JP7184341B2 - 抜針の検出方法並びにその方法を使用する血液体外循環型装置 - Google Patents

抜針の検出方法並びにその方法を使用する血液体外循環型装置 Download PDF

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本発明は、血液浄化療法又はアフェレシス療法と言われている、血液を体外循環させる治療を受ける患者の血管に穿刺された穿刺針の抜針の早期検出に係る抜針の検出方法、並びに、その方法を使用する血液体外循環型装置に関する。
血液を体外循環させる療法のうちの血液透析は、2016年末で日本で約33万人の慢性腎不全患者に対する治療法であり、被透析者前腕への2本の穿刺を伴い、約200ml程度の血液を血液ポンプにより体外で循環させて、血液透析器(ダイアライザともいう。)とよばれる人工腎臓に導いて行われる。血液透析器内で透析膜を介して血液と透析液が接し、拡散や濾過の化学的原理により血液を浄化するものである。血液透析による治療は、1回の治療が数時間に及び、しかも週3回程度を生涯にわたり続けなければならないことにより、日本国内の治療の施行回数は、約5000万回/年と極めて高頻度で行われている。
ところが、被透析者平均年齢が68歳を超え、かつ認知症を合併する被透析者も増加してきており、平成25年度日本透析医会透析医療事故調査報告によれば、重篤な透析事故件数422件のうち、血液透析中に不可抗力や故意に血液回路を引っ張り、前腕から穿刺針が抜け落ちる抜針事故の発生が重篤な血液透析医療事故の約40%を占めている。前記抜針事故の内、自己抜針が60件、牽引抜針が46件発生していた。これらのことは抜針の危険がまだ存在することを示している。
2016年末日本の慢性透析療法の現況は、透析会誌51(1)(1~51ページ、2018年)によれば、透析患者数は329,609人とこの前年より4,632人増加しており、被透析者の平均年齢は68.15歳とこの前年より0.29歳増加している。また、1回の透析時間は最大が360分で0.5%を占め、最も多いのが240分で68.6%を占めている。これらのことは血液透析患者である被透析者の高齢化が進み、かつ被透析者数が増加することが示されている。
血液透析中の前腕からの穿刺針の抜針の検出の技術としては、例えば非特許文献1又は2に電気的インピーダンス検出法が開示され、非特許文献3又は4に非接触式の電気的インピーダンス検出法が開示されている。
さらに、特許文献1には、医学的治療の間にアクセス切断を検出し得る医療デバイスであって、該デバイスは、流体と直接接触し、かつ被透析者内に挿入可能なアクセスデバイスから離れた複数の電気的接触部を備え、その結果、該電気的接触部は、該流体が、該被透析者と該アクセスデバイスを介して 該被透析者に接続されている流体システムとの間を流れる場合に抜針時における電気値の変化を検出するのに使用され得る、医療デバイスが開示されている。そして、前記電気的接触部が、被透析者の血管に挿入した返血側針に接続したチューブ部材と、被透析者の血管に挿入した脱血側針に接続したチューブ部材とに取り付けられている事例と、被透析者の血管に挿入した針に接続したチューブ部材と、該針の近くの被透析者の皮膚の部位に取り付けられている事例が示されている。
特許文献2には、抜針時の漏血を検出するための、通気性を有するベースシート及び当該ベースシートに配置された一対の電極を備え、乾燥状態で絶縁性を呈すると共に水分を含んだ状態で導電性を呈する電極シートと、電極シートに重ね合わされ、多数の小孔が穿設された撥水性を有するフィルタシートと、フィルタシートに重ね合わされた一定の保水性を備えた通水性シートとを備えた水分センサが開示されている。
特許文献3には、透析治療中血管の出入り口を監視する方法において、血液透析器では、血液は体外血液循環路の動脈血液導管を通って、半透膜により血液槽と透析液槽に仕切られた血液透析器の血液槽内に流入し、血液槽から体外血液循環路の静脈血液導管を通って再び元に戻され、新鮮な透析液は透析液経路の透析液供給管を通って血液透析器の透析液槽に供給され、使用済みの透析液は透析液排出管を通って血液透析器から排出され、その際に体外血液循環路内の血圧が監視され、血圧に特徴的な変化が見られると血管の出入り口に誤りがあると推定される血管の出入り口の監視方法において、透析液経路内で生じた圧脈拍が体外血液循環路内で監視され、また体外血液循環路内で圧脈拍の特徴的な変化が見られると血管の出入り口に誤りがあると推定する透析治療中の血管の出入り口を監視する方法が開示されている。
特許文献4には、患者に穿刺可能な動脈側穿刺針が先端に取り付けられた動脈側血液回路と、患者に穿刺可能な静脈側穿刺針が先端に取り付けられた静脈側血液回路と、前記動脈側血液回路の基端及び静脈側血液回路の基端に接続され、当該動脈側血液回路 及び静脈側血液回路で体外循環する患者の血液を浄化可能な血液浄化手段と、を有する血液浄化装置において、前記動脈側血液回路を流れる血液に電圧を印加し得る動脈側電極と、前記静脈側血液回路を流れる血液に電圧を印加し得る静脈側電極と、前記動脈側電極と静脈側電極との間で電圧を印加して、患者に穿刺された前記動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を介して電流を流し得る電源と、患者の体表に密着して取り付けられ、その患者の体内からの電気信号を検出し得る体表側電極と、前記体表側電極で検出された電気信号に基づいて患者の体内におけるインピーダンスの 変化を検出することにより所定の生体パラメータを取得し得る検出手段と、前記動脈側電極又は静脈側電極を流れる電流、及び前記検出手段で検出された患者の体内におけるインピーダンスの変化をリアルタイムに監視し得る監視手段と、前記監視手段の監視対象であるインピーダンスの変化に基づいて、前記動脈側穿刺針又は静脈側穿刺針が患者から離脱した抜針状態を判定可能な判定手段と、を具備した血液浄化装置が開示されている。
特表2006-507024号公報 特開2007-151624号公報 特開平11-104233号公報 特開2018-175232号公報
平成26年度コメディカル研究助成報告「電気的インピーダンスの変化を用いた抜針検知システムの開発」須田健二、透析会誌48(6)、391~392ページ、2015年 D-7「静電結合方式による抜針検知に関する提案」鈴木枝理、他4名、平成27年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会の予稿集、169ページ BPA2-2「透析中の非接触式電気的抜針検出方法に関する基礎的検討」角田知美、他5名、第5回中四国臨床工学会2015年11月21日(土)開催の予稿集、75ページ D2-15「静電結合を利用した抜針検知システムの基礎的検討」中谷枝理、他3名、平成27年度 日本大学理工学部 学術講演会予稿集 235~236ページ
このように血液の透析等は、血管に刺した穿刺針等を介して体外に血液を抜出し(脱血側)、血液を体外で血液透析器等中にて透析液と間接的に接触させ血液中の物質の交換を行い、処理された血液を血管に刺した穿刺針等を介して体内の血管(返血側)に戻すことにより行われる。すなわちこの場合、血液は脱血側血液回路、血液透析器等、返血側血液回路の順に流れる。
前記電気的インピーダンス検出法には、使用する電極の血管への接触形態によって接触式形態と非接触式形態とがあり、接触式形態とは、図10(a)、(b)に示すように、インピーダンス検出用の1対の銅製の筒状電極を血液と直接に接触するように脱血側血液回路・返血側血液回路に挿入させて血液回路内の血液に直接に通電する方法であり、非接触式形態とは、図10(c)、(d)に示すように、脱血側血液回路・返血側血液回路を構成するポリ塩化ビニル等のチューブの外周壁に接触させて電極を装着し、血液回路内の血液には非接触で通電する方法である。
非特許文献1又は2に記載の電気的インピーダンス検出法は、使用する電極の血液への接触形態が接触式形態か非接触式形態かの記載がないことから接触式形態も含まれうる。接触式形態の場合には、インピーダンス検出用の1対の電極を、血液と直接に接触するように脱血側血液回路・返血側血液回路に挿入させるため、被透析者に対する安全を確保するためには、電極から有害な金属イオン等の不純物が溶出、混入してはならず、血液を汚染から防止するために予め血液回路に加工が必要となり、かつ電極を挿入した状態で電極も含めて滅菌処理をしなければならないという徹底した安全対策の準備が不可欠であるという問題があった。
非特許文献3又は4に記載の非接触式形態の電気的インピーダンス検出法は、抜針によるインピーダンスの変化が小さく測定感度が劣るという問題や、脱血側抜針時、返血側抜針時で正常状態に比較してインピーダンス変化がほぼ等しいので、抜けた針が脱血側血液回路の穿刺針か返血側血液回路の穿刺針かの特定が困難であるという問題があった。抜針はいずれの側で生じても問題であるが、脱血側の抜針時には空気が返血側気泡センサで検出されポンプが停止されるが、返血側の抜針時には、検知されるまでに大量の血液が漏出することになりより危険度が高い。いずれの抜針かで対処も異なる。したがっていずれの側の抜針であるかを検知することが重要である。
特許文献1の発明は、電気的接触部から検出したインピーダンス等の変化値を開示していないが、脱血側の穿刺針が抜針したのか、返血側の穿刺針が抜針したのかが把握できないという問題があった。
また、特許文献2に記載の発明は、水分センサの汗と血液との誤検出を防止するために、被透析者の腕を載置した電極シート上に一定量の出血があったときに抜針を検出するので、抜針を迅速に検出できないという問題があった。
また、特許文献3の発明は、返血側の血液導管内にある圧力感知器で検出する構造であるので、返血側から穿刺針が抜けた場合には検出可能かもしれないが、脱血側では、血液ポンプが回転している限りは穿刺針が抜けても回路内圧の低下が少なく、針が抜けたことがわかりにくいという問題があった。
また、特許文献4の発明は、動脈側電極と乗客側電極に加えて体表側電極を必要としており、前記体表側電極は、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針の穿刺部に対して、心臓を挟んだ位置に密着して取り付けると記載され、差動増幅器にて生成された電気信号は、電源にて印加された高周波数成分が高域遮断フィルタにて取り除かれた後に検出手段に入力され、その患者の心電図(生体情報)を測定し得るものであることが記載されている。よって、特許文献4の発明は、3か所の電極とそれらの制御を必要とするので、装置価格が高くなり制御が複雑化するという問題があった。
