JP7127846B2 - 茶樹の栽培方法 - Google Patents

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本発明は、茶樹の栽培方法に関する。
茶樹の栽培においては、二番茶の摘採後、遅れ芽等の除去や、次期茶の新芽の生育を揃え、摘採時に古葉や木茎の混入防止を目的に、二番茶の摘採面から3~5cm程度の深さまで刈り取る浅刈りが実施される場合が多い。なお、浅刈り工程や浅刈りを行う作業機については、例えば、特許文献1や特許文献2等に記載されている。また、糸状菌(カビ)が原因で起こる、輪斑病や炭疽病、褐色円星病等の発生を抑えるため、浅刈り後には、農薬が散布される。
特開2003-325019号公報 特開2008-131857号公報
しかしながら、同一の農薬の散布を長期にわたり続けると農薬の薬効に対して病害虫の耐性が現れてくる。また、茶樹に残留する農薬の量も増えて人体や周辺環境に悪影響を及ぼし、さらには、益虫や病害虫の天敵も駆除してしまい、生態系のバランスも著しく崩れてしまう。またさらに、国内流通において安心、安全な茶葉が求められるばかりでなく、特に近年においては諸外国への茶葉の輸出が増加し、より一層の安全性が望まれている。
本発明は前記事情に鑑み、農薬不使用あるいは減農薬で栽培する茶樹の栽培方法を提供することを目的とする。
前記目的を解決する本発明の茶樹の栽培方法は、二番茶摘採後に、一番茶の摘採面よりも深く刈り取る整枝工程と、
酵素および微生物を配合してなる植物性発酵物を黒砂糖と共に、濃硫酸使用の第1ミネラルイオン水又は海洋深層水に入れて好気条件下で共棲培養した培養液と、複数のミネラルを含有する第2ミネラルイオン水とを水で希釈した第1散布剤を、前記整枝工程後に萌芽した芽が僅かに生長した時期に葉面散布する第1葉面散布工程と、を有することを特徴とする。
ここで、例えば静岡県では、二番茶の摘採は6月中旬に行われ、前記整枝工程後に萌芽した芽が僅かに成長した時期は、該整枝工程を実施してから2週間程度経過後の7月上旬になる。
本発明の茶樹の栽培方法によれば、前記整枝工程を実施することで、輪斑病の原因となる糸状菌(カビ)を防除することができ、これにより輪斑病の発生を抑えることができる。また、前記培養液に含まれる前記微生物の働きによって、炭疽病や褐色円星病の原因となる糸状菌等の各種病害虫を忌避することができる(各種病害虫が寄り付かなくなる)。特に、前記第1散布剤には、前記第2ミネラルイオン水が配合されているため、該第2ミネラルイオン水に含まれるミネラルを養分として前記微生物の活動が活発になり、農薬を使用しなくても、前記整枝工程後の炭疽病や褐色円星病等の発生を十分に抑えることができる。さらに、前記第1散布剤に配合された前記第2ミネラルイオン水がコーティング効果を奏し、降雨等による微生物の流出を防いで病害虫を忌避する効果が持続する。
ここで、前記整枝工程は、一番茶の摘採面から2~10cmの深さまで刈り取ることが好ましい。前記整枝工程において刈り取る深さが一番茶の摘採面から2cm未満であると、輪斑病の原因となる糸状菌の防除が不十分になる虞がある。一方、前記整枝工程において刈り取る深さが一番茶の摘採面から10cmを超えると、生育の遅れが生じてしまう虞がある。
また、本発明の茶樹の栽培方法において、前記第1散布剤を7月下旬~8月上旬に葉面散布する第2葉面散布工程を有する方法であってもよい。
前記第2葉面散布工程を実施することで、クワシロカイガラムシ等の各種病害虫を忌避することができ、農薬の使用をより一層減少させることができる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において月で規定した時期は、静岡県での茶樹の栽培方法を基準としている。従って、鹿児島県、三重県、宮崎県および京都府等、静岡県以外の産地で本発明の茶樹の栽培方法を実施する場合には、静岡県の時期に対応する、それぞれの地域の時期が相当する。例えば、一番茶の摘採についてみれば、静岡県では、4月中旬~5月上旬であるが、例えば、鹿児島県では、4月初旬~4月下旬になる。
さらに、本発明の茶樹の栽培方法において、前記第1散布剤を9月~12月の期間に葉面散布する第3葉面散布工程を有する方法であってもよい。
前記第3葉面散布工程を実施することで、クワシロカイガラムシ等の各種病害虫を忌避することができ、農薬の使用をより一層減少させることができる。
