JP7152077B2 - 血管壁厚み推定方法、血管壁厚み推定装置及び血管壁厚み推定システム - Google Patents

血管壁厚み推定方法、血管壁厚み推定装置及び血管壁厚み推定システム Download PDF

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Description

本発明は、血管壁厚み推定方法などに関する。
血管の疾患の1つである脳動脈瘤は、一旦破裂すると、致死率が約50%を越える極めてハイリスクな疾患であり、かつ、高率に後遺症を残す社会的にも影響が大きい疾患である。このため、脳動脈瘤の破裂を未然に防ぐ予防的治療(先制医療)の重要性が高く、適切な治療介入が不可欠である。
適切な治療には、脳動脈瘤の瘤壁の情報(例えば、厚さ)を知ることが有効である。脳動脈瘤の破裂は、瘤壁の厚い部分に比べ、瘤壁の薄い部分において、起こりやすいことが知られているためである。しかしながら、1つの動脈瘤においても、瘤壁の厚みなどの形状は、瘤ごとに多様である。そのため、瘤壁の厚みなどの形状に関する情報を、CT(コンピュータ断層撮影法(Computed Tomography))及びMRI(磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging))によって得られる瘤壁の内腔などの形態のみから推察することは、専門家であっても困難である。
例えば、脳動脈瘤の瘤壁の厚みを測定する手法としては、医師が行う開頭手術による撮影又は目視が知られている。しかしながら、この手法は、高侵襲な手法であり、患者負担が大きく、容易に脳動脈瘤の瘤壁の厚みを測定できる手法ではない。
また、例えば、低侵襲、かつ、脳動脈瘤の瘤壁などの血管壁の厚みを測定する手法として、特許文献1に開示される超音波診断装置が知られている。特許文献1には、超音波信号を用いて、画像データが生成され、当該画像データに基づいて、被検者の血管壁の厚みに関する情報を表示する超音波診断装置が開示されている。
特開2013-118932号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術により得られる画像データは、精密さが低いため、血管壁に関して、精度の高い情報が得られにくい。
そこで、本発明は、低侵襲な手法により血管壁に関する高精度な情報を生成することで、血管の疾患に対して具体的な処置を施すための有益な情報を提案することができる方法などの提供を目的とする。
本発明の一態様に係る血管壁厚み推定方法は、4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、前記血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する取得工程と、前記取得工程により取得された前記挙動情報に基いて、前記血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成工程と、前記生成工程により生成された前記推定情報を出力する出力工程とを含み、前記推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、前記変位と前記加速度とから得られるばね定数、及び、前記変位の時間変化から得られるフーリエ係数、のうちから選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である。
また、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、上記記載の血管壁厚み推定方法をコンピュータに実行させる。
また、本発明の一態様に係る血管壁厚み推定装置は、4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、前記血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記挙動情報に基いて、前記血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記推定情報を出力する出力部とを備え、前記推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、前記変位と前記加速度とから得られるばね定数、及び、前記変位の時間変化から得られるフーリエ係数の内から選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である。
また、本発明の一態様に係る血管壁厚み推定システムは、上記記載の血管壁厚み推定装置と、前記動画像を取得し、前記挙動情報を生成する動画像情報処理装置と、前記出力部が出力した前記推定情報を表示する表示装置とを備える。
本発明の血管壁厚み推定方法等によれば、低侵襲な手法により血管壁に関する高精度な情報を生成することで、血管の疾患に対して具体的な処置を施すための有益な情報を提案することができる。
図1は、実施の形態に係る血管壁厚み推定システムの構成を示す図である。 図2は、実施の形態に係る血管壁厚み推定装置の特徴的な機能構成を示すブロック図である。 図3Aは、実施の形態に係る脳動脈瘤を示す斜視図である。 図3Bは、図3AのIII-III線における実施の形態に係る脳動脈瘤の断面図である。 図4は、図3BのIV-IV線における実施の形態に係る脳動脈瘤の近部の断面図である。 図5は、図3BのV-V線における実施の形態に係る脳動脈瘤の中部の断面図である。 図6は、図3BのVI-VI線における実施の形態に係る脳動脈瘤の遠部の断面図である。 図7は、実施の形態に係る血管壁厚み推定装置が脳動脈瘤の瘤壁の厚みを推定する処理手順を示すフローチャートである。 図8Aは、症例1における近部の点のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。 図8Bは、症例1における中部の点のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。 図8Cは、症例1における遠部の点のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。 図9Aは、症例1における近部、中部及び遠部の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Bは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Cは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Dは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Eは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Fは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Gは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Hは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Iは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Jは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Kは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図9Lは、症例1における近部、中部及び遠部の他の一例の点のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。 図10Aは、症例1における遠部の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Bは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Cは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Dは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Eは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Fは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Gは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Hは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Iは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Jは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Kは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図10Lは、症例1における遠部の他の一例の点のxy平面の変位の時間変化を示す図である。 