JP7181767B2 - 列車データ記録装置および列車データ記録方法 - Google Patents
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Description
その一つに、位置と速度の関係を示す列車の走行パターンデータについて、膨大な走行パターン履歴を比較して、最も消費電力量が小さくなる走行パターンを探索し、その走行パターンで列車を走行させることで、省エネを図る取り組みがある。その際に、当該走行パターンデータの収集は、列車の車上に専用装置を設置して記録することが一般的である。しかし、この方法では安易に導入できないことや導入コストが嵩むといった問題がある。
また、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
引張力101は、定トルク領域102、定電力領域103および特性領域104の三つの領域に分けられる。このうち定トルク領域102および定電力領域103の引張力は、列車の加速度が同一となるように、列車の質量に応じて変化する。例えば、列車の質量が1.5倍になると引張力も1.5倍となる。一方、特性領域104の引張力は、電動機の特性により制限を受けるため、列車の質量が変化しても引張力は変化しない。
引張力201は、基本編成の列車質量が20トンの場合の引張力を示している。基本編成の単一編成に乗客が20トンの重量分乗車して列車質量が40トンとなった場合の引張力202と、基本編成が二つ併結されて列車質量が40トンとなった場合の引張力203とは、列車の質量は40トンで同一であるが列車全体で出力される引張力は異なる。
図2に示すように、列車質量が同一でも併結状態に応じて列車全体で出力される引張力が変化する。特に、特性領域104における差異が顕著となり走行パターンの差異となって現れる。単一編成に乗客が乗車した場合の走行パターン301は、特性領域104で加速力が低下するパターンとなり、基本編成が二つ併結した場合の走行パターン302と差異が生じる。
列車データ記録装置401は、GNSSデータが取得可能な、例えばタブレット端末などに実装される。近年、乗務員は異常発生時に乗客へ速やかに運行情報を提示する目的のために、タブレット端末のような携帯端末を所持している。本発明においても、タブレット端末を活用することにより専用の記録装置を不要とすることが可能である。
図5に示すフローチャートに基づく処理は、一駅間走行ごとに実行され、走行した駅間のデータに対して併結状態の推定が実行される。
<ステップ501>:
GNSSデータをGNSSデータ測定装置(図示せず)から取得する。実施例1では、GNSSデータが外部から与えられる構成であるが、もしGNSSデータ測定装置が搭載されていないタブレット端末を対象とする場合は、列車データ記録装置の中にGNSSデータ測定装置を組み込んでもよい。要は、列車データ記録装置401が、GNSSデータを取得できればよく、GNSSデータ測定装置の設置場所は問わない。
次に、ステップ502へ進む。
データ記録の対象となる列車型式に対して、最小の運用単位である基本編成の空車質量M0を読み込む。対象となる列車型式の特定に関しては、乗務員や保守員がタブレット端末に入力してもよいし、また、緯度経度情報と路線、使用する列車型式との関係を記録したデータテーブルを保持しておき、GNSSデータの緯度経度情報と該データテーブルの情報とから列車型式を特定してもよい。
次に、ステップ503へ進む。
データ記録の対象となる列車型式に対して、基本編成の空車状態における特性領域104での引張力F0を読み込む。引張力F0は、所定の速度幅(例えば、5km/h刻み)ごとに保持してもよいし、速度の関数として保持してもよい。
次に、ステップ504へ進む。
列車の動作モードの推定を行う。動作モードは、加速、定速、惰行およびブレーキの4つの動作で定義する。
図6は、区間ごとの動作モードを推定する方法を説明する図である。
始めに、GNSSデータの速度情報を用いて駅間の所定区間ごとの加速度を算出する。所定区間は、例えば100m程度とする。
加速度が負の値をとる区間のうち、加速度が所定の閾値よりも小さい値をとる区間602を、ブレーキ区間と判定する。ブレーキ区間を判定する閾値は、対象となる列車型式がブレーキ動作をしたときに発生しうる減速度から定義する。
加速度が0付近の値をとる区間603を、定速区間と判定する。
そして、上記のいずれの区間にも判定されなかった区間604を、惰行区間と判定する。
なお、本発明では惰行区間が推定できればよく、その方法は上述の方法のみに特定されるものではない。
次に、ステップ505へ進む。
惰行区間の挙動から列車質量Mを推定する。
列車の運動方程式は、式(1)で表される。
次に、ステップ506へ進む。
特性領域104の引張力Fmを推定する。