さらに、本発明の茶樹の栽培方法において、前記培養液を水で希釈した第2散布剤を、5月下旬に葉面散布する第4葉面散布工程を有する方法であってもよい。
クワシロカイガラムシは、樹冠内の枝や幹に寄生し、防除適期は、5月下旬にみられる孵化直後から定着期の3~4日間といわれている。前記第2散布剤は、前記第2ミネラルイオン水が配合されていないため、樹冠内に入り込みやすい。このため、前記第4葉面散布工程を実施することで、樹冠内の枝や幹で孵化した幼虫を効果的に忌避することが可能になる。
また、本発明の茶樹の栽培方法において、前記第1散布剤を、3月および4月にそれぞれ1回、7月~9月の期間に少なくとも1回、土壌潅水する土壌潅水工程を有する方法としてもよい。
前記土壌灌水工程を実施することで、地温の上昇や土の団粒化が促進され、土壌環境を整えることができる。これにより茶樹自体の樹勢が上がり病害虫の被害を抑えることができ、この結果、薬剤の使用を抑えることができる。なお、3月中旬と4月上旬に前記土壌灌水工程を実施することで、一番茶の生育を促進することもできる。
本発明によれば、農薬不使用あるいは減農薬で栽培する茶樹の栽培方法を提供することができる。
本発明の茶樹の栽培方法における工程の一例を示す工程図である。 実施例1の茶樹の様子を示す写真である。 実施例2の茶樹の様子を示す写真である。 比較例1の茶樹の様子を示す写真である。 比較例2の茶樹の様子を示す写真である。 実施例3の茶樹の様子を示す写真である。 比較例3の茶樹の様子を示す写真である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明の茶樹の栽培方法は、葉面散布工程や土壌潅水工程に特徴を有するものであり、その特徴的な点を中心に説明する。
始めに、第1散布剤について説明する。第1散布剤は、植物性発酵物を黒砂糖と共に、濃硫酸使用の第1ミネラルイオン水又は海洋深層水に入れて好気条件下で共棲培養した培養液と、複数のミネラルを含む第2ミネラルイオン水とを水で希釈したものである。培養液は、特に限定されるものではないが、例えば、特開2005-306616号公報に記載されている植物・土壌活性液、具体的には株式会社サンルート社から市販されている商品名「スーパーE・R(登録商標)」を好適に用いることができる。
培養液に用いられる植物性発酵物は、酵素と微生物を配合してなるものである。植物性発酵物も特に限定されるものではないが、例えば、株式会社サンルート社製の商品名「酵素乃道(登録商標)」を好適に用いることができる。「酵素乃道」の成分分析データの一例を表1に示す。
Figure 0007127846000001
酵素としては、果実や植物から抽出したエキスを使用するのが好ましい。また、果実や植物としては、ブドウ、パイナップル、リンゴ、ナシ、メロン、イチゴ、ビワ、イチヂク、バナナ、ニンニク、キダチアロエ、ニンジン、キャベツ、スモモ、モモ、松葉の新芽、ウコン、山イチゴ、サワビワ、山ブドウ、パパイヤ、アケビ、マタタビ、山モモ等を好適に用いることができる。なお、ハト麦、大麦、大豆、麦芽、米、コーンスターチ等の穀類も酵素の供給源として使用できる。
微生物としては、野生酵母、乳酸菌、コウジ菌、納豆菌、ミズホ原種等を好適に用いることができる。なお、補酵素成分としてのVE、VC、セレン酵母等や、抹茶、ショ糖、ビタミン、ミネラル等を添加することが好ましい。
黒砂糖は、サトウキビから製造されたものが好ましい。黒砂糖には、糖分解により微生物の養分となるものや、微生物の養分となる、例えば炭水化物、食物繊維、植物性タンパク質、ビタミン、ミネラルが含まれている。
第1ミネラルイオン水は、雲母を濃硫酸により溶解することにより、十分な量のミネラル分をイオン化した状態で水に溶け込ませたものを使用するのが好ましい。例えば、特開2005-306616号公報に記載されているミネラルイオン水が好ましく、株式会社シマニシ科研社から市販されている商品名「シーマロックス(登録商標)」が例示できる。また、第1ミネラルイオン水に代えて海洋深層水を用いた場合にも、同様の効果が確認されている。なお、海洋深層水は、濃縮したものを用いてもよい。第1ミネラルイオン水に代えて海洋深層水を用いた培養液としては、株式会社サンルート社から市販されている、商品名「スーパーE・Rゴールド」や商品名「スーパーE・Rふじのしずく」を好適に用いることができる。
培養液の原料の配合比を表2に示す。
Figure 0007127846000002
