(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態のコネクタおよびコネクタ構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のコネクタおよびコネクタ構造は、以下の実施形態に限定されない。なお、添付図面において、同じ機能を有する部分には、同一の符号が付されている。
図1~図3は、本実施形態のコネクタ構造の一例を示している。本実施形態のコネクタ構造STは、コネクタ1と、コネクタ1が取り付けられて接続される基材Sと、コネクタ1と電気的に接続される相手方コネクタC1とを備えている。コネクタ1は、相手方コネクタC1と嵌合することによって、図2に示されるように、相手方コネクタC1と電気的に接続される。本実施形態では、相手方コネクタC1は、相手方基板CSに取り付けられていることが好ましい。
なお、本明細書において、相手方コネクタC1をコネクタ1に向かって嵌合させる方向を嵌合方向D11と呼び、嵌合方向D11の反対方向であり、相手方コネクタC1をコネクタ1から抜き出す方向を離脱方向D12と呼ぶ。嵌合方向D11および離脱方向D12の両方向をまとめて第1方向D1と呼ぶ。本実施形態では、第1方向D1は、基材Sの第1面Saに略平行な方向のうちの一方向である。また、本実施形態では、基材Sの第1面Saに略平行な方向のうちの一方向を第2方向D2とする。具体的には、第2方向D2は、第1方向D1に交差する方向であり、より好ましくは、第1方向D1に略垂直な方向である。また、本実施形態では、第2方向D2は、コネクタ1をスライドさせる方向であり、第2方向D2のうち、後述するように、コネクタ1のハウジング2を基材Sに係合させる方向を接続方向D21と呼び、接続方向D21の反対方向であり、ハウジング2と基材Sとの係合を解除する方向を分離方向D22と呼ぶ。また、本実施形態では、第3方向D3は、基材Sの第1面Saに略垂直な方向である。具体的には、第3方向D3は、第1方向D1および第2方向D2の両方に略垂直な方向である。また、本明細書において、第3方向D3に沿って、基材Sの第2面Sb(図3参照)から第1面Saに向かう方向を「上方」とも呼び、第3方向D3に沿って、基材Sの第1面Saから第2面Sbに向かう方向を「下方」とも呼ぶ。また、「上面」、「下面」など、「上」、「下」という用語を用いる場合、基材Sの第1面Saから第3方向D3で遠い側を「上」と呼び、第3方向D3で近い側を「下」と呼ぶ。
コネクタ1は、図1に示されるように、相手方コネクタC1と対をなすコネクタであり、第1方向D1において、相手方コネクタC1と嵌合し、または離脱する。本実施形態では、コネクタ1は、雄型コネクタであり、相手方コネクタC1は、雌型コネクタであるが、コネクタ1および相手方コネクタC1の種類は特に限定されず、コネクタ1が、雌型コネクタであり、相手方コネクタC1が、雄型コネクタであってもよい。図1の例では、コネクタ1および相手方コネクタC1は、基板対電線接続用コネクタであるが、基板対基板接続用コネクタであってもよい。コネクタ1は、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31と嵌合する嵌合部31を備えている。本実施形態のコネクタ構造STは、相手方コネクタC1がコネクタ1に対して基材Sの第1面Saに平行な方向(第1方向D1)に嵌合する水平嵌合構造を有している。しかしながら、コネクタ構造STは、特に限定されず、相手方コネクタC1がコネクタ1に対して基材Sの第1面Saに垂直な方向に嵌合する垂直嵌合構造など、その他の嵌合構造を有していてもよい。コネクタ1は、好適には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイ機器、または、携帯電話、タブレット端末などのモバイル機器など、特に小型化が要求される電子機器に用いられるが、コネクタ1の用途は特に限定されない。
基材Sは、コネクタ1が搭載される部材である。基材Sは、特に限定されないが、例えば、電子機器の筐体、回路基板、金属板などである。本実施形態では、基材Sは、液晶表示装置等、表示装置のバックライトシャーシである。基材Sは、図3に示されるように、第1面Saと、その反対面である第2面Sbと、第1面Saと第2面Sbとの間を貫通する所定の形状の貫通孔Shとを備えている。貫通孔Shの形状は特に限定されないが、本実施形態では、貫通孔Shは、後述する補助部4を基材Sの第2面Sb側へと挿通することができるように構成されている。また、本実施形態では、貫通孔Shの周縁部Spは、コネクタ1を第2方向D2(接続方向D21)にスライドした後に、後述する付勢部41(図4A~図6Bなど参照)が第2面Sbにおいて接触する付勢部接触部Sp1を有している。本実施形態では、付勢部接触部Sp1は、貫通孔Shの第2方向D2に沿って延びる開口縁Spから第1方向D1で貫通孔Shの中心に向かって延びる突出部によって形成されている。より具体的には、貫通孔Shの周縁部Spは、図3に示されるように、略矩形状の開口の第2方向D2に沿って延びる平行な2辺Sh1、Sh2の中央部から、第1方向D1で互いに近付くように突出した一対の付勢部接触部Sp1を有している。これにより、貫通孔Shは、第1方向D1で幅が広い幅広部Shaと、第1方向D1で幅が狭い幅狭部Shbとを有している。
基材Sの材料は、コネクタ1を搭載可能な諸特性を有していれば、特に限定されない。基材Sは、例えば、Al(アルミニウム)、ステンレス鋼などの金属材料、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂)などの有機材料、Al2O3(アルミナ)などの無機材料、ガラスエポキシなどの繊維強化プラスチックなどとすることができる。基材Sは、好適には、後述するように、コネクタ1を第2方向D2(接続方向D21)にスライドして基材Sに取り付ける際に、コネクタ1と係止される被係合部S1を第1面Sa側に有している。図3の例では、被係合部S1は、第1面Saから突出する凸部である。被係合部S1については、詳細に後述される。
