JP7126106B1 - 油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法 - Google Patents

油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法 Download PDF

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Abstract

油井管ねじ継手の耐焼き付き性を、実長のねじ継手で試験しなくても、精度良く評価可能な締付け締戻し評価方法を提供する。軸を上下に向けたボックス(2)の上部に、ピンの下部を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、締付け締戻しの試験を行う際に、試験に使用するピンとして、評価対象のピンよりも長さが短いピンからなる試験用のピン(1)を使用し、上記試験用のピン(1)の上部に重錘(3)を取り付け、上記重錘(3)の質量を、上記評価対象のピンの質量から上記試験用のピン(1)の質量を差し引いた質量以上とし、上記試験用のピン(1)を締付ける締付け前の初期セット位置を、上記試験用のピン(1)のピンねじ山が5個、又は上記試験用のピン(1)の全ねじ山数の1/4のうちのいずれか大きい方のねじ山個数以上、上記ボックス(2)の上端面から露出した状態とする。

Description

本開示は、油井管ねじ継手の締付け締戻し時の耐焼き付き性を評価する際に行う、油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法に関する技術である。
なお、本明細書では、雌ねじを有する管を総称してボックスと記載する場合もある。すなわち、カップリングもボックスの一種として記載する。
油井管ねじ継手は、パワートングによる締付け締戻し試験(Make & Break試験)を通して、ねじ継手のデザインとねじ継手の耐焼き付き性が評価される。耐焼き付き性については、ねじ継手の表面処理及び潤滑状態が適正に設定されているか否かが評価される。
油井管ねじ継手の耐焼き付き性については、API 5C5規格に記載されている。API 5C5規格において、ケーシングサイズでは、2回の締付け締戻しと最後の締付け、つまり、3回の締付けまでできることが求められている。また、チュービングサイズでは、9回の締付け締戻しと最後の締付け、つまり、10回の締付けまでできることが求められている。以後、「締付け締戻し」を、「Make & Break」とも記載する。
なお、油井管ねじ継手の締付け時における、継手部の表面処理及び潤滑についての評価は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、ねじ継手がT&C(Threaded and Coupled)式ねじ継手の場合、上記評価のため、素管が炭素鋼系であれば、例えばリン酸Mn化成処理皮膜をカップリング側(ボックス側)に形成すると共にピン側をねじ切削のままとするか、又は、表面にショットブラストを施す。そして、評価は、カップリング側及びピン側のうちの少なくとも一方の面にコンパウンドを塗り、その後、締付け締戻し試験を実施して、焼き付かないどうかを評価する。また、素管がステンレス系、Ni基合金他の高合金系では、評価は、例えば電気めっきをカップリング(ボックス)に形成し、上記と同様にコンパウンドをつけて、締付け締戻し試験を行なって評価する。電気めっきは、例えば、Cuめっき、又は、それ以外の金属めっき層からなる。
また、上記評価は、ねじ継手がインテグラル式ねじ継手の場合は、少なくとも一方のねじ継手に、潤滑のための化成皮膜処理又は電気めっきを形成すると共に、片側もしくは両側のねじ継手にコンパウンドを塗る。そして、評価は、締付け締戻し試験を行って評価する。ここで、インテグラル式ねじ継手とは、セミフラッシュねじ継手やフラッシュねじ継手のように、カップリングを使わないで、ピンの片側が雄ねじ、もう片側が雌ねじで繋げる形式のねじ継手である。
ここで、実際のピンの長さは、例えば、ケーシングであれば、Range-2なら25-34フィート(7.62m~10.36m)、Range-3なら34-48フィート(10.36m~14.63m)である。チュービングであれば、実際のピンの長さは、例えば、Range-2なら28-32フィート(8.53m~9.75m)、Range-3なら38-42フィート(11.58m~12.80m)である。
そのような実際の長さのピンを用いて、締付け締戻し試験を実施すれば、ねじ継手のデザインとねじ継手の表面処理及び潤滑の妥当性評価をする際に、より実際に使用される条件に近い状態での評価となる。しかし、この場合、試験が実施できる設備が限られるという問題がある。また、ピンの長さが長いほどコストと時間が掛かるという問題がある。また、何らかの新規のねじ開発材(ピンなど)を、ラボ確性試験を行わないで、実際の井戸へ持って行って使用することも、現実的にはない。
そこで、ピンを1m程度の長さに加工した、いわゆる、短尺ピン(Pup Joint)を作製し、その作製した短尺ピンを用いて締付け締戻し試験を行うことで、ピンなどが、上記の耐焼き付き性基準を満たしているか否かを評価する場合もある。
