JP7186457B2 - 線虫を用いた個体レベルの健康寿命の評価系 - Google Patents
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Description
[1] 線虫の健康寿命および/または寿命の分析方法であって、以下のステップ:
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する;
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する;
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する;
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および/または、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する;
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)線虫の寿命を、次式:
(7)健康寿命曲線および/もしくは寿命曲線を表示する、ならびに/または、健康寿命および/もしくは寿命の値を表示する;
を含む、前記方法。
[2] 上記[1]に記載の方法であって、さらに以下のステップ:
(8)前記(6)で保存された健康寿命及び寿命の値に基づいて不動期を次式:
(9)不動期および/または不動期率の値を表示する;
を含み、当該ステップにより線虫の不動期および/または不動期率を分析することを含む、上記[1]に記載の方法。
[3] 飼育する線虫の初期数Aが、1つのプレートあたり1~100匹である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] (2)の撮影が、蛍光視野の観察結果を撮影するものである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] (2)の撮影を、静止画または動画の撮影により行う、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
[6] tnの時点とtn-1の時点の間隔が、1~12時間の間から選択される、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の方法。
[7] tnの時点とtn-1の時点の間隔が、一定である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] 線虫の飼育期間が、線虫の飼育開始から1~80日間である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] 線虫の飼育を、一定の温度条件下で、大腸菌を薄く均一に塗布した寒天培地上で行う、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の方法。
[10] 線虫の飼育を、撮影手段を備えたインキュベータ内で行う、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
[11] 線虫の健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率を評価する方法であって、
(a)評価対象の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の方法により、健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率を分析し、および
(c)(i)上記(a)の線虫について、上記[1]のステップ(7)で表示された健康寿命曲線または健康寿命を、比較対照の線虫の健康寿命曲線または健康寿命と比較することにより、評価対象の線虫の健康寿命を評価する、
(ii)上記(a)の線虫について、上記[1]のステップ(7)で表示された寿命曲線または寿命を、比較対照の線虫の寿命曲線または寿命と比較することにより、評価対象の線虫の寿命を評価する、および/または
(iii)上記(a)の線虫について、上記[1]のステップ(5)でグラフ化された健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせたパターンと、比較対照の線虫の健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせのパターンとを比較することにより、または、上記(a)の線虫について、上記[2]のステップ(9)で表示された不動期もしくは不動期率を、比較対照の線虫の不動期もしくは不動期率と比較することにより、評価対象の線虫の不動期および不動期率を評価する、
ことを含む、前記方法。
[12] 評価対象の線虫が、(i)特定の遺伝子を発現するように特定の遺伝子を導入した線虫、(ii)特定の遺伝子について変異を有する線虫、または、(iii)特定の遺伝子が欠損した、もしくは当該遺伝子の発現が抑制された線虫、であり、
比較対照の線虫が野生型の線虫であり、そして、
前記(c)の評価に基づいて、特定の遺伝子の発現、変異または欠損について、健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率に及ぼす効果を評価することをさらに含む、
上記[11]に記載の方法。
[13] 評価対象の線虫を、特定の物質、物理刺激または環境変化の存在下で飼育し、比較対象の線虫を、特定の物質、物理刺激または環境変化の非存在下で飼育する、そして前記(c)の評価に基づいて、特定の物質、物理刺激および/または環境変化について、健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率に及ぼす効果を評価することをさらに含む、上記[11]に記載の方法。
[14] 線虫の健康寿命および/または寿命の変動パターンを分析する方法であって、
