JP7173834B2 - 画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法 - Google Patents

画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法に関する。
近年、細胞塊が、再生医療分野や創薬分野で注目されている。細胞塊を有効に利用するためには、細胞塊の品質管理が重要になる。細胞塊の品質管理は、例えば、光学顕微鏡で行われている。
光学顕微鏡で細胞塊の品質を管理するためには、細胞塊の顕微鏡像シミュレーション技術が必要である。細胞塊は複数の細胞で形成されており、光が細胞塊を透過する間に複数回回折される。
複数回回折する標本の光学像をシミュレーションする方法として、FDTD(finite-difference time-domain)法を用いる方法がある。FDTD法では、複数回の回折を扱うことができる。FDTD法を用いてシミュレーションを行うことが、非特許文献1に開示されている。
Numerical simulation of partially coherent broadband optical imaging using the finite-difference time-domain method, Optics Letters Vol. 36, Issue 9, pp. 1596-1598 (2011)
FDTD法を用いた画像シミュレーションでは、ボクセルサイズを波長の10分の1程度まで小さくする。この場合、ボクセル数が多くなるため、計算量が膨大になり計算時間が長くなる。
ボクセル数が多くなると、計算に必要なメモリのサイズも大きくなる。そのため、FDTD法を用いた画像シミュレーションは、メモリサイズの制約により、大きい標本を扱えない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、少ない計算量で、標本の画像を生成できる画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る画像シミュレーション装置は、
照明光学系と、照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション装置であって、
プロセッサを備え、
プロセッサは、
照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算するステップと、
複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算するステップと、
複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算するステップと、
複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算するステップと、
複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出するステップと、
を備える処理を行うことを特徴とする。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る画像シミュレーション方法は、照明光学系と、照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション方法において
プロセッサが、
照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算し、
複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算し、
複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算し、
複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算し、
複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出することを実行することを特徴とする。
本発明によれば、少ない計算量で、標本の画像を生成できる画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法を提供することができる。
本実施形態の画像シミュレーション装置を示す図である。 撮像光学系の例を示す図である。 プロセッサで行われる処理のフローチャートである。 標本と波面の様子を示す図である。 2つの平面における波面の様子を示す図である。 DIC観察に用いられる光学系を示す図である。 IVC観察に用いられる光学系を示す図である。 照明光学系の瞳を分割した様子を示す図である。 IVC観察における画像を示す図である。 明視野観察に用いられる光学系を示す図である。 照明光学系の瞳を分割した様子を示す図である。 明視野観察における画像を示す図である。 位相差観察における画像を示す図である。 DIC観察における画像を示す図である。 PCFの例を示す図である。 PCFの観察に用いられる光学系を示す図である。 明視野観察における画像を示す図である。 照明光学系の瞳を分割した様子を示す図である。
実施例の説明に先立ち、本発明のある態様にかかる実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
本実施形態の画像シミュレーション装置は、照明光学系と、照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション装置であって、プロセッサを備え、プロセッサは、照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算するステップと、複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算するステップと、複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算するステップと、複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算するステップと、複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出するステップと、を備える処理を行うことを特徴とする。
