以下、本開示の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、同種の要素を区別して説明する場合には、「基地局10A」、「基地局10B」又は「端末20-1」、「端末20-2」のように参照符号を使用し、同種の要素を区別しないで説明する場合には、「基地局10」、「端末20」のように参照符号のうちの共通番号を使用することがある。
以下では、複数のアンテナを用いて複数の端末宛の信号を空間分割多重して無線送信するMU-MIMO伝送を行う例について説明する。また、以下では、基地局10が、Massive MIMOにおいて、ビームフォーミング(beamforming:BF)を行う場合について説明する。
<基地局の構成>
図1及び図2は、MU-MIMOを行う基地局(例えば、無線基地局又はgNBと呼ぶこともある)の構成例を示すブロック図である。
図1に示す基地局10Aでは、デジタルプリコーディングと、アナログ固定BFと、チャネル情報(例えば、Channel Status Information:CSI)とを組み合わせる方法が適用される。一方、図2に示す基地局10Bでは、デジタルプリコーディングと、デジタル固定BFと、チャネル情報(例えば、CSI)とを組み合わせる方法が適用される。
基地局10は、複数(例えば、L以上)の固定ビームからL本の固定ビームを選択し、複数の端末からU個の端末(例えば、ユーザ1~ユーザU)を選択し、U個の端末に対してMIMO伝送を行う。L及びUは1以上の整数である。複数の固定ビームは、それぞれ、ビームの送信方向(例えば、方位角又は天頂角を含む角度)が固定されている。以下、固定ビームを、単に「ビーム」ということがある。
また、基地局10は、各端末に対してM個のストリームを生成する。例えば、図1及び図2において、Mi(i=1~Uの何れか1つ)は1以上の整数である。例えば、ストリームの総数(M1~MUの合計」は、固定ビーム数L未満である。
[基地局10Aの構成例]
図1において、基地局10Aは、端末候補選択部100と、ビーム選択部102と、端末選択部104と、デジタルプリコーダ106と、D/A変換部108と、周波数変換部110と、アナログ固定ビームフォーマ112と、複数のアンテナ116と、を備える。
端末候補選択部100は、複数の端末の一部を、基地局10が信号の受信機会を割り当てる端末候補(換言すると、基地局10とMIMO伝送を行う対象の端末候補)に選択する。例えば、端末候補選択部100は、基地局10の複数のアンテナ116と複数の端末との間の通信状況及びチャネル(伝搬路)の状況の少なくとも1つを示す情報に基づいて、複数の端末の一部を端末候補に選択する。端末候補選択部100は、選択した端末候補を示す端末候補情報を、ビーム選択部102及び端末選択部104に出力する。また、端末候補選択部100は、各端末が端末候補であるか否かを通知するための信号(以下、「端末候補通知信号」という)を生成する。端末候補通知信号は、各端末に対してそれぞれ送信される(図示せず)。
例えば、端末候補選択部100は、公平性基準パラメータを算出する。そして、端末候補選択部100は、公平性基準パラメータに基づいて、複数の端末の中から、端末候補を選択する。
公平性基準パラメータは、複数の端末間における通信機会(例えば、基地局10からの信号の受信機会)の公平性を判断するための基準を表すパラメータである。換言すると、公平性基準パラメータは、基地局10が信号の受信機会を割り当てる端末の選択基準を示すパラメータである。例えば、公平性基準パラメータは、基地局10の複数のアンテナ116と複数の端末との間の通信状況及びチャネル(伝搬路)の状況の少なくとも1つを示す情報に基づいて算出される。
なお、端末候補選択部100における公平性基準パラメータを用いた端末候補の選択方法の詳細については後述する。
ビーム選択部102及び端末選択部104は、端末候補選択部100において選択された端末候補に対して、MIMO伝送を行う対象の端末を選択するための処理(例えば、固定ビームの選択、又は、MIMO伝送対象の端末の選択)を行う。
ビーム選択部102は、送信方向が異なる複数のビームの中から、ビーム走査用参照信号の送信に使用するビームを選択する。ビーム選択部102は、選択したビームを用いてビーム走査用参照信号を送信するために、アナログ固定ビームフォーマ112を制御する。例えば、ビーム走査用参照信号の送信に使用するビームは、基地局10が形成可能な全てのビームである。ただし、ビーム走査用参照信号の送信に使用するビームは、基地局10が形成可能な全てのビームに限らず、一部のビームでもよい。
また、ビーム選択部102は、複数のビームの中から、端末へのデータ伝送に使用するビームを選択する。ビーム選択部102は、選択したビームを用いて、データ又はチャネル推定用参照信号を送信するために、アナログ固定ビームフォーマ112を制御する。例えば、ビーム選択部102は、各端末候補からフィードバックされるビーム情報に基づいてビーム選択基準パラメータを算出する。ビーム情報には、例えば、各ビームの受信電力又は受信品質が示される。ビーム選択部102は、ビーム選択基準パラメータに基づいて、複数のビームの中からデータ伝送に使用するビームを選択する。なお、ビーム選択部102は、ビーム選択基準パラメータに加え、公平性基準パラメータを用いてビームを選択してもよい。
なお、ビーム選択部102におけるビーム選択基準パラメータを用いたビームの選択方法の詳細については後述する。また、以下では、ビーム走査用参照信号、データ及びチャネル推定用参照信号を含む信号の送信に使用されるビームを「使用ビーム」と呼ぶ。
