前記課題を解決するために、本明細書では、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂;および金属塩化合物および末端キャッピング剤化合物からなる群より選ばれた1種以上を含む、高分子樹脂組成物が提供される。
本明細書ではまた、上述した高分子樹脂組成物の硬化物を含む高分子フィルムが提供される。
本明細書ではまた、上述した高分子フィルムを含む基材;および前記基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層;を含む樹脂積層体が提供される。
以下、発明の具体的な実施形態による高分子樹脂組成物、およびそれを用いた高分子フィルムおよび樹脂積層体について詳細に説明する。
本明細書で特に制限しない限り次の用語は下記のように定義される。
本明細書で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
本明細書で、置換基の例示は以下で説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書で、「置換」という用語は化合物内の水素原子の代わりに他の官能基が結合することを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
本明細書で「置換または非置換された」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミド基;1次アミノ基;カルボキシ基;スルホン酸基;スルホンアミド基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;ハロアルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルコキシシリルアルキル基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち1個以上を含むヘテロ環基からなる群より選ばれた1個以上の置換基に置換または非置換されたり、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換または非置換されたものを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。好ましくは前記置換基としてはハロアルキル基を使用し得、前記ハロアルキル基の例としてはトリフルオロメチル基が挙げられる。
本明細書で、
は他の置換基に連結される結合を意味し、直接結合はLで表される部分に別途の原子が存在しない場合を意味する。
本明細書において、アルキル基はアルカン(alkane)から由来した1価の官能基であり、直鎖または分枝鎖であり得、前記直鎖アルキル基の炭素数は特に限定されないが1~20であることが好ましい。また、前記分枝鎖アルキル基の炭素数は3~20である。アルキル基の具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,6-ジメチルヘプタン-4-イルなどがあるが、これらに限定されない。前記アルキル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖または分枝鎖であり得、炭素数は特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。他の一つの実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。他の一つの実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としてはビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるがこれらに限定されない。前記アルケニル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、シクロアルキル基はシクロアルカン(cycloalkane)から由来した1価の官能基であり、単環式または多環式であり得、特に限定されないが、炭素数は3~20である。他の一つの実施状態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~10である。具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプチルなどがあるが、これに限定されない。前記シクロアルキル基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、アリール基はアレーン(arene)から由来した1価の官能基であり、特に限定されないが炭素数6~20であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。前記アリール基が単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。前記多環式アリール基としてはナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などであり得るが、これに限定されるものではない。前記アリール基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、アルキレン基はアルカン(alkane)から由来した2価の官能基であり、これらは2価の官能基であることを除いては前述したアルキル基の説明が適用される。例えば、直鎖状、または分枝状として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などであり得る。前記アルキレン基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、アルケニレン基はアルケン(alkene)から由来した2価の官能基であり、これらは2価の官能基であることを除いては前述したアルケニル基の説明が適用される。例えば、直鎖状、または分枝状として、1-プロペニレン、イソプロペニレン、1-ブテニレン、2-ブテニレンなどであり得る。前記アルキレン基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、シクロアルキレン基はシクロアルケン(cycloalkane)から由来した2価の官能基であり、2価の官能基であることを除いては前述したシクロアルキル基の説明が適用される。前記シクロアルキレン基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、アリーレン基はアレーン(arene)から由来した2価の官能基であり、これらは2価の官能基であることを除いては前述したアリール基の説明が適用される。例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基、ナフタレン基、フルオレニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、ペリレン基、テトラセニル基、アントラセニル基などであり得る。前記アリーレン基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、ヘテロアリール基は炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には前記異種原子はO、N、SeおよびSなどからなる群より選ばれる原子を1以上含み得る。炭素数は特に限定されないが、炭素数4~20であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は単環式または多環式であり得る。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、アジリジル基、アザインドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリン基(purine)、プテリジル基(pteridine)、ベータ-カボリル基、ナフチリジル基(naphthyridine)、テル-ピリジル基、フェナジニル基、イミダゾピリジル基、パイロピリジル基、アゼピン基、ピラゾリル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これに限定されるものではない。前記ヘテロアリール基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、炭素数は2~20、または2~10、または6~20である。異種原子としてO、NまたはSを含有したアリーレン基であり、2価の官能基であることを除いては前述したヘテロアリール基の説明が適用される。前記ヘテロアリーレン基は置換または非置換され得、置換される場合の置換基の例示は上述したとおりである。
本明細書において、ハロゲンの例としてはフッ素、塩素、臭素またはヨードがある。
発明の一実施形態によれば、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂;および金属塩化合物および末端キャッピング剤化合物からなる群より選ばれた1種以上を含む、高分子樹脂組成物が提供されることができる。
本発明者らはポリアミド樹脂とともに金属塩化合物を添加することにより、ポリアミド樹脂が含有された組成物の粘度が急激に増加することを制御することができ、ポリアミド樹脂が含有された組成物を用いたフィルム製膜工程で加工性が向上して製膜工程の効率性を確保できることを実験によって確認して発明を完成した。
また、ポリアミド樹脂とともに末端キャッピング剤化合物を添加することにより、ポリアミド樹脂が含有された組成物を長期保管しても物性変化が少ないため優れた貯蔵安定性を実現できることを実験によって確認して発明を完成した。
特に、前記個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂は結晶性ポリマーが有する優れた機械的物性を有しながらも、結晶構造をなす個別結晶の成長が鈍化して相対的に小さい大きさを有することにより、顕著に低い水準のヘイズ値および黄色度などを有し、これと共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有することができる。
これとは異なり、前記ポリアミド樹脂に対して小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm超過で過度に増加する場合、前記ポリアミド樹脂の内部で結晶性を有する部分が占める比率やその大きさが過度に成長して結晶特性が強く具現され、高分子自体の柔軟性や曲げ耐久性が低下し、またヘイズ値が急激に増加して透明性が減少し得る
このような前記ポリアミド樹脂の個別結晶の平均粒径物性は、第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖主鎖をなし、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制することによるものである。
このように、前記第1ポリアミドセグメントの長さ成長が抑制されると、第1ポリアミドセグメントの結晶特性が減少し、かつポリアミド樹脂フィルムのヘイズ値を顕著に低下させ得るため、優れた透明性の実現が可能である。