図1に戻り、相手方基板CSは、相手方コネクタC1を搭載する回路基板である。本実施形態では、相手方基板CSは、後述するように、コネクタ1の基板収容部312に収容される、第1方向D1に細長い板状基板であり、一端に相手方コネクタC1が搭載されている。相手方基板CSの種類は特に限定されないが、本実施形態では、相手方基板CSは、バックライトシャーシである基材Sに取り付けられるLED基板である。相手方基板CSの材料は、相手方コネクタC1を搭載可能な諸特性を有すれば、特に限定されないが、例えば、Al、ステンレス鋼などの金属材料、ABSなどの有機材料、Al2O3などの無機材料、ガラスエポキシなどの繊維強化プラスチックなどである。例えば、相手方基板CSは、図示していないが、表面にコンタクトパッドを有している。相手方コネクタC1は、このコンタクトパッドの位置において、半田接続などによって相手方基板CSと電気的に接続されるとともに、固定されている。
相手方コネクタC1は、コネクタ1に嵌合接続される。相手方コネクタC1は、コネクタ1の嵌合部に嵌合する相手方嵌合部C31を有している。相手方コネクタC1は、相手方基板CSとともに、コネクタ1に対して第1方向D1(嵌合方向D11)に移動することによって、図2に示されるように、コネクタ1に接続される。
相手方コネクタC1は、本実施形態では、図1に示されるように、相手方基板CSの幅(第2方向D2の長さ)よりも幅狭であるが、相手方基板CSと同じ幅を有していてもよい。また、本実施形態では、相手方コネクタC1は、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの端部に対して離脱方向D12側となるように相手方基板CSに搭載されている。しかし、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの端部と一致するように、相手方コネクタC1が相手方基板CSに搭載されていてもよいし、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの端部から突出するように、相手方コネクタC1が相手方基板CSに搭載されていてもよい。
図4A、図5A~図6Bは、本実施形態のコネクタ1の一例を示している。本実施形態のコネクタ1は、基材S(図1参照)に取り付けられるハウジング2と、相手方コネクタC1(図1参照)の相手方接続端子(図示せず)と電気的に接続される接続端子6とを備えている。コネクタ1は、相手方基板CSを電線7(図1参照)と接続するように構成されている。
ハウジング2は、基材S(図3参照)に取り付けられて接続されたときに、基材Sの第1面Sa(図3参照)側に配置される本体3を備えている。本実施形態では、ハウジング2は、基材Sの第2面Sb(図3参照)側に配置される補助部4と、基材Sの貫通孔Sh(図3参照)内に配置される挿通部5とをさらに備えている。補助部4および挿通部5は、挟持によってハウジング2を基材Sに接続する場合に設けられる。また、ハウジング2は、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って、所定の範囲で移動可能な状態で、基材Sに取り付けられることが好ましい。この具体的な構成については、後述される。
ハウジング2の材料は、絶縁性を有し、基材S(図3参照)への接続および相手方コネクタC1(図1参照)との嵌合が可能な強度を有していれば、特に限定されないが、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などのエンジニアリング・プラスチック等の樹脂により形成されることが好ましい。
補助部4は、図7Aおよび図7Bに示されるように、ハウジング2を基材Sに接続する際に、基材Sの貫通孔Shに挿入される。その後、図7Bおよび図7Cに示されるように、ハウジング2を接続方向D21にスライドさせる。これにより、図7Cに示されるように、本体3と補助部4との間に基材Sを挟持させる。そのため、第3方向D3から見て、補助部4は、ハウジング2のスライド前の位置(図9A参照)において貫通孔Sh内に収まり、スライド後の位置(図9B参照)において貫通孔Shの周縁部Spと重なっている。図7A~図7Cの例では、補助部4は、図6Aおよび図6Bに示されるように、下方から見て、第2方向D2の両端部から第1方向D1の両方向に突出した略H字状である。補助部4は、第1方向D1に幅広となる補助部側幅広部4aと、第1方向D1に幅が狭い補助部側幅狭部4bとを有している。補助部4の補助部側幅広部4aは、図9Aに示されるように、第1方向D1での貫通孔Shの幅狭部Shbの幅よりも広くなるように構成されており、ハウジング2を接続方向D21にスライドさせた際に、図9Bに示されるように、補助部4の補助部側幅広部4aが貫通孔Shの周縁部Spに係合して、第3方向D3でのハウジング2の基材Sからの抜けが規制される。なお、挿通部5の第1方向D1での幅は、貫通孔Shの幅狭部Shbの幅よりも狭くなるように構成されており、挿通部5は、貫通孔Sh内で第2方向D2へのスライドが可能となっている。なお、ハウジング2の基材Sとの接続方法については、後述される。
補助部4は、本実施形態では、図4A、図6Aおよび図6Bに示されるように、第3方向D3に弾性変形可能に構成された付勢部41を有している。付勢部41は、図7Cに示されるように、基材Sの第2面Sbと対向する側に設けられ、基材Sの第2面Sbを第3方向D3に押圧するように構成されている。補助部4が弾性変形可能な付勢部41を有している場合には、図11Aに示されるように、接続する基材Sの厚さが変化しても、補助部4が基材Sの厚さに応じて変形する。したがって、様々な厚さの基材Sを本体3と補助部4との間で挟持することができ、コネクタ1は、異なる厚さを有する様々な種類の基材Sに対応が可能となる。また、挟持によってハウジング2が基材Sに接続された状態であっても、補助部4が第3方向D3に加える力に応じて変形するので、ハウジング2は、第3方向D3に移動可能となる。したがって、コネクタ1が相手方コネクタC1と嵌合するときに、ハウジング2が第3方向D3に移動することによって、嵌合時の衝撃が弱められるので、コネクタ1が損傷しにくくなる。
