以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)通信制御システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る通信制御システム10の全体概略構成図である。通信制御システム10は、複数のユーザ装置(UE)と、ITSサーバ50とを含む。
具体的には、通信制御システム10は、車両70A、車両70B及び車両70Cにそれぞれ搭載されるユーザ装置200A(以下、UE200A)及びユーザ装置200B(以下、UE200B)、及びユーザ装置200C(以下、UE200C)を含む。
UE200A~UE200Cは、無線基地局100(以下、eNB100)と無線通信を実行する。eNB100は、無線アクセスネットワーク20に含まれる。コアネットワーク30は、無線アクセスネットワーク20と接続されている。
本実施形態では、無線アクセスネットワーク20(eNB100を含む)、コアネットワーク30、及びUE200A~UE200Cは、Long Term Evolution(LTE)に従っている。
また、UE200Aは、他のユーザ装置(UE200BまたはUE200C)と直接通信を実行できる。同様に、UE200B及びUE200Cも他のユーザ装置と直接通信を実行できる。
具体的には、UE200A~UE200Cは、3GPPによって規定されるPC5インターフェース(以下、PC5)、つまり、Sidelinkを経由して直接通信を実行する。
また、UE200A~UE200Cは、Uuインターフェース(以下、Uu)を経由してeNB100との通信を実行する。
車両70Aは、車両70Aの周辺環境を検出するセンサ71Aを備える。センサ71Aとしては、カメラ及びレーダ(ミリ波またはLIDAR(Light Detection and Ranging))が挙げられるが、これらに限定されず、車両70Aの周辺環境が検出できるセンサであればよい。同様に、車両70B及び車両70Cは、センサ71B及びセンサ71Cをそれぞれ備える。
車両70A~車両70Cは、車車間通信(V2V)、車両とインフラストラクチャ(信号機などの道路付属設備)との路車間通信(V2I)、及び車両と歩行者との歩車間通信(V2P)などを含むV2X(Vehicle-to-X(everything))に対応している。
ITSサーバ50は、ITSの構成要素として提供されるサーバである。ITSサーバ50は、コアネットワーク30と接続されている。本実施形態では、ITSサーバ50は、UE200A~UE200Cに情報を提供する情報提供サーバを構成する。
具体的には、ITSサーバ50は、無線アクセスネットワーク20(eNB100)及びコアネットワーク30を経由して、つまり、Uuを経由して、UE200A~UE200Cそれぞれに対して、他のUEに関する情報を提供する。
(2)通信制御システムの機能ブロック構成
次に、通信制御システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、ITSサーバ50及びUE200Aの機能ブロック構成について説明する。便宜上、UE200Aの機能ブロック構成から説明する。
(2.1)UE200A
図2は、UE200Aの機能ブロック構成図である。図2に示すように、UE200Aは、車両状態取得部210、車両状態送信部220、装置状態受信部230及び装置状態出力部240を備える。なお、UE200B及びUE200CもUE200Aと同様の機能ブロック構成を有する。
車両状態取得部210は、車両70Aの状態を取得する。具体的には、車両状態取得部210は、車両70Aの位置、または車両70Aの周辺環境の少なくとも何れかを含む車両状態を取得する。
車両70Aの位置とは、典型的には、Global Positioning System(GPS)を利用した位置情報であり、車両70Aから提供されてもよいし、UE200AがGPS受信機を備えてもよい。また、車両70Aの位置の検出には、eNB100の情報が補完的または主体的に用いられてもよい。
車両70Aの周辺環境とは、車両70A近傍での大型車両75(図6B参照)の有無、または渋滞による車両の過密状態の有無(図6C参照)などが挙げられる。
車両状態送信部220は、車両状態取得部210によって取得された車両状態を示す車両状態情報をITSサーバ50に送信する。具体的には、車両状態送信部220は、車両状態情報を所定タイミングにおいてITSサーバ50に送信する。
より具体的には、車両状態送信部220は、車両状態情報を所定の周期毎に送信してもよい。或いは、車両状態送信部220は、Uu経由による通信を開始、つまり、eNB100を経由したV2Xを実行すべき実行条件が満たされる場合、車両状態情報を送信してもよい。