本実施形態の画像シミュレーション装置を、図1に示す。画像シミュレーション装置1は、プロセッサ2を備える。プロセッサ2では、撮像光学系のシミュレーション画像が生成される。生成された撮像光学系のシミュレーション画像は、例えば、表示装置16に表示することができる。
撮像光学系の例を、図2に示す。撮像光学系3は、照明光学系4と、観察光学系5と、を有する。観察光学系5は、照明光学系4と標本6を挟んで対向している。
照明光学系4は、レンズ7と、レンズ8と、コンデンサレンズ9と、を有する。観察光学系5は、対物レンズ10と、結像レンズ11と、を有する。
撮像光学系3は、光源12と共に用いられる。光源12から射出された光は、照明光学系4を介して、標本6に照射される。これにより、標本6が照明される。標本6からの光は、観察光学系5で集光される。これにより、光学像13が形成される。
レンズ7とレンズ8とで、照明光学系の瞳14の位置に、光源像12’が形成される。このように、光源12と照明光学系の瞳14は共役である。
コンデンサレンズ9と対物レンズ10とで、観察光学系の瞳15の位置に、照明光学系の瞳14の像が形成される。このように、照明光学系の瞳14と観察光学系の瞳15は共役である。
標本6は、対物レンズ10の前側焦点位置に配置されている。前側焦点位置は、標本6側における対物レンズ10の焦点位置である。対物レンズ10の前側焦点位置は、観察光学系5の前側焦点位置と見なすことができる。対物レンズ10の瞳は、観察光学系5の瞳15と見なすことができる。
撮像光学系3では、例えば、明視野観察、位相差観察、微分干渉観察(以下、「DIC観察」という)、又は、インバージョンコントラスト観察(以下、「IVC観察」という)を行うことができる。
明視野観察では、照明光学系の瞳14の位置に、円形の透過部を有する絞りが配置される。位相差観察やIVC観察では、照明光学系の瞳14の位置に、円環状の透過部を有する絞りが配置される。このように、観察方法に応じて、撮像光学系3の構成が異なる。
そこで、プロセッサ2では、撮像光学系3のシミュレーション画像(以下、「シミュレーション画像」という)が生成される。
シミュレーション画像は、光学像13を計算によって求めたときの画像である。光学像13の計算の概要を、波面を用いて説明する。理解の容易のために、光学像13側から説明する。
図2に示すように、位置Pimgに、光学像13が形成される。光学像13は、波面Wimgによって形成されている。よって、波面Wimgを知ることができれば、光学像13を計算によって求めることができる。波面Wimgは、位置Pimgにおける波面である。
位置Pimgは、位置Pfoと共役である。よって、波面Wimgは、波面Wfoから知ることができる。波面Wfoは、位置Pfoにおける波面である。
波面Wfoは、波面Woutが位置Pfoまで伝搬した波面である。よって、波面Wfoは、波面Woutから知ることができる。波面Woutは、位置Poutにおける波面である。
波面Woutは、波面Winが標本6を通過した後の波面である。よって、波面Woutは、波面Winから知ることができる。波面Winは、位置Pinにおける波面である。
波面Winは、照明光の波面である。照明光の波面は、光源像12’から射出される光の波面である。よって、波面Winは、光源像12’から求めることができる。
このように、波面Win、波面Wout、波面Wfo、及び波面Wimgを知ることができれば、光学像13を計算によって求めることができる。すなわち、シミュレーション画像を生成することができる。
シミュレーション画像の生成では、複数のステップが実行される。複数のステップは、照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算するステップと、複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算するステップと、複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算するステップと、複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算するステップと、複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出するステップと、を備える。
光学像の光学特性は、照明光の時間的コヒーレンスの影響を受ける。照明として、ハロゲンランプやLEDランプのようなに時間的コヒーレンスの低い光源を用いると、レーザのように時間的コヒーレンスの高い光源で問題になるペックルが発生せず、高解像度の光学像が得られる。よって、シミュレーションでは、時間的コヒーレンスの低い光源で標本が照明されていることを前提としている。
以下、コンデンサレンズの焦点距離、対物レンズの焦点距離、及び結像レンズの焦点距離は1に規格化されているものとし、また、レンズには無収差レンズが使用されているものとして説明する。
プロセッサで行われる処理のフローチャートを、図3に示す。図3に示すように、複数のステップはステップS1からステップS5を含む。
ステップS1では、照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算する。
標本6は、光源12から射出された光で照明される。よって、シミュレーション画像を生成するためには、光源像12から射出された光の波面を知る必要がある。
光源12と照明光学系の瞳14は共役なので、照明光学系の瞳14の位置に、光源像12’が形成される。よって、シミュレーション画像を生成するには、光源像12’の一点一点について波面が計算できれば良い。
しかしながら、光源像12’の一点一点について波面を計算すると、計算量が膨大になる。そこで、光源像12’を複数の微小領域に分割する。そして、1つの微小領域を、1つの微小光源と見なす。このようにすることで、計算量を減らすことができる。
光源像12’は、照明光学系の瞳14の位置に形成されている。よって、照明光学系の瞳14を複数の微小領域に分割すれば、光源像12’を複数の微小領域に分割することができる。このように、照明光学系の瞳14を複数の微小領域に分割することで、照明光学系の瞳14における強度分布を、微小光源の集合体に置き換えることができる。すなわち、複数の光源を用いて、照明光学系の瞳14における強度分布をモデル化することができる。
