JP7203383B2 - 放射線防護マスクの汚染検出方法、フィルタカバー、プレフィルタ治具及びフィルタカバーのセット、及び放射線防護マスク - Google Patents

放射線防護マスクの汚染検出方法、フィルタカバー、プレフィルタ治具及びフィルタカバーのセット、及び放射線防護マスク Download PDF

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特許法第30条第2項適用 平成30年8月20日 一般社団法人日本原子力学会2018年秋の大会予稿集にて「MOX燃料施設における電動ファン式半面マスクのα線管理への適用化検討」について公開
特許法第30条第2項適用 平成30年9月6日 一般社団法人日本原子力学会2018年秋の大会にて「MOX燃料施設における電動ファン式半面マスクのα線管理への適用化検討」について発表
本発明は、放射線防護マスクの汚染検出方法、及びこれに用いるプレフィルタ治具、フィルタセット、放射線防護マスク、及びフィルタカバーに関する。
放射線取扱施設で使用される放射線防護マスク等の放射能汚染を検出する方法としては、サーベイメータを汚染対象物に近接させて直接サーベイする方法が一般的である(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、α線は、β線及びγ線といった他の放射線と比較して透過力が極めて小さいため、放射線取扱施設で使用される種々の汚染対象物のうち、特に、放射線防護マスクのα粒子汚染を検出することはその構造等の事由から困難性を伴う。
具体的には、放射線防護マスクのメインフィルタ筐体内にフィルタ(濾材)が設置されているが、このメインフィルタ筐体は固く結合した状態で閉合しておりその分解は容易ではなく、作業環境雰囲気が流入するメインフィルタ筐体表面に設けられたスリット(吸引溝)を通じてしかフィルタにアクセスできない。また、放射線防護マスクのメインフィルタ筐体内に設置されたフィルタ構造は、メインフィルタ筐体内部において省スペースでより広い濾過面積を持たせた形状を取り入れるため、ラウンドプリーツ状の構造(波状の凹凸構造)を有している。
特開平11-337648号公報
このことから、放射線取扱作業環境の雰囲気中の粉塵等(放射性物質を含んだエアロゾル等微粒子)がメインフィルタ筐体内部に流入する際には、メインフィルタの筐体内部の複雑な流れ場に追従してフィルタ内部に侵入し、フィルタ表面において不均一に捕集される。また、メインフィルタの筐体内部に流入した粉塵等が奥行きの深いフィルタの奥まった部分(波状の凹凸構造における凹部)に捕集される。そのため、フィルタ自体のα粒子汚染を検出することは容易ではなく、放射線防護マスク自体のα粒子汚染を検出することは極めて困難なものとなる。
また、放射線取扱施設等の作業環境雰囲気中に含まれるα線放出核種としては、ラドンやトロン等の天然核種のほか、ウラン、プルトニウム、アメリシウム等の人工核種が想定される。放射線取扱作業等を終了した後の放射線防護マスクの汚染度を計測しようとする場合には、ラドンやトロン等の天然核種が減衰し、これが無視できる数日後に、ZnS(Ag)サーベイメータ等の測定器を用いた直接サーベイによる汚染検出方法によって、プルトニウム等の人工核種による汚染の有無を判断するのが一般的である。
さらに、放射線取扱作業等における作業環境雰囲気中のラドンやトロン等の天然核種の濃度変動は大きく予測し難いことから、放射線取扱作業等における作業終了後の汚染度の有無を、ZnS(Ag)サーベイメータ等の測定器により測定した“計数率”の情報のみによっては、その情報がラドンやトロン等の天然核種によるものなのか、プルトニウム等の人工核種によるものなのかの判断が容易でない場合も少なくない。かかる状況の下、放射線取扱作業等における作業従事者の人工核種による汚染の有無の判断は、作業終了後のその場においてかつ即時になされることが要求される。
そこで、本発明は、直接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法を代替手法として、迅速、簡便かつ効率的に行うことが可能な放射線防護マスクの汚染検出方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するため、吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具とを備える放射線防護マスクのα線放出核種による汚染を検出する放射線防護マスクの汚染検出方法であって、前記プレフィルタ治具の前記開口から露出した前記プレフィルタのα線放出核種捕集量Mpreを、α線用サーベイメータで計測する捕集量計測ステップと、前記α線放出核種捕集量Mpreと予め定められた上限値Mmaxとを比較する第1比較ステップと、前記α線放出核種捕集量Mpreが前記上限値Mmax未満の場合に、前記放射線防護マスクの汚染量が許容範囲内だと判定し、前記α線放出核種捕集量Mpreが前記上限値Mmax以上の場合に、前記放射線防護マスクの汚染量が許容範囲を超えていると判定する第1判定ステップとを含むことを特徴とする。
上記の方法によれば、メインフィルタの筐体内に設置されたフィルタ内部におけるα粒子汚染に関する複雑な三次元分布の情報を、メインフィルタの上流部に設置されたプレフィルタに簡便に集約させることによって、フィルタ内部におけるα粒子汚染に関する三次元分布の情報を二次元分布の情報として取得することが可能となる。その結果、迅速、簡便かつ効率的に行うことが可能な放射線防護マスクの汚染の有無を検出することができる。
また、前記放射線防護マスクを着用した作業者の管理区域内での作業時間Tを計測する作業時間計測ステップと、前記作業時間Tに比例する前記放射線防護マスクの汚染量Mを規定する式のうち、前記α線放出核種捕集量Mpreによって定まる傾きaと所定範囲とを比較する第2比較ステップと、前記傾きaが前記所定範囲内の場合に、前記放射線防護マスクが人工核種に汚染されていないと判定し、前記傾きaが前記所定範囲外の場合に、前記放射線防護マスクが人工核種に汚染されている疑いがあると判定する第2判定ステップとを含むことを特徴としてもよい。
上記の方法によれば、可搬型α線放出核種分析装置を用いて核種弁別を行うことも可能となり、総じて、フィルタ内部に三次元分布したα粒子汚染の直接的な検出の困難性が解決される。
さらに、前記メインフィルタを通過する空気の体積速度をVair、前記スリットを通過する空気のうち、前記プレフィルタを通過しない空気の割合をFleak、前記プレフィルタの捕集率をEpreとすると、前記傾きaは、下記式1で表されることを特徴としてもよい。
Figure 0007203383000001
本発明の他の形態として、吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具とを備える放射線防護マスクに着脱可能に取り付けられるフィルタカバーにおいて、底面及び開口面を有する有底円筒体と、前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記プレフィルタ治具の前記筐体の外周面に密着する部分に当接する複数のリブと、前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とする。
本発明の他の形態として、吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタとを備える放射線防護マスクに着脱可能に取り付けられるプレフィルタ治具及びフィルタカバーにおいて、前記プレフィルタ治具は、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成され、前記プレフィルタの外縁部に密着するリング部と、前記リング部の外周面から突出して、前記筐体の外周面に密着する円筒部とを備え、前記フィルタカバーは、底面及び開口面を有する有底円筒体と、前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記円筒部の外面に当接する複数のリブと、前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とする。
本発明の他の形態として、吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具と、前記プレフィルタ治具を覆うと共に、前記開口を閉塞するフィルタカバーとを備える放射線防護マスクであって、前記プレフィルタ治具は、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に前記開口が形成され、前記プレフィルタの外縁部に密着するリング部と、前記リング部の外周面から突出して、前記筐体の外周面に密着する円筒部とを備え、前記フィルタカバーは、底面及び開口面を有する有底円筒体と、前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記円筒部の外面に当接する複数のリブと、前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、迅速、簡便かつ効率的に行うことが可能な放射線防護マスクの汚染の有無を検出することができる。