端末選択部104は、端末候補選択部100から入力される端末候補情報に示される端末候補の中から、基地局10とMIMO伝送を行う対象の端末(以下「対象端末」という)を選択する。端末選択部104は、選択した対象端末宛てのデータを、デジタルプリコーダ106に入力させる制御を行う。
例えば、端末選択部104は、端末候補選択部100によって選択された端末候補からフィードバックされるチャネル情報(例えば、CSI)に基づいて、端末選択基準パラメータを算出する。そして、端末選択部104は、端末選択基準パラメータに基づいて、基地局10とMIMO伝送を行う対象端末を選択する。また、端末選択部104は、各端末がMIMO伝送の対象端末であるか否かを通知するための信号(以下、「選択端末通知信号」という)を生成する。選択端末通知信号は、例えば、端末候補に対してそれぞれ送信される(図示せず)。
なお、端末選択部104における端末選択基準パラメータを用いた対象端末の選択方法の詳細については後述する。
デジタルプリコーダ106は、各端末の受信品質を向上させるために、送信前の信号に対して、基地局10Aと端末との間のチャネルに応じた重み(例えば、プリコーディング行列)を乗算する。例えば、デジタルプリコーダ106は、プリコーディング行列PをM系列のベースバンド信号に適用してL系列の信号を生成し、L系列の信号をD/A変換部108に出力する。ここで、Lは送信されるデータに使用する使用ビームの数である。プリコーディング行列Pは、L行M列の系列を有する。
図1に示すD/A変換部108及び周波数変換部110は、L個のビームに対応してそれぞれL個備えられる。
D/A変換部108の各々は、デジタルプリコーダ106から出力された信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。周波数変換部110の各々は、D/A変換部108から出力される信号の周波数をアップコンバートし、アナログ固定ビームフォーマ112に出力する。
アナログ固定ビームフォーマ112は、周波数変換部110から入力されるL系列の信号に対して、ビーム選択部102において選択された使用ビームに対応するビームフォーミング行列WTを適用し、NT系列の信号を生成する。NTは送信アンテナ素子の数である。ここで、ビームフォーミング行列WTは、NT行L列を有する。NT系列の複数の信号は、複数のアンテナ116から、それぞれ送信される。
また、アナログ固定ビームフォーマ112は、ビーム走査用参照信号又はチャネル推定用参照信号に対して、ビーム選択部102において選択された使用ビームに対応するビームフォーミングを行う。
<基地局10Bの構成例>
図2に示す基地局10Bおいて、図1に示す基地局10Aと同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図1に示す基地局10Aでは、アナログ固定ビームフォーマ112が周波数変換部110の後段に配置されている。これに対して、図2に示す基地局10Bでは、デジタル固定ビームフォーマ114がデジタルプリコーダ106の後段に配置されている。図1と図2とは、この点が相違する。
また、D/A変換部108及び周波数変換部110は、NT個の送信アンテナ116に対応してそれぞれNT個備えられる。
ビーム選択部102は、選択した使用ビームを送信するために、デジタル固定ビームフォーマ114を制御する。
デジタル固定ビームフォーマ114は、デジタルプリコーダ106から入力されるL系列の信号に対して、ビーム選択部102が選択した使用ビームに対応するビームフォーミング行列WTを適用して、NT系列の信号を生成し、NT系列の信号をD/A変換部108に出力する。
デジタル固定ビームフォーマ114から出力されたNT系列の信号は、それぞれ、D/A変換部108においてデジタル信号からアナログ信号に変換され、周波数変換部110において周波数がアップコンバートされ、アンテナ116から送信される。
<基地局の動作例>
図3は、基地局10と通信する端末20を選択する処理の一例を示すシーケンスチャートである。例えば、基地局10及び端末20は、データ伝送を行う度に、図3に示す処理を行う。
また、図4は、基地局10と通信する対象の端末20(図示せず)を選択する処理における、無線通信システムの動作の一例を示す模式図である。図4では、使用ビームを、網掛けで表現している。
図3に示すように、基地局10は、公平性基準パラメータを算出する(ST101)。例えば、基地局10は、各端末20の過去のチャネルの状況又は通信状況を表すパラメータ(例えば、スループット、受信品質又は受信電力など)を用いて、公平性基準パラメータを算出する。
例えば、公平性基準パラメータを「ρU(u, t)」と表す。ただし、uは端末20を識別する端末番号であり、tはタイムスロット番号である。図4(a)では、端末20-1(u=1)の公平性基準パラメータρU(1, t)は1.0である。同様に、端末20-2、20-3、20-4、及び、20-5の公平性基準パラメータは、それぞれ、ρu(2, t)=2.8、ρu(3, t)=0.2、ρu(4, t)=0.3、及び、ρu(5, t)=1.8である。ここで、公平性基準パラメータρu(u, t)が小さい端末20ほど、基地局10に過去に割り当てられた受信機会が少ない。