ここで、締付け締戻し試験としては、試験を行う管(pipe)の軸を水平して行う水平型の試験と、試験を行う管の軸を上下にして行う縦型の試験とがある。
上記水平型の試験は、雌ねじ(例:カップリングのねじ部)と雄ねじ(例:ピンのねじ部)との耐焼き付き性を純粋に評価する試験である。水平型の試験は、雌ねじと雄ねじの軸のずれ(XY平面のミスアライメント(Misalignment))もほとんどない理想条件での耐焼き付き性を評価する試験である。
一方、縦型の試験では、短尺ピンの自重が雌ねじ(例:カップリングのねじ部)に掛かる。縦型の試験は、例えば、9-5/8″×53.5#からなる1mの短尺ピンの場合、約80kgの荷重が、下にセットされている雌ねじ(例:カップリングのねじ部)に印加された状態での締付け締戻しが行われる試験である。縦型の試験の場合、初期セット位置では、上側からカップリングの上部にピンをセットした状態となる。このため、カップリングとピンの軸中心位置が、必ずしも一致するようにはセットできない。すなわち、図14(b)に示すように、縦型の試験においては、初期セットの際に、ピンは、水平面での軸のずれが生じ、且つねじの進む方向に向けて斜めセットの状態となって、ボックス41に対し短尺ピン40の中心軸がずれる傾向がある。なお、図14(a)は、ボックス41と短尺ピン40の中心軸が一致している状態を示している。そのため、偏心した状態から締付けがスタートして、軸中心を一致させる方向に収斂する締付けになる。この場合、局部的に強く当たりながら、ねじが締付けられていくことが避けられない。
また、図13(a)にあるように、短尺ピン40が長いほど、ボックス41に対し、短尺ピン40の軸が所定角度θを持って斜めにセットされる傾向も高くなる。また、図13(b)のように、短尺ピン40が長くなるほど短尺ピン40の軸が撓む傾向もある。
このため、縦型の試験では、短尺ピンの自重が雌ねじに対し局部的に作用することを含め部分的に高い荷重がボックス41の雌ねじに作用する。このため、過酷な試験となる。このようなことから、縦型の試験による評価が重要である、というのが一般的な認識であった。
ただし、短尺ピンを用いた縦型の試験で合格と判定されても、実際に使用する長さのピンで締付け締戻し試験を行う場合や、実際の井戸(現場)での適用時に、継手部で焼き付きが発生してしまうことが往々にして起こるという問題があった。特に、新規のねじデザイン、新規の表面処理被膜、新規の潤滑被膜等のテスト(評価)では、その問題が顕著である。
ここで、特許文献1には、1回目の締付けの際に芯ずれ(angular misalignment)が起こりやすいことが記載され、そのことを前提とした、耐焼き付き性の評価が記載されている。すなわち、特許文献1には、例えば10度くらい傾いた芯ずれを前提した評価が記載されている。これも一種の苛酷試験条件ではある。
しかし、ピンの軸が10度も傾くことは、油井管ねじのテーパーを考慮した場合でも、継手のねじ山が噛んだ状態ではありえない。このような角度の軸の傾斜は、ねじ部をきちんと噛ませないで、ピンを傾けただけの片当たり状態でないと実現しないレベルである。かつ、その条件は、実際の井戸条件からは遠く、例えばクロススレッドを引き起こすような場合である。クロススレッドは、ねじが本来の位置よりも一段ずれて締まることを指す。
このため、特許文献1に記載の試験は、実際の井戸での使用とは乖離した試験となる。又は、特許文献1に記載の試験は、1回目の締付けの際におけるねじ山が噛み込む前での片当たり状態での試験となる。
また、最初に著しい傾きを持たせて締付け試験をしたところで、ピンねじは、カップリングのねじに噛み合いながら、正常な位置となるように軸が立ってくる。このため、10度の傾きを締付け当初に持たせることが、意味のある試験条件には思えない。
一方、複数の短尺ピンを繋げて、評価対象のピンの実長1本弱相当の長さを確保して、締付け締戻し試験を行う方法もある。これは、例えば、3m級(約10ft)の短尺ピンを3~4本、縦に繋ぎながら、試験を行う方法である。1本ずつ締付け(Make-up)をしながら、ピン1本相当の長さ(<12m;<40ft相当長)を確保する場合、ピンの吊り上げの困難さが解消される。しかし、ピン1本相当の質量が掛かった状態の試験まで再現できるか否かは、試験場の天井高さによって規定されてしまう。また、短尺ピン同士を連結するカップリングが軸方向の中間部分にある分だけ、試験用のピンの剛性が高くなってしまう。そして、その分、連結した短尺ピンがボックスに対し真っ直ぐにセットされる傾向がある。このため、この場合には、実際のピンでは軸が若干たわみ傾向があること考慮した、ピン自重が不可避的にボックスの雌ねじ部に局部的に掛かることをシミュレーションすることができているとはいえない。
