JP7157094B2 - 誘導加熱装置およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビレットを加熱する誘導加熱装置およびその制御方法に関するものであり、詳しくは加熱されたビレットを次工程に送れない場合にビレットの再利用を容易に行うことができる誘導加熱装置およびその制御方法に関するものである。
円筒形状または角柱形状のビレットを加熱する誘導加熱装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には棒状のビレットを連続的に加熱機構に供給して、加熱されたビレットを次工程のプレス機械に送る誘導加熱装置の構成が開示されている。
プレス機械の不調等により加熱後のビレットを次工程に送れない場合は、加熱されたビレットをバケットに回収して冷まし、後日再利用していた。ビレットを再利用する際には、ビレットをバケットから取り出して並べ直してから加熱機構に供給する必要があった。ビレットの再利用における作業効率を向上することが困難であった。
加熱後のビレットをバケットに落下させる構成であったため、落下の衝撃によりビレットが変形する不具合があった。ビレットが変形すると再利用が困難となるため、ビレットが無駄になる不具合があった。
日本国実開平02-120795号公報
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的はビレットの再利用を容易に行うことができる誘導加熱装置およびその制御方法を提供することである。
上記の目的を達成するための誘導加熱装置は、棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置において、前記加熱機構で加熱された前記ビレットを前記供給機構に搬送するための戻りラインを備えていて、前記戻りラインが、前記加熱機構から排出される棒状の前記ビレットの軸方向を搬送方向として前記ビレットを搬送する第一搬送機構と、この第一搬送機構と前記供給機構との間に連結される第二搬送機構とを有していて、前記第一搬送機構が、前記ビレットを掴んで上下方向を中心軸として棒状の前記ビレットの軸方向を旋回させる方向変換機を有することを特徴とする。
上記の目的を達成するための制御方法は、棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置の制御方法において、前記加熱機構の下流側と前記供給機構とをつなぐ戻りラインが配置されていて、前記戻りラインが、前記加熱機構から排出される棒状の前記ビレットの軸方向を搬送方向として搬送する第一搬送機構と、この第一搬送機構と前記供給機構との間に連結される第二搬送機構とを有していて、加熱された前記ビレットを次工程に送れない場合に加熱された前記ビレットを前記戻りラインを利用して前記供給機構に搬送する際に、前記第一搬送機構に設置される方向変換機が前記ビレットを掴んで上下方向を中心軸として前記ビレットの軸方向を旋回させることを特徴とする。
本発明によれば、次工程のプレス機械が不具合等で停止している場合に、加熱後のビレットを戻りラインで供給機構に戻すことができる。ビレットの再利用を容易に行うことができる。ビレットを再利用する際の作業効率を向上するには有利である。
誘導加熱装置を平面視で例示する説明図である。 図1の戻りラインを拡大して例示する説明図である。 図2の戻りラインの変形例を例示する説明図である。 図2の戻りラインの変形例を例示する説明図である。 図2の戻りラインの変形例を例示する説明図である。
以下、誘導加熱装置およびその制御方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中ではビレットの軸方向であり搬送される方向でもある搬送方向を矢印x、この搬送方向xを直角に横断する幅方向を矢印y、上下方向を矢印zで示している。
図1に例示するように誘導加熱装置1は、棒状のビレット2を加熱する加熱機構3と、この加熱機構3の上流側に配置される供給機構4と、加熱機構3の下流側に配置される排出機構5とを備えている。棒状のビレット2は例えば円柱形状または角柱形状に形成されている。図1では説明のため供給機構4および排出機構5の範囲を破線で示している。