(a)評価対象の線虫、および比較対照の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、上記[1]のステップ(1)~(6)を行い寿命の値を保存し、ならびに上記[1]のステップ(1)~(6)および上記[2]のステップ(8)を行い不動期率を算出して保存し、
(c)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、および
(d)当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットすることにより、評価対象の線虫についての寿命変動または健康寿命変動のパターンを分析する、
ことを含む、前記方法。
[15] 線虫の健康寿命および/または寿命を分析するための装置であって、
線虫を飼育する手段と、
当該飼育手段における線虫の画像を経時的に撮影する撮影手段と、
当該撮影手段によって撮影された画像データに基づいて線虫の健康寿命曲線、寿命曲線、健康寿命および/または寿命を求める計算手段と、
当該計算手段によって導き出される寿命曲線、健康寿命曲線、健康寿命および/または寿命を表示する結果表示手段と、
を備え、
当該計算手段は、以下の処理:
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する;
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する;
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する;
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および/または、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する;
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
を実行し、そして、
当該結果表示手段は、前記計算手段が、上記(5)(i)または(ii)においてグラフ化した健康寿命曲線および/もしくは寿命曲線を表示する、ならびに/または、上記(6)(i)または(ii)で保存された健康寿命および/もしくは寿命を表示する、前記装置。
[16] 上記[15]に記載の装置であって、さらに線虫の不動期および/または不動期率を分析するためのものであり、
前記計算手段が、さらに不動期および/または不動期率を求める計算手段であり、
前記結果表示手段が、さらに不動期および/または不動期率を表示する結果表示手段であり、
当該計算手段は、さらに以下の処理:
(7)前記(6)で保存された健康寿命及び寿命の値に基づいて不動期を次式:
を実行し、そして
当該結果表示手段は、さらに、前記計算手段が上記(7)において保存された不動期および/または不動期率を表示する、
前記装置。
[17] 線虫の健康寿命および/または寿命の変動パターンを分析するための装置であって、
線虫を飼育する手段と、
当該飼育手段における線虫の画像を経時的に撮影する撮影手段と、
当該撮影手段によって撮影された画像データに基づいて、評価対象の線虫および比較対照の線虫の寿命、健康寿命および不動期率を求めた上で、比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率および比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を求め、そして、当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットする計算手段と、
当該計算手段によって導き出されるプロットを表示する結果表示手段と
を備え、
当該計算手段は以下の処理:
(8)上記[15]のステップ(1)~(6)を行い、評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについての寿命および健康寿命の値を保存し、
(9)上記[16]のステップ(7)を行い、評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについての不動期率を算出して保存し、ならびに
(9)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、および、当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットする、
を実行し、そして
当該結果表示手段は、上記(9)のプロットを表示する、
前記装置。
[18]
線虫を飼育する手段が、インキュベータであり、
撮影手段が、静止画または動画の撮影機能を備えた蛍光顕微鏡であり、
計算手段が、コンピュータであり、
結果表示手段がモニターである、
上記[15]~[17]のいずれか1項に記載の装置。
一態様において本発明は、線虫の健康寿命および/または寿命の分析方法であって、以下のステップ:
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する;
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する;
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する;
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および/または、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する;
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)線虫の寿命を、次式:
(7)健康寿命曲線および/もしくは寿命曲線を表示する、ならびに/または、健康寿命および/もしくは寿命の値を表示する;
を含む、前記方法、に関する。
(8)前記(6)で保存された健康寿命及び寿命の値に基づいて不動期を次式:
一態様において本発明は、線虫の健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率を評価する方法であって、