照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源からは、複数の第1波面が射出される。そこで、複数の第1波面を計算する。
上述のように、1つの微小領域は、1つの微小光源と見なすことができる。照明瞳位置(ξ,η)にある微小光源から射出された点(x,y,z)における光の振幅分布は、以下の式(I)で表わされる。
Figure 0007173834000001
(I)
ここで、
u(x,y,z,ξ,η)は、照明瞳位置(ξ,η)にある微小光源から射出された点(x,y,z)における光の振幅分布、
k=2×n/λ、
は,標本周囲の媒質の屈折率、
λは、シミュレーションに用いる光の波長、
である。
光の振幅分布は、光の波面を表わしている。よって、u(x,y,z,ξ,η)は、第1波面を表していることになる。このように、第1波面は、式(I)から計算することができる。
ステップS2では、複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算する。
標本6には、複数の第1波面が入射する。複数の第2波面は、複数の第1波面が標本6を通過することで生じる。よって、複数の第1波面を用いて、複数の第2波面を計算することができる。第2波面の計算については、後述する。
ステップS3では、複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算する。
標本6を、厚い標本とする。また、観察光学系5の前側焦点は、標本6の内部に位置しているとする。この場合、標本6を通過した後の光の位置は、観察光学系5の前側焦点位置から離れている。
標本6を通過した後の光の位置から観察光学系5の前側焦点位置までの間には、何も無い空間が広がっているとする。この場合、この空間では、フレネル伝搬によって光が伝搬する。
位置zにおける光が、フレネル伝搬によって、位置zに到達した場合、位置zにおける光の振幅分布は、以下の式(II)で表わされる。
Figure 0007173834000002
(II)
ここで、
u(x,y,z,ξ,η)は、位置(x,y,z)における光の振幅分布、
u(x,y,z,ξ,η)は、位置(x,y,z)における光の振幅分布、
=kξsを示し、x方向の波数、
=kηsを示し、y方向の波数、
である。
位置zを、観察光学系5の前側焦点位置とする。この場合、u(x,y,z,ξ,η)は、観察光学系5の前側焦点位置における光の振幅分布を表している。また、位置zを、標本6を通過した後の光の位置とする。この場合、u(x,y,z,ξ,η)は、標本6を通過した後における光の振幅分布を表している。
上述のように、光の振幅分布は、光の波面を表わしている。よって、u(x,y,z,ξ,η)は、第3波面を表している。このように、第3波面は、式(II)から計算することができる。
式(II)の右辺におけるu(x,y,z,ξ,η)は、第2の波面を表している。式(II)には第2波面が含まれている。よって、複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算することができる。
ステップS4では、複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算する。
光学系の結像位置における光の振幅分布は、以下の式(III)で表わされる。
Figure 0007173834000003
(III)
ここで、
image(x,y,ξ,η)は、結像位置(x,y)における光の振幅分布、
u(x,y,z,ξ,η)は、位置(x,y,z)における光の振幅分布、
P(ξ,η)は、観察光学系の瞳関数、
である。
上述のように、光の波面は、光の振幅分布を表わしている。よって、uimage(x,y,ξ,η)は、第4波面を表している。このように、第4波面は、式(III)から計算することができる。
式(III)の右辺におけるu(x,y,z,ξ,η)は、第3波面を表している。式(III)には第3波面が含まれている。よって、複数の第3波面と観察光学系5の瞳関数とを用いて観察光学系5の結像位置における複数の第4波面を計算することができる。
また、P(ξ,η)は、観察光学系5の瞳関数である。よって、第4波面の計算には、観察光学系5の瞳関数が用いられる。
光学系の結像位置における光の強度分布は、以下の式(IV)で表わされる。
Figure 0007173834000004
(IV)
ここで、
i(x,y)は、結像位置(x,y)における光の強度分布、
image(x,y,ξ,η)は、結像位置(x,y)における光の振幅分布、
S(ξ,η)は、光源の強度分布、
である。
式(IV)の右辺におけるuimage(x,y,ξ,η)は、第4波面を表している。式(IV)には第4波面が含まれているので、強度分布は第4波面を用いて計算することができる。式(IV)から分かるように、強度分布の算出では、第4波面が2乗される。よって、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算する。
ステップS5では、複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出する。
ステップS5を実行することにより、光学像の強度分布が算出される。算出された光学像の強度分布は、標本6の光学像の強度分布を表している。よって、標本6の光学像の強度分布を算出することができる。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、複数の第1波面のそれぞれに対してビーム伝搬法を適用することにより複数の第2波面を計算することが好ましい。
標本6は、光軸方向に連続する平面で表わすことができる。1つの平面には、標本6に関する情報が含まれている。情報には、例えば、形状、大きさ、及び各点における屈折率が含まれる。場合によって、各点における色や、各点における吸収率も、標本6に関する情報に含まれる。
標本6の内部における波面の計算では、1つの平面について、入射側の波面と射出側の波面とを計算する。そのため、平面の数が多くなるほど、計算量は多くなる。