「実行条件」とは、車両70Aの位置、時間(現在時刻)または周辺環境(例えば、交差点近傍、大型車両近傍、渋滞の車列内など)によって予め規定される。
また、車両状態送信部220は、車両70Aの位置、または車両70Aの周辺環境の少なくとも何れかを含む車両状態を送信することに代えて、当該位置または周辺環境を示すデータを用いてメッセージを生成し、当該メッセージをITSサーバ50に送信してもよい。本実施形態では、このようなメッセージの送信も車両状態の送信に含まれるものとする。
装置状態受信部230は、ITSサーバ50から装置状態情報を受信する。「装置状態情報」とは、上述した車両状態と対応付けられている状態条件と合致する当該他のUE(UE200BまたはUE200C)の状態を示す。
「状態条件」とは、例えば、車両70Aの進行方向と反対の方向から交差点に進入しようとしていること、車両70Aの進行方向と交差する方向の道路に存在していること、車両70Aと直接通信を実行している他のUEとの間に大型車両75が存在していることなどが挙げられ、車両70Aの挙動を示す。なお、状態条件の具体例については、さらに後述する。
装置状態情報は、このような状態条件に合致するUEの状態によって構成される。UEの状態としては、位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなどが挙げられる。また、UEの状態には、当該UEが搭載されている車両の状態、例えば、方向指示器(左または右)の作動、ハザードランプの点灯、及びブレーキ作動が含まれてもよい。
装置状態出力部240は、装置状態受信部230が受信した装置状態情報を車両70Aに出力する。具体的には、装置状態出力部240は、車両70Aに搭載されるECU(Electronic Control Unit)などに装置状態情報を出力する。
車両70Aは、装置状態出力部240から出力された装置状態情報を用いて、車両制御(例えば、ステアリングまたはブレーキ制御)などを実行することができる。
(2.2)ITSサーバ50
図3は、ITSサーバ50の機能ブロック構成図である。図3に示すように、ITSサーバ50は、車両状態受信部51、条件保持部53及び装置状態送信部55を備える。
車両状態受信部51は、UE200A(UE200B及びUE200C、以下同)によって送信された車両状態情報を受信する。上述したように、車両状態情報は、車両70Aの位置、及び車両70Aの周辺環境を少なくとも含む車両状態を示す。
条件保持部53は、車両状態受信部51が受信した車両状態情報によって示される車両状態と対応付けられる状態条件を保持する。状態条件とは、上述したように、車両状態情報を送信したUE(例えば、UE200A)以外の他のUE(UE200B及びUE200C)が搭載されている車両(車両70B及び車両70C)の状態(交差点への進入など)を規定する。
条件保持部53は、車両状態と対応付けられた状態条件を複数保持できる。また、条件保持部53は、UEまたは車両の種別に応じて異なる状態条件を保持してもよい。
装置状態送信部55は、装置状態情報をUE200Aに送信する。装置状態情報とは、上述したように、状態条件に合致するUEの状態(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)によって構成される。
具体的には、装置状態送信部55は、条件保持部53が該当する状態条件を保持している場合、当該状態条件に合致するUEの位置、または当該UEから報告された情報を装置状態情報として、UE200Aに送信できる。
或いは、装置状態送信部55は、当該UEの位置、または当該UEから報告された情報を用いてメッセージを生成し、当該メッセージをUE200Aに送信してもよい。本実施形態では、このようなメッセージの送信も装置状態情報の送信に含まれるものとする。
また、装置状態送信部55は、車両状態受信部51が受信した車両状態情報によって示される車両状態が何れの状態条件と対応付けられていない場合、つまり、条件保持部53が該当する状態条件を保持していない場合、UE200Aを搭載する車両70Aの周辺に位置する他のUEの状態(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)を示す装置状態情報を送信してもよい。
つまり、装置状態送信部55は、UE200Aから受信した車両状態が状態条件と対応付けられていない場合、当該車両状態に関連がある情報、例えば、車両70Aの周辺に位置する全ての他のUEの状態をUE200Aに送信してもよい。
また、このような場合も、装置状態送信部55は、当該UEの位置、または当該UEから報告された情報を用いてメッセージを生成し、当該メッセージをUE200Aに送信してもよい。