図11Aは、症例1における近部の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図11Bは、症例1における近部の他の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図12Aは、症例1における中部の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図12Bは、症例1における中部の他の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図13Aは、症例1における遠部の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図13Bは、症例1における遠部の他の一例の点のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。 図14Aは、症例1における近部の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図14Bは、症例1における近部の他の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図15Aは、症例1における中部の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図15Bは、症例1における中部の他の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図16Aは、症例1における遠部の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図16Bは、症例1における遠部の他の一例の点のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。 図17Aは、症例1における近部の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図17Bは、症例1における近部の他の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図18Aは、症例1における中部の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図18Bは、症例1における中部の他の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図19Aは、症例1における遠部の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図19Bは、症例1における遠部の他の一例の点の運動エネルギーの時間変化を示す図である。 図20Aは、症例1における遠部の一例の点のz軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。 図20Bは、症例1における遠部の他の一例の点のz軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。 図21Aは、症例1における遠部の一例の点のx軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。 図21Bは、症例1における遠部の他の一例の点のx軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。 図22Aは、症例2における遠部の点の変位の時間変化から得られるフーリエ係数が示される図である。 図22Bは、症例3における遠部の点の変位の時間変化から得られるフーリエ係数が示される図である。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[血管壁厚み推定システムの構成]
本実施の形態に係る血管壁厚み推定システム1000の構成に関して説明する。図1は、本実施の形態に係る血管壁厚み推定システム1000の構成を示す図である。
血管壁厚み推定システム1000は、4次元血管撮影法を用いて、被験者Pの血管壁を含む動画像から、所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得し、挙動情報に基いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成するシステムである。一具体例として、血管壁厚み推定システム1000は、被験者Pの脳動脈瘤の厚みを推定する。
4次元血管撮影法とは、3次元血管撮影法に時間軸を加味した手法である。3次元血管撮影法とは、X線CT又はMRIによって血管の立体データを収集し、血管情報を抽出する手法である。なお、X線CTを用いた4次元血管撮影法は、4DCTA(4 Dimensional Computed Tomography Angiography)ともいわれる。
4次元血管撮影法により動画像が得られる。当該動画像は、3枚以上の静止画の時系列であればよく、例えば、心臓がn回脈動(nは自然数)する時間にかけての動画像であってもよい。また、例えば、当該動画像は、所定の時間内の動画像であってもよい。所定の時間とは、例えば、m秒間(mは自然数)であってもよい。
また、血管壁の厚みとは、動脈又は静脈を含む血管の壁の厚みであってもよく、動脈瘤又は静脈瘤の瘤壁の厚みであってもよく、脳動脈瘤の瘤壁の厚みであってもよい。
図1に示されるように、血管壁厚み推定システム1000は、血管壁厚み推定装置100と、表示装置200と、動画像情報処理装置300と、動画像撮影装置400とを備える。
動画像撮影装置400は、4次元血管撮影法を用いて血管壁を含む動画像を生成する装置である。動画像撮影装置400は、例えば、CT装置又はMRI装置である。動画像撮影装置400がCT装置である場合、CT装置は、X線を照射するX線管と、信号を受け取る検出器とコンピュータとを備える。検出器は、X線管の向かい側に位置し、被験者Pの体を通過したあとのX線を検出する。このとき、被験者Pの身体の部位によって、X線の吸収が異なることを利用して、コンピュータが被験者Pの特定部位における血管壁を含む動画像を生成する。
CT装置又はMRI装置と、4次元血管撮影法とを用いる手法は、開頭手術などの手法とは異なり、被験者Pの体に与える負担が大きい切開などを要しないため、低侵襲な手法である。また、CT装置又はMRI装置と、4次元血管撮影法とを用いる手法は、精密さの高い動画像を生成することができる。
動画像情報処理装置300は、動画像撮影装置400が4次元血管撮影法を用いて生成した血管壁を含む動画像を取得し、血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を生成する。例えば、挙動情報とは、動画像における特定の時刻と当該特定の時刻での血管壁における複数の所定の点の3次元の座標位置とを1つの組とし、動画像において心臓が1脈動する時間の経過に従って複数の組が並べられた数値情報である。動画像情報処理装置300は、挙動情報を血管壁厚み推定装置100へ出力する。動画像情報処理装置300は、例えば、パーソナルコンピュータであるが、ネットワークに接続された計算能力の高いサーバ装置であってもよい。
血管壁厚み推定装置100は、動画像情報処理装置300によって生成された挙動情報を取得し、取得された挙動情報に基いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成し、生成された推定情報を表示装置200へ出力する。推定情報についての詳細は、図8A~図22Bを用いて後述するが、推定情報とは、血管壁の厚みを推定するための、可視化された情報である。推定情報とは、例えば、画像データである。血管壁厚み推定装置100は、例えば、パーソナルコンピュータであるが、ネットワークに接続された計算能力の高いサーバ装置であってもよい。
表示装置200は、血管壁厚み推定装置100から出力される推定情報を表示する。表示装置200は、具体的には、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどによって構成されるモニタ装置である。表示装置200として、テレビ、スマートフォン又はタブレット端末などが用いられてもよい。
血管壁厚み推定装置100と、表示装置200及び動画像情報処理装置300とは、挙動情報又は推定情報を送受信可能であればよく、有線で接続されていてもよいし、無線通信可能に接続されていてもよい。