平面の数は、隣り合う2つの平面の間に空間を設けることで、少なくすることができる。この場合、一方の平面から射出された光は、空間をフレネル伝搬することによって、他方の平面に到達する。
標本と波面の様子を、図4に示す。図4では、標本6は、仮想標本である。仮想標本は、11枚の平面に置き換えられている。11枚の平面のうち、2枚は仮想面である。仮想面は、標本が物理的に存在しない所に配置されている。11枚の平面は、隣り合う平面の間隔がdzで、等間隔に並んでいる。
コンデンサレンズ側には、物体側標本面Sobが位置している。対物レンズ側には、像側標本面Simが位置している。物体側標本面Sob、像側標本面Sim、及び7枚の平面については、各平面における屈折率分布が分かるように、厚みを持たせている。
矢印沿って、物体側標本面Sobに向かって波面Winが標本6に入射する。位置Zにおける波面は、上述の式(I)で表される波面である。
位置Zにおける波面Winは、仮想面を通過して、物体側標本面Sobに到達する。位置Zから物体側標本面Sobまでの間、波面はフレネル伝播される。よって、物体側標本面Sobにおける波面は、波面Winとは異なる。物体側標本面Sobに入射した波面は、幾つかの平面を通過して、平面Sk-1に到達する。
2つの平面における波面の様子を、図5に示す。平面Sk-1に、波面Wk-1が入射する。平面Sk-1が屈折率分布を有する場合、平面Sk-1を通過する際に、波面Wk-1は屈折率分布の影響を受ける。そのため、波面Wk-1とは異なる波面W’k-1が、平面Sk-1から射出される。
平面Sk-1から平面Sまでの間には、何も無い空間が広がっている。この場合、上述のように、この空間では、フレネル伝搬によって光が伝搬する。平面Sk-1から射出された波面W’k-1は、フレネル伝播によって伝搬し、平面Sに到達する。平面Sにおける波面は、波面Wとなる。
平面Sk-1に入射した光の振幅分布は、平面Sk-1における標本の屈折率分布の影響を受ける。その後、波面は、フレネル伝搬によって伝搬されて、平面Sに到達する。位置zにおける光の振幅分布は、以下の式(V)で表わされる。
Figure 0007173834000005
(V)
ここで、
u(x,y,z=zk-1+dz,ξ,η)は、位置zにおける標本通過直前の光の振幅分布、
u(x,y,zk-1,ξ,η)は、位置zk-1における標本通過直前の光の振幅分布、
dn(x,y,zk-1)は、位置(x,y,zk-1)における屈折率とnとの差、
は、標本周囲の媒質の屈折率、
である。
上述のように、光の波面は、光の振幅分布を表わしている。よって、u(x,y,z=zk-1+dz,ξ,η)は、位置zにおける波面を表している。また、u(x,y,zk-1,ξ,η)は、位置zk-1における波面を表している。
位置zから位置zk-1までの間と、位置zから位置zまでの間も、各平面における標本の屈折率分布の影響を受けた後にフレネル伝搬されるプロセスを繰り返して光が伝搬する。よって、この間の波面も、式(V)から計算することができる。位置zにおける波面は、第2波面である。よって、式(V)から第2波面を求めることができる。
式(V)は、ビーム伝搬法で用いられる式である。この様に、本実施形態の画像シミュレーション装置では、第2波面の計算にビーム伝搬法が用いられている。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、を有し、観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
d<0.5×Rob/β (1)
ここで、
dは、複数の光源の最小間隔、
Robは、対物レンズの瞳の半径、
βは、対物レンズの焦点距離をコンデンサレンズの焦点距離で割ることで得られる倍率、
である。
上述のように、照明光学系の瞳における強度分布は、複数の光源を用いてモデル化することができる。このモデル化では、各光源が等間隔で配置されていても、等間隔で配置されていなくても良い。
各光源が等間隔で配置されている場合、全ての間隔が最小間隔になる。各光源が等間隔で配置されていない場合、隣り合う光源の間隔のうち、最も狭い間隔が最小間隔になる。
値が条件式(1)の上限値を上回る場合、モデル化された複数の光源において、隣り合う光源の間隔が広くなる。そのため、計算精度が悪化する。
条件式(1)に代えて、以下の条件式(1’)を満足すると良い。
d<0.3×Rob/β (1’)
また、条件式(1)に代えて、以下の条件式(1’’)を満足すると良い。
d<0.15×Rob/β (1’’)
本実施形態の画像シミュレーション装置では、照明光学系は、開口部材を有し、開口部材は、遮光部と透過部とを有し、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
d<0.5×(R1-R0) (2)
ここで、
dは、複数の光源の最小間隔、
R0は、照明光学系の光軸から透過部の内縁までの距離、
R1は、照明光学系の光軸から透過部の外縁までの距離、
である。
位相差観察やIVC観察では、照明光学系の瞳14の位置に、円環状の透過部を有する絞りが配置される。よって、透過部は、内縁と外縁とを有する。また、円環の内側には、円形の遮光部が位置する。円環の外側には、円環状の遮光部が位置する。
値が条件式(2)の上限値を上回る場合、モデル化された複数の光源において、隣り合う光源の間隔が広くなる。そのため、計算精度が悪化する。
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2’)を満足すると良い。
d<0.3×(R1-R0) (2’)
また、条件式(2)に代えて、以下の条件式(2’’)を満足すると良い。
d<0.15×(R1-R0) (2’’)
本実施形態の画像シミュレーション装置では、観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、第2波面の計算では、複数の平面に置き換えられた仮想標本が用いられ、複数の平面は、等間隔に並んでおり、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
dz<0.5×1.2×λ/NAob (3)
ここで、
dzは、隣り合う平面の間隔、
NAobは、対物レンズの開口数、
λは、シミュレーションに用いる光の波長、
である。
