JP7143111B2 - 無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法および腐食診断装置 - Google Patents

無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法および腐食診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法および腐食診断装置に関する。
鋼構造物では、維持管理コスト低減などを目的として、無塗装で大気に暴露しておくと表面に腐食進行を抑制する保護性さび(環境遮断性さび、安定さびとも呼ばれる)が徐々に形成される耐候性鋼を使用する場合がある。このような無塗装の耐候性鋼を主体とする鋼構造物は無塗装耐候性鋼構造物と呼ばれ、無塗装耐候性鋼橋梁などが例として挙げられる。しかし、海からの飛来塩分や凍結防止剤の使用などによる影響で、この無塗装耐候性鋼でも腐食して異常さびが発生する場合がある。このような異常さびの補修塗装には多くの労力やコストがかかり、また、予防保全という観点からも、無塗装耐候性鋼構造物においては、早期に異常さびを検知して補修することが重要であり、定期的な点検・腐食診断が欠かせない。
例えば、無塗装耐候性鋼橋梁の腐食診断方法としては、従来、無塗装耐候性鋼橋梁に形成したさびの目視観察から評価・診断する方法が一般的であった。しかし、この方法には、結果が評価者の熟練度に左右されやすいという課題があった。そこで、近年では、特許文献1や特許文献2に記載のような装置などによって無塗装耐候性鋼橋梁に形成したさびのイオン透過抵抗値を測定し、このイオン透過抵抗値と前記さびのさび厚から診断する方法(イオン透過抵抗法)も多く行われている。
特開2005-274138号公報 特開2016-217822号公報
しかし、前記イオン透過抵抗法も、無塗装耐候性鋼橋梁の建設完了からの経過年数を考慮した診断基準がないため、この経過年数にかかわらず同じ診断基準で腐食診断することとなり、現状では、無塗装耐候性鋼橋梁の建設完了から10年以上経過したさびの状態を観察しなければ正確な診断および対策ができない。
したがって、無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断については、早期にかつ定量的に診断を行うために、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了からの経過年数も考慮した新たな診断基準で診断する方法の開発が求められているといえる。
そこで、本発明は、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了からの経過年数を考慮した腐食診断方法および腐食診断装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断において、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、この測定データに基づき、その測定時期が前記無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満、4年以上9年未満、9年以上のいずれであるかにより、それぞれ異なる診断基準によって診断することで、このさびの状態を早期にかつ定量的に診断することができ、かつこのさびの状態に基づいた補修対策検討をより的確に行うことができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の(1)~(5)である。
(1)無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が250μm超400μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が400μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
(2)無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から4年以上9年未満において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が350μm超600μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が600μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
(3)無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から9年以上において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が400μm超800μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
前記さび厚が800μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
(4)前記無塗装耐候性鋼構造物が無塗装耐候性鋼橋梁である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
(5)(1)~(4)のいずれか1つに記載の無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法を行うための腐食診断装置。
本発明によれば、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについて、前記無塗装耐候性鋼構造物の建設完了からの経過年数に応じて異なる診断基準で診断することで、このさびの状態を早期にかつ定量的に診断することができ、かつこのさびの状態に基づいた補修対策検討をより的確に行うことができる。
本発明における、その建設完了からの経過年数が1年以上4年未満である無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについての診断基準を示す図である。なお、横軸は無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚を、縦軸は無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのイオン透過抵抗値を表す。 本発明における、その建設完了からの経過年数が4年以上9年未満である無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについての診断基準を示す図である。なお、縦軸および横軸は、図1の場合と同じである。 本発明における、その建設完了からの経過年数が9年以上である無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについての診断基準を示す図である。なお、縦軸および横軸は、図1および図2の場合と同じである。 