作業者が放射線防護マスクを装着した状態を示す図。 フィルタセットを前方側から見た分解斜視図。 フィルタセットを後方側から見た分解斜視図。 ケース1~5の比較試験の結果を示す表。 ケース1に使用したフィルタの概略断面図。 ケース2に使用したフィルタの概略断面図。 ケース3に使用したフィルタの概略断面図。 ケース4に使用したフィルタの概略断面図。 ケース5に使用したフィルタの概略断面図。 ケース1~5で使用したフィルタの幾何形状パラメータを示す表。 ケース1~5で使用したフィルタの防護係数を示す表。 汚染量M及び放射線取扱作業時間Tを変数とするダイアグラム。 放射線作業管理のフローチャート。 比較調査に使用した器材類を示す表。 α線検出の比較調査で測定した計数率を示す表。 Pu試料を用いたα線検出の比較調査の結果を示す表。
以下、図面を参照して、実施形態に係る放射線防護マスク1及び放射線防護マスク1の汚染検出方法を説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
[直接サーベイによる放射線防護マスクのα粒子汚染検出性能に関する適応性試験]
通常の直接サーベイによる放射線防護マスクのα粒子汚染検出性能を確認するため、放射線防護マスクについての適応性試験を実施した。この適応性試験では、現在、放射線取扱施設で運用されている半面マスクのほか、その導入が検討されている電動ファン付き呼吸保護具(以下「PAPR」と表記する。)を用いて比較調査した。試験内容としては、(1)Rn、Tn子孫核種によるα線検出の比較調査と、(2)Pu試料を用いたα線検出の比較調査を実施した。半面マスクフィルタ及びPAPRマスクフィルタの調査に使用した器材類を図14に示す。
(1)Rn、Tn子孫核種によるα線検出の比較調査では、ポータブルダストサンプラを用いて放射線取扱施設の管理区域内(倉庫)の空気を約30分間、3台同時に吸引させ、空気捕集後の各試料(空気濾紙、半面マスクフィルタ、PAPRマスクフィルタ)の表面をα線用サーベイメータで測定した。また、(2)Pu試料を用いたα線検出の比較調査では、マスクフィルタの濾材上部に汚染が付着したことを想定し、Pu試料の全α放射能強度が異なる時にマスクフィルタ表面の測定によってどれだけPu試料からのα線を検出できるか調査した。
(1)Rn、Tn子孫核種によるα線検出の比較調査で測定した計数率(dpm)の結果を図15に示す。この結果から、空気濾紙を測定した時の計数割合を1とした場合に、半面マスクフィルタとPAPRマスクフィルタは、計数割合が約0.1~0.2であり、α線の検出がほとんどできないことが確認された。この理由として、マスクフィルタの濾材は波状構造(凹凸構造)となっているため、捕集した空気に存在する浮遊塵は、マスクフィルタの濾材上部(凸部)のみではなくマスクフィルタの濾材の下部(凹部)まで付着すること、マスクフィルタの表面はプラスチック製のカバーがあるため、マスクフィルタの濾材に付着した放射性物質から放出されるα線は遮蔽されることが考えられる。
さらに、今回の比較調査結果から、マスクフィルタ表面のプラスチック製カバーに穴が開いている半面マスクフィルタは、プラスチック製カバーに細い隙間(スリット)が開いているPAPRマスクフィルタよりも計数割合が多く、プラスチックカバーによる遮蔽が効いていると考えられる。
次に、(2)Pu試料を用いたα線検出の比較調査の結果を図16に示す。比較調査の結果から、(1)Rn、Tn子孫核種によるα線検出の比較調査の結果と同様に、マスクフィルタ表面のプラスチック製カバーによって遮蔽されほとんど検出できないことが確認された。
また、可搬型α線放出核種分析装置を用いてマスクフィルタの濾材上部から放出される放射線を核種弁別すると、マスクフィルタ表面のプラスチック製カバーによって遮蔽されることによって計数は落ちるが、Puの判定領域に計数されたことから濾材上部に汚染が付着した場合には、正確な核種判別が可能であることが確認できた。しかしながら、今回の調査においては、マスクフィルタの濾材上部に汚染が付着したことを想定しており、実際の付着形態と異なるおそれがあることから、実態としては汚染が検出できないことが考えられる。
[直接サーベイによるα粒子汚染検出性能に関する適応性試験の総括]
以上の適用性試験の結果を総括すると、従来の直接サーベイによる放射線防護マスクのα粒子汚染検出方法によっては、以下に列挙した問題が派生することになる。
まず、放射線防護マスクのメインフィルタ内部に設置されたフィルタ自体に付着した放射性物質のα線がメインフィルタの筐体に遮蔽されるため、放射線防護マスクのα粒子汚染度が過小評価される。
また、放射線防護マスクのメインフィルタ内部に設置されているフィルタは波状の凹凸構造(ラウンドプリーツ状の構造)を有している。そのため、メインフィルタ筐体内部に流れ込む放射線取扱作業環境雰囲気中の粉塵等は、メインフィルタの筐体内部の複雑な流れ場に追従してフィルタ内部に流入する。また、フィルタの波状の凹凸構造の凹部等に捕集されるため、放射線防護マスクのフィルタ自体の汚染分布がその表面の分布のみならず、奥行き方向の分布に対しても不均一となり、総じてフィルタ全体としてのα粒子汚染の予測が容易ではない三次元分布になる。そのため、メインフィルタ内部に設置されたフィルタ自体のα粒子汚染度を計測することは極めて困難なものとなる。
さらに、上記のPAPRのように、放射線防護マスクのメインフィルタの筐体面のスリットの開口面積の割合が少ない仕様のものについては、前述した問題が顕著となる。
他方、直接サーベイによる放射線防護マスクのα粒子汚染度の検出方法として、予め放射線防護マスクのメインフィルタ筐体によるα線の低減係数(メインフィルタ筐体内部に存在するα線源の正の放射能強度値とメインフィルタ筐体材料により遮蔽されて計測された放射能強度値との比。例えば、「環境省『放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成26年度版)』第1章 放射線の基礎知識と健康影響」参照。)を計測しておき、この低減係数からフィルタ自体の汚染度を換算する方法が想定される。しかしながら、上記(特に、(2)Pu試料を用いたα線検出の比較調査の結果)の通り、この方法によってはα粒子汚染度の所望の検出精度を確保し難い。
また、放射線防護マスクのメインフィルタを分解してメインフィルタ内部に設置されたフィルタ自体をサーベイすることも考えられる。しかしながら、通常のメインフィルタの筐体は固く結合した状態で閉合しており、これを分解してフィルタ自体の汚染度を検出することは、放射線防護マスクの汚染検出作業の即時性及び効率性の観点から実際的ではない。
仮に、放射線防護マスクのメインフィルタを分解してフィルタ自体の汚染度を直接的に検出するとしても、フィルタ自体のラウンドプリーツ状の複雑な構造によって、更に、その分解に際して放射線防護マスクのメインフィルタ筐体表面或いは筐体内フィルタ自体に付着した放射性物質が離脱等することによって、フィルタ自体の正確なα粒子汚染分布を検出することは実質的に不可能となる。
[放射線防護マスクの構造]
そこで、直接サーベイによる放射線防護マスクのα粒子汚染検出方法の改良に際しては、メインフィルタ吸引口よりも上流部にメインフィルタとは別個のフィルタ(以下「プレフィルタ」という。)を設置し、この上流部においてプレフィルタが捕集したα線放出核種からのα線をサーベイする間接サーベイによる汚染検出方法が考えられる。
図1~図3を参照して、本実施形態に係る放射線防護マスク1を説明する。図1は、作業者が放射線防護マスク1を装着した状態を示す図である。図2は、フィルタセット3を前方側から見た分解斜視図である。図3は、フィルタセット3を後方側から見た分解斜視図である。
放射線防護マスク1は、管理区域内で作業する作業者が装着することによって、雰囲気中のα線放出核種の吸引を阻止するものである。図1に示すように、放射線防護マスク1は、マスク本体2と、フィルタセット3とを主に備える。
マスク本体2は、作業者の鼻及び口を覆うものであって、ベルト4、5によって作業者の頭部に固定される。マスク本体2は、フィルタセット3でα線放出核種が捕集された空気が流入する吸気口(図示省略)と、作業者が吐き出した呼気を排出する排気口6とを主に備える。また、マスク本体2は、吸気口を通じて強制的に空気を吸引する電動ファン(図示省略)をさらに備えてもよい。
フィルタセット3は、雰囲気中の空気からα線放出核種を捕集して、マスク本体2の吸気口に供給するものである。図2及び図3に示すように、フィルタセット3は、メインフィルタ10と、プレフィルタ20と、プレフィルタ治具30とを主に備える。
