミド、ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン、ポリアミドアミン、グリオキサール変性ポリアミドアミン・エピクロロヒドリン、アミンポリエステルポリエーテル及びこれらの塩等のカチオン性の構造が導入された紙力増強剤;アニオン性基が導入されたポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド-アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド部分加水物、ポリアクリルアミド-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合物、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩等のアニオン性の構造が導入された紙力増強剤;ポリアクリルアミドやデンプンにカチオン性基とアニオン性基の両方が導入された化合物及びこれらの塩等の両性の構造が導入された紙力増強剤;ポリアクリルアミド、澱粉、ポリビニルアルコール及びこれらの塩等の非イオン性の構造をもつ紙力増強剤等が挙げられる。本発明における紙力増強剤としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら紙力増強剤は溶液(液体)および粉体(固体)などどのような形態であっても良い。特に紙力増強効果を促進させる観点から、紙力増強剤としては、カチオン性紙力増強剤を用いることが好ましい。
上記カチオン性紙力増強剤として、市販の紙力増強剤を用いることができる。
上記カチオン性紙力増強剤として、例えば、内添紙力増強剤及び表面紙力増強剤が挙げられ、内添紙力増強剤はさらに乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤に分類される。内添紙力増強剤としてはポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドにカチオン性基、アニオン性基またはその両方を導入したもの及びポリアミドアミン・エピクロロヒドリン等が挙げられる。表面紙力増強剤としてはポリアクリルアミド及びポリビニルアルコール等が挙げられる。好ましくは、乾燥紙力増強剤としてポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドにカチオン性基、アニオン性基またはその両方を導入したもの、湿潤紙力増強剤としてポリアミドアミン・エピクロロヒドリンが好ましい。
ここで、従来から紙の製造工程である製紙工程には、殺菌を目的としてモノクロラミンやモノブロラミン等の酸化剤が添加されており、また、紙力向上を目的として紙力増強剤が添加されている。そして、製紙工程の原料ラインに殺菌剤を添加することにより、微生物により澱粉等の原料由来の紙力剤が消費されることを防止し、調整工程等で添加される紙力増強剤の添加量を低減できることが知られている(上記特許文献1~3)。
また、製紙工程では様々な薬剤がその目的に応じて添加されており、例えば、pH調整剤(アルカリ剤)、サイズ剤、濾水性向上剤等も添加されている。これらの薬剤は、各薬剤の効果が発揮されるように添加されており、一つの薬剤の効果が他の薬剤により阻害されないように添加されている。
上述の通り、紙力増強剤には、カチオン性紙力増強剤とアニオン性紙力増強剤があるが、紙力増強剤の種類に応じて他の薬剤の添加位置を変更することは行われておらず、紙力増強剤は、アニオン性薬剤と接触しないように添加されている。なぜなら、カチオン性紙力増強剤とアニオン性薬剤(酸化剤等の殺菌剤)とが反応して凝集が生じると、紙力増強剤が均一に分散せずに薬剤効果が充分に発揮されない可能性が生じるためである。製紙工程における紙力増強剤の不均一分散は、製造される紙の品質悪化を招くため、従来は、紙力増強剤とアニオン系殺菌剤(酸化剤等)とは、反応する程度の濃度で接触しないように添加されていた。
一方、本発明は、紙力増強剤そのものの効果を向上させることを検討した結果、紙力増強剤に対し、紙力増強効果向上用組成物を特定の方法で接触させることにより、紙力増強剤の効果を向上できることを初めて見出し完成されたものである。
本発明は、上記調成工程に添加される白水に上記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する組成物添加工程を有する。
上記白水とは、製紙工程の各工程で生じる脱水、濾過され循環使用される処理水であり、調成工程に添加される白水は工場毎に異なるのが通常である。
なお、酸化剤を含む組成物を製紙工程水に添加することで作製される紙の強度が向上する詳細は明らかではないが、メカニズムとしては次のようなことが考えられる。但し、本開示はこれらの考え方に限定されるものではない。