(a)評価対象の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、本発明の分析方法により、健康寿命、寿命、不動期および/または不動期率を分析し、および
(c)(i)上記(a)の線虫について、本発明の分析方法のステップ(7)で表示された健康寿命曲線または健康寿命を、比較対照の線虫の健康寿命曲線または健康寿命と比較することにより、評価対象の線虫の健康寿命を評価する、
(ii)上記(a)の線虫について、本発明の分析方法のステップ(7)で表示された寿命曲線または寿命を、比較対照の線虫の寿命曲線または寿命と比較することにより、評価対象の線虫の寿命を評価する、および/または
(iii)上記(a)の線虫について、本発明の分析方法のステップ(5)でグラフ化された健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせたパターンと、比較対照の線虫の健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせのパターンとを比較することにより、または、上記(a)の線虫について、本発明の分析方法のステップ(9)で表示された不動期もしくは不動期率を、比較対照の線虫の不動期もしくは不動期率と比較することにより、評価対象の線虫の不動期および不動期率を評価する、
ことを含む、前記方法に関する。
一態様において本発明は、線虫の健康寿命および/または寿命の変動パターンを分析する方法であって、
(a)評価対象の線虫、および比較対照の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、本発明の分析方法のステップ(1)~(6)を行い寿命の値を保存し、ならびに本発明の分析方法のステップ(1)~(6)およびステップ(8)を行い不動期率を算出して保存し、
(c)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、および
(d)当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットすることにより、評価対象の線虫についての寿命変動または健康寿命変動のパターンを分析する、
ことを含む前記方法、に関する。
一態様において本発明は、線虫の健康寿命および/または寿命を分析するための装置に関する。
線虫を飼育する手段1と、
当該飼育手段における線虫の画像を経時的に撮影する撮影手段2と、
当該撮影手段によって撮影された画像データに基づいて線虫の健康寿命曲線、寿命曲線、健康寿命および/または寿命を求める計算手段3と、
当該計算手段によって導き出される寿命曲線、健康寿命曲線、健康寿命および/または寿命を表示する結果表示手段4と、
を備える。
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する(ステップ1:以下、ステップを「S」と称する);
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する(S2);
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する(S3);
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および/または、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する(S4、S4A、S4B);
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
を実行する。計算手段が実行する上記ステップ(1)~(6)についての説明は、本発明の分析方法のステップ(1)~(6)について説明したとおりである。上記ステップ(1)~(4)において、後述する深層学習(Deep learning)を用いた線虫の画像解析を使用してもよい。
(7)前記(6)で保存された健康寿命及び寿命の値に基づいて不動期を次式:
を実行し、結果表示手段4はさらに不動期および/不動期率を表示する結果表示手段であり、上記(7)において保存された不動期および/または不動期率を表示する(S8)。計算手段が実行する上記ステップ(7)についての説明は、本発明の分析方法のステップ(8)について説明したとおりである。
(8)評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについて、健康寿命及び寿命を計算して保存する(S16)。ここで、線虫の健康寿命は、次式:
(9)前記(8)で保存された健康寿命及び寿命の値に基づいて、評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについて、上記(7)と同様に不動期および不動期率を算出して保存する(S17);
(10)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、そして、当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットする(S18)。
一態様において、本発明の分析方法のステップ(1)~(4)および本発明の装置の計算手段3において実行されるステップ(1)~(4)、特にこれらのうちのステップ(3)の画像の比較において、深層学習(Deep learning)を用いた線虫の画像解析から得られた線虫の輪郭を使用してもよい。まず、線虫を撮影し、撮影した線虫の画像に位置ずれ修正等の前処理を施した後にセグメンテーション(Sematic segmentation)を行い、線虫の輪郭情報を得る。得られた線虫の輪郭を使って、線虫の生存、不動期、死亡を判定する。以下に説明する深層学習を用いた線虫の画像解析により、高いIoU(Intersection over Union)スコアで生線虫、不動線虫、死線虫を自動で識別することが可能となる。
(1)寿命測定
同調培養のために線虫から卵だけを抽出し、成虫まで成長させ(孵化から3日後)、40匹毎に6ウェルプレートの各ウェルに振り分けた。なお、世代交代を防ぐために、線虫実験で不妊化試薬として使用されるFUDR(5-フルオロデオキシウリジン)を線虫に対して処理している。なお、各ウェルの固体培地量は600μLに設定し、エサである大腸菌はあらかじめ殺菌した状態で(70℃、30分)培地に塗布している。
