JP7190322B2 - 組換え細胞およびペンタメチレンジアミンの生産方法 - Google Patents

組換え細胞およびペンタメチレンジアミンの生産方法 Download PDF

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本発明は、ペンタメチレンジアミンの生産が増強されたメタン資化性菌を提供し、さらに、メタンからペンタメチレンジアミンを生産する方法に関する。
ペンタメチレンジアミン(1,5-ジアミノペンタン、またはカダベリンとも呼ばれる、分子式C14を有する化合物である。)は、ポリアミド樹脂などの樹脂原料として需要が見込まれる物質である。石化原料からの効率的な化学合成法はいまだ確立されていない一方、生物的にはL-リジンの酵素的脱炭酸により容易に生成することが知られており、環境負荷の低減という観点から工業的に注目されている(非特許文献1)。
これまでは、特にグルコースなどの糖を原料としたペンタメチレンジアミンの発酵生産が盛んに研究されてきた。例えば、Corynebacterium glutamicumEschericia coliなどL-リジンを高生産できるよう改変された微生物にL-リジン脱炭酸酵素を発現することで、高濃度の生産が達成されてきた(非特許文献1)。しかし、サトウキビ由来の糖などを培養原料とする微生物発酵法では、食料との競合が問題視されてきた。また、L-リジンから酵素的にペンタメチレンジアミンを製造する方法も広く知られているが(特許文献1)、やはりL-リジンも主に糖原料からの微生物発酵により製造されるため、食料との競合という本質的な問題は解決できない。したがって、食料と競合しない原料からの生物的なペンタメチレンジアミン製造法の開発が望まれている。
上記の要請に関連して、例えば、非食用原料としてメタノールを原料としつつ、メタノール資化性菌によってL-リジンおよびペンタメチレンジアミンを生産させた場合、それらが10g/L以上の高濃度で培養物中に蓄積されることが報告されている(非特許文献2、3)。しかしながら、これらの方法は毒性の高いメタノールを原料として用いるため低環境負荷のプロセスとは言えず、また、メタノールは1分子当たりの炭素比率が低いため、炭素を主成分とする有機物を生産する際に、原料から生産物への重量当たりの転換率が悪いという本質的な課題がある。
このような状況の中、近年微生物によりメタンから直接物質を生産する技術が注目を集めている。この生産技術においては、気体として供給されるメタンは生成物との分離性が良く、生物学的な毒性も低い。また、メタンは1分子当たりの炭素比率が高い原料であることから、当該原料から有機生産物への重量当たりの理論転換率も高い。さらに、メタンは、天然ガスなどに安価な未利用資源として豊富に含まれており、或いは余剰のバイオガスとしても豊富に利用できるため、次世代の炭素原料として期待されている。そして、天然にはメタンを単一の炭素源およびエネルギー源として生育可能なメタン資化性菌という微生物群が存在しており、これらの微生物の代謝を、所望の物質が生産できるように人為的に改変することで、メタンからある種の有用物質の生物的生産が可能であることも知られている(非特許文献4)。
したがって、同技術をペンタメチレンジアミン生産に応用することは大変魅力的な課題だが、これまでのところそのような報告例は無い。この点、ペンタメチレンジアミンの前駆体であるL-リジンの生産については、特許文献2に記載がある。当該文献では、メタン資化性菌中でフィードバック阻害を解除した、変異型アスパラギン酸キナーゼおよび変異型ジヒドロジピコリン酸合成酵素を発現し、或いはL-リジンのアナログ化合物に対する耐性確立を当該メタン資化性菌において行うことにより、メタンからのL-リジンの生産濃度向上を達成している。しかし、それらの改変にもかかわらず、当該メタン資化性菌の30mL容試験管を用いたバッチ培養条件におけるL-リジンの生産濃度はわずか9.37mg/Lであり、バイオリアクターで高濃度メタンを連続供給する条件であっても223mg/Lにとどまっている。このことは、L-リジンの脱炭酸生成物であるペンタメチレンジアミンの高生産も、単純に当該物質の生産に必要な遺伝子を発現するだけでは実現できない可能性を示唆している。
一方で、メタンから生物的に生産可能な物質の種類、数はいまだ限定的である(非特許文献5)。また、生産された物質の濃度や生産効率も、グルコースやメタノールを培養原料とした場合に比べると著しく低い。すなわち、物質生産の効率は、菌体濃度の指標であるOptical Density(OD)当たりの生産濃度(mg/L/OD)を算出することで評価できるが、実際のところ公知事例の多くにおいて、この生産効率(mg/L/OD)は非常に低い(非特許文献5、6、特許文献3)。例えば、非特許文献6では、乳酸脱水素酵素をメタン資化性菌で発現することで、メタンからの乳酸生産を達成している。しかしながら、その生産効率は32mg/L/ODと著しく低く、原料として供給した全メタンの60%が菌体生成に浪費されたことになる。
このように、メタンは次世代炭素原料としてその活用が強く期待されながら、メタン資化性菌によるメタンからのペンタメチレンジアミン生産を実現した例はない。そのうえ、他の化合物生産に関する従来技術でも、その生産濃度や汎用性は限定的であったことを考慮すれば、メタン資化性菌によるペンタメチレンジアミン生産が、実用的なプロセスとは言い難かった。
特許文献1: 特開2008-193899号公報
特許文献2: 特開2001-120292号公報
特許文献3: WO2015/155791号パンフレット
非特許文献1: Tsuge,Y. et al.,Engineering cell factories for producing building block chemicals for bio-polymer synthesis.,Microb. Cell Fact.,Vol.,15,19(2016)
非特許文献2: Irla,M. et al.,Genome-based genetic tool development for Bacillus methanolicus: theta- and rolling circle-replicating plasmids for inducible gene expression and application to methanol-based cadaverine production.,Front.Microbiol.,Vol.7,1481(2016)
非特許文献3: Brautaset et al.,Bacillus methanolicus: a candidate for industrial production of amino acids from methanol at 50℃.,Appl. Microbiol. Biotechnol.,Vol. 74(2007)
非特許文献4: Kalyuzhnaya,M.G. et al.,Metabolic engineering in methanotrophic bacteria.,Metab.Eng.,Vol.29,142-152(2015)
非特許文献5: Lee,O.K. et al.,Metabolic engineering of methanotrophs and its application to production of chemicals and biofuels from methane.,Biofuels, Bioprod. Bioref.,Vol. 10,6(2016)
非特許文献6: Henard,C.A. et al.,Biological conversion of methane to lactate by an obligate methanotrophic bacterium.,Sci.Rep.,Vol.6,21585(2016)
上記の現状に鑑み、本発明の課題は、次世代炭素原料として期待されるメタンからペンタメチレンジアミンを生産する技術を提供することにある。また、当該ペンタメチレンジアミン生産に有用な組換えメタン資化性菌を提供することにある。好ましい本発明の態様では、メタンからの生物的物質生産では過去に前例のない高い効率でペンタメチレンジアミンを生産する技術が提供されることを意図する。
前記のとおり、メタン資化性菌によるメタンからのペンタメチレンジアミン直接生産が可能ならば大変有望だが、そのような報告例はなかった。一方、ペンタメチレンジアミンの前駆体であるL-リジンのメタン資化性菌による生産は報告されていたものの、その生産濃度は極めて低かったため、ペンタメチレンジアミンの高生産化も困難であろうことが合理的に予想された。しかしながら、本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明のメタン資化性菌を用いることにより、ペンタメチレンジアミンを高生産できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、以前からL-リジン脱炭酸酵素遺伝子を恒常発現する配列を含むベクターをメタン資化性菌へ導入することを試みていたが、そのような形質転換体自体を得ることすら、実現できていなかった。そこで、本発明者らは、本発明の発現誘導システムを用いることを試み、それによって上記形質転換体の取得効率を著しく向上できることを見出した。それだけでなく、本発明によりL-リジン生合成酵素およびL-リジン脱炭酸酵素の発現を高レベルに誘導することで、メタンからの生物的物質生産において過去に前例のない高い効率でペンタメチレンジアミンを生産できることを明らかにし、本発明を完成するに至った。
例えば、本発明者らが、L-リジン脱炭酸酵素を発現した本発明の組換えメタン資化性菌を培養したところ、わずか24時間で31.6mg/Lものペンタメチレンジアミンを生産できることが明らかになった。これは、特許文献4に記載された、65時間培養によるL-リジンの蓄積濃度(9.37mg/L)およびそのような生産速度のいずれをも大きく上回るものであった。さらに、本発明者らは、L-リジンの生産向上に寄与する遺伝子も当該メタン資化性菌で発現させたところ、物質生産効率(mg/L/OD)はさらに著しく向上し、メタン供給の限られたラボスケール(~mL)のバッチ培養であっても124mg/Lもの高濃度での物質生産が可能であることを見出した。また、ペンタメチレンジアミンの生産効率は、ペンタメチレンジアミンの生産のための酵素の発現強度に大きく依存することも明らかとなった。この事実は、高い効率でペンタメチレンジアミンの生産を行うためには、ペンタメチレンジアミンの生産に必要な酵素を高いレベルで発現誘導できる技術が重要であることを裏付けるものであった。
すなわち本発明は以下を提供する:
(1)ペンタメチレンジアミン生産のための酵素をコードする遺伝子を含有する組換えメタン資化性菌であって、当該酵素の発現が誘導されることによって、当該酵素を欠いているメタン資化性菌と比較して、ペンタメチレンジアミンの生産増加をもたらすことを特徴とする、組換えメタン資化性菌;