実施例1で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~3の診断基準にプロットした診断図を示す。図4(a)が暴露から3年(暴露3年)、図4(b)が暴露から5年(暴露5年)、図4(c)が暴露から15年(暴露15年)での診断図である。 実施例2で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~3の診断基準にプロットした診断図を示す。図5(a)が暴露から3年(暴露3年)、図5(b)が暴露から8年(暴露8年)、図5(c)が暴露から14年(暴露14年)での診断図である。 実施例3で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~2の診断基準にプロットした診断図を示す。図6(a)が暴露から3年(暴露3年)、図6(b)が暴露から7年(暴露7年)での診断図である。 実施例4で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~3の診断基準にプロットした診断図を示す。図7(a)が暴露から3年(暴露3年)、図7(b)が暴露から5年(暴露5年)、図7(c)が暴露から10年(暴露10年)での診断図である。 実施例5で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~2の診断基準にプロットした診断図を示す。図8(a)が暴露から3年(暴露3年)、図8(b)が暴露から5年(暴露5年)での診断図である。 実施例6で測定した、暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値データを、測定時の暴露年数に応じて図1~3の診断基準にプロットした診断図を示す。図9(a)が暴露から3年(暴露3年)、図9(b)が暴露から5年(暴露5年)、図9(c)が暴露から10年(暴露10年)での診断図である。
本発明について説明する。
本発明は無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法および腐食診断装置であって、無塗装耐候性鋼構造物に使用されている耐候性鋼の表面に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、この測定データに基づき、その測定時期が前記無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満、4年以上9年未満、9年以上のいずれであるかによって、3つの異なる診断基準でこのさびの状態を診断する方法、および、前記方法を行うための腐食診断装置である。
なお、本発明において「無塗装耐候性鋼構造物」とは、無塗装の耐候性鋼を主体とする鋼構造物を意味し、例えば、無塗装耐候性鋼橋梁、無塗装耐候性鋼鉄塔などが含まれる。本発明は、特に、無塗装耐候性鋼橋梁への適用が極めて好適である。また、本発明において「耐候性鋼」とは、Cu、Cr、Ni、Ti、Moなどの合金元素を適量含有し、大気中での適度な乾湿の繰り返しにより表面に緻密なさび(保護性さび)を形成し得る鋼材を意味する。耐候性鋼としては、例えば、JIS G 3114に規定される溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(SMA)、JIS G 3125に規定される高耐候性圧延鋼材(SPA-H、SPA-C)などを挙げることができる。また、その形状、大きさ等については特に限定されず、例えば、I形鋼、H形鋼、山形鋼等であってもよい。
まず、本発明における、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満においての腐食診断方法について説明する。
無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満においては、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについて、そのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、この測定データに基づき、本発明者が設定した図1に示す診断基準において5つの区分のいずれに区分されるかを確認し、診断を行う。具体的には、前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には、前記さびは初期さびに区分され(図1のI-5領域)、補修を行う必要がない(損傷が認められないか、損傷が軽微である)と診断する(A1)。前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には、前記さびは保護性さびに区分され(図1のI-4領域)、補修を行う必要がないと診断する(A2)。前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には、前記さびは未成長さび(不安定さび)に区分され(図1のI-3領域)、状況に応じて補修を行う必要がある(将来、補修を行う必要性が生じる可能性がある)と診断する(B)。前記さび厚が250μm超400μm以下の場合には、前記さびは要観察さびに区分され(図1のI-2領域)、予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(将来、耐荷力に問題が発生する可能性がある)と診断する(C1)。前記さび厚が400μm超の場合には、前記さびは異常さびに区分され(図1のI-1領域)、構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要がある(現段階において、耐荷力に問題がある可能性がある)と診断する(C2)。
なお、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚測定(単位:μm)は、公知の測定方法で行えば良く、特段限定はされない。例えば、電磁膜厚計、磁気膜厚計、超音波膜厚計、Vカット式膜厚計などを用いる方法が示される。特に、電磁膜厚計を用いて測定を行うのが、さび厚をより簡易に測定できるという点で好ましい。
また、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのイオン透過抵抗値測定(単位:kΩ)も、公知の測定方法で行えば良く、特段限定はされないが、特に、シリンダーと電極からなるプローブを被測定物に当て電気化学的交流インピーダンズ法により測定を行う、特許文献1または2に示されるようなイオン透過抵抗測定装置を用いるのが、イオン透過抵抗値をより簡易に測定できるという点で好ましい。
ここで、イオン透過抵抗値とは、無塗装耐候性鋼表面を覆う物質のイオンの移動に対する抵抗値を意味し、イオン透過抵抗値が高いほど酸素や水などを通しにくいといえる。イオン透過抵抗値測定に際しては、剥離したさびが認められる場合には、測定値が不均一となるのを防ぐため、この剥離したさびをハンマーやヘラなどで除去してから測定を行うのが好ましい。
