以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
[第1の実施の形態]
以下、第1の実施の形態に係る車両制御システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態に係る車両制御システム1000の全体構成の一例を示した概略図である。車両制御システム1000は、非常時に自律走行車両を停止させる非常停止システムとしても機能する。
図1において、車両制御システム1000は、携帯型端末1-1~1-2と、車載型端末2-1~2-2と、車載型端末3-1~3-4と、無線基地局4-1~4-2と、管制タワー5と、自律走行車両(以下「無人ダンプ」という)10-1~10-4と、有人運転による有人車両20-1~20-2と、管制センター30とを備える。車両制御システム1000は、無人ダンプ10-1~10-4、及び有人車両20-1~20-2の走行、非常減速、非常停止、その他の制御を実行可能に構成されている。
車両制御システム1000は、たとえば鉱山に設置される。無人ダンプ10-1~10-4は、無人で自律走行することが可能な車両であり、原則として運転手が搭乗することなく運行され、車両制御システム1000に基づいて制御される。無人ダンプ10-1~10-4は、例えば土砂や鉱石等の積荷を積載・運搬する運搬車両である。無人ダンプ10は、鉱山現場内で予め設定された走行路100を無人で自律走行する。例えば、積込場200には無人ダンプ10に土砂や鉱石の積込作業を行うショベル(図示せず)が配置されており、無人ダンプ10は、走行路100に沿って積込場200と放土場300との間を往復し、積荷を搬送する。また、管制センター30には、車両制御統括装置31、及び非常停止入力装置32が設置されている。
尚、各装置の台数については、図示のものや特定の数字に限定されない。例えば車載型端末及び無人ダンプは、それぞれ1台のみであってもよく、いずれか又は双方が複数であってもよい。また、車載型端末及び有人車両も、それぞれ1台のみであってもよく、いずれか又は双方が複数であってもよい。
また、図1では図示は省略しているが、無人ダンプ10-1~10-4が自律走行するための自律走行を支援するためのシステムや運行管理システムが、鉱山内の作業現場に設けられている。
携帯型端末1-1、1-2の構成は全て同じであってよいし、異なった構成であってもよい。以下では、携帯型端末1-1、1-2を区別することなく総称して「携帯型端末1」と記載することがある。同様に、車載型端末2-1、2-2、車載型端末3-1~3-4、無線基地局4-1~4-2を区別することなく総称して、それぞれ「車載型端末2」、「車載型端末3」、「無線基地局4」と記載することがある。また、無人ダンプ10-1~10-4の構成も全て同じであってよいので、総称する場合は「無人ダンプ10」と記載することがある。有人車両20-1、20-2も、総称して「有人車両20」と称することがある。
なお、本実施形態では、車両制御システム1000の制御対象は無人ダンプ10であるが、車両制御システム1000の制御対象となる自律走行車両は、無人ダンプには限定されず、有人ダンプ20をも併せて制御対象とし、無人ダンプ10と同様の制御を行うことも可能である。
鉱山現場では、土砂や鉱石等の積荷を搬送する無人ダンプ10以外に、有人車両20も走行する。有人車両20は、運転手又はその他の搭乗者が乗車できるように構成されており、運転手によって運転操作できるように構成された車両である。有人車両20は、例えば、上述のショベル、走行路100の路面の整地を行うドーザ、散水車、鉱山現場内をパトロールするサービスカー等である。
携帯型端末1は、鉱山現場内の作業者が携帯可能な携帯型装置である。携帯型端末1は、非常時に無人ダンプ10の非常停止を指示する非常停止命令信号を送出する非常停止装置としての機能を備える。
車載型端末2は、有人車両20に搭載される車載型装置である。車載型端末2も、非常停止命令信号を送出する非常停止装置としての機能を備えており、有人車両20の運転手又は搭乗者は、非常時に車載型端末2を用いて無人ダンプ10の非常停止を指示することができる。これによって安全が保証される。非常停止命令信号は、たとえば、現場内の走行路100、積込場200、放土場300などから送信することができる。
尚、本実施形態において、「非常時」の範囲、意味は限定されず、作業者又は有人車両20の運転手等は、自己の判断で非常時か否かを判断し、非常停止指示を出すことができる。一般的に「非常時」か否かは、無人ダンプ10を停止させる必要があるか否かを判断基準として判断される。例えば無人ダンプ10同士、又は無人ダンプ10と有人車両20とが接触干渉する可能性のある場合には、非常時であると判断することができる。また、作業者と無人ダンプ10とが接触干渉する可能性のある可能性がある場合には、非常時であると判断することができる。
車載型端末3は、無人ダンプ10に搭載された無線受信装置である。車載型端末3は、携帯型端末1又は車載型端末2から送信される信号を受信することができる。この信号は、無人ダンプ10を停止させるための非常停止命令信号を含む。
車載型端末3は、携帯型端末1又は車載型端末2から無線基地局4を介して非常停止命令信号を受信することも可能であるが、携帯型端末1又は車載型端末2から直接非常停命令信号を受信することが可能にされてもよい。
車載型端末3が非常停止命令信号を受信すると、これに応じて無人ダンプ10は走行を停止する。無人ダンプ10に搭載される車載型端末3のアンテナの設置箇所は、特定の箇所には限定されない。一例として、当該アンテナは、電波の見通しのよい場所、例えば無人ダンプ10の上面前方に設置され得る。
複数の無線基地局4は、それぞれセルを構成し、セルの内部に位置する無人ダンプ10及び有人車両20と無線通信が可能とされている。例えば、無人ダンプ10及び有人車両20は、走行路100、積込場200、放土場300などを含む領域に移動するので、複数の無線基地局4は、これらの領域がセルに含まれ、無人ダンプ10及び有人車両20が無線通信を行うことが可能なように設置される。
複数の無線基地局4の各々は、無線バックホール回線510で管制タワー5を経由し、管制センター30内のコア局6を介して車両制御統括装置31と接続される。携帯型端末1及び車載型端末2から送信される非常停止命令信号は、各無線基地局4、無線バックホール回線510、管制タワー5を経由し、コア局6を介して車両制御統括装置31に到達する。車両制御統括装置31は、無人ダンプ10に対して自立走行制御信号を送信し、これにより無人ダンプ10を自律走行させる。また、車両制御統括装置31は、携帯型端末1及び車載型端末2から送信された非常停止命令信号をコア局6、管制タワー5、無線バックホール回線510、各無線基地局4を経由して全ての無人ダンプ10に搭載されている車両型端末3に向けて配信する機能を有する。
なお、車両制御統括装置31は一般のサーバシステムやコンピュータに実装されるものであり、本発明の特徴を示すものではないため、車両制御統括装置31の詳細な説明は省略する。
鉱山現場内の全ての無人ダンプ10に対して、いずれかの携帯型端末1又は車載型端末2から非常停止命令信号が発せられた場合に、実際に停止が必要な無人ダンプ10のみならず、すべての無人ダンプ10、及び/又は有人車両20を停止させるように構成することができる。
管制センター30には、コア局6、及び車両制御統括装置31に加え、非常停止入力装置32が設置される。車両制御統括装置31と非常停止入力装置32とは、有線回線33により互いに通信可能に接続されている。非常停止入力装置32は、管制センター30内のオペレータの操作に従い、非常停止を命令する装置である。従って、管制センター30内のオペレータは、非常停止入力装置32を用いて、車両制御統括装置31に対し直接、非常停止命令信号を送信することにより、全ての無人ダンプ10、及び/又は有人車両20に対して非常停止を命令することができる。なお、非常停止入力装置32は、車両制御統括装置31と接続しているものとして説明したが、車両制御統括装置31でなく無線基地局4と無線接続する構成であってもよい。
車載型端末2及び車載型端末3-1~3-4は、GPS受信機能を搭載している。このGPS受信機能により、有人車両20及び無人ダンプ10は自己の位置情報を取得することが可能である。