メインフィルタ10は、扁平な円筒形状の外形を呈する筐体11と、筐体11の内部空間に収容されたフィルタ12とで構成される。メインフィルタ10は周知の製品であってもよく、例えば、興研社製のBRD-82を採用することができる。
図2に示すように、筐体11の表面11aには、スリット13が形成されている。すなわち、雰囲気中の空気は、スリット13を通じて筐体11の内部に流入する。本実施形態では、円形状のスリット13a、13b(以下、これらを総称して、「スリット13」と表記する。)が同心円状に形成されている。但し、スリット13の具体的な形状はこれに限定されない。
図3に示すように、筐体11の裏面11bには、装着部14が形成されている。装着部14は、マスク本体2の吸気口に着脱可能に装着される。そして、装着部14が吸気口に装着されると、筐体11の内部空間と吸気口とが装着部14を通じて連通する。すなわち、筐体11内部の空気は、装着部14及び吸気口を通じてマスク本体2に供給される。
フィルタ12は、スリット13から流入した空気からα線放出核種を捕集(濾過)する濾紙である。フィルタ12は、例えば、円錐形状の濾紙を同心円状に交互に山折り及び谷折りした「ラウンドプリーツ形状」を採用するのが望ましい。これにより、濾過面積を広げることが可能となる。
プレフィルタ20は、筐体11の表面11aの形状に対応する外形(すなわち、円形状)を呈する。プレフィルタ20は、例えば、不織布、織物、編物などの繊維構造体であって、なかでも不織布が適している。プレフィルタ20の直径は、スリット13bよりも大きく、筐体11の直径より僅かに小さい。そのため、プレフィルタ20を筐体11の表面11aに取り付けると、スリット13がプレフィルタ20によって覆われる。
プレフィルタ治具30は、メインフィルタ10に対してプレフィルタ20を固定する治具である。プレフィルタ治具30は、中央に開口31が設けられたリング部32と、リング部の外周部から突出する円筒部33とで構成される。開口31の直径は、スリット13aの直径より大きく、プレフィルタ20の直径より小さい。リング部32の外径は、メインフィルタ10の筐体11の直径と同等か僅かに小さい。円筒部33の内径は、筐体11の直径と同等か僅かに小さい。
なお、プレフィルタ20及びプレフィルタ治具30の外形は、円形状を呈するものとして説明したが、メインフィルタ10の筐体11の形状(円形状の他、例えば、三角状、四角状等)に応じて、適宜、それに適合した形状を採用し得る。また、その際のプレフィルタ20及びプレフィルタ治具30の直径等は、メインフィルタ10の筐体11の形状に応じた有効径等を採用し得る。
筐体11の表面11aにプレフィルタ20を載置した状態でプレフィルタ治具30を被せると、リング部32がプレフィルタ20の外縁部に密着し、円筒部33の内面が筐体11の外周面に密着する。一方、プレフィルタ20の中央部は、図1に示すように、開口31を通じて外部に露出される。
プレフィルタ治具30は、弾性変形能の高い軟質の樹脂によって形成される。プレフィルタ治具30を構成する樹脂の具体例は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、PTFEなどの熱可塑性樹脂、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーなどが挙げられる。これらの樹脂のうち、弾力性に優れたエラストマーが特に好ましく用いられる。
その他、プレフィルタ治具30を構成する材料として、例えば、セラミック、鉄、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、ニッケル、チタンなどの金属類、或いはこれらを含む各種合金が適用され得る。これらの構成材料を適用する際には、プレフィルタ治具30の内面には、メインフィルタ10の筐体11に対してプレフィルタ20を隙間無く装着するためのリブが形成されていることが望ましい。リブによりメインフィルタ10の筐体11にプレフィルタ20を固定することによって、プレフィルタ20を通過しない作業環境雰囲気(空気)の漏洩流路配分を抑制するほか、プレフィルタ20の取外しが容易となり、作業現場などでのプレフィルタ20の交換を短時間で行うことが可能となる。
上記構成のフィルタセット3によれば、雰囲気中の空気は、開口31を通じて露出されたプレフィルタ20を通過する際にα線放出核種の一部が捕集され、スリット13を通じて筐体11の内部に流入し、フィルタ12を通過する際に残りのα線放出核種が捕集されて、装着部14及び吸気口を通じてマスク本体2に供給される。
また、フィルタセット3には、使用する直前までフィルタセット3を保護するフィルタカバー40を取り付けることができる。フィルタカバー40は、メインフィルタ10に取り付けられたプレフィルタ20及びプレフィルタ治具30の位置ズレを防止すると共に、放射線防護マスク1が適切に装着できているか否かを陰圧法(後述)で確認するために用いられる。
フィルタカバー40は、有底円筒体の外形を呈する。フィルタカバー40の内面には、複数のリブ41が設けられている。複数のリブ41は、径方向内側に突出すると共に、フィルタカバー40の底面から開口面に向けて延設されている。また、複数のリブ41は、周方向に離間して設けられている。さらに、フィルタカバー40の底面には、閉塞部材42が設けられている。閉塞部材42は、プレフィルタ治具30の開口31と同等の直径を有する円形の部材である。
なお、フィルタカバー40及び閉塞部材42の外形は、円形状を呈するものとして説明したが、メインフィルタ10の筐体11の形状(円形状の他、例えば、三角状、四角状等)に応じて、適宜、それに適合した形状を採用し得る。また、その際のフィルタカバー40及び閉塞部材42の直径等は、メインフィルタ10の筐体11の形状に応じた有効径等を採用し得る。
フィルタセット3にフィルタカバー40を被せると、複数のリブ41がプレフィルタ治具30の円筒部33の外面に当接する。これにより、プレフィルタ20及びプレフィルタ治具30の位置ずれが防止される。また、フィルタセット3にフィルタカバー40を被せると、閉塞部材42が開口31に対面する。そして、フィルタカバー40をフィルタセット3に押し付けると、閉塞部材42によって開口31が閉塞される。
そこで、放射線防護マスク1を装着した作業者は、フィルタカバー40をフィルタセット3に押し付けた状態で、空気を吸い込む(陰圧法)。このとき、開口31は閉塞部材42によって閉塞されているので、空気を吸い込むことができれば、顔との間に隙間ができて放射線防護マスク1を適切に装着できないことになる。一方、空気を吸い込むことができなければ、顔との間に隙間がなく放射線防護マスク1を適切に装着できていることになる。そして、フィルタカバー40は、放射線防護マスク1を適切に装着できていることが確認できてから取り外される。
フィルタカバー40は、一定の定型性を有する材料によって形成される。例えば、熱可塑性樹脂のほか、セラミック、鉄、アルミニウム、銅、錫、亜鉛、ニッケル、チタンなどの金属類、或いはこれらを含む各種合金が適用され得る。
閉塞部材42は、弾性変形能の高い軟質樹脂によって形成される。閉塞部材42を構成する樹脂の具体例は特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、エラストマーなどが挙げられる。これらの樹脂のうち、弾力性に優れたエラストマーが特に好ましく用いられる。
[間接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法の策定方針に関する概略検討]
間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法の策定方針について事前の概略検討をすると、上記のとおり、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法の導入趣旨に鑑みて、原則として、α線放出核種はメインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り完全に捕集することが望ましい。
この策定方針に関しては、放射線防護マスク1等の放射線取扱施設で使用された被疑汚染対象物は、放射性廃棄物として或いは規制免除対象物としての判断及びその取り扱いに当たり、その性状及び放射能レベル等に応じた厳格な分類をすることが要求されている。しかしながら、この要求を満たすためには、放射線防護マスク1の放射能汚染を可能な限り精緻に把握し、これを管理する必要がある状況を鑑みると、これに適合した方針として捉えることができる。
この策定方針によっては、α線放出核種はメインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り多くのα線放出核種が捕集されることにより、プルトニウム等の人工核種の捕集確率が高められることとなり、延いては、可搬型α線放出核種分析装置を用いた核種弁別による正確な核種判別が可能となる。
