<本開示が解決しようとする課題>
K28.5の制御コード及びランニングディスパリティは8b/10bにおいて用いられ、8b/10bはCPRIにおいて用いられている。しかし、5G(第5世代移動通信システム)で利用されるeCPRI(enhanced CPRI)では8b/10bが用いられないため、特許文献1に開示された方法を5Gに対応した中継システムに適用することはできない。
<本開示の効果>
本開示によれば、5Gに対応した中継システムにおける正確な遅延時間を測定することができる。
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態に係る中継システムは、第1装置と第2装置との間の通信を中継する中継システムであって、前記第1装置から原信号を受信する第1通信装置と、前記第2装置へ前記原信号を送信する第2通信装置と、前記第1通信装置及び前記第2通信装置間を接続する光ファイバと、を備え、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記第1通信装置及び前記第2通信装置の間で通信される情報が前記原信号に付加された光信号を前記光ファイバを介して送受信し、前記原信号は、時間順に通信される複数の制御コードを含み、前記第1通信装置及び前記第2通信装置は時刻同期されており、前記第1通信装置は、前記光ファイバに接続される第1光トランシーバを含み、前記第2通信装置は、前記光ファイバに接続される第2光トランシーバを含み、前記第1通信装置又は前記第2通信装置は、前記第1光トランシーバ又は前記第2光トランシーバによって取得された分散補償量に基づいて、前記光信号が前記光ファイバを伝送される時間である伝送遅延時間の推定値を取得する推定部と、前記第1通信装置又は前記第2通信装置による制御コードの送信に関連する送信関連時刻が既知である場合に、前記第2通信装置又は前記第1通信装置による前記制御コードの受信に関連する受信関連時刻を、又は、前記受信関連時刻が既知である場合に、前記送信関連時刻を、前記推定部によって取得された前記伝送遅延時間の推定値に基づいて特定する特定部と、前記送信関連時刻及び前記受信関連時刻に基づいて、前記第1通信装置から前記第2通信装置へ向かう下り回線又は前記第2通信装置から前記第1通信装置へ向かう上り回線における前記伝送遅延時間を決定する決定部と、を含む。これにより、伝送遅延時間の推定値に基づいて、第1通信装置若しくは第2通信装置が時系列で送信される複数の制御コードの中の1つの制御コードを送信した時刻に関連する送信関連時刻、又は、第2通信装置若しくは第1通信装置が当該制御コードを受信した時刻に関連する受信関連時刻を特定することができる。よって、下り回線又は上り回線における伝送遅延時間を正確に決定することができる。
(2) 前記送信関連時刻は、前記第1通信装置による前記制御コードの送信に関連する時刻であり、前記受信関連時刻は、前記第2通信装置による前記制御コードの受信に関連する時刻であり、前記決定部は、前記送信関連時刻及び前記受信関連時刻に基づいて、前記下り回線における前記伝送遅延時間を決定してもよい。これにより、下り回線における伝送遅延時間を正確に決定することができる。
(3) 前記送信関連時刻は、前記第2通信装置による前記制御コードの送信に関連する時刻であり、前記受信関連時刻は、前記第1通信装置による前記制御コードの受信に関連する時刻であり、前記決定部は、前記送信関連時刻及び前記受信関連時刻に基づいて、前記上り回線における前記伝送遅延時間を決定してもよい。これにより、上り回線における伝送遅延時間を正確に決定することができる。
(4) 前記第1通信装置は、前記第1通信装置内の遅延時間、前記第2通信装置内の遅延時間、及び前記決定部によって決定された前記伝送遅延時間を加算して、前記第1通信装置における前記第1装置に接続された通信ポート及び前記第2通信装置における前記第2装置に接続された通信ポートの間における信号伝送時間である中継遅延時間を算出する算出部を含んでもよい。これにより、中継システムにおける中継遅延時間を正確に算出することができる。
(5) 前記第1通信装置は、前記原信号が分割されたブロックを格納する受信キューと、前記受信キューから読み出された前記ブロックから、前記第2通信装置へ送信するための送信フレームを生成するフレーマと、前記受信キューに前記制御コードを含む前記ブロックが書き込まれる第1受信時刻、及び、前記受信キューから読み出された前記制御コードを含む前記ブロックが前記フレーマへ出力される第1送信時刻を取得する第1時刻取得部と、前記第1時刻取得部によって取得された前記第1送信時刻及び前記第1受信時刻の差分を算出することにより、前記第1通信装置内の遅延時間を測定する測定部と、を含み、前記第2通信装置は、前記第2光トランシーバによって受信された前記送信フレームから、前記ブロックを復元するデフレーマと、前記デフレーマによって復元された前記ブロックを格納する送信キューと、前記制御コードを含む前記送信フレームから復元された前記制御コードを含む前記ブロックが前記デフレーマから出力される第2受信時刻、及び、前記送信キューから前記制御コードを含む前記ブロックが読み出される第2送信時刻を取得する第2時刻取得部と、を含み、前記第1通信装置は、前記第2時刻取得部によって取得された前記第2受信時刻及び前記第2送信時刻の差分を算出することにより得られる前記第2通信装置内の遅延時間を取得する取得部を含んでもよい。これにより、下り回線における第1通信装置内の遅延時間、及び第2通信装置内の遅延時間を正確に測定することができる。
(6) 前記第2通信装置は、前記原信号が分割されたブロックを格納する受信キューと、前記受信キューから読み出された前記ブロックから、前記第1通信装置へ送信するための送信フレームを生成するフレーマと、前記受信キューに前記制御コードを含む前記ブロックが書き込まれる第1受信時刻、及び、前記受信キューから読み出された前記制御コードを含むブロックが前記フレーマへ出力される第1送信時刻を取得する第1時刻取得部と、を含み、前記第1通信装置は、前記第1光トランシーバによって受信された前記送信フレームから、前記ブロックを復元するデフレーマと、前記デフレーマによって復元された前記ブロックを格納する送信キューと、前記制御コードを含む前記送信フレームから復元された前記制御コードを含むブロックが前記デフレーマから出力される第2受信時刻、及び、前記送信キューから前記制御コードを含む前記ブロックが読み出される前記第2送信時刻を取得する第2時刻取得部と、前記第2時刻取得部によって取得された前記第2受信時刻及び前記第2送信時刻の差分を算出することにより、前記第1通信装置内の遅延時間を測定する測定部と、前記第1時刻取得部によって取得された前記第1送信時刻及び前記第1受信時刻の差分を算出することにより得られる前記第2通信装置内の遅延時間を取得する取得部と、を含んでもよい。これにより、上り回線における第1通信装置内の遅延時間、及び第2通信装置内の遅延時間を正確に測定することができる。
(7) 前記決定部は、前記下り回線における前記伝送遅延時間と、前記上り回線における前記伝送遅延時間とを決定し、前記算出部は、前記第1通信装置内の遅延時間、前記第2通信装置内の遅延時間、及び前記下り回線における前記伝送遅延時間を加算して、前記下り回線における前記中継遅延時間を算出し、前記第1通信装置内の遅延時間、前記第2通信装置内の遅延時間、及び前記上り回線における前記伝送遅延時間を加算して、前記上り回線における前記中継遅延時間を算出し、前記第1通信装置は、前記算出部によって算出された前記下り回線における前記中継遅延時間及び前記上り回線における前記中継遅延時間に基づいて、前記受信キュー又は前記送信キューからの前記ブロックの読出しタイミングを制御する制御部をさらに含んでもよい。これにより、通信における遅延の非対称性を補正することができる。
(8) 前記第1通信装置は、前記第1装置に接続される複数の第1通信ポートを含み、前記第2通信装置は、前記第2装置に接続される複数の第2通信ポートを含み、前記算出部は、前記第1通信ポートと前記第2通信ポートとの組み合わせ毎に、前記中継遅延時間を算出してもよい。これにより、第1通信装置及び第2通信装置の各通信ポート間での遅延時間を個別に測定することができる。
(9) 前記第1通信装置又は前記第2通信装置は、前記第1光トランシーバ又は前記第2光トランシーバによって取得された分散補償量の変化に基づいて、前記下り回線における伝送遅延時間を更新するか否かを判定してもよい。これにより、光ファイバの伝送遅延時間が変化したと判断できる場合に、下り回線における遅延時間を更新することができる。
(10) 前記第1通信装置又は前記第2通信装置は、前記光ファイバに接続された第1光トランシーバ又は前記第2光トランシーバによって取得された分散補償量の変化に基づいて、前記上り回線における遅延時間を更新するか否かを判定してもよい。これにより、光ファイバの伝送遅延時間が変化したと判断できる場合に、上り回線における遅延時間を更新することができる。
(11) 前記制御コードは、コードワードマーカーであってもよい。これにより、eCPRI信号を用いて遅延時間を推定することができる。
(12) 本実施形態に係る通信装置は、時間順に通信される複数の制御コードを含む原信号を第1装置から受信し、光ファイバを介して接続された対向装置へ、前記対向装置への情報が前記原信号に付加された光信号を送信し、前記対向装置からの情報が原信号に付加された光信号を前記対向装置から受信し、受信された前記光信号に応じた前記原信号を前記第1装置へ送信する通信装置であって、前記光ファイバに接続される第1光トランシーバと、前記第1光トランシーバ、又は、前記対向装置が備える前記光ファイバに接続された第2光トランシーバによって取得された分散補償量に基づいて、前記光信号が前記光ファイバを伝送される時間である伝送遅延時間の推定値を取得する推定部と、前記通信装置又は前記対向装置による制御コードの送信に関連する送信関連時刻が既知である場合に、前記対向装置又は前記通信装置による前記制御コードの受信に関連する受信関連時刻を、又は、前記受信関連時刻が既知である場合に、前記送信関連時刻を、前記推定部によって取得された前記伝送遅延時間の推定値に基づいて特定する特定部と、前記送信関連時刻及び前記受信関連時刻に基づいて、前記通信装置から前記対向装置へ向かう第1伝送方向又は前記対向装置から前記通信装置へ向かう第2伝送方向における前記伝送遅延時間を決定する決定部と、を備える。これにより、推定された伝送遅延時間に基づいて、通信装置又は対向装置が時系列で送信される複数の制御コードの中の1つの制御コードを送信した時刻に関連する送信関連時刻及び対向装置又は通信装置が当該制御コードを受信した時刻に関連する受信関連時刻を特定することができる。よって、上り回線における遅延時間と、下り回線における遅延時間とを正確に決定することができ、5Gに対応した中継システムにおける非対称遅延を測定することができる。