(2)前記酵素は、誘導剤の添加により、その発現が誘導されることを特徴とする、上記(1)のメタン資化性菌;
(3)前記酵素の発現が、テオフィリンの添加によって誘導されることを特徴とする、上記(1)または(2)のメタン資化性菌;
(4)前記ペンタメチレンジアミン生産のための酵素は、L-リジン脱炭酸酵素であることを特徴とする、上記(1)~(3)いずれかのメタン資化性菌;
(5)前記L-リジン脱炭酸酵素は、Escherichia coliのCadAおよびLdc、Aliivibrio salmonicidaのCadA、並びにKlebsiella pneumoniaeのCadAからなる群より選択されるいずれか一種以上であることを特徴とする、上記(4)のメタン資化性菌;
(6)前記ペンタメチレンジアミン生産のための酵素は、アスパラギン酸キナーゼ(LysC)、ジヒドロジピコリン酸合成酵素(DapA)、meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素(DDH)、ジアミノピメリン酸脱炭酸酵素(LysA)、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)、トランスヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AspC)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、およびピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)からなる群より選択されるいずれか1種以上である、上記(1)~(5)いずれかのメタン資化性菌;
(7)前記LysC、DapA、PEPC、PYCは、フィードバック阻害が解除された変異型酵素であることを特徴とする、上記(6)のメタン資化性菌;
(8)前記GAPDHが、NADPH依存性であることを特徴とする、上記(6)のメタン資化性菌;
(9)前記GAPDHは、対応する野生型酵素と比較して、NADPHに対する親和性が向上した変異型酵素であることを特徴とする、上記(8)のメタン資化性菌;
(10)前記酵素をコードする遺伝子のうち少なくとも1つが、宿主微生物の染色体上に組み込まれていることを特徴とする、上記(1)~(9)いずれかのメタン資化性菌;
(11)前記酵素をコードする遺伝子のうち少なくとも1つが、該遺伝子を含むベクターとして宿主微生物に導入されていることを特徴とする、上記(1)~(9)いずれかのメタン資化性菌;
(12)前記宿主微生物は、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロシスチス(Methylocystis)、メチロマイクロビウム(Methylomicrobium)、メチロアシドフィラム(Methyloacidophilum)、からなる群から選択されることを特徴とする、上記(1)~(11)いずれかのメタン資化性菌;
(13)前記宿主微生物が、Methylococcus capsulatus Bath(NCIMB 11132)であることを特徴とする、上記(12)のメタン資化性菌;
(14)上記(1)~(13)いずれかのメタン資化性菌にメタンを接触させ、当該微生物の生育に適した条件下で培養することによりペンタメチレンジアミンを生産させることを特徴とする、ペンタメチレンジアミンの生産方法。
本発明により、ペンタメチレンジアミンの生産に必要な酵素をメタン資化性菌の細胞内に発現誘導することで、高濃度のペンタメチレンジアミンを生産することができる。さらに、L-リジン脱炭酸酵素に加えて、アスパラギン酸キナーゼ、ジヒドロジピコリン酸合成酵素などのL-リジン生合成酵素を発現誘導することで、メタンからペンタメチレンジアミンを高い効率で生産することができる。
図1は、pmk61Aのプラスミドマップである。図中、「Ptrc」はtrcプロモーターを、「riboswitch」はリボスイッチ配列を、「RBS」はリボソーム結合配列を、「GFP」はsfGFP遺伝子を、「mob」はmob遺伝子を、「kanR」はカナマイシン耐性遺伝子を、「Rep]は複製起点を、それぞれ、示している。 図2は、pmk61Aを導入したMethylococcus capsulatus Bathにおける、テオフィリン添加濃度とGFP蛍光強度の関係を示すグラフである。 図3は、pmk96、pmk99、pmk127、pmk167、pmk141およびpmk142のプラスミドマップである。図中、「Ptrc」はtrcプロモーターを、「Ptrc E*」はリボスイッチ配列と連結されたtrcプロモーターを、「RBS」はリボソーム結合配列を、「T1」はターミネーターを、「mob」はmob遺伝子を、「kanR」はカナマイシン耐性遺伝子を、「Rep]は複製起点を、「cadA(A.s)」はAliivibrio salmonicidaのcadAを、「cadA(E.c)」はEscherichia coliのcadAを、「cadA(K.p)」はKlebsiella pneumoniaeのcadAを、「lysCT352I」はフィードバック阻害を解除されたEschericia coliのアスパラギン酸キナーゼ(lysC)変異体を、「dapAE84T」はフィードバック阻害を解除されたEschericia coliのジヒドロジピコリン酸合成酵素(dapA)変異体を、それぞれ、示している。 図4は、pmk99(Aliivibrio salmonicidaのcadAを発現)、pmk127(Escherichia coliのcadAを発現)、pmk167(Klebsiella pneumoniaeのcadAを発現)をそれぞれ導入したMethylococcus capsulatus Bathの48時間培養における、細胞増殖(a)とペンタメチレンジアミン生産量(b)の関係を示すグラフである。 図5は、Methylococcus capsulatus Bathにpmk141(Aliivibrio salmonicidaのcadA、Eschericia coliのlysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入したStrain 1、pmk142(Escherichia coliのcadA、Eschericia coliのlysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入したStrain 2の48時間培養における、細胞増殖(a)とペンタメチレンジアミン生産量(b)の関係を示すグラフである。 図6は、Methylococcus capsulatus Bathにpmk141(Aliivibrio salmonicidaのcadA、Eschericia coliのlysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入したStrain 1、pmk142(Escherichia coliのcadA、Eschericia coliのlysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入したStrain 2の96時間培養における、細胞増殖(a)とペンタメチレンジアミン生産量(b)の関係を示すグラフである。図6cにおける、「1 本発明」は、Strain 2におけるペンタメチレンジアミンの生産効率(mg/L/OD)を、「2」は非特許文献3に記載されたMethylomicrobium buryatense 5GB1の5Lバイオリアクター培養による乳酸生産の効率を、「3」はWO2015/155791に記載されたMethylococcus capsulatus Bathの30mL試験管培養によるコハク酸生産の効率を、「4」は非特許文献3に記載されたMethylomicrobium buryatense 5GB1の0.5Lバイオリアクター培養による乳酸生産の効率を、それぞれ示している。 図7は、Methylococcus capsulatus Bathにpmk142(Escherichia coliのcadA、lysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入した株を様々な濃度のテオフィリン添加条件下で48時間培養したときの、テオフィリン濃度とペンタメチレンジアミンの生産効率との関係を示すグラフである。図中、「N.D.」はペンタメチレンジアミンが検出下限以下であったことを示す。また、図中の点線は、メタンからの物質生産分野における先行技術の中で最も生産効率の高い、非特許文献3に記載されたMethylomicrobium buryatense 5GB1の5Lバイオリアクター培養による乳酸生産の効率を示す。 図8は、Methylococcus capsulatus Bathにpmk142(Escherichia coliのcadA、lysCT352IおよびdapAE84Tを発現)を導入した株を1Lの通気攪拌培養装置にて培養した際の細胞増殖とペンタメチレンジアミンの生産濃度を示したグラフである。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産に使用するためのメタン資化性菌を提供する。上記微生物は、L-リジン脱炭酸酵素をコードする遺伝子を含んでいる。L-リジン脱炭酸酵素は、L-リジンのペンタメチレンジアミンおよびCOへの変換を触媒する酵素である。L-リジン脱炭酸酵素は、EC 4.1.1.18(L-リジン脱炭酸酵素活性)かつGO:0008923の遺伝子オントロジー(GO)用語IDに属している酵素反応を触媒する。上記酵素をコードする遺伝子のソースとしては、メタン資化性菌中で各々の酵素の活性を発現できるいかなる微生物由来のものでも使用できる。その例としては、特に限定されないが、Eschericia coliAliivibrio salmonicidaSalenomonas ruminantiumKlebsiella pneumoniaeHafnia alveiKlebsiella oxytocaKlebsiella pneumoniaeBacterium cadaverisGlycine max等が挙げられる。さらに好ましくは、Eschericia coliAliivibrio salmonicida、およびKlebsiella pneumoniaeである。しかし、今では500を超える種(これらの半分以上はNCBIなどの公開データベースで利用可能)について完全なゲノム配列が利用可能であり、例えば、公知配列をもとにした類縁配列の同定や所望の活性を有する変異体の作製を実施できるだけでなく、メタゲノムなどの天然サンプルから新たに分離同定することも当技術分野では日常的であり周知である。よって、L-リジン脱炭酸酵素をコードする遺伝子ソースは、上記の微生物に限定されない。
