以下、図面と共に本発明に係る通信システムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1から図3を参照して、本実施形態に係る通信システム1について説明する。図1は、通信システム1の全体構成を示す図である。図2は、同一の通信網における着信制御を説明するための概念図である。図3は、異なる通信網における着信制御を説明するための概念図である。
通信システム1は、2以上の複数の通信網への着信制御を実行する。本実施形態では、通信システム1は、図1に示されているRAT10(Radio Access Technology)に含まれている複数の通信網への着信制御を実行する。本実施形態では、RAT10は、図1に示されているように、3G網11及びLTE網12の2つの通信網を含んでいる。3G網11は、SGSN13(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)を含んでおり、LTE網12は、MME14(Mobility Management Entity)を含んでいる。SGSN13及びMME14は、それぞれ加入者プロファイルを保持している。加入者プロファイルには、加入者が有している通信端末(UE(User Equipment);以下、単に「端末」という)19の在圏状況が含まれている。通信システム1においては、この在圏状況を纏めて管理することで、複数の通信網のうちで端末が在圏している通信網を判断できる。
通信システム1は、HSS15(Home Subscriber Service;情報管理部)とIMS16(IP Multimedia Subsystem;着信処理部)とを備えている。HSS15は、ユーザ情報データベースであり、上述したRAT10に含まれる複数の通信網に在圏している端末19の在圏情報(プロファイル)を管理する。具体的には、HSS15は、端末19から送信された位置登録信号に基づいて、複数の通信網のうちで端末19が在圏している通信網を示す在圏情報を管理する。
本実施形態では、端末19がSGSN13又はMME14に位置登録信号を送信し、HSS15はSGSN13又はMME14から位置登録信号を受信する。位置登録信号には、端末19の在圏状況が含まれている。HSS15は、受信した位置登録信号に基づいて、SGSN13から取得された端末19の在圏情報(3G情報)と、MME14から取得された端末19の在圏情報(LTE情報)とを管理する。この3G情報は、端末19が3G網11に在圏した際にSGSN13を経由して送信した位置登録信号を基に登録されるものであり、このLTE情報は、端末19がLTE網12に在圏した際にMME14を経由して送信した位置登録信号を基に登録されるものである。
IMS16は、端末19に対して提供する通信サービスをSIP(Session Initiation Protocol)で統合してマルチメディアサービスとして実現させるものとして、3GPPで標準化された通信システムである。SIPとは、IP(Internet Protocol)技術及びインターネット電話で使われるプロトコルである。IMS16は、発信側の端末19(以下、発信側の端末を「発信端末」という。)からの着信要求に応じて、HSS15から着信先の端末19(以下、着信先の端末を「着信端末」という。)に対応する在圏情報を取得する。IMS16は、HSS15から取得された在圏情報に基づいて、RAT10における通信網に対して着信制御を行う。これによって、着信端末19に対して着信制御が実行される。
通信システム1は、通信システム1によって構成されている通信網(以下、「ホーム通信網」という。)21と端末19が在圏しているRAT10によって構成されている通信網(以下、「在圏通信網」という。)22とが異なる通信事業者(以下、「オペレータ」という。)に属する場合、すなわち、端末19がローミングアウトしている場合に、ローミングに対応した着信制御を実行する。図2は、ホーム通信網21が、在圏通信網22と同一のオペレータに属する状況を示している。図3は、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属する状況を示している。すなわち、図3に示されている状況では、着信端末19がローミングアウトしている。
本実施形態において、「ローミング」とは、着信端末19が在圏している通信網が、ホーム通信網21とは異なるオペレータに属する場合に通信を可能とすることをいう。「ローミングアウト」とは、ホーム通信網21と異なるオペレータに属する通信網に端末19が在圏していることをいう。本実施形態において、「ローミング」及び「ローミングアウト」は、端末19が国外のオペレータの通信網に在圏している場合に限定されない。通信システム1は、例えば、着信端末19が在圏している通信網が属するオペレータが、通信システム1によって構成される通信網が属するオペレータと異なる場合に、ローミングに対応した着信制御を実行する。
