以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明はそれらの例示に限定されない。
[第1の構成]
本発明の実施形態による製造方法は、自動車用の構造部材の製造方法である。構造部材は、本体と、第1の補強部材と、第2の補強部材と、を備える。
以下の説明では、本実施形態の構造部材を「構造部材(S)」と称する場合がある。本体を「本体(M)」、第1の補強部材を「第1の補強部材(R1)」、及び第2の補強部材を「第2の補強部材(R2)」とそれぞれ称する場合がある。この明細書において、「断面」という用語は、特に断りがない限り、構造部材(S)(本体(M)、第1の補強部材(R1)及び第2の補強部材(R2))が延びる方向(長手方向)に垂直な断面を意味する。
本体は、長尺で断面がハット形である。本体は、第1の縦壁と、第2の縦壁と、天板と、第1のフランジと、第2のフランジと、を含む。天板は、第1の縦壁と第2の縦壁に隣接する。第1のフランジは、第1の縦壁の端部から延びる。第2のフランジは、第2の縦壁の端部から延びる。
第1の補強部材は、長尺で断面がL字形である。第1の補強部材は、第1の主板と、第1の副板と、を含む。第1の主板は、第1の縦壁に接合される。第1の副板は、天板に沿って第1の縦壁側から外側の方向に向かって突出する。
第2の補強部材は、長尺で断面がL字形である。第2の補強部材は、第2の主板と、第2の副板と、を含む。第2の主板は、第2の縦壁に接合される。第2の副板は、天板に沿って第2の縦壁側から外側の方向に向かって突出する。
製造方法は、(a)平坦な本体用鋼板を準備する工程と、(b)平坦な第1の補強部材用金属板を準備する工程と、(c)平坦な第2の補強部材用金属板を準備する工程と、(d)本体用鋼板、第1の補強部材用金属板、及び第2の補強部材用金属板からなる素材を得る接合工程と、(e)素材から構造部材を形成するプレス工程と、を含む。
工程(a)において、本体用鋼板は、第1の縦壁となる第1の縦壁相当部、第2の縦壁となる第2の縦壁相当部、天板となる天板相当部、第1のフランジとなる第1のフランジ相当部、及び第2のフランジとなる第2のフランジ相当部を含む。工程(b)において、第1の補強部材用金属板は、第1の主板となる第1の主板相当部、及び第1の副板となる第1の副板相当部を含む。工程(c)において、第2の補強部材用金属板は、第2の主板となる第2の主板相当部、及び第2の副板となる第2の副板相当部を含む。
接合工程(d)では、本体用鋼板に第1の補強部材用金属板を重ね、第1の縦壁相当部に第1の主板相当部を接合する。さらに、本体用鋼板に第2の補強部材用金属板を重ね、第2の縦壁相当部に第2の主板相当部を接合する。これによって、本体用鋼板、第1の補強部材用金属板、及び第2の補強部材用金属板からなる素材を得る。プレス工程(e)では、下型アッセンブリ及び上型アッセンブリを含むプレス装置を用いて素材を変形させる。これによって、素材から構造部材(S)を形成する。
本実施形態の製造方法によれば、構造部材(S)を製造することができる。構造部材(S)は、特許文献3で提案されている構造部材に相当する。つまり、構造部材(S)の本体(M)は、特許文献3で提案されている断面ハット形のプレス成形品に相当する。構造部材(S)の第1及び第2の補強部材(R1、R2)は、特許文献3で提案されている断面L字状の2つの補強部材に相当する。したがって、製造された構造部材(S)は衝突特性に優れる。
しかも、本実施形態の製造方法によれば、金型アッセンブリが必要な工程はプレス工程(e)のみである。そのため、特許文献3のようなプレス成形品及び補強部材それぞれの製造に関する二重の製造管理は不要となる。さらに、本実施形態の製造方法によれば、プレス工程(e)の前の接合工程(d)で平坦な本体用鋼板に平坦な第1及び第2の補強部材用金属板を接合している。そのため、特許文献3のような格別な寸法精度の管理がなくても、容易に接合を行うことができ、接合状態が安定する。これらのことから、製造管理コストを低減することができる。
本実施形態の製造方法において、典型的な例では、プレス工程(e)はホットスタンピングである。プレス工程(e)は温間プレスであってもよいし、冷間プレスであってもよい。
プレス工程(e)でホットスタンピングを行う場合、まず、接合工程(d)によって得られた素材を所定の焼入れ温度まで加熱する。焼入れ温度は、素材を構成する本体用鋼板がオーステナイト化するA3変態点(より具体的にはAc3変態点)よりも高い温度である。次に、加熱した素材を、プレス装置でプレスする。素材は加熱されているため、大きく変形させても割れが生じにくい。素材をプレスする際に急冷を施す。これによって、プレスによる構造部材(S)の形成とともに、急冷による構造部材(S)の焼入れが行われる。構造部材(S)の急冷は、金型を冷却したり、金型から構造部材(S)に向けて水を噴出させたりすることによって実施できる。ホットスタンピングによって形成された構造部材(S)の本体(M)は焼入れ組織(マルテンサイト組織)を有する。そのため、この構造部材(S)はより衝突特性に優れる。
本実施形態の製造方法において、工程(a)で準備する本体用鋼板は、プレスによる変形が可能である限り、その種類は特に限定されない。本体用鋼板の引張強度は、340MPa以上(例えば、490MPa以上、590MPa以上、780MPa以上、980MPa以上、又は1200MPa以上)であってもよい。プレス工程(e)が温間プレス又は冷間プレスの場合、構造部材(S)を構成する本体(M)の引張強度は、本体用鋼板の引張強度と同等になる。プレス工程(e)がホットスタンピングの場合、構造部材(S)を構成する本体(M)の引張強度は、本体用鋼板の引張強度よりも高くなる。ホットスタンピング時の焼入れによって本体(M)の強度が上昇するからである。
また、工程(b)及び(c)で準備する第1及び第2の補強部材用金属板は、補強部材として用いることが可能で、且つプレスによる変形が可能である限り、その種類は特に限定されない。第1及び第2の補強部材用金属板は、本体用鋼板と同一の又は異なる鋼板であってもよいし、アルミニウム等の他の金属材料からなる板であってもよい。
ここで、例えば、特許文献3で提案されている構造部材は、個別に製造されたプレス成形品と補強部材とが溶接によって接合されたものである。構造部材の衝突特性を向上させるために、ホットスタンピングによってプレス成形品を製造することが考えられる。しかしながら、この構造部材には下記の不都合が生じる。プレス成形品に補強部材を溶接すると、プレス成形品の溶接部の周辺に熱影響部(HAZ)が形成される。つまり、プレス成形品は、ホットスタンピングによって焼入れ組織を有するにもかかわらず、溶接部周辺のHAZで軟化が生じている。そのため、その構造部材に衝突荷重が与えられると、溶接部周辺のHAZで破断が生じ易い。
これに対して本実施形態の製造方法では、プレス工程(e)の前の接合工程(d)で本体用鋼板と第1及び第2の補強部材用金属板との接合が行われる。接合工程(d)の接合方法が溶接であれば、本体用鋼板にHAZが形成される。ただし、その後のプレス工程(e)でホットスタンピングを行えば、HAZは加熱及び焼入れによって消滅する。
本実施形態の製造方法において、接合工程(d)の接合方法は、本体用鋼板と第1及び第2の補強部材用金属板とを固定できる限り、特に限定されない。接合方法は、例えば溶接である。溶接は、抵抗スポット溶接であってもよいし、レーザー溶接であってもよい。また、接合方法は、接着剤、ろう付け、リベット、及び摩擦攪拌接合のいずれかであってもよい。実用性の観点から、接合方法が溶接であることが好ましい。
(構造部材(S))
本実施形態の製造方法によって製造された自動車用の構造部材(S)は、バンパービーム、サイドシル、ピラー(例:センターピラー、フロントピラー)、ルーフレール、ドアインパクトビーム、ベルトラインレインフォースメント、及びルーフアーチである。構造部材(S)は、自動車用の他の構造部材として用いられてもよい。
本体(M)は、全体としては細長い形状を有する。第1の縦壁、第2の縦壁、天板、第1のフランジ、及び第2のフランジは、いずれも本体(M)の長手方向に沿って延びている。第1の縦壁は、天板を間に挟んで第2の縦壁と対称な形状であってもよいし、非対称な形状であってもよい。第1のフランジは、天板を間に挟んで第2のフランジと対称な形状であってもよいし、非対称な形状であってもよい。例えば、第1の縦壁及び第1のフランジが本体(M)の長手方向に沿って直線状に延び、第2の縦壁及び第2のフランジが本体(M)の長手方向に沿って曲線状に延びていてもよい。
第1の補強部材(R1)及び第2の補強部材(R2)は、本体(M)の長手方向全体にわたって配置されていてもよいし、本体(M)の長手方向の一部のみに配置されていてもよい。長手方向において、第1の補強部材(R1)の配置位置は、第2の補強部材(R2)の配置位置と一致していてもよいし、異なっていてもよい。また、第1の補強部材(R1)は、天板を挟んで第2の補強部材(R2)と対称な形状であってもよいし、非対称な形状であってもよい。
以下では、第1の縦壁、第2の縦壁、第1及び第2の縦壁の端部同士を結ぶ仮想の面、及び天板によって囲まれた領域を「本体(M)の内側」と称する場合がある。さらに、第1及び第2の縦壁、及び天板を挟んで当該内側とは反対の側を「本体(M)の外側」と称する場合がある。さらに、本体(M)の内側から離れる方向を、「外側の方向」と称する場合がある。
天板は、第1の縦壁と第2の縦壁に隣接する。より詳細には、第1の縦壁は、稜線部(角部)を介して天板と接続されている。第2の縦壁は、別の稜線部(角部)を介して天板と接続されている。
断面視において、天板と第1の縦壁とがなす角度、及び天板と第2の縦壁とがなす角度は、90°又はその近傍である。以下では、これらの各角度を「内角Y」と称する場合がある。内角Yは、70°~150°の範囲にあってもよい。内角Yは、第1の縦壁と第2の縦壁とで異なっていてもよいし、ほぼ同じ(両者の差が10°以内)であってもよい。内角Yについては図2及び図3で説明する。
第1の補強部材(R1)について、第1の主板は、第1の副板がつながっている側が上方(天板側)に配置されるように本体(M)に固定されている。この固定は、接合工程(d)での本体用鋼板と第1の補強部材用金属板との接合によって実施される。第2の補強部材(R2)についても第1の補強部材(R1)と同様に、第2の主板は、第2の副板がつながっている側が上方(天板側)に配置されるように本体(M)に固定されている。この固定は、接合工程(d)での本体用鋼板と第2の補強部材用金属板との接合によって実施される。
固定部(接合部)の位置に関しては、可能な限りなるべく天板側に近いほうが好ましい。天板側に近い位置で固定することで、第1の主板が本体(M)の第1の縦壁を内側に押すモーメントが生じ易く、第2の主板が本体(M)の第2の縦壁を内側に押すモーメントが生じ易いためである。
天板と第1の副板とは典型的には平行である。天板と第2の副板とは典型的には平行である。ただし、天板に対して第1及び第2の副板が傾いていてもよい。天板と第1の副板とがなす角度、及び天板と第2の副板とがなす角度は、180°又はその近傍である。以下では、これらの各角度を「角度X」と称する場合がある。角度Xは、150°~200°の範囲にあってもよい。好ましくは、角度Xは150°~180°である。角度Xについては図2及び図3で説明する。
第1の補強部材(R1)では、第1の主板と第1の副板とによって、L字形の断面を有する形状が構成される。第2の補強部材(R2)では、第2の主板と第2の副板とによって、L字形の断面を有する形状が構成される。第1の主板と第1の副板とがなす角度、及び第2の主板と第2の副板とがなす角度は、70°~120°の範囲にあってもよい。以下では、これらの各角度を「内角Z」と称する場合がある。好ましくは、内角Zは80°~100°である。なお、内角Zは角度X、内角Yに対応して定まる角度である。内角Zについては図2及び図3で説明する。
第1の縦壁と天板との境界(角部)の断面は、ラウンド形状であってもよい。第2の縦壁と天板との境界(角部)の断面は、ラウンド形状であってもよい。その場合、第1の縦壁におけるラウンド形状の開始位置よりも天板側に、第1の補強部材における第1の副板が配置されていてもよい。第2の縦壁におけるラウンド形状の開始位置よりも天板側に、第2の補強部材における第2の副板が配置されていてもよい。このような構成によれば、天板側からの衝突によって第1及び第2の縦壁が外側に倒れることを抑制することが可能である。第1及び第2の縦壁が外側に倒れることを抑制することによって、天板側からの衝突に対する特性を向上できると考えられる。
ここで、天板を含む主平面を仮定する。さらに、第1の縦壁におけるラウンド形状の開始位置を通り主平面に平行な第1の平面を仮定する。第1の補強部材における第1の副板は、主平面、主平面と第1の平面との間、及び第1の平面で構成される領域内に配置されてもよい。また、第2の縦壁におけるラウンド形状の開始位置を通り主平面に平行な第2の平面を仮定する。第2の補強部材における第2の副板は、主平面、主平面と第2の平面との間、及び第2の平面で構成される領域内に配置されてもよい。例えば、第1及び第2の副板は、主平面と同一平面上にあってもよい。この構成によれば、天板側からの衝突によって第1及び第2の縦壁が外側に倒れることを抑制することが可能である。