1つは、製紙工程水に添加された組成物中の酸化剤が、製紙工程水に含まれるパルプ繊維上のアニオンと結合しているカチオン性のカルシウムイオンなどを剥離させ、繊維のアニオンをむき出しにすることで、カチオン基を有するカチオン性の紙力増強剤の定着を促進させていると考えられる。
もう1つは、製紙工程水に酸化剤が添加されると、塩素や臭素などのマイナスの電荷を帯びた成分を中心に、カチオン基を有する紙力増強剤が引き寄せられ、パルプ繊維と紙力増強剤とが凝集し、紙力増強効果が向上すると考えられる。
本発明では、上記調成工程に添加される白水に上記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する上記組成物添加工程を有することで、上記紙力増強剤の効果向上を十分に図ることができる。この理由は明確ではないが、以下の通りであると考えられる。なお、以下の説明は上記紙力増強剤の効果向上用組成物として後述するモノクロラミンを使用した場合で説明する。
モノクロラミンを添加した白水を調成工程に添加した場合と、調成工程に原料等と合せてモノクロラミンを添加した場合とを比較すると、モノクロラミンを添加した白水を調成工程に添加した場合の方が、調成工程における残留塩素濃度が高くなる。これはモノクロラミンを添加した白水を調成工程に添加した場合の方がモノクロラミンの無駄な消費が抑えられるからと考えられる。
また、白水中にモノクロラミンが分散されている状態で原料と一緒になることで効率よく紙力増強剤やパルプ繊維と接触することで効果が良くなっていると考えられる。
上記紙力増強剤の効果向上用組成物(以下、単に効果向上用組成物ともいう)としては、特定の方法で製造した組成物が好適に用いられる。
具体的には、上記効果向上用組成物としては、アンモニウム塩とハロゲン系酸化剤とを混合することにより生成される、又は、アンモニウム塩及びアルカリ剤を含む第一組成物とハロゲン系酸化剤とを混合する、若しくは、ハロゲン系酸化剤及びアルカリ剤を含む第二組成物とアンモニウム塩とを混合する、ことにより生成される、ことが好ましい。
上記アンモニウム塩とハロゲン系酸化剤とを混合することにより生成される効果向上用組成物としては、具体的には、例えば、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンが挙げられる。
一般的に酸化剤として使用されているモノクロラミン及びモノブロラミンは、OCl(Br)+NH →NHCl(Br)+HOのような反応で生成される穏やかな酸化剤である。例えば、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム塩とを混合することによりモノクロラミンを生成でき、上記アンモニウム塩としては、具体的には後述するものが挙げられる。また、上記手法により製造されたモノクロラミン及びモノブロラミンの安定化を図る目的で、モノクロラミン又はモノブロラミンとアルカリ剤とを混合することが知られている。また、モノクロラミン又はモノブロラミンが添加される対象のpHを調製する目的で、モノクロラミン、モノブロラミンとアルカリ剤とを対象に別々に添加することも知られている(上記特許文献4)。
また、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの作製時に、アンモニウム塩にアルカリ剤を含有させたものをハロゲン系酸化剤と反応させて生成されるモノクロラミン及び/又はモノブロラミンは、アルカリ剤を含有しないアンモニウム塩とハロゲン系酸化剤とを反応させて生成される上記モノクロラミン及び/又はモノブロラミン、並びに、モノクロラミン及び/又はモノブロラミンにアルカリ剤を含有させたものと比較して、優れた紙力増強剤の効果向上作用を有する。
また、上記モノクロラミン及び/又はモノブロラミンの作製時に、ハロゲン系酸化剤にアルカリ剤を含有させたものをアンモニウム塩と反応させて生成されるモノクロラミン及び/又はモノブロラミンは、アルカリ剤を含有しないハロゲン系酸化剤とアンモニウム塩とを反応させて生成される従来のモノクロラミン及び/又はモノブロラミン、並びに、従来のモノクロラミン及び/又はモノブロラミンにアルカリ剤を含有させたものと比較して、優れた紙力増強剤の効果向上作用を有する。
上述の特定の方法で製造した組成物として具体的に例示した製法のうち、後者の方法で製造した組成物、すなわち、アンモニウム塩にアルカリ剤を含有させたものをハロゲン系酸化剤と反応させて生成される組成物、及び、ハロゲン系酸化剤にアルカリ剤を含有させたものをアンモニウム塩と反応させて生成される組成物は、前者の方法で製造されたモノクロラミン及び/又はモノブロラミン、並びに、このモノクロラミン及び/又はモノブロラミンにアルカリ剤を含有させたものと比較して、特に優れた紙力増強剤の効果向上作用を有する。