次に、本発明における、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から4年以上9年未満においての腐食診断方法について説明する。
無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から4年以上9年未満においては、同様に、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについて、そのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、この測定データに基づき、本発明者が設定した図2に示す診断基準において5つの区分のいずれに区分されるかを確認し、診断を行う。具体的には、前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には、前記さびは初期さびに区分され(図2のI-5領域)、補修を行う必要がないと診断する(A1)。前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には、前記さびは保護性さびに区分され(図2のI-4領域)、補修を行う必要がないと診断する(A2)。前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には、前記さびは未成長さび(不安定さび)に区分され(図2のI-3領域)、状況に応じて補修を行う必要があると診断する(B)。前記さび厚が350μm超600μm以下の場合には、前記さびは要観察さびに区分され(図2のI-2領域)、予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断する(C1)。前記さび厚が600μm超の場合には、前記さびは異常さびに区分され(図1のI-1領域)、構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断する(C2)。
次に、本発明における、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から9年以上においての腐食診断方法について説明する。
無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から9年以上においては、これも同様に、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについて、そのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、この測定データに基づき、本発明者が設定した図3に示す診断基準において5つの区分のいずれに区分されるかを確認し、診断を行う。具体的には、前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には、前記さびは初期さびに区分され(図3のI-5領域)、補修を行う必要がないと診断する(A1)。前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には、前記さびは保護性さびに区分され(図3のI-4領域)、補修を行う必要がないと診断する(A2)。前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には、前記さびは未成長さび(不安定さび)に区分され(図3のI-3領域)、状況に応じて補修を行う必要があると診断する(B)。前記さび厚が400μm超800μm以下の場合には、前記さびは要観察さびに区分され(図3のI-2領域)、予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断する(C1)。前記さび厚が800μm超の場合には、前記さびは異常さびに区分され(図3のI-1領域)、構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断する(C2)。
なお、図1~3に示すさびの区分およびさびの状態、ならびに診断区分および診断の内容を、下記表1および表2にまとめて示した。ここで、本発明において「初期さび」とは耐候性鋼表面に形成し始めたさび、「保護性さび」とは酸素や水を通しにくく腐食進行を抑制するさび、「未成長さび(不安定さび)」とは異常さびへの成長途中であると考えられるさび、「要観察さび」とは異常状態に近く観察が必要なさび、「異常さび」とは異常状態である(腐食が進行した)さびを意味する。
Figure 0007143111000001
Figure 0007143111000002
本発明は、診断時期(無塗装耐候性鋼構造物の建設完了からの経過年数)によって、さび状態を区分するさび厚やイオン透過抵抗値を細かく変えていることが大きな特徴である。一例を挙げれば、本発明では、イオン透過抵抗値1.0kΩ以下における初期さびと未成長さび(不安定さび)を区分するさび厚について、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満では150μmに、4年以上9年未満では250μmに、9年以上では300μmに設定されている。
そして、本発明により、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびについて補修の必要があると診断した場合は、前記さびを表面塗装や当板などによって補修を行う。本発明では、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から数年程度においても、その時期に応じた腐食診断基準により無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびの状態を診断するため、早期な補修対応が可能となる。
さらに、本発明では、無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満および/または4年以上9年未満における腐食診断結果から、無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびの状態が将来的にどのようになるか(補修が必要となるか)、およびその補修対策を予測可能であることも特徴である。つまり、本発明は、無塗装耐候性鋼構造物について、将来的にいつどのような補修を行うかという維持管理目標設定に利用することができ、早期に補修対策を講じることができる。
さらには、本発明は、無塗装耐候性鋼構造物の建設場所における飛来塩分量や凍結防止剤使用の有無にかかわらず、また暴露方向(水平、垂直など)にかかわらず、様々な建設場所および設置方向の無塗装耐候性鋼構造物についての腐食診断に適用できる的確で信頼性の高い方法であることも特徴である。また、本発明では、このような腐食診断方法を行うための腐食診断装置も提供することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