図2及び図3に示されているように、HSS15は、3GPPにおいて標準化されたインターフェースであるGr又はS6dによってSGSN13からプロファイルを取得する。GrのプロトコルはMAPであり、S6dのプロトコルはDiameterである。HSS15は、3GPPにおいて標準化されたインターフェースであるS6aによってMME14からプロファイルを取得する。S6aのプロトコルは、Diameterである。
図2に示されている状況では、着信端末19は、通信システム1が接続されているホーム通信網21と同一のオペレータに属する通信網に在圏している。このため、HSS15とRAT10との間の通信でプロトコルのアンマッチは生じ難い。例えば、HSS15は、SGSN13と同一のプロトコル(MAP又はDiameter)に準拠して事前に設計されたインタフェースを用いることによって、常にSGSN13からプロファイルを取得することができる。
一方、図3に示されている状況では、着信端末19は、通信システム1が接続されているホーム通信網21と異なるオペレータに属する通信網に在圏している。このため、HSS15とRAT10との間の通信でプロトコルのアンマッチが生じるおそれがある。例えば、HSS15とSGSN13とが、互いに異なるプロトコル(MAP又はDiameter)に準拠したインタフェースを有する場合がある。通信システム1は、このような場合にも適切な着信制御を実現することができる。
次に、図4~図6を参照して、HSS15及びIMS16の機能的な構成について詳細に説明する。HSS15は、信号通信部31と、在圏判定部32と、情報制御部33と、データベース34とを有する。信号通信部31は、RAT10及びIMS16からの信号の受信処理を行う。本実施形態では、信号通信部31は、RAT10に含まれるSGSN13及びMME14から位置登録信号を受信し、IMS16から着信要求(後述する在圏情報要求)を受信する。位置登録信号には、端末19(着信端末となり得る端末)の在圏状況が含まれている。換言すれば、信号通信部31は、RAT10から、複数の通信網のうちで端末19が在圏している通信網を示す在圏情報を受信する。信号通信部31は、着信要求に基づいて、着信端末19の最新の在圏情報をデータベース34から読み出し、読み出した在圏情報をIMS16に送信する。
在圏判定部32は、信号通信部31が位置登録信号又は着信要求を受信したことに応じて、端末19がローミングアウトしているか否かを判定する。情報制御部33は、データベース34に記憶する情報を制御する。データベース34は、複数の通信網のうちで端末19が在圏している通信網を示す在圏情報を記憶している。
本実施形態では、情報制御部33は、在圏判定部32において端末19がローミングアウトしていると判定した場合に、当該端末19の在圏情報を位置登録信号に基づいてデータベース34に記憶する。換言すれば、情報制御部33は、ローミングアウトしている端末19から送信された位置登録信号に基づいて、複数の通信網のうちで端末19が在圏している通信網を示す在圏情報を管理する。具体的には、情報制御部33は、複数の通信網の各々に対する端末19の在圏状況のうち、当該端末19の在圏が最後に確認された通信網に対する在圏状況をデータベース34内に保持し、他の通信網に対する在圏状況をデータベース34から削除する。
図5は、HSS15のデータベース34に記憶される情報の一例を示している。図5に示されている例では、データベース34は、Subscriber ID毎に、在圏状況としてMMEname又はSGSNnumberのいずれかを排他的に記憶している。Subscriber IDは、それぞれの端末19を識別する文字列又は数字である。MMEnameは、HSS15と通信可能な複数のMME14の各々を識別する文字列又は数字である。SGSNnumberは、HSS15と通信可能な複数のSGSN13の各々を識別する文字列又は数字である。MMEname又はSGSNnumberから通信網が属するオペレータを識別することができる。
データベース34は、MMEnameの欄に、各端末19の在圏が確認されたMME14を識別するMMEnameを記憶している。データベース34は、SGSNnumberの欄に、各端末19の在圏が確認されたSGSN13を識別するSGSNnumberを記憶している。すなわち、データベース34に記憶されているMMEname又はSGSNnumberは、端末19が在圏している通信網を排他的に示す在圏情報である。本実施形態では、情報制御部33は、端末19の在圏が最後に確認された通信網(3G網11又はLTE網12)に対応する在圏情報(MMEname又はSGSNnumber)をデータベース34に保持し、他の通信網(3G網11又はLTE網12)に対応する在圏情報(MMEname又はSGSNnumber)をデータベース34から削除する。したがって、データベース34には、端末19の在圏が最後に確認された通信網の在圏状況のみが保持されているため、複数の通信網のうちで端末19が在圏している通信網を識別できる。
