JP7205460B2 - 車両用制御データの生成方法、車両用制御装置、車両用制御システム、および車両用学習装置 - Google Patents

車両用制御データの生成方法、車両用制御装置、車両用制御システム、および車両用学習装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両用制御データの生成方法、車両用制御装置、車両用制御システム、および車両用学習装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、アクセルペダルの操作量をフィルタ処理した値に基づき、車両に搭載される内燃機関の操作部としてのスロットルバルブを操作する制御装置が記載されている。
特開2016-6327号公報
ところで、上記フィルタは、アクセルペダルの操作量に応じて車両に搭載される内燃機関のスロットルバルブの操作量を適切な操作量に設定するものである必要があることから、その適合には熟練者が多くの工数をかける必要が生じる。このように、従来は、車両の状態に応じた車両内の電子機器の操作量等の適合には、熟練者が多くの工数をかけていた。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.車両の状態と前記車両内の電子機器の操作に関する変数である行動変数との関係を規定する関係規定データが記憶装置に記憶された状態で、センサの検出値に基づく前記車両の状態、および前記車両の走行する道路を特定する変数である道路変数を取得する取得処理と、前記電子機器を操作する操作処理と、前記取得処理によって取得された前記車両の状態に基づき、前記車両の特性が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える報酬算出処理と、前記取得処理によって取得された前記車両の状態、前記電子機器の操作に用いられた前記行動変数の値、および該操作に対応する前記報酬を予め定められた更新写像への入力とし、前記関係規定データを更新する更新処理と、を実行装置に実行させ、前記更新写像は、前記関係規定データに従って前記電子機器が操作される場合の前記報酬についての期待収益を増加させるように更新された前記関係規定データを出力するものであり、前記報酬算出処理は、前記道路変数の値が第1の値である場合に前記車両の特性が所定の特性であるときに与える前記報酬に対して前記道路変数の値が第2の値である場合に前記車両の特性が前記所定の特性であるときに与える報酬を変更する変更処理を含む車両用制御データの生成方法である。
上記方法では、電子機器の操作に伴う報酬を算出することによって、当該操作によってどのような報酬が得られるかを把握することができる。そして、報酬に基づき、強化学習に従った更新写像によって関係規定データを更新することにより、車両の状態と行動変数との適切な関係を設定することができる。したがって、車両の状態と行動変数との適切な関係を設定する際、熟練者に要求される工数を削減できる。
ところで、道路が高速道であるか一般道であるか、合流部であるか否か、勾配が大きいか否か、曲率が大きいか否かに応じて、車両に対する要求要素は互いに異なったものとなり得る。そこで上記方法では、道路変数に応じて報酬の与え方を変更することにより、道路に応じた適切な関係規定データを強化学習によって学習できる。
2.前記道路変数は、一般道から高速道へと合流する合流部である旨、および一般道である旨を識別する変数であり、前記報酬算出処理は、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、エネルギ利用効率が高い場合に低い場合よりも大きい報酬を与える処理との2つの処理を含み、前記変更処理は、前記一般道と比較して前記合流部において、前記アクセルレスポンスを高める方がより大きい報酬をうるうえで有利となるように前記2つの処理のうちの少なくとも1つの処理を変更する処理を含む上記1記載の車両用制御データの生成方法である。
上記構成では、合流部において、アクセルレスポンスを高める制御が可能となる関係規定データを強化学習によって学習できる。
3.前記更新処理によって更新された前記関係規定データに基づき、前記車両の状態と前記期待収益を最大化する前記行動変数の値とを対応付けることによって前記車両の状態を入力とし前記期待収益を最大化する前記行動変数の値を出力する制御用写像データを生成する処理を前記実行装置に実行させる上記1または2記載の車両用制御データの生成方法である。
上記方法では、強化学習によって学習された関係規定データに基づき、制御用写像データを生成する。そのため、その制御用写像データを制御装置に実装することにより、車両の状態および行動変数に基づき、期待収益を最大化する行動変数の値を簡易に設定することが可能となる。
4.上記1または2記載の前記記憶装置および前記実行装置を備え、前記操作処理は、前記関係規定データに基づき前記車両の状態に応じた行動変数の値に従って前記電子機器を操作する処理を含む車両用制御装置である。
上記構成では、強化学習によって学習された関係規定データに基づき行動変数の値が設定され、それに基づき電子機器が操作されることにより、期待収益を大きくするように電子機器を操作することができる。
5.上記4記載の前記実行装置および前記記憶装置を備え、前記実行装置は、前記車両に搭載される第1実行装置と、車載装置とは別の第2実行装置と、を含み、前記第1実行装置は、少なくとも前記取得処理および前記操作処理を実行し、前記第2実行装置は、少なくとも前記更新処理を実行する車両用制御システムである。
上記構成では、更新処理を第2実行装置によって実行することにより、更新処理を第1実行装置が実行する場合と比較して、第1実行装置の演算負荷を軽減できる。
なお、第2実行装置が車載装置とは別の装置であることは、第2実行装置が車載装置ではないことを意味する。
6.上記5記載の第1実行装置を備える車両用制御装置である。
7.上記5記載の第2実行装置を備える車両用学習装置である。
本実施形態にかかる制御装置および駆動系を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるマップデータを生成するシステムを示す図。 同実施形態にかかるシステムが実行する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる学習処理の詳細を示す流れ図。 同実施形態にかかるマップデータの生成処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる制御装置および駆動系を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかるシステムの構成を示す図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかるシステムが実行する処理の手順を示す流れ図。
以下、車両用制御データの生成方法、車両用制御装置、車両用制御システム、および車両用学習装置にかかる実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施形態>
図1に、本実施形態にかかる車両VC1の駆動系および制御装置の構成を示す。
図1に示すように、内燃機関10の吸気通路12には、上流側から順にスロットルバルブ14および燃料噴射弁16が設けられており、吸気通路12に吸入された空気や燃料噴射弁16から噴射された燃料は、吸気バルブ18の開弁に伴って、シリンダ20およびピストン22によって区画される燃焼室24に流入する。燃焼室24内において、燃料と空気との混合気は、点火装置26の火花放電に伴って燃焼に供され、燃焼によって生じたエネルギは、ピストン22を介してクランク軸28の回転エネルギに変換される。燃焼に供された混合気は、排気バルブ30の開弁に伴って、排気として排気通路32に排出される。排気通路32には、排気を浄化する後処理装置としての触媒34が設けられている。
クランク軸28には、ロックアップクラッチ42を備えたトルクコンバータ40を介して、変速装置50の入力軸52が機械的に連結可能とされている。変速装置50は、入力軸52の回転速度と出力軸54の回転速度との比である変速比を可変とする装置である。出力軸54には、駆動輪60が機械的に連結されている。
