JP7143109B2 - 複合積層体および紙おむつ - Google Patents
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Description
ΔE*v=√[(L*1―L*2)2+(a*1―a*2)2+(b*1―b*2)2]
先ず、本発明によって得られる複合積層体の形態について述べる。図1に、本発明により製造された複合積層体の試験片の代表的な一例を略平面方向から撮影した外観写真を例示する。図2は、図1の複合積層体の試験片を略断面方向から撮影した外観写真を示しており、図におけるAは一方向に延在する樹脂と弾性繊維が交差する箇所での厚みを示し、Bは一方向に延在する樹脂と弾性繊維が交差する箇所間の厚みの最大値の測定箇所を示している。図3に、図1の複合積層体の試験片を弾性繊維の延在方向に手で伸張する際の伸長途中の状態を示す、略平面方向から撮影した外観写真を例示する。図4に、図3の複合積層体の試験片を同じ方向に最大に伸張した状態を示す、略平面方向から撮影した外観写真を例示する。
本発明で使用される弾性繊維は、ポリウレタン系弾性繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、もしくは、天然ゴム、合成ゴム、半合成ゴムからなる糸状のいわゆるゴム糸、さらに、エラストマーフィルムを繊維状に裁断したもの、または、これらを主体とした他の有機合成樹脂体との複合もしくは混合によって得られる繊維、捲縮繊維などが採用でき、繊維自身がエンタルピー弾性を有するものがより好ましい。そして、複合積層体として伸縮性がよりよく発揮させる観点から、最も好ましいのはポリウレタン系弾性繊維(代表的には、前述したようなポリウレタン弾性糸)である。
熱可塑性ポリウレタンまたは弾性繊維(ポリウレタン弾性糸)の耐熱性の指標の一つとして、そのハードセグメント結晶の融点を測定した。ティー・イー・インスツルメント社製2920モジュレーティドDSCを用い、昇温速度10℃/分で、不可逆熱流を測定し、そのピークトップを融点とした。
弾性繊維(ポリウレタン弾性糸)の耐熱性の指標の一つとして熱軟化点を測定した。弾性繊維について、レオメトリック社製動的弾性率測定機RSAIIを用い、昇温速度10℃/分で、動的貯蔵弾性率E’の温度分散を測定した。熱軟化点は、E’曲線のプラト領域での接線と、E’が熱軟化により降下するE’曲線の接線との交点から求めた。なお、E’は対数軸、温度は線形軸を用いた。
走査型電子顕微鏡を用いて布帛の表面の繊維を観察し、ランダムに選んだ10本の表面繊維の直径の最大値(α)を測定し、布帛を構成する物質の密度(ρ)g/m3を用いて、以下の算式より求めた。
繊度(dtex)=ρ×π×(α/2)2×10000
本発明において弾性繊維の繊度はISO2060に準じて測定した見掛繊度であり、測定方法は次の通りである。見掛繊度の測定に供する弾性繊維のサンプルは20℃、65%相対湿度環境下に24時間静置したものを使用する。弾性繊維を無荷重下で長さd(単位:m)に切断し、見掛繊度(dtex)=長さd(m)の糸質量(g)×10000÷dを小数点以下1桁まで求める。ここで、長さdとしては、通常0.1mあれば足りるが、連続した1本の繊維である必要はなく、複数本の合計の長さd’が0.1mあればよい。この場合、弾性繊維のサンプルを複合積層体から取り出す場合には2枚の布帛の間に配置された弾性繊維が各布帛と離間した箇所からサンプリングすればよい。例えば、複合積層体を、弾性繊維と交差する方向に複数本配置された一方向に延在する樹脂に沿って、ハサミを用いて切断し、直線形状のよい弾性繊維片を長さの合計が0.1±0.01mになるまで光学顕微鏡にて寸法を測定して複数本の弾性繊維片を選び、合計した長さd’を求める。次に精密天秤にて選んだ複数本の弾性繊維片の合計質量を測定し、弾性繊維片の合計質量(g)×10000÷d’を算出して弾性繊維の繊度を求める方法が挙げられる。
次に複合積層体の各種特性の評価(色差変動と襞の評価)について説明する。