IMS16は、着信要求受信部41と、在圏情報要求部42と、在圏情報受信部43と、着信制御部44とを有している。着信要求受信部41は、発信端末から着信要求を受信する。
在圏情報要求部42は、発信端末から着信要求を受けると、着信端末19についてHSS15の信号通信部31に在圏情報要求を行う(着信要求を送信する)。本実施形態では、在圏情報要求部42は、HSS15の信号通信部31にT-ADS(Terminating-Access Domain Selection)要求を行う。「T-ADS」とは、HSS15にてSGSNnumber及びMMEnameを管理し、着信時にこれらを参照してRAT10に着信端末19の最終位置登録時刻を問い合わせ(在圏状況に関する問い合わせ)を行うことで、最新のRAT10を特定する機能である。「T-ADS要求」とは、HSS15に着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを要求することをいう。
HSS15は、信号通信部31において在圏情報要求部42から在圏情報要求(着信要求)を受信したことに応じて、在圏判定部32において着信端末19がローミングアウトしているか否かを判定する。本実施形態では、在圏判定部32は、データベース34に記憶されているMMEname又はSGSNnumberから、着信端末19が在圏している在圏通信網22が属するオペレータを判定し、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属している場合に、ローミングアウトしていると判定する。HSS15は、着信端末19がローミングアウトしていると判定した場合に、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを行わない。HSS15は、着信端末19がローミングアウトしていないと判定した場合に、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)に対して上記問い合わせを行う。
在圏情報受信部43は、HSS15の信号通信部31から、着信端末19に対応する在圏情報を受信(取得)する。本実施形態では、在圏情報受信部43は、HSS15からT-ADS応答を受信する。「T-ADS応答」とは、着信端末19の在圏情報を返すことをいう。
着信制御部44は、在圏情報受信部43において受信した在圏情報に基づいて、着信制御の対象の通信網を複数の通信網のうちから決定する。例えば、着信制御部44は、在圏情報として、SGSNnumberを受信した場合には、SGSNnumberに対応した3G網11を着信制御の対象の通信網として決定し、3G網11を経由して着信端末19に対して着信制御を実行する。その一方で、着信制御部44は、在圏情報として、MMEnameを受信した場合には、MMEnameに対応したLTE網12を着信制御の対象の通信網として決定し、LTE網12を経由して着信端末19に対して着信制御を実行する。
次に、図7から図14を参照して、通信システム1が行う着信制御について詳細に説明する。まず、図7及び図8を参照して、端末19がLTE網12に在圏している場合の位置登録について詳細に説明する。図7は、端末19がLTE網12に在圏している場合の位置登録を説明するための概念図である。図8は、端末19がLTE網12に在圏している場合の位置登録を説明するためのシーケンス図である。
まず、在圏通信網22において、LTE網12に在圏している端末19は、MME14に対して位置登録信号を送信し、MME14にアタッチ(位置登録)を要求する(ステップS1)。MME14は、端末19からアタッチを要求されると、ホーム通信網21のHSS15に対して位置登録信号を送信し、HSS15にアタッチ(位置登録)を要求する(ステップS2)。この際、MME14が送信する位置登録信号には、端末19に対応するプロファイルが含まれている。HSS15は、MME14から位置登録信号を受信してアタッチを要求されると、在圏判定部32によって、端末19がローミングアウトしているか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、HSS15は、在圏判定部32によって、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属する通信網であるか否かを判定する。
在圏判定部32によって端末19がローミングアウトしていると判定された場合には(ステップS3;YES)、HSS15は、情報制御部33によって、位置登録信号に基づいて、端末19が在圏しているLTE網12を示す在圏情報(LTE情報)をデータベース34に記憶する(ステップS4)。さらに、情報制御部33は、端末19についてデータベース34に記憶されている3G網11の在圏情報(3G情報)を削除(クリア)する(ステップS4)。続いて、HSS15は、在圏通信網22のSGSN13に対して、端末19に関するプロファイル削除を要求する(ステップS5)。SGSN13は、HSS15からプロファイル削除を要求されると、SGSN13内で保持されている端末19に関するプロファイルを削除する(ステップS6)。
