JP7150236B2 - 外科手術用吸引器具 - Google Patents

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Description

本発明は、外科手術、特に、内視鏡手術、なかでも、Needlescopic surgeryと呼ばれる内視鏡手術で用いられる吸引器具であって、洗浄水等だけではなく、凝血塊の吸引が可能な外科手術用吸引器具に関するものである。
1990年以降、多くの外科領域の手術が内視鏡を用いて行われるようになった。この内視鏡を用いた手術、いわゆる、内視鏡手術において 従来は、メス、鉗子、凝固用電極等の処置器具類(以下、「手術鉗子等」という。)と内視鏡とは異なった皮膚切開孔から挿入し、その挿入のため少なくとも2カ所の皮膚切開孔が必要であり、処理の種類によっては3カ所以上の皮膚切開孔を設ける必要があった。この内視鏡手術を、以下「従来型内視鏡手術」と言うこととする。
従来型内視鏡手術を行う場合には、手術鉗子等や内視鏡を、胸壁や腹壁に設けたトローカルユニットの中を通して体腔内に挿入する必要がある。トローカルユニットはステンレスや合成樹脂の管であり、その内径は15mm程度である。従って、そのトローカルユニットの内腔をスムースに通る必要がある手術鉗子等や内視鏡の外径は通常10mm程度である。
最近は、手術を受ける患者の負担を軽減し、その術後の早期回復を図るため、内視鏡手術に用いられる皮膚切開孔の数を少なくし、その大きさも小さくすることを目的に、Needlescopic surgeryと呼ばれる外径3mm以下の内視鏡を含んだ細径手術鉗子等を用いる内視鏡手術(以下、「従来型内視鏡手術」と分けて説明するために、「Needlescopic surgery」と言う。)が普及している。
さて、これらの内視鏡手術で問題になるのは、凝血塊を体外に取り出す作業である。出血性疾患や外傷、あるいは、手術において生じた出血は、出血した直後は液体であるから、吸引管を体内に挿入して吸引により体外に取り出すことが出来る。
しかし、血液は出血してから数分で凝固しはじめ、次第に粘性が増加する。出血から30分程度経過すると凝血塊となり、さらに時間と共に粘性の増加が進む。出血から1時間程度経過すると豆腐以上の硬さになる場合もある。このように時間が経過して粘性が増加した凝血塊は、従来型内視鏡手術で使われていた外径10mm程度の吸引管と、通常手術室で吸引作業に用いられる真空ポンプ等からなる吸引装置の組み合わせでは力が不足して吸引・除去ができなくなる。
このような事態に至った場合、大きな創部を通して凝血塊を掻き出す以外に方法がなかった。そのためには、従来の開腹手術では創部を拡大する必要があり、内視鏡手術では凝血塊を掻き出すための新しい創部を作る必要があった。この方法を採用することが不適当な手術、例えば、多量の凝血塊が腹腔に生じる可能性がある婦人科領域の子宮外妊娠等は、生じるであろう凝血塊の除去が困難なため、はじめから内視鏡手術には不適応な疾患とされている。
Needlescopic surgeryでは従来型内視鏡手術に比べて、この凝血塊を体外に取り出す作業の困難性はさらに深刻である。外径3mmの管を吸引管として体腔内に挿入し、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置により吸引を行っても、凝血塊を吸引して体腔外まで移動させるには力がまったく足りない。また、悪いことに、吸引管の中に入り込んだ凝血塊はその粘性で吸引管内壁に付着してその内腔を狭め、吸引管の小さい内断面積をさらに小さくして凝血塊の吸引・除去作業を不可能にしてしまう。
出血が生じた場合、これまでは通常、食塩水を供給して血液濃度を薄めたり、血管塞栓症などの治療に用いられる抗凝固薬を供給して、凝血塊の粘度の低下をはかりながら吸引しようとしてきたが、一旦 粘度が増加した凝血塊の吸引には、ほとんど効果が無い。
