以下、図面を参照して実施形態を説明する。
本実施形態では、恒温槽から熱媒体の排出を行う排出部と、恒温槽に熱媒体の供給を行う供給部と、恒温槽内の熱媒体の液面の高さを計測する計測部と、排出部の排出能力及び供給部の供給能力を算出する算出部とを備え、算出部は、排出部により熱媒体の排出が行われたときに変化する恒温槽内の熱媒体の液面の高さに基づいて排出能力を算出し、供給部により熱媒体の供給が行われたときに変化する恒温槽内の熱媒体の液面の高さに基づいて供給能力を算出する。
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目に対応する標準試料及び試薬を分注して標準試料及び試薬の混合液の測定により標準データを生成し、被検試料及び各検査項目に対応する試薬を分注して被検試料及び試薬の混合液の測定により被検データを生成する分析部10を備えている。また、自動分析装置100は、分析部10の標準試料及び被検試料の各試料の分注や各試薬の分注等を行う複数のユニットを駆動する駆動部40を備えている。
また、自動分析装置100は、分析部10及び駆動部40を制御する分析制御部41を備えている。また、自動分析装置100は、分析部10で生成された標準データに対して各検査項目の検量データを生成し、各検査項目の検量データを用いて分析部10で生成された被検データに対して分析データを生成する演算部44を備えている。また、自動分析装置100は、演算部44で生成された各検査項目の検量データや分析データを保存するデータ記憶部45を備えている。
また、自動分析装置100は、演算部44で生成された検量データや分析データ等を出力する出力部46を備えている。また、自動分析装置100は、各試料及び各試薬の分注や混合液の測定に係る分析パラメータを設定する入力、各試料に対してこの試料を識別する試料IDや各検査項目を設定する入力等を行う入力部47を備えている。また、自動分析装置100は、分析制御部41、演算部44、データ記憶部45及び出力部46を制御するシステム制御部48を備えている。
図2は、分析部10の構成の一例を示した斜視図である。この分析部10は、標準試料及び被検試料等の各試料を収容する試料容器11と、試料容器11を保持する試料ラック12とを備えている。また、分析部10は、各試料に含まれる各検査項目の成分と反応する例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する第1試薬容器13と、複数の第1試薬容器13を保持する第1試薬ラック14とを備えている。
また、分析部10は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する第2試薬容器15と、複数の第2試薬容器15を保持する第2試薬ラック16とを備えている。また、分析部10は、円周上に配置された複数の反応容器17と、この反応容器17を回転可能に支持する反応ディスク18とを備えている。
また、分析部10は、試料ラック12に保持された試料容器11内の試料を吸引して、反応容器17に吐出する分注を行う試料分注プローブ19を備えている。また、分析部10は、試料分注プローブ19を回転方向及び上下方向に移動可能に支持する試料分注アーム20を備えている。
また、分析部10は、第1試薬ラック14に保持された第1試薬容器13内の第1試薬を吸引して、試料が分注された反応容器17に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ21を備えている。また、分析部10は、第1試薬分注プローブ21を回転方向及び上下方向に移動可能に支持する第1試薬分注アーム22を備えている。
また、分析部10は、第2試薬ラック16に保持された第2試薬容器15内の第2試薬を吸引して、第1試薬が分注された反応容器17に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ23を備えている。また、分析部10は、第2試薬分注プローブ23を回転方向及び上下方向に移動可能に支持する第2試薬分注アーム24を備えている。
また、分析部10は、試料分注プローブ19と試料容器11内の試料との接触により当該試料の液面を検出する第1検出器25と、第1試薬分注プローブ21と第1試薬容器13内の第1試薬との接触により当該第1試薬の液面を検出する第2検出器26と、第2試薬分注プローブ23と第2試薬容器15内の第2試薬との接触により当該第2試薬の液面を検出する第3検出器27とを備えている。