上述のように標本6は、観察光学系の光軸方向に連続する平面で表すことができる。また、1つの平面には、標本6に関する情報が含まれている。よって、これらの平面を使って、仮想標本を形成することができる。
仮想標本は、複数の平面を有する。仮想標本では、複数の平面は、観察光学系の光軸に沿って等間隔で並んでいる。平面の各々は、標本をスライスしたときの一断面である。すなわち、平面の各々は、観察光学系の光軸方向に連続する平面のうちの1つである。仮想標本は、標本6を複数の仮想面でサンプリングしたものになる。
仮想標本では、観察光学系の光軸に沿って、仮想面が離散的に並んでいる。よって、仮想面が連続的に並んでいる場合に比べて、波面に関する計算量を少なくできる。このようなことから、第2波面の計算では、仮想標本が用いられる。
値が条件式(3)の上限値を上回る場合、観察光学系の光軸方向におけるサンプリング周波数が、観察光学系のカットオフ周波数よりも小さくなる。そのため、正確にシミュレーションすることができない。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、第2波面の計算では、複数の平面に置き換えられた仮想標本が用いられ、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
dx<0.5×1.2×λ/NAob (4)
ここで、
dxは、平面内におけるサンプリング間隔、
NAは、対物レンズの開口数、
λは、シミュレーションに用いる光の波長、
サンプリング間隔は、平面を複数の領域に分割したときの隣り合う2つの領域の間隔、
である。
仮想標本については、上述の通りである。サンプリング間隔は、観察光学系の光軸と直交する方向における間隔である。
値が条件式(4)の上限値を上回る場合、観察光学系の光軸と直交方向におけるサンプリング周波数が、観察光学系のカットオフ周波数よりも小さくなる。そのため、正確にシミュレーションすることができない。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、撮像光学系は、微分干渉プリズムを有し、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
dx<Δshear (5)
ここで、
dxは、平面内におけるサンプリング間隔、
Δshearは、標本上でのシア量、
である。
撮像光学系は、微分干渉プリズムを有する。よって、撮像光学系では、DIC観察ができる。
DIC観察に用いられる光学系を、図6に示す。光学系20は、照明光学系21と、観察光学系22と、を有する。DIC観察では、照明光学系21に微分干渉プリズム23が配置され、観察光学系22に、微分干渉プリズム24が配置される。
また、照明光学系21には、偏光板25が配置される。光源(不図示)から射出された光は、偏光板25を通過する。偏光板25からは、直線偏光の光が射出される。
直線偏光の光は、微分干渉プリズム23に入射する。微分干渉プリズム23に入射した直線偏光の光は、微分干渉プリズム23で2つに分割される。よって、微分干渉プリズム23から、光Lpと光Lsが射出される。
光Lpと光Lsは、共に、直線偏光の光である。光Lpの偏光方向は、光Lsの偏光方向と直交している。
光Lpと光Lsは、コンデンサレンズ26に入射する。光Lpと光Lsは、コンデンサレンズ26から、平行に射出される。コンデンサレンズ26から射出された光Lpと光Lsは、標本27に入射する。
光Lpと光Lsは平行なので、標本27の位置では、光Lpの入射位置と光Lsの入射位置とは異なる。標本27から射出された光Lpと光Lsは、対物レンズ28に入射する。
対物レンズ28から射出された光Lpと光Lsは、微分干渉プリズム24に入射する。微分干渉プリズム24に入射した光Lpと光Lsは、微分干渉プリズム24で1つに合成される。よって、微分干渉プリズム24から、合成された光が射出される。合成された光は、偏光板29に入射する。
上述のように、標本27の位置では、光Lpの入射位置と光Lsの入射位置とが異なる。DIC観察では、光Lpが通過する位置での位相量と、光Lsが通過する位置での位相量とが異なる場合、位相量の差を光の強度として検出することができる。
値が条件式(5)の上限値を上回ると、第2のサンプリング間隔が、標本上でのシア量よりも大きくなる。仮想面は複数の領域に分割されている。そのため、第2のサンプリング間隔が標本上でのシア量よりも大きくなると、光Lpと光Lsとが同じ領域に入射する。そのため、正確にシミュレーションすることができない。
以下、本実施形態の画像シミュレーション装置で得られたシミュレーション画像について説明する。シミュレーション画像として、IVC観察における画像、明視野観察における画像、位相差観察における画像、及びDIC観察における画像を示す。
<IVC観察における画像>
IVC観察に用いられる光学系を、図7に示す。光学系30は、照明光学系31と、観察光学系32と、を有する。照明光学系31は、コンデンサレンズ33と、絞り34と、を有する。観察光学系32は、対物レンズ36と、結像レンズ39と、を有する。対物レンズ36は、絞り37を有する。観察光学系32の像位置40に、標本35の光学像が形成される。
絞り34は、コンデンサレンズ33の瞳位置に配置されている。絞り34は、円形の遮光部34aと、円環状の透過部34bと、円環状の遮光部34cと、を有する。照明光学系31の光軸は、遮光部34aの中心と交わる。透過部34bは、遮光部34aの外側に位置している。遮光部34cは、透過部34bの外側に位置している。
絞り37は、円形の透過部37aと、円環状の遮光部37bと、を有する。観察光学系32の光軸は、透過部37aの中心と交わる。遮光部37bは、透過部37aの外側に位置している。透過部37aと遮光部37bとの間に、円形の境界38が形成されている。
絞り37は、対物レンズ36の瞳と見なすことができる。この場合、境界38は、対物レンズ36の瞳の縁を表している。
コンデンサレンズ33の瞳位置は、対物レンズ36の瞳位置と共役である。絞り37の位置に、絞り34の像が形成される。よって、絞り37の位置に、透過部34bの像が形成される。
透過部34bは、内縁と外縁とを有する。絞り37の位置には、透過部34bの内縁の像(以下、「内縁像」という)と、透過部34bの外縁の像(以下、「外縁像」という)が形成される。光学系30では、内縁像が境界38の内側に位置し、外縁像が、境界38の外側に位置している。
