JP7149712B2 - 二酸化炭素の地中貯留方法、及び二酸化炭素の地中貯留装置 - Google Patents

二酸化炭素の地中貯留方法、及び二酸化炭素の地中貯留装置 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 平成29年12月21日、第45回岩盤力学に関するシンポジウム講演集にて公開
本発明は、二酸化炭素の地中貯留方法、及び二酸化炭素の地中貯留装置に関する。
化石燃料を用いて発電しながら二酸化炭素(CO)排出量を抑制できる革新的技術として、二酸化炭素の回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage:以下、単に「CCS」という)が注目されている。CCSにおける二酸化炭素の地中貯留に関しては、実証試験と貯留適地調査が進められている。
一般的に、二酸化炭素は、圧力及び温度の条件に応じて、気(Gas)・液(Liquid)・固(Solid)・超臨界(Supercritical)の4相のいずれかの状態で存在する。また、二酸化炭素は、常圧で温度194K(-79.15℃)以下の条件で固体のドライアイスになるが、水と混じると異なる温度と圧力の条件でハイドレート(固体)化することが知られている。なお、二酸化炭素ハイドレート(CO hydrate)は、液体の二酸化炭素が水と混じり、温度10℃以下で、且つ、圧力4.5MPa以上の条件で生成され、液体の二酸化炭素の領域(液相の領域)の一部と重なる。
また、二酸化炭素の密度は、圧力が上昇すると気液相変化によって変化するが、温度31℃以上で、且つ、圧力7.4MPa以上で超臨界状態となるため、それ以上の圧力上昇による密度変化は比較的緩慢である。そして、液体若しくは超臨界状態における二酸化炭素の密度は海水に比べて小さいため、海底下地層に二酸化炭素を貯留しようとする場合、密度差によって浮力が生じ、浮上する二酸化炭素を封じ込めるために何らかのシール機能が必要となる。
ところで、二酸化炭素の地中貯留方法及び地中貯留装置として、特許文献1が知られている。ここで、特許文献1には、海底地盤中の帯水層の水比重よりも比重が大きい炭酸ガス(CO)溶解水を生成し、炭酸ガス(二酸化炭素)ハイドレートを生成し得る圧力条件及び温度条件を満足するとともに、海底面より所定深さで存在するハイドレート生成層よりも下層領域の帯水層に圧入して、炭酸ガス溶解水の貯留領域を形成する方法が開示されている。
特許文献1に開示された二酸化炭素の地中貯留方法によれば、帯水層に圧入された炭酸ガス溶解水の比重が帯水層の水比重(水又は塩水)よりも大きいため、定常状態において帯水層に炭酸ガス溶解水を滞留することができる。また、炭酸ガス溶解水の貯留領域をハイドレート生成層よりも下層に設けるため、何らかの原因によって帯水層中の炭酸ガス溶解水が地層中を上昇し、減圧されて炭酸ガス(液体・気体)が遊離した場合であっても、帯水層から浮上して遊離した炭酸ガスをハイドレート化することによって地層の岩石間隙に固定化し、地層中からの漏出を防止するとともに、後続の上昇する炭酸ガスを停止させることができる。
また、特許文献1には、炭酸ガスを溶媒に溶解させて、比重が帯水層の水比重よりも大きい炭酸ガス溶解水を生成する炭酸ガス溶解水製造装置と、生成された炭酸ガス溶解水を帯水層に圧入するために海底面から帯水層まで貫通させた注入井と、注入井に炭酸ガス溶解水を圧送する炭酸ガス溶解水圧送装置とから構成された炭酸ガスの地中貯留システムが開示されている。
特許文献1に開示された二酸化炭素の地中貯留装置によれば、炭酸ガス溶解水製造装置を備え、炭酸ガスを飽和濃度レベル付近の高い濃度で溶媒に溶解させることができるため、帯水層の水比重(水又は塩水)よりも大きな比重の炭酸ガス溶解水を生成し、帯水層に圧入することができる。なお、炭酸ガス溶解水製造装置の系内の圧力は、炭酸ガスが液体又は超臨界状態を維持した状態で溶解が行われるようにするとともに、配管系の圧力損失とを考慮して、6MPa以上の高圧状態が維持される。
