JP7128479B2 - α線放出核種の分析方法及び分析装置 - Google Patents

α線放出核種の分析方法及び分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶液中のα線放出核種の分析方法及び分析装置に関する。
放射性同位体(RI)療法は、全身に散在したガンや体内に潜んでいるガンに対し、様々な種類のRIを体の内側からガンに当てることで高い治療効果が期待できる(非特許文献1を参照)。この治療法に使用されるRI核種の多くが飛程の長い放射線を放出するため、内臓器官の健全な細胞にまで重度の損傷をもたらす。これに対して、211Atは飛程の短いα線を放出するため、細胞を必要以上に殺さずにガンにのみ効果を発揮するという特長を持つ核種である。
このような特長を有する211Atは、ターゲット金属(209Bi、Pb等)に加速した粒子(α、7Li等)を照射して直接211At(半減期7時間)を生成した後、ターゲットから211Atを化学分離し、211At溶液として合成される(非特許文献2を参照)。そして、この211At溶液を薬剤として利用するには、溶液中の211At量とその化学状態(化学形)とを精度よく調べる必要がある。
化学形を調べる手法としては、薄層クロマトグラフィが一般的に用いられる。この手法では、シリカゲルを薄く塗布したアルミ板(以下、「薄層プレート」と表記する。)等を用いて分析対象を化学形毎に分離した後、イメージングプレート(IP)によって分析対象から放出されるガンマ線及びX線を可視化する。
D. Scott. Wilbur, Nature Chemistry, Volume 5, pp 246 (2013) I. Nishinaka, K. Hashimoto, H. Suzuki, Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Volume 318, Issue 2, pp 897-905 (2018)
しかしながら、IPは“その場観察”ができず、ガンマ線及びX線に対し感度が十分に高いとは言えない。したがって、211At溶液をIPで可視化する場合、撮像時間の最適化ができないことから、撮像の失敗を防ぐために放射能の高低に拘わらず、211Atの半減期(7時間)より十分長い時間(12時間程度)撮像してから画像化を行う必要がある。その結果、分析が終了した時点で211Atが1/4分以下に減少してしまうという課題がある。
さらに、211Atは、図8に示すように、211Rn(半減期14時間)を経由して合成される場合がある。この211Rnの崩壊で生成された211At溶液には、同じく211Rnの崩壊で生成される207Poが不純物として含まれる。この207Poは5.8時間の半減期で207Biに壊変する際、X線を放出する。これらのX線はバックグラウンドとなり、薄層クロマトグラフィによる211Atの化学形分析を妨害してしまうので、分析できない211Atの化学形が生じる。以上から、薬剤への利用を目的とした211Atの化学形分析に、IPを用いた薄層クロマトグラフィ分析技術を適用できないという課題がある。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶液中のα線放出核種の化学形毎のα線量を、迅速且つ正確に分析可能なα線放出核種の分析方法及び分析装置を提供することにある。
本発明の一形態は、前記課題を解決するため、溶液中のα線放出核種の分析方法であって、前記α線放出核種を含む溶液を薄層プレートに滴下し、薄層クロマトグラフィによって、前記α線放出核種を化学形毎に分離する分離ステップと、放射線のうちα線を選択的に可視光線に変換するα線シンチレータを介して、前記α線放出核種が化学形毎に分離された前記薄層プレートを撮像する撮像ステップと、前記α線放出核種の各化学形に対応するスポット領域の輝度値を、前記撮像ステップで撮像した画像から抽出する抽出ステップと、輝度値とα線量との予め求められた対応関係に基づいて、前記抽出ステップで抽出した輝度値に対応するα線量を、前記α線放出核種の化学形毎に特定する特定ステップとを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、撮像ステップで撮像した画像から各スポット領域の輝度値を抽出し、抽出した輝度値に対応するα線量を特定することによって、α線放出核種の生成量(溶液中の含有量)を定量することができる。また、薄層クロマトグラフィでα線放出核種を含む溶液を化学形毎に分離してから分析を行うことにより、α線放出核種の生成量を化学形毎に分析することができる。
また、上記構成によれば、α線シンチレータを使用することで、γ線及びX線を放出する放射性同位体の影響を受けず、α線のみを可視化することができる。さらに、上記構成によれば、従来のIPと比較して撮像時間を大幅に短縮することができる。
