JP7211303B2 - 自己診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自己診断装置に関する。
近年、衝突防止や自動運転などの技術が数多く提案されており、レーダ技術を使用し自装置からターゲット(物標)までの距離、ターゲットとの相対速度、ターゲットの存在角度(レーダ受信波の到来角度)を測定する技術が注目されている。例えば出願人は、自装置からターゲットまでの距離、ターゲットとの相対速度、ターゲットの存在角度を測定する装置として、移動体用のミリ波帯レーダシステムを提案している。
ミリ波帯レーダシステムは、例えばミリ波帯の高周波領域の信号を生成し外部との間で送受する。この種の装置をテストするときには、ミリ波帯の外部信号源を入力し受信部をテストすることが考えられるが、より低コストで量産テストの可能な自己診断機能を実現することが望まれている。半導体集積回路は、出荷時の試験に要するコストを低減するため、その内部にて試験を行うBIST(Built-In-Self Test)機能を設けている。このBIST機能は、例えば非特許文献1に開示されている。
非特許文献1記載の技術では、BIST機能をチップの下部に配置し、チップの一の角部から左上のチャンネル受信機までTML型分配器を配置することで、BIST用の信号を受信入力にカップリングさせている。
Bon-Hyun Ku, Gabriel M. Rebeiz, et al., "A High-Linearity 76-85-GHz 16-Element 8-Transmit/8-Receive Phased-Array Chip With High Isolation and Flip-Chip Packaging," IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol. 62, no. 10, Oct, 2014
発明者は、特許文献1記載の技術を採用した場合、チャンネル間の距離が700μmであることを導き出したため、特許文献1の技術が想定している76~85GHzの周波数帯では位相換算すると約140°となることを見出している。チャンネルは、多数(例えば8チャンネル)設けられているため、これらのチャンネル毎に位相がばらつくことが確認されており、自己診断する際のテスタビリティが悪いことが判明した。
本開示の目的は、外部信号源を使用することなく容易に自己診断できるようにした自己診断装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、アンテナ(15)を通じて高周波入力される高周波信号を増幅する高周波増幅器(11)と、前記高周波信号を第1のローカル信号によりダウンコンバージョンする第1の周波数混合器(12)と、前記第1の周波数混合器により出力される中間周波数の信号を増幅する中間周波数増幅器(14)と、を複数のチャンネル毎にそれぞれ備え、さらにPLL(5)と、第2の周波数混合器(22)と、を備える。PLLは、第1のローカル信号を生成すると共に自己診断用の第2のローカル信号及び第2のローカル信号より低くDCを超える周波数条件を満たす自己診断用オフセット周波数信号を全て生成するように構成される。
PLLは、第1及び第2のローカル信号及び自己診断用オフセット周波数信号を全て生成しているため、複数のPLLを設ける必要がなくなり、チップサイズを小さくでき、混信やスプリアスの発生を抑制できる。
第2の周波数混合器は、PLLが生成した前記第2のローカル信号に自己診断用オフセット周波数信号をアップコンバートして2トーンを生成し複数のチャンネル毎に設けられるPADカプラ(17;617)に入力させるように構成されている。自己診断装置は、アップコンバートされた2トーンの信号を用いて、高周波入力から高周波増幅器、第1の周波数混合器、中間周波数増幅器を通じてダウンコンバートされて得られる信号を用いて自己診断する。
TML型分配器(31;231;331;431;531)は、PADカプラに入力させる2トーンを分配するが、PADカプラに入力させる周波数帯に対応した波長をλとしたとき、複数のチャンネル毎にPADカプラに向かう分岐をλ/2間隔に配置している。このため、基準となる位相から、受信チャンネル毎に180°ステップで変更できるようになり、各受信チャンネルの相対位相値を0°又は180°に規則的に集約させることができる。自己診断装置は、受信チャンネル毎に相対位相値を評価するときに、基準位相に対する偏差を導出することで受信チャンネル毎の相対位相値を容易に評価できる。この結果、テスタビリティを向上できる。