(13) 本実施形態に係る遅延時間決定方法は、通信装置と対向装置とが光ファイバで接続された中継システムにおける遅延時間を、前記通信装置によって決定するための遅延時間決定方法であって、前記通信装置が備える前記光ファイバに接続された第1光トランシーバ又は前記対向装置が備える前記光ファイバに接続された第2光トランシーバによって取得された分散補償量に基づいて、前記光信号が前記光ファイバを伝送される時間である伝送遅延時間の推定値を取得するステップと、前記通信装置又は前記対向装置による制御コードの送信に関連する送信関連時刻が既知である場合に、前記対向装置又は前記通信装置による前記制御コードの受信に関連する受信関連時刻を、又は、前記受信関連時刻が既知である場合に、前記送信関連時刻を、前記推定部によって取得された前記伝送遅延時間の推定値に基づいて特定するステップと、前記送信関連時刻及び前記受信関連時刻に基づいて、前記通信装置から前記対向装置へ向かう第1伝送方向又は前記対向装置から前記通信装置へ向かう第2伝送方向における前記伝送遅延時間を決定するステップと、を含む。これにより、推定された伝送遅延時間に基づいて、通信装置又は対向装置が時系列で送信される複数の制御コードの中の1つの制御コードを送信した時刻に関連する送信関連時刻及び対向装置又は通信装置が当該制御コードを受信した時刻に関連する受信関連時刻を特定することができる。よって、上り回線における遅延時間と、下り回線における遅延時間とを正確に決定することができ、5Gに対応した中継システムにおける非対称遅延を測定することができる。
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[1.第1実施形態]
[1-1.中継システムの構成]
図1は、第1実施形態に係る通信システム10の構成の一例を示す模式図である。図1に示される通信システム10は、モバイルフロントホールである。通信システム10は、ベースバンド装置(以下、「BBU」という)20と、遠隔無線ヘッド(以下、「RRH」という)30とを備える。BBU20は、無線基地局の信号処理部である。RRH30は無線基地局のアンテナである。
通信システム10は、BBU20とRRH30との間に中継システム100を含む。中継システム100は、BBU20とRRH30との間の通信を中継する。なお、本実施形態ではMFHに適用される中継システム100が説明されるが、これに限定されない。MBH又はMMHに中継システム100を適用してもよい。
中継システム100は、第1通信装置200及び第2通信装置300を含む。第1通信装置200及び第2通信装置300は、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector) によって規定される通信規格であるOTNに準拠した通信装置であり、5Gの通信信号用の光伝送装置である。第1通信装置200は、BBU20に光ファイバケーブル21によって接続される。第2通信装置300は、RRH30に光ファイバケーブル31によって接続される。第1通信装置200及び第2通信装置300は、1本の光ファイバケーブル250を介して互いに接続される。光ファイバケーブル250は、例えば20km以上の長さを有する。光ファイバケーブル250には、例えばダークファイバが利用される。
第1通信装置200は、中継システム100における伝送遅延時間を測定するマスタ装置であり、第2通信装置300はスレーブ装置である。第1通信装置200は、第2通信装置300と通信することによって、中継システム100の上り回線における遅延時間及び下り回線における遅延時間を測定する。
[1-2.第1通信装置の構成]
図2は、第1実施形態に係る第1通信装置の構成の一例を示すブロック図である。第1通信装置200は、送受信部201と、キュー202A,202Bと、OTNフレーマ203Aと、OTNデフレーマ203Bと、送受信部204と、時刻情報部206と、制御回路210とを含む。
送受信部201は、BBU20に接続されるクライアントポートである。送受信部201は、光ファイバケーブル21に接続される。送受信部201は、25Gイーサネット(以下、「25GE」ともいう。「イーサネット」は登録商標。)に対応した光トランシーバを含む。送受信部201は、光信号と電気信号とを相互変換する。送受信部201は、例えば、シリアル/パラレル変換器、送信回路、及び受信回路を含む。送受信部201は、受信したシリアル光信号をシリアル電気信号へ変換し、さらにシリアル電気信号をシリアル/パラレル変換する。送受信部201は、得られたパラレル電気信号をブロックに分割し、分割されたブロックをキュー202Aに書き込む。
キュー202AはFIFO(First In, First Out)バッファである。キュー202Aは、受信キューの一例である。キュー202Aは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)を含むハードウェア回路によって構成される。キュー202Aは、書込先のアドレスを指定する書込ポインタ及び読み出し先のアドレスを指定する読出ポインタを含む。送受信部201は、書込ポインタによって指定されるアドレスにブロックデータを書き込む。
OTNフレーマ203Aは、BBU20から受信されたクライアント信号(eCPRI信号)をOTNフレームに変換する。OTNフレーマ203Aは、フレーマの一例である。OTNフレーマ203Aは、キュー202Aの読出しポインタによって指定されたアドレスからブロックデータを読み出し、読み出されたブロックデータを収容したOTNフレーム(送信フレーム)を生成する。OTNフレーマ203Aは生成されたOTNフレームを送受信部204へ出力する。OTNフレーマ203Aは、例えば、LSI(Large Scale Integration)として構成される。
送受信部204は、対向装置である第2通信装置300に接続される中継ポートである。送受信部204は、光ファイバケーブル250に接続される。送受信部204は、例えば100Gbps以上の伝送速度で光信号を送受信することが可能なコヒーレント光トランシーバ205を含む。送受信部204は、例えば、送信回路、及び受信回路を含む。
送受信部204は、第2通信装置300から送信された光信号を受信する。送受信部204は、受信された光信号を電気信号へ変換し、得られた電気信号のOTNフレームをOTNデフレーマ203Bへ出力する。
コヒーレント光トランシーバ205は、光ファイバケーブル250の分散補償量を測定することができる。測定された分散補償量は、コヒーレント光トランシーバ205に含まれるレジスタに記憶される。
OTNデフレーマ203Bは、第2通信装置300から受信されたOTNフレームをクライアント信号(eCPRI信号)に変換する。OTNデフレーマ203Bは、デフレーマの一例である。OTNデフレーマ203Bは、入力されたOTNフレーム(第2送信フレーム)からブロックデータを抽出する。OTNデフレーマ203Bは、キュー202Bの書込ポインタによって指定されたアドレスへブロックデータを書き込む。OTNデフレーマ203Bは、例えば、LSIとして構成される。
キュー202BはFIFO(First In, First Out)バッファである。キュー202Aは、送信キューの一例である。キュー202Bの構成は、キュー202Aの構成と同様である。OTNデフレーマ203Bは、書込ポインタによって指定されるアドレスにブロックデータを書き込む。
送受信部201は、キュー202Bの読出しポインタによって指定されたアドレスからブロックデータを読み出し、読み出されたブロックデータをパラレル/シリアル変換する。送受信部201は、得られたシリアル電気信号をシリアル光信号へ変換し、光ファイバケーブル21へ送出する。
時刻情報部206は、現在時刻を示す時刻情報を制御回路210へ出力する。時刻情報は、中継システム100における時刻同期に使用される。
制御回路210は、例えば、プロセッサ211と、不揮発性メモリ212と、揮発性メモリ213とを含む。
揮発性メモリ213は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ212は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ212には、コンピュータプログラムであるマスタープログラム214及びマスタープログラム214の実行に使用されるデータが格納される。第1通信装置200は、コンピュータを備えて構成され、第1通信装置200の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムであるマスタープログラム214がプロセッサ211によって実行されることで発揮される。
マスタープログラム214は、スレーブ装置である第2通信装置300と通信することによって、中継システム100の下り回線及び上り回線のそれぞれにおける遅延時間を測定するためのコンピュータプログラムである。
プロセッサ211は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ211は、CPUに限られない。プロセッサ211は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ211は、マルチコアGPUである。プロセッサ211は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ211は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を一部に含んでもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを一部に含んでもよい。
[1-3.第2通信装置の構成]
図3は、第1実施形態に係る第2通信装置の構成の一例を示すブロック図である。第2通信装置300は、送受信部301と、キュー302A,302Bと、OTNフレーマ303Aと、OTNデフレーマ303Bと、送受信部304と、時刻情報部306と、制御回路310とを含む。送受信部301は、RRH30に接続されるクライアントポートである。送受信部304は、対向装置である第2通信装置300に接続される中継ポートである。キュー302Aは、受信キューの一例であり、キュー302Bは、送信キューの一例である。OTNフレーマ303Aは、フレーマの一例であり、OTNデフレーマは、デフレーマの一例である。
送受信部301,キュー302A,302B,OTNフレーマ303A,OTNデフレーマ303B,送受信部304の構成は、送受信部201,キュー202A,202B,OTNフレーマ203A,OTNデフレーマ203B,送受信部204の構成と同様であるので、その説明を省略する。
時刻情報部306は、時刻情報部206と同様に、現在時刻を示す時刻情報を制御回路310へ出力する。
制御回路310は、例えば、プロセッサ311と、不揮発性メモリ312と、揮発性メモリ313とを含む。プロセッサ311,不揮発性メモリ312,及び揮発性メモリ313の構成は、上述したプロセッサ211,不揮発性メモリ212,及び揮発性メモリ213の構成と同様である。