制御装置70は、内燃機関10を制御対象とし、その制御量であるトルクや排気成分比率等を制御すべく、スロットルバルブ14、燃料噴射弁16および点火装置26等の内燃機関10の操作部を操作する。また、制御装置70は、トルクコンバータ40を制御対象とし、ロックアップクラッチ42の係合状態を制御すべくロックアップクラッチ42を操作する。また、制御装置70は、変速装置50を制御対象とし、その制御量としての変速比を制御すべく変速装置50を操作する。なお、図1には、スロットルバルブ14、燃料噴射弁16、点火装置26、ロックアップクラッチ42、および変速装置50のそれぞれの操作信号MS1~MS5を記載している。
制御装置70は、制御量の制御のために、エアフローメータ80によって検出される吸入空気量Gaや、スロットルセンサ82によって検出されるスロットルバルブ14の開口度(スロットル開口度TA)、クランク角センサ84の出力信号Scrを参照する。また制御装置70は、アクセルセンサ88によって検出されるアクセルペダル86の踏み込み量(アクセル操作量PA)や、加速度センサ90によって検出される車両VC1の前後方向の加速度Gxを参照する。また、制御装置70は、全地球測位システム(GPS92)による位置データPgpsや、シフトポジションセンサ94によって検出される変速比GR、車速センサ96によって検出される車速Vを参照する。
制御装置70は、CPU72、ROM74、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ(記憶装置76)、および周辺回路78を備え、それらがローカルネットワーク79を介して通信可能とされている。ここで、周辺回路78は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。
ROM74には、制御プログラム74aが記憶されている。一方、記憶装置76には、現在の変速比GR、車速V、およびアクセル操作量PAの時系列データを入力変数とし、スロットル開口度TAの指令値であるスロットル開口度指令値TA*および変速比GRの指令値である変速比指令値GR*を出力変数とするマップデータDMと、地図データDGとが記憶されている。ここで、マップデータDMは、高応答マップデータDM1と、高効率マップデータDM2とを含む。なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。
図2に、本実施形態にかかる制御装置70が実行する処理の手順を示す。図2に示す処理は、ROM74に記憶されたプログラムをCPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
図2に示す一連の処理において、CPU72は、まず、位置データPgpsを取得する(S10)。そして、CPU72は、位置データPgpsによって地図データDGが示す地図上の位置を特定し、その位置が一般道から高速道への合流部に該当するか否かを判定する(S12)。そしてCPU72は、合流部であると判定する場合(S12:YES)、高応答マップデータDM1を選択する(S14)一方、合流部ではないと判定する場合(S12:NO)、高効率マップデータを選択する(S16)。
CPU72は、S14,16の処理を完了する場合、アクセル操作量PAの6個のサンプリング値「PA(1),PA(2),…PA(6)」からなる時系列データと、現在の変速比GRと、車速Vとを取得する(S18)。ここで、時系列データを構成する各サンプリング値は、互いに異なるタイミングにおいてサンプリングされたものである。本実施形態では、一定のサンプリング周期でサンプリングされる場合の、互いに時系列的に隣り合う6個のサンプリング値によって時系列データを構成する。
そして、CPU72は、S14の処理またはS16の処理によって選択されたマップを用いて、スロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*をマップ演算する(S20)。ここで、マップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
そして、CPU72は、スロットルバルブ14に操作信号MS1を出力してスロットル開口度TAを操作するとともに、変速装置50に操作信号MS5を出力して変速比を操作する(S22)。ここで、本実施形態では、スロットル開口度TAをスロットル開口度指令値TA*にフィードバック制御することを例示することから、スロットル開口度指令値TA*が同一の値であっても、操作信号MS1が互いに異なる信号となりうるものである。
なお、CPU72は、S22の処理が完了する場合、図2に示す一連の処理を一旦終了する。
図3に、上記マップデータDMを生成するシステムを示す。
図3に示すように、本実施形態では、内燃機関10のクランク軸28にトルクコンバータ40および変速装置50を介してダイナモメータ100を機械的に連結する。そして内燃機関10を稼働させた際の様々な状態変数がセンサ群102によって検出され、検出結果が、マップデータDMを生成するコンピュータである生成装置110に入力される。なお、センサ群102には、図1に示した車両VC1に搭載されるセンサ等が含まれる。
生成装置110は、CPU112、ROM114、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ(記憶装置116)、および周辺回路118を備えており、それらがローカルネットワーク119によって通信可能とされたものである。ここで、記憶装置116には、状態変数としての、アクセル操作量PAの時系列データ、車速Vおよび変速比GRと、行動変数としてのスロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*との関係を規定するデータである関係規定データDRが記憶されている。関係規定データDRは、高応答規定データDR1と、高効率規定データDR2と、を含む。また、ROM114には、強化学習によって、関係規定データDRを学習する学習プログラム114aが記憶されている。
図4に、生成装置110が実行する処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM114に記憶された学習プログラム114aを、CPU112が実行することにより実現される。
図4に示す一連の処理において、CPU112は、まず、合流部か否かを示す変数である道路変数VRの値を設定する(S30)。そしてCPU112は、内燃機関10を稼働させた状態において、状態sとして、アクセル操作量PAの時系列データと、現在の変速比GRと、車速Vと、を設定する(S32)。ここでの時系列データは、S18の処理におけるものと同様のデータである。ただし、図3に示すシステムにおいては、アクセルペダル86は存在しない。そのため、アクセル操作量PAを、生成装置110が車両VC1の状態を模擬することによって疑似的に生成されたものとし、疑似的に生成されたアクセル操作量PAを、センサの検出値に基づく車両の状態とみなす。また、車速Vは、実際に車両が存在したと仮定した場合の車両の走行速度としてCPU112によって算出されるものであり、本実施形態では、この車速を、センサの検出値に基づく車両の状態とみなす。詳しくはCPU112は、クランク角センサ84の出力信号Scrに基づきクランク軸28の回転速度NEを算出し、回転速度NEと変速比GRとに基づき車速Vを算出する。
次にCPU112は、高応答規定データDR1および高効率規定データDR2の2つのデータのうちのS30の処理によって設定された道路変数VRの値に対応する方のデータが定める方策πに従い、S32の処理によって取得した状態sに応じたスロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*からなる行動aを設定する(S34)。
本実施形態において、関係規定データDRは、行動価値関数Qおよび方策πを定めるデータである。本実施形態において、行動価値関数Qは、状態sおよび行動aの10次元の独立変数に応じた期待収益の値を示すテーブル型式の関数である。また、方策πは、状態sが与えられたときに、独立変数が与えられた状態sとなる行動価値関数Qのうち最大となる行動a(グリーディ行動)を優先的に選択しつつも、所定の確率で、それ以外の行動aを選択する規則を定める。