上記現状に鑑み本発明は、穿刺針が抜けたときにすみやかに把握でき、抜けた穿刺針が脱血側血液回路の穿刺針か返血側血液回路の穿刺針かの特定がすみやかにでき、かつ安価で簡易な抜針の検出方法及びその方法を使用する血液体外循環型装置を提供することを課題とする。
本発明における血液を体外循環させる治療とは血液浄化療法又はアフェレシス療法を意味し、前記血液浄化療法又はアフェレシス療法は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、体外限外濾過法、持続的血液浄化療法、血漿交換療法、直接血液灌流法及び吸着式血球成分除去療法が含まれる。
また本発明において、血液体外循環型装置は、血液浄化療法又はアフェレシス療法と言われている、血液を体外循環させる治療に使用される装置を意味し、血液処理器は血液体外循環型装置に組み込まれて血液中の物質を膜分離や吸着を用いて除去するデバイスを意味し、前記血液処理器には例えば血液透析器、血液濾過器、血液透析濾過器、持続緩徐式血液濾過器、血漿分離器、吸着型血液浄化器及び血球細胞除去用浄化器等がある。
前記血液透析器は血液透析や体外限外濾過法に使用され、前記血液濾過器は血液濾過に使用され、前記血液透析濾過器は血液透析濾過に使用され、前記持続緩徐式血液濾過器は持続的血液浄化療法に使用され、前記血漿分離器は血漿交換療法に使用され、前記吸着型血液浄化器は直接血液灌流法に使用され、前記血球細胞除去用浄化器は吸着式血球成分除去療法に使用される。
本発明において、透析液回路とは、透析液供給回路と透析液排液回路との総称を意味し、前記透析液供給回路は血液透析装置の透析液供給部の透析液送出手段から血液透析器までの回路を意味し、前記透析液排液回路は血液透析装置の血液透析器から透析液供給部の透析液排出手段までの回路を意味する。
患者の血管に挿入されるのは穿刺針に限らずカテーテルの場合もあるが、血管から抜ける事故の検出を行う点で同様であるため、本発明では、血管から一般的に言われている穿刺針が抜けることのみならず血管からカテーテルが抜ける場合も含めて抜針といい、本発明の穿刺針には一般的に言われている穿刺針及びカテーテルも含むものとする。
したがって、本発明における抜針検出は、血管から脱血させて血液処理器を血液が経由して血管に返血させるまでの経路において血液の漏血を引き起こす事態を検出することを意味し、前記抜針検出は、血管に穿刺した穿刺針が血管から抜針した事態の検出、血管に穿刺した穿刺針と血液回路(脱血側血液回路及び返血側血液回路)との接続部が離断した事態の検出、血管に挿入したカテーテルが血管から抜けた事態の検出、血管に挿入したカテーテルと血液回路(脱血側血液回路及び返血側血液回路)との接続部が離断した事態の検出を含むものとする。なお、本発明において血管は動脈若しくは静脈、又は人工血管を意味する。
人体以外の動物にも一般的に、血液体外循環型装置を用いた血液透析等が実施されていることから、本発明は、犬、猫、家畜、馬、牛その他の脊椎動物にも適用できる。したがって本発明において「患者」とは人間以外の場合には、当該治療の対象となる動物をいう。
請求項1に記載の血液体外循環型装置の抜針の検出方法は、血液を体外で循環させて行う治療に用いられる血液体外循環型装置の抜針の検出方法において、前記血液体外循環型装置は、脱血側穿刺針を通じて患者の体内から血液を抜き出す脱血側血液回路と、返血側穿刺針を通じて患者の体内に前記血液を返す返血側血液回路との間に、血液処理器が接続され、前記血液処理器を介して前記両回路が電気的に導通されており、一の電極が前記脱血側血液回路と、返血側血液回路又は、前記血液処理器の内部を流れる血液に電気的に導通する部分のいずれかに設置され、他の電極が患者の身体表面部に接して設置され、前記一の電極から前記脱血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる脱血側電気回路と、前記一の電極から前記返血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる返血側電気回路とが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路と前記返血側電気回路のインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置され、前記インピーダンスを測定可能な測定手段を備えて、
前記測定手段が、前記両電極間のインピーダンスを測定することを特徴とする。
請求項2に記載の血液体外循環型装置の抜針の検出方法は、請求項1において、前記一の電極が透析液回路又は血液回路に設置され、前記他の電極が患者の身体表面部又は血圧測定用カフに設置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の血液体外循環型装置の抜針の検出方法は、請求項1又は2において、前記血液体外循環型装置は、脱血側血液回路に気泡センサが設けられ、かつ前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出する制御手段が設けられ、前記気泡センサからの気泡の検出情報を加味して、前記制御手段が前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出することを特徴とする。
請求項4に記載の血液体外循環型装置は、患者から血液を抜き出すための脱血側穿刺針が先端に取り付けられた脱血側血液回路と、患者に前記血液を返すための返血側穿刺針が先端に取り付けられた返血側血液回路と、前記脱血側血液回路の基端と前記返血側血液回路の基端との間に設けられた血液を処理する血液処理器とにてなる血液体外循環型装置において、一の電極が、前記脱血側血液回路又は前記返血側血液回路並びに前記血液処理器を流れ処理液の通る処理液回路のいずれかに設置され、他の電極が患者の身体表面部に設置され、前記一の電極から前記脱血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる脱血側電気回路と、前記一の電極から前記返血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる返血側電気回路とが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路と前記返血側電気回路のインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置されており、前記両電極間のインピーダンスを測定する測定手段と、前記両電極と前記インピーダンスを測定する測定手段とを結ぶ電気回線と、前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載の血液体外循環型装置は、請求項4において、前記血液処理器が透析液を半透膜を介して血液に接触させ処理する血液透析器であり、前記一の電極が前記脱血側血液回路又は前記返血側血液回路並びに前記血液透析器を流れる透析液の透析液回路のいずれかに設置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の血液体外循環型装置は、請求項4又は5において、前記脱血側血液回路に気泡センサが設けられ、前記気泡センサからの気泡の検出情報を加味して抜針を検出する制御手段を有することを特徴とする。
請求項7に記載の血液体外循環型装置は、請求項4乃至6のいずれかにおいて、前記他の電極が血圧測定用カフに設けられた電極であることを特徴とする。
請求項1又は4に記載の発明は、脱血側血液回路と返血側血液回路に交流を印加して電極間のインピーダンスをモニタリングすることにより、脱血側穿刺針や返血側穿刺針が穿刺状態である正常状態と抜針したときの抜針状態とを比較すると前記インピーダンス変化が大きいので自動抜針検出が容易に実現でき、透析中の自動抜針検出が感度良く安価に実現できるという効果を奏する。
そして、血管に穿刺する穿刺針を使用した場合には、血管に正常に穿刺針が穿刺している正常状態、血管から穿刺針が抜針した状態、及び、穿刺針と脱血側血液回路又は返血側血液回路の接続部が離断した状態を検出でき、血管に挿入するカテーテルを使用した場合には、血管に正常にカテーテルが挿入している正常状態、血管からカテーテルが抜けた状態、及び、カテーテルと脱血側血液回路又は返血側血液回路の接続部が離断した状態を検出できる。
また、返血側穿刺針の抜針時と脱血側穿刺針の抜針時とのインピーダンスの差が大きいので、抜針が返血側穿刺針か、脱血側穿刺針かの特定がすみやかに感度よくできる。従来の抜針が脱血側血液回路側で発生したか又は返血側血液回路側で発生したかを目視でチェックしなければならなかった場合に比較して、血液が漏れ出す等の緊急を要する抜針事故に迅速に対応できるという効果を奏する。
請求項2又は7に記載の発明は、更に、他の電極が患者の身体表面部に接する電極であるため非侵襲でかつ構造が簡単で安価であり取付け取り外しも容易であるという効果を奏し、さらに一般的に透析中は血圧測定用カフを非穿刺側の上腕に装着することから、血圧測定用カフの内側に患者の皮膚に接触する他の電極を装着することにより、別途他の電極を用意する必要がなく、内側に患者の皮膚に接触する他の電極が装着された血圧測定用カフを装着するだけで非侵襲に透析中の自動抜針検出が可能となるという効果を奏する。
請求項3又は6に記載の発明は、更に、万一両側抜針時と返血側抜針時とのインピーダンス値が略同じであっても両側抜針時か返血側抜針時かのどちらかが抜針したかを特定することができるという効果を奏する。
請求項5記載の発明は、血液処理器が血液透析器である場合のため、透析時の抜針かついずれの抜針であるかが簡易迅速に検出できる。尚、前記一の電極の設置が透析液回路の排液回路であれば、電極が接触型であっても血液中に有害物が混入するおそれがなく安全性が高い。
