JP7151537B2 - ネットワークコントローラ装置、ネットワーク制御システム、通信ネットワークの制御方法及びプログラム - Google Patents

ネットワークコントローラ装置、ネットワーク制御システム、通信ネットワークの制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は、ネットワークコントローラ装置、ネットワーク制御システム、通信ネットワークの制御方法及びプログラムに関する。
SD-WAN(Software Defined-Wide Area Network)は、WAN(Wide Area Network)における制御をソフトウェアで柔軟に行うための技術である(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1では、SD-WANの技術的な10の要件が示されている。なお、技術的な要件は定義されているが、具体的な実現手段は定義されていない。
技術的な要件の1つに「アクティブ・アクティブ構成でさまざまなWAN回線を制御可能であること」がある。この条件を満たすために、一般的に、SD-WANエンド端末(以降、エンド端末)において複数のWAN回線(以降、パス)を管理する構成が採用される。
図1は、エンド端末間のパス管理例を表す図である。図1では、2つのエンド端末101及び102間で複数のパス(パス#1とパス#2)を管理する。パス管理の実現手段としては、エンド端末101及び102間でパスごとにパケットを送受信することでパスの通信品質(遅延時間、ジッタ値、パケット損失数)を把握し、どのパスでどのトラヒックをどれくらい転送するかを決定する制御方法がある。例えば、エンド端末101及び102は、パス#1においてパケット損失数の増加を計測したとき、パス#1からパス#2に通信の全部もしくは一部を切り替えることで、エンド端末101及び102間の通信品質を維持する、といった制御を行う。また、SD-WANコントローラ300がエンド端末101およびエンド端末102の制御を行う。SD-WANコントローラ300は、エンド端末101とエンド端末102を保有するユーザによって管理される。
また、技術的な要件の1つに「可用性・柔軟性の高いハイブリッドなWANを構成できること」がある。この条件を満たすために、一般的に、各パスを通信ネットワーク上の異なる経路に割り当てる構成が採用される。
図2は、SD-WANのエンド端末間の経路を表す図である。図2では、通信ネットワーク51と通信ネットワーク52のそれぞれを通る経路#1と経路#2が存在する。エンド端末101及び102間で管理されるパス#1とパス#2はそれぞれ経路#1と経路#2に割り当てられる。例えば、エンド端末101及び102は、通信ネットワーク51の経路#1上で故障による通信切断が発生したと推測すると、パス#1からパス#2に通信を切り替えることで、エンド端末101及び102間の通信品質を維持する、という制御を行う。
ここで、エンド端末101及び102は、パス単位でのみ管理を行い、パスが割り当てられる経路レベルの管理を行わない。エンド端末は、パス上で輻輳が発生したことをエンド端末101及び102間のパケット送受信の計測により推測が可能である。一方、エンド端末101及び102は、そのパスが割り当てられた経路のどの装置において輻輳が発生したのかなどの通信ネットワーク内部の詳細な情報を把握することはできない。また、パスが割り当てられていない経路の状態を推測することはできない。
またエンド端末間の通信ネットワークの状態は動的に変化する。通信ネットワークの状態が変動することで、パスが割り当てられた経路では通信品質を維持できなくなる可能性がある。
図3を用いて、通信ネットワークの状態の変動に伴って通信品質が維持できなくなることにおける課題を説明する。図3は、複数のエンド端末(エンド端末101、エンド端末102、エンド端末201、エンド端末202)間で通信する際のパスと経路と通信ネットワークを表している。エンド端末101とエンド端末102は第1のユーザ、エンド端末201とエンド端末202は第2のユーザによって利用されている。エンド端末101及び102間の通信ネットワーク51及び52は、エッジ装置と中継装置を備える。エッジ装置は、エンド端末を通信ネットワークに収容する役割を果たし、中継装置は、エッジ装置間のトラヒックを転送する役割を果たす。通信ネットワーク51においては、エッジ装置11とエッジ装置12の間で経路1001が存在する。通信ネットワーク52においては、エッジ装置21とエッジ装置22の間で経路2001と経路2002が存在し、エッジ装置17とエッジ装置18の間で経路2003が存在する。初期の状態では、エンド端末101~エンド端末102間のパス10001は経路1001に、パス10002は経路2002に割り当てられ、エンド端末201~エンド端末202間のパス20001は経路2003に割り当てられる。
ここで、エンド端末201~エンド端末202間のパス20001においてトラヒックが増加したとする。パス20001が割り当てられた経路2003において輻輳が発生する可能性がある。経路2003上のエッジ装置17とエッジ装置18間で輻輳が発生したとすると、エッジ装置17とエッジ装置18を経由する経路2002上のパス10002の通信品質が低下する。
通常のSD-WANのエンド端末の動作では、エンド端末101とエンド端末102は、パス10002上のエンド端末101~エンド端末102間のパケット送受信による計測結果から、パス10002の通信品質の低下を検知し、パス10002からパス10001に通信の全部もしくは一部を切り替えることで、エンド端末間の通信品質を維持する。しかし、経路2002の輻輳が定常化し状態が回復せず、パス10001が割り当てられた経路1001上でも輻輳や故障が起きた場合、エンド端末における管理だけでは対処できない、という問題がある。そこで、通信ネットワーク側で、通信ネットワークの状態の変動に応じてパスの経路割り当てを変更する対策が考えられる。
図4を用いて、通信ネットワークの状態が変動した際の変更例について説明する。パス10002が経路2002に割り当てられているが、前述のように、経路2002の輻輳が定常化し状態が回復せず、パス10001が割り当てられた経路1001上でも輻輳が起きている場合、パス10002は経路2002ではなく経路2001に割り当てを変更したほうが良い可能性がある。
一方、通信ネットワークにおける帯域管理の観点において、設定を頻繁に変更することは好ましくない。経路割り当てを変更する度に、変更先の経路にすでに割り当てられているパスの通信品質に影響を与え、通信品質が安定しない問題があるからである。そこで、通信ネットワークの状態の変動に応じたパスの経路割り当て変更制御の際に、頻繁な変更が生じないように、変更するべきかどうかを判断することが望ましい。