第1実施形態に係るTML型分配器を模式的に表す構成図 ミリ波レーダシステムの模式的な全体構成図 模式的に表す電気的構成図 ダウンコンバージョン前後の2トーンの周波数説明図 自己診断処理フロー図(その1) 自己診断処理フロー図(その2) 自己診断処理フロー図(その3) 自己診断処理フロー図(その4) 位相変化時における2トーンの位相関係の説明図 各チャンネルの位相評価結果 自己診断用オフセット周波数信号の波形と中間周波数増幅器の出力信号波形をモニタした結果 第2実施形態に係るTML型分配器を模式的に表す構成図 第3実施形態に係るTML型分配器を模式的に表す構成図 第4実施形態に係るTML型分配器を模式的に表す構成図 第5実施形態に係るTML型分配器を模式的に表す構成図 第6実施形態に係るPADカプラの周辺構造を模式的に表す平面図及び縦断側面図
以下、自己診断装置の幾つかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する
(第1実施形態)
図2に示すレーダシステム1は、制御器2、送信部3、受信部4、PLL5、及び自己診断信号生成部6を備えている。送信部3は、2以上のNチャンネル分の送信機3aにより構成され、受信部4は、2以上のMチャンネル分の受信機4aにより構成される。
制御器2は、例えばロジック回路などの制御主体により構成され、各送信機3aの利得の可変制御、PLL5の出力周波数制御、と共に、移相器24が信号を移相する移相量φを制御する移相量制御部としての各種制御機能を備える。また制御器2は、中間周波数信号IFOUT等の各種信号をモニタするモニタ部としても構成される。
PLL5は、基準発振回路Cにより生成される基準クロックCLKを入力し、この基準クロックCLKを用いて、例えば40GHz帯の周波数fLO1の第1のローカル信号LO1を生成し各送信機3aに出力する。
各送信機3aは、移相器7、周波数ダブラ8、及びパワーアンプ9を縦続接続して構成される。移相器7は、制御器2から入力される制御信号に基づいて、PLL5が出力する第1のローカル信号LO1の位相を変更し、周波数ダブラ8に出力する。周波数ダブラ8は、移相器7の出力周波数を2倍してパワーアンプ9に出力する。パワーアンプ9は、周波数ダブラ8の出力を電力増幅し、送信アンテナ10に出力することで送信アンテナ10からレーダ波をターゲットTに照射する。
各受信機4aは、高周波増幅器11、第1の周波数混合器12、フィルタ13、及び中間周波数増幅器14を縦続接続して構成され、ターゲットTに反射したレーダ波を受信アンテナ15を通じて受信する。
高周波増幅器11は、例えばローノイズアンプにより構成され、受信アンテナ15から受信入力したミリ波帯の高周波信号を増幅し、第1の周波数混合器12に出力する。高周波増幅器11の利得は、例えば数dB程度に設定されている。また各受信機4aには、周波数ダブラ16が備えられる。周波数ダブラ16は、PLL5により生成された周波数fLO1の第1のローカル信号LO1を入力し周波数を2倍して第1の周波数混合器12に出力する。第1の周波数混合器12は、周波数ダブラ16により高周波増幅器11の出力をダウンコンバートしフィルタ13に出力する。フィルタ13は、入力信号をIF帯に帯域制限して中間周波数増幅器14に出力する。
中間周波数増幅器14は制御器2により増幅度を変更可能に構成され、フィルタ13の出力を例えば数dB~数十dBの範囲で増幅し、中間周波数信号IFOUTとする。レーダシステム1は、中間周波数信号IFOUTをA/D変換した後にFFT処理することに基づいて、ターゲットTとの間の距離や相対速度、ターゲットTが存在する方位角を算出する。