共棲培養の一例としては、まず、沸騰した清水(カルキ無し)を非金属製の容器に入れて冷ました後、その容器に「シーマロックス」(第1ミネラルイオン水)又は海洋深層水を入れる。次に、非金属製の容器に黒砂糖(サトウキビ100%)を入れて溶かした後、所定時間放置する。また、別の容器に「酵素乃道」(植物性発酵物)を入れ、適量の清水で溶かす。
非金属製の容器内の温度が30℃程度まで下がった後、「酵素乃道」を非金属製の容器に入れて混合し、非金属製の容器の入口を覆い用サラシ布で覆う。その後は、1日に1回程度撹拌する。
培養を続けると、最初は糖分解によりブドウ糖や果糖が生成され、発酵が進行するとアルコール発酵により高級アルコールとアミノ酸が生成される。更に発酵が進行すると酢酸発酵により酢酸が生成される。完成期間は、培養液の温度によっても異なり、25℃程度に保持した場合には約2週間程度である。
また、第2ミネラルイオン水は、具体的には、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、セレン、ケイ素、ゲルマニウム、亜鉛マンガン、鉄、銅、コバルト、ニッケル、モリブデン、リチウム、バナジウム、チタン、アルミニウム、ルビジウム等の複数のミネラルが含まれている、主として農業用に用いられるミネラルイオン水を使用する。第2ミネラルイオン水としては、例えば、株式会社サンルート社から市販されている商品名「仰天夢水(登録商標)」を好適に用いることができる。
本発明における第1散布剤は、これら培養液と第2ミネラルイオン水とを水で希釈したものである。希釈倍率としては、培養液は700~1000倍程度、第2ミネラルイオン水は1400~2000倍程度が好ましい。また、散布剤は、培養液と第2ミネラルイオン水に対して、植物性発酵物(酵素乃道)をさらに配合して水で希釈したものでもよい。植物性発酵物(酵素乃道)の配合比としては、散布剤1000リットルに対して40~60g程度が好ましい。なお、第5葉面散布工程においては、培養液と第2ミネラルイオン水の希釈倍率を高めに設定してもよい。
本発明における第2散布剤は、培養液を水で希釈したものであり、第2ミネラルイオン水は配合されていない。希釈倍率としては、散布剤と同じく700~1000倍程度が好ましい。
図1は、本発明の茶樹の栽培方法における工程の一例を示す工程図である。この図1では、静岡県における、一番茶、二番茶および秋冬番茶の一般的な摘採時期も示している。
まず、3月中旬には、土壌潅水工程B1を実施し、4月上旬には、土壌潅水工程B2を実施する。これら土壌潅水工程B1および土壌潅水工程B2では、例えば乗用型摘採機を用い、茶樹の畝間の土壌に、1反あたり450~500リットル程度、第1散布剤を散布して土壌潅水する。なお、乗用型摘採機を用いることで、一度に複数列(4~5列程度)散布することができる。
土壌潅水工程B1および土壌潅水工程B2を実施することで、地温の上昇や土の団粒化が促進され、土壌環境を整えることができる。これにより、茶樹自体の樹勢が上がり、一番茶の生育を促進することができる。また、病害虫の被害を抑えることができ、この結果、薬剤の使用を抑えることができる。
4月上旬には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A1を実施する。この葉面散布工程A1では、鉄砲噴口を用い、1反あたり250~350リットル程度、第1散布剤を葉面散布する。葉面散布工程A1を実施することで、培養液に含まれる微生物の働きによって、各種病害虫を忌避することができる。また、鉄砲噴口は、噴霧量が多く最大飛距離も大きいため、鉄砲噴口を用いることで作業時間や作業負荷を大幅に低減することができる。
4月中旬~5月初旬に一番茶の摘採が行われた後の5月下旬には、第2散布剤を葉面散布する葉面散布工程A2を実施する。この葉面散布工程A2では、鉄砲噴口を用い、1反あたり300~500リットル程度、第2散布剤を葉面散布する。この葉面散布工程A2は、本発明における第4葉面散布工程の一例に相当する。
ここで、クワシロカイガラムシは、樹冠内の枝や幹に寄生し、5月下旬に孵化するといわれている。第2散布剤は、第2ミネラルイオン水が配合されていないため、樹冠内に入り込みやすい。このため、葉面散布工程A2を実施することで、樹冠内の枝や幹で孵化した幼虫を効果的に忌避することが可能になる。なお、葉面散布工程A2では、第2散布剤の希釈倍率を高めて(例えば1000倍程度)、散布量を増やす(例えば1反あたり500リットル程度)と、より樹冠内に入り込みやすくなり好適である。