好ましい実施形態において、前記微生物はL-リジン生合成酵素のうち少なくとも1つの活性が増強されている。上記酵素は特に限定されないが、例えば、アスパラギン酸キナーゼ(LysC)、ジヒドロジピコリン酸合成酵素(DapA)、meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素(DDH)、ジアミノピメリン酸脱炭酸酵素(LysA)、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AspC)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、ピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)等が挙げられる。
アスパラギン酸キナーゼ(lysC)は、アスパラギン酸およびアデノシン三リン酸(ATP)を4-ホスホアスパラギン酸とアデノシン二リン酸に変換する反応を触媒する酵素である。lysCは、EC 2.7.2.4(アスパラギン酸キナーゼ活性)かつGO:0004072の遺伝子オントロジー(GO)用語IDに属している酵素反応を触媒する。この酵素をコードしている遺伝子のソースの例としては、特に限定されないが、Eschericia coliBacillus subtilisCorynebacterium glutamicumSaccharomyces cerevisiae等が挙げられる。本酵素活性はすべての生物が保有するため、宿主細胞であるメタン資化性菌由来のものでも良いし、必要に応じて外来遺伝子を導入することも有効である。また、野生型のlysCは、L-リジンによってフィードバック阻害されることが一般的に認知されている。したがって、フィードバック阻害が解除される変異を有するものが好ましい。以下、Eschericia coli由来のlysCを例として説明するが、本発明に用いる遺伝子はこれらに限定されるものではない。L-リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型のlysCとしては、そのアミノ酸配列において352番目のトレオニン残基がイソロイシン残基に置換されたもの、253番目のトレオニン残基がアルギニン残基に置換されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジヒドロジピコリン酸合成酵素(dapA)は、ピルビン酸およびアスパラギン酸セミアルデヒドを(2S,4S)-4-ヒドロキシ-2,3,4,5-テトラヒドロ-(2S)-ジピコリン酸と水に変換する反応を触媒する酵素である。dapAは、EC 4.3.3.7(ジヒドロジピコリン酸合成酵素活性)かつGO:0008840の遺伝子オントロジー(GO)用語IDに属している酵素反応を触媒する。この酵素をコードしている遺伝子のソースの例としては、特に限定されないが、Eschericia coliBacillus subtilisCorynebacterium glutamicumSaccharomyces cerevisiae等が挙げられる。本酵素活性はすべての生物が保有するため、宿主細胞であるメタン資化性菌由来のものでも良いし、必要に応じて外来遺伝子を導入することも有効である。また、野生型のdapAの酵素活性は、L-リジンによってフィードバック阻害されることが一般的に認知されている。したがって、フィードバック阻害が解除される変異を有するものが好ましい。以下、Eschericia coli由来のdapAを例として説明するが、本発明に用いる遺伝子はこれらに限定されるものではない。L-リジンによるフィードバック阻害を受けない変異型のdapAとしては、そのアミノ酸配列において81番目のアラニン残基がバリン残基に置換されたもの、84番目のグルタミン酸残基がトレオニン残基に置換されたもの、118番目のヒスチジン残基がアルギニン残基またはチロシン残基に置換されたもの、などが挙げられるが、これらに限定されない。
グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)は、グリセルアルデヒド-3-リン酸、リン酸およびNAD(P)を1,3-ビスホスホグリセリン酸およびNAD(P)Hに変換する反応を触媒する酵素である。また、当反応は可逆反応であることが一般的に認識されている。GAPDHは、EC 1.2.1.12かつGO:0008943の遺伝子オントロジー(GO)用語IDに属している酵素反応、もしくはEC 1.2.1.13かつGO:0047100のGO用語IDに属している酵素反応を触媒する。この酵素をコードしている遺伝子のソースの例としては、特に限定されないが、Eschericia coliBacillus subtilisCorynebacterium glutamicumSaccharomyces cerevisiaeSynechococcus elongatusSynechocystis sp.、Euglena gracilisArabidopsis thaliana等が挙げられる。本酵素活性は数多くの生物が保有するため、宿主細胞であるメタン資化性菌由来のものでも良いし、必要に応じて外来遺伝子を導入することも有効である。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産性を向上するための有効な手段としては、細胞内のNADPH濃度を上昇させることが挙げられる。1分子のペンタメチレンジアミン(L-リジン)の生産には4分子ものNADPHを要する。そのため、ペンタメチレンジアミン(L-リジン)の生産性向上の戦略として、細胞内のNADPH濃度上昇を企図した代謝改変が数多く利用されてきた。例えば、グルコースを培養原料としたペンタメチレンジアミンの発酵生産においては、主要なグルコース異化経路を酸化的ペントースリン酸経路とすることで細胞内NADPH生産、およびペンタメチレンジアミンの生産性を向上させている(Kind et al.,Metabolic Engineering,Vol.25,113-123(2014))。メタン資化性菌はグルコースを資化できず、ゆえに酸化的ペントースリン酸経路の代謝フラックスを増強する前記方法が活用できない。好適なNADPHの代替発生源としては、トランスヒドロゲナーゼによるNADHからNADPへの電子授受反応が挙げられる。あるいは、メタン資化性菌が有するGAPDHの多くはNADH依存型であるため、本発明においてはNADPH依存型のGAPDHの過剰発現またはNADH依存型のそれとの置換により、細胞内NADPH濃度を上昇させることもできる。NADPH依存型のGAPDHとしては、例えば、Clostridium acetobutylicum由来のもの、Synechococcus elongatus由来のもの、Synechocystis sp.由来のもの、Euglena gracilis由来のもの、Arabidopsis thaliana由来のもの等が挙げられるが、これらに限定されない。また、本来NADH依存型であったGAPDHをNADPH依存型へ改変する手法も一般的に認識されており(Bommareddy et al.,Metabolic Engineering,Vol.25,30-37(2014))、本発明においても適用しうる。以下、Corynebacterium glutamicum由来のGAPDHを例として説明するが、本発明に用いる遺伝子はこれらに限定されるものではない。NADPH依存性の変異型GAPDHとしては、そのアミノ酸配列において35番目のアスパラギン酸残基がグリシン残基に置換されたもの、36番目のロイシン酸残基がアルギニン残基に置換されたもの、192番目のプロリン残基がセリン残基置換されたもの、などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産効率は、ペンタメチレンジアミンの生産濃度(mg/L)と、細胞濃度の指標であるOD600の比(mg/L/OD)で表現される。微生物による物質生産においては細胞バイオマスは副生物であるため、その生成量を抑え、目的物質の収率を最大化することが望ましい。すなわち、mg/L/ODが可能な限り大きいことが望ましい。本発明において提供されるメタン資化性菌においては、ペンタメチレンジアミンの生産効率を最大化できるように酵素の発現量が調節されている。
本発明において、ペンタメチレンジアミンは当業者に周知の技術によって定量できる。例えば、イオンクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどによる方法が挙げられる。また、本発明において、OD600は、培養サンプル中の細胞密度を間接的に表す指標である。細胞密度(細胞数/mL)とOD600は、一定の条件下では相関することが一般的に認識されている(Volkmer et al.,PLoS One,Vol.6,e23126(2011))。OD600は、当業者に周知の技術によって定量でき、一般的には光路長1cmとしたときの600nmにおけるサンプルの吸光度を測定することで決定される。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産に必要な酵素は、上記のL-リジンを前駆体とした生産経路に属する酵素群に限定されない。一般にアミンは、対応するアルデヒドからアミノ基転移酵素により生成する。さらに、アルデヒドは、対応するアルコール、カルボン酸、アルカンからの酸化還元反応を設計することで生成することができる。よって、ペンタメチレンジアミンは、5-アミノペンタナール、5-アミノペンタノール、5-アミノ吉草酸、5-アミノペンタン、5-ペンタナール、吉草酸、5-ペンタノール、ペンタン、5-ホルミルペンタナール、5-ホルミルペンタノール、5-ホルミルペンタン酸、5-カルボキシペンタナール、5-カルボキシペンタノール、グルタル酸、5-ヒドロキシペンタナール、5-ヒドロキシペンタノール、5-ヒドロキシ吉草酸などの化合物を前駆体として生成することができる。例えば、脂肪酸生合成で生成しうる吉草酸を、アルカン酸化酵素によって5-ヒドロキシ吉草酸へ変換すれば、ペンタメチレンジアミンの前駆体となりうる。また、吉草酸や5-ペンタナール、5-ペンタノールはL-ロイシン生合成経路遺伝子を活用した炭素鎖延長反応によりピルビン酸から生成することも可能である(Marcheschi et al.,ACS Chemical Biology,Vol.7,689-697(2012)、Dhande et al.,Process Biochemistry,Vol.47,1965-1971(2012))。