この粘性が増加した凝血塊をいかにして吸引・除去するかと言う問題を解決するために、吸引管の先端にブラシ状の毛を取付けて、固まり掛けた血液をそのブラシ部でこすってほぐしたり、生理的食塩水を吸引管に逆送することにより、吸引管の吸引口やその内腔を詰まらせている凝血塊を吹き飛ばす方法が試みられているが、いずれも充分な解決方法ではない。この問題を解決する器具や装置、あるいは、方法について、この出願に先立ち特許情報プラットホームを使って検索して見たが、先行する特許文献は見当たらなかった。
なお、粘性が増加した凝血塊の中は 内視鏡を挿入してもよく見えないから、上述のブラシ部でこすったり、あるいは、尖ったもので撹拌したりすると組織を傷つけてしまう恐れがある。組織そのものに損傷を与える危険があるうえに、傷つけられた組織の一部が吸引管内に巻き込まれ、さらに吸引を困難にする原因となり得る。
一方、体腔内から吸引により流体を吸引して体外に除去する器具や装置については、先行技術が存在する。例えば、内視鏡手術では、内視鏡により術野を見やすく維持するために、高頻度で洗浄を行う。この洗浄は、洗浄液を体腔内に供給し、その洗浄液に少量の血液や組織が混ざった液状の流体を体腔内から吸引して排出することにより行われる。この洗浄液を用いる外科手術用洗浄器具は各種開発されている。
特許文献1と特許文献2は、このような外科手術用洗浄器具の発明の一例である。特に、特許文献2の発明は内視鏡手術用に考えられた送水・吸引洗浄管に係るものであり、送水と吸引を行うなう送水・吸引洗浄管を多数の小さな貫通孔を設けた外筒で覆い、その環状部に弁の働きを有する同軸保持部を設けて、送水・吸引洗浄管と外筒の軸方向の相対位置を変えることにより、術野の一部を洗浄する局部洗浄と、腹腔内を広く洗浄する腹腔内洗浄を可能にすると共に、気腹ガスを吸引せずに洗浄液等を吸引でき、吸引に当たって腹腔内組織を巻き込まないことを、その効果としている。
これらの外科手術用洗浄器具はいずれも、洗浄水の送水機能と同時に吸引機能を有しているが、その吸引機能は 体腔内に供給した洗浄液や、その洗浄水に少量の血液や組織が混ざった流体を吸引・除去するために考えられたものであり、粘度の高い凝血塊の吸引・除去を対象としたものではない。
例えば、特許文献2の発明は、その実施例によれば、吸引する際に送水・吸引洗浄管に腹腔内組織を巻き込まないようにするため、外径が3mmから4mmの外筒に複数の直径約1mmの丸穴を設けて、これで洗浄液と共に流入しようとする腹腔内組織を阻止しようとしている。この構成を用いて上述のような粘性が増加した凝血塊を吸引しようとすれば、すぐに丸穴が詰まってしまい、その目的を達することが出来なくなる。さらに吸引作業を続ければ、送水・吸引洗浄管そのものが詰まってしまい、その吸引機能を失ってしまう。
特開平10-193号公報 特開2016-49364号公報
無し
そこで、本発明が解決しようとする課題は、洗浄液やその洗浄水に少量の血液や組織が混ざった流体のみならず、粘性が増加した凝血塊の吸引・除去を可能とし、かつ、吸引対象物以外の組織を傷つけず、傷つけられた組織の一部が吸引管内に巻き込まない外科手術用吸引器具を提供することである。
本発明は、患者の体腔内の挿入され吸引対象物の吸引口となる先端部(以下「吸引管先端部」という。)と、該患者の体外に在って術者が操作をする操作部を繋ぐ吸引管と、
該吸引管の内部に納められ、該吸引管のほぼ全長に渡って配置され、該吸引管の先端部で反転するU字型に折り曲げられた線材、あるいは、板材からなる回転体と、
該回転体を高速で回転する小型モーターとから成る外科手術用吸引器具である。
吸引管の中のほぼ全長に渡って設けられ、吸引管の先端部で反転する、U字型に折り曲げられた線材、あるいは、板材からなる回転体を、小型モーターにより高速回転させながら、吸引管の先端部を凝血塊に接近させ、場合によってはその先端部を凝血塊の中に侵入させながら、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置により吸引を行うことにより、洗浄液、血液、凝血塊等の吸引対象物のうち、もっとも吸引が難しい粘性が増加した凝血塊であっても、U字型の回転体の先端部で細分化できるので、吸引管で容易に体腔内から吸引し、体外に除去できる。