基地局10(例えば、端末候補選択部100)は、図3に示すように、ST101において算出した公平性基準パラメータを用いて、端末候補を選択する(ST102)。例えば、図4(b)において、基地局10は、公平性基準パラメータρu(u, t)が閾値以下の端末20を端末候補に選択する。図4(b)は、一例として、閾値が1.5の場合を示す。この場合、図4(b)に示すように、基地局10は、公平性基準パラメータρu(u, t)が閾値1.5以下の端末20-1、20-3及び20-4を端末候補に選択する。換言すると、図4(b)に示すように、基地局10は、公平性基準パラメータρu(u, t)が閾値1.5より大きい端末20-2及び20-5を、基地局10から送信される信号の受信機会を割り当てる候補から除外する。
基地局10は、図3に示すように、各端末20に対して、ST102において選択した端末候補であるか否かを通知するための端末候補通知信号を送信する(ST103)。端末20は、端末候補通知信号に基づいて、基地局10からの信号の受信機会が割り当てられるか否かを認識できる。
なお、端末候補通知信号は、例えば、基地局10から各端末20へ送信される他のパラメータと対応(又は関連)付けられてよい。この場合、各端末20は、当該他のパラメータに基づいて端末候補通知信号の内容を認識できる。この処理により、端末候補通知信号が暗黙的(implicit)に通知されるので、シグナリング量を削減できる。
基地局10は、アナログ固定ビームフォーマ112(図1を参照)又はデジタル固定ビームフォーマ114(図2を参照)を制御して、送信方向(角度)の異なるビームを用いて、ビーム走査用参照信号を送信する(ST104)。例えば、図4(b)では、基地局10は、基地局10が形成可能な全てのビーム30を用いてビーム走査用参照信号を送信する。
なお、基地局10は、ST103の端末候補通知信号と、ST104のビーム走査用参照信号と、を別々に送信してもよく、同時に、共に、又は、関連付けて送信してもよい。
各端末20は、図3に示すように、受信した端末候補通知信号において端末候補であることが示される場合、受信したビーム走査用参照信号を用いて、例えば、各ビーム30の受信電力を測定する(ST105)。
端末候補である端末20は、ST105において測定した各ビーム30の受信電力を含むビーム情報を基地局10へフィードバックする(ST106)。なお、ビーム情報に含まれる受信電力は、例えば、基地局10において形成可能な全てのビームの受信電力でもよく、大きい順に所定数のビームの受信電力でもよく、所定の閾値以上のビームの受信電力でもよい。
図4(b)では、端末候補に選択された端末20-1、20-3及び20-4は、各ビーム30に対応するビーム走査用参照信号を用いて受信電力を測定し、測定した各ビーム30の受信電力を含む情報を基地局10へフィードバックする。
基地局10(例えば、ビーム選択部102)は、図3に示すように、受信したビーム情報に含まれる受信電力に基づいて、ビーム選択基準パラメータを算出する。そして、基地局10は、算出したビーム選択基準パラメータに基づいて、複数のビーム30の中から、データ伝送に使用する使用ビームを選択する(ST107)。図4(c)では、基地局10は、例えば、端末候補に選択された端末20-1、20-3及び20-4からフィードバックされた各ビーム30の受信電力に基づいて、端末20-1、20-3及び20-4に対する使用ビームを選択する。
基地局10は、図3に示すように、ST107において選択した使用ビームを用いて、チャネル推定用参照信号を送信する(ST108)。例えば、チャネル推定用参照信号には、使用ビームに対応するビームフォーミングウェイトが乗算される。
端末候補に選択された端末20は、受信したチャネル推定用参照信号を用いて、基地局10と端末20との間の、使用ビームが適用されたチャネル(ビームフォーミングウェイトを含む等価チャネル)を推定する(ST109)。そして、端末20は、推定した等価チャネルを含むチャネル情報を基地局10へフィードバックする(ST110)。
基地局10(例えば、端末選択部104)は、端末20からフィードバックされたチャネル情報に基づいて、ST102において選択された端末候補の中から、基地局10とMIMO伝送を行う対象端末を選択する(ST111)。図4(d)では、基地局10は、例えば、端末候補に選択された端末20-1、20-3及び20-4のうち、端末20-1及び20-3を対象端末に選択する。換言すると、基地局10は、端末20-1、20-3及び20-4のうち、端末20-4を、基地局10~送信される信号の受信機会を割り当てる候補から除外する。
基地局10は、図3に示すように、各端末候補に対して、ST111において選択された対象端末であるか否かを示す選択端末通知信号を送信する(ST112)。各端末候補は、受信した選択端末通知信号において対象端末であることが示される場合、基地局10からMIMO伝送されるデータを受信するための受信処理(例えば、MIMO伝送に関する各種パラメータの設定など)を行う(図示せず)。
基地局10は、ST107において選択した使用ビームを用いて、ST111において選択した対象端末に対して、MIMO伝送によりデータを送信する(ST113)。
<端末候補の選択方法>
次に、公平性基準パラメータを用いた端末候補の選択方法(例えば、図3に示すST101及びST102の処理)について説明する。
公平性基準パラメータρ
u(u, t)は、例えば、式(1)に従って算出される移動平均スループットである。
式(1)において、uは端末番号を示し、tはタイムスロット番号を示す。また、R(u, t)は、第tタイムスロットにおける第u端末のスループットを示す。また、Tsはスループットの平均化時間を示す。また、R-(u, t)は、第tタイムスロットにおける第u端末の平均スループットを示す。