光学系30では、標本35の表面における傾斜量に応じて、内縁像の位置と外縁像の位置が、境界38に対して変化する。透過部34bの内縁は、遮光部34aの外周を表している。内縁像の位置の変化は、遮光部34aの像の位置の変化を表している。
標本35の表面が平坦な場合、又は、傾斜量が僅かな場合、遮光部34aの像は、境界38の内側に位置している。遮光部34aの像が境界38の内側に位置している間は、絞り37を通過する光量は変化しない。
標本35の表面の傾斜量が大きくなると、遮光部34aの像の一部は、境界38の外側にはみ出す。傾斜量が大きくなるほど、このはみ出す量が多くなる。その結果、絞り37を通過する光量が変化する。このように、IVC観察では、標本の表面における傾斜量の変化を、光量の変化として捉えることができる。
照明光学系の瞳を分割した様子を、図8に示す。IVC観察では、絞り34が用いられる。絞り34は、コンデンサレンズ33の瞳位置、すなわち、照明光学系31の瞳位置に配置されている。
絞り34では、光源からの光は、透過部34bを通過する。よって、照明光学系31の瞳を複数の微小領域に分割すると、図8に示すように、照明光学系31の瞳における強度分布は、複数の光源を円環状に分布させることでモデル化される。
IVC観察におけるシミュレーション画像と実際の画像を、図9に示す。図9において、(a)、(b)、及び(c)は、標本に対する合焦位置を示している。(d)、(e)、及び(f)は、シミュレーション画像を示している。(g)、(h)、及び(i)は、実際の画像を示している。(j)、(k)、及び(l)は、実線はシミュレーション、点線は実際の画像の強度プロファイルを示している。
標本は、ビーズである。ビーズは、液体と共に容器で保持されている。標本、測定条件、及び合焦位置については、以下の通りである。
<標本>
ビーズの直径 72μm
ビーズの屈折率 1.59
ビーズの保持 液体
液体の屈折率 1.516
<測定条件>
対物レンズの倍率 10倍
対物レンズの開口数 0.25
光源 LED
光源の波長 550nm
コンデンサレンズの透過部の幅 最小:0.242、最大:0.278
コンデンサレンズの透過部の幅は、開口数で表している。
<合焦位置>
位置1 位置2から下側に32μm離れた位置
位置2 ビーズの中央
位置3 位置2から上側に32μm離れた位置
(a)、(d)、(g)、及び(j)では、位置1に合焦している。(b)、(e)、(h)、及び(k)では、位置2に合焦している。(c)、(f)、(i)、及び(l)では、位置3に合焦している。
シミュレーション画像、実際の画像、及び断面の様子から、シミュレーション画像は、実際の画像と良く一致していることが分かる。
<明視野観察における画像>
明視野観察に用いられる光学系を、図10に示す。光学系50と同じ構成については、同じ番号を付し、説明は省略する。
光学系50は、照明光学系51と、観察光学系32と、を有する。照明光学系51は、コンデンサレンズ33と、絞り52と、を有する。光学系50では、絞り52は、円形の透過部と、円環状の遮光部と、を有する。
照明光学系の瞳を分割した様子を、図11に示す。明視野観察では、絞り52が用いられる。絞り52は、コンデンサレンズ33の瞳位置、すなわち、照明光学系51の瞳位置に配置されている。
絞り52では、光源からの光は、円形の透過部を通過する。よって、照明光学系51の瞳を複数の微小領域に分割すると、図11に示すように、照明光学系31の瞳における強度分布は、複数の光源を円形に分布させることでモデル化される。
明視野観察におけるシミュレーション画像と実際の画像を、図12に示す。図12において、(a)、(b)、及び(c)は、シミュレーション画像を示している。(d)、(e)、及び(f)は、実際の画像を示している。(g)、(h)、及び(i)は、実線はシミュレーション、点線は実際の画像の強度プロファイルを示している。
標本、測定条件については、IVC観察と同じである。合焦位置は、位置2である。
(a)、(d)、及び(g)では、照明光学系の開口数が0.05である。(b)、(e)、及び(h)では、照明光学系の開口数が0.125である。(c)、(f)、及び(i)では、照明光学系の開口数が0.275である。
シミュレーション画像、実際の画像、及び断面の様子から、シミュレーション画像は、実際の画像と良く一致していることが分かる。
<位相差観察における画像>
位相差観察に用いられる光学系は、図示を省略する。位相差観察では、IVC観察と同じように、円環状の透過部を有する絞りが用いられる。よって、図8と同様に、照明光学系の瞳における強度分布は、複数の光源を円環状に分布させることでモデル化される。
位相差観察では、対物レンズの瞳位置に、位相板が配置される。位相板は、円環状の位相膜を有する。位相膜上には、吸収膜が設けられている。
位相膜は、対物レンズの瞳の内側に位置している。照明光学系の絞りは、円環状の透過部が位相膜と共役である。よって、円環状の透過部の像は、対物レンズの瞳の内側に位置する。
IVC観察では、円環状の透過部の像は、対物レンズの瞳の内側と外側に位置している。このように、位相差観察に用いられる絞りは、IVC観察に用いられる絞りとは、円環状の透過部の幅や位置が異なる。
位相差観察におけるシミュレーション画像と実際の画像を、図13に示す。図13において、(a)は、シミュレーション画像を示している。(b)は、実際の画像を示している。(c)は、実線はシミュレーション、点線は実際の画像の強度プロファイルを示している。
標本と測定条件は、IVC観察と同じである。合焦位置は、位置2である。また、絞りと位相板については、以下のとおりである。透過部の幅と位相膜の幅は、開口数で表している。
透過部の幅 最小:0.13、 最大:0.15
位相膜の幅 最小:0.125、最大:0.155
吸収膜の透過率 14%
シミュレーション画像、実際の画像、及び断面の様子から、シミュレーション画像は、実際の画像と良く一致していることが分かる。
上述のように、位相差観察では、対物レンズの瞳位置に位相板が配置される。よって、シミュレーションでは、この点を考慮しなくてはならない。結像位置における光の振幅分布の算出では、式(III)に示すように、光学系の瞳関数が用いられる。
位相差観察では、光学系の瞳関数として、以下の式(VI)が用いられる。
