JP7188019B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は定着装置および画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置では、クイックスタート性、省電力化、低コスト化及び小型化のため、低熱容量の薄肉加熱ベルトの内面に抵抗発熱体を有する加熱体を摺接させて加熱する型式が使用されている。この型式の定着装置では、抵抗発熱体に印加されるAC波形が特定の条件下で転写バイアスに影響を及ぼして画像ムラを発生することが知られている。
この課題を解決するため、従来、抵抗発熱体から転写ニップに至る経路間に電気的に接地した回路を形成することによって転写ニップへのAC電流の流れ込みを防止する技術が複数知られている(特許文献1)。当該技術は、1)加熱ベルトの導電性基材に導電部材を当接させて接地する方法、2)導電性を有する加圧ローラ表層に導電部材を当接させて接地する方法、3)加圧ローラのゴム層を導電性にして芯金部を接地する方法などである。
しかし従来の技術は、1)加熱ベルトの導電性基材に導電部材を当接させる箇所を剥き出し加工するためコストアップとなる、2)加圧ローラの表層やゴム層の制約による耐久性確保や画質確保について問題がある、3)金属基材上に絶縁層を介して抵抗発熱体を形成したヒータの場合は金属基材を接地するだけでは定着ベルトの電荷をキャンセルすることができない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、加熱ベルトの電荷を低コストで確実にキャンセルして転写ニップへのAC電流の流れ込みを防止することで画像ムラを防止することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の定着装置は、スリーブ状の加熱ベルトと、当該加熱ベルトの内側に配設された導電性基材に第1の絶縁層を介して形成され加熱ベルトの内面と摺接する抵抗発熱体と、前記加熱ベルトを挟んで前記抵抗発熱体と対向する部分に圧接して前記加熱ベルトとの間に定着ニップを形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップで被加熱材を挟持し搬送することで前記加熱ベルトの熱を前記被加熱材に付与する定着装置において、前記導電性基材の前記第1の絶縁層とは反対側に第2の絶縁層を形成すると共に、当該第2の絶縁層に少なくとも1つの開口窓を形成し、当該開口窓を通して当該開口窓内に露出した前記導電性基材を接地したことを特徴とする。
本発明の定着装置は、導電性基材の抵抗発熱体を形成した第1の絶縁層とは反対側に第2の絶縁層を形成すると共に、この第2の絶縁層に形成した開口窓を通して導電性基材を接地したので、加熱ベルトの電荷を低コストで確実にキャンセルし、転写ニップへのAC電流の流れ込みを防止することで画像ムラを防止することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の原理図である。 本発明の実施形態に係る第1の定着装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る第2の定着装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る第3の定着装置の断面図である。 本発明の実施形態に係る第4の定着装置の断面図である。 定着装置の(a)平面図と(b)断面図である。 ヒータフォルダに対するヒータの取付け状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る定着装置及び画像形成装置(レーザプリンタ)について図面を参照して説明する。レーザプリンタは画像形成装置の一例であり、当該画像形成装置はレーザプリンタに限定されないことは勿論である。すなわち、画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置のいずれか一つ、またはこれらの少なくとも2つ以上を組み合わせた複合機として構成することも可能である。
なお、各図中の同一または相当する部分には同一の符号を付し、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
以下の実施形態では「記録媒体」を「用紙」として説明するが、「記録媒体」は紙(用紙)に限定されない。「記録媒体」は紙(用紙)だけでなくOHPシートや布帛、金属シート、プラスチックフィルム、或いは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなども含む。