本発明における「発現誘導」とは、特定条件および期間においてのみ特定の遺伝子の発現量を増加させることを意味する。具体的な発現誘導の方法としては、誘導剤の添加や培養条件(温度、栄養素濃度、光)などの培養環境を人為的に変化させるものの他、培養に伴う培養環境の非人為的変化を利用するもののいずれか、またはその組み合わせから選択できる。メタン資化性菌では、前記いずれの方法においても発現誘導が可能であることが一般的に認識されている。なわち、本発明における発現誘導は、一般的に認知されている発現誘導システムを任意に選択し利用することができる。したがって、本発明における公的な発現誘導の1態様は、後記実施例のリボスイッチであるが、それに限定されない。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産のための酵素は、達成したい生産効率に応じて、その発現量が適宜調節され得る。発現量の調節方法としては、特に限定されないが、人為的な発現誘導システムの利用、動的な発現制御システムの利用(Dahl et al.,Nature Biotechnology,Vol.31,1039-1046(2014)、Doong et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,Vol.115,2964-2969(2018))、発現プロモーター配列の変更、リボソーム結合配列の変更(Salis,H.M.,The ribosome biding site calculator.,Methods Enzymol.,Vol.498,19-42(2011))、発現される酵素をコードする遺伝子のコドン最適化(Quax et al.,Codon Bias as a Means to Fine-Tune Gene Expression.,Mol.Cell.,Vol.59,2(2015))、可溶性タグの導入や分子シャペロンの共発現による酵素の可溶性向上(Rosano et al.,Frontiers in Microbiology,Vol.5,(2014))、プロテアーゼの欠失などが挙げられ、またこれらの組み合わせであってもよい。誘導剤の量や添加のタイミングなどで発現の柔軟な調整が可能なことから、人為的な発現誘導システムの利用が好ましい1態様である。人為的な発現誘導の方法としては、特に限定されないが、例えば、lacO、tetO、T7などの転写制御型のものや、リボスイッチに代表される翻訳制御型のものが挙げられる。また、細胞間情報伝達機構(クオラムセンシング)を利用した自律的な発現誘導システム(Kim et al.,Metabolic Engineering,Vol.44,325-336(2017))や光を誘導シグナルとして利用した安価な発現誘導方法(Zhao et al.,Nature,(2018))等を用いることも可能である。
本発明において、ペンタメチレンジアミンの生産に必要な酵素の発現量は、当業者にとって周知の技術により評価でき、直接的には前述したペンタメチレンジアミンの生産効率で評価できる(図7)。それ以外にも、発現された酵素の比活性、SDS-PAGE、免疫沈降法などにより評価することも可能である。例えば、L-リジン脱炭酸酵素の活性は当業者に周知の手法で定量することができ、具体的に例示すれば、無細胞抽出液に基質(L-リジン)、ピリドキサール-5-リン酸、反応バッファー等を加えることで容易に実施できる(Kou et al.,Journal of Molecular Analysis B: Enzymatic,Vol.133,88-94(2016))。
本発明において、宿主細胞の増殖阻害がない誘導剤濃度の範囲においてペンタメチレンジアミンの生産効率、生産濃度等、または酵素の比活性が最大付近であるとき、「最適な発現量」を得た、または「高レベルに発現(誘導)」したと判断できる。また、GFPやLacZタンパク質などのレポーター遺伝子を導入して間接的に発現量を評価することも可能である。例えば、GFPであれば、宿主細胞の増殖を阻害しない誘導剤の濃度範囲で、細胞あたりのGFP蛍光が最大付近であるとき、「最適な発現量」を得た、または「高レベルに発現」したと判断できる(図2)。しかしながら、発現コンストラクトの構造や酵素ごとの発現効率が異なることなどが原因で、発現したい酵素の発現量とレポータータンパク質のそれとが相関しないことも稀に見られる(Oliver et al.,Metabolic Engineering,Vol.22,76-82(2014))。
これらによって特定した最適な発現量は、他の発現誘導システムに置換したり、最適発現量と同等の発現量を実現できることが分かっている恒常発現システムで置換してもよい。以下に、その手順の一例を説明するが、本発明に用いる遺伝子や発現コンストラクト等はこれに限定されない。例えば、発現誘導システムにより得られたペンタメチレンジアミンの生産濃度の最大値を、恒常発現システムで再現する方法は次のとおりである。まず、ペンタメチレンジアミン生産濃度の最大値が得られる誘導剤添加濃度を決定する。次に、発現遺伝子をペンタメチレンジアミンの生産酵素からGFPへ置き換え、同濃度の誘導剤添加で誘導したときのGFP蛍光強度(GFP/OD)を定量し、これを最適な発現量とする。恒常発現システムに置き換える場合には、この最適発現量と同等の発現を実現しうるプロモーターを選択するか、既存のプロモーターを改変する等によって、恒常発現システムへの置き換えが可能である。すなわち、本発明において、高い生産効率の実現に本質的な酵素の発現は、発現誘導に限定されない。恒常発現システムの例としては、達成したい発現量に応じて、メタノールデヒドロゲナーゼプロモーター、メタンモノオキシゲナーゼプロモーター、リボソームタンパク質プロモーター、ヘキスロース-6-リン酸合成酵素プロモーター、ホスホヘキスロースイソメラーゼプロモーター、グリセルアルデヒド-6-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、rhaBADプロモーター、araBADプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、T7プロモーター、λファージのPRプロモーター、PLプロモーター等から1種または2種以上の組み合わせとして選択できる。しかしながら、恒常発現システムにより発現したい遺伝子が宿主細胞の生育と競合したり毒性を有する場合には、最適な発現量を恒常的に保とうとすることによって形質転換体を得られないこともありうる。
本発明の発現誘導の好適な1態様で用いられるリボスイッチとは、特定の低分子化合物と選択的に結合するRNAのことをいい、当該低分子化合物をリガンドと呼ぶ。リガンド非存在下ではRNA塩基対による二次構造を形成し、リボスイッチ周辺の核酸へ影響を与える。特に、リボスイッチの下流にリボソーム結合部位を含む場合には、リボソームのリボソーム結合部位への接近を妨げることで、さらに下流に位置する遺伝子のmRNAの翻訳を妨げる。一方、リガンド存在下では、リガンド結合に伴う二次構造解消を通じて、リボソームがリボソーム結合部位へ接近できる。そのため、リガンド添加時のみ遺伝子のmRNAが翻訳され、目的遺伝子の発現誘導が達成される。
本発明における「リガンド」は特に限定されるものではない。それは当該リガンド非存在下のリボスイッチの二次構造を解消できるものであればよく、天然由来のもの、これを改変したもの、人工的に設計改変されたもののうち1つもしくはいずれをも選択できる。
本発明におけるリボスイッチは、特に限定されるものではなく、リガンド結合に伴い二次構造変化が生じるRNAであればよい。例えば、テオフィリン応答性リボスイッチ、アデノシルコバラミン応答性リボスイッチ、サイクリックジGMP応答性リボスイッチ、フラビンモノヌクレオチド応答性リボスイッチ、グルコサミン-6-リン酸応答性リボスイッチ、グルタミン応答性リボスイッチ、グリシン応答性リボスイッチ、リジン応答性リボスイッチ、preQ応答性リボスイッチ、プリン応答性リボスイッチ、S-アデノシルホモシステイン応答性リボスイッチ、S-アデノシルメチオニン応答性リボスイッチ、S-アデノシルホモシステイン&S-アデノシルメチオニン応答性リボスイッチ、テトラヒドロ葉酸応答性リボスイッチ、チアミンピロリン酸応答性リボスイッチ、モリブデン応答性リボスイッチ、アデニン応答性リボスイッチが挙げられるが、これらに限定されない。リボスイッチは、すでに天然に存在することが知られているもの、新たに天然から単離されたもの、人工的に設計されたもの、いずれでもよく、また、1つもしくは複数を組み合わせてもよい。
本発明におけるリボスイッチは、好ましくはテオフィリン応答性リボスイッチである。テオフィリン応答性リボスイッチは、テオフィリン非存在下のRNA二次構造がテオフィリン結合によって解消されるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCTGCTAAGGAGGCAACAAG-3’(配列番号:1)、5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCTGAGAAGGGGCAACAAG-3’(配列番号:2)、5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCGCTGCGCAGGGGGTATCAACAAG-3’(配列番号:3)、5’-GGTACCTGATAAGATAGGGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCAAGGGACAACAAG-3’(配列番号:4)、5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCTGCTAAGGTAACAACAAG-3’(配列番号:5)、5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCTGCTAAGGAGGTAACAACAAG-3’(配列番号:6)などの配列を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。さらに好ましくは5’-GGTACCGGTGATACCAGCATCGTCTTGATGCCCTTGGCAGCACCCTGCTAAGGAGGCAACAAG-3’(配列番号:1)の配列を有する。
また、リガンドであるテオフィリンはテオフィリンの誘導体であってもよい。リガンドとして本発明の形質転換体の培養に添加されるテオフィリン又はその誘導体の濃度は0.1~10mMが好ましいが、これに限定されない。
本発明におけるリボスイッチは、天然もしくは人工のプロモーターの下流に配置され、それにより当該プロモーターに作動可能に連結される。プロモーターは、発現遺伝子の上流に位置するDNAであって、宿主微生物のRNAポリメラーゼを鋳型DNAへ引き寄せるプロモーター配列を含む。