詳しくは、本実施形態にかかる行動価値関数Qの独立変数がとりうる値の数は、状態sおよび行動aのとりうる値の全組み合わせの一部が、人の知見等によって削減されたものである。すなわち、たとえばアクセル操作量PAの時系列データのうち隣接する2つのサンプリング値の1つがアクセル操作量PAの最小値となりもう1つが最大値となるようなことは、人によるアクセルペダル86の操作からは生じえないとして、行動価値関数Qが定義されていない。また、変速比GRが2速から4速へと急激に変化することを回避すべく、たとえば現在の変速比GRが2速の場合、とりうる行動aとしての変速比指令値GR*を1速と2速と3速とに制限している。すなわち、状態sとしての変速比GRが2速の場合には4速以上の行動aについては定義されていない。本実施形態では、人の知見等に基づく次元削減によって、行動価値関数Qを定義する独立変数の取りうる値を、10の5乗個以下、より望ましくは10の4乗個以下に制限する。
次にCPU112は、設定されたスロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*に基づき、S22の処理と同様にして操作信号MS1,MS5を出力する(S36)。次にCPU112は、回転速度NE、変速比GR、内燃機関10のトルクTrq、内燃機関10に対するトルク指令値Trq*、および加速度Gxを取得する(S38)。ここで、CPU112は、トルクTrqを、ダイナモメータ100が生成する負荷トルクと変速比GRとに基づき算出する。また、トルク指令値Trq*は、アクセル操作量PAおよび変速比GRに応じて設定される。なお、ここでは、変速比指令値GR*が強化学習の行動変数であることから、変速比指令値GR*がトルク指令値Trq*を内燃機関10で実現できる最大トルク以下とするものとなっているとは限らず、そのため、トルク指令値Trq*は、内燃機関10で実現できる最大トルク以下の値とは限らない。また、CPU112は、加速度Gxを、ダイナモメータ100の負荷トルク等に基づき、仮に内燃機関10等が車両に搭載されていた場合に車両に生じると想定される値として算出する。すなわち、本実施形態においては、加速度Gxについても仮想的なものであるが、この加速度Gxについても、センサの検出値に基づく車両の状態とみなす。
次にCPU72は、S30の処理がなされたタイミングおよび後述のS42の処理がなされたタイミングのうちのいずれか遅い方から所定期間が経過したか否かを判定する(S40)。そして、CPU112は、所定期間が経過したと判定する場合(S40:YES)、強化学習によって行動価値関数Qを更新する(S42)。
図5に、S42の処理の詳細を示す。
図5に示す一連の処理において、CPU112は、所定期間内における回転速度NE、トルク指令値Trq*、トルクTrqおよび加速度Gxの4つのサンプリング値の組からなる時系列データと、状態sおよび行動aの時系列データと、を取得する(S50)。図5には、カッコの中の数字が異なるものが、異なるサンプリングタイミングにおける変数の値であることを示す。たとえば、トルク指令値Trq*(1)とトルク指令値Trq*(2)とは、サンプリングタイミングが互いに異なるものである。また、所定期間内の行動aの時系列データを、行動集合Ajとし、所定期間内の状態sの時系列データを、状態集合Sjと定義する。
次にCPU112は、トルクTrqおよび回転速度NEの時系列データに基づき、内燃機関10の効率ηeの時系列データと、基準効率ηerの時系列データとを算出する(S52)。詳しくは、CPU112は、「k=1,2,3,…」として、トルクTrq(k)と回転速度NE(k)によって定まる動作点に基づき、内燃機関10の効率ηe(k)と基準効率ηer(k)とを算出する。ここで、効率ηeとは、内燃機関10の動作点毎に定義され、内燃機関10の燃焼室24内の混合気の空燃比を所定値とし点火時期を所定時期とした場合に生じる燃焼エネルギのうち動力として取り出せる割合とする。また、基準効率ηerは、内燃機関10の出力毎に定義され、内燃機関10の燃焼室24内の混合気の空燃比を所定値とし点火時期を所定時期とした場合に生じる燃焼エネルギのうち動力として取り出せる割合の最大値に「1」よりも小さい所定の係数を乗算した値とする。すなわち、基準効率ηerは、動力として取り出せる割合が最大となる動作点における同割合に所定の係数を乗算した値である。具体的には、たとえば、トルクTrqおよび回転速度NEを入力変数とし効率ηeを出力変数とするマップデータがROM74に記憶された状態で、CPU72により効率ηeがマップ演算される。また、たとえば、トルクTrqおよび回転速度NEの積である出力を入力変数とし基準効率ηerを出力変数とするマップデータがROM74に記憶された状態で、CPU72により基準効率ηerがマップ演算される。
次にCPU112は、効率ηe(k)を基準効率ηer(k)で除算した値から「1」を減算した値の積算値に係数Kを乗算した値を報酬rに代入する(S54)。この処理によれば、基準効率ηerよりも効率ηeが大きい場合には、小さい場合よりも報酬rが大きい値となる。
ここで、CPU112は、係数Kを、道路変数VRに応じて可変とする。詳しくは、道路変数VRが合流部ではない値の場合、合流部の場合と比較して、係数Kを大きい値に設定する。この設定は、合流部ではない場合に所定の報酬を与えるときの効率の基準を低くする設定である。すなわち、同一の報酬をうるときの効率ηeが合流部ではない場合に低くなる。これにより、合流部ではない場合において、効率ηeが高い動作点が選択されると、合流部の場合と比較して、報酬rが大きい値とされる。
次にCPU112は、所定期間内の任意のトルクTrqとトルク指令値Trq*との差の絶対値が規定量ΔTrq以下である旨の条件(ア)と、加速度Gxが下限値GxL以上であって上限値GxH以下である旨の条件(イ)との論理積が真であるか否かを判定する(S56)。
ここで、CPU112は、規定量ΔTrqを、エピソードの開始時におけるアクセル操作量PAの単位時間当たりの変化量ΔPAと道路変数VRの値とによって可変設定する。すなわち、CPU112は、変化量ΔPAの絶対値が大きい場合には過渡時に関するエピソードであるとして、定常時である場合と比較して、規定量ΔTrqを大きい値に設定する。また、CPU112は、合流部ではない場合、合流部の場合と比較して、規定量ΔTrqを大きい値に設定する。
また、CPU112は、下限値GxLを、エピソードの開始時におけるアクセル操作量PAの変化量ΔPAによって可変設定する。すなわち、CPU112は、過渡時に関するエピソードであって且つ変化量ΔPAが正である場合には、定常時に関するエピソードの場合と比較して、下限値GxLを大きい値に設定する。また、CPU112は、過渡時に関するエピソードであって且つ変化量ΔPAが負である場合には、定常時に関するエピソードの場合と比較して、下限値GxLを小さい値に設定する。
また、CPU72は、上限値GxHを、エピソードの開始時におけるアクセル操作量PAの単位時間当たりの変化量ΔPAによって可変設定する。すなわち、CPU72は、過渡時に関するエピソードであって且つ変化量ΔPAが正である場合には、定常時に関するエピソードの場合と比較して、上限値GxHを大きい値に設定する。また、CPU72は、過渡時に関するエピソードであって且つ変化量ΔPAが負である場合には、定常時に関するエピソードの場合と比較して、上限値GxHを小さい値に設定する。
また、CPU112は、下限値GxLおよび上限値GxHを道路変数VRの値によって可変設定する。詳しくは、CPU112は、合流部の場合、合流部ではない場合と比較して、過渡時における加速度Gxの絶対値がより大きい値となるように下限値GxLおよび上限値GxHを設定する。
CPU72は、論理積が真であると判定する場合(S56:YES)、報酬rに「K1・n」を加算する一方(S58)、偽であると判定する場合(S56:NO)、報酬rから「K1・n」を減算する(S60)。ここで、「n」は、所定期間における効率ηeのサンプリング数を示す。S56~S60の処理は、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理である。
CPU112は、S58,S60の処理が完了する場合、アクセル操作量PAの所定期間における最大値が閾値PAth以上である旨の条件(ウ)を満たすか否かを判定する(S62)。ここで、CPU112は、合流部ではない場合に、合流部の場合と比較して、閾値PAthを大きい値に設定する。CPU112は、条件(ウ)を満たすと判定する場合(S62:YES)、報酬rから「K2・n」を減算する(S64)。すなわち、アクセル操作量PAが過度に大きい場合、ユーザがトルク不足を感じているおそれがあることから、ペナルティを課すべく負の報酬を与える。
CPU112は、S64の処理が完了する場合やS62の処理において否定判定する場合には、図3に示した記憶装置76に記憶されている関係規定データDRを更新する。本実施形態では、εソフト方策オン型モンテカルロ法を用いる。