供給機構4には複数のビレット2が整列状態で配置されているコンテナ6が載置されている。供給機構4と加熱機構3との間に配置されるコンベア7に、コンテナ6のビレット2を供給する供給機8を供給機構4は有している。供給機8は例えば多軸の自由度を持ち自動制御可能なマニピュレータで構成される。軸方向に並べられているビレット2を掴んでコンベア7に供給する構成を供給機8は有している。ビレット2は軸方向を搬送方向xとしてコンベア7により加熱機構3に搬送される。供給機構4の範囲はコンベア7の一部を含む範囲に設定されていてもよい。
加熱機構3は誘導加熱炉で構成されている。ビレット2は誘導加熱炉で加熱されて、排出機構5に順次押し出されていく。
排出機構5は加熱後のビレット2を次工程であるプレス機械9に排出する排出機10を有している。排出機10は例えば供給機8と同様にマニピュレータで構成される。排出機10が加熱後のビレット2を一つずつプレス機械9の金型に配置する。
供給機8および排出機10の構成は上記に限らない。ビレット2を供給したり排出したりできる構成を有していればよい。
プレス機械9の不具合により数秒から数分程度のごく短時間の間、加熱後のビレット2を次工程のプレス機械9に送れないことがある。加熱後のビレット2を次工程に送れない場合、このビレット2を供給機構4に戻すための戻りライン11を誘導加熱装置1は有している。図では説明のためビレット2が搬送される方向を矢印で示している。
加熱後のビレット2を戻りライン11により供給機構4に戻すことができる。供給機構4に戻されるビレット2は供給機8により再度加熱機構3に供給されるので、ビレット2の再利用を容易に行うことができる。具体的には従来必要であったビレット2を並べ直してコンテナ6に配置する作業が不要となる。ビレット2を再利用する際の作業効率を向上するには有利である。
図1に例示するように戻りライン11は、加熱機構3と排出機構5との間に連結される第一搬送機構12と、第一搬送機構12と供給機構4との間に連結される第二搬送機構13とで構成することができる。図1では説明のため第一搬送機構12および第二搬送機構13の範囲を破線で示している。
第一搬送機構12は、例えばビレット2を搬送するチェーンコンベアなどのコンベアで構成される。第一搬送機構12はコンベアに限らず、ビレット2を搬送できる構成を有していればよい。第一搬送機構12は例えばビレット2を下方から支持して滑らせて移動させるレールで構成してもよい。
図2に例示するように加熱後のビレット2を掴んでビレット2の軸方向を旋回させる方向変換機14、15を第一搬送機構12が有する構成としてもよい。この実施形態では第一搬送機構12は第一方向変換機14と第二方向変換機15とを有している。第一方向変換機14と第二方向変換機15とにより、ビレット2はそれぞれ上下方向zを中心軸として90°ずつ旋回させられる。加熱機構3を通過するときと比べて第二方向変換機15の下流側ではビレット2は180°旋回した状態となる。
第一方向変換機14および第二方向変換機15は、例えばビレット2を下方から支持しつつ、上下方向zを中心軸に旋回する回転台座で構成することができる。
第一搬送機構12は、排出機構5の下流側に連結される構成としてもよい。このとき排出機構5のマニピュレータにより上下方向zを中心軸としてビレット2を旋回させる構成としてもよい。つまり排出機構5のマニピュレータを第一方向変換機14として利用する構成としてもよい。
第一搬送機構12は、加熱されたビレット2を冷却する冷却部16を有していてもよい。冷却部16は第一搬送機構12の途中部分に配置されている。冷却部16は、ビレット2を水で冷却する構成(水冷)または空気で冷却する構成(空冷)、または水冷および空冷を組み合わせる構成とすることができる。冷却部16は第二搬送機構13に設置されてもよく、第一搬送機構12および第二搬送機構13の両方に設置されてもよい。
第二搬送機構13は、第一搬送機構12から送られてくるビレット2をその幅方向yに搬送するスライド部17を有している。スライド部17は例えばフィーダやコンベアで構成される。ビレット2は、スライド部17によりその軸方向を維持したまま供給機構4またはその近傍まで送られる。このビレット2は、供給機8によりコンベア7に供給される。つまり第二搬送機構13はビレット2を供給機構4に受け渡し可能な構成を有している。
供給機8はコンテナ6のビレット2を加熱機構3に供給しつつ、スライド部17に一定量のビレットが溜まったときはスライド部17のビレット2を加熱機構3に供給する。コンテナ6のビレット2がなくなりコンテナ6を交換している間に、供給機8がスライド部17のビレット2を加熱機構3に供給する構成としてもよい。