上記(1)と同様に、線虫を飼育し、蛍光観察により飼育中の線虫の形状の画像を経時的に撮影した。
線虫として、野生型(N2株、WT)、および寿命延長変異として知られる遺伝子変異を有する以下の3種の変異株:
・タンパク質合成低下が知られる、lfe-2変異株
・摂食中枢抑制が知られる、eat-2変異株
・ミトコンドリア膜電位低下が知られる、clk-1変異株
を用いて、実施例1と同様にそれぞれの線虫について寿命曲線および健康寿命曲線をプロットしてグラフ化した。各線虫の寿命曲線を重ね合わせて表示させた。また、各線虫の健康寿命曲線を重ね合わせて表示させた。
線虫として、野生型(N2株、WT)を用い、線虫の寿命延長因子であるメトホルミン(50mM)を培地上に塗布または培地内に混入させ、それぞれの場合とメトホルミンを投与していない対照(野生型)とについて、実施例2と同様に寿命曲線および健康寿命曲線をプロットしてグラフ化した。
線虫として、野生型(N2株、WT)を用い、酸化ストレス因子であるパラコート(2mM)を投与したものと、パラコートを投与していない対照(野生型)とについて、実施例2と同様に寿命曲線および健康寿命曲線をプロットしてグラフ化した。
実施例2および3で得られた結果に基づいて、横軸に野生型の線虫の寿命に対する検討対象の線虫の寿命の割合(すなわち寿命の変動率)をとり、縦軸に野生型の線虫の不動期率に対する検討対象の線虫の寿命の割合(すなわち不動期率の変動率)をとって、検討した各線虫についての値をプロットして二次元プロット図とした。実施例4および5の各線虫についても、実施例2と同様に不動期率を計算し、寿命の変動率と不動期率の変動率とに基づいて、上記と同様に二次元プロット図を得た。結果を図11に示す。
実施例1と同様の方法で、蛍光観察により飼育中の線虫の形状の画像を12時間毎に経時的に撮影した。画像同士を比較する際には、画像のずれを修正するためにシャーレ内に入れた十字型の紙の置き物を使用し、画像上の置き物部分を切り出した画像をテンプレート画像として使用し、テンプレートマッチングによる位置ずれ修正を行った。
Claims (18)
- 線虫の健康寿命および寿命の分析方法であって、以下のステップ:
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する;
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する;
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する;
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する;
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
トして寿命曲線としてグラフ化する;
(6)(i)線虫の健康寿命を、次式:
(ii)線虫の寿命を、次式:
態にある線虫の比率が50%となった時点の値として記録して保存する;
(7)健康寿命曲線および寿命曲線を表示する、ならびに/または、健康寿命および寿命の値を表示する;
を含む、前記分析方法。 - 飼育する線虫の初期数Aが、1つのプレートあたり1~100匹である、請求項1または2に記載の方法。
- (2)の撮影が、蛍光視野の観察結果を撮影するものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- (2)の撮影を、静止画または動画の撮影により行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
- tnの時点とtn-1の時点の間隔が、1~12時間の間から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
- tnの時点とtn-1の時点の間隔が、一定である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
- 線虫の飼育期間が、線虫の飼育開始から1~80日間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
- 線虫の飼育を、一定の温度条件下で、大腸菌を均一に塗布した寒天培地上で行う、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
- 線虫の飼育を、撮影手段を備えたインキュベータ内で行う、請求項1~9のいずれか1
項に記載の方法。 - 線虫の健康寿命および寿命と、不動期および/または不動期率を評価する方法であって、
(a)評価対象の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法により、健康寿命および寿命と、不動期および/または不動期率を分析し、および
(c)(i)上記(a)の線虫について、請求項1のステップ(7)で表示された健康寿命曲線または健康寿命を、比較対照の線虫の健康寿命曲線または健康寿命と比較することにより、評価対象の線虫の健康寿命を評価する、
(ii)上記(a)の線虫について、請求項1のステップ(7)で表示された寿命曲線または寿命を、比較対照の線虫の寿命曲線または寿命と比較することにより、評価対象の線虫の寿命を評価する、および
(iii)上記(a)の線虫について、請求項1のステップ(5)でグラフ化された健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせたパターンと、比較対照の線虫の健康寿命曲線および寿命曲線を重ね合わせのパターンとを比較することにより、または、上記(a)の線虫について、請求項2のステップ(9)で表示された不動期もしくは不動期率を、比較対照の線虫の不動期もしくは不動期率と比較することにより、評価対象の線虫の不動期および不動期率を評価する、
ことを含む、前記方法。 - 評価対象の線虫が、(i)特定の遺伝子を発現するように特定の遺伝子を導入した線虫、(ii)特定の遺伝子について変異を有する線虫、または、(iii)特定の遺伝子が欠損した、もしくは当該遺伝子の発現が抑制された線虫、であり、