また、分析部10は、反応容器17に分注された試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液に熱を伝達する液状の熱媒体が収容された恒温槽50を有する恒温部28を備えている。また、分析部10は、反応容器17内の標準試料及び試薬の混合液や被検試料及び試薬の混合液を測定して標準データや被検データを生成する測定部29と、測定を終了した反応容器17を洗浄する洗浄ユニット30を備えている。
測定部29は光源及び光を検出する検出器等を有し、恒温槽50内の熱媒体を介して反応容器17に光を照射し、熱媒体を介して反応容器17内の各混合液を透過した光を検出することにより、標準データや被検データを生成する。
図1に戻り、駆動部40は、試料ラック12を駆動するモータ等の駆動機構を有し、試料容器11を移動する。また、駆動部40は、第1及び第2試薬ラック14,16をそれぞれ回転駆動するモータ等の駆動機構を有し、第1及び第2試薬容器13,15を回転移動する。また、駆動部40は、反応ディスク18を回転駆動するモータ等の駆動機構を有し、反応容器17を回転移動する。
また、駆動部40は、試料分注アーム20、第1試薬分注アーム22及び第2試薬分注アーム24をそれぞれ回転駆動するモータ等の駆動機構を有し、試料分注プローブ19、第1試薬分注プローブ21及び第2試薬分注プローブ23を回転移動する。また、駆動部40は、試料分注アーム20、第1試薬分注アーム22及び第2試薬分注アーム24をそれぞれ上下駆動するモータ等の駆動機構を有し、試料分注プローブ19、第1試薬分注プローブ21及び第2試薬分注プローブ23を上下移動する。
分析制御部41はCPU及び記憶回路を備え、駆動部40を制御する。そして、分析制御部41は、入力部47から入力された各検査項目の分析パラメータ、試料ID、この試料IDで識別される試料に設定された検査項目等の入力情報に基づいて、分析部10における試料容器11の移動、第1試薬容器13の移動、第2試薬容器15の移動、試料の分注、第1試薬の分注、第2試薬の分注、測定等を実行させる。
また、分析制御部41は、分析部10の恒温部28を制御する。そして、分析制御部41は、恒温槽50に対する熱媒体の供給や排出、恒温槽50に供給された熱媒体の温度調整等を実行させる。
また、分析制御部41は、計測部42及び算出部43を備えている。そして、計測部42は、分析部10の第1試薬分注プローブ21及び第2検出器26を作動させて、恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを計測する。また、算出部43は、計測部42により計測された恒温槽50内の熱媒体の液面の高さに基づいて、恒温槽50から排出が行われたときの熱媒体の排出能力や、恒温槽50に供給が行われたときの熱媒体の供給能力を算出する機能を有する。
演算部44はCPU及び記憶回路を有し、分析部10の測定部29で生成された各検査項目の標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値の関係を示す検量データを生成する。また、演算部44は、測定部29で生成された各検査項目の被検データ及び検量データを用いて濃度値や酵素の活性値で表される分析データを生成する。
データ記憶部45は例えばハードディスクドライブ(HDD)等のストレージを有し、演算部44で生成された各検査項目の検量データや分析データを保存する。
出力部46は、プリンタや液晶パネル等のモニタを有し、演算部44で生成された検量データや分析データ等の印刷出力や表示出力を行う。
入力部47は、例えばキーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備えている。そして、入力部47は、分析部10の恒温槽50に対して熱媒体の入れ替えを行わせる入力、検量データや分析データを生成させる各検査項目の分析パラメータを設定するための入力、試料ID及び検査項目を設定するための入力等を行う。