まず、複合積層体の色差変動を測定した。測定対象の複合積層体を伸張方向に最大に伸張して固定し、裏地に黒色(L*=20±1、a*=0.2±0.2、b*=0.3±0.2)の板を配置した。非接触式の分光測色計としてカラーマスター(D25 DP-9000型 シグナルプロセッサー)、測色径φ=1mmを使用してL*a*b*表色系におけるL*値、a*値、b*値の各値を複合積層体の幅方向に0.5mm間隔で40点測定した。測定結果から、L*が最大値のポイントをL*1、a*1、b*1とし、最小値のポイントをL*2、a*2、b*2として色差変動“△E*v”を以下の算式より求めた。
ΔE*v=√[(L*1―L*2)2+(a*1―a*2)2+(b*1―b*2)2]
(1)<繰り返し伸縮後の襞の外観形状>
複合積層体をMD方向(マシン方向で弾性繊維の延在方向)にデマッチャ試験機にて100%繰り返し50回/分伸縮させた。次いで、複合積層体を30cmの長さで両端を固定し、温度20℃、相対湿度(RH)65%で24時間放置した。その後、目視にて襞の形状を観察し、以下の区分で判定を行った。
◎:襞の乱れが0カ所。
○:襞の乱れが1~3カ所。
△:襞の乱れが4~10カ所。
×:襞の乱れが10カ所以上
上記(1)と同様のデマッチャ試験機による処理後、複合積層体を100%伸長状態で35℃×85%RH下に保ち、12時間保管したのちに上記(1)と同じ襞の評価を行った。
複合積層体を巻き上げた状態で、23℃×65%RH下で24時間保管し、解舒したのちに上記(1)と同じ襞の評価を行った。
[なめらか度合い]
複合積層体を100%伸長状態で45℃×85%RH下に保ち、2時間保管したのちに、10人の判定者が素手でにぎり官能評価を行った。また、その判定結果は以下のべたつき感と柔らか感の区分で表示した。
◎:8人以上がべたつきなくなめらかな感触であった。
○:8人未満6人以上がべたつきなくなめらかな感触であった。
△:6人未満2人以上がべたつきなくなめらかな感触であった。
×:2人未満がべたつきなくなめらかな感触であった。
◎:8人以上が柔らかくなめらかな感触であった。
○:8人未満6人以上が柔らかくなめらかな感触であった。
△:6人未満2人以上が柔らかくなめらかな感触であった。
×:2人未満が柔らかくなめらかな感触であった。
紙おむつのギャザー部に使用された複合積層体が、人間の肌にくい込み難いと感じるかを、10人の判定者が肌に押し当てて観察する官能評価を行った。また、その判定結果は以下の区分で表示した。
◎:8人以上がくい込みにくいと感じた。
○:8人未満6人以上がくい込みにくいと感じた。
△:6人未満4人以上がくい込みにくいと感じた。
×:4人未満がくい込みにくいと感じた。
表1に示すように、弾性繊維として、低融点樹脂成分としてエーテル系TPU(融点:110℃、TPU:熱可塑性ポリウレタン)を6質量%含有した、156dtexのポリウレタン弾性糸(ポリウレタン弾性糸としての融点:260℃、ポリウレタン弾性糸としての熱軟化点:210℃)を18本(秤量:6g/m2)、布帛間への挿入時ドラフト3.5倍にて挿入した。複合積層体の布帛として、スパンボンド層/メルトブロー層/スパンボンド層の3層積層構造(表1では「SMS」と表記)を有するPP(ポリプロピレン)の不織布を、目付17g/m2、表面繊維繊度1.5dtexで使用し、2枚の布帛間に上記弾性繊維を挿入し、接合用樹脂をデザインロール(デザインコート法における塗布ロール)で付与して、各布帛と弾性繊維を間欠的に接合した。本発明における布帛を構成する繊維の繊度に対する弾性繊維の繊度の比としては104であった。ポリウレタン弾性糸と布帛としての不織布との接合用樹脂には、ゴム系ホットメルト接着剤を使用し、該樹脂として、市販の凝集力高めの標準品(製造元:ボスティック・ニッタ株式会社、品番:AFX-162)を、接着剤量4g/m2で使用した。結果、表1の評価結果に示すように、4g/m2と少ない接着剤量でも所望のデザインコートで目標とする接合を行うことができ、複合積層体の特性評価では、色差変動△E*vが0.4と1.0以下であり、繰り返し伸縮後の襞の外観形状が◎、繰り返し伸縮後の襞の外観形状保持性が◎、伸長巻き上げ後の襞形状発現性が◎であり、均一で外観審美性に優れた襞形状が得られた。また、複合積層体表面の触感の評価では、べたつき感が○、柔らか感が◎であり、良好な結果が得られた。さらに、紙おむつの評価におけるフィット性:紙おむつの締め付け力の分散度合いが◎であった。このように、目標とする規則性、均一性の高い美しい襞を有し、外観の審美性に優れるとともに、紙おむつとして使用した場合のフィット性にも優れた複合積層体が得られた。