本発明の血液体外循環型装置の1例である血液透析装置の構成の形態Iを説明する説明図である。 本発明の血液体外循環型装置の1例である血液透析装置の構成の形態IIを説明する説明図である。 気泡センサを脱血側血液回路に装着した形態Iの本発明の血液体外循環型装置の1例である血液透析装置の構成を説明する説明図である。 本発明の抜針検出方法の説明図であり、他の電極を患者の前腕部の皮膚に着接する形態の説明図である。 本発明の抜針検出方法の説明図であり、気泡センサを脱血側血液回路に装着したときの他の電極を患者の前腕部の皮膚に貼りつけた形態の説明図である。 本発明の抜針検出方法の説明図であり、他の電極を患者の血圧測定用カフに装着させた形態の説明図である。 抜針の従来の電気的検出法の説明図である。 抜針の従来の電気的検出法の説明図であって、脱血側電極及び返血側電極が血液回路に対して接触式の場合の説明図である。 抜針の従来の電気的検出法の説明図であって、脱血側電極及び返血側電極が血液回路に対して非接触式の場合の説明図である。 血液回路への電極の装着形態の説明図であって、(a)が接触式の形態の図で、(b)が血管を透視させて接触式の形態を描いた図で、(c)が非接触式の形態の図で、(d)が(c)のG-G断面図である。各電極への電気回線の配線はされているが該電気回線は図示していない。 本発明の接触式の抜針検出方法で測定したインピーダンスの値を示した図である。 本発明の非接触式の抜針検出方法で測定したインピーダンスの値を対数で示した図である。 従来の接触式の電気的検出法で測定したインピーダンスの値を示した図である。 従来の非接触式の電気的検出法で測定したインピーダンスの値を示した図である 本発明の血液体外循環型装置の測定手段の構成の説明図である。 本発明の血液体外循環型装置の一例である血液透析装置の形態の説明図である。 一の電極を透析液回路に設ける部位の範囲の説明図である。 血管に穿刺するのが穿刺針の場合で、本発明の抜針検出方法により検出可能な状態の説明図であり、(a)が正常状態、(b)が血管から穿刺針が抜針した状態、(c)が穿刺針と脱血側血液回路又は返血側血液回路との接続部が離断した状態の説明図である。 血管に挿入するのがカテーテル(例としてダブルルーメンカテーテルを示す。)の場合で、本発明の抜針検出方法により検出可能な状態の説明図であり、(a)が正常状態、(b)が血管からカテーテルが逸脱した状態、(c)がカテーテルと脱血側血液回路又は返血側血液回路との接続部が離断した状態の説明図である。 血液体外循環型装置の主要構成要件の説明図である。 穿刺針を使用した場合の脱血側電気回路と返血側電気回路との電気回路的に並列の関係の形態Aの説明図である。 穿刺針を使用した場合の脱血側電気回路と返血側電気回路との電気回路的に並列の関係の形態Bの説明図である。 カテーテルを使用した場合の脱血側電気回路と返血側電気回路との電気回路的に並列の関係の形態Cの説明図である
本発明の血液体外循環型装置2は、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、体外限外濾過法、持続的血液浄化療法、血漿交換療法、直接血液灌流法及び吸着式血球成分除去療法等の血液を体外循環させる治療である血液浄化療法又はアフェレシス療法等を行うに適した装置である。
本発明の抜針の検出方法1並びにその方法を使用する血液体外循環型装置2は、例えば血液透析装置50を使用して慢性腎不全患者すなわち患者100に対する治療法である血液透析中に、不可抗力や故意に血液回路を引っ張り、前腕から穿刺針が抜け落ちる抜針事故が発生すると、すみやかに抜針の検出とともに、脱血側穿刺針3か返血側穿刺針4かのどちらが抜針したか、脱血側穿刺針3及び返血側穿刺針4の両方が抜針したかをすみやかに検出できるようにすることにより重篤な血液透析医療事故を防止するものである。
血液透析時には、血液を処理するための多くの血流のある血管102が必要で、通常は穿刺を行い、手首で動静脈を吻合した(内シャント)の下流の血管102から脱血、さらにその下流の血管102に返血を行う。患者100の血管102でシャントの作製ができない場合は脱血に人工血管や動脈を用い、返血は人工血管や静脈を用いる。
また、通常は血液透析実施前に前記したような血流量確保の血管の準備を手術により行うが、患者100によりその準備期間がなく、直ちに血液透析をしなければならないときには、あるいは穿刺できる血管102がないときには、太い静脈に留置したカテーテル40で血液透析を行う。このときは血流量が多い内頚静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈などの静脈を用いる。この場合は、医師の処置によりカテーテル40を前記血管102に留置し、前記カテーテル40に血液回路(脱血側血液回路5、返血側血液回路6)を接続する。前記カテーテル40の構造は、図19に示すように、血管内に入る2つの通路が合わさって1本になっており、前記血液回路接続側は二股に分かれてそれぞれ脱血側、返血側として用いられている。
本発明の血液体外循環型装置2の抜針の検出方法は、血液を体外で循環させて行う治療に用いられる血液体外循環型装置2の抜針の検出方法において、図21~図23、図1、図2に示すように、前記血液体外循環型装置2は、脱血側穿刺針3を通じて患者100の体内から血液を抜き出す脱血側血液回路5と、返血側穿刺針4を通じて患者100の体内に前記血液を返す返血側血液回路4との間に、血液処理器81が接続され、前記血液処理器81を介して前記両回路が電気的に導通されており、一の電極19、20、23が前記脱血側血液回路5と、返血側血液回路6又は、前記血液処理器81の内部を流れる血液に電気的に導通する部分のいずれかに設置され、他の電極21、22が患者100の身体表面部に接して設置され、前記一の電極19、20、23から前記脱血側穿刺針3を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21、22に通じる脱血側電気回路Mと、前記一の電極19、20、23から前記返血側穿刺針4を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21、22に通じる返血側電気回路Nとが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路Mと前記返血側電気回路Nのインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置されており、前記両電極間のインピーダンスを測定する方法である。
前記一の電極19、20、23については、図20や図22に示すように前記一の電極23が前記脱血側血液回路5(一の電極23の設置図なし)又は返血側血液回路6に設置され、あるいは、前記血液処理器81の内部を流れる血液に電気的に導通する部分として、図2に示すように前記一の電極19が例えば透析液供給回路12に設置され、又は図1や図21に示すように前記一の電極20が例えば透析液排液回路13に設置される。図1、図2や図21の場合は前記血液処理器81が血液透析器51の場合であるので前記血液処理器81の内部を流れる血液に電気的に導通する部分が透析液供給回路12や透析液排液回路13であるが、前記血液処理器81の種類によって前記血液処理器81の内部を流れる血液に電気的に導通する部分は異なる。
前記他の電極21、22については、図5や図20に示すように他の電極21が患者100の身体表面部である皮膚に接して設置され、又は、図6に示すように他の電極22が血圧測定用カフ28内に設置される。
前記一の電極19、20、23を透析液回路に設置した場合と血液回路に設置した場合の電流経路の形態について説明する。図21や図23に示すように前記一の電極20を透析液回路である透析液排液回路13に設置した場合は、前記脱血側電気回路Mは、前記一の電極20から前記脱血側穿刺針3を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる回路であり、前記返血側電気回路Nは前記一の電極20から前記返血側穿刺針4を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる回路である。この場合の電流経路の形態は、図21に示すように穿刺針を使用した場合を形態Aとし、図23に示すようにカテーテルを使用した場合を形態Cとする。
また、図22に示すように前記一の電極23を血液回路である返血側血液回路6に設置した場合を形態Bとして、前記脱血側電気回路Mは、前記一の電極23から前記脱血側穿刺針3を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる回路であり、前記返血側電気回路Nは前記一の電極23から前記返血側穿刺針4を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる回路である。
そして、本発明の血液体外循環型装置2は、図20に示すように、患者100から血液を抜き出すための脱血側穿刺針3が先端に取り付けられた脱血側血液回路5と、患者100に前記血液を返すための返血側穿刺針4が先端に取り付けられた返血側血液回路6と、前記脱血側血液回路5の基端と前記返血側血液回路6の基端との間に設けられた血液を処理する血液処理器81とを備えた血液体外循環型装置2において、、図21~図23、図1、図2に示すように、一の電極19、20、23が、前記脱血側血液回路5又は前記返血側血液回路6並びに前記血液処理器81を流れ処理液の通る処理液回路のいずれかに設置され、他の電極21、22が患者100の身体表面部に設置され、前記一の電極19、20、23から前記脱血側穿刺針3を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21、22に通じる脱血側電気回路Mと、前記一の電極19、20、23から前記返血側穿刺針4を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21、22に通じる返血側電気回路Nとが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路Mと前記返血側電気回路Nのインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置されており、前記両電極間のインピーダンスを測定する測定手段15と、前記両電極と前記インピーダンスを測定する測定手段とを結ぶ電気回線16と、前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針3や前記返血側穿刺針4の抜針を検出する制御手段53と、を有する装置である。