同時に、U字型に折り曲げられた線材、あるいは、板材からなる回転体は、高速回転による遠心力により吸引管の内壁に押し付けられながら回転するので、吸引管内壁に付着した凝血塊を常にこすり落とし、吸引管の全長に渡って、その内腔が閉塞しないように働く。
さらに、本発明は、上述の外科手術用吸引器具がであって、前記吸引管の外径が3mm以下である外科手術用吸引器具である。
上記の凝血塊を高速回転するU字型の回転体の先端部で細分化し、容易に体腔内から吸引して、体外に除去できる効果は、外径が3mm以下の吸引管を用いてもを発揮できる。吸引管の外径が3mm以下にすることにより、Needlescopic surgeryにおいて使用可能となる。
また、本発明は、これらの外科手術用吸引器具であって、前記回転体のU字型に折り曲げられた先端部(以下「回転体先端部」という。)が、前記吸引管先端部よりわずかに前記操作部側に後退して位置する外科手術用吸引器具である。
吸引管先端部が、吸引対象物以外の臓器等の組織(以下「臓器等」と言う。)に接触する場合がある。その場合、吸引管の内腔は吸引作業の際に術野よりも低圧になっているので、接触された臓器等はわずかに内腔に引き寄せられ、高速回転するU字型の回転体先端部に接触して損傷することが考えられる。回転体先端部をわずかに吸引管先端部より後退した位置に置くことにより、この接触を避けることが出来る。
ちなみに、Needlescopic surgeryで用いられるであろう外径3mmの吸引管を例にとると、その内径はそれより小さくなり、2.8mm程度になる。この内径の吸引口に、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置により大気圧の20分の1の吸引圧を掛けた場合、臓器等は吸引口に中に引き込まれようとするが、臓器等は剛性を持っているので、吸い込まれて吸引管に入り込む量は0.1mm以下である。したがって、回転体先端部を吸引管先端部より0.2mm程度後退させておけば、臓器等が直接回転体先端部に接触することがなく、無用な損傷が起こることはない。その結果、損傷した臓器等の一部を吸引管内に巻き込むこともない。
なお、凝血塊は粘性が増加しても剛性を持たないので、吸引管先端部が容易にその中に侵入できる。したがって、回転体先端部をわずかに吸引管先端部より後退して位置させても、回転体の先端部で凝血塊を細分化する能力はほとんど衰えない。
本発明の外科手術用吸引器具は、通常手術室で吸引作業に利用される吸引装置を用いて、洗浄液やその洗浄水に少量の血液や組織が混ざった流体のみならず、粘性が増加した凝血塊の吸引・除去が可能である。さらに、回転体先端部を吸引管先端部よりわずかに後退した位置に置くことにより、臓器等が直接回転体先端部に接触することがなく、無用な損傷が起こることはなく、損傷した臓器等の一部を吸引管内に巻き込むことがない。この効果は、Needlescopic surgeryにおいて用いうる外径が3mm以下の吸引管においても十分に発揮される。
本発明の外科手術用吸引器具を用いることにより、凝血塊を掻き出すための大きな皮膚切開孔を設ける必要が無く、吸引のために太い吸引管を別途皮膚切開孔を設けて挿入する必要も無いので、手術時間の短縮に繋がるほか、手術の外傷性分を低減し、手術の低侵襲化をもたらす。さらに、術後の創感染のリスクの減少、術後疼痛の改善、創治癒に要する期間の短縮等に貢献し、患者の負担を大きく軽減できる。また、Needlescopic surgeryにおいては、吸引器具の挿入のための皮膚切開長を3mm以下に抑えることができるので、さらに患者への侵襲を抑え、創部に痕跡が残ることなく治癒するため、術後の審美性にも貢献する。