例えば、第u端末における基地局10が送信する信号の受信機会が少ない場合、平均スループットは低くなり、式(1)に示す公平性基準パラメータρu(u, t)は小さくなる。
または、公平性基準パラメータρ
u(u, t)は、例えば、式(2)に従って算出されるPF(Proportional Fairness)メトリックである。
式(2)において、uは端末番号を示し、tはタイムスロット番号を示す。また、式(2)の右辺の分子成分R(u, t)は、第u端末の第tタイムスロットにおける瞬時スループットを示す。また、式(2)の右辺の分母成分R-(u, t)は、第u端末の第tタイムスロットから過去のタイムスロットにおける平均スループットを示す。
式(2)に示す公平性基準パラメータρu(u, t)は、第u端末における過去の平均スループットに対する瞬時スループットの比率を示す。
例えば、システムスループットの観点から、平均スループットR-(u, t)に対して瞬時スループットR(u, t)が高くなる端末20は受信機会が多くなることが想定される。換言すると、平均スループットR-(u, t)に対して瞬時スループットR(u, t)が低くなる端末20は受信機会が少なくなることが想定される。よって、例えば、第u端末における基地局10から送信された信号の受信機会が少ない場合、式(2)に示す公平性基準パラメータρu(u, t)は小さくなる。
このように、式(1)又は式(2)に示す公平性基準パラメータは、例えば、基地局10が送信する信号の受信機会の割り当て状況に応じて設定される。なお、公平性基準パラメータは、式(1)又は式(2)に示す値(例えば、通信状況を表す値)に限定されない。公平性基準パラメータは、例えば、基地局10から送信された信号の受信機会の割り当て状況に応じて設定されればよい。例えば、公平性基準パラメータは、各端末20におけるチャネル状況を表す受信品質(例えば、受信SINR(Signal to Interference and Noise Ratio))又は受信電力に基づいて算出されてもよい。例えば、受信品質又は受信電力が小さい端末20ほど、基地局10との通信において受信機会が割り当てられにくいことが想定される。よって、受信品質又は受信電力が小さい端末20の公平性基準パラメータの値がより小さく設定される。
基地局10(例えば、端末候補選択部100)は、例えば、式(1)又は式(2)に示す公平性基準パラメータρu(u, t)に基づいて、基地局10とMIMO伝送を行う端末候補を選択する。
例えば、基地局10は、公平性基準パラメータと閾値との比較結果に基づいて、複数の端末20の一部を端末候補に選択する。一例として、公平性基準パラメータρ
u(u, t)を用いた端末候補の選択規範は、式(3)によって表される。
式(3)において、uは端末番号を示し、Uは、選択された端末候補(例えば、端末番号)の集合を示し、ρU,THは、公平性基準パラメータρu(u, t)に対する閾値を示す。
式(3)に示す選択規範を用いる場合、基地局10は、公平性基準パラメータρu(u, t)が閾値ρU,TH以下の第u端末を、端末候補Uに含める。なお、基地局10は、式(3)を満たす全ての端末20を端末候補に選択してもよく、式(3)を満たす端末20のうち、所定数の端末20を端末候補に選択してもよい。
または、他の例として、基地局10は、公平性基準パラメータに基づいて、複数の端末20のうち、受信機会の割り当ての少ない端末20を優先的に端末候補に選択する。一例として、公平性基準パラメータρ
u(u, t)を用いた端末候補の選択規範は、式(4)によって表される。
式(4)において、uは端末番号を示し、Uは、選択された端末候補(例えば、端末番号)の集合を示し、u'は、端末候補の集合Uに含まれない端末番号を示す。
式(4)に示す選択規範を用いる場合、基地局10は、公平性基準パラメータρu(u, t)が最小の端末番号uの端末20を、端末候補Uに含める。例えば、基地局10は、端末候補Uに含まれる端末数が所定数になるまで、式(4)に示す選択規範に基づいて、端末候補を選択する。
式(3)又は式(4)に示す選択規範を用いることにより、基地局10では、受信機会の少ない端末20が端末候補に選択されやすくなる。換言すると、受信機会の多い端末20は端末候補に選択されにくくなる。
この処理により、基地局10は、MIMO伝送を行う対象端末を、受信機会の少ない端末から選択するので、当該端末の受信機会を増加できる。換言すると、基地局10は、MIMO伝送を行う対象端末から、受信機会の多い端末20を除外するので、当該端末20の受信機会を減少できる。よって、基地局10と通信可能な複数の端末20において、基地局10とMIMO伝送を行う対象端末に選択される頻度を均等に近づけることができ、端末20間の受信機会の公平性を向上できる。換言すると、基地局10とMIMO伝送を行う対象端末に選択される端末20が特定の端末20に偏ることを防止できる。
また、例えば、式(3)に示す選択規範において、閾値ρU,THの値が小さいほど、端末候補に選択される端末20の公平性基準パラメータはより小さくなり、受信機会の多い端末20が端末候補に選択される可能性が低くなる。一方、式(3)に示す選択規範において、閾値ρU,THの値が大きいほど、端末候補に選択される端末20の公平性基準パラメータは大きくなり、受信機会が比較的多い端末20が端末候補に選択される可能性が高くなる。したがって、式(3)に示す選択規範において閾値ρU,THの値が小さいほど、複数の端末20間の受信機会の公平性をより向上できるのに対して、閾値ρU,THの値が大きいほど、システムスループット(複数の端末20におけるスループットの合計)をより向上できる。換言すると、基地局10は、閾値ρU,THの設定に応じて、トレードオフの関係にある公平性とシステムスループットとを調整できる。この処理により、複数の端末20の受信機会の公平性を維持し、高いシステムスループットを得られる。