付勢部41は、耐久性の観点から、バネ性を有する部材によって構成されることが好ましく、さらに、構造の簡易性の観点から、板バネによって構成されることがより好ましい。本実施形態では、図4Aおよび図4Bに示されるように、付勢部41は、基材Sの第2面Sbに対して傾斜した傾斜部411を有する、第2方向D2に延びるアーム状の板バネによって構成されている。このようにすれば、上記効果に加え、付勢部41を容易に作製することができる。傾斜部411は、図8Bに示されるように、ハウジング2がスライドする際に、付勢部接触部Sp1の開口縁Seと当接して弾性変形して、付勢部接触部Sp1の第2面Sbに接触して、第2面Sbを押圧する。
傾斜部411は、本実施形態では、図4Aに示されるように、分離方向D22に向かって延びているが、図4Bに示される変形例のように、接続方向D21に向かって延びていてもよい。付勢部41は、板バネに限定されず、例えば、基材Sの第2面Sb(図7Cなど参照)を第3方向D3に押圧可能なコイルバネやゴムによって構成されてもよい。
付勢部41は、本実施形態では、図6Aおよび図6Bに示されるように、補助部側幅広部4aに設けられ、図9Aおよび図9Bに示されるように、ハウジング2をスライドさせる方向である第2方向D2に垂直な両方向(本実施形態では、第1方向D1)に突出してしている。しかしながら、付勢部41は、補助部側幅広部4aに設けられなくてもよい。例えば、図10Aおよび図10Bに示される変形例のように、補助部4を略矩形形状とし、付勢部41を接続方向D21に突出するように設けてもよい。また、補助部4の全体が、ゴムによって構成されるか、または板バネなどのバネ性を有する部材などによって構成されることによって、補助部4の全体が付勢部41として機能してもよい。
補助部4は、図4A、図6Aおよび図6Bに示されるように、第3方向D3における本体3と補助部4との間隔を規制するように構成された規制部42をさらに備えていてもよい。第3方向D3における本体3と規制部42との間隔は、本体3および補助部4によって挟持される基材S(図7C参照)の最大厚さを規定する。補助部4が付勢部41を備える場合、規制部42は、図4Aの例のように、第3方向D3において、本体3と規制部42との間隔G42が本体3と付勢部41との間の間隔G41より大きくなるように構成されることが好ましい。この場合、ハウジング2が基材Sに接続されたときに、付勢部41は、本体3と規制部42との間隔G42の範囲内で弾性変形する。
規制部42は、図6Aおよび図6Bに示されるように、補助部側幅広部4aとして設けられている。図6Aおよび図6Bの例では、規制部42は、ハウジング2をスライドさせる方向である第2方向D2に垂直な両方向(本実施形態では、第1方向D1)に突出している(図9Aおよび図9Bも参照)。しかしながら、規制部42は、第2方向D2に垂直ないずれか一方向(本実施形態では、嵌合方向D11または離脱方向D12)に突出していてもよいし、第2方向D2に突出していてもよい。
挿通部5は、図4A、図6Aおよび図6Bに示されるように、第3方向D3において、補助部4を本体3と接続するように構成されている。本実施形態では、挿通部5は、図9Bに示されるように、好適には、ハウジング2が基材Sに取り付けられたときに、第1方向D1および第2方向D2の少なくともいずれかにおける基材Sの貫通孔Shの開口縁Seとの間に、クリアランスG1を有するように構成されている。このクリアランスG1によって、ハウジング2は、第1方向D1および第2方向D2のうちの少なくともいずれかに移動可能な状態で、基材Sと接続されることが可能となる。また、第1方向D1および第2方向D2の両方向にクリアランスG1がある場合には、ハウジング2は、第1方向D1および第2方向D2の両方向で移動可能であり、かつ、第3方向D3に延びる軸周りに回転可能な状態で、基材Sに接続されることが可能となる。
ハウジング2は、本実施形態では、図7Cに示されるように、基材Sと係合する第1係合部321と、第1係合部321の基材Sとの係合を解除する操作部322とを備えている。第1係合部321および操作部322は、特に限定されないが、嵌合部31を備える本体3に設けられることが好ましい。
操作部322は、本実施形態では、操作部322を上方に引き上げながら、ハウジング2を分離方向D22に移動させることによって、第1係合部321の基材Sとの係合を解除する。本実施形態では、第1係合部321および操作部322は、一体的に設けられている。図7Cの例では、第1係合部321および操作部322、ハウジング2から所定の方向にアーム状に延びるアーム部32に設けられている。このようにすれば、第1係合部321および操作部322を簡単な構造で形成することができる。また、図7Cの例では、アーム部32は、基材Sの第1面Saと対向する本体3の下面3b側において、分離方向D22に延びるように形成されており、その分離方向D22側の端部に、第1係合部321が操作部322と一体的に設けられている。しかしながら、第1係合部321および操作部322は、本体3および補助部4の少なくともいずれかに設ければよい。
第1係合部321は、例えば、ハウジング2の接続方向D21へのスライド後に、上述した基材Sの被係合部S1と第2方向D2で係合して、ハウジング2の分離方向D22への移動を規制するように構成されている。本実施形態では、第1係合部321は、図4A、図6Aおよび図6Bに示されるように、アーム部32の分離方向D22の端部に設けられた壁部であり、図7Cに示されるように、上述した基材Sの凸形状の被係合部S1に設けられた壁部と第2方向D2で対向して係合するように構成されている。第1係合部321および被係合部S1の形態は、分離方向D22へのハウジング2の移動を規制することができれば、特に限定されない。例えば、図11Bに示される変形例のように、被係合部S1を基材Sに形成された凹部とし、第1係合部321を凹部として形成された被係合部S1に嵌合する凸部としてもよい。また、本実施形態では、ハウジング2は、ハウジング2の基材Sとの接続時において、挿通部5と貫通孔Shの開口縁Seとの間のクリアランスG1(図9B参照)の方向に対応して、図7Cに示されるように、第1方向D1および第2方向D2の少なくともいずれかにおいて、第1係合部321と被係合部S1との間にクリアランスG2を有していることが好ましい。このようにすれば、上述したハウジング2の移動を妨げることはない。