本発明の外科手術用吸引器具の実施例1の全体図である。 実施例1の外科手術用吸引器具を構成する吸引管の側面図(a)と回転体及び小型モーターの側面図(b)の側面図である。 実施例1の外科手術用吸引器具の回転体の静止時の状態を示す図1のA部の拡大断面図である。 同じく回転体の回転時の状態を示すA部の拡大断面図である。 実施例1の外科手術用吸引器具を胸腔内に挿入した状態を表す説明図である。 胸腔内に挿入された実施例1の外科手術用吸引器具の先端部が、凝血塊に到達する前の状態を示す説明図である。 同先端部が、凝血塊に到達した状態を示す説明図である。 同先端部が、凝血塊の奥にある臓器等に近づいた状態を示す説明図である。 本発明の外科手術用吸引器具の実施例2の回転体の先端部の拡大図である。 本発明の外科手術用吸引器具の実施例3の先端部の断面図である。 同先端部が、臓器等に接触した状態を示す説明図である。
本発明の実施をするための形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明はかかる実施の形態には限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて良いことは言うまでもない。また、以下の実施例はいずれも、凝血塊の取り出しが最も困難なNeedlescopi surgeryに用いられる外径の吸引管を用いたものである。開腹手術や従来型内視鏡手術で用いられるであろう、より大きな外径の吸引管の場合にも、本発明はこれら実施例を基に容易に展開できる。
図1は本発明の外科手術用吸引器具の実施例1の全体図、図2はそれを構成する吸引管の側面図(a)と回転体及び小型モーターの側面図(b)である。
本実施例の外科手術用吸引器具1は、吸引管2と、その内部に納められ吸引管のほぼ全長に渡って配置され、吸引管の先端部2aで反転するU字型に折り曲げられた線材からなる回転体3を主要な構成要素とする。
本実施例では吸引管2として、Needlescopic surgeryで使用可能な外径3mmのステンレスチューブを用い、その内径はわずか2.8mmである。一方、回転体3を構成する線材は、外径0.6mmのピアノ線である。
吸引に寄与する吸引管内の有効面積を大きくとるためには、吸引管3の中に配置する回転体3を構成する線材の外径は細い方が良いが、小型モーター4aにより回転力を与えた場合に、あまり細い線材ではねじれて絡まってしまい機能しない。多くの試行を重ねた結果、ねじれたり絡まったりしない最小の外径として、0.6mmを採用した。
なお、開腹手術や従来型内視鏡手術では、より大きな外径の吸引管を用いることができ、吸引管内の有効面積も大きく取れるから、回転体を構成する線材として、外径が0.6mmより大きいものも使用可能である。
吸引管2と回転体3は、吸引管に設けられた連結部4bの雌ねじと、回転体に結合された小型モーター4aに設けられた小型モーター連結部4cの雄ねじにより一体化される。吸引管連結部4bに設けられた連絡管4dは、吸引されてきた流体や細分化された凝血塊等を分離・排出する装置を経て吸引装置へ繋がれている。なお、これらの装置は、通常手術室で吸引作業に用いられるものであり、ここには図示されていない。一方、小型モーター4aは、300rpmから500rpm程度の高速回転を与えられれば良い。市販のハンドミキサーなどに用いられるものが利用でき、電池、あるいは、外部電源から電力を供給する。
術者は、小型モーター4a、および、連結部4b、4cから成る操作部4を把持し、外科手術用吸引器具先端部1aを、吸引を行いたい術野に導く。吸引を行う際には、術者は吸引管3内に吸引圧を発生させる弁を操作すると共に、小型モーター4aを回転させるスイッチを入れることにより外科手術用吸引器具1を起動して、吸引操作を開始する。
図3は、図1のA部、すなわち、吸引管先端部1a付近の拡大断面図であり、回転体3の静止時の状態を示す。また、図4は、同じA部の回転体3の回転時の拡大断面図である。
U字型に折り曲げられた回転体3は、吸引管2のほぼ全長に渡ってが配置され、その先端部3aは、吸引管先端部2a付近にある。図3に示すように、U字型に折り曲げられて平行して伸びる2本のピアノ線の外側の巾Wは吸引管2の内径Dに比べて充分小さくなっているので、外科手術用吸引器具1を組立てる際に、回転体3を容易に吸引管2の内に挿入できる。