また、前記抽出ステップでは、前記スポット領域を構成する複数の輝度値の代表値を抽出することを特徴としてもよい。
上記構成によれば、スポット領域内における濃度のばらつきを吸収することができるので、より正確に分析を行うことができる。
一例として、前記α線放出核種は、211At、225Ac、223Ra、212Bi、213Bi、149Tb、224Ra、230U、226Th、227Thのいずれかであってもよい。
本発明の一形態は、前記課題を解決するため、溶液中のα線放出核種を分析する分析装置であって、放射線のうちα線を選択的に可視光線に変換するα線シンチレータと、薄層クロマトグラフィによって前記α線放出核種が化学形毎に分離された薄層プレートを、前記α線シンチレータを介して撮像する撮像装置と、輝度値とα線量との予め求められた対応関係を記憶するメモリと、前記撮像装置で撮像された画像を分析するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記α線放出核種の各化学形に対応するスポット領域の輝度値を、前記撮像装置によって撮像された画像から抽出し、前記メモリに記憶された対応関係に基づいて、抽出した輝度値に対応するα線量を、前記α線放出核種の化学形毎に特定することを特徴とする。
本発明によれば、溶液中のα線放出核種の化学形毎のα線量を、迅速且つ正確に分析することができる。
本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。 分析装置で得られた2次元画像の解析結果を示す図である。 図2の輝度値とα線量との対応関係を示す図である。 分析処理のフローチャートである。 分析処理の各ステップにおける薄層プレートPを示す図である。 本発明とIPとで図2の12点の輝度値を測定した結果を示す図である。 本発明とIPとで図5の薄層プレートPの輝度値を測定した結果を示す図である。 211Rnが崩壊して207Pbに至る過程を示す図である。
以下、図面を参照して、実施形態に係る分析装置1及びこの分析装置1を用いたα線放出核種の分析方法を説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る分析装置1の概略構成図である。分析装置1は、薄層プレートP上に化学形毎に展開されたα線放出核種を分析する装置である。分析装置1は、図1に示すように、暗箱2と、載置台3と、α線シンチレータ4と、対物レンズ5と、高解像度カメラ6と、カメラ受信機7と、撮像制御機8と、画像表示機9とを主に備える。
暗箱2は、薄層プレートP、載置台3、α線シンチレータ4、及び対物レンズ5を収容する筐体である。また、暗箱2は、内部空間に可視光線が侵入するのを防止するために遮光されている。また、暗箱2の内壁は、光の反射を防ぐために黒色に塗装されている。また、暗箱2は、薄層プレートPを出し入れするために開閉される扉(図示省略)を有する。さらに、暗箱2の上面には、対物レンズ5及び高解像度カメラ6を接続するための開口が設けられている。
載置台3は、暗箱2の内部空間において、暗箱2の底壁に載置されている。載置台3には、測定対象物である薄層プレートPが載置される。そして、載置台3は、薄層プレートPの載置面の高さを調整可能に構成されている。換言すれば、載置台3は、薄層プレートPと対物レンズ5との距離を調整可能に構成されている。載置面の高さは、手動で調整されてもよいし、撮像制御機8の指示に従って動作するモータ(図示省略)によって調整されてもよい。
α線シンチレータ4は、放射線(α線、β線、γ線、X線など)のうち、選択的にα線を可視光線に変換し、その他の放射線を可視光線に変換しない。α線シンチレータ4は、載置台3上の薄層プレートPに重畳される。換言すれば、α線シンチレータ4は、載置台3上の薄層プレートPと、対物レンズ5との間に介在する。すなわち、α線シンチレータ4は、薄層プレートP上のα線放出核種から放出される放射線のうち、α線のみを可視光線に変換して対物レンズ5に導く役割を担う。
対物レンズ5は、α線シンチレータ4から放出された可視光線を高解像度カメラ6に導く。対物レンズ5は、ピント及び画角を調整する機能を有していてもよい。高解像度カメラ6は、対物レンズ5を通して入射した可視光線を電気信号に変換するフォトダイオード(光電変換素子)を有する。そして、高解像度カメラ6は、フォトダイオードで変換した電気信号(以下、「画像データ」と表記する。)をカメラ受信機7に出力する。対物レンズ5及び高解像度カメラ6は、撮像装置の一例である。
カメラ受信機7は、高解像度カメラ6から画像データを受信し、受信した画像データを撮像制御機8に出力する。撮像制御機8は、分析装置1の動作を制御する。より詳細には、撮像制御機8は、カメラ受信機7を通じて取得した画像データを分析する。分析の具体的な方法は、図4を参照して後述する。また、撮像制御機8は、画像データで示される画像を画像表示機(ディスプレイ)9に表示させる。カメラ受信機7及び撮像制御機8は、コントローラの一例である。
コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。コントローラは、ROMに格納されたプログラムコードをCPUが読み出して実行することによって、後述する処理が実現される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
但し、コントローラの具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
コントローラは、メモリの一例であるROM、RAM、或いはHDD(Hard Disk Drive)を搭載している。メモリは、輝度値とα線量との予め定められた対応関係を示す情報を記憶している。メモリに記憶させる輝度値とα線量との対応関係を特定するために、日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設ホット化学室において、定量性に関する実証実験を実施した。
より詳細には、タンデム加速器を用いて211At溶液を製造し、乾式化学分離法によって化学分離した。放射能にして56~672[Bq]の211At溶液を薄層プレート上の12個所に滴下することで、画像の輝度値を検量するための検量用211At試料を用意した。この検量用211At試料を分析装置1により撮像し、得られた2次元画像の解析を行った。
図2は、分析装置1で得られた2次元画像の解析結果を示す図である。図3は、図2の輝度値とα線量との対応関係を示す図である。図2に示すように、α線シンチレータ4を介して薄層プレートを撮像すると、211At溶液を滴下した領域(以下、「プロット領域」と表記する。)が光って見える。また、プロット領域は、滴下した211At溶液のα線強度(α線量)が高いほど明るい(すなわち、輝度が高い)。
図2に示す12箇所の輝度値とα線量とをプロットすると、図3に示すように、輝度値とα線量との間には、正の相関関係(より詳細には、比例関係)があることが分かる。そして、コントローラのメモリには、図3に示す輝度値とα線量との関係が記憶される。メモリに記憶されている輝度値とα線量との対応関係は、テーブル形式であってもよいし、輝度値を入力すると対応するα線量が出力される関数の形式であってもよい。
次に、図4及び図5を参照して、分析装置1を用いたα線放出核種の分析処理(分析方法)を説明する。図4は、分析処理のフローチャートである。図5は、分析処理の各ステップにおける薄層プレートPを示す図である。
まず、図5の上段に示すように、薄層プレートP上の原点Oに211At溶液を滴下する。薄層プレートPは、ガラスやアルミニウム等の板上に、吸着剤(例えば、シリカゲル、アルミナ、セルロース)を薄膜状に固定したものである。211At溶液は、複数の化学形(組成)のアスタチン-211を含む溶液である。また、211At溶液は、211AtO4 -211AtO3 -211At-等の各化学形に加えて、不純物としての207Poを含む。
なお、α線放出核種の具体例はアスタチン-211(211At)に限定されず、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テルビウム-149(149Tb)、ラジウム-224(224Ra)、ウラン-230(230U)、トリウム-226(226Th)、トリウム-227(227Th)などであってもよい。また、分析処理の対象となる溶液に含まれるα線放出核種は、1種類でもよいし、複数種類でもよい。
次に、薄層プレートPの原点Oに滴下された211At溶液は、吸着剤の間隙を毛細管現象により移動する。211Atの化学形毎に移動する距離が異なるので、図5の中段に示すように、薄層プレートP上の異なるスポット領域A、A、Aに、211Atが化学形毎に分離(展開)される(S11)。ステップS11の処理は、一般的な薄層クロマトグラフィであって、分離ステップの一例である。
この例では、スポット領域A211AtO4 -が、スポット領域A211AtO3 -が、スポット領域A211At-が位置する。また、207Poは、211AtO4 -と重なってスポット領域Aに位置する。211At溶液の各化学形がどのスポット領域A~Aに位置するかは、予め特定されている。但し、211At溶液は無色透明なので、この時点では、スポット領域A~A211At溶液が化学形毎に分離されたことを、視覚的に確認することはできない。
次に、211At溶液が化学形毎に分離された薄層プレートPを載置台3に載置し、その上にα線シンチレータ4を重ねる。次に、載置台3及び対物レンズ5の一方或いは両方によって、ピント及び画角を調整する。そして、撮像制御機8は、α線シンチレータ4を介して薄層プレートPを、高解像度カメラ6に撮像させる(S12)。ステップS12の処理は、撮像ステップの一例である。