有人車両20に搭載される車載型端末2は、自己の位置情報を送信する機能を有する。無人ダンプ10に搭載される車載型端末3は、各有人車両20から送られてくる有人車両20の位置情報と、無人ダンプ10に搭載されたGPS受信機能から取得した自己の位置情報を用いて、無人ダンプ10と各有人車両20との間の距離を求めることもできる。なお、自己の位置情報を取得する方法はGPS以外の方法であってももちろん構わない。
次に、車載型端末2の構成の一例を図2のブロック図を参照して説明する。車載型端末2は、一例として、第1の送受信アンテナ101-1、第2の送受信アンテナ101-2、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2、マイコン装置103、外部インタフェース(I/F)104、電源装置105、表示装置106、非常停止ボタン107、GPS受信機108、及びGPSアンテナ109を備えて構成される。
車載型端末2は、複数、例えば2個の無線モデム102-1、102-2を備えている。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、高周波回路及び集積回路などで構成される。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、それぞれ第1の送受信アンテナ101-1、第2の送受信アンテナ101-2と接続され、所定の無線通信方式(例・LTE、WiFi等)に従って無線基地局4と無線通信を行う。また、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、マイコン装置103と接続されており、受信した信号をマイコン装置103に送信する。具体的には、無線基地局4から送信されて第1の送受信アンテナ101-1、第2の送受信アンテナ101-2にて受信された無線信号110-1、110-2は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2に入力され、所定のフィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号を経た後、マイコン装置103に受信データ112-1、112-2として出力される。
また、無線モデム102-1、102-2は、マイコン装置103から出力された送信データ111-1、111-2に対し、誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリングの処理を施して無線信号110-1、110-2を生成し、送受信アンテナ101に出力する。
マイコン装置103は、CPU801(演算処理装置)及び記憶装置802(メインメモリやフラッシュメモリなど)から構成され、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2、外部I/F104、電源装置105、表示装置106、非常停止ボタン107、GPS受信機108と接続される。記憶装置802に記憶されているプログラムがCPU801で演算実行されることで、以降に説明する機能が実現される。マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1からの受信データ、及び第2の無線モデム102-2からの受信データのうち、先に受信した方を優先して受信し、後から受信したデータは破棄するよう構成される。
なお、マイコン装置103は、その一部又は全てが集積回路などで構成されていてもよい。マイコン装置103は、機能安全に関わる通信途絶判定や電源装置105が正常に動作しているかの判定を行う。なお、マイコン装置103には、機能安全に適したマイクロコンピュータを使用することが望ましく、SIL(Safety Integrity Level)などの安全規格を満たしたマイクロコンピュータであることが好ましい。外部I/F104は、電圧変換部、プロトコル変換部、コネクタ等から構成され、外部装置のインタフェースを司る。具体的には、外部装置に必要な電圧、プロトコルへの変換を実行可能に構成される。例えば、外部I/F104は、無人ダンプ10に搭載されるBCU(Brake Control Unit)等との間でのインタフェースを実行することができる。
電源装置105は、バッテリ810、及び電圧変換器811などから構成される。電源装置105は、バッテリ810から供給される電源を、電圧変換器811で必要な電圧に変換した後、車載型端末3内の各部に対して供給する機能を有する。
表示装置106は、LEDや液晶表示装置などから構成され、マイコン装置103と接続される。表示装置106は、電源の正常性、及び無線通信の途絶判定結果を操作者又は保守者に報知する機能を有する。
非常停止ボタン107は、マイコン装置103と接続されており、操作者が無人ダンプ10の非常停止を命令するための操作用ボタンを含んでいる。非常停止ボタン107は、管制センター30の非常停止入力装置32と同様に、無人ダンプ10の非常停止を命令するものであるが、この非常停止ボタン107は、車載型端末2に設けられている。非常停止ボタン107は、その押下操作により操作者からの指示を検知する押しボタン構造とすることができる。また、非常停止ボタン107は、押下された場合にロックされ、これを解除しない限り押下され続ける機構を備えていてもよい。
GPS受信機108は、GPSアンテナ109及びマイコン装置103と接続され、GPSアンテナ109を介して受信したGPS受信信号から、有人車両20の現在位置を表す位置情報を取得する。GPS受信機108は有人車両20の現在位置を表す位置情報を、マイコン装置103に対して定期的(例えば1秒周期で)に出力する。
次に、図3を参照して、車載型端末3の構成の一例を説明する。車載型端末3は、一例として、第1の送受信アンテナ101-1、第2の送受信アンテナ101-2、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2、マイコン装置103、外部I/F(インタフェース)装置104、電源装置105、表示装置106、GPS受信機108、及びGPSアンテナ109を備えて構成される。すなわち、車載型端末3は、非常停止ボタン107が無い点を除き、車載型端末2と同一の構成を備えるものであってよい。
図4は、第1の実施の形態に係る車両制御システム1000における無人ダンプ10(10-1~10-3)、車載型端末3(3-1~3-3)、無線基地局4(4-1、4-2)に関する無線接続の状態を説明する概略図である。ここでは無人ダンプ10の無線接続を説明するが、有人車両20に関しても同様の無線接続が行われ得る。広大な鉱山現場の全域をカバーするため、車両制御システム1000は、複数の無線基地局4及び複数のセル7を構成する。ここでは、例示的に2つの無線基地局4(4-1、4-2)及び2つのセル7(7-1、7-2)を示している。
複数の無線基地局4の各々は、無線通信エリアとしての1つまたは複数のセル7を構成する。ここでは、2つの無線基地局4-1、4-2が、それぞれ1つのセル7(7-1、7-2)を構成し、この2つのセル7-1、セル7-2で鉱山全域をカバーしている。無人ダンプ10、及び/又は有人車両20がセル7-1と7-2を跨いで移動する場合は、ハンドオーバと呼ばれる手続が実施される。以下では、主に無人ダンプ10におけるハンドオーバについて説明するが、有人車両20についても同様の説明が当て嵌まり得る。
ハンドオーバ手続では、無人ダンプ10に搭載した車載型端末3とハンドオーバ元の無線基地局4の間、車載型端末3とハンドオーバ先の無線基地局4との間で、コア局6を介して非常に多くの通信メッセージが送受信される。このとき、ハンドオーバ手続き中において、無線基地局4と車載型端末3間のパケット通信に遅延やロスが発生する可能性がある。最悪のケースでハンドオーバが失敗し、初期接続からやり直すというケースもあり得る。すなわち、無人ダンプ10が複数のセル7を跨って移動する際にはハンドオーバ手続が実施されるが、この際パケット通信に遅延やロスが発生する。パケット通信の遅延やロスは「途絶時間」と見做されるため、ある一定の途絶時間を超えると安全性確保のため車両を減速又は非常停止しなければいけない。従って、ハンドオーバ手続きによる遅延時間を最小限に抑え、パケット通信の遅延やロス、ひいてはハンドオーバの失敗は無くさなければいけない。
図4を参照して、第1の実施の形態に係る車両制御システム1000の動作を詳しく説明する。無人ダンプ10に搭載される車載型端末3(3-1~3-3)は、高速通信や信頼性向上のため、複数(例えば2個)の無線モデム102-1、102-2を具備する。両モデムは、それぞれ、第1の無線回線、第2の無線回線を用いて無線基地局4と通信を行う。