不揮発性メモリ212には、コンピュータプログラムであるスレーブプログラム314及びスレーブプログラム314の実行に使用されるデータが格納される。第2通信装置300は、コンピュータを備えて構成され、第2通信装置300の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムであるスレーブプログラム314がプロセッサ311によって実行されることで発揮される。
スレーブプログラム314は、マスター装置である第1通信装置200と通信することによって、中継システム100の下り回線及び上り回線のそれぞれにおける遅延時間を測定するため情報を第1通信装置200へ提供するためののコンピュータプログラムである。
[1-4.中継システムの機能]
図4は、第1実施形態に係る第1通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図であり、図5は、第1実施形態に係る第2通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。プロセッサ211がマスタープログラム214を実行することにより、タイムスタンパ221、PTP部221A、測定部222、OTNヘッダ制御部223、取得部224、推定部225、算出部226、特定部227、決定部228、及びFIFO制御部229の各機能が実現される。プロセッサ311がスレーブプログラム314を実行することにより、タイムスタンパ321、PTP部321A、OTNヘッダ制御部323、及び推定部325の各機能が実現される。
図6は、eCPRI信号の構成を模式的に示す図である。本実施形態では、25GBASE-Rに定義される制御コードであるコードワードマーカー(CWM)を用いて下り回線及び上り回線のそれぞれにおける遅延時間を測定する。25GEにはRS(528,514)FEC(RS:リードソロモン、FEC:誤り訂正)が用いられる。RS(528,514)FECのブロック長は5280ビットであり、1024ブロック毎にCWMが配置される。
図4を参照する。第1通信装置200のPTP部221Aは、時刻情報部206から時刻情報を取得する。第2通信装置300においても、PTP部321Aが時刻情報部306から時刻情報を取得することができる(図5参照)。第1通信装置200はマスター装置であり、第2通信装置300はスレーブ装置である。第1通信装置200と第2通信装置300とは、時刻同期用のOTNフレームを送受信する。OTNフレームにはOTNヘッダが含まれ、OTNヘッダに時刻情報が格納される。第1通信装置200及び第2通信装置300は、PTP部221A,321Aによって取得された時刻情報を、IEEE1588に規定されるPTP(Precision Time Protocol)にしたがって送受信し、両装置の時刻を一致させる。タイムスタンパ221は、時刻情報部206から時刻情報を受け付け、タイムスタンプを記憶する。タイムスタンパ221は、第1時刻取得部の一例である。タイムスタンパ221は、第1通信装置200がBBU20から送信されたeCPRI信号(下り原信号)に含まれるCWMを受信した第1受信時刻A、及び、第1通信装置200が下り原信号に含まれるCWMを送信した第1送信時刻A’を取得する。
図7Aは、第1受信時刻及び第1送信時刻の取得を説明するための図である。送受信部201は、BBU30から受信されたeCPRI信号を複数のブロックに分割し、各ブロックを時間順にキュー202Aに書き込む。分割するブロックは、上述したRS(528,514)FECのブロックであってもよいし、他の単位のブロック(例えば、RSFECブロック数個分)であってもよい。タイムスタンパ221は、送受信部201からキュー202AにCWMを含むブロック400が書き込まれた時刻を、第1受信時刻Aとして取得する。
CWMを含むブロック400は、OTNフレーマ203Aによってキュー202Aから読み出される。OTNフレーマ203Aは、CWMを含むブロック400から、CWMを含むOTNフレーム500を生成し、OTNフレーム500を送受信部204へ出力する。タイムスタンパ221は、OTNフレーマ203Aから送受信部204へCWMを含むOTNフレーム500が出力された時刻を、第1送信時刻A’として取得する。なお、OTNフレーマ203AにCWMを含むブロック400が入力された時刻を、第1送信時刻A’としてもよい。ただし、第1送信時刻A’は、第1通信装置200から第2通信装置300へのCWMの送信に関連した時刻であれば、これらの時刻に限られない。第1送信時刻A’は特定部227に出力され、特定部227において所定時間記憶される。
再び図4を参照する。測定部222は、タイムスタンパ221によって取得された第1送信時刻A’及び第1受信時刻Aに基づいて、下り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1を測定する。図8は、中継システムにおける遅延時間を説明するための図である。第1受信時刻Aは、CWMが第1通信装置200の送受信部201を通過した時刻であり、第1送信時刻A’は、CWMがOTNフレーマ203Aから出力された時刻(又はCWMがOTNフレーマ203Aへ入力された時刻)である。測定部222は、第1送信時刻A’と第1受信時刻Aとの差分A’-Aとして第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1を算出する。なお、ΔTd1の算出の時期は限定されない。後述の遅延時間調整処理の前にΔTd1が一度算出されてもよい。また、ΔTd1は算出されずに設計値として与えられてもよい。
図5を参照する。タイムスタンパ321は、時刻情報部306から時刻情報を取得し、タイムスタンプを記憶する。タイムスタンパ321は、第2時刻取得部の一例である。タイムスタンパ321は、第1通信装置200から送信されたCWMを第2通信装置300が受信した第2受信時刻B’、及び、第2通信装置300がRRH30へCWMを送信した第2送信時刻Bを取得する。
図7Bは、第2受信時刻及び第2送信時刻の取得を説明するための図である。第1通信装置200から送信されたOTNフレーム500は送受信部304によって受信される。送受信部304は、受信されたOTNフレーム500をOTNデフレーマ303Bへ出力する。タイムスタンパ321は、送受信部304がOTNデフレーマ303BにCWMを含むOTNフレームを入力した時刻を、第2受信時刻B’として取得する。なお、OTNデフレーマ303BからCWMを含むブロック400が出力された時刻を、第2受信時刻B’としてもよい。ただし、第2受信時刻B’は、第1通信装置200から送信されたCWMの第2通信装置300における受信に関連した時刻であれば、これらの時刻に限られない。
OTNデフレーマ303Bは、OTNフレーム500からCWMを含むブロック400を抽出し、キュー302Bにブロック400を書き込む。送受信部301は、キュー302Bからブロック400を読み出す。タイムスタンパ321は、送受信部301がCWMを含むブロック400をキュー302Bから読み出す時刻を、第2送信時刻Bとして取得する。
再び図5を参照する。OTNヘッダ制御部323は、OTNヘッダに情報を挿入し、OTNヘッダから情報を抽出する。OTNヘッダ制御部323は、通知部の一例である。OTNヘッダ制御部323は、タイムスタンパ321によって取得された第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bを、OTNヘッダに挿入する。ヘッダに第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bが挿入されたOTNフレームが第1通信装置200へ送信されることにより、第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bが第1通信装置200へ通知される。
再び図4を参照する。OTNヘッダ制御部223は、第2通信装置300から送信されたOTNフレームのヘッダから第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bを抽出する。取得部224は、OTNヘッダ制御部223によって抽出された第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bを取得する。第2送信時刻B’は特定部227に出力され、特定部227において所定時間記憶される。
取得部224は、取得された第2送信時刻B及び第2受信時刻B’に基づいて、下り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を取得する。再び図8を参照する。第2受信時刻B’は、CWMが第2通信装置300のOTNデフレーマ303Bに入力された時刻(又はCWMがOTNデフレーマ303Bから出力された時刻)であり、第2送信時刻Bは、CWMが送受信部301を通過した時刻である。取得部224は、第2送信時刻Bと第2受信時刻B’との差分B-B’として第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を算出する。なお、ΔTd2の算出の時期は限定されない。後述の遅延時間調整処理の前にΔTd2が一度算出されてもよい。また、ΔTd2は算出されずに設計値として与えられてもよい。
再び図5を参照する。推定部325は、コヒーレント光トランシーバ305によって取得された分散補償量に基づいて、光信号が光ファイバ250を伝送される時間である伝送遅延時間を推定する。光ファイバにおける伝送時間は、光ファイバの分散量に影響を受ける。コヒーレント光トランシーバ305は、分散を補償するための分散補償量を計測する機能を有する。推定部325は、例えば、コヒーレント光トランシーバ305によって取得された分散補償量から伝送遅延時間の推定値ΔETdownを算出する。一例として、30kmの光ファイバケーブル250における分散補償量の平均値が493[ps/nm]である場合、次式によって伝送遅延時間の推定値ΔETdownが135[μs]と算出される。
493[ps/nm]/(17[ps/nm*km]×200000[km/s])=135[μs]
ただし、17[ps/nm*km]は、ITU-T G.762にて規定されるシングルモードファイバ分散特性の一例であり、200000[km/s]は、光ファイバ内の光速の一例である。
OTNヘッダ制御部323は、推定部325によって得られた伝送遅延時間の推定値ΔETdownをOTNヘッダに挿入する。ヘッダに伝送遅延時間ΔETdownが挿入されたOTNフレームが第1通信装置200へ送信されることにより、下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownが第1通信装置200へ通知される。
再び図4を参照する。OTNヘッダ制御部223は、第2通信装置300から送信されたOTNフレームのヘッダから下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownを抽出する。取得部224は、OTNヘッダ制御部223によって抽出された下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownを取得する。