6月中旬に二番茶の摘採が行われた後、整枝工程を実施する。この整枝工程では、一番茶の摘採面よりも深く、好ましくは一番茶の摘採面から2~10cm程度の深さまで刈り取る作業が行われ、これにより輪斑病の発生を抑えることができる。なお、整枝工程では、生育の遅れを生じさせないために、茶葉が少なくとも一枚は残るように整枝することが好ましい。
整枝工程後に萌芽した芽が僅かに生長した時期(整枝工程から2週間程度経過後)となる7月初旬には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A3を実施する。この葉面散布工程A3では、鉄砲噴口を用い、1反あたり400~450リットル程度、病害虫を吹き飛ばすように第1散布剤を葉面散布する。この葉面散布工程A3は、本発明における第1葉面散布工程の一例に相当する。
葉面散布工程A3を実施することで、培養液に含まれる微生物の働きによって、炭疽病や褐色円星病の原因となる糸状菌、クワシロカイガラムシ等の各種病害虫を忌避することができる。特に、第1散布剤には、第2ミネラルイオン水が配合されているため、第2ミネラルイオン水を養分として微生物の活動が活発になり、農薬を使用しなくても、整枝工程後の炭疽病や褐色円星病等の発生を十分に抑えることができる。さらに、第1散布剤に配合された第2ミネラルイオン水がコーティング効果を奏し、降雨等による微生物の流出を防いで病害虫を忌避する効果が持続する。整枝工程後に萌芽する芽は、次年度の一番茶の親になる芽であり、この芽を保護することで次年度の一番茶の収量を増やすことができる。
また、整枝工程後に萌芽した芽が2cm未満の時期に葉面散布工程A3を実施すると、散布のタイミングが早すぎて葉面散布工程を再度実施する必要が生じてしまう虞がある。一方、整枝工程後に萌芽した芽が3cmを超えた時期に葉面散布工程A3を実施すると、散布のタイミングが遅すぎて炭疽病の原因となる糸状菌等の各種病害虫を十分に忌避できない虞がある。このため、葉面散布工程A3は、整枝工程後に萌芽した芽が2~3cmに生長した時期に実施することが好ましい。
続いて、7月~9月の期間には土壌潅水工程B3を少なくとも1回実施する。土壌潅水工程B3では、例えば乗用型摘採機を用い、茶樹の畝間の土壌に、1反あたり450~500リットル程度、第1散布剤を散布して土壌潅水する。なお、土壌潅水工程B3では、第1散布剤の希釈倍率を高め(例えば、培養液は1000倍程度、第2ミネラルイオン水は2000倍程)に設定するとよい。
土壌潅水工程B3を実施することで、土壌環境が整い茶樹自体の樹勢が上がる。この結果、病害虫の被害を抑えることができる。
また、7月下旬~8月上旬には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A4を実施する。この葉面散布工程A4では、鉄砲噴口を用い、1反あたり250~400リットル程度、第1散布剤を葉面散布する。この葉面散布工程A4は、本発明における第2葉面散布工程の一例に相当する。葉面散布工程A4を実施することで、クワシロカイガラムシを含む各種病害虫を忌避することができる。
続いて、9月上旬には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A5を実施し、秋冬番茶の摘採(9月下旬~10月初旬)が行われた後の10月下旬には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A6を実施し、11月下旬には、病害虫の発生状態に応じて第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A7を実施する。なお、図1では省略しているが、12月から翌年の3月までの期間においても、病害虫が発生しているような場合には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程を実施するとよい。これら葉面散布工程A5~A7は、本発明における第3葉面散布工程の一例に相当し、1反あたり250~350リットル程度、第1散布剤を葉面散布する。なお、9月以降は風の影響が強くなるため、近隣の茶樹園に飛散する虞があるような場合には、鉄砲噴口に代えて一般的な噴口を用いるとよい。葉面散布工程A5~A7を実施することで、炭疽病や褐色円星病等の発生を抑え、クワシロカイガラムシ等の各種病害虫を忌避することができる。