日本海側海浜地区暴露試験場(海岸線からの距離(離岸距離):0.5km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)小型試験片(50mm×150mm、厚さ6mm)を用い、前記暴露材を水平方向で4地点に設置して、大気環境に直接暴露する直接暴露試験法により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年、5年および15年の各時点において、前記4地点の暴露材に形成したさびのさび厚を市販膜厚計により測定し、またイオン透過抵抗値をイオン透過抵抗測定装置(RST(Rust Stability Tester):日鉄住金防蝕株式会社製品)により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から5年の時点での測定データは図2に示す診断基準に、暴露から15年の時点での測定データは図3に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図4(a)~(c)に示す。まず、暴露から3年において、4地点の暴露材に形成したさびのさび厚はいずれも150μm以下であり、イオン透過抵抗値はいずれも1.0kΩ以下であった。したがって、これらのさびはすべてI-5領域に区分され、初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断された(図4(a))。そして、これら4地点の暴露材に形成したさびは、暴露から5年において、すべてさび厚が250μm以下であって、このうち1地点のさびはイオン透過抵抗値が1.0kΩであり(I-5領域)、初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断された。他の3地点のさびは、すべてイオン透過抵抗値が1.0kΩ超であり(I-4領域)、保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断された(図4(b))。さらに、これら4地点の暴露材に形成したさびは、暴露から15年において、すべてさび厚が300μm以下かつイオン透過抵抗値が1.0kΩ超であり(I-4領域)、いずれも保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断された(図4(c))。つまり、暴露から3年および暴露から5年の時点において初期さびあるいは保護性さびに区分された地点のさびは、いずれも暴露から15年の時点において保護性さびに区分された。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から5年の時点において正確な腐食診断ができ、これらから将来的な腐食状態の予測も可能であることが示された。
日本海側海浜地区暴露試験場(離岸距離:0.5km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)I桁鋼試験体(200mm×1000mm、高さ500mm)を用い、前記暴露材を橋軸(東西方向)6地点に設置する方法(屋根付I桁鋼試験体暴露)により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年、8年および14年の各時点において、前記6地点の暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を実施例1と同じ方法により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から8年の時点での測定データは図2に示す診断基準に、暴露から14年の時点での測定データは図3に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図5(a)~(c)に示す。まず、暴露から3年において、6地点の暴露材に形成したさびのさび厚はいずれも150μm以下であり、イオン透過抵抗値は1地点のさびが1.0kΩ超であったが(I-4領域)、その他はすべて1.0kΩ以下であった(I-5領域)。したがって、これら6地点の暴露材に形成したさびは、5地点のさびが初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断され、残りの1地点のさびが保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断された(図5(a))。そして、これら6地点の暴露材に形成したさびは、暴露から8年において、5地点のさびのさび厚が250μm以下であり、そのうち4地点のさびのイオン透過抵抗値が1.0kΩ以下(I-5領域)、他の1地点のさびのイオン透過抵抗値が1.0kΩ超であった(I-4領域)。したがって、前記4地点のさびは初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断され、前記1地点のさびは保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断された。残りの1地点のさびは、さび厚が250μm超350μm以下かつイオン透過抵抗値が1.0kΩ以下であるため(I-3領域)、未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断された(図5(b))。さらに、これら6地点の暴露材に形成したさびは、暴露から14年において、5地点のさびのさび厚が300μm以下であり、そのうち3地点のさびのイオン透過抵抗値が1.0kΩ以下(I-5領域)、他の2地点のさびのイオン透過抵抗値が1.0kΩ超であった(I-4領域)。したがって、前記3地点のさびは初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断され、前記2地点のさびは保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断された。残りの1地点のさびは、さび厚が300μm超400μm以下かつイオン透過抵抗値が3.0kΩ以下であるため(I-3領域)、未成長さび(不安定さび)であって補修を検討する必要がある(B)と診断された(図5(c))。つまり、暴露から8年および暴露から14年における各地点のさびの診断結果はほぼ一致していた。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から8年の時点において正確な腐食診断ができ、これらから将来的な腐食状態の予測も可能であることが示された。