システム制御部48は、CPU及び記憶回路を備え、入力部47から入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータ、試料ID及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部41、演算部44、データ記憶部45及び出力部46を統括してシステム全体を制御する。
次に、分析部10の恒温部28の構成の詳細を説明する。
図3は、恒温部28の構成の一例を示した図である。この恒温部28は、恒温槽50と、恒温槽50に対して熱媒体の供給及び排出を行う給排部51とを備えている。また、恒温部28は、恒温槽50内の熱媒体を循環して予め設定された例えば37℃等の設定温度になるように調整する温度調整部65を備えている。
恒温槽50は、回転移動する反応容器17の円軌道に沿って上側が開口した円環状の流路が形成され、その流路に沿って複数の反応容器17が配置されている。また、恒温槽50は、上部に設けた給排部51により熱媒体が供給される供給口50a及び第1試薬分注プローブ21が進入する計測口50bと、底部に設けた熱媒体を排出する排出口50c及び温度調整部65により循環される熱媒体が出入りする2つの循環口50d,50eとを有する。
給排部51は、恒温槽50から熱媒体を排出する排出部55と、恒温槽50に熱媒体を供給する供給部60とを備えている。
排出部55は、開閉弁56及びチューブ57を備えている。開閉弁56は例えば電磁弁であり、恒温槽50の排出口50cの下側に配置される。そして、開閉弁56は内部の流路を開閉することにより、恒温槽50の排出口50cとチューブ57間の流路を開閉する。チューブ57は恒温槽50よりも下方に配置されている。そして、チューブ57は、一端部が開閉弁56に接続され、他端部が恒温部28外に配置されている。
そして、排出部55は、開閉弁56が恒温槽50の排出口50cとチューブ57間の流路を開放することにより恒温槽50内の熱媒体を排出する。また、開閉弁56が恒温槽50の排出口50cとチューブ57間の流路を閉鎖することにより、排出を停止する。
供給部60は、開閉弁61、タンク62、供給ポンプ63及び供給ノズル64を備え、タンク62と供給ポンプ63との間と、供給ポンプ63と供給ノズル64との間が、熱媒体の流路となるチューブで接続されている。
開閉弁61は例えば電磁弁であり、タンク62に近接して配置されている。そして、開閉弁61は内部の流路を開閉することにより、恒温部28に熱媒体を供給する外部の供給元とタンク62との間の流路を開閉する。タンク62は、外部の供給元から供給された熱媒体を貯留する。供給ポンプ63は、タンク62内の熱媒体を吸引して供給ノズル64に供給する。供給ノズル64は、恒温槽50の供給口50aの上方に配置され、供給ポンプ63から供給された熱媒体を恒温槽50内に吐出する。
そして、供給部60は、供給ポンプ63が作動することにより恒温槽50に熱媒体の供給を行い、供給ポンプ63が停止することにより恒温槽50への熱媒体の供給を停止する。
また、供給部60は、図示はしないが、恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを下限の高さ(補充高)から上限の高さ(上限高)までの範囲で検出することができる、例えばフロートスイッチ等の液位センサを備えている。そして、供給部60は、上限高に達するまで恒温槽50に熱媒体を供給し、補充高まで低下すると上限高になるまで恒温槽50に熱媒体を補充する。
温度調整部65は、循環ポンプ66及び加熱器67を備え、恒温槽50の循環口50dと循環ポンプ66との間と、循環ポンプ66と加熱器67との間と、加熱器67と恒温槽50の循環口50eとの間とは、熱媒体の流路となるチューブで接続されている。そして、循環ポンプ66は、熱媒体を恒温槽50と加熱器67との間で循環させる。また、加熱器67はヒータ及び温度センサを備え、循環ポンプ66により恒温槽50から流出した熱媒体が設定温度よりも低いと熱媒体を設定温度に加熱して恒温槽50内に送り込む。
次に、分析部10の第2検出器26の構成の一例を説明する。この第2検出器26は、発振器、ブリッジ回路、差動アンプ、同期検波回路、位相制御回路、積分回路、増幅回路、微分回路等からなる接触センサを備え、第1試薬分注プローブ21と電気的に接続されている。そして、第2検出器26は、第1試薬分注プローブ21が下降して第1試薬容器13内の第1試薬に接触したときの静電容量の変化をブリッジ回路で電圧信号に変換することにより、第1試薬容器13内の第1試薬の液面を検出する。また、第2検出器26は、第1試薬分注プローブ21が下降して恒温槽50内の熱媒体に接触したときの静電容量の変化をブリッジ回路で電圧信号に変換することにより、恒温槽50内の熱媒体の液面を検出することができる。