特開2009-274047号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の二酸化炭素の地中貯留方法では、海底地盤中の帯水層の水比重よりも比重が大きい炭酸ガス溶解水を生成してから帯水層に圧入する必要があるため、処理効率及び貯留効率が悪く、大量の二酸化炭素を処理する際に課題がある。また、炭酸ガス溶解水の貯留領域がハイドレート生成層よりも下層であるため、炭酸ガス溶解水(すなわち、液体の二酸化炭素と水とが共存した状態)がハイドレート生成層の圧力・温度領域を通過する際にハイドレート化してしまい、注入井が目詰まりしてしまうおそれがある。
また、特許文献1に記載の二酸化炭素の地中貯留装置では、上述した炭酸ガス溶解水を生成するための炭酸ガス溶解水製造装置を備える必要があるため、装置の構成が複雑となり、設置する際のコストが上昇してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、二酸化炭素を地中に貯留する際の目詰まりを防止し、且つ効率良く大量の二酸化炭素を貯留することが可能な二酸化炭素の地中貯留方法を提供することを課題とする。
また、簡便な構成によって、上述の二酸化炭素の地中貯留方法に適用可能な二酸化炭素の地中貯留装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 二酸化炭素を海底下地層中の帯水層に貯留する方法であって、海底面から所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たす二酸化炭素シール領域よりも下方に、水を含まない二酸化炭素を圧入して二酸化炭素貯留領域を形成し、前記二酸化炭素シール領域は、地中温度が10℃以下の領域であり、且つ、水深450m以深の海底面から所定の深さまで存在するとともに、地層厚が100m以上であり、さらに、前記二酸化炭素貯留領域に圧入された水を含まない二酸化炭素が、海水との密度差による浮力で上昇して自己ハイドレート化する領域であり、海面から600m以深において、地中温度が20℃以上であるとき、前記二酸化炭素貯留領域における圧力が6MPa以上となるように、水を含まない二酸化炭素を圧入する深さを調整して圧入する、二酸化炭素の地中貯留方法。
[2] 液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を圧入する、上記[1]に記載の二酸化炭素の地中貯留方法
本発明の二酸化炭素の地中貯留方法によれば、二酸化炭素を地中に貯留する際の目詰まりを防止し、且つ効率良く大量の二酸化炭素を貯留することができる。
また、本発明の二酸化炭素の地中貯留装置によれば、簡便な構成によって、上述の二酸化炭素の地中貯留方法に適用できる。
図1は、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留方法及び二酸化炭素の地中貯留装置について説明する図であり、地中貯留装置の構成を示す断面模式図である。 図2は、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留方法及び二酸化炭素の地中貯留装置について説明する図であり、二酸化炭素貯留領域(二酸化炭素が液体で存在する領域)とTPシール領域(二酸化炭素がハイドレートとして存在する領域)の境界を示すグラフである。 図3は、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留方法及び二酸化炭素の地中貯留装置について説明する図であり、海面からの深さと海水の温度との関係、及び、海底面からの深さと地中の温度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留方法の構成について、これに用いる二酸化炭素の地中貯留装置と併せて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<二酸化炭素の地中貯留装置>
先ず、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留装置(以下、単に「貯留装置」と称することがある)について説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態である貯留装置1の構成を示す断面図である。また、図2は、二酸化炭素貯留領域とTPシール領域の境界を示すグラフである。また、図3は、海面からの深さと海水の温度との関係、及び、海底面からの深さと地中の温度との関係を示すグラフである。なお、図3は、これらの関係の一例を示したグラフであり、これらの関係は海域によって異なるグラフとして示される。
