JP7171047B2 - 撮影装置 - Google Patents
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Description
MRE(Magnetic Resonance Elastography:磁気共鳴エラストグラフィ)は、対象物に振動(体幹部の場合には、50Hz~100Hz程度)を加えながら、MRI装置で撮像することで、対象部内部の「硬さ」の違いによる振動波の伝播の違いを利用し、硬さを画像化する撮像法である(特許文献1,2参照)。
腰痛の診断では、特別な機器を使用せずに手軽に実施可能な触診が広く行われているが、触診では、触診を行う術者の感覚や経験により評価が大きく変わり、いわば定性的な評価となる。また、触診では、体表に近い部分の筋肉等の硬さしかわからず、体の深部の臓器や筋肉の診断を行うことはできない。
前述のように、腰痛の診断において、従来の画像診断で原因が判明するものは限られており、触診では、定量的な評価が困難であるとともに、深部の臓器等の診断を行うことができない問題もあった。
本発明者らは、長時間座り続ける人に腰痛が多いことに着目した。人が座る姿勢を取ると、背骨の横側(前側)において腰椎から大腿骨に渡る大腰筋(Psoas Major Muscle: PM)が縮んだ状態(緊張した状態)となり、背骨の後側の脊柱起立筋群が延びた状態となる。したがって、人が長時間座った状態となると、脊柱起立筋群とPMの負荷バランスに乱れが生じ、脊柱起立筋群が過負荷状態になると考えた。
PMの硬さを測定するために、MREを使用することが考えられる。しかしながら、MREでは、患部(被検査部)を振動させる必要がある。現在、MREを使用して診断が行われているのは、肝臓の硬さ(肝硬変等)が主であり、肝臓は体内でも比較的大きな臓器であると共に、比較的体表にも近い。したがって、肝臓のMRE撮影では、既製品の大型のパッドを使用して面を揺らすような形で、振動を伝えることができている。
しかしながら、PMのような体の中心に近い場所にある筋肉に対して肝臓用のパッドを使用しても途中の臓器や筋肉で振動が減衰してしまい、PMを振動させることは困難である。
静磁場と、位置に応じて磁場が変化する傾斜磁場と、プロトンの磁気共鳴条件に基づいて予め設定された交番磁場と、を被検者の被検査部に対して発生させる磁場発生装置と、
前記交番磁場を予め設定された繰り返し時間をあけて印加する交番磁場の印加手段と、
前記交番磁場で励起された被検査部のプロトンが緩和する際に放出される電磁波を受信する時間であるエコー時間に基づいて、前記電磁波を受信する受信手段と、
被検査部に振動を付与する振動付与部材であって、腰椎に沿って延びる導入部と、前記導入部に接続して形成され且つ体外から体表に向かう方向に沿って延びる凹部状の接続部と、を有し、被検査部に対応する体表面に前記接続部が接触した状態で、前記導入部に接続された音源からの音圧を前記被検者の体表に付与することで前記被検査部に振動を付与する前記振動付与部材と、
被検査部に対して予め設定された方向からMRE用の傾斜磁場を印加する傾斜磁場の印加手段と、
前記傾斜磁場を印加する時期に対応する前記エコー時間に応じて取得された電磁波に基づいて、電磁波信号の位相に応じたMR位相画像を取得するMR位相画像の取得手段と、
を備えたことを特徴とする。
前記接続部は、前記腰椎の延びる方向に交差する幅方向の幅が、前記体外から体表に向かうにつれて大きくなる
ことを特徴とする。
前記接続部は、前記腰椎の延びる方向に交差する幅方向の幅が、前記体外から体表に向かうに対して段差状に大きくなる
ことを特徴とする。
請求項2,3に記載の発明によれば、接続部の幅が狭い構成に比べて、振動付与部材が被検者の腰椎からずれてもMRE測定を行うことができる。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1において、本発明の撮影装置の一例としての実施例1の磁気共鳴撮影装置1は、磁場発生装置の一例としての磁石部2を有する。磁石部2には、内部を水平方向に貫通する貫通孔3が形成されている。貫通孔3には、寝た状態の被検者4が支持される寝台6が貫通可能である。
磁石部2は、静磁場印加部材の一例としての静磁場発生磁石11を有する。なお、静磁場発生磁石として、超電導電磁石や永久磁石を使用することが可能である。静磁場発生磁石11の内側には、傾斜磁場印加部材の一例としての傾斜磁場発生コイル12が配置されている。傾斜磁場発生コイル12の内側には、励起磁場印加部材の一例としての高周波磁場発生コイル13が配置されている。高周波磁場発生コイル13の内側には、受信部の一例として、電磁波を受信する受信コイル14が配置されている。