また、放射線取扱施設において放射線防護マスク1を使用する作業員の安全性を確保する上で、作業環境中雰囲気のα線放出核種を放射線防護マスク1のメインフィルタ10に流入させることなく、メインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り完全に捕集することが望ましく、このような放射能汚染に関する多重防護の観点からもより適合した方針として捉えることができる。
[間接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法の仕様条件に関する概略検討]
さらに、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法の具備すべき仕様条件について事前の概略検討を行うと、上記のとおり、α線放出核種はメインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り捕集することが必要となることから、その前提条件として、プレフィルタ20は、メインフィルタ10のスリット13を覆うことが必要となる(以下「汚染検出条件(1)」という。)。
また、このプレフィルタ20の仕様によっては、プレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込むα線放出核種の流れ(主として、プレフィルタ20の外縁部とメインフィルタ10のスリット13外縁部の隙間等から流入するα線放出核種の流れ)が想定される。この流れを抑制するために、プレフィルタ20は、メインフィルタ10のスリット13を覆うのみならず、メインフィルタ10のスリット13の外縁部も覆うことが必要となる(以下「汚染検出条件(2)」という。)。
さらに、このプレフィルタ20の仕様によっても、プレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込むα線放出核種の流れ(主として、プレフィルタ20の外縁部とメインフィルタ10のスリット13外縁部の隙間等から流入するα線放出核種の流れ)が想定される。この流れを抑制するために、プレフィルタ20は、メインフィルタ10のスリット13及びスリット13外縁部を単に覆うのみならず、メインフィルタ10の外周部までをこれらの表面に密着させつつ覆うことが必要となる(以下「汚染検出条件(3)」という。)。
以上の事前の概略検討に基づき、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法の具体的な策定に際しては、プレフィルタ20の形状、大きさ及び材質等とともに、その設置方法を検討する必要がある。かかる状況の下、プレフィルタ20の形状、大きさ及び材質等、並びにその設置方法の最適化の観点から、計5ケースの比較試験を実施した。
[間接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法に関する比較試験]
次に、図4~図9を参照して、放射線防護マスク1の汚染検出方法に関する比較試験の結果を説明する。図4は、比較試験の結果を示す表である。図5~図9では、ケース1~5におけるメインフィルタ10の筐体11、フィルタ12、スリット13、プレフィルタ20、プレフィルタ治具30と、メインフィルタ筐体内部に流入する作業環境雰囲気(空気)の流線とについて、それらの断面における概略を記載している。
比較試験は、各ケース1~5のフィルタに天然放射性核種を含む空気を通過させた後、ZnS(Ag)シンチレーション式サーベイメータ(TCS-231)にて、プレフィルタの表面の天然放射性核種の放射能強度[Bq]を測定した。また、これと並行して、各ケース1~5の試験環境において、空気濾紙(HE-40T)にも同じ空気を通過させ、試験環境中の天然放射性核種の放射能強度を測定した。そして、ケース2~5については、空気濾紙の放射能強度に対するプレフィルタ表面の放射能強度を、「プレフィルタを通過する流量配分(率)」として算出した。
(ケース1)
図5に示すように、ケース1は、プレフィルタ20を設置しない試験ケースである。ケース1~5の比較試験の試験条件(プレフィルタ仕様、流量、捕集時間、及び使用機器等)下における、上記の“(1)Rn、Tn子孫核種によるα線検出の比較調査”の再現試験に相当するものである。そこでの試験結果と同様に、空気濾紙(HE-40T)を測定した時の計数割合を1とした場合に、計数割合が約0.1であり、α線の検出がほとんどできていないことが確認された。
(ケース2)
図6に示すように、ケース2は、爪状のプレフィルタ治具でプレフィルタ21を設置した試験ケースである。ケース2は、上記の仕様条件に関する事前検討の汚染検出条件(1)について確認するものである。
図4に示すように、プレフィルタ21を通過する流量配分は40%であり、吸着分布試験の結果と併せると、プレフィルタ21を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れ(主として、プレフィルタ20外縁部とメインフィルタ10のスリット13外縁部の隙間等から流入する大気中のα粒子の流れ)が発生していることが判る。
(ケース3)
図7に示すように、ケース3は、プレフィルタ22をメインフィルタ10の筐体11表面に両面テープで簡易設置した試験ケースである。ケース3は、上記の仕様条件に関する事前検討の汚染検出条件(2)について確認するものである。
図4に示すように、プレフィルタ22を通過する流量配分は25%であり、吸着分布試験の結果と併せると、プレフィルタ22を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れが発生していることが判る。
(ケース4)
図8に示すように、ケース4は、プラスチック製中空円筒状治具35によりプレフィルタ20を設置した試験ケースである。ケース3は、上記の仕様条件に関する事前検討の汚染検出条件(3)について確認するものである。
図4に示すように、プレフィルタ20を通過する流量配分は43%であり、吸着分布試験の結果と併せると、プレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れが依然抑制できていないことが判る。
この点について更に考察すると、ケース4では汚染検出条件(1)~(3)を満たすために、プラスチック製中空円筒状治具35を採用することによりプレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れを抑制することを試みたが、依然、メインフィルタ10の外周部からの気中放射性物質の流入が発生していることが想定される。
また、図8には直接図示していないが、プレフィルタ20の表面とプラスチック製中空円筒状治具35の内径淵部との隙間等からプレフィルタ20の外縁部を回り込んでメインフィルタ10のスリット13へ直接流入する大気中放射性物質の流れが発生していることも想定される。
また、この大気中放射性物質の流れは、プラスチック製中空円筒状治具35が硬質のプラスチックを採用しており、汚染検出条件(3)のプレフィルタ20とメインフィルタ10との密着性が不十分であったことも一つの要因として考えられる。
(ケース5)
図9に示すように、ケース5は、本実施形態に係るプレフィルタ治具30でプレフィルタ20を設置した試験ケースである。ケース5は、ケース4同様に、上記の仕様条件に関する事前検討の汚染検出条件(3)について確認するものである。
図4に示すように、プレフィルタ20を通過する流量配分は82%であり、吸着分布試験の結果と併せると、プレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れが、ケース2~4の試験結果と比較して大幅に抑制されていることが判る。
特に、ケース4の試験結果と比較すると、ケース5では、ゴム製のプレフィルタ治具30を採用していることから、ゴムの材質が有する弾性によりプレフィルタ20とメインフィルタ10との密着性が高まり、プレフィルタ20を通過することなくメインフィルタ10のスリット13へ直接流れ込む大気中放射性物質の流れが抑制されたものと考えられる。
[間接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法]
間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法については、上記のとおり、放射線防護マスク1のメインフィルタ10の上流部おけるプレフィルタ20において可能な限りα線放出核種を完全に捕集することが要求される。しかしながら、上記の検討試験の結果から確認されたように、実際のプレフィルタ治具30等によっては、少なからずプレフィルタ20を通過しない漏洩流量配分が派生する。ケース5のプレフィルタ治具30等を用いた場合においても、流量配分率は82%であり、漏洩流量配分は18%となる。