加熱後のビレット2をバケット等に落下させることがないため、ビレット2に変形が生じることを防止できる。再利用できないビレット2の発生を防止できるので、ビレット2が無駄にならない。
戻りライン11が冷却部16を有している場合は、戻りライン11を経由して供給機構4に再供給されるビレット2の温度を、コンテナ6から供給されるビレット2の温度と同一にしやすくなる。つまり再供給されるビレット2の温度を室温と同一にできる。加熱機構3から排出されるビレット2の温度のばらつきを抑制するには有利である。
ビレット2の温度が比較的高い状態で、加熱機構3にビレット2が再供給されると、ビレット2が加熱されすぎる不具合が発生する。戻りライン11を介して比較的多数のビレット2が加熱機構3に再供給される場合であっても、冷却部16を有する構成によりビレット2の温度のばらつきを抑制できる。
冷却部16は誘導加熱装置1の必須の構成要件ではない。誘導加熱装置1が冷却部16を有さない場合であっても、戻りライン11により戻されるビレット2の数が比較的少ない場合は、第一搬送機構12や第二搬送機構13で時間をかけて室温によりビレット2は冷やされる。加熱機構3に再供給されるビレット2は、温度が十分に下がった状態とすることができる。
戻りライン11は、第一搬送機構12および第二搬送機構13を有する構成に限らない。ビレット2を加熱機構3の下流側から供給機構4に搬送できる構成を戻りライン11は有していればよい。
第一搬送機構12の構成は上記に限らない。図3に例示するように第一搬送機構12が湾曲部18を有していてもよい。ビレット2は、湾曲部18で軸方向を徐々に変えながら第二搬送機構13に搬送される。第一搬送機構12が湾曲部18を有する実施形態では、第二方向変換機15が不要となる。図1に例示する実施形態と同様に、第一搬送機構12においてビレット2はその軸方向を搬送方向とする状態で搬送される。
図4に例示するように第一搬送機構12が湾曲部18を有していて、ビレット2が幅方向に転がりながら搬送される構成にしてもよい。ビレット2は円弧を描きながら転がり第二搬送機構13のスライド部17まで搬送される。この実施形態では第一搬送機構12においてビレット2は幅方向を搬送方向とする状態で搬送される。第一搬送機構12がコンベアを有する場合など、ビレット2が転がることなくその幅方向に搬送される構成としてもよい。
図5に例示するように第一方向変換機14、第二方向変換機15および湾曲部18を第一搬送機構12が有さない構成であってもよい。この実施形態では加熱機構3から排出されるビレット2は、第一搬送機構12において幅方向に搬送された後に、軸方向を搬送方向とする状態で搬送される。その後、ビレット2は第一搬送機構12から第二搬送機構13に搬送される。
第一方向変換機14等を有する構成の方が、戻りライン11の形状の自由度を向上できる。比較的小さい状態で誘導加熱装置1に戻りライン11を組み込むには、第一方向変換機14等を有する構成の方が有利である。
第二搬送機構13が、第一搬送機構12から送られてくるビレット2をその軸方向に沿って整列させる状態で一時的に滞留させる滞留部19を有していてもよい。例えば七つなど予め定められる数のビレット2が滞留部19に到着するまで、他のビレット2は滞留部19で滞留する。
スライド部17は、滞留部19で所定数となったビレット2をその幅方向yに搬送する。軸方向に所定数並べられたビレット2は、並べられている状態を維持したままスライド部17により供給機構4まで送られる。
供給機8が、軸方向に並べられている複数のビレット2を一度に掴んでコンベア7に供給する構成を有していてもよい。この場合は、滞留部19からスライド部17に送られるビレット2の予め定められる数を、例えば供給機8がコンテナ6から一度に把持するビレット2の数と同一とすることが望ましい。この構成によれば供給機8は、コンテナ6からコンベア7にビレット2を移動させる作業と、スライド部17からコンベア7にビレット2を移動させる作業とをほぼ同一の作業として供給機8等は実行することができる。
1 誘導加熱装置
2 ビレット
3 加熱機構
4 供給機構
5 排出機構
6 コンテナ
7 コンベア
8 供給機
9 プレス機械
10 排出機
11 戻りライン