レーダシステム1は、受信部4の自己診断機能を備えており、この自己診断機能を実現するため自己診断信号生成部6が設けられている。また自己診断機能を実現するため、PLL5は、基準発振回路Cの基準クロックCLKの逓倍数等のパラメータを調整することで、前述の第1のローカル信号LO1を生成すると共に、自己診断用の第2のローカル信号LO2、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKを全て生成する。自己診断用の第2のローカル信号LO2は、周波数fLO1と同一の周波数fLO2の信号である。自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKは、第2のローカル信号LO2の周波数fLO2よりも低くDCを超える周波数条件を満たす周波数fCLK(例えば、20MHz程度)の信号である。
同一のPLL5が、これらの信号を全て生成するため、これらの第1のローカル信号LO1、第2のローカル信号LO2、及び自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKは、基準クロックCLKの周波数変動や外的環境変動による周波数特性変化に高い相関性を備える。
図3に示すように、各受信機4aは、受信アンテナ15を通じて受信信号を入力するパッドP1を備える。これらの各受信機4aは、パッドP1に近接した位置にPADカプラ17を備える。PADカプラ17は、バンプの近くに構成されている。
他方、自己診断信号生成部6は、周波数ダブラ21、第2の周波数混合器22、可変増幅器23、移相器24、及び、増幅器25を縦続接続して構成されている。自己診断信号生成部6は、増幅器25の出力を、TML型分配器31により分配して個々の受信機4a毎に設けられるPADカプラ17に入力させるように構成されている。
図1に示すように、TML型分配器31は、自己診断信号生成部6から入力した信号を各受信チャンネルCH1…CH8の受信機4a毎に設けられるPADカプラ17に分配する。TML型分配器31は、各受信チャンネルCH1…CH8のPADカプラ17の間に直線伝送線路32を用いると共に受信チャンネルCH2…CH4、CH5…CH7のPADカプラ17に対する分岐点N2…N4、N5…N7にそれぞれT字型分岐路33を配置して構成されている。またTML型分配器31は、端部に位置する各受信チャンネルCH1、CH8の分配点N1、N8にL字型の伝送線路34を配置して構成されている。
PADカプラ17に入力させる周波数帯に対応した波長をλとしたとき、TML型分配器31は、複数のチャンネル毎のPADカプラ17に向かう隣り合う分岐点N1-N2、N2-N3、…、N7-N8の間の距離をλ/2とすることで、PADカプラ17に向かう分岐をλ/2間隔に配置するように構成されている。特にTML型分配器31は、複数の受信チャンネルCH1…CH8の全体の中央位置に例えばT字分岐路35を配置し、当該中央位置から当該全ての受信チャンネルCH1…CH8のPADカプラ17に分配するように構成されていることが望ましい。
以下、受信機4aの自己診断方法を簡単に説明する。レーダシステム1が、受信機4aを自己診断するときには、PLL5が、周波数fLO2(=fLO1)の第2のローカル信号LO2を周波数ダブラ21を介して第2の周波数混合器22に出力すると共に、この第2のローカル信号LO2より低い周波数条件を満たす周波数fCLKの自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKを出力する。すると第2の周波数混合器22は、PLL5が生成した第2のローカル信号LO2の周波数を2倍した信号に、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKをアップコンバートすることで、所定の周波数帯域幅内に周波数2×fLO2±fCLKの2トーン信号を生成できる。
図4には、第2の周波数混合器22が2トーンの信号を生成する場合に、要部に出力される主な周波数成分を図示している。また図4の左側には、第2の周波数混合器22による2トーンの周波数2×fLO2±fCLKの混合信号の出力PBISTを示している。
移相器24は、第2の周波数混合器22からPADカプラ17に至るまでの経路に備えられ、第2の周波数混合器22から2トーンの信号を入力すると、基準位相(例えば0°)に対し2トーンをそれぞれ移相し、この移相した信号を増幅器25、TML型分配器31を通じてPADカプラ17に出力する。