表1に示すように、実施例1に比べていずれかの条件を変更した。なお、表1における「超音波」とは、超音波による加熱により、弾性繊維を加熱して布帛との接合に供したことを表しており、「コームガン」とは、一般的なコームガンで弾性繊維に連続的に直接ホットメルト樹脂を塗布してそのホットメルト樹脂により布帛と弾性繊維とを貼り合わせて複合積層体を形成する方式を表している。
Claims (8)
- スパンボンド層/メルトブロー層/スパンボンド層の3層積層構造を有するポリプロピレンの不織布からなる2枚の布帛の間に、一方向に複数本並列に配置された弾性繊維を有し、
前記2枚の各布帛と前記弾性繊維が、前記弾性繊維と交差する一方向に複数本並設された樹脂または/および前記弾性繊維自体から加熱により生成された樹脂により、前記弾性繊維の長手方向において間欠的に接合されている複合積層体であって、
前記弾性繊維の長手方向において隣り合う前記布帛と前記弾性繊維との接合箇所の間では前記2枚の各布帛と前記弾性繊維が離間しており、
前記布帛を構成する繊維の繊度に対する前記弾性繊維の繊度の比が104以上157以下であり、かつ、
前記弾性繊維が融点40℃~160℃の樹脂成分を6質量%以上60質量%以下含有し、前記弾性繊維自体の融点が196℃~260℃であり、
前記樹脂成分が、少なくとも、エーテル系熱可塑性ポリウレタン、アジペート系熱可塑性ポリウレタンのいずれかからなり、
複合積層体を前記弾性繊維の延在方向に最大に伸張した状態で複合積層体の外部から布帛の外面を前記弾性繊維と交差する方向に分光測色計で測色していった際の、L * 値が最大値を示すポイントにおけるL * 値、a * 値、b * 値(L * 1、a * 1、b * 1)とL * 値が最小値を示すポイントにおけるL * 値、a * 値、b * 値(L * 2、a * 2、b * 2)を用いて次式で規定される色差変動ΔE * vが1.0以下であることを特徴とする複合積層体。
ΔE * v=√[(L * 1―L * 2) 2 +(a * 1―a * 2) 2 +(b * 1―b * 2) 2 ] - 前記弾性繊維の繊度が350dtex以下である、請求項1に記載の複合積層体。
- 前記布帛と前記弾性繊維との接合箇所での複合積層体の厚みが、0.1mm以上2.0mm以下である、請求項1または2に記載の複合積層体。
- 前記弾性繊維の長手方向に隣り合う、前記布帛と前記弾性繊維との接合箇所の間での複合積層体の厚みの最大値が1mm以上20mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の複合積層体。
- 複合積層体を前記弾性繊維の延在方向に最大に伸張した状態での、前記布帛と前記弾性繊維との一接合箇所あたりの前記弾性繊維の延在方向における幅が0.2mm以上10mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の複合積層体。
- 複合積層体を前記弾性繊維の延在方向に最大に伸張した状態での、前記布帛と前記弾性繊維との接合箇所の間隔が1mm以上20mm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の複合積層体。
- 前記樹脂が、前記布帛および/または前記弾性繊維の構成成分と同一の成分を含むものである、請求項1~6のいずれかに記載の複合積層体。
- 請求項1~7のいずれかに記載の複合積層体をギャザー部に使用した紙おむつ。
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