JP7153522B2 - 字幕表示装置及びそのプログラム - Google Patents
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Description
頭部方向算出部は、所定間隔で計測された頭部方向が入力され、入力された現在の頭部方向と前回計測時の頭部方向との頭部方向差分を算出する。
経過時間算出部は、前回字幕描画時から現在までの経過時間を算出する。
映像合成部は、字幕画像生成部が生成した字幕画像と全天周映像との合成映像を生成する。
このように、字幕表示装置は、人物の視野に応じて移動する表示範囲の字幕を全天周映像に合成表示するので、人物が頭部方向を変えることで、字幕の巻き戻しや早送りが可能となる。
[全天周映像システムの概略]
図1~図3を参照し、全天周映像システム1の概略について説明する。
全天周映像では、視聴者(人物)が映像制作者の意図しない箇所を注視していることがある。このため、全天周映像では、視聴者の視野に対応した箇所に字幕を表示することで、映像制作者の意図をより反映することができる。さらに、全天周映像では、空間解像度の制限はあるものの、平面画像と比べて、より多くの文字を字幕として表示することができる。これら全天周映像の特性を利用すれば、視聴者の希望に応じて、字幕の過去部分(巻き戻し)や未来部分(早送り)を自然に表示できる。
また、図1Aでは、L(正)、R(負)は、説明を分かりやすくするために図示したものであり、実際には表示されない。
なお、図1A~図1Cにおいて、視聴者の頭部が真後を向いた場合、全天周映像Aの表示範囲aには字幕Tが表示されない。
全天周映像Aと字幕Tは、視聴者の頭部を中心Cとする仮想球面Bに貼り付けられる。この仮想球面Bでは、地球と同様の形式で座標を定める。図1Aに示すように、重力方向(下方向)の頂点を南極PS、重力方向の反対方向(上方向)の頂点を北極PNとする。このとき、仮想球面B上の任意の点を原点POとする。そして、北極PN、原点PO及び南極PSを通過する経線(破線で図示)の経度0°とする。また、北極PNと南極PSとを結ぶ線に垂直で中心Cを含む平面が仮想球面Bに交わる円を緯度0°の赤道とする。仮想球面Bを北極PNの方向から見た場合、図2に示すように、視聴者を基準として、東方向(左側L)を正、西方向(右側R)を負とする。ここでは、字幕Tは、仮想球面B上を反時計回りに、負方向から正方向に移動することになる。以下、仮想球面B上での位置は、経度及び緯度によって表現する。
また、図2では、字幕Tの移動方向を矢印αで図示し、表示範囲aに含まれる字幕Tをハッチングで図示し、表示範囲aから外れている字幕Tを白抜きで図示した。また、図2の視野中央位置TCについては後記する。
図3に示すように、全天周映像システム1は、映像記憶装置2と、ヘッドマウントディスプレイ(字幕表示装置)3とを備える。以後、「ヘッドマウントディスプレイ」を「HMD」と略記する場合がある。
映像記憶装置2は、HMD3で表示する全天周映像を記憶する一般的なコンピュータである。また、映像記憶装置2は、字幕の合成表示に必要な各種情報(後記する初期情報、字幕情報、ディスプレイ情報)を記憶する。本実施形態では、映像記憶装置2は、任意の伝送手段(例えば、無線通信)を用いて、全天周映像及び各種情報をHMD3に送信する。
図5を参照し、HMD3の構成について説明する。
図5に示すように、HMD3は、初期情報入力部30と、初期位置算出部31と、頭部方向計測部(頭部方向計測センサ)32と、頭部方向算出部33と、時間計測部34と、経過時間算出部35と、表示更新命令部36と、字幕情報入力部37と、視野中央位置算出部38と、ディスプレイ情報入力部39と、字幕レンダリング部(字幕画像生成部)40と、全天周映像入力部41と、映像統合部(映像合成部)42と、映像表示部43とを備える。
なお、頭部方向計測部32及び映像表示部43を除いたHMD3の各手段が、図3の演算装置3cに対応する。
以下、視野中央位置の初期位置TC0の前提として、視野中央位置TCについて説明する(適宜図2参照)。なお、視野中央位置の初期位置TC0とは、視野中央位置TCの初期値のことである。
視野中央位置TCとは、図6に示すように、字幕Tの先頭TTOPから、視聴者の視野の中央が字幕Tの何処に位置するのかを表す情報である。ここで、字幕Tの先頭TTOPは、表示範囲aに含まれない部分も含め、字幕T全文の先頭(字幕Tの左端)を指す。