本発明におけるプロモーターは特に限定されず、メタン資化性菌において作動するものであればよい。ゆえに、メタン資化性菌に由来する核酸に限らず天然に存在するもの、または人工的に設計、改変されたものでもよい。例えば、メタノールデヒドロゲナーゼプロモーター、メタンモノオキシゲナーゼプロモーター、リボソームタンパク質プロモーター、ヘキスロース-6-リン酸合成酵素プロモーター、ホスホヘキスロースイソメラーゼプロモーター、グリセルアルデヒド-6-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、rhaBADプロモーター、araBADプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、T7プロモーター、λファージのPRプロモーター、PLプロモーターなどが挙げられる。また、本発明のプロモーターとしては、達成したい発現量性質に応じて、恒常性、誘導性いずれをも選択でき、1つもしくは複数を組み合わせることができる。本発明における好ましいプロモーターの例として、trcプロモーターを挙げることができる。
本発明における核酸は、リボソーム結合配列を含む。リボソーム結合配列は、一般に4塩基から10塩基の長さからなる核酸であり、リボソームとmRNAを結合させ翻訳の開始に必要である。アデニンもしくはグアニンに富む特徴を有するが、特に限定されるものではなく、メタン資化性菌において作動可能であればよい。したがって、本発明のリボソーム結合配列は、天然に存在する配列でも、人工的に設計された配列でもよく、達成したい性能や目的に応じて適したものを選択することができる。例えば、非特許文献3に示されるように、達成したい遺伝子発現量に応じて、任意に設計することができる。本発明のリボソーム結合配列の好ましい例としては、5’-AAGGAGG-3’を有する配列を挙げることができる。これらのリボソーム結合配列は、典型的には、本発明のリボスイッチの下流に配置され、それにより当該リボスイッチに作動可能に連結される。したがって、本発明の好適な態様は、リボスイッチが天然もしくは人工的なプロモーターの下流に配置され、リボソーム結合配列がリボスイッチの下流に配置された核酸である。
なお、本発明において、「作動可能に連結される」とは、両配列が直結される場合、および適当な数の塩基を介して連結される場合のいずれも含む。例えば、プロモーターとリボスイッチとの間には、既知のプロモーターの近傍に見出される余剰配列、および更に適当な数の塩基からなるスペーサーが存在していてもよい。また、リボソーム結合配列とリボスイッチが適当な数の塩基からなるスペーサーを介して連結されていてもよい。当該スペーサーの長さは、典型的には1~20塩基、好ましくは5~10塩基であり得る。
本発明における形質転換体は、メタン資化性菌において遺伝子発現誘導を可能にするRNAをコードする核酸を含む。そのような本発明の核酸は、ベクターもしくは染色体上に組み込むことが可能である。組み込むべき核酸が2以上の場合、それらの全てがベクターに組み込まれてもよいし染色体上に組み込まれてもよく、或いはそのうちの一部をベクターに、他のものを染色体上に組み込んでもよい。
本発明における核酸がベクターに含まれる場合、当該ベクターは特に限定されるものではないが、例えば、メタン資化性菌細胞内での自律的複製を可能にする複製起点、選択マーカー、接合伝達起点を含むことができる。ベクターの細胞への導入は、当業者に公知の手段により行われ得る。例えば、接合伝達法やエレクトロポレーション法などを挙げることができる(Kim et al.,Applied Biochemistry and Biotechnology,Vol.73, 81-88 (1998))。
本発明における核酸を、宿主細胞であるメタン資化性菌の染色体上に組み込むことも好適な態様である。そのような組み込みも当業者に公知の手段により行われ得る。例えば、Csaki et al.,Microbiology, Vol. 149, 1785-1795 (2003)に記載の方法などを挙げることができる。
本発明におけるメタン資化性菌としては、既に単離保存されているものでも、新たに天然から分離したもの、遺伝子改変されたもの、メタンを代謝できるよう改変された大腸菌や酵母、メタノール資化性菌といった非メタン資化性菌などいずれをも任意に選択できる。本発明におけるメタン資化性菌としては、特に限定されないが、例えばメチルアシドフィラム(Methylacidphilum)、メチロセラ(Methylocella)、メチロテネラ(Methylotenera)、メチロファーガ(Methylophaga)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロシスチス(Methylocystis)、メチロマイクロビウム(Methylomicrobium)、メチロサーマス(Methylothermus)、メチロマリナム(Methylomarinum)、メチロバルム(Methylovulum)、メタノコッカス(Methanococcus)、メタノサーモバクター(Methanothermobacter)、メタノモナス(Methanomonas)、メタノサルキナ(Methanosarcina)、メタノゲニウム(Methanogenium)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、メタノハロフィラス(Methanohalophilus)、メタノマイクロビウム(Methanomicrobia)、メタノコッコイド(Methanococcoides)、メタノサエタ(Methanosaeta)、メタノロバス(Methanolobus)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)などに属する微生物から選択でき、さらに好ましくは、Methylococcus capsulatus Bath(NCIMB 11132)である。
本発明の形質転換体は、宿主細胞の生育に適した公知の培養方法により培養することができる。例えば、本発明で用いられる培地は、メタンを炭素源として含み、さらに窒素源、無機イオンおよび必要に応じてその他の有機微量成分を含む培地であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。培養は、好気的もしくは嫌気的いずれも選択することができ、振盪培養、静置培養または通気攪拌培養など目的に応じて選択できる。
例えば、密閉系で振盪あるいは静置培養を行う場合には、培地と接する気相中にメタンガスを1~75%添加する。開放系で通気培養を行う場合には、メタンガスを1~75%含む混合ガスを吹き込む。上記いずれの例においても、必要に応じて酸素や二酸化炭素、窒素などのガスを添加できる。メタンの代替/追加炭素源としてメタノールを使用してもよく、培地に0.01~5%メタノールを添加する。
窒素源としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸、アンモニアガス、アンモニア水、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素などを0.01~10%培地に添加して用いる。これらのほかに、通常、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、鉄-EDTA、モリブデン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸銅、塩化銅、硫酸鉄、硫酸亜鉛、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化ニッケル、ホウ酸などの成分が微量添加されうる。また、培養する微生物種が従属栄養性である場合には、グルコースやキシロースなどの糖やグリセロール、酢酸、コハク酸などの炭素源を0.01~10%添加してもよい。
本発明のリボスイッチによる発現誘導システムを用いた目的遺伝子の発現誘導は、上記のような形質転換体に対してリボスイッチのリガンドを接触させることにより達成することができる。リガンドは、遺伝子の発現誘導を望む任意のタイミングで外部より人為的に供給するか、宿主細胞により自律的に供給させる方法を選択できる。後者については、例えば生育する細胞内に蓄積する代謝物をリガンドに選択することで達成できる(Zhou et al., ACS Synthetic biology, Vol. 4, 1335-1340 (2015))。また、リガンドの生合成に必要な遺伝子を該宿主細胞に導入することで、リガンドを自律的に供給させることも可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例で用いた培地の組成は以下のとおりである。
(LB培地)
組成は次のとおりである:20g/L LB培地、レノックス(ディフコ社製)。
[120℃、20分間蒸気滅菌を行った。必要に応じて、終濃度50mg/L カナマイシン硫酸塩、1.5% Bacto agar(ディフコ社製)を加えた。]
(NMS培地)
組成は次のとおりである:0.8mM MgSO・7HO、10mM NaNO、0.14mM CaCl、1.2mM NaHCO、2.35mM KHPO、3.4mM KHPO、20.7μM NaMoO・2HO、1μM CuSO・5HO、10μM FeIII-Na-EDTA、1mL trace metal solution(500mg/L FeSO・7HO、400mg/L ZnSO・7HO、20mg/L MnCl・7HO、50mg/L CoCl・6HO、10mg/L NiCl・6HO、15mg/L HBO、250mg/L EDTA)
[必要に応じて、7.5~10mg/L カナマイシン硫酸塩、25mg/L ナリジクス酸、1.5% Bacto agarも加えた。また、Phosphate、bicarbonate、CuSO・5HO、FeIII-Na-EDTA、NaHCOは、120℃、20分間蒸気滅菌後、添加した。]
[実施例1] GFPを指標としたMethylococcus capsulatus Bathにおける遺伝子発現量の調節・最大化
(プラスミドの構築)
プラスミド構築に必要な核酸断片のPCR増幅には、Phusion polymerase(New England BioLabs社製)を用いた。プラスミド構築には、In-Fusion HD Cloningキット(Clontech社製)を用いた。広域宿主ベクターであるpBHR1(MoBiTec社製)へリボスイッチとtrcプロモーターのハイブリッド(Ptrc E*)、sfGFP遺伝子をクローニングすることによりpmk61Aを構築した。Ptrc E*およびsfGFPは、Genscript社により合成された。まず、Ptrc E*断片をmk316およびmk173Rにより増幅した。次に、sfGFP断片をmk176およびmk317Rにより増幅した。最後に、ベクター骨格をmk318およびmk319Rにより増幅した。これらの3つの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk61Aを有するE.coli XL1-Blue(ニッポン・ジーン社製)のクローンを得た。プラスミドDNAを細胞から抽出・精製後、シーケンス解析により、pmk61Aが正しく得られていることを確認した。図1にpmk61Aの概要を示す。また、上記配列を以下に示す。
Figure 0007190322000001