また、式(3)は、端末に依らず閾値ρU,THの値が一定の場合を示す。しかし、閾値ρU,THは、端末20間において同一でなくてもよい。例えば、閾値ρU,THは、端末20毎の所望スループットに応じて端末20毎に設定されてもよい。例えば、所望スループットが高い端末20の閾値ρU,THがより高く設定される。例えば、公平性基準パラメータρu(u, t)が同一の端末が存在する場合、所望スループットが低い端末20と比較して、所望スループットが高い端末20の公平性基準パラメータρu(u, t)が閾値ρU,TH以下となる可能性が高くなる。この処理により、基地局10は、端末20毎の所望スループットに応じて端末候補を選択できる。
また、図3に示す端末候補の選択処理(例えば、ST102)の前に、各端末20は、基地局10と端末20との間の受信品質(例えば、受信SINR又は受信電力など)を基地局10へフィードバックしてもよい。基地局10は、ST102において、フィードバックされた受信品質及び公平性基準パラメータの少なくとも1つを用いて候補端末を選択してもよい。
また、式(1)及び式(2)では、一例として、公平性基準パラメータは、信号の受信機会の割り当てが少ない端末20ほど小さい値を示す場合について説明した。しかし、公平性基準パラメータは、信号の受信機会の割り当てが少ない端末20ほど大きい値を示してもよい。公平性基準パラメータが、信号の受信機会の割り当てが少ない端末20ほど大きい値を示す場合、式(3)に示す選択規範の代わりに、複数の端末20のうち、公平性基準パラメータが閾値以上の端末20が端末候補に選択されてもよい。また、公平性基準パラメータが、信号の受信機会の割り当てが少ない端末20ほど大きい値を示す場合、式(4)に示す選択規範の代わりに、複数の端末20のうち、公平性基準パラメータがより大きい所定数の端末20が端末候補に選択されてもよい。
<使用ビームの選択方法>
次に、ビーム選択基準パラメータを用いた使用ビームの選択方法(例えば、図3に示すST107の処理)について説明する。
ビーム選択基準パラメータρ
B(l)は、例えば、式(5)に従って算出される各端末20における受信電力の合計である。
式(5)において、lはビーム番号を示し、Uは、端末候補(例えば、端末番号)の集合を示し、Pr,u(l)は第u端末の第lビームにおける受信電力を示す。各端末20の受信電力Pr,u(l)は、例えば、図3のST106において各端末20から基地局10へフィードバックされる。式(5)に示すように、ビーム選択基準パラメータρB(l)は、第lビームにおける複数の端末20(例えば、集合Uに含まれる端末20)の受信電力の合計である。
または、ビーム選択基準パラメータは、例えば、下記の式(6)に従って算出される各端末20における受信SIR(Signal to Interference Ratio)の合計である。
例えば、基地局10は、各端末20からフィードバックされる受信電力Pr,u(l)を用いて、第lビームのビーム選択基準パラメータを算出する。
なお、ビーム選択基準パラメータは、式(5)又は式(6)に示す値に限定されない。
基地局10(例えば、ビーム選択部102)は、例えば、式(5)又は式(6)に示すビーム選択基準パラメータρB(l)に基づいて、データ伝送に用いる使用ビームを選択する。
一例として、ビーム選択基準パラメータρ
B(l)を用いた使用ビームの選択規範は、式(7)によって表される。
例えば、式(5)に示すビーム選択基準パラメータを用いる場合、基地局10は、各端末20における受信電力の合計が最大のビームlを使用ビームに選択する。また、例えば、式(6)に示すビーム選択基準パラメータを用いる場合、基地局10は、各端末20における受信SIRの合計が最大のビームlを使用ビームに選択する。例えば、基地局10は、式(6)又は式(7)に従って、所定数の使用ビームを選択する。
なお、端末20は、例えば、図3に示すST106の処理において、基地局10に対して、ビーム情報(例えば、受信電力)に加えて、過去のスループット情報をフィードバックしてもよい。この場合、基地局10(例えば、ビーム選択部102)は、ビーム情報及びスループット情報を用いて、Proportional Fairness規範に基づいてビーム選択基準パラメータを算出し、使用ビームを選択してもよい。この処理により、基地局10は、複数の端末20間の過去のスループットを比較して使用ビームを選択できるので、システムスループットを向上できる。
また、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送を用いる場合、基地局10は、全てのサブキャリアにおいてビーム選択基準パラメータを算出しなくてよい。例えば、基地局10は、1又は複数のサブキャリアに着目してビーム選択基準パラメータを算出し、算出したビーム選択基準パラメータに基づいて使用ビームを選択してもよい。