また、第2検出器26は、例えば第1試薬分注アーム22に配置された投光素子及び受光素子からなる透過型光センサと、第1試薬分注アーム22に対して上下移動可能に支持された第1試薬分注プローブ21に配置され、透過型センサにより検出可能な検出体とからなる当接センサを備えている。そして、第2検出器26は、第1試薬分注プローブ21が下降して第1試薬容器13内の底面や恒温槽50内の底面に当接すると、第1試薬分注アーム22に対して上に移動して検出体が透過型光センサの光を遮断することにより、第1試薬容器13内の底面や恒温槽50内の底面を検出する。
なお、第1検出器25及び第3検出器27も第2検出器26と同様に構成されるので、その説明を省略する。
次に、分析制御部41における計測部42及び算出部43の機能の詳細について説明する。
計測部42は、給排部51の排出部55により排出が行われたときや、供給部60により供給が行われたときに変化する恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを一定の間隔で計測する。そして、計測部42は、図3に示すように、駆動部40により第1試薬分注プローブ21を恒温槽50の計測口50b上方の上停止位置P1から下降させることにより、第2検出器26に検出される検出情報に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを計測する。
ここで、計測部42は、第2検出器26により検出される検出位置で第1試薬分注プローブ21を停止させる。そして、計測部42は、第2検出器26が恒温槽50内の熱媒体の液面を検出したときにのみ、第1試薬分注プローブ21の上停止位置P1から検出位置までの下降に要した例えば駆動パルス数に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを計測する。また、計測部42は、第2検出器26が恒温槽50内の熱媒体の液面の検出の有無にかかわらず底面を検出したとき、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを0として計測する。
このように、第1試薬容器13内の第1試薬の液面や底面を検出する第2検出器26を利用して、計測部42は恒温槽50内の熱媒体の液面高さを、供給部60の液位センサが検出可能な補充高よりも低い範囲に亘って計測することができる。これにより、計測器を新たに設けることなく恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを計測することができる。
なお、試料分注プローブ19が恒温槽50内に進入が可能なように恒温槽50の上部に開口を設け、試料分注プローブ19を移動させて当該開口から進入させ、試料分注プローブ19が熱媒体の液面又は恒温槽50内の底面に接触したときに第1検出器25により検出される検出情報に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを計測させるように実施してもよい。
算出部43は、排出部55により排出が行われたときに、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間とこの時間に計測された恒温槽50内の液面の高さとの関係を示す関数の傾きに基づいて、排出部55の排出能力を算出する。また、算出部43は、供給部60により供給が行われたときに、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間とこの時間に計測された恒温槽50内の液面の高さとの関係を示す関数の傾きに基づいて、供給部60の供給能力を算出する。
以下、図1乃至図9を参照して、恒温槽50に対して熱媒体の入れ替えを行う自動分析装置100の動作の一例について説明する。
図4は、恒温槽50から熱媒体の排出を行う自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。また、図5は、恒温槽50に熱媒体の供給を行う自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。