構造部材(S)では、第1及び第2の補強部材(R1、R2)による効果を高めるため、第1及び第2の補強部材(R1、R2)と本体(M)とは、以下の式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
[第1の補強部材(R1)の板厚(mm)]×[第1の補強部材(R1)の引張強度(MPa)]×0.8≧[本体(M)の板厚(mm)]×[本体(M)の引張強度(MPa)] (1)
[第2の補強部材(R2)の板厚(mm)]×[第2の補強部材(R2)の引張強度(MPa)]×0.8≧[本体(M)の板厚(mm)]×[本体(M)の引張強度(MPa)] (2)
簡潔に述べれば、式(1)及び(2)は、第1及び第2の補強部材(R1、R2)の強度がある程度高いことが好ましいことを意味している。式(1)及び(2)の左辺が右辺よりも小さいと、第1及び第2の補強部材(R1、R2)の強度が本体(M)より著しく低くなるため、天板側からの衝突の際に、本体の第1及び第2の縦壁を内側に倒しにくくなる。
[第2の構成]
第1の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第2の構成)。
下型アッセンブリは、パンチと、第1の可動プレート及び第2の可動プレートと、を含む。第1の可動プレート及び第2の可動プレートは、パンチを挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。
上型アッセンブリは、ダイと、第1の移動型と、第2の移動型と、を含む。ダイは、パンチと対向するように配置される。第1の移動型は、第1の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型は、第2の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
プレス工程(e)は、下記の工程(1a)、(1b)、(1c)及び(1d)をこの順に含む。
工程(1a)では、下型アッセンブリと上型アッセンブリとの間に素材を配置する。第1の可動プレートによって第1のフランジ相当部を支持する。さらに、第2の可動プレートによって第2のフランジ相当部を支持する。
工程(1b)では、第1及び第2の移動型を下降させる。これによって、第1の移動型と第1の可動プレートとの間に第1フランジ相当部を挟み込む。さらに、第2の移動型と第2の可動プレートとの間に第2フランジ相当部を挟み込む。
工程(1c)では、第1及び第2の移動型を第1及び第2の可動プレートと共に下降させ、且つ第1及び第2の移動型をパンチに向かって移動させる。これによって、第1の縦壁相当部及び第1の主板相当部を第1の移動型の側面とパンチの第1の側面とによって拘束し、且つ第1の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部及び第2の主板相当部を第2の移動型の側面とパンチの第2の側面とによって拘束し、且つ第2の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。
工程(1d)では、ダイを下降させる。これによって、天板相当部をダイとパンチとによってプレスし、且つ第1の副板相当部をダイと第1の移動型の上面とによってプレスする。さらに、第2の副板相当部をダイと第2の移動型の上面とによってプレスする。これによって構造部材を形成する。
第2の構成の製造方法の場合、下型アッセンブリ(パンチ、及び第1及び第2の可動プレート)と上型アッセンブリ(ダイ、及び第1及び第2の移動型)の一連の動作によって、構造部材(S)を製造することができる。その際、工程(1d)において、工程(1c)で起立した第1の副板相当部を、ダイによって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第1の副板相当部をダイと第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(1c)で起立した第2の副板相当部を、ダイによって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第2の副板相当部をダイと第2の移動型の上面とによってプレスできる。このようにして、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を形成できる。
[第3の構成]
第1の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第3の構成)。
下型アッセンブリは、パンチと、第1の可動プレート及び第2の可動プレートと、を含む。第1の可動プレート及び第2の可動プレートは、パンチを挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。
上型アッセンブリは、ダイと、第1の移動型と、第2の移動型と、を含む。ダイは、パンチと対向するように配置される。第1の移動型は、第1の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型は、第2の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
プレス工程(e)は、下記の工程(2a)、(2b)、(2c)及び(2d)をこの順に含む。
工程(2a)では、下型アッセンブリと上型アッセンブリとの間に素材を配置する。第1の可動プレートによって第1のフランジ相当部を支持する。さらに、第2の可動プレートによって第2のフランジ相当部を支持する。この工程(2a)の動作は、上記工程(1a)の動作と実質的に変わりはない。
工程(2b)では、第1及び第2の移動型を下降させる。これによって、第1の移動型と第1の可動プレートとの間に第1フランジ相当部を緩く挟み、且つ第1の移動型を第1の主板相当部に接触させる。さらに、第2の移動型と第2の可動プレートとの間に第2フランジ相当部を緩く挟み、且つ第2の移動型を第2の主板相当部に接触させる。
工程(2c)では、第1及び第2の移動型を第1及び第2の可動プレートと共に下降させる。これによって、第1の縦壁相当部及び第1の主板相当部を第1の移動型の側面とパンチの第1の側面とによって拘束し、且つ第1の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部及び第2の主板相当部を第2の移動型の側面とパンチの第2の側面とによって拘束し、且つ第2の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。
工程(2d)では、ダイを下降させる。これによって、天板相当部をダイとパンチとによってプレスし、且つ第1の副板相当部をダイと第1の移動型の上面とによってプレスする。さらに、第2の副板相当部をダイと第2の移動型の上面とによってプレスする。これによって構造部材を形成する。この工程(2d)の動作は、上記工程(1d)の動作と実質的に変わりはない。
第3の構成の製造方法の場合、下型アッセンブリ(パンチ、及び第1及び第2の可動プレート)と上型アッセンブリ(ダイ、及び第1及び第2の移動型)の一連の動作によって、構造部材(S)を製造することができる。その際、工程(2d)において、工程(2c)で起立した第1の副板相当部を、ダイによって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第1の副板相当部をダイと第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(2c)で起立した第2の副板相当部を、ダイによって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第2の副板相当部をダイと第2の移動型の上面とによってプレスできる。このようにして、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を形成できる。
[第4の構成]
第2及び第3の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第4の構成)。
第1の移動型の上面は、ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。第2の移動型の上面は、ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。ダイは、第1の移動型の上面に対応する第1の傾斜面、及び第2の移動型の上面に対応する第2の傾斜面を有する。
第4の構成の製造方法の場合、例えば第2の構成において、工程(1c)で起立した第1の副板相当部が鉛直方向に沿っていたり、鉛直方向から傾いていたりしても、第1の副板相当部を、工程(1d)でダイの第1の傾斜面によって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。そして、最終的にその第1の副板相当部をダイの第1の傾斜面と第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(1c)で起立した第2の副板相当部が鉛直方向に沿っていたり、鉛直方向から傾いていたりしても、第2の副板相当部を、工程(1d)でダイの第2の傾斜面によって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。そして、最終的にその第2の副板相当部をダイの第2の傾斜面と第2の移動型の上面とによってプレスできる。
また、例えば第3の構成において、工程(2c)で起立した第1の副板相当部が鉛直方向に沿っていたり、鉛直方向から傾いていたりしても、第1の副板相当部を、工程(2d)でダイの第1の傾斜面によって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。そして、最終的にその第1の副板相当部をダイの第1の傾斜面と第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(2c)で起立した第2の副板相当部が鉛直方向に沿っていたり、鉛直方向から傾いていたりしても、第2の副板相当部を、工程(2d)でダイの第2の傾斜面によって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。そして、最終的にその第2の副板相当部をダイの第2の傾斜面と第2の移動型の上面とによってプレスできる。
このように第4の構成の製造方法によれば、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を確実に形成できる。この場合、製造された構造部材(S)の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°未満となる。つまり、第1及び第2の副板が斜め上向きに突出する。
ただし、第2及び第3の構成の製造方法において、第4の構成に代えて、下記の構成を採用してもよい。第1の移動型の上面は水平である。第2の移動型の上面は水平である。ダイは、第1の移動型の上面に対応する第1の水平面、及び第2の移動型の上面に対応する第2の水平面を有する。
この構成の製造方法の場合、起立した第1の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾いていれば、その第1の副板相当部をダイの第1の水平面によって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。起立した第2の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾いていれば、その第2の副板相当部をダイの第2の水平面によって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。
このような構成の製造方法でも、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を確実に形成できる。この場合、製造された構造部材(S)の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°となる。つまり、第1及び第2の副板が水平に突出する。
[第5の構成]
第1の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第5の構成)。
下型アッセンブリは、パンチと、第1の可動プレート及び第2の可動プレートと、を含む。第1の可動プレート及び第2の可動プレートは、パンチを挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。