PADカプラ17は、移相器24を通じて出力される周波数2×fLO2±fCLKの2トーンの周波数帯の信号をカップリングし、高周波増幅器11に入力させる。高周波増幅器11は、この2トーンの信号を増幅し、第1の周波数混合器12に出力する。
第1の周波数混合器12は、この増幅された2トーンの信号を周波数fLO1の第1のローカル信号LO1と混合する。そしてフィルタ13が、中間周波数帯(IF帯)に帯域制限した後、中間周波数増幅器14は、第1の周波数混合器12により混合された混合信号を増幅し、中間周波数信号IFOUTとして出力する。第1の周波数混合器12は、周波数2×fLO2±fCLKの信号に周波数fLO1の第1のローカル信号LO1の2倍の周波数2×fLO1の信号を混合して中間周波数信号IFOUTとして出力する。
原理的に、第1の周波数混合器12は、高周波数側の出力PBIST(RF+)と低周波数側の出力PBIST(RF-)とを同一周波数にダウンコンバートするため、図4の右側に示すように、混合信号の周波数をfCLKとして出力することになる。
具体例を挙げて説明すると、制御器2は、図5Aに示すように、第2のローカル信号LO2を例えば40GHzに設定することで第2の周波数混合器22に入力させる周波数2×fLO2を例えば80GHzに設定すると共に、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKの周波数fCLKを例えば20MHzに設定する。するとPADカプラ17は、周波数2×fLO2±fCLKの2トーンの信号をカップリング入力する。この後、図5Bに示すように、制御器2が、移相器24により位相Δφを調整することで、第1の周波数混合器12から中間周波数信号IFOUTとして出力させる1トーンを可変利得制御する。
制御器2は、周波数2×fLO2±fCLKの2トーンの間のイメージ干渉を利用し、第1の周波数混合器12の出力の信号レベルを最も低くするように移相器24の位相Δφを調整制御する。図5Cに、第1の周波数混合器12による中間周波数信号IFOUTの出力を示すように、制御器2は、移相器24の位相Δφを調整制御することで例えば-30dBmから最小-40dBmにレベルを変化させる。すると、図5Dに示すように、自己診断時において、中間周波数増幅器14の利得可変範囲を例えば最小0dB~最大30dBまで極力広くできる。これにより、ミリ波帯を増幅する高周波増幅器11によるゲイン(例えば、数dB)だけでは実現困難な利得可変範囲を実現できる。
図6には、移相器24の位相Δφの変化時における2トーンの位相関係を示しており、第2の周波数混合器22により生成される2トーンを、それぞれ、所望波(Desired tone)、イメージ波(Image tone)として示している。
制御器2が、移相器24により位相Δφを0°~360°の間で変化させると、所望波及びイメージ波が互いに逆方向に同時に位相変化するため、その2トーンの間の位相変化はその2倍となる。所望波及びイメージ波が互いに弱め合ったり強め合ったりすることで中間周波数信号IFOUTの出力レベルを変化させることができる。
以下、TML型分配器31の意義を説明する。このような一連の自己診断処理において、
PADカプラ17に入力させる周波数帯に対応した波長をλとしたとき、TML型分配器31は、複数のチャンネル毎のPADカプラ17に向かう分岐をλ/2間隔に配置するように構成されている。このため、TML型分配器31は、自己診断信号生成部6が生成した2トーン信号の位相を各受信チャンネル毎に180°ステップで調整して各受信機4aのPADカプラ17に入力させることができる。
図7に示すように、レーダシステム1が中間周波数信号IFOUTをAD変換した後にFFTすることで各受信チャンネルCH1~CH8の相対位相値を評価すると、全ての受信チャンネルCH1~CH8について、ある基準受信チャンネル(例えばCH4)に対する各受信チャンネルの中間周波数信号IFOUTの相対位相値を180°ステップで変化させることができ、各受信チャンネルの中間周波数信号IFOUTの相対位相値を0°又は180°に規則的に集約させることができる。
レーダシステム1は、各受信チャンネル毎の中間周波数信号IFOUTの位相値を評価するときに、ある基準受信チャンネル(例えばCH4)の基準位相値に対して180°毎に変化する値(0°又は180°)を基準とした位相の偏差を検出することで、各受信チャンネルCH1…CH8の間の相対位相値を評価できる。各受信チャンネルCH1…CH8の間の相対位相値について180°毎の位相値を基準値として評価できるため、評価を容易に行うことができ、テスタビリティを向上できる。