図1に示すように、本実施形態の貯留装置1は、二酸化炭素(CO)を海底下地層U中の帯水層Aに貯留する装置である。貯留装置1は、海底面Fから所定の深さまで存在する、詳細を後述するTPシール領域(二酸化炭素シール領域)Sを貫通して該TPシール領域Sよりも下方の二酸化炭素貯留領域Gまで延在された圧入井4と、水を含まない二酸化炭素(CO)を生成させる二酸化炭素供給源2と、該二酸化炭素供給源2で生成された水を含まない二酸化炭素(CO2)を圧入井4に圧送する圧送設備3と、を備えて概略構成される。
図1の断面模式図において、海水Wの下方に位置する海底下地層Uは、通常、海面Mから海底面Fまでの深さ、及び、海底面Fから海底下地層Uの任意の深さによって圧力が変化する。本実施形態の貯留装置1は、海底面Fから所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たすTPシール領域S(TP:Temperature and Pressure Seal)よりも下方の二酸化炭素貯留領域Gに、水を含まない二酸化炭素(CO)を圧入して貯留するものである。
二酸化炭素供給源2は、上記のように、海底下地層U中の帯水層Aに貯留する二酸化炭素(CO)を供給するものである。このような二酸化炭素供給源2としては、特に限定されず、例えば、石油やガスを採掘する海上プラント等の各種施設において、化石燃料を用いた発電設備等から排出される石炭や石油等に由来の二酸化炭素を回収する装置や、これらの装置によって回収された二酸化炭素を輸送する船舶やパイプラインから一時的に受け入れて貯蔵しておく装置等が挙げられる。
また、貯留装置1において、二酸化炭素供給源2は、その装置特性にも依るが、海面Mよりも上に露出していることが、燃料や二酸化炭素等の材料の供給性やメンテナンス性、装置寿命等の観点から好ましい。このように、二酸化炭素供給源2を海面Mよりも上に露出させる方法としては、例えば、海底から石油やガス等の資源を採掘するために設置されるものと同様の海上プラットフォームを構築し、その上に二酸化炭素供給源2を設置する方法が挙げられる。
海上プラットフォームとしては、例えば、固定式又は浮遊式等のものが挙げられる。
固定式の海上プラットフォームとしては、例えば、高強度の鋼材等から組み立てられた構造物を、海底面Fに直接固定して構築されたもの等が挙げられる。
また、浮遊式の海上プラットフォームとしては、例えば、半潜水式の船舶等からなるものが挙げられる。
図1に示す例の貯留装置1においては、海水W上に船舶5が浮かべられ、この船舶5上に二酸化炭素供給源2が設置されている。
なお、二酸化炭素供給源2は、船舶5のような海上プラットフォーム上に設置された構成のものには限定されない。例えば、図示を省略するが、陸上に設置された二酸化炭素供給源2で生成された水を含まない二酸化炭素を、後述の圧送設備3及び配管(パイプライン)を介して、後述の圧入井4まで輸送する構成を採用してもよい。
圧送設備3は、水を含まない二酸化炭素(CO)を圧入井4に圧送するものであり、図1に示す例においては、船舶5からなる海上プラットフォーム上に設置されている。
また、図示例においては、船舶5上に設置された圧送設備3から、供給ラインLを介して、海底面Fを起点に設けられた圧入井4に二酸化炭素(CO)が供給されるように構成されている。
圧送設備3としては、この分野で従来から用いられている、液圧送用のポンプ等を何ら制限無く採用することができる。
また、圧送設備3と圧入井4とを接続する供給ラインLとしては、例えば、海水中で使用可能な金属又は樹脂材料からなる配管部材を何ら制限無く採用することができる。
なお、圧送設備3としては、上記のような、船舶5等の海上プラットフォーム上に設置されたものには限定されず、例えば、陸上や海底面Fに圧送設備を設置することも可能である。
圧入井4は、上記のように、海底面Fから所定の深さまで存在する、TPシール領域(二酸化炭素シール領域)Sを貫通するとともに、TPシール領域Sよりも下方の二酸化炭素貯留領域Gまで延在し、二酸化炭素貯留領域Gに二酸化炭素(CO)を圧入する。