上型アッセンブリは、主ダイ、及び主ダイに隣接する第1の副ダイ及び第2の副ダイと、第1の移動型と、第2の移動型と、を含む。主ダイ、第1の副ダイ及び第2の副ダイは、パンチと対向するように配置される。第1の移動型は、第1の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型は、第2の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
プレス工程(e)は、下記の工程(3a)、(3b)、(3c)、(3d)及び(3e)をこの順に含む。
工程(3a)では、下型アッセンブリと上型アッセンブリとの間に素材を配置する。第1の可動プレートによって第1のフランジ相当部を支持する。さらに、第2の可動プレートによって第2のフランジ相当部を支持する。この工程(3a)の動作は、上記工程(1a)の動作と実質的に変わりはない。
工程(3b)では、主ダイを下降させることによって、天板相当部を主ダイとパンチとによってプレスする。
工程(3c)では、第1及び第2の移動型を下降させる。これによって、第1の移動型と第1の可動プレートとの間に第1フランジ相当部を挟み込む。さらに、第2の移動型と第2の可動プレートとの間に第2フランジ相当部を挟み込む。この工程(3c)の動作は、上記工程(1b)の動作と実質的に変わりはない。
工程(3d)では、第1及び第2の移動型を第1及び第2の可動プレートと共に下降させ、且つ第1及び第2の移動型をパンチに向かって移動させる。これによって、第1の主板相当部を第1の移動型の上側側面と接触させつつ、第1の縦壁相当部の下部を第1の移動型の下側側面とパンチの第1の下側側面とによって拘束し、且つ第1の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。さらに、第2の主板相当部を第2の移動型の上側側面と接触させつつ、第2の縦壁相当部の下部を第2の移動型の下側側面とパンチの第2の下側側面とによって拘束し、且つ第2の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。
工程(3e)では、第1及び第2の副ダイを下降させる。これによって、第1の副板相当部を第1の副ダイと第1の移動型の上面とによってプレスする。さらに、第2の副板相当部を第2の副ダイと第2の移動型の上面とによってプレスする。これによって構造部材を形成する。
第5の構成の製造方法の場合、下型アッセンブリ(パンチ、及び第1及び第2の可動プレート)と上型アッセンブリ(主ダイ、第1及び第2の副ダイ、及び第1及び第2の移動型)の一連の動作によって、構造部材(S)を製造することができる。その際、工程(3d)において、第1及び第2の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾くように起立する。そのため、工程(3e)において、工程(3d)で起立した第1の副板相当部を、第1の副ダイによって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第1の副板相当部を第1の副ダイと第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(3d)で起立した第2の副板相当部を、第2の副ダイによって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第2の副板相当部を第2の副ダイと第2の移動型の上面とによってプレスできる。このようにして、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を形成できる。
[第6の構成]
第1の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第6の構成)。
下型アッセンブリは、パンチと、第1の可動プレート及び第2の可動プレートと、を含む。第1の可動プレート及び第2の可動プレートは、パンチを挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。
上型アッセンブリは、主ダイ、及び主ダイに隣接する第1の副ダイ及び第2の副ダイと、第1の移動型と、第2の移動型と、を含む。主ダイ、第1の副ダイ及び第2の副ダイは、パンチと対向するように配置される。第1の移動型は、第1の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型は、第2の可動プレートと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
プレス工程(e)は、下記の工程(4a)、(4b)、(4c)、(4d)及び(4e)をこの順に含む。
工程(4a)では、下型アッセンブリと上型アッセンブリとの間に素材を配置する。第1の可動プレートによって第1のフランジ相当部を支持する。さらに、第2の可動プレートによって第2のフランジ相当部を支持する。この工程(4a)の動作は、上記工程(1a)の動作と実質的に変わりはない。
工程(4b)では、第1及び第2の移動型を下降させる。これによって、第1の移動型と第1の可動プレートとの間に第1フランジ相当部を挟み込む。さらに、第2の移動型と第2の可動プレートとの間に第2フランジ相当部を挟み込む。この工程(4b)の動作は、上記工程(1b)の動作と実質的に変わりはない。
工程(4c)では、第1及び第2の移動型を第1及び第2の可動プレートと共に下降させ、且つ第1及び第2の移動型をパンチに向かって移動させる。これによって、第1の縦壁相当部の下部を第1の移動型の下側側面とパンチの第1の下側側面とによって拘束し、且つ第1の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部の下部を第2の移動型の下側側面とパンチの第2の下側側面とによって拘束し、且つ第2の副板相当部を本体用鋼板から離れた状態に起立させる。
工程(4d)では、主ダイを下降させることによって、天板相当部を主ダイとパンチとによってプレスし、第1の主板相当部を第1の移動型の上側側面と接触させつつ、第2の主板相当部を第2の移動型の上側側面と接触させる。
工程(4e)では、第1及び第2の副ダイを下降させる。これによって、第1の副板相当部を第1の副ダイと第1の移動型の上面とによってプレスする。さらに、第2の副板相当部を第2の副ダイと第2の移動型の上面とによってプレスする。これによって構造部材を形成する。この工程(4e)の動作は、上記工程(3e)の動作と実質的に変わりはない。
第6の構成の製造方法の場合、下型アッセンブリ(パンチ、及び第1及び第2の可動プレート)と上型アッセンブリ(主ダイ、第1及び第2の副ダイ、及び第1及び第2の移動型)の一連の動作によって、構造部材(S)を製造することができる。その際、工程(4c)において、第1及び第2の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾くように起立する。そのため、工程(4e)において、工程(4c)で起立した第1の副板相当部を、第1の副ダイによって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第1の副板相当部を第1の副ダイと第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、工程(4c)で起立した第2の副板相当部を、第2の副ダイによって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第2の副板相当部を第2の副ダイと第2の移動型の上面とによってプレスできる。このようにして、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を形成できる。
[第7の構成]
第5及び第6の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第7の構成)。
第1の移動型の上側側面は、主ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。第2の移動型の上側側面は、主ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。
第7の構成の製造方法の場合、例えば第5の構成の工程(3d)において、第1及び第2の副板相当部を鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾くように起立させることができる。例えば第6の構成の工程(4c)において、第1及び第2の副板相当部を鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾くように起立させることができる。そして、起立した第1の副板相当部を、第1の副ダイによって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第1の副板相当部を第1の副ダイと第1の移動型の上面とによってプレスできる。これと合わせて、起立した第2の副板相当部を、第2の副ダイによって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げ、最終的にその第2の副板相当部を第2の副ダイと第2の移動型の上面とによってプレスできる。
このように第7の構成の製造方法によれば、L字形の断面を有する第1及び第2の補強部材(R1、R2)を確実に形成できる。この場合、製造された構造部材(S)の断面において、天板と第1の縦壁とがなす内角Y、及び天板と第2の縦壁とがなす内角Yは、90°未満となる。
[第8の構成]
第5~第7の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第8の構成)。
第1の移動型の上面は水平である。第2の移動型の上面は水平である。第1の副ダイは、第1の移動型の上面に対応する水平面を有する。第2の副ダイは、第2の移動型の上面に対応する水平面を有する。
第8の構成の製造方法の場合、起立した第1の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾いているため、その第1の副板相当部を第1の副ダイの水平面によって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。起立した第2の副板相当部が鉛直方向から本体(M)の外側の方向に傾いているため、その第2の副板相当部を第2の副ダイの水平面によって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。この場合、製造された構造部材(S)の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°となる。つまり、第1及び第2の副板が水平に突出する。
ただし、第5~第7の構成の製造方法において、第8の構成に代えて、下記の構成を採用してもよい。第1の移動型の上面は、主ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。第2の移動型の上面は、主ダイから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜している。第1の副ダイは、第1の移動型の上面に対応する傾斜面を有する。第2の副ダイは、第2の移動型の上面に対応する傾斜面を有する。
この構成の場合、起立した第1の副板相当部を第1の副ダイの傾斜面によって第1の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。起立した第2の副板相当部を第2の副ダイの傾斜面によって第2の主板相当部に対して本体(M)の外側の方向に折り曲げることができる。この場合、製造された構造部材(S)の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°未満となる。つまり、第1及び第2の副板が斜め上向きに突出する。
[第9の構成]
第2~第8の構成の製造方法は、下記の構成を採用できる(第9の構成)。
第9の構成の製造方法は、プレス工程(e)の後、第1の可動プレート上に第1のフランジを載置し、且つ第2の可動プレート上に第2のフランジを載置した状態で、第1及び第2の可動プレートを上昇させることによって、構造部材(S)をパンチから離間させる工程をさらに含む。
第9の構成の製造方法によれば、プレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型を水平方向に移動させて、構造部材(S)から退避させる。そして、第1及び第2の可動プレートを上昇させるだけで、構造部材(S)をパンチから離間させることができる。したがって、プレス装置からの構造部材(S)の搬出を容易に行える。
以下では、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されず、上述した様々なバリエーションを適用できる。以下の説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