操作部322は、特に限定されないが、本実施形態では、図7Cに示されるように、本体3の下面(基材Sの第1面Saとの対向面)3bにおいて、分離方向D22に延びるアーム部32の分離方向D22側の端部に、第1係合部321と一体的に設けられている。被係合部S1が凸形状である場合には、アーム部32は、補助部4が貫通孔Shに挿入された後であって、ハウジング2が接続方向D21にスライドする前の位置において、基材Sの被係合部S1に対応する形状に形成され、被係合部S1を収容する凹部323を下面3bに備えていることが好ましい(図6Aおよび図6Bも参照)。
本実施形態では、本体3と補助部4との間に基材Sを挟持することによって、コネクタ1を基材Sに接続している。この方法の一例について、図7A~図7Cを参照し、以下に説明する。なお、以下に説明により、本発明は限定されるものではない。
まず、図7Aに示されるように、ハウジング2の補助部4を基材Sの上方から基材Sの貫通孔Shに挿入する(図8Aも参照)。なお、図中のCLは、ハウジング2の位置を示す基準線であり、図7A~図7Cにおいては、嵌合部31の中心線である。ここで、図9Aに示されるように、ハウジング2のスライド前の位置において、補助部4は、第3方向D3から見て、スライド方向である接続方向D21側の端部以外の外形は、貫通孔Shの形状に沿う形状となっている。また、本実施形態では、図7Bに示されるように、基材Sの被係合部S1は、アーム部32の凹部323に収容されている。このようにすれば、補助部4が貫通孔Shに挿入されるときに、基材Sに対してハウジング2が位置合わせされるので、ハウジング2をスライドさせやすくなる。
次に、図7Bおよび図7Cに示されるように、ハウジング2を第2方向(接続方向D21)にスライドさせる。本実施形態では、図8Aおよび図8Bに示されるように、ハウジング2のスライドに伴い、基材Sの第2面Sb側では、付勢部41のアーム状の板バネの傾斜部411が貫通孔Shの開口縁Seと当接する。さらにハウジング2をスライドさせると、基材Sの貫通孔Shの周縁部Sp(付勢部接触部Sp1)の少なくとも一部において、傾斜部411が、基材Sの第2面Sbに接触して第3方向D3に弾性変形することによって、第2面Sbを押圧する。本実施形態では、図4Aに示されるように、傾斜部411は分離方向D22に延びるアーム状に形成されているので、傾斜部411の開口縁Seとの当接の際に、傾斜部411を無理なく変形させることができる。本体3がアーム部32を有し、アーム部32に凹部323が設けられている場合には、基材Sの第1面Sa側では、アーム部32が第3方向D3に弾性変形することによって、凹部323が基材Sの被係合部S1を乗り越える。
さらにハウジング2をスライドさせると、アーム部32の第1係合部321が被係合部S1と係合可能となる。また、貫通孔Shの周縁部Spの少なくとも一部(付勢部接触部Sp1)が、基材Sの第1面Saに略垂直な第3方向D3において、本体3と補助部4との間に挟持される。これにより、図7Cに示されるように、ハウジング2が基材Sに接続され、ハウジング2の分離方向D22への移動が規制される。ハウジング2と基材Sとの接続を解除するには、図7Cにおいて、操作部322を上方に引き上げながら、ハウジング2を分離方向D22に移動させればよい。本実施形態では、ハウジング2の基材Sへの接続後において、図9Bに示されるように、補助部4の付勢部41(補助部側幅広部4a)は、第3方向D3から見て、第1方向D1において、貫通孔Shの周縁部Sp(幅狭部Shb)と少なくとも一部が重っている。しかしながら、図10Aおよび図10Bに示される変形例のように、補助部4の付勢部41は、第3方向D3から見て、接続方向D21において、貫通孔Shの周縁部Spと少なくとも一部が重っていてもよい。
本実施形態では、基材Sを本体3と補助部4とによって挟持することによって、コネクタ1の基材Sへの保持力を十分に得ることができる。また、本実施形態では、上述した従来技術のように、コネクタ1の基材Sへの挿入方向(第3方向D3)における係止部の長さを長くする必要はなく、基材Sの第1面Saと平行な第2方向(接続方向D21)にハウジング2をスライドさせることによって、本体3と補助部4とによって基材Sを挟持している。そのため、挟持に必要な最低限の厚さを有する補助部4を設ければ、コネクタ1を基材Sに接続した後に、コネクタ1が基材Sの第2面Sbから突出する量を小さくすることができる。これにより、コネクタ1の低背化を図ることが容易になる。
また、補助部4が弾性変形可能な付勢部41を有している場合には、基材Sの厚さのバラツキが大きい場合や、異なる厚さを有する異なる基材Sが用いられる場合など、基材Sの厚さに応じて補助部4が第3方向D3に変形する。そのため、同じハウジング2を用いて、様々な厚さの基材Sを本体3と補助部4との間で挟持することが可能となる。
ハウジング2を基材Sに接続したときに、図7Cに示されるように、第2方向D2において貫通孔Shの中央領域で、付勢部41が貫通孔Shの周縁部Sp(付勢部接触部Sp1)を押圧するように構成することが好ましい。このようにすれば、本体3および補助部4による基材Sの挟持がより安定する。
なお、本実施形態では、第1方向D1(嵌合方向D11および離脱方向D12)は、第2方向D2(接続方向D21および分離方向D22)と略垂直に交差している。このようにすれば、ハウジング2が基材Sと接続されているときに、コネクタ1と相手方コネクタC1との嵌合時または離脱時に嵌合方向D11または離脱方向D12に加えられる力によって、ハウジング2が第2方向D2に移動しにくくなる。これにより、嵌合時または離脱時に加えられる力が、嵌合方向D11または離脱方向D12以外の方向に逃げにくくなるので、コネクタ1と相手方コネクタC1との嵌合または離脱が容易になる。しかしながら、第1方向D1は、特に限定されず、第2方向D2または第3方向D3と同じであってもよく、第2方向D2および第3方向D3以外の方向であってもよい。第1方向D1が第2方向D2と交差する方向であれば、上記効果を奏することができる。たとえば、嵌合方向D11と分離方向D22とがなす角は、60~120度、好ましくは70~110度、より好ましくは80~100度とすることができる。また、本実施形態では、第1方向D1は、基材Sの第1面Saに略平行な方向である。このようにすれば、相手方コネクタC1を基材Sの第1面Saに沿わせながら挿入することにより、相手方コネクタC1をコネクタC1に嵌合させやすくなる。