図5を参照する。タイムスタンパ321は、第2通信装置300がRRH30から送信されたeCPRI信号(上り原信号)に含まれるCWMを受信した第3受信時刻C、及び、第2通信装置300が上り原信号に含まれるCWMを送信した第3送信時刻C’を取得する。
送受信部301は、RRH30から受信されたeCPRI信号を複数のブロックに分割し、各ブロックを時間順にキュー302Aに書き込む。タイムスタンパ321は、送受信部301からキュー302AにCWMを含むブロック400が書き込まれた時刻を、第3受信時刻Cとして取得する(図7A参照)。
OTNフレーマ303Aは、CWMを含むブロック400から、CWMを含むOTNフレーム500を生成し、OTNフレーム500を送受信部304へ出力する。タイムスタンパ321は、OTNフレーマ303Aから送受信部304へCWMを含むOTNフレーム500が出力された時刻を、第3送信時刻C’として取得する(図7A参照)。なお、OTNフレーマ303AにCWMを含むブロック400が入力された時刻を、第3送信時刻C’としてもよい。ただし、第3送信時刻C’は、第2通信装置300から第1通信装置200へのCWMの送信に関連した時刻であれば、これらの時刻に限られない。
OTNヘッダ制御部323は、タイムスタンパ321によって取得された第3受信時刻C及び第3送信時刻C’を、OTNヘッダに挿入する。ヘッダに第3受信時刻C及び第3送信時刻C’が挿入されたOTNフレームが第1通信装置200へ送信されることにより、第3受信時刻C及び第3送信時刻C’が第1通信装置200へ通知される。
再び図4を参照する。OTNヘッダ制御部223は、第2通信装置300から送信されたOTNフレームのヘッダから第3受信時刻C及び第3送信時刻C’を抽出する。取得部224は、OTNヘッダ制御部223によって抽出された第3受信時刻C及び第3送信時刻C’を取得する。第3送信時刻C’は特定部227に出力され、特定部227において所定時間記憶される。
取得部224は、取得された第3送信時刻C’及び第3受信時刻Cに基づいて、上り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を取得する。再び図8を参照する。第3受信時刻Cは、CWMが第2通信装置300の送受信部304を通過した時刻であり、第3送信時刻C’は、CWMがOTNフレーマ303Aから出力された時刻(又はCWMがOTNフレーマ303Aへ入力された時刻)である。取得部224は、第3送信時刻C’と第3受信時刻Cとの差分C’-Cとして第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を算出する。なお、ΔTu2の算出の時期は限定されない。後述の遅延時間調整処理の前にΔTu2が一度算出されてもよい。また、ΔTu2は算出されずに設計値として与えられてもよい。
再び図4を参照する。タイムスタンパ221は、第2通信装置300から送信されたCWMを第1通信装置200が受信した第4受信時刻D’、及び、第1通信装置200がBBU20へCWMを送信した第4送信時刻Dを取得する。
第2通信装置300から送信されたOTNフレーム500は送受信部204によって受信される。タイムスタンパ221は、送受信部204がOTNデフレーマ203BにCWMを含むOTNフレームを入力した時刻を、第4受信時刻D’として取得する(図7B参照)。なお、OTNデフレーマ203BからCWMを含むブロック400が出力された時刻を、第4受信時刻D’としてもよい。ただし、第4受信時刻D’は、第2通信装置300から送信されたCWMの第1通信装置200における受信に関連した時刻であれば、これらの時刻に限られない。第4送信時刻D’は特定部227に出力され、特定部227において所定時間記憶される。
OTNデフレーマ203Bは、OTNフレーム500からCWMを含むブロック400を抽出し、キュー202Bにブロック400を書き込む。タイムスタンパ221は、送受信部201がCWMを含むブロック400をキュー202Bから読み出す時刻を、第4送信時刻Dとして取得する(図7B参照)。
測定部222は、タイムスタンパ221によって取得された第4送信時刻D及び第4受信時刻D’に基づいて、上り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1を測定する。再び図8を参照する。第4受信時刻D’は、CWMが第1通信装置200のOTNデフレーマ203Bに入力された時刻(又はCWMがOTNデフレーマ203Bから出力された時刻)であり、第4送信時刻Dは、CWMが送受信部201を通過した時刻である。測定部222は、第4送信時刻Dと第4受信時刻D’との差分D-D’として第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1を算出する。なお、ΔTu1の算出の時期は限定されない。後述の遅延時間調整処理の前にΔTu1が一度算出されてもよい。また、ΔTu1は算出されずに設計値として与えられてもよい。
推定部225は、コヒーレント光トランシーバ205によって取得された分散補償量に基づいて、上り回線における光ファイバケーブル250の伝送遅延時間の推定値ΔETupを算出する。
上述したように、特定部227は第1送信時刻A’、第2受信時刻B’、第3送信時刻C’及び第4受信時刻D’を記憶する。以下、特定部227によって記憶された時系列の第1送信時刻A’を、A1,A2,A3,…,Anとし、時系列の第2受信時刻B’を、B1,B2,B3,…,Bnとし、時系列の第3送信時刻C’を、C1,C2,C3,…,Cnとし、時系列の第4受信時刻D’を、D1,D2,D3,…,Dnとする。
特定部227は、時系列に送信される複数のCWMのうちの1つ(第1制御コード)を第1通信装置200がBBU20から受信した第1時刻Ak、及び、第2通信装置300が第1制御コードをRRH30へ送信した第2時刻Bkを特定する。第1時刻Akは、送信関連時刻の一例であり、第2時刻Bkは、受信関連時刻の一例である。
図9は、特定部による第1時刻An及び第2時刻Bnの特定を説明するための図である。時刻A1において第1送信時刻A’が取得された場合、時刻B1において第2受信時刻B’が取得される。つまり、時刻A1と時刻B1とは対応している。同様に、時刻A2と時刻B2とは対応し、時刻A3と時刻B3とは対応し、時刻Anと時刻Bnとは対応する。
例えば、特定部227は、時刻A1,A2,A3,…,Anの中から1つの時刻Akを選択する。特定部227は、下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownを時刻Anに加算した時刻Ak+ΔETdownを算出する。特定部227は、時刻B1,B2,B3,…,Bnのうち、時刻Ak+ΔETdownに最も近い時刻Bkを特定する。
再び図4を参照する。特定部227は、複数のCWMのうちの1つ(第2制御コード)を第2通信装置300がRRH30から受信した第3時刻Ck、及び、第1通信装置200が第2制御コードをBBU20へ送信した第4時刻Dkを特定する。第3時刻Ckは、送信関連時刻の一例であり、第4時刻Dkは、受信関連時刻の一例である。
再び図9を参照する。例えば、特定部227は、時刻D1,D2,D3,…,Dnの中から1つの時刻Dkを選択する。特定部227は、上り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETupを時刻Dkから減算した時刻Dk-ΔETupを算出する。特定部227は、時刻C1,C2,C3,…,Cnのうち、時刻Dk-ΔETupに最も近い時刻Ckを特定する。
再び図4を参照する。決定部228は、特定された第1時刻Ak及び第2時刻Bkに基づいて、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを決定する。つまり、決定部228は、第2時刻Bkと第1時刻Akとの差分Bk-Akを伝送遅延時間ΔTdownとして決定する。
算出部226は、測定部222によって測定された第1通信装置内の遅延時間ΔTd1、決定部228によって決定された伝送遅延時間ΔTdown、及び取得部224によって取得された第2通信装置内の遅延時間ΔTd2を加算して、中継システム100の下り回線における中継遅延時間Ddownを算出する。図8を参照して、下り回線における中継遅延時間Ddownは、第1通信装置200のクライアントポートである送受信部201から第2通信装置300のクライアントポートである送受信部301までの信号の伝送時間である。
再び図4を参照する。決定部228は、特定された第3時刻Ck及び第4時刻Dkに基づいて、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを決定する。つまり、決定部228は、第4時刻Dkと第3時刻Ckとの差分Dk-Ckを伝送遅延時間ΔTupとして決定する。
算出部226は、取得部224によって取得された第2通信装置内の遅延時間ΔTu2、決定部228によって決定された伝送遅延時間ΔTup、及び測定部222によって測定された第1通信装置内の遅延時間ΔTu1を加算して、中継システム100の上り回線における中継遅延時間Dupを算出する。図8を参照して、上り回線における中継遅延時間Dupは、第2通信装置300のクライアントポートである送受信部301から第1通信装置200のクライアントポートである送受信部201までの信号の伝送時間の推定値である。
FIFO制御部229は、下り回線における中継遅延時間Ddown及び上り回線における中継遅延時間Dupに基づいて、第1通信装置200のキュー202A又は202Bの読出しタイミングを制御する。例えば、FIFO制御部229は、上り回線と下り回線のうち遅延時間が短い方を特定する。FIFO制御部229は、DdownとDupとの差分を算出し、遅延時間が短い方のキュー202A又は202Bからの読出しタイミングを、算出された差分時間だけ遅らせる。例えば、下り回線における中継遅延時間Ddownが上り回線における中継遅延時間Dupより短い場合、FIFO制御部229は、キュー202Aの読出ポインタを制御し、キュー202Aからのデータの読出しタイミングをDdown-Dupだけ遅らせる。上り回線における中継遅延時間Dupが下り回線における中継遅延時間Ddownより短い場合、FIFO制御部229は、キュー202Bの読出ポインタを制御し、キュー202Bからのデータの読出しタイミングをDup-Ddownだけ遅らせる。これにより、上下回線における遅延の非対称性を抑制することができる。
[1-5.中継システムの動作]
第1通信装置200のプロセッサ211がマスタープログラム214を起動し、第2通信装置300のプロセッサ311がスレーブプログラム314を起動すると、中継システム100が、後述するような下り回線における遅延時間推定処理、上り回線における遅延時間推定処理、下り回線における遅延時間決定処理、上り回線における遅延時間決定処理、及び遅延時間調整処理を実行する。