一方、術者が外科手術用吸引器具1を起動して、小型モーター4aが回転体3を高速回転させると、回転体先端部3aは粘性の増加した凝血塊や吸引の妨げになる固形物を粉砕し、吸引管2の有効内断面積が小さいにもかかわらず、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置いより、支障なく吸引・排出を行うことが出来る。また、図4に示すように、回転体を構成するピアノ線は、高速回転による遠心力により吸引管2の内壁2bに押し付けられながら回転するので、吸引管内壁2bに付着した凝血塊を常にこすり落とし、吸引管の全長に渡ってその内腔が閉塞しないように働き、吸引・排出を容易にする。
つぎに、この外科手術用吸引器具1を用いての吸引作業について順を追って説明する。図5は外科手術用吸引器具1を胸腔内に挿入した状態を示す全体の説明図である。図6~図8はその外科手術用吸引器具1の吸引管先端部2aに着目し、図6は吸引管先端部2aが凝血塊に到達する前の状態、図7は凝血塊に到達した状態、また、図8は凝血塊の奥にある臓器等に近づいた状態を、それぞれ示す説明図である。
図5は、外科手術用吸引器具1を胸腔6の中に挿入した状態を示している。この実施例では、胸腔6を構成する胸壁7と肺8の間に、内視鏡手術の際に胸腔内に供給した洗浄液に少量の血液や組織が混ざった流体(以下「洗浄液等」という)9と粘性の増加が進行しつつある凝血塊10が存在し、これらを早急に吸引して体外に排出することが望まれている。
あらかじめ、吸引・排出すべき洗浄水等9や凝血塊10に外科手術用吸引器具先端部1aが到達しやすい位置、たとえば、脇の下の腋窩中心線状に大きさが3mmの皮膚切開孔(図示されていない。)を設けて、そこから外科手術用吸引器具1を体内へ挿入する。
挿入された外科手術用吸引器具の先端部1aは、図6に示すように、まず洗浄液等9の中に挿入され、連絡官4dに接続された吸引装置(図示されていない)の働きで洗浄液等を矢印Eの方向に吸引し、矢印Fの方向に送り、排出する。回転体3は高速回転を続けているから、洗浄液等9の中に細い吸引管2の中を通過しにくい大きさの固形物が存在しても、回転体先端部3aにより粉砕され、スムースに排出できる。また、回転体3は高速回転によりに押し付けられて、吸引管内壁2bをこするように移動するから、吸引管内壁2bは付着物が堆積することはない。
図7は、外科手術用吸引器具先端部1aがさらに奥に挿入されて凝血塊10の中に入った状態を示す。吸引装置が作動し、小型モーターの働きで回転体3は高速回転を続けている。粘性が増加しているとは言え凝塊血10は剛性を有さないので、吸引管先端部2aは容易にその中に進入できる。その進入に伴い、回転体先端部3aは吸引管先端部の中に入ってきた凝血塊を捉え、その高速回転の力により細かく粉砕する。粉砕された凝血塊10aは、凝血塊と吸引管の間のわずかな隙間9aを通って流れ込む洗浄液等9の流れに乗って、矢印Fの方向に送られて排出される。この場合も、回転体3は高速回転によりに押し付けられて吸引管内壁2bをこするように移動するから、吸引管内壁2bには粉砕されて送られる凝血塊が堆積し、吸引管の有効内断面積を狭めることはない。
図8は、外科手術用吸引器具先端部1aがさらに奥に挿入されて臓器等11に近づいた状態を示す。吸引管先端部2aは臓器等11により蓋をされた状態となり、吸引装置が働いていても、吸引管2内の流れは止まる。吸引管先端部2aが完全に蓋された状態でなく、ごくわずかな洗浄液等9が漏れ混む様な状態であっても、吸引管2の中の流れは緩慢になり、ほぼ停滞する。術者は、別の皮膚切開孔から挿入された内視鏡で観察することにより、また、排出される液体の量が激減することに気づいて、吸引管先端部2aが臓器等に接触し、外科手術用吸引器具1をそれ以上推し進める必要が無いことを認識できる。したがって、誤って臓器等11を傷つけることはない。
この場合、吸引管先端部2aから吸引管2の中に入ってくる凝血塊はないので、回転端先端部3aは凝血塊を粉砕することなく、回転を続けることとなる。