なお、撮像制御機8は、例えば、211At溶液の濃度に応じて、高解像度カメラ6の露光時間(撮像時間)を調整してもよい。より詳細には、撮像制御機8は、211At溶液の濃度が高いほど露光時間を短くし、211At溶液の濃度が低いほど露光時間を長くしてもよい。高解像度カメラ6の露光時間は、例えば、数ミリ秒~数千秒の範囲で適宜調整される。本実施形態では、高解像度カメラ6の露光時間を1000秒とする。
図5の下段に示すように、画像データで示される画像中の各スポット領域A~Aは、対応する化学形が放出するα線量に応じて明るさ(輝度値)が異なる。図5の下段では、ドットの密度で明るさを表現している。すなわち、ドットの密度が低いほど明るく、ドットの密度が高いほど暗い。換言すれば、スポット領域Aが最も明るく、スポット領域Aが最も暗い。
次に、撮像制御機8は、高解像度カメラ6から出力される画像データを、カメラ受信機7を通じて取得する。そして、撮像制御機8は、取得した画像データを画像処理することによって、211Atの各化学形に対応するスポット領域A~Aそれぞれの輝度値を抽出する(S13)。ステップS13の処理は、抽出ステップの一例である。
より詳細には、撮像制御機8は、画像上の予め定められた位置の画素値を輝度値として抽出する。なお、スポット領域A~Aは複数の画素で構成されるので、撮像制御機8は、例えば、複数の画素の輝度値の代表値(例えば、平均値、中央値、最頻値)を、各スポット領域A~Aの輝度値として抽出すればよい。これにより、各スポット領域A~A内における濃度のばらつきを吸収して、正確に分析することが可能となる。
例えば、撮像制御機8は、スポット領域Aを含む領域の各画素を二値化する。すなわち、画素値が閾値以上の画素に“1”が設定され、画素値が閾値未満の画素に“0”が設定される。次に、撮像制御機8は、“1”が設定された画素数を算出すると共に、“1”が設定された画素の画素値(二値化する前の画素値)を積算した積算画素値を算出する。そして、撮像制御機8は、積算画素値を画素数で除することによって、スポット領域Aの輝度値の平均値を算出すればよい。
また、輝度値の中央値を算出する場合、撮像制御機8は、“1”が設定された画素の画素値を昇順(或いは降順)に並べ、(画素数/2)番目の画素値をスポット領域Aの輝度値の中央値とすればよい。さらに、輝度値の最頻値を算出する場合、撮像制御機8は、“1”が設定された画素の画素値のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムからスポット領域Aの輝度値の最頻値を特定すればよい。また、スポット領域A、Aについても同様の処理を行えばよい。
次に、撮像制御機8は、輝度値とα線量との対応関係をメモリから読み出す。そして、撮像制御機8は、読み出した輝度値とα線量との対応関係に基づいて、スポット領域A~Aそれぞれの輝度値に対応するα線量を特定する(S14)。すなわち、撮像制御機8は、ステップS13で抽出した輝度値に対応するα線量を、211Atの化学形毎に特定する。ステップS14の処理は、特定ステップの一例である。
そして、撮像制御機8は、例えば、ステップS12で撮像した画像と、ステップS14で特定した化学形毎のα線量とを、互いに対応付けて画像表示機9に表示してもよい。また、211Atの単位量当たりのα線量は一定なので、撮像制御機8は、例えば、ステップS14で特定した化学形毎のα線量に基づいて、211At溶液に含まれる各化学形の割合(生成量)を特定してもよい。
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係る分析装置1を用いた分析と、従来のIPを用いた分析との性能差について説明する。図6は、本発明“■”とIP“□”とで図2の12点の輝度値を測定した結果を示す図である。図7は、本発明(実線)とIP(破線)とで図5の薄層プレートPの輝度値を測定した結果を示す図である。なお、分析装置1による撮像時間は1000秒、IPによる撮像時間は12時間とする。
図6を参照すれば明らかなように、本発明に係る分析装置1によって測定される輝度値は、IPによって測定される輝度値の約200倍である。すなわち、本発明に係る分析装置1は、IPと比較してα線の感度が非常に高い。その結果、α線放出核種の含有量が少ない溶液を分析する場合でも、短時間で高精度に分析できることが確認された。
また、図7を参照すると、スポット領域A、Aの輝度値の測定結果は、本発明とIPとで概ね同じ(誤差3%程度)である。一方、スポット領域Aの輝度値の測定結果は、本発明とIPとで大きく異なる。より詳細には、IPで測定したスポット領域Aの輝度値は、本発明に係る分析装置1で測定したスポット領域Aの輝度値より高い。