https://www.onug.net/app/uploads/2015/05/ONUG-SD-WAN-WG-Whitepaper_Final1.pdf
したがって、本開示では、通信ネットワークの状態が変動する場合であっても、エンド端末間のパスごとに通信品質を保証する経路を効率的に割り当て可能にすることを目的とする。
本開示は、エンド端末をそれぞれ収容する複数のエッジ装置と、エッジ装置間のデータを転送する複数の中継装置と、ネットワークコントローラとを備え、
複数のパスを用いることにより所望の通信品質を満たすエンド端末間のデータ通信を行うネットワークにおけるネットワークコントローラであって、
パスごとの通信状態のログ情報を収集し、
ログ情報に基づいて、通信品質の劣化したパスの有無を判断し、
劣化したパスがある場合に、ログ情報に基づいて、当該パスを利用するエンド端末が利用可能な全てのパスを用いることでエンド端末間の通信品質が保証可能か否かを判断し、
保証可能でなければ、当該パスの変更先として他のエンド端末の通信品質に影響を与えることなく所望の通信品質を満たすことが可能な新たな経路を算出し、
算出した経路の情報を当該パスの転送処理を行う各装置に送信する。
具体的には、本開示に係るネットワークコントローラ装置は、
複数のパスを用いてエンド端末間のデータ通信を行う通信ネットワークに接続されたネットワークコントローラ装置であって、
前記通信ネットワークから収集されたパスごとの通信状態のログ情報を格納するネットワーク状態データベースと、
前記ログ情報に基づいて通信品質の劣化したパスの有無を判断し、劣化したパスがある場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末が利用可能な他のパスのうちの他のエンド端末が利用していない追加のパスを用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であるか否かを判断する更新判断部と、
前記更新判断部が保証可能であると判断した場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記追加のパスを前記通信ネットワークに設定する装置通信部と、
を備える。
本開示に係るネットワークコントローラ装置では、前記更新判断部は、前記追加のパスのトラヒック流量の合計値を算出し、前記劣化したパスを利用するエンド端末間のトラヒック流量が前記合計値よりも小さい場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であると判断してもよい。
本開示に係るネットワークコントローラ装置では、
前記更新判断部が保証可能でないと判断した場合、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出する経路算出部をさらに備え、
前記装置通信部は、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記経路算出部の算出した新たなパスを前記通信ネットワークに設定してもよい。
前記経路算出部は、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路のうち、他のエンド端末の通信品質への影響の少ない経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出してもよい。
本開示に係るネットワーク制御システムは、
本開示に係るネットワークコントローラ装置と、
前記ネットワークコントローラ装置に接続された通信ネットワークと、
を備え、
前記通信ネットワークは、
前記エンド端末をそれぞれ収容する複数のエッジ装置と、
前記エッジ装置間のデータを転送する複数の中継装置と、
を備え、
前記ネットワークコントローラ装置は、前記劣化したパスを利用するエンド端末を収容するエッジ装置に対し、前記新たなパスに切り替える旨を通知し、
前記複数のエッジ装置が、前記ネットワークコントローラ装置からの通知に従って、前記新たなパスに切り替える。
本開示に係る通信ネットワークの制御方法は、
複数のパスを用いてエンド端末間のデータ通信を行う通信ネットワークに接続されたネットワークコントローラが実行する通信ネットワークの制御方法であって、
前記ネットワークコントローラは、
パスごとの通信状態のログ情報を収集し、
前記ログ情報に基づいて、通信品質の劣化したパスの有無を判断し、
劣化したパスがある場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末が利用可能な他のパスのうちの他のエンド端末が利用していない追加のパスを用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であるか否かを判断し、
前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であると判断した場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記追加のパスを前記通信ネットワークに設定する。
本開示に係る通信ネットワークの制御方法では、
前記ネットワークコントローラは、
前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能でないと判断した場合、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出し、
前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記経路算出部の算出した新たなパスを前記通信ネットワークに設定してもよい。
本開示に係るプログラムは、本開示のネットワークコントローラ装置に備わる各機能部としてコンピュータを実行させるプログラムである。また本開示に係るプログラムは、本開示に係る通信ネットワークの制御方法に備わる各手順をコンピュータに実行させる。本開示に係るプログラムは、記録媒体に記録されていてもよく、ネットワークを通して提供することも可能である。
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
本開示によれば、ネットワークの状態が変動する場合であっても、エンド端末間のパスごとに通信品質を保証する経路を効率的に割り当てることができる。
SD-WANのエンド端末間のパス管理を表す図である。 SD-WANのエンド端末間の経路を表す図である。 SD-WANのエンド端末間のパスが各経路に割り当てられることを表す図である。 通信ネットワークの状態が変動した際の変更を表す図である。 本実施形態に係るネットワーク制御システムを表す図である。 ネットワークコントローラの実行する通信ネットワークの制御方法を表す図である。 通常の状態の例を表す図である。 ネットワークコントローラの実行する通信ネットワークの制御方法の実施形態例を表す図である。 可用帯域の説明図である。 ネットワーク状態DBの通常時の例を表す表である。 ネットワークコントローラの第2の構成例を表す図である。 通信ネットワークに変動が起きた状態の例を表す図である。 ネットワーク状態DBの変動時の例を表す表である。 新たな経路の算出例を表す図である。 パス及び経路DBの例を表す表である。