第1通信装置200のプロセッサ211は、時刻情報部206から時刻情報を取得し、PTPパケットをOTNヘッダに挿入したOTNフレームを第2通信装置300へ送信する。第2通信装置300はOTNフレームを受信し、OTNヘッダに挿入されたPTPパケットを取り出す。第2通信装置300のプロセッサ311は、時刻情報部306から時刻情報を取得し、時刻情報を含むPTPパケットをOTNヘッダに挿入したOTNフレームを第1通信装置200へ送信する。プロセッサ211,311は、PTPパケットの送受信によって第1通信装置200と第2通信装置300との時刻同期を実行する。このように時刻の同期が取られた状態において、下り回線における遅延時間決定処理、上り回線における遅延時間決定処理、及び遅延時間調整処理が実行される。
図10は、第1実施形態に係る中継システム100による下り回線における遅延時間推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
第1通信装置200のプロセッサ211は、CWMを含むブロック400のキュー202Aへの書込時刻Aを取得する(ステップS101)。さらにプロセッサ211は、当該CWMを含むOTNフレーム500のOTNフレーマ203Aからの出力時刻A’(又は、当該CWMを含むブロック400のOTNフレーマ203Aへの入力時刻A’)を取得するとともに記憶する(ステップS102)。プロセッサ211は、時刻A’及び時刻Aの差分を算出することによって、下り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1を算出する(ステップS103)。
第2通信装置300のプロセッサ311は、CWMを含むOTNフレーム500のOTNデフレーマ303Bへの出力時刻B’ (又は、CWMを含むブロック400のOTNデフレーマ303Bからの出力時刻B’)を取得する(ステップS104)。さらにプロセッサ311は、当該CWMを含むブロック400のキュー302Bからの読出時刻Bを取得する(ステップS105)。プロセッサ311は、時刻B及びB’をOTNヘッダに挿入し、時刻B,B’を第1通信装置200へ通知する(ステップS106)。
第1通信装置200は、時刻B,B’をOTNヘッダに含むOTNフレームを受信する(ステップS107)。プロセッサ211は、時刻B及び時刻B’の差分を算出することによって、下り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を算出し、時刻B’を記憶する(ステップS108)。
第2通信装置300のプロセッサ311は、コヒーレント光トランシーバ305のレジスタから、分散補償量を読み出す(ステップS109)。プロセッサ311は、読み出された分散補償量に基づいて、下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownを算出する(ステップS110)。プロセッサ311は、伝送遅延時間の推定値ΔETdownをOTNヘッダに挿入し、推定値ΔETdownを第1通信装置200に通知する(ステップS111)。
第1通信装置200は、伝送遅延時間ΔTdownをOTNヘッダに含むOTNフレームを受信する(ステップS112)。以上で、下り回線における遅延時間推定処理が終了する。
図11は、第1実施形態に係る中継システム100による上り回線における遅延時間推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
第2通信装置300のプロセッサ311は、CWMを含むブロック400のキュー302Aへの書込時刻Cを取得する(ステップS201)。さらにプロセッサ311は、当該CWMを含むOTNフレーム500のOTNフレーマ303Aからの出力時刻C’を取得する(ステップS202)。
第1通信装置200のプロセッサ211は、CWMを含むOTNフレーム500のOTNデフレーマ203Bへの出力時刻D’を取得するとともに記憶する(ステップS203)。さらにプロセッサ211は、当該CWMを含むブロック400のキュー202Bからの読出時刻Dを取得する(ステップS204)。プロセッサ211は、時刻D及び時刻D’の差分を算出することによって、上り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1を算出する(ステップS205)。
プロセッサ311は、時刻C及びC’をOTNヘッダに挿入し、時刻C,C’を第1通信装置200へ通知する(ステップS206)。
第1通信装置200は、時刻C,C’をOTNヘッダに含むOTNフレームを受信する(ステップS207)。プロセッサ211は、時刻C’及び時刻Cの差分を算出することによって、上り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を算出し、時刻C’を記憶する(ステップS208)。
第1通信装置200のプロセッサ211は、コヒーレント光トランシーバ205のレジスタから、分散補償量を読み出す(ステップS209)。プロセッサ211は、読み出された分散補償量に基づいて、上り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETupを算出する(ステップS210)。以上で、上り回線における遅延時間推定処理が終了する。
図12は、第1実施形態に係る中継システム100による下り回線における遅延時間決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
第1通信装置200のプロセッサ211は、OTNフレーマ203AからのCWMを含むOTNフレームの出力時刻であり、記憶されている時刻A’の系列である第1時刻Akを取得する(ステップS301)。例えば、プロセッサ211は、第1送信時刻A’の系列として時刻A1,A2,A3,…,Anを取得し、その中から1つの時刻Akを第1時刻として選択する。
第1通信装置200のプロセッサ211は、OTNデフレーマ303BへCWMを含むOTNフレームが入力される受信時刻であり、記憶されている時刻B’の系列である時刻B1,B2,B3,…,Bnを取得する(ステップS302)。
プロセッサ211は、下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownを時刻Akに加算した時刻Ak+ΔETdownを算出する。プロセッサ211は、時刻B1,B2,B3,…,Bnのうち、時刻Ak+ΔETdownに最も近い第2時刻Bkを特定する(ステップS303)。
プロセッサ211は、第2時刻Bkと第1時刻Akとの差分Bk-Akを算出し、算出結果を下り回線における伝送遅延時間ΔTdownとして決定する(ステップS304)。さらに、プロセッサ211は、記憶された時刻A1,A2,A3,…,AnのうちのAk以前の時刻、及びB1,B2,B3,…,BnのうちのBk以前の時刻を消去する(ステップS305)。以上で、下り回線における遅延時間決定処理が終了する。
なお、上記の下り回線における遅延時間決定処理では、時刻Akを取得し、Ak+ΔETdownに最も近い時刻Bkを特定したが、これに限定されない。第1通信装置200が時刻Bkを取得し、Bk-ΔETdownに最も近い時刻Akを特定してもよい。
図13は、第1実施形態に係る中継システム100による上り回線における遅延時間決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
第1通信装置200のプロセッサ211は、OTNフレーマ303AからCWMを含むOTNフレームが出力される送信時刻であり、記憶されている時刻C’の系列である時刻C1,C2,C3,…,Cnを取得する(ステップS401)。
第1通信装置200のプロセッサ211は、OTNデフレーマ203BへCWMを含むOTNフレームが入力される時刻であり、記憶されている時刻D’の系列である第4時刻Dnを取得する。例えば、プロセッサ211は、第4受信時刻D’の系列として時刻D1,D2,D3,…,Dnを取得し、その中から1つの時刻Dkを第4時刻として選択する(ステップS402)。
プロセッサ211は、上り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETupを時刻Dkから減算した時刻Dk-ΔETupを算出する。プロセッサ211は、時刻C1,C2,C3,…,Cnのうち、時刻Dk-ΔETupに最も近い第3時刻Ckを特定する(ステップS403)。
プロセッサ211は、第4時刻Dkと第3時刻Ckとの差分Dk-Ckを算出し、算出結果を上り回線における伝送遅延時間ΔTupとして決定する(ステップS404)。さらに、プロセッサ211は、記憶された時刻C1,C2,C3,…,CnのうちのCk以前の時刻、及びD1,D2,D3,…,DnのうちのDk以前の時刻を消去する(ステップS405)。以上で、上り回線における遅延時間決定処理が終了する。
なお、上記の上り回線における遅延時間決定処理では、時刻Dkを取得し、Dk-ΔETupに最も近い時刻Ckを特定したが、これに限定されない。第1通信装置200が時刻Ckを取得し、Ck+ΔETupに最も近い時刻Dkを特定してもよい。
図14は、第1実施形態に係る中継システム100による遅延時間調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。
第1通信装置200のプロセッサ211は、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownに装置内遅延時間ΔTd1及びΔTd2を加算し、下り回線における中継遅延時間Ddownを算出する(ステップS501)。
プロセッサ211は、上り回線における伝送遅延時間ΔTupに装置内遅延時間ΔTu1及びΔTu2を加算し、上り回線における中継遅延時間Dupを算出する(ステップS502)。
プロセッサ211は、下り回線における中継遅延時間Ddown及び上り回線における中継遅延時間Dupの差分を算出する(ステップS503)。
プロセッサ211は、算出された差分に基づいて、第1通信装置200のキュー202A又は202Bの読出しタイミングを制御し(ステップS504)、上り回線における遅延時間と下り回線における遅延時間とを対称化させる。以上で、遅延時間調整処理が終了する。
[2.第2実施形態]
図15は、第2実施形態に係る第1通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図であり、図16は、第2実施形態に係る第2通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
本実施形態に係る第1通信装置200及び第2通信装置300はOTN集線装置である。第1通信装置200及び第2通信装置300のそれぞれは、4つのクライアントポートと1つの中継ポートとを含み、4つの25.8GbpsのeCPRI信号を波長多重化し、100GbpsのOTN信号として送信する。第1通信装置200及び第2通信装置300のそれぞれは、100GbpsのOTN信号を受信し、4つの25.8GbpsのeCPRI信号を復元して送信する。