一方、前記ポリアミド樹脂の主鎖が第1ポリアミドセグメントと第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことは、ポリアミド樹脂の製造方法上溶融混練複合体の形成によるものである。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
1.高分子樹脂組成物
前記高分子樹脂組成物はポリアミド樹脂を含み得る。前記ポリアミド樹脂はポリアミド繰り返し単位を含むアミド(共)重合体を含み得る。前記(共)重合体は重合体または共重合体をすべて含む意味であり、前記重合体は単一繰り返し単位からなる単独重合体を意味し、共重合体は2種以上の繰り返し単位を含有した複合重合体を意味する。
前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下を満たし得る。前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶を含み得る。前記ポリアミド樹脂に含有された個別結晶の平均粒径は前記ポリアミド樹脂に含まれる全体結晶の粒径を確認し、これらの粒径の合計を個別結晶の個数で割った数平均粒径計算方法により求めることができる。
前記個別結晶の平均粒径は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギを有するX線を照射して得られる散乱パターンを球形モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装備により測定可能である。
前記照射されるX線は例えば、10KeV~14KeVのエネルギを有するX線と16KeV~20KeVのエネルギを有するX線を共に照射する方法を用いることができる。
前記小角X線散乱装置から得られたデータである散乱パターンは20℃~30℃温度で、小角X線散乱装置を用いて10KeV~20KeVエネルギのX線を照射して測定される結果であり得る。前記小角X線散乱装置内で検出器として、イメージ板(imaging Plate)、位置-敏感性検出器(PSPC;Position-sensitive detector)などが使用可能である。
その後、前記小角X線散乱装置の内部または外部に別に取り付けられた分析装備により前記個別結晶の平均粒径分析が行われる。前記小角X線散乱装置の例としてはPLS 9A beamlineが挙げられ、前記分析装備の例としてはコンピュータープログラムであるNIST SANS packageが挙げられる。
具体的には、前記個別結晶の平均粒径は試料に含有された個別結晶の形態を球形モデル(solid sphere model)にフィッティングして得られる波数q(単位:Å-1)と散乱強度I(単位:a.u.)のプロットをSchulz-Zimm distributionで重畳積分(convolution)して得られる結晶の直径分配曲線に対し、コンピュータープログラム(NIST SANS package)の計算により求めることができる。
前記結晶は0.1nm~15nmの粒径を有する個別結晶の群(group)であり得、このような群(group)に含まれる個別結晶は0.8nm以下の平均粒径を有することができる。より具体的には、前記群(group)に含まれる個別結晶の95%、または99%が0.8nm以下の粒径を有することができる。すなわち、前記個別結晶の大多数が0.8nm以下、または7nm以下、または0.1nm~8.0nm、または0.1nm~7nm、または1nm~8nm、または1nm~7nm、または3nm~8nm、または3nm~7nm、または5nm~6.8nmの粒径を有することにより、個別結晶の平均粒径もまた、上述した範囲を満たし得る。
より具体的には、前記小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径は、8.0nm以下、または7nm以下、または0.1nm~8.0nm、または0.1nm~7nm、または1nm~8nm、または1nm~7nm、または3nm~8nm、または3nm~7nm、または5nm~6.8nmであり得る。
具体的には、前記小角X線散乱装置を用いてポリアミド樹脂試料にX線を照射すると、検出器により小角X線散乱パターンが確保され、これを分析装備により分析すると、ポリアミド樹脂試料内に含有された個別結晶の平均半粒径(Rc)値を求めることができる。これにより最終的に前記個別結晶の平均粒径は上述した個別結晶の平均半粒径(Rc)の2倍値を計算して求めることができる。
より具体的には、下記図1に記載された前記一実施形態のポリアミド樹脂の結晶構造を参照して説明すると、前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶1と共に、個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖3で構成され、前記個別結晶に対して粒径2が定義される。
一方、前記個別結晶1はポリアミド樹脂鎖が束になって形成されることができる。特に、ポリアミド樹脂に含有された結晶性の高分子ブロック間の重畳により前記個別結晶の長さが成長することができ、重なった個別結晶の形状を具体的に特定することは難しいが、概略的に3次元成長による球形(spherulite)構造、2次元成長によるラメラ(lamella)構造、または3次元と2次元の中間形態の構造を有すると見ることができる。
好ましくは前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の次元数が3.0以上、または3.0~4.0であり得る。前記ポリアミド樹脂の個別結晶の次元数は、小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギを有するX線を照射して得られる散乱パターンを球形モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装備により測定可能である。前記小角X線散乱装置とこれに対する分析内容は前記個別結晶の平均粒径で上述した内容を含む。
一方、前記ポリアミド樹脂は、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖をさらに含み得る。より具体的には、下記図1に記載された前記一実施形態のポリアミド樹脂の結晶構造を参照して説明すると、前記ポリアミド樹脂は多数の個別結晶1と共に、個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖3で構成されることができる。
前記無定形の高分子鎖によって、上述した個別結晶の平均粒径成長が抑制され、前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下を満たし得る。
この時、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間の距離は0.1nm~100nm、または1nm~100nm、または30nm~100nmであり得る。前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間の距離もまた、小角X線散乱装置によって測定され得る。
前記ポリアミド樹脂で、小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の具体的な成分の例は大きく限定されるものではなく、結晶性ポリアミド樹脂の製造に使用される多様な芳香族アミド繰り返し単位が制限なく適用されることができる。
前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の成分の一例を挙げると、1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物から由来した第1芳香族アミド繰り返し単位を含み得る。前記第1芳香族アミド繰り返し単位からなる高分子鎖が束になって前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶を形成することができる。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としてはテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
好ましくは前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
より具体的には、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶は下記化学式1で表される繰り返し単位、またはそれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式1において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式1において、Ar1はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選ばれた1種以上の置換基に置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式1において、Ar1は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第1ポリアミドセグメントは前記化学式1で表される繰り返し単位、または前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
前記化学式1で表される繰り返し単位の具体的な例としては下記化学式1-1で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式1で表される繰り返し単位は1,4-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物から由来したアミド繰り返し単位、具体的にはテレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成されたアミド繰り返し単位であり、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持されることができ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
前記1,4-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としてはテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。また、前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
好ましくは前記1,4-芳香族ジアシル化合物はテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が100g/mol~5000g/mol、または100g/mol~3000g/mol、または100g/mol~2500g/mol、または100g/mol~2450g/molであり得る。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量が5000g/mol超過に増加すると、前記第1ポリアミドセグメントの鎖が過度に長くなることにより、ポリアミド樹脂の結晶性が増加し得、そのため高いヘイズ値を有して透明性を確保しにくい。前記第1ポリアミドセグメントの数平均分子量は測定する方法の例が限定されるものではないが、例えば、SAXS(Small-angle X-ray scattering)分析により確認することができる。