圧入井4は、例えば、ボーリング等によって掘削された孔井からなる、二酸化炭素(CO)の注入・圧入孔である。
図示例の圧入井4は、垂直井として設けられているが、必要に応じて傾斜井とするか、あるいは、垂直井と水平井との組み合わせ(例:断面L字状)や、垂直井、水平井及び傾斜井を適宜組み合わせた構造とすることも可能である。また、陸上から直接、傾斜井として設置することも可能であり、この場合、二酸化炭素供給源2及び圧送設備3は陸上に設置されることになる。
なお、本実施形態の貯留装置1においては、上記各構成に加え、さらに、二酸化炭素貯留領域Gに貯留された二酸化炭素(CO)の状態、あるいは、二酸化炭素ハイドレートが生成された領域からなるTPシール領域Sの状態等を検出するための、各種モニタリング装置が備えられていてもよい。
<二酸化炭素の地中貯留方法>
以下、本発明を適用した一実施形態である二酸化炭素の地中貯留方法(以下、単に「貯留方法」と称することがある)について、図1~3を適宜参照しながら説明する。
本実施形態の貯留方法は、二酸化炭素(CO)を海底下地層U中の帯水層Aに貯留する方法である。この貯留方法は、海底面Fから所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たすTPシール領域(二酸化炭素シール領域)Sよりも下方に、水を含まない二酸化炭素(CO)を圧入して二酸化炭素貯留領域Gを形成する方法である。
本実施形態の貯留方法においては、図1に示した貯留装置1を用いて、TPシール領域Sよりも下方に二酸化炭素(CO)を圧入することで、海底下地層U中の帯水層Aに二酸化炭素(CO)を貯留することができる。
上述したように、二酸化炭素(CO)は、所定の温度及び圧力の範囲において、気体、液体、固体あるいは超臨界の4相の何れかの状態で存在する。また、二酸化炭素(CO)は、常圧下で温度194K(-79.15℃)以下の条件で固体(ドライアイス)になるが、水と混じった場合には、異なる温度と圧力の条件でハイドレート(固体)化する。例えば、図2に示した、二酸化炭素貯留領域GとTPシール領域Sとの境界を示すグラフにおいて、温度-圧力勾配曲線よりも左側は二酸化炭素ハイドレートの安定領域(CO hydrate Stable zone)であり、右側は二酸化炭素が液体(Liquid zone)状態で存在する領域である。図2において、上記の安定領域は、二酸化炭素(CO)が水と混じってハイドレート化した状態で安定して存在する、温度T及び圧力Pの範囲を示す。また、二酸化炭素ハイドレートの安定領域は、液体の二酸化炭素の領域(液相の領域)の一部と重なる。
また、二酸化炭素(CO)は、温度が31℃以上で、且つ、圧力が7.4MPa以上の場合に超臨界状態となり、密度変化は比較的緩慢になる。また、二酸化炭素(CO)は、温度が35℃以下、圧力が20MPa以下のときは、密度が海水よりも小さく、温度0℃付近で圧力が14MPa以上である場合を除き、水の密度より小さい。即ち、二酸化炭素(CO)は、液体又は超臨界状態においては、その密度は海水に比べて小さいことから、海底下地層U(図1参照)中に二酸化炭素(CO)を貯留するためには、上記の密度差によって浮上する二酸化炭素を封じ込めるためのシール機能が必要となる。
ところで、天然ガスは、一般に、在来型天然ガス、シェール・ガス、又はメタンハイドレート等の状態で地層中に存在している。
在来型天然ガスは、気密性が高い泥岩等のキャップロックがシール層として機能することで、地層中に貯まっている。
シェール・ガスは、そのDNAの分析から、石油根源岩とされる頁岩(shale)から石油(shale oil)と同時に生産されることが明らかになっている。
メタンハイドレートは、大陸縁辺の海底下地層や、永久凍土層で固体として存在することが確認されており、上記のようなキャップロックは存在しないものの、ハイドレート化する温度と圧力との条件により、所謂シール機能を果たすシール層が形成される。
