JP7178451B1 - フレキシブルアンテナ - Google Patents
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Abstract
Description
工具等の使用形態には、大きく分けて以下の二通りがある。
1)使用頻度の高い工具等は、作業者が工具ベルトに収納し常時携帯している。
2)工具等の種類やサイズが頻繁に変わる場合、また、工具等のサイズが比較的大きな場合は、工具等を工具箱(容器)に収納し一纏めにして持ち運びしている。
なお、工具の保管管理は、棚や倉庫で行われる場合もある。
そこで、作業者任せの管理に頼っている現状の打開策として、RFタグ(識別子)を工具等に取付け、このRFタグを、アンテナを用いてチェックすることで、工具等を管理する方法が考えられていた。
この同軸ケーブルは、外部導体が接地側へ、内部導体が送受信器の信号線側へ、それぞれ接続されるため、外部導体と内部導体との間に電界が形成され、不平衡型の給電線となる。
一方、アンテナは、ダイポールアンテナや八木アンテナに代表されるように、電気的に左右対称な動作を行う平衡型のアンテナが多い。
このため、不平衡型の給電線の非対称な電圧を平衡型のアンテナに適した、給電点に対して対称となる励振に変換するため、バランを用いている。例えば、特許文献1には、漏洩電流を阻止するようにしたシュペルトップ型バランが開示されている。
なお、アンテナは更に、例えば、通信可能な領域をより広範囲にした場合や、様々な使用環境に適応可能な柔軟性を備えた場合に、上記したRFタグとの電波の送受信をより確実に行い易くなる。
前記同軸ケーブルの先側には、前記同軸ケーブルの前記内部導体及び前記筒状絶縁体のみを延長して形成された素子部を有し、該素子部の基側は前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側に前記筒状絶縁体の周囲表面が露出したアンテナ素子が形成されて、該素子部のアンテナ性能を向上させている。
ここで、アンテナ性能とは、例えば、最大通信距離や電圧定在波比(VSWR)で評価でき、電圧定在波比が1(例えば、1.1以下程度)に近いほどアンテナ性能がよいと評価できる(以下同じ)。
前記内部導体のみを前記同軸ケーブルの先側から突出させて、前記筒状絶縁体、前記外部導体及び前記外皮が存在しない素子部を形成し、該素子部の基側の前記内部導体の周囲表面は、樹脂部材を介して前記同軸ケーブルの前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側を前記内部導体の周囲表面が露出したアンテナ素子とし、該素子部のアンテナ性能を向上させ、かつ、前記同軸ケーブルにアンテナ機能を付与している。
ここで、前記給電線と前記同軸ケーブルとの接続部分近傍には、フェライトコアを取付けることができる。
図1(A)、(B)、図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示すように、本発明の第1、第2の実施の形態に係るフレキシブルアンテナ(以下、単にアンテナとも記載)10、30は、送受信器11に接続可能な同軸ケーブル12(アンテナ化)を用いたものであり、例えば、後述する複数のRFタグ(識別子の一例)との間で電波の送受信を行うものである。なお、図1(B)、図2(A)、(B)、図3(A)、(B)では、説明の便宜上、フレキシブルアンテナ10、30のサイズ(太さや長さ)を変更している。
以下、詳しく説明する。
なお、外部導体は、上記した網状の銅線(銅製の線)に限定されるものではなく、例えば、錫めっきが施された銅線もあり、また、アルミニウム製や銀製の線等でもよい。
このアンテナ素子18は、RFタグとの間で電波の送受信を行うものであり、電波の周波数が920MHzの場合、波長λが326.0mm(λ/4は81.5mm)であるが、周波数はこれに限定されるものではなく、例えば、2.4GHz等でもよく、この周波数に応じてアンテナ素子の長さも変更するのがよい。なお、アンテナ素子18の長さL1は、受信しようとする電波の波長をλとすると、λ/4とするのが一般的であるが、その他の長さにすることもでき、例えば、20~100mmの範囲で調整できる。
チューブ19は、誘電体である、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は、モノマーキャストナイロンで構成されている。なお、モノマーキャストナイロンとは、本質的には6ナイロンと呼ばれるポリアミド樹脂のことであり、通常の6ナイロン樹脂より優れた性質を示し、実用的な特性を備えたものである。