実施例1では、被検者4には、被検査部の一例としての大腰筋のMRE測定をするために、背骨側の体表面の部分に、振動付与部材の一例としての振動パッド16が支持されている。
図2において、振動パッド16には、接続部の一例として凹部状の振動伝播空間16aが形成されている。振動伝播空間16aの底部には、腰椎17の延びる方向に沿って延びる導入部の一例としての導入溝16bが形成されている。
図2Bにおいて、実施例1の振動伝播空間16aは、腰椎17の延びる方向に交差する幅方向の幅L1が、体外(導入溝16b側)から体表(開口16c側)に向かうにつれて大きくなる。開口16cでの幅は、腰椎の太さ(幅)よりも大きくなるように設定されている。
したがって、スピーカ19が所定の周波数の音を出力することで、その音圧がホース18を通じて導入溝16b、振動伝播空間16aに伝播し、振動伝播空間16aの開口16cに接触する被検者4を振動させる。
また、実施例1では、開口16cにフィルム等の膜状部材を貼り付けていないが、膜状部材を設置した構成とすることも可能である。すなわち、被検者4の体表に、膜状部材を介して振動伝播空間16aが接触する構成も含む。
なお、実施例1では、振動パッド16の内部に軽量化および材料費節約のための孔16dを複数形成しているが、孔16dを形成しない構成とすることも可能である。
図3は実施例1の磁気共鳴撮影装置におけるコンピュータ本体の機能ブロック図である。
図3において、実施例1のコンピュータ本体22の制御部41は、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行うI/O(入出力インターフェース)、必要な起動処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)、必要なデータ及びプログラムを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM等に記憶された起動プログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)ならびにクロック発振器等を有するコンピュータ装置により構成されており、前記ROM及びRAM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
制御部41には、基本動作を制御する基本ソフト、いわゆる、オペレーティングシステムOS、アプリケーションプログラムの一例としての撮影装置制御プログラムAP1、その他の図示しないソフトウェアが記憶されている。
制御部41には、キーボード24やマウス25、受信コイル14等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
また、実施例1の制御部41は、ディスプレイ23、静磁場発生磁石11、傾斜磁場発生コイル12、高周波磁場発生コイル13等の被制御要素へ制御信号を出力している。
実施例1の制御部41の撮影装置制御プログラムAP1は、下記の機能手段(プログラムモジュール)51~58を有する。
繰り返し時間記憶手段51aは、被検者4の被検査部に含まれるプロトンを励起するために印加される交番磁場の一例としての高周波磁場を印加する間隔である繰り返し時間TRを記憶する。
傾斜磁場印加手段51dは、傾斜磁場発生コイル12を制御して、位置に応じて磁場が変化するMRE用の傾斜磁場(勾配磁場)を発生させる。従って、傾斜磁場が振動検出傾斜磁場MEG(motion encoding gradient)と呼ばれる磁場である。実施例1の傾斜磁場印加手段51dは、図4に示すように、互いに直交するスライス(slice)方向、リードアウト(read out)方向およびフェーズ(phase)方向の3軸方向において、スライス方向(スライス軸)に傾斜磁場を発生させる。
高周波磁場印加手段51eは、高周波磁場発生コイル13を制御して、プロトンを励起する周波数に対応する交番磁場である高周波磁場を発生させる。
受信手段の一例としての信号取得手段53は、エコー時間TEの時期に、受信コイル14を介して被検者4のプロトンが緩和する際に発生する電磁波信号を取得する。したがって、実施例1では、図4に示す振動が振動付与制御手段52で付与された状態で、エコー時間TEにおいて受信コイル14で信号を測定することで、振動(Vibration)を付与しながらのMR画像を撮像する。