例えば、無人ダンプ10-1が、無線基地局4-1により構成されるセル7-1から、無線基地局4-2により形成されるセル7-2の方向に向かって走行しているとする。すると、無線基地局4-1から送信され第1及び第2の無線回線を介して受信される電波の受信電力が徐々に下がり、逆に、無線基地局4-2から送信され第1及び第2の無線回線を介して受信される伝搬の受信電力が徐々に上がる。
図5を参照して、無人ダンプ10-1が走行路100を走行し、無線基地局4-1から送信される無線信号の受信電力と、無線基地局4-2から送信される無線信号の受信電力が変化していく様子を示す。図5のグラフの縦軸は、無線基地局4から送信される無線信号の受信電力、横軸は走行路の位置(所定の点からの距離x)である。なお、図5では、無線基地局4-1から送信され第1の無線モデム102-1において受信される無線信号の受信電力をPrx11、無線基地局4-1から送信され第2の無線モデム102-2において受信される無線信号の受信電力をPrx12、無線基地局4-2から送信され第1の無線モデム102-1において受信される無線信号の受信電力をPrx21、無線基地局4-2から送信され第2の無線モデム102-2において受信される無線信号の受信電力をPrx22としている。
ここで、無人ダンプ10-1が、無線基地局4-1により形成されるセル7-1から、無線基地局4-2により形成されるセル7-2の方向に向かって走行路を走行し、セル7-1と7-2の境界付近に達する場合を考える。この場合、無線基地局4-1から送信される無線信号の受信電力Prx11、Prx12が徐々に低下し、逆に無線基地局4-2から送信される無線信号の受信電力Prx21、Prx22が徐々に増加する。無人ダンプ10-1に搭載された車載型端末3-1は、通信を維持するため、無線基地局4-1に対する接続から無線基地局4-2に対する接続に切り替えるハンドオーバを、適切なタイミングで実施する。
ハンドオーバを実施する方法はいくつかあるが、ここでは、ハンドオーバ元の無線基地局4-1からの無線信号の受信電力と、ハンドオーバ先の無線基地局4-2からの無線信号の受信電力との差分を、閾値との比較により判定し、ハンドオーバの開始のタイミングを制御する。ここで、ハンドオーバ元の無線基地局4-1とは、元々接続が確立されている無線基地局であり、ハンドオーバ終了後は接続が終了する無線基地局を意味し、ハンドオーバ先の無線基地局4-2とは、ハンドオーバ手続により、新たに接続が確立される無線基地局を意味する。LTEの場合は、当該閾値は、ハンドオーバ手続きを開始するためのトリガとなる、Measurement Reportメッセージを送信開始するための閾値ともなり得る。
本実施の形態の車載型端末3は、複数(例えば2個)の無線モデム102-1、102-2を備えると共に、その複数の無線モデム102-1、102-2において、ハンドオーバの判定のための閾値Thr1、Thr2を異なる値に設定する。例えば、第1の無線モデム102-1においてハンドオーバ開始を判定するための閾値Thr1を3dB、第2の無線モデム102-2においてハンドオーバ開始を判定するための閾値Thr2を6dBに設定することができる。
具体的には、無線基地局4-1から送信され第1の無線モデム102-1において受信される無線信号の受信電力Prx11と、無線基地局4-2から送信され第1の無線モデム102-1において受信される無線信号の受信電力Prx21との差信号D1(=Prx11-Prx12)が閾値Thr1(3dB)に達した場合に、第1の無線モデム102-1は、無線基地局4-1から無線基地局4-2へのハンドオーバ手続を開始する。
また、無線基地局4-1から送信され第2の無線モデム102-2において受信される無線信号の受信電力Prx12と、無線基地局4-2から送信され第2の無線モデム102-2において受信される無線信号の受信電力Prx22との差信号D2(=Prx12-Prx22)が閾値Thr2(6dB)に達した場合に、第2の無線モデム102-2は、無線基地局4-1から無線基地局4-2へのハンドオーバ手続を開始する。
第2の無線モデム102-2は、ハンドオーバ開始のための閾値Thr2として、第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr1よりも大きい閾値を採用している。このため、図5のような状況において、第2の無線モデム102-2は、第1の無線モデム102-1よりも遅れてハンドオーバ手続を開始することになる。
図6~図8を参照して、図5の動作が行われる場合における、第1の無線モデム102-1におけるパケット通信の遅延時間の発生の様子(図6)、第2の無線モデム102-2におけるパケット通信の遅延時間の発生の様子(図7)、及び、車載型端末3全体での遅延時間の発生の様子(図8)に関して説明する。図6~図8のグラフにおいて、横軸は走行路に沿った位置(x)を示し、縦軸は、各装置において発生するパケット通信の遅延時間を示している。
例えば、無人ダンプ10-1が位置x1に達し、差信号D1=Prx11-Prx21が閾値Thr1に達すると、第1の無線モデム102-1はハンドオーバ手続を開始する。このとき、車載型端末3-1の第1の無線モデム102-1、及び無線基地局4-1又は無線基地局4-2の間の通信以外に、ハンドオーバ元である無線基地局4-1とハンドオーバ先の無線基地局4-2でコア局6を介した非常に多くの通信メッセージが送受信される。例えば、ハンドオーバ元の無線基地局4-1で保持している車載型端末3-1の端末情報を、ハンドオーバ先の無線基地局4-2に転送するため、無線基地局4-1と4-2の間で多数の通信メッセージの送受信がなされる。また、ハンドオーバ先の無線基地局4-2が車載型端末3-1を受け入れられるキャパシティを持っているかを確認するための通信メッセージの送受信も行われる。
図6に示すように、第1の無線モデム102-1におけるハンドオーバ手続の実行中は、第1の無線モデム102-1のハンドオーバ位置x1において、無線基地局4-1又は無線基地局4-2と第1の無線モデム102-1との間のパケット通信における遅延時間が大きくなる。ハンドオーバ手続中はパケット通信の遅延のみならず、パケットロスが発生する可能性もある。最悪のケースでは、ハンドオーバ手続が失敗し、初期接続からやり直す必要が生じる場合もある。
また、無人ダンプ10-1が位置x2に達し、差信号D2=Prx21-Prx22が閾値Thr2に達すると、第2の無線モデム102-2はハンドオーバ手続を開始する。このとき、第2の無線モデム102-1におけるのと同様に、車載型端末3-1の第2の無線モデム102-2と無線基地局4-1又は無線基地局4-2との間の通信以外に、ハンドオーバ元である無線基地局4-1とハンドオーバ先の無線基地局4-2でコア局6を介した非常に多くの通信メッセージが送受信される。
図7に示すように、第2の無線モデム102-2におけるハンドオーバ手続の実行中は、第2の無線モデム102-2のハンドオーバ位置x2において、無線基地局4-1又は無線基地局4-2と第2の無線モデム102-2との間のパケット通信における遅延時間が大きくなる。ハンドオーバ手続中はパケット通信の遅延のみならず、パケットロスが発生する可能性もある。最悪のケースでは、ハンドオーバ手続が失敗し、初期接続からやり直す必要が生じる場合もある。
しかしながら、前述のように、車載型端末3-1は、マイコン装置103が、第1の無線モデム102-1の受信パケットと、第2の無線モデム102-2の受信パケットとのうち、早く到着したパケットを受信パケットして処理し、遅れて到着したパケットは破棄する機能を有している。このため、図8に示すように、第1の無線モデム102-1のハンドオーバ地点x1、及び第2の無線モデム102-2のハンドオーバ地点x2では、それぞれ第2の無線モデム102-2、第1の無線モデム102-1で早く到着したパケットが受信パケットとされる。このため、地点x1、x2において、それぞれ第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2において遅延時間が生じていたとしても、車載型端末3-1全体としては、パケット通信処理に遅延が発生しない。従って、各種車両を非常減速や非常停止処理することなく運行することができ、安全性を確保しながら鉱山の生産性の向上を図ることができる。また、無線モデムにてパケットロスやハンドオーバ失敗が生じた場合でも同様の効果が得られる。