動画像情報処理装置300は、血管壁を含む動画像を取得し、血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を生成する。血管壁厚み推定装置100は、動画像情報処理装置300によって生成された挙動情報を取得し、取得された挙動情報に基いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成しする。さらに、血管壁厚み推定装置100は、生成された推定情報を表示装置200へ出力する。
これにより、血管壁厚み推定システム1000においては、低侵襲な手法によって、血管壁を含む動画像が得られる。さらに、血管壁厚み推定システム1000は、当該動画像に関する挙動情報を利用して、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成することができる。そのため、血管壁厚み推定システム1000は、血管壁における複数の所定の点の付近の壁厚さについて、精度の高い情報を生成することができる。
次に、本実施の形態に係る血管壁厚み推定装置100の機能構成を具体的に説明する。
図2は、本実施の形態に係る血管壁厚み推定装置100の特徴的な機能構成を示すブロック図である。血管壁厚み推定装置100は、取得部110と、生成部120と、出力部130とを備える。
取得部110は、4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する。取得部110は、具体的には、動画像情報処理装置300によって生成された挙動情報を取得する。取得部110は、例えば、有線通信又は無線通信を行う通信インターフェースである。
生成部120は、取得部110により取得された挙動情報に基づいて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する。推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、変位と加速度とから得られるばね定数、及び、変位の時間変化から得られるフーリエ係数、のうちから選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である。また、推定情報は、複数の所定の点に関する情報である。つまり、推定情報は、複数の所定の点の付近の血管壁の厚みを推定するために用いられる情報である。
また、例えば、推定情報は、上記の内から選ばれる少なくとも1つに基いた情報がグラフ化された画像データであってもよい。例えば、推定情報が変位の時間変化を可視化した情報である場合、推定情報は、例えば、横軸に時間と縦軸に変位とが記載されたグラフの画像データである。なお、推定情報を生成する手法については、図8A~図22Bを用いて後述する。生成部120は、具体的には、プログラムを実行するプロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路によって実現される。
出力部130は、生成部120が生成した推定情報を出力する。出力部130は、生成部120が生成した推定情報を表示装置200へ出力してもよい。出力部130は、例えば、有線通信又は無線通信を行う通信インターフェースである。
ここで、挙動情報に関する情報の1つである、血管壁における複数の所定の点について、図3A~図6を用いて説明する。本実施の形態においては、血管壁とは、脳動脈瘤10の瘤壁11である。なお、図3A~図22Bにおいて、x軸正方向は、母血管20から脳動脈瘤10が延びる方向であり、z軸は、母血管20が延びる方向であり、y軸は、x軸及びz軸と直交方向に延びる方向である。
図3Aは、本実施の形態に係る脳動脈瘤10を示す斜視図である。図3Bは、図3AのIII-III線における本実施の形態に係る脳動脈瘤10の断面図である。母血管20は、被験者Pの脳内の動脈を構成する血管の1つである。脳動脈瘤10は、母血管20の一部が膨らんだ瘤であって、母血管20からx軸方向に延びて発生した瘤である。
また、図3Bに示すように、脳動脈瘤10において、母血管20に近い領域を近部n、母血管20から遠い領域を遠部f、近部nと遠部fとの中間の領域を中部mとする。
図4は、図3BのIV-IV線における本実施の形態に係る脳動脈瘤10の近部nの断面図である。図5は、図3BのV-V線における本実施の形態に係る脳動脈瘤10の中部mの断面図である。図6は、図3BのVI-VI線における本実施の形態に係る脳動脈瘤10の遠部fの断面図である。図4~図6はいずれも、yz平面における断面図である。
図4が示すように、近部nの断面図において、時計盤が示す時間に対応するように、0時~11時の方向に点が設けられている。すなわち、0時方向には、点n0が設けられ、1時~11時方向に、それぞれ点n1~点n11が設けられている。また、図5及び図6が示すように、中部m及び遠部fの断面図においても、0時~11時の方向に点が設けられている。中部mにおいては、0時~11時方向に、それぞれ点m0~点m11が設けられ、遠部fにおいては、0時~11時方向に、それぞれ点f0~点f11が設けられている。本実施の形態に係る血管壁における複数の所定の点は、例えば、点n0~点n11、点m0~点m11及び点f0~点f11である。つまり、近部n、中部m及び遠部fのそれぞれにおいて、12個の所定の点が存在するため、血管壁における複数の所定の点は合計で36個存在する。また、以下では、点n0~点n11、点m0~点m11及び点f0~点f11を纏めて、0時~11時方向の点と記載することがある。
取得部110は、この36個の所定の点のそれぞれにおいて、位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する。生成部120は、この挙動情報に基づいて、所定の点の付近の瘤壁11の厚みを推定するための推定情報を生成する。また、血管壁における複数の所定の点は、上記に限られず、血管壁において、2個以上の点から選択することができる。
なお、本実施の形態においては、挙動情報は、一定時間の間の位置の時間変化に関する数値情報である。例えば、一定時間とは、心臓が1脈動する間の時間である。さらに、心臓が1脈動する間の時間は、83ステップに均等に分割される。このときの、脈動が開始される時刻を0ステップとし、脈動が終了した時刻を83ステップとする。よって、挙動情報には、0ステップ~83ステップのそれぞれのステップにおける、36個の所定の点のx軸、y軸及びz軸の位置に関する情報が含まれている。
なお、一定時間は、具体的な秒数でもよく、例えば、1秒間、5秒間又は10秒間でもよい。また、当該一定時間は、3分割以上であれば、どのように細分化されてもよい。例えば、上記とは異なり、当該一定時間は、83ステップではなく、異なるステップ数によって分割されてもよい。さらに、当該一定時間は、均等に分割されなくてもよい。
[血管壁厚み推定方法の処理手順]
続いて、血管壁厚み推定装置100が実行する血管壁厚み推定方法における具体的な処理手順について説明する。図7は、本実施の形態に係る血管壁厚み推定装置100が脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みを推定する処理手順を示すフローチャートである。
取得部110は、動画像情報処理装置300を介して被験者Pの脳動脈瘤10の瘤壁11複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する(取得工程S101)。
次に、生成部120は、取得工程S101で取得部110が取得した挙動情報から血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する(生成工程S102)。推定情報は、例えば、グラフ化された画像データであってもよい。
次に、出力部130は、生成部120が生成した推定情報を出力する(出力工程S103)。出力工程S103において、出力部130は、例えば、生成工程S102で生成部120が生成したグラフ化された画像データを表示装置200へ送信する。
表示装置200は、出力部130が出力した画像データを取得して、当該画像データに基づいて画像を表示する。
また、血管壁厚み推定装置100は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出すことによって、血管壁厚み推定方法を実行してもよい。
続いて、推定情報の具体的な例を示す。推定情報として、例えば、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、変位と加速度とから得られるばね定数、及び、変位の時間変化から得られるフーリエ係数、が挙げられる。また、ここでは、本実施の形態の例として、病気の症状の例である症例1、2及び3を用いて説明する。症例1、2及び3は、いずれも脳動脈瘤に関する症例であり、症例1、2及び3のそれぞれは、互いに異なる被験者Pから得られた例である。
ここで、推定情報が変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、及び、変位と加速度とから得られるばね定数の場合は、症例1を用いて説明し、推定情報が変位の時間変化から得られるフーリエ係数の場合は、症例2及び3を用いて説明する。
