JP7165850B2 - コンタクトレンズ装着具 - Google Patents

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Description

本発明は、コンタクトレンズを眼球に装着するために用いる装着具、コンタクトレンズを取り外すために用いる取外具、または、コンタクトレンズを着脱するための着脱具に関する。
コンタクトレンズを眼球に装着するためにはコンタクトレンズを手の指先に直接載せて、コンタクトレンズが眼球に触れるまで指先を眼球に近づけて装着する方法が一般的である。しかしながら、かかる方法では(1)手の指先にコンタクトレンズを載せる際には手の指先の凸部に対してコンタクトレンズの凸部側の面を載せることになるために、コンタクトレンズが手の指の上で不安定となりコンタクトレンズが落ちる恐れがあること、特に、顔を正面に向けた姿勢でコンタクトレンズを眼球に近づける際に、手の指の角度を水平から垂直へと傾けた際には、コンタクトを落とし易いこと、(2)コンタクトレンズを載せた手の指先を眼球に近づけていくと指によって視界が遮られ、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを位置合わせして装着することが困難であること、(3)手で直接コンタクトレンズに触れるため、事前に手を清潔に洗浄する必要がある上に、手に残った細菌がコンタクトレンズに付着するので衛生上問題があること、等の問題があった。
これらの問題に踏まえ、下記特許文献1では、コンタクトレンズを載せるための凹曲面で、かつ、進退自在の底部を備え、この底部をコンタクトレンズとは反対側から手の指先で押し出すことによりコンタクトレンズを載せたまま底部を容器から露出させ、そのまま手の指先を眼球に近づけることでコンタクトレンズを眼球に装着する器具が開示されている。コンタクトレンズの凸部側の面が底部の凹形状の接触面に密着するため、この器具はコンタクトレンズが落ちにくい構造となっている。
また、下記特許文献2では、コンタクトレンズを載せる載台に持ち手となる柄を設けたコンタクトレンズの装着具が記載されている。この装着具の載台は凹形状または環状であり、また、その載台の少なくとも一部分は透光性を有する。この装着具では載台が透光性を有するため、載台を眼球に近づけていった際にも視界が遮られることがない。
また、下記特許文献3では、コンタクトレンズを載置する先端部に対して軸部を介して把持部を設け、先端部のコンタクトレンズを載置する部分である載置部は、中心が凹部となっており、その周囲に接触部が設けられている装着具が記載されている。この装着具においては、載置部の直径はコンタクトレンズより小さく、接触部の形状は円環状であり、この円環状の接触部の一部に複数の切り欠き、または、複数の突起が設けられていてもよいとされている。この装着具によれば、載置部の直径がコンタクトレンズよりも小さいためコンタクトレンズの輪郭を識別しやすく、鏡を利用してコンタクトレンズの位置を観察しながら装着することができる。
一方、コンタクトレンズの取外しについては、下記特許文献4では、柔軟カップ体内に生理食塩水を注入した後、カップ口を使用者の目縁に被覆密着させ、手の指で繰り返し柔軟カップ体を圧したり緩めたりすることにより、コンタクトレンズを眼球から取り外する器具が記載されている。この器具によれば、直接コンタクトレンズに手を触れることなく眼球に装着されたコンタクトレンズを取り外すことができる。
次に、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができるものとしては、下記特許文献5では、可撓性柔軟材により形成された一対の挟着片を開閉可能に形成したコンタクトレンズ着脱用具であって、コンタクトレンズを装着する時には、閉じた状態の挟着片にコンタクトレンズを載せて、そのまま目に宛がい、コンタクトレンズを取り外す時には、挟着片を開角させて目に当てがい、コンタクトレンズを挟着片で挟むものが記載されている。このコンタクトレンズ着脱用具によれば、コンタクトレンズに直接手を触れることなく、コンタクトレンズの着脱が可能である。
また、下記特許文献6では、吸着盤に空気室の空洞と通じる穴が開けられていて、空気室の外殻は指先で形状変形させることができ、また、復元する弾力的素材からなっているコンタクトレンズ着脱器であって、空気室の外殻を指で押しつぶした状態で吸着盤にコンタクトレンズを当ててコンタクトレンズを吸着させる一方、コンタクトレンズを吸着した状態から空気室の外殻を指で押しつぶすことによりコンタクトレンズを吸着盤から取り外すものが記載されている。このコンタクトレンズ着脱器は、空気圧の変化を利用しており、指先だけで操作することができる。
特表2000-504968号公報 実開昭63-130027号公報 実開平1-170219号公報 登録実用新案第3157221号公報 実開昭57-2017号公報 実開昭62-54732号公報
しかしながら、特許文献1ではコンタクトレンズの凸部側の面が底部の凹形状の接触面に密着しているために、コンタクトレンズを眼球に装着しようとした時に、コンタクトレンズを底部から引き離しにくいという問題がある。また、底部のコンタクトレンズとは反対側に指をあてがい、その指を眼球に近づけてコンタクトレンズを挿入する際には、手で視界を遮ることになるために、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを位置合わせして装着することが困難であるという問題がある。
また、特許文献2ではコンタクトレンズを載台に載せた状態の時に、コンタクトレンズを安定させることが困難であり、載台を傾けるとコンタクトレンズを落としてしまうという問題がある。
また、特許文献3では液体の表面張力によりコンタクトレンズを載置部に付着しているが、液体の量により表面張力は異なるために、コンタクトレンズが載置部から落ちやすくなったり、逆に、眼球にコンタクトレンズを挿入する際に載置部からコンタクトレンズを引き離しにくくなったりするという問題がある。また、円環状の接触部の一部に複数の切り欠き、または、複数の突起を設けることもできるが、状況によって異なる表面張力を考慮して切り欠きや突起の設計をすることは困難であるという問題もある。
一方、コンタクトレンズの取外しについては、特許文献4では柔軟カップ体内に生理食塩水を相当量注入する必要があり、生理食塩水の準備に手間がかかると共に、液体を扱うため手や顔が濡れることになるため、取り扱いにくいという問題がある。また、取り外されたコンタクトレンズは柔軟カップ体内の生理食塩水の中に沈んでいるので、これを取り上げるには手間がかかるという問題もある。
次に、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができるものとしては、特許文献5及び特許文献6のものがあるが、特許文献5では、コンタクトレンズを取り外すには、挟着片を開角させて目に当てがい、挟着片の頂部にコンタクトレンズを挟まなければならないため、挟着片を当てがう時の位置決めが難しいという問題がある。挟着片の眼球からの距離が遠い場合はコンタクトレンズを挟着片で挟むことができないし、挟着片の眼球からの距離が近すぎると挟着片で眼球を強く押し付けてしまう恐れがある。
また、特許文献6では、空気圧の変化を利用したコンタクトレンズ着脱器を指先だけで操作することができるものの、コンタクトレンズ着脱器を持った手により視界を遮るために、コンタクトレンズ着脱器の位置決めが難しいという問題がある。また、コンタクトレンズ装着器を目に近づけていくときに視界が遮られる状態であると、使用者は条件反射で瞼を閉じてしまい易いという問題もある。
そこで、本発明の目的は、簡易な構造によって片手で簡単に操作でき、眼球の角膜に対して正確に位置合わせすることができると共に、コンタクトレンズ着脱器を持った手により視界を遮ることを回避することができ、かつ、コンタクトレンズを装着すること、取外すこと、または、着脱することが可能なコンタクトレンズ用器具を提供することにある。
また本発明の別の目的は、眼球の角膜に対してコンタクトレンズ搭載面を三次元的に位置合わせし、さらに、シャフト部材を初期位置に自動的に復帰させることが可能なコンタクトレンズ用器具を提供することにある。
また本発明の別の目的は、搭載部のコンタクトレンズ搭載面のリミット状態での位置や、シャフト部材の初期状態での位置を調整することが可能なコンタクトレンズ用器具を提供することにある。
また本発明の別の目的は、搭載部が着脱可能なコンタクトレンズ用器具を提供することにある。
また本発明の別の目的は、コンタクトレンズの載置部にコンタクトレンズを安定して載置できるようにして、載置部を傾けてもコンタクトレンズが落ちることがないようにすると共に、コンタクトレンズを眼球に装着した際にはコンタクトレンズを載置部から引き離しやすくし、かつ、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを位置合わせすることができるコンタクトレンズ挿入具を提供することにある。
さらに本発明の別の目的は、簡易な構造によって片手で簡単にコンタクトレンズを取り外すことができると共に、眼球の角膜に取り付けられたコンタクトレンズに対して正確に位置合わせすることができるコンタクトレンズ取外具を提供することにあることにある。
さらに、本発明の別の目的は、コンタクトレンズの装着と、コンタクトレンズの取外しの両方ができるコンタクトレンズ着脱具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコンタクトレンズ用器具は、コンタクトレンズを載置する搭載部と、前記搭載部のコンタクトレンズ搭載面以外の部分に設けられた接続部と、前記接続部に接続された手の指で把持する把持部とからなるコンタクトレンズ用器具であって、前記搭載部にはコンタクトレンズを搭載可能なコンタクトレンズ搭載面が設けられ、前記把持部は前記搭載部を包み込む有底筒状で、内側に空間を形成する本体部材からなり、前記接続部は一端に前記搭載部が係合されたシャフト部材からなり、前記本体部材の内側には、前記シャフト部材が前記本体部材の底部と交差する方向に摺動自在に接続される手段が設けられており、前記摺動自在に接続される手段は、前記本体部材の底部から前記空間内の中に突設されたスリーブ部材であり、前記シャフト部材は前記本体部材の内側においてスリーブ部材を介して前記シャフト部材の延在方向に移動可能に係合されており、コンタクトレンズを装着すること、取外すこと、または、着脱することが可能であることを特徴とする。
また、第2の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1の態様のコンタクトレンズ用器具において、前記搭載部は前記コンタクトレンズ搭載面側が前記本体部材の開口側を向くように、前記シャフト部材の先端部に設けられていることを特徴とする。
また、第3の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1又は第2の態様のコンタクトレンズ用器具において、前記本体部材の開口側の形状は、眼球の周りの顔の凹凸形状に沿う形状であることを特徴とする。
また、第4の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第3のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記シャフト部材は前記本体部材の底部を貫通して接続されていることを特徴とする。
また、第5の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第4のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記シャフト部材の他端にはつまみが設けられ、前記つまみと前記本体部材の底部との間には、前記シャフト部材を前記一端側とは反対の方向に付勢するバネ部材が設けられていることを特徴とする。
また、第6の態様のコンタクトレンズ用器具は、第5の態様のコンタクトレンズ用器具において、前記つまみの前記シャフト部材における位置は、前記シャフト部材の延在方向に調整可能であることを特徴とする。
また、第の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第6のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記シャフトには前記シャフトの一端側からスリーブ部材に係合する拡径部が設けられていることを特徴とする。
また、第の態様のコンタクトレンズ用器具は、第の態様のコンタクトレンズ用器具において、前記拡径部の前記シャフト部材における位置は、前記シャフト部材の延在方向に調整可能であることを特徴とする。
また、第9の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第8のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記本体部材は透明または半透明の材料からなることを特徴とする。
また、第10の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第9のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記搭載部は半透明の材料からなることを特徴とする。
また、第11の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第10のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記搭載部は前記接続部に対して着脱自在に装着されていることを特徴とする。
また、第12の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第11のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ装着具であって、前記搭載部は前記コンタクトレンズ搭載面側に凹となる曲面状であり、前記搭載部の前記コンタクトレンズ搭載面側には、複数の突起が設けられており、前記複数の突起はコンタクトレンズ搭載面側に凸となるように設けられており、前記複数の突起がコンタクトレンズを支持することを特徴とする。
また、第13の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第11のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ取外し具であって、前記搭載部は前記コンタクトレンズ載置面側に凹となる吸盤部であることを特徴とする。
また、第14の態様のコンタクトレンズ用器具は、第1~第11のいずれかの態様のコンタクトレンズ用器具において、前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ着脱具であって、前記搭載部は前記コンタクトレンズ載置面側に凹となる吸盤部であり、前記吸盤部のコンタクトレンズ搭載面には通気孔の一端が開口していることを特徴とする。
また、第15の態様のコンタクトレンズ用器具は、第14の態様のコンタクトレンズ用器具において、前記通気孔の他端は外部に連通しているか、あるいは、空気室に連通していることを特徴とする。
本発明の第1の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、把持部は搭載部を包み込む有底筒状の本体部材からなるため、本体部材を片手で簡単に把持することができると共に、本体部材を眼球の周りの顔に宛がうことにより眼球の角膜に対して正確に位置合わせすることがでると共に、コンタクトレンズ着脱器を持った手により視界を遮ることを回避することができために、搭載部の位置調整のときに、条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。また、本体部材の内側に、シャフト部材が本体部材の底部と交差する方向に摺動自在に接続される手段が設けられていることにより、構造を簡単にすることができ、これにより小形軽量化も可能となる。さらに、このような構造は、コンタクトレンズを装着するコンタクトレンズ装着具、コンタクトレンズを取外すコンタクトレンズ取外し具、及び、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができるコンタクトレンズ着脱具に対して共通に適用することが可能である。そして、手で直接コンタクトレンズに触れることがないため、手に付いた細菌がコンタクトレンズに付着するという衛生上の問題もない。