信号処理手段54aは、受信した電磁波信号において信号処理をする。実施例1の信号処理手段54aは、信号取得手段53が取得した信号を実数部r(real part)とし、信号取得手段53が取得した信号をπ/2位相を遅らせた信号を虚数部i(imaginary part)とする。すなわち、受信した電磁波信号に基づいた複素数、いわゆる、MRIの技術分野におけるk空間(周波数空間)の信号を生成する。そして、実数部rと虚数部iに対して、フーリエ逆変換(実施例では高速フーリエ逆変換)を行って、実空間の信号R,Iに変換する。そして、実空間における実数部Rと虚数部Iとに基づいて、複素平面における強度M=(R2+I2)1/2と、位相φ=tan-1(I/R)とを演算する。なお、この演算は、従来のMRI装置において導入されており、公知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
硬さ推定手段56は、振動波の波長λと、振動パッド16で付与された振動波の周波数fと、被検査部の密度ρと、に基づいて、被検査部の硬さμを推定する。なお、振動波の周波数fは、振動パッド16で付与される振動波の周波数fから既知であり、被検査部の密度ρについては、人体の密度はほぼ1[g/cm3]である。そして、硬さ(弾性率)μは、μ=ρ・(λ・f)2から計算される。
MRE画像作成手段57は、MR現象を利用して硬さを画像化したMRElastogram画像(MRE画像)を作成する。実施例1のMRE画像作成手段57は、局所領域(画素)毎に計算された硬さμに応じて色分けされたMRE画像を作成する。一例として、硬い部分(硬さμの値の大きな画素)を赤く表示し、軟らかくなる(硬さμの値が小さくなる)に連れて、黄、緑、青、紫と変化するように表示することが可能である。
図5は実施例1の実験結果の説明図であり、MRE画像の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の磁気共鳴撮影装置1では、振動パッド16が付与した振動は、体表から、体表近くにある腰椎17a~17cを振動させる。したがって、腰椎17a~17cの振動に伴って、腰椎17a~17cに一端が接続されている大腰筋101も振動することとなる。したがって、大腰筋101の振動と、静磁場や傾斜磁場によってMRE画像が取得可能である。よって、実施例1の磁気共鳴撮影装置1では、従来の肝臓用の振動パッドしかない従来の構成に比べて、体内の深部にある大腰筋101についてMRE撮影可能にすることができる。
また、実施例1の磁気共鳴撮影装置1では、大腰筋101の硬さ(弾性率μの大きさ)が定量的に測定され、可視化もされる。したがって、大腰筋101が硬いと、大腰筋に負荷がかかっていることがわかり、腰痛の診断に資することができる。
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例2は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
前記構成を備えた実施例2の磁気共鳴撮影装置1では、実施例1と同様に、振動伝播空間16a′を伝播する音(振動)で、被検査部である大腰筋101を揺らすことができる。実施例2の振動伝播空間16a′では、実施例1の振動伝播空間16aに比べて、幅が狭く、空間の体積が小さい。したがって、音圧が上がるため、実施例1に比べて、大腰筋101を揺らしやすくなることが期待される。
次に本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例3は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
前記構成を備えた実施例3の磁気共鳴撮影装置1では、振動パッド16″が幅狭部16eと幅広部16fを有する。実施例2の構成では、振動伝播空間16a′の幅が狭いため、振動パッド16′を装着する位置が腰椎17からずれると、左右の大腰筋101で差が出やすくなり、ずれが大きいと大腰筋101をほとんど振動させられない場合もある。これに対して、実施例3では、開口16c側に幅広部16fが形成されており、振動パッド16″の装着位置が多少ずれても開口16cの内側に腰椎17が収まりやすい。また、幅狭部16eで、開口16cの近傍まで音圧が高い状態を維持することができ、実施例1に比べて音圧が高くなることが期待される。