バラン導体20aは、銅で構成されたテープ(銅テープ)を、チューブ19の周囲表面に巻付ける(貼付ける)ことで構成されている。なお、バラン導体は、導電性を備えた金属(例えば、アルミニウムや銀等)で構成されていれば、特に限定されるものではなく、また、チューブ(管材)でもよい。
従来のバランは、同軸ケーブルの周囲表面に隙間を有した状態で管状のバランを被せ、アンテナ素子側で、バランと同軸ケーブルの外部導体とを導通させていたが、本発明では、上記したように、バラン導体20aと絶縁体14との間に隙間はなく(樹脂製のチューブ19が存在し)、しかも、同軸ケーブル12側(従来とは逆側)で、バラン導体20aと同軸ケーブル12の外部導体15とを導通させている。
これにより、チューブ19とバラン導体20aは、バランとしての機能を備えて素子部17のアンテナ性能を向上させながら、同軸ケーブル12にも意図的に電流を流すことができ、同軸ケーブル12にアンテナ機能を付与できる。
無線機等の電力の伝送用に使用される同軸ケーブルの特性インピーダンスZ0は50Ωであるため、この50Ωに近づくように(例えば、50±2Ω程度となるように)、樹脂製のチューブの材質とサイズ(径)を設定する。
また、そのとき得られるインダクタンス/キャパシタンス値で、RFID(RFタグから電波の無線通信によって情報のやりとりをするRFタグとアンテナとリーダ/ライタを含む)の周波数帯920MHz(共振周波数)に近づくように、樹脂製のチューブのサイズ(長さ)の微調整を行うのがよい。
周波数920MHzのλ(波長)は326.0mmであるため、これを基本形となる通常のスリーブアンテナのアンテナ素子の長さ(λ/4)に当て嵌めると、81.5mmとなる。ここで、樹脂製のチューブの中を通る電磁波は、真空中の速度(30万km/s)に比べて遅くなるため、波長短縮率((伝送線路を伝わる電磁波の波長)/(真空中の電磁波))が約61%(=ε-1/2)となる。
従って、波長短縮率を考慮した樹脂製のチューブの長さL2は約50mm(=81.5mm×0.61)となるが、更にアンテナ性能を高める(最適長さを求める)ため、例えば、計測機器等を用いて、20~100mmの範囲で調整するのがよい。
このバラン導体20bは、同軸ケーブル12とは隙間を有して配置され、この隙間を介して、バラン導体20bと同軸ケーブル12の外部導体15とを、例えば、半田付けし、この半田21により導通させている。
これにより、図3(A)、(B)に示すアンテナ30は、図2(A)、(B)に示すアンテナ10より構成を簡単にできると共に、同軸ケーブル12側への漏洩電流を減少させることで、素子部17のアンテナ性能を向上させることができる。
従来のアンテナは、図4に示すように、給電線側(送受信器側)への漏洩電流を抑え、アンテナ素子側への電力供給ロスを防ぐ働きとして、アンテナ素子側のバラン端部と同軸ケーブル(給電線)の外部導体とを導通し、送受信器側のバラン端部を解放としている。
一方、本発明のフレキシブルアンテナ10、30は、同軸ケーブル12(給電線側)にもアンテナの働きを持たせるため、漏洩電流を意図的に同軸ケーブル12(給電線側)へ流すことができるように、導通部を従来のアンテナとは正反対の位置とし、即ち、送受信器11側のバラン導体20a、20b端部と同軸ケーブル12(給電線側)の外部導体15とを導通し、アンテナ素子18側のバラン導体20a、20b端部を解放としている。
送受信器11は、所定の高周波電流をフレキシブルアンテナ10(フレキシブルアンテナ30も同様)に送出するものであって、既存のRFタグリーダ(リーダ/ライタ)と同様の構成であり、RFタグに電力を供給するものや、供給しないものがある。
この送受信器11は、RF-IDの仕組みを用いて、高周波電流をフレキシブルアンテナ10へ伝送し、電磁波(電波)として送出する。このフレキシブルアンテナ10から送出された電磁波(電波)をRFタグが受信することで、予め設定されたデータ(個別情報の一例)を電磁波(電波)として返信する。この返信された電磁波(電波)をフレキシブルアンテナ10にて読取る。
また、RFタグは、上記したように、データを格納した識別子であり、電磁波で質問波を受信するとデータを含む回答波を電磁波で送信するものであり、例えば、電子タグ、ICタグ、IDタグ、トランスポンダ、無線タグ、無線ICタグ等がある。このRFタグには、送受信器11から供給される電力でのみ動作するパッシブタイプ(搭載電池:無)、送受信器11から供給される電力で交信動作するセミパッシブタイプ(搭載電池:有(センサ専用))、内蔵(搭載)した電池から供給される電力で全て動作するアクティブタイプ(搭載電池:有(交信用及びセンサ用))がある。