また、シャフト部材は本体部材の内側においてスリーブ部材を介してシャフト部材の延在方向に移動可能に係合されるので、より構造を簡単にすることができ、これにより小形軽量化も可能となる。
また、本発明の第2の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、シャフト部材を本体部材の底部と交差する方向に摺動させることにより、コンタクトレンズ搭載面と眼球との間の距離を調整することができる。
また、本発明の第3の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、本体部材の開口側の形状は、眼球の周りの顔の凹凸形状に沿う形状であるから、顔の凹凸に合わせて前記本体部材をより正確に位置合わせすることができるため、眼球の角膜に対してより正確にコンタクトレンズ搭載面を位置合わせすることができる。
また、本発明の第4の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、簡単な構造によりシャフト部材を本体部材の底部と交差する方向に滑らかに摺動させることができる。
また、本発明の第5の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、シャフト部材はバネ部材により搭載部が設けられている先端部とは反対の方向に付勢されているから、コンタクトレンズを取り付け際に、本体部材を眼球の周りの顔に宛がった状態で、シャフト部材が初期位置にある状態から搭載部と反対側からバネ部材の付勢に抗して手の指でゆっくりとつまみを押し込み、コンタクトレンズが眼球に触れるところでつまみから指を離せば、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを三次元的に位置合わせすることができる。さらに、つまみから指を離しただけで、前記シャフト部材は初期位置に自動的に復帰するために、使用者が自分の指でシャフト部材を初期位置まで毎回戻す必要がない。コンタクトレンズを取り外す場合にも同様である。
また、本発明の第6の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、搭載部のコンタクトレンズ搭載面のリミット状態での位置を、つまみ16のシャフト部材長さ方向の位置によって調整することができる。
また、本発明の第の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、シャフト部材の初期状態での位置を、拡径部のシャフト部材長さ方向の位置によって規定することができる。
また、本発明の第の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、シャフト部材の初期状態での位置を、拡径部のシャフト部材長さ方向の位置によって、調整することができる。
また、本発明の第の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、本体部材は透明または半透明の材料からなるから、本体部材により視界が遮られることはないため、本体部材を眼球の周りの顔に容易に位置合わせすることができ、また、本体部材を眼球に近づけていく際に条件反射で瞼を閉じてしまうことがなくなる。搭載部と眼球の角膜との間の距離を調整する際にも、周囲の視界が確保された状態となるために、条件反射で瞼を閉じてしまうことがなくなる。
また、本発明の第10の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、搭載部は半透明の材料からなる構成を有しているから、当該コンタクトレンズ用器具によってコンタクトレンズを眼球に装着する際に、搭載部によって視界が遮られることを防ぐことができるため、眼球の角膜に対してより正確にコンタクトレンズを位置合わせすることができる。また、常にコンタクトレンズの方向の視野を確保することができるため、条件反射で瞼を閉じてしまうことを、さらに確実に防ぐことができる。
また、本発明の第11の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、搭載部は着脱可能であり、搭載部を取り外して洗浄することが可能である。また、搭載部を交換することもできるので、新品への交換、コンタクトレンズの寸法に応じた交換等も可能であり、さらに、搭載部を、コンタクトレンズを吸い付ける機能を有するものに交換すれば、コンタクトレンズの装着のみでなく、コンタクトレンズの取外し、あるいは、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができる。
また、本発明の第12の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、コンタクトレンズの搭載部にコンタクトレンズを安定して載置できる。また、コンタクトレンズは、搭載部に設けられた複数の突起群の先端に支持されているため、コンタクトレンズを眼球に装着した際にはコンタクトレンズを搭載部から引き離しやすい。そして、当該装置を手の指で把持する把持部は、搭載部から離れた位置にあるため、手によって視界が遮られることがなく、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを位置合わせすることができる。したがって、コンタクトレンズの搭載部にコンタクトレンズを安定して載置できるために、搭載部を傾けてもコンタクトレンズが落ちることがない。また、コンタクトレンズを眼球に装着した際にはコンタクトレンズを搭載部から引き離しやすい。さらに、眼球の角膜に対して正確にコンタクトレンズを位置合わせすることができる。そして、手で直接コンタクトレンズに触れることがないため、手に付いた細菌がコンタクトレンズに付着するという衛生上の問題もない。
また、本発明の第13の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、吸盤部によりコンタクトレンズを吸引して吸い付けることにより、コンタクトレンズを取り外すことができる。
また、本発明の第14の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、通気孔により負圧を発生させることによりコンタクトレンズを吸盤部に吸い付けることができるため、1つの吸盤部によってコンタクトレンズの装着と取外しの両方を可能とすることができる。
また、本発明の第15の態様のコンタクトレンズ用器具によれば、通気孔の他端が外部に連通している場合には通気孔に連通する開口を手の指で塞ぐことによりコンタクトレンズと吸盤部との間に負圧を発生させることができる。また、通気孔の他端が空気室に連通している場合には、弾性変形する空気室を手の指で押し縮めることによりコンタクトレンズと吸盤部との間に負圧を発生させることができる。
実施形態1に係るコンタクトレンズ装着具の斜視図である。 図1のI-I線での断面図である。 実施形態1に係るコンタクトレンズ装着具の上面図である。 実施形態1に係るコンタクトレンズ装着具の初期状態における断面図である。 実施形態1に係るコンタクトレンズ装着具の接触状態における断面図である。 載置部の一例の上面図である。 載置部の他の例の上面図である。 突起部の断面図である。 実施形態2のコンタクトレンズ装着具の断面図である。 実施形態3のコンタクトレンズ装着具の斜視図である。 実施形態4のコンタクトレンズ装着具の斜視図である。 実施形態5のコンタクトレンズ取外具の斜視図である。 図12のII-II線での断面図である。 実施形態5のコンタクトレンズ取外具の上面図である。 実施形態5のコンタクトレンズ取外具の初期状態の断面図である。 実施形態5のコンタクトレンズ取外具の接触状態の断面図である。 実施形態5のコンタクトレンズ取外具のコンタクトレンズ取外後の断面図である。 実施形態6のコンタクトレンズ着脱具の断面図である。 実施形態7のコンタクトレンズ着脱具の断面図である。 実施形態8のコンタクトレンズ取外具の斜視図である。 実施形態9のコンタクトレンズ着脱具の斜視図である。 実施形態10のコンタクトレンズ着脱具の斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコンタクトレンズ装着具、取外具、着脱具を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
[実施形態1]
図1~8を参照して、実施形態1のコンタクトレンズ装着具を説明する。図1~3に示すように、実施形態1のコンタクトレンズ装着具10は、コンタクトレンズを載置する載置部11と、載置部11のコンタクトレンズ載置面23以外の部分に設けられた接続部としてのシャフト部材12と、シャフト部材12に接続された手の指で把持する把持部としての本体部材13を備えている。本体部材13は載置部11を側面側及び底面側から覆うような有底筒状の部材であり、コンタクトレンズ載置面23側に開口22有しており、底部18と、底部から開口22に向けて立ち上がった側部19と、側部19の開口22側に設けられたリップ部20を備えている。
(本体部材13の材質)
本体部材13は透明または半透明の材料で形成されている。また、この材料は抗菌性を有することが望ましい。透明または半透明の材料としては樹脂材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリカーボネート、四フッ化エチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン、不飽和ポリエステル、エポキシ等の樹脂材料が挙げられる。また、これらの樹脂に抗菌性を持たせるために、これらの樹脂に抗菌剤を添加することが望ましい。抗菌剤としては、銀錯体系抗菌剤(チオサルファイト銀錯体とシリカゲルから構成される抗菌剤)、無機系抗菌剤(銀ゼオライト、チオサルファイト銀錯体等)、有機系抗菌剤(ニトリル誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェノールエーテル誘導体、ピロール誘導体等)等が挙げられる。シリコーン樹脂の中では例えばポリアミドシリコーン樹脂が抗菌剤の添加に適している。本体部材13は、公知の成型法、例えば、射出成型、真空成型、真空注型、圧空成型により作成することができる。
(リップ部について)
前記リップ部20は眼球の周りの顔の凹凸形状に合わせて成形されており、前記リップ部を眼球の周りの顔に宛がうと、前記リップ部20の滑らかな凹凸形状が顔の凹凸形状に一致するので、眼球の角膜に対して前記本体部材13を三次元的に位置合わせすることができる。また、前記リップ部20の材質は、前記本体部材13の他の部分よりも軟質な材質であることが望ましい。このような前記本体部材13を製造するためには、前記リップ部20を前記本体部材13の他の部分とは別に成形しておき、両者を接合させればよい。あるいは、前記リップ部20の部分だけを前記本体部材13の他の部分とは異なる材料とするように二色成形してもよい。このように軟質の材質で形成された前記リップ部は、眼球の周りの顔に密着するため、眼球の角膜の位置に対して前記本体部材13を正確に位置合わせすることができる。
次に、図1~3を参照して、前記リップ部20の形状を詳細に説明する。図2~3に描かれた向きは左目用となっているので、ここではコンタクトレンズ装着具10を左目の周りの顔に宛がう場合について説明する。図3の紙面に対して正面から左目に向けてコンタクトレンズ装着具10を宛がうことになる。図3に示すように、リップ部20の形状を上から見ると左右の曲率半径が異なる楕円状となっている。また、図2に示すように、リップ部20の左側が最も高い位置にあり、中央部に向けて凹曲面状となり、右側では左側よりも低い位置になるように再び滑らかに立ち上がっている。これは、左目よりも顔の中心側で鼻の左横に対してリップ部20の右側が当接し、左目の目尻の左横にリップ部20の左側が当接し、左目全体を完全に覆うように本体部材13を左目に宛がったときに、リップ部のなめらかな凹凸形状が顔の凹凸形状と一致するようにするためである。リップ部の開口側端部は顔の凹凸形状に一致するように、外側に向かって広がるように湾曲している。また、リップ部は軟質の材質でできているために、目の周りの顔に宛がったときに、リップ部20を顔に密着させることができるので、眼球の角膜に対してコンタクトレンズ装着具10を正確に位置決めすることができる。
また、コンタクトレンズ装着具10を右目に宛がうときには、図2~3の向きからシャフト部材12を中心にして180°回転させた向きで使用する。
(本体部材の形状について)
次に、本体部材13のリップ部以外の部位の形状について詳細に説明する。底部18は略円形である。底部から円筒状に側壁部が立ち上がり、開口22側では徐々にリップ部20の形状に一致するように外側に広がっている。図3に示すように、左側の広がりが一番大きく、次に右側の広がりが大きい、上側と下側では底部18の径と略同一の寸法となっている。また、この形状は一例であり、本体部材13の側部及び底部の形状は手で把持しやすいものであればどのような形状であってもかまわない。
底部18の中央部にはシャフト部材12を貫通するための貫通孔21が設けられている。貫通孔21の径はシャフト部材12をなめらかに摺動可能にする程度に設定されている。
(シャフト部材について)
次に、接続部としてのシャフト部材12の構造を説明する。シャフト部材12の開口22側の端部には載置部11が設けられ、他端にはつまみ16が設けられている。つまみ16はシャフト部材12よりも大径であり、後述するバネ部材17を受けるバネ受けとして作用する。つまみ16はシャフト部材12と一体に形成しても、別体としてもいずれでもかまわないが、後述のように、つまみ16のシャフト部材長さ方向の位置はシャフト部材のストロークを決定するので、つまみ16をシャフト部材12とは別体として、つまみ16のシャフト部材長さ方向の位置を調整できるようにしておくことが望ましい。
シャフト部材12の載置部11とつまみ16との間の部分は、本体部材13の底部18の貫通孔21と、スリーブ部材14とに貫通している。スリーブ部材14は円筒状の部材であり中心には貫通孔を有しており、この貫通孔にシャフト部材12を貫通した状態で、底部18よりも載置部11側、つまり、本体部材13の内部側に設けられている。このスリーブ部材14は、底部18に対して垂直に固定されており、シャフト部材12は底部18と垂直方向になめらかに摺動するように配置される。
図2では、スリーブ部材14が本体部材の内側で、底部18に固定されている例を示しているが、スリーブ部材14は底部18に固定されていなくともよい。スリーブ部材14が底部18に固定されていない場合には、つまみ16を底部18の水平方向へ操作することによって、シャフト部材12の角度を底部18に対して垂直な状態から可変にすることができるので、載置部11の位置を眼球の角膜に対して調整することができる。
また、スリーブ部材14は底部18の貫通孔21に嵌合するように固定されていてもよい。この場合には、シャフト部材12が直接貫通孔21に接触することがなく、スリーブ部材14のみに摺接することになり、シャフト部材12はスリーブ部材14に対して滑らかに可動できる。
また、シャフト部材12のスリーブ部材14よりも上の位置には拡径部15が設けられている。この拡径部15はシャフト部材12の他の部位よりも大径となるように設けられており、シャフト部材12と一体に形成しても、別部材として固着しても、いずれでもよいが、後述のように拡径部15の位置は初期状態の各部の距離関係を決定するものであるので、拡径部15をシャフト部材12とは別部材として設け、拡径部15のシャフト部材12長さ方向の位置を調整できるようにしておくことが望ましい。
また、図2では拡径部15の長さを比較的短い長さL1として示しているが、この長さを後述する初期状態におけるスリーブ部材14と載置部11との間の長さL2としてもよい。すなわち、拡径部15の長さは、L2以下の任意の長さとすることができる。
底部18の載置部11とは反対側からはシャフト部材12が延出して、その先端にはつまみ16が設けられている。シャフト部材12のつまみ部16と底部との間には、バネ部材17が外嵌され、シャフト部材12は載置部11とは反対方向に付勢されている。