ステップ504で加速区間と判定された区間のうち、対象とする列車型式において特性領域104となる速度域の区間を抽出する。抽出した区間について、上記の式(1)、(2)、(3)および(4)を用いて引張力Fmを算出する。その際、列車質量Mは、ステップ505で算出した値を使用し、速度V、勾配gおよび曲線半径rについては、抽出した区間のGNSSデータの緯度経度情報に基づき、ステップ505で説明した方法で取得した値を使用する。
次に、ステップ507へ進む。
質量比率Mrateとして、列車質量Mを基本編成の空車質量M0で除して小数点以下を切り捨てた除算値を算出する。Mrateが2未満の場合(Yes)は、ステップ508へ進む。Mrateが2以上の場合(No)は、ステップ509へ進む。
併結編成数に“1”を、併結状態として設定する。
次に、ステップ512へ進む。
また、Frateの判定値は、実際のGNSSデータから求めた併結状態と真の併結状態の関係から最適な値を予め探索しておくことが望ましく、さらには、列車型式ごとに異なる閾値を持つことが望ましい。そしてまた、閾値は、タブレット端末などのインターフェイスを通じて、乗務員や保守員が容易に変更可能であることが望ましい。
併結編成数にMrateの値を、併結状態として設定する。
次に、ステップ512へ進む。
併結編成数に、特性領域104の引張力Fmを基本編成の空車状態時の特性領域104での引張力F0で除して小数点以下を切り捨てた除算値を算出し、併結状態として設定する。
次に、ステップ512へ進む。
ステップ508、510または511で設定した併結状態を記録部403に送信する。
記録部403は、GNSSデータに該併結状態を付加して記録する。
図7は、実施例2によって併結状態を推定する方法を説明する図である。
また、上記した速度パターンから併結状態を推定するに当たっては、機械学習(AI)を使って推定してもよい。
Claims (7)
- 列車の最小運用単位である基本編成の併結されている数を表す併結状態を推定する併結状態推定部と、
前記列車のGNSS(Global Navigation Satellite System)データに前記併結状態を付加して記録する記録部と
を備え、
前記併結状態推定部は、前記列車の列車質量および当該列車が搭載する電動機による引張力に基づいて前記併結状態を推定する
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 請求項1に記載の列車データ記録装置であって、
前記併結状態推定部は、前記基本編成の空車質量、前記引張力が制限される速度域である特性領域における前記基本編成の前記引張力および前記GNSSデータから算出する前記列車質量から前記併結状態を推定する
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 請求項2に記載の列車データ記録装置であって、
前記併結状態推定部は、前記列車質量を、前記GNSSデータから算出した加速度情報を用いて推定した惰行区間で取得する前記GNSSデータを用いて算出する
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 請求項2または3に記載の列車データ記録装置であって、
前記併結状態推定部は、駅間ごとに実行した複数の駅間の前記併結状態の推定結果を基に統計処理を実行して前記併結状態を改めて推定する
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 列車の最小運用単位である基本編成が併結されている数を表す併結状態を推定する併結状態推定部と、
GNSS(Global Navigation Satellite System)データに前記併結状態を付加して記録する記録部と
を備え、
前記併結状態推定部は、前記列車が搭載する電動機による引張力が制限される速度域である特性領域で取り得る速度範囲にあって当該列車の前記併結状態に応じた速度パターンを求め、実際の走行軌跡との比較を通して前記併結状態を推定する
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の列車データ記録装置であって、
当該列車データ記録装置は、タブレットを始めとする携帯端末である
ことを特徴とする列車データ記録装置。 - 列車のGNSS(Global Navigation Satellite System)データを取得する第1のステップと、
前記列車の最小運用単位である基本編成の空車質量および当該列車が搭載する電動機による引張力が制限される速度域である特性領域における当該基本編成の引張力を読み込む第2のステップと、
前記GNSSデータから前記列車の加速度を算出し当該加速度から当該列車の惰行区間を推定し、当該惰行区間において取得した前記GNSSデータから前記列車の列車質量を推定する第3のステップと、
前記空車質量、前記引張力および前記列車質量に基づいて前記基本編成の併結されている数を表す併結状態を推定する第4のステップと、
前記GNSSデータに前記併結状態を付加して記録する第5のステップと
を有する列車データ記録方法。
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