図15に示すように、第1通信装置200は、4つの送受信部2011,2012,2013,2014を含む。第1通信装置200は、4つの受信用のキュー202A1,202A2,202A3,202A4を含む。各キュー202A1,202A2,202A3,202A4は、OTNフレーマ203Aに接続されている。4つの送受信部2011,2012,2013,2014のそれぞれは、クライアントポート(第1通信ポート)である。OTNフレーマ203Aは、BBU20から受信された4つのクライアント信号(eCPRI信号)を1つのOTN信号に変換する。
第1通信装置200は、4つの送信用のキュー202B1,202B2,202B3,202B4を含む。各キュー202B1,202B2,202B3,202B4は、OTNデフレーマ203Bに接続されている。OTNデフレーマ203Bは、第2通信装置300から受信されたOTN信号を4つのクライアント信号(eCPRI信号)に変換する。
図16に示すように、第2通信装置300は、4つの送受信部3011,3012,3013,3014、4つの受信用のキュー302A1,302A2,302A3,302A4、及び4つの送信用のキュー302B1,302B2,302B3,302B4を含む。4つの送受信部3011,3012,3013,3014のそれぞれは、クライアントポート(第2通信ポート)である。
本実施形態に係る中継システムでは、クライアントチャネル毎に、下り回線における遅延時間及び上り回線における遅延時間を決定する。例えば、第1通信装置200の送受信部2011のポート番号を#1、送受信部2012のポート番号を#2、送受信部2013のポート番号を#3、送受信部2014のポート番号を#4とする。第2通信装置300の送受信部3011のポート番号を#1、送受信部3012のポート番号を#2、送受信部3013のポート番号を#3、送受信部3014のポート番号を#4とする。第1通信装置200の#1のクライアントポートと、第2通信装置300の#1のクライアントポートとが接続され、第1通信装置200の#2のクライアントポートと、第2通信装置300の#2のクライアントポートとが接続され、第1通信装置200の#3のクライアントポートと、第2通信装置300の#3のクライアントポートとが接続され、第1通信装置200の#4のクライアントポートと、第2通信装置300の#4のクライアントポートとが接続される場合を想定する。
測定部222は、クライアントポート毎に、下り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1を測定する。取得部224は、クライアントポート毎に、下り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を取得する。推定部325は、光トランシーバ305に基づいて、下り回線における光ファイバケーブル250の伝送遅延時間の推定値ΔETdownを算出する。測定部222は、クライアントポート毎に、上り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1を測定する。取得部224は、クライアントポート毎に、上り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を取得する。推定部225は、コヒーレント光トランシーバ205に基づいて、上り回線における光ファイバケーブル250の伝送遅延時間の推定値ΔETupを算出する。伝送遅延時間の推定値ΔETdown及びΔETupのそれぞれは、特定のクライアントポートに固有の値ではなく、全てのクライアントポートに共通の値である。
タイムスタンパ221は、クライアントポート毎に、送信時刻A1,A2,A3,…,An及び受信時刻D1,D2,D3,…,Dnを取得する。タイムスタンパ321は、クライアントポート毎に、受信時刻B1,B2,B3,…,Bn及び送信時刻C1,C2,C3,…,Cnを取得する。特定部227は、クライアントポート毎に、Ak+ΔETdownに最も近いBkを特定する。決定部228は、クライアントポート毎に、差分Bk-Akを算出し、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを決定する。特定部227は、クライアントポート毎に、Dk-ΔETupに最も近いCkを特定する。決定部228は、クライアントポート毎に、差分Dk-Ckを算出し、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを決定する。
例えば、プロセッサ211は、第1通信装置200の#1のクライアントポートと第2通信装置300の#1のクライアントポートとの組み合わせを選択する。プロセッサ211及び311は、#1のクライアントポートについて、図10乃至図14の下り回線における遅延時間推定処理、上り回線における遅延時間推定処理、下り回線における遅延時間決定処理、上り回線における遅延時間決定処理、及び遅延時間調整処理を実行する。これにより、第1通信装置200の#1のクライアントポートと第2通信装置300の#1のクライアントポートとの間の下り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1が測定され、第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2が取得され、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownが決定され、下り回線における中継遅延時間Ddownが算出される。さらに、第1通信装置200の#1のクライアントポートと第2通信装置300の#1のクライアントポートとの間の上り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1が測定され、第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2が取得され、上り回線における伝送遅延時間ΔTupが決定され、上り回線における中継遅延時間Dupが算出される。第1通信装置200の#1のクライアントポートと第2通信装置300の#1のクライアントポートとの間における上下回線の遅延時間Ddown,Dupに基づいて、キュー202A1,202B1の読出しタイミングが制御される。
上記と同様の動作を、プロセッサ211,311は、第1通信装置200の#2のクライアントポートと第2通信装置300の#2のクライアントポートとの組み合わせ、第1通信装置200の#3のクライアントポートと第2通信装置300の#3のクライアントポートとの組み合わせ、第1通信装置200の#4のクライアントポートと第2通信装置300の#4のクライアントポートとの組み合わせのそれぞれにおいて実行する。
コヒーレント光トランシーバ205,305によって取得される分散補償量は、特定のポートに依存しない。したがって、上り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETupは、各クライアントポートについて遅延時間推定処理が実行される都度、コヒーレント光トランシーバ205によって測定された分散補償量が取得され、取得された分散補償量に基づいて算出されてもよく、特定の1つのクライアントポートについての遅延時間推定処理において取得された分散補償量に基づいて算出され、当該クライアントポートだけでなく、他のクライアントポートにおける時刻Ckの特定に利用されてもよい。下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownについては、第2通信装置300が初期に一度分散補償量又は推定値ΔETupを第1通信装置200に通知してもよいし、継続的に分散補償量又は推定値ΔETupを第1通信装置200に通知してもよい。第1通信装置200は、複数のクライアントポートにおける時刻Bkの特定に1つのΔETupを利用してもよいし、各クライアントポートにおける時刻Bkの特定に最新のΔETupを利用してもよい。
[3.第3実施形態]
光ファイバケーブル250における分散量は、光ファイバケーブル250の温度及び対向装置の光トランシーバの温度に応じて変化する。つまり、光ファイバケーブル250又は対向装置の光トランシーバの温度が変化すると、伝送遅延時間が変化する。本実施形態に係る第1通信装置200は、中継システム100の上下回線における伝送遅延時間ΔDTdown,DΔTupの決定を実行するか否かを分散補償量の変化に基づいて判定する判定処理を実行する。実施形態では、分散補償量CCDが前回値PCDよりも所定の閾値Thを超えて変化している場合、上下回線における伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupを更新する。
プロセッサ211は、上り回線における遅延時間推定処理において、コヒーレント光トランシーバ205のレジスタから読み出された分散補償量を例えば不揮発性メモリ212に記憶させておく。プロセッサ211は、次のような判定処理を定期的又は不定期的に繰り返し実行する。
図17は、第3実施形態に係る中継システム100による判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
プロセッサ211は、前回取得された分散補償量PCDを、不揮発性メモリ212から読み出す(ステップS121)。プロセッサ211は、コヒーレント光トランシーバ205のレジスタから、現在の分散補償量CCDを読み出す(ステップS122)。
プロセッサ211は分散補償量の前回値PCDと、分散補償量の今回値CCDとの差分DCDを算出する(ステップS123)。プロセッサ211は、差分DCDの絶対値を所定の閾値Thと比較し、DCDの絶対値がThより大きいか否かを判定する(ステップS124)。
DCDの絶対値がThより大きい場合(ステップS124においてYES)、プロセッサ211は、伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupの更新を決定する(ステップS125)。この場合、図10乃至図13の下り回線における遅延時間推定処理、上り回線における遅延時間推定処理、下り回線における遅延時間決定処理、及び上り回線における遅延時間決定処理が実行される。ただし、図14に示す遅延時間調整処理は、通信の初期段階で実行可能であるが、通信の途中段階ではブロックの途切れ又は消失が発生して通信異常を引き起こす可能性がある。本実施形態では、第1通信装置200及び第2通信装置300のそれぞれが、FECを解読してeCPRIパケットを復元して当該パケットをFIFOバッファに一時保存し、FIFOバッファから読み出されたパケットをFEC符号化する。第1通信装置200及び第2通信装置300は、これらのFEC復号化、バッファリング、及びFEC符号化の工程において、遅延時間Ddown及びDupの差分に応じてパケットの間隔を調整することによって、遅延時間を調整することができる。