例えば、字幕Tの先頭TTOPが視野中央に位置する場合(視聴者が字幕Tの先頭TTOPを見ている場合)、視野中央位置TCは0となる。
また、例えば、字幕Tが100文字であり、字幕Tの1文字の大きさが仮想球面B上で経度1°の範囲に相当する場合を考える。視聴者の頭部が字幕Tの20文字目の方向を向いているとき、視聴者の視野中央には20文字目の中央が位置する。字幕Tの先頭文字の左端位置が0なので、0.5文字分の大きさを引いて、視野中央位置TC=20×1-0.5となる。
このように、視野中央位置TCは、字幕Tをレンダリングして仮想球面Bに貼り付けたとき、視野中央に位置する部分が、字幕Tの先頭TTOPから何処にあるかを表している。
以下、初期位置算出部31が視野中央位置の初期位置TC0を算出する2つの方法を説明する。
仮想球面B上の任意位置をxとした場合、字幕先頭位置の初期位置TL0は、下記の式(1-1)で表される。このとき、視野中央位置の初期位置TC0は、後記する頭部方向の初期値H0が含まれる下記の式(1-2)で表される。
TL0=x …式(1-1)
TC0=x-H0+360・R …式(1-2)
頭部方向との字幕先頭の相対的な位置関係をxrとした場合、字幕先頭位置の初期位置TL0は、下記の式(2-1)で表される。このとき、視野中央位置の初期位置TC0は、下記の式(2-2)で表される。
TL0=H0+xr …式(2-1)
TC0=-xr …式(2-2)
なお、第1例及び第2例では、説明を簡易にするため、字幕先頭位置の初期位置TL0を定義したものである。実際には、初期位置算出部31は、視野中央位置の初期位置TC0のみを算出すればよく、式(1-1)及び式(2-1)を用いて、字幕先頭位置の初期位置TL0を求める必要がない。
頭部方向計測部32は、視聴者の頭部方向を計測するものである。本実施形態では、頭部方向計測部32は、後記する表示更新命令部36が表示更新命令を発する毎、視聴者の頭部方向を計測する。この頭部方向計測部32は、仮想球面B上で頭部方向(経度)を計測できるものであればよく、例えば、3軸で頭部方向を計測するジャイロセンサである。
初回字幕描画時、頭部方向計測部32は、計測した頭部方向を頭部方向の初期値H0として、初期位置算出部31に出力する。2回目以降の字幕描画時、頭部方向計測部32は、計測した頭部方向Hを頭部方向算出部33に出力する。
また、2回目以降の字幕描画時とは、既に字幕が表示されている全天周映像の字幕を更新するときのことである。従って、2回目以降の字幕描画時において、1回前に字幕を描画したときが前回字幕描画時となる。
なお、添え字tは、後記する経過時間のことである。
ここで、字幕情報入力部37は、字幕情報のうち、字幕移動量ΔTLを視野中央位置算出部38に出力する。また、字幕情報入力部37は、字幕情報のうち、字幕本文、字形、字間及び字幕表示位置を、字幕レンダリング部40に出力する。
以下、視野中央位置算出部38による視野中央位置の算出を詳細に説明する。
経過時間Δtのとき、字幕の先頭位置TLは、下記の式(3-1)で表される。このとき、現在の視野中央位置TCtは、下記の式(3-2)で表される。つまり、視野中央位置算出部38は、式(3-2)を用いて、現在の視野中央位置TCtを仮想球面B上で算出する。なお、tuは、字幕を表示するときの単位時間を表す。
TL=TL0+t/tu×ΔTL …式(3-1)
TCt=TCt-Δt+Δt/tu×ΔTL-ΔH …式(3-2)
なお、説明を簡易にするため、字幕の先頭位置TLを定義したものである。実際には、視野中央位置算出部38は、現在の視野中央位置TCtのみを算出すればよく、式(3-1)を用いて、字幕の先頭位置TLを求める必要がない。
ディスプレイ情報入力部39は、入力されたディスプレイ情報を字幕レンダリング部40に出力する。
この字幕レンダリング部40は、字幕情報入力部37から字幕情報が入力され、視野中央位置算出部38から現在の視野中央位置TCtが入力され、ディスプレイ情報入力部39からディスプレイ情報が入力される。そして、字幕レンダリング部40は、入力された字幕情報、現在の視野中央位置TCt及びディスプレイ情報に基づいて、表示範囲の字幕をレンダリングする。
字幕レンダリング部40は、生成した字幕画像を映像統合部42に出力する。
図9を参照し、HMD3の動作について説明する。
図9に示すように、初期位置算出部31は、初期情報入力部30からの初期情報を参照し、視野中央位置の初期位置TC0を算出する(ステップS1)。