現像剤やインクを付着させることができる媒体、記録紙、記録シートと称されるものも、すべて「記録媒体」に含まれる。また「用紙」には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ等も含まれる。
また、以下の説明で使用する「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することも意味する。
(レーザプリンタの構成)
図1Aは、本発明の定着装置300を備えた画像形成装置100の一実施形態としてのカラーレーザプリンタの構成を概略的に示す構成図である。また図1Bは当該カラーレーザプリンタの原理を単純化して図示する。
画像形成装置100は、画像形成手段としての4つのプロセスユニット1K、1Y、1M、1Cを備える。これらプロセスユニットは、カラー画像の色分解成分に対応するブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤によって画像を形成する。
各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cは、互いに異なる色の未使用トナーを収容したトナーボトル6K、6Y、6M、6Cを有する以外は、同様の構成となっている。このため、1つのプロセスユニット1Kの構成を以下に説明し、他のプロセスユニット1Y、1M、1Cの説明を省略する。
プロセスユニット1Kは、像担持体2K(例えば感光体ドラム)と、ドラムクリーニング装置3Kと、除電装置を有している。プロセスユニット1Kはさらに、像担持体の表面を一様帯電する帯電手段としての帯電装置4Kと、像担持体上に形成された静電潜像の可視像処理を行う現像手段としての現像装置5K等を有している。そして、プロセスユニット1Kは、画像形成装置100の本体に対して着脱自在に装着され、消耗部品を同時に交換可能となっている。
露光器7は、この画像形成装置100に設置された各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cの上方に配設されている。そして、この露光器7は、画像情報に応じた書き込み走査、すなわち、画像データに基づいてレーザダイオードからレーザ光Lをミラー7aで反射して像担持体2Kに照射するように構成されている。
転写装置15は、この実施形態では各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cの下方に配設されている。この転写装置15は図1Bの転写手段TMに対応する。一次転写ローラ19K、19Y、19M、19Cは、各像担持体2K、2Y、2M、2Cに対向して中間転写ベルト16に当接して配置されている。
中間転写ベルト16は、各一次転写ローラ19K、19Y、19M、19C、駆動ローラ18、従動ローラ17に掛け渡された状態で循環走行するようになっている。二次転写ローラ20は、駆動ローラ18に対向し中間転写ベルト16に当接して配置されている。なお、像担持体2K、2Y、2M、2Cが各色の第1の像担持体とすれば、中間転写ベルト16はそれらの像を合成した第2の像担持体である。
ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト16の走行方向において、二次転写ローラ20より下流側に設置されている。また、クリーニングバックアップローラが中間転写ベルト16に対してベルトクリーニング装置21と反対側に設置されている。
用紙Pを積載するトレイを有する用紙給送装置200は、画像形成装置100の下方に設置されている。この用紙給送装置200は記録媒体供給部を構成するもので、記録媒体としての多数枚の用紙Pを束状で収容可能であり、用紙Pの搬送手段としての給紙ローラ60やローラ対210と共にユニット化されている。
用紙給送装置200は用紙の補給等のために、画像形成装置100の本体に対して挿脱可能とされている。給紙ローラ60とローラ対210は用紙給送装置200の上方に配置され、用紙給送装置200の最上位の用紙Pを給紙路32に向けて搬送するようになっている。
分離搬送手段としてのレジストローラ対250は、二次転写ローラ20の搬送方向直近上流側に配置され、用紙給送装置200から給紙された用紙Pを一旦停止させることができる。この一旦停止により用紙Pの先端側に弛みが形成されて用紙Pの斜行(スキュー)が修正される。
レジストローラ対250の搬送方向直近上流側にはレジストセンサ31が配設され、このレジストセンサ31によって用紙先端部分の通過が検知されるようになっている。レジストセンサ31が用紙先端部分の通過を検知した後、所定時間が経過すると、当該用紙はレジストローラ対250に突き当てられて一旦停止する。