なお、図6~図8において示される遅延時間は、本実施形態を分かりやすく説明するための一例である。実際はバラつき等が発生するが、本実施形態の効果を覆すものではない。また、説明は省略するが、車載型端末3も同様に複数の無線モデム102-1、102-2を備え、同様に異なるハンドオーバの閾値を与えられ、上記と同様の動作を実行し得る。
図9を参照して、車両制御システム1000で用いられる通信プロトコルスタックについて説明する。図9は、携帯型端末1、車載型端末2、車載型端末3、無線基地局4の通信プロトコルスタックの一例を示した図である。
第1の実施の形態に係る車両制御システム1000における通信回線は、3層の通信レイヤを含むプロトコルスタックを用いる。たとえば、携帯型端末1、車載型端末2、車載型端末3、無線基地局4は、無線通信レイヤ(第1通信レイヤ)、安全通信レイヤ(第2通信レイヤ)、アプリケーションレイヤ(第3通信レイヤ)のプロトコルスタックから構成されるデータを相互に送受信する。
無線通信レイヤは、無線通信として通信接続及び通信維持を目的とした通信プロファイルが定義するレイヤであって、これに基づいた無線通信機能を司るレイヤである。安全通信レイヤは、安全通信として機能安全を目的とした通信プロファイルが定義するレイヤであって、これに基づいた安全通信機能を司るレイヤである。アプリケーションレイヤは、操作者や保守者とのユーザインタフェースを司るレイヤである。携帯型端末1、車載型端末2、車載型端末3、無線基地局4が互いに通信する際には、各々のレイヤ毎の通信プロファイルに基づいて、通信接続及び通信維持が図られる。例えば、携帯型端末1及び車載型端末2と無線基地局4が通信する場合、携帯型端末1及び車載型端末2の無線通信レイヤ121と無線基地局4の無線通信レイヤ421とは、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。
携帯型端末1及び車載型端末2の安全通信レイヤ122と無線基地局4の安全通信レイヤ422も同様に、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。携帯型端末1及び車載型端末2のアプリケーションレイヤ123と無線基地局4のアプリケーションレイヤ423も同様であり、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。
同じく、車載型端末3と無線基地局4が通信する場合、車載型端末3の無線通信レイヤ321と無線基地局4の無線通信レイヤ421とは、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。車載型端末3の安全通信レイヤ322と無線基地局4の安全通信レイヤ422も同様に、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。車載型端末3のアプリケーションレイヤ323と無線基地局4のアプリケーションレイヤ423も同様であり、相互に認識できるフォーマットを用いて通信接続を行う。なお、送受信される対象データは、各レイヤを跨ぐごとにカプセル化され、またカプセル化の解除が行われる。
図2及び図3に示すマイコン装置103は、図9の携帯型端末1及び車載型端末2におけるアプリケーションレイヤ123と安全通信レイヤ122によって提供される機能を実施する。マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123の機能として、非常停止ボタン107が押されているか否かを示す非常停止信号と、GPS受信機から送られてくる自己の現在位置を示す位置情報とを含む送信データを生成する。マイコン装置103は、生成した送信データを下位層の安全通信レイヤ122に転送する。
なお、非常停止信号のうち、非常停止ボタン107が押されていることを示す信号は、非常停止命令信号であり、各無人ダンプ10の停止を命令する信号である。非常停止信号のうち、非常停止ボタン107が押されていないことを示す信号は、非常停止命令信号ではない。加えて、マイコン装置103は、安全通信レイヤ122の機能として、アプリケーションレイヤ123から転送された送信データに対し、後述の制御情報を付与する。この制御情報により、機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた送信処理が行われる。この送信処理は、例えば、データ破損、繰り返し、不正順序、欠落、遅延、挿入、なりすまし、宛先違い、のうちいずれか又は全ての脅威に対する安全方策を行うための処理である。
図10は、安全通信レイヤ、無線通信レイヤ、アプリケーションレイヤのデータフォーマットの一例を示した概略図である。アプリケーションレイヤ123(図9)で生成された、非常停止信号と位置情報が含まれる送信データは、安全通信レイヤにおいてはDATA1223となる。このように、アプリケーションレイヤ123(第3通信レイヤ)における通信データは、非常停止信号と、携帯型端末1又は車載型端末2(有人車両20)の位置情報とを含む。
DATA1223として送られる送信データは、機能安全を目的とした安全方策として、通番1221、ID1222、及びセーフティコード1224を付与される。通番1221は、送信側の携帯型端末1や車載型端末2が自機内で管理している通し番号(シーケンス番号)である。ID1222は、送信側となる携帯型端末1及び車載型端末2を一意に識別するための識別情報である。セーフティコード1224は、上記のデータ破損、繰り返し、不正順序、欠落、遅延、挿入、なりすまし、宛先違いなどの脅威に対する安全方策を施すためのコードである。
このように、安全通信レイヤ122(第2通信レイヤ)における通信データは、非常停止信号と、携帯型端末1又は車載型端末2すなわち有人車両20の位置情報と、セーフティコード1224とを含む。
マイコン装置103は、これらの制御情報をDATA1223に付与して安全通信送信データ111-1、111-2を生成し、これを第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2に出力する。安全通信送信データ111-1、111-2は同じデータでよい。なお、図10における安全通信レイヤのデータフォーマットはあくまで一例であり、これに限定されない。
図2に示す第1の無線モデム102-1、及び第2の無線モデム102-2は、図9に示す無線通信レイヤ121の機能を持つ。第1の無線モデム102-1、及び第2の無線モデム102-2は、無線通信レイヤ121において、安全通信レイヤ122で生成された安全通信送信データ111-1、111-2に対し、無線通信接続及び通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた処理を施す。
図10に示すように、無線通信レイヤ121において、安全通信送信データ111-1、111-2はPAYLOAD1212となり、通信の接続及び維持を目的としたHEADER1211、データ誤りを検出するCRC(Cyclic Redundancy Code)1213が付与されて、無線通信送信データが生成される。無線通信送信データは複数のサブフレームSに分割されて送信される。なお、図10における無線通信レイヤのデータフォーマットはあくまで一例であり、これに限定されない。
このように、無線通信レイヤ121(第1通信レイヤ)における無線通信送信通信データは、非常停止信号と、携帯型端末1又は車載型端末2すなわち有人車両20の位置情報と、セーフティコード1224と、CRC1214とを含む。
このように、各通信レイヤで機能の異なるデータを追加することにより、各機能の設計を通信レイヤごとに独立して行うことができる。
無線通信レイヤ121で生成された無線通信送信データは、予め決められた所定のサブフレームで送信されるようにタイミング調整された後、誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施して無線信号110-1、110-2を生成し、生成した無線信号110-1、110-2を送受信アンテナ101に送る。送受信アンテナ101-1、101-2は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された無線信号110-1、110-2を無線基地局4に向けて放射する。