本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(本開示の概要)
ネットワークの状態の変動を把握し、エンド端末間のパスごとに経路の割り当てを最低限で変更することで、エンド端末間の通信品質を保証する手段を提案する。上記手段は、ネットワーク制御システムとネットワークコントローラを備える。
[ネットワーク制御システム]
本開示のネットワーク制御システムは、
複数のパスを用いることでユーザが要望する通信品質を満たすエンド端末間のデータ通信を行うための、エンド端末を収容するエッジ装置と、エッジ装置間でデータを転送する中継装置と、ネットワークを管理するネットワークコントローラと、を備える、ネットワークにおいて、
ネットワークコントローラが、
ネットワークからパスごとの通信状態のログを収集し、
収集した情報に基づいて通信品質が劣化しているパスがあるかどうかを判断し、
通信品質が劣化しているパスがあるのであれば、不要な経路割り当ての変更を防ぐために、収集した情報に基づいて、劣化しているパスを用いるユーザが管理する全てのパスを用いることでエンド端末間の通信品質が保証可能かを判断し、
保証可能でなければ、ネットワークの他のユーザの通信品質に影響を与えないように、かつ、そのユーザの要望を満たせるように、割り当てるべき新たな経路を算出し、
一方、保証可能であれば、劣化しているパスの経路割り当てを変更せず、その新たな経路の算出結果を、当該パスの転送処理を管理する装置に送信する、
という手順を実行するネットワーク制御システムである。
[ネットワークコントローラ]
本開示のネットワークコントローラ装置は、
複数のパスを用いることでユーザが要望する通信品質を満たすエンド端末間のデータ通信を行うための、エンド端末を収容するエッジ装置と、エッジ装置間でデータを転送する中継装置と、ネットワークを管理するネットワークコントローラと、を備える、ネットワークにおいて、
ネットワークの中継装置から通信状態のログを受信する機能を持つログ受信部と、
ログ受信部において受信したログ情報に基づいて、各リンク(中継装置間のリンクおよびエッジ装置~中継装置間のリンク)におけるパスごとの通信状態の時系列データを格納するネットワーク状態DBと、
ネットワーク状態DBと、各パスが割り当てられる経路の情報が格納されたパス及び経路情報DBとの情報に基づいて、通信品質が劣化しているパスがあるかを判断し、劣化しているパスがあれば、不要な経路割り当ての変更を防ぐために、劣化しているパスを用いるユーザが管理する全てのパスを用いることでエンド端末間の通信品質が保証不可であれば更新が必要であると判断する更新判断部と、
更新判断部において更新が必要であると判断したパスに対して、ネットワークの他のユーザの通信品質に影響を与えないように、かつ、そのユーザの要望を満たせるように、新たな経路を算出する経路算出部と、
経路算出部において算出された経路の情報に基づいて、パスが割り当てられる経路の情報を格納するパス及び経路情報DBと、
経路算出部において算出された経路の情報を、当該パスの転送処理を管理する装置に送信する装置通信部と、
を備えるネットワークコントローラ装置である。
図5は、本実施形態に係るシステム構成例を示す。本開示の通信ネットワークは、ネットワークコントローラ30とエッジ装置11、12、21、22と中継装置13,14,15,16,23,24,25,26を備える。本実施形態の通信ネットワークは、エンド端末101及び102が複数のネットワーク51及び52で接続されている。エンド端末101は、エッジ装置11を介してネットワーク51と接続され、エッジ装置21を介してネットワーク52と接続されている。エンド端末102は、エッジ装置12を介してネットワーク51と接続され、エッジ装置22を介してネットワーク52と接続されている。図5では、通信ネットワークの一例として、ネットワーク51が中継装置13,14,15,16で接続され、ネットワーク52が中継装置23,24,25,26で接続されている例を示す。
ネットワークコントローラ30は、1つのネットワークだけでなく複数のネットワーク51及び52の情報を収集し、制御できる。本実施形態は、異なるすべてのネットワーク51及び52の状態を把握し制御可能であるネットワークコントローラ30を設けることによって、ネットワーク51及び52間で連携して制御が可能になる。ネットワーク51及び52間で連携した制御により、制御によるユーザ通信への影響を最小限に留めつつ、エンド端末101及び102間で通信品質を保つことが可能になる。
ネットワークコントローラ30は、ネットワーク状態DB(Data Base)30DN、パス及び経路DB30DP、更新判断部30PA、経路算出部30PP、ログ受信部30CL、装置通信部30CAを備える。
図6はネットワークコントローラ30の動作の一例を表すフロー図である。ネットワークコントローラ30は、手順S101~S105を実行する。
ネットワークコントローラ30のログ受信部30CLが手順S101を実行する。手順S101では、ログ受信部30CLが、ネットワーク51及び52からパスごとの通信状態のログを収集する。ネットワーク状態DB30DNは、パスごとの通信状態のログを格納する。
次に、ネットワークコントローラ30の更新判断部30PAが手順S102と手順S103を実行する。手順S102では、更新判断部30PAが、ネットワーク状態DB30DNから取得したパスごとの通信状態から、各パスの通信品質が劣化しているかどうかを判断する。通信品質が劣化しているパスがある場合(S102においてYes)、更新判断部30PAは、当該パスの経路割り当てを更新すべきか否かを判定する(S103)。手順S102もしくは手順S103で条件に当てはまらなければ、手順S101を繰り返す。手順S103で条件に当てはまれば、手順S104に進む。
次に、ネットワークコントローラ30の経路算出部30PPが手順S104を実行する。手順S104では、経路算出部30PPが、当該パスの新たな経路を算出する。
次に、ネットワークコントローラ30の装置通信部30CAが手順S105を実行する。手順S105では、装置通信部30CAが、その経路情報をそのパスが経由する各エッジ装置11,12,21,22に送信する。
(本開示の効果)
本開示によれば、通信ネットワーク51及び52の状態の変動を把握し、エンド端末101及び102間のパスごとに経路の割り当てを効率的に変更することができる。このため、本開示は、ネットワークの状態が変動する場合であっても、エンド端末101及び102間の通信品質を保証する経路を効率的に割り当てる手段を持つネットワーク制御システム、および、ネットワークコントローラ30を提供することができる。