用紙給送装置200の下流端には、ローラ対210から右側に搬送された用紙を上方に向けて搬送するための搬送ローラ240が配設されている。図1Aに示すように、搬送ローラ240は用紙を上方のレジストローラ対250へ向けて搬送する。
ローラ対210は上下一対のローラで構成されている。当該ローラ対210はFRR分離方式またはFR分離方式とすることができる。
FRR分離方式は、駆動軸によりトルクリミッタを介して反給紙方向に一定量のトルクを印加された分離ローラ(戻しローラ)を給送ローラに圧接させてローラ間のニップで用紙を分離する。FR分離方式は、トルクリミッタを介して固定軸に支持された分離ローラ(摩擦ローラ)を給送ローラに圧接させてローラ間のニップで用紙を分離する。
この実施形態ではローラ対210をFRR分離方式で構成している。すなわち、ローラ対210は、用紙をマシン内部に搬送する上側の給送ローラ220と、この給送ローラ220と逆方向にトルクリミッタを介して駆動軸により駆動力を与えられる下側の分離ローラ230で構成されている。
分離ローラ230は給送ローラ220に向けてバネ等の付勢手段で付勢されている。なお、前記給紙ローラ60は、給送ローラ220の駆動力をクラッチ手段を介して伝達することで図1Aで左回転するようになっている。
レジストローラ対250に突き当てられて先端部に弛みが形成された用紙Pは、中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせ、二次転写ローラ20と駆動ローラ18との二次転写ニップ(図1Bでは転写ニップN)に送り出される。そして、送り出された用紙Pは、二次転写ニップにおいて印加されたバイアスによって、中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が所望の転写位置に高精度に静電的に転写されるようになっている。
転写後搬送路33は、二次転写ローラ20と駆動ローラ18の二次転写ニップの上方に配設されている。定着装置300は、転写後搬送路33の上端近傍に設置されている。
定着装置300は、ヒータを内包する加熱ベルトとしての定着ベルト310と、この定着ベルト310に対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧部材としての加圧ローラ320を備えている。定着装置300の詳細は図2A、図2Bで後述するが、当該図示例以外にも複数の構成が可能である。
定着後搬送路35は、定着装置300の上方に配設され、定着後搬送路35の上端で、排紙路36と反転搬送路41に分岐している。この分岐部に切り替え部材42が配置され、切り替え部材42はその揺動軸42aを軸として揺動するようになっている。また排紙路36の開口端近傍には排紙ローラ対37が配設されている。
反転搬送路41は、分岐部と反対側の他端で給紙路32に合流している。そして、反転搬送路41の途中には、反転搬送ローラ対43が配設されている。排紙トレイ44は、画像形成装置100の上部に、画像形成装置100の内側方向に凹形状を形成して、設置されている。
粉体収容器10(例えばトナー収容器)は、転写装置15と用紙給送装置200の間に配置されている。そして、粉体収容器10は、画像形成装置100の本体に対して着脱自在に装着されている。
本実施形態の画像形成装置100は、転写紙搬送の関係により、給紙ローラ60から二次転写ローラ20までの所定の距離が必要である。そして、この距離に生じたデッドスペースに粉体収容器10を設置し、レーザプリンタ全体の小型化を図っている。
転写カバー8は、用紙給送装置200の上部で、用紙給送装置200の引出方向正面に設置されている。そして、この転写カバー8を開くことで、画像形成装置100の内部を点検可能にしている。転写カバー8には、手差し給紙用の手差し給紙ローラ45、及び手差し給紙用の手差しトレイ46が設置されている。
(レーザプリンタの作動)
次に、本実施形態に係るレーザプリンタの基本的動作について図1Aを参照して以下に説明する。最初に、片面印刷を行う場合の動作を説明する。
給紙ローラ60は、図1Aに示すように、画像形成装置100の制御部からの給紙信号によって回転する。そして、給紙ローラ60は、用紙給送装置200に積載された束状用紙Pの最上位の用紙のみを分離し、給紙路32へ送り出す。
給紙ローラ60およびローラ対210によって送り出された用紙Pは、その先端がレジストローラ対250のニップに到達すると、弛みを形成し、その状態で待機する。そして、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像をこの用紙Pに転写する最適なタイミング(同期)を図ると共に、用紙Pの先端スキューを補正する。