12 第一搬送機構
13 第二搬送機構
14 第一方向変換機
15 第二方向変換機
16 冷却部
17 スライド部
18 湾曲部
19 滞留部
x 搬送方向
y 幅方向
z 上下方向

Claims (7)

  1. 棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置において、
    前記加熱機構で加熱された前記ビレットを前記供給機構に搬送するための戻りラインを備えていて、
    前記戻りラインが、前記加熱機構から排出される棒状の前記ビレットの軸方向を搬送方向として前記ビレットを搬送する第一搬送機構と、この第一搬送機構と前記供給機構との間に連結される第二搬送機構とを有していて、
    前記第一搬送機構が、前記ビレットを掴んで上下方向を中心軸として棒状の前記ビレットの軸方向を旋回させる方向変換機を有することを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記方向変換機が、多軸の自由度を持ち自動制御可能なマニピュレータ、または前記ビレットを下方から支持する回転台座で構成される請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記第二搬送機構が、前記第一搬送機構から搬送される前記ビレットを、その幅方向を搬送方向として搬送するスライド部を有する請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記第一搬送機構および前記第二搬送機構の両方が、前記ビレットを冷却する冷却部をそれぞれ有する請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
  5. 棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置において、
    前記加熱機構で加熱された前記ビレットを前記供給機構に搬送するための戻りラインを備えていて、
    前記戻りラインが、複数の前記ビレットをその軸方向に沿って整列させる状態で前記供給機構に搬送する第二搬送機構を有していて、
    前記第二搬送機構が、複数の前記ビレットをその軸方向に沿って整列させる状態で一時的に滞留させる滞留部と、この滞留部において一列に整列する前記ビレットの数が予め定められた数に達したとき、一列に整列している複数の前記ビレットを幅方向に搬送するスライド部とを有することを特徴とする誘導加熱装置。
  6. 棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置の制御方法において、
    前記加熱機構の下流側と前記供給機構とをつなぐ戻りラインが配置されていて、
    前記戻りラインが、前記加熱機構から排出される棒状の前記ビレットの軸方向を搬送方向として搬送する第一搬送機構と、この第一搬送機構と前記供給機構との間に連結される第二搬送機構とを有していて、
    加熱された前記ビレットを次工程に送れない場合に加熱された前記ビレットを前記戻りラインを利用して前記供給機構に搬送する際に、前記第一搬送機構に設置される方向変換機が前記ビレットを掴んで上下方向を中心軸として前記ビレットの軸方向を旋回させることを特徴とする制御方法。
  7. 棒状のビレットを加熱する加熱機構と、この加熱機構の上流側に配置されていて前記ビレットを前記加熱機構に供給する供給機構と、前記加熱機構の下流側に配置されていて加熱された前記ビレットを次工程に送る排出機構とを備える誘導加熱装置の制御方法において、
    前記加熱機構の下流側と前記供給機構とをつなぐ戻りラインが配置されていて、
    前記戻りラインが、複数の前記ビレットをその軸方向に沿って整列させる状態で前記供給機構に搬送する第二搬送機構を有していて、
    加熱された前記ビレットを次工程に送れない場合に加熱された前記ビレットを前記戻りラインを利用して前記供給機構に搬送する際に、
    前記第二搬送機構が、複数の前記ビレットをその軸方向に沿って整列させる状態で一時的に滞留させて、一列に整列する前記ビレットの数が予め定められた数に達したとき、一列に整列している複数の前記ビレットを幅方向に搬送することを特徴とする制御方法。
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