太平洋側海浜地区(離岸距離:0.5km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)ワッペン試験片(50mm×50mm、厚さ2mm)を用い、前記暴露材を橋梁桁のウェブ面(腹板面)またはフランジ面(突縁面)8地点に直接貼り付けて暴露するワッペン式暴露試験法により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年および7年の各時点において、前記8地点の暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を実施例1と同じ方法により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から7年の時点での測定データは図2に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図6(a)~(b)に示す。まず、暴露から3年において、8地点の暴露材に形成したさびのイオン透過抵抗値はいずれも1.0kΩ以下であり、さび厚は、150μm以下が2地点(I-5領域)、150μm超250μm以下が4地点(I-3領域)、250μm超400μm以下が2地点(I-2領域)であった。したがって、これら8地点の暴露材に形成したさびは、2地点のさびが初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断され、4地点のさびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断され、2地点のさびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断された(図6(a))。そして、これら8地点の暴露材に形成したさびは、暴露から7年において、さび厚250μm以下が2地点、250μm超350μm以下が3地点、350μm超600μm以下が3地点あり、イオン透過抵抗値は、さび厚250μm以下である2地点のさびが1.0kΩ超(I-4領域)であり、他の6地点のさびはいずれも1.0kΩ以下であった(I-3領域およびI-2領域)。したがって、さび厚250μm以下かつイオン透過抵抗値が1.0kΩ超である2地点のさびは保護性さびであって補修を行う必要がない(A2)と診断され、さび厚が250μm超350μm以下かつイオン透過抵抗値1.0kΩ以下である3地点のさびは未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断され、さび厚が350μm超600μm以下である3地点のさびは要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断された(図6(b))。つまり、暴露から3年および暴露から7年における各地点のさびの診断結果は概ね一致していた。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から7年の時点において正確な腐食診断ができ、また、暴露から3年の時点での腐食診断結果から数年後の腐食状態も予測可能であることが示された。
太平洋側海浜地区(離岸距離:5.0km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)ワッペン試験片(50mm×50mm、厚さ2mm)を用い、前記暴露材を橋梁箱桁下面3地点に直接貼り付けて暴露するワッペン式暴露試験法により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年、5年および10年の各時点において、前記3地点の暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を実施例1と同じ方法により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から5年の時点での測定データは図2に示す診断基準に、暴露から10年の時点での測定データは図3に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図7(a)~(c)に示す。まず、暴露から3年において、3地点の暴露材に形成したさびのさび厚はいずれも150μm超250μm以下であり、イオン透過抵抗値は1.0kΩ以下であった(I-3領域)。したがって、これらのさびはいずれも未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断された(図7(a))。そして、これら3地点の暴露材に形成したさびは、暴露から5年において、いずれもさび厚250μm超350μm以下かつイオン透過抵抗値1.0kΩ以下であり(I-3領域)、すべて未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断された(図7(b))。さらに、これら3地点の暴露材に形成したさびは、暴露から10年において、2地点のさびのさび厚が300μm以下でありかつイオン透過抵抗値が1.0kΩ以下であり(I-5領域)、この2地点のさびは初期さびであって補修を行う必要がない(A1)と診断された。残りの1地点のさびは、さび厚が300μm超400μm以下でありかつイオン透過抵抗値が3.0kΩ以下であり(I-3領域)、未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断された(図7(c))。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から5年の時点において正確な腐食診断ができ、これらから将来的な腐食状態の予測も可能であることが示された。
日本海側海浜地区(離岸距離:0.2km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)小型試験片(50mm×150mm、厚さ6mm)を用い、前記暴露材を水平方向で3地点に設置して、遮へいして暴露する遮へい暴露試験法により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年および5年の各時点において、前記3地点の暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を実施例1と同じ方法により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から5年の時点での測定データは図2に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図8(a)~(b)に示す。まず、暴露から3年において、3地点の暴露材に形成したさびのさび厚はいずれも250μm超400μm以下であった(I-2領域)。したがって、これらのさびはいずれも要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断された(図8(a))。そして、これら3地点の暴露材に形成したさびは、暴露から5年において、いずれもさび厚が350μm超600μm以下であり(I-2領域)、すべて要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断された(図8(b))。つまり、暴露から3年の時点において要観察さびに区分された地点のさびは、暴露から5年の時点においてもすべて要観察さびに区分された。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から5年の時点において正確な腐食診断ができ、また、暴露から3年の時点での腐食診断結果から数年後の腐食状態も予測可能であることが示された。