またTML型分配器31は、受信チャンネルCH1…CH8の全体の中央位置から当該全ての受信チャンネルCH1…CH8のPADカプラ17に分配しているため、TML型分配器31を省スペースで実現でき、受信チャンネルCH1…CH8の間の受信信号強度差を緩和できる。例えば、受信チャンネル数が8となる場合、端部に位置する受信チャンネルCH1及びCH8の間の受信信号電力差を少なくできる。
また図8に示すように、レーダシステム1は、第2の周波数混合器22に入力される自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKを直接モニタすることで、この自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKを位相比較基準信号とし、各受信チャンネルCH1…CH8における中間周波数信号IFOUTの位相を検出することもできる。これにより、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKの位相を基準として絶対位相を評価でき、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKに対する中間周波数信号IFOUTの絶対位相を各受信チャンネルCH1…CH8毎に評価できる。
なお、第2の周波数混合器22に入力される自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKと、第1の周波数混合器12の出力信号、中間周波数信号IFOUTとを位相比較してもよい。この場合も同様の作用効果を奏する。
<まとめ>
レーダシステム1は、各受信チャンネルCH1…CH8毎の中間周波数信号IFOUTの位相値を評価するときに、ある基準受信チャンネル(例えばCH4)に対して180°毎に変化する値を基準として位相変化量を検出することで、各受信チャンネルCH1…CH8の間の受信信号の相対位相値を評価できる。レーダシステム1は、各受信チャンネルCH1…CH8の間の相対位相値について、180°毎の位相値を基準として評価できるため、各受信チャンネルCH1…CH8の受信信号の相対位相値を容易に評価できるようになり、テスタビリティを向上できる。
またTML型分配器31は、複数の受信チャンネルCH1…CH8の全体の中央位置から当該全ての受信チャンネルCH1…CH8の受信機4aのPADカプラ17に分配しているため、TML型分配器31を省スペースで実現でき、各受信チャンネルCH1…CH8の間の受信信号強度差を緩和できる。例えば、図1に示すように、受信チャンネル数が8チャンネルである場合、端部に位置する受信チャンネルCH1及び受信チャンネルCH8の間の受信電力差を少なくできる。
またレーダシステム1は、第2の周波数混合器22に入力される自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKと、中間周波数信号IFOUTとの位相を比較することで、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKの位相を基準とした絶対位相を検出できる。すなわち、自己診断用オフセット周波数信号BIST_CLKに対する中間周波数信号IFOUTの絶対位相を各受信チャンネルCH1…CH8毎に評価できる。
(第2実施形態)
図9にTML型分配器231を例示したように、受信チャンネル数を4チャンネルとした場合にも適用できる。受信チャンネル数は複数であれば何チャンネルでも適用できる。
(第3実施形態)
図10にTML型分配器331を例示したように、TML型分配器331が、受信チャンネルCH1~CH4のうちの端部に位置して終端器36を備えていても良い。終端器36は、TML型分配器331を構成する分配線路の特性インピーダンスと同じインピーダンスの抵抗器により構成される。これによりインピーダンス整合を図ることができる。
(第4実施形態)