非特許文献2には、ケーシング自荷重のメークアップトルク挙動に及ぼす影響を研究するために、ピンの直上に、デッドウエイト(Deadweight)として5kN(=510kg重)の重錘を配置して、締付け締戻し試験を行う例が記載されている。この非特許文献2に記載の例では、9-5/8″×53.5#のピンとそれに対応するカップリングを準備して、実験の有効性の確認を実施している。発明者らは、それを模擬して、炭素鋼からなるピンなどを準備し、カップリングの表面処理としてリン酸Mn化成処理皮膜を施し、ピンに対し表面にショットブラストを施し、非特許文献2の技術を模擬した装置にて試験を実施してみた。このとき、ピンの両側のねじ継手に対し一般的なコンパウンドを塗布した後に、締付け前の初期セット位置(パワートングで締付ける前のセット位置)として手締で止まる位置まで締めた。すなわち、ピンねじ山がカップリング端面から1~3山残った状態まで締めた状態から締付け締戻し試験を実施した。その試験の結果、3回のMake & Breakができて合格判定と見なせた。次に、それを、実際の長さのピンを用いた従来のラボ試験に移行して評価したところ、ねじに焼き付きが発生した。このことから、従来技術に基づいた評価試験で合格が得られる条件を見出したとしても、実際の長さのピンでは焼き付きが発生する可能性がある。このため、発明者の検討によれば、この従来技術では、実際の長さのピンを用いる際の耐焼き付き性を評価する方法を明確化できていないことが分かった。
ここで、通常のリグ以外での締付け締戻し試験では、天井高さの制限がある屋内で実施する。このため、従来、縦型トングを用いた試験では、実際の井戸で採用されるピンよりはるかに短いピンを用いる。また、実際の井戸で用いられる長さのピンで試験を行う場合には、水平型のトングを用いることが多い。
これらの評価方法では、短尺ピンを使って、パワートングでの締付け前に、手締めによって数回転以上、人手で回せる範囲で、互いのねじがキチンと噛み合った状況まで仮固定されてから、締付けが実施される。つまり、従来、実質的な軸合わせをしてからパワートングで締付けることが行われている。一方、実際の井戸の現場では、ラボでの短尺ピンよりも長い、例えば12m等のパイプを用いる。かつ、手締めを僅かに数回転くらい、最も苛酷な場合には、手締めが省略されることが往々にしてある。そのため、実際の井戸の現場では、噛み違いや締付け初期の位置ずれが顕著になって過酷な締付け条件になることが想像されていた。しかし、締付け挙動の因果関係は複雑で、従来、ラボで評価するには、単に、締付け締戻し回数の合格判定ラインを、多めに設定する程度しか方法がなかったのが実態であった。そして、実際には、ラボ試験での過酷試験の方法については通常運用されていない。
特開2002-327874号公報
API RP 5C5 最新版(4th Edition、 January 2017): Procedures for Testing Casing and Tubing Connections 津留ら: 石油技術協会誌 61巻6号 (1996) pp.527-536.
本開示は、上記のような点を鑑みてなされたものであり、油井管ねじ継手の耐焼き付き性を、実長のねじ継手で試験しなくても、耐焼き付き性を精度良く評価可能な油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法を提供することを目的としている。
課題を解決するために、本開示は、雌ねじを有するボックスと雄ねじを有するピンとからなる油井管ねじ継手に対し、パワートングで締付け締戻しを行う締付け締戻し評価方法であって、軸を上下に向けて設置したボックスの上部に、ピンの下部を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、締付け締戻しの試験を行う際に、試験に使用するピンとして、評価対象のピンよりも長さが短いピンからなる試験用のピンを使用し、上記試験用のピンの上部に重錘を取り付け、上記重錘の質量を、上記評価対象のピンの質量から上記試験用のピンの質量を差し引いた質量以上とし、上記試験用のピンをパワートングで締付ける締付け前の締付け開始位置である初期セット位置を、上記試験用のピンのねじ山が5個、又は上記試験用のピンの全ねじ山数の1/4のうちのいずれか大きい方のねじ山個数以上、上記ボックスの上端面から露出した状態とすることを要旨とする。
なお、評価対象のピンとは、例えば、実際の井戸で実際に使用される長さのピンである。
本開示によれば、実長のピン(評価対象のピン)よりも短い試験用のピンで試験を実施しても、油井管ねじ継手の耐焼き付き性を、より精度良く評価可能となる。
本開示に基づく実施形態に係る締付け締戻し試験のための設備構成を示す模式図である。 初期セット位置に応じたガタツキを説明する図である。 雄ねじと雌ねじの間のガタツキを説明する図である。 ピン上部への重錘の取り付け例を説明する図である。 ピン上部への重錘の取り付け例を説明する図である。 ピン上部への重錘の取り付け例を説明する図である。 差込棒及び貫き棒とピンとの関係を示す図である。 貫き棒と通し穴の関係を示す図である。 実際の井戸でのねじの締付けの模式図である。 実際の井戸でのねじの締付けの模式図である。 ピンの挙動を示す図である。 試験におけるピンを示す図である。 芯ずれによるピンの撓み例を示す図である。 ねじ継手の初期セットにおける、ピンとボックスの中心軸の関係を示す図である。 本開示に基づく評価方法における、パワートングによる締付け時のターンとトルクの関係の例を示す図である。 従来のラボ評価方法でよく見られる、パワートングによる締付け時のターンとトルクの関係の例を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付けて説明する。また、各図面において、各構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も実施品と相違させて図示していることがある。また、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない限りにおいて、適宜の組合せや変形によって具体化でき、そのような変更や改良を加えた形態も本開示に含まれ得る。