コネクタ1の本体3は、図1に示されるように、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31と嵌合する嵌合部31を備えており、第1方向D1において、相手方コネクタC1を嵌合および離脱できるように構成されている。上述したように、第1方向D1は、特に限定されないが、本実施形態では、第2方向D2と略垂直に交差し、かつ、基材Sの第1面Saに略平行な方向である。嵌合部31は、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31を収容するコネクタ収容部311を備えている。本実施形態では、嵌合部31は、相手方基板CSを収容する基板収容部312を備えている。また、本実施形態では、嵌合部31は、相手方嵌合部C31をコネクタ収容部311に案内するコネクタ案内部313と、相手方基板CSを基板収容部312に案内する基板案内部314とを備えている。
図4A、図5A~図6Bおよび図7Cは、本実施形態の本体3の嵌合部31を示している。コネクタ収容部311は、図5Aおよび図5Bに示されるように、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31(図1参照)を収容可能な大きさの内部空間311sを有する凹部である。コネクタ収容部311は、本体3の離脱方向D12に開口するように形成され、第1方向D1に沿って延びている。コネクタ収容部311の内部空間311sは、相手方嵌合部C31(図1参照)に対応する形状に形成されており、基板収容部312の内部空間312s(図5B参照)と第3方向D3で連続して設けられている(図4Aも参照)。コネクタ収容部311には、上述した接続端子6(図5B参照)が設けられている。接続端子6(図5B参照)は、相手方コネクタC1(図1参照)と嵌合したときに、相手方コネクタC1の相手方接続端子(図示せず)と接触する。これにより、コネクタ1は、相手方コネクタC1(図1参照)と電気的に接続される。
本実施形態では、コネクタ1の本体3は、図1に示されるように、相手方コネクタC1の被係合部C11と係合する第2係合部33を備え、相手方コネクタC1がコネクタ1から離脱することが抑制される。なお、相手方コネクタC1をコネクタ1から離脱させる際には、第2係合部33を操作して、第2係合部33と被係合部C11との間の係合を解除すればよい。
コネクタ案内部313は、図5Aおよび図5Bが示されるように、コネクタ収容部311に対して、離脱方向D12側に設けられている。コネクタ案内部313は、相手方コネクタC1(図1参照)が嵌合方向D11に向かう際に、相手方嵌合部C31(図1参照)をコネクタ収容部311に案内する。コネクタ案内部313の形状および構造は、相手方コネクタC1(図1参照)が嵌合方向D11に向かう際に、相手方嵌合部C31(図1参照)をコネクタ収容部311に案内することができれば、特に限定されない。図5Aおよび図5Bの例では、第2方向D2において相手方嵌合部C31(図1参照)を案内するように、コネクタ案内部313の内部空間313sが嵌合方向D11に向かって第2方向D2で狭くなっている。具体的には、コネクタ案内部313は、嵌合方向D11に向かうにつれて第2方向D2の間隔が短くなるように傾斜した一対の案内面313pを有している。なお、コネクタ案内部313は、第3方向D3において相手方嵌合部C31(図1参照)を案内するように、内部空間313sが嵌合方向D11に向かって第3方向D3で狭くなっていてもよい。また、第2方向D2および第3方向D3の両方向において相手方嵌合部C31(図1参照)を案内するように、コネクタ案内部313の内部空間313sが嵌合方向D11に向かって第2方向D2および第3方向D3の両方向で狭くなっていてもよい。また、内部空間313sは、コネクタ案内部313の案内面313pを平面状に設けることによって狭くなってもよく、案内面313pを曲面状に設けることによって狭くなってもよい。案内面313pが曲面状である場合、曲面が嵌合方向D11に向かう凸形状とすれば(図5Aの点線部分参照)、相手方嵌合部C31の案内を円滑に行うことができる。
図5Aおよび図5Bの例では、コネクタ案内部313は、コネクタ収容部311と接続されており、コネクタ案内部313の内部空間313sは、コネクタ収容部311の内部空間311sと第1方向D1で連続している。
基板収容部312は、図6Aおよび図6Bに示されるように、相手方基板CS(図1参照)の一端部を収容可能な大きさの内部空間312sを有する凹部として本体3の離脱方向D12に開口するように形成されている。基板収容部312は、コネクタ収容部311と同様に、第1方向D1に沿って延びている。図6Aおよび図6Bの例では、基板収容部312の内部空間312sは、相手方基板CS(図1参照)の一端部に対応する形状に形成されており、上述したように、コネクタ収容部311の内部空間311sと第3方向D3で連続して設けられている(図4Aも参照)。
基板案内部314は、図6Aおよび図6Bに示されるように、基板収容部312に対して、離脱方向D12側に設けられている。基板案内部314は、相手方コネクタC1(図1参照)が嵌合方向D11に向かう際に、相手方基板CSを基板収容部312に案内する。基板案内部314の形状および構造は、相手方コネクタC1(図1参照)が嵌合方向D11に向かう際に、相手方基板CSを基板収容部312に案内することが可能であれば、特に限定されない。図6Aおよび図6Bの例では、第2方向D2および第3方向D3において相手方基板CSの一端部を案内するように、基板案内部314の内部空間314sが嵌合方向D11に向かって第2方向D2および第3方向D3で狭くなっている(図4Bも参照)。具体的には、基板案内部314は、嵌合方向D11に向かうにつれて第2方向D2の間隔が短くなるように傾斜した一対の案内面314pを有している。なお、基板案内部314は、第2方向D2および第3方向D3のいずれか一方において相手方基板CSの一端部を案内するように、内部空間314sが嵌合方向D11に向かって第2方向D2および第3方向D3のいずれか一方向で狭くなっていてもよい。また、内部空間314sは、基板案内部314の案内面314pを平面状に設けることによって狭くなってもよく、案内面314pを曲面状に設けることによって狭くなってもよい。案内面314pが曲面状である場合、曲面が嵌合方向D11に向かう凸形状とすれば(図6Aの点線部分参照)、相手方基板CSの一端部の案内を円滑に行うことができる。