そこで、この漏洩流量配分がある場合についても考慮した間接サーベイによる放射線防護マスク1の具体的な汚染検出方法について説明する。プレフィルタ20の捕集率をEpre[-]、プレフィルタ20の入口におけるα線放出核種の濃度をCin[kg/m]、プレフィルタ20の出口におけるα線放出核種の濃度をCout[kg/m]とすると、プレフィルタ20の捕集率は下記式2で定義される。なお、Cinは、作業環境雰囲気のα線放出核種濃度と等しく、以下、「プレフィルタ20の入口濃度Cin」と表記する。
Figure 0007203383000002
また、プレフィルタ20を通過する作業環境雰囲気の流路配分率をFpre[-]、プレフィルタ20を通過しない作業環境雰囲気の漏洩流路配分率をFleak[-]とすると、Fpre+Fleak=1が成立する。そして、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量をMpre[kg]、プレフィルタ20の空塔速度をupre[m/s]、プレフィルタ20の空塔流路断面積をS pre[m]、放射線取扱作業時間(放射線防護マスク1の使用時間)をT[S]、放射線防護マスク1のメインフィルタ10を通過する体積速度(防護マスクの電動ファン体積速度等)をVair[m/s]とすると、放射線取扱作業の環境雰囲気(空気)についての連続の式から、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量は次の式3で表されることとなる。
Figure 0007203383000003
ここで、プレフィルタのα線放出核種捕集量Mpre[kg]は、上記の適用性試験や比較試験と同様に、α線用サーベイメータ等により計測するα線強度[Bq]から検出・換算することが可能である。また、プレフィルタ20の捕集率Epre[-]及びプレフィルタ20を通過しない漏洩流路配分率Fleak[-]は、上記の比較試験と同様に、放射線取扱作業で採用する放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等を選定することにより決定される。
また、放射線防護マスク1のメインフィルタ10を通過する体積速度Vair[m/s]については、放射線防護マスク1の着用者特有の呼吸パターンを事前に計測等しておき(『防護マスク試験用の呼吸模擬装置 保険物理, 11, 51~56 (1976)』(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhps1966/11/1/11_1_51/_pdf/-char/ja)等を参照。)、例えば、これを正弦波により模擬したときの平均吸引量を用いることが考えられる(興研株式会社パンフレット『サカヰ式電動ファン付き呼吸用保護具 興研株式会社 2016年9月現在』(http://www.koken-ltd.co.jp/catalog/pdf/papr201609.pdf)等を参照。)。
よって、放射線取扱作業において、放射線防護マスク1のメインフィルタ10を通過する体積速度Vair[m/s]及び放射線取扱作業時間T[s]を設定した場合の作業環境雰囲気のα線放出核種濃度(平均値)は、プレフィルタ20の入口濃度Cin[kg/m]に等しいことから、下記式4よって求めることができる。
Figure 0007203383000004
なお、プレフィルタ20の入口濃度Cin[kg/m]については、作業環境雰囲気中にラドン等の天然核種やプルトニウム等の人工核種といった複数のα線放出核種を含む場合には、それら複数核種についての全体の濃度を表すことになるが、別途の可搬型α線核放出種分析装置を用いた核種弁別によって計測される複数核種の濃度比から、それら複数核種についての各核種の濃度を求めることが可能となる。
また、α線放出核種による放射線防護マスク1の汚染量(プレフィルタ20及びメインフィルタ10への流入量によって放射線防護マスク1全体が取り込んだα線放出核種汚染量)Mall[kg]と、α線放出核種のメインフィルタ10の汚染量Mmain[kg]は、この作業環境雰囲気のα線放出核種濃度(平均値)Cin[kg/m]から、それぞれ下記式5、6によって求めることができる。
Figure 0007203383000005
なお、α線放出核種の放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]は、放射線防護マスク1全体が取り込んだα線放出核種汚染量と、放射線防護マスク1全体の外面に付着したα線放出核種汚染量との総和から求められるが、以下、放射線防護マスク1全体の外面に付着したα線放出核種汚染量については省略して説明する。
したがって、以上の評価式を用いることによって、間接サーベイによる放射線防護マスク1のα粒子汚染検出が可能となる。その結果、当初の解決すべき課題とされた、メインフィルタ10の筐体11内に設置されたフィルタ12自体のα粒子汚染を検出することが、延いては、放射線防護マスク1自体のα粒子汚染を検出することが可能となる。
なお、ここでの間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法においては、放射線取扱作業時間が比較的短い時間(法令で定められた放射線取扱施設での一日当たりの作業許容時間)を想定している。
そのため、プレフィルタ20の閉塞やプレフィルタ治具30等圧力分布の時間変化による放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等に関する幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epre等の時間依存や、作業環境中におけるα線放出核種の放射性崩壊系列の時間変化によるプレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]、α線放出核種の放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]、及びα線放出核種のメインフィルタ10の汚染量Mmain[kg]等の時間依存を考慮していない。この場合は、必要に応じて、事前の実測試験や数値シミュレーションによって、これらの物理量の時間依存性を把握することにより各種の物理量を求めることも可能となる。
また、ここでの間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法においては、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]として、プレフィルタ20の表面の汚染量をα線用サーベイメータ等により計測し、そのα線強度[Bq]から検出・換算することを想定している。そのため、採用するプレフィルタ20については、例えば、JIS Z 4601(旧規格JIS Z 4512)に規定の高い捕集率を有する所定の仕様のものを用いることが望ましい。
一方、この所定の捕集率の仕様ではないプレフィルタ20を用いる場合には、プレフィルタ20の表面に分布する捕集量のみならず、その内部に分布する捕集量も含めた総捕集量を可能な限り正確に求める必要がある。そのため、例えば、間接サーベイによる放射線防護マスク1を用いる作業環境雰囲気に適合した、α線放出核種の表面汚染強度[Bq]及びその際の実際のα線放出核種捕集量Mpre[kg]の相関図を作成しておき、この相関図を用いて、プレフィルタのα線放出核種捕集量Mpre[kg]を算出することが考えられる。
[間接サーベイによる汚染検出に際してのプレフィルタ治具等の選定]
間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法の策定方針については、上記のとおり、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出の導入趣旨に鑑みて、α線放出核種はメインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り完全に捕集することが望ましい。また、この策定方針については、放射線取扱施設において放射線防護マスク1を使用する作業員の安全性を確保する上での放射能汚染に関する多重防護の観点からもより適合した方針である。
次に、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量の観点、及び放射能汚染に関する多重防護の観点から、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して採用すべきプレフィルタ治具30等の選定方法について説明する。
まず、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量の観点から、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して採用すべきプレフィルタ治具30等の選定方法について説明する。
メインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20において可能な限り完全に捕集する必要がある。そのため、放射線防護マスク1のメインフィルタ10を通過する体積速度Vair[m/s]、放射線取扱作業時間T[s]、及びプレフィルタ20の入口濃度Cin[kg/m]の単位量当たりのプレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]が、可能な限り大きな値を有するプレフィルタ治具30等が、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して採用すべきものとして捉え得る。
よって、上記のプレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]の評価式から、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際しては、下記式7の右辺に示す放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等に関する幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epreが最も大きい値を有するプレフィルタ治具30等を選定すべきことが理解される。
Figure 0007203383000006
上記の比較試験ケース1~5において使用した放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等に関する幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epreの値を図10に示す。なお、プレフィルタの捕集率Epre[-]については、0.87の値を使用する。
図10に示すように、比較試験のケース5で使用した放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等の幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epreが最も大きな値を有しており、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して好適であることが判る。
[放射能汚染に関する多重防護の観点からのプレフィルタ治具等の選定方法]
次に、放射能汚染に関する多重防護の観点から、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して採用すべきプレフィルタ治具30等の選定方法について説明する。
放射線防護マスク1等の呼吸用保護具を選択する際には、呼吸用保護具によって得られる防護効果を表す防護係数が一般的に用いられている。防護係数は、作業環境中の有害物質濃度と吸気中の有害物質濃度を測定して、下記式8で算出される。
Figure 0007203383000007
この防護係数について、上記のプレフィルタ治具30等に関する防護係数P pre[-]を、上記のα線放出核種のメインフィルタ10の汚染量Mmain[kg]の評価式から求めると、下記式9によって表すことができる。なお、式9の分母の“吸気中の有害物質濃度”は、α線放出核種のメインフィルタ10の汚染量Mmain[kg]に関する有害物質濃度に相当する。
Figure 0007203383000008
よって、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際しては、式9の右辺に示す放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等に関する幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epreが最も大きい値を有するプレフィルタ治具30等を選定すべきことが理解され、上記のプレフィルタ20のα線放出核種捕集量の観点からの選定方法と同義であることが判る。また、上記の比較試験ケース1~5において使用した放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等に関する防護係数P preの値を図11に示す。なお、プレフィルタの捕集率Epre[-]については、0.87の値を使用する。
図11に示すように、比較試験ケース5で使用した放射線防護マスク1のメインフィルタ10及びプレフィルタ治具30等の防護係数P preが最も大きな値を有しており、上記の幾何形状パラメータ(1-Fleak)Epreについて纏めた図10と同様に、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出に際して好適であることが判る。
[間接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法を用いた放射線作業管理]
放射線取扱作業については、放射線取扱い作業の安全及び被ばく防護の観点から、計画段階において、防護の方法、被ばく評価、放射線モニタリング方法等の検討を行い、作業従事者は事前に、作業に伴う被ばくの程度、異常発生の潜在的危険性等を調査の上、作業手順・方法等の放射線防護対策を決定し、これに基づき計画被ばく線量を評価する。
また、放射線取扱作業中にあっては、作業の程度に応じて放射線管理担当者による作業立会を行い、防護措置の指導、被ばく管理、モニタリングを実施し、これらのモニタリングデータ等から作業前の計画との比較・検討を行い、作業が計画通りに実施されていることを、以下の事項に基づき判断する。
(1)作業環境に異常な放射線レベル・汚染が生じていないことを確認する。
(2)作業環境の放射線レベルから作業者の線量および摂取量の上限値を推定し、作業前の予測値以下になることを確認する。
(3)計画した作業手順および防護措置等が、実際の作業状況に適合していることを確認する。
(4)個人被ばく線量計の積算線量値等から、規定の線量以下であることを確認する。
(5)作業中の作業方法・モニタリング方法・モニタリング結果等を記録して、その後の作業の参考とする。
さらに、放射線取扱作業後については、作業中のモニタリングデータ等から、被ばく線量、空気中の放射能濃度および表面密度等の評価を行い、これらの結果と作業前の計画との比較・検討から、作業計画および実施の妥当性について評価を行うとともに、次回からの作業のための防護の手段の参考とするほか、類似の作業に対する作業方法の改善、施設の改善、施設や設備の改良のために反映する(『放射線作業の計画と管理 (09-04-09-03) - ATOMICA -』(https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_09-04-09-03.html)を参照。)。
間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法についても、これらの放射線作業計画の策定及びその運用管理に活用することが可能である。そこで次に、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法による放射線作業計画管理の具体について説明する。
放射線取扱作業の作業環境雰囲気中にα線放出核種を含み得る場合において、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法による放射線作業計画管理を行う際には、放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の汚染量(捕集量)M[kg]、及び放射線取扱作業時間T[s]を変数としたダイアグラムを用いることができる。
具体的には、放射線取扱作業において、放射線防護マスク1のメインフィルタ10を通過する体積速度をVair[m/s]に設定した場合に、放射線取扱作業時間をT[s]とした後に計測されたプレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]から求められたプレフィルタ20の入口濃度をCin[kg/m]とすると、下記式10、11を満たすように放射線作業計画管理を行う。
Figure 0007203383000009
ここで、式10は、放射線取扱作業後の放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]が、放射線取扱作業における放射線防護マスク1の最小許容汚染量Mmin[kg]以上であって、放射線取扱作業における放射線防護マスク1の最大許容汚染量Mmax[kg]以下であるべきことを意味する。なお、最小許容汚染量Mmin[kg]は省略可能である。
例えば、放射線取扱作業における放射線防護マスク1の最小許容汚染量Mmin[kg]として、α線用サーベイメータ等の計測機器の検出限界値を採用し、放射線取扱作業における放射線防護マスク1の最大許容汚染量Mmax[kg]として、法令で定められた放射線防護マスク1の許容汚染値を採用することが考えられる。