本発明に用いられるアンモニウム塩は、無機酸とアンモニアの反応物である無機アンモニウム塩、又は有機酸とアンモニアの反応物である有機アンモニウム塩であれば特に限定されない。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、臭化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸鉄(III)アンモニウム、過硫酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機アンモニウム塩としては、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、及び酒石酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記アンモニウム塩は、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、臭化アンモニウム及びスルファミン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム及びスルファミン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。
本発明に用いられるハロゲン系酸化剤は、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩及び二酸化塩素からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸マグネシウム等が挙げられる。上記次亜塩素酸塩は、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム及び次亜塩素酸カリウムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸マグネシウム等が挙げられる。上記亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸カルシウム、及び亜塩素酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩素酸塩としては、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム、及び、塩素酸マグネシウム等が挙げられる。上記塩素酸塩は、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウム及び塩素酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記過塩素酸塩としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム及び過塩素酸マグネシウム等が挙げられる。上記過塩素酸塩は、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸カルシウム及び過塩素酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記二酸化塩素は、極めて不安定な化学物質であるため、その貯蔵や輸送は非常に困難である。したがって、その場で公知の方法により二酸化塩素を製造(生成)し、添加濃度に調整して用いるのが好ましい。
例えば、次のような反応により二酸化塩素を製造することができ、市販の二酸化塩素発生器(装置)を用いることもできる。
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの反応
NaOCl+2HCl+2NaClO → 2ClO+3NaCl+H
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との反応
5NaClO+4HCl → 4ClO+5NaCl+2H
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との反応
2NaClO+H+HSO → 2ClO+NaSO+O+2H
本発明に用いられるハロゲン系酸化剤は、次亜塩素酸塩であることがより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ剤は、水に溶解した際にpHがアルカリ性を示す、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩であれば特に限定されない。アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及び酒石酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、本発明に用いられるアルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及びクエン酸三ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びクエン酸三ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。