亜熱帯海浜地域(離岸距離:0.2km)において、暴露材として耐侯性鋼(SMA490AW)小型試験片(50mm×150mm、厚さ6mm)を用い、前記暴露材を水平方向で4地点に設置して、遮へいして暴露する遮へい暴露試験法により暴露試験を行った。
そして、暴露から3年、5年および10年の各時点において、前記4地点の暴露材に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を実施例1と同じ方法により測定した。この測定後、暴露から3年の時点での測定データは図1に示す診断基準に、暴露から5年の時点での測定データは図2に示す診断基準に、暴露から10年の時点での測定データは図3に示す診断基準にプロットして、各時点での腐食診断を行った。
この診断結果を図9(a)~(c)に示す。まず、暴露から3年において、4地点の暴露材に形成したさびのさび厚は、1地点のさびが150μm超250μm以下であり、他の3地点のさびが250μm超400μm以下であった。また、イオン透過抵抗値は、前記1地点のさびが1.0kΩ超3.0kΩ以下であり(I-3領域)、他の3地点のさびはすべて1.0kΩ以下であった(I-2領域)。したがって、これら4地点の暴露材に形成したさびは、1地点のさびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要がある(B)と診断され、残りの3地点のさびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断された(図9(a))。そして、これら4地点の暴露材に形成したさびは、暴露から5年において、2地点のさびのさび厚が350μm超600μm以下であり(I-2領域)、他の2地点のさびのさび厚は600μm超であった(I-1領域)。したがって、2地点のさびは要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要がある(C1)と診断され、他の2地点のさびは異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要がある(C2)と診断された(図9(b))。さらに、これら4地点の暴露材に形成したさびは、暴露から10年において、いずれもさび厚が800μm超であり(I-1領域)、すべて異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要がある(C2)と診断された(図9(c))。つまり、暴露から5年の時点において要観察さびあるいは異常さびに区分された地点のさびは、暴露から10年の時点においてすべて異常さびに区分された。
この結果から、本発明の診断基準を用いることで、暴露から3年や暴露から5年の時点において正確な腐食診断ができ、これらから将来的な腐食状態の予測も可能であることが示された。

Claims (5)

  1. 無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から1年以上4年未満において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
    前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が150μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が150μm超250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が250μm超400μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が400μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
    無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
  2. 無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から4年以上9年未満において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
    前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が250μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が250μm超350μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が350μm超600μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が600μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
    無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
  3. 無塗装耐候性鋼構造物の建設完了から9年以上において、前記無塗装耐候性鋼構造物に形成したさびのさび厚およびイオン透過抵抗値を測定し、
    前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ以下の場合には前記さびが初期さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が300μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が1.0kΩ超または前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ超の場合には前記さびが保護性さびであって補修を行う必要がないと診断し、
    前記さび厚が300μm超400μm以下かつ前記イオン透過抵抗値が3.0kΩ以下の場合には前記さびが未成長さび(不安定さび)であって状況に応じて補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が400μm超800μm以下の場合には前記さびが要観察さびであって予防保全の観点から速やかに補修を行う必要があると診断し、
    前記さび厚が800μm超の場合には前記さびが異常さびであって構造安全性の観点から速やかに補修を行う必要があると診断することを特徴とする、
    無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
  4. 前記無塗装耐候性鋼構造物が無塗装耐候性鋼橋梁である、請求項1~3のいずれか1項に記載の無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の無塗装耐候性鋼構造物の腐食診断方法を行うための腐食診断装置。
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