また、式11は、放射線取扱作業後の放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]が、作業環境雰囲気におけるα線放出核種(特に、ラドンやトロン等の天然核種を想定。)の最小想定濃度をCα min[kg/m]と仮定した場合に求めた放射線防護マスク1の汚染量以上であって、作業環境雰囲気におけるα線放出核種の最大想定濃度をCα max[kg/m]と仮定した場合に求めた放射線防護マスク1の汚染量以下であるべきことを意味する。なお、最小想定濃度Cα minは省略可能である。
この式11は、上記のとおり、放射線取扱作業等における作業環境雰囲気中のラドンやトロン等の天然核種の濃度変動は大きく予測し難いことから、放射線取扱作業等における作業終了後の汚染度の有無を、ZnS(Ag)サーベイメータ等の測定器により測定した“計数率”の情報のみによっては、その情報がラドンやトロン等の天然核種によるものなのか、プルトニウム等の人工核種によるものなのかの判断が容易でない事情を考慮した条件式である。
一例として、作業環境雰囲気におけるα線放出核種の最小想定濃度をCα min[kg/m]として、放射線取扱作業を実施する作業環境雰囲気のモニタリングから観測されているα線放出核種の最小濃度値を採用し、作業環境雰囲気におけるα線放出核種の最大想定濃度をCα max[kg/m]として、そのα線放出核種の最大濃度値を採用することが考えられる。
他の例として、作業環境雰囲気におけるα線放出核種の平均濃度をCα ave[kg/m]とし、標準偏差をσα ave[kg/m]として、平均濃度Cα ave[kg/m]に標準偏差σα ave[kg/m]を加算又は減算した値を、それぞれ作業環境雰囲気におけるα線放出核種の最大想定濃度Cα max[kg/m]又は最小想定濃度Cα min[kg/m]として採用することが考えられる。
仮に、後述の放射線作業管理において、放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]が、式11の上限値であるの最大想定濃度をCα max[kg/m]と仮定した場合に求めた放射線防護マスク1の汚染量を超えた場合において、ZnS(Ag)サーベイメータ等の測定器により測定した“計数率”の情報によってはラドンやトロン等の天然核種によるものなのか、プルトニウム等の人工核種によるものなのかの判断がし難い場合において、可搬型α線放出核種分析装置を用いることによって核種弁別をする等、迅速、簡便かつ効率的な放射線作業管理が可能となる。
以上の放射線取扱作業の計画管理方法によれば、放射線作業計画については、所定の放射線防護マスク1及びプレフィルタ治具30等を用いる場合の作業時間の許容範囲を決定することが可能であるほか、逆に、所定の作業時間を設定する場合の選定すべき放射線防護マスク1及びプレフィルタ治具30等をそれらの幾何形状パラメータから決定することが可能となる。
また、この放射線取扱作業の計画管理方法によれば、放射線作業管理については、所定の放射線防護マスク1及びプレフィルタ治具30等を用いた場合の作業時間の妥当性を確認することが可能であるほか、逆に、所定の作業時間を設定した場合の選定した放射線防護マスク1及びプレフィルタ治具30等の妥当性をそれらの幾何形状パラメータから確認することが可能となる。
次に、これらの具体的な事例として、放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の汚染量M[kg]及び放射線取扱作業時間T[s]を変数とするダイアグラムを用いた場合について、具体的な作業時間の許容範囲の決定方法、或いはその確認方法を示す。図12は、α線放出核種による放射線防護マスクの汚染量M[kg]及び放射線取扱作業時間T[s]を変数とするダイアグラムである。
放射線取扱作業の作業計画に際して、仮に、放射線取扱作業における許容上限時間をT max[s]、放射線取扱作業における許容下限時間をT min[s]として設定すると、上記式5に示す放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]の評価式から、それらの許容上限時間及び許容下限時間に対応する、放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の最大予測捕集量M max[kg]と、放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の最小予測捕集量M max[kg]とが予測される。なお、このケースは、例えば、放射線取扱作業従事者が複数いるときに、放射線取扱作業における許容下限時間及び許容上限時間を予測する必要がある場合等が想定される。
このとき、図12に示すとおり、放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の最大予測捕集量M max[kg]と放射線取扱作業におけるα線放出核種による放射線防護マスク1の最小予測捕集量M min[kg]が、上記の式10を満たし、且つ式11を満たすのであれば、その許容上限時間及び許容下限時間は適切であると判断されることになる。
また、このときのプレフィルタ20の入口濃度Cin[kg/m]としては、例えば、上記の放射線取扱作業を実施する作業環境雰囲気のモニタリングから観測されているα線放出核種の平均濃度Cα ave[kg/m]を用いることが考えられる。
ここでの事例においては、放射線取扱作業における許容上限時間T max[s]及び許容下限時間T min[s]の複数時間設定等する場合を想定したが、放射線作業計画管理において、ある特定の許容時間を一点時間設定等する場合についても、放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]によるダイアグラムを同様にして適用することが可能である。
また、ここでの事例においては、放射線防護マスク1の汚染量Mall[kg]によるダイアグラムを用いたが、上記のプレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpre[kg]、或いはα線放出核種のメインフィルタ10の汚染量Mmain[kg]によるダイアグラムを用いて、放射線作業計画の策定及びその運用管理を行うことも可能である。
[放射線防護マスクの汚染検出方法]
次に、図13を参照して、放射線防護マスクの汚染検出方法を説明する。図13は、放射線作業管理のフローチャートである。以下の説明は、既に詳述した各ステップを時系列に沿って整理したものである。まず、管理区域は、防護服を身に付けた作業者が作業をする作業室と、作業室への入退室の準備をする準備室とに分けられる。作業室は、準備室より放射線の濃度が高いエリアである。
まず、作業者は、非管理区域から準備室に入室し、防護服及び放射線防護マスク1を装着する(S11)。なお、この時点では、フィルタセット3にフィルタカバー40が装着されたままである。次に、作業者は、フィルタカバー40をフィルタセット3に押し付けて呼吸をする“陰圧法”を実行する(S12)。そして、作業者は、陰圧法で呼吸ができる場合に(S12:No)、放射線防護マスク1を装着し直して(S11)、再び陰圧法を実行する(S12)。
そして、作業者は、陰圧法で呼吸ができない場合に(S12:Yes)、入室時刻を記録し(S13)、作業室に入室して所定の作業を行う(S14)。そして、所定の作業を終えた作業者は、作業室から準備室に移って退室時刻を確認し、放射線取扱作業時間T(=退室時刻-入室時刻)を算出する(S15)。ステップS14、S15の処理は、作業時間計測ステップの一例である。
次に、作業者は、準備室に設置されたα線用サーベイメータを用いて、プレフィルタ20のα線放出核種捕集量Mpreを計測する(S16)。ステップS16の処理は、捕集量計測ステップの一例である。そして、作業者は、式1を用いて傾きa(=Vairin)を算出し、式5を用いて放射線防護マスク1の汚染量Mallを算出する。これらの算出処理及び後述するステップS17~S22は、例えば、準備室に設置されたコンピュータ等を用いて行えばよい。
次に、作業者は、傾きaと所定範囲とを比較する(S17)。より詳細には、作業者は、Vairα min≦Vairin≦Vairα maxの関係を満たすか否かを確認する。換言すれば、図12において、Vairin×Tで表される直線が、Vairα min×Tで表される直線と、Vairα max×Tで表される直線との間に位置するか否かを確認する。ステップS17の処理は、第2比較ステップの一例である。なお、上記の各項は、Vairが共通するので、Cα min、Cin、Cα maxを比較してもよい。
そして、作業者は、ステップS17の関係を満たさない場合に(S17:No)、放射線防護マスク1が人工核種に汚染されている疑いがあると判定する(S18)。一方、作業者は、ステップS17の関係を満たす場合に(S17:Yes)、放射線防護マスク1が人工核種に汚染されていないと判定する(S19)。ステップS18、S19の処理は、第2判定ステップの一例である。