さらに、装置状態送信部55は、UE間の直接通信、つまり、PC5経由による通信の通信品質、またはUE200Aが搭載されている車両70Aのセンシング品質が品質条件を満たさない場合、装置状態情報を送信してもよい。装置状態送信部55は、UE200Aから報告される当該通信品質及び当該センシング品質を取得する。
具体的には、装置状態送信部55は、当該通信品質(例えば、Signal-to-Interference plus Noise power Ratio(SINR))が所定の閾値以下の場合、受信した車両状態と対応付けられている状態条件と合致する他のUEの状態を示す装置状態情報(または上述したメッセージ)をUE200Aに送信してもよい。
なお、装置状態送信部55は、SINR以外の他の通信品質、例えば、Reference Signal Received Power(RSRP)、Reference Signal Received Quality(RSRQ)などを用いてもよい。或いは、Sidelinkのリソースプールの使用率を把握するための指標であるChannel Busy Ratio(CBR)またはchannel occupancy ratioを用いてもよい。
また、装置状態送信部55は、センシング品質(例えば、センサ71Aを構成するカメラまたはレーダによるオブジェクトの検出精度)が所定の閾値以下の場合、受信した車両状態と対応付けられている状態条件と合致する他のUEの状態を示す装置状態情報(または上述したメッセージ)をUE200Aに送信してもよい。
(3)通信制御システムの動作
次に、通信制御システム10の動作について説明する。具体的には、通信制御システム10の概略通信シーケンス、ITSサーバ50の動作フロー、及びUuを経由した通信の適用例について説明する。
(3.1)概略通信シーケンス
図4は、通信制御システム10の概略通信シーケンスを示す。具体的には、図4は、PC5経由によるUE間の通信のUu経由による通信での補完シーケンスを示す。
図4に示すように、UE200A及びUE200Bは、PC5(Sidelink)経由による直接通信を実行する(S10)。
このように直接通信を実行している状態において、UE200Aは、Uu経由による通信開始を決定する(S20)。上述したように、UE200Aは、eNB100を経由したV2Xを実行すべき実行条件が満たされる場合、Uu経由による通信を開始すると決定できる。
UE200Aは、Uu経由による通信開始を決定したことに伴って、車両70Aの状態(車両状態)を示す車両状態情報をITSサーバ50に送信する(S30)。車両状態は、車両70Aの位置、または車両70Aの周辺環境の少なくとも何れかを含んでいる。
UE200Bも、UE200Aと同様に、車両70Bの状態(車両状態)を示す車両状態情報をITSサーバ50に送信する(S35)。
なお、UE200Bが送信する車両状態情報は、Uu経由による通信開始の決定ではなく、所定の周期毎に送信してもよい。また、UE200A(またはUE200B)は、PC5経由による直接通信の通信品質を合わせて送信してもよい。
ITSサーバ50は、受信した車両状態情報に基づいて、送信対象とする装置状態情報の内容を決定する(S40)。
具体的には、ITSサーバ50は、車両状態情報に含まれる車両70Aの車両状態に基づいて、当該車両状態と対応付けられている状態条件と合致する当該他のUE(UE200BまたはUE200C)の情報を取得する。なお、装置状態情報の内容の具体的な決定方法については、さらに後述する。
ITSサーバ50は、決定した装置状態情報をUE200Aに送信する(S50)。具体的には、ITSサーバ50は、Uu経由、つまり、無線アクセスネットワーク20(eNB100)及びコアネットワーク30を介して、装置状態情報(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)をUE200Aに送信する。
UE200Aは、受信した装置状態情報を車両70Aに出力する(S60)。具体的には、UE200Aは、車両70Aに搭載されるECU(Electronic Control Unit)などに装置状態情報を出力する。これにより、車両70Aは、UE200Aから出力された装置状態情報を用いて、車両制御(例えば、ステアリングまたはブレーキ制御)などを実行することができる。
(3.2)ITSサーバ50の動作フロー
図5は、ITSサーバ50の動作フローを示す。具体的には、図5は、ITSサーバ50による装置状態情報の内容決定の動作フローを示す。図5は、図4に示したS30~S50と対応する。
図5に示すように、ITSサーバ50は、UE200Aから車両状態情報を受信する(S110)。本実施形態では、ITSサーバ50は、当該車両状態情報に含まれる車両70Aの車両状態、具体的には、車両70Aの位置(現在位置)、当該位置と対応付けられた時間(日時)、及び車両70Aの当該位置の周辺環境を取得する(S120)。