以下、図面を参照して本開示に係わる実施形態のネットワーク制御システム、および、ネットワークコントローラ30を説明する。なお、本開示のネットワーク制御システム、および、ネットワークコントローラ30は情報通信産業に適用することができる。
[通常時の動作例]
図7に、本実施形態に係るネットワーク制御システムおよびネットワークコントローラを用いたネットワークにおける通常時の動作例を表す図を示す。以降の通常時の実施形態の説明は図5及び図7を用いる。なお、ネットワークコントローラ30と各エッジ装置11、12、21、22は接続されているが、図7においては接続線を省略している。
[エンド端末の制御例]
まず、エンド端末101とエンド端末102における制御例を説明する。エンド端末101とエンド端末102は、パス10001とパス10002を管理する。各エンド端末はパス10001とパス10002それぞれにおいてパケットを送受信することで、パスの通信品質を把握する。パスの通信品質は、例えば遅延時間やジッタ値、パケット損失数が例示できる。各パスの通信品質に基づいて、各エンド端末はパス10001とパス10002それぞれで転送するトラヒック種別や流量を決定する。例えば、エンド端末101とエンド端末102は、パス10001におけるパケットの送受信結果の遅延時間がリアルタイム通信可能なほど短ければ、パス10002においてリアルタイム通信のプロトコル(例えばrtp(Real-time Transport Protocol)など)のパケットを転送し、それ以外のプロトコルをパス10001において転送するように制御する。なお、エンド端末は、SD-WANの技術的な要件を満たす任意の装置が用いられることを想定する。
[エッジ装置の制御例]
次に、エッジ装置11における制御例を説明する。エッジ装置11は、予めネットワークコントローラ30からパス10001が経路1001に割り当てられるという経路情報を受信し、その経路情報をパス及び経路DB11Dに格納している。エッジ装置11は、エンド端末101からユーザパケットを受信した場合、パス及び経路DB11Dから「パス10001は経路1001に割り当てる」という情報を取得し、経路1001に応じた出力ポート(中継装置13と接続されたポート)からユーザパケットを転送する。なお、他のエッジ装置12とエッジ装置21とエッジ装置22においても同様の転送制御を行う。
以下に、エッジ装置の転送制御の一例を示す。例えば、エッジ装置11がOpenFlowスイッチである場合、エッジ装置11は、ユーザパケットのヘッダ情報に従い、転送先を定めるフローエントリを追加する。例えば、ユーザパケットが、エンド端末101からの、すなわちパス10001のパケットである場合、中継装置13と接続されたポートに転送する、というフローエントリを追加する。なお、任意のエッジ装置が各パスに対して任意の出力ポートを決定できる例である限り、エッジ装置の転送制御は任意の実施手段を取りうる。
[中継装置の制御例]
次に、中継装置における制御例を説明する。中継装置13は、エッジ装置11からユーザパケットを受信し、そのユーザパケットのヘッダ情報に基づいて中継装置14へ転送する。なお、他の中継装置14~16と中継装置23~26においても同様の転送制御を行う。
以下に、中継装置の転送制御の一例を示す。例えば、中継装置13がIPルーティングを行う場合、宛先IPアドレス(エンド端末102のアドレス)に基づいて、ネクストホップを中継装置14であると決定する。また、例えば、中継装置13がOpenFlowスイッチである場合、中継装置13には宛先IPアドレスがエンド端末102のアドレスであれば、中継装置14に接続されたポートに転送する、というフローエントリを追加しておく。また、例えば、エッジ装置11とエッジ装置12がMPLS(Multi Protocol Label Switching)やVxLAN(Virtual eXtensible Local Area Network)を用いてユーザパケットをカプセリングしている場合、中継装置13はカプセリングヘッダの宛先IPアドレスがエッジ装置12であることから、ネクストホップを中継装置14であると決定する。なお、任意の中継装置がエッジ装置で設定された経路に沿って転送できる例である限り、中継装置の転送制御は任意の実施手段を取りうる。なお、中継装置は既存のルーティング機能を具備した装置が用いられることを想定する。
[ネットワークコントローラの制御例]
次に、図5を参照しながら、ネットワークコントローラ30における制御例を説明する。
図8にネットワークコントローラ30における手順の一例を示す。ネットワークコントローラ30は、以下に説明する手順S201~S205を実行する。なお、以降の説明において、物理帯域とは、各ポートの容量(ここでは、廃棄を生じさせることなく転送処理可能なトラヒックの量)を表し、固定値である。また、トラヒック流量とは、図8の手順S201にて計測した各ポートにおいて転送処理したトラヒックの量を表し、変動値である。また、可用帯域とは、物理帯域-トラヒック流量で求められ、各ポートにてあとどれくらいトラヒックを転送処理できるかを表し、変動値である。図9に、物理帯域、可用帯域及びトラヒック流量の関係を示す。
・手順S201(ログ収集)の具体例
手順S201は、ネットワークコントローラ30のログ受信部30CLが、全通信ネットワーク51及び52の各中継装置の全ポートからログデータを収集する手順である。本例では、ネットワークコントローラ30が、ログデータとしてリンク及びパスごとの廃棄数とトラヒック流量を収集して蓄積する。図10に収集例を示す。図10は表全体の一部であり、表全体では通信ネットワーク全体のログデータかつ時系列ごとのログデータを格納している。なお、同一の情報を格納できるのであれば、収集例以外の任意の格納形式を採用できる。収集したログデータは、ネットワーク状態DB30DNに格納される。
・手順S202(パス状態の判定)の具体例
手順S202は、ネットワークコントローラ30の更新判断部30PAが、ネットワーク状態DB30DNに収集されたログデータに基づいて、任意の中継装置間のリンクを通るパスの通信品質が低下したことを判断するための手順である。
第1の具体例:廃棄数を用いる例
更新判断部30PAは、ログデータとして収集したパスごとのパケット廃棄数に基づいて、予め設定したパスごとの廃棄数の上限値を超過することで、パスの通信品質が低下したと判断する。図10のようにログを収集しており、パス10001のパケット廃棄数の上限値を1000に定めているとする。パス10001の中継装置13と中継装置14の各ポートにおける廃棄数は50であるため、更新判断部30PAは、上限値を超過しておらず、パス10001の通信品質が劣化していないと判断する。このとき、ネットワークコントローラ30の制御は手順S201に進む。