手差しによる給紙の場合は、手差しトレイ46に積載された束状用紙が、最上位の用紙から一枚ずつ手差し給紙ローラ45によって反転搬送路41の一部を通り、レジストローラ対250のニップまで搬送される。以後の動作は用紙給送装置200からの給紙と同一である。
ここで、作像動作については、1つのプロセスユニット1Kを説明し、他のプロセスユニット1Y、1M、1Cについてのその説明を省略する。まず、帯電装置4Kは、像担持体2Kの表面を高電位に均一に帯電する。そして、露光器7は、画像データに基づいたレーザ光Lを像担持体2Kの表面に照射する。
レーザ光Lが照射された像担持体2Kの表面は、照射された部分の電位が低下して、静電潜像を形成する。現像装置5Kは、トナーを含む現像剤を担持する現像剤担持体を有し、トナーボトル6Kから供給された未使用のブラックトナーを、現像剤担持体を介して、静電潜像が形成された像担持体2Kの表面部分に転移させる。
トナーが転移した像担持体2Kは、その表面にブラックトナー画像を形成(現像)する。そして、像担持体2K上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト16に転写する。
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写行程を経た後の像担持体2Kの表面に付着している残留トナーを除去する。除去された残留トナーは、廃トナー搬送手段によって、プロセスユニット1K内にある廃トナー収容部へ送られ回収される。また、除電装置は、クリーニング装置3Kによって残留トナーが除去された像担持体2Kの残留電荷を除電する。
各色のプロセスユニット1Y、1M、1Cにおいても、同様にして像担持体2Y、2M、2C上にトナー画像を形成し、各色トナー画像が重なり合うように中間転写ベルト16に転写する。
各色トナー画像が重なり合うように転写された中間転写ベルト16は、二次転写ローラ20と駆動ローラ18の二次転写ニップまで走行する。一方、レジストローラ対250は、それに突き当てられた用紙を所定のタイミングで挟み込んで回転し、中間転写ベルト16上に重畳転写して形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせて、二次転写ローラ20の二次転写ニップまで搬送する。このようにして、中間転写ベルト16上のトナー画像をレジストローラ対250によって送り出された用紙Pに転写する。
トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置300へと搬送される。そして、定着装置300に搬送された用紙Pは、定着ベルト310と加圧ローラ320によって挟まれ、加熱・加圧することで未定着トナー画像が用紙Pに定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置300から定着後搬送路35へ送り出される。
切り替え部材42は、定着装置300から用紙Pが送り出されたタイミングでは、図1Aの実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置300から送り出された用紙Pは、定着後搬送路35を経由して排紙路36へ送り出される。排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み込み、回転駆動することで排紙トレイ44に排出することで片面印刷を終了する。
次に、両面印刷を行う場合について説明する。片面印刷の場合と同様に、定着装置300は用紙Pを排紙路36へ送り出す。そして、両面印刷を行う場合、排紙ローラ対37は、回転駆動によって用紙Pの一部を画像形成装置100外に搬送する。
そして、用紙Pの後端が、排紙路36を通過すると、切り替え部材42は、図1Aの点線で示すように揺動軸42aを軸として揺動し、定着後搬送路35の上端を閉鎖する。この定着後搬送路35の上端の閉鎖とほぼ同時に、排紙ローラ対37は、用紙Pを画像形成装置100外へ搬送する方向と逆の方向に回転し、反転搬送路41へ用紙Pを送り出す。
反転搬送路41へ送り出された用紙Pは、反転搬送ローラ対43を経て、レジストローラ対250に至る。そして、レジストローラ対250は、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像を用紙Pのトナー画像未転写面に転写する最適なタイミング(同期)を図り、用紙Pを二次転写ニップへ送り出す。
そして、二次転写ローラ20と駆動ローラ18は、用紙Pが二次転写ニップを通過する際に用紙Pのトナー画像未転写面(裏面)にトナー画像を転写する。そして、トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置300へと搬送される。