[推定情報の例]
まず、推定情報が変位の時間変化である一例について説明する。
図8Aは、症例1における近部nの点n0~点n11のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。図8Bは、症例1における中部mの点m0~点m11のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。図8Cは、症例1における遠部fの点f0~点f11のz軸方向の変位の時間変化を示す図である。
図8A~図8Cにおいて、横軸は、時間に関する単位であるステップであり、縦軸は、z軸の変位である。z軸の変位とは、0ステップにおけるz軸の位置が0(原点)となるように、各ステップのz軸の位置が平行移動された値である。なお、以下説明する図9A~図22Bにおいても、各軸の変位とは、0ステップにおける各軸の位置が0(原点)となるように、各ステップの各軸の位置が平行移動された値である。
推定情報が変位の時間変化である場合、瘤壁11の厚みは、例えば、変位の最大値と最小値の差、又は、変位のばらつきなどの指標により、推定されてもよい。
図8A~図8Cが示すように、近部nから遠部fに向けて、すなわち、母血管20から離れるに従って、指標の1つである変位の最大値と最小値との差が大きくなっている。このとき、変位の最大値又は最小値とは、例えば、点n0~点n11における0ステップ~83ステップの全てのステップの変位のうちの最大値又は最小値である。例えば、図8Aが示すように、近部nにおける変位の最大値は、最大値nmaxであり、変位の最小値は、最小値nminである。
1脈動における変位の最大値と最小値との差が大きいほど、0時~11時方向の点は、原点から大きく動くため、脈動により伸び易く、0時~11時方向の点に対応する瘤壁11の厚みが薄いと推定される。よって、近部nから遠部fに向けて、変位の最大値と最小値との差が大きくなっているため、瘤壁11の厚みが薄くなっていると推定される。
また、指標として、変位のばらつきが用いられてもよい。
図8A~図8Cが示すように、近部nから遠部fに向けて、すなわち、母血管20から離れるに従って、指標の1つである変位のばらつきが大きくなっている。
近部n、中部m又は遠部fなどのうち1つの領域のなかで、1脈動における変位のばらつきが大きいほど、0時~11時方向の点のうち、互いに異なる動きを示す点が多いため、脈動により伸び易く、瘤壁11の厚みが薄いと推定される。すなわち、近部nから遠部fに向けて、瘤壁11の厚みが薄くなっていると推定される。
上記数値のばらつきは、標準偏差によって表され、次のように算出されてもよい。例えば、図8Aにおいて、いずれかのステップにおける点n0~点n11の合計12個の数値の平均値をμとし、当該いずれかのステップにおける12個の数値に対して、分散σ2が得られる。この分散σ2の平方根σが標準偏差である。同様の処理が各ステップ(本実施の形態においては、0ステップ~83ステップの全て)において行われることで、各ステップにおける標準偏差が算出され、全てのステップの標準偏差の合計値を算出する。さらに、同様の処理が図8B、図8Cにおいても行われ、それぞれの合計値が比較された場合に、合計値が高いほど、ばらつきが大きく、すなわち、本実施の形態においては、瘤壁11の厚みが薄くなっていると推定される。
なお、ばらつきは、統計学に基いた指標であれば、標準偏差以外が用いられてもよい。
また、図8A~図8Cにおいては、一例として、z軸を用いて説明したが、推定情報が変位の時間変化である場合には、x軸及びy軸においても、z軸と同様に、近部nから遠部fに向けて瘤壁11の厚みが薄くなる傾向が確認される。
さらに、推定情報が変位の時間変化である別の一例について説明する。
図9Aは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n0、点m0及び点f0のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Bは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n1、点m1及び点f1のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Cは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n2、点m2及び点f2のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Dは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n3、点m3及び点f3のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Eは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n4、点m4及び点f4のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Fは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n5、点m5及び点f5のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Gは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n6、点m6及び点f6のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Hは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n7、点m7及び点f7のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Iは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n8、点m8及び点f8のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Jは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n9、点m9及び点f9のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Kは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n10、点m10及び点f10のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。図9Lは、症例1における近部n、中部m及び遠部fの点n11、点m11及び点f11のx軸、y軸及びz軸の変位の時間変化を示す図である。
図9A~図9Lにおいて、各軸は、x軸、y軸及びz軸の変位である。図9A~図9Lが示すように、近部n及び中部mの変位は、点n0~点n11及び点m0~点m11にかけて、大きく変化することはない。一方で、遠部fの変位は、図9Fが示すように、点f5において、特に大きく変化する。より具体的には、点f5において、指標の1つである変位の最大値と最小値との差が大きくなっている。そのため、図9Fにおいては、点f5が描く曲線は、大きく空間に広がっていることが確認される。すなわち、遠部fにおいて、特に点f5の付近の瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
さらに、推定情報が変位の時間変化である別の一例について説明する。
図10Aは、症例1における遠部fの点f0のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Bは、症例1における遠部fの点f1のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Cは、症例1における遠部fの点f2のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Dは、症例1における遠部fの点f3のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Eは、症例1における遠部fの点f4のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Fは、症例1における遠部fの点f5のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Gは、症例1における遠部fの点f6のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Hは、症例1における遠部fの点f7のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Iは、症例1における遠部fの点f8のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Jは、症例1における遠部fの点f9のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Kは、症例1における遠部fの点f10のxy平面の変位の時間変化を示す図である。図10Lは、症例1における遠部fの点f11のxy平面の変位の時間変化を示す図である。