前記第1ポリアミドセグメントは下記化学式8で表される。
前記化学式8において、Ar1は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、aは1~5の整数である。前記化学式8において、aが1である場合、前記化学式8は前記化学式1で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式8において、aが2~5である場合、前記化学式8は前記化学式1で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。前記化学式8において、Ar1に係る説明は前記化学式1で上述した内容を含む。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準に、前記化学式1で表される繰り返し単位の比率が40モル%~95モル%、50モル%~95モル%、または60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり得る。
このように、前記化学式1で表される繰り返し単位が上述した含有量で含有されたポリアミド樹脂は十分な水準の分子量を確保して優れた機械的物性を確保することができる。
また、前記ポリアミド樹脂で、前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖の具体的な成分の例は大きく限定されるものではなく、無定形ポリアミド樹脂の製造に使用される多様な芳香族アミド繰り返し単位が制限なく適用されることができる。
前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖成分の一例を挙げると、1,2-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物から由来した第2芳香族アミド繰り返し単位、または1,3-芳香族ジアシル化合物と芳香族ジアミン化合物の結合物から由来した第3芳香族アミド繰り返し単位、またはこれらの混合物を含み得る。上述した第2芳香族アミド繰り返し単位または第3芳香族アミド繰り返し単位からなる高分子鎖は無定形の特性を実現することができる。
前記1,2-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としては、フタロイルクロリド、またはフタル酸が挙げられる。また、前記1,3-芳香族ジアシル化合物の具体的な例としてはイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸が挙げられる。前記芳香族ジアミン単量体の例としては、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
好ましくは前記1,2-芳香族ジアシル化合物はフタロイルクロリド、またはフタル酸を含み、前記1,3-芳香族ジアシル化合物はイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸を含み、前記芳香族ジアミン化合物は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを含み得る。
より具体的には、前記化学式1で表される繰り返し単位、またはそれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメントを含む8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖は、下記化学式2で表される繰り返し単位、またはそれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメントを含み得る。
前記化学式2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
前記化学式2において、Ar2はアルキル基、ハロアルキル基、およびアミノ基からなる群より選ばれた1種以上の置換基に置換された炭素数6~20のアリーレン基であり、より好ましくは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニレン基であり得る。
より具体的には、前記化学式2において、Ar2は芳香族ジアミン単量体から誘導された2価の有機官能基であり得、前記芳香族ジアミン単量体の具体的な例としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体は2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)または2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)であり得る。
前記第2ポリアミドセグメントは前記化学式2で表される繰り返し単位、または前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックを含み得る。
より具体的には、前記化学式2で表される繰り返し単位は、下記化学式2-1で表される繰り返し単位;または下記化学式2-2で表される繰り返し単位;のうち1種の繰り返し単位を含み得る。
前記化学式2-1~2-2において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。Ar2に係る詳しい説明は前記化学式2で上述した内容を含む。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位はイソフタロイルクロリドまたはイソフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、前記化学式2-2で表される繰り返し単位はフタロイルクロリドまたはフタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位である。
前記化学式2-1で表される繰り返し単位の具体的な例としては下記化学式2-4で表される繰り返し単位が挙げられる。
前記化学式2-2で表される繰り返し単位の具体的な例としては下記化学式2-5で表される繰り返し単位が挙げられる。
一方、前記第2ポリアミドセグメントは下記化学式9で表される。
前記化学式9において、Ar2は置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、bは1~3、または1~2の整数である。前記化学式9において、bが1である場合、前記化学式9は前記化学式2で表される繰り返し単位であり得る。前記化学式9において、bが2~3である場合、前記化学式9は前記化学式2で表される繰り返し単位からなるブロックであり得る。
前記化学式2で表される繰り返し単位はイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸と芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で形成された繰り返し単位であり、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド樹脂に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。また、前記化学式1で表される繰り返し単位とともにポリアミド樹脂に含まれることにより、ポリアミド樹脂の分子量を増加させることができる。
前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準に、前記化学式2で表される繰り返し単位の比率が5モル%~60モル%、5モル%~50モル%、または5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
このように、前記化学式2で表される繰り返し単位が上述した含有量で含有されたポリアミド樹脂は前記化学式1で表される特定繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を低くすることができ、そのため低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
より具体的には、前記ポリアミド樹脂に含有されたすべての繰り返し単位を基準に、前記化学式1で表される繰り返し単位の含有量が60モル%~95モル%、または70モル%~95モル%、または50モル%~90モル%、または50モル%~85モル%、または60モル%~85モル%、または70モル%~85モル%、または80モル%~85モル%、または82モル%~85モル%であり、前記化学式2で表される繰り返し単位の含有量が5モル%~40モル%、または5モル%~30モル%、または10モル%~50モル%、または15モル%~50モル%、または15モル%~40モル%、または15モル%~30モル%、または15モル%~20モル%、または15モル%~18モル%であり得る。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は前記化学式1で表される繰り返し単位のモル含有量を高め、化学式1で表される繰り返し単位の線状分子構造による高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)によるポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性の向上効果を極大化させながらも、化学式2で表される繰り返し単位が相対的に少ないモル含有量にもかかわらず前記化学式1で表される特定繰り返し単位のみからなる鎖の長さ成長を阻害し、樹脂の結晶性を低くすることができ、そのため低いヘイズ値を有して優れた透明性を確保することができる。
一方、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは下記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。すなわち、前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶に含まれた第1ポリアミドセグメントは前記個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖に含まれた第2ポリアミドセグメントと下記化学式3で表される交差繰り返し単位を形成することができる。
そのため、前記一実施形態のポリイミド樹脂は下記図1に示す結晶構造のように、多数の個別結晶と無定形の高分子鎖が繰り返される構造を有することになって、個別結晶のみの持続的な大きさ成長を抑制することができる。これにより、前記個別結晶は小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下に縮小され得る。
前記化学式3において、Aは前記第1ポリアミドセグメントであり、Bは前記第2ポリアミドセグメントである。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖は前記化学式3のように、テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された第1ポリアミドセグメントとイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割をすることができる。