次に、本発明の外科手術用吸引器具の実施例2について説明する。この実施例の外科手術用吸引器具は、回転体の形状が違う以外は実施例1の外科手術用吸引器具1と変わらないので、回転体の形状についてのみ説明する。図9は、本発明の外科手術用吸引器具の実施例2の回転体23の先端部の拡大図である。
実施例1では、吸引管2として外径3mm、内径2.8mmのステンレスチューブが用いられ、回転体3を構成する線材は、外径0.6mmのピアノ線であった。この実施例2の外科手術用吸引器具では、同じ寸法の吸引管を使用し、回転体23は巾dが0.8mm、厚さtが0.4mmの細長い板材をU字型に折り曲げたもので構成する。この板材で構成されて回転体23は、実施例1の場合と同じように、吸引管のほぼ全長に渡って配置され、小型モーターにより高速回転する。
板材により構成された回転体23の、作用・効果は実施例1の回転体3と同様であるが、回転により動く方向に直角な面を持っており、かつ、厚さが薄いので容易に遠心力で吸引管内壁に押しつっけられやすい形状から、凝血塊の破砕や、吸引管内壁に付着した凝血塊をこすり落とす機能はやや高いと考えられる。
なお、開腹手術や従来型内視鏡手術では、より大きな外径の吸引管を用いることができ、吸引管内の有効面積も大きく取れるから、回転体を構成する板材として、巾dが0.8mm、厚さtが0.4mmより大きい板材でも回転体の構成が可能である。
次に、本発明の外科手術用吸引器具の実施例3について説明する。この実施例の外科手術用吸引器具31は、吸引管32の先端部32aと回転体33の先端部33aの関係位置が違う以外は実施例1の外科手術用吸引器具1と変わらないので、両先端部の関係位置についてのみ説明する。図10は本実施例の外科手術用吸引器具31の先端部31a付近の断面図、図11は同先端部31aが臓器等11に接触した状態を示す説明図である。
図10に示すように、本実施例の外科手術用吸引器具31では、その回転体先端部33aが、吸引管先端部32aよりわずかに操作部側に後退した位置に配置される。回転体先端部33aが吸引管先端部32aより後退する距離Lは、0.2mmである。
吸引管先端部32aが臓器等に接触した場合に、吸引管32の内腔は吸引作業の際に術野よりも低圧になっているので、接触された臓器等はわずかに内腔に引き寄せられる。この実施例では、外径3mm、内径2.8mmの吸引管に、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置を用いて大気圧の20分の1の吸引圧を掛けた場合を考えて距離Lを決定した。この吸引圧により、臓器等は吸引口32aに中に引き込まれようとするが、臓器等は剛性を持っているので、吸い込まれて吸引管に入り込む量は0.1mm以下である。したがって、回転体先端部33aを吸引管先端部32aより0.2mm程度後退させておけば、臓器等11が直接回転体先端部33aに接触することがなく、無用な損傷が起こることはない。その結果、損傷した臓器等の一部を吸引管内に巻き込むこともない。
一方、凝血塊は粘性が増加しても剛性を持たないので、外科手術用吸引器具を推し進めれば、吸引管先端部32aが容易にその中に侵入でき、進入に伴い凝血塊の一部は吸引管先端部32aから吸引管32内に入ってきて細分化される。したがって、回転体先端部33aをわずかに吸引管先端32a部より後退して位置させても、回転体先端部33aで凝血塊を細分化する能力は衰えない。
なお、同じ吸引圧をかけた場合でも、吸引管の内径が大きければ臓器が吸い込まれて吸引管に入り込む量は大きくなり、吸引管の内径が小さければ、入り込む量は小さくなる。また、吸引圧が変われば、入り込む量は変化する。ちなみに、本実施例において上述のLを0.2mmとしたのは、Lの値を少しずつ変化させた外科手術用吸引器具を試作し、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置を用いて発生できる吸引圧よりかなり高めの大気圧の20分の1の吸引圧をその内径2.8mmの吸引管にかけた状態で、先端部を臓器等に押し当てて損傷が生じるか否かを判断する試験を繰り返し、その結果を見て決定した。吸引圧や吸引管の内径が本実施例とは異なる外科手術用吸引器具を製作する場合には、同様の試験を行ってLの値を決めれば良い。