図10A~図10Lにおいて、横軸は、y軸の変位であり、縦軸は、x軸の変位である。図10A~図10Lが示すように、遠部fの変位は、点f5(図10Fに相当)において、特に大きい。より具体的には、点f5において、指標の1つである変位の最大値と最小値との差が大きくなっている。そのため、図10Fにおいては、点f5が描く曲線は、大きくxy平面に広がっていることが確認される。すなわち、遠部fにおいて、特に点f5の付近の瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
続いて、推定情報が速度の時間変化である一例について説明する。
図11Aは、症例1における近部nの点n1のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。図11Bは、症例1における近部nの点n10のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。図12Aは、症例1における中部mの点m1のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。図12Bは、症例1における中部mの点m10のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。図13Aは、症例1における遠部fの点f5のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。図13Bは、症例1における遠部fの点f10のz軸方向の速度の時間変化を示す図である。
図11A~図13Bにおいて、横軸は、時間に関する単位であるステップであり、縦軸は、z軸方向の速度である。速度は、挙動情報より得られた位置を時間微分することで算出される値である。
推定情報が速度の時間変化である場合、例えば、速度の、最大値、絶対値の最大値、最大値と最小値との差、積分値又は絶対値の積分値などの指標により、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。これらの指標が用いられる場合は、当該指標の値が大きいほど、0時~11時方向の点は、原点から大きく動くため、脈動により伸び易く、0時~11時方向の点に対応する瘤壁11が薄いと推定される。また、推定情報が速度の時間変化である場合、指標として、例えば、速度のピーク数が用いられてもよい。なお、ピークとは、上向きの凸及び下向きの凸を含むピークである。この指標が用いられる場合は、当該指標の値が大きいほど、x軸、y軸又はz軸において、0時~11時方向の点の動く方向が反転する回数が多いため、脈動により伸び易く、0時~11時方向の点に対応する瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
ここで、図11Aと図11Bとを用いて近部nにおける点n1と点n10とを比較する。図11Aが示す点n1における速度の最大値と最小値との差は、図11Bが示す点n10における速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点n1は、点n10に比べ、原点から大きく動くため、脈動により伸び易く、点n1の付近の瘤壁11の厚みは、点n10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
さらに、図12Aと図12Bとを用いて中部mにおける点m1と点m10とを比較し、図13Aと図13Bとを用いて遠部fにおける点f5と点f10とを比較する。点m1における速度の最大値と最小値との差は、点m10における速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点m1の付近の瘤壁11の厚みは、点m10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。同様に、点f5おける速度の最大値と最小値との差は、点f10における速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点f5の付近の瘤壁11の厚みは、点f10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
また、推定情報が加速度の時間変化である一例について説明する。
図14Aは、症例1における近部nの点n1のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。図14Bは、症例1における近部nの点n10のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。図15Aは、症例1における中部mの点m1のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。図15Bは、症例1における中部mの点m10のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。図16Aは、症例1における遠部fの点f5のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。図16Bは、症例1における遠部fの点f10のz軸方向の加速度の時間変化を示す図である。
図14A~図16Bにおいて、横軸は、時間に関する単位であるステップであり、縦軸は、z軸方向の加速度である。加速度は、上記速度を時間微分することで算出される値である。
推定情報が加速度の時間変化である場合、例えば、推定情報が速度の時間変化である場合と、同じ指標により、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。具体的には、加速度の、最大値、絶対値の最大値、最大値と最小値との差、積分値、絶対値の積分値又はピーク数などの指標により、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。また、推定情報が速度の時間変化である場合と同様に、推定情報が加速度の時間変化である場合においても、これらの指標値が大きいほど、脈動により伸び易く、瘤壁11が薄いと推定される。
ここで、図14Aと図14Bとを用いて近部nにおける点n1と点n10とを比較する。図14Aが示す点n1における加速度の最大値と最小値との差は、図14Bが示す点n10における加速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点n1は、点n10に比べ、原点から大きく動くため、脈動により伸び易く、点n1の付近の瘤壁11の厚みは、点n10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
さらに、図15Aと図15Bとを用いて中部mにおける点m1と点m10とを比較し、図16Aと図16Bとを用いて遠部fにおける点f5と点f10とを比較する。点m1における加速度の最大値と最小値との差は、点m10における加速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点m1の付近の瘤壁11の厚みは、点m10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。同様に、点f5おける加速度の最大値と最小値との差は、点f10における加速度の最大値と最小値との差に比べ、大きい。よって、点f5の付近の瘤壁11の厚みは、点f10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
また、図11A~図16Bおいては、一例として、z軸を用いて説明したが、推定情報が速度の時間変化又は加速度の時間変化である場合には、x軸及びy軸においても、z軸と同様の瘤壁11の厚み傾向が確認される。
さらに、推定情報が運動エネルギーの時間変化である一例について説明する。
図17Aは、症例1における近部nの点n1の運動エネルギーの時間変化を示す図である。図17Bは、症例1における近部nの点n10の運動エネルギーの時間変化を示す図である。図18Aは、症例1における中部mの点m1の運動エネルギーの時間変化を示す図である。図18Bは、症例1における中部mの点m10の運動エネルギーの時間変化を示す図である。図19Aは、症例1における遠部fの点f5の運動エネルギーの時間変化を示す図である。図19Bは、症例1における遠部fの点f10の運動エネルギーの時間変化を示す図である。