シャフト部材は図2では、つるまきバネであるバネ部材17の内側にシャフト部材12が配置されるものとして示されているが、必ずしも図2のとおりの配置でなくてもよく、例えば、シャフト部材の周囲にその内側にシャフト部材12が配置されるのではない態様でバネ部材17を配置してもかまわないし、バネ部材はつるまきバネ以外の弾性部材、例えば板バネ等でもかまわない。また、つまみ16側と本体部材13の底部18側の一方、または両方に適宜のバネ受けを設けてもよい。
図4はリップ部20を左目の周りの顔に宛がって、眼球の角膜に対してコンタクトレンズ装着具10を位置決めした状態であって、つまみ16から手を離した状態を示す。ここで、L1~L4の定義は次のとおりとする。
L1:拡径部の長さ
L2:初期状態での載置部11とスリーブ部材との間の長さ
L3:初期状態での底部18とつまみ16との間の長さ
L4:載置部11に載置されたコンタクトレンズと眼球の角膜との初期状態での距離
ここで、「初期状態」とはつまみ16から手を離した状態をいう。初期状態ではバネ部材17によりシャフト部材12が載置部11とは反対方向に付勢されているので、載置部11が眼球の角膜から最も離れた状態となる。
図5は、リップ部20を左目の周りの顔に宛がって、眼球の角膜に対してコンタクトレンズ装着具10を位置決めした状態であって、つまみ16を押し込んで、眼球26にコンタクトレンズ27が触れた状態を示す。ここで、L2'、L3'、L5、L6の定義は次のとおりとする。
L2':接触状態での載置部11とスリーブ部材との間の長さ
L3':接触状態での底部18とつまみ16との間の長さ
L5 :初期状態から接触状態までにつまみ16を押し込んだ距離
L6 :バネ部材17が最も縮まった時の長さ
ここで「接触状態」とは、つまみ16を押し込んで、眼球26にコンタクトレンズ27が触れた状態を示す。
シャフト部材12の初期状態での位置は、拡径部15のシャフト部材長さ方向の位置によって決定される。シャフト部材12は載置部11と反対方向に付勢されているので、初期状態においては拡径部15がスリーブ部材14の端面に押し付けられて止まっている。したがって、載置部11に載置したコンタクトレンズの初期位置は、拡径部15のシャフト部材長さ方向の位置によって調整することができる。
一方、接触状態においては、バネ部材の付勢力に抗して手の指でつまみ16を載置部11側に押し込み、その押し込み距離がL5になったところで、載置部11に載置したコンタクトレンズ27が眼球26にちょうど接触する。したがって、接触状態とするためには、手の指でつまみ16を押し込む距離を調整すればよい。
接触状態からつまみ16をさらに押し込もうとすると、バネ部材17の長さがL6となったところで、バネ部材17が最も縮まった長さとなるので、それ以上つまみ16を押し込むことはできない。バネ部材17がリミッタの作用を持つ。この状態を「リミット状態」と呼び、この時の底部18とつまみ16との間の長さをL3''と定義する。したがって、載置部11に載置したコンタクトレンズのリミット状態での位置は、つまみ16のシャフト部材長さ方向の位置によって調整することができる。なお、ここではバネ部材17にリミッタの作用を持たせる例を説明したが、これに限らず、別途、シャフト部材が押し込まれすぎることを防ぐリミッタ部材を設けてもよい。
L3'':リミット状態での底部18とつまみ16との間の長さ
(載置部について)
載置部11はシャフト部材12の開口22側に固定されており、コンタクトレンズ27はコンタクトレンズ載置面23に載置される。載置部11をシャフト部材の先端に固定する方法としては、ねじ留め、スナップ、凹凸嵌合、接着等が挙げられるところ、載置部11を交換できるように着脱自在に固定することが望ましい。載置部が着脱可能であると、載置部を取り外して洗浄することが可能である。また、載置部を交換することもできるので、新品への交換、コンタクトレンズの寸法に応じた交換等も可能であり、さらに、載置部を、コンタクトレンズを吸い付ける機能を有するものに交換すれば、コンタクトレンズの取外しや、コンタクトの装着と取外しの両方が可能である。コンタクトレンズを吸い付ける機能を有する載置部の構成の詳細については後述する。
載置部11の形状は、図3に示すように開口22側から見ると円形であり、図1に示すように開口22側に凹となる曲面状をしており、また図2に示すように横断面は円弧状の形状をしている。載置部11は柔軟性のある材料で形成されているので変形可能である。載置部11の横断面形状は、コンタクトレンズを載置した状態では載置部11の曲面形状はコンタクトレンズの凸曲面形状と一致しており、その曲率半径はコンタクトレンズの曲率半径と略一致し、かつ、その曲率半径は眼球の角膜の曲率半径と略一致している。したがって、コンタクトレンズを載置した状態で手の指でつまみ16を押し込んで載置部11を眼球に近づけていき、接触状態となった時に、コンタクトレンズの曲率半径と眼球の角膜の曲率半径が略一致しているためにコンタクトレンズが眼球の角膜に張り付きやすくなり、また、コンタクトレンズは突起群に載置しているため載置部11から引き離し易くなる。
コンタクトレンズの曲率半径はBC(Base Curve、単位はmm)で表され、直径はDIA(Diameter、単位はmm)で表される。BCとはコンタクトレンズの曲面の曲率半径であり、DIAはコンタクトレンズを正面から投影した直径である。BCは使用者の眼球の角膜の曲率半径にあったものを選ぶが、ソフトコンタクトレンズ、特に使い捨てコンタクトレンズは柔軟であり、角膜にフィットするようにできているため、コンタクトレンズによってはBCが一種類のものもある。使い捨てコンタクトレンズのBCは8.3~9.0程度のものが多く、特に8.6~8.7のものが多い。
そこで、載置部11の曲率半径を8.6mm~8.7mm程度に設定しておけば、多くの使い捨てコンタクトレンズに対して、共通に使用することが可能である。
一方、ハードコンタクトレンズの場合には、BCの違いが使用者のフィット感に大きく影響する。そのため、ハードコンタクトレンズではBCの種類がきめ細かく用意されている。この場合、曲率半径が異なる載置部11を複数種類用意しておき、コンタクトレンズのBCに応じて載置部11を交換することができる。あるいは、後述のように載置部に設けられた突起群の高さにより、コンタクトレンズのBCに応じた調整をすることもでき、さらには、1つの載置部により複数種類のBCに対応することも可能である。
載置部11の直径は、コンタクトレンズの直径よりも若干小さくなっている。このため、載置部11を眼球に近づけていき接触状態となった時に、載置部11が直接、眼球に触れることがなく、安全であると共に、直接眼球に触れる部位が少ないことは衛生上も好ましい。逆に、載置部11の直径が小さすぎると、コンタクトレンズの載置が不安定となる恐れがある。
コンタクトレンズの直径であるDIAの値は、使い捨てソフトコンタクトレンズでは14mm前後、ハードコンタクトレンズでは9mm前後のものが多い。そこで、載置部11の直径は、使い捨てソフトコンタクトレンズ用としては5mm~14mm程度とし、ハードコンタクトレンズ用としては5mm~9mm程度が好ましい。
載置部11の材質は、柔軟な樹脂であれば特に限定されるものではないが、載置部11はコンタクトレンズに直接触れる部位なので、抗菌性樹脂であることが望ましい。また、載置部11を眼球に近づけていった時に条件反射で瞼を閉じてしまうことをより確実に防ぐためには、載置部11の材質は透明または半透明の樹脂材料であることが望ましい。透明または半透明の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリカーボネート、四フッ化エチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン、不飽和ポリエステル、エポキシ等の樹脂材料が挙げられる。また、これらの樹脂に抗菌性を持たせるために、これらの樹脂に抗菌剤を添加することが望ましい。抗菌剤としては、銀錯体系抗菌剤(チオサルファイト銀錯体とシリカゲルから構成される抗菌剤)、無機系抗菌剤(銀ゼオライト、チオサルファイト銀錯体等)、有機系抗菌剤(ニトリル誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェノールエーテル誘導体、ピロール誘導体等)等が挙げられる。シリコーン樹脂の中では例えばポリアミドシリコーン樹脂が抗菌剤の添加に適している。
コンタクトレンズを装着する際に点眼薬を併用する場合には、載置部11の材料として点眼薬の薬剤によって化学反応を生じないものを選択する必要がある。この場合には、例えばシリコーン樹脂を選択することが望ましい。載置部11は、公知の成型法、例えば、射出成型、真空成型、真空注型、圧空成型により作成することができる。あるいは、成型して得られたものを必要に応じてカットして作成してもよい。
載置部11はコンタクトレンズを載置する部分であるので清潔に保つ必要がある。載置部11が抗菌性樹脂からなる場合には、日頃の手入れとしては、コンタクトレンズ装着具10を水洗いするだけでよい。
(突起の配置について)
図6、7を参照して突起の配置の具体例について説明する。載置部11のコンタクトレンズ載置面23には、環状に配置された複数の突起からなる突起群が同心状に複数層設けられている。各突起は開口22側に凸となるように設けられている。ここで、「層」という用語は、コンタクトレンズ搭載面には環状に配置された複数の突起からなる突起群が同心円状に複数設けられているところ、各環状に配置された複数の突起からなる突起群のことをさす。図6では「2層」の突起群を有し、図7では「3層」の突起群を有する。
図6には、載置部11のコンタクトレンズ載置面の1つの例を示す。図6では、複数の突起からなる円周状に設けられた突起群が同心円状に2層設けられている。すなわち、突起群は外層突起群30と内層突起群31とからなる。外層突起群30及び内層突起群31は、載置部中心を中心とする同心円上に設けられている。外層突起群30は載置部11の外周に沿うように、その中心が1つの円周上に等間隔に並ぶように設けられている。内層突起群31は外層突起群30と載置部11の中心との間の1つの円周上にその中心が等間隔に並ぶように設けられている。図6では、載置部11の中心と内層突起群31が並ぶ円周との距離は、内層突起群31が並ぶ円周と外層突起群30が並ぶ円周との距離に等しいが、これらの円周の半径は適宜変更可能である。
また、各層の突起群の中、隣り合う層の突起群について、内層の突起の数は外層の突起の数以下である。すなわち、図6では内層突起群の突起の数は、外層突起群の突起の数に等しいか、あるいは、それよりも少ない。
図6には外層突起群30の突起の個数が12個で、内層突起群31の突起の個数が8個であるものが例示されているが、突起の個数はこの例に限られず、16個と10個、10個と6個、8個と8個等、いろいろな組み合わせのものを採用することができる。外層の突起の数は3個以上であり、好ましくは8個以上であり、より好ましくは12個以上である。外層の突起の数が少ないと、コンタクトレンズが載置部11の外周の突起以外の部分に貼り付いて、コンタクトレンズ載置面からコンタクトレンズが離れにくくなってしまう。
ここで、外層突起群30の突起と載置部11の外周との距離について説明する。突起の形状は後述のように例えば半球状であり、この突起の載置部11への付け根部分は円形となる。一つの好ましい配置例としては、この突起の載置部11への付け根部分の円形が、載置部外周の円形に内接するものが挙げられる。このように突起を配置すると、コンタクトレンズが載置部11の周縁部に張り付いてしまうことを防ぎやすくなるため有利である。また、必ずしもこのように突起の載置部11への付け根部分の円形が、載置部外周の円形に内接する必要はなく、突起の載置部11への付け根部分の円形は、載置部外周の円形の内側に離れていてもかまわないので、突起の配置の自由度を上げることもできる。この場合に、突起の載置部11への付け根部分の円形が載置部外周の円形の内側から離れる距離が長すぎると、コンタクトレンズが載置部11の突起以外の周縁部に張り付いてしまう恐れがあるため、外層突起群30の各突起は、載置部11の外周からの距離が3mm以内の範囲となるように設けることが望ましい。
図7には、載置部11のコンタクトレンズ搭載面の別の例を示す。図7では突起群は、最外層突起群32、中間層突起群33及び最内層突起群34からなる。最外層突起群32の配置は図6の場合と同様なので、説明を省略する。
最外層突起群32、中間層突起群33及び最内層突起群34は、載置部11の中心を中心とするは同心円上に設けられている。最外層突起群32は載置部11の外周に沿うように1つの円周上にその中心が等間隔に並ぶように設けられている。最内層突起群34は、載置部の最も内側に設けられた突起群であり、その中心が1つの円周上に等間隔に並ぶように設けられている。中間層突起群33は、最外層突起群32と最内層突起群34との間に設けられており、その中心が1つの円周上に等間隔に並ぶように設けられている。図7では、載置部11の中心と最内層突起群34が並ぶ円周との距離と、最内層突起群34が並ぶ円周と中間層突起群33が並ぶ円周との距離と、中間層突起群33が並ぶ円周と最外層突起群32が並ぶ円周との間の距離とは、いずれも等しいが、各円周の半径は適宜変更可能である。
また、各層の突起群の中、隣り合う層の突起群について、内層の突起の数は外層の突起の数以下である。すなわち、図7では最内層突起群34の突起の数は中間層突起群33の突起の数以下であり、中間層突起群33の突起の数は最外層突起群の突起の数以下である。図7には、最外層突起群32、中間層突起群33及び最内層突起群34の突起の個数がそれぞれ、12個、8個、6個のものが例示されているが、突起の個数はこの例に限られず、20個と16個と8個、16個と12個と6個、12個と12個と8個等、いろいろな組み合わせのものを採用することができる。図6の場合と同様に、最外周の突起の数は3個以上であり、好ましくは8個以上であり、より好ましくは12個以上である。
(突起部の形状)
コンタクトレンズ27は、載置部11のコンタクトレンズ載置面23に設けられた複数の突起群によって載置される。後述の半球状の突起部の頂点の部分にコンタクトレンズ27が載置される。前述のとおり載置部11の曲率半径はコンタクトレンズの曲率半径と略一致し、かつ、その曲率半径は眼球の角膜の曲率半径と略一致している。図4に示されている例では、各突起群の突起は略同一の形状、略同一の大きさを有しているので、各突起群の突起の頂点を結んだ曲面の曲率半径は、載置部11の曲率半径と略一致し、コンタクトレンズの曲率半径と略一致し、かつ、その曲率半径は眼球の角膜の曲率半径と略一致している。
図8を参照して突起の形状を具体的に説明する。突起の形状は半球状であるが、球の半径や、付け根部分の膨出の仕方については自由に設計することができる。突起の球の半径が大きい方がコンタクトレンズとの接触面積が大きくなるので、安定してコンタクトレンズを保持することができ、コンタクトレンズを保持する力が大きい。突起の球の半径を小さくするに従い、コンタクトレンズを保持する力は小さくなる。また、突起の数と配置によっても、コンタクトレンズの保持力は調整可能である。突起の数が多い方がコンタクトレンズを保持する力は強くなる。さらに、突起の密度が高い方が、コンタクトレンズを保持する力は強くなる。したがって、突起の形状、大きさ、個数、配置を調整することにより、コンタクトレンズを保持する力を適宜調整することができる。これにより、載置部11がコンタクトレンズを確実に保持すると共に、接触状態となった時にコンタクトレンズが載置部11から簡単に離れるように調整することができる。
図4のようにコンタクトレンズを載置している際には、手に持った本体部材13をシャフト部材12が略垂直となる角度から徐々に傾けて行き、シャフト部材12が略水平になるところまで傾けてもコンタクトレンズは載置部11に保持されている。一方、図5のように接触状態となった際には、コンタクトレンズが載置部11から簡単に離れて眼球に装着されるように調整することができる。
特許文献1ではコンタクトレンズの凸部側の面が底部の凹形状の接触面に密着しているために、コンタクトレンズを眼球に装着しようとした時に、コンタクトレンズを底部から引き離しにくいという問題があったが、本発明では接触状態となった際には、コンタクトレンズが載置部11から簡単に離れて眼球に装着されるように調整することができる。