在圏判定部32によって端末19がローミングアウトしていないと判定された場合には(ステップS3;NO)、HSS15は、情報制御部33によって、位置登録信号に基づいて端末19が在圏しているLTE網12を示す在圏情報(LTE情報)をデータベース34に記憶する(ステップS7)。この際、本実施形態では、情報制御部33は、端末19についてデータベース34に記憶されている3G網11の在圏情報(3G情報)をそのまま保持する(ステップS7)。
次に、図9及び図10を参照して、端末19が3G網11に在圏している場合の位置登録について詳細に説明する。図9は、端末19が3G網11に在圏している場合の位置登録を説明するための概念図である。図10は、端末19が3G網11に在圏している場合の位置登録を説明するためのシーケンス図である。
まず、在圏通信網22において、3G網11に在圏している端末19は、SGSN13に対して位置登録信号を送信し、SGSN13にアタッチ(位置登録)を要求する(ステップS11)。SGSN13は、端末19からアタッチを要求されると、ホーム通信網21のHSS15に対して位置登録信号を送信し、HSS15にアタッチ(位置登録)を要求する(ステップS12)。この際、SGSN13が送信する位置登録信号には、端末19に対応するプロファイルが含まれている。HSS15は、SGSN13から位置登録信号を受信してアタッチを要求されると、在圏判定部32によって、端末19がローミングアウトしているか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、HSS15は、在圏判定部32によって、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属する通信網であるか否かを判定する。
在圏判定部32によって端末19がローミングアウトしていると判定された場合には(ステップS13;YES)、HSS15は、情報制御部33によって、位置登録信号に基づいて、端末19が在圏している3G網11を示す在圏情報(3G情報)をデータベース34に記憶する(ステップS14)。さらに、情報制御部33は、端末19についてデータベース34に記憶されているLTE網12の在圏情報(LTE情報)を削除(クリア)する(ステップS14)。続いて、HSS15は、在圏通信網22のMME14に対して、端末19に関するプロファイル削除を要求する(ステップS15)。MME14は、HSS15からプロファイル削除を要求されると、MME14内で保持されている端末19に関するプロファイルを削除する(ステップS16)。
在圏判定部32によって端末19がローミングアウトしていないと判定された場合には(ステップS13;NO)、HSS15は、情報制御部33によって、位置登録信号に基づいて端末19が在圏している3G網11を示す在圏情報(3G情報)をデータベース34に記憶する(ステップS17)。この際、本実施形態では、情報制御部33は、端末19についてデータベース34に記憶されているLTE網12の在圏情報(LTE情報)をそのまま保持する(ステップS17)。
次に、図11及び図12を参照して、ローミングアウトしている着信端末19がLTE網12に在圏している場合の着信制御について詳細に説明する。図11は、着信端末19がLTE網12に在圏している場合の着信制御を説明するための概念図である。図12は、着信端末19がLTE網12に在圏している場合の着信制御を説明するためのシーケンス図である。
まず、ホーム通信網21において、発信端末19は、IMS16に着信要求を行う(ステップS21)。IMS16は、発信端末19から着信要求を受けると、在圏情報要求部42によってHSS15に在圏情報要求(着信要求)を行う。本実施形態では、在圏情報要求部42は、HSS15に対して、在圏情報要求としてT-ADS要求を行う(ステップS22)。
HSS15は、IMS16の在圏情報要求部42から在圏情報要求(着信要求)を受けると、在圏判定部32によって、着信端末19がローミングアウトしているか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、HSS15は、在圏判定部32によって、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属する通信網であるか否かを判定する。
在圏判定部32によって着信端末19がローミングアウトしていると判定されると、HSS15は、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)を含むRAT10に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを抑止する(ステップS24)。この際、HSS15は、上記問い合わせを行わずに、データベース34に記憶されている在圏情報から着信端末19に対応する最新の在圏情報を取得し、IMS16に対して、当該在圏情報に基づいた接続指示を行う。