従来にあっては、油井管ねじ継手の新規のねじ形状デザインや、油井管ねじ継手に対する表面処理(メッキ、化成処理)及び潤滑方法(コンパウンド、固体潤滑剤)については、新たに市場投入する前に、実長のピンを用いた試験による耐焼き付き性の検証をしない限りは、その可否は確認しえなかった事実がある。しかし、発明者らの検討によれば、苛酷試験によって評価する方法も、上記のように、短尺のピンを用いた従来技術では適正な評価ができていないことが分かった。
ここで、非特許文献2に記載のような方法は、ピンの上端部に対し単純に重錘を載せるだけの方法である。このため、非特許文献2に記載の方法では、本開示が意図するような、実際の井戸に沿った厳しい締付け締戻し条件を模擬できていない。なお、締付け締戻し試験における締付け及び締戻しの処理は、手締めの後の締め込み開始位置(初期セット位置)から、パワートングによって行われる。
上記模擬ができていない理由は、次の通りである。
(a)まず、非特許文献2に記載される、質量510kgの重錘による荷重負荷では、短尺のピンを使用した場合、負荷する質量が軽すぎて過酷試験とならないおそれがある。特に、ピンが大径の場合にその傾向にある。
(b)次に、非特許文献2には、各締付けの際の初期セット位置(締付け開始位置)について明記されていない。しかし、従来の締付け締戻し試験では、手締めで締められるところまで締めてから、パワートングによって締付け締戻しを繰り返す。すなわち、従来にあっては、各締付け前の初期セット位置は、手締めで締められるところまで締めた位置である。しかし、この場合には、実際の井戸において通常よく見られる、ピンが緩めにセットされることによって発生するガタツキに起因して、ピンが振れ回る現象を模擬できない。最近の実際の井戸では、ノータッチで機械を使って遠隔操作によって、ピンをボックスねじにセットすることが多い。そして、ピンを、ほとんど、上から嵌め入れただけの状態から、パワートングによる締付が行われることも多くなっている。このため、非特許文献2の方法は、実際の井戸の締付条件から遠いと言わざるをえない。
これに対し、本実施形態では、パワートングによって締付ける際における、締め込み前の初期セット位置を意図的に緩めに設定する。これによって、ピンが振れ回りながら締付けが行われ、実際の井戸条件に近い条件でパワートングによる締付けが行われる。
ここで、縦型のパワートングによる締付けにおけるトルクの挙動について、図15と図16を用いて、詳しく説明する。図15は、本開示に基づき、初期のセットが緩い状態からの締付けを実行した場合における、トルク/ターン・チャート例である。一方、図16は、従来の縦型の試験における、トルク/ターン・チャート例である。
本開示に基づくパワートングによる締付けの場合、ピンは、図15に示すように、(x)、(y)、(z)の領域(段階)を順に経て締付けられていく。一方、従来のラボ締付試験では、ピンは、(x)の領域を経ずに、(y)、(z)の領域(段階)を順に経て締付けられていく。なお、発明者は、実際の井戸でのパワートングによる締付け時におけるターンとトルクの関係が、図15に示したターンとトルクの関係に近似したグラフになることを確認している。
図15に示す(x)の領域は、ピンねじを、ボックスねじに対し緩く締付けたときに見られる現象である。ボックスねじに対して、ピンねじが、無干渉で噛み合うように締付けられるというのが、(x)の領域での理想状態である。すなわち、(x)の領域では、本来ならトルクは立たない状態での締付けのはずであるが、本発明者が、種々の実験等を行ったところ、図15のように、(x)の領域の締付けにおいて、スパイク状のトルクが数多く立っているとの知見を得た。これは、(x)の領域では、ピンねじが、ボックスねじの軸に対してずれていて、締付けるにしたがい、局部的に、ピンねじとボックスねじが当たっているためと推定される。そして、実際の井戸においては、風雨などの天候、洋上、砂漠、寒冷地など様々な条件の影響がうけることが想定される。このことから、(x)の領域の締付けにおいて、図15のように、スパイク状のトルクが数多く立っている状態の方が実際の井戸での状態を模していると考えた。
更に、本発明らは、短尺ピンを用いた縦型の試験において、短尺ピンに対し、実長相当のピン重量を印加して締付けを行うと、上記(x)の領域の締付けにおける上記スパイク状のトルクの発生が増大するとの知見も得た。
(x)の領域の後、ねじは、(y)の領域、つまり、シール部に完全に接触するまでの潤滑状態を経過する(図15参照)。油井管ねじの設計にもよるが、(y)の領域は約1~2回転に相当する。そして、ショルダーに完全に接触したら、(z)の領域、つまり、ショルダーに当たった状態から、ピンねじが回転して、トルクが急に増大してネジが最終的に締付けられる。