一方、送受信アンテナ101-1、101-2は、無線基地局4から送信される下り無線回線の無線信号110-1、110-2を受信し、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2にこの無線信号を送る。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、送受信アンテナ101-1、101-2から送られてきた無線信号110-1、110-2を、フィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理を施して無線通信受信データを生成する。尚、無線通信受信データのデータフォーマットは図10の無線通信送信データと同じである。
第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、無線通信レイヤ121の機能として、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された無線通信受信データに対し、無線通信接続、通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施し、安全通信受信データ112-1、112-2を生成する。尚、安全通信受信データ112のデータフォーマットは、図10の安全通信送信データ111と同じである。また、無線通信接続、通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理とは、例えば、同期検出、同期維持、誤り検出等である。
第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、これらを行った後、無線通信受信データ内のPAYLOAD1213、すなわち安全通信受信データ112-1、112-2を抽出する。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、生成した安全通信受信データ112-1、112-2をそれぞれマイコン装置103に出力する。
マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された安全通信受信データ112-1、112-2に対し、安全通信として機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施す。マイコン装置103は、その後、安全通信受信データ112-1、112-2からDATA1223を生成する。ここで生成されたDATA1223が受信データであり、自己が送信した非常停止信号や位置情報のデータに対する応答データ及び制御データである。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2から出力される安全通信受信データ112-1、112-2に対し、マイコン装置103は、早く到着した安全通信受信データを有効とし、遅く到着した安全通信受信データを破棄する処理を行う。以上、車載型端末2の構成及び動作を説明したが、携帯型端末1の構成及び動作も同様である。
車載型端末3のマイコン装置103は、アプリケーションレイヤ323と安全通信レイヤ322によって提供される機能を実施する。マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ323の機能として、携帯型端末1又は車載型端末2の非常停止ボタン107が押されているか否かを示す非常停止信号に対する応答信号と、GPS受信機108から送られてくる自己の現在位置を示す位置情報とを含む送信データを生成する。マイコン装置103は、生成した送信データを下位層の安全通信レイヤ322に転送する。なお、非常停止信号に対する応答信号とは、携帯型端末1又は車載型端末2の非常停止ボタン107が押されているか否かを示す非常停止信号を正しく受信出来ているかどうかを示す信号である。
加えて、マイコン装置103は、安全通信レイヤ322の機能として、アプリケーションレイヤ323から転送された送信データに対し、後述の制御情報を付与する。この制御情報により、機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた送信処理が行われる。この送信処理は、例えば、データ破損、繰り返し、不正順序、欠落、遅延、挿入、なりすまし、宛先違いのうちいずれか又は全ての脅威に対する安全方策を行うための処理である。
図10は、安全通信レイヤ、無線通信レイヤ、アプリケーションレイヤのデータフォーマットの一例を示した図である。アプリケーションレイヤ323(図9)で生成された、非常停止信号と位置情報が含まれる送信データは、安全通信レイヤにおいてはDATA1223となる。このように、アプリケーションレイヤ323(第3通信レイヤ)における通信データは、車載型端末3の位置情報とを含む。
DATA1223として送られる送信データは、機能安全を目的とした安全方策として、通番1221、ID1222、及びセーフティコード1224が付与される。通番1221は、送信側の車載型端末3が自機内で管理している通し番号(シーケンス番号)である。ID1222は、送信側となる車載型端末3を一意に識別するための識別情報である。セーフティコード1224は、上記のデータ破損、繰り返し、不正順序、欠落、遅延、挿入、なりすまし、宛先違いなどの脅威に対する安全方策を施すためのコードである。
このように、安全通信レイヤ322(第2通信レイヤ)における通信データは、非常停止信号と、車載型端末3の位置情報と、セーフティコード1224とを含む。
マイコン装置103は、これらの制御情報をDATA1223に付与して安全通信送信データ111-1、111-2を生成し、これを第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2に出力する。安全通信送信データ111-1、111-2は同じデータでよい。なお、図10における安全通信レイヤのデータフォーマットはあくまで一例であり、これに限定されない。
第1の無線モデム102-1、及び第2の無線モデム102-2は、無線通信レイヤ321の機能を持つ。第1の無線モデム102-1、及び第2の無線モデム102-2は、無線通信レイヤ321において、安全通信レイヤ322で生成された安全通信送信データ111-1、111-2に対し、無線通信接続及び通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた処理を施す。
図10に示すように、無線通信レイヤ321において、安全通信送信データ111-1、111-2はPAYLOAD1212となり、通信の接続及び維持を目的としたヘッダ1211、データ誤りを検出するCRC(Cyclic Redundancy Code)1213が付与されて、無線通信送信データが生成される。無線通信送信データは、複数のサブフレームS(S1~Sn)に分割されて送信される。なお、図10における無線通信レイヤのデータフォーマットはあくまで一例であり、これに限定されない。
このように、無線通信レイヤ321(第1通信レイヤ)における無線通信送信データは、非常停止信号と、車載型端末3の位置情報と、セーフティコード1224と、CRC1214とを含む。各通信レイヤで機能の異なるデータを追加することにより、各機能の設計を通信レイヤごとに独立して行うことができる。
無線通信レイヤ321で生成された無線通信送信データは、予め決められた所定のサブフレームで送信されるようにタイミング調整された後、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施して無線信号を生成し、生成した無線信号を送受信アンテナ101に送る。送受信アンテナ101-1、101-2は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された無線信号を無線基地局4に向けて放射する。
一方、送受信アンテナ101-1、101-2は、無線基地局4から送信される下り無線回線の無線信号を受信し、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2にこの無線信号を送る。第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、送受信アンテナ101-1、101-2から送られてきた無線信号を、フィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理を施して無線通信受信データを生成する。尚、無線通信受信データのデータフォーマットは図10の無線通信送信データと同じである。