すなわち、CPU112は、上記S50の処理によって読み出した各状態と対応する行動との組によって定まる収益R(Sj,Aj)に、それぞれ、報酬rを加算する(S66)。ここで、「R(Sj,Aj)」は、状態集合Sjの要素の1つを状態とし行動集合Ajの要素の1つを行動とする収益Rを総括した記載である。次に、上記S50の処理によって読み出した各状態と対応する行動との組によって定まる収益R(Sj,Aj)のそれぞれについて、平均化して対応する行動価値関数Q(Sj,Aj)に代入する(S68)。ここで、平均化は、S68の処理がなされた回数によって、S68の処理によって算出された収益Rを除算する処理とすればよい。なお、収益Rの初期値は、ゼロとすればよい。
次にCPU112は、上記S50の処理によって読み出した状態について、それぞれ、対応する行動価値関数Q(Sj,A)のうち、最大値となるときのスロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*の組である行動を、行動Aj*に代入する(S70)。ここで、「A」は、とりうる任意の行動を示す。なお、行動Aj*は、上記S50の処理によって読み出した状態の種類に応じて各別の値となるものであるが、ここでは、表記を簡素化して、同一の記号にて記載している。
次に、CPU112は、上記S50の処理によって読み出した状態のそれぞれについて、対応する方策π(Aj|Sj)を更新する(S72)。すなわち、行動の総数を、「|A|」とすると、S72によって選択された行動Aj*の選択確率を、「(1-ε)+ε/|A|」とする。また、行動Aj*以外の「|A|-1」個の行動の選択確率を、それぞれ「ε/|A|」とする。S72の処理は、S68の処理によって更新された行動価値関数Qに基づく処理であることから、これにより、状態sと行動aとの関係を規定する関係規定データDRが、収益Rを増加させるように更新されることとなる。
なお、CPU112は、S72の処理が完了する場合、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
図4に戻り、CPU112は、S42の処理が完了すると、行動価値関数Qが収束したか否かを判定する(S44)。ここでは、S42の処理による行動価値関数Qの更新量が所定値以下となる連続回数が所定回数に達する場合に収束したと判定すればよい。CPU112は、収束していないと判定する場合(S44:NO)や、S40の処理において否定判定する場合には、S32の処理に戻る。これに対し、CPU112は、収束したと判定する場合(S44:YES)、合流部と合流部以外との双方についてS44の処理において肯定判定したか否かを判定する(S46)。
CPU112は、いずれか一方については未だS44の処理において肯定判定していないと判定する場合(S46:NO)、S30の処理に戻って、道路変数VRに未だ設定されていない値を代入する。CPU112は、S46の処理において肯定判定する場合、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
図6に、生成装置110が実行する処理のうち、特に図4の処理によって学習された行動価値関数Qに基づき、マップデータDMを生成する処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM114に記憶された学習プログラム114aを、CPU112が実行することにより実現される。
図6に示す一連の処理において、CPU112は、まず、道路変数VRの値を設定する(S80)。そして、CPU112は、マップデータDMの入力変数の値となる複数の状態sの中の1つを選択する(S82)。次に、CPU112は、高応答規定データDR1および高効率規定データDR2の2つのデータのうちのS80の処理によって設定された道路変数VRの値に対応する方によって規定される状態sに対応する行動価値関数Q(s,A)のうち、行動価値関数Qの値を最大とする行動aを選択する(S84)。すなわち、ここでは、グリーディ方策によって行動aを選択する。次に、CPU112は、状態sと行動aとの組を記憶装置116に記憶させる(S86)。
次にCPU112は、マップデータDMの入力変数の値とするもの全てがS82の処理によって選択されたか否かを判定する(S88)。そして、CPU112は、選択されていないものがあると判定する場合(S88:NO)、S82の処理に戻る。これに対し、CPU112は、全てが選択されたと判定する場合(S88:YES)、S80の処理によって道路変数VRの値としてとり得る全ての値が設定されたか否かを判定する(S90)。CPU112は、未だ設定されていない値があると判定する場合(S90:NO)、S80の処理に戻ってその値を設定する。
これに対し、CPU112は、全ての値を設定済みと判定する場合(S90:YES)、高応答マップデータDM1および高効率マップデータDM2を生成する(S92)。ここでは、マップデータDMの入力変数の値が状態sであるものに対応する出力変数の値を、対応する行動aとする。
なお、CPU112は、S92の処理が完了する場合、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
図3に示すシステムにおいて、CPU112は、強化学習によって、行動価値関数Qを学習する。そして、行動価値関数Qの値が収束する場合、エネルギ利用効率に関して要求された基準とアクセルレスポンスに関して要求された基準とを満たすうえで適切な行動が学習されたとする。そして、CPU112は、マップデータDMの入力変数となる状態のそれぞれについて、行動価値関数Qを最大化する行動を選択し、状態と行動との組を記憶装置116に記憶する。次に、CPU112は、記憶装置116に記憶された状態と行動との組に基づき、マップデータDMを生成する。これにより、アクセル操作量PA、車速Vおよび変速比GRに応じた適切なスロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*を、熟練者による工数を過度に大きくすることなく設定することができる。
特に、本実施形態では、合流部であるか否かに応じて、状態sに応じた行動aを各別に学習した。詳しくは、合流部ではない方がアクセルレスポンスに対する基準を緩和する一方、効率ηeが高くなる方が優位となるように報酬を与えた。これにより、高効率規定データDR2の学習の際には、アクセルレスポンスを比較的低くしても上記条件(ア)および条件(イ)を満たしてS58の処理による報酬をうることができて且つ、効率ηeを極力高くすることがトータルの報酬を大きくする上で有利となる。したがって、高効率マップデータDM2を、エネルギ利用効率が高くなる制御が可能なデータとすることができる。
一方、高応答規定データDR1の学習の際には、効率ηeを高くした割にはS54の処理で得られる報酬が小さくなることから、トータルの報酬を大きくする上では、上記条件(ア)および条件(イ)を満たしてS58の処理による報酬をうることが有利となる。そのため、高応答マップデータDM1を、ユーザのアクセル操作に対する応答性が良好な制御を可能とするデータとすることができる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)制御装置70が備える記憶装置76に、行動価値関数Q等ではなく、マップデータDMを記憶した。これにより、CPU72は、マップデータDMを用いたマップ演算に基づき、スロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*を設定することから、行動価値関数Qのうち最大値となるものを選択する処理を実行する場合と比較して、演算負荷を軽減できる。
(2)行動価値関数Qの独立変数にアクセル操作量PAの時系列データを含めた。これにより、アクセル操作量PAに関して単一のサンプリング値のみを独立変数とする場合と比較して、アクセル操作量PAの様々な変化に対して行動aの値をきめ細かく調整できる。