定着装置300は、定着ベルト310と加圧ローラ320によって、搬送された用紙Pを挟み、加熱・加圧することで未定着トナー画像を用紙Pの裏面に定着する。このようにして、表裏両面にトナー画像が定着された用紙Pは、定着装置300から定着後搬送路35へ送り出される。
切り替え部材42は、定着装置300から用紙Pが送り出されたタイミングでは、図1Aの実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置300から送り出された用紙Pは、定着搬送路を経由して排紙路36へ送り出される。排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み、回転駆動し排紙トレイ44に排出することで両面印刷を終了する。
中間転写ベルト16上のトナー画像を用紙Pに転写した後、中間転写ベルト16上には残留トナーが付着している。ベルトクリーニング装置21は、この残留トナーを中間転写ベルト16から除去する。また、中間転写ベルト16から除去されたトナーは、廃トナー搬送手段によって、粉体収容器10へと搬送され、粉体収容器10内に回収される。
(定着装置)
次に、図2A~図2Dを参照して本発明の実施形態に係る第1から第4の定着装置300について説明する。定着装置300は各種の型式が可能であり、ここでは4つの型式を説明するがこれらに限定されないことは勿論である。
第1の定着装置は図2Aに示すように、低熱容量の薄肉の定着ベルト310と加圧ローラ320で構成されている。定着ベルト310は、例えば外径が25mmで厚みが40~80μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。
定着ベルト310の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。
また、定着ベルト310の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト310の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
加圧ローラ320は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金321と、この芯金321の表面に形成された弾性層322と、弾性層322の外側に形成された離型層323とで構成されている。弾性層322はシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5~4.0mmである。
弾性層322の表面は離型性を高めるために、厚みが例えば20~40μm程度のフッ素樹脂層による離型層323を形成するのが望ましい。定着ベルト310に対して加圧ローラ320が付勢手段により圧接している。
定着ベルト310の内側に、ステー330及びヒータフォルダ340が軸線方向に配設されている。ステー330は金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分がヒータ350の両側板に支持されている。ステー330は加圧ローラ320の押圧力を確実に受けとめて定着ニップSNを安定的に形成する。
ヒータフォルダ340はヒータ350を保持するためのもので、ステー330によって支持されている。ヒータフォルダ340をステー330によって支持することで、加圧ローラ320の押圧力をステー330で受けとめ、定着ニップSNを安定的に形成する。
ヒータフォルダ340の形状は、ヒータ350の高温部との接触を少なくするために、ヒータ350短手方向一端部を段部343で支持する形状にしている。これにより、ヒータフォルダ340へ流れる熱量をさらに低減して効率的に定着ベルト310を加熱することができる。ヒータ350は定着ベルト310との摺接によって段部343方向に押されるので、ヒータ350の片側だけを段部343で支持してもまったく問題ない。
なお、ヒータ350の定着ベルト310との摺動面とは反対側の温度上昇を抑制する必要がある場合は、ヒータ350の摺動面とは反対側を敢えてヒータフォルダ340に接触させる。これによりヒータフォルダ340へ流れる熱量を増やし、ヒータ350の摺動面とは反対側の温度上昇を抑制することができる。
定着装置300の定着ベルト310は加熱用のヒータ350で加熱される。このヒータ350は図3(a)(b)に示すように、細長の導電性基材350aの上に抵抗発熱体360を形成したものである。