Figure 0007173834000006
(VI)
ここで、
NAphase_film1は、位相膜の内縁の開口数、
NAphase_film2は、位相膜の外縁の開口数、
である。
P(ξ,η)=0は、対物レンズの瞳の外側の瞳関数を表している。P(ξ,η)=√t×(-i)と、P(ξ,η)=1は、対物レンズの瞳の内側の瞳関数を表している。P(ξ,η)=√t×(-i)は、位相膜における瞳関数を表している。P(ξ,η)=1は、位相膜以外の場所の瞳関数を表している。
<DIC観察における画像>
DIC観察では、図6に示す光学系が用いられる。DIC観察では、明視野観察と同じように、円形の透過部を有する絞りが用いられる。よって、図11と同様に、照明光学系の瞳における強度分布は、複数の光源を円形に分布させることでモデル化される。
DIC観察におけるシミュレーション画像と実際の画像を、図14に示す。図14において、(a)は、シミュレーション画像を示している。(b)は、実際の画像を示している。(c)は、実線はシミュレーション、点線は実際の画像の強度プロファイルを示している。シア方向に、明暗が発生している。
シミュレーション画像、実際の画像、及び断面の様子から、シミュレーション画像は、実際の画像と良く一致していることが分かる。
DIC観察では、光Lpと光Lsとによって、標本の像が形成される。よって、結像位置における光の強度分布は、以下の式(VII)で表される。
Figure 0007173834000007
(VII)
ここで、
θは光Lpと光Lsとの相対的なリタデーション量、
である。
以上の例では、標本にビーズが用いられている。以下に、別の標本を用いた例を示す。標本は、フォトニック結晶ファイバー(以下、「PCF」という)である。
PCFの例を、図15に示す。PCF60は、円柱部材61と、貫通孔62と、を有する。PCF60では、貫通孔62が複数、円柱部材61の内部に形成されている。貫通孔62は円筒形で、円柱部材61の母線に沿って形成されている。
観察には、明視野観察が用いられる。PCFの観察に用いられる光学系を、図16に示す。光学系50と同じ構成については、同じ番号を付し、説明は省略する。光学系50では、標本としてPCF60が配置されている。
明視野観察におけるシミュレーション画像と実際の画像を、図17に示す。図17において、(a)、(b)、及び(c)は、標本に対する合焦位置を示している。(d)、(e)、及び(f)は、シミュレーション画像を示している。(g)、(h)、及び(i)は、実際の画像を示している。(j)、(k)、及び(l)は、実線はシミュレーション、点線は実際の画像の強度プロファイルを示している。
標本は、PCFである。PCFは、液体と共に容器で保持されている。測定条件は、IVC観察と同じである。標本と合焦位置については、以下の通りである。照明光学系の開口数は、0.125である。
<標本>
PCFの直径 230μm
穴の直径 6μm
PCFの屈折率 1.458
PCFの保持 液体
液体の屈折率 1.424
<合焦位置>
位置4 位置5から下側に30μm離れた位置
位置5 PCFの中央
位置6 位置5から上側に30μm離れた位置
(a)、(d)、(g)、及び(j)では、位置4に合焦している。(b)、(e)、(h)、及び(k)では、位置5に合焦している。(c)、(f)、(i)、及び(l)では、位置6に合焦している。
シミュレーション画像、実際の画像、及び断面の様子から、シミュレーション画像は、実際の画像と良く一致していることが分かる。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、偏射照明による観察も用いることができる。照明光学系の瞳を分割した様子を、図18に示す。偏射照明による観察では、照明光学系の瞳における強度分布は、複数の光源を略半月状に分布させることでモデル化される。
本実施形態の画像シミュレーション方法は、照明光学系と、照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション方法であって、照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算し、複数の第1波面が標本を通過した後の複数の第2波面を計算し、複数の第2波面から観察光学系の標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算し、複数の第3波面と観察光学系の瞳関数とを用いて観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算し、複数の第1強度分布を足し合わせることにより、標本の光学像の強度分布を算出する。
本実施形態の画像シミュレーション装置では、観察方法に関する情報と標本に関する情報とが、プロセッサに入力される。
上述のように、観察方法としては、明視野観察、位相差観察、DIC観察、IVC観察がある。これらの観察方法では、絞りの開口部の形状や大きさ、コンデンサレンズの倍率、コンデンサレンズの開口数、対物レンズの種類、対物レンズの開口数、対物レンズの倍率、等が異なる。
また、1つの観察方法でも、観察目的に応じて、絞りの開口部の形状や大きさ、コンデンサレンズの倍率、コンデンサレンズの開口数、対物レンズの種類、対物レンズの開口数、対物レンズの倍率、等が異なる。
プロセッサには、観察方法は観察目的に応じて、観察方法に関する情報がプロセッサに入力される。これらの情報の入力部を、プロセッサに設けることができる。また、プロセッサとは独立した入力部を設け、入力部からプロセッサへ情報の入力を行っても良い。
本実施形態の画像シミュレーション装置は、顕微鏡と接続することができる。明視野観察、位相差観察、DIC観察、IVC観察は、顕微鏡で行うことができる。観察方法に応じて、絞り、コンデンサレンズ、及び対物レンズが適切に選択される。この選択に基づいて、観察方法に関する情報がプロセッサに入力されるようにするれば良い。
以上のように、本発明は、少ない計算量で、標本の画像を生成できる画像シミュレーション装置、及び画像シミュレーション方法に適している。
1 画像シミュレーション装置
2 プロセッサ
3 撮像光学系
4 照明光学系
5 観察光学系
6 標本
7、8 レンズ
9 コンデンサレンズ
10 対物レンズ
11 結像レンズ