特許文献2では、コンタクトレンズの装着時に眼球が真下に向くように、顔の向きを真下に向けるという無理な姿勢を取る必要があったが、本発明では本体部材13を傾けてもコンタクトレンズが載置部11に確実に保持されているから、顔の向きを正面に向けたまま自然な体勢で、本体部材13側の角度を手で傾けることにより、コンタクトレンズを装着することができ、しかも、接触状態となった際には、コンタクトレンズが載置部11から簡単に離れて眼球に装着される。
特許文献3では、液体の表面張力によりコンタクトレンズを載置部に付着しているため、液体の量により表面張力が異なっていたが、本発明では突起の先端によりコンタクトレンズを保持しているため、載置部11がコンタクトレンズを保持する力を容易に調整することができる。
図8の(a)~(c)には、突起の形状についての3つの例を示す。(a)は突起部が球状に近く、付け根部分が括れているものである。(b)と(c)は付け根部分に括れがなく、それぞれ球の半径及び付け根部の直径が異なる例である。(b)は球の半径が大きく、付け根部の直径も大きい例で、(c)が(b)よりも両者が小さい例である。球の直径あるいは付け根部分の直径の大きさは、自由に設計できる。しなしながら、大きすぎると隣接する突起が重なり合うことから、また、小さすぎると微細な加工が必要になることから、いずれの場合にも製造上の問題が顕著となる上に、突起の配置の設計に制約が生じるため望ましくない。球の直径あるいは付け根部分の直径の大きさは0.2~3mm程度が望ましい。突起の高さについても自由に設計できるが、大きすぎると載置部11全体が大型化してしまうため、また、小さすぎるとコンタクトレンズが突起以外の部分に貼り付いてしまう恐れがあるため望ましくない。突起の高さは、0.1~3mm程度が望ましい。各層の突起群の突起の形状及び高さは同一としても、異なるものとしても、いずれでもよい。また、同じ層内の突起の形状及び高さについても、同一としても、異なるものとしても、いずれでもよい。
一例としては、突起の高さを全ての突起群で同一としたものが挙げられる。他の例としては、各層の突起群の間で突起の高さを異ならせることもできる。
前者の例としては、突起の高さを全ての突起群で同一とした載置部11を用いて異なるBCのコンタクトレンズに対応する場合について説明する。載置部11の曲率半径は、標準的なBCの値である8.6mm~8.7mmに対応させる。これに対して、小さいBCのコンタクトレンズを載置部11に載置した場合には、当該コンタクトレンズは主に内層側の突起群の突起によって支持されると共に、外層側の突起群の中の一部の突起によって支持される。逆に、大きいBCのコンタクトレンズを載置部11に載置した場合には、当該コンタクトレンズは主に外層側の突起群の突起によって支持される。いずれの場合にも、コンタクトレンズは複数の突起により十分に保持されているので、コンタクトレンズ装着具を傾けてもコンタクトレンズを載置部11に保持することができる。なお、この場合には、コンタクトレンズのBCに応じて載置部11を交換する必要はない。例えば、使い捨てソフトコンタクトレンズを装着する場合である。使い捨てソフトコンタクトレンズは柔軟であるため、載置部11に配置された各突起の先端で形成される仮想曲面にその形状を一致させやすい。
後者の例として、コンタクトレンズのBCに合わせて突起の高さを調整する場合を説明する。載置部11の曲率半径が同一であっても、各層の突起群の突起の高さを異ならせることにより、異なるBCのコンタクトレンズに対応させることができる。例えば、最外層の突起群の高さを低くし、内層に向かうにつれて突起群の高さを順に高くしていく場合には、大きいBCのコンタクトレンズに対応する。逆に、最外層の突起群を高くし、内層に向かうについて突起群の高さを順に低くしていく場合には、小さいBCのコンタクトレンズに対応する。なお、この場合には、コンタクトレンズのBCに応じて載置部11を交換する必要がある。例えば、ハードコンタクトレンズを装着する場合である。
後者の例としては、さらに、BCの異なる複数のコンタクトレンズに対応するように各層の突起群の突起の高さを調整することもできる。図7の3層の例で説明する。最内層突起群34と中間層突起群33の突起の高さは等しくし、最外層突起群32の突起の高さをそれらよりも低くする。このように各層の突起群の突起の高さを調整した場合、BCが大きいコンタクトレンズは最外層突起群32と中間層突起群33とで支持し、BCが小さいコンタクトレンズは中間層突起群33と最内層突起群34とで支持する。
同様に、4層以上の突起群を有する載置部11では、外層側の各突起群でBCの大きいコンタクトレンズを保持し、内層側の各突起群でBCの小さいコンタクトレンズを保持し、さらに、中間層の各突起群ではBCが中程度(8.6~8.7程度)のコンタクトレンズを保持するように、各層の突起群の突起の高さを調整することができる。
図4及び図5を参照して、実施形態1のコンタクトレンズ装着具を用いてコンタクトレンズを装着する動作を説明する。拡径部15及びつまみ16のシャフト部材長さ方向の位置を調整することにより、下記の(実施例1-1)~(実施例1-3)の場合があるので、以下詳細に説明する。拡径部15及びつまみ16の位置を調整できるようにしておくことは、使用者の眼球の角膜の寸法、眼球の周りの顔の形状に応じた位置合わせができるため好ましい。また、両者が調整できると下記の(実施例1-1)~(実施例1-3)の場合のいずれにも対応することができるため好ましい。
しかしながら、両者の位置調整の手間を省くためには、両者のいずれか一方あるいは両者を固定としておいてもかまわない。この場合、予めさまざま寸法のものを用意しておき、その中から使用者に最適なものを選択することにより、両者の位置調整の手間を省き、かつ、使用者の使用態様に合わせることができる。
(実施例1-1)
L2<L2'かつL6<L3'の場合
(1)図4のように初期状態において、左目用のコンタクトレンズが載置部に載置された状態で、本体部材13を手で持って、左目の眼球の周りの顔にリップ部20が密着する位置に、コンタクトレンズ装着具を宛がう。初期状態ではつまみから手の指を離した状態となっており、バネの反発力により、つまみは載置部11とは反対方向に押され、拡径部15がスリーブ部材14に当たる位置までシャフト部材12は載置部11とは反対方向に押し付けられる。この時、使用者が載置部11の中心方向を見ていれば、眼球の角膜に対して少し離れた距離(L4)でコンタクトレンズが正確に位置合わせされる。
(2)この状態でつまみ16を載置部11の方向に向かって手の指で押し込んでいく。これにより、載置部に載置されたコンタクトレンズが、眼球に向かって近づいていく。この時、シャフト部材12はスリーブ部材14に支持されているため滑らかに動く。また、使用者はバネ部材17の反発力に抗してつまみを押し込むため、自然とゆっくりとつまみを操作することができる。
(3)図5のように接触状態において、コンタクトレンズが眼球に触れたことを使用者が感じたら、使用者はつまみ16から指を離す。この時、コンタクトレンズは眼球に装着されている。使用者がつまみ16から指を離すと、つまみ16はバネ部材17の反発力で載置部11とは反対方向に押し戻され、図4の初期状態に復帰する。コンタクトレンズが眼球に装着された状態では眼球とコンタクトレンズとの間の表面張力が、載置部11のコンタクトレンズを保持する力よりも大きいので、コンタクトレンズは載置部11から容易に離れることができる。
使用者がつまみ16を押し込みすぎるとコンタクトレンズが眼球に強く押し付けられる恐れがあるが、リミット状態ではバネ部材にストッパの機能があるので安全である。バネ部材の最短長さL6は決まっているおり、リミット状態においてL3''=L6となったところで、シャフト部材12はそれ以上載置部11方向には移動しないため、バネ部材にはストッパの機能がある。
(4)次に、図4及び図5とはシャフト部材12を中心に180°コンタクトレンズ装着具10を回転させた状態で、右目用のコンタクトレンズを載置部11に載置する。後は、左目にコンタクトレンズを装着したのと同様に、上記(1)~(3)と同様の手順で、右目にコンタクトレンズを装着する。なお、左目から先にコンタクトレンズを装着する例で説明したが、右目から先にコンタクトレンズを装着してもかまわないし、片目だけにコンタクトレンズを装着する場合も上記(1)~(3)と同様の手順で可能である。
(実施例1-2)
L2<L2'かつL3'=L6の場合
上記(実施例1-1)と同様の手順についての説明は省略する。上記(実施例1-1)とは手順(3)のリミット状態が相違している。上記手順(3)において、使用者はつまみ16を載置部11の方向に向かってリミット状態となるまで手の指で押し込んでいく。L3'=L6となるようにつまみ16の位置が調整されているので、リミット状態の時にちょうど接触状態となり、コンタクトレンズは眼球に装着されている。この状態でつまみ16から手の指を離せば、つまみ16はバネ部材17の反発力で載置部11とは反対方向に押し戻され、図4の初期状態に復帰する。
つまみ16の位置調整を適切にできれば、上記(実施例1-1)の場合よりも素早くつまみ16を押し込むことが可能になると共に、L3'=L6であるので、コンタクトレンズを眼球に強く押し当てる恐れがない。
(実施例1-3)
L2=L2'の場合
図4のように初期状態において、左目用のコンタクトレンズが載置部に載置された状態で、本体部材13を手で持って、左目の眼球の周りの顔にリップ部20が密着する位置に、コンタクトレンズ装着具を宛がう。この時、L2=L2'であるので、接触状態となり、コンタクトレンズは眼球に装着されている。次に、コンタクトレンズ装着具10を顔から離せば、コンタクトレンズは載置部11から離れ、眼球に装着された状態となる。次に、右目用のコンタクトレンズの装着も同様に行うことができる。なお、左目から先にコンタクトレンズを装着する例で説明したが、右目から先にコンタクトレンズを装着してもかまわないし、片目だけにコンタクトレンズを装着する場合も同様の手順で可能である。
この場合、つまみ16の操作は不要であるので、少ない動作でコンタクトレンズを装着することができる。本発明の実施形態1のコンタクトレンズ装着具10の使用に慣れた場合には、この(実施例1-3)のように拡径部15の位置を調整しておけば、簡単にコンタクトレンズを眼球の角膜に位置合わせして、コンタクトレンズを装着することができる。
また、(実施例1-3)を実施するためには、可動機構が不要となるため、シャフト部材12が直接、本体部材13の底部に固定されている簡単な構造のコンタクトレンズ装着具を用いることもできる。この場合にはスリーブ部材14、拡径部15、つまみ16、バネ部材17等を省略することができるため、製造コストを低減することができる。
[実施形態2]
図9を参照して、実施形態2のコンタクトレンズ装着具を詳細に説明する。実施形態1と同一の部材には同一の番号を付し、その説明は省略する。実施形態2は、実施形態1のコンタクトレンズ装着具10を、携帯用のケースに収納したものである。
コンタクトレンズ装着具10を携帯する際には、本体部材13の開口22から異物が入ることを防いで、載置部11を清潔な状態に保つ必要がある。また、つまみ16やリップ部20は本体部材13から突出しているため、携帯時にはこれらの突出した部材が他のものに当たって邪魔になる恐れがある。そこで、図9のように、コンタクトレンズ装着具10を携帯する際には、コンタクトレンズ装着具10を収納ケース40に収納する。収納ケース40は、有底筒状の下部ケース41と、下部ケース41の開口側を塞ぐ有底筒状のキャップ42とからなる。図示されていないが、下部ケース41の内側には、本体部材13の形状に合うような内方突出壁を設けてもよい。これにより、本体部材13の外周形状と、下部ケース41の内周形状とが合致して、携帯時にがたつきを解消することができる。
コンタクトレンズ装着具10は本体部材13のつまみ16側から下部ケース41に収納され、この状態では本体部材13のリップ部20側がわずかに下部ケース41の開口から突出している。この状態で下部ケースの開口側から、下部ケース41よりも僅かに大径のキャップ42を被せる。この時、リップ部20は柔軟な材料でできているため、キャップ42内で中心側に押し縮められて、リップ部20の外形はキャップ42の内径と一致するようになる。下部ケース41とキャップ42とは密着した状態となり、かつ、両者は図示しない固定手段で着脱可能に固定される。固定手段としては、ねじ留め、スナップ、凹凸嵌合手段等が挙げられる。ねじ留めの具体例としては、下部ケース41の開口側の外周に雄ねじを設けると共に、キャップ42の開口側の内側に雌ねじを設けておくものが挙げられる。
キャップ42の底部内側の中心部からは、載置部11側に向かって押さえ部材43が突出している。下部ケースに41にキャップ42が被せられた状態で、押さえ部材43は載置部11に載置されたコンタクトレンズに当接する長さを有している。押さえ部材43は柔軟な材料、例えば樹脂材料で構成されており、載置部11に載置されたコンタクトレンズを弾性的に保持することができる。また、押さえ部材43の少なくとも先端側は、扁平な形状をしており、その先端はコンタクトレンズを掬い取りやすい形状、例えばスプーンのような形状をしている。
以下、この収納ケースの使用例を具体的に説明する。
(実施例2-1)
この実施例では、予め載置部11にコンタクトレンズを載置しておく場合の使い方を説明する。
(1)載置部11に左目用のコンタクトレンズを載置した状態で、コンタクトレンズ装着具10を収納ケース40に収納し、押さえ部材43によってコンタクトレンズを載置部11に保持しておく。予め載置部11にコンタクトレンズが載置された状態であるので、コンタクトレンズ装着具10を取り出したときに、すぐにコンタクトレンズを装着することができる。コンタクトレンズが乾燥することがない短時間の携帯であれば、載置部11にコンタクトレンズを載置したままで問題ない。
(2)左目用のコンタクトレンズを装着した後に、右目用のコンタクトレンズを収納容器から取り出す。この時、キャップ42の押さえ部材43を用いてコンタクトレンズを掬い上げることができるので、直接手に触れずに、コンタクトレンズを載置部11に載置することが可能である。押さえ部材43の先端はスプーンのような扁平な形状をしているため、コンタクトレンズを掬い上げ易い。
(3)コンタクトレンズ装着具10を用いて右目用のコンタクトレンズを装着した後は、コンタクトレンズ装着具10を収納ケース40に収納しておく。コンタクトレンズ装着具10を収納ケース40に収納することによって、本体部材13の内側、特に、載置部11に異物が付着することを防ぐことができる。以上の手順によれば、外出時にコンタクトレンズを装着する際に、コンタクトレンズに直接手を触れることがないため、手が洗えないような状況であっても、衛生上の問題なくコンタクトレンズを装着することができる。ここでは、左目用のコンタクトレンズを先に装着する例で説明したが、右目用のコンタクトレンズを先に挿入する場合でも、片目だけにコンタクトレンズを挿入する場合でも、上記と同様の手順により実施できる。
(実施例2-2)
この実施例では外出先においてコンタクトレンズを載置部11に載置する場合を説明する。
(1)コンタクトレンズ装着具10は収納ケース40に収納した状態で携帯し、コンタクトレンズは別途コンタクトレンズ収納容器に入れて携帯する。コンタクトレンズの乾燥を防ぐために、長時間コンタクトレンズを携帯する場合には、載置部11に載置しておくのではなく、コンタクトレンズ収納容器に入れた状態で携帯する。
(2)外出先で左目にコンタクトレンズを装着する際には、まず、キャップ42を下部ケースから取り外す。左目用のコンタクトレンズを収納容器から取り出す際には、キャップ42の押さえ部材43を用いて、コンタクトレンズを掬い上げて、載置部11にコンタクトレンズを載置する。押さえ部材43の先端はスプーンのような扁平な形状をしているので、コンタクトレンズを掬い上げ易い。そして、外出先で手が洗えないような状況でも、直接コンタクトレンズに手を触れることなく、押さえ部材を用いてコンタクトレンズを収納容器から掬い上げることができるので、衛生上の問題がない。
(3)コンタクトレンズ装着具10を用いて左目にコンタクトレンズを装着した後は、上記(実施例2-1)の(2)及び(3)と同様の手順で、右目にコンタクトレンズを装着する。
この手順により、外出先において手を洗えないような状況であっても、コンタクトレンズに直接手を触れることなく、コンタクトレンズを収納容器から掬い上げて載置部11に載置することができるので、衛生上の問題がない。