基材350aの材料としては導電性のよい金属やグラファイト、グラフェンなどを使用する。例えばステンレスのような鉄系合金、アルミニウム合金、銅合金等が望ましい。本実施例では、短手幅8mm、長手幅270mm、厚さ0.3mmのステンレスを使用する。
一般的には、基材350aは金属製に限らず、アルミナや窒化アルミなどのセラミックや、ガラス、マイカなどの耐熱性と絶縁性に優れた非金属材料や、LCP(液晶樹脂)などの耐熱性樹脂で構成可能である。しかし、本実施形態では後述する接地(アース)との関係で前述した鉄系合金、アルミニウム合金、銅合金等の金属やグラファイト、グラフェンなどを含む導電性基材を使用する。
ヒータ350の均熱性を向上し画像品位を高めるため、基材350aを銅などの高熱伝導率の金属材料で構成してもよい。これら高熱伝導率の金属材料を使用すると、ヒータ350全体の温度を均一化して画像品位を高められる。
ヒータ350は金属製(ステンレス製)の基材350aと、その上下に配置された絶縁ガラス350bと、絶縁ガラス350bの上下に配置された絶縁保護層350cで構成されている。図3(b)の上側の絶縁ガラス350bが第1の絶縁層、下側の絶縁ガラス350bと絶縁保護層350cが第2の絶縁層である。当該第2の絶縁層に後述の開口窓351が形成される。
抵抗発熱体360と反対側(裏側)の絶縁保護層350cは本来不要であるが、ヒータ350の焼成に伴う反り防止と当該反りによるヒータ350の組立性悪化防止のため、表側の絶縁保護層350cと対称的に裏側にも絶縁保護層350cを形成している。抵抗発熱体360と給電線360a、360bは、絶縁保護層350cで覆われている。
この絶縁保護層350cも例えば厚さ75μmの耐熱性ガラスで構成することができる。絶縁保護層350cによって抵抗発熱体360と給電線360a、360bを絶縁・保護すると共に、定着ベルト310との摺動性を維持する。
図3Aの抵抗発熱体360は、詳しくは基材350aの長手方向に平行二列で直列線状に形成されている。二列の抵抗発熱体360の一端部は、基材350aの一端側で長手方向に形成された小抵抗値の給電線369a、369cを介して、給電用の電極360c、360dにそれぞれ接続されている。この電極360c、360dは交流電源(AC100V)を含む電力供給手段(パワーパック)に接続される。
ヒータ350の温度を検知する温度検知手段として図2AのようにサーミスタTH1がバネ380でヒータ350に付勢され、検知した検知温度に応じて、図示しない加熱制御手段によってヒータ350に供給する電力が制御される。これにより定着ベルト310の温度が所望の温度に制御される。
加熱制御手段は、CPU,ROM,RAM,I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータで構成することができる。通紙時などでは上記検知温度とは別に、通紙による抜熱分を考慮して、追加電力を適切に投入することで定着ベルト310の温度が所望の温度に制御される。
抵抗発熱体360の他端部は、基材350aの他端側で短手方向に形成された小抵抗値の給電線369bを介して、基材350aの長手方向反対側に向けて折り返す形で接続されている。抵抗発熱体360、電極360c、360dおよび給電線369a~369cは、スクリーン印刷によって所定の線幅・厚みで形成されている。
抵抗発熱体360の材料は、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷等により塗工し、その後の焼成によって形成することができる。抵抗発熱体360の抵抗値は例えば常温で10Ωとすることができる。抵抗発熱体360の抵抗材料はこの他に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)などを使用することもできる。
抵抗発熱体360と給電線369a~369cの表面は、薄いオーバーコート層ないし絶縁保護層360cで覆われている。当該絶縁保護層360cによって、定着ベルト310の摺動性が確保されると共に、定着ベルト310と抵抗発熱体360、給電線369a~369cとの間の絶縁性が確保される。
この絶縁保護層360cの材料は、例えば厚さ75μmの耐熱性ガラスを用いることができる。抵抗発熱体360は絶縁保護層360c側に接触する定着ベルト310を伝熱により加熱してその温度を上昇させ、定着ニップSNに搬送される用紙Pの未定着画像を加熱して定着する。
次に、前述した導電性基材350aの接地構造について説明する。図4はヒータフォルダ340に対するヒータ350の取付け構造を示している。ヒータフォルダ340の両端部及び中央部に矩形長穴341が形成され、この長穴341内に金属製など導電性を有する板バネ342が収容されている。