図15に示す(x)の領域での締付けは、上記の通り、実際の井戸で起こりうることである。この(x)の領域では、上記の知見から、ねじ山を変形とか破壊させたり、下地のリン酸Mn層や金属めっき層を破壊したり、塗布したコンパウンドが一様に展開されるのを阻害してコンパウンドの展開ムラを誘導したりする原因となる。また、この(x)の領域では、固体潤滑被膜の場合、膜の破壊、剥離を伴う原因となる。このため、ピンねじが、ボックスねじと共に、少なからずダメージを受ける懸念が高くなることが分かる。本開示は、上記の知見に基づき、短尺ピンに荷重を印加し、且つ初期締付開始位置を緩めにセットすることで、模擬可能な試験を提示するものである。
一方で、手締めで、締付けられる限界まで手締めで締めた状態では、図16に示すように、(x)の領域での締付けはなく、(y)(z)の領域でしか締付けられていない。そのため、ショルダーに完全に当たる状態になるまでの潤滑を模擬しているだけで、本来起こっていることを模擬しきれているとは言い難い。この状態で、ピンに荷重を印加した場合には、締付けをピンの軸がボックスねじ対して真っ直ぐになっている。このため、ピンに荷重が掛かっている方がむしろ潤滑が安定する。この結果、試験の評価が、潤滑特性が安定、M/B回数が多めに、つまり、過剰に良好に評価してしまう。
以上のような検討を経て、発明者らは、実際の井戸に用いる長いピン(評価対象のピン)を用いなくても、通常ではトルクを測らないねじ締付けのごく初期の状態や、締付け及び締戻しの重錘条件を工夫して、実際の井戸ならではと想定される過酷な締付け条件を再現できることを知見した。また、ピンに印加する重錘による荷重を調整することで、締付けのごく初期のトルクの乱れが後のトルクの乱れやねじ面の疵と関係を示すことが出来るとの知見も得た。
ここで、トルクターンチャートは、締付け締戻し時の特性評価が最も簡便に分かる判定手法である。このチャートが一見正常でも、繰り返しの締付けなどで、ねじに疵が生じる場合がある。一方で、通常より締付けが緩い段階でこの値が上昇し始めると、正常に締付けが出来ていないものと判定することが出来る。
(c)非特許文献2の3つ目の課題は、締戻し時の重錘の負荷条件である。
更に、本発明者らは、種々の実験によって、初期セット位置を意図的に緩くして、締付けの際にピンが振れ回りやすくして締付けた後に、ねじを緩める際には、重錘が載っていないかピン及び重錘から雌ねじに負荷される荷重が低い方が、実際の井戸に近い状況よりも厳格な状況を模擬できる、との知見を得た。
すなわち、非特許文献2に記載の方法では、ねじを緩める時(締め戻す時)には、重錘による荷重が短尺ピンねじの軸中心に、対称かつ均質に分散して掛かっている。このために、むしろねじの噛み合い状態が安定する。そして、締付け位置から真っ直ぐねじが、ガタツキを起こすことなく緩まってくる。この結果、非特許文献2に記載の方法では、ピンが振れ回り難くなり、実際の井戸で起こるような締戻し時の焼き付き発生を、適切に模擬できない。状況によっては、潤滑特性が良好であると誤解させるような状況が起こりうる。このようなことから、発明者らは、実際の井戸ではピンが振れ回ることが多い締戻し時には、意図的にピンに掛かる荷重を軽くして、できればほとんど重錘による荷重を付与しない形にして、ピンが振れ回りやすい状態にした方が、より正確な実際の井戸条件の模擬として好ましいとの知見を得た。
このため、本実施形態では、このようなことを考慮して、締付け時に試験用のピンに対し重錘で荷重負荷を掛ける。更に、締戻し時には、重錘による荷重負荷を軽減することとする。締める時に印加する重錘は、実際の井戸における、ピン重量がボックスねじ(雌ねじ)に掛かっていることを意図したものである。一方、締戻し時の重錘による負荷軽減は、実際の井戸での締戻しで起こるような、ピンねじのガタツキを模擬するためである。
もちろん、本開示は、締戻し時に重錘による荷重負荷を軽減することを実行しない場合も含む。その場合であっても、本実施形態は、従来よりも精度良く評価することが可能である。もっとも、締戻し時に除荷を行わなくても、締付け時に重錘を用いることで、実際の井戸における長いパイプ本体のねじ面への負荷は再現できる。このため、本開示は、従来の一般の締付け方法よりも、実際の井戸に近い評価が可能となる。
ここで、水平型の試験における短尺のピンでの試験では、ピンの自重のねじ継手に対する影響は無い。縦型の試験における短尺のピンでの試験でも、重錘を用いない場合、ボックスの雌ねじには、実際に使用するピン(評価対象のピン)の長さの約1/10程度相当の重さしか掛かっていない。なお、実ピンが、8~12m位とすると、短尺ピンは1m位である場合が多い。
一方で、実際の井戸では、もっとも厳しい条件においては、例えば3本連結したピンでMake & Breakすることが行われている。したがって、この3本連結状態の荷重まで考慮し、その実際のピンの重さを想定して試験を行うことが好ましい(図11(b)参照;2本連結の例)。すなわち、実際の井戸で適用される荷重から厳しめの荷重までの荷重が、スタビング・フランクに掛かることを模擬できるようすることが好ましい。スタビング・フランクとは、ねじが締め勝手になる時に接触する、雌ねじと雄ねじの縦壁に当たる面である。この面は、ねじ山面、ねじ谷面ではなくて、ねじの傾斜面で、締め勝手の時に接触する面である。
また、上述のように単なる負荷荷重ではなく、ガタツキの効果も併せて考慮することも重要である。つまり、実際の井戸で起こっているような、初期セットのガタツキ(図2及び図3参照)を併せて模擬することによって、耐焼き付き性を適正に評価できる。