また、基地局10は、使用ビームを選択する際に、ビーム選択基準パラメータに加えて、端末候補の選択に使用した公平性基準パラメータを用いてもよい。例えば、基地局10は、ビーム選択基準パラメータ(例えば、式(5)又は式(6)等)の算出時に、第u端末のビームの受信電力Pr,u(l)に対して、第u端末の公平性基準パラメータρu(u, t)を用いて重み付けする。この処理により、公平性基準パラメータのより小さい端末20(例えば、受信機会が比較的少ない端末20)の受信電力がビーム選択基準パラメータに与える影響が、実際の受信電力を用いる場合と比較して大きくなる。このため、基地局10では、端末候補のうち、公平性基準パラメータがより小さい端末20に適したビームが選択されやすくなる。
<端末の選択方法>
次に、端末選択基準パラメータを用いた端末の選択方法(例えば、図3に示すST111の処理)について説明する。
端末選択基準パラメータは、例えば、図3に示すST110において各端末候補から基地局10へフィードバックされるチャネル情報に基づいて算出される。
チャネル情報は、例えば、各端末20が受信したチャネル推定用参照信号を用いて測定した、受信電力、受信SIR又は受信SINRでもよく、各端末20におけるビーム間干渉係数でもよい。
また、端末選択基準パラメータを用いた端末20の選択規範は、例えば、上述した受信電力、受信SIR又は受信SINRの大きい端末20が選択される規範、又は、上述したビーム間干渉係数の小さい端末20が選択される規範である。また、端末選択基準パラメータを用いた端末20の選択規範は、例えば、Max-C/I規範、Proportional Fairness規範、Chordal Distance最大規範でもよい。
なお、端末20は、例えば、図3に示すST110の処理において、基地局10に対して、チャネル情報に加えて、過去のスループット情報をフィードバックしてもよい。この場合、基地局10(例えば、端末選択部104)は、チャネル情報及びスループット情報を用いて、Proportional Fairness規範に基づいて端末選択基準パラメータを算出し、対象端末を選択してもよい。この処理により、基地局10は、複数の端末20間の過去のスループットを比較して使用ビームを選択できるので、システムスループットを向上できる。
また、OFDM伝送を用いる場合、基地局10は、全てのサブキャリアにおいて端末選択基準パラメータを算出しなくてもよい。例えば、基地局10は、1又は複数のサブキャリアに着目して端末選択基準パラメータを算出し、算出した端末選択基準パラメータに基づいて対象端末を選択してもよい。
また、基地局10は、対象端末を選択する際に、端末選択基準パラメータに加えて、端末候補の選択に使用した公平性基準パラメータを用いてもよい。例えば、基地局10は、端末選択基準パラメータの算出時に、各端末20のチャネル情報に示される値に対して、当該端末の公平性基準パラメータρu(u, t)を用いて重み付けする。この処理により、公平性基準パラメータのより小さい端末20(例えば、受信機会が比較的少ない端末20)のチャネル情報が端末選択基準パラメータに与える影響が、実際のチャネル情報を用いる場合と比較して大きくなる。このため、基地局10では、端末候補のうち、公平性基準パラメータがより小さい端末20が選択されやすくなる。
また、図3において、ST102の公平性基準パラメータに基づく端末候補の選択処理が行われる周期と、ST111のチャネル情報に基づく対象端末の選択処理が行われる周期とは、同一でもよく、異なってもよい。例えば、端末候補選択の周期が、対象端末の選択の周期より短くてもよい。この処理により、基地局10は、各端末の通信状況又は通信環境の変動に応じて、端末20間の受信機会の公平性を向上できる。または、ST102の端末候補選択の周期が、ST111の対象端末選択の周期より長くてもよい。この処理により、基地局10における端末候補の選択処理の演算量を削減できる。
また、基地局10は、例えば、端末数を変化させて端末20の選択を行った場合における達成可能な端末合計スループットをそれぞれ算出し、最も高い端末合計スループットを達成可能な端末の個数及び組み合わせを決定してもよい。基地局10は、決定した端末20の組み合わせに対してMIMO伝送を行うことにより、システムスループットを向上できる。
また、基地局10は、図3に示すST111において対象端末を選択した後、例えば、ST107と同様の処理を行い、選択された対象端末に対する使用ビームを再選択してもよい。使用ビームの再選択時には、基地局10は、図3に示すST102において選択した端末候補から、ST111において対象端末に選択されない端末20からフィードバックされるビーム情報を除外する。この処理により、基地局10は、選択した対象端末に適した使用ビームを選択できる。換言すると、基地局10は、対象端末に選択されない端末20のビーム情報を考慮しないことにより、対象端末には無駄なビームの使用を防止し、消費電力を低減できる。
以上、基地局10の動作例について説明した。
<効果>
本実施の形態では、基地局10は、複数のアンテナ116と複数の端末20との間の通信状況及びチャネルの状況の少なくとも1つを示す情報に基づいて、複数の端末20の一部を、複数のアンテナ116を用いて複数の端末宛の信号の受信機会を割り当てる端末候補に選択する。
例えば、基地局10は、MIMO伝送を行う対象端末から、受信機会の多い端末20を除外し、受信機会の少ない端末20を選択する。したがって、受信機会の少ない端末20のスループットを向上できる。換言すると、基地局10は、複数の端末20に割り当てる受信機会を端末20間において均等に近づける(受信機会の偏りを減少させる)ので、複数の端末20間の受信機会の公平性を向上できる。