比較対照の線虫が野生型の線虫であり、そして、
前記(c)の評価に基づいて、特定の遺伝子の発現、変異または欠損について、健康寿命および寿命と、不動期および/または不動期率に及ぼす効果を評価することをさらに含む、請求項11に記載の方法。 - 評価対象の線虫を、特定の物質、物理刺激または環境変化の存在下で飼育し、比較対象
の線虫を、特定の物質、物理刺激または環境変化の非存在下で飼育する、そして
前記(c)の評価に基づいて、特定の物質、物理刺激および/または環境変化について、健康寿命および寿命と、不動期および/または不動期率に及ぼす効果を評価することをさらに含む、請求項11に記載の方法。 - 線虫の健康寿命および/または寿命の変動パターンを分析する方法であって、
(a)評価対象の線虫、および比較対照の線虫を調製し、
(b)上記(a)の線虫について、請求項1のステップ(1)~(6)を行い寿命の値を保存し、ならびに請求項1のステップ(1)~(6)および請求項2のステップ(8)を行い不動期率を算出して保存し、
(c)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、および
(d)当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットすることにより、評価対象の線虫についての寿命変動または健康寿命変動のパターンを分析する、
ことを含む、前記方法。 - 線虫の健康寿命および/または寿命を分析するための装置であって、
線虫を飼育する飼育手段と、
当該飼育手段における線虫の画像を経時的に撮影する撮影手段と、
当該撮影手段によって撮影された画像データに基づいて線虫の健康寿命曲線および寿命曲線、ならびに/または健康寿命および寿命を求める計算手段と、
当該計算手段によって導き出される健康寿命曲線および寿命曲線、ならびに/または健康寿命および寿命を表示する結果表示手段と、
を備え、
当該計算手段は、以下の処理:
(1)飼育する線虫の初期数Aを記録して保存する;
(2)飼育開始時をt0、飼育終了時をtN(Nは整数であり、後述のnの最大数に一致する)、その間の所定の時点をt1~tn(nは整数)とし、t0~tnの時点のそれぞれにおいて、飼育されている線虫の画像を同視野で撮影し、そして、撮影された画像を保存する;
(3)tnの時点の画像とtn-1の時点の画像(nは整数)を比較する;
(4)上記(3)の画像比較に基づき、(i)位置も形状も変化していない線虫の数を、tnの時点における死線虫の数Bn(nは整数)として記録して保存し、および、(ii)位置は変化していないが形状が変化している線虫の数を、tnの時点における不動線虫の数Cn(nは整数)として記録して保存する;
(5)(i)tnの時点における積極的行動状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(ii)tnの時点における生存状態にある線虫の比率(%)を、次式:
(6)(i)線虫の健康寿命を、次式:
(ii)線虫の寿命を、次式:
ある線虫の比率が50%となった時点の値として記録して保存する;
を実行し、そして、
当該結果表示手段は、前記計算手段が、上記(5)(i)または(ii)においてグラフ化した健康寿命曲線および寿命曲線を表示する、ならびに/または、上記(6)(i)または(ii)で保存された健康寿命および寿命を表示する、
前記装置。 - 線虫の健康寿命および/または寿命の変動パターンを分析するための装置であって、
線虫を飼育する飼育手段と、
当該飼育手段における線虫の画像を経時的に撮影する撮影手段と、
当該撮影手段によって撮影された画像データに基づいて、評価対象の線虫および比較対照の線虫の寿命、健康寿命および不動期率を求めた上で、比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率および比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を求め、そして、当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットする計算手段と、
当該計算手段によって導き出されるプロットを表示する結果表示手段と
を備え、
当該計算手段は以下の処理:
(8)請求項15のステップ(1)~(6)を行い、評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについての寿命および健康寿命の値を保存し、
(9)請求項16のステップ(7)を行い、評価対象の線虫および比較対照の線虫それぞれについての不動期率を算出して保存し、ならびに
(10)比較対照の線虫の寿命に対する評価対象の線虫の寿命の変動率を算出して保存し、および、比較対照の線虫の不動期率に対する評価対象の線虫の不動期率の変動率を算出して保存し、および、当該寿命の変動率に対して当該不動期率の変動率をプロットする、
を実行し、そして
当該結果表示手段は、上記(10)のプロットを表示する、
前記装置。 - 飼育手段が、インキュベータであり、
撮影手段が、静止画または動画の撮影機能を備えた蛍光顕微鏡であり、
計算手段が、コンピュータであり、
結果表示手段がモニターである、
請求項15~17のいずれか1項に記載の装置。
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森内将貴,線虫の寿命制御因子探索に関する研究:TRPV1の役割の解明および画像解析に基づいた新規健康寿命評価法の構築,学位論文,甲博薬第285号,2019年03月25日,[online], [令和4年3月29日検索], インターネット, <URL:https://kumadai.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=31312&item_no=1&page_id=13&block_id=21> |
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