なお、人工核種に汚染されている疑いがある場合(S18)、作業者は、人工核種を非管理区域に持ち出さないために、ステップS20以降の処理を実行せずに、別室に移動して詳細な検査及び除染を実施する。一方、人工核種に汚染されていない場合(S19)、作業者は、放射線防護マスク1の汚染量Mallと上限値(Mmax)及び下限値(Mmin)とを比較する(S20)。ステップS20の処理は、第1比較ステップの一例である。
そして、作業者は、汚染量Mallが上下限値の範囲内の場合に(S20:Yes)、放射線防護マスク1の汚染量が許容範囲内だと判定して(S21)、準備室から非管理区域に移動する。一方、作業者は、汚染量Mallが上下限値の範囲外の場合に(S20:No)、放射線防護マスク1の汚染量が許容範囲を超えたと判定して(S22)、α線放出核種を非管理区域に持ち出さないために、別室に移動して詳細な検査及び除染を実施する。ステップS21、S22の処理は第1判定ステップの一例である。
上記の方法によれば、放射線防護マスク1のメインフィルタ10の筐体11内に設置されたフィルタ12内部におけるα粒子汚染に関する複雑な三次元分布の情報を、メインフィルタ10の上流部に設置されたプレフィルタ20に簡便に集約させることによって、フィルタ12内部におけるα粒子汚染に関する三次元分布の情報を二次元分布の情報として取得することが可能となる。
この間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法によっては、プレフィルタ20に集約されたα線放出核種に関する二次元分布情報から、ZnS(Ag)サーベイメータ等のα線用サーベイメータを用いたα粒子の線量自体の計測を行うことが可能となる。
さらに、α線用サーベイメータを用いた直接サーベイによる放射線防護マスクの汚染検出方法によっては、α線の“計数率”の情報のみを取得することが可能であり、プルトニウム等の人工核種とラドン等の天然核種の弁別をすることはできない。しかしながら、間接サーベイによる放射線防護マスク1の汚染検出方法によれば、可搬型α線放出核種分析装置を用いて核種弁別を行うことも可能となり、総じて、フィルタ12内部に三次元分布したα粒子汚染の直接的な検出の困難性が解決される。
また、前述の通り、プレフィルタ20自体の捕集率、並びにプレフィルタ20及びプレフィルタ治具30の幾何形状パラメータから決定される流量配分率を用いることによって、フィルタ12自体のα粒子汚染について所望の精度で検出することが可能となる。延いては、これらの情報を解析・評価することにより、放射線防護マスク1の汚染検出に係る放射線作業計画の策定及びその運用管理等に活用することが可能となる。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
1…放射線防護マスク、2…マスク本体、3…フィルタセット、4,5…ベルト、6…排気口、10…メインフィルタ、20,21,22…プレフィルタ、30…プレフィルタ治具、11…筐体、11a…表面、11b…裏面、12…フィルタ、13,13a,13b…スリット、14…装着部、31…開口、32…リング部、33…円筒部、40…フィルタカバー、41…リブ、42…閉塞部材

Claims (6)

  1. 吸気口及び排気口を有するマスク本体と、
    表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、
    前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、
    前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具とを備える放射線防護マスクのα線放出核種による汚染を検出する放射線防護マスクの汚染検出方法であって、
    前記プレフィルタ治具の前記開口から露出した前記プレフィルタのα線放出核種捕集量Mpreを、α線用サーベイメータで計測する捕集量計測ステップと、
    前記α線放出核種捕集量Mpreと予め定められた上限値Mmaxとを比較する第1比較ステップと、
    前記α線放出核種捕集量Mpreが前記上限値Mmax未満の場合に、前記放射線防護マスクの汚染量が許容範囲内だと判定し、前記α線放出核種捕集量Mpreが前記上限値Mmax以上の場合に、前記放射線防護マスクの汚染量が許容範囲を超えていると判定する第1判定ステップとを含むことを特徴とする放射線防護マスクの汚染検出方法。
  2. 請求項1に記載の放射線防護マスクの汚染検出方法において、
    前記放射線防護マスクを着用した作業者の管理区域内での作業時間Tを計測する作業時間計測ステップと、
    前記作業時間Tに比例する前記放射線防護マスクの汚染量Mを規定する式のうち、前記α線放出核種捕集量Mpreによって定まる傾きaと所定範囲とを比較する第2比較ステップと、
    前記傾きaが前記所定範囲内の場合に、前記放射線防護マスクが人工核種に汚染されていないと判定し、前記傾きaが前記所定範囲外の場合に、前記放射線防護マスクが人工核種に汚染されている疑いがあると判定する第2判定ステップとを含むことを特徴とする放射線防護マスクの汚染検出方法。
  3. 請求項2に記載の放射線防護マスクの汚染検出方法において、
    前記メインフィルタを通過する空気の体積速度をVair、前記スリットを通過する空気のうち、前記プレフィルタを通過しない空気の割合をFleak、前記プレフィルタの捕集率をEpreとすると、前記傾きaは、下記式1で表されることを特徴とする放射線防護マスクの汚染検出方法。
    Figure 0007203383000010
  4. 吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具とを備える放射線防護マスクに着脱可能に取り付けられるフィルタカバーにおいて、
    底面及び開口面を有する有底円筒体と、
    前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記プレフィルタ治具の前記筐体の外周面に密着する部分に当接する複数のリブと、
    前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とするフィルタカバー。
  5. 吸気口及び排気口を有するマスク本体と、表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタとを備える放射線防護マスクに着脱可能に取り付けられるプレフィルタ治具及びフィルタカバーにおいて、
    前記プレフィルタ治具は、
    前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成され、前記プレフィルタの外縁部に密着するリング部と、
    前記リング部の外周面から突出して、前記筐体の外周面に密着する円筒部とを備え、
    前記フィルタカバーは、
    底面及び開口面を有する有底円筒体と、
    前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記円筒部の外面に当接する複数のリブと、
    前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とするプレフィルタ治具及びフィルタカバーのセット。
  6. 吸気口及び排気口を有するマスク本体と、
    表面にスリットが形成され、裏面に前記吸気口に装着される装着部が形成された筐体、及び前記筐体の内部に収容されたフィルタを有し、前記スリットを通じて流入した空気に含まれるα線放出核種を前記フィルタで捕集して、前記装着部及び前記吸気口を通じて前記マスク本体に供給するメインフィルタと、
    前記筐体の表面に取り付けられて前記スリットを覆うプレフィルタと、
    前記プレフィルタの外縁部及び前記筐体の外周面に密着し、前記プレフィルタの中央部に対面する位置に開口が形成されたプレフィルタ治具と
    前記プレフィルタ治具を覆うと共に、前記開口を閉塞するフィルタカバーとを備える放射線防護マスクであって、
    前記プレフィルタ治具は、
    前記プレフィルタの中央部に対面する位置に前記開口が形成され、前記プレフィルタの外縁部に密着するリング部と、
    前記リング部の外周面から突出して、前記筐体の外周面に密着する円筒部とを備え、
    前記フィルタカバーは、
    底面及び開口面を有する有底円筒体と、
    前記有底円筒体の内面の周方向に離間した位置において、各々が径方向内側に突出し且つ前記底面から前記開口面に向けて延設され、前記円筒部の外面に当接する複数のリブと、
    前記底面に設けられて、前記開口を閉塞する閉塞部材とを備えることを特徴とする放射線防護マスク。
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