前記第2ポリアミドセグメントは前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖に含まれ、前記第1ポリアミドセグメントは前記8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶に含まれるので、前記ポリアミド樹脂で前記無定形の高分子鎖が8.0nm以下の平均粒径を有する個別結晶の間に位置し、かつ個別結晶の大きさ成長を抑制する役割をすることができる。これは下記図1に示す結晶構造によっても確認することができる。
このように、前記個別結晶の大きさ成長が抑制されると、個別結晶による結晶特性が減少し、かつポリアミド樹脂のヘイズ値を顕著に低くできるため、優れた透明性の実現が可能である。
一方、前記ポリアミド樹脂の主鎖が前記化学式3のように、テレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸から誘導された第1ポリアミドセグメントとイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)重合鎖をなすことは、後述する本発明のポリアミド樹脂の製造方法上溶融混練複合体の形成によるものと見られる。
より具体的な例を挙げて説明すると、前記化学式3で表される交差繰り返し単位は下記化学式4で表される繰り返し単位であり得る。
前記化学式4において、Ar1およびAr2はそれぞれ独立して置換または非置換された炭素数6~20のアリーレン基、または置換または非置換された炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、a1およびa2はそれぞれ独立して1~10、または1~5の整数であり、b1およびb2はそれぞれ独立して1~5、または1~3の整数である。
前記化学式4において、a1、またはa2の繰り返し単位数を有する結晶性の高分子ブロック(テレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導される)は前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶をなす。また、前記化学式4において、b1、またはb2の繰り返し単位数を有する非結晶性の高分子ブロック(イソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導される)は前記小角X線散乱装置によって測定される平均粒径が8.0nm以下である個別結晶の間に存在する無定形の高分子鎖をなすことができる。
すなわち、前記ポリアミド樹脂は前記化学式1で表される繰り返し単位、またはそれからなるブロックを含む第1ポリアミドセグメント;および前記化学式2で表される繰り返し単位、またはそれからなるブロックを含む第2ポリアミドセグメント;を含み、前記第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントは前記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
本発明者らは前記一実施形態のポリアミド樹脂のように、個別結晶の平均粒径が8.0nm以下に減少することにより、ポリアミド樹脂の内部にテレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された繰り返し単位からなる高分子ブロック(以下、第1ポリアミドセグメント)の長さ成長を最小化し、ポリアミド樹脂の結晶性を低くして透明なポリアミド樹脂を実現できることを実験によって確認して発明を完成した。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の主鎖はテレフタロイルクロリドまたはテレフタル酸から誘導された結晶性の高分子ブロック(以下、第1ポリアミドセグメント)とイソフタロイルクロリド、イソフタル酸またはフタロイルクロリド、フタル酸から誘導された非結晶性の高分子ブロック(第2ポリアミドセグメント)が交互に(alternatively)重合鎖をなすことができる。すなわち、前記第2ポリアミドセグメントが第1ポリアミドセグメントの間に位置し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長を抑制する役割をすることができる。
このとき、前記第1ポリアミドセグメントはポリアミド樹脂の個別結晶に含まれて結晶特性を発現し、前記第2ポリアミドセグメントは前記個別結晶の間には無定形の高分子鎖に含まれて非晶質の特性を発現する。
したがって、前記第1ポリアミドセグメントの長さ成長が抑制されると、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が相対的に小さく測定され、前記ポリアミド樹脂は第1ポリアミドセグメントの結晶特性が減少し、ヘイズ値を顕著に低くできるために、優れた透明性の実現が可能である。
逆に、前記第2ポリアミドセグメントによる第1ポリアミドセグメントの長さ成長抑制剤の効果が減少し、第1ポリアミドセグメントの長さ成長が過度に行われる場合、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が相対的に大きく測定され、前記ポリアミド樹脂は第1ポリアミドセグメントの結晶特性が増加することにより、ヘイズ値が急激に増加して透明性が不良になる。
その一方で、前記ポリアミド樹脂は十分な水準の重量平均分子量を有することができ、これにより十分な水準の機械的物性も達成することができる。
一方、前記ポリアミド樹脂は小角X線散乱装置によって測定される結晶化度が20%以下、または1%~20%であり得る。前記ポリアミド樹脂の結晶化度は小角X線散乱装置で10KeV~20KeV、または10KeV~14KeV、または16KeV~20KeVのエネルギを有するX線を照射して得られる散乱パターンを球形モデル(solid sphere model)にフィッティングして分析装備により測定可能である。前記小角X線散乱装置とこれに対する分析内容は前記個別結晶の平均粒径で上述した内容を含む。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が330000g/mol以上、420000g/mol以上、または500000g/mol以上、または330000g/mol~1000000g/mol、または420000g/mol~1000000g/mol、または500000g/mol~1000000g/mol、または420000g/mol~800000g/mol、または420000g/mol~600000g/mol、または450000g/mol~550000g/molであり得る。
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が高く測定されるのは、後述する本発明の他の実施形態のポリアミド樹脂の製造方法上溶融混練複合体の形成によるものと見られる。前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330000g/mol未満に減少すると、屈曲性、鉛筆硬度などの機械的物性が減少する問題がある。
前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0以下、または1.5以上3.0以下、または1.6以上3.0以下、または1.8以上3.0以下、または1.88以上2.95以下であり得る。このような狭い範囲の分子量分布により前記ポリアミド樹脂は屈曲特性または硬度特性のような機械的物性が向上することができる。前記ポリアミド樹脂の分子量分布が3.0超過で過度に広くなると、上述した機械的物性を十分な水準まで向上させにくい限界がある。
前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.56%~0.97%であり得る。前記ポリアミド樹脂のASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
好ましくは、前記ポリアミド樹脂は重量平均分子量が330000g/mol以上、420000g/mol以上、または500000g/mol以上、または330000g/mol~1000000g/mol、または420000g/mol~1000000g/mol、または500000g/mol~1000000g/mol、または420000g/mol~800000g/mol、または420000g/mol~600000g/mol、または450000g/mol~550000g/molを満たし、同時にASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.56%~0.97%であり得る。
前記ポリアミド樹脂を製造する方法の例としては、下記化学式10で表される化合物および下記化学式11で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階;および前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階;を含む、ポリアミド樹脂の製造方法を用いることができる。
前記化学式10~11において、Xはハロゲン、または水酸化基である。
本発明者らは前記ポリアミド樹脂の製造方法のように、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を融点以上の温度で混合すると、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の溶融により均一に混合された単量体の複合体を製造することができ、これを芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、前記化学式10で表される化合物から由来したアミド繰り返し単位、またはそれからなるブロックと、前記化学式11で表される化合物から由来したアミド繰り返し単位、またはそれからなるブロックが交互に(alternatively)重合できることを実験によって確認して発明を完成した。
すなわち、前記ポリアミド樹脂の製造方法によって、前記一実施形態のポリアミド樹脂が得られる。
具体的には、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物それぞれは化学構造的な差によって、溶解度および反応性において相異する様相を示すので、これらを同時に投入しても前記化学式10で表される化合物から由来したアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界があった。
そこで、前記ポリアミド樹脂の製造方法では前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を単に物理的に混合せず、それぞれの融点より高い温度での溶融混練による複合体形成により、それぞれの単量体が芳香族ジアミン単量体と相対的に均等に反応するように誘導した。