第2の具体例:トラヒック流量を用いる例
更新判断部30PAは、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたパスごとの流量に基づいて、パスの通信品質が低下したと判断する。例えば、各ポートにおけるトラヒック流量の総量がそのポートの物理帯域を上回る場合、パケットが廃棄される可能性があるため、パスの通信品質が低下したと判断する。
図10のようにログが収集され、中継装置13と中継装置14の各ポートの物理帯域が10Gbpsに定められていたとする。中継装置13と中継装置14は中継装置13/ポート#2および中継装置14/ポート#1を介して接続されているとする。図10の中継装置13/ポート#2と中継装置14/ポート#1間を通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が3Gbpsであったとする。更新判断部30PAは、トラヒック流量は物理帯域を上回っておらずパス10001の通信品質が低下していないと判断する。このとき、ネットワークコントローラ30の制御は手順S201に進む。
なお、各パスの通信品質が低下したと判断できるのであれば、ネットワークコントローラ30の制御者がログデータを用いた任意の基準を更新判断部30PAに設けることが可能である。なお、図7ではエンド端末101~エンド端末102間の通信ネットワークは通信ネットワーク51と通信ネットワーク52の2つであるが、1つ以上複数の通信ネットワークを介することが可能である。なお、図7ではエンド端末101~エンド端末102間のパスはパス10001とパス10002の2つであるが、1つ以上複数のパスを設定することが可能である。
なお、図7ではエンド端末101とエンド端末102を利用するユーザが1つであるが、複数のユーザが利用し、複数のエンド端末を収容することが可能である。したがって、図3のように、各通信ネットワーク(通信ネットワーク51と通信ネットワーク52)は別のユーザにも使われているため、1ユーザの利用状況だけでなく複数ユーザの利用状況の変化により通信ネットワークの状態は動的に変化する。
なお、図7では、エッジ装置11~エッジ装置12間の経路は経路1001と経路1002の2つであるが、2つ以上複数の経路を設定することが可能である。他のエッジ装置間においても同様である。なお、図7では、経路1001は中継装置13と中継装置14の2つの中継装置を経由するが、1つ以上複数の中継装置を経由することが可能である。他の経路においても同様である。なお、図7では、ネットワークコントローラ30は通信ネットワーク51および通信ネットワーク52内の各エッジ装置ならびに中継装置の各ポートからパスごとの通信状態ログを収集しているが、スケール性の観点から通信ネットワークごとにネットワークコントローラを分離したネットワークコントローラ階層化構成も可能である。
図11に、本実施形態に係るネットワークコントローラ30の第2の構成例を示す。本開示の通信ネットワークは、通信ネットワーク51の経路を制御するネットワークコントローラ31と、ネットワーク52の経路を制御するネットワークコントローラ32と、ネットワークコントローラ31及び32を制御するネットワークコントローラ30を備える。
ネットワークコントローラ31は、ネットワーク状態DB31DN、制御部31PT、設定部31PFを備える。ネットワークコントローラ31は、通信ネットワーク51からのネットワーク状態ログを収集してネットワーク状態DB31DNに格納する。制御部31PTは、ネットワーク状態DB30DNに収集されたネットワーク状態ログ情報を用いて、各パスをネットワーク51内のどの経路に割り当てるかという制御内容を決定する。設定部31PFは、その制御内容をネットワーク51へ設定する。
ネットワークコントローラ32は、ネットワーク状態DB32DN、制御部32PT、設定部32PFを備える。ネットワークコントローラ32は、通信ネットワーク52からのネットワーク状態ログを収集してネットワーク状態DB32DNに格納する。制御部32PTは、ネットワーク状態DB30DNに収集されたネットワーク状態ログ情報を用いて、各パスをネットワーク52内のどの経路に割り当てるかという制御内容を決定する。設定部32PFは、その制御内容をネットワーク52へ設定する。
ログ受信部30CLは、ネットワークコントローラ31とネットワークコントローラ32からそれぞれの情報を収集し、ネットワーク状態DB30DNに格納する。そして、図5と同様に、通信ネットワーク51と通信ネットワーク52の状態を考慮して、パスごとの経路割り当て情報の更新内容を算出する。装置通信部30CAは、通信ネットワーク51の制御内容をネットワークコントローラ31に送信し、通信ネットワーク52の制御内容をネットワークコントローラ32に送信する。
設定部31PFは、装置通信部30CAから受信した制御内容に従って、ネットワーク51へ設定する。設定部32PFは、装置通信部30CAから受信した制御内容に従って、ネットワーク52へ設定する。
各通信ネットワーク51及び52における制御はネットワークコントローラ31とネットワークコントローラ32が個別に行い、本開示のような通信ネットワーク51及び52間でネットワーク状態を考慮した制御はネットワークコントローラ30が行うことが可能である。
[通信ネットワーク状態が変動したときの動作例]
図12は、本実施形態に係るネットワーク制御システムおよびネットワークコントローラ30を用いた通信ネットワークにおけるトラヒック変動したときの動作例である。中継装置25~中継装置26間でトラヒック流量が増加し、輻輳が起きたとする。以降のトラヒック変動したときの実施形態の説明は図12を用いる。なお、エンド端末101及び102間の通信品質(スループット、遅延時間等)に影響を与えるのであれば、トラヒック変動以外にも任意の通信ネットワークの状態の変化を想定できる。
まず、ネットワークコントローラ30における制御例を、図5及び図8を参照しながら説明する。なお手順S201の具体例は通常時と同様であるためここでは省略する。
・手順S202(パス状態の判定)の具体例
手順S202は、ネットワークコントローラ30の更新判断部30PAが、ネットワーク状態DB30DNに収集されたログデータに基づいて、任意の中継装置間のリンクを通るパスの通信品質が低下したことを判断するための手順である。なお、各パスの通信品質が低下したと判断できるのであれば、ネットワークコントローラ30の制御者がログデータを用いた任意のパス状態判定の基準を設けることが可能である。また、説明のために、変動時のログデータ収集例を図13に示す。
第1の具体例:廃棄数を用いる例