図11にTML型分配器431を例示したように、TML型分配器431は、ミアンダ線路37(Meander型TML(Transmission Line))を用いて各受信チャンネルCH1~CH4の間のλ/2間隔を実現するように構成されていても良い。すると、省面積、省容積にてλ/2線路を構成できる。
(第5実施形態)
図12にTML型分配器531とその入力経路を例示したように、TML型分配器531の入力経路にウィルキンソン分配器38(Wilkinson divider)を備えるように構成しても良い。ウィルキンソン分配器38は、入力信号を2方向に分岐して信号を分配するように構成され、λ/4線路38aを一対用いて受信チャンネルCH4及びCH5のPADカプラ17の間にλ/2間隔を構成している。これにより、受信チャンネルCH4及びCH5の間のアイソレーションを十分に確保できる。
(第6実施形態)
図13にPADカプラ617とその周辺構造を例示している。前述したレーダシステム1の回路は半導体集積回路40の内部に構成されるが、半導体集積回路40はシリコン基板41を母体として構成される。シリコン基板41の上にはメタルスタック構造42が構成される。メタルスタック構造42の上にはWLCSP(Wafer Level Chip Sized Package)50が構成されている。WLCSP50は、銅ピラー51を下部に形成したはんだバンプ52、及び、再配線層53を接続した構造を具備する。はんだバンプ52には、受信アンテナ15を通じて高周波入力される。
メタルスタック構造42は、シリコン基板41の上方に位置して複数のメタル層を互いに絶縁膜を挟んで積層されている。メタルスタック構造42は、トップ厚メタル層L1、2ndトップ厚メタル層L2、3rdトップ厚メタル層L3の少なくとも3層の積層構造を備え、その下層には複数(例えば6層)の薄メタル層(図示せず)が構成され、トップ厚メタル層L1、2ndトップ厚メタル層L2、3rdトップ厚メタル層L3、及び、複数の薄メタル層は、上層からこの順に構成されている。すなわち2ndトップ厚メタル層L2は、トップ厚メタル層L1の下段に構成され、3rdトップ厚メタル層L3は、2ndトップ厚メタル層L2の下段に構成される。
パッドP1は、トップ厚メタル層L1を用いて構成されており、再配線層53は、はんだバンプ52及び銅ピラー51とパッドP1とを接続するように構成されている。
PADカプラ617は、2ndトップ厚メタル層L2と3rdトップ厚メタル層L3との間に絶縁膜を挟んで離間しており、2ndトップ厚メタル層L2と3rdトップ厚メタル層L3との間の容量結合により形成される。
他方、TML型分配器31からPADカプラ617に向けて引き出し配線43が設けられている。引き出し配線43は、3rdトップ厚メタル層L3に構成され、TML型分配器31から結合する結合容量配線として用いられる。引き出し配線43は、トップ厚メタル層L1、2ndトップ厚メタル層L2を使用することなく、3rdトップ厚メタル層L3に構成されているため、はんだバンプ52との距離を極力大きくでき、はんだバンプ52との間の寄生容量を極力抑制できる。また、図13の上面図に示すように、引き出し配線43は、はんだバンプ52の直下を避けるように配置されているため、はんだバンプ52との間に寄生する寄生容量を極力抑制できる。このため、受信性能劣化を極力抑制できる。
(他の実施形態)
本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
移相器24は、必要に応じて設ければ良い。
前述した複数の実施形態の構成、機能を組み合わせても良い。前述実施形態の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も実施形態と見做すことが可能である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において考え得るあらゆる態様も実施形態と見做すことが可能である。
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
図面中、1はレーダシステム(自己診断装置)、2は制御器(モニタ部)、5はPLL、12は第1の周波数混合器、14は中間周波数増幅器、15は受信アンテナ(アンテナ)、17,617はPADカプラ、22は第2の周波数混合器、31,231,331,431,531はTML型分配器、36は終端器、37はミアンダ線路、38はウィルキンソン分配器、を示す。