第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、無線通信レイヤ321の機能として、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された無線通信受信データに対し、無線通信接続、通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施し、安全通信受信データ112-1、112-2を生成する。尚、安全通信受信データ112のデータフォーマットは、図10の安全通信送信データ111と同じである。また、無線通信接続、通信維持を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理とは、例えば、同期検出、同期維持、誤り検出等である。
第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2は、これらの処理を行った後、無線通信受信データ内のPAYLOAD1213、すなわち安全通信受信データ112-1、112-2を抽出する。第1の無線モデム102-1、及び第2の無線モデム102-2は、生成した安全通信受信データ112-1、112-2をそれぞれマイコン装置103に出力する。
マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された安全通信受信データ112-1、112-2に対し、安全通信として機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施す。マイコン装置103は、その後、安全通信受信データ112-1、112-2からDATA1223を生成する。ここで生成されたDATA1223が受信データであり、非常停止信号や自己が送信した位置情報のデータに対する応答データ及び制御データである。マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2から出力される安全通信受信データ112-1、112-2に対し、早く到着した安全通信受信データを有効とし、遅く到着した安全通信受信データを破棄する処理を行う。
次に、図11のフローチャートを参照して、第1の実施の形態の車載型端末2における送信系の動作を詳細に説明する。図11のフローチャートは、ある所定の時間(例えば1秒)周期で実施されるものとする。
車載型端末2は、例えば外部1/F104を介して接続された入力デバイス(図示せず)により、無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr1を設定する(ステップS002)。例えば、図3に示すように第1の無線モデム102-1のハンドオーバ閾値Thr1は3dBに設定され得る。設定された閾値Thr1は、例えばマイコン装置103の記憶装置802に記憶される。
更に、車載型端末2は、第2の無線モデム102-2のハンドオーバの閾値Thr2を設定する(ステップS006)。例えば、図3に示すように第2の無線モデム102-2のハンドオーバの閾値Thr2は6dBに設定され得る。
ここで、閾値Thr1と閾値Thr2は、予め有人車両20の型式、最高走行速度、無人ダンプ10の最大積載量から求まる静的な値でもよいし、有人車両20の型式、現在走行速度、有人車両20の現在積載量から求まる動的な値であってもよい。車載型端末2は、有人車両20の速度センサ、積載物の重量を計測する重量センサの検出信号を外部I/F104から受信し、この検出信号に従って閾値Thr1とThr2を定めてもよい。
第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr1が設定された後、車載型端末2のGPSアンテナ109は、GPS信号を受信し(ステップS003)、このGPS信号に基づき、GPS受信機108は有人車両20の現在位置を表す位置情報を取得する(ステップS004)。そして、マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1のための自己の位置情報データを生成する(ステップS005)。
また、第2の無線モデム102-2のハンドオーバ閾値のThr2が設定された後、車載型端末2のGPSアンテナ109は、GPS信号を受信し(ステップS007)、このGPS信号に基づき、GPS受信機108は有人車両20の現在位置を表す位置情報を取得する(ステップS008)。そして、マイコン装置103は、第2の無線モデム102-2のための自己の位置情報データを生成する(ステップS009)。
続いて、ステップS010に移行し、車載型端末2において非常停止ボタン107が押されているか否かが判定される。押されていないと判定される場合には(ステップS010のNo)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて非常停止信号“0”を生成する(ステップS011)。一方、非常停止ボタン107が押されていると判定される場合には(ステップS010のYes)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて非常停止信号“1”を生成する(ステップS012)。非常停止信号“1”は、非常停止ボタン107が押されたことを示す信号である。
そして、マイコン装置103は、得られた位置情報と非常停止信号(“0”又は“1”)を含む送信データを生成する(ステップS013)。生成された送信データは、安全通信レイヤ122にて機能安全上必要な送信処理を施された後、第1の無線モデム102-1と第2の無線モデム102-2へ送信される(ステップS014)。
第1の無線モデム装置102-1は、受領したデータに対し、無線通信レイヤ121にて無線通信として必要な送信処理である誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施し(ステップS015)、送受信アンテナ101-1から無線信号を送信する(ステップS016)。このステップS016の終了後、1秒毎にSTART(S001)に戻り、同様の動作が繰り返される。
同じく、第2の無線モデム装置102-2は、受領したデータに対し、無線通信レイヤ121にて無線通信として必要な送信処理である誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施し(ステップS017)、送受信アンテナ101-2から無線信号を送信する(ステップS018)。このステップS016の終了後、1秒毎にSTART(S001)に戻り、同様の動作が繰り返される。
図11のフローチャートに従い送信動作が行われることで、車載型端末2の自己の位置情報は定期的に送信され、非常停止ボタン107が押下されている間は(S010:Yes)、連続して非常停止信号が“1”として送信される(すなわち非常停止命令信号が送信される)こととなる。また、非常停止ボタン107が解除されれば(S010:No)、マイコン装置103は、非常停止信号が“0”として送信されることとなる。なお、図11のフローチャートを参照して車載型端末2の送信動作を説明したが、携帯型端末1における送信動作も略同様である。
次に、図12のフローチャートを参照して、車載型端末3における受信系の動作を詳細に説明する。図12のフローチャートは、ある所定の時間(例えば1秒)周期で実施されるものとする。
車載型端末3は、第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr1を設定する(ステップS002)。例えば、第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr1を3dBに設定する。
また、車載型端末3は、第2の無線モデム102-2のハンドオーバの閾値Thr2を設定する(ステップS005)。例えば、第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値Thr2を6dBに設定する。