よって、本実施の形態によれば、基地局10は、MU-MIMOにおいて、複数の端末20毎の所望スループットを考慮して、通信対象の端末20を効率的に選択できる。
また、本実施の形態によれば、基地局10は、複数の端末20の中から選択した端末候補に対して、使用ビームの選択処理又は対象端末の選択処理を含む処理を行う。換言すると、基地局10は、複数の端末20のうち、端末候補以外の端末20に対して、使用ビームの選択処理又は対象端末の選択処理を含む処理を行わない。したがって、基地局10では、複数の端末20に対して使用ビームの選択処理又は対象端末の選択処理を含む処理を行う場合と比較して演算量を削減できる。
また、基地局10は、チャネル情報に基づく対象端末の選択処理において適用される選択規範に依らず、公平性基準パラメータを用いた選択規範に基づいて端末候補を選択できる。例えば、基地局10は、公平性基準パラメータに基づく端末候補の選択処理と、Chordal Distance最大規範などの低演算型の対象端末選択処理とを併用できる。
以上、各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態では、基地局から参照信号を送信してチャネル推定を行う場合について説明した。しかし、チャネル推定において、端末20から参照信号を送信してチャネル推定を行ってもよいし、参照信号を使用しないでチャネル推定値(チャネル情報)を取得してもよい。すなわち、チャネル推定では、BFウェイトを含む等価チャネル行列(HW)を示すチャネル情報が取得されればよい。
(ハードウェア構成)
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本開示の一実施の形態における基地局、端末などは、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図5は、本開示の一実施の形態に係る基地局及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局10及び端末20は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局10及び端末20のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサで実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法で、一以上のプロセッサで実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、一以上のチップで実装されてもよい。
基地局10及び端末20における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、又は、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、上述の端末候補選択部100、ビーム選択部102、端末選択部104、デジタルプリコーダ106、デジタル固定ビームフォーマ114、などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、基地局10及び端末20を構成する少なくとも一部の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る通信制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、上述のD/A変換部108、周波数変換部110、アナログ固定ビームフォーマ112、アンテナ116などは、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、基地局10及び端末20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
(情報の通知、シグナリング)
また、情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
(適応システム)
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
(処理手順等)
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
(基地局の操作)
本明細書において基地局(無線基地局)によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS-GW(Serving Gateway)などが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
(入出力の方向)
情報及び信号等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)に出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
(入出力された情報等の扱い)
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置に送信されてもよい。
(判定方法)
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
(ソフトウェア)
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
(情報、信号)