次に本発明の実施例4の説明をするが、この実施例4の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例4は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
前記構成を備えた実施例4の磁気共鳴撮影装置1では、振動パッド201が3つつながっており、中央(C:Center)、左(L:Left)、右(R:Right)の3つのそれぞれの振動パッドから入力される振動を個別に調整可能である。したがって、MRE画像を見て、左右でバランスが取れていない状況では、左右の振動パッドから入力される振動を強めたり弱めたりして左右の振動のバランスを取ることが可能である。
なお、ホースの長さの調整方法は、ホース自体を交換する方法でも可能であるし、途中に蛇腹やスライドして伸縮する筒等の長さ調整機構を設けて蛇腹等を伸縮することでホース全体の長さを調整する構成とすることも可能である。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H04)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、磁石部2がリング状、いわゆる、トンネル型の磁気共鳴撮影装置を例示したが、これに限定されない。例えば、磁石部2がコの字型、いわゆる、オープン型の磁気共鳴撮影装置にも適用可能である。
(H02)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。
(H04)前記実施例において、大腰筋101のMRE画像を撮影することを例示したがこれに限定されない。例えば、腸腰筋等の骨に一端が接続されている筋肉や、仰向けの姿勢において重力で腰椎に近接した状態となる膵臓のように、骨の近傍の筋肉や臓器に適用可能である。
2…磁場発生装置、
16…振動付与部材、
16a,16a′,16e+16f…接続部、
16b…導入部、
17…腰椎、
19…音源、
51d…傾斜磁場の印加手段、
51e…交番磁場の印加手段、
53…受信手段、
54c…MR位相画像の取得手段、
101…被検査部、
L1…接続部の幅。
Claims (3)
- 静磁場と、位置に応じて磁場が変化する傾斜磁場と、プロトンの磁気共鳴条件に基づいて予め設定された交番磁場と、を被検者の被検査部に対して発生させる磁場発生装置と、
前記交番磁場を予め設定された繰り返し時間をあけて印加する交番磁場の印加手段と、
前記交番磁場で励起された被検査部のプロトンが緩和する際に放出される電磁波を受信する時間であるエコー時間に基づいて、前記電磁波を受信する受信手段と、
被検査部に振動を付与する振動付与部材であって、腰椎に沿って延びる導入部と、前記導入部に接続して形成され且つ体外から体表に向かう方向に沿って延びる凹部状の接続部と、を有し、被検査部に対応する体表面に前記接続部が接触した状態で、前記導入部に接続された音源からの音圧を前記被検者の体表に付与することで前記被検査部に振動を付与する前記振動付与部材と、
被検査部に対して予め設定された方向からMRE用の傾斜磁場を印加する傾斜磁場の印加手段と、
前記傾斜磁場を印加する時期に対応する前記エコー時間に応じて取得された電磁波に基づいて、電磁波信号の位相に応じたMR位相画像を取得するMR位相画像の取得手段と、
を備えたことを特徴とする撮影装置。 - 前記接続部は、前記腰椎の延びる方向に交差する幅方向の幅が、前記体外から体表に向かうにつれて大きくなる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。 - 前記接続部は、前記腰椎の延びる方向に交差する幅方向の幅が、前記体外から体表に向かうに対して段差状に大きくなる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
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JP2019050724A JP7171047B2 (ja) | 2019-03-19 | 2019-03-19 | 撮影装置 |
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2019
- 2019-03-19 JP JP2019050724A patent/JP7171047B2/ja active Active
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