図11及び図12に示されている状況では、データベース34には、着信端末19の在圏情報として、LTE網12の在圏情報(LTE情報)のみが記憶されており、他の通信網の在圏情報(例えば、3G情報)は記憶されていない。したがって、HSS15は、T-ADS応答としてLTE情報をIMS16に送信し、着信端末19へのLTE網12を経由した接続(LTE接続)をIMS16に指示する(ステップS25)。
なお、本実施形態では、在圏判定部32によって着信端末19がローミングアウトしていないと判定された場合には、HSS15は、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)を含むRAT10に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを行う。例えば、HSS15は、SGSN13及びMME14に対して着信端末19が最後に在圏していた時刻の問い合わせを行う。この場合、HSS15は、T-ADS応答として、IMS16に対して、各通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)からの問い合わせ応答の結果に基づいた接続指示を行う。
IMS16は、在圏情報受信部43において、HSS15からT-ADS応答として在圏情報を受信(取得)し、当該在圏情報に基づいて、着信制御の対象の通信網を複数の通信網のうちから決定する。図11及び図12に示されている状況では、IMS16は、在圏情報としてLTE情報を受信する。その結果、IMS16は、RAT10から着信制御の対象の通信網をLTE網12と決定し、着信端末19が在圏している在圏通信網22のMME14にVoLTE着信を行う(ステップS26)。
次に、図13及び図14を参照して、ローミングアウトしている着信端末19が3G網11に在圏している場合の着信制御について詳細に説明する。図13は、着信端末19が3G網11に在圏している場合の着信制御を説明するための概念図である。図14は、着信端末19が3G網11に在圏している場合の着信制御を説明するためのシーケンス図である。
まず、ホーム通信網21において、発信端末19は、IMS16に着信要求を行う(ステップS31)。IMS16は、発信端末19から着信要求を受けると、在圏情報要求部42によってHSS15に在圏情報要求(着信要求)を行う。本実施形態では、在圏情報要求部42は、HSS15に対してT-ADS要求を行う(ステップS32)。
HSS15は、IMS16の在圏情報要求部42から在圏情報要求(着信要求)を受けると、在圏判定部32によって、着信端末19がローミングアウトしているか否かを判定する(ステップS33)。すなわち、HSS15は、在圏判定部32によって、ホーム通信網21と在圏通信網22とが異なるオペレータに属する通信網であるか否かを判定する。
在圏判定部32によって着信端末19がローミングアウトしていると判定されると、HSS15は、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)を含むRAT10に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを抑止する(ステップS34)。この際、HSS15は、上記問い合わせを行わずに、当該着信端末19に関してデータベース34に記憶されている在圏情報から着信端末19に対応する最新の在圏情報を取得し、IMS16に対して、当該在圏情報に基づいた接続指示を行う。図13及び図14に示されている状況では、データベース34には、着信端末19の在圏情報として、3G網11の在圏情報(3G情報)のみが記憶されており、他の通信網の在圏情報(例えば、LTE情報)は記憶されていない。したがって、HSS15は、T-ADS応答として3G情報をIMS16に送信し、着信端末19への3G網11を経由した接続(3G接続)をIMS16に指示する(ステップS35)。
なお、本実施形態では、在圏判定部32によって着信端末19がローミングアウトしていないと判定された場合には、HSS15は、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)を含むRAT10に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを行う。例えば、HSS15は、SGSN13及びMME14に対して着信端末19が最後に在圏していた時刻の問い合わせを行う。この場合、HSS15は、T-ADS応答として、IMS16に対して、各通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)からの問い合わせ応答の結果に基づいた接続指示を行う。