図6Aおよび図6Bの例では、基板案内部314は、基板収容部312と接続されており、基板案内部314の内部空間314sは、基板収容部312の内部空間312sと第1方向D1で連続している。
本実施形態では、図7Cに示されるように、基板収容部312は、基材Sの第1面Sa(図1参照)と対向する本体3の下面3bに、相手方基板CSを収容可能な大きさの内部空間312sを有する凹部として形成されている。また、基板案内部314は、基材Sの第1面Sa(図1参照)と対向する本体3の下面3bに凹部として形成されている。より具体的には、基板収容部312および基板案内部314は、本体3の下面3bにおいて、基材Sの第1面Saに向かって開口している。この場合、図2に示されるように、コネクタ1が相手方コネクタC1と嵌合したときに、相手方基板CSが基材Sの第1面Saと接するので、相手方基板CSの第3方向D3における反りが矯正される。しかしながら、図4Cに示されるように、基板収容部312および基板案内部314は、本体3の下面3bにおいて、基材Sの第1面Saに向かって開口せずに、下方が本体3によって塞がれていてもよい。
本実施形態では、上述したように、コネクタ1は、基板収容部312およびコネクタ収容部311を有し、コネクタ収容部311に対して離脱方向D12側にコネクタ案内部313が設けられ、基板収容部312に対して離脱方向D12側に基板案内部314が設けられている。したがって、相手方基板CSを基板案内部314によって案内させながらコネクタ1に収容し、かつ、相手方コネクタC1をコネクタ案内部313によって案内させながらコネクタ1に収容することによって、相手方コネクタC1の挿入方向のズレを補正する。このように、2つの案内部313、314の案内によって、相手方コネクタC1は、挿入方向のズレを補正するように位置決めされるので、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31がコネクタ1の嵌合部31に無理に挿入されにくくなる。これにより、相手方コネクタC1の挿入方向のズレによるコネクタ1の損傷を抑制することができる。これと同時に、相手方コネクタC1の損傷も防止される。
以下、図1、図2、図12A~図15Bを参照して、本実施形態のコネクタ1の相手方コネクタC1との嵌合方法の一例を説明する。なお、以下の説明によって、本発明が限定されるものではない。
本実施形態のコネクタ1に相手方コネクタC1を嵌合させる際には、まず、図12Aに示されるように、相手方コネクタC1および相手方基板CSをコネクタ案内部313および基板案内部314にそれぞれ挿入し、嵌合方向D11に案内させる。ここで、一般的に、コネクタは、回路基板などの構成部品より、無理に加えられた力によって損傷しやすい。そのため、基板案内部314は、コネクタ案内部313が相手方コネクタC1を案内する前に、相手方基板CSを案内することが好ましい。このようにすれば、まず、相手方基板CSが基板案内部314と当接して案内されることによって、相手方基板CSに搭載された相手方コネクタC1が、第2方向D2および/または第3方向D3において位置決めされる。その後に、相手方コネクタC1がコネクタ案内部313に案内される際には、相手方コネクタC1がコネクタ案内部313と当接しないか、当接してもコネクタ案内部313との当接時の衝撃が弱められる。これにより、コネクタ1に無理に力が加わることはなく、コネクタ1を相手方コネクタC1と嵌合させることができるので、コネクタ1の損傷がさらに防止される。これと同時に、相手方コネクタC1の損傷もさらに防止される。
相手方基板CSを基板案内部314に最初に案内させる構成は、特に限定されない。図12Aに示されるように、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの嵌合方向D11側の端部から離脱方向D12側に間隔を空けるように、相手方コネクタC1を相手方基板CSに搭載してもよい。また、図12Bおよび図12Cに示されるように、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部の第1方向D1での位置が、相手方基板CSの嵌合方向D11側の端部に一致するように相手方コネクタC1を相手方基板CSに搭載してもよい。この場合、上述した効果を得るためには、図12Bおよび図12Cの例のように、コネクタ案内部313が、基板案内部314より嵌合方向D11に延びて設けられていればよい。さらに、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの端部から突出するように、相手方コネクタC1が相手方基板CSに搭載されていてもよい。この場合、上述した効果を得るためには、相手方コネクタC1の相手方基板CSからの突出量に応じて、コネクタ案内部313が、基板案内部314より嵌合方向D11にさらに延びて設けられていればよい。
コネクタ案内部313の内部空間313sおよび基板案内部314の内部空間314sは、図12Bに示されるように、嵌合方向D11に向かって、互いに同じ度合(例えば角度)で狭まってもよいし、図12Cに示されるように、互いに異なる度合で狭まってもよい。相手方コネクタC1のハウジング2への当接時の衝撃を弱める観点から、図12Cに示されるように、コネクタ案内部313の内部空間313sの狭まる度合は、基板案内部314の内部空間314sの狭まる度合をよりも小さい方が好ましい。
また、上述したように、本実施形態では、補助部4は、好適には、第3方向D3に弾性変形可能な付勢部41を有し(図7Cなど参照)、挿通部5は、例えば、第1方向D1および第2方向D2のうちの少なくともいずれかにおいて、基材Sの貫通孔Shの開口縁Seとの間にクリアランスG1を有している(図9Bなど参照)。この場合、ハウジング2は、クリアランスG1に対応して、第1係合部321と被係合部S1との間にクリアランスG2を有している(図7Cなど参照)。そのため、ハウジング2は、好適には、図14A~図15Bに示されるように、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って、クリアランスG1またはクリアランスG2に応じた所定の範囲において移動可能な状態で、基材Sと接続されている。