次に、前記抜針の検出方法並びにその方法を使用する血液体外循環型装置2の効果について説明する。血液及び透析液並びに人体の表面及び体内も電流の導体である。したがって、血液回路又は透析液回路に設置された一の電極19、20、23と患者に接して設置された他の電極21、22間に交流を印加すると、血液回路又は透析液回路に設置した一の電極19、20、23からそれぞれ脱血側血液回路5と及び返血側血液回路6とを通じ患者の人体又は表面を通って患者に接して設置した他の電極21、22との間を電流が流れる。いずれの穿刺針も抜針していない正常状態では、前記脱血側血液回路5を通じて流れる電流と、前記返血側血液回路6を通じて流れる電流とが電気的に並列に流れる。前記脱血側血液回路5を通じて流れる電流回路のインピーダンスと前記返血側血液回路6を通じて流れる電気回路のインピーダンスは脱血側血液回路5に血液循環用の血液ポンプ7が設置される等により通常異なるが、血液回路又は透析液回路に設置された一の電極19、20、23の位置を適宜配置することにより前記2つの電気回路間のインピーダンス差をさらに拡大させることができる。これにより、体外で血液が流れる回路又は透析液が流れる透析液回路に設置した一の電極19、20、23と、患者に接して設置した他の電極21、22との間のインピーダンスを測定すると、正常時には前記2つの回路を流れる電流を反映したインピーダンス値が、一方の回路の抜針が発生した場合にはそれぞれの他の回路流れる電流を反映したインピーダンス値が検出されるため、簡易迅速に抜針の検出ができかついずれの穿刺針の抜針かを特定することができ、装置は安価にできる。
血液を体外循環させる治療によって前記血液処理器81の種類が異なる。例えば血液透析や体外限外濾過法には前記血液処理器81として血液透析器51が使用され、血液濾過には前記血液処理器81として血液濾過器が使用され、血液透析濾過には前記血液処理器81として血液透析濾過器が使用され、持続的血液浄化療法には前記血液処理器81として持続的徐式血液濾過器が使用され、血漿交換療法には前記血液処理器81として血漿分離器が使用され、直接血液灌流法には前記血液処理器81として吸着型血液浄化器が使用され、吸着式血球成分除去療法には前記血液処理器81として血球細胞除去用浄化器が使用される。
前記血液体外循環型装置2の主要な構成は前記血液処理器81の種類が異なっても、図20に示すように、患者100から血液を抜き出すための脱血側穿刺針3が先端に取り付けられた脱血側血液回路5と、患者100に前記血液を返すための返血側穿刺針4が先端に取り付けられた返血側血液回路6と、前記脱血側血液回路5の基端と前記返血側血液回路6の基端との間に設けられた血液を処理する血液処理器81とを備える構成は同じである。いずれも穿刺針3、4又はカテーテル40が抜針すると血液が漏れ出すので抜針を素早く検出することが重要であり、いずれも同じ抜針の検出方法が適用できる。
そこで、代表例として血液透析の場合について以下に記載する。血液透析の場合は、前記血液処理器81として、透析液を半透膜を介して血液に接触させ処理する血液透析器51が組み込まれた血液体外循環型装置2である血液透析装置50を使用する。
次に、血液透析装置50の構成を説明する。血液透析装置50は、図1や図2に示すように、患者100の血管102に穿刺可能な脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の2本の穿刺針と、前記脱血側穿刺針3に接続された脱血側血液回路5と、前記返血側穿刺針4に接続された返血側血液回路6と、前記脱血側血液回路5に装着した血液ポンプ7及び脱血側エアートラップチャンバ8と、前記返血側血液回路6に装着した気泡センサ10及び返血側エアートラップチャンバ9と、前記脱血側血液回路5の基端と前記返血側血液回路6の基端との間に設けられた血液を処理する血液処理器81である血液透析器51と、血液透析器51に向けて透析液を流入させる透析液供給回路12と、血液透析器51で血液の中の尿素等の老廃物や過剰水分を拡散やろ過の原理により除去して汚れた透析液を排出する透析液排液回路13と、透析液供給回路12と透析液排液回路13に接続され透析液を血液透析器51に供給し血液透析器51からの透析液の排液の排出処理をする透析液供給部52と、血液透析装置50の電気的制御をする制御手段53と、を備えている。
そして、図4、図20~図23に示すように、一の電極20、23が、前記脱血側血液回路5又は前記返血側血液回路6並びに前記血液処理器81である血液透析器51を流れ処理液の通る処理液回路のいずれかに設置され、他の電極21が患者100の身体表面部に設置され、前記一の電極20、23から前記脱血側穿刺針3を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる脱血側電気回路Mと、前記一の電極20、23から前記返血側穿刺針4を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極21に通じる返血側電気回路Nとが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路Mと前記返血側電気回路Nのインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置されており、前記両電極間のインピーダンスを測定する測定手段15と、前記両電極と前記インピーダンスを測定する測定手段15とを結ぶ電気回線16と、前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針3や前記返血側穿刺針4の抜針を検出する制御手段53と、を有する装置である。
そして、前記脱血側血液回路5において前記脱血側穿刺針3側から前記血液透析器51側に向けて前記血液ポンプ7、前記脱血側エアートラップチャンバ8の順に装着され、前記返血側血液回路6において前記血液透析器51側から前記返血側穿刺針4側に向けて前記返血側エアートラップチャンバ9、前記気泡センサ10の順に装着されている。
血液は、図1や図4において、患者100の血管102の動脈と吻合させた部位から静脈流の下流側の近い部位から順に、脱血側穿刺針3、脱血側血液回路5、血液ポンプ7、脱血側血液回路5、脱血側エアートラップチャンバ8、脱血側血液回路5を経て血液透析器51に送入され、血液の中の尿素等の老廃物や過剰水分を拡散やろ過の原理により除去された血液が血液透析器51から順に、返血側血液回路6、返血側エアートラップチャンバ9、返血側血液回路6、気泡センサ10、返血側血液回路6、返血側穿刺針4を経て患者100の血管102の動脈と吻合させた部位から静脈流の下流側の離れた部位に送入される。
血液透析器51に使用される透析液は、図17に示すように、透析液供給部52内に設けたヒーター(図なし)、温度センサ(図なし)及び導電率計(図なし)と接し、例えばポンプ(図なし)から構成される透析液送出手段55により透析液供給回路12を経て血液透析器51に供給され、血液透析器51内で脱血側血液回路5から送入された血液から尿素等の老廃物や過剰水分を拡散やろ過の原理により含有して汚れた透析液の排液を透析液供給部52内に設けた圧力計(図なし)と接し、例えばポンプ(図なし)から構成される透析液排出手段56を介して透析液排液回路13より排出される。
そして、透析液供給回路12と透析液排液回路13との総称を透析液回路といい、透析液供給回路12は、透析液供給部52の透析液送出手段55から透析液供給部52の筐体の外板の近傍までの範囲a1と前記筐体の外板近傍から血液透析器51までの範囲a2を合わせた範囲aを意味し、透析液排液回路13は、透析液供給部52の透析液排出手段56から透析液供給部52の筐体の外板の近傍までの範囲b1と前記筐体の外板の近傍から血液透析器51までの範囲b2を合わせた範囲bを意味する。前記範囲a1や前記範囲b1の回路は筐体内であるので例えば配管やチューブで造られ、前記範囲a2や前記範囲b2の回路はフレキシブル性を必要とするために例えばチューブで造られる。
前記血液ポンプ7は、血流量を調整し連続して血液を送るものであればよく、例えばローラーポンプ等がある。前記血液ポンプ7の箇所では脱血側血液回路5がローラーにより押し潰される形状となり脱血側血液回路5の外径が小さくなっている。また、返血側血液回路6又は脱血側血液回路5は、柔軟性を有し破損し難いチューブ、例えばポリ塩化ビニル製のチューブからなる。
前記脱血側エアートラップチャンバ8は脱血側血液回路5に装着され血液透析器51に送入される患者100から脱血側血液回路5に至る回路内へ混入した気泡を除去し、前記返血側エアートラップチャンバ9は返血側血液回路6に装着され血液透析器51から返血側血液回路6へ送出された透析後の血液に混入した気泡を除去する。
前記気泡センサ10は、返血側血液回路6の返血側エアートラップチャンバ9より返血側穿刺針4側に装着されており、前記返血側エアートラップチャンバ9により気泡が除去されるがさらに気泡が残っていないかを検知する。前記気泡センサ10による検知によって気泡が残っていない安全な血液を患者100に返す構成となっている。
前記血液透析器51は、脱血側血液回路5から脱血された血液を供給され、透析液供給回路12から透析液を供給され、血液の中の尿素等の老廃物や過剰水分を拡散やろ過の原理により透析液側に除去し、汚れた透析液を排液として透析液排液回路13に排出し、老廃物や過剰水分を除去された血液を返血側血液回路6に送出している。透析液の循環は前記透析液供給部52により行われる。
血液透析中に、不可抗力や故意に脱血側血液回路5や返血側血液回路6を引っ張り、前腕から脱血側穿刺針3や返血側穿刺針4が抜け落ちる抜針事故の発生を検出しすみやかに把握するために、かつ患者100の血管102に穿刺した脱血側穿刺針3か返血側穿刺針4かのどちらが抜針したかをすみやかに検出し把握するために、本発明の抜針検出方法1及び血液体外循環型装置2が想到された。以下、血管102から脱血させて血液透析装置50を血液が経由して血管102に返血させるまでの経路において漏血を引き起こす事態の代表例として、血管に穿刺した穿刺針3、4が血管102から抜針した事態の検出を例として記載する。
本発明の抜針検出方法1は、血液透析における抜針検出において、透析液回路12、13に設けられた一の電極19、20又は血液回路に設けられた一の電極23と、患者100の身体表面部に着接した他の電極21又は患者100が腕に取り付けた血圧測定用カフ28に設けた他の電極22との間のインピーダンスを測定する方法である。
また、抜針検出方法1に使用する一の電極19、20の形態には、前記一の電極19、20が、前記透析液回路12、13内を流動する透析液と直接に接触するように設けられた接触式形態25と、前記一の電極19、20が、前記透析液回路12、13内を流動する透析液とは接触しないように前記透析液回路12、13を構成するチューブの外周面に付設された非接触式形態26との2形態がある。