ここでは、左目用のコンタクトレンズを先に装着する例で説明したが、右目用のコンタクトレンズを先に挿入する場合でも、片目だけにコンタクトレンズを挿入する場合でも、上記と同様の手順により実施できる。
[実施形態3]
図10を参照して、実施形態3のコンタクトレンズ装着具を説明する。実施形態1及び実施形態2と同じ部材については、同一の符号を用い、その説明は省略する。実施形態1及び実施形態2では、1つのコンタクトレンズ装着具を用いて片目ずつコンタクトレンズを装着する例を説明したが、実施形態3は、一度に両目にコンタクトレンズを装着できるものである。この実施形態では、実施形態1及び実施形態2で説明したコンタクトレンズ装着具10を2個使用する。
図10には、2個のコンタクトレンズ装着具をそれぞれのリムに装着するフレーム部材50が図示されている。フレーム部材50はメガネフレームと同様の構成となっており、それぞれコンタクトレンズ装着具10,10を挿入する一対のリム51,51、両方のリムを接合するブリッジ53、ブリッジ53またはリム51,51のブリッジ53側に設けられ、使用者の鼻に位置決めするための一対のノースパット54,54、各リムのブリッジ53と反対側から使用者の耳に向かって伸び、使用者の耳に位置決めするための一対のテンプル52,52が設けられている。
一対のリムはそれぞれ左目用及び右目用のコンタクトレンズ装着具10,10がテンプルの伸びている側から挿入されると、各コンタクトレンズ装着具10,10が、着脱可能に位置決め固定される形状となっている。これにより、使用者の左目及び右目の眼球の周りにはそれぞれコンタクトレンズ装着具10,10のリップ部20,20が位置決めされ、使用者の鼻にはノースパット54,54が位置決めされ、使用者の両耳には一対のテンプル52,52が位置決めされるため、一対のコンタクトレンズ装着具10,10の載置部11,11に載置された各コンタクトレンズは、使用者の両眼の眼球の角膜に対して正確に位置決めされる。この時、使用者はメガネをかける時と同じ感覚で、フレーム部材を顔に宛がうだけで、両目に対して両目用のコンタクトレンズの位置決めを行うことができる。リム51の内側の形状は、本体部材13のリップ部20よりの外周の形状と合うように構成されている。本体部材13の形状は、底部18側からリップ部20側に向かうについて径が大きくなるような形状であるため、フレーム部材50のテンプル52側から、コンタクトレンズ装着具10の底部18をリム51に向けた状態で、リムに対してコンタクトレンズ装着具10を挿入していくと、本体部材13のリップ部20寄りの特定の部分がリム51に対して位置決めされて、本体部材13の側部19の外周はリム51の内周との間で、常に一定の位置関係となるように着脱可能に位置決め固定される。また、左目用及び右目用のコンタクトレンズ装着具10,10の本体部材13,13の形状は、互いに左右対称となっているため、それぞれ左目用及び右目用のリム51,51の形状と一致する。さらに、本体部材13のリップ部20寄りの特定の部分に、リムに嵌合するような係合手段を設けておくこともできる。
次に、フレーム部材50を用いたコタンタクトレンズの装着の仕方について説明する。
(1)フレーム部材50の一対のリム51,51に対し、テンプル52,52の方向から、底部18,18をリム51,51に向け、一対のコンタクトレンズ装着具10,10を挿入し、本体部材13,13のリップ部20,20側の側部19,19が、リム51,51に位置決め固定するまで押し込む。一対のコンタクトレンズ装着具10,10は左目用も右目用も同じものであるが、これらを左目用及び右目用のリム51,51に挿入する角度は、互いにシャフト部材12を中心として180度回転させた角度の関係となっている。
(2)載置部11のコンタクトレンズ載置面23が水平上向きとなるように、フレーム部材50の角度を調整した状態で、各載置部11に左目用及び右目用のコンタクトレンズを載置する。コンタクトレンズを載置するに当たって、収納ケースのキャップ42の押さえ部材43を用いてコンタクトレンズを掬い上げれば、コンタクトレンズに直接手を触れることがないので、衛生面の問題がない。
(3)使用者は一対のテンプル52,52を両手で持って、メガネを掛けるのと同じ要領で、一対のコンタクトレンズ装着具10,10を眼球に近づけていき、一対のテンプル52をそれぞれ左右の耳に位置決めすると共に、一対のノースパット54,54をそれぞれ使用者の鼻の左右に位置決めする。これと同時に、一対のコンタクトレンズ装着具10,10のリップ部20,20は、使用者の眼球の周りの顔に位置決めされる。コンタクトレンズは載置部11に安定して載置されているので、前記メガネを掛けるような動作により載置部11を傾けてもコンタクトレンズが載置部から落ちることはない。
(4)つまみ16を手の指で載置部11の方向に押して、コンタクトレンズが眼球に触れるまでつまみ16を押し込む。コンタクトレンズが眼球に触れたところでつまみ16から手の指を離すと、コンタクトレンズは眼球に装着され、載置部11から離れる。一対のつまみ16,16は両目とも同時に操作することもできるが、左右を順に操作することもできる。また、つまみ16及び拡径部15のシャフト部材12に沿った方向の位置を調整することにより、前記(実施例1-1)~(実施例1-3)のような多様な装着態様が可能である。
(5)コンタクトレンズを装着した後は、両方のリム51,51から各コンタクトレンズ装着具10,10を取り外し、各コンタクトレンズ装着具10,10を各収納ケース40,40に収納する。フレーム部材の一対のテンプル52,52は、一対のリム51,51に対してそれぞれ蝶番により折り畳み可能に取り付けられているため、フレーム部材50を収納する際には、メガネフレームと同様に、左右のテンプル52を折りたたむことにより、コンパクトに収納することができる。
[実施形態4]
図11を参照して、実施形態4のコンタクトレンズ装着具60について説明する。実施形態1と同じ部材については同一の符号を用い、その説明は省略する。
コンタクトレンズ装着具60は、載置部11と、載置部11のコンタクトレンズ載置面23以外の部分に設けられた接続部としての軸部62と、軸部62に接続された手の指で把持する把持部としてのグリップ部61とからなる。
載置部11は実施形態1で説明したものと同じ構造であるので、載置部11の説明は省略する。載置部11のコンタクトレンズ載置面23には、複数層の突起群が形成されているため、コンタクトレンズを装着する際に載置部11を傾けたとしても、コンタクトレンズを安定して載置しておくことが可能である。また、載置部11を眼球に近づけていき、載置部11に載置されたコンタクトレンズが眼球に装着されると、コンタクトレンズは載置部11から離れる。
図11では、軸部62の一端は、載置部11のコンタクトレンズ載置面23反対側の面の中央に接続されている。載置部11は柔軟な材料で構成されているため、このように軸部62がコンタクトレンズ載置面23反対側の面の中央に固定されていると、載置部11の形状を安定した状態に保つことができる。ただし、軸部62は、載置部11のコンタクトレンズ載置面23以外の部位であればどこに接続さえていてもよい。例えば載置部11の一端の形状を載置部11のコンタクトレンズ載置面23とは反対側の面に沿うような曲面や、リング形状等にすることにより、載置部11の形状を安定した状態に保つことができる。載置部11を軸部62の一端に固定する方法としては、ねじ留め、スナップ、凹凸嵌合、接着等が挙げられるところ、載置部11を交換できるように着脱自在に固定することが望ましい。載置部が着脱可能であれば、載置部11を取り外して洗浄することが可能である。また、載置部11を交換することもできるので、新品への交換、コンタクトレンズの寸法に応じた交換等も可能であり、さらに、載置部11を、コンタクトレンズを吸い付ける機能を有するものに交換すれば、後述のように、コンタクトレンズの装着のみでなく、コンタクトレンズの取外し、あるいは、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができる。
軸部62は、グリップ部61を手で持った時に載置部11のコンタクトレンズ載置面23を眼球に当て易いような角度に調整するために、屈曲した形状をしている。図11では、軸部62の中央部の一部分で屈曲し、載置部11に接続された一端側とグリップ部61に接続された他端側とは直線状であるが、軸部62の屈曲の態様はこれだけに限らず、全体が滑らかな曲線状になっているものでもよく、載置部11のコンタクトレンズ載置面23の垂線と、グリップ部の軸心との角度が、コンタクトレンズ載置面23を眼球に当て易いような角度に調整されていればよく、この角度を調整可能なようにフレキシブルなものでもよい。
軸部62の他端側は、グリップ部に接続されている。グリップ部は使用者が手の指で把持する部分であるので、握りやすいように軸部62によりも大径となっている。グリップ部は、使用者が手の指で握りやすいような形状であればどのような形状でもよく、角柱状でも、丸みを持たせた形状でも、指に当たる部分に凹凸を持たせた形状でもよい。
このように、実施形態4では、実施形態1で説明したシャフト部材12、スリーブ部材14、バネ部材17等からなる可動機構を必要としないため、コンタクトレンズ装着具60はより簡略な構造であり、コンタクトレンズを装着する操作がより単純になる。さらに、製造コストのさらなる低減をも図ることができる。
次に、コンタクトレンズ装着具60を用いてコンタクトレンズを装着する方法を説明する。
(1)まず、使用者は、グリップ部61を片手で持ち、載置部11のコンタクトレンズ載置面が上方を向いた状態で、もう片方の手で左目用のコンタクトレンズを載置部11のコンタクトレンズ載置面に載置する。
(2)使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、載置部11に載置されたコンタクトレンズを左目の眼球に近づけいく。この際、載置部11を傾けてもコンタクトレンズは安定して載置部11に載置されているので、コンタクトレンズが落ちることはない。載置部11は透明または半透明な素材で構成されおり、また、グリップ部61を手で持っており、載置部11を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。そして、コンタクトレンズが眼球に触れたところで、載置部11を眼球から遠ざける。この操作により、コンタクトレンズは眼球に装着されると共に、載置部11から離れる。
なお、ここでは鏡を見ながら載置部11を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、載置部11の中心を見つめながら、グリップ部61を操作して、載置部11に載置されたコンタクトレンズを眼球に近づけていき、眼球にコンタクトレンズが触れたときに載置部11を眼球から遠ざければ、コンタクトレンズは眼球に装着される。
(3)次に、右目用のコンタクトレンズを装着する際にも、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目用のコンタクトレンズを先に装着する例で説明したが、右目用のコンタクトレンズを先に装着する場合も、片目だけにコンタクトレンズを装着する場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを装着可能である。
[実施形態5]
図12~17を参照して、実施形態5のコンタクトレンズ取外具の説明をする。実施形態1と同じ部材については同じ番号を用い、その説明は省略する。
実施形態1のコンタクトレンズ装着具10との違いは、載置部11に替えて吸盤部71を設けた点であり、実施形態5のその他の構成については、実施形態1と同一であるので説明を省略し、ここでは、吸盤部71の構成について詳しく説明する。
図12、13に示されているように、吸盤部71はシャフト部材12の開口22側に固定されており、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72はコンタクトレンズを吸引して吸い付ける構造となっている。吸盤部71をシャフト部材の先端に固定する方法としては、ねじ留め、スナップ、凹凸嵌合、接着等が挙げられるところ、吸盤部71を交換できるように着脱自在に固定することが望ましい。この場合、吸盤部71を取り外して洗浄することが可能である。また、吸盤部71を交換することもできるので、新品への交換、コンタクトレンズの寸法に応じた交換等も可能であり、さらに、コンタクトレンズ装着具の載置部11と、コンタクトレンズ取外具の吸盤部71とを交換することも可能である。また、後述のように、吸盤部71をコンタクトレンズ着脱用のものとすれば、コンタクトレンズの装着と取外しの両方ができる。
吸盤部71は、図12に示すようにコンタクトレンズ吸引面72側に凹曲面状の形状をしており、図13に示すように横断面は円弧状の形状をしており、また、図14に示すように開口22側から見ると円形である。吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心部はつまみ16側に向けて凹んでおり、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の外周部は円周状に開口22側に突出している。コンタクトレンズがコンタクトレンズ吸引面72に接触すると、コンタクトレンズ吸引面72の外周部が全周にわたってコンタクトレンズに接触し、コンタクトレンズ吸引面72の中央側はコンタクトレンズから離れており、コンタクトレンズとコンタクトレンズ吸引面72との間には密閉空間が構成される。吸盤部71がこのような形状をしているため、吸盤部71はコンタクトレンズを吸引して吸い付けることができる。
吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の曲率半径は、コンタクトレンズの曲率半径よりも小さく設定されている。また、吸盤部71は柔軟性のある材料で形成されているので変形可能である。このため、コンタクトレンズの取外時に、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72がコンタクトレンズに触れると、吸盤部71は僅かに変形し、コンタクトレンズを吸い付ける。
図13には吸盤部71の横断面が円弧状のものを示したが、この形状は円弧に限るものではなく、吸盤の機能を有するものであればどのような形状でも構わない。例えば、この形状はすり鉢状の形状や、曲率半径が変化するような形状でもよい。
コンタクトレンズの曲率半径はBC(Base Curve、単位はmm)で表され、直径はDIA(Diameter、単位はmm)で表される。BCとはコンタクトレンズの曲面の曲率半径であり、DIAはコンタクトレンズを正面から投影した直径である。BCは使用者の眼球の角膜の曲率半径にあったものを選ぶが、ソフトコンタクトレンズ、特に使い捨てコンタクトレンズは柔軟であり、角膜にフィットするようにできているため、コンタクトレンズによってはBCが一種類のものもある。使い捨てコンタクトレンズのBCは8.3~9.0程度のものが多く、特に8.6~8.7のものが多い。吸盤部71の曲率半径を8.3mmよりも小さく設定しておけば、多くの使い捨てコンタクトレンズに対して、共通に使用することが可能である。
一方、ハードコンタクトレンズの場合には、BCの違いが使用者のフィット感に大きく影響する。そのため、ハードコンタクトレンズではBCの種類がきめ細かく用意されている。ハードコンタクトレンズの場合にも、吸盤部71の曲率半径を8.3mmよりも小さく設定しておけば、多くのコンタクトレンズに対して、共通に使用することが可能である。
また、曲率半径が異なる吸盤部71を複数種類用意しておけば、コンタクトレンズのBCに応じて載置部11を交換することができる。ここでは、吸盤部71の横断面が円弧状のものである場合についての曲率半径の例を説明したが、曲率半径が変化するものの場合にはコンタクトレンズ吸引面72の外周部の曲率半径を8.3mmよりも小さく設定する。また、その他、吸盤部71の横断面がすり鉢状等の場合には、コンタクトレンズ吸引面72の外周部が全周にわたってコンタクトレンズに接触し、コンタクトレンズ吸引面72の中央側はコンタクトレンズから離れており、コンタクトレンズとコンタクトレンズ吸引面72との間には密閉空間が構成されるように、吸盤部71の形状を設定する。