ここで、閾値Thr1と閾値Thr2は、予め無人ダンプ10の型式、最高走行速度、無人ダンプ10の最大積載量から求まる静的な値でもよいし、無人ダンプ10の型式、現在走行速度、無人ダンプ10の現在積載量から求まる動的な値でもよい。車載型端末3は、有人車両20の速度センサ、積載物の重量を計測する重量センサの検出信号を外部I/F104から受信し、この検出信号に従って閾値Thr1とThr2を定めてもよい。
第1の送受信アンテナ101-1から無線信号が受信されると(ステップS003)、受信された無線信号には、第1の無線モデム装置102-1の無線通信レイヤ121にて、無線通信として必要な受信処理であるフィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理が施される(ステップS004)。
同じく、第2の送受信アンテナ101-2から無線信号が受信されると(ステップS006)、受信された無線信号には、第2の無線モデム装置102-2の無線通信レイヤ121にて、無線通信として必要な受信処理であるフィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理が施される(ステップS007)。
マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された安全通信受信データ112-1、112-2に対し、安全通信として機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施す(ステップS008)。マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2から出力される安全通信受信データ112-1、112-2に対し、早く到着した安全通信受信データを有効とし、遅く到着した安全通信受信データを破棄する処理を行う。
マイコン装置103は、その後、安全通信受信データ112-1、112-2のうち早く到着した方のデータに従い、安全通信受信データ112からDATA1223を生成する。ここで生成されたDATA1223が受信データであり、非常停止信号や自己が送信した位置情報のデータに対する応答データ及び制御データが含まれる。
続いて、ステップS009に移行し、前回受信した受信データの時刻と、今回受信した受信データの時刻の差分から通信間隔を計測し、この計測された通信間隔が、予め定めた途絶時間を超えているか否かが判定される。
計測された通信間隔が所定の途絶時間を超えていないと判定される場合(ステップS009のNo)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて途絶判定信号“0”を生成する(ステップS010)。一方、通信間隔が所定の途絶時間を超えていると判定される場合(ステップS009のYes)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて途絶判定信号“1”を生成する(ステップS011)。途絶判定信号“1”は、通信が所定時間以上途絶していたことを意味する。
そして、マイコン装置103は、得られた途絶判定信号(“0”又は“1”)と非常停止信号を含む制御データを生成する(ステップS013)。生成された制御データは、外部I/F104にて、外部装置に必要な電圧、プロトコルに変換され、外部装置へ出力される(ステップS014)。外部装置は、例えば無人ダンプ10に搭載されるBCU(Brake Control Unit)等に接続される。このステップS014の終了後、1秒毎にSTART(S001)にループする。なお、外部I/F104から外部装置へ出力される途絶判定信号と非常停止信号により、無人ダンプ10が減速したり、非常停止したりなどの処理が実行されるが、その判断の詳細は無人ダンプ10等において適宜選択され得る。
以上説明したように、第1の実施の形態のシステムによれば、各種端末において、複数の無線モデムが異なるハンドオーバ閾値を与えられ、異なるタイミングでハンドオーバ手続を実行する。これにより、パケット通信の遅延やロス、さらにはハンドオーバ失敗をなくし、各種車両の安全性を確保しながら生産性の向上を図ることが出来る車両制御システムを提供することができる。
[第2の実施の形態]
図13を参照して、第2の実施の形態に係る車両制御システムについて説明する。第2の実施の形態の車両制御システムの全体構成は、第1の実施の形態(図1)と同様でよい。また、車載型端末2、車載型端末3が、複数の無線モデム(102-1、102-2)を備えている点も、第1の実施の形態と同一である。ただし、この第2の実施の形態は、複数の無線モデムにおいてハンドオーバ手続が実行されるタイミングを異ならせるための構成が第1の実施の形態とは異なっている。
第2の実施の形態を実現する車載型端末2、及び車載型端末3の構成を図13及び図14を参照して説明する。第1の実施の形態(図2、図3)と同一の構成については、図13、図14では図2、図3と同一の符号を付しているので、以下では重複する説明は省略する。
図13及び図14に示すように、車載型端末2及び3は、第1の実施の形態の構成に加え、可変減衰器VATT(Variable ATTenuetor)820-1、820-2を有する。VATT820-1、820-2は、送受信アンテナ101-1、101-2と、無線モデム102-1、102-2の間に接続されている。
送受信アンテナ101-1、101-2にて受信された無線基地局4からの無線信号は、VATT820-1、820-2を介して無線モデム102-1、102-2に入力される。無線モデム102-1、102-2は、フィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号を行い、マイコン装置103に受信データ112-1、112-2を出力する。またマイコン装置103から出力された送信データ111-1、111-2に対し、誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリングの処理を施して無線信号110を生成し、送受信アンテナ101に出力する。
VATT820-1、820-2は、減衰量を可変できる装置であり、減衰量を可変できる機能を有する。ここではVATT820-1、820-2は、マイコン装置103と接続され、外部の入力装置からマイコン装置103を介して入力される指令により減衰量を変化させることができる。
次に、図15のフローチャートを参照して、車載型端末2における送信系の動作を詳細に説明する。図15のフローチャートは、ある所定の時間(例えば1秒)周期で実施されるものとする。
車載型端末2は、例えば外部1/F104を介して接続された入力デバイス(図示せず)により、VATT820-1の減衰量Vatt1を設定する(ステップS002)。例えば、VATT820-1の減衰量Vatt1は3dBに設定され得る。
更に、車載型端末2は、例えば外部1/F104を介して接続された入力デバイス(図示せず)により、VATT820-2の減衰量Vatt2を設定する(ステップS006)。例えば、VATT820-2の減衰量Vatt2は6dBに設定され得る。
ここで、VATT820-1の減衰量Vatt1とVATT820-2の減衰量Vatt2は、予め有人車両20の型式、最高走行速度、有人車両20の最大積載量から求まる静的な値でもよいし、有人車両20の型式、現在走行速度、有人車両20の現在積載量から求まる動的な値でもよい。車載型端末2は、有人車両20の速度センサ、積載物の重量を計測する重量センサの検出信号を外部I/F104から受信し、この検出信号に従って減衰量Vatt1、Vatt2を定めてもよい。
VATT820-1の減衰量Vatt1が設定された後、車載型端末2のGPSアンテナ109は、GPS信号を受信し(ステップS003)、このGPS信号に基づき、GPS受信機108は有人車両20の現在位置を表す位置情報を取得する(ステップS004)。そして、マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1のための自己の位置情報データを生成する(ステップS005)。
また、VATT820-2の減衰量Vatt2が設定された後、車載型端末2のGPSアンテナ109は、GPS信号を受信し(ステップS007)、このGPS信号に基づき、GPS受信機108は有人車両20の現在位置を表す位置情報を取得する(ステップS008)。そして、マイコン装置103は、第2の無線モデム102-2のための自己の位置情報データを生成する(ステップS009)。