また、血液回路に設けた前記一の電極23の形態は、血液の汚染の影響の有無を考慮して前記非接触式形態26の方が前記接触式形態25より安全である。
また、抜針検出方法1は、脱血側血液回路5に設けた気泡センサ11からの気泡の検出情報を加味して検出する。
前記一の電極19は、図2や図17に示すように、透析液供給部52内の透析液送出手段55から血液透析器51までの間で透析液が血液透析器51に供給される回路である透析液回路12の全ての範囲aのうちのいずれかの部位に設ける。図2においては、範囲a2に設けている例を示しているが、透析液供給部52の筐体の内部の範囲a1に設けてもよい。
前記一の電極20は、図1や図17に示すように、透析液供給部52内の透析液排出手段56から血液透析器51までの間で透析液が血液透析器51から排出される回路である透析液回路13の全ての範囲bのうちのいずれかの部位に設ける。図1においては、範囲b2に設けている例を示しているが、透析液供給部52の筐体の内部の範囲b1に設けてもよい。
前記透析液回路12、13への一の電極19、20の取付形態は、図10(a)に示す接触式形態25と、図10(c)に示す非接触式形態26がある。前記接触式形態25とは、透析液回路12、13の周壁や一の電極19、20の周壁を透明状態で示した図10(b)に示すように、筒状の一の電極19、20が透析液回路12、13の内壁内に挿入されており、一の電極19、20が流動する透析液と直接に接触する形態である。また、前記非接触式形態26とは、図10(c)におけるG―G断面を表した図10(d)に示すように、筒状の一の電極19、20が透析液回路12、13の外周面を囲繞して付設され、一の電極19、20が流動する透析液とは非接触状態にする形態である。なお、前記一の電極19、20には図1や図2に示すように電気回線16が接続されている。
接触式形態25の一の電極19が透析液を供給する透析液供給回路12に設けられた場合は、透析液に菌や不純物が混入されていても前記血液透析器51の膜の孔径の方が菌や不純物の大きさより小さいために菌や不純物を血液側に通過させないから患者100に安全であり、接触式形態25の一の電極20が透析液を排液として排出する透析液排液回路13に設けられた場合は、一の電極20の筒状内や透析液回路13内を流動する透析液は血液透析器51からの排液であり血液透析にはもはや使用しないので前記透析液供給回路12に設けられた場合に比較してよりいっそう患者100に安全である。
また、非接触式形態26の一の電極19が透析液を供給する透析液供給回路12に設けられた場合や、非接触式形態26の一の電極20が透析液を排液として排出する透析液排液回路13に設けられた場合は、透析液と一の電極19、20とは直接的に接触しない構造であるので患者100に安全である。
前記一の電極19、20、23の材質は、交流が通電しやすいように電気抵抗率が低く導電率が高い材質であればよく、例えば銅製で造られる。
前記他の電極21、22は、患者100の皮膚に直接に接触する状態を維持できるものであればよく、例えば図4で示すように他の電極21を粘着テープで穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けたり、図6に示すように穿刺針が穿刺されていない腕の上腕部に巻きつけた血圧測定用カフ28内に取り付けたりするなどの患者100の皮膚への取り付け方法がある。他の電極21を穿刺針が穿刺された部位に近い部位に貼り付けた方が、インピーダンスが低く交流電流が多く流れやすい。なお、他の電極21、22には皮膚と電極との間の通電性を高めるためにゲルを塗布するのが好ましい。
前記他の電極21としては、生体に貼り付けて電気が流れやすいものであればよく、例えば心電図を記録するために使用する心電図ディスポ電極がある。この心電図ディスポ電極は、市場に流通しており電極素子とパットを構成要素とし、電極素子は大きさが直径1センチ程度で材質が銀塩化銀でつくられ、該電極素子の周囲のパットは大きさが25mm×45mmで材質がアクリル系親水性高分子やグリセリン等でつくられた粘着ゲルである。前記他の電極22は血圧測定用カフ28内に少なくとも前記他の電極21に使用する電極素子と同じ電極素子を取付ける。なお、前記他の電極21、22ともに、生体に貼り付けて電気が流れやすいものであればいずれの材質や形態であってもよい。また、本発明において他の電極とは、粘着性を有し皮膚に貼着する型に限らず、電導性を有する金属片や線のようなものを人体部位に巻き付ける等して接触させるものであってもよい。
前記インピーダンスを測定する方法は、交流を印加できインピーダンスを測定可能な機器であるインピーダンス測定手段15を使用する。前記インピーダンス測定手段15としては、例えばLCRメータがある。
図1や図2に示すように、前記インピーダンス測定手段15と前記一の電極19、20とは電気回線16で接続され、前記インピーダンス測定手段15と前記他の電極21、22とも電気回線16で接続されている。
また、前記交流は、周波数は限られない。但し、1kHz以上で周波数が高いほど電撃閾値が高くなり患者100は電撃を感じにくくなり安全であるので周波数が高い方が好ましい。前記交流の周波数や印加電圧は、図18に示すように穿刺針3,4使用の場合は、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態S、脱血側抜針時K、返血側抜針時H、又は、両側抜針時Rをインピーダンス値からそれぞれ特定できるように予め任意に設定する。また、図19に示すようにカテーテル40使用の場合は、前記交流の周波数や印加電圧は、カテーテル40が血管102に挿入している正常状態S、脱血側抜け時K、返血側抜け時H、又は、両側抜け時Rをインピーダンス値からそれぞれ特定できるように予め任意に設定する。
例えば、接触式形態25の場合は、図11に示すように、0.1Vの定電圧で交流の場合はインピーダンス値で抜針がどれかを特定しやすさからみて、周波数が高すぎても、発振回路が高価になるため、例えば500Hz~2kHzが好ましく1kHz以上の方がより好ましく、非接触式形態26の場合は、図12に示すように、1Vの定電圧で交流の場合は抜針がどれかを特定しやすさからみて、20kHz~100kHzが好ましい。
前記インピーダンスを測定する方法は、インピーダンス測定手段15から予め定めた周波数の交流を前記一の電極19、20と前記他の電極21、22に流し、前記交流の流れる経路のインピーダンスをインピーダンス測定手段15により測定する方法である。
よって、本発明の抜針検出方法1及び血液体外循環型装置2は、一の電極19、20が透析液回路に設けられる部位の形態が、一の電極19が透析液を供給する回路である透析液供給回路12に設けられた形態I、又は、一の電極20が透析液を排出する回路である透析液排液回路13に設けられた形態IIがある。次に、前記形態I又は前記形態IIのそれぞれの形態において、前記他の電極21、22が、それぞれ、穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態α、又は、穿刺針が穿刺されていない腕の上腕部に巻きつけた血圧測定用カフ28内に取り付けられた形態βがある。
図4又は図5に示す抜針検出方法1が使用する血液体外循環型装置2の形態は、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極21を穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態αである。図1や図3は形態IIで一の電極19、20が接触式形態25の抜針検出方法1の使用形態を示している。
図6に示す抜針検出方法1が使用する血液体外循環型装置2の形態は、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極22を穿刺針が穿刺されていない腕の上腕部に巻きつけた血圧測定用カフ28内に取り付けられた形態βである。
図2は、一の電極19が透析液供給回路12に設けられた形態Iで、一の電極19が透析液供給回路12に設けられた構造が接触式形態25の抜針検出方法1の使用形態を示している。
また、図3や図5に示すように、気泡センサ11を脱血側血液回路5に取り付けることが好ましい。一般的には気泡センサ10は返血側血液回路6の返血側エアートラップチャンバ9の返血側穿刺針4側に装着されている。気泡センサ11を新たに脱血側血液回路5の脱血側穿刺針3の近傍に装着させることにより、脱血側穿刺針3が抜針すると空気が脱血側血液回路5内に侵入してくることから、脱血側に装着した気泡センサ11が空気の侵入をすみやかに検出することができる。
交流を印加して抜針をインピーダンスの変化で把握する方法を従来からの方法で説明すると、図7に示すように、一方の脱血側電極30を患者100の血管102の動脈と吻合させた部位から静脈流で下流側の近い部位の血管102に穿刺した脱血側穿刺針3に接続した脱血側血液回路5に装着し、他方の返血側電極31を患者100の血管102の動脈と吻合させた部位から静脈流で下流側の離れた部位の血管102に穿刺した返血側穿刺針4に接続した返血側血液回路6に装着し、交流を印加できインピーダンスを測定可能なインピーダンス測定手段15が電気回線16により前記脱血側電極30及び前記返血側電極31と接続されている。
このため交流電流は、図7においては電流経路Aに示す経路を流れる。すなわち、交流電流は、インピーダンス測定手段15、電気回線16、脱血側電極30、脱血側血液回路5、脱血側穿刺針3、患者100、返血側穿刺針4、返血側血液回路6、返血側電極31、電気回線16、インピーダンス測定手段15という経路を流れる。そして、脱血側穿刺針3や返血側穿刺針4が抜針したきには前記電流経路Aが電気的に遮断されるため、電流経路Aの抵抗値が増加しインピーダンスが変化する。このインピーダンスの変化で抜針の発生を把握する。しかし、いずれの穿刺針が抜針しても、回路が遮断されるため、インピーダンス値は実質差が無く、いずれの抜針か特定できない。