上記のような、自然状態で天然ガスが存在することを、二酸化炭素貯留のナチュラルアナログ(自然類似現象)として捉えることができる。即ち、在来型天然ガス、及び、一般的な二酸化炭素の地中への貯留(帯水層貯留とも呼ばれる)は、上記のキャップロックがシール層として機能する。また、メタンハイドレート、及び、二酸化炭素ハイドレートは、ハイドレート化する温度と圧力の条件を設定することにより、シール層として利用可能である。
また、シェール・ガスは、頁岩あるいは石炭層にメタンが吸着することで存在し、二酸化炭素も吸着することが知られている。
上記のように、自然に存在する天然ガスは、それぞれ異なるシール機能で地層内に封じ込められている。このようなシール機能、即ち、自然の条件を利用することで、二酸化炭素についても地中貯留が可能となる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、液体の二酸化炭素が水と混合して固体に相変化することを、二酸化炭素を貯留するためのシール機能として用いることが可能であることを知見した。即ち、水(海水W及び海底下地層U中の間隙水)が存在することで、海底下地層U中の帯水層Aに圧入された液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素が、海底下地層内で浮上しても、温度と圧力との関係によって支配される固体への相変化(ハイドレート化)により、海水中に漏洩するのを防止できるシール機能が得られることを見出した。これにより、一般的な二酸化炭素の地中貯留(帯水層貯留)でシール層として機能するキャップロックを不要とすることが可能になる。
図3における、海面Mからの深さと海中の温度との関係、及び、海底面Fからの深さと地中の温度との関係を示すグラフに示すように、TPシール領域(TP seal layer)Sよりも深い地層では、二酸化炭素はハイドレート化しないことがわかる。このため、水を含まない二酸化炭素(CO)を、TPシール領域Sよりも下方に圧入することで、水を含まない二酸化炭素(CO)を液体又は超臨界状態で圧入することが可能になり、この圧入領域を二酸化炭素貯留領域(Liquid CO injection/storage layer)として扱うことが可能になる。即ち、二酸化炭素(CO)を液体又は超臨界状態で圧入することで、従来の方法で炭酸ガス溶解水を地中に圧入する際に問題となっていた、二酸化炭素がハイドレート生成層の圧力・温度領域を通過する際にハイドレート化し、圧入井が目詰まりするのを防止でき、大量の二酸化炭素(CO)を貯留することが可能になる。また、二酸化炭素(CO)を液体又は超臨界状態で地中に圧入することで、例えば、二酸化炭素(CO)の溶解水を生成するための装置等が不要になるので、上述したような貯留装置1を簡便な構成にすることが可能になる。
そして、帯水層Aにおける二酸化炭素貯留領域Gに圧入・貯留された液体又は超臨界状態の水を含まない二酸化炭素(CO)は、海水Wとの密度差による浮力で上昇するが、TPシール領域Sに到達したところで、二酸化炭素(CO)が自己ハイドレート化して安定する。これにより、二酸化炭素(CO)が海水W中に漏洩するのを防止できる。
本実施形態の貯留方法においては、二酸化炭素(CO)を、液体状態又は超臨界状態の何れかで、海底下地層U中の帯水層Aに向けて圧入することが好ましい。ここで、例えば、二酸化炭素(CO)を気体状態で供給した場合でも、二酸化炭素貯留領域Gにおける圧力P及び温度Tの条件下では、二酸化炭素(CO)は液体又は超臨界状態となる。一方、圧入井4を介して二酸化炭素貯留領域Gに二酸化炭素(CO)を圧入するにあたっては、気体状態よりも、液体又は超臨界状態で供給する方が、輸送効率に優れるというメリットがある。
また、本実施形態の貯留方法では、二酸化炭素がハイドレート化する温度が10℃以下で、且つ、圧力が4.5MPa以上であることから、二酸化炭素シール領域Sが、地中温度が10℃以下の領域で、且つ、水深450m以深の海底面Fから所定の深さまで存在するように、水を含まない二酸化炭素(CO)を圧入する深さを調整することが好ましい。例えば、図3のグラフに示すように、水深が1000mで、その海底面F付近の水温が5℃であると仮定すると、海底下地層U内の地中温度は深くなるにつれて上昇するため、地中温度が10℃以下の範囲で二酸化炭素はハイドレート化し、安定したTPシール領域Sを形成する。