本発明では、上記アンモニウム塩と上記ハロゲン系酸化剤とを混合する前に、上記アンモニウム塩と上記アルカリ剤とを含む第一組成物、又は、上記ハロゲン系酸化剤と上記アルカリ剤とを含む第二組成物が調製されていることが好ましい。第一組成物及び第二組成物の調製方法は特に限定されず、一般的な混合方法を用いることができる。
本発明における第一組成物は、アンモニウム塩自体のpHに対し、第一組成物のpHが1.08倍以上となるようにアルカリ剤を含ませることが好ましい。アンモニウム塩のpHを上記程度にしたものをハロゲン系酸化剤と反応させて生成される組成物は充分な紙力増強剤の効果向上作用を有するためである。
本発明における第二組成物は、ハロゲン系酸化剤自体のpHに対し、第二組成物のpHが1.05倍以上となるようにアルカリ剤を含ませることが好ましく、1.2倍以上となるようにアルカリ剤を含ませることがより好ましい。ハロゲン系酸化剤のpHを上記程度にしたものをアンモニウム塩と反応させて生成される組成物は充分な紙力増強剤の効果向上作用を有するためである。
また、本発明において、第一組成物のpHが、4.5~8.5であることが好ましい。
具体的に、アンモニウム塩が硫酸アンモニウムである場合の第一組成物のpHが、4.5~8.5であることが好ましく、臭化アンモニウムである場合の第一組成物のpHが、7.0~8.5であることが好ましい。また、アンモニウム塩がスルファミン酸アンモニウムである場合の第一組成物のpHが、5.5~8.5であることが好ましい。
なお、本発明において、pHは、一般的に使用されている測定器を用いて測定することができ、例えば、堀場製作所製のpH計を用いて測定することができる。
本発明において、第二組成物のpHが、10.5~12.5であることが好ましい。
本発明において、ハロゲン系酸化剤とアンモニウム塩とのモル比(ハロゲン系酸化剤:アンモニウム塩)は、残留塩素量と窒素とのモル比として1:1~1:2であることが好ましく、1:1.1~1:2であることがより好ましく、1:1.2~1:2であることがさらに好ましく、1:1.2~1:1.6であることが特に好ましい。
本発明において、第一組成物とハロゲン系酸化剤との重量比、及び、第二組成物とアンモニウム塩との重量比は、ハロゲン系酸化剤とアンモニウム塩とのモル比(ハロゲン系酸化剤:アンモニウム塩)が、上記範囲となるように決定されることが好ましい。
本発明において、上記効果向上用組成物と、紙力増強剤とが接触する際の上記組成物の接触濃度が、0.1~35mg/Lであることが好ましい。上記濃度範囲の本発明の組成物と、紙力増強剤とを接触させることにより、より充分な紙力増強効果が得られるためである。
本明細書において、「紙力増強剤の効果向上用組成物と、紙力増強剤とが接触する際の上記組成物の接触濃度」は、上記効果向上用組成物と紙力増強剤とが接触する際の該効果向上用組成物の調成工程におけるパルプスラリーに対する濃度を意味するものである。白水に上記組成物を添加する際には、調成工程におけるパルプスラリーに対する上記組成物の接触濃度が所定の範囲内となるように、添加する。
本発明において、組成物添加工程後の調成工程水の残留塩素濃度(残留塩素換算濃度)が0.1~35mg/Lであることが好ましい。また、組成物添加工程後の製紙工程水の残留塩素濃度が、残留塩素量として、0.5~30mg/Lであることがより好ましく、1~30mg/Lがさらに好ましく、経済性の点から、1~25mg/Lまたは1~20mg/Lが好ましい。
本発明において、紙力増強剤添加工程により紙原料に添加される紙力増強剤は、組成物添加工程で添加される白水と同一箇所及び/又は調成工程の上流側に添加されることが好ましい。上記効果向上用組成物を含む白水が調成工程に添加されると同時に、調成工程水中の微生物により効果向上用組成物が消費され始める可能性があるため、紙力増強剤を上記白水と同一箇所及び/又は調成工程の上流側に添加することで、上記調成工程水中の微生物により分解される前に効率よく上記効果向上用組成物を紙力増強剤に接触させることができる。
なお、本明細書においては、「上流側」は、調成工程水の流れ方向に対する上流側を意味する。また、本明細書において、同一箇所とは、同一の機器、同一のタンク、同一の配管(機器と機器との間の配管)を意味する。
また、本発明において紙力増強剤添加工程により紙原料に添加される紙力増強剤が、組成物添加工程で添加される白水と同一箇所で添加され、及び/又は調成工程の上流側に添加される場合、上記紙力増強剤及び効果向上用組成物の添加が開始されるタイミングは、調成工程水の流速によって決定されることが好ましい。調成工程の上流側で添加された紙力増強剤が効果向上用組成物の添加位置に到達したタイミングで、効果向上用組成物を添加することにより、より濃度の濃い紙力増強剤と、より濃度の濃い効果向上用組成物とを、より確実に接触させることができるためである。