ここで、図2(a)のように、ピン1をボックス2の上部に単に置いただけ(刺しただけ)では、ピン1の雄ねじ1aにおける、約半分のねじ山がボックスから露出した状態となる。このため、パワートングで締付けの際にピンがガタツキ易くなる。それに対し、図2(b)のように、締付けるほど、締付けの際におけるピン1のガタツキが小さくなる。また、図3に示すように、ピンのねじ山のテーパーによって、継手には、構造的にガタが必ずある。
以上のようなことを考慮して、本実施形態では、試験に用いるピンとして、評価対象のピンよりも短いものを試験用のピン1として用いても、縦型(ピンーボックスを垂直方向に締付けるタイプ)のパワートング4で処理を行う、締付け前の初期セット位置を従来よりも緩め側に規定する。更に、本実施形態では、重錘3でピン1に荷重を負荷する。これよって、本実施形態では、上記の重錘3による荷重負荷の課題と「初期セットのガタツキ」の問題を加味した、より適切な耐焼き付き性評価方法を実現する。
本実施形態における締付け締戻し試験の装置構成の模式図を、図1に示す。
本実施形態では、軸を上下に向けて設置したボックス2の上部に、その上側からピンの下部を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、締付け締戻しの試験を行う。この試験の際に、試験に使用するピンとして、試験で評価したい評価対象のピンよりも長さが短いピンからなる試験用のピン1を使用する。なお、試験用のピン1の雄ねじは、評価対象のピンの雄ねじと同じ構造とする。
また、試験用のピン1の上部に重錘3を取り付ける。重錘3の質量を、評価対象のピンの質量から試験用のピン1の質量を差し引いた質量以上、簡易的には評価対象のピンの質量相当以上とする。
初期セット位置を、試験用のピン1のピンねじ山が5個、又は試験用のピン1の全ねじ山数の1/4のうちのいずれか大きい方のねじ山個数以上、ピン1のねじ山が、上記ボックス2の上端面から露出した状態とする。
初期セット位置は、試験用のピン1をパワートング4で締付ける締付け前の締付け開始位置である。
また、本実施形態では、クレーンその他の吊り上げ装置20(重機)で、重錘3を吊り上げ可能とする。符号21はクレーン用の吊り索であるチェーンである。重錘3を吊り上げ可能とすることで、重錘3による、ピン1を介したボックス2の雌ねじ2aへの荷重負荷を調整可能とする。
このとき、重錘3をピン1に連結しておいてもよい。この場合、重錘3を吊り上げることで、ピン1の質量によるボックス2の雌ねじ2aへの荷重負荷も調整可能となる。
また、図1の例は、パワートング4の下部の固定として、ボックス2を使う方式のものを一例として示したものである。その場合、ボックス2の下部には、手締めしたピン28を固定して、パワートング4がボックス2をつかんだ時に、ボックス2が変位しないようにする。一方で、パワートングの方式によっては、本締めしたピン28を、パワートング4の下部固定位置として使う場合もある。本開示は、パワートング4の下部の固定方法について何ら制限はない。
本実施形態では、パワートング4で締付ける際には、チェーン21を緩めた状態(吊り上げない状態)として、重錘3とピン1の質量が雌ねじ2aに負荷された状態とする。また、パワートング4で締め戻す際には、チェーン21で重錘3を吊り上げることで、重錘3による雌ねじ2aへの荷重負荷を軽減する。このとき、重錘3とピン1とを連結した場合には、ピン1による雌ねじ2aへの荷重負荷も軽減可能とする。荷重負荷の軽減は、例えば、重錘3とピン1の質量が雌ねじ2aに負荷されないように、クレーン20による吊り上げ状態を制御する。荷重負荷の軽減は、重錘3とピン1による負荷荷重をゼロとなるように制御する場合に限定されない。例えば、上述のように重錘分の質量を軽減する場合でも良いし、重錘3とピン1の合計荷重の半分以下となるように、吊り上げを制御してもよい。
また、荷重軽減のためにクレーン20で吊り上げるだけでも、締戻しの際のピン1の姿勢を不安定化することが可能となる。このため、荷重軽減量を小さく設定してもよい。
ここで、本開示は、締戻し時に重錘3の吊り上げを行わないで行う試験も含む。
(初期セット位置について)
ここで、一般に、短尺ピンを用いた締付け締戻し試験では、雄ねじ1aと雌ねじ2aの軸心のズレを少なくして締付けが可能なことから、手締めで、ピン1のねじ山が1~3山以下の露出くらいの位置まで締付けすることができる。この位置から、パワートング4によって締付け締戻し試験を行うと、ピン1が9-5/8″や13-3/8″のような大径サイズであっても、焼き付きが発生し難くなる。しかしながら、本実施形態のように、雄ねじ1aと雌ねじ2aが完全に噛み合うよりも手前で手締めによる締付けを止めて、ガタツキがある状態を締付け前の初期状態としてセットした場合には、パワートング4で締付けを行う際に、実長ピンでの振れ回りを、短尺ピン1で再現できて焼き付きが発生しやすい条件となる。すなわち、実際の井戸での締付け状態を模擬した苛酷試験とすることができる。
ボックスとピンの噛み合いや初期のセット具合について、実際の井戸では、ピンは完全に真っすぐにセットされることはない。ピンは、若干は斜めにセットされる傾向がある(図13参照)。このため、ラボ(試験場)でよくあるような、1~3山分くらい、ピンねじがボックス2から露出する程度まで、実際の井戸ではセットできない。実際の井戸での初期セット位置は、1~3山分くらい露出した状態を超えて、ピンねじが露出した位置になる状況が殆どである。