図17A~図19Bにおいて、横軸は、時間に関する単位であるステップであり、縦軸は、運動エネルギーである。運動エネルギーは、速度の2乗に基づいて算出される値である。運動エネルギーを算出するための速度は、x軸、y軸及びz軸方向の速度の合成速度が用いられてもよい。
推定情報が運動エネルギーの時間変化である場合、例えば、以下の指標により、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。具体的には、運動エネルギーの、最大値、積分値又はピーク数などの指標により、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。また、推定情報が速度の時間変化である場合と同様に、推定情報が運動エネルギーの時間変化である場合においても、これらの指標値が大きいほど、脈動により伸び易く、瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
ここで、図17Aと図17Bとを用いて近部nにおける点n1と点n10とを比較する。図17Aが示す点n1における運動エネルギーの最大値は、図17Bが示す点n10における運動エネルギーの最大値に比べ、大きい。よって、点n1は、点n10に比べ、原点から大きく動くため、脈動により伸び易く、点n1の付近の瘤壁11の厚みは、点n10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
さらに、図18Aと図18Bとを用いて中部mにおける点m1と点m10とを比較し、図19Aと図19Bとを用いて遠部fにおける点f5と点f10とを比較する。点m1における運動エネルギーの最大値は、点m10における運動エネルギーの最大値に比べ、大きい。よって、点m1の付近の瘤壁11の厚みは、点m10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。同様に、点f5おける運動エネルギーの最大値は、点f10における運動エネルギーの最大値に比べ、大きい。よって、点f5の付近の瘤壁11の厚みは、点f10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
また、図17A~図19Bを用いて、近部nと中部mと遠部fとを比較する。ここでは、指標として、例えば、図17A~図19Bから得られる運動エネルギーの積分値を用いることで、瘤壁11の厚みが推定される。例えば、近部nの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値は、点n1及び点n10のそれぞれの運動エネルギーの積分値の合計値である。中部mの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値は、点m1及び点m10のそれぞれの運動エネルギーの積分値の合計値である。遠部fの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値は、点f5及び点f10のそれぞれの運動エネルギーの積分値の合計値である。図17A~図19Bが示すように、近部nの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値、中部mの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値、遠部fの瘤壁11の運動エネルギーの積分値の合計値の順に、合計値が大きくなる。よって、近部nから遠部fに向けて、瘤壁11の厚みが薄くなっていると推定される。
また、瘤壁11の厚みが推定される他の方法として、以下のような処理が行われてもよい。近部n、中部m及び遠部fのそれぞれの0時~11時方向の点の付近の瘤壁11の運動エネルギーの積分値について、近部n、中部m及び遠部fごとに合計値を算出し、算出されたそれぞれの合計値を比較することで、瘤壁11の厚みが推定されてもよい。
また、推定情報が変位と加速度とから得られるばね定数である一例について説明する。脳動脈瘤10は、心臓の脈動に合わせて振幅運動を行うため、ばね運動をするとみなすことができる。
図20Aは、症例1における遠部fの点f5のz軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。図20Bは、症例1における遠部fの点f10のz軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。図21Aは、症例1における遠部fの点f5のx軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。図21Bは、症例1における遠部fの点f10のx軸方向の加速度と所定の始点からの変位とを示す図である。また、所定の始点は、予め決定しておくことができる。
ここで、力をF[単位:mN]、質量をm[kg]、加速度をa[単位:mm/s2]とすると、運動方程式は、式(1)により表される。さらに、ばね定数をk[単位:N/mm]、変位をu[単位:mm]とし、α、β及びγを定数とすると、フックの法則に基づく式は、変位uが3次の関数の場合、式(2)により表される。
Figure 0007152077000001
Figure 0007152077000002
力Fは、式(1)及び式(2)において等しいため、式(3)が導出される。
Figure 0007152077000003
よって、加速度aは、変位uに依存する関数である。変位uは、x軸、y軸及びz軸方向の変位のうちの1つである。
ここで、本実施の形態においては、発明者の検討から、以下のことが明らかになっている。発明者は、母血管20から脳動脈瘤10が延びる方向(x軸方向)には、加速度aは、変位uが3次の関数に相当し、母血管20から脳動脈瘤10が延びる方向と直交する平面(yz平面)には、加速度aは、変位uが1次の関数に相当することを明らかにしている。このとき、変位uが3次の関数の係数は、-k/mであり、変位uが1次の関数の係数は、-k(αβ+βγ+γα)/mである。
従って、図20A及び図20Bに示されるyz平面に関する図においては、加速度aは、変位zが1次の関数に相当する。例えば、加速度aが最大になる点と加速度aが最小になる点とを結ぶ直線の傾きが、-k(αβ+βγ+γα)/mに相当する。直線の傾きが小さいほど、すなわち、ばね定数が小さいほど、0時~11時方向の点は、原点から大きく動き、脈動によって与えられる力によって伸び易く、0時~11時方向の点に対応する瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
よって、図20Aに示される点f5においては、図20Bに示される点f10に比べ、直線の傾きが小さため、点f5の付近の瘤壁11の厚みは、点f10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
なお、変位uが最大になる点と変位uが最小になる点とを結ぶ直線の傾きが用いられてもよい。すなわち、この場合は、変位xが最大になる点と変位xが最小になる点とを結ぶ直線の傾きが用いられてもよい。
さらに、図21A及び図22Bに示されるx軸方向に関する図においては、加速度aは、変位xが3次の関数に相当する。上述のように、変位xが3次の関数の係数は、-k/mであり、ばね定数が小さいほど、0時~11時方向の点は、原点から大きく動き、脈動によって与えられる力によって伸び易く、0時~11時方向の点に対応する瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
図21A及び図21Bにおいては、変位と加速度との値に高い相関性は見られないが、本実施の形態に係る技術の向上により、より相関性の高い変位と加速度とが得られることが期待される。
続いて、推定情報が変位の時間変化から得られるフーリエ係数である一例について説明する。
なお上述の通り、ここでは、本実施の形態の例として、症例2及び3を用いて説明する。
図22Aは、症例2における遠部fの点f0~点f11の変位の時間変化から得られるフーリエ係数が示される図である。図22Bは、症例3における遠部fの点f0~点f11の変位の時間変化から得られるフーリエ係数が示される図である。
図22A及び図22Bにおいて、横軸は、複数の所定の点である点f0~点f11であり、縦軸は、遠部fの点f0~点f11の変位の時間変化がフーリエ展開されたときのフーリエ係数の値である。また、ここでは、遠部fの点f0~点f11の変位の時間変化は、第10次項まで展開され、図22A及び図22Bには、第1次項~第10次項に対応する線が示されている。
推定情報が変位の時間変化から得られるフーリエ係数である場合、指標として、例えば、フーリエ係数の最大値、又は、フーリエ係数の最大値と最小値との差が用いられる。フーリエ係数の最大値が大きいほど、対応する周波数の振幅が大きいことが示されており、脈動により伸び易く、瘤壁11の厚みが薄いと推定される。