DCDの絶対値がTh以下である場合(ステップS124においてNO)、プロセッサ211は、伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupの更新を決定しない。この場合、図10乃至図14の下り回線における遅延時間推定処理、上り回線における遅延時間推定処理、下り回線における遅延時間決定処理、上り回線における遅延時間決定処理、及びパケット間隔の調整による遅延時間調整処理が実行されない。以上で、判定処理が終了する。
本実施形態では、第1通信装置200のコヒーレント光トランシーバ205によって取得された分散補償量の変化に基づいて、上下回線における伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupを更新するか否かを判定したが、これに限定されない。第2通信装置300から第1通信装置200へ通知された分散補償量又は下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownの変化に基づいて、第1通信装置200が上下回線における伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupを更新するか否かを判定してもよい。さらに、コヒーレント光トランシーバ205によって取得された分散補償量の変化、及び、第2通信装置200から通知された分散補償量の変化の両方又はいずれか一方に基づいて、又は、下り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETdownの変化、及び、上り回線における伝送遅延時間の推定値ΔETupの変化の両方又はいずれか一方に基づいて、第1通信装置200が上下回線における伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupを更新するか否かを判定してもよい。
伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupの決定を、分散補償量に基づかずに常時行ってもよい。例えば、第1通信装置200が前回の遅延時間決定処理によって決定された下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを記憶しておき、新たに時刻B’が通知される都度、通知されたB’を第2時刻Bkとし、Bk-ΔTdownに最も近いAkを特定し、Bk-Akを算出して下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを更新してもよい。同様に、第1通信装置200が前回の遅延時間決定処理によって決定された上り回線における伝送遅延時間ΔTupを記憶しておき、新たに時刻C’が通知される都度、通知されたC’を第3時刻Ckとし、Ck+ΔTupに最も近いDkを特定し、Dk-Ckを算出して上り回線における伝送遅延時間ΔTupを更新してもよい。
遅延時間の調整の変形例として、第1通信装置200が送受信部204、OTNフレーマ203A、キュー202Aの読出部を同期させて下り伝送レートを調整してもよい。
[4.その他の実施形態]
上記の実施形態では、第1通信装置200及び第2通信装置内の遅延時間の測定にCWMを用いたが、これに限定されない。例えば、クライアント信号がCPRI信号である場合には、K28.5等のKコードを用いて第1通信装置200及び第2通信装置内の遅延時間を測定してもよい。
上記の実施形態では、第2通信装置300が第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bを第1通信装置200に通知し、第1通信装置200が第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bに基づいて下り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を算出したが、これに限定されない。第2通信装置300が第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bに基づいて下り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を算出し、算出された遅延時間ΔTd2を第1通信装置200へ通知してもよい。同様に、第2通信装置300が第3受信時刻C及び第3送信時刻C’に基づいて上り回線における第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を算出し、算出された遅延時間ΔTu2を第1通信装置200へ通知してもよい。
上記の実施形態では、第1通信装置200が、第1通信装置200からのOTNフレームの送信時刻Akと、第2通信装置300へのOTNフレームの受信時刻B1,B2,B3,…,Bnとを取得し、受信時刻B1,B2,B3,…,Bnの中からAk+ΔTdownに最も近いBkを特定したが、これに限定されない。例えば、第1通信装置200が、送受信部201におけるCWMを含むeCPRI信号の受信時刻P1,P2,P3,…,Pnを取得する。具体的には、タイムスタンパ221が、送受信部201からキュー202AにCWMを含むブロックが書き込まれた時刻を、受信時刻P1,P2,P3,…,Pnとして取得する。第2通信装置300は、送受信部301におけるCWMを含むeCPRI信号の送信時刻Q1,Q2,Q3,…,Qnを取得する。具体的には、タイムスタンパ321が、CWMを含むブロック400がキュー302Bから読み出される時刻を、送信時刻Q1,Q2,Q3,…,Qnとして取得する。第2通信装置300は、第1通信装置200へ、送信時刻Q1,Q2,Q3,…,Qnを通知する。第1通信装置200は、受信時刻P1,P2,P3,…,Pnから1つの時刻Pkを選択し、Pk+PDdownを算出する。特定部227は、送信時刻Q1,Q2,Q3,…,Qnの中から、Pk+PDdownに最も近い時刻Qkを特定し、決定部228は、時刻Qkと時刻Pkとの差分Qk-Pkを、下り回線における遅延時間Ddownとして決定することができる。第2通信装置300は、送受信部301におけるCWMを含むeCPRI信号の受信時刻R1,R2,R3,…,Rnを取得する。第2通信装置300は、第1通信装置200へ、受信時刻R1,R2,R3,…,Rnを通知する。第1通信装置200は、送受信部201におけるCWMを含むeCPRI信号の送信時刻S1,S2,S3,…,Snを取得する。第1通信装置200は、送信時刻S1,S2,S3,…,Snから1つの時刻Skを選択し、Sk-PDupを算出する。特定部227は、受信時刻R1,R2,R3,…,Rnの中から、Sk-PDupに最も近い時刻Rkを特定し、決定部228は、時刻Skと時刻Rkとの差分Sk-Rkを、上り回線における遅延時間Dupとして決定することができる。
上記の実施形態では、第2通信装置300の推定部325が、コヒーレント光トランシーバ305によって取得された分散補償量に基づいて下り回線の伝送遅延時間ΔTdownを推定し、推定された下り回線の伝送遅延時ΔTdownを第1通信装置200へ通知したが、これに限定されない。第2通信装置300が、コヒーレント光トランシーバ305のレジスタから読み出された分散補償量を第1通信装置200へ通知し、第1通信装置200の推定部225が、通知された分散補償量に基づいて、下り回線の伝送遅延時間ΔTdownを推定してもよい。
[5.実施形態の効果]
中継システム100は、BBU20(第1装置)とRRH30(第2装置)との間の通信を中継する。中継システム100は、第1通信装置200と、第2通信装置300と、第1通信装置200及び第2通信装置300間を接続する光ファイバケーブル250とを含む。第1通信装置200は、BBU20から原信号を受信する。第2通信装置300は、RRH30へ原信号を送信する。第1通信装置200及び第2通信装置300は、原信号に応じた光信号を光ファイバケーブル250を介して送受信する。原信号は、時間順に複数の制御コードを含む。第1通信装置200及び第2通信装置300は時刻同期されている。第2通信装置300は、光ファイバケーブル250に接続されるコヒーレント光トランシーバ305(第2光トランシーバ)を含む。第1通信装置200又は第2通信装置300は、推定部225又は325を含む。推定部225又は325は、コヒーレント光トランシーバ305によって取得された分散補償量に基づいて、光信号が光ファイバケーブル250を伝送される時間である伝送遅延時間の推定値ΔETdownを取得する。第2通信装置300は、OTNヘッダ制御部323(通知部)を含む。OTNヘッダ制御部323は、制御コードの受信時刻を第1通信装置200に通知する。第1通信装置200は、特定部227と、決定部228と、を含む。特定部227は、第1通信装置200による第1制御コードの送信に関連する第1時刻Ak、又は、第2通信装置300による第1制御コードの受信に関連する第2時刻Bkを、推定部225又は325によって取得された伝送遅延時間の推定値ΔETdownに基づいて特定する。決定部228は、第1時刻Ak及び第2時刻Bkに基づいて、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを決定する。これにより、伝送遅延時間の推定値ΔETdownに基づいて、第1通信装置200が複数の制御コードの中の1つの第1制御コードを送信した時刻に関連する第1時刻Ak又は第2通信装置300が当該第1制御コードを受信した時刻に関連する第2時刻Bkを特定することができる。よって、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを正確に決定することができる。
第1通信装置200は、光ファイバケーブル250に接続されるコヒーレント光トランシーバ205(第1光トランシーバ)と、推定部225とを含む。推定部225は、コヒーレント光トランシーバ205によって取得された分散補償量に基づいて、光信号が光ファイバケーブル250を伝送される時間である伝送遅延時間の推定値ΔETupを取得する。第2通信装置300は、OTNヘッダ制御部323(通知部)を含む。OTNヘッダ制御部323は、制御コードの送信時刻を第1通信装置200に通知する。第1通信装置200は、特定部227と、決定部228と、を含む。特定部227は、第2通信装置300による第2制御コードの送信に関連する第3時刻Ck、又は、第1通信装置200による第2制御コードの受信に関連する第4時刻Dkを、推定部225によって取得された伝送遅延時間の推定値ΔETupに基づいて特定する。決定部228は、第4時刻Dk及び第3時刻Ckに基づいて、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを決定する。これにより、伝送遅延時間の推定値ΔETupに基づいて、第2通信装置300が複数の制御コードの中の1つの第2制御コードを送信した第3時刻Ck又は第1通信装置200が当該第2制御コードを受信した第4時刻Dkを特定することができる。よって、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを正確に決定することができる。