パワートングでの締付け時における、ターン(回転数)とトルクの関係は、例えば上記の図15のようになっており、締付け完了近傍のターンで急激にトルクが高くなる。このため、手締めで締められる位置まで締付けても、7-9山程度露出してしまっている状況は、実際の井戸では往々に起こる。むしろ、手締め後に、1~3山分くらい締付できる状況の方が稀である。
また、実際の井戸では、ピン全体を観察すると、ピンは真っ直ぐ締まって行かない。ピンがボックスに手締めでセットされて、締められる側とは逆側からワイヤで吊られた状態になっている。その状態から、ピンは、パワートングで回転させられて締付けられ、又は緩められる。その時、ピンは、締付けられているボックスの位置から離れるにつれて、ピンの端部が、撓みながら・振られながら、締付けられ、又は、緩められて行く。要は、一様に締付けられないで、ねじ部において局部的に強く接触したり、弱く接触する部分がありながら、つまり「ガタツキ」がありながら、締付け締戻しがされるという状況にある。このような状況は、実長のピンを使う状況において、離れてみるとなかなか判らないが、パワートングから上を見上げてピンの締込み時の回転を観察すると顕著にわかる。図11(b)にように、ボックス30cを屈曲点として、両側のピン30a,30bがバランスを取りながら、回転しながら締付けられることが実際に見て取れる。
本実施形態は、このような状況を、ラボ(試験場)において、実長ピンで試験を行うことなく、実長ピンより短い短尺ピンを使って、適切な模擬試験を行うというのが本開示の意図するところである。よって、印加する荷重、荷重の負荷方法、短尺ピンの長さ、締付けの際のセットの仕方(初期セット位置)の組合せを、より最適化した状態に工夫することによって、より精度の良い評価を得ることの実現を図ることができる。
また、本実施形態では、例えば、締付け締戻し試験を行う際に、上部からクレーン等の重機(吊り上げ装置20)で、当該の重錘3を玉掛けした状態とする。そして、重機20による重錘3の吊り込み具合によって、試験用のピン1の上部を介してボックス2側(雌ねじ2a側)に印加する重錘3による荷重負荷の大きさを調整する。例えば、締付けの際には、玉掛けのチェーン21を緩めて、重錘3の質量を、ピン1を介してボックス2側(雌ねじ側)に印加する。一方、重錘3による荷重負荷を印加しないか軽減する場合には、玉掛けのチェーン21に張力を掛けて対応することができる。これによって、重錘3によってピン1に負荷する荷重を調整可能となる。本発明者は、種々の検討を行った結果、締付け時は、ボックス2の雌ねじ2a側に荷重を印加するのが過酷条件となり、締戻し時は、重錘3を吊る状態にして重錘3を含めた雄ねじ1a(ピン1)の質量が雌ねじ2a側に掛からずにガタツキに伴うピンの振れ回りが発生するのが過酷条件となるとの知見を得た。本実施形態では、このような状態を模擬させることができる。
(試験用のピン1)
また、本実施形態では、短尺ピン1の長さと、重錘3を使った荷重を雌ねじに印加する組合せも重要である。例えば、短尺ピン1の長さが3,000mm~5,000mmの場合には、締付け時にピン素管8m相当重量以上の荷重を印加し、締戻し時にも、荷重を印加することで、実際の井戸での、実長ピンを使った締付け締戻し状況を模擬できる。しかしながら、この長さの短尺ピンでは、実験時の取り回しが若干困難になることが多い。
一方で、長さ600mm以上2,000mmの短尺ピンを使う場合には、同様に、締付け時にピン素管8m相当重量以上の荷重を印加し、締戻し時には、逆に、荷重を印加しない状態にすることで、実際の井戸での、実長ピンを使った締付け締戻し状況を、一層容易に模擬できる。
以上のように、本実施形態では、実際の石油/ガス田での実長ピンを使ったランニングで起こりうる油井管ねじ部の潤滑や、焼き付きの可否を、実験場において、従来よりも精度良く模擬をすることを意図する。
実際のピンの敷設は、1本8~12m級(25-40ft級)のものが、1本ずつか、2~3本連結させたものをパワートング4で締付けて実施される。このとき、実際の敷設では、ピン30はクレーン32によってワイヤで上から吊られながら締付けられる(図9、図10参照)。しかし、構造上、雌ねじに負荷される荷重が完全にゼロになることはありえない。ピンの雄ねじが締まるにつれてピンの位置が下にずれて行く必要があるので、最も厳しい場合には、ピン荷重が全部、下側のボックス側に掛かる状況になる。また、実際の敷設では、締付けが緩められる時にも、ピンをワイヤで上から吊られながら緩められるので、ボックス31側へピン30の荷重が若干印加させられない状況にはなる。しかし、最も厳しい場合には、ピン30の全自重がボックス31側に掛かる状況になっている。
以下に、本実施形態についてより具体的に説明する。
(評価方法)