吸盤部71の直径は、コンタクトレンズの直径よりも若干小さくなっている。このため、吸盤部71を眼球に近づけていき接触状態となった時に、吸盤部71が直接、眼球に触れることがなく、安全であると共に、直接眼球に触れる部位が少ないことは衛生上も好ましい。逆に、吸盤部71の直径が小さすぎると、コンタクトレンズを吸引する力が小さくなる恐れがある。
コンタクトレンズの直径であるDIAの値は、使い捨てソフトコンタクトレンズでは14mm前後、ハードコンタクトレンズでは9mm前後のものが多い。そこで、載置部11の直径は、使い捨てソフトコンタクトレンズ用としては5mm~14mm程度とし、ハードコンタクトレンズ用としては5mm~9mm程度が好ましい。
吸盤部71の材質は、柔軟な樹脂であれば特に限定されるものではないが、載置部11はコンタクトレンズに直接触れる部位なので、抗菌性樹脂であることが望ましい。また、載置部11を眼球に近づけていった時に条件反射で瞼を閉じてしまうことをより確実に防ぐためには、載置部11の材質は透明または半透明の樹脂材料であることが望ましい。透明または半透明の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニール、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリカーボネート、四フッ化エチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン、不飽和ポリエステル、エポキシ等の樹脂材料が挙げられる。
また、これらの樹脂に抗菌性を持たせるために、これらの樹脂に抗菌剤を添加することが望ましい。抗菌剤としては、銀錯体系抗菌剤(チオサルファイト銀錯体とシリカゲルから構成される抗菌剤)、無機系抗菌剤(銀ゼオライト、チオサルファイト銀錯体等)、有機系抗菌剤(ニトリル誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェノールエーテル誘導体、ピロール誘導体等)等が挙げられる。シリコーン樹脂の中では例えばポリアミドシリコーン樹脂が抗菌剤の添加に適している。
コンタクトレンズを着脱する際に点眼薬を併用する場合には、吸盤部71の材料として点眼薬の薬剤によって化学反応を生じないものを選択する必要がある。この場合には、例えばシリコーン樹脂を選択することが望ましい。吸盤部71は、公知の成型法、例えば、射出成型、真空成型、真空注型、圧空成型により作成することができる。あるいは、成型して得られたものを必要に応じてカットして作成してもよい。
吸盤部71はコンタクトレンズを吸い付ける部分であるので清潔に保つ必要がある。吸盤部71が抗菌性樹脂からなる場合には、日頃の手入れとしては、コンタクトレンズ取外具70を水洗いするだけでよい。
実施形態5のコンタクトレンズ取外具70を用いると、実施形態1で説明したコンタクトレンズ装着具10の場合と同様の操作によりコンタクトレンズを取り外すことができる。
図15~17を参照して、実施形態5のコンタクトレンズ取外具70を用いてコンタクトレンズを取り外す動作を説明する。実施形態1と同様に、拡径部15及びつまみ16のシャフト部材長さ方向の位置を調整することにより、下記の(実施例5-1)~(実施例5-3)の場合があるので、以下詳細に説明する。拡径部15及びつまみ16の位置を調整できるようにしておくことは、使用者の眼球の角膜の寸法、眼球の周りの顔の形状に応じた位置合わせができるため好ましい。また、両者が調整できると下記の(実施例5-1)~(実施例5-3)の場合のいずれにも対応することができるため好ましい。
しかしながら、両者の位置調整の手間を省くためには、両者のいずれか一方あるいは両者を固定としておいてもかまわない。この場合、予めさまざま寸法のものを用意しておき、その中から使用者に最適なものを選択することにより、両者の位置調整の手間を省き、かつ、使用者の使用態様に合わせることができる。
なお、「接触状態」の定義について、コンタクトレンズを装着する場合には、実施形態1のように、「接触状態」とは、つまみ16を押し込んで、眼球26にコンタクトレンズ27が触れた状態を示すと定義したが、実施形態5のように、コンタクトレンズを取り外す場合には、「接触状態」とは、つまみ16を押し込んで、吸盤部71が眼球26に装着されたコンタクトレンズ27に触れた状態を示す。
(実施例5-1)
L2<L2'かつL6<L3'の場合
(1)図15のように初期状態において、本体部材13を手で持って、左目の眼球の周りの顔にリップ部20が密着する位置に、コンタクトレンズ装着具を宛がう。初期状態ではつまみ16から手の指を離した状態となっており、バネの反発力により、つまみ16は吸盤部71とは反対方向に押され、拡径部15がスリーブ部材14に当たる位置まで、シャフト部材12は吸盤部71とは反対方向に押し付けられる。この時、使用者が吸盤部71の中心方向を見ていれば、吸盤部71は眼球に装着されているコンタクトレンズに対して少し離れた距離(L4)でコンタクトレンズに正確に位置合わせされる。
(2)この状態でつまみ16を吸盤部71の方向に向かって手の指で押し込んでいく。これにより、吸盤部71が眼球に向かって近づいていく。この時、シャフト部材12はスリーブ部材14に支持されているため滑らかに動く。また、使用者はバネ部材17の反発力に抗してつまみを押し込むため、自然とゆっくりとつまみを操作することができる。
(3)図16のように接触状態において、眼球に装着されたコンタクトレンズに吸盤部71が触れたことを使用者が感じたら、使用者はつまみ16から指を離す。吸盤部71は柔軟な素材でできているため、眼球に装着されたコンタクトレンズに吸盤部71が触れた際にわずかに変形し、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付く。使用者がつまみ16から指を離すと、つまみ16はバネ部材17の反発力で載置部11とは反対方向に押し戻され、図17のように初期状態に復帰する。吸盤部71がコンタクトレンズを吸い付ける力が、眼球とコンタクトレンズとの間の表面張力よりも大きいので、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付けられ、コンタクトレンズを眼球から取り外すことができる。
使用者がつまみ16を押し込みすぎるとコンタクトレンズが眼球に強く押し付けられる恐れがあるが、リミット状態ではバネ部材にストッパの機能があるので安全である。バネ部材の最短長さL6は決まっているおり、リミット状態においてL3''=L6となったところで、シャフト部材12はそれ以上載置部11方向には移動しないため、バネ部材にはストッパの機能がある。
(4)吸盤部71に吸い付けられた左目用コンタクトレンズは、使い捨てコンタクトレンズの場合には廃棄し、ハードコンタクトレンズ等の繰り返し使用するタイプのコンタクトレンズの場合には、収納容器に保存する。
次に、図15~17とはシャフト部材12を中心にコンタクトレンズ取外具70を180°回転させた状態で、右目の眼球の周りにコンタクトレンズ取外具70を宛がう。後は、左目からコンタクトレンズを取り外したのと同様に、上記(1)~(3)と同様の手順で、右目からコンタクトレンズを取り外す。なお、左目のコンタクトレンズを先に取り外した例で説明したが、右目のコンタクトレンズを先に取り外してもかまわないし、片目のコンタクトレンズを取り外すような場合も上記(1)~(3)と同様の手順で可能である。
(実施例5-2)
L2<L2'かつL3'=L6の場合
上記(実施例5-1)と同様の手順についての説明は省略する。上記(実施例5-1)とは手順(3)のリミット状態が相違している。上記手順(3)において、使用者はつまみ16を吸盤部71の方向に向かってリミット状態となるまで手の指で押し込んでいく。L3'=L6となるようにつまみ16の位置が調整されているので、リミット状態の時にちょうど接触状態となり、吸盤部71が眼球に装着されたコンタクトレンズに触れて、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付く。この状態でつまみ16から手の指を離せば、つまみ16はバネ部材17の反発力で吸盤部71とは反対方向に押し戻され、図17の初期状態に復帰する。
つまみ16の位置調整を適切にできれば、上記(実施例5-1)の場合よりも素早くつまみ16を押し込むことが可能になると共に、L3'=L6であるので、コンタクトレンズを眼球に強く押し当てる恐れがない。
(実施例5-3)
L2=L2'の場合
図15のように初期状態において、左目の眼球の周りの顔にリップ部20が密着する位置に、コンタクトレンズ取外具を宛がう。この時、L2=L2'であるので、接触状態となり、吸盤部71は、眼球に装着されたコンタクトレンズに触れ、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付く。次に、コンタクトレンズ取外具70を顔から離せば、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付いており、コンタクトレンズは眼球から取り外される。次に、右目からコンタクトレンズを取り外す際にも同様の手順で行うことができる。なお、コンタクトレンズを左目から先に取り外す例で説明したが、右目から先にコンタクトレンズを取り外してもかまわないし、片目からコンタクトレンズを取り外す際にも、同様の手順で可能である。
この場合、つまみ16の操作は不要であるので、少ない動作でコンタクトレンズを取り外すことができる。本発明の実施形態5のコンタクトレンズ取外具70の使用に慣れた場合には、この(実施例5-3)のように拡径部15の位置を調整しておけば、簡単に吸盤部71を眼球の角膜に位置合わせして、コンタクトレンズを取り外すことができる。
また、(実施例5-3)を実施するためには、可動機構が不要となるため、シャフト部材12が直接、本体部材13の底部に固定されている簡単な構造のコンタクトレンズ取外具を用いることもできる。この場合にはスリーブ部材14、拡径部15、つまみ16、バネ部材17等を省略することができるため、製造コストを低減することができる。
また、実施形態5のコンタクトレンズ取外具70に対して、図9に示される実施形態2の収納ケースを適用してもよい。収納ケース40にコンタクトレンズ取外具を収納すれば、吸盤部に異物が付着することを防ぐことができるので、携帯時においても衛生上の問題がない。また、取り外したコンタクトレンズを保存ケースに保存する際には、キャップ42から突出しているスプーン状の押さえ部材43を用いれば、手で直接コンタクトレンズに触れることがないので、外出先で手を洗えないような状況でも、衛生上の問題がない。
また、吸盤部71にコンタクトレンズを吸い付けた状況のままで収納ケース40にコンタクトレンズ取外具70を収納すれば、取り外されたコンタクトレンズは、吸盤部71と押さえ部材43との間で保持されるため、吸盤部から脱落することなく、コンタクトレンズを携帯することができる。コンタクトレンズが乾燥しない程度の短い時間の移動であれば、コンタクトレンズを吸盤部71に吸い付けたままの状態で携帯することもできる。なお、具体的な収納ケース40の使い方は、実施形態2と同様であるので、詳細な説明は省略する。
また、実施形態5のコンタクトレンズ取外具70に対して、図10に示される実施形態3のフレーム部材50を適用してもよい。この場合、フレーム部材50の一対のリム51,51に対して、それぞれ一対のコンタクトレンズ取外具70,70を挿入して、位置決め固定する。このため、一対の吸盤部71,71が同時に両目の眼球の角膜に対して位置決めされるため、一度の操作で両目のコンタクトレンズを取り外すことができる。なお、フレーム部材50の具体的な使い方は、実施形態3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
[実施形態6]
図18を参照して、実施形態6のコンタクトレンズ着脱具について説明する。実施形態1及び実施形態5と同じ部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
実施形態6のコンタクトレンズ着脱具73は、実施形態5のコンタクトレンズ取外具70に対して、さらにコンタクトレンズを装着する機能を持たせたものであり、通気孔74と空気室75が加えられている。
つまみ16の吸盤部71とは反対側の面に空気室75が設けられている。吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心から、つまみ16の吸盤部71とは反対側の空気室75内の開口76までの間は、通気孔74によって連通されている。すなわち、通気孔74は、吸盤部71、シャフト部材12、及び、つまみ16を貫通するように設けられている。図18には、空気室75は蛇腹状の樹脂部材で構成されている例が示されているが、空気室75は必ずしも蛇腹状でなくともよく、例えば筒状の形状のものでもよい。また、つまみ16の一部が柔軟な素材で構成された空洞となっていてもよい。つまみ16と空気室75とは一体であっても、別体であってもいずれでもかまわない。また、この空気室75は弾性を有しており、外部から手の指で押し縮められることができ、また、手を離すことにより元の形状に復帰するものである。
実施形態6のコンタクトレンズ着脱具を用いて、コンタクトレンズを装着する方法と、コンタクトレンズを取り外す方法について説明する。
(コンタクトレンズを装着する方法)
コンタクトレンズを装着する方法は、実施形態1のコンタクトレンズ装着方法と共通するところが多いので、実施形態1のコンタクトレンズ装着方法と異なる部分である下記(1)及び(2)の方法について説明する。
(1)コンタクトレンズを吸盤部71に載置する方法
実施形態1では、複数層の突起部が形成された載置部11のコンタクトレンズ載置面23にコンタクトレンズを載置することにより、コンタクトレンズを載置部11に安定して載置していたが、これに替えて、実施形態6では吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72にコンタクトレンズを吸い付かせることにより、コンタクトレンズを吸盤部71に安定して載置している。
吸盤部71は柔軟な素材でできているため、コンタクトレンズを吸盤部71のコンタクトレンズ載置面23に載置した際にわずかに変形し、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付く。
さらに、空気室75を手の指で若干押し縮めた状態で、コンタクトレンズを吸盤部71に載置してから、空気室75から手の指を離すと、コンタクトレンズと吸盤部71との間にできた空間、空気室75及び通気孔74内が負圧となるため、コンタクトレンズはより強力に吸盤部71に吸い付けられる。
(2)コンタクトレンズを吸盤部71から離す方法
実施形態1では、接触状態のときには、コンタクトレンズが眼球の表面との間の表面張力の方が、載置部11のコンタクトレンズ載置面23に設けられた突起群がコンタクトレンズを保持する力よりも大きいので、コンタクトレンズは眼球に装着されると共に、載置部11から離れる。これに対して、実施形態6では、吸盤部71がコンタクトレンズを吸引する力が強いので、接触状態の時に何も操作しないと、コンタクトレンズは吸盤部71に引き付けられたままとなってしまう。そこで、実施形態6では、接触状態となったときに、手の指で空気室75を押し縮めてから、吸盤部71を眼球から離す。接触状態において、手の指で空気室75を押し縮め、コンタクトレンズと吸盤部71との間にできた空間を加圧することによって、吸盤部71からコンタクトレンズから離れると共に、コンタクトレンズを眼球に装着することができる。
また、実施形態6では拡径部15及びつまみ16のシャフト部材12長さ方向の位置を調整することにより、実施形態1で説明した(実施例1-1)~(実施例1-3)と同様の操作ができる。
(コンタクトレンズを取り外す方法)
コンタクトレンズを取り外す方法は、実施形態5のコンタクトレンズ取外方法と共通するところが多いので、実施形態5のコンタクトレンズ取外方法と異なる部分である下記(1)及び(2)について説明する。なお、吸盤部71を用いる実施形態では、吸盤部71によるコンタクトレンズを吸い付ける力が強いため、必ずしも下記(1)及び(2)の操作を行わなくとも、コンタクトレンズを眼球から取り外すことが可能である。
(1)吸盤部71を眼球に近づけるときの操作
吸盤部71を眼球に近づけていくときに、空気室を手の指で押し縮めておき、接触状態となった時に空気室を押し縮めていた指を離す。この場合、接触状態において、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間、通気孔74、空気室75が負圧となるため、コンタクトレンズは吸盤部71に強力に吸い付けられる。