更新判断部30PAは、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたパスごとのパケット廃棄数に基づいて、予め設定したパスごとの廃棄数のしきい値を超過することで、パスの通信品質が低下したと判断する。図13のようにログを収集しており、パス10002のパケット廃棄数の上限値を1000に定めているとする。パス10002の中継装置25と中継装置26の各ポートにおける廃棄数は1500であるため、上限値を超過しており、パス10002の通信品質が低下していると判断する。このとき、ネットワークコントローラ30の制御は手順S203に進む。
第2の具体例:トラヒック流量を用いる例
更新判断部30PAは、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたパスごとの流量に基づいて、パスの通信品質が低下したと判断する。例えば、各ポートにおけるトラヒック流量の総量がそのポートの物理帯域を上回る場合、パケットが廃棄される可能性があるため、パスの通信品質が低下したと判断する。
図13のようにログが収集されており、中継装置25と中継装置26の各ポートの物理帯域が10Gbpsに定められていたとする。中継装置25と中継装置26は中継装置25/ポート#2および中継装置26/ポート#1を介して接続されているとする。図13の中継装置25/ポート#2~中継装置26/ポート#1間を通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が11Gbpsであったとする。トラヒック流量が物理帯域を上回っておりパス10002の通信品質が低下していると判断する。このとき、ネットワークコントローラ30の制御は手順S203に進む。
・手順S203(経路更新の判定)の具体例
手順S203は、ネットワークコントローラ30の更新判断部30PAが、ネットワーク状態DB30DNに収集されたログデータに基づいて、パスの経路割り当てを変更しなくてもエンド端末間の通信品質を維持できるかを判断するための手順である。なお、パスの経路割り当てを変更しなくてもエンド端末101及び102間の通信品質を維持できるかを判断できるのであれば、任意の更新判断の手段が可能である。
第1の具体例:トラヒック流量を用いる例1
更新判断部30PAは、変更対象のパスのすべてのトラヒックを他のパスに追加できるかを判断する。更新判断部30PAは、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたリンクごとのトラヒック流量に基づいて、追加先候補であるパスが割り当てられた経路上の各リンクの全パスのトラヒック流量の合計値を算出し、そのリンクの物理帯域に基づいて可用帯域(=物理帯域-トラヒック流量)を算出する。また、更新判断部30PAは、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたパスごとのトラヒック流量に基づいて、変更対象のパスの必要な帯域を見積もる。
算出した追加先候補のパスが割り当てられた経路上の各リンクの可用帯域と見積もった変更対象のパスの必要な帯域に基づいて、変更対象のパスの必要帯域の総量が各リンクの可用帯域以下である場合、更新判断部30PAは、変更対象のパスのトラヒックをすべて他のパスに追加することができると判断する。
具体的には、図13のようにログが収集され、ログデータから追加先候補であるパス10001が割り当てられた経路1001上にある中継装置13/ポート#2~中継装置14/ポート#1間のリンクにおいて、そのリンクを通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が4.5Gbpsであったとする。また、中継装置13/ポート#2と中継装置14/ポート#1の物理帯域が5Gbpsであるとする場合、そのリンクの可用帯域は5Gpbs-4.5Gbps=0.5Gbpsと算出される。また、ログデータから変更対象であるパス10002の必要帯域は1Gbpsであると見積もれたとする。
このとき、必要帯域1Gbpsは、中継装置13と中継装置14のポートの可用帯域0.5Gbpsを上回り、パス10002のトラヒックを中継装置13と中継装置14を通る経路2001で転送するとパケットが廃棄される可能性があるため、更新判断部30PAは、変更対象のパスのトラヒックをすべて他のパスに追加することができないと判断する。このようにどのパスにも追加できない場合は、ネットワークコントローラ30の制御は手順S204に進む。
第2の具体例:トラヒック流量を用いる例2
更新判断部30PAは、変更対象のパスのトラヒックの一部を他のパスに追加できるかを判断する。更新判断部30PAは、ネットワーク状態DB30DNからログデータを読み出し、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたリンクごとのトラヒック流量に基づいて、追加先候補であるパスが割り当てられた経路上の各リンクの全パスのトラヒック流量の合計値と可用帯域と、変更対象であるパスが割り当てられた経路上の各リンクの全パスのトラヒック流量の合計値と可用帯域を算出する。また、ログデータとしてネットワーク状態DB30DNに収集されたパスごとのトラヒック流量に基づいて、変更対象のパスの必要帯域を見積もる。
算出した追加先候補のパスが割り当てられた経路上の各リンクの可用帯域と、変更対象であるパスが割り当てられた経路上の各リンクの可用帯域と、見積もった変更対象のパスの必要な帯域に基づいて、変更対象のパスが割り当てられた経路上の各リンクの可用帯域が変更対象のパスの必要帯域の一部以上であり、かつ、追加先候補のパスが割り当てられた経路上の各リンクの可用帯域と変更対象のパスの残り必要帯域の総量が各リンクの可用帯域以上である場合、更新判断部30PAは、変更対象のパスのトラヒックの一部を他のパスに追加することができると判断する。
具体的には、図13のようにログが収集され、ログデータから追加先候補であるパス10001が割り当てられた経路1001上にある中継装置13/ポート#2~中継装置14/ポート#1間のリンクにおいて、そのリンクを通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が7Gbpsであったとする。また、中継装置13/ポート#2と中継装置14/ポート#1の物理帯域が10Gbpsであるとする場合、そのリンクの可用帯域は10Gpbs-7Gbps=3Gbpsと算出される。また、追加先候補であるパス10002が割り当てられた経路2002上にある中継装置25/ポート#2~中継装置26/ポート#1間のリンクにおいて、そのリンクを通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が700Mbpsであったとする。また、中継装置25/ポート#2と中継装置26/ポート#1の物理帯域が1Gbpsであるとする場合、そのリンクの可用帯域は1Gpbs-700Mbps=300Mbpsと算出される。また、ログデータから変更対象であるパス10002の必要帯域は500Mbpsであると見積もれたとする。パス10002の必要帯域の一部である300Mbps分のトラヒックを、パス10002(経路2002)で処理し、パス10002の必要帯域の残りである200Mbps分のトラヒックをパス10001に追加して処理することを、エンド端末のユーザが許容し、そのようにロードバランスできる場合、更新判断部30PAは、パス10002の通信品質が低下しても新たな経路への切り替えは行わなくて良いと判断する。