各板バネ342は配線344と抵抗400を介して接地(アース)されている。ヒータ350をヒータフォルダ340の破線位置に取り付けると、板バネ342の先端部がヒータ350の下面に当接する。当該当接部分に対応するヒータ350の絶縁ガラス350bと絶縁保護層350cは、予め矩形状に切り欠かれた3つの開口窓351が等間隔で形成されている。
前述したように導電性基材350aの裏側にもヒータ350の反り防止のため絶縁ガラス350bに加えて絶縁保護層350cが形成されているので、開口窓351がないと導電性基材350aとの導通が取れない。そこで予め開口窓351を形成する。したがって、ヒータ350をヒータフォルダ340に取り付けると、板バネ342の先端部が導電性基材350aの裏面に直接接触する。
当該接触部分では板バネ342の付勢力によって安定した導通接点が確保される。導電性基材350aの他の接地方法として、板バネ342を使用しないで導電性基材350aをハーネスを介して直接接地する構成や、導電性基材350aをステー330を介して接地する構成も可能である。
第2の定着装置は図2Bに示すように、加圧ローラ320と反対側に押圧ローラ390を有し、当該押圧ローラ390と加熱装置との間で定着ベルト310を挟んで加熱する。定着ベルト310の内側に前述した加熱装置が配設されてる。
ステー330の片側に補助ステー331が取り付けられ、反対側にニップ形成部材332が取り付けられている。加熱装置はこの補助ステー331に保持されている。ニップ形成部材332は定着ベルト310を介して加圧ローラ320と当接して定着ニップSNを形成している。導電性基材350aの接地等その他の構成は、前記第1の定着装置とまったく同じである。
第3の定着装置は図2Cに示すように、定着ベルト310の内側に加熱装置が配設されてる。この加熱装置は、前述した押圧ローラ390を省略する代わりに、定着ベルト310との周方向接触長さを長くするため、定着ベルト310の曲率に合わせて導電性基材350aと絶縁保護層350cの横断面を円弧状に形成している。抵抗発熱体360は円弧状の導電性基材350aの中央に配置されている。その他は図2Bの第2の定着装置と同じである。
第4の定着装置は図2Dに示すように、加熱ニップHNと定着ニップSNに分けて構成している。すなわち、加圧ローラ320の定着ベルト310とは反対側に、ニップ形成部材332と、金属製のチャンネル材で構成されたステー333を配置し、これらニップ形成部材332とステー333を内包するように加圧ベルト334を周回可能に配設している。そして当該加圧ベルト334と加圧ローラ320との間の定着ニップSNに用紙Pを通紙して加熱・定着する。その他は図2Aの第1の定着装置と同じである。
(定着装置の作動)
図2A~図2Dの定着装置300において、定着ニップSNに向けて矢印方向から用紙Pを通紙すると、定着ベルト310(図2Dでは加圧ベルト334)と加圧ローラ320との間で用紙Pが加熱されてトナー像が用紙Pに定着される。この際、定着ベルト310は抵抗発熱体360の絶縁保護層350cと摺動しつつ抵抗発熱体360からの熱で加熱される。
抵抗発熱体360の温度は温度検知手段としてのサーミスタTH1で検知され、当該検知温度に応じて抵抗発熱体360に供給する電力が加熱制御手段によって制御される。
図2A~図2Dで説明した定着装置300において、導電性基材350aを板バネ342を通して接地(アース)することにより、ヒータ350の電極360c、360dに印加されたAC電源により発生するAC波形を、導電性基材350aから大地に逃がす(キャンセルする)ことができる。したがって、高湿時に用紙Pの抵抗値が非常に低い状態になったとしても、図1Bの転写手段TMへのAC電流の流れ込みを防止することができる。板バネ342はヒータフォルダ340の両端部及び中央部の計3箇所に配設されているので、接地の確実性を高めることができる。
接地側は直接接地(アース)にしてもよいが、図2Aのように抵抗400を介して接地することで安全性を担保することができる。すなわち、何らかの異常でヒータ350の絶縁ガラス350bや絶縁保護層350cの溶融、割れ、コネクタ抜けなどによって、抵抗発熱体360と導電性基材350aが短絡した場合、抵抗400がないと接地側に大電流が流れてしまう。
そこで抵抗400を介して接地することで短絡時の大電流放出を防止することができる。抵抗400の大きさは例えば10kΩ~20MΩのものを使用することができる。
なお、抵抗発熱体360の給電用電極360c、360dが導電性基材350aの一端部に配設される場合、導電性基材350aの接地を電極360c、360dとは反対側(導電性基材350aの他端部)で行うようにすることができる。これにより、転写手段TMへのAC電流の流れ込みをより効果的に防止することができる。