図4において、恒温槽50には液面の高さが例えば上限高になる熱媒体が収容されている。恒温槽50内の熱媒体は、汚染による分析部10の測定部29の測定精度の低下を防ぐために、定期的に熱媒体の入れ替えが行われる。熱媒体の入れ替えを実行させる入力が入力部47から行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
システム制御部48は、分析制御部41に熱媒体の入れ替えを指示する。分析制御部41は、駆動部40及び分析部10の恒温部28を制御する。分析制御部41の計測部42は、第1試薬分注プローブ21を作動させる。第1試薬分注プローブ21は、基本位置から回転移動して上停止位置P1で停止した後、上停止位置P1から下降して恒温槽50内の熱媒体の液面との接触により第2検出器26に検出された検出位置で停止する(ステップS2)。
排出部55は、第2検出器26による恒温槽50内の熱媒体の液面の検出に合わせて熱媒体の排出を開始する(ステップS3)。
計測部42は、第2検出器26が恒温槽50内の熱媒体の液面を検出する検出情報に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを計測する(ステップS4)。
第1試薬分注プローブ21は、第2検出器26の検出位置から上昇して上停止位置P1で停止し、上停止位置P1で停止してから所定の時間(計測時間)経過後に、上停止位置P1より下降して第2検出器26により検出される検出位置で停止する(ステップS5)。
計測部42は、第2検出器26により検出された検出情報に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを計測する(ステップS6)。
そして、計測部42により計測された液面高さが0よりも高い場合(ステップS7のいいえ)、ステップS6へ戻る。また、計測部42により計測された液面高さが0である場合(ステップS7のはい)、ステップS8へ移行する。
ステップS7の「はい」の後、第1試薬分注プローブ21は、上昇して上停止位置P1で停止する。排出部55は、排出を停止する(ステップS8)。
このように、計測部42により計測された恒温槽50内の熱媒体の液面高さが0になるまで、恒温槽50から熱媒体の排出を実行させることにより、汚染された可能性のある熱媒体の恒温槽50内への残留を防ぐことができる。
算出部43は、計測部42により計測された排出部55が排出を行ったときに変化する恒温槽50内の熱媒体の液面高さに基づいて、排出部55の排出能力を算出する(ステップS9)。
そして、算出部43により算出された排出部55の排出能力が予め設定された許容範囲から外れている場合(ステップS10のいいえ)、ステップS11へ移行する。また、算出部43により算出された排出部55の排出能力が予め設定された許容範囲内である場合(ステップS10のはい)、図5のステップS12へ移行する。
出力部46は、排出部55の排出能力が低下して異常であることを通知する異常情報を例えば表示出力する(ステップS11)。
このように、恒温槽50に対する熱媒体の入れ替え毎に排出部55の排出能力を算出することにより、排出部55の排出能力の低下を早期に検出することができる。そして、排出部55の排出能力が低下したときに出力部46に表示出力させることにより、自動分析装置100の操作者に通知することができる。
なお、ステップS11と図5のステップS12の間に、排出部55の流路の洗浄を実行させる洗浄のステップを設けるように実施してもよい。排出部55の洗浄を行うための例えば濃縮した洗浄液を収容する第1試薬容器13を第1試薬ラック14に配置し、ステップS11の後の洗浄のステップにおいて、第1試薬分注プローブ21に第1試薬容器13内の洗浄液を恒温槽50内に分注させ、供給部60に恒温槽50内に熱媒体を供給させる。そして、恒温槽50内に分注された洗浄液及び熱媒体を温度調整部65で循環させて混合した後、排出部55により恒温槽50から排出させることにより、排出部55の開閉弁56及びチューブ57が流れる流路の洗浄を行うことができる。
このように、排出部55の排出能力が低下したときに、排出部55の流路の洗浄を実行させることにより、排出部55の流路の詰まりを未然に防ぐことができる。