したがって、変更対象のパス10002が割り当てられた経路2002上のリンクの可用帯域300Mbpsがその必要帯域の一部(300Mpbs)以上であり、追加先候補のパス10001が割り当てられた経路1001上のリンクの可用帯域3Gbpsとその必要帯域の残り(200Mbps)の総量が各リンクの可用帯域以上であるように、変更対象のパスのトラヒックをパス10001とパス10002との間でロードバランスできるとき、更新判断部30PAは、パス10002の新たな経路への割り当ては不要であると判断する。この場合は、ネットワークコントローラ30の制御は手順S201に進む。
・手順S204(経路算出)の具体例
手順S204では、ネットワークコントローラ30の経路算出部30PPが、ネットワーク状態DB30DNに収集されたログデータ(各パスの必要帯域や各リンクの可用帯域)や各パスの要求条件(遅延時間等)に基づいて、変更対象パスの経路とは異なる新たな経路を算出する。なお、エンド端末間で通信品質を満たす経路が算出できるのであれば、任意の経路算出の手段が可能である。以下に、図14を参照しながら具体例を説明する。
経路2001、2002、2003の3つの経路が存在する通信ネットワーク#2において、経路2002に割り当てられたパス10002を、経路2001もしくは経路2003のいずれかに割り当てるように変更する。割り当て変更先を選択する際に、経路2001もしくは経路2003のうち、経路2001と経路2003をそれぞれ通る他のユーザの通信品質への影響の少ない経路を選択する。本実施形態では、一例として、パス10002の必要帯域と通信ネットワーク#2内の各リンクの可用帯域に基づいて、新たな経路を求める。
例えば、パス10002の必要帯域が40Mbpsで、経路2001上にある中継装置23/ポート#2~中継装置24/ポート#1間のリンクにおいて、そのリンクを通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が800Mbpsであったとする。また、中継装置23/ポート#2と中継装置24/ポート#1の物理帯域が1Gbpsであるとする。この場合、そのリンクの可用帯域は1Gpbs-800Mbps=200Mbpsと算出される。
一方、経路2003上にある中継装置27/ポート#2~中継装置28/ポート#1間のリンクにおいて、そのリンクを通るすべてのパスのトラヒック流量の合計値が200Mbpsであったとする。また、中継装置23/ポート#2と中継装置24/ポート#1の物理帯域が1Gbpsであるとする。この場合、そのリンクの可用帯域は1Gpbs-200Mbps=800Mbpsと算出される。
そのとき、経路算出部30PPは、変更対象パス10002を、経路2001よりも可用帯域が大きい経路2003に割り当てる方が、他のユーザへの影響が少なくなる可能性が高いと判断する。これにより、経路算出部30PPは、劣化したパス10002が割り当てられている経路2002とは異なる経路2001及び2003のうち、他のエンド端末の通信品質への影響の少ない経路2003を用いて、劣化したパス10002を利用するエンド端末の新たなパスを算出することができる。また、算出した経路2001は図15のようにパス及び経路DB30DPに格納される。
・手順S205(経路設定)の具体例
手順S205は、ネットワークコントローラ30の装置通信部30CAが、算出したパスの新たな経路の情報を、そのパスの経由するエッジ装置に通知するための手順である。なお、該当のエッジ装置に経路の情報が通知できるのであれば、任意の経路設定の手段が可能である。
第1の具体例:OpenFlowを用いる例
ネットワークコントローラ30は、エッジ装置21に対して、送信元がエンド端末101であるユーザパケットを受信した場合、中継装置25でなく中継装置23に接続されたポートにパケットを出力するようにフローエントリを修正する。
[エッジ装置の制御例]
次に、エッジ装置11における制御例を説明する。なお、他のエッジ装置12、21、22においても同様の操作を行う。エッジ装置11は、ネットワークコントローラ30から、パス10001が経路1002に割り当てられたことを表す任意の形式の経路情報を受信する。エッジ装置11は、受信した経路情報をパス及び経路DB11Dに格納する。その格納した情報に基づいて、エッジ装置11は、エンド端末101から、パス10001のユーザパケットを受信したとき、中継装置15に接続するポートにユーザパケットを出力する。また、エッジ装置11は、中継装置15から、パス10001のユーザパケットを受信したとき、エンド端末101に接続するポートにユーザパケットを出力する。
[エンド端末の制御例]
エンド端末101とエンド端末102における制御例を説明する。エンド端末101とエンド端末102は、パス10001とパス10002を管理する。各エンド端末はパス10001とパス10002それぞれにおいてパケットを送受信することで、パスの通信品質(遅延時間やジッタ値、パケット損失数)を把握する。各パスの通信品質に基づいて、各エンド端末はパス10001とパス10002それぞれで転送するトラヒック種別や流量を決定する。エンド端末101とエンド端末102は、例えば、中継装置25~中継装置間26でのトラヒック流量の増加等により、パス10002におけるパケットの送受信結果の遅延時間の増加を計測した場合には、パス10001においてリアルタイム通信のプロトコル(例えばrtpなど)のパケットを転送し、それ以外のプロトコルのパケットをパス10002において転送するように制御する。
[中継装置の制御例]
中継装置における制御例は、通常時においても変動時においても、パケットのヘッダ情報に基づいて宛先を決定する既存のルーティング処理を行うため、詳細は省略する。
なお、本開示の装置は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
[効果]
本開示は、全通信ネットワーク(通信ネットワーク51と通信ネットワーク52)の状態を取得し、その情報から新たな経路の割当を算出するネットワークコントローラ30と、そのネットワークコントローラ30から得た情報に基づいて経路を割り当てるエッジ装置11、12、21、22と、を備えるネットワーク構成を備える。これにより、本開示は、中継装置25~中継装置26間のトラヒック変動に対しても、パス10002の経路の割り当てを経路2002から経路2001に変更することで、エンド端末101~エンド端末102間の通信品質を保つことができる。