なお、上記効果向上用組成物の添加量は、該効果向上用組成物と紙力増強剤とが接触する際の効果向上用組成物の接触濃度が、0.1~35mg/Lとなるよう設定されることが好ましい。例えば、紙力増強剤が効果向上用組成物の残留濃度(残留塩素換算濃度)が0.1~35mg/Lの調成工程水と接触するように、効果向上用組成物の添加量が設定されることが好ましい。なお、紙力増強剤と効果向上用組成物とが反応する濃度で接触することにより、紙力増強効果を得ることができる。
また、上記紙力増強剤は、対パルプ固形分100重量%に対して、紙力増強剤の固形分として0.01~2.0重量%添加されることが好ましく、0.05~1.0重量%添加されることが好ましい。紙力増強剤の添加量が上記0.01重量%未満であると、紙力増強効果が充分に得られない可能性があり、2.0重量%を超えると、パルプシートや最終製品として得られる紙に紙力増強剤が付着し、欠点が生じる可能性があるためである。
なお、本発明における「残留塩素量」の記載は、ハロゲン系酸化剤が塩素系酸化剤ではない場合には、「残留塩素量換算値」を意味する。
本発明において、上述した紙力増強剤や効果向上用組成物を含む白水が添加される紙原料は、上記調成工程の前工程であるパルプ化工程において製造されるものであり、古紙及び木材のいずれであってもよい。
例えば、古紙を紙原料とする場合、製紙工程は、上記パルプ化工程として、古紙のパルプ化工程を含んでもよい。古紙のパルプ化工程は、主として離解工程、粗選・精選工程及び脱水・洗浄工程を含んでなる。さらに、古紙に含まれるインクを除去する脱墨工程及びパルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。各工程について具体的に説明すると、原料となる古紙を水と混合しながら機械力でパルプスラリーとする離解(パルパー)工程、古紙に含まれる異物を除去する粗選(除塵)工程、脱墨剤を加えてインキ成分を除去する脱墨工程、古紙に含まれる異物とパルプ分とをスクリーンで分離する精選工程、パルプスラリーを水洗する洗浄工程、及びパルプの脱水を行う脱水工程、漂白剤を加えてパルプの漂白を行う漂白工程である。上記各工程で用いられる水、及び排水される水を白水といい、上記パルパー工程において原料である古紙と白水とが混合されたものをパルプスラリーという。
また、木材を紙原料とする場合、製紙工程は、上記パルプ化工程として、化学パルプのパルプ化工程や機械パルプのパルプ化工程を含んでもよい。化学パルプのパルプ化工程は、主として調木工程、蒸解工程、精選・洗浄工程及び脱水工程を含んでなる。さらに、パルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。上記蒸解工程では、チップに薬品を加え、高温・高圧で煮て、樹脂(リグニン)を溶かし繊維分を取り出し、チップをパルプ化する。すなわち、パルプ原料は蒸解工程を経てパルプスラリーとなる。また、機械パルプのパルプ化工程は、主として砕木工程、除塵工程及び濃縮工程を含んでなる。さらに、パルプを化学的に漂白する漂白工程を含む場合もある。上記工程では機械的に繊維化することでパルプスラリーとなる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1~6、比較例1)
[原料の作製]
(1)段ボールを3cm×3cmの大きさに裁断したものを固形分濃度3%になるように上水に浸した後、実験室用離解機を用いて2000rpmの回転数で20分間離解を行った。
(2)得られたパルプスラリーから未離解物を取り除くため、実験室用フラットスクリーンに通し、得られたパルプスラリーのパルプ濃度が3%となるように調成し、これを原料とした。
[模擬白水の作製]
得られた原料を一部採取し、固形分濃度0.2%となるように上水で希釈し、これを模擬白水とした。
[原料の調成、紙力測定用シートの作製・紙力の測定]
(1)模擬白水に予め下記製法で得られた効果向上用組成物(1)又は効果向上用組成物(2)を、最終的に原料と模擬白水を混ぜてパルプ濃度1%のスラリーとなったものに対して、表1に示した濃度となるように添加し、スリーワンモーターを用いて150rpmで30秒間攪拌し、これを模擬白水(効果向上用組成物含)とした。なお、効果向上用組成物(1)又は(2)は、下記工程(2)で全ての薬剤を添加し、攪拌し終わって最終的に得られる調成した原料の一部を採取し、全残留塩素濃度を測定するために、対1%パルプスラリーの濃度で添加した。
<効果向上用組成物(1)>
硫酸アンモニウム(キシダ化学社製試薬)3.5mol/Lと次亜塩素酸ナトリウム(キシダ化学社製試薬)1.7mol/Lとを混合した反応物。
<効果向上用組成物(2)>
硫酸アンモニウム(キシダ化学社製試薬)3.5mol/L及び水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製試薬)2.7×10-3mol/Lを含む第一組成物(pH6.8)と次亜塩素酸ナトリウム(キシダ化学社製試薬)1.7mol/Lを含む第二組成物とを混合した反応物。