図6は、排出部55の状態が正常である場合に計測が行われた時間とこの時間に計測された液面高さとの関係を示したグラフである。このグラフは、排出部55が排出を開始した時間t0及びこの時間に計測された液面高V10と、排出部55が熱媒体の排出を開始してから液面高さが0になる前までの複数の時間t1乃至t8及びこの時間に計測された液面高V11乃至V18と、時間t9及びこの時間に計測された液面高さが0となる液面高V19とを示している。
排出部55の開閉弁56及びチューブ57の流路に恒温槽50から侵入したごみなどの不溶物やチューブ57内で発生したぬめり等の滞留物がない場合、排出部55の状態は正常であり、恒温槽50内の熱媒体の液面の高さによる僅かな変動はあるものの、開閉弁56及びチューブ57内を流れる熱媒体の流量はほぼ一定となる。
従って、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t9のうち、液面高さが0に低下した時間が不明確であるため時間t9を除いた時間t0乃至t8とこの時間に計測された液面高V10乃至V18との関係は、例えば最小二乗法により一次関数の直線L1で表すことができ、直線L1の傾きは予め設定された排出許容範囲に入る。
算出部43は、計測が行われた時間帯の前期の例えば複数の時間t0乃至t2とこの時間に計測された液面高V10乃至V12との関係を示す第1の一次関数の傾きと、計測が行われた時間帯の後期の例えば複数の時間t6乃至t8とこの時間に計測された液面高V16乃至V18との関係を示す第2の一次関数の傾きを求める。そして、算出部43は、第1の一次関数の傾きと第2の一次関数の傾きと基づいて、排出部55の排出能力を算出する。ここでは、算出部43は、第1及び第2の一次関数の傾きが排出許容範囲に入る排出能力を算出し、排出部55の状態が正常であると判定する。
なお、計測が行われた時間帯の液面高さが0になる前の後期の複数の時間とこの時間に計測された液面高との関係を示す関数から液面高さが0のときの時間を求め、求めた時間から排出部55が排出を開始した時間を差し引いて液面高さが0になるまでに要した所要時間に基づいて排出部55の排出能力を算出し、所要時間が予め設定され時間許容範囲内である場合に排出部55の状態が正常であると判定し、所要時間が当該時間許容範囲から外れている場合に排出部55の状態が異常であると判定するように実施してもよい。
図7は、排出部55の状態が異常である場合の第1の例における計測が行われた時間とこの時間に計測された液面高さとの関係を示したグラフである。このグラフは、排出部55が排出を開始した時間t0及びこの時間に計測された液面高V20と、排出部55が排出を開始してから液面高さが0になる前までの時間t1乃至t10及びこの時間に計測された液面高V21乃至V30と、時間t11及びこの時間に計測された液面高さが0になる液面高V31とを示している。
排出部55のチューブ57の流路に滞留物がなく開閉弁56の流路に滞留物がある場合、開閉弁56内部の流路を流れる熱媒体の流量はほぼ一定であるものの、排出部55の状態が正常である場合よりも少なくなる。
従って、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t11のうち、液面高さが0に低下した時間が不明確であるため時間t11を除いた時間t0乃至t10とこの時間に計測された液面高V20乃至V30との関係は、最小二乗法により一次関数の直線L2で表すことができ、直線L2の傾きは排出許容範囲から外れて直線L1の傾きよりも大きくなる。
算出部43は、計測が行われた時間帯の前期の複数の時間t0乃至t2とこの時間に計測された液面高V20乃至V22との関係を示す第1の一次関数の傾きと、計測が行われた時間帯の後期の時間t8乃至t10とこの時間に計測された液面高V28乃至V30との関係を示す第2の一次関数の傾きとを求める。
そして、算出部43は、第1及び第2の一次関数の傾きに基づいて、排出部55の排出能力を算出する。ここでは、算出部43は、第1及び第2の一次関数の傾きが排出許容範囲から外れ、且つ、第1及び第2の一次関数の傾きの例えば比が予め設定された比の許容範囲に入る排出能力を算出し、排出部55の開閉弁56が異常であると判定する。