さらに、本実施形態の貯留方法では、海面Mから600m以深における地中温度が20℃以上であるとき、水を含まない二酸化炭素(CO)を、当該深さに圧入することが好ましい。このように、水を含まない二酸化炭素(CO)を、海面Mから600m以深の深さでTPシール領域Sの下方に圧入すること、つまり、圧入位置の温度及び圧力の条件が、二酸化炭素が液相状態となるような条件の深さで二酸化炭素(CO)を圧入すれば、二酸化炭素がハイドレート化することがなく、圧入井4が目詰まりするのを防止できる(図3のグラフも参照)。従って、二酸化炭素貯留領域Gにおいて、二酸化炭素(CO)を液体又は超臨界状態で圧入・貯留できる。
二酸化炭素(CO)の圧入条件としては、特に限定されないが、例えば、地中の温度Tが20℃のときには、二酸化炭素貯留量域Gにおける圧力Pが6MPa以上となるように、二酸化炭素(CO)を注入・圧入することが好ましい。このように、二酸化炭素(CO)の圧入に関して、地中の温度Tに基づいて二酸化炭素(CO)を圧入する深さを調整することで、二酸化炭素(CO)を液体又は超臨界状態で安定させた状態で圧入することが可能になる。
なお、本実施形態においては、TPシール領域Sの地層厚については特に限定されない。しかしながら、TPシール領域Sのシール性を向上させるため、即ち、二酸化炭素貯留領域Gに貯留された二酸化炭素(CO)が海水W中に漏洩するのを確実に防止するため、TPシール領域Sの地層厚を、少なくとも100m以上で確保することが好ましい。このように、TPシール領域Sの地層厚を所望の厚さで確保する方法としては、例えば、事前調査により、海底下地層Uの温度と圧力の状況を十分に把握した上で、圧入井4の深さを、TPシール領域Sの地層厚が所定の寸法となるように設定し、水を含まない二酸化炭素(CO)の圧入深さ(圧入深さ)を最適化することが好ましい。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の二酸化炭素の地中貯留方法によれば、二酸化炭素(CO)を地中に貯留する際の目詰まりが生じることなく、且つ、効率良く大量の二酸化炭素(CO)を貯留することが可能になる。
また、本発明の二酸化炭素の地中貯留装置によれば、簡便な構成によって、上述の二酸化炭素の地中貯留方法に適用できる。
なお、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
本発明の二酸化炭素の地中貯留方法及び地中貯留装置は、二酸化炭素を地中に貯留する際の目詰まりを防止し、且つ効率良く大量の二酸化炭素を貯留することができるので、例えば、各種プラントにおいて、化石燃料を用いて発電しながら二酸化炭素を回収し、この二酸化炭素を地中に貯留することで排出量を削減する用途において非常に好適である。
1…二酸化炭素の地中貯留装置(貯留装置)
2…二酸化炭素供給源
3…圧送設備
4…圧入井
5…船舶
L…供給ライン
M…海面
W…海水
F…海底面
U…海底下地層
A…帯水層
S…TPシール領域(二酸化炭素シール領域)
G…二酸化炭素貯留領域

Claims (2)

  1. 二酸化炭素を海底下地層中の帯水層に貯留する方法であって、
    海底面から所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たす二酸化炭素シール領域よりも下方に、水を含まない二酸化炭素を圧入して二酸化炭素貯留領域を形成し、
    前記二酸化炭素シール領域は、地中温度が10℃以下の領域であり、且つ、水深450m以深の海底面から所定の深さまで存在するとともに、地層厚が100m以上であり、さらに、前記二酸化炭素貯留領域に圧入された水を含まない二酸化炭素が、海水との密度差による浮力で上昇して自己ハイドレート化する領域であり、
    海面から600m以深において、地中温度が20℃以上であるとき、前記二酸化炭素貯留領域における圧力が6MPa以上となるように、水を含まない二酸化炭素を圧入する深さを調整して圧入する、二酸化炭素の地中貯留方法。
  2. 液体状態又は超臨界状態の二酸化炭素を圧入する、請求項1に記載の二酸化炭素の地中貯留方法
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