頭部方向算出部33は、頭部方向計測部32が計測した現在の頭部方向Htと前回計測時の頭部方向Ht-1との差分を、頭部方向差分ΔHとして算出する(ステップS2)。
字幕レンダリング部40は、ステップS3で算出した視野中央位置TCtに応じた表示範囲の字幕が描画されている字幕画像を生成する(ステップS4)。
映像統合部42は、ステップS4で生成した字幕画像と、ステップS5で入力された全天周映像とを統合する(ステップS6)。
映像表示部43は、ステップS6で統合した統合映像を表示する(ステップS7)。
このように、HMD3の処理は、字幕のレンダリング(ステップS1~ステップS4)と、字幕の統合表示(ステップS5~S7)に分かれる。
HMD3は、視聴者の視野に応じた表示範囲の字幕を全天周映像に合成表示するので、視聴者が頭部方向を変えることで、字幕の巻き戻しや早送りが可能となる。つまり、HMD3は、視聴者が頭部方向を変えることで、既に映像表示部43から消えてしまった過去の字幕や、未だ映像表示部43に表示されていない未来の字幕を表示することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
仮想球面上では、緯度により表示範囲が変化することから、HMDは、この変化を考慮して字幕を表示してもよい。
2 映像記憶装置
3 HMD(字幕表示装置)
3a 本体部
3b ベルト部
3c 演算装置
30 初期情報入力部
31 初期位置算出部
32 頭部方向計測部(頭部方向計測センサ)
33 頭部方向算出部
34 時間計測部
35 経過時間算出部
36 表示更新命令部
37 字幕情報入力部
38 視野中央位置算出部
39 ディスプレイ情報入力部
40 字幕レンダリング部(字幕画像生成部)
41 全天周映像入力部
42 映像統合部(映像合成部)
43 映像表示部
A 全天周映像
B 仮想球面
C 中心
a 表示範囲
PN 北極
PO 原点
PS 南極
T 字幕
α 移動方向
Claims (6)
- スクロールする字幕全文のうち、人物の頭部方向に応じて移動する表示範囲の字幕を全天周映像に合成する頭部装着型の字幕表示装置であって、
前記字幕全文上で視野中央位置の初期位置を算出する初期位置算出部と、
所定間隔で計測された前記頭部方向が入力され、入力された現在の前記頭部方向と前回計測時の前記頭部方向との頭部方向差分を算出する頭部方向算出部と、
前回字幕描画時から現在までの経過時間を算出する経過時間算出部と、
前回字幕描画時の視野中央位置と、前記経過時間と、予め設定された字幕移動速度と、前記頭部方向差分とに基づいて、現在の前記視野中央位置を算出する視野中央位置算出部と、
前記視野中央位置算出部が算出した現在の視野中央位置に応じた前記表示範囲の字幕が描画されている字幕画像を生成する字幕画像生成部と、
前記字幕画像生成部が生成した字幕画像と前記全天周映像との合成映像を生成する映像合成部と、を備え、
前記視野中央位置算出部は、初回字幕描画時において、前記初期位置を前記前回字幕描画時の視野中央位置として用いて、前記現在の視野中央位置を算出することを特徴とする字幕表示装置。 - 前記視野中央位置算出部は、前記前回字幕描画時の視野中央位置TCt-Δtと、前記経過時間Δtと、前記字幕移動速度ΔTLと、前記頭部方向差分ΔHとが含まれる式(A)を用いて、前記現在の視野中央位置TCtを算出する
TCt=TCt-Δt+Δt/tu×ΔTL-ΔH …式(A)
ことを特徴とする請求項1に記載の字幕表示装置。 - 前記初期位置算出部は、前記頭部方向と字幕先頭位置との差分により前記初期位置を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の字幕表示装置。
- 前記視野中央位置算出部は、前記全天周映像を表示する仮想球面上で前記現在の視野中央位置を算出することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の字幕表示装置。
- 所定間隔で前記頭部方向を計測する頭部方向計測センサと、
前記映像合成部が生成した合成映像を表示する映像表示部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の字幕表示装置。 - コンピュータを、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の字幕表示装置として機能させるためのプログラム。
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