IMS16は、在圏情報受信部43において、HSS15からT-ADS応答として在圏情報を受信(取得)し、当該在圏情報に基づいて、着信制御の対象の通信網を複数の通信網のうちから決定する。図11及び図12に示されている状況では、IMS16は、在圏情報として3G情報を受信する。その結果、IMS16は、RAT10から着信制御の対象の通信網を3G網11と決定し、着信端末19が在圏している在圏通信網22のSGSN13に3G着信を行う(ステップS36)。
次に、本実施形態に係る通信システム1の主な作用及び効果について説明する。
通信システム1では、ローミングアウトしている端末19から送信された位置登録信号に基づいて、複数の通信網(例えば、3G網11及びLTE網12)のうちで端末19が在圏している通信網を示す在圏情報が管理される。当該在圏情報に基づいて、着信制御の対象の通信網が複数の通信網のうちから決定されるため、着信端末19が在圏している通信網に用いられているプロトコルに関係なく、着信制御の対象の通信網を適切に決定することができる。したがって、着信端末19がローミングアウトしている場合であっても、適切な着信制御を実現できる。
IMS16は、発信端末19からの着信要求をHSS15に送信する。HSS15は、IMS16から着信要求を受信したことに応じて、着信端末19がローミングアウトしているか否かを判定する。HSS15は、着信端末19がローミングアウトしていると判定した場合に、複数の通信網に対して着信端末19の在圏状況に関する問い合わせを行わない。このため、着信端末19が在圏している通信網とHSS15とで着信制御のためのプロトコルが異なっている場合に、不要な問い合わせ処理を省略することができる。
HSS15は、着信端末19がローミングアウトしていないと判定した場合に、複数の通信網に対して上記問い合わせを行う。このため、ローミングアウトしていない場合には、より確実な在圏情報に基づいて適切な着信制御を実行することができる。
HSS15は、複数の通信網の各々に対する端末19の在圏状況のうち、当該端末19の在圏が最後に確認された通信網に対する在圏状況を保持し、他の通信網に対する在圏状況を削除する。このため、より簡単な処理で着信制御の対象の通信網を適切に決定することができる。
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施の形態における通信システムは、本実施形態における処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図15は、本発明の一実施の形態に係る通信システムのハードウェア構成の一例を示す図である。上述した通信システム1のHSS15及びIMS16は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。通信システム1のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
通信システム1における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、HSS15における在圏判定部32及び情報制御部33、並びに、IMS16における在圏情報要求部42及び着信制御部44などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、HSS15における在圏判定部32及び情報制御部33、並びに、IMS16における在圏情報要求部42及び着信制御部44は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信システム1は、通信装置1004による外部との通信によってストレージ1003の内部のデータを書き換えてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、通信システム1は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
例えば、本実施形態では、HSS15が3G情報とLTE情報とを排他的に管理する例を説明したが、HSS15は、これ以外の通信網の情報を管理してもよいし、3つ以上の通信網の情報を管理してもよい。
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRCConnection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書において特定の装置によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。例えば、特定の装置が基地局であった場合においては、当該基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
情報等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明したデータは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
端末19は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。