また、ネットワークコントローラ30の手順S202と手順S203において、ネットワークコントローラ30が、通信ネットワーク51と通信ネットワーク52全体でエンド端末101~エンド端末102間の通信品質を保てる場合にできるだけパス10002の経路割り当ての変更が起きないようにする。このため、本開示は、通信ネットワーク52内の帯域設計の変更を防いでいる。パス10002のトラヒックをパス10001において処理できると判断することで、パス10002の経路割り当てを経路2002から経路2001に変更することを防ぎ、経路2002や経路2001を用いる他のユーザの通信品質を安定的に保つことができる。
本開示は情報通信産業に適用することができる。
11、12、17、18、21、22:エッジ装置
13、14、15、16、23、24、25、26、27、28:中継装置
30:ネットワークコントローラ
51、52:通信ネットワーク
11C、12C、21C、22C:コントローラ通信部
11D、12D、21D、22D、30DP:パス及び経路DB
11P、12P、21P、22P:転送決定部
11T、12T、21T、22T:データ送信部
11R、12R、21R、22R:データ受信部
101、102、201、202:エンド端末
30DN:ネットワーク状態DB
30PA:更新判断部
30PP:経路算出部
30CL:ログ受信部
30CA:装置通信部
300:SD-WANコントローラ
101、102、201、202:エンド端末
1001、1002、2001、2002、2003:経路

Claims (8)

  1. 複数のパスを用いてエンド端末間のデータ通信を行う通信ネットワークに接続されたネットワークコントローラ装置であって、
    前記通信ネットワークから収集されたパスごとの通信状態のログ情報を格納するネットワーク状態データベースと、
    前記ログ情報に基づいて通信品質の劣化したパスの有無を判断し、劣化したパスがある場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末が利用可能な他のパスのうちの他のエンド端末が利用していない追加のパスを用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であるか否かを判断する更新判断部と、
    前記更新判断部が保証可能であると判断した場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記追加のパスを前記通信ネットワークに設定する装置通信部と、
    を備えるネットワークコントローラ装置。
  2. 前記更新判断部は、前記追加のパスのトラヒック流量の合計値を算出し、前記劣化したパスを利用するエンド端末間のトラヒック流量が前記合計値よりも小さい場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であると判断する、
    請求項1に記載のネットワークコントローラ装置。
  3. 前記更新判断部が保証可能でないと判断した場合、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出する経路算出部をさらに備え、
    前記装置通信部は、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記経路算出部の算出した新たなパスを前記通信ネットワークに設定する、
    請求項1又は2に記載のネットワークコントローラ装置。
  4. 前記経路算出部は、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路のうち、他のエンド端末の通信品質への影響の少ない経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出する、
    請求項3に記載のネットワークコントローラ装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のネットワークコントローラ装置と、
    前記ネットワークコントローラ装置に接続された通信ネットワークと、
    を備え、
    前記通信ネットワークは、
    前記エンド端末をそれぞれ収容する複数のエッジ装置と、
    前記エッジ装置間のデータを転送する複数の中継装置と、
    を備え、
    前記ネットワークコントローラ装置は、前記劣化したパスを利用するエンド端末を収容するエッジ装置に対し、前記新たなパスに切り替える旨を通知し、
    前記複数のエッジ装置が、前記ネットワークコントローラ装置からの通知に従って、前記新たなパスに切り替える、
    ネットワーク制御システム。
  6. 複数のパスを用いてエンド端末間のデータ通信を行う通信ネットワークに接続されたネットワークコントローラが実行する通信ネットワークの制御方法であって、
    前記ネットワークコントローラは、
    パスごとの通信状態のログ情報を収集し、
    前記ログ情報に基づいて、通信品質の劣化したパスの有無を判断し、
    劣化したパスがある場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末が利用可能な他のパスのうちの他のエンド端末が利用していない追加のパスを用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であるか否かを判断し、
    前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能であると判断した場合、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記追加のパスを前記通信ネットワークに設定する、
    通信ネットワークの制御方法。
  7. 前記ネットワークコントローラは、
    前記劣化したパスを利用するエンド端末間の通信品質が保証可能でないと判断した場合、経路算出部において、前記劣化したパスが割り当てられている経路とは異なる経路を用いて、前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスを算出し、
    前記劣化したパスを利用するエンド端末の新たなパスとして前記経路算出部において算出された新たなパスを前記通信ネットワークに設定する、
    請求項6に記載の通信ネットワークの制御方法。
  8. 請求項1から4のいずれかに記載のネットワークコントローラ装置に備わる各機能部としてコンピュータを実行させるプログラム。
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