(2)原料をスリーワンモーターを用いて150rpmで攪拌しながら15秒おきに硫酸バンド(硫酸アルミニウム)(対パルプ30kg/ton)、サイズ剤(対パルプ6.0kg/ton)、下記紙力増強剤(対パルプ16kg/ton)を添加し、最後にパルプ濃度が1%になるように模擬白水(効果向上用組成物含)を加え、さらに60秒間攪拌した。得られた調成した原料の残留塩素濃度を測定した。結果を表1に示した。
紙力増強剤:内添タイプの乾燥紙力増強剤(カチオン性ポリアクリルアミド乾燥紙力増強剤)
(3)上記工程(2)で調成した原料を用いJIS P8222に準じてシートを作製した。
(4)得られたシートを用いJIS P8112の方法で比破裂強度を測定した。結果を表1に示した。
上記工程(2)で調製したパルプスラリーの残留塩素濃度、上記工程(4)で測定した比破裂強度は下記の機器を用いて測定した。
(残留塩素濃度の測定)
残留塩素測定器:笠原工業社製
(比破裂強度の測定)
比破裂試験機:日本T.M.C社製
(紙力向上率)
(1)得られた各パルプシートの紙重量を測定し、坪量を算出した。
(2)(1)のパルプシートを、JIS P 8223「試験用手抄き紙-物理的特性の試験方法」に規定されている、JIS P 8112「紙及び板紙のミューレン低圧破裂試験機による破裂強さ試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(3)上記(1)で得られた坪量と上記(2)で得られた破裂強度から、比破裂強度を算出した。
(4)下記式に基づいて紙力向上率を算出し、表1に示した。
[式](紙力向上率)=(各実施例の比破裂強度)/(比較例1の比破裂強度)×100
Figure 0007219517000001
(実施例7~10、比較例2)
[原料]
現場(某板紙工場)で採取した調成前原料(パルプ濃度3%)を準備した。
[白水]
現場(某板紙工場)で採取した白水を準備した。
[原料の調製、紙力測定用シートの作製・紙力の測定]
準備した白水に予め上記効果向上用組成物(2)を、最終的に原料と白水を混ぜてパルプ濃度1%のスラリーとなったものに対して、表2に示した濃度となるように添加し、スリーワンモーターを用いて150rpmで30秒間攪拌し、これを白水(効果向上用組成物含)とした。
模擬白水(効果向上用組成物含)に代えて得られた白水(効果向上用組成物含)を用いた以外は、実施例1と同様にして原料を調成し、シートの作製及び比破裂強度の測定をした。結果を表2に示した。
Figure 0007219517000002

Claims (6)

  1. 製紙工程中の調成工程における紙力増強剤の効果向上方法であって、
    前記調成工程において、紙力増強剤を添加する紙力増強剤添加工程と、前記調成工程に添加される白水に前記紙力増強剤の効果向上用組成物を添加する組成物添加工程とを有し、
    前記組成物添加工程後の調成工程におけるパルプスラリーの残留塩素濃度が0.1~35mg/Lとなるような量の前記紙力増強剤の効果向上用組成物を前記白水に添加する
    ことを特徴とする紙力増強剤の効果向上方法。
  2. 紙力増強剤の効果向上用組成物は、アンモニウム塩とハロゲン系酸化剤とを混合することにより生成される、又は、アンモニウム塩及びアルカリ剤を含む第一組成物とハロゲン系酸化剤とを混合する、若しくは、ハロゲン系酸化剤及びアルカリ剤を含む第二組成物とアンモニウム塩とを混合する、ことにより生成される、請求項1に記載の紙力増強剤の効果向上方法。
  3. アンモニウム塩は、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、臭化アンモニウム及びスルファミン酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2に記載の紙力増強剤の効果向上方法。
  4. ハロゲン系酸化剤は、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩及び二酸化塩素からなる群より選択される少なくとも1種である請求項2又は3に記載の紙力増強剤の効果向上方法。
  5. ハロゲン系酸化剤とアンモニウム塩とのモル比(ハロゲン系酸化剤:アンモニウム塩)は、残留塩素量と窒素とのモル比として1:1~1:2である請求項2、3又は4に記載の紙力増強剤の効果向上方法。
  6. 第一組成物のpHが、4.5~8.5である請求項2、3、4又は5に記載の紙力増強剤の効果向上方法。
JP2022059841A 2022-03-31 2022-03-31 紙力増強剤の効果向上方法 Active JP7219517B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022059841A JP7219517B1 (ja) 2022-03-31 2022-03-31 紙力増強剤の効果向上方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022059841A JP7219517B1 (ja) 2022-03-31 2022-03-31 紙力増強剤の効果向上方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7219517B1 true JP7219517B1 (ja) 2023-02-08