このように、第1の一次関数の傾きと第2の関数の傾きとを求めて排出部55の排出能力を算出することにより、排出能力の低下の原因が排出部55の開閉弁56の流路に滞留する滞留物であると推測することができる。
図8は、排出部55の状態が異常である場合の第2の例における計測が行われた時間とこの時間に計測された液面高さとの関係を示したグラフである。このグラフは、排出部55が排出を開始した時間t0及びこの時間に計測された液面高V40と、排出部55が熱媒体の排出を開始してから液面高さが0になる前までの時間t1乃至t10及びこの時間に計測された液面高V41乃至V50と、時間t11及びこの時間に計測された液面高さが0になる液面高V51とを示している。
排出部55の開閉弁56の流路に滞留物がないものの、チューブ57の開閉弁56から離れて下方に位置する流路に恒温槽50から侵入したごみやぬめり等の滞留物がある場合、恒温槽50から排出される熱媒体の流量は、最初のうちは排出部55の状態が正常である場合とほぼ同じ流量を保つものの、恒温槽50から排出された熱媒体がチューブ57の滞留物がある流路に達するころから少なくなることがある。
従って、計測が行われた時間帯における前期の時間t0乃至t2とこの時間に計測された液面高V40乃至V42との関係は第1の一次関数の直線L3で表し、計測が行われた時間帯の後期の複数の時間t8乃至t11のうち、液面高さが0に低下した時間が不明確であるため時間t11を除いた時間t8乃至t10とこの時間に計測された液面高V48乃至V50との関係は第2の一次関数の直線L4で表すことができる。
この場合、直線L3の傾きは排出許容範囲に入る場合と排出許容範囲から外れる場合があり、直線L4の傾きは排出許容範囲から外れる。また、直線L3の傾きと直線L4の傾きの比は、予め設定された比の許容範囲から外れる。
算出部43は、計測が行われた時間帯の前期の複数の時間t0乃至t2とこの時間に計測された液面高V40乃至V42との関係を示す第1の一次関数の傾きと、計測が行われた時間帯の後期の複数の時間t8乃至t10とこの時間に計測された液面高V48乃至V50との関係を示す第2の一次関数の傾きとを求める。そして、算出部43は、第1及び第2の一次関数の傾きに基づいて、排出部55の排出能力を算出する。ここでは、算出部43は、第2の一次関数の傾きが排出許容範囲から外れ、第1及び第2の一次関数の傾きの比が比の許容範囲から外れる排出能力を算出し、排出部55のチューブ57が異常であると判定する。
このように、第1の一次関数の傾きと第2の関数の傾きとを求めて排出部55の排出能力を算出することにより、排出能力の低下の原因が排出部55のチューブ57の流路に滞留する滞留物であると推測することができる。
図5において、図4のステップS10の「はい」後、供給部60は、供給を開始する(ステップS12)。
第1試薬分注プローブ21は、供給部60の供給が開始されてから計測時間経過後に、上停止位置P1より下降して恒温槽50内の熱媒体の液面との接触により第2検出器26に検出された検出位置で停止する(ステップS13)。
計測部42は、第2検出器26により検出された検出情報に基づいて、恒温槽50内の熱媒体の液面高さを計測する(ステップS14)。
そして、計測部42により計測された液面高さが上限高よりも低い場合(ステップS15のいいえ)、ステップS16へ移行する。また、計測部42により計測された液面高さが上限高である場合(ステップS15のはい)、ステップS17へ移行する。
ステップS15の「いいえ」の後、第1試薬分注プローブ21は、第2検出器26の検出位置から上昇して上停止位置P1で停止し、計測時間後に下降して第2検出器26により検出された検出位置で停止する(ステップS16)。その後、ステップS14へ戻る。
ステップS15の「はい」の後、第1試薬分注プローブ21は、上昇して上停止位置P1で停止した後、回転移動して基本位置で停止する。供給部60は、供給を停止する(ステップS17)。
算出部43は、供給部60が供給を行ったときに計測部42により計測された熱媒体の液面高さに基づいて、供給部60の供給能力を算出する(ステップS18)。
そして、算出部43により算出された供給部60の供給能力が予め設定された許容範囲から外れている場合(ステップS19のいいえ)、ステップS20へ移行する。また、算出部43により算出された供給部60の供給能力が予め設定された許容範囲内である場合(ステップS19のはい)、ステップS21へ移行する。