このフェライトコア24は、同軸ケーブル12を流れる漏洩電流が給電線22へ流れることを阻止する(縁切りする)ものであるため、給電線22と同軸ケーブル12との接続部分近傍であれば、例えば、同軸ケーブル12の基端部に取付けることもできるが、同軸ケーブル12を流れる漏洩電流の大きさによっては使用しなくてもよい。
作業者は、工事や整備の作業を行った後、使用した工具等を容器に収納する。
この容器は、複数の工具等が収容される上部が開口したものであり、その周囲には、フレキシブルアンテナ10が巻付け固定されている。なお、容器の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、用途(例えば、収容する工具等の種類)に応じて種々変更できる。
これにより、フレキシブルアンテナ10が、容器内を囲むように配置されるため、容器の内部が、フレキシブルアンテナ10による読取領域となる。
なお、フレキシブルアンテナ10の取付け対象は、上記した容器に限定されるものではなく、例えば、複数の道具や工具が収容される棚や作業者が胴部に巻くベルト(作業者の胴部)等でもよい。
このRFタグは、例えば、パッシブタイプであり、送受信器11から供給される電力でのみ動作するが、セミパッシブタイプやアクティブタイプでもよく、また、前記した種々のRFタグでもよい。
これにより、容器(読取領域)内の電磁界の強度が所定値以上になると、容器内のRFタグを動作させることができる。
送受信器11は、この高周波電流を復調し、RFタグのデータを読取る。
上記した動作が、コンピュータに予め設定されたプログラムに基づいて行われ、得られたデータがコンピュータに送られ保存される。
これにより、工具の有無のチェックを実施できると共に、そのチェック(照合)結果の履歴をシステム上に残すことができ、工具の紛失を防止できる。
このため、容器に収容された工具等に貼り付けられたRFタグを読取るには、アンテナが無指向性であることが好ましく、最大通信距離を延ばすことが必要であり、更には、通信可能な領域をより広範囲にでき、しかも、様々な使用環境に適応可能な柔軟性を備えるのがよい。
そこで、本発明のフレキシブルアンテナ10は、素子部17のみならず、柔軟性を備えた同軸ケーブル12にもアンテナ機能を付与し、フレキシブルアンテナ30はアンテナ性能を向上させている。
ここでは、3D-2Vの同軸ケーブルを用いた、従来例1、2、比較例1、2、及び、実施例1、2の各アンテナを使用し、RFID通信性能(読取感度)として、最大通信距離とアンテナ素子又は素子部(以下、素子部等とも記載)からの勾配とを計測し比較した結果について、表1を参照しながら説明する。なお、最大通信距離とは、アンテナ素子又は素子部と同軸ケーブルのRFタグに対する通信距離の計測値であり、アンテナ素子又は素子部からの勾配とは、アンテナ素子又は素子部に対して斜め下方に位置するRFタグの水平方向に対する通信可能な傾斜角度である。
既存のスリーブアンテナであり、具体的には、同軸ケーブルの先側端部から、絶縁体で覆われた内部導体からなるアンテナ素子を形成し、このアンテナ素子を覆っていた同軸ケーブルの網状の外部導体を、同軸ケーブルの基側方向に折り返し、同軸ケーブルの最表層部を構成する外被に被せてスリーブとしたものである。
・従来例2
前記したシュペルトップ型バランが取付けられたアンテナである。
同軸ケーブルの先端面から絶縁体と内部導体を共に突出させ、絶縁体で覆われた内部導体からなるアンテナ素子を形成したアンテナである。なお、比較例1のアンテナとしては、No.1とNo.2の2種類を使用し、アンテナ素子の長さAは、No.1がλ/4(81.5mm)であり、No.2がλ/2(163mm)である。
・比較例2
同軸ケーブルの先端面から絶縁体と内部導体を共に突出させて素子部を形成し、その先側にアンテナ素子を有し、その基側の周囲表面が、同軸ケーブルの先端面から突出させた網状の外部導体で覆われたアンテナである。なお、アンテナ素子の長さAは、λ/4(81.5mm)であり、網状の外部導体の長さWは、λ/4(81.5mm)である。
同軸ケーブルの先端面から絶縁体と内部導体を共に突出させて素子部を形成し、その先側にアンテナ素子を有し、その基側(絶縁体)の周囲表面を、バラン導体(銅製のテープ)で直接覆ったアンテナである(図3(A)、(B)に相当)。なお、アンテナ素子の長さAとバラン導体の長さBはそれぞれλ/4(81.5mm)である。
・実施例2