[構造部材(S)の一例]
本実施形態の構造部材(S)の一例の斜視図を、図1に模式的に示す。図1の構造部材100は、本体110と、各々が本体110に固定された第1の補強部材120A及び第2の補強部材120Bと、を含む。図1に示す構造部材100では、第1の補強部材120A及び第2の補強部材120Bが本体110の長手方向全体にわたって配置されている。また、図1に示す構造部材100では、第1の縦壁111A及び第1のフランジ114Aが本体110の長手方向に沿って直線状に延び、第2の縦壁111B及び第2のフランジ114Bが本体110の長手方向に沿って直線状に延びている。
構造部材100は、上述した構造部材(S)の一例である。本体110は、上述した本体(M)の一例である。第1の補強部材120A及び第2の補強部材120Bは、それぞれ、上述した第1の補強部材(R1)及び第2の補強部材(R2)の一例である。
構造部材100の断面(構造部材100の長手方向に垂直な断面)を、図2に模式的に示す。本体110は、第1の縦壁111Aと、第2の縦壁111Bと、天板112と、第1のフランジ114Aと、第2のフランジ114Bと、を含む。本体110の断面(本体110の長手方向に垂直な断面)は、ハット形である。
天板112は、第1の縦壁111Aと第2の縦壁111Bとを結ぶ。以下では、第1の縦壁111Aと天板112との境界の稜線部を、第1の角部113Aと称する場合がある。第2の縦壁111Bと天板112との境界の稜線部を、第2の角部113Bと称する場合がある。図2に示す一例では、第1及び第2の縦壁111A、111Bは、各々が対応する第1及び第2の角部113A、113Bからほぼ鉛直下方に延びている。すなわち、第1及び第2の縦壁111A、111Bは、天板112に対してほぼ垂直である。別の観点では、天板112と第1の縦壁111Aとがなす内角Y、及び天板112と第2の縦壁111Bとがなす内角Yが、ほぼ90°である。
第1のフランジ114Aは、第1の縦壁111Aの端部から延びる。第2のフランジ114Bは、第2の縦壁111Bの端部から延びる。図2に示す一例では、第1及び第2のフランジ114A、114Bは、各々が対応する第1及び第2の縦壁111A、111Bの下端部から、外側に向かってほぼ水平に延びている。すなわち、第1及び第2のフランジ114A、114Bは、天板112とほぼ平行である。
第1の補強部材120Aは、第1の主板121Aと、第1の副板122Aと、を含む。第1の補強部材120Aの断面(第1の補強部材120Aの長手方向に垂直な断面)は、L字形である。第1の主板121Aは、第1の縦壁111Aに接合によって固定されている。ここで、第1の副板122Aは、天板112に沿って、第1の縦壁111A側から外側の方向(水平方向)に向かって突出している。以下の図では、第1の主板121Aと第1の縦壁111Aとの第1の固定部118Aを模式的に示す場合がある。
第1の補強部材120Aと同様に、第2の補強部材120Bは、第2の主板121Bと、第2の副板122Bと、を含む。第2の補強部材120Bの断面(第2の補強部材120Bの長手方向に垂直な断面)は、L字形である。第2の主板121Bは、第2の縦壁111Bに接合によって固定されている。ここで、第2の副板122Bは、天板112に沿って、第2の縦壁111B側から外側の方向(水平方向)に向かって突出している。以下の図では、第2の主板121Bと第2の縦壁111Bとの第2の固定部118Bを模式的に示す場合がある。
図2では、天板112と第1の副板122Aとがなす角度X、及び天板112と第2の副板122Bとがなす角度Xが、180°である例を示す。
第1の主板121Aと第1の副板122Aとの境界の角部(稜線部)123Aが天板112側に配置されるように、第1の主板121Aは第1の縦壁111Aに固定されている。その結果、第1の副板122Aと天板112とは近接している。
第1の補強部材120Aと同様に、第2の主板121Bと第2の副板122Bとの境界の角部(稜線部)123Bが天板112側に配置されるように、第2の主板121Bは第2の縦壁111Bに固定されている。その結果、第2の副板122Bと天板112とは近接している。
第1の固定部118Aは、天板112(荷重が入力される位置)に近い位置に設けられるのが好ましい。第1の固定部118Aが天板112に近いほど、第1の主板121Aが本体110の第1の縦壁111Aを内側に押すモーメントが生じやすいためである。
第1の補強部材120Aと同様に、第2の固定部118Bは、天板112(荷重が入力される位置)に近い位置に設けられるのが好ましい。第2の固定部118Bが天板112に近いほど、第2の主板121Bが本体110の第2の縦壁111Bを内側に押すモーメントが生じやすいためである。
構造部材100の別の一例の断面図を図3に模式的に示す。図3では、天板112と第1の副板122Aとがなす角度X、及び天板112と第2の副板122Bとがなす角度Xが、180°未満である例を示す。
第1の補強部材120Aに関する角度Xは、天板112を含む平面112sと、第1の副板122Aを含む平面122Asとがなす角度のうち、図3に示される角度である。より具体的には、平面112sと平面122Asとがなす角度のうち、図3において、天板112及び第1の副板122Aの上方に位置する角度である。
第1の補強部材120Aと同様に、第2の補強部材120Bに関する角度Xは、天板112を含む平面112sと、第2の副板122Bを含む平面122Bsとがなす角度のうち、図3に示される角度である。より具体的には、平面112sと平面122Bsとがなす角度のうち、図3において、天板112及び第2の副板122Bの上方に位置する角度である。角度Xは、上述した範囲にあってもよい。
なお、天板112に凹凸が存在する場合、天板の主要な平面(この平面は、第1及び第2の縦壁の端部同士を結ぶ仮想の平面と略平行な平面である)を、天板112を含む平面112sとみなすことが可能である。
図3に、天板112と第1の縦壁111Aとがなす内角Y、及び天板112と第2の縦壁111Bとがなす内角Yを示す。第1の縦壁111Aに関する内角Yは、第1の縦壁111Aと天板112とがなす角度のうち、本体110の内側の角度である。第1の縦壁111Aと同様に、第2の縦壁111Bに関する内角Yは、第2の縦壁111Bと天板112とがなす角度のうち、本体110の内側の角度である。内角Yは、上述した範囲にあってもよい。
さらに、図3に、第1の主板121Aと第1の副板122Aとがなす内角Z、及び第2の主板121Bと第2の副板122Bとがなす内角Zを示す。第1の補強部材120Aに関する内角Zは、第1の主板121Aと第1の副板122Aとがなす角度のうち、小さい方の角度である。第1の補強部材120Aと同様に、第2の補強部材120Bに関する内角Zは、第2の主板121Bと第2の副板122Bとがなす角度のうち、小さい方の角度である。内角Zは、上述した範囲にあってもよい。
構造部材100の一例の一部の拡大図を図4に示す。図4は、第1の角部113Aの近傍を示す断面図である。以下では、図4を参照して、第1の補強部材120Aに関与する構成を説明するが、第2の補強部材120Bに関与する構成もそれと同様である。
図4に示す一例では、第1の副板122Aが、天板112よりも下方(第1の縦壁111Aの端部側)に位置している。第1の縦壁111Aと天板112との境界にある角部113Aの断面は、2つの開始位置113Aa及び113Abの間でラウンド形状を有する。ラウンド形状の開始位置113Aaは第1の縦壁111A側の開始位置であり、開始位置113Abは天板112側の開始位置である。図4に示す一例では、第1の縦壁111Aにおけるラウンド形状の開始位置113Aaよりも天板112側に、第1の副板122Aが配置されている。
第1の主板121Aと第1の副板122Aとの境界にある角部123Aの断面は、2つの開始位置123Aa及び123Abの間でラウンド形状を有する。ラウンド形状の開始位置123Aaは第1の主板121Aの開始位置(R止まり)であり、開始位置123Abは第1の副板122A側の開始位置(R止まり)である。
ここで、天板112を含む平面を主仮想平面112sとする。さらに、開始位置113Aaを通り天板112に平行な平面を第1の仮想平面113Aasとする。図4に示すように、第1の副板122Aは、主仮想平面112sと同一、もしくはそれよりも第1の仮想平面113Aas側に配置されることが好ましい。加えて、第1の副板122Aは、第1の仮想平面113Aasよりも天板112側に配置されることが好ましい。自動車用の構造部材の場合、プレス成形された本体110の角部(第1及び第2の角部113A、B)の曲率半径は20mm以下であることが多い。したがって、主仮想平面112sと第1の副板122Aとの距離Dは20mm以下であるのが好ましい。
さらには、第1の補強部材120Aの角部123Aのラウンド形状の開始位置123Aaは、第1の仮想平面113Aas上に配置されることが好ましい。この構成によれば、次のような効果が得られる。天板112側から荷重が加わったときに、本体110の第1の角部113Aは外側の方向に向かって変形しようとする。しかしながら、本体110の第1の角部113Aの外側には、第1の補強部材120Aの角部123Aが存在する。そのため、本体110の第1の角部113Aの外側の方向に向かう変形が、第1の補強部材120Aの角部123Aによって抑制される。これにより、本体110の第1の縦壁111Aは外側の方向に変形しにくくなり、第1の縦壁111Aが内側に倒れやすくなる。
この効果を得るには、第1の副板122Aは主仮想平面112sに近い方が好ましい。換言すれば、主仮想平面112sと第1の副板122Aとの距離Dは、0に近い方が好ましい。距離Dが0であれば、本体110の第1の角部113Aの全域が第1の補強部材120Aの角部123Aと対向する。そのため、天板112側から荷重が加わったときに、本体110の第1の角部113Aの外側の方向への変形を抑制し易い。
距離Dは、好ましくは0~10mm、より好ましくは0~5mm、さらに好ましくは0~3mm、最も好ましくは0~1mmである。距離Dが短いほど、衝突時に第1の補強部材120Aが早期に衝突物(インパクタ)に接触することができる。これにより、第1の縦壁111Aが外側に倒れる前に第1の補強部材120Aによって第1の縦壁111Aを内側に押す力を早い段階で生じさせることができるため、耐衝突特性が向上する。
第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径は、第1の補強部材120Aの断面視での全長の5%よりも大きいことが好ましい。角部123Aの曲率半径が、第1の補強部材120Aの断面視での全長の5%以下であれば、角部123Aが鋭利となる。角部123Aが本体110の第1の角部113Aと接触すると応力集中が生じ易い。この応力集中を緩和する観点から、第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径の好ましい下限は、第1の補強部材120Aの断面視での全長の5%よりも大きいことである。
また、第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径は、第1の補強部材120Aの断面視での全長の50%未満であることが好ましい。角部123Aの曲率半径が、第1の補強部材120Aの断面視での全長の50%以上であれば、第1の補強部材120Aの第1の主板121A及び第1の副板122Aの断面視での長さが十分確保し難い。そのため、第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径の好ましい上限は、第1の補強部材120Aの断面視での全長の50%である。
第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径の好ましい範囲をより具体的に言えば、自動車用の構造部材の場合、プレス成形された第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径は、3mmよりも大きいことが好ましい。また、第1の補強部材120Aの角部123Aの曲率半径は、10mm未満であることが好ましい。
なお、図4では第1の補強部材120Aの角部123Aの断面がラウンド形状である場合について説明した。しかしながら、第1の補強部材120Aの角部123Aの断面は、ラウンド形状の開始位置123Aaと123Abとが直線で結ばれた形状であってもよい。この場合、断面視での角部123Aの直線部分の長さは、第1の補強部材120Aの断面視での全長の5%よりも大きいことが好ましく、第1の補強部材120Aの断面視での全長の50%未満であることが好ましい。自動車用の構造部材の場合、断面視での角部123Aの直線部分の長さは、3mmよりも大きいことが好ましく、10mm未満であることが好ましい。
また、角度Xが180°でない場合は、主仮想平面112sと第1の副板122Aとの距離Dは、角部123Aの第1の副板122A側のラウンド形状の開始位置(R止まり)123Abと主仮想平面112sとの仮想平面垂直方向の距離とする。