図9は、供給部60の状態が正常である場合と異常である場合に計測が行われた時間とこの時間に計測された液面高さとの関係を示したグラフである。このグラフは、供給部60が供給を開始してからの時間t0乃至t8及びこの時間に計測された液面高V60乃至V68と、時間t9及びこの時間に計測された液面高さが上限高Hとなる液面高V69とを示している。また、グラフは、供給部60が供給を開始してからの時間t0乃至t9及びこの時間に計測された液面高V70乃至V79と、時間t10及びこの時間に計測された液面高さが上限高Hとなる液面高V80とを示している。
供給部60の供給ポンプ63に供給能力の低下がないと供給部60の状態は正常であり、恒温槽50に供給される熱媒体の流量は一定である。従って、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t9のうち、液面高さが上限高Hに達した時間が不明確であるため時間t9を除いた時間t0乃至t8とこの時間に計測された液面高V60乃至V68との関係は、一次関数の直線L5で表すことができ、直線L5の傾きは予め設定された供給許容範囲に入る。
また、供給部60の供給ポンプ63に供給能力の低下があると、恒温槽50に供給される熱媒体の流量はほぼ一定であるものの、供給部60の状態は異常である。従って、計測部42により計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t10のうち、液面高さが上限高Hに達した時間が不明確であるため時間t10を除いた時間t0乃至t9とこの時間に計測された液面高V70乃至V79との関係は、一次関数の直線L6で表すことができ、直線L5の傾きは供給許容範囲から外れる。
算出部43は、計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t8とこの時間に計測された液面高V60乃至V68との関係を示す一次関数の傾きを求め、一次関数の傾きに基づいて供給部60の供給能力を算出する。ここでは、算出部43は、一次関数の傾きが供給許容範囲に入る供給能力を有し、供給部60の状態が正常であると判定する。
また、算出部43は、計測が行われた時間帯の複数の時間t0乃至t9とこの時間に計測された液面高V70乃至V79との関係を示す一次関数の傾きを求め、一次関数の傾きに基づいて供給部60の供給能力を算出する。ここでは、算出部43は、一次関数の傾きが供給許容範囲から外れる供給能力を算出し、供給部60の状態が異常であると判定する。
図5に戻り、ステップS19の「いいえ」の後、出力部46は供給部60の供給能力が低下して異常であることを通知する異常情報を表示出力する(ステップS20)。
このように、恒温槽50への熱媒体の入れ替え毎に供給部60の供給能力を算出することにより、供給部60の供給能力の低下を早期に検出することができる。そして、供給部60の供給能力が低下したときに出力部46に表示出力させることにより、自動分析装置100の操作者に通知することができる。
ステップS19の「はい」又はステップS20の後、分析制御部41が駆動部40及び恒温部28の動作を停止させることにより、自動分析装置100は、動作を終了する(ステップS21)。
以上述べた実施形態によれば、排出部55により恒温槽50から熱媒体の排出が行われたときに変化する恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを計測部42により計測し、計測が行われた時間帯の複数の時間とこの時間に計測された液面の高さとの関係を示す関数の傾きに基づいて、排出部の排出能力を算出することができる。
これにより、排出部55の排出能力の低下を早期に検出することが可能となり、熱媒体の入れ替えに要する時間の低減を図ることができる。
また、供給部60により恒温槽50に熱媒体の供給が行われたときに変化する恒温槽50内の熱媒体の液面の高さを計測部42により計測し、計測が行われた時間帯の複数の時間とこの時間に計測された液面の高さとの関係を示す関数の傾きに基づいて、供給部60の供給能力を算出することができる。これにより、供給部60の供給能力の低下を早期に検出することが可能となり、熱媒体の入れ替えに要する時間の低減を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。