このとき、フーリエ係数の最大値とは、例えば、点f0~点f11における第1次項~第10次項のフーリエ係数の変位のうちの最大値である。例えば、症例2においては、図22Aの第2次項が示すように、フーリエ係数の最大値は、およそ3×1018であり、症例3においては、図22Bの第2次項が示すように、フーリエ係数の最大値は、およそ4×1018である。すなわち、症例3は、症例2に比べ、脳動脈瘤10の遠部fの瘤壁11厚みが薄いと推定される。
また、図22A及び図22Bにおいては、一例として、遠部fを用いて説明したが、近部n及び中部mにおいても、遠部fと同様に、症例3は、症例2に比べ、脳動脈瘤10の遠部fの瘤壁11厚みが薄くなる傾向が確認される。
以上のように、症例1においては、近部nから遠部fに向けて、瘤壁11の厚みが薄くなっていると推定される。また、症例1において、点n1の付近の瘤壁11の厚みは、点n10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄く、点m1の付近の瘤壁11の厚みは、点m10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄く、点f5の付近の瘤壁11の厚みは、点f10の付近の瘤壁11の厚みよりも薄いと推定される。
また、症例2と症例3とにおいては、症例3は、症例2に比べ、脳動脈瘤10の瘤壁11厚みが薄いと推定される。
ここで、症例1、2及び3において、開頭手術により明らかになった瘤壁11の厚みについて記す。開頭手術では、瘤壁11の厚みが薄い箇所は、赤色を呈し、瘤壁11の厚みが厚い箇所は、白色を呈することから、瘤壁11の厚みが推定される。開頭手術により明らかになった症例1、2及び3における瘤壁11の厚みは、本実施の形態に係る血管壁厚み推定方法を用いて推定された瘤壁11の厚みと、同様の傾向が確認された。
以上のように、本実施の形態に係る血管壁厚み推定方法を用いることで、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成することができる。推定情報に基づいて推定された血管壁の厚みは、開頭手術により得られた血管壁の血管壁の厚みと、同様の傾向を示した。つまり、血管壁における複数の所定の点の付近の壁厚さについて、精度の高い情報を生成することができる。本実施の形態においては、例えば、脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みが推定される。
[効果など]
以上説明したように、血管壁厚み推定方法は、4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、血管壁における複数の任意の点の位置及び動画像における時間に関する情報である挙動情報を取得する取得工程S101を含む。さらに、血管壁厚み推定方法は、取得工程S101により取得された挙動情報に基いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成工程S102と、生成工程S102により生成された推定情報を出力する出力工程S103とを含む。推定情報は、位置の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、位置と加速度とから得られるばね定数、又は、位置の時間変化から得られるフーリエ係数、のうちから選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である。
また、本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、上記記載の血管壁厚み推定方法をコンピュータに実行させる。
これにより、血管壁厚み推定方法においては、血管壁を含む動画像が、CT装置又はMRI装置と、4次元血管撮影法とを用いて生成される。例えば、開頭手術などの手法と比較すると、低侵襲な手法によって、血管壁を含む動画像が得られる。血管壁厚み推定方法は、当該動画像に関する挙動情報を利用して、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成することができる。推定情報に基づいて推定された血管壁の厚みは、開頭手術により得られた血管壁の血管壁の厚みと、同様の傾向を示した。つまり、血管壁厚み推定方法は、血管壁における複数の所定の点の付近の壁厚さについて、精度の高い情報を生成することができる。本実施の形態においては、例えば、脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みが推定される。このような情報は、例えば、破裂しやすい脳動脈瘤と、破裂し難い脳動脈瘤とを分別し、治療要否を適切に判断するための有益な情報である。
つまり、本実施の形態に係る血管壁厚み推定方法は、低侵襲な手法により血管壁に関する高精度な情報を生成することで、血管の疾患に対して具体的な処置を施すための有益な情報を提案することができる。
また、血管壁厚み推定方法においては、速度は、位置の時間微分により得られる値であって、運動エネルギーは、速度の2乗に基づいて算出される。
これにより、血管壁厚み推定方法を用いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報の1つである運動エネルギーを算出することができる。
また、血管壁厚み推定方法においては、血管壁の厚みは、動脈瘤における血管壁の厚みである。
また、血管壁厚み推定方法においては、血管壁の厚みは、脳動脈瘤における血管壁の厚みである。
また、血管壁厚み推定方法においては、血管壁の厚みは、動脈における血管壁の厚みである。
これにより、血管壁厚み推定方法は、血管壁の厚みとして、動脈瘤、脳動脈瘤又は動脈の厚みを推定することができる。
また、血管壁厚み推定装置100は、4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する取得部110を備える。さらに、血管壁厚み推定装置100は、取得部110により取得された挙動情報に基いて、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成部120と、生成部120により生成された推定情報を出力する出力部130とを備える。推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、変位と加速度とから得られるばね定数、及び、変位の時間変化から得られるフーリエ係数の内から選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である。
これにより、血管壁厚み推定装置100においては、血管壁を含む動画像が、CT装置又はMRI装置と、4次元血管撮影法とを用いて生成される。例えば、開頭手術などの手法と比較すると、低侵襲な手法によって、血管壁を含む動画像が得られる。血管壁厚み推定方法は、当該動画像に関する挙動情報を利用して、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成することができる。推定情報に基づいて推定された血管壁の厚みは、開頭手術により得られた血管壁の血管壁の厚みと、同様の傾向を示した。つまり、血管壁厚み推定装置100は、血管壁における複数の所定の点の付近の壁厚さについて、精度の高い情報を生成することができる。本実施の形態においては、例えば、脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みが推定される。このような情報は、例えば、破裂しやすい脳動脈瘤と、破裂し難い脳動脈瘤とを分別し、治療要否を適切に判断するための有益な情報である。
つまり、本実施の形態に係る血管壁厚み推定装置100は、低侵襲な手法により血管壁に関する高精度な情報を生成することで、血管の疾患に対して具体的な処置を施すための有益な情報を提案することができる。
また、血管壁厚み推定システム1000は、上記記載の血管壁厚み推定装置100と、動画像を取得し、挙動情報を生成する動画像情報処理装置300と、出力部130が出力した推定情報を表示する表示装置200とを備える。
これにより、血管壁厚み推定システム1000においては、血管壁を含む動画像が、CT装置又はMRI装置と、4次元血管撮影法とを用いて生成される。例えば、開頭手術などの手法と比較すると、低侵襲な手法によって、血管壁を含む動画像が得られる。血管壁厚み推定方法は、当該動画像に関する挙動情報を利用して、血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成することができる。推定情報に基づいて推定された血管壁の厚みは、開頭手術により得られた血管壁の血管壁の厚みと、同様の傾向を示した。つまり、血管壁厚み推定システム1000は、血管壁における複数の所定の点の付近の壁厚さについて、精度の高い情報を生成することができる。本実施の形態においては、例えば、脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みが推定される。このような情報は、例えば、破裂しやすい脳動脈瘤と、破裂し難い脳動脈瘤とを分別し、治療要否を適切に判断するための有益な情報である。