本実施形態の構造部材(S)の別の一例の斜視図を、図5及び図6に模式的に示す。図5及び図6に示す構造部材100では、第1の補強部材120A及び第2の補強部材120Bが本体110の長手方向の一部に配置されている。
また、図5に示す構造部材100では、図1に示す構造部材100と同様に、第1の縦壁111A及び第1のフランジ114Aが本体110の長手方向に沿って直線状に延び、第2の縦壁111B及び第2のフランジ114Bが本体110の長手方向に沿って直線状に延びている。つまり、本体110の断面形状が長手方向全体で同じである。
一方、図6に示す構造部材100では、第1の縦壁111A及び第1のフランジ114Aが本体110の長手方向に沿って曲線状に延び、第2の縦壁111B及び第2のフランジ114Bが本体110の長手方向に沿って直線状に延びている。つまり、本体110の断面形状が長手方向で変化する。
[第1実施形態]
第1実施形態では、構造部材(S)(図1及び図5に示す構造部材100)を製造するための製造方法の一例について説明する。第1実施形態の製造方法は、上述した第1及び第2の構成の製造方法の一例であり、上述した工程(a)、工程(b)、工程(c)、接合工程(d)及びプレス工程(e)を含む。プレス工程(e)は、上述した工程(1a)、(1b)、(1c)及び(1d)をこの順に含む。
図7は、工程(a)、工程(b)及び工程(c)を模式的に示す斜視図である。図7を参照して、工程(a)では、本体(M)の素材として、平坦な本体用鋼板210を準備する。本体用鋼板210は、第1の縦壁となる第1の縦壁相当部211A、第2の縦壁となる第2の縦壁相当部211B、天板となる天板相当部212、第1のフランジとなる第1のフランジ相当部214A、及び第2のフランジとなる第2のフランジ相当部214Bを含む。本体用鋼板210は、その中央に天板相当部212を有し、その両側に第1及び第2の縦壁相当部211A、211Bを有し、さらにそれらの両側に第1及び第2のフランジ相当部214A、214Bを有する。本体用鋼板210は、プレス工程(e)によって形成される本体(M)の形状に応じた平面形状を有する。
工程(b)では、第1の補強部材(R1)の素材として、平坦な第1の補強部材用金属板220Aを準備する。第1の補強部材用金属板220Aは、第1の主板となる第1の主板相当部221A、及び第1の副板となる第1の副板相当部222Aを含む。第1の補強部材用金属板220Aは、プレス工程(e)によって形成される第1の補強部材(R1)の形状に応じた平面形状を有する。
工程(c)では、第2の補強部材(R2)の素材として、平坦な第2の補強部材用金属板220Bを準備する。第2の補強部材用金属板220Bは、第2の主板となる第2の主板相当部221B、及び第2の副板となる第2の副板相当部222Bを含む。第2の補強部材用金属板220Bは、プレス工程(e)によって形成される第2の補強部材(R2)の形状に応じた平面形状を有する。
図8は、接合工程(d)を模式的に示す斜視図である。図8を参照して、接合工程(d)では、本体用鋼板210の上に第1の補強部材用金属板220Aを重ねる。具体的には、第1の主板相当部221Aと第1の副板相当部222Aとの境界が、第1の縦壁相当部211Aと天板相当部212との境界と一致するように、本体用鋼板210の上に第1の補強部材用金属板220Aを重ねる。そして、第1の主板相当部221Aを第1の縦壁相当部211Aに接合する。第1の副板相当部222Aは天板相当部212と接合しない。以下の図では、第1の主板相当部221Aと第1の縦壁相当部211Aとの接合による第1の固定部218Aを模式的に示す場合がある。第1の固定部218Aは、上記した第1の主板121Aと第1の縦壁111Aとの第1の固定部118Aに相当する。
さらに、本体用鋼板210の上に第2の補強部材用金属板220Bを重ねる。具体的には、第2の主板相当部221Bと第2の副板相当部222Bとの境界が、第2の縦壁相当部211Bと天板相当部212との境界と一致するように、本体用鋼板210の上に第2の補強部材用金属板220Bを重ねる。そして、第2の主板相当部221Bを第2の縦壁相当部211Bに接合する。第2の副板相当部222Bは天板相当部212と接合しない。以下の図では、第2の主板相当部221Bと第2の縦壁相当部211Bとの接合による第2の固定部218Bを模式的に示す場合がある。第2の固定部218Bは、上記した第2の主板121Bと第2の縦壁111Bとの第2の固定部118Bに相当する。
これによって、接合工程(d)では、本体用鋼板210、第1の補強部材用金属板220A、及び第2の補強部材用金属板220Bからなる素材200が得られる。
プレス工程(e)では、下型アッセンブリ及び上型アッセンブリを含むプレス装置を用いて素材200を変形させる。これによって、素材200から構造部材(S)(構造部材100)を形成する。
図9A~図9Gは、第1実施形態の製造方法におけるプレス工程(e)を模式的に示す断面図である。図9Aを参照して、プレス装置1は、下型アッセンブリ10と、上型アッセンブリ20と、を含む。
下型アッセンブリ10は、パンチ11と、第1の可動プレート12Aと、第2の可動プレート12Bと、を含む。第1の可動プレート12A及び第2の可動プレート12Bは、パンチ11を挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。第1の可動プレート12Aは、第1の伸縮機構13Aを介してベースプレート14に支持されている。第2の可動プレート12Bは、第2の伸縮機構13Bを介してベースプレート14に支持されている。第1及び第2の伸縮機構13A、13Bとして、バネ及び油圧シリンダ等の公知の伸縮機構を用いることができる。
上型アッセンブリ20は、ダイ21と、第1の移動型22Aと、第2の移動型22Bと、を含む。ダイ21は、パンチ11と対向するように配置される。第1の移動型22Aは、第1の可動プレート12Aと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型22Bは、第2の可動プレート12Bと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
パンチ11は、上面11a、第1の側面11bA、第2の側面11bB、第1の段差面11cA、及び第2の段差面11cBを含む。パンチ11の上面11aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。パンチ11の第1の側面11bAは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第2の側面11bBは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第1の段差面11cAは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。パンチ11の第2の段差面11cBは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。第1及び第2の側面11bA、11bBは、鉛直方向に沿っている。
ダイ21は、主下面21a、第1の副下面21bA、及び第2の副下面21bBを含む。ダイ21の主下面21aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。ダイ21の第1の副下面21bAは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。ダイ21の第2の副下面21bBは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第1及び第2の副下面21bA、21bBは、水平方向の外側にいくにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。
第1の移動型22Aは、上面22Aa、上側側面22Abu、下側側面22Abl、及び下面22Acを含む。第1の移動型22Aの上面22Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの上側側面22Abuは、第1の補強部材(R1)の第1の主板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下側側面22Ablは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下面22Acは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。
第1の移動型22Aの上面22Aaは、ダイ21から水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。上側側面22Abu及び下側側面22Ablは、実質的に鉛直方向に沿っている。ただし、上側側面22Abuは、下側側面22Ablより凹んでいる。
第2の移動型22Bは、上面22Ba、上側側面22Bbu、下側側面22Bbl、及び下面22Bcを含む。第2の移動型22Bの上面22Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの上側側面22Bbuは、第2の補強部材(R2)の第2の主板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下側側面22Bblは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下面22Bcは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
第2の移動型22Bの上面22Baは、ダイ21から水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。上側側面22Bbu及び下側側面22Bblは、実質的に鉛直方向に沿っている。ただし、上側側面22Bbuは、下側側面22Bblより凹んでいる。
このようなプレス装置1を用いて素材200から構造部材(S)を形成するプレス工程(e)の一例について以下に説明する。まず、図9Aを参照して、下型アッセンブリ10と上型アッセンブリ20との間に素材200を配置する(工程(1a))。第1の可動プレート12Aによって素材200の第1のフランジ相当部214Aを支持する。このとき、第1の可動プレート12Aによってさらに第1の縦壁相当部211Aの一部を支持してもよい。さらに、第2の可動プレート12Bによって素材200の第2のフランジ相当部214Bを支持する。このとき、第2の可動プレート12Bによってさらに第2の縦壁相当部211Bの一部を支持してもよい。
次に、図9Bを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを下降させる(工程(1b))。これによって、第1の移動型22Aの下面22Acと第1の可動プレート12Aとの間に素材200の第1のフランジ相当部214Aを挟み込む。さらに、第2の移動型22Bの下面22Bcと第2の可動プレート12Bとの間に第2のフランジ相当部214Bを挟み込む。
次に、図9C及び図9Dを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを第1及び第2の可動プレート12A、12Bと共に下降させる。これと合わせて、第1及び第2の移動型22A、22Bをパンチ11に向かって移動させる(工程(1c))。これによって、本体用鋼板210が次第に変形し、第1及び第2の副板相当部222A、222Bが本体用鋼板210から徐々に離れる。
そして、第1の縦壁相当部211A及び第1の主板相当部221Aを第1の移動型22Aの側面(上側側面22Abu及び下側側面22Abl)とパンチ11の第1の側面11bAとによって拘束する。これによって、第1の副板相当部222Aを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部211B及び第2の主板相当部221Bを第2の移動型22Bの側面(上側側面22Bbu及び下側側面22Bbl)とパンチ11の第2の側面11bBとによって拘束する。これによって、第2の副板相当部222Bを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。
ここでは、第1の縦壁相当部211A及び第1の主板相当部221Aを拘束する、第1の移動型22Aの側面(上側側面22Abu及び下側側面22Abl)及びパンチ11の第1の側面11bAが、鉛直方向に沿っているため、第1の副板相当部222Aは鉛直方向に沿って起立している。第2の縦壁相当部211B及び第2の主板相当部221Bを拘束する、第2の移動型22Bの側面(上側側面22Bbu及び下側側面22Bbl)及びパンチ11の第2の側面11bBが、鉛直方向に沿っているため、第2の副板相当部222Bは鉛直方向に沿って起立している。