例えば、ハウジング2が第1方向D1に移動可能な場合には、図14Aに示されるように、相手方コネクタC1をコネクタ1に挿入したときに、嵌合方向D11に加えられる力によって、ハウジング2が第1方向D1に移動する。これにより、相手方コネクタC1がハウジング2と当接したときに、嵌合方向D11に加えられた力が弱められるので、コネクタ1の損傷がさらに防止される。これと同時に、相手方コネクタC1および相手方基板CSの損傷も防止される。
また、ハウジング2が第2方向D2に移動可能な場合には、図14Bに示されるように、相手方基板CSが基板案内部314と当接したときに、嵌合方向D11に対する相手方基板CSの挿入方向のズレに応じて、ハウジング2が、第2方向D2に移動する。さらに、ハウジング2が第3方向D3に移動可能な場合には、図15Aに示されるように、相手方基板CSが基板案内部314と当接したときに、嵌合方向D11に対する相手方基板CSの挿入方向のズレMに応じて、ハウジング2が、第3方向D3に移動する。このようなハウジング2の移動により、相手方基板CSがハウジング2と当接したときに、嵌合方向D11に加えられた力が弱められるので、コネクタ1の損傷がさらに防止される。これと同時に、相手方コネクタC1および相手方基板CSの損傷もさらに防止される。
さらに、第1方向D1および第2方向D2の両方向で移動可能な場合には、図14Cに示されるように、ハウジング2は、第1方向D1および第2方向D2への平行移動だけでなく、第3方向D3に延びる軸周りR3に回転可能となる。第2方向D2および第3方向D3の両方向で移動可能な場合には、図15Bに示されるように、ハウジング2は、第2方向D2および第3方向D3への平行移動だけでなく、第1方向D1に延びる軸周りR1に回転可能となる。第3方向D3および第1方向D1の両方向で移動可能な場合には、特に図示していないが、ハウジング2は、第3方向D3および第1方向D1への平行移動だけでなく、第2方向D2に延びる軸周りに回転可能となる。第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3のいずれの方向にも移動可能な場合には、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3への平行移動だけでなく、任意の軸周りに回転可能となる。これにより、嵌合方向D11に対して角度をなすような相手方基板CSの挿入方向のズレに応じて、ハウジング2がより柔軟に移動するので、相手方コネクタC1および相手方基板CSとともに、コネクタ1の損傷がさらに防止される。
なお、図14A~図14Cでは、相手方基板CSが、相手方コネクタC1より先にハウジング2(基板案内部314)と当接することによって、ハウジング2が移動する場合を説明している。そのため、コネクタ収容部311およびコネクタ案内部313の図示を省略している。しかしながら、相手方コネクタC1が、相手方基板CSより先にハウジング2(コネクタ案内部313)と当接することによって、ハウジング2が移動してもよい。しかしながら、上述したように、コネクタ1の損傷のしやすさの観点から、相手方基板CSがハウジング2(基板案内部314)と当接したときに、ハウジング2が移動することが好ましい。
相手方基板CSを基板案内部314に最初に案内させる場合には、図13に示されるように、相手方コネクタC1とコネクタ収容部311とのクリアランスGcは、相手方基板CSと基板収容部312とのクリアランスGsより小さいことが好ましい。このようにすれば、相手方基板CSの基板案内部314との当接によって、粗く位置決めがなされた後に、相手方コネクタC1のコネクタ案内部313との当接によって、細かい位置決めされる。これにより、相手方コネクタC1のコネクタ案内部313との当接時の衝撃をさらに弱めつつ、相手方コネクタC1の位置決めをさらに正確に行うことができる。
以上のように位置決めされた後、図1および図2に示されるように、相手方コネクタC1を嵌合方向D11にさらに移動させると、第2係合部33が相手方コネクタC1の被係合部C11と係合するとともに、コネクタ1は、相手方コネクタC1と嵌合する(図13も参照)。図1および図2の例では、コネクタ1の相手方コネクタC1との嵌合を解除するには、第2係合部33を下方に押しながら、ハウジング2を嵌合方向D11と反対方向の離脱方向D12に移動させればよい。
(第2実施形態)
上記実施形態のコネクタ構造STでは、コネクタ案内部313および基板案内部314は、コネクタ1のハウジング2に設けられていたが、第2実施形態のコネクタ構造STでは、図16に示されるように、コネクタ案内部C313は、相手方嵌合部C31に設けられ、基板案内部C314は、相手方基板CSに設けられている。以下、図16~図17Bを参照して、本実施形態に関し、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。なお、以下の説明によって、本発明が限定されるものではない。
コネクタ案内部C313は、本実施形態では、図16に示されるように、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部に設けられ、相手方嵌合部C31をハウジング2のコネクタ収容部311に案内するように構成されている。コネクタ案内部C313の形状および構造は、相手方コネクタC1が嵌合方向D11に向かう際に、相手方嵌合部C31をコネクタ収容部311に案内することができれば、特に限定されない。本実施形態では、コネクタ案内部C313は、嵌合方向D11側に向かうにつれて、第2方向D2の間隔が短くなるように傾斜した一対の案内面C313pを有している。コネクタ案内部C313の案内面C313pは、平面状に設けられてもよく、曲面状に設けられてもよい。案内面C313pが曲面状である場合、曲面を嵌合方向D11に向かう凸形状とすれば(図16の案内面C313pの点線部分参照)、相手方嵌合部C31の案内を円滑に行うことができる。