(3)行動価値関数Qの独立変数に、スロットル開口度指令値TA*自体を含めた。これにより、たとえば、スロットル開口度指令値TA*の挙動をモデル化したモデル式のパラメータ等をスロットル開口度に関する独立変数とする場合と比較して、強化学習による探索の自由度を高めることが容易である。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかる車両VC1の駆動系および制御装置を示す。なお、図7において、図1に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図7に示すように、本実施形態では、ROM74に、制御プログラム74aに加えて、学習プログラム74bが記憶されている。また、記憶装置76に、マップデータDMが記憶されておらず、代わりに、関係規定データDRが記憶され、また、トルク出力写像データDTが記憶されている。ここで、関係規定データDRは、図4の処理によって学習された学習済みのデータであり、状態sをアクセル操作量PAの時系列データ、車速Vおよび変速比GRとし、行動aを、スロットル開口度指令値TA*および変速比指令値GR*とするデータである。関係規定データDRは、高応答規定データDR1と、高効率規定データDR2とを含む。また、トルク出力写像データDTによって規定されるトルク出力写像は、回転速度NE、充填効率η、および点火時期を入力とし、トルクTrqを出力するニューラルネットワーク等の学習済みモデルに関するデータである。なお、上記トルク出力写像データDTは、たとえば図4の処理を実行する際、S38の処理によって取得されるトルクTrqを教師データとして学習されたものとすればよい。なお、充填効率ηは、CPU72により、回転速度NEおよび吸入空気量Gaに基づき算出すればよい。
図8に、本実施形態にかかる制御装置70が実行する処理の手順を示す。図8に示す処理は、ROM74に記憶された制御プログラム74aおよび学習プログラム74bを、CPU72がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図8において、図4に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付与する。
図8に示す一連の処理において、CPU72は、まず図2のS10,S12の処理を実行し、合流部であると判定する場合(S12:YES)、道路変数VRに「1」を代入して且つ高応答規定データDR1を選択する(S100)。これに対し、CPU72は、合流部ではないと判定する場合(S12:NO)、道路変数VRに「2」を代入して且つ高効率規定データDR2を選択する(S102)。CPU112は、S100,S102の処理が完了する場合、状態sとして、アクセル操作量PAの時系列データと現在の変速比GRと車速Vとを取得し(S32a),図4のS34~S42の処理を実行する。なお、CPU72は、S40の処理において否定判定する場合や、S42の処理を完了する場合には、図8に示す一連の処理を一旦終了する。ちなみに、S10,S12,S100,S102,S32a,S34~S40の処理は、CPU72が制御プログラム74aを実行することにより実現され、S42の処理は、CPU72が学習プログラム74bを実行することにより実現される。
このように、本実施形態によれば、制御装置70に関係規定データDRおよび学習プログラム74bを実装することにより、第1の実施形態の場合と比較して、学習頻度を向上させることができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、関係規定データDRの更新を、車両VC1の外で実行する。
図9に、本実施形態において、強化学習を実行する制御システムの構成を示す。なお、図9において、図1に示した部材に対応する部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図9に示す車両VC1内の制御装置70におけるROM74は、制御プログラム74aを記憶しているものの、学習プログラム74bを記憶していない。また、制御装置70は、通信機77を備えている。通信機77は車両VC1の外部のネットワーク120を介してデータ解析センター130と通信するための機器である。
データ解析センター130は、複数の車両VC1,VC2,…から送信されるデータを解析する。データ解析センター130は、CPU132、ROM134、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ(記憶装置136)、周辺回路138および通信機137を備えており、それらがローカルネットワーク139によって通信可能とされるものである。ROM134には、学習プログラム134aが記憶されており、記憶装置136には、関係規定データDRが記憶されている。
図10に、本実施形態にかかる強化学習の処理手順を示す。図10(a)に示す処理は、図9に示すROM74に記憶されている制御プログラム74aをCPU72が実行することにより実現される。また、図10(b)に示す処理は、ROM134に記憶されている学習プログラム134aをCPU132が実行することにより実現される。なお、図10において図8に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。以下では、強化学習の時系列に沿って、図10に示す処理を説明する。
図10(a)に示す一連の処理において、CPU72は、S10,S12,S100,S102,S32a,S34~S38の処理を実行し、所定期間が経過したと判定する場合(S40:YES)、通信機77を操作することによって、関係規定データDRの更新処理に必要なデータを送信する(S110)。ここで、送信対象とされるデータは、所定期間内の道路変数VRの値や、回転速度NE、トルク指令値Trq*、トルクTrqおよび加速度Gxの時系列データ、状態集合Sjおよび行動集合Ajを含む。
これに対し、図10(b)に示すように、CPU132は、送信されたデータを受信し(S120)、受信したデータに基づき関係規定データDRを更新する(S42)。そしてCPU132は、関係規定データDRの更新回数が所定回数以上であるか否かを判定し(S122)、所定回数以上であると判定する場合(S122:YES)、通信機137を操作して、S120の処理によって受信したデータを送信した車両VC1に関係規定データDRを送信する(S124)。なお、CPU132は、S124の処理を完了する場合や、S122の処理において否定判定する場合には、図10(b)に示す一連の処理を一旦終了する。
これに対し、図10(a)に示すように、CPU72は、更新データがあるか否かを判定し(S112)、あると判定する場合(S112:YES)、更新された関係規定データDRを受信する(S114)。そしてCPUは、S34の処理において利用する関係規定データDRを、受信した関係規定データDRに書き換える(S116)。なお、CPU72は、S116の処理を完了する場合や、S40,S112の処理において否定判定する場合には、図10(a)に示す一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態によれば、関係規定データDRの更新処理を車両VC1の外部で行うことから、制御装置70の演算負荷を軽減できる。さらに、たとえばS120の処理において、複数の車両VC1,VC2からのデータを受信してS42の処理を行うなら、学習に用いるデータ数を容易に大きくすることができる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,2]実行装置と記憶装置とは、図7においては、それぞれ、CPU72およびROM74と記憶装置76とに対応し、図3においては、それぞれCPU112およびROM114と記憶装置116とに対応し、図9においては、CPU72,132およびROM74,134と記憶装置76,136とに対応する。取得処理は、図4のS30,S32,S38の処理や、図8および図10のS10,S12,S100,S102,S32a,S38の処理に対応する。操作処理は、S36の処理に対応し、報酬算出処理は、S52~S64の処理に対応し、更新処理は、S66~S72の処理に対応する。更新写像は、学習プログラム74bのうちS66~S72の処理を実行する指令によって規定された写像に対応する。変更処理は、S54の処理において係数Kを道路変数VRに応じて可変とすることや、S56の処理において条件(ア)および条件(イ)を道路変数VRに応じて可変とすること、S62の処理において閾値PAthを道路変数VRに応じて可変とすることに対応する。[3]制御用写像データは、マップデータDMに対応する。[4]実行装置と記憶装置とは、それぞれ、図7におけるCPU72およびROM74と記憶装置76とに対応する。[5~7]第1実行装置は、CPU72およびROM74に対応し、第2実行装置は、CPU132およびROM134に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