次に、図9E及び図9Fを参照して、ダイ21を下降させる(工程(1d))。これによって、天板相当部212をダイ21の主下面21aとパンチ11の上面11aとによってプレスする。これと合わせて、第1の副板相当部222Aをダイ21の第1の副下面21bAと第1の移動型22Aの上面22Aaとによってプレスする。さらに、第2の副板相当部222Bをダイ21の第2の副下面21bBと第2の移動型22Bの上面22Baとによってプレスする。その際、第1の副板相当部222Aはダイ21の第1の副下面21bA(傾斜面)によって折り曲げられる。第2の副板相当部222Bはダイ21の第2の副下面21bB(傾斜面)によって折り曲げられる。これによって構造部材100(構造部材(S))が形成される。
この場合、形成された構造部材100の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°未満となる。つまり、第1及び第2の副板が斜め上向きに突出する。
次に、図9Gを参照して、以上のプレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型22A、22Bを水平方向に移動させて、構造部材100から退避させる。ダイ21も上昇させる。これと合わせて、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを第1及び第2の移動型22A、22Bと共に上昇させる。そして、プレス装置1から構造部材100を搬出する。
図10は、第1実施形態の製造方法によって製造された構造部材100の第1の角部113Aの近傍を示す断面図である。以下では、図10を参照して、第1の補強部材120Aに関与する構成を説明するが、第2の補強部材120Bに関与する構成もそれと同様である。
上記のとおり、構造部材100における第1の固定部118Aは、天板112(荷重が入力される位置)に近い位置に設けられるのが好ましい。第1の固定部118Aが天板112に近いほど、第1の主板121Aが本体110の第1の縦壁111Aを内側に押すモーメントが生じやすいためである。つまり、本実施形態の構造部材100に特有の構成により、衝突特性が向上するためである。
具体的には、第1の縦壁111Aと天板112との境界にある第1の角部113Aの断面は、2つの開始位置113Aa及び113Abの間でラウンド形状を有する。ラウンド形状の開始位置113Aaは第1の縦壁111A側の開始位置であり、開始位置113Abは天板112側の開始位置である。
そして、第1の固定部118Aの天板112側の端から開始位置113Aaまでの鉛直方向の距離L1は、0mmを超え、10mm未満の範囲であることが好ましい。距離L1がその範囲であれば、第1の固定部118Aが天板112に近い位置にあると言える。
このような構造部材100における第1の固定部118A(第2の固定部118B)の位置に対応するように、上記の工程(1a)では、素材200における第1の固定部218A(第2の固定部218B)のパンチ11に対しての位置を設定することが好ましい。具体的には以下のとおりである。
図11は、第1実施形態の工程(a)における構造部材100の第1の角部113Aの対応部分の近傍を示す断面図である。以下では、図11を参照して、第1の補強部材用金属板220Aに関与する構成を説明するが、第2の補強部材用金属板220Bに関与する構成もそれと同様である。
構造部材100の第1の角部113Aは、パンチ11の上面11aと第1の側面11bAとの境界にある第1のパンチ肩11dAで形成される。パンチ肩11dAの断面は、2つの開始位置11dAa及び11dAbの間でラウンド形状を有する。ラウンド形状の開始位置11dAaはパンチ11の上面11a側の開始位置であり、開始位置11dAbは第1の側面11bA側の開始位置である。
パンチ11の第1のパンチ肩11dAの断面周長Aは、構造部材100の第1の角部113Aの断面周長と一致する。そのため、工程(a)では、第1の固定部218A(第1の固定部118Aに相当)の天板相当部212側の端から開始位置11dAaまでの水平方向の距離L2が、「0mm+断面周長A(mm)」を超え、「10mm+断面周長A(mm)」未満の範囲となるように、素材200を配置することが好ましい。このように素材200を配置してプレス工程(e)を実施すれば、構造部材100における第1の固定部118Aの位置が上記の好適な範囲(0mm<L1<10mm)となる。
この場合、構造部材100において、第1の固定部118Aが天板112に近い位置となる。そのため、上記のとおり、衝突特性が向上する。さらに、第1の固定部118Aが第1の角部113Aに近い位置となる。これにより、第1の縦壁111Aの剛性が第1の角部113Aの近傍部で高まる。そうすると、スプリングバックによる天板112に対する第1の縦壁111Aの開きが抑制される。通常、スプリングバックの起点は第1の角部113Aの近傍部であるためである。
[第2実施形態]
第2実施形態では、構造部材(S)(図1、図5及び図6に示す構造部材100)を製造するための製造方法の一例について説明する。第2実施形態の製造方法は、上述した第1及び第3の構成の製造方法の一例であり、上述した工程(a)、工程(b)、工程(c)、接合工程(d)及びプレス工程(e)を含む。プレス工程(e)は、上述した工程(2a)、(2b)、(2c)及び(2d)をこの順に含む。なお、第2実施形態及び後述する各実施形態の工程(a)、工程(b)、工程(c)及び接合工程(d)は、上記の第1実施形態と共通であるため、その説明は省略する。
図12A~図12Gは、第2実施形態の製造方法におけるプレス工程(e)を模式的に示す断面図である。図12Aを参照して、プレス装置1は、下型アッセンブリ10と、上型アッセンブリ20と、を含む。
下型アッセンブリ10は、パンチ11と、第1の可動プレート12Aと、第2の可動プレート12Bと、を含む。第1の可動プレート12A及び第2の可動プレート12Bは、パンチ11を挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。第1の可動プレート12Aは、第1の伸縮機構13Aを介してベースプレート14に支持されている。第2の可動プレート12Bは、第2の伸縮機構13Bを介してベースプレート14に支持されている。第1及び第2の伸縮機構13A、13Bとして、バネ及び油圧シリンダ等の公知の伸縮機構を用いることができる。
上型アッセンブリ20は、ダイ21と、第1の移動型22Aと、第2の移動型22Bと、を含む。ダイ21は、パンチ11と対向するように配置される。第1の移動型22Aは、第1の可動プレート12Aと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型22Bは、第2の可動プレート12Bと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
パンチ11は、上面11a、第1の上側側面11bAu、第2の上側側面11bBu、第1の下側側面11bAl、第2の下側側面11bBl、第1の段差面11cA、及び第2の段差面11cBを含む。パンチ11の上面11aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。パンチ11の第1の上側側面11bAu及び第1の下側側面11bAlは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第2の上側側面11bBu及び第2の下側側面11bBlは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第1の段差面11cAは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。パンチ11の第2の段差面11cBは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
パンチ11の第1の上側側面11bAu及び第1の下側側面11bAlは、実質的に鉛直方向に沿っている。ただし、第1の上側側面11bAuは、第1の下側側面11bAlより凹んでいる。パンチ11の第2の上側側面11bBu及び第2の下側側面11bBlは、実質的に鉛直方向に沿っている。ただし、第2の上側側面11bBuは、第2の下側側面11bBlより凹んでいる。
ダイ21は、主下面21a、第1の副下面21bA、及び第2の副下面21bBを含む。ダイ21の主下面21aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。ダイ21の第1の副下面21bAは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。ダイ21の第2の副下面21bBは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第1及び第2の副下面21bA、21bBは、水平方向の外側にいくにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。
第1の移動型22Aは、上面22Aa、側面22Ab、及び下面22Acを含む。第1の移動型22Aの上面22Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの側面22Abは、第1の補強部材(R1)の第1の主板、及び本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下面22Acは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。
第1の移動型22Aの上面22Aaは、ダイ21から水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。側面22Abは、鉛直方向に沿っている。
第2の移動型22Bは、上面22Ba、側面22Bb、及び下面22Bcを含む。第2の移動型22Bの上面22Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの側面22Bbは、第2の補強部材(R2)の第2の主板、及び本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下面22Bcは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
第2の移動型22Bの上面22Baは、ダイ21から水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。側面22Bbは、鉛直方向に沿っている。
このようなプレス装置1を用いて素材200から構造部材(S)を形成するプレス工程(e)の一例について以下に説明する。まず、図12Aを参照して、下型アッセンブリ10と上型アッセンブリ20との間に素材200を配置する(工程(2a))。第1の可動プレート12Aによって素材200の第1のフランジ相当部214Aを支持する。このとき、第1の可動プレート12Aによってさらに第1の縦壁相当部211Aの一部を支持してもよい。さらに、第2の可動プレート12Bによって素材200の第2のフランジ相当部214Bを支持する。このとき、第2の可動プレート12Bによってさらに第2の縦壁相当部211Bの一部を支持してもよい。
次に、図12Bを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを下降させる(工程(2b))。これによって、第1の移動型22Aの下面22Acと第1の可動プレート12Aとの間に素材200の第1のフランジ相当部214Aを緩く挟む。これと合わせて、第1の移動型22Aの下面22Acを第1の主板相当部221Aに接触させる。さらに、第2の移動型22Bの下面22Bcと第2の可動プレート12Bとの間に素材200の第2のフランジ相当部214Bを緩く挟む。これと合わせて、第2の移動型22Bの下面22Bcを第2の主板相当部221Bに接触させる。
次に、図12C及び図12Dを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを第1及び第2の可動プレート12A、12Bと共に下降させる(工程(2c))。これによって、本体用鋼板210が次第に変形し、第1及び第2の副板相当部222A、222Bが本体用鋼板210から徐々に離れる。
そして、第1の縦壁相当部211A及び第1の主板相当部221Aを第1の移動型22Aの側面22Abとパンチ11の第1の側面(第1の上側側面11bAu及び第1の下側側面11bAl)とによって拘束する。これによって、第1の副板相当部222Aを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部211B及び第2の主板相当部221Bを第2の移動型22Bの側面22Bbとパンチ11の第2の側面(第2の上側側面11bBu及び第2の下側側面11bBl)とによって拘束する。これによって、第2の副板相当部222Bを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。