基板案内部C314は、本実施形態では、図16に示されるように、相手方基板CSの嵌合方向D11側の端部に設けられ、相手方基板CSをハウジング2の基板収容部312に案内するように構成されている。基板案内部C314の形状および構造は、相手方基板CSが嵌合方向D11に向かう際に、相手方基板CSを基板収容部312に案内することができれば、特に限定されない。本実施形態では、基板案内部C314は、嵌合方向D11側に向かうにつれて、第2方向D2の間隔が短くなるように傾斜した一対の案内面C314pを有している。基板案内部C314の案内面C314pは、平面状に設けられてもよく、曲面状に設けられてもよい。案内面C314pが曲面状である場合、曲面を嵌合方向D11に向かう凸形状とすれば(図16の案内面C314pの点線部分参照)、相手方基板CSの案内を円滑に行うことができる。
本実施形態では、コネクタ案内部C313および基板案内部C314が相手方コネクタC1および相手方基板CSにそれぞれ設けられている。そのため、コネクタ1には、コネクタ案内部および基板案内部が設けられておらず、コネクタ収容部311および基板収容部312がコネクタ1の離脱方向D12側の端部に設けられている。第1実施形態と同様に、コネクタ1にコネクタ案内部313および基板案内部314が設けられてもよい(図4A~図6Bなど参照)。さらに言えば、コネクタ案内部313、C313および基板案内部314、C314は、コネクタ1、ならびに、相手方コネクタC1および相手方基板CSの少なくともいずれかに設けられていればよい。
本実施形態では、第1実施形態と同様の理由から、図17Aに示されるように、基板案内部C314は、コネクタ1と相手方コネクタC1とが嵌合するときに、コネクタ案内部C313が相手方コネクタC1を案内する前に、相手方基板CSを案内するように構成されている。
基板案内部C314が相手方基板CSを最初に案内する構成は、特に限定されない。図17Aに示されるように、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部が、相手方基板CSの嵌合方向D11側の端部から離脱方向D12側に間隔を空けるように、相手方コネクタC1を相手方基板CSに搭載してもよい。また、図17Bに示されるように、相手方コネクタC1の嵌合方向D11側の端部の第1方向D1での位置が、相手方基板CSの嵌合方向D11側の端部に一致するように、相手方コネクタC1を相手方基板CSに搭載してもよい。この場合、上述した効果を得るためには、コネクタ案内部C313が、基板案内部C314より離脱方向D12側に延びて設けられていればよい。
コネクタ案内部C313の案内面C313pの第2方向D2の間隔、および、基板案内部C314の案内面C313pの第2方向D2の間隔は、図17Bでは、嵌合方向D11に向かって、互いに異なる度合(例えば角度)で狭まっているが、互いに同じ度合で狭まってもよい。これらの間隔が互いに異なる度合で狭まる場合には、相手方コネクタC1のハウジング2への当接時の衝撃を弱める観点から、コネクタ案内部C313の案内面C313pの間隔が狭まる度合は、基板案内部C314の案内面C313pの間隔が狭まる度合をよりも小さい方が好ましい。
本実施形態においても、2つの案内部C313、C314の案内によって、相手方コネクタC1は、挿入方向のズレを補正するように位置決めされるので、相手方コネクタC1の相手方嵌合部C31がコネクタ1の嵌合部31に無理に挿入されにくくなる。これにより、相手方コネクタC1の挿入方向のズレによるコネクタ1の損傷を抑制することができる。これと同時に、相手方コネクタC1の損傷も防止される。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ハウジング2が、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って、所定の範囲で移動可能な状態で基材Sと接続されていることが好ましい。この場合、相手方コネクタC1のコネクタ1との当接時の衝撃がさらに弱めつつ、相手方コネクタC1の位置決めをさらに正確に行うことができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、例えば図11Aに示されるように、ハウジング2は、本体3と補助部4との間に基材Sを挟持することによって、基材Sに対して移動可能に接続されている。しかしながら、ハウジング2の基材Sとの接続形態は、特に限定されず、ハウジング2は、基材Sに対して移動できないように固定されて接続されていてもよい。また、ハウジング2は、図18に示されるように、係合によって基材Sと接続されてもよい。この場合、ハウジング2は、補助部4を備えていなくてもよく、基材Sの貫通孔Scと係合する第3係合部34によって、基材Sと係合してもよい。第3係合部34と貫通孔Scとの間には、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかにおいて、クリアランスGeが設けられることが好ましい。これにより、ハウジング2は、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかにおいて、基材Sに対して移動可能な状態で、基材Sと接続される。また、特に図示はしていないが、基材Sに貫通孔Shを設けずに第1面Saに係合機構を設け、ハウジング2が、この係合機構によって、基材Sの第1面Sa側のみで接続されてもよい。いずれにしても、ハウジング2は、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って、所定の範囲で移動可能な状態で、基材Sと接続されることが好ましい。
また、上記実施形態では、コネクタ1(ハウジング2)が、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って、所定の範囲で移動可能な状態で、基材Sと接続されている。しかしながら、相手方コネクタC1が、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3の少なくともいずれかに沿って移動可能な状態で、相手方基板CSと接続されていてもよい。また、コネクタ1および相手方コネクタC1は、第2係合部33および被係合部C11をそれぞれ有さなくてもよい。つまり、コネクタ1は、相手方コネクタC1と係合されなくてもよく、相手方コネクタC1と電気的に接続されればよい。