一方、既存のポリアミド樹脂の合成時には、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を溶媒に溶解させた後溶液状態で芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、水分による変質や、溶媒との混成により最終合成されるポリアミド樹脂の分子量が減少する限界があり、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の溶解度差によって前記化学式10で表される化合物から由来したアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界があった。
そこで、前記ポリアミド樹脂の製造方法では前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の溶融混練で得られる複合体をそれぞれの融点より低い温度(零下10℃~30℃、または0℃~30℃、または10℃~30℃)での冷却による固形粉末形態で有機溶媒に溶解した芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、最終合成されるポリアミド樹脂の分子量が向上することを確認し、これにより優れた機械的物性が確保されることを実験によって確認した。
具体的には、前記ポリアミド樹脂の製造方法は前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階を含み得る。
前記化学式10で表される化合物であり、Xはハロゲン、または水酸化基である。好ましくは前記化学式10において、Xは塩素である。前記化学式10で表される化合物の具体的な例としてはテレフタロイルクロリド、またはテレフタル酸が挙げられる。
前記化学式10で表される化合物は芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で前記化学式1で表される繰り返し単位を形成することができ、線状分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)が一定に維持されることができ、ポリアミドフィルムの表面硬度および機械的物性を向上させることができる。
前記化学式11で表される化合物において、Xはハロゲン、または水酸化基である。好ましくは前記化学式11において、Xは塩素である。前記化学式11で表される化合物の具体的な例としてはフタロイルクロリド、フタル酸、イソフタロイルクロリド、またはイソフタル酸が挙げられる。
前記化学式11で表される化合物は芳香族ジアミン単量体のアミド化反応で前記化学式2で表される繰り返し単位を形成することができ、曲がった分子構造によって、高分子内でチェーンパッキングと配列(Align)を妨げる性格を有しており、ポリアミド樹脂に無定形領域を増加させ、ポリアミドフィルムの光学的物性および耐折強さを向上させることができる。また、前記化学式8で表される化合物から由来した前記化学式2で表される繰り返し単位が化学式1で表される繰り返し単位とともにポリアミド樹脂に含まれることにより、ポリアミド樹脂の分子量を増加させることができる。
一方、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階で、前記溶融混練は前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を融点以上の温度で混合することを意味する。
このように、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を単に物理的に混合せず、それぞれの融点より高い温度での溶融混練による複合体形成により、それぞれの単量体が芳香族ジアミン単量体と相対的に均等に反応するように誘導することができる。
そのため、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の溶解度差によって前記化学式10で表される化合物から由来したアミド繰り返し単位が圧倒的に優勢に形成されることにより長さが長いブロックを形成してポリアミド樹脂の結晶性が増加し、透明性を確保することが難しくなる限界を克服し、前記一実施形態のように、第1ポリアミドセグメントおよび第2ポリアミドセグメントが交互に(alternatively)前記化学式3で表される交差繰り返し単位を含む主鎖を形成することができる。
このとき、前記化学式10で表される化合物100重量部に対して、前記化学式11で表される化合物が5重量部~60重量部、または5重量部~50重量部、または5重量部~25重量部、または10重量部~30重量部、または15重量部~25重量部で混合され得る。これにより、透過度およびclarityが増加する技術的効果が実現されることができる。前記化学式10で表される化合物100重量部に対して、前記化学式11で表される化合物が5重量部未満で過度に少なく混合される場合、不透明になり、Hazenessが増加する技術的課題が発生し、前記化学式10で表される化合物100重量部に対して、前記化学式11で表される化合物が60重量部超過で過度に過量混合される場合、物理的な特性(硬度、引張強度など)が減少する技術的問題が発生し得る。
また、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成することにおいて、前記凝固とは溶融状態の溶融混練物を融点以下の温度に冷却させて固化させる物理的変化を意味し、これにより形成される複合体は固体状態であり得る。より好ましくは前記複合体は追加的な粉砕工程などにより得られる固体粉末であり得る。
一方、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階は、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を50℃以上の温度で混合させる段階;および前記混合段階の結果物を冷却させる段階;を含み得る。
前記テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl chloride)は81.3℃~83℃の融点を有し、前記イソフタロイルクロリド(Isophthaloyl chloride)は43℃~44℃の融点を有し、前記フタロイルクロリド(Phthaloyl chloride)は6℃~12℃の融点を有することができる。そのため、これらを50℃以上、または90℃以上、または50℃~120℃、または90℃~120℃、または95℃~110℃、または100℃~110℃の温度で混合する場合、前記化学式7で表される化合物および前記化学式8で表される化合物すべての融点より高い温度条件であるから溶融混練が行われ得る。
前記混合段階の結果物を冷却させる段階では、前記溶融混練段階の結果物を5℃以下、または零下10℃~5℃、または零下5℃~5℃に放置することによって、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物すべての融点より低い温度条件であるため冷却によりより均一な固形粉末を収得することができる。
一方、前記混合段階の結果物を冷却させる段階の後に、前記冷却段階の結果物を粉砕させる段階をさらに含み得る。前記粉砕段階により、固形分の複合体を粉末形態に製造することができ、粉砕段階後に得られる粉末は平均粒径が1mm~10mmであり得る。
このような粒径に粉砕するために用いられる粉砕機は具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)、ジョグミル(jog mill)またはシーブ(sieve)、jaw crusherなどを用いることができるが、上述した例に限定されるものではない。
このように、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の融解合剤を融点より低い温度での冷却による固形分、具体的には固形粉末形態で芳香族ジアミン単量体と反応させることにより、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の水分による変質や、溶媒との混成を最小化して最終合成されるポリアミド樹脂の分子量を向上させることにより、ポリアミド樹脂の優れた機械的物性が確保されることができる。
また、前記ポリアミド樹脂の製造方法は、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物を溶融混練させ、前記溶融混練物を凝固させて複合体を形成する段階の後、前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階を含み得る。
前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階での反応は、零下25℃~プラス25℃の温度条件、または零下25℃~0℃の温度条件で、不活性気体の雰囲気下に行われ得る。
前記芳香族ジアミン単量体は、具体的には、例えば2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(4,4'-diaminodiphenyl sulfone)、4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'-(9-fluorenylidene)dianiline)、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'-tetrachlorobenzidine)、2,7-ジアミノフルオレン(2,7-diaminofluorene)、4,4-ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4-diaminooctafluorobiphenyl)、m-フェニレンジアミン(m-phenylenediamine)、p-フェニレンジアミン(p-phenylenediamine)、4,4'-オキシジアニリン(4,4'-oxydianiline)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenyl)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2-bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3-bis(4-aminophenoxy)benzene)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、p-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)および4,4'-ジアミノベンズアニリド(4,4'-diaminobenzanilide)からなる群より選ばれた1種以上を含み得る。
より好ましくは、前記芳香族ジアミン単量体としては2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミン(2,2'-bis(trifluoromethyl)-4,4'-biphenyldiamine,TFDB)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンジジン(2,2'-dimethyl-4,4'-diaminobenzidine)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、またはp-キシリレンジアミン(p-xylylenediamine)を使用することができる。
より具体的には、前記複合体を芳香族ジアミン単量体と反応させる段階は、前記芳香族ジアミン単量体を有機溶媒に溶解させてジアミン溶液を製造する段階;および前記ジアミン溶液に複合体粉末を添加する段階;を含み得る。