ITSサーバ50は、取得した車両状態、つまり、車両70Aの位置、時間及び周辺環境と対応付けられている状態条件があるか否かを判定する(S130)。
具体的には、ITSサーバ50は、上述したように、車両70Aの進行方向と反対の方向から交差点に進入しようとしていること、車両70Aの進行方向と交差する方向の道路に存在していること、車両70Aと直接通信を実行している他のUEとの間に大型車両75(図6B参照)が存在していることなどに合致する他のUEが存在するか否かを判定する。
車両状態と対応付けられている状態条件に合致する他のUEが存在する場合、ITSサーバ50は、当該状態条件と合致する他のUEの状態を示す装置状態情報を選択する(S140)。
一方、車両状態と対応付けられている状態条件に合致する他のUEが存在しない場合、ITSサーバ50は、車両70Aの周辺に位置する、つまり、車両70Aから所定距離内に位置する全てのUE(UE200Aは除いてもよい)の状態を示す装置状態情報を選択する(S150)。
ITSサーバ50は、選択した装置状態情報をUE200Aに送信する(S160)。
(3.3)Uuを経由した通信の適用例
次に、図6A~図6Cを参照して、通信制御システム10の具体的な動作例について説明する。
(3.3.1)適用例1
図6Aは、Uuを経由した通信の適用例1を示す。図6Aに示すような状況の場合、車両70Aに搭載されているUE200Aは、交差点Pに接近したタイミングにおいて、Uu経由、つまり、eNB100経由による通信開始を決定する。例えば、UE200Aは、所定の時間帯(時刻T1~時刻T2)において、交差点Pの手前D1(メートル)の位置に到達した場合、Uu経由による通信開始を決定する。
T1, T2としては8:00AM, 9:00AM、D1としては10mなど、交通量及び通信量などに基づいて、適宜適当な数値を設定すればよい。
図6Aでは、UE200AとUE200Bとの間に建物BDが存在し、PC5経由による直接通信の通信品質が劣化し得る。このため、UE200Aは、交差点の手前でUu経由による通信開始を決定する。
但し、建物BDが存在しない場合でも、UE200Aは同様に動作してもよい。また、図6Aでは、車両70Aは、交差点Pを直進することを想定しているが、車両70Aが交差点を右折(左側通行の場合)する右折レーンに進入した場合、UE200Aは、Uu経由による通信開始を決定してもよい。
適用例1の場合、ITSサーバ50は、車両70Aの進行方向と反対の方向から交差点に進入しようとしている車両70Bに搭載されているUE200B、または車両70Aの進行方向と交差する方向の道路に存在する車両に搭載されているUE(不図示)から報告された情報(装置状態情報)をUE200Aに送信する。これにより、UE200Aは、Uu経由により、UE200Bを含む他のUEの状態(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)を取得できる。
また、車両70Aが右折レーンに進入した場合、ITSサーバ50は、車両70Aの進行方向と反対の方向から交差点に進入しようとしている車両に搭載されているUE(不図示)から報告された情報(装置状態情報)をUE200Aに送信する。
なお、ITSサーバ50は、車両70Aの車両状態が上述したような状態条件(他の車両の交差点への進入など)と対応付けられていない場合、車両70Aの周辺に位置する全ての他のUEの状態をUE200Aに送信してもよい。また、車両70Aが右折レーンに進入した場合には、当該交差点を含む所定領域内に位置する全ての他のUEの状態をUE200Aに送信してもよい。
(3.3.2)適用例2
図6Bは、Uuを経由した通信の適用例2を示す。図6Bに示すような状況の場合、UE200Aは、車両70Aが大型車両75に接近し、大型車両75を検出次第、Uu経由による通信開始を決定する。
なお、車両70Aは、センサ71Aを用いて大型車両75の位置及びサイズを検出できる。或いは、UE200Aは、PC5経由による直接通信の信号に、大型車両75を含む車両情報が含まれている場合、当該車両情報に基づいて、大型車両75を検出してもよい。
図6Bでは、UE200AとUE200Bとの間に大型車両75が存在し、PC5経由による直接通信の通信品質が劣化し得る。このため、UE200Aは、大型車両75に接近するとUu経由による通信開始を決定する。
適用例2の場合、ITSサーバ50は、大型車両75によって見通しが確保できなくなるUE200Bから報告された情報(装置状態情報)をUE200Aに送信する。これにより、UE200Aは、Uu経由により、UE200Bの状態(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)を取得できる。