JP2023150630A JP2023150630A (ja) 2023-10-16

Family

ID=85172218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022059841A Active JP7219517B1 (ja) 2022-03-31 2022-03-31 紙力増強剤の効果向上方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7219517B1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014002945A1 (ja) 2012-06-25 2014-01-03 株式会社片山化学工業研究所 板紙の製造方法
JP2021059813A (ja) 2019-10-07 2021-04-15 株式会社片山化学工業研究所 製紙工程における紙力増強剤の効果向上方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014002945A1 (ja) 2012-06-25 2014-01-03 株式会社片山化学工業研究所 板紙の製造方法
JP2021059813A (ja) 2019-10-07 2021-04-15 株式会社片山化学工業研究所 製紙工程における紙力増強剤の効果向上方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023150630A (ja) 2023-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU731377B2 (en) A process for stabilizing the pH of a pulp suspension and for producing paper from the stabilized pulp
JP5621082B2 (ja) 板紙の製造方法
CN104204352A (zh) 纸浆制造工序中的腐浆控制方法
JP2011074528A (ja) セルロースナノファイバーを添加して抄紙した紙およびその製造方法
WO2008076267A2 (en) A process in a (d) stage bleaching of softwood pulps in a presence of mg(oh)2
CN108602895A (zh) 阴离子改性纤维素纳米纤维分散液及其制造方法
JP4735117B2 (ja) 製紙方法
JP6664627B1 (ja) 製紙工程における紙力増強剤の効果向上方法
JP7219517B1 (ja) 紙力増強剤の効果向上方法
EP2834407B1 (en) A method for bleaching pulp
JP7219518B1 (ja) 紙力増強剤の効果向上方法
JP2022167545A (ja) 製紙工程における紙力増強剤の効果向上方法
AU749481B2 (en) Additive for paper making
RU2456395C2 (ru) СПОСОБ ОТБЕЛКИ ЛИСТВЕННОЙ ЦЕЛЛЮЛОЗЫ НА СТУПЕНИ (D) В ПРИСУТСТВИИ Mg(OH)2
EP2781651B1 (en) Process for fiber loading
JP6023953B2 (ja) 古紙パルプの漂白方法
PL181248B1 (pl) Sposób delignifikacji pulpy celulozowej
JP6865936B2 (ja) 古紙パルプの製造方法
JP2022072306A (ja) ペーパースラッジを原料として含む再生パルプの製造方法
JP4802015B2 (ja) 外添型ピッチコントロール剤
JP6806336B2 (ja) 古紙パルプの離解促進方法
JP2004124265A (ja) 二酸化塩素漂白効率の改善方法
JPH0366434B2 (ja)
JP6340587B2 (ja) 板紙の製造方法
JP2007162148A (ja) 製紙原料の漂白方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220726

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7219517

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150