12 光源
12’ 光源像
13 光学像
14 照明光学系の瞳
15 観察光学系の瞳
16 表示装置
20、30、50 光学系
21、31、51 照明光学系
22、32 観察光学系
23、24 微分干渉プリズム
25、29 偏光板
26、33 コンデンサレンズ
27、35 標本
28、36 対物レンズ
34、37、52 絞り
34a、34c、37b 遮光部
34b、37a 透過部
38 境界
39 結像レンズ
40 像位置
60 PCF(フォトニック結晶ファイバー)
61 円柱部材
62 貫通孔
Ls、Lp 光

Claims (8)

  1. 照明光学系と、前記照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション装置であって、
    プロセッサを備え、
    前記プロセッサは、
    前記照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算するステップと、
    前記複数の第1波面が前記標本を通過した後の複数の第2波面を計算するステップと、
    前記複数の第2波面から前記観察光学系の前記標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算するステップと、
    前記複数の第3波面と前記観察光学系の瞳関数とを用いて前記観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、前記複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算するステップと、
    前記複数の第1強度分布を足し合わせることにより、前記標本の光学像の強度分布を算出するステップと、
    を備える処理を行うことを特徴とする画像シミュレーション装置。
  2. 前記複数の第1波面のそれぞれに対してビーム伝搬法を適用することにより前記複数の第2波面を計算することを特徴とする請求項1に記載の画像シミュレーション装置。
  3. 前記照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、を有し、
    前記観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、
    以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の画像シミュレーション装置。
    d<0.5×Rob/β (1)
    ここで、
    dは、前記複数の光源の最小間隔、
    Robは、前記対物レンズの瞳の半径、
    βは、前記対物レンズの焦点距離を前記コンデンサレンズの焦点距離で割ることで得られる倍率、
    である。
  4. 前記照明光学系は、開口部材を有し、
    前記開口部材は、遮光部と透過部とを有し、
    以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像シミュレーション装置。
    d<0.5×(R1-R0) (2)
    ここで、
    dは、前記複数の光源の最小間隔、
    R0は、前記照明光学系の光軸から前記透過部の内縁までの距離、
    R1は、前記照明光学系の光軸から前記透過部の外縁までの距離、
    である。
  5. 前記観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、
    前記第2波面の計算では、複数の平面に置き換えられた仮想標本が用いられ、
    前記複数の平面は、等間隔に並んでおり、
    以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像シミュレーション装置。
    dz<0.5×1.2×λ/NAob (3)
    ここで、
    dzは、隣り合う前記平面の間隔、
    NAobは、前記対物レンズの開口数、
    λは、シミュレーションに用いる光の波長、
    である。
  6. 前記観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、
    前記第2波面の計算では、複数の平面に置き換えられた仮想標本が用いられ、
    以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像シミュレーション装置。
    dx<0.5×1.2×λ/NAob (4)
    ここで、
    dxは、前記平面内におけるサンプリング間隔、
    NAobは、前記対物レンズの開口数、
    λは、シミュレーションに用いる光の波長、
    前記サンプリング間隔は、前記平面を複数の領域に分割したときの隣り合う2つの領域の間隔、
    である。
  7. 前記撮像光学系は、微分干渉プリズムを有し、
    以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項6に記載の画像シミュレーション装置。
    dx<Δshear (5)
    ここで、
    dxは、前記平面内における前記サンプリング間隔、
    Δshearは、前記標本上でのシア量、
    である。
  8. 照明光学系と、前記照明光学系と標本を挟んで対向して配置された観察光学系と、を有する撮像光学系のシミュレーション画像を生成する画像シミュレーション方法において
    プロセッサが、
    前記照明光学系の瞳の強度分布をモデル化した複数の光源から射出された複数の第1波面を計算し、
    前記複数の第1波面が前記標本を通過した後の複数の第2波面を計算し、
    前記複数の第2波面から前記観察光学系の前記標本側の焦点位置における複数の第3波面を計算し、
    前記複数の第3波面と前記観察光学系の瞳関数とを用いて前記観察光学系の結像位置における複数の第4波面を計算し、前記複数の第4波面をそれぞれ2乗して複数の第1強度分布を計算し、
    前記複数の第1強度分布を足し合わせることにより、前記標本の光学像の強度分布を算出することを実行する画像シミュレーション方法。
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