なお、ITSサーバ50は、車両70Aの車両状態が上述したような状態条件(大型車両75の存在による見通し悪化)と対応付けられていない場合、車両70Aの周辺に位置する全ての他のUEの状態をUE200Aに送信してもよい。
(3.3.3)適用例3
図6Cは、Uuを経由した通信の適用例3を示す。図6Cに示すような状況の場合、UE200A~UE200Cは、信号機80の状態に応じて、または車両70A~車両70Cが互いに近傍に位置することを検出次第、Uu経由による通信開始を決定する。
なお、UE200A~UE200Cは、路車間通信によって信号機80の状態(青信号、赤信号など)を取得してもよいし、センサ71A~センサ71C(カメラ)による画像認識によって信号機80の状態を取得してもよい。
また、UE200A~UE200Cは、車両70A~車両70C間の距離、移動速度などに基づいて、車両70A~車両70Cが渋滞の車列内に位置すると判定してもよい。
図6Cでは、車両が過密状態のため、当該車両に搭載されている複数のUEが同一無線リソースを選択し、通信パケットの衝突が生じることによって、直接通信の通信品質が劣化し得る。このため、UE200Aは、渋滞の車列内に入るとUu経由による通信開始を決定する。
適用例3の場合、ITSサーバ50は、近傍に位置するUE200B及びUE200Cから報告された情報(装置状態情報)をUE200Aに送信する。これにより、UE200Aは、Uu経由により、UE200B及びUE200Cの状態(位置、移動速度、進行方向、及び加減速Gなど)を取得できる。
(3.3.4)適用例4
上述した適用例1~3では、さらに、PC5経由による直接通信の通信品質が品質条件を満たすか否かが判定されてもよい。
具体的には、PC5経由の直接通信、つまり、Sidelinkの通信品質が品質条件を満たさなくなった場合、UE200Aは、Uu経由による通信開始を決定してもよい。
一方、通信品質が当該品質条件を満たす限り、UE200Aは、PC5経由の直接通信を継続しても構わない。なお、PC5経由の直接通信を実行する車両が存在しなくなった場合、UE200Aは、Uu経由の通信も合わせて終了してもよい。
また、上述したように、品質条件としては、SINR(単位:dB)などを用いることができる。
また、上述したように、UE200Aが搭載されている車両70Aのセンシング品質が品質条件を満たさなくなった場合、UE200Aは、Uu経由による通信開始を決定してもよい。
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、通信制御システム10によれば、UE200Aは、車両70Aの車両状態を示す車両状態情報を、所定タイミングにおいてITSサーバ50に送信する。具体的には、UE200Aは、eNB100を経由したV2Xを実行すべき実行条件が満たされる場合、車両状態情報を送信することができる。上述したように、実行条件とは、車両70Aの位置、時間(現在時刻)または周辺環境(例えば、交差点近傍、大型車両近傍、渋滞の車列内など)によって予め規定される。
また、ITSサーバ50は、UE200Aから受信した当該車両状態と対応付けられている状態条件(交差点への進入など)と合致する他のUEの状態を示す装置状態情報をUE200Aに送信する。
このため、UE200Aは、Uu経由で、車両70Aの車両状態と関連性が高い他のUEの装置状態情報を取得できる。つまり、UE200Aは、PC5経由によるUE間の直接通信を用いつつ、Uu経由による通信によって当該直接通信を補完し得る。
また、UE200Aは、実行条件が満たされる場合には、車両状態情報を送信することによって、Uu経由による通信を開始できる。このため、PC5経由によるUE間の通信を、Uu経由による通信によって適切なタイミングで補完することが可能となる。
すなわち、通信制御システム10によれば、V2Xに用いられるUEの周辺環境に応じて、PC5経由によるUE間の直接通信を、Uu(eNB100)経由によるUEとの通信によって適切に補完し得る。
本実施形態では、ITSサーバ50は、車両70Aの車両状態が状態条件と対応付けられていない場合、車両70Aの周辺に位置する他のUEの装置状態情報を送信できる。つまり、当該交差点への進入などの状態条件が設定されていない場合でも、UE200Aは、UE200Aの周辺に位置する他のUEの状態を取得できる。
このため、PC5経由によるUE間の通信を、Uu経由による通信によって、より確実に補完できる。
本実施形態では、ITSサーバ50は、PC5経由による直接通信の通信品質が品質条件(SINRなど)を満たさない場合、当該他のUEの装置状態情報を送信できる。このため、当該直接通信が実質的に利用できなくなる前に、Uu経由による通信によって当該他のUEの状態を取得できる。