(2)接触状態となった時に操作
上記(1)において、接触状態となった時に空気室を押し縮めていた指を離した状態のまま、吸盤部71を眼球から遠ざけていく。吸盤部71がコンタクトレンズを吸い付ける力が、コンタクトレンズと眼球との間の表面張力よりも大きいので、コンタクトレンズは眼球から離れると共に、吸盤部71に吸い付けられる。
また、実施形態6では、拡径部15及びつまみ16のシャフト部材12長さ方向の位置を調整することにより、実施形態5で説明した(実施例5-1)~(実施例5-3)と同様の操作ができる。
[実施形態7]
図19を参照して、実施形態7のコンタクトレンズ着脱具について説明する。実施形態1、実施形態5及び実施形態6と同じ部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
実施形態7のコンタクトレンズ着脱具77は、実施形態5のコンタクトレンズ取外具70に対して、さらにコンタクトレンズを装着する機能を持たせたものであり、通気孔74が加えられている。なお、実施形態6と比較すると、実施形態7では、空気室75が無い点で相違している。
吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心から、つまみ16の吸盤部71とは反対側に設けられた開口76までの間が、通気孔74によって連通されている。すなわち、通気孔74は、吸盤部71、シャフト部材12、及び、つまみ16を貫通するように設けられている。図19には、通気孔74のつまみ16側の開口76が、つまみ16の吸盤部71とは反対側の面に形成されている例が示されているが、当該開口76が形成される位置は必ずしもつまみ16の吸盤部71とは反対側の面でなくともよく、例えばつまみ16の側面等、手の指で当該開口76を塞ぐことができる位置であれば、どこに配置されていてもよい。
実施形態7のコンタクトレンズ着脱具77を用いて、コンタクトレンズを装着する方法と、コンタクトレンズを取り外す方法について説明する。
(コンタクトレンズを装着する方法)
コンタクトレンズを装着する方法は、実施形態1のコンタクトレンズ装着方法と共通するところが多いので、実施形態1のコンタクトレンズ装着方法と異なる部分である下記(1)及び(2)の方法について説明する。
(1)コンタクトレンズを吸盤部71に載置する方法
実施形態1では、複数層の突起部が形成された載置部11のコンタクトレンズ載置面23にコンタクトレンズを載置することにより、コンタクトレンズを載置部11に安定して載置していたが、これに替えて、実施形態7では吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72にコンタクトレンズを吸い付かせることにより、コンタクトレンズを吸盤部71に安定して載置する。
吸盤部71は柔軟な素材でできているため、コンタクトレンズを吸盤部71のコンタクトレンズ載置面23に載置した際にわずかに変形する。この状態で通気孔74の開口76を指で塞ぐと、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付く。
(2)コンタクトレンズを吸盤部71から離す方法
実施形態1では、接触状態のときには、コンタクトレンズが眼球の表面との間の表面張力の方が、載置部11のコンタクトレンズ載置面23に設けられた突起群がコンタクトレンズを保持する力よりも大きいので、コンタクトレンズは眼球に装着されると共に、載置部11から離れる。これに対して、実施形態7では、通気孔74の開口76を指で塞いだ状態では、吸盤部71がコンタクトレンズを吸引する力が強いので、接触状態の時に何も操作しないと、コンタクトレンズは吸盤部71に引き付けられたままとなってしまう。そこで、実施形態7では、接触状態となったときに、通気孔74の開口76を塞いでいた指を離してから、吸盤部71を眼球から離す。通気孔74の開口76を塞いでいた指を離すと、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間に外気を導入することで、当該空間の負圧を解除することによって、吸盤の吸着力を低下させることができるので、吸盤部71からコンタクトレンズから離れると共に、コンタクトレンズを眼球に装着することができる。
また、実施形態7では拡径部15及びつまみ16のシャフト部材12長さ方向の位置を調整することにより、実施形態1で説明した(実施例1-1)~(実施例1-3)と同様の操作ができる。
(コンタクトレンズを取り外す方法)
コンタクトレンズを取り外す方法は、実施形態5のコンタクトレンズ取外方法と共通するところが多いので、実施形態5のコンタクトレンズ取外方法と異なる部分である下記(1)及び(2)について説明する。
(1)吸盤部71を眼球に近づけるときの操作
吸盤部71を眼球に近づけていくときに、通気孔74の開口76を開放しておき、接触状態となった時に、通気孔74の開口76を指で塞ぐ。吸盤部71は、柔軟な素材で構成されているため、接触状態となった際にわずかに変形する。この場合、接触状態において、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間、及び、通気孔74内が負圧となるため、コンタクトレンズは吸盤部71に強力に吸い付けられる。
(2)接触状態となった時の操作
上記(1)において、接触状態となった時に、通気孔74の開口76を指で塞いだまま、吸盤部71を眼球から遠ざけていく。吸盤部71がコンタクトレンズを吸い付ける力が、コンタクトレンズと眼球との間の表面張力よりも大きいので、コンタクトレンズは眼球から離れると共に、吸盤部71に吸い付けられる。
また、実施形態7では拡径部15及びつまみ16のシャフト部材12長さ方向の位置を調整することにより、実施形態5で説明した(実施例5-1)~(実施例5-3)と同様の操作ができる。
[実施形態8]
図20を参照して、実施形態8のコンタクトレンズ取外具80について説明する。実施形態4及び実施形態5と同じ部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
コンタクトレンズ取外具80は、吸盤部71と、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72以外の部分に設けられた接続部としての軸部62と、軸部62に接続された手の指で把持する把持部としてのグリップ部61とからなる。実施形態8のコンタクトレンズ取外具80は、実施形態4のコンタクトレンズ装着具60と対比すると、載置部11に替えて吸盤部71を用いている点で相違している。
実施形態4のコンタクトレンズ装着具60の載置部11では、コンタクトレンズ載置面に配置された複数層の突起群によりコンタクトレンズが安定して載置されていたが、実施形態8のコンタクトレンズ取外具80では、吸盤部71がコンタクトレンズ吸引面72によりコンタクトレンズを強力に吸い付かせる。
吸盤部71を軸部62の一端に固定する態様、軸部62の態様、グリップ部61の態様は、実施形態4と同様であり、また、吸盤部71の態様は、実施形態5で説明した吸盤部71と同様であるため、詳細な説明は省略する。
実施形態8では、実施形態5で説明したシャフト部材12、スリーブ部材14、バネ部材17等からなる可動機構を必要としないため、コンタクトレンズ装着具60はより簡略な構造であり、コンタクトレンズを取り外す操作がより単純になる。さらに、製造コストのさらなる低減をも図ることができる。
コンタクトレンズ取外具80を用いてコンタクトレンズを取り外す方法を説明する。
(1)まず、使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、吸盤部71をコンタクトレンズが装着されている左目の眼球に近づけいく。この際、吸盤部71は透明または半透明な素材から構成されており、また、グリップ部61を手で持っており、吸盤部71を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。
(2)吸盤部71が左目のコンタクトレンズに接触したのを感じたら、使用者は吸盤部71を眼球から離していく方向にグリップ部61を操作する。吸盤部71がコンタクトレンズに触れると、柔軟な素材でできた吸盤部71はわずかに変形し、コンタクトレンズを強力に吸引する。この時、吸盤部71がコンタクトレンズを吸引する力は、コンタクトレンズと眼球との間の表面張力よりも大きいので、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付いて、眼球から離れる。
なお、ここでは鏡を見ながら吸盤部71を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、吸盤部71の中心を見つめながら、グリップ部61を操作して、吸盤部71をコンタクトレンズが装着された眼球に近づけていき、眼球にコンタクトレンズに接触したのを感じた時に、吸盤部71を眼球から遠ざければ、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付き、眼球から取り外される。
(3)次に、右目のコンタクトレンズを取り外す際も、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目のコンタクトレンズを先に取り外す例で説明したが、右目のコンタクトレンズを先に取り外す場合も、片目のコンタクトレンズを取り外す場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを取り外すことが可能である。
[実施形態9]
図21を参照して、実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81について説明する。実施形態4、実施形態5及び実施形態8と同じ部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
コンタクトレンズ着脱具81は、吸盤部71と、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72以外の部分に設けられた接続部としての軸部62と、軸部62に接続された手の指で把持する把持部としてのグリップ部61とからなる。実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81は、実施形態8のコンタクトレンズ取外具80に近い構成であるが、両者を対比すると、実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81は、通気孔82と空気室83を有する点で、実施形態8のコンタクトレンズ取外具80と相違しており、この構成の相違により、実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81は、コンタクトレンズの取外しに加え、コンタクトレンズの装着も可能である。
吸盤部71を軸部62の一端に固定する態様、軸部62の態様、グリップ部61の態様について、実施形態4と共通する部分の説明は省略する。また、吸盤部71の態様は、実施形態5で説明した吸盤部71と同様であるため、共通する部分の説明は省略する。
軸部62の中心部には通気孔82が長さ方向全長に設けられており、吸盤部71側及びグリップ部61側にそれぞれ開口を有している。吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心には開口が設けられており、この開口は軸部62に設けられた吸盤部71側の開口に接続されている。グリップ部61の少なくとも一部は樹脂等の柔軟な素材で構成されており、その内部には空気室83が設けられている。空気室83はグリップ部材と軸部62との接合部まで伸びており、軸部62のグリップ部61側の開口と連通している。空気室83が連通しているのは、通気孔82のみであり、それ以外の部分は密閉されている。そして、空気室83は、通気孔82を介して、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心に設けられた開口に連通している。
グリップ部61の少なくとも一部は柔軟な素材で構成されているので、グリップ部61を手の指で握ると空気室83内の体積が減少し、空気室83内の空気が通気孔82を介して排出される。また、グリップ部61の少なくとも一部は弾性を有しており、外部から手の指で押し縮められることができ、また、手を離すことにより元の形状に復帰するものである。そして、グリップ部61を握っていた手の指の握力を緩めると、減少していた空気室83の体積は元に戻るため、通気孔82を介して空気が空気室83の内部に吸入される。このため、空気室83と通気孔82は、スポイトのように作用する。
次に、コンタクトレンズ着脱具でコンタクトレンズを装着する方法とコンタクトレンズを取り外す方法を説明する。
(コンタクトレンズを装着する方法)
(1)まず、使用者は、グリップ部61を片手で持ち、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72が上方を向いた状態で、グリップ部を手の指で少し握り、この状態でもう片方の手で左目用のコンタクトレンズを吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72に載置した後に、グリップ部を握っていた手の指の握力を緩める。これにより、コンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間、通気孔82及び空気室83には負圧が発生しているので、コンタクトレンズはコンタクトレンズ吸引面72に強力に吸い付く。
なお、ここではコンタクトレンズを吸盤部71に載置する前に、グリップ部を手の指で少し握っておく例を説明したが、吸盤部71は柔軟な素材で構成されているから、コンタクトレンズを吸盤部71に載置するだけでも、負圧が発生し、コンタクトレンズを吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面に吸い付けることができる。
(2)使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、吸盤部71に吸い付けられたコンタクトレンズを左目の眼球に近づけいく。この際、グリップ部を握っている手の指の握力を緩めたままとしておけば、吸盤部71を傾けてもコンタクトレンズは吸盤部に吸い付けられているので、コンタクトレンズが落ちることはない。そして、使用者はコンタクトレンズが眼球に接触したことを感じたら、グリップ部を持っている手の指でグリップ部61に握力を加えた後に、吸盤部71を眼球から遠ざける。この操作により、コンタクトレンズは吸盤部71から離れ、眼球に装着される。
なお、ここでは鏡を見ながら吸盤部71を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、吸盤部71の中心を見つめながら、グリップ部61を操作して、吸盤部71に吸い付けられたコンタクトレンズを眼球に近づけていき、コンタクトレンズが眼球に接触したことを感じたら、使用者はグリップ部を持っている手の指でグリップ部61に握力を加えた後に、吸盤部71を眼球から遠ざけることにより、コンタクトレンズは眼球に装着される。この時、吸盤部71は透明な素材で構成されおり、また、グリップ部61を手で持っており、吸盤部71を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。
(3)次に、右目用のコンタクトレンズを装着する際にも、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目用のコンタクトレンズを先に装着する例で説明したが、右目用のコンタクトレンズを先に装着する場合も、片目だけにコンタクトレンズを装着する場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを装着可能である。
(コンタクトレンズを取り外す方法)
(1)まず、使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、グリップ部61を持っている手の指でグリップ部61を軽く握った状態で、吸盤部71をコンタクトレンズが装着されている左目の眼球に近づけいく。この際、吸盤部71は透明な素材で構成されおり、また、グリップ部61を手で持っており、吸盤部71を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。