本発明においては、交流電流は、図1に示す血液体外循環型装置2の使用状態を示した図4で示すように、2つの電流経路Bと電流経路Cを流れる。電流経路Bの経路は、インピーダンス測定手段15、電気回線16、他の電極21、患者100、脱血側穿刺針3、脱血側血液回路5、血液ポンプ7、脱血側血液回路6、脱血側エアートラップチャンバ8、脱血側血液回路5、血液透析器51、透析液排液回路13、一の電極20、電気回線16、インピーダンス測定手段15という経路であり脱血側電気回路Mを形成する。そして、電流経路Cの経路は、インピーダンス測定手段15、電気回線16、他の電極21、患者100、返血側穿刺針4、返血側血液回路6、気泡センサ10、返血側血液回路6、返血側エアートラップチャンバ9、返血側血液回路6、血液透析器51、透析液排液回路13、一の電極20、電気回線16、インピーダンス測定手段15という経路であり、返血側電気回路Nを形成する。本発明の抜針検出方法1は、交流の電流経路が、脱血側穿刺針3が電流経路Bであり、返血側穿刺針4が電流経路Cであるように、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4とで電流経路を異なるようにした点が特徴である。
すなわち、本発明の抜針検出方法1又は血液体外循環型装置2では、交流の電流経路として脱血側穿刺針3を含む電流を導通する血液流にてなる脱血側電流経路Bと、返血側穿刺針4を含む電流を導通する血液流にてなる返血側電流経路Cとを設け、電流経路Bと電流経路Cとを並列に接続している。したがって他の電極21、22と、一の電極19、20間の電流は、人体表面及び人体内を通過して他の電極21、22から電流経路Bと電流経路Cのそれぞれを通過して流れ、その時のインピーダンスが測定される。電流経路Bにおける交流電流に対する電気抵抗であるインピーダンスは、脱血側に血液ポンプ7が置かれ血液流路が狭められているため等により血液ポンプ7のない電流経路Cよりも大きい。脱血側穿刺針3が抜針すれば、電流経路Bが遮断されるため、電流経路Cのみに電流が流れ、正常時に比しインピーダンスが大きくなる。一方返血側穿刺針4が抜針すれば電流経路Cが遮断されるため、電流経路Bのみに電流が流れ、正常時に比しインピーダンスが大きくかつ脱血側穿刺針3が抜針した時よりも更に大きくなる。
いいかえれば、血液ポンプ7の部位では脱血側血液回路6が押しつぶされているので抵抗値が大きくなり交流の流れが少なくなることから、電流経路Bと電流経路Cとの交流電流の多少を比較すると、交流の流れは血液ポンプ7が配設された脱血側穿刺針3側の電流経路B側が少なく、返血側穿刺針4側の電流経路C側が多くなる。このため、交流が流れる経路の抵抗値が異なり、脱血側穿刺針3が抜針した場合と返血側穿刺針4が抜針した場合とでインピーダンスが異なり、いずれのいずれの抜針か特定ができる。
本発明の抜針検出方法1で図4に示す形態(一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極21を穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態α)の構成で抜針時のインピーダンスを測定した結果は、図11又は表1に示すように、0.1Vの定電圧で500Hzの交流を印加した場合は脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは118kΩを測定し、脱血側抜針時Kには174kΩを測定し、返血側抜針時Hには540kΩを測定し、両側抜針時Rには580kΩを測定した。また、0.1Vの定電圧で1kHzの交流を印加した場合は、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは116kΩを測定し、脱血側抜針時Kには164kΩを測定し、返血側抜針時Hには390kΩを測定し、両側抜針時Rには420kΩを測定した。また、0.1Vの定電圧で2kHzの交流を印加した場合は、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは117kΩを測定し、脱血側抜針時Kには166kΩを測定し、返血側抜針時Hには420kΩを測定し、両側抜針時Rには420kΩを測定した。
Figure 0007184341000001
表1から、500Hzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が56kΩ(変化率48%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が422kΩ(変化率358%)でインピーダンスの差及び該差の変化率が大きいことから抜針が把握しやすく、かつ脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が366kΩ(変化率210%)で大きいことから、どちらの穿刺針が抜針したかが把握しやすいことが示されている。尚、正常時との差の変化率とは、正常時と各抜針時のインピーダンス値の差を正常時のインピーダンス値で除したものをいう。以下、脱血側抜針時との差の変化率や返血側抜針時との差の変化率も同様である。
また、2kHzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が49kΩ(変化率42%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が303kΩ(変化率259%)でインピーダンスの差及び該差の変化率が大きいことから抜針が把握しやすく、かつ脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が254kΩ(変化率153%)で大きいことから、どちらの穿刺針が抜針したかが把握しやすいことが示されている。
交流の周波数は500Hz~2kHzで抜針を検出できるので、患者100により安全である電撃閾値の高い交流で抜針を検出し、同時に抜針が脱血側か返血側か特定できることが示されている。
一方、表1において、例えば500Hzの交流を印加した場合、返血側抜針時Hと両側抜針時とのインピーダンスの差は40kΩ(変化率7%)であり、1kHzの交流を印加した場合、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差は30kΩ(変化率8%)であり、2kHzの交流を印加した場合、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差は0Ω(変化率0%)であることが示されている。返血側抜針時Hと両側抜針時Rの変化率は、いずれの周波数においても10%以下であり、インピーダンス変化のみにより返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのどちらかを特定するのは容易とはいえない。しかし、このような場合であっても、気泡センサ11を脱血側に設置し気泡の検出情報を加味して検出するようにすれば、気泡センサ11が気泡を検知したときは脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の両側抜針が発生したと把握でき、気泡センサ11が気泡を検知しないときは返血側穿刺針4が抜針したと特定できる。
前記表1には、図1や図4に示す形態(一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極21を穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態α)の構成で抜針時のインピーダンスを測定した結果を示しているが、図2に示す形態(一の電極20が透析液供給回路12に設けられた形態Iで、一の電極20が透析液供給回路12に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極21を穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態α)の場合も電気回路的にはほぼ等しいので、抜針時のインピーダンスを測定結果は表1に示す結果とほぼ同じである。
また、図6に示す形態(一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極22を穿刺針が穿刺されていない腕の上腕部に巻きつけた血圧測定用カフ28内に取り付けられた形態β)の場合や、図示していないが、一の電極20が透析液供給回路12に設けられた形態Iで、一の電極20が透析液供給回路12に設けられた構造が接触式形態25で、前記他の電極22を穿刺針が穿刺されていない腕の上腕部に巻きつけた血圧測定用カフ28内に取り付けられた形態βの場合の抜針時のインピーダンスを測定結果は、電気回路的にはほぼ等しいので表1に示す結果とほぼ同じような傾向となる。
次に、本発明の抜針検出方法1で図4に示す形態(一の電極20が透析液排液回路13に設けられた形態IIで、一の電極20が透析液排液回路13に設けられた構造が非接触式形態26で、前記他の電極21を穿刺針が穿刺された腕の前腕部に貼り付けられた形態α)の構成で抜針時のインピーダンスを測定した。
前記透析液排液回路13に一の電極20を非接触に付設させた形態は、材質がシリコンチューブの透析液回路(内径10mm、外径14mm)に長さ7cmの銅製電極(電極面積30cm)を前記透析液排液回路13のシリコンチューブの外周面に接して囲繞させて付設した。前記一の電極20の内径を前記シリコンチューブの外径より少し小さくすれば、前記の一電極20の内壁面を前記シリコンチューブの外周面に接して付設させることができる。
前記インピーダンス測定結果は、表2やインピーダンスを対数で表示した図12に示すように、1Vの定電圧で20kHzの交流を印加した場合において脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4がどちらも抜針していない正常状態Sでは16MΩ、脱血側抜針時Kには18MΩ、返血側抜針時Hには32MΩ、両側抜針時Rには59MΩであった。また、1Vの定電圧で50kHzの交流を印加した場合において、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4がどちらも抜針していない正常状態Sでは15MΩ、脱血側抜針時Kには18.6MΩ、返血側抜針時Hには25MΩ、両側抜針時Rには40MΩであった。また、1Vの定電圧で100kHzの交流を印加した場合において、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4がどちらも抜針していない正常状態Sでは10.4MΩ、脱血側抜針時Kには12.5MΩ、返血側抜針時Hには17MΩ、両側抜針時Rには27MΩであった。
Figure 0007184341000002