ここでは、第1の縦壁相当部211A及び第1の主板相当部221Aを拘束する、第1の移動型22Aの側面22Ab及びパンチ11の第1の側面(第1の上側側面11bAu及び第1の下側側面11bAl)が、鉛直方向に沿っているため、第1の副板相当部222Aは鉛直方向に沿って起立している。第2の縦壁相当部211B及び第2の主板相当部221Bを拘束する、第2の移動型22Bの側面22Bb及びパンチ11の第2の側面(第2の上側側面11bBu及び第2の下側側面11bBl)が、鉛直方向に沿っているため、第2の副板相当部222Bは鉛直方向に沿って起立している。
次に、図12E及び図12Fを参照して、ダイ21を下降させる(工程(2d))。これによって、天板相当部212をダイ21の主下面21aとパンチ11の上面11aとによってプレスする。これと合わせて、第1の副板相当部222Aをダイ21の第1の副下面21bAと第1の移動型22Aの上面22Aaとによってプレスする。さらに、第2の副板相当部222Bをダイ21の第2の副下面21bBと第2の移動型22Bの上面22Baとによってプレスする。その際、第1の副板相当部222Aはダイ21の第1の副下面21bA(傾斜面)によって折り曲げられる。第2の副板相当部222Bはダイ21の第2の副下面21bB(傾斜面)によって折り曲げられる。これによって構造部材100(構造部材(S))が形成される。
この場合、形成された構造部材100の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°未満となる。つまり、第1及び第2の副板が斜め上向きに突出する。
次に、図12Gを参照して、以上のプレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型22A、22Bを水平方向に移動させて、構造部材100から退避させる。ダイ21も上昇させる。これと合わせて、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを第1及び第2の移動型22A、22Bと共に上昇させる。そして、プレス装置1から構造部材100を搬出する。
第2実施形態の場合、プレス工程(e)における第1及び第2の移動型22A、22Bの移動は下降のみである。そのため、図1及び図5に示すような本体の断面形状が長手方向全体で同じ構造部材100のみならず、図6に示すような本体の断面形状が長手方向で変化する構造部材100も製造することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態では、構造部材(S)(図1及び図5に示す構造部材100)を製造するための製造方法の一例について説明する。第3実施形態の製造方法は、上述した第1及び第5の構成の製造方法の一例であり、上述した工程(a)、工程(b)、工程(c)、接合工程(d)及びプレス工程(e)を含む。プレス工程(e)は、上述した工程(3a)、(3b)、(3c)、(3d)及び(3e)をこの順に含む。
図13A~図13Gは、第3実施形態の製造方法におけるプレス工程(e)を模式的に示す断面図である。図13Aを参照して、プレス装置1は、下型アッセンブリ10と、上型アッセンブリ20と、を含む。
下型アッセンブリ10は、パンチ11と、第1の可動プレート12Aと、第2の可動プレート12Bと、を含む。第1の可動プレート12A及び第2の可動プレート12Bは、パンチ11を挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。第1の可動プレート12Aは、第1の伸縮機構13Aを介してベースプレート14に支持されている。第2の可動プレート12Bは、第2の伸縮機構13Bを介してベースプレート14に支持されている。第1及び第2の伸縮機構13A、13Bとして、バネ及び油圧シリンダ等の公知の伸縮機構を用いることができる。
上型アッセンブリ20は、主ダイ23と、第1の副ダイ24Aと、第2の副ダイ24Bと、第1の移動型22Aと、第2の移動型22Bと、を含む。第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bは、主ダイ23に隣接する。主ダイ23、第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bは、パンチ11と対向するように配置される。第1の移動型22Aは、第1の可動プレート12Aと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型22Bは、第2の可動プレート12Bと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
パンチ11は、上面11a、第1の側面11bA、第2の側面11bB、第1の段差面11cA、及び第2の段差面11cBを含む。パンチ11の上面11aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。パンチ11の第1の側面11bAは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第2の側面11bBは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第1の段差面11cAは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。パンチ11の第2の段差面11cBは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。第1及び第2の側面11bA、11bBは、鉛直方向に沿っている。
主ダイ23は、下面23aを含む。第1の副ダイ24Aは、下面24Aaを含む。第2の副ダイ24Bは、下面24Baを含む。主ダイ23の下面23aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。第1の副ダイ24Aの下面24Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第2の副ダイ24Bの下面24Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第1の副ダイ24Aの下面24Aa及び第2の副ダイ24Bの下面24Baは、水平面である。
第1の移動型22Aは、上面22Aa、上側側面22Abu、下側側面22Abl、及び下面22Acを含む。第1の移動型22Aの上面22Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの上側側面22Abuは、第1の補強部材(R1)の第1の主板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下側側面22Ablは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下面22Acは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。
第1の移動型22Aの上面22Aaは、水平面である。上側側面22Abuは、第1の副ダイ24Aから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。つまり、上側側面22Abuは、外側に広がる傾斜面である。下側側面22Ablは、鉛直方向に沿っている。上側側面22Abuは、下側側面22Ablより凹んでいる。
第2の移動型22Bは、上面22Ba、上側側面22Bbu、下側側面22Bbl、及び下面22Bcを含む。第2の移動型22Bの上面22Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの上側側面22Bbuは、第2の補強部材(R2)の第2の主板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下側側面22Bblは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下面22Bcは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
第2の移動型22Bの上面22Baは、水平面である。上側側面22Bbuは、第2の副ダイ24Bから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。つまり、上側側面22Bbuは、外側に広がる傾斜面である。下側側面22Bblは、鉛直方向に沿っている。上側側面22Bbuは、下側側面22Bblより凹んでいる。
このようなプレス装置1を用いて素材200から構造部材(S)を形成するプレス工程(e)の一例について以下に説明する。まず、図13Aを参照して、下型アッセンブリ10と上型アッセンブリ20との間に素材200を配置する(工程(3a))。第1の可動プレート12Aによって素材200の第1のフランジ相当部214Aを支持する。このとき、第1の可動プレート12Aによってさらに第1の縦壁相当部211Aの一部を支持してもよい。さらに、第2の可動プレート12Bによって素材200の第2のフランジ相当部214Bを支持する。このとき、第2の可動プレート12Bによってさらに第2の縦壁相当部211Bの一部を支持してもよい。
次に、図13Bを参照して、主ダイ23を下降させる(工程(3b))。これによって、天板相当部212を主ダイ23の下面23aとパンチ11の上面11aとによってプレスする。その結果、本体用鋼板210は主ダイ23の下面23aとパンチ11の上面11aとによって拘束される。
次に、図13Cを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを下降させる(工程(3c))。これによって、第1の移動型22Aの下面22Acと第1の可動プレート12Aとの間に素材200の第1のフランジ相当部214Aを挟み込む。さらに、第2の移動型22Bの下面22Bcと第2の可動プレート12Bとの間に第2のフランジ相当部214Bを挟み込む。
次に、図13D及び図13Eを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを第1及び第2の可動プレート12A、12Bと共に下降させる。これと合わせて、第1及び第2の移動型22A、22Bをパンチ11に向かって移動させる(工程(3d))。これによって、本体用鋼板210が次第に変形し、第1及び第2の副板相当部222A、222Bが本体用鋼板210から徐々に離れる。
そして、第1の主板相当部221Aを第1の移動型22Aの上側側面22Abuと接触させつつ、第1の縦壁相当部211Aの下部を第1の移動型22Aの下側側面22Ablとパンチ11の第1の側面11bA(下側側面)とによって拘束する。これによって、第1の副板相当部222Aを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。さらに、第2の主板相当部221Bを第2の移動型22Bの上側側面22Bbuと接触させつつ、第2の縦壁相当部211Bの下部を第2の移動型22Bの下側側面22Bblとパンチ11の第2の側面11bB(下側側面)とによって拘束する。これによって、第2の副板相当部222Bを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。
ここでは、第1の主板相当部221Aと接触する第1の移動型22Aの上側側面22Abuが、外側に広がる傾斜面であるため、第1の副板相当部222Aは鉛直方向から外側の方向に傾いた状態で起立している。第2の縦壁相当部211Bと接触する第2の移動型22Bの上側側面22Bbuが、外側に広がる傾斜面であるため、第2の副板相当部222Bは鉛直方向から外側の方向に傾いた状態で起立している。
次に、図13Fを参照して、第1及び第2の副ダイ24A、24Bを下降させる(工程(3e))。これによって、第1の副板相当部222Aを第1の副ダイ24Aの下面24Aaと第1の移動型22Aの上面22Aaとによってプレスする。さらに、第2の副板相当部222Bを第2の副ダイ24Bの下面24Baと第2の移動型22Bの上面22Baとによってプレスする。その際、第1の副板相当部222Aは第1の副ダイ24Aの下面24Aa(水平面)によって折り曲げられる。第2の副板相当部222Bは第2の副ダイ24Bの下面24Ba(水平面)によって折り曲げられる。これによって構造部材100(構造部材(S))が形成される。
この場合、形成された構造部材100の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°となる。つまり、第1及び第2の副板が水平に突出する。
次に、図13Gを参照して、以上のプレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型22A、22Bを水平方向に移動させて、構造部材100から退避させる。主ダイ23、第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bも上昇させる。これと合わせて、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを第1及び第2の移動型22A、22Bと共に上昇させる。そして、プレス装置1から構造部材100を搬出する。