算出部226は、第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1,ΔTu1、第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2,ΔTu1、及び前記推定部225又は325によって推定された伝送遅延時間ΔTdown,ΔTupを加算して、第1通信装置200におけるBBU20に接続された第1通信ポート201及び第2通信装置300におけるRRH30に接続された第2通信ポート301の間における信号伝送時間である中継遅延時間Ddown,Dupを算出してもよい。これにより、中継システム100における中継遅延時間Ddown,Dupを正確に算出することができる。
第1通信装置200は、キュー202A(受信キュー)と、OTNフレーマ203A(フレーマ)と、タイムスタンパ221(第1時刻取得部)と、測定部222と、を含んでもよい。キュー202Aは、下り原信号が分割されたブロックを格納する。OTNフレーマ203Aは、キュー202Aから読み出されたブロックから、第2通信装置300へ送信するためのOTNフレーム(送信フレーム)を生成する。タイムスタンパ221は、キュー202Aに制御コードを含むブロックが書き込まれる第1受信時刻Aを取得する。タイムスタンパ221は、キュー202Aから読み出された制御コードを含むブロックがOTNフレーマ203Aへ出力される第1送信時刻A’を取得する。測定部222は、タイムスタンパ221によって取得された第1送信時刻A’及び第1受信時刻Aの差分を算出することにより、第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1を測定する。第2通信装置300は、OTNデフレーマ303B(デフレーマ)と、キュー302B(送信キュー)と、タイムスタンパ321(第2時刻取得部)と、を含んでもよい。OTNデフレーマ303Bは、コヒーレント光トランシーバ305によって受信されたOTNフレームから、ブロックを復元する。キュー302Bは、OTNデフレーマ303Bによって復元されたブロックを格納する。タイムスタンパ321は、制御コードを含むOTNフレームから復元された制御コードを含むブロックがOTNデフレーマ303Bから出力される第2受信時刻B’を取得する。タイムスタンパ321は、キュー302Bから制御コードを含むブロックが読み出される第2送信時刻Bを取得する。第1通信装置200は、取得部224を含んでもよい。取得部224は、タイムスタンパ321によって取得された第2受信時刻B’及び第2送信時刻Bの差分を算出することにより得られる第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を取得する。これにより、下り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTd1、及び第2通信装置300内の遅延時間ΔTd2を正確に測定することができる。
第2通信装置300は、キュー302A(受信キュー)と、OTNフレーマ303A(フレーマ)と、タイムスタンパ321(第2時刻取得部)と、を含んでもよい。キュー202Aは、上り原信号が分割されたブロックを格納する。OTNフレーマ303Aは、キュー302Aから読み出されたブロックから、第1通信装置200へ送信するためのOTNフレーム(第2送信フレーム)を生成する。タイムスタンパ321は、キュー302Aに制御コードを含むブロックが書き込まれる第3受信時刻Cを取得する。タイムスタンパ321は、キュー302Aから読み出された制御コードを含むブロックがOTNフレーマ303Aへ出力される第3送信時刻C’を取得する。第1通信装置200は、OTNデフレーマ203B(デフレーマ)と、キュー202B(送信キュー)と、タイムスタンパ221と、測定部222と、取得部224と、を含んでもよい。OTNデフレーマ203Bは、コヒーレント光トランシーバ205によって受信されたOTNフレームから、ブロックを復元する。キュー202Bは、OTNデフレーマ203Bによって復元されたブロックを格納する。タイムスタンパ221は、制御コードを含むOTNフレームから復元された制御コードを含むブロックがOTNデフレーマ203Bから出力される第4受信時刻D’を取得する。タイムスタンパ221は、キュー202Bから制御コードを含むブロックが読み出される第4送信時刻Dを取得する。測定部222は、タイムスタンパ221によって取得された第4受信時刻D’及び第4送信時刻Dの差分を算出することにより、第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1を測定する。取得部224は、タイムスタンパ221によって取得された第3送信時刻C’及び第3受信時刻Cの差分を算出することにより得られる第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を取得する。これにより、上り回線における第1通信装置200内の遅延時間ΔTu1、及び第2通信装置300内の遅延時間ΔTu2を正確に測定することができる。
第1通信装置200は、FIFO制御部229(制御部)をさらに含んでもよい。FIFO制御部229は、算出部226によって算出された中継遅延時間Ddown,Dupに基づいて、キュー202Aからのブロックの読出しタイミングを制御してもよいし、キュー202Bからのブロックの読出しタイミングを制御してもよい。これにより、通信における遅延の非対称性を補正することができる。
第1通信装置200は、BBU20に接続される複数の送受信部2011,2012,2013,2014(第1通信ポート)を含んでもよい。第2通信装置300は、RRH30に接続される複数の送受信部3011,3012,3013,3014(第2通信ポート)を含んでもよい。算出部226は、送受信部2011,2012,2013,2014と送受信部3011,3012,3013,3014との組み合わせ毎に、中継遅延時間Ddown,Dupを算出してもよい。これにより、第1通信装置200及び第2通信装置300の送受信部2011,2012,2013,2014及び送受信部3011,3012,3013,3014間における中継遅延時間Ddown,Dupを個別に測定することができる。
第1通信装置200は、コヒーレント光トランシーバ305によって取得された分散補償量に基づいて、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを更新するか否かを判定してもよい。これにより、光ファイバケーブル250の伝送遅延時間が変化したと判断できる場合に、下り回線における伝送遅延時間ΔTdownを更新することができる。
第1通信装置200は、コヒーレント光トランシーバ205によって取得された分散補償量に基づいて、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを更新するか否かを判定してもよい。これにより、光ファイバケーブル250の伝送遅延時間が変化したと判断できる場合に、上り回線における伝送遅延時間ΔTupを更新することができる。
制御コードは、コードワードマーカーであってもよい。これにより、eCPRI信号を用いて遅延時間を推定することができる。
[6.付記]
[6-1.付記1]
第1装置と第2装置との間の通信を中継する中継システムであって、
前記第1装置から原信号を受信する第1通信装置と、
前記第2装置へ原信号を送信する第2通信装置と、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置間を接続する光ファイバと、
を備え、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記原信号に応じた光信号を前記光ファイバを介して送受信し、
前記原信号は、時間順に複数の制御コードを含み、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置は時刻同期されており、
前記第2通信装置は、前記光ファイバに接続される第2光トランシーバを含み、
前記第1通信装置又は前記第2通信装置は、前記第2光トランシーバによって取得された分散補償量に基づいて、前記光信号が前記光ファイバを伝送される時間である伝送遅延時間の推定値を取得する推定部を含み、
前記第2通信装置は、前記制御コードの受信時刻を前記第1通信装置に通知する通知部を含み、
前記第1通信装置は、
前記推定部によって取得された前記伝送遅延時間の推定値に基づいて、前記中継システムにおける推定遅延時間を算出する算出部と、
前記第1通信装置が前記第1装置から第1時刻に受信した第1制御コードが前記第2通信装置から前記第2装置へ送信された第2時刻を、前記算出部によって算出された前記推定遅延時間に基づいて特定する特定部と、
前記第1時刻と、前記特定部によって特定された前記第2時刻とに基づいて、下り回線における遅延時間を決定する決定部と、
を含む、
中継システム。
[6-2.付記2]
第1装置と第2装置との間の通信を中継する中継システムであって、
前記第2装置から原信号を受信する第2通信装置と、
前記第1装置へ原信号を送信する第1通信装置と、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置間を接続する光ファイバと、
を備え、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置は、前記原信号に応じた光信号を前記光ファイバを介して送受信し、
前記原信号は、時間順に複数の制御コードを含み、
前記第1通信装置及び前記第2通信装置は時刻同期されており、
前記第1通信装置は、
前記光ファイバに接続される第1光トランシーバと、
前記第1光トランシーバによって取得された分散補償量に基づいて、前記光信号が前記光ファイバを伝送される時間である伝送遅延時間の推定値を取得する推定部と、
を含み、
前記第2通信装置は、前記制御コードの送信時刻を前記第1通信装置に通知する通知部を含み、
前記第1通信装置は、
前記推定部によって取得された前記伝送遅延時間の推定値に基づいて、前記中継システムにおける推定遅延時間を算出する算出部と、
前記第1通信装置が第4時刻に前記第1装置へ送信した第2制御コードが前記第2通信装置において前記第2装置から受信された第3時刻を、前記算出部によって算出された前記推定遅延時間に基づいて特定する特定部と、
前記第4時刻と、前記特定部によって特定された前記第3時刻とに基づいて、上り回線における遅延時間を決定する決定部と、
を含む、
中継システム。
[7.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。