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及び/又はシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC)は、キャリア周波数、セルなどと呼ばれてもよい。
(「システム」、「ネットワーク」)
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
(パラメータ、チャネルの名称)
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)など)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
(基地局)
基地局(無線基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」、「eNB」、「gNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
(端末)
ユーザ端末は、当業者によって、移動局、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、UE(User Equipment)、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
(用語の意味、解釈)
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。また、補正用RSは、TRS(Tracking RS)、PC-RS(Phase Compensation RS)、PTRS(Phase Tracking RS)、Additional RSと呼ばれてもよい。また、復調用RS及び補正用RSは、それぞれに対応する別の呼び方であってもよい。また、復調用RS及び補正用RSは同じ名称(例えば復調RS)で規定されてもよい。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
無線フレームは時間領域において1つまたは複数のフレームで構成されてもよい。時間領域において1つまたは複数の各フレームはサブフレーム、タイムユニット等と呼ばれてもよい。サブフレームは更に時間領域において1つまたは複数のスロットで構成されてもよい。スロットはさらに時間領域において1つまたは複数のシンボル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、SC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)シンボル等)で構成されてもよい。
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット、およびシンボルは、いずれも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット、およびシンボルは、それぞれに対応する別の呼び方であってもよい。
例えば、LTEシステムでは、基地局が各移動局に無線リソース(各移動局において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力等)を割り当てるスケジューリングを行う。スケジューリングの最小時間単位をTTI(Transmission Time Interval)と呼んでもよいし、1ミニスロットをTTIと呼んでもよい。
例えば、1サブフレームをTTIと呼んでもよいし、複数の連続したサブフレームをTTIと呼んでもよいし、1スロットをTTIと呼んでもよい。
リソースユニットは、時間領域および周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域では1つまたは複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。また、リソースユニットの時間領域では、1つまたは複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム、または1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームは、それぞれ1つまたは複数のリソースユニットで構成されてもよい。また、リソースユニットは、リソースブロック(RB:Resource Block)、物理リソースブロック(PRB:Physical RB)、PRBペア、RBペア、スケジューリングユニット、周波数ユニット、サブバンドと呼ばれてもよい。また、リソースユニットは、1つ又は複数のREで構成されてもよい。例えば、1REは、リソース割当単位となるリソースユニットより小さい単位のリソース(例えば、最小のリソース単位)であればよく、REという呼称に限定されない。
上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、サブフレームに含まれるミニスロットの数、スロットに含まれるシンボルおよびリソースブロックの数、および、リソースブロックに含まれるサブキャリアの数は様々に変更することができる。
本開示の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
(態様のバリエーション等)
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、特許請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。