つまり、本実施の形態に係る血管壁厚み推定システム1000は、低侵襲な手法により血管壁に関する高精度な情報を生成することで、血管の疾患に対して具体的な処置を施すための有益な情報を提案することができる。
さらに、推定情報が可視化されて表示されることで、例えば、医師などは、血管壁の厚みについての精度の高い情報を得ることができる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る血管壁厚み推定方法等について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態においては、実際の症例と4次元血管撮影法とを用いることで、挙動情報が得られる方法が示された。しかしながら、挙動情報が得られる方法はこれに限らない。例えば、以下に示す2つのその他の例の方法により挙動情報が得られてもよい。
その他の例1の方法においては、人工的に作られた人工瘤と、人工瘤に接続された人工心臓と、撮像装置とが用いられることで、挙動情報が得られる。
人工瘤は、人工的な血管と人工的な瘤とを有する。人工的な血管と人工的な瘤とは、ヒトの血管とヒトの血管に発生した瘤とを模して作られる。人工瘤は、例えば、ゴム材料によって構成されてもよく、シリコンゴム、フッ素ゴムなどを利用することができる。また、人工瘤は、例えば、シリコン樹脂によって構成されてもよい。人工瘤は、可撓性のある材料によって構成されれば、上記に限られるものではない。
人工瘤は、上記記載のCT又はMRIにより得られた画像データを利用して作られる。この画像データには、ヒトの血管と、当該血管に発生した瘤とのデータが含まれる。人工瘤は、上記得られた画像データに関するDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)データを基にして、作られる。
人工心臓は、ヒトの心臓がもつポンプ機能を代行する装置である。この人工心臓と人工瘤とが接続され、人工心臓がもつポンプ機能を稼働させることで、人工瘤が脈動するように動く。この人工瘤の動きと撮像装置とを用いて、挙動情報が得られる。
撮像装置は、例えば、静止画及び動画を撮像可能なカメラ装置である。さらに、撮像装置は、観察対象の表面の3次元座標を得ることができる装置であってもよい。このような撮像装置を用いることで、観察対象の表面の3次元空間での変位又は速度が得られる。このような撮像装置は、1秒、5秒又は10秒撮像することで、観察対象の表面の3次元座標を得ることができる。
以上のように、その他の例1の方法においては、撮像装置が、脈動する人工瘤を撮像することで、人工瘤の表面の3次元座標、3次元空間での変位又は3次元空間での速度が得られる。これらを基に、挙動情報が得られてもよい。
その他の例1の方法においては、上記記載の開頭手術と比べ、低侵襲な手法であるため、より容易に挙動情報を得ることができる。
また、その他の例2の方法においては、血管に瘤が発生しているモデル動物と、上記の撮像装置とが用いられることで、挙動情報が得られる。
具体的には、撮像装置が、モデル動物の血管と瘤とを撮像することで、モデル動物の血管と瘤との表面の3次元座標、3次元空間での変位又は3次元空間での速度が得られる。これらを基に、挙動情報が得られてもよい。
その他の例2の方法においては、実施の形態で示したヒトの症例の場合と異なり、症例の対象となるヒトの同意書などが必要ではない。また、モデル動物の血管と瘤との表面に、撮像に必要な模様付け(例えば、スプレーの吹き付けによるマーキング)が出来るため、精緻な3次元座標の時間発展データが取得される。さらに、モデル動物の血管と瘤のデータを時間等間隔(2週間に1度など)で取得することができる。よって、実施の形態に比べ、より容易に挙動情報を得ることができる。
上記の方法を用いることで、容易に数多くの挙動情報が得られるようになり、その結果、多数の推定情報が得られるようになる。これにより、血管壁に関する情報の精度の向上が見込まれる。
実施の形態で示した推定情報は、複数を組み合わせて用いられてもよい。例えば、変位の時間変化と運動エネルギーの時間変化とを組み合わせて、血管壁の厚みが推定されてもよい。
また、同様に、指標は、複数を組み合わせて用いられてもよい。例えば、推定情報が速度の時間変化である場合、速度の最大値と、速度の絶対値の積分値とを組み合わせて、血管壁の厚みが推定されてもよい。
また、出力部130は、推定結果として、上記のように推定された厚みを出力してもよい。
実施の形態では、血管壁の厚みが脳動脈瘤10の瘤壁11の厚みである場合を示したが、上述のように、動脈又は静脈を含む血管の壁の厚みであってもよい。例えば、血管壁が動脈又は静脈を含む血管の厚みである場合、実施の形態に係る血管壁厚み推定方法などを用いることで、当該動脈又は静脈の狭窄の程度が推定される。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本開示に係る血管壁厚み推定方法は、医療機器、医療方法などの様々な用途に利用可能である。
10 脳動脈瘤
11 瘤壁
20 母血管
100 血管壁厚み推定装置
110 取得部
120 生成部
130 出力部
200 表示装置
300 動画像情報処理装置
400 動画像撮影装置
1000 血管壁厚み推定システム
f 遠部
m 中部
n 近部
nmax 最大値
nmin 最小値
n0、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9、n10、n11、m0、m1、m2、m3、m4、m5、m6、m7、m8、m9、m10、m11、f0、f1、f2、f3、f4、f5、f6、f7、f8、f9、f10、f11 点
P 被験者
S101 取得工程
S102 生成工程
S103 出力工程

Claims (8)

  1. 4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、前記血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する取得工程と、
    前記取得工程により取得された前記挙動情報に基いて、前記血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成工程と、
    前記生成工程により生成された前記推定情報を出力する出力工程とを含み、
    前記推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、前記変位と前記加速度とから得られるばね定数、及び、前記変位の時間変化から得られるフーリエ係数、のうちから選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である
    血管壁厚み推定方法。
  2. 前記速度は、前記位置の時間微分により得られる値であって、
    前記運動エネルギーは、前記速度の2乗に基づいて算出される
    請求項1に記載の血管壁厚み推定方法。
  3. 前記血管壁の厚みは、動脈瘤における血管壁の厚みである
    請求項1又は2に記載の血管壁厚み推定方法。
  4. 前記血管壁の厚みは、脳動脈瘤における血管壁の厚みである
    請求項1から3のいずれか1項に記載の血管壁厚み推定方法。
  5. 前記血管壁の厚みは、動脈における血管壁の厚みである
    請求項1又は2に記載の血管壁厚み推定方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の血管壁厚み推定方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
  7. 4次元血管撮影法を用いて得られた血管壁を含む動画像に基づいた、前記血管壁における複数の所定の点の位置の時間変化に関する数値情報である挙動情報を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された前記挙動情報に基いて、前記血管壁の厚みを推定するための推定情報を生成する生成部と、
    前記生成部により生成された前記推定情報を出力する出力部とを備え、
    前記推定情報は、変位の時間変化、速度の時間変化、加速度の時間変化、運動エネルギーの時間変化、前記変位と前記加速度とから得られるばね定数、及び、前記変位の時間変化から得られるフーリエ係数の内から選ばれる少なくとも1つが可視化された情報である
    血管壁厚み推定装置。
  8. 請求項7に記載の血管壁厚み推定装置と、
    前記動画像を取得し、前記挙動情報を生成する動画像情報処理装置と、
    前記出力部が出力した前記推定情報を表示する表示装置とを備える
    血管壁厚み推定システム。
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