表2から、例えば1Vの定電圧で20kHzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が2MΩ(変化率12.5%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が16MΩ(変化率100%)でインピーダンスの差及び該差の変化率が大きいことから抜針が把握しやすく、かつ脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が14MΩ(変化率78%)で大きいことや、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が27MΩ(変化率84%)と大きいことから、どの穿刺針が抜針したかが把握しやすいことが示されている。また、例えば1Vの定電圧で50kHzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が3.6MΩ(変化率24%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が10MΩ(変化率67%)でインピーダンスの差及び該差の変化率が大きいことから抜針が把握しやすく、かつ脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が6.4MΩ(変化率34%)で大きいことや、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が15MΩ(変化率60%)と大きいことから、どの穿刺針が抜針したかが把握しやすいことが示されている。
以上から、本発明の抜針検出方法1は、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が穿刺されている正常状態S,脱血側穿刺針3の脱血側抜針時K、返血側穿刺針4の返血側抜針時Hを区別してすみやかに容易に知ることができる。
本発明の抜針検出方法1は、前記一の電極19、20が設けられる透析液回路が前記形態I又は形態IIと、前記他の電極21、22が前記形態α又は形態βと、前記一の電極19、20が接触式形態25又は非接触式形態26との組み合わせのうちのいずれの組み合わせであっても、抜針時のインピーダンスを測定した結果は、交流の流れる電流経路が原則的に同じであるので、測定結果も印加電圧や周波数が同じ場合は、接触式形態25の場合は表1あるいは非接触式形態26の場合は表2と略同じ測定結果を得ることができる。
また、本発明の抜針検出方法1が検出可能な事態については、図18(a)に示すように脱血側穿刺針3又は返血側穿刺針4の穿刺針が血管102に穿刺されている事態、前記代表例として説明した図18(b)に示すように脱血側穿刺針3又は返血側穿刺針4の穿刺針が血管102から抜針した事態、図18(c)に示すように血管102に穿刺した状態の脱血側穿刺針3と脱血側血液回路5の接続部、又は、血管102に穿刺した状態の返血側穿刺針4と返血側血液回路6の接続部が離断した事態を検出でき、図19(a)に示すようにカテーテル40(例としてダブルルーメンカテーテル)が血管102に挿入されている事態、図19(b)に示すようにカテーテル40が血管102から抜けた事態、図19(c)に示すように血管102に挿入された状態のカテーテル40と脱血側血液回路5又は返血側血液回路6との接続部が離断した事態を検出できる。
比較例1として、図8に示すように、交流を印加しインピーダンスを測定する従来の抜針検出方法がある。比較例1の場合の脱血側電極30及び返血側電極31は血液と直接に接触する接触式形態25である。比較例1では、交流を印加した場合は2つの電流経路Aと電流経路Dを流れる。前記電流経路Aは、インピーダンス測定手段15、電気回線16、脱血側電極30、脱血側血液回路5、脱血側穿刺針3、患者100、返血側穿針4、返血側血液回路6、返血側電極31、電気回線16a、インピーダンス測定手段15という経路を流れる。また、電流経路Dの経路は、インピーダンス測定手段15、電気回線16、脱血側電極30、脱血側血液回路5、血液ポンプ7、脱血側血液回路5、脱血側エアートラップチャンバ8、脱血側血液回路5、血液透析器51、返血側血液回路6、返血側エアートラップチャンバ9、返血側血液回路6、気泡センサ10、返血側血液回路6、返血側電極31、電気回線16、インピーダンス測定手段15という経路を流れる。
比較例1は、前記電流経路Aに脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の両方の穿刺針が含まれているのが特徴である。そして、前記電流経路Dには血液ポンプ7が装着されているので脱血側血液回路5が押し潰されることから、交流は前記電流経路Aの方に多く流れ前記電流経路Dの方に少なく流れる。
そして、図10(a)や(b)に示す接触式形態25の電極を装着させており、図13又は表3に示すように、0.1Vの定電圧で500Hzの交流を印加した場合は、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは42.8kΩを測定し、脱血側抜針時Kには550kΩを測定し、返血側抜針時Hには550kΩを測定し、両側抜針時Rには540kΩを測定した。また、0.1Vの定電圧で1kHzの交流を印加した場合は、測定したインピーダンスは脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは42.5kΩを測定し、脱血側抜針時Kには400kΩを測定し、返血側抜針時Hには370kΩを測定し、両側抜針時Rには360kΩを測定した。
Figure 0007184341000003
表3から、500Hzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が507.2kΩ(変化率1185%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が507.2kΩ(変化率1185%)であるのでインピーダンスの差が大きいことから抜針が発生したことは把握しやすいが、脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が0Ωで(変化率0%)あることから、どちらの穿刺針が抜針したかは把握できないことが示されている。さらに、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が10kΩであり、前記差の変化率が2%と低く返血側抜針時Hか両側抜針時Rかの特定が困難である。
また、交流を1kHzで印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が357.5kΩ(変化率842%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が327.5kΩ(変化率772%)でインピーダンスの差が大きいことから抜針が把握しやすいが、脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が30kΩであり、前記差の変化率が8%と低く脱血側抜針時Hと両側抜針時Rの特定が容易でない。さらに、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が10kΩであり、前記差の変化率が3%と低く返血側抜針時Hか両側抜針時Rかの特定が困難である。
比較例1の場合は、抜針が明確に把握できるのは、血液と脱血側電極30及び返血側電極31とが直接的に接触するためと考えられるが、その直接的に接触するために患者100への健康被害などの悪影響が懸念されるという問題がある。また、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4のうちいずれかが抜針したのかが把握できないのは、電流経路Aに脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の両方の穿刺針が含まれるため、どちらが抜針しても原理的にインピーダンスの差はほとんど生じないことが示されたものと考えられる。
次に、比較例2として、図9に示すように、交流を印加しインピーダンスを測定する従来の抜針検出方法がある。比較例2の場合の脱血側電極30及び返血側電極31は血液と直接に接触しない非接触式形態26である。比較例1と比較例2とは電極の装着の形態が接触式形態25か非接触式形態26かの違いのみである。
また、前記非接触式形態26の形態とは、図10(c)又は(d)に示すように、前記脱血側血液回路5や前記脱血側血液回路6の配管やチューブの外周面にリング状の脱血側電極30、返血側電極31を囲繞させて付設する形態である。血液と脱血側電極30、返血側電極31とは直接的に接触しない構造であるので患者100に安全である。しかし、非接触式形態26の方が接触式形態25に比較して流れる交流が少ないのでインピーダンスが小さくなり抜針時の変化を把握しにくい。
比較例2の場合の交流の流れは比較例1と同じであり図8と同じ経路で流れる。そして、図10(c)、(d)に示す非接触式形態26の脱血側電極30と返血側電極31を装着させており、図14又は表4に示すように、0.1Vの定電圧で50kHzの交流を印加した場合は、インピーダンスは、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常時には170kΩを測定し、脱血側抜針時には183kΩを測定し、返血側抜針時には184kΩを測定し、両側抜針時には182kΩを測定した。
また、図14又は表4に示すように、0.1Vの定電圧で100kHzの交流を印加した場合は、インピーダンスは、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sでは143kΩを測定し、脱血側抜針時Kには164kΩを測定し、返血側抜針時Hには165kΩを測定し、両側抜針時Rには161kΩを測定した。
Figure 0007184341000004