前記芳香族ジアミン単量体を有機溶媒に溶解させてジアミン溶液を製造する段階で、前記ジアミン溶液に含まれた芳香族ジアミン単量体は有機溶媒に溶解した状態で存在し得る。前記溶媒の例は大きく限定されるものではないが、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ガンマ-ブチロラクトン、乳酸エチル、メチル3-メトキシプロピオネート、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノールなど一般的な汎用有機溶媒が制限なく使用されることができる。
前記ジアミン溶液に複合体粉末を添加する段階で、前記複合体粉末はジアミン溶液内に溶解した芳香族ジアミン単量体と反応する。そのため、前記化学式10で表される化合物および前記化学式11で表される化合物の水分による変質や、溶媒との混成を最小化して最終合成されるポリアミド樹脂の分子量を向上させることにより、ポリアミド樹脂の優れた機械的物性が確保されることができる。
前記複合体粉末は前記混合段階の結果物を冷却させる段階の後、前記冷却段階の結果物を粉砕させる段階により、固形分の複合体を粉末形態に製造することができ、粉砕段階後に得られる粉末は平均粒径が1mm~10mmであり得る。
前記複合体と芳香族ジアミン単量体の間のモル比は大きく限定されるものではなく、例えば50:100~150:100、または95:100~110:100のモル比で反応させることができる。
一方、前記高分子樹脂組成物は金属塩化合物および末端キャッピング剤化合物からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。すなわち、前記高分子樹脂組成物は金属塩化合物1種、末端キャッピング剤化合物1種、あるいは金属塩化合物と末端キャッピング剤混合物のうちいずれか一つを含み得る。
前記金属塩化合物は前記高分子樹脂組成物に含有されたポリアミド樹脂マトリックス上に分散した状態で存在し得る。
前記金属塩化合物はアルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩を含み得る。前記アルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩はアルカリ金属またはアルカリ土金属とこれに対応する陰イオンを含む塩を意味する。
前記アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムのうち選択されるいずれか一つまたはこれらが混合されて使用されることができ、アルカリ土金属としてはベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのうち選択されるいずれか一つまたはこれらが混合されて使用されることができる。
前記アルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩は、アルカリ金属またはアルカリ土金属の有機カルボン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のアルコキシ塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のシュウ酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のフェノキシ塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属の有機スルホン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属の有機リン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のスルホン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のリン酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属の炭酸塩、アルカリ金属またはアルカリ土金属のハロゲン塩、およびアルカリ金属またはアルカリ土金属の硝酸塩からなる群より選ばれるいずれか一つ以上を含み得る。
前記アルカリ金属塩およびアルカリ土金属塩が有機カルボン酸塩、アルコキシ塩、フェノキシ塩、有機スルホン酸塩、有機リン酸塩より選択されるいずれか一つ以上である場合にこれらはそれぞれ脂肪族炭化水素の鎖、芳香族炭化水素環、または芳香族複素環基のうち選択されるいずれか一つ以上の官能基を含み得る。
この場合に前記脂肪族炭化水素の鎖は炭素数1~30のアルキル基であり、芳香族炭化水素環は炭素数6~40のアリール基であり、前記芳香族複素環基は炭素数2~40のヘテロアリール基として、前記アルカリ金属またはアルカリ土金属のカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩、有機リン酸塩などはそれぞれ脂肪族炭化水素の鎖として炭素数1~30のアルキル基、芳香族炭化水素環として炭素数6~40のアリール基、または芳香族複素環基として炭素数2~40のヘテロアリール基のうち選択されるいずれか一つ以上の官能基を含み得る。
前記金属塩化合物の具体的な例としては、リチウム塩化物(LiCl)、カルシウム塩化物(CaCl2)、マグネシウム塩化物(MgCl2)、ナトリウム塩化物(NaCl)およびカリウム塩化物(KCl)からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含み得る。
前記アルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩はそれぞれ水和物形態の塩を含み得る。この場合に前記アルカリ金属塩またはアルカリ土金属塩はそれぞれ水和物形態の塩のみからなるか、または水和物形態が30wt%以上、または50wt%以上、または70wt%以上からなる無水金属塩と水和物形態の混合物で構成されることができる。
一方、前記一実施形態の高分子樹脂組成物は、相対粘度が100KcP以下、または70KcP以下、または10KcP以上100KcP以下、または10KcP以上70KcP以下、または50KcP以上100KcP以下、または50KcP以上70KcP以下、または10KcP以上30KcP以下、または10KcP以上20KcP以下であり得る。前記相対粘度の測定方法としてはASTM D 2196基準を使用することができる。
具体的には、前記金属塩化合物を含む高分子樹脂組成物の相対粘度が100KcP以下、または70KcP以下、または10KcP以上100KcP以下、または10KcP以上70KcP以下、または50KcP以上100KcP以下、または50KcP以上70KcP以下、または10KcP以上30KcP以下、または10KcP以上20KcP以下であり得る。より具体的には、前記相対粘度は常温(20℃以上30℃以下)の温度条件を満たす高分子樹脂組成物に対して測定した値であり得る。前記温度条件を維持するために、例えば、25±0.2℃恒温還流システムを用いることができる。
前記高分子樹脂組成物は有機溶媒をさらに含み得る。前記有機溶媒の具体的な例としては例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、乳酸エチル、メチル3-メトキシプロピオネート、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン(Xylene)、メタノール、エタノール、ジフェニルアミン(DPA)など一般的な汎用有機溶媒が制限なく使用されることができる。
前記有機溶媒をさらに含む高分子樹脂組成物のうち前記ポリアミド樹脂の含有量が1重量%以上30重量%以下、または1重量%以上20重量%以下、または1重量%以上10重量%以下、または4重量%以上9重量%以下であり得る。前記有機溶媒をさらに含む高分子樹脂組成物のうち前記ポリアミド樹脂の含有量が1重量%以上30重量%以下である高分子樹脂組成物の相対粘度が100KcP超過で過度に増加すると、ゲル化が進行されることによりフィルム製膜工程効率が顕著に減少し、得られるフィルムの光学的透明性を確保しにくくなる。
すなわち、前記一実施形態の高分子樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂の固形分含有量が1重量%以上30重量%以下である高分子樹脂組成物の相対粘度が100KcP以下、または70KcP以下、または10KcP以上100KcP以下、または10KcP以上70KcP以下、または50KcP以上100KcP以下、または50KcP以上70KcP以下、または10KcP以上30KcP以下、または10KcP以上20KcP以下であり得る。
また、前記相対粘度は1重量%以上30重量%以下、または1重量%以上20重量%以下、または1重量%以上10重量%以下、または4重量%以上9重量%以下の前記ポリアミド樹脂の固形分含有量を満たす高分子樹脂組成物に対して測定した値であり得る。例えば、前記高分子樹脂組成物は有機溶媒、水系溶媒(水)またはこれらの混合物を添加して前記固形分含有量を調節することができる。
すなわち、前記高分子樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂の固形分含有量が1重量%以上30重量%以下、または1重量%以上20重量%以下、または1重量%以上10重量%以下、または4重量%以上9重量%以下である高分子樹脂組成物の相対粘度が100KcP以下、または70KcP以下、または10KcP以上100KcP以下、または10KcP以上70KcP以下、または50KcP以上100KcP以下、または50KcP以上70KcP以下、または10KcP以上30KcP以下、または10KcP以上20KcP以下であり得る。
例えば、前記高分子樹脂組成物は前記ポリアミド樹脂の固形分含有量が1重量%以上20重量%以下である高分子樹脂組成物の相対粘度が100KcP以下であり得る。
一方、前記末端キャッピング剤化合物は前記高分子樹脂組成物に含有されたポリアミド樹脂マトリックス状に分散した状態で存在し得る。
前記末端キャッピング剤化合物はポリアミド樹脂100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下で添加され得る。
前記末端キャッピング剤化合物はモノアミン化合物、モノアシルハライド化合物、モノ酸無水物化合物からなる群より選ばれた1種以上を含み得る。すなわち、前記末端キャッピング剤化合物はモノアミン化合物1種、モノアシルハライド化合物1種、モノ酸無水物化合物1種、モノアミン化合物1種とモノアシルハライド化合物1種の混合物、モノアシルハライド化合物1種とモノ酸無水物化合物1種の混合物、モノアミン化合物1種とモノ酸無水物化合物1種の混合物、またはモノアミン化合物1種とモノアシルハライド化合物1種とモノ酸無水物化合物1種の混合物を含み得る。
前記高分子樹脂組成物に含まれた末端キャッピング剤化合物は、前記高分子樹脂組成物に含まれたポリアミド樹脂の末端官能基の種類によって、一部はポリアミド樹脂末端官能基と反応し得、残りは反応せずポリアミド樹脂マトリックス状に分散した状態で存在し得る。
例えば、前記高分子樹脂組成物に含まれたポリアミド樹脂の末端官能基がアミノ基である場合、モノアミン化合物は反応せず分散した状態で存在し、モノアシルハライド化合物やモノ酸無水物化合物はアミノ基と反応することができる。