これは、本発明に係る分析装置1がα線量のみを選択的に測定するのに対して、IPではα線以外の放射線にも感度を有するためである。すなわち、211AtO4 -に重畳してスポット領域Aに位置する207Poから放出されるX線の影響を受けて、輝度値が高くなっている。このように、本発明に係る分析装置1は、不純物である207Poの影響を排除して、211Atの化学形毎のα線量を正確に特定できることが確認された。
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
上記の実施形態に係る分析装置1で取得する画像の明るさ(輝度値)と211Atのα線量とには線形性がある。そこで、高解像度カメラ6で撮像した画像を解析して輝度値を求めることで、211Atのα線量から211Atの生成量を定量することができる。また、薄層クロマトグラフィで211At溶液を化学形毎に分離してから分析を行うことにより、211Atの生成量を化学形毎に分析することができる。
また、上記の実施形態では、IPで測定しているX線と比べて蛍光への変換効率の高いα線に注目し、α線シンチレータ4と増幅機能を有する高解像度カメラ6とを用いることで、IPと比較して約200倍の高感度で撮像することができる。また、α線シンチレータ4を使用することで、γ線及びX線を放出する211At以外の放射性同位体の影響を受けず、α線のみを可視化することができる。
さらに、上記の実施形態によれば、α線シンチレータ4と高解像度カメラ6とによって、IPと比較して撮像時間を大幅に短縮することができる。その結果、薄層クロマトグラフィを“その場”で撮像し、得られた撮像画像は画像表示機9を用いて即時に2次元的画像で確認できる。この結果、分析に要する時間を最適化することができるため、効率的に211Atの化学形を同定し生成量を定量することができる。
なお、図4に示す分析処理(特に、ステップS13~S14)は、分析装置1の撮像制御機8が実行することに限定されず、オペレータが目視で実行してもよい。例えば、オペレータは、画像表示機9に表示された撮像画像と、予め用意されたα線量毎の輝度値のサンプルとを見比べて、各化学形のα線量を特定してもよい。また、この分析装置1及び分析方法は、医療分野のみならず、基礎化学における分析手法としても応用できる。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
1…分析装置、2…暗箱、3…載置台、4…α線シンチレータ、5…対物レンズ、6…高解像度カメラ、7…カメラ受信機、8…撮像制御機、9…画像表示機

Claims (4)

  1. 溶液中のα線放出核種の分析方法であって、
    前記α線放出核種を含む溶液を薄層プレートに滴下し、薄層クロマトグラフィによって、前記α線放出核種を化学形毎に分離する分離ステップと、
    放射線のうちα線を選択的に可視光線に変換するα線シンチレータを介して、前記α線放出核種が化学形毎に分離された前記薄層プレートを撮像する撮像ステップと、
    前記α線放出核種の各化学形に対応するスポット領域の輝度値を、前記撮像ステップで撮像した画像から抽出する抽出ステップと、
    輝度値とα線量との予め求められた対応関係に基づいて、前記抽出ステップで抽出した輝度値に対応するα線量を、前記α線放出核種の化学形毎に特定する特定ステップとを含むことを特徴とするα線放出核種の分析方法。
  2. 請求項1に記載のα線放出核種の分析方法において、
    前記抽出ステップでは、前記スポット領域を構成する複数の輝度値の代表値を抽出することを特徴とするα線放出核種の分析方法。
  3. 請求項1または2に記載のα線放出核種の分析方法において、
    前記α線放出核種は、211At、225Ac、223Ra、212Bi、213Bi、149Tb、224Ra、230U、226Th、227Thのいずれかであることを特徴とするα線放出核種の分析方法。
  4. 溶液中のα線放出核種を分析する分析装置であって、
    放射線のうちα線を選択的に可視光線に変換するα線シンチレータと、
    薄層クロマトグラフィによって前記α線放出核種が化学形毎に分離された薄層プレートを、前記α線シンチレータを介して撮像する撮像装置と、
    輝度値とα線量との予め求められた対応関係を記憶するメモリと、
    前記撮像装置で撮像された画像を分析するコントローラとを備え、
    前記コントローラは、
    前記α線放出核種の各化学形に対応するスポット領域の輝度値を、前記撮像装置によって撮像された画像から抽出し、
    前記メモリに記憶された対応関係に基づいて、抽出した輝度値に対応するα線量を、前記α線放出核種の化学形毎に特定することを特徴とする分析装置。
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