Figure 0007190322000002
(Methylococcus capsulatus Bathへのpmk61Aの導入)
pmk61Aは、Aliらにより報告された接合伝達を用いた形質転換法により、Methylococcus capsulatus Bathへ導入した(Ali et al.,Microbiology,Vol.152 , 2931-2942(2009))。
まず、pmk61Aをエレクトロポレーション法により、接合伝達の供与菌であるE.coli S17-1へ導入した。形質転換体は、50mg/Lカナマイシンを含むLB寒天培地での生育を指標に選択し、プラスミドの配列はシーケンス解析により確認した。50mg/Lカナマイシンを含んだLB培地に形質転換体のコロニーを懸濁し、37℃で終夜振盪培養した。500μLの終夜培養液を50mg/Lカナマイシンを含んだ25mLのLB培地へ植菌し、OD600が0.5付近となるまで37℃で振盪培養した。培養菌体を遠心分離により回収し、新鮮なNMS培地で3回洗浄後、1mLの同培地へ懸濁した。
S17-1の培養と同時に、接合伝達の受容菌であるMethylococcus capsulatus Bath野生株(NCIMB 11132)を、新鮮なNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。ボトルは、43℃で18時間培養した。培養菌体を遠心分離により回収し、新鮮なNMS培地5mLへ懸濁した。
OD600と体積の積が、S17-1とMethylococcus capsulatus Bathとで1:5となるよう混合後、0.22μmのニトロセルロース膜(ミリポア社製)で濾過した。これを0.02%のプロテオースペプトン(ディフコ社製)を含んだNMS寒天培地に載せ、5%メタン雰囲気下、37℃で24時間インキュベートした。メンブレン上の細胞を新鮮なNMS培地10mLで洗い流し、遠心分離で菌体を回収した後、200μLの同培地に再懸濁した。これを、7.5mg/Lカナマイシン、25mg/Lナリジクス酸を含んだNMS寒天培地へ塗布し、5%メタン雰囲気下、45℃の条件でコロニーが出現するまでインキュベートした。得られたクローンはPCRにより、プラスミドの存在を確認した。
(GFPを指標としたMethylococcus capsulatus Bathにおける遺伝子発現量の調節・最大化)
形質転換体コロニーを、10mg/Lカナマイシンおよび0、0.1、2、5、7.5または10mMいずれかの濃度のテオフィリンを加えたNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ植菌した。また、コントロールとして、野生株をテオフィリンを含まない同培地へ植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。ボトルは、43℃で24時間培養した。培養液を新鮮なNMS培地で10倍希釈し、蛍光強度(Ex:488nm、Em:530nm)を蛍光プレートリーダー(infinite200Pro、Tecan社製)で測定した。蛍光強度値はそれぞれのOD600で割った後、野生株(ブランク)におけるそれから差し引いた。図2に結果を示す。非誘導時の蛍光は検出されず、テオフィリン濃度依存的に良好な発現誘導を示し、発現量の調整に最適なシステムであることがわかった(図2)。
[実施例2]および[比較例1] Methylococcus capsulatus BathにおけるL-リジン脱炭酸酵素の発現
(プラスミドの構築)
L-リジン脱炭酸酵素をコードするcadA遺伝子をpmk61Aへクローニングすることによりpmk96およびpmk99を構築した(図3)。Kouらの報告をもとに、Aliivibrio salmonicida由来のcadAは、Genscript社により合成された(Kou et al., Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic, Vol. 133, 88-94 (2016))。さらに、メタン資化性菌で発現するL-リジン脱炭酸酵素として最適なものを選抜するために、Escherichia coliおよびKlebsiella pneumoniaeのL-リジン脱炭酸酵素をコードするcadA遺伝子をpmk61Aへクローニングすることによりpmk127およびpmk167を構築した(図3)。
pmk96の構築のために、cadA遺伝子領域はmk412およびmk413RによりPCR増幅した。次に、リボスイッチ領域を除いたベクター骨格をmk414およびmk415Rにより増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk96を有するE.coli XL1-Blueのクローンを得た。プラスミドDNAを常法により抽出後、シーケンス解析により、pmk96が正しく得られていることを確認した。図3にpmk96の概要を示す。
pmk99の構築のために、cadA遺伝子領域はmk425およびmk426RによりPCR増幅し、ベクター骨格をmk427およびmk428RによりPCR増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk99を有するE.coli XL1-Blueのクローンを得た。プラスミドDNAを常法により抽出後、シーケンス解析により、pmk99が正しく得られていることを確認した。図3にpmk99の概要を示す。
pmk127の構築のために、cadA(E.c)遺伝子領域はmk478およびmk479Rにより、Genewiz社により合成されたcadA遺伝子断片を鋳型としてPCR増幅した。次に、ベクター骨格をmk465およびmk466Rにより増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk127を有するE.coli XL1-Blueのクローンを得た。プラスミドDNAを常法により抽出後、シーケンス解析により、pmk127が正しく得られていることを確認した。図3にpmk127の概要を示す。
pmk167の構築のために、cadA(K.p)遺伝子領域はmk567およびmk568Rにより、Klebsiella pneumoniae MGH78578株のゲノムDNAを鋳型としてPCR増幅した。次に、ベクター骨格をmk465およびmk466Rによりpmk61Aを鋳型としてPCR増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk167を有するE.coli XL1-Blueのクローンを得た。プラスミドDNAを常法により抽出後、シーケンス解析により、pmk167が正しく得られていることを確認した。図3にpmk167の概要を示す。また、上記配列を以下に示す。
Figure 0007190322000003