[第4実施形態]
第4実施形態では、構造部材(S)(図1及び図5に示す構造部材100)を製造するための製造方法の一例について説明する。第4実施形態の製造方法は、上述した第1及び第6の構成の製造方法の一例であり、上述した工程(a)、工程(b)、工程(c)、接合工程(d)及びプレス工程(e)を含む。プレス工程(e)は、上述した工程(4a)、(4b)、(4c)、(4d)及び(4e)をこの順に含む。
図14A~図14Gは、第4実施形態の製造方法におけるプレス工程(e)を模式的に示す断面図である。図14Aを参照して、プレス装置1は、下型アッセンブリ10と、上型アッセンブリ20と、を含む。
下型アッセンブリ10は、パンチ11と、第1の可動プレート12Aと、第2の可動プレート12Bと、を含む。第1の可動プレート12A及び第2の可動プレート12Bは、パンチ11を挟むように配置され、且つ鉛直方向に移動可能である。第1の可動プレート12Aは、第1の伸縮機構13Aを介してベースプレート14に支持されている。第2の可動プレート12Bは、第2の伸縮機構13Bを介してベースプレート14に支持されている。第1及び第2の伸縮機構13A、13Bとして、バネ及び油圧シリンダ等の公知の伸縮機構を用いることができる。
上型アッセンブリ20は、主ダイ23と、第1の副ダイ24Aと、第2の副ダイ24Bと、第1の移動型22Aと、第2の移動型22Bと、を含む。第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bは、主ダイ23に隣接する。主ダイ23、第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bは、パンチ11と対向するように配置される。第1の移動型22Aは、第1の可動プレート12Aと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。第2の移動型22Bは、第2の可動プレート12Bと対向するように配置され、且つ鉛直方向及び水平方向に移動可能である。
パンチ11は、上面11a、第1の側面11bA、第2の側面11bB、第1の段差面11cA、及び第2の段差面11cBを含む。パンチ11の上面11aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。パンチ11の第1の側面11bAは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第2の側面11bBは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。パンチ11の第1の段差面11cAは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。パンチ11の第2の段差面11cBは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。第1及び第2の側面11bA、11bBは、鉛直方向に沿っている。
主ダイ23は、下面23aを含む。第1の副ダイ24Aは、下面24Aaを含む。第2の副ダイ24Bは、下面24Baを含む。主ダイ23の下面23aは、本体(M)の天板に対応する形状を有する。第1の副ダイ24Aの下面24Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第2の副ダイ24Bの下面24Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第1の副ダイ24Aの下面24Aa及び第2の副ダイ24Bの下面24Baは、水平面である。
第1の移動型22Aは、上面22Aa、上側側面22Abu、下側側面22Abl、及び下面22Acを含む。第1の移動型22Aの上面22Aaは、第1の補強部材(R1)の第1の副板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの上側側面22Abuは、第1の補強部材(R1)の第1の主板に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下側側面22Ablは、本体(M)の第1の縦壁に対応する形状を有する。第1の移動型22Aの下面22Acは、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。
第1の移動型22Aの上面22Aaは、水平面である。上側側面22Abuは、第1の副ダイ24Aから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。つまり、上側側面22Abuは、外側に広がる傾斜面である。下側側面22Ablは、鉛直方向に沿っている。上側側面22Abuは、下側側面22Ablより凹んでいる。
第2の移動型22Bは、上面22Ba、上側側面22Bbu、下側側面22Bbl、及び下面22Bcを含む。第2の移動型22Bの上面22Baは、第2の補強部材(R2)の第2の副板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの上側側面22Bbuは、第2の補強部材(R2)の第2の主板に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下側側面22Bblは、本体(M)の第2の縦壁に対応する形状を有する。第2の移動型22Bの下面22Bcは、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
第2の移動型22Bの上面22Baは、水平面である。上側側面22Bbuは、第2の副ダイ24Bから水平方向に遠ざかるにつれて上昇するように傾斜した傾斜面である。つまり、上側側面22Bbuは、外側に広がる傾斜面である。下側側面22Bblは、鉛直方向に沿っている。上側側面22Bbuは、下側側面22Bblより凹んでいる。
このようなプレス装置1を用いて素材200から構造部材(S)を形成するプレス工程(e)の一例について以下に説明する。まず、図14Aを参照して、下型アッセンブリ10と上型アッセンブリ20との間に素材200を配置する(工程(4a))。第1の可動プレート12Aによって素材200の第1のフランジ相当部214Aを支持する。このとき、第1の可動プレート12Aによってさらに第1の縦壁相当部211Aの一部を支持してもよい。さらに、第2の可動プレート12Bによって素材200の第2のフランジ相当部214Bを支持する。このとき、第2の可動プレート12Bによってさらに第2の縦壁相当部211Bの一部を支持してもよい。
次に、図14Bを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを下降させる(工程(4b))。これによって、第1の移動型22Aの下面22Acと第1の可動プレート12Aとの間に素材200の第1のフランジ相当部214Aを挟み込む。さらに、第2の移動型22Bの下面22Bcと第2の可動プレート12Bとの間に第2のフランジ相当部214Bを挟み込む。
次に、図14C及び図14Dを参照して、第1及び第2の移動型22A、22Bを第1及び第2の可動プレート12A、12Bと共に下降させる。これと合わせて、第1及び第2の移動型22A、22Bをパンチ11に向かって移動させる(工程(4c))。これによって、本体用鋼板210が次第に変形し、第1及び第2の副板相当部222A、222Bが本体用鋼板210から徐々に離れる。
そして、第1の縦壁相当部211Aの下部を第1の移動型22Aの下側側面22Ablとパンチ11の第1の側面11bA(下側側面)とによって拘束する。これによって、第1の副板相当部222Aを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。さらに、第2の縦壁相当部211Bの下部を第2の移動型22Bの下側側面22Bblとパンチ11の第2の側面11bB(下側側面)とによって拘束する。これによって、第2の副板相当部222Bを本体用鋼板210から離れた状態に起立させる。
ここでは、本体用鋼板210の天板相当部212がパンチ11の上面11aから離れるように湾曲している。また、第1の縦壁相当部211Aの下部を拘束する、第1の移動型22Aの下側側面22Ablとパンチ11の第1の側面11bA(下側側面)が、鉛直方向に沿っているため、第1の副板相当部222Aは鉛直方向に沿って起立している。第2の縦壁相当部211Bの下部を拘束する、第2の移動型22Bの下側側面22Bblとパンチ11の第2の側面11bB(下側側面)が、鉛直方向に沿っているため、第2の副板相当部222Bは鉛直方向に沿って起立している。
次に、図14Eを参照して、主ダイ23を下降させる(工程(4d))。これによって、天板相当部212を主ダイ23の下面23aとパンチ11の上面11aとによってプレスする。その結果、本体用鋼板210は変形する。これによって、第1の主板相当部221Aを第1の移動型22Aの上側側面22Abuと接触させる。さらに、第2の主板相当部221Bを第2の移動型22Bの上側側面22Bbuと接触させる。
ここでは、第1の主板相当部221Aと接触する第1の移動型22Aの上側側面22Abuが、外側に広がる傾斜面であるため、第1の副板相当部222Aは鉛直方向から外側の方向に傾いた状態で起立している。第2の縦壁相当部211Bと接触する第2の移動型22Bの上側側面22Bbuが、外側に広がる傾斜面であるため、第2の副板相当部222Bは鉛直方向から外側の方向に傾いた状態で起立している。
次に、図14Fを参照して、第1及び第2の副ダイ24A、24Bを下降させる(工程(4e))。これによって、第1の副板相当部222Aを第1の副ダイ24Aの下面24Aaと第1の移動型22Aの上面22Aaとによってプレスする。さらに、第2の副板相当部222Bを第2の副ダイ24Bの下面24Baと第2の移動型22Bの上面22Baとによってプレスする。その際、第1の副板相当部222Aは第1の副ダイ24Aの下面24Aa(水平面)によって折り曲げられる。第2の副板相当部222Bは第2の副ダイ24Bの下面24Ba(水平面)によって折り曲げられる。これによって構造部材100(構造部材(S))が形成される。
この場合、形成された構造部材100の断面において、天板と第1の副板とがなす角度X、及び天板と第2の副板とがなす角度Xは、180°となる。つまり、第1及び第2の副板が水平に突出する。
次に、図14Gを参照して、以上のプレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型22A、22Bを水平方向に移動させて、構造部材100から退避させる。主ダイ23、第1の副ダイ24A及び第2の副ダイ24Bも上昇させる。これと合わせて、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを第1及び第2の移動型22A、22Bと共に上昇させる。そして、プレス装置1から構造部材100を搬出する。
[第5実施形態]
第5実施形態の製造方法は、上述した第1及び第9の構成の製造方法の一例であり、上述した第1実施形態の製造方法を変形したものである。
図15A~図15Gは、第5実施形態の製造方法におけるプレス工程(e)を模式的に示す断面図である。図15Aを参照して、プレス装置1は、下型アッセンブリ10と、上型アッセンブリ20と、を含む。第5実施形態のプレス工程(e)は、上述した第1実施形態の工程(2a)、(2b)、(2c)及び(2d)とほぼ共通であるため、相違点についてのみ説明する。
下型アッセンブリ10を構成するパンチ11、第1の可動プレート12A、及び第2の可動プレート12Bのうち、パンチ11は、第1実施形態のような第1の段差面、及び第2の段差面を含まない。その代わりに、第1の可動プレート12Aが、本体(M)の第1のフランジに対応する形状を有する。第2の可動プレート12Bが、本体(M)の第2のフランジに対応する形状を有する。
図15Gを参照して、プレス工程(e)の後、まず第1及び第2の移動型22A、22Bを水平方向に移動させて、構造部材100から退避させる。ダイ21も上昇させる。これと合わせて、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを第1及び第2の移動型22A、22Bと共に上昇させる。
ここでは、第1の可動プレート12A上に第1のフランジが載置されている。第2の可動プレート12B上に第2のフランジが載置されている。そのため、第1及び第2の可動プレート12A、12Bを上昇させるだけで、構造部材100をパンチ11から離間させることができる。したがって、プレス装置1からの構造部材100の搬出を容易に行える。
このような第5実施形態の下型アッセンブリ10は、上述した第2、第3及び第4実施形態の下型アッセンブリ10に適用することも可能である。