表4から、50kHzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が13kΩ(変化率8%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が14kΩ(変化率8%)でインピーダンスの差及び該差の変化率が小さいことから抜針を把握することが困難であり、脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が1kΩ(変化率0.6%)で小さいことから、どちらの穿刺針が抜針したかが把握できないことが示されている。さらに、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が2kΩ(変化率1%)であることが示されており、変化率が10%以下で低く抜針が返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのどちらかが把握できない。
また、100kHzの交流を印加した場合、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4が抜針していない正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスの差が21kΩ(変化率15%)で、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が22kΩ(変化率15%)でインピーダンスの差から抜針が把握できるが、脱血側抜針時Kと返血側抜針時Hとのインピーダンスの差が1kΩ(変化率0.6%)で小さいことから、どちらの穿刺針が抜針したかが把握できないことが示されている。さらに、返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのインピーダンスの差が4kΩ(変化率2%)であることが示されており、変化率が10%以下と低く抜針が返血側抜針時Hと両側抜針時Rとのどちらであるかを特定することができない。
比較例2の場合は、抜針が把握し難いのは、脱血側電極30と返血側電極31が血液回路材質のポリ塩化ビニルの静電容量を介して、血液回路内の血液に非接触で通電する方法であることから、患者100へは安全であるが交流が血液に流れにくいため、抜針が発生しても電流値の変化が小さくインピーダンスの変化が小さいと考えられる。また、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4のうちいずれかが抜針したのかが把握できないのは、電流経路Aに脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の両方の穿刺針が含まれるため、どちらが抜針しても原理的にインピーダンスの差はほとんど生じないことが示されたものと考えられる。
本発明の血液体外循環型装置2は、図15や図1に示すように、例えば血液透析装置50であって、透析液回路12、13に設けた一の電極19、20と、患者皮膚上に着接した他の電極21、22と、前記一の電極19、20と前記他の電極21、22との間に交流を印加させてインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段15と、を備える。
また、本発明の血液体外循環型装置2には、図3や図5に示すように、脱血側血液回路5の脱血側穿刺針3近傍に装着した気泡センサ11を備えることができる。この場合は、気泡センサ11が気泡を検知したときは、脱血側穿刺針3と返血側穿刺針4の両側抜針が発生したと把握でき、気泡センサ11が気泡を検知しないときは返血側穿刺針4が抜針したと把握できる。
さらに、図16に示すように、測定手段15を血液透析装置50内に組み込むことができる。インピーダンス測定手段15を血液透析装置50内に内蔵させ、インピーダンス測定手段15の電気回路と制御手段53とを接続させ、インピーダンス測定手段15と一の電極20、他の電極21、22を接続させていた電気回線16を、制御手段53と一の電極20、制御手段53と他の電極21、22とそれぞれ接続させる。そして、前記制御手段53によって、血液透析装置50の表示画面(図なし)に測定中のインピーダンスの表示をさせたり、予め正常状態Sと脱血側抜針時Kとのインピーダンスとの差の閾値や、正常状態Sと返血側抜針時Hとのインピーダンスとの差の閾値を記憶させておき、抜針時のインピーダンスの測定値と正常状態Sのインピーダンスとの差が前記閾値以上であれば警報を発生させることもできる。警報は画面表示や発光、音等を用いることができ、透析現場のみならず、医療機関の管理センター等においても併せ発することが好ましい。又、抜針の区別についても、脱血側、返血側、両側とのどの抜針かがわかるように発することが好ましい。
すなわち、血液透析装置50の制御手段53等に、抜針検出のためのインピーダンス測定や前記測定したインピーダンスの変化の計算をする制御機能を内蔵させることができるので、血液透析時に血液透析装置からの他の電極を着接するのみで透析中の自動抜針検出が可能となるという効果を奏する。
前記血液体外循環型装置2の1例である前記血液透析装置50の形態は、図1に示すように、図15に示すような測定手段15を血液透析装置50に外付けで装着させる形態や、図16に示すように、図15に示すようなインピーダンス測定手段15を血液透析装置50に内蔵させて制御を制御手段53と一体化させる形態などがある。
1 抜針の検出方法
2 血液体外循環型装置
3 脱血側穿刺針
4 返血側穿刺針
5 脱血側血液回路
6 返血側血液回路
7 血液ポンプ
8 脱血側エアートラップチャンバ
9 返血側エアートラップチャンバ
10 気泡センサ
11 気泡センサ
12 透析液供給回路
13 透析液排液回路
15 測定手段
16 電気回線
19 一の電極
20 一の電極
21 他の電極
22 他の電極
23 一の電極
25 接触式形態
26 非接触式形態
28 血圧測定用カフ
30 脱血側電極
31 返血側電極
40 カテーテル
50 血液透析装置
51 血液透析器
52 透析液供給部
53 制御手段
55 透析液送出手段
56 透析液排出手段
81 血液処理器
100 患者
102 血管
A 電流経路
B 電流経路
C 電流経路
D 電流経路
M 脱血側電気回路
N 返血側電気回路
S 正常状態
K 脱血側抜針時
H 返血側抜針時
R 両側抜針時

Claims (7)

  1. 血液を体外で循環させて行う治療に用いられる血液体外循環型装置の抜針の検出方法において、
    前記血液体外循環型装置は、脱血側穿刺針を通じて患者の体内から血液を抜き出す脱血側血液回路と、返血側穿刺針を通じて患者の体内に前記血液を返す返血側血液回路との間に、血液処理器が接続され、前記血液処理器を介して前記両回路が電気的に導通されており、
    一の電極が前記脱血側血液回路と、返血側血液回路又は、前記血液処理器の内部を流れる血液に電気的に導通する部分のいずれかに設置され、
    他の電極が患者の身体表面部に接して設置され、
    前記一の電極から前記脱血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる脱血側電気回路と、前記一の電極から前記返血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる返血側電気回路とが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路と前記返血側電気回路のインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置され、前記インピーダンスを測定可能な測定手段を備えて、
    前記測定手段が、前記両電極間のインピーダンスを測定することを特徴とする血液体外循環型装置の抜針の検出方法。
  2. 前記一の電極が透析液回路又は血液回路に設置され、前記他の電極が患者の身体表面部又は血圧測定用カフに設置されていることを特徴とする請求項1に記載の血液体外循環型装置の抜針の検出方法。
  3. 前記血液体外循環型装置は、脱血側血液回路に気泡センサが設けられ、かつ前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出する制御手段が設けられ、
    前記気泡センサからの気泡の検出情報を加味して、前記制御手段が前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の血液体外循環型装置の抜針の検出方法。
  4. 患者から血液を抜き出すための脱血側穿刺針が先端に取り付けられた脱血側血液回路と、患者に前記血液を返すための返血側穿刺針が先端に取り付けられた返血側血液回路と、
    前記脱血側血液回路の基端と前記返血側血液回路の基端との間に設けられた血液を処理する血液処理器とにてなる血液体外循環型装置において、
    一の電極が、前記脱血側血液回路又は前記返血側血液回路並びに前記血液処理器を流れ処理液の通る処理液回路のいずれかに設置され、
    他の電極が患者の身体表面部に設置され、
    前記一の電極から前記脱血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる脱血側電気回路と、前記一の電極から前記返血側穿刺針を通る血液にて形成される電気経路を経て前記他の電極に通じる返血側電気回路とが、電気回路的に並列の関係を形成し、前記電極間に交流を印加した場合の前記脱血側電気回路と前記返血側電気回路のインピーダンスに差が生じるように前記両電極が配置されており、
    前記両電極間のインピーダンスを測定する測定手段と、
    前記両電極と前記インピーダンスを測定する測定手段とを結ぶ電気回線と、
    前記インピーダンスから前記脱血側穿刺針や前記返血側穿刺針の抜針を検出する制御手段と、
    を有することを特徴とする血液体外循環型装置。
  5. 前記血液処理器が透析液を半透膜を介して血液に接触させ処理する血液透析器であり、
    前記一の電極が前記脱血側血液回路又は前記返血側血液回路並びに前記血液透析器を流れる透析液の透析液回路のいずれかに設置されていることを特徴とする請求項4記載の血液体外循環型装置。
  6. 前記脱血側血液回路に気泡センサが設けられ、前記気泡センサからの気泡の検出情報を加味して抜針を検出する制御手段を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の血液体外循環型装置。
  7. 前記他の電極が血圧測定用カフに設けられた電極であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の血液体外循環型装置。
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