図11は、外科手術用吸引器具先端部31aが胸腔の奥に挿入されて臓器等11に達した状態を示す。吸引管先端部32aは臓器等11によりほぼ蓋をされた状態となり、吸引装置が働いていても、吸引管32内の流れは緩慢になり、ほぼ停滞する。吸引管32の中は、通常手術室で吸引作業に用いられる吸引装置を用いた場合で大気圧の20分の1程度の吸引圧が生じる。
この吸引圧により臓器等11は吸引口32aに中に引き込まれようとするが、臓器11は剛性を持っているので、吸い込まれて吸引管に入り込む量Mは0.1mm以下である。一方、回転体先端部33aが吸引管先端部32aより後退する距離Lは0.2mmであるから、臓器11が直接回転体先端部33aに接触することがなく、無用な損傷が起こることはない。その結果、損傷した組織の一部を吸引管内に巻き込むこともない。
従来は、粘性が増加した凝血塊の体外への取り出す作業が極めて困難であったので、「出血したら、手術をやめておこう。」とまで考えられていたが、本発明の外科手術用吸引器具を用いることにより、この問題が解決された。
なお、上記実施例では、Needlescopic surgeryに用いることを念頭に置いて、3mmの吸引管を用いる本発明の外科手術用吸引器具を説明したが、吸引管の中でU字型に折り曲げられた回転体を高速回転することにより、粘性が増加した凝血塊を細分化して、吸引により体外に取り出すという考え方は、開腹手術や従来型内視鏡手術においても活用できるもので有り、各種手術の中で広く活用されることが期待できる。
1 実施例1の外科手術用吸引器具
1a 同 先端部
2 吸引管
2a 同 先端部
2b 同 内壁
3 回転体
3a 同 先端部
4 操作部
4a 小型モーター
4b 吸引管連結部
4c 小型モーター連結部
4d 連絡官
6 胸腔
7 胸膜
8 肺
9 洗浄液等
10 凝血塊
10a 粉砕された凝血塊
11 臓器等
23 実施例2の外科手術用吸引器具の回転体
31 実施例3の外科手術用吸引器具
31a 同 先端部
32 実施例3の外科手術用吸引器具の吸引管
32a 同 先端部
33 実施例3の外科手術用吸引器具の回転体
33a 同 先端部

Claims (3)

  1. 患者の体腔内に挿入され吸引対象物の吸引口となる先端部(以下「吸引管先端部」という。)と、該患者の体外に在って術者が操作をする操作部とを繋ぐ吸引管と、
    該吸引管の内部に納められ、該吸引管のほぼ全長に渡って配置された回転体と、
    該回転体を高速で回転する小型モーターとから成り、
    該回転体は、該吸引管の該操作部に繋がれた後端部から、該吸引管先端部付近で折り曲げられて反転し、再び該後端部に至るU字型の線材からなり、該小型モーターによる回転軸に対して回転対称の形状を有する外科手術用吸引器具。
  2. 患者の体腔内に挿入され吸引対象物の吸引口となる先端部(以下「吸引管先端部」という。)と、該患者の体外に在って術者が操作をする操作部とを繋ぐ吸引管と、
    該吸引管の内部に納められ、該吸引管のほぼ全長に渡って配置された回転体と、
    該回転体を高速で回転する小型モーターとから成り、
    該回転体は、該吸引管の該操作部に繋がれた後端部から、該吸引管先端部付近で折り曲げられて反転し、再び該後端部に至るU字型の板材からなり、該小型モーターによる回転軸に対して回転対称の形状を有し、
    該板材の回転軌跡の接線方向における該板材の巾が、該回転軌跡の径方向における該板材の厚さより大きい外科手術用吸引器具。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の外科手術用吸引器具であって、前記回転体の折り曲げられた先端部が、前記吸引管先端部よりわずかに前記操作部側に後退して位置する外科手術用吸引器具。
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