Figure 0007190322000004

Figure 0007190322000005

Figure 0007190322000006

Figure 0007190322000007

Figure 0007190322000008

Figure 0007190322000009

Figure 0007190322000010
Methylococcus capsulatus Bathへのpmk96、pmk99、pmk127およびpmk167の導入)
実施例1に記載の方法と同様に、pmk96、99、127、および167のMethylococcus capsulatus Bathへの導入を接合伝達によりそれぞれ試みた。コロニーが得られた場合は、PCRによりプラスミドの存在を確認した。
形質転換の結果、pmk96の形質転換体は全く得られなかった一方で、pmk99、pmk127およびpmk167の形質転換体のコロニーは多数獲得された。この結果は、メタン資化性菌の生育と競合するL-リジン脱炭酸酵素遺伝子の発現が、発現制御系によって限りなく小さく抑えられたことを意味している。
(各種L-リジン脱炭酸酵素を発現したMethylococcus capsulatus Bathによるペンタメチレンジアミンの生産)
pmk99、pmk127、およびpmk167のそれぞれの導入が確認された形質転換体コロニーを、10mg/Lカナマイシンおよび5mMテオフィリンを含むNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ、OD600=0.2となるように植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。ボトルは、43℃で振盪培養し、24時間ごとに1mLの培養液を回収し、ペンタメチレンジアミン濃度とOD600の定量に用い、上記と同様にボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換することで培養を継続した。OD600は、NanoDrop 2000c(Thermo Fisher Scientific社製)により600nmにおける吸光度を光路長10mmの条件でNMS培地をブランクとして測定した。ペンタメチレンジアミン濃度の定量には、回収した培養液を遠心分離することで得られる上清を8mMメタンスルホン酸(MSA)で4倍希釈したものを用いた。この希釈液をDionex IonPac CS19(内径2mm、長さ250mm)カラムを装着したDIONEX ICS-3000を用いてカチオンモードで分析した。流速を0.35mL/min、カラム恒温槽を30℃、検出器電流は72mAとし、8mM MSAと70mM MSAを移動相としたグラジエント溶出により分析した。ペンタメチレンジアミン濃度は絶対定量法により求めた。図4a、bに結果を示す。いずれの微生物種由来のcadAを発現した場合にも、細胞増殖、ペンタメチレンジアミン生産ともに同等であり、48時間で29~35mg/Lが生産された(図4a、b)。また、Methylococcus capsulatus Bathの野生株を同一条件にて培養した場合、ペンタメチレンジアミン濃度は検出下限以下であった。すなわち、Methylococcus capsulatus Bathは、生来ペンタメチレンジアミンを生産する能力を有しておらず、L-リジン脱炭酸酵素の発現によってペンタメチレンジアミンの生産増加がもたらされることが明らかとなった。
[実施例3]L-リジン脱炭酸酵素を導入したMethylococcus capsulatus BathへのL-リジン生合成酵素の発現
(プラスミドの構築)
フィードバック阻害を解除したアスパラギン酸キナーゼ変異体(lysCT352I)およびジヒドロジピコリン酸合成酵素変異体(dapAE84T)の遺伝子をpmk99およびpmk127へクローニングすることによりpmk141およびpmk142を構築した(図3)。
まず、pmk141およびpmk142の構築に先立ち、lysCT352IおよびdapAE84Tをそれぞれpmk61Aにクローニングすることで、各遺伝子をリボスイッチ(図3、「Ptrc E*」)およびターミネーター(図3、「T1」)に連結した。その後、この連結断片を、pmk99およびpmk127と連結することでpmk141およびpmk142を完成した。
lysCT352I遺伝子領域はmk472およびmk473Rにより、Genewiz社により合成されたlysCT352I遺伝子断片を鋳型としてPCR増幅した。次に、ベクター骨格をmk465およびmk466Rによりpmk61Aを鋳型としてPCR増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、E.coli XL1-Blueのクローンを得た。同様に、dapAE84T遺伝子領域はmk474およびmk475Rにより、Genewiz社により合成されたdapAE84T遺伝子断片を鋳型としてPCR増幅した。次に、ベクター骨格をmk465およびmk466Rによりpmk61Aを鋳型としてPCR増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、E.coli XL1-Blueのクローンを得た。
それぞれのプラスミドDNAを常法により抽出後、Ptrc E*、lysCT352I、T1からなる連結断片をmk515およびmk516RによりPCR増幅し、Ptrc E*、dapAE84T、T1からなる連結断片はmk517およびmk518RによりPCR増幅した。次に、Ptrc E*、cadA、T1からなる連結断片を含むベクター骨格をmk519およびmk520Rによりpmk99およびpmk127を鋳型としてそれぞれPCR増幅した。これらの断片をIn-Fusion HD Cloningキットにより連結し、pmk141およびpmk142を有するE.coli XL1-Blueのクローンを得た。プラスミドDNAを常法により抽出後、シーケンス解析により、pmk141およびpmk142が正しく得られていることを確認した。図3にpmk141およびpmk142の概要を示す。また、上記配列を以下に示す。
Figure 0007190322000011