「道路変数について」
・車両の走行する道路に関する情報を示す道路変数としては、合流部であるか否かを示す変数に限らない。たとえば、一般道か高速道かを示す変数であってもよい。またたとえば、道路勾配に関する情報や道路の曲率に関する情報を示す変数であってもよい。
「変更処理について」
・S56の処理では、条件(ア)および条件(イ)を合流部か否かに応じて可変としたが、これに限らない。たとえば、合流部か否かに応じてS58,S60の処理における係数K1を可変としてもよい。すなわち、たとえば合流部でない場合に係数K1を小さくするなら、条件(ア)および条件(イ)を満たすことがトータルの報酬を大きくする上でさほど有利にならないことから、効率ηeを高める学習がなされやすくなる。
・S62の処理では、閾値PAthを合流部か否かに応じて可変としたが、これに限らない。たとえば、合流部か否かに応じてS64の処理における係数K2を可変としてもよい。すなわち、たとえば合流部でない場合に係数K2を小さくするなら、S62の処理において否定判定されることがトータルの報酬を大きくする上でさほど有利にならないことから、効率ηeを高める学習がなされやすくなる。
・S56,S62の処理のようにアクセルレスポンスに対する基準を変更する処理と、上記変更例のようにアクセルレスポンスの基準を満たすか否かに応じた報酬を変更する処理とのいずれか一方のみを実行するものに限らず、たとえば双方を実行してもよい。
・上記構成では、合流部において、係数Kを小さくして且つ、条件(ア)~条件(ウ)を厳しくしたが、これに限らない。たとえば、係数Kを小さくするのみであってもよい。これによっても、効率ηeを高くすることが大きい報酬をうるうえで得策ではなくなることから、アクセルレスポンスを高める行動がグリーディ行動となりやすい。
・たとえば、合流部ではない場合において条件(ア)および条件(イ)を満たし得ない条件に変更するとともにS60の処理において報酬rに対してゼロを加算する処理とし、合流部においては、S54の処理における基準効率ηerをとりえない高効率として且つ、積算値とゼロとのうちの大きい方を報酬rに代入してもよい。これは、合流部ではない場合においては、アクセルレスポンスが基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理を実行せず、合流部においてはエネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理を実行しないことと等価である。そのため、合流部ではない場合に、アクセルレスポンスが基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理を実行せず、合流部ではエネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理を実行しない処理としてもよい。これについても、アクセルレスポンスが基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、エネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理との少なくとも1つの処理を変更する処理とみなせる。
・「道路変数について」の欄に記載したように、道路変数が一般道か高速道かを識別する変数の場合、高速道の場合にアクセルレスポンスに対する要求事項を優先する報酬とし、一般道である場合にエネルギ利用効率に対する要求事項を優先する報酬とする報酬体系としてもよい。こうして学習された関係規定データDRによれば、高速道での追い越し等をスムーズに行うことができ、一般道ではエネルギ利用効率を高めることができる。
・「道路変数について」の欄に記載したように、道路変数が道路勾配に関する情報を示す変数の場合、坂道においてはアクセルレスポンスに対する要求事項を優先する報酬とし、坂道ではない場合にエネルギ利用効率に対する要求事項を優先する報酬とする報酬体系としてもよい。こうして学習された関係規定データDRによれば、坂道においてユーザが要求するトルクを迅速に実現できる一方、坂道以外ではエネルギ利用効率を高めることができる。
・道路変数に応じて所定の報酬を与えるときの基準を変更する変更処理としては、所定の報酬を与えるうえで、複数の要求事項のうちいずれを満たす方が有利となるかを変更する処理に限らない。たとえば、「道路変数について」の欄に記載したように、道路変数が道路勾配に関する情報を示す変数の場合、坂道においてはそれ以外と比較してトルク指令値Trq*を大きい値としてもよい。こうして学習された関係規定データDRによれば、坂道においても平たんな道と同等なアクセル操作によって同等の加速感をうる制御が可能となる。
「エネルギ利用効率について」
・上記実施形態では、エネルギ利用効率を、動作点のみに基づき定量化したが、これに限らない。たとえば、下記「行動変数について」の欄に記載したように、行動変数に点火時期を含める場合、採用された点火時期がMBTからずれる場合、そのずれ量に応じてエネルギ利用効率を減少補正すればよい。また、行動変数に空燃比制御に関する変数を含める場合、採用される空燃比が所定の空燃比からずれる場合、そのずれ量に応じてエネルギ利用効率を補正すればよい。
「テーブル形式のデータの次元削減について」
・テーブル形式のデータの次元削減手法としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえばアクセル操作量PAが最大値となることはまれであることから、アクセル操作量PAが規定量以上となる状態については行動価値関数Qを定義せず、アクセル操作量PAが規定量以上となる場合のスロットル開口度指令値TA*等は、別途適合してもよい。またたとえば、行動のとりうる値からスロットル開口度指令値TA*が規定値以上となるものを除くなどして、次元削減をしてもよい。
「関係規定データについて」
・上記実施形態では、行動価値関数Qを、テーブル形式の関数としたが、これに限らない。たとえば、関数近似器を用いてもよい。
・たとえば、行動価値関数Qを用いる代わりに、方策πを、状態sおよび行動aを独立変数とし、行動aをとる確率を従属変数とする関数近似器にて表現し、関数近似器を定めるパラメータを、報酬rに応じて更新してもよい。なお、その場合、道路変数VRの値に応じた各別の関数近似器を備えてもよく、またたとえば、単一の関数近似器の独立変数である状態sに道路変数VRを含めてもよい。
「操作処理について」
・たとえば「関係規定データについて」の欄に記載したように、行動価値関数を関数近似器とする場合、上記実施形態におけるテーブル型式の関数の独立変数となる行動についての離散的な値の組の全てについて、状態sとともに行動価値関数Qに入力することによって、行動価値関数Qを最大化する行動aを特定すればよい。その場合、たとえば、主として特定された行動aを操作に採用しつつも、所定の確率でそれ以外の行動を選択すればよい。
・たとえば「関係規定データについて」の欄に記載したように、方策πを、状態sおよび行動aを独立変数とし、行動aをとる確率を従属変数とする関数近似器とする場合、方策πによって示される確率に基づき行動aを選択すればよい。
「更新写像について」
・S66~S72の処理においては、εソフト方策オン型モンテカルロ法によるものを例示したが、これに限らない。たとえば、方策オフ型モンテカルロ法によるものであってもよい。もっとも、モンテカルロ法にも限らず、たとえば、方策オフ型TD法を用いたり、またたとえばSARSA法のように方策オン型TD法を用いたり、またたとえば、方策オン型の学習として適格度トレース法を用いたりしてもよい。
・たとえば「関係規定データについて」の欄に記載したように、方策πを関数近似器を用いて表現し、これを報酬rに基づき直接更新する場合には、方策勾配法等を用いて更新写像を構成すればよい。
・行動価値関数Qと方策πとのうちのいずれか一方のみを、報酬rによる直接の更新対象とするものに限らない。たとえば、アクター・クリティック法のように、行動価値関数Qおよび方策πをそれぞれ更新してもよい。また、アクター・クリティック法においては、これに限らず、たとえば行動価値関数Qに代えて価値関数Vを更新対象としてもよい。
「行動変数について」
・上記実施形態では、行動変数としてのスロットルバルブの開口度に関する変数として、スロットル開口度指令値TA*を例示したが、これに限らない。たとえば、アクセル操作量PAに対するスロットル開口度指令値TA*の応答性を、無駄時間および2次遅れフィルタにて表現し、無駄時間と、2次遅れフィルタを規定する2つの変数との合計3つの変数を、スロットルバルブの開口度に関する変数としてもよい。ただし、その場合、状態変数は、アクセル操作量PAの時系列データに代えて、アクセル操作量PAの単位時間当たりの変化量とすることが望ましい。