また、前記高分子樹脂組成物に含まれたポリアミド樹脂の末端官能基がアシルクロリド基である場合、モノアシルハライド化合物やモノ酸無水物化合物は反応せず分散した状態で存在し、モノアミン化合物はアシルクロリド基と反応することができる。
具体的には、前記モノアミン化合物は下記化学式5で表される化合物を含み得る。
前記化学式5において、R1は炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基の一つである。前記炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基それぞれは置換または非置換され得、前記置換基の例は上述したとおりである。
具体的には、前記化学式5において、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1-フェニル基、4-フェニル-1-フェニル基、4-メチルフェニル-1-フェニル基、4-フェニル-1-メチルフェニル基、4-メチルフェニル-1-メチルフェニル基、3-フェニル-1-フェニル基、3-メチルフェニル-1-フェニル基、3-フェニル-1-メチルフェニル基、または3-メチルフェニル-1-メチルフェニル基のうちいずれか一つであり得る。
前記化学式5で表される化合物の具体例としては、下記化学式5-1で表される化合物群のいずれか一つが挙げられる。
一方、前記モノアシルハライド化合物は下記化学式6で表される化合物を含み得る。
前記化学式6において、R2は炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基の一つであり、Xはハロゲンである。炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基それぞれは置換または非置換され得、前記置換基の例は上述したとおりである。
具体的には、前記化学式6において、R2はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-1-フェニル基のうちいずれか一つであり得る。前記化学式6において、Xは塩素である。
前記化学式6で表される化合物の具体例としては、下記化学式6-1で表される化合物群のいずれか一つが挙げられる。
一方、前記モノ酸無水物化合物は下記化学式7で表される化合物を含み得る。
前記化学式7において、R3は炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルケニレン基、または炭素数6~30のアリーレン基の一つである。
前記炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルケニレン基、または炭素数6~30のアリーレン基それぞれは置換または非置換され得、前記置換基の例は上述したとおりである。
具体的には、前記化学式7において、R3はエチレン基、1-メチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、エテニレン基、1-メチルエテニレン基、1,2-ジメチルエテニレン基、シクロへキシレン基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチレン基、ノルボルネニレン基、フェニレン基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基のうちいずれか一つであり得る。
前記化学式7で表される化合物の具体例としては、下記化学式7-1で表される化合物群のいずれか一つが挙げられる。
前記高分子樹脂組成物は下記数式1による粘度変化率が5%以下、または0.10%以上5%以下、または0.10%以上3%以下、または0.10%以上2%以下であり得る。具体的には、前記末端キャッピング剤化合物を含む高分子樹脂組成物の下記数式1による粘度変化率が5%以下、または0.10%以上5%以下、または0.10%以上3%以下、または0.10%以上2%以下であり得る。
[数式1]
粘度変化率(%)=(常温で24時間保管後高分子樹脂組成物の粘度-常温で24時間保管前高分子樹脂組成物の粘度)の絶対値/常温で24時間保管前高分子樹脂組成物の粘度*100。
すなわち、前記高分子樹脂組成物は有機溶媒をさらに含み得る。前記有機溶媒の具体的な例としては例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ガンマ-ブチロラクトン(GBL)、乳酸エチル、メチル3-メトキシプロピオネート、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン(Xylene)、メタノール、エタノール、ジフェニルアミン(DPA)など一般的な汎用有機溶媒が制限なく使用されることができる。
前記有機溶媒をさらに含む高分子樹脂組成物のうち前記ポリアミド樹脂の含有量が1重量%以上30重量%以下、または1重量%以上20重量%以下、または1重量%以上15重量%以下、または5重量%以上15重量%以下であり得る。
より具体的には、前記粘度は固形分含有量が5重量%以上15重量%以下である高分子樹脂組成物に対して測定された相対粘度であり、より具体的な相対粘度の測定方法の例としては、ジメチルアセトアミド(DMAc)溶媒を用いて高分子樹脂組成物の固形分含有量を8wt%に調節した後、ASTM D 2196の非ニュートン物質の回転粘度計試験方法としてBrookfield viscometer DV-2Tを用いて、brookfield社のシリコンオイル(silicon oil)を標準物質として5000cps~100000cpsの粘度範囲を有する多数の標準溶液を用いて、spindle LV-4(64)、0.3~100RPMで相対粘度を測定することができる。
前記高分子樹脂組成物が前記数式1による粘度変化率が5%超過で過度に増加すると、前記高分子樹脂組成物を用いた高分子樹脂合成工程での長期保管時の粘度変化によって貯蔵安定性が減少する限界がある。
前記高分子樹脂組成物は有機溶媒、水、その他添加剤をさらに含み得、前記有機溶媒の例は上述したとおりである。
2.高分子フィルム
発明の他の実施形態によれば、前記一実施形態の高分子樹脂組成物の硬化物を含む高分子フィルムが提供されることができる。
前記高分子樹脂組成物に関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
より具体的には前記高分子フィルムは前記一実施形態の高分子樹脂組成物の硬化物を含み得、前記硬化物とは、前記一実施形態の高分子樹脂組成物の硬化工程を経て得られる物質を意味する。これにより、前記ポリアミド樹脂は前記高分子フィルムのマトリックスを形成することができる。
前記一実施形態の高分子樹脂組成物を用いて高分子フィルムを製造する場合、優れた光学的物性および機械的物性を実現できると同時に、柔軟性まで備えるようになり、多様な成形品の材料として使用されることができる。例えば、前記高分子フィルムはディスプレイ用基板、ディスプレイ用保護フィルム、タッチパネル、フォルダブル機器のウィンドウカバーなどに適用することができる。
前記高分子フィルムの厚さは大きく限定されるものではないが、例えば、0.01μm~1000μm範囲内で自由に調節可能である。前記高分子フィルムの厚さが特定数値だけ増加または減少する場合、高分子フィルムで測定される物性も一定数値だけ変化し得る。
一方、前記高分子フィルムは、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂;および金属塩化合物を含む高分子樹脂組成物の硬化物を含む高分子フィルムであり得る。
前記高分子フィルムは誘導結合プラズマ分光器を用いて測定した金属塩化合物の含有量が前記高分子フィルム1g以下、または0.1g以上1g以下、または0.4g以上0.6g以下を基準として2000ppm以下、または500ppm以下、または300ppm以下、または250ppm以下、または0.01ppm以上、または0.1ppm以上であり得る。
より具体的には、前記高分子フィルムは誘導結合プラズマ分光器を用いて測定した塩素(Cl)含有量が前記高分子フィルム1g以下、または0.1g以上1g以下、または0.4g以上0.6g以下を基準として2000ppm以下、または500ppm以下、または300ppm以下、または250ppm以下、または0.01ppm以上、または0.1ppm以上であり得る。
具体的には、前記金属塩化合物の含有量あるいは塩素(Cl)の含有量は高分子フィルム1g以下、または0.1g以上1g以下、または0.4g以上0.6g以下が含有された試料溶液を対象に、誘導結合プラズマ分光器(ICP-OES:Optima8300DV,Perkinelmer)を用いて測定することができる。
前記誘導結合プラズマ分光器の測定条件の例は大きく限定されるものではないが、一例としてMain column:IonPac AS18 analytical(4x250mm)、Guard column:IonPac AG18 guard(4x50mm)、Eluent種類:KOH(30.5 mM)、Eluent流量:1mL/min、検出器:Suppressed Conductivity Detector,Suppressor Current:76Ma,Injection volumn:20μl、Isocratic/Gradient条件:Isocraticの条件で測定することができる。
すなわち、前記高分子フィルムは前記一実施形態の高分子樹脂組成物から金属塩化合物が除去された物質であり得る。
このように、前記一実施形態の高分子樹脂組成物から金属塩化合物を除去する方法の例としては前記一実施形態の高分子樹脂組成物に水やアルコール水溶液を用いた水洗工程が挙げられる。
具体的には例えば、前記高分子フィルムは、前記一実施形態の金属塩化合物を含む高分子樹脂組成物に水やアルコール水溶液を添加して水洗工程を経て内部の金属塩化合物を溶解させて除去することにより低い金属塩化合物含有量を有する溶液を製造した後,この溶液を任意の支持体上にコートして40μm以上60μm以下の厚さを有する膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥し、低い金属塩化合物含有量を有するフィルムを製造することができる。
必要に応じて膜から溶媒を蒸発乾燥した後に追加で膜に対して水やアルコール水溶液を用いた水洗工程を経て膜内部の金属塩化合物を溶解させて除去する工程を経てより低い金属塩化合物含有量を有するフィルムを製造することもできる。
また他の一例として、前記一実施形態の金属塩化合物を含む高分子樹脂組成物を任意の支持体上にコートして5μm以上40μm以下の厚さを有する膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥した後、膜に対して水やアルコール水溶液を用いた水洗工程を経て膜内部の金属塩化合物を溶解させて除去することにより低い金属塩化合物含有量を有するフィルムを製造することができる。
前記アルコール水溶液の具体的な例は限定されるものではないが、例えば、アルコールと水を1:1~1:5、または1:2~1:4の割合で混合したアルコール水溶液が挙げられ、前記アルコールの例としてはメタノール、エタノールなどを多様に使用することができる。