続いて、ステップS010に移行し、車載型端末2において非常停止ボタン107が押されているか否かが判定される。押されていないと判定される場合(ステップS010のNo)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて非常停止信号“0”を生成する(ステップS011)。一方、非常停止ボタン107が押されていると判定される場合(ステップS010のYes)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて非常停止信号“1”を生成する(ステップS012)。非常停止信号“1”は、非常停止ボタン107が押されたことを示す信号である。
そして、マイコン装置103は、得られた位置情報と非常停止信号(“0”又は“1”)を含む送信データを生成する(ステップS013)。生成された送信データは、安全通信レイヤ122にて機能安全として必要な送信処理を施された後、第1の無線モデム102-1と第2の無線モデム102-2へ送信される(ステップS014)。
第1の無線モデム装置102-1は、受領したデータに対し、無線通信レイヤ121にて無線通信として必要な送信処理である誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施し(ステップS015)、送受信アンテナ101-1から無線信号を送信する(ステップS016)。このステップS016の終了後、1秒毎にSTART(S001)に戻り、同様の動作が繰り返される。
同じく、第2の無線モデム装置102-2は、受領したデータに対し、無線通信レイヤ121にて無線通信として必要な送信処理である誤り訂正符号化、変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施し(ステップS017)、送受信アンテナ101-2から無線信号を送信する(ステップS018)。このステップS016の終了後、1秒毎にSTART(S001)に戻り、同様の動作が繰り返される。
図15のフローチャートに従い送信動作することで、車載型端末2の自己の位置情報は定期的に送信され、非常停止ボタン107が押下されている間は(ステップS010:Yes)、連続して非常停止信号が“1”として送信される(すなわち非常停止命令信号が送信される)こととなる。また、非常停止ボタン107が解除されれば(ステップS010:No)、マイコン装置103は、非常停止信号が“0”として送信されることとなる。なお、図15のフローチャートを参照して車載型端末2の動作を説明したが、携帯型端末1の送信動作も同様である。
次に、図16のフローチャートを参照して、車載型端末3における受信系の動作を詳細に説明する。図16のフローチャートは、ある所定の時間(例えば1秒)周期で実施されるものとする。
車載型端末3は、VATT820-1の減衰量Vatt1を設定する(ステップS002)。例えば、VATT820-1の減衰量Vatt1を3dBに設定する。
また、車載型端末3は、VATT820-2の減衰量Vatt2を設定する(ステップS005)。例えば、VATT820-2の減衰量Vatt2を6dBに設定する。
ここで、VATT820-1の減衰量Vatt1とVATT820-2の減衰量Vatt2は、予め無人ダンプ10の型式、最高走行速度、無人ダンプ10の最大積載量から求まる静的な値でもよいし、無人ダンプ10の型式、現在走行速度、無人ダンプの現在積載量から求まる動的な値でもよい。車載型端末3は、無人ダンプ10の速度センサ、積載物の重量を計測する重量センサの検出信号を外部I/F104から受信し、この検出信号に従って減衰量Vatt1、Vatt2を定めてもよい。
第1の送受信アンテナ101-1から無線信号が受信されると(ステップS003)、受信された無線信号には、第1の無線モデム装置102-1の無線通信レイヤ121にて、無線通信として必要な受信処理であるフィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理が施される(ステップS004)。
同じく、第2の送受信アンテナ101-2から無線信号を受信されると(ステップ006)、受信した無線信号には、第2の無線モデム装置102-2の無線通信レイヤ121にて、無線通信として必要な受信処理であるフィルタリング、増幅、周波数変換、復調、誤り訂正復号等の処理が施される(ステップS007)。
マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2で生成された安全通信受信データ112-1、112-2に対し、安全通信として機能安全を目的とした通信プロファイルに基づいた受信処理を施す(ステップS008)。マイコン装置103は、第1の無線モデム102-1、第2の無線モデム102-2から出力される安全通信受信データ112-1、112-2に対し、早く到着した安全通信受信データを有効とし、遅く到着した安全通信受信データを破棄する処理を行う。
マイコン装置103は、その後、安全通信受信データ112-1、112-2のうち早く到着した方のデータにしたギア、安全通信受信データ112からDATA1223を生成する。ここで生成されたDATA1223が受信データであり、非常停止信号や自己が送信した位置情報のデータに対する応答データ及び制御データが含まれる。
続いて、ステップS009に移行し、前回受信した受信データの時刻と今回受信した受信データの時刻の差分から通信間隔を計測し、あらかじめ決めた所定の途絶時間を超えているか否かが判定される。
計測された通信間隔が所定の途絶時間を超えていないと判定される場合(ステップS009のNo)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて途絶判定信号“0”を生成する(ステップS010)。一方、通信間隔が所定の途絶時間を超えていると判定される場合(ステップS009のYes)、マイコン装置103は、アプリケーションレイヤ123にて途絶判定信号“1”を生成する(ステップS011)。
そして、マイコン装置103は、得られた途絶判定信号(“0”又は“1”)と非常停止信号を含む制御データを生成する(ステップS013)。生成された制御データは、外部I/F104にて、外部装置はに必要な電圧、プロトコルに変換され、外部装置へ出力される(ステップS014)。ここで外部装置は、例えば無人ダンプ10に搭載されるBCU(Brake Control Unit)等に接続される。このステップS014の終了後、1秒毎にSTART(S001)にループする。なお、外部I/F104から外部装置へ出力される途絶判定信号と非常停止信号により、無人ダンプ10が減速したり、非常停止したりなどの処理が実行されるが、その判断の詳細は無人ダンプ10等において適宜選択される。
なお、第2の実施の形態におけるハンドオーバを開始する方法は、例えば、
・無線基地局4-1から第1の無線モデム102-1に送信される無線信号の受信電力をPrx11、
・無線基地局4-1から第2の無線モデム102-2に送信される無線信号の受信電力をPrx12、
・無線基地局4-2から第1の無線モデム102-1に送信される無線信号の受信電力をPrx21、
・無線基地局4-2から第2の無線モデム102-2に送信される無線信号の受信電力をPrx22、
・第1の無線モデム102-1のハンドオーバの閾値をThr1’、
・第2の無線モデム102-2のハンドオーバの閾値をThr2’
とした場合、第1の無線モデム102-1はPrx11<Thr1’又はPrx21>Thr1’、第2の無線モデム102-2はPrx12<Thr2’又はPr22>Thr2’となった場合にハンドオーバ手続きを開始する方法が望ましい。LTEの場合は、ハンドオーバ手続きを開始するためのトリガとなる、Measurement Reportメッセージを送信開始するためのトリガとなる。ここでの閾値Thr1’とThr2’は、第1の実施の形態の閾値Thr1、Thr2とは異なるものである。
以上説明したように、第2の実施の形態のシステムによれば、各種端末において、複数の無線モデムが可変減衰器によって異なる減衰量を与えられ、異なるタイミングでハンドオーバ手続を実行する。これにより、パケット通信の遅延やロス、さらにはハンドオーバ失敗をなくし、各種車両の安全性を確保しながら生産性の向上を図ることが出来る車両制御システムを提供することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。