(2)吸盤部71が左目のコンタクトレンズに接触したのを感じたら、使用者はグリップ部61握っている手の握力を弱めた後に、吸盤部71を眼球から離していく方向にグリップ部61を操作する。吸盤部71がコンタクトレンズに触れた際に、使用者はグリップ部61握っている手の握力を弱めると、コンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間に強力な負圧が発生するため、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付いて、眼球から離れる。
なお、ここでは鏡を見ながら吸盤部71を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、吸盤部71の中心を見つめながら、グリップ部61を持っている手の指でグリップ部61を軽く握った状態で、吸盤部71をコンタクトレンズが装着された眼球に近づけていき、眼球にコンタクトレンズに接触したのを感じた時に、使用者はグリップ部61を握っている手の握力を弱めた後に、吸盤部71を眼球から遠ざければ、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付き、眼球から取り外される。
また、上記(1)、(2)では、吸盤部71を眼球に近づけいく際に手の指でグリップ部61を軽く握る操作を行うと共に、吸盤部71がコンタクトレンズに接触した際にグリップ部61を握っている手の握力を弱める操作を行っているが、このような操作をしなくても、吸盤部71は柔軟な素材でできているため、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72にコンタクトレンズが触れた際に、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間に負圧が発生し、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付けられる。
(3)次に、右目のコンタクトレンズを取り外す際も、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目のコンタクトレンズを先に取り外す例で説明したが、右目のコンタクトレンズを先に取り外す場合も、片目のコンタクトレンズを取り外す場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを取り外すことが可能である。
実施形態9では、グリップ部61を握っている手の握力を強めたり、弱めたりするという簡単な操作だけで、コンタクトレンズをコンタクトレンズ吸引面72に対して吸い付けたり、離したりすることができる。また、実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81の構造は簡略なものであり、その製造コストを低減することができる。
[実施形態10]
図22を参照して、実施形態10のコンタクトレンズ着脱具85について説明する。実施形態4、実施形態5、実施形態8及び実施形態9と同じ部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
コンタクトレンズ着脱具85は、吸盤部71と、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72以外の部分に設けられた接続部としての軸部62と、軸部62に接続された手の指で把持する把持部としてのグリップ部61とからなる。実施形態10のコンタクトレンズ着脱具85は、実施形態9のコンタクトレンズ取外具80に近い構成であるが、両者を対比すると、実施形態10のコンタクトレンズ着脱具85は、空気室83を有しない点、及び、通気孔82に連通する押さえ孔86を有する点で、実施形態9のコンタクトレンズ着脱具81と相違している。
吸盤部71を軸部62の一端に固定する態様、軸部62の態様、グリップ部61の態様について、実施形態4と共通する部分の説明は省略する。また、吸盤部71の態様は、実施形態5で説明した吸盤部71と同様であるため、共通する部分の説明は省略する。
軸部62の中心部には通気孔82が長さ方向全長に設けられており、吸盤部71側及びグリップ部61側にそれぞれ開口を有している。吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心には開口が設けられており、この開口は通気孔82の吸盤部71側の開口に接続されている。グリップ部61には押さえ孔86が設けられており、この押さえ孔86は、グリップ側通気孔87に連通しており、グリップ側通気孔87はさらに、通気孔82のグリップ部61側の開口に連通している。そして、押さえ孔86は、グリップ側通気孔87及び通気孔82を介して、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72の中心に設けられた開口に連通している。
図22では、押さえ孔86は、グリップ部61を片手で握った時に、親指の指先が当たる位置に設けられているが、押さえ孔86の位置は、手の指で押さえられる位置に設けられていればどの位置であってもよく、どの指で押さえられてもかまわない。例えば、押さえ孔86は、グリップ部61の側面、グリップ部61の軸部とは反対側の端面、あるいは、軸部との接続部に設けられていてもよい。
次に、コンタクトレンズ着脱具85を用いてコンタクトレンズを装着する方法とコンタクトレンズを取り外す方法を説明する。
(コンタクトレンズを装着する方法)
(1)まず、使用者は、グリップ部61を片手で持ち、吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72が上方を向いた状態で、もう片方の手で左目用のコンタクトレンズを吸盤部71のコンタクトレンズ吸引面72に載置した後に、グリップ部を握っている手の指で押さえ孔86を塞ぐ。これにより、コンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間に負圧が発生し、コンタクトレンズはコンタクトレンズ吸引面72に吸い付く。
(2)使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、手の指で押さえ孔86を塞いだままの状態で、吸盤部71に吸い付けられたコンタクトレンズを左目の眼球に近づけいく。この際、吸盤部71を傾けてもコンタクトレンズは吸盤部に吸い付けられているので、コンタクトレンズが落ちることはない。そして、使用者はコンタクトレンズが眼球に接触したことを感じたら、押さえ孔86から手の指を離して押さえ孔86を開放してから、吸盤部71を眼球から遠ざける。この操作により、コンタクトレンズは吸盤部71から離れ、眼球に装着される。
なお、ここでは鏡を見ながら吸盤部71を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、吸盤部71の中心を見つめながら、手の指で押さえ孔86を塞いだままの状態で吸盤部71に吸い付けられたコンタクトレンズを眼球に近づけていき、コンタクトレンズが眼球に接触したことを感じたら、使用者は押さえ孔86から手の指を離して押さえ孔86を開放した後に、吸盤部71を眼球から遠ざけることにより、コンタクトレンズは眼球に装着される。この時、吸盤部71は透明な素材で構成されおり、また、グリップ部61を手で持っており、吸盤部71を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。
(3)次に、右目用のコンタクトレンズを装着する際にも、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目用のコンタクトレンズを先に装着する例で説明したが、右目用のコンタクトレンズを先に装着する場合も、片目だけにコンタクトレンズを装着する場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを装着可能である。
(コンタクトレンズを取り外す方法)
(1)まず、使用者は鏡を見ながらグリップ部61を片手で持って、押さえ孔86から手の指を離して押さえ孔86を開放した状態で、吸盤部71をコンタクトレンズが装着されている左目の眼球に近づけいく。この際、吸盤部71は透明な素材で構成されおり、また、グリップ部61を手で持っており、吸盤部71を眼球に近づけていくときに視界を遮ることがないため、使用者が条件反射で瞼を閉じてしまうことを防ぐことができる。
(2)吸盤部71が左目のコンタクトレンズに接触したのを感じたら、使用者はグリップ部61を握っている手の指で押さえ孔86を塞いだ状態として、押さえ孔86を塞いだまま、吸盤部71を眼球から離していく方向にグリップ部61を操作する。吸盤部71がコンタクトレンズに触れた際に、使用者がグリップ部61を握っている手の指で押さえ孔86を塞いだ状態とすると、コンタクトレンズ吸引面72とコンタクトレンズとの間の空間に負圧が発生するため、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付いて、眼球から離れる。
なお、ここでは鏡を見ながら吸盤部71を眼球の角膜に対して位置合わせする例を説明したが、必ずしも鏡を見る必要はない。使用者が正面を向いた姿勢で、吸盤部71の中心を見つめながら、押さえ孔86から手の指を離して押さえ孔86を開放した状態で、吸盤部71をコンタクトレンズが装着された眼球に近づけていき、眼球にコンタクトレンズが接触したのを感じた時に、使用者はグリップ部61を握っている手の指で押さえ孔86を塞いだ状態として、押さえ孔86を塞いだまま吸盤部71を眼球から遠ざければ、コンタクトレンズは吸盤部71に吸い付き、眼球から取り外される。
(3)次に、右目のコンタクトレンズを取り外す際も、上記(1)及び(2)と同様の操作を繰り返す。ここでは、左目のコンタクトレンズを先に取り外す例で説明したが、右目のコンタクトレンズを先に取り外す場合も、片目のコンタクトレンズを取り外す場合にも、同様の操作により、コンタクトレンズを取り外すことが可能である。
実施形態10では、押さえ孔86を手の指で塞いだり、離したりするという簡単な操作だけで、コンタクトレンズをコンタクトレンズ吸引面72に対して吸い付けたり、離したりすることができる。また、実施形態10のコンタクトレンズ着脱具85の構造は簡略なものであり、その製造コストを低減することができる。
10:コンタクトレンズ装着具
11:載置部
12:シャフト部材
13:本体部材
14:スリーブ部材
15:拡径部
16:つまみ
17:ばね部材
18:底部
19:側部
20:リップ部
21:貫通孔
22:開口
23:コンタクトレンズ載置面
26:眼球
27:コンタクトレンズ
30:外層突起群
31:内層突起群
32:最外層突起群
33:中間層突起群
34:最内層突起群
40:収納ケース
41:下部ケース
42:キャップ
43:押さえ部材
50:フレーム部材
51:リム
52:テンプル
53:ブリッジ
54:ノースパット
60:コンタクトレンズ載置具
61:グリップ部
62:軸部
70:コンタクトレンズ取外具
71:吸盤部
72:コンタクトレンズ吸引面
73:コンタクトレンズ着脱具
74:通気孔
75:空気室
76:開口
77:コンタクトレンズ着脱具
80:コンタクトレンズ取外具
81:コンタクトレンズ着脱具
82:通気孔
83:空気室
85:コンタクトレンズ着脱具
86:押さえ孔
87:グリップ側通気孔

Claims (15)

  1. コンタクトレンズを載置する搭載部と、前記搭載部のコンタクトレンズ搭載面以外の部分に設けられた接続部と、前記接続部に接続された手の指で把持する把持部とからなるコンタクトレンズ用器具であって、
    前記搭載部にはコンタクトレンズを搭載可能なコンタクトレンズ搭載面が設けられ、
    前記把持部は前記搭載部を包み込む有底筒状で、内側に空間を形成する本体部材からなり、
    前記接続部は一端に前記搭載部が係合されたシャフト部材からなり、
    前記本体部材の内側には、前記シャフト部材が前記本体部材の底部と交差する方向に摺動自在に接続される手段が設けられており、
    前記摺動自在に接続される手段は、前記本体部材の底部から前記空間の中に突設されたスリーブ部材であり、
    前記シャフト部材は前記本体部材の内側においてスリーブ部材を介して前記シャフト部材の延在方向に移動可能に係合されており、
    コンタクトレンズを装着すること、取外すこと、または、着脱することが可能であることを特徴とするコンタクトレンズ用器具。
  2. 前記搭載部は前記コンタクトレンズ搭載面側が前記本体部材の開口側を向くように、前記シャフト部材の先端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用器具。
  3. 前記本体部材の開口側の形状は、眼球の周りの顔の凹凸形状に沿う形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用器具。
  4. 前記シャフト部材は前記本体部材の底部を貫通して接続されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  5. 前記シャフト部材の他端にはつまみが設けられ、前記つまみと前記本体部材の底部との間には、前記シャフト部材を前記一端側とは反対の方向に付勢するバネ部材が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  6. 前記つまみの前記シャフト部材における位置は、前記シャフト部材の延在方向に調整可能であることを特徴とする請求項5に記載のコンタクトレンズ用器具。
  7. 前記シャフトには前記シャフトの一端側からスリーブ部材に係合する拡径部が設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  8. 前記拡径部の前記シャフト部材における位置は、前記シャフト部材の延在方向に調整可能であることを特徴とする請求項7に記載のコンタクトレンズ用器具。
  9. 前記本体部材は透明または半透明の材料からなることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  10. 前記搭載部は半透明の材料からなることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  11. 前記搭載部は前記接続部に対して着脱自在に装着されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  12. 前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ装着具であって、
    前記搭載部は前記コンタクトレンズ搭載面側に凹となる曲面状であり、
    前記搭載部の前記コンタクトレンズ搭載面側には、複数の突起が設けられており、
    前記複数の突起はコンタクトレンズ搭載面側に凸となるように設けられており、
    前記複数の突起がコンタクトレンズを支持することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  13. 前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ取外し具であって、
    前記搭載部は前記コンタクトレンズ載置面側に凹となる吸盤部であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  14. 前記コンタクトレンズ用器具はコンタクトレンズ着脱具であって、
    前記搭載部は前記コンタクトレンズ載置面側に凹となる吸盤部であり、
    前記吸盤部のコンタクトレンズ搭載面には通気孔の一端が開口していることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用器具。
  15. 前記通気孔の他端は外部に連通しているか、あるいは、空気室に連通していることを特徴とする請求項14に記載のコンタクトレンズ用器具。
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