前記一実施形態で得られた高分子樹脂組成物を任意の支持体上にコートして膜を形成する工程は乾式法、湿式法のような通常のフィルム製造方法によって製造することができ、必要に応じて前記一実施形態で得られた高分子樹脂組成物の固形分沈殿段階と乾燥段階により高分子樹脂粉末を製造した後、前記高分子樹脂粉末を溶媒に再溶解する段階をさらに経た後にコーティングを行うことができる。
一方、前記高分子フィルムは、小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂;および末端キャッピング剤化合物を含む高分子樹脂組成物の硬化物を含む高分子フィルムであり得る。
より具体的には、前記高分子フィルムは小角X線散乱装置によって測定される個別結晶の平均粒径が8.0nm以下であるポリアミド樹脂;および前記ポリアミド樹脂に含まれた主鎖の少なくとも一末端に結合したアミド系あるいはイミド系末端キャッピング官能基;を含む高分子樹脂複合体またはその硬化物を含み得、前記硬化物とは、前記他の実施形態の高分子樹脂複合体の硬化工程を経て得られる物質を意味する。
前記ポリアミド樹脂に関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
前記高分子樹脂複合体で前記アミド系あるいはイミド系末端キャッピング官能基は前記ポリアミド樹脂に含まれた主鎖の少なくとも一末端に結合することができる。すなわち、前記高分子樹脂複合体はポリアミド樹脂の一末端あるいは両末端とアミド系あるいはイミド系末端キャッピング官能基が化学的共有結合により相互結合された結合物であり得る。
前記アミド系末端キャッピング官能基は前記一実施形態のポリアミド樹脂と末端キャッピング剤化合物の反応生成物から由来した官能基として、分子内にアミド構造が内在した1価の官能基として、具体的には、下記化学式12で表される官能基、下記化学式13で表される官能基、および下記化学式14で表される官能基からなる群より選ばれた1種以上の官能基を含み得る。
前記化学式12において、
R4は炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基の一つである。
より具体的には、前記化学式12で表される官能基は前記一実施形態のモノアミン化合物とポリアミド樹脂の反応生成物から由来した官能基として、前記化学式12のR4に関する内容は前記一実施形態の化学式5のR1で上述した内容をすべて含み得る。
前記化学式13において、R5は炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、または炭素数6~30のアリール基の一つである。
より具体的には、前記化学式13で表される官能基は前記一実施形態のモノアシルハライド化合物とポリアミド樹脂の反応生成物から由来した官能基として、前記化学式13のR5に関する内容は前記一実施形態の化学式6のR2で上述した内容をすべて含み得る。
前記化学式14において、R6は炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルケニレン基、または炭素数6~30のアリーレン基の一つである。
より具体的には、前記化学式14で表される官能基は前記一実施形態のモノ酸無水物化合物とポリアミド樹脂の反応生成物から由来した官能基として、前記化学式14のR6に関する内容は前記一実施形態の化学式7のR3で上述した内容をすべて含み得る。
また、前記イミド系末端キャッピング官能基は前記一実施形態のポリアミド樹脂と末端キャッピング剤化合物の反応生成物から由来した官能基として、分子内にイミド構造が内在した1価の官能基として、具体的には、下記化学式15で表される官能基を含み得る。
前記化学式15において、R7は炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基、炭素数3~20のシクロアルキレン基、炭素数3~20のシクロアルケニレン基、または炭素数6~30のアリーレン基の一つである。
前記アミド系あるいはイミド系末端キャッピング官能基は前記ポリアミド樹脂に含まれた主鎖の一末端あるいは両末端に結合することができる。例えば、前記ポリアミド樹脂に含まれた主鎖の末端に前記化学式1で表される繰り返し単位が位置する場合、化学式1の繰り返し単位と前記化学式12のアミド系末端キャッピング官能基が結合して下記化学式16で表される末端構造を形成することができる。
また、前記化学式1の繰り返し単位と前記化学式13のアミド系末端キャッピング官能基が結合して下記化学式17で表される末端構造を形成することができる。
また、前記化学式1の繰り返し単位と前記化学式14のアミド系末端キャッピング官能基が結合して下記化学式18で表される末端構造を形成することができる。
また、前記化学式1の繰り返し単位と前記化学式15のイミド系末端キャッピング官能基が結合して下記化学式19で表される末端構造を形成することができる。
すなわち、前記高分子樹脂複合体は前記一実施形態の高分子樹脂組成物に含有されたポリアミド樹脂と末端キャッピング剤化合物の反応生成物を含み得る。前記ポリアミド樹脂と末端キャッピング剤化合物に関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
具体的には、前記高分子樹脂組成物に含有された末端キャッピング剤化合物は、ポリアミド樹脂末端官能基の種類によって、反応して結合を形成することができる。前記ポリアミド樹脂は合成に使用されるアシルクロリドとアミンの間のモル比に応じて末端官能基としてアミノ基またはアシルクロリド基を含み得る。例えば、前記ポリアミド樹脂の両末端のいずれもがアミノ基であるか、両末端のいずれもがアシルクロリド基であるか、一末端はアミノ基で他の一末端はアシルクロリド基であり得る。
前記ポリアミド樹脂の末端官能基がアミノ基である場合、モノアシルハライド化合物が反応してアミド結合を形成したり、モノ酸無水物化合物が反応してアミド結合を形成することができる。
また、前記ポリアミド樹脂の末端官能基がアシルクロリド基である場合、モノアミン化合物が反応してアミド結合を形成することができる。
前記高分子フィルムは前記一実施形態の高分子樹脂組成物に含有されたポリアミド樹脂を使用して製造されることにより無色透明でありながらも優れた機械的物性を示すことができる。
具体的には、前記高分子フィルムは、20μm以上60μm以下の厚さを有する試験片に対してASTM D1003に基づいて測定されたヘイズ(haze)値が3.0%以下、または1.5%以下、1.00%以下、または0.85%以下、または0.10%~3.0%、または0.10%~1.5%、または0.10%~1.00%、または0.50%~1.00%、または0.56%~0.97%、または0.70%~1.00%、または0.74%~0.93%であり得る。前記高分子フィルムのASTM D1003によって測定したヘイズが3.0%超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
そして、前記高分子フィルムは、20μm以上60μm以下の厚さを有する試験片に対してASTM E313に基づいて測定された黄色指数値(yellow index,YI)が、4.0以下、または3.0以下、または0.5~4.0、または0.5~3.0、または3.17~3.44であり得る。前記高分子フィルムのASTM E313に基づいて測定された黄色指数値(yellow index,YI)が4.0超過に増加すると、不透明性が増大して十分な水準の透明性を確保し難い。
そして、前記高分子フィルムは20μm以上60μm以下の厚さを有する試験片に対して、550nm波長の可視光線に対する透過率(T、@550nm)が86%以上、または86%~90%であり得、388nm波長の紫外線に対する透過率(T、@388nm)が50.00%以上、または60.00%以上、または70%以上、または70%以上90%以下、または50.00%以上90.00%以下であり得る。
そして、前記高分子フィルムは、20μm以上60μm以下の厚さを有する試験片に対して測定された耐折強さ(175rpmの速度で135°の角度、0.8mmの曲率半径および250gの荷重での破断往復曲げ回数)値が4000Cycle以上、7000Cycle以上、または9000Cycle以上であり得る。
そして、前記高分子フィルムは、20μm以上60μm以下の厚さを有する試験片に対してASTM D3363に基づいて測定された鉛筆硬度(Pencil Hardness)値が1H以上、2H以上、または1H~4H、または2H~4Hであり得る。
3.樹脂積層体
発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態の高分子フィルムを含む基材;および前記基材の少なくとも一面に形成されるハードコート層;を含む樹脂積層体が提供されることができる。
前記基材は前記一実施形態のポリアミド樹脂を含み得、前記他の実施形態の高分子フィルムを含むこともできる。前記ポリアミド樹脂に関する内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含み得、前記高分子フィルムに関する内容は前記他の実施形態で上述した内容をすべて含み得る。
前記基材の少なくとも一面にはハードコート層が形成されることができる。前記基材の一面、または両面のすべてにハードコート層が形成されることができる。前記基材の一面にのみハードコート層が形成される場合、前記基材の反対面にはポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアルキル(メタ)アクリレート系、ポリオレフィン系およびポリサイクリックオレフィン系高分子からなる群より選ばれた1種以上の高分子を含む高分子フィルムが形成されることができる。
前記ハードコート層は0.1μm~100μmの厚さを有することができる。
前記ハードコート層はハードコート分野で知られている材質であれば大きな制限なく使用することができ、例えば前記ハードコート層は光硬化性樹脂のバインダ樹脂;および前記バインダ樹脂に分散した無機粒子または有機粒子を含み得る。
前記ハードコート層に含まれる光硬化型樹脂は紫外線などの光が照射されると重合反応を起こし得る光硬化型化合物の重合体として、当業界で通常のものであり得る。ただし、好ましくは、前記光硬化型化合物は多官能性(メタ)アクリレート系単量体またはオリゴマーであり得、この時、(メタ)アクリレート系官能基の数は2~10、または2~8、または2~7であることがハードコート層の物性確保の側面から有利である。または前記光硬化型化合物はペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であり得る。
前記無機粒子は例えばシリカ、アルミニウム、チタン、ジンクなどの金属原子、またはその酸化物、窒化物などであり得、それぞれ独立してシリカ微粒子、アルミニウムオキシド粒子、チタニウムオキシド粒子、またはジンクオキシド粒子などを使用することができる。
前記無機粒子は100nm以下、または5~100nmの平均半径を有することができる。前記有機粒子の種類も限定されるものではなく、例えば10nm~100μmの平均粒径を有する高分子粒子を使用することができる。
前記樹脂積層体はディスプレイ装置の基板またはカバーウィンドウなどに使用可能であり、高い光透過性および低いヘイズ特性と共に高い柔軟性および曲げ耐久性を有してフレキシブルディスプレイ装置の基板またはカバーウィンドウに使用可能である。すなわち、前記樹脂積層体が含まれたディスプレイ装置、または前記樹脂積層体が含まれたフレキシブルディスプレイ装置が実現されることができる。