また、葉面散布工程A1、A3~A7において用いる第1散布剤には、「酵素乃道」等の植物性発酵物をさらに配合して希釈したものを用いることが望ましい。植物性発酵物を配合することで、第1散布剤のコーティング効果がより強くなり、降雨等による微生物の流出をより一層防いで病害虫の忌避効果を延ばすことができる。
さらに、3月中旬~4月初旬に、遅霜予報等を参考に霜が降りそうな場合には、第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A0を実施してもよい。この葉面散布工程A0は、本発明における第5葉面散布工程の一例に相当する。ここで、茶樹は、3月になって新芽が徐々に生育を開始すると耐凍性が低下していき、萌芽期を少し過ぎた時(3月中旬~下旬)に最も凍霜害(遅霜の被害)を受けやすい。葉面散布工程A0を実施すると、遅霜による凍霜害を効果的に防止することができる。なお、第1散布剤は、氷核細菌に対し阻害活性を有し、氷核形成を効果的に阻害できると推察される。また、霜が降りた後に葉面散布工程A0を実施した場合であっても、新芽の回復力が向上した点が確認できた。すなわち、葉面散布工程A0は、霜が降りる前だけでなく、霜が降りた後に実施しても有効である。
なお、前述の説明では、二番茶摘採後の整枝工程のみを述べているが、一番茶摘採後や、秋冬番茶摘採後等、適切な時期にも整枝を実施する。また、必要に応じて施肥を行う。この施肥では、第1散布剤に含まれる微生物に対して好ましい養分となる、有機肥料や有機堆肥の使用が好ましい。なお、病害虫の発生状態によっては、農薬を用いた病害虫の防除も必要になる場合がある。本出願人は、前述した工程を1年間適切に実施することで、次年度には、農薬不使用での茶樹の栽培が可能になった。
本発明の茶樹の栽培方法によれば、農薬不使用あるいは減農薬で栽培する茶樹の栽培方法を提供することができる。
本発明は前述した実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前述した実施形態では、9月~11月の期間に、1ヶ月に1回、葉面散布工程(第3葉面散布工程)を実施しているが、病害虫が発生していない場合には、そのうちの全部あるいは一部の葉面散布工程を省略してもよい。一方、病害虫の発生状態によっては、1ヶ月に2回以上、葉面散布工程を実施してもよい。また、前述した実施形態では、第1ミネラルイオン水の一例として「シーマロックス」を挙げているが、第1ミネラルイオン水として「仰天夢水」を用いてもよい。さらに、葉面散布工程において、乗用型の散布機等を用いてもよい。なお、一番茶摘採後に台刈りを行う台刈り園の場合には、台刈り後の5月下旬~6月上旬に第2散布剤を散布し、台刈り後に萌芽する時期となる6月下旬に第1散布剤を葉面散布してもよい。
次に、出願人が所有する静岡県菊川市の茶畑において実施した本発明の試験1及び試験2について説明する。
(試験1)(実施例1)平成30年6月15日に二番茶の摘採を行った後、同年7月20日に一番茶の摘採面から5cm程度の深さまで刈り取る整枝工程を実施した。なお、整枝工程が通年よりも遅くなったのは、二番茶摘採後の芽の生長が遅れたためであり、原因としては、気温が非常に高かった上に水不足が続いたことが要因であると推定される。そして、同年8月3日に第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A3を実施した。このとき、萌芽した芽は、2.5cm程度に成長していた。第1散布剤として「スーパーE・R」300ccと「仰天夢水」200ccとを、300リットルの水で希釈したものを、鉄砲噴口を用い、1反あたり400~450リットル程度、病害虫を吹き飛ばすように葉面散布した。
(実施例2)実施例1の第1散布剤に、「酵素乃道」を15g添加した以外は、実施例1と同様に葉面散布工程A3を実施した。
(比較例1)実施例1と同様に整枝工程を実施した後、葉面散布工程A3を実施しなかった。
(比較例2)実施例1の第1散布剤に代えて、「スーパーE・R」300ccを300リットルの水で希釈したものを、鉄砲噴口を用い、1反あたり400~450リットル程度、病害虫を吹き飛ばすように葉面散布した。
そして、同年9月14日に茶樹の様子を観察した。図2は、実施例1の茶樹の様子を示す写真であり、図3は、実施例2の茶樹の様子を示す写真である。図4は、比較例1の茶樹の様子を示す写真であり、図5は、比較例2の茶樹の様子を示す写真である。