Claims (8)

  1. アンテナ(15)を通じて高周波入力される高周波信号を増幅する高周波増幅器(11)と、前記高周波信号を第1のローカル信号によりダウンコンバージョンする第1の周波数混合器(12)と、前記第1の周波数混合器により出力される中間周波数の信号を増幅する中間周波数増幅器(14)と、を複数のチャンネル毎にそれぞれ備えると共に、
    PLL(5)と、
    第2の周波数混合器(22)と、を備え、
    前記PLLは、前記第1のローカル信号を生成すると共に自己診断用の第2のローカル信号及び前記第2のローカル信号より低くDCを超える周波数条件を満たす自己診断用オフセット周波数信号を全て生成するように構成され、
    前記第2の周波数混合器は、前記PLLが生成した前記第2のローカル信号に前記自己診断用オフセット周波数信号をアップコンバートして2トーンを生成し前記複数のチャンネル毎に設けられるPADカプラ(17;617)に入力させるように構成され、前記アップコンバートされた2トーンの信号を用いて、前記高周波入力から前記高周波増幅器、前記第1の周波数混合器、前記中間周波数増幅器を通じてダウンコンバートされて得られる信号を用いて自己診断する自己診断装置(1)であって、
    前記PADカプラに入力させる2トーンを分配するTML型分配器(31;231;331;431;531)を備え、
    前記PADカプラに入力させる周波数帯に対応した波長をλとしたとき、前記TML型分配器は、前記複数のチャンネル毎に前記PADカプラに向かう分岐をλ/2間隔に配置した自己診断装置。
  2. 前記TML型分配器は、前記複数のチャンネル全体の中央位置から全てのチャンネルの前記PADカプラに分配する請求項1記載の自己診断装置。
  3. 前記第1の周波数混合器(4)又は前記中間周波数増幅器(7)の出力信号との絶対位相を比較するために、位相比較基準信号となる前記第2の周波数混合器に入力される前記自己診断用オフセット周波数信号を直接モニタするモニタ部(2)を備える請求項1又は2記載の自己診断装置。
  4. 前記TML型分配器(431)は、ミアンダ線路(37)を用いて構成される請求項1ないし3の何れか一項に記載の自己診断装置。
  5. 前記TML型分配器(331)は、前記複数のチャンネルの端部に位置する分配線路を当該分配線路の特性インピーダンスと同じインピーダンスの抵抗器により終端する終端器(36)を備える請求項1から3の何れか一項に記載の自己診断装置。
  6. 前記TML型分配器(531)の入力経路にウィルキンソン分配器(Wilkinson divider)(38)をさらに備える請求項1から3の何れか一項に記載の自己診断装置。
  7. 前記アンテナを通じて高周波入力されWLCSP(Wafer Level Chip Sized Package)(50)を構成するはんだバンプ(52)と、
    前記はんだバンプとシリコン基板(41)の上のパッド(P1)との間に接続される再配線層(53)と、
    前記シリコン基板の上に、前記パッドを形成するためのトップ厚メタル層(L1)、前記トップ厚メタル層の下段に構成される2ndトップ厚メタル層(L2)、前記2ndトップ厚メタル層の下段に構成される3rdトップ厚メタル層(L3)、及び、複数の薄メタル層が上層から順に構成されるメタルスタック構造(42)と、を備え、
    前記TML型分配器から前記PADカプラに向かう引き出し配線(43)と、を備え、
    前記PADカプラは、前記2ndトップ厚メタル層と前記3rdトップ厚メタル層との間の容量結合により形成され、
    前記引き出し配線は、前記トップ厚メタル層、前記2ndトップ厚メタル層を使用することなく、前記3rdトップ厚メタル層により前記TML型分配器から結合した結合容量配線として用い、前記はんだバンプの直下を避けるように配置されている請求項1から6の何れか一項に記載の自己診断装置。
  8. 前記第2の周波数混合器から前記TML型分配器の入力に至るまでの経路に位置して前記2トーンの位相を変化させる移相器(24)を備える請求項1から7の何れか一項に記載の自己診断装置。
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