Figure 0007190322000012

Figure 0007190322000013

Figure 0007190322000014
(pmk127、および142を導入したMethylococcus capsulatus Bath形質転換体によるペンタメチレンジアミンの生産)
実施例1と同様の方法で、pmk127、およびpmk142を導入して得られた形質転換体コロニーを、10mg/Lカナマイシンおよび5mM テオフィリンを含むNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ、OD600=0.2となるように植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。ボトルは、43℃で振盪培養した。24時間ごとに1mLの培養液を回収し、ペンタメチレンジアミン濃度とOD600の定量に用い、上記と同様にボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換することで培養を継続した。OD600は、NanoDrop 2000c(Thermo Fisher Scientific社製)により600nmにおける吸光度を光路長10mmの条件でNMS培地をブランクとして測定した。ペンタメチレンジアミン濃度の定量には、回収した培養液を遠心分離することで得られる上清を8mMメタンスルホン酸(MSA)で4倍希釈したものを用いた。この希釈液をDionex IonPac CS19(内径2mm、長さ250mm)カラムを装着したDIONEX ICS-3000を用いてカチオンモードで分析した。流速を0.35mL/min、カラム恒温槽を30℃、検出器電流は72mAとし、8mM MSAと70mM MSAを移動相としたグラジエント溶出により分析した。ペンタメチレンジアミン濃度は絶対定量法により求めた。図5a、bに結果を示す。アスパラギン酸キナーゼおよびジヒドロジピコリン酸合成酵素の発現に伴い、ペンタメチレンジアミンの生産濃度は向上しなかったが、細胞増殖は著しく低下した(図5a、b)。生産効率は、52mg/L/ODから103mg/L/ODと約2倍の改善を示した。すなわち、L-リジン生合成酵素(アスパラギン酸キナーゼおよびジヒドロジピコリン酸合成酵素)の発現によって、メタンからペンタメチレンジアミンの生産効率を著しく向上できることが明らかとなった。
(pmk141およびpmk142を導入したMethylococcus capsulatus Bath形質転換体によるペンタメチレンジアミンの生産)
pmk141、およびpmk142を導入して得られた形質転換体コロニーを、10mg/Lカナマイシンを含むNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ、OD600=0.15となるように植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。37℃で6時間振盪培養した後、5mM テオフィリンを添加することで発現誘導を行った。その後、24時間ごとに1mLの培養液を回収し、ペンタメチレンジアミン濃度とOD600の定量に用い、上記と同様にボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換することで培養を継続した。OD600は、NanoDrop 2000c(Thermo Fisher Scientific社製)により600nmにおける吸光度を光路長10mmの条件でNMS培地をブランクとして測定した。ペンタメチレンジアミン濃度の定量には、回収した培養液を遠心分離することで得られる上清を8mMメタンスルホン酸(MSA)で4倍希釈したものを用いた。この希釈液をDionex IonPac CS19(内径2mm、長さ250mm)カラムを装着したDIONEX ICS-3000を用いてカチオンモードで分析した。流速を0.35mL/min、カラム恒温槽を30℃、検出器電流は72mAとし、8mM MSAと70mM MSAを移動相としたグラジエント溶出により分析した。ペンタメチレンジアミン濃度は絶対定量法により求めた。図6a~cに結果を示す。pmk141およびpmk142いずれのプラスミドの形質転換体においても、73mg/L/OD、96mg/L/ODと高い生産効率を示し、pmk141の形質転換体により124mg/Lものペンタメチレンジアミンの生産が見られた(図6b)。ここで得られた生産効率は、メタンからの生物的な物質生産において過去に前例のない水準を有するものであった(図6c)。
[実施例4]pmk142を導入したMethylococcus capsulatus Bathにおけるペンタメチレンジアミン生産のための酵素の発現量調節・最適化
(各種テオフィリン添加濃度条件下でのpmk142を導入したMethylococcus capsulatus Bathによるペンタメチレンジアミン生産)
実施例3と同様の方法で、pmk142を導入して得られた形質転換体コロニーを、10mg/Lカナマイシンを含むNMS培地10mLを含んだ130mL容の血清ボトルへ、OD600=0.15となるように植菌した。ボトルはブチルゴムセプタムで密閉し、60mLのボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換した。37℃で6時間振盪培養した後、0、0.5、2、5、7.5mM テオフィリンをそれぞれ添加することで発現誘導を行った。その後、24時間ごとに1mLの培養液を回収し、ペンタメチレンジアミン濃度とOD600の定量に用い、上記と同様にボトル内空気を同体積の10%メタン/90%窒素の混合ガスと交換することで培養を継続した。OD600は、NanoDrop 2000c(Thermo Fisher Scientific社製)により600nmにおける吸光度を光路長10mmの条件でNMS培地をブランクとして測定した。ペンタメチレンジアミン濃度の定量は、実施例3と同様に行った。図7に結果を示す。0.5mMテオフィリン添加時にはペンタメチレンジアミンは検出されなかったが、2mMからテオフィリン濃度依存的にペンタメチレンジアミンの生産濃度が上昇した。また、5mM以上のテオフィリンを添加すると、過去に前例のない生産効率を示した。すなわち、ペンタメチレンジアミン生産に必要な酵素を高いレベルで発現できるよう調節・最適化することが、高い生産効率を得るために本質的であることを示した。
[実施例5]通気攪拌培養でのMethylococcus capsulatus Bathによるペンタメチレンジアミン生産
メタンガスの連続通気攪拌による培養は、1Lの微生物培養装置BMJ-01P1(エイブル株式会社製)を用いて実施した。10mg/Lのカナマイシンを含む500mLのNMS1.0培地に、実施例3および実施例4と同様の方法にて培養したペンタメチレンジアミン生産株(pmk142プラスミドが導入されたMethylococcus capsulatus Bath)をOD600=0.1となるように懸濁し、培養開始時間とした。培養温度は43℃、攪拌速度は750rpmにて実施し、混合ガス(5%メタン、45%窒素、50%空気)は200ml/minにて吹き込んだ。培養液のpHは常時pH7.0を維持するよう1N硝酸にて都度調整した。培養開始16時間後、50ml培地を除去し、46mMテオフィリンを含むNMS培地50mlを添加して誘導を開始した。また、培養開始20時間後は、消泡剤ADEKA NOL LG-109(ADEKA) 50mgを培養中に加えた。排ガスは分離カラムとしてSHINCARBON ST(信和化工株式会社製)を設置した、TCD検出器を有するガスクロマトグラフィー(GC-2014T;株式会社島津製作所製)にて分析し、メタン消費、および酸素消費のモニタリングを行った。
所定の時間で1mlサンプリングをし、OD600の測定、ペンタメチレンジアミン濃度の定量を、実施例3および実施例4と同様に行った。培養開始後41時間では25mlの培地を除去し、20倍に濃縮したNMS培地25mlを追加成分として添加した。
図8に結果を示す。64時間培養時に、91mg/L/ODと実施例3で示した結果と同等の高い生産効率を示し、かつ182mg/Lのペンタメチレンジアミンの高い生産が見られ、通気培養においても高い生産効率を実現できることが示された。
(プラスミドの寄託)
本明細書に記載したプラスミドpmk61Aは寄託番号NITE P-02625として、プラスミドpmk96は寄託番号NITE P-02626として、およびプラスミドpmk99は寄託番号NITE P-02627として、日本国独立行政法人製品評価技術基盤機構に2018年2月1日付けで寄託されている。
本発明により、ペンタメチレンジアミンの効率的な生産が可能になるので、当該物質の生産および当該物質を原料(例えば樹脂原料)として用いる産業において利用可能である。

Claims (13)

  1. ペンタメチレンジアミン生産のための酵素をコードする遺伝子を含有する組換えメタン資化性菌であって、
    当該ペンタメチレンジアミン生産のための酵素が、L-リジン脱炭酸酵素を含み、
    当該酵素の発現がリボスイッチにより誘導されることによって、当該酵素を欠いているメタン資化性菌と比較して、ペンタメチレンジアミンの生産増加をもたらすことを特徴とする、組換えメタン資化性菌。
  2. 前記酵素は、誘導剤の添加により、その発現が誘導されることを特徴とする、請求項1に記載のメタン資化性菌。
  3. 前記リボスイッチは、テオフィリン応答性リボスイッチであることを特徴とする、請求項1または2に記載のメタン資化性菌。
  4. 前記L-リジン脱炭酸酵素は、Escherichia coliのCadAおよびLdc、Aliivibrio salmonicidaのCadA、並びにKlebsiella pneumoniaeのCadAからなる群より選択されるいずれか一種以上であることを特徴とする、請求項に記載のメタン資化性菌。
  5. 前記ペンタメチレンジアミン生産のための酵素は、アスパラギン酸キナーゼ(LysC)、ジヒドロジピコリン酸合成酵素(DapA)、meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素(DDH)、ジアミノピメリン酸脱炭酸酵素(LysA)、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)、トランスヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AspC)、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)、およびピルビン酸カルボキシラーゼ(PYC)からなる群より選択されるいずれか1種以上をさらに含む、請求項1~のいずれかに記載のメタン資化性菌。
  6. 前記LysC、DapA、PEPC、PYCは、フィードバック阻害が解除された変異型酵素であることを特徴とする、請求項に記載のメタン資化性菌。
  7. 前記GAPDHが、NADPH依存性であることを特徴とする、請求項に記載のメタン資化性菌。
  8. 前記GAPDHは、対応する野生型酵素と比較して、NADPHに対する親和性が向上した変異型酵素であることを特徴とする、請求項に記載のメタン資化性菌。
  9. 前記酵素をコードする遺伝子のうち少なくとも1つが、宿主微生物の染色体上に組み込まれていることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載のメタン資化性菌。
  10. 前記酵素をコードする遺伝子のうち少なくとも1つが、該遺伝子を含むベクターとして宿主微生物に導入されていることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載のメタン資化性菌。
  11. 前記宿主微生物は、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロサイナス(Methylosinus)、メチロシスチス(Methylocystis)、メチロマイクロビウム(Methylomicrobium)、メチロアシドフィラム(Methyloacidophilum)、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9または10に記載のメタン資化性菌。
  12. 前記宿主微生物が、Methylococcus capsulatus Bath(NCIMB 11132)であることを特徴とする、請求項11に記載のメタン資化性菌。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載のメタン資化性菌にメタンを接触させ、当該微生物の生育に適した条件下で培養することによりペンタメチレンジアミンを生産させることを特徴とする、ペンタメチレンジアミンの生産方法。
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