・上記実施形態では、行動変数として、スロットルバルブの開口度に関する変数および変速比に関する変数を例示したが、これに限らない。たとえば、スロットルバルブの開口度に関する変数および変速比に関する変数に加えて、点火時期に関する変数や空燃比制御に関する変数を用いてもよい。
・「内燃機関について」の欄に記載したように、圧縮着火式の内燃機関の場合、スロットルバルブの開口度に関する変数に代えて噴射量に関する変数を用いればよい。またこれに加えて、たとえば、噴射時期に関する変数や、1燃焼サイクルにおける噴射回数に関する変数、1燃焼サイクルにおける1つの気筒のための時系列的に隣接した2つの燃料噴射のうちの一方の終了タイミングと他方の開始タイミングとの間の時間間隔に関する変数を用いてもよい。
・たとえば変速装置50が有段変速装置の場合、クラッチの係合状態を油圧によって調整するためのソレノイドバルブの電流値等を行動変数としてもよい。
・下記「電子機器について」の欄に記載したように、行動変数に応じた操作の対象に回転電機が含まれる場合、行動変数に回転電機のトルクや電流を含めればよい。すなわち、推力生成装置の負荷に関する変数である負荷変数としては、スロットルバルブの開口度に関する変数や噴射量に限らず、回転電機のトルクや電流であってもよい。
・下記「電子機器について」の欄に記載したように、行動変数に応じた操作の対象に、ロックアップクラッチ42を含める場合、行動変数にロックアップクラッチ42の係合状態を示す変数を含めればよい。
「状態について」
・上記実施形態では、アクセル操作量PAの時系列データを、等間隔でサンプリングされた6個の値からなるデータとしたが、これに限らない。互いに異なるサンプリングタイミングにおける2個以上のサンプリング値からなるデータであればよく、この際、3個以上のサンプリング値からなるデータや、サンプリング間隔が等間隔であるデータであることがより望ましい。
・アクセル操作量に関する状態変数としては、アクセル操作量PAの時系列データに限らず、たとえば「行動変数について」の欄に記載したように、アクセル操作量PAの単位時間当たりの変化量等であってもよい。
・たとえば「行動変数について」の欄に記載したように、ソレノイドバルブの電流値を行動変数とする場合、状態に、変速装置の入力軸52の回転速度や出力軸54の回転速度、ソレノイドバルブによって調整される油圧を含めればよい。またたとえば「行動変数について」の欄に記載したように、回転電機のトルクや出力を行動変数とする場合、状態に、バッテリの充電率や温度を含めればよい。またたとえば「行動変数について」の欄に記載したように、コンプレッサの負荷トルクや空調装置の消費電力を行動に含める場合、状態に、車室内の温度を含めればよい。
「報酬算出処理について」
・エネルギ利用効率が高い場合に低い場合よりも大きい報酬を与える処理としては、基準となる効率と実際の動作点における効率との比と「1」との差をとる処理に限らず、たとえば、基準となる効率と実際の動作点における効率との差をとる処理であってもよい。
・アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理としては、条件(ア)および条件(イ)の論理積が真であるか否かに応じて報酬を与える処理や、条件(ウ)を満たす場合に小さい報酬を与える処理に限らない。たとえば、条件(ア)および条件(イ)の論理積が真であるか否かに応じて報酬を与える処理と、条件(ウ)を満たす場合に小さい報酬を与える処理とに関しては、条件(ア)および条件(イ)の論理積が真であるか否かに応じて報酬を与える処理等、いずれか一方のみを含めてもよい。また、条件(ア)および条件(イ)の論理積が真であるか否かに応じて報酬を与える処理に代えて、条件(ア)を満たすか否かに応じて報酬を与える処理と、条件(イ)を満たすか否かに応じて報酬を与える処理と、を実行してもよい。
・たとえば条件(ア)を満たす場合に一律同じ報酬を与える代わりに、トルクTrqとトルク指令値Trq*との差の絶対値が小さい場合に大きい場合よりもより大きい報酬を与える処理としてもよい。またたとえば、条件(ア)を満たさない場合に一律同じ報酬を与える代わりに、トルクTrqとトルク指令値Trq*との差の絶対値が大きい場合に小さい場合よりもより小さい報酬を与える処理としてもよい。
・たとえば条件(イ)を満たす場合に一律同じ報酬を与える代わりに、加速度Gxの大きさに応じて報酬の大きさを可変とする処理としてもよい。またたとえば、条件(イ)を満たさない場合に一律同じ報酬を与える代わりに、加速度Gxの大きさに応じて報酬の大きさを可変とする処理としてもよい。
・アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理とエネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理とによって報酬算出処理を構成するものに限らない。たとえば、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、車室内の状態が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理とによって報酬算出処理を構成してもよい。ここで、車室内の状態が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理としては、たとえば、車両の振動の強度が所定値以下の場合に所定値を超える場合よりも大きい報酬を与える等、車両の振動の強度が小さい場合に大きい場合よりも大きい報酬を与える処理であってもよい。またたとえば、車両の騒音の強度が所定値以下の場合に所定値を超える場合よりも大きい報酬を与える等、車両の騒音の強度が小さい場合に大きい場合よりも大きい報酬を与える処理であってもよい。
・たとえば、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と排気特性が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理とであってもよい。またたとえば、エネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、排気特性が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理とであってもよい。またたとえば、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、エネルギ利用効率が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、排気特性が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理との3つの処理を含んでもよい。要は、互いに背反となりうる複数の基準に基づき報酬を与える場合、報酬の与え方を道路変数に応じて変更することによって、走行している道路においてより適切な関係規定データを学習できる。
・たとえば「行動変数について」の欄に記載したように、変速装置50のソレノイドバルブの電流値を行動変数とする場合、たとえば報酬算出処理に以下の(a)~(c)の3つの処理のうちの少なくとも1つの処理を含めればよい。
(a)変速装置による変速比の切り替えに要する時間が所定時間以内である場合に所定時間を超える場合よりも大きい報酬を与える処理である。
(b)変速装置の入力軸52の回転速度の変化速度の絶対値が入力側所定値以下である場合に入力側所定値を超える場合よりも大きい報酬を与える処理である。
(c)変速装置の出力軸54の回転速度の変化速度の絶対値が出力側所定値以下である場合に出力側所定値を超える場合よりも大きい報酬を与える処理である。
なお、上記(a)は、アクセルレスポンスが高い場合に低い場合よりも大きい報酬を与える処理に相当する。上記(b),(c)は、振動が小さい場合に大きい場合よりも大きい報酬を与える処理に相当する。換言すれば、車室内の状態が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理に相当する。