このため、PC5経由によるUE間の通信を、Uu経由による通信によって、より確実に補完できる。
(5)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
例えば、eNB100を経由したV2Xを実行すべき実行条件は、上述したように、UE200A(UE200B及びUE200C)が保持していてもよいし、ITSサーバ50またはネットワーク(無線アクセスネットワーク20またはコアネットワーク30)から定期的または不定期に通知されてもよい。
同様に、車両状態と対応付けられている状態条件、及びPC5経由による通信の通信品質の品質条件は、ITSサーバ50が保持していてもよいし、はネットワーク(無線アクセスネットワーク20またはコアネットワーク30)から定期または不定期に通知されてもよい。
また、ITSサーバ50は、無線リソース、ネットワーク側のリソース、或いはUE200A(UE200B及びUE200C)の契約内容など、取得可能な情報に基づいて、Uu経由による通信を適宜終了させても構わない。
また、上述した実施形態では、コアネットワーク30に接続されるITSサーバ50によって装置状態情報の送信などが実現されていたが、ITSサーバ50に代えて、コアネットワーク30に含まれるネットワークノードにおいて実現されてもよい。つまり、情報提供サーバの機能は、移動通信ネットワークによって提供されても構わない。
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(図2,3)は、機能ブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/またはソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/または論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/または間接的に(例えば、有線及び/または無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
さらに、上述したITSサーバ50及びUE200A~UE200C(当該装置)は、本発明の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図7は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図7に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
当該装置の各機能ブロック(図2,3参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、情報の通知は、上述した実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージなどであってもよい。
さらに、入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
上述した実施形態におけるシーケンス及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
また、上述した実施形態において、ITSサーバ50によって行われるとした特定動作は、他のネットワークノード(装置)によって行われることもある。また、複数の他のネットワークノードの組み合わせによってITSサーバ50の機能が提供されても構わない。
なお、本明細書で説明した用語及び/または本明細書の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、該当する記載がある場合、チャネル及び/またはシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用されてもよい。
さらに、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
eNB100(基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
UE200A~UE200Cは、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
また、「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形の用語は、「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
本明細書の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。