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば前記実施形態の抵抗発熱体はセラミックヒータや並列接続のPTC素子なども使用可能である。
HN:加熱ニップ
N:転写ニップ SN:定着ニップ
L:レーザ光 P:用紙
TM:転写手段 G:潤滑剤
P:用紙 1K,1Y,1M,1C:プロセスユニット
2K,2Y,2M,2C:像担持体 3K,3Y,3M,3C:ドラムクリーニング装置
4K,4Y,4M,4C:帯電装置 5K,5Y,5M,5C:現像装置(作像部)
6K,6Y,6M,6C:トナーボトル 7:露光器
7a:ミラー 8:転写カバー
10:粉体収容器 15:転写装置
16:中間転写ベルト 17:従動ローラ
18:駆動ローラ 19K,19Y,19M,19C:一次転写ローラ
20:二次転写ローラ 21:ベルトクリーニング装置
31:レジストセンサ 32:給紙路
33:転写後搬送路 35:定着後搬送路
36:排紙路 37:排紙ローラ対
41:反転搬送路 42:切り替え部材
42a:揺動軸 43:反転搬送ローラ対
44:排紙トレイ 45:給紙ローラ
46:トレイ 60:給紙ローラ
100:画像形成装置 200:用紙給送装置
210:ローラ対 220:給送ローラ
230:分離ローラ 240:搬送ローラ
250:レジストローラ対 300:定着装置
310:定着ベルト 320:加圧ローラ
321:鉄製芯金 322:弾性層
323:離型層 330:ステー
331:補助ステー 332:ニップ形成部材
334:加圧ベルト 340:ヒータフォルダ
340a,340b:回転ガイド 341:長穴
342:板バネ 343:段部
344:配線 350:ヒータ
350a:導電性基材 350b:絶縁ガラス
350c:絶縁保護層 360:抵抗発熱体
360a,360b:給電線 360c,360d:電極
369a~369c:給電線
特開2002-49259号公報

Claims (7)

  1. スリーブ状の加熱ベルトと、当該加熱ベルトの内側に配設された導電性基材に第1の絶縁層を介して形成され前記加熱ベルトの内面と摺接する抵抗発熱体と、前記加熱ベルトを挟んで前記抵抗発熱体と対向する部分に圧接して前記加熱ベルトとの間に定着ニップを形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップで被加熱材を挟持し搬送することで前記加熱ベルトの熱を前記被加熱材に付与する定着装置において、前記導電性基材の前記第1の絶縁層とは反対側に第2の絶縁層を形成すると共に、当該第2の絶縁層に少なくとも1つの開口窓を形成し、当該開口窓を通して当該開口窓内に露出した前記導電性基材を接地したことを特徴とする定着装置。
  2. スリーブ状の加熱ベルトと、当該加熱ベルトの内側に配設された導電性基材に第1の絶縁層を介して形成され前記加熱ベルトの内面と摺接する抵抗発熱体と、前記加熱ベルトを挟んで前記抵抗発熱体と対向する部分に圧接して前記加熱ベルトとの間に定着ニップを形成する加圧部材とを備え、前記定着ニップで被加熱材を挟持し搬送することで前記加熱ベルトの熱を前記被加熱材に付与する定着装置において、
    前記導電性基材の前記第1の絶縁層とは反対側に第2の絶縁層を形成すると共に、
    当該第2の絶縁層をヒータフォルダで支持し、
    当該第2の絶縁層に、前記導電性基材を前記ヒータフォルダの側に露出させる少なくとも1つの開口窓を形成し、
    前記ヒータフォルダと前記導電性基材との間において、前記開口窓に対向して前記ヒータフォルダに配設された金属製バネを介して前記導電性基材を接地したことを特徴とする定着装置。
  3. 前記導電性基材が抵抗を介して接地されることを特徴とする請求項1又は2の定着装置。
  4. 前記開口窓を前記導電性基材の長手方向の中央部と両端部の少なくとも3箇所に等間隔で形成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の定着装置。
  5. 前記金属製バネを介して前記導電性基材が接地されることを特徴とする請求項の定着装置。
  6. 前記抵抗発熱体の給電電極が前記導電性基材の一端部に配置されると共に、前記導電性基材の他端部が接地されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の定着装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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