・たとえば「行動変数について」の欄に記載したように、回転電機のトルクや出力を行動変数とする場合、バッテリの充電率が所定範囲内にある場合にない場合よりも大きい報酬を与える処理や、バッテリの温度が所定範囲内にある場合にない場合よりも大きい報酬を与える処理を含めてもよい。また、たとえば「行動変数について」の欄に記載したように、コンプレッサの負荷トルクや空調装置の消費電力を行動変数に含める場合、車室内の温度が所定範囲内にある場合にない場合よりも大きい報酬を与える処理を加えてもよい。この処理は、車室内の状態が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理となる。
「車両用制御データの生成方法について」
・図4のS34の処理では、行動価値関数Qに基づき行動を決定したが、これに限らず、とりうるすべての行動を等確率で選択してもよい。
「制御用写像データについて」
・車両の状態と期待収益を最大化する行動変数の値とを1対1に対応付けることによって車両の状態を入力とし期待収益を最大化する行動変数の値を出力する制御用写像データとしては、マップデータに限らない。たとえば、関数近似器であってもよい。これは、たとえば、上記「更新写像について」の欄に記載したように、方策勾配法等を用いる場合において、方策πを行動変数の値をとりうる確率を示すガウス分布にて表現し、その平均値を関数近似器にて表現しておき、平均値を表現する関数近似器のパラメータを更新することとし、学習後の平均値を制御用写像データとすることによって実現できる。すなわち、ここでは、関数近似器が出力する平均値を期待収益を最大化する行動変数の値とみなす。この際、道路変数VRの値毎に各別の関数近似器を設けてもよいが、単一の関数近似器の独立変数のうちの状態sに、道路変数VRを含めてもよい。
「電子機器について」
・行動変数に応じた操作の対象となる内燃機関の操作部としては、スロットルバルブ14に限らない。たとえば、点火装置26や燃料噴射弁16であってもよい。
・行動変数に応じた操作の対象となる電子機器のうち、推力生成装置と駆動輪との間の駆動系装置としては、変速装置50に限らず、たとえばロックアップクラッチ42であってもよい。
・下記「推力生成装置について」の欄に記載したように、推力生成装置として回転電機を備える場合、行動変数に応じた操作の対象となる電子機器を、回転電機に接続されるインバータ等の電力変換回路としてもよい。もっとも、車載駆動系の電子機器に限らず、たとえば車載空調装置等であってもよい。この場合であっても、たとえば車載空調装置が推力生成装置の回転動力によって駆動される場合、推力生成装置の動力のうち駆動輪60に供給される動力が車載空調装置の負荷トルクに依存することから、車載空調装置の負荷トルクを行動変数に含めることなどが有効である。またたとえば車載空調装置が推力生成装置の回転動力を利用しないものであったとしても、エネルギ利用効率に影響することから、行動変数に車載空調装置の消費電力を加えることは有効である。
「車両用制御システムについて」
・図10に示した例では、S42の処理の全てをデータ解析センター130にて実行したが、これに限らない。たとえば、データ解析センター130においては、S66~S72の処理を実行するものの、報酬の算出処理であるS52~S64の処理については実行せず、S110の処理において、報酬の算出結果を送信することとしてもよい。
・図10に示した例では、方策πに基づく行動を決定する処理(S34の処理)を、車両側で実行したが、これに限らない。たとえば、車両VC1からS32aの処理によって取得したデータを送信することとし、データ解析センター130にて送信されてデータを用いて行動aを決定し、決定した行動を車両VC1に送信してもよい。
・車両用制御システムとしては、制御装置70およびデータ解析センター130によって構成されるものに限らない。たとえば、データ解析センター130に代えて、ユーザの携帯端末を用いてもよい。また、制御装置70およびデータ解析センター130と携帯端末とによって車両用制御システムを構成してもよい。これは、たとえばS34の処理を携帯端末によって実行することにより実現できる。
「実行装置について」
・実行装置としては、CPU72(112,132)とROM74(114,134)とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
「記憶装置について」
・上記実施形態では、関係規定データDRが記憶される記憶装置と、学習プログラム74b,114aや制御プログラム74aが記憶される記憶装置(ROM74,114,134)とを別の記憶装置としたが、これに限らない。
「内燃機関について」
・内燃機関としては、火花点火式内燃機関に限らず、たとえば燃料として軽油などを用いる圧縮着火式内燃機関等であってもよい。
「推力生成装置について」
・車両に搭載される推力生成装置としては、内燃機関のみに限らず、たとえばハイブリッド車のように、内燃機関と回転電機とであってもよい。またたとえば、電気自動車や燃料電池車のように、推力生成装置が回転電機のみであってもよい。
10…内燃機関
12…吸気通路
14…スロットルバルブ
16…燃料噴射弁
18…吸気バルブ
20…シリンダ
22…ピストン
24…燃焼室
26…点火装置
28…クランク軸
40…トルクコンバータ
50…変速装置
70…制御装置
110…生成装置
130…データ解析センター

Claims (7)

  1. 車両の状態と前記車両内の電子機器の操作に関する変数である行動変数との関係を規定する関係規定データが記憶装置に記憶された状態で、
    センサの検出値に基づく前記車両の状態、および前記車両の走行する道路を特定する変数である道路変数を取得する取得処理と、
    前記電子機器を操作する操作処理と、
    前記取得処理によって取得された前記車両の状態に基づき、前記車両の特性が基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える報酬算出処理と、
    前記取得処理によって取得された前記車両の状態、前記電子機器の操作に用いられた前記行動変数の値、および該操作に対応する前記報酬を予め定められた更新写像への入力とし、前記関係規定データを更新する更新処理と、
    を実行装置に実行させ、
    前記更新写像は、前記関係規定データに従って前記電子機器が操作される場合の前記報酬についての期待収益を増加させるように更新された前記関係規定データを出力するものであり、
    前記報酬算出処理は、前記道路変数の値が第1の値である場合に前記車両の特性が所定の特性であるときに与える前記報酬に対して前記道路変数の値が第2の値である場合に前記車両の特性が前記所定の特性であるときに与える報酬を変更する変更処理を含む車両用制御データの生成方法。
  2. 前記道路変数は、一般道から高速道へと合流する合流部である旨、および一般道である旨を識別する変数であり、
    前記報酬算出処理は、アクセルレスポンスに関する基準を満たす場合に満たさない場合よりも大きい報酬を与える処理と、エネルギ利用効率が高い場合に低い場合よりも大きい報酬を与える処理との2つの処理を含み、
    前記変更処理は、前記一般道と比較して前記合流部において、前記アクセルレスポンスを高める方がより大きい報酬をうるうえで有利となるように前記2つの処理のうちの少なくとも1つの処理を変更する処理を含む請求項1記載の車両用制御データの生成方法。
  3. 前記更新処理によって更新された前記関係規定データに基づき、前記車両の状態と前記期待収益を最大化する前記行動変数の値とを対応付けることによって前記車両の状態を入力とし前記期待収益を最大化する前記行動変数の値を出力する制御用写像データを生成する処理を前記実行装置に実行させる請求項1または2記載の車両用制御データの生成方法。
  4. 請求項1または2記載の前記記憶装置および前記実行装置を備え、
    前記操作処理は、前記関係規定データに基づき前記車両の状態に応じた行動変数の値に従って前記電子機器を操作する処理を含む車両用制御装置。
  5. 請求項4記載の前記実行装置および前記記憶装置を備え、
    前記実行装置は、前記車両に搭載される第1実行装置と、車載装置とは別の第2実行装置と、を含み、
    前記第1実行装置は、少なくとも前記取得処理および前記操作処理を実行し、
    前記第2実行装置は、少なくとも前記更新処理を実行する車両用制御システム。
  6. 請求項5記載の第1実行装置を備える車両用制御装置。
  7. 請求項5記載の第2実行装置を備える車両用学習装置。
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