同軸ケーブルの先端面から絶縁体と内部導体を共に突出させて素子部を形成し、その先側にアンテナ素子を有し、その基側(絶縁体)の周囲表面を、樹脂製のチューブを介してバラン導体(銅製のテープ)で覆ったアンテナである(図2(A)、(B)に相当)。なお、実施例2のアンテナとしてはNo.1とNo.2の2種類を使用し、アンテナ素子の長さAは、No.1とNo.2が共に84.5mmであり、バラン導体の長さBは、No.1が49.7mmであり、No.2が81.5mmである。
一方、実施例1では、比較例2の網状の外部導体をバラン導体とすることで、最大通信距離を11m超まで延ばすことができた。これにより、素子部のアンテナ性能を向上できることを確認できた。
また、実施例2のように、絶縁体の周囲表面を、樹脂製のチューブを介してバラン導体で覆っても、最大通信距離は比較例2よりも長い10~11mに延ばすことができた。
一方、実施例1では、約50cm程度まで延ばすことができ、実施例2では、3~4mまで延ばすことができた。これにより、同軸ケーブルにアンテナ機能を付与できたことを確認できた。
なお、素子部等からの勾配は、実施例1が、素子部と水平方向に対向するRFタグを読取ることができる程度であり、実施例2でも4~5度であったが、アンテナ性能は、従来例1、2や比較例1、2と比較して大きく劣るものではなかった。
また、電圧定在波比は、従来例2では1.3~1.5程度であったが、実施例2では1.0程度であり、実施例2では、RFタグの読取り特性が非常に良好であることも確認できた。
前記実施の形態においては、同軸ケーブルの先端面から内部導体と絶縁体が共に突出して素子部を形成した場合について説明したが、同軸ケーブル(内部導体)の構成によっては、内部導体のみを突出させ、この突出した内部導体の基側周囲表面に樹脂部材を介してバラン導体(又はバラン導体のみ)を被覆することもできる。この場合、アンテナ素子を形成する内部導体の周囲表面は、新たな絶縁体(例えば、絶縁体や樹脂部材と同じ材質)で覆うのがよい。
Claims (6)
- 基側は送受信器に接続可能で、内部導体と、該内部導体の周囲表面を覆う筒状絶縁体と、該筒状絶縁体の周囲表面を覆う外部導体と、該外部導体の周囲表面を覆う外被とが同軸上に設けられた同軸ケーブルを用いたフレキシブルアンテナにおいて、
前記同軸ケーブルの先側には、前記同軸ケーブルの前記内部導体及び前記筒状絶縁体のみを延長して形成された素子部を有し、該素子部の基側は前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側に前記筒状絶縁体の周囲表面が露出したアンテナ素子が形成されていることを特徴とするフレキシブルアンテナ。 - 請求項1記載のフレキシブルアンテナにおいて、前記バラン導体は、前記アンテナ素子を除く前記素子部の前記筒状絶縁体の周囲表面を樹脂部材を介して覆い、前記同軸ケーブルにアンテナ機能を付与したことを特徴とするフレキシブルアンテナ。
- 基側は送受信器に接続可能で、内部導体と、該内部導体の周囲表面を覆う筒状絶縁体と、該筒状絶縁体の周囲表面を覆う外部導体と、該外部導体の周囲表面を覆う外被とが同軸上に設けられた同軸ケーブルを用いたフレキシブルアンテナにおいて、
前記内部導体のみを前記同軸ケーブルの先側から突出させて、前記筒状絶縁体、前記外部導体及び前記外皮が存在しない素子部を形成し、該素子部の基側の前記内部導体の周囲表面は、樹脂部材を介して前記同軸ケーブルの前記外部導体と導通する導電性のテープ又はチューブからなるバラン導体で覆われて、該バラン導体で覆われていない前記素子部の先側を前記内部導体の周囲表面が露出したアンテナ素子とし、該素子部のアンテナ性能を向上させ、かつ、前記同軸ケーブルにアンテナ機能を付与したことを特徴とするフレキシブルアンテナ。 - 請求項2又は3記載のフレキシブルアンテナにおいて、前記樹脂部材は、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又は、モノマーキャストナイロンで構成されていることを特徴とするフレキシブルアンテナ。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のフレキシブルアンテナにおいて、前記同軸ケーブルは、前記送受信器に接続された給電線に、コネクタを介して接続されることを特徴とするフレキシブルアンテナ。
- 請求項5記載のフレキシブルアンテナにおいて、前記給電線と前記同軸ケーブルとの接続部分近傍には、フェライトコアが取付けられていることを特徴とするフレキシブルアンテナ。
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