図2に示すように、実施例1では、病害虫による被害はほとんど見られなかった。この要因としては、第1散布剤に含まれる微生物の働きによって、炭疽病や褐色円星病の原因となる糸状菌等の各種病害虫を忌避することができたためと推測される。特に、第1散布剤には、「仰天夢水」(第2ミネラルイオン水)が配合されているため、第2ミネラルイオン水に含まれるミネラルを養分として微生物の活動が活発になり、農薬を使用しなくても、整枝工程後の炭疽病や褐色円星病等の発生を十分に抑えることができたためと思われる。さらに、第1散布剤に配合された第2ミネラルイオン水がコーティング効果を奏し、降雨等による微生物の流出を防いで病害虫を忌避する効果も持続したと推測される。
また、図3に示すように、実施例2では、実施例1よりもさらに、病害虫による被害が見られなかった。この要因としては、実施例2の第1散布剤には「酵素乃道」(植物性発酵物)が配合されているため、散布剤のコーティング効果がより一層強くなり、降雨等による微生物の流出をより防いで病害虫の忌避効果を延ばすことができたためと推測される。
一方、図4に示すように、葉面散布工程A3を実施しなかった比較例1では、病害虫による被害がひどく、葉がぼろぼろになっている様子が分かる。
図5に示すように、比較例2では、比較例1ほどではないものの、病害虫の被害が発生していることが分かる。この要因としては、比較例2では、散布剤に第2ミネラルイオン水が配合されていないため、降雨等によって微生物が流出してしまい、病害虫を忌避する効果が損なわれたためと推察される。
(試験2)(実施例3)遅霜予報において低温による遅霜が降りる可能性があると発表されたため、平成31年3月30日に第1散布剤を葉面散布する葉面散布工程A0を実施した。第1散布剤として、「スーパーE・R」1.5リットルと「仰天夢水」750ccとを、1000リットルの水で希釈したものを用い葉面散布した。なお、葉面散布工程A0では、他の葉面散布工程に比べて、「スーパーE・R」と「仰天夢水」の希釈倍率を高めに設定した。
(比較例3)実施例3において平成31年3月30日に実施した葉面散布工程A0を実施しなかった。
そして、同年4月11日に茶樹の様子を観察した。図6は、実施例3の茶樹の様子を示す写真であり、図7は、比較例3の茶樹の様子を示す写真である。
図6に示すように、葉面散布工程A0を実施した実施例3では、新芽が生育している様子が分かる。これに対し、図7に示すように、葉面散布工程A0を実施しなかった比較例3では、わずかに萌芽が見られるものの新芽の発育はほとんど見られなかった。要因としては、実施例3では、第1散布剤が氷核細菌に対し阻害活性を有し、氷核形成を効果的に阻害した一方、比較例3では、凍霜害(遅霜の被害)により、萌芽した新芽が縮こまってしまったためと推察される。
A0 葉面散布工程(第5葉面散布工程)
A2 葉面散布工程(第4葉面散布工程)
A3 葉面散布工程(第1葉面散布工程)
A4 葉面散布工程(第2葉面散布工程)
A5,A6,A7 葉面散布工程(第3葉面散布工程)
B1,B2,B3 土壌灌水工程

Claims (5)

  1. 二番茶摘採後に、一番茶の摘採面よりも深く刈り取る整枝工程と、
    酵素および微生物を配合してなる植物性発酵物を黒砂糖と共に、濃硫酸使用の第1ミネラルイオン水又は海洋深層水に入れて好気条件下で共棲培養した培養液と、複数のミネラルを含有する第2ミネラルイオン水とを水で希釈した第1散布剤を、前記整枝工程後に萌芽した芽が僅かに生長した時期に葉面散布する第1葉面散布工程と、を有することを特徴とする茶樹の栽培方法。
  2. 前記第1散布剤を7月下旬~8月上旬に葉面散布する第2葉面散布工程を有することを特徴とする請求項1記載の茶樹の栽培方法。
  3. 前記第1散布剤を9月~12月の期間に葉面散布する第3葉面散布工程を有することを特徴とする請求項1又は2記載の茶樹の栽培方法。
  4. 前記培養液を水で希釈した第2散布剤を、5月下旬に葉面散布する第4葉面散布工程を有することを特徴とする請求項1~3のうちいずれか1項に記載の茶樹の栽培方法。
  5. 前記第1散布剤を、3月および4月にそれぞれ1回、7月~9月の期間に少なくとも1回、土壌潅水する土壌潅水工程を有することを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載の茶樹の栽培方法。
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