本実施形態は、雌ねじ2aを有するボックス2と雄ねじ1aを有するピンとの油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法であって、継手の軸を上下方向にセットする、縦型の締付け締戻し評価方法である。すなわち、軸を上下に向けて固定したボックス2の上部(ねじ部)に、その上側からピンの下部(ねじ部)を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、パワートング4を用いて、締付け締戻し試験を実行する。これは実際の井戸でのランニングが、雌ねじ2aが下にセットされ、雄ねじ1a側を上にセットすることに拠っている。T&C式ねじ継手の場合、下側がカップリング(ボックス2)、上側がピンに当たる。インテグラル式ねじ継手の場合、下側がボックス2、上側がピンになる。
(試験用のピン1)
本実施形態では、試験用のピン1として、評価対象のピンよりも長さの短いピンであって、評価対象のピンと同じネジ構造を有する短尺のピンを使用する。試験用のピン1は、例えば、評価対象のピンを切断することで作製する。
試験用のピン1の長さは、例えば600mm以上5,000mm以下の範囲、好ましくは600mm以上2,000mm以下の範囲である。
600mm以上としたのは、パワートング4の掴み部を確保できる、おおよその最低長さから規定している。また、5,000mm以下、好ましくは、2,000mm以下としたのは、容易に取扱える長さの限界から規定した。また、上限5,000mmとしたのは、実長ピンは8-12m級(25-40ft級)が多いので、おおよそその半分程度ということで決めたものである。長いほどに、実長ピンに近づく。この場合、特に、重錘3を印加しなくても、実長ピンでの締付そのものになるため、ラボ実験時における取り回しの限界長さの意味合いもある。
現実的には、例えば、試験用のピン1として1m前後(例えば600mm~1500mm)のものを使うことが使い勝手が良い。この試験用のピン1の長さは、扱いやすさから選ばれている長さであるが、下記に示す重錘3の固定しやすさの観点からも適当な長さである。試験用のピン1として、複数本のパップジョイントを接続した構成のものであっても良い。
なお、ボックス2側の長さについては特に規定はないが、実際に井戸で用いるボックスそのものを使えばよい。また、トングで掴む場合に、評価対象側の逆のネジ面が潰れないように、ピン1を緩く手締めで固定して試験するとよい。
ただし、締戻し時に重錘3による荷重負荷を軽減しない場合には、試験用のピン1の長さとして、例えば、3,000mm以上5,000mm以下の長さとすることが好ましい。これは、後述する荷重印加の方法による組合せによって、最適な試験用のピン1の長さの範囲が異なるためである。なお、締戻し時に重錘3による荷重負荷を軽減しない場合、すなわち、荷重印加のまま、締付け締戻しを実施する場合には、3,000mm以上の長さであることが好ましい。3,000mm未満の場合には、締戻しの際に重錘3を吊り上げて荷重の軽減を行わないと、実際の井戸での条件をより精度良く模擬できないおそれがあるためである。
(重錘3による負荷荷重)
本実施形態では、試験用のピン1の上部に重錘3を取り付け、荷重を負荷して締付け締戻し試験を行う。
重錘3の質量は、例えば(評価対象のピン(実ピン)の質量-試験用のピン1の質量)以上とする。又は、重錘3の質量は、例えば、評価対象のピンの長さ8m以上の質量とする。また、重錘3の質量の上限値は、例えば評価対象のピン(実ピン)の質量の3倍とする。それ以上印加することは、現段階では、実際の井戸での締付条件を反映しない。しかし、最大ピン3本連結するやり方から、新規の考え方が考案されて、4本以上連結するようになった場合には、その方法は、本願に含まれるものとする。
以上のように、重錘3の質量は、例えば、雌ねじ2aに印加される荷重が評価対象のピンの質量そのものに相当する質量相当を下限とし、また例えば、評価対象のピンを3本連結した場合に相当する質量を上限とする。実長のピン質量そのものに相当するか、3本連結に相当する質量の重錘3を付けるというのは、次の理由である。すなわち、実際の井戸での実際のMake & Break時には、陸上の井戸(陸上リグ)では、1本ずつ締めてランニング・オペレーションを行うためであり、最大で1本分のピン自重が掛かるからである。3本というのは、海上の井戸(海上リグ)では、あらかじめ3本連結したものをリグに運んで、リグ上では3本単位で締めることが多いためであり、それを想定したためである。
しかし、実際の井戸でのMake & Breakでは、図9、図10のように、デリック・クレーンでピンを吊って締付けるため、ピン30の自重が全部、ボックス31側に掛かるわけではない。具体的には、実際の井戸では、ねじを締めながらピンを下げて行くので、原理的に、完全に吊り上げて自重の負荷をゼロにできるわけではない。よって、試験で用いる重錘3の質量は、最大に掛かり得る負荷荷重を模擬可能な質量が好ましい。ただし、苛酷条件の試験を考慮したいならば、重錘3の質量は、望むレベルまで重くすることは技術的に可能である。この重錘3ごと、試験用のピン1を吊ってボックス2にセットするクレーン(重機)によって、重錘3の重さが、技術的には規定されるだけである。なお、重錘3を別のクレーンで吊り上げるように構成してもよい。
(重錘3のセット方法、及び、重錘3の形状)
重錘3は、試験用のピン1の反締付け側となるピン1の上部に取り付ける。締付けの際に、荷重を掛けて実際のねじの使用状況に近い状況を模擬するためである。なお、ピン1の上部とは、例えば上部側に形成されるねじ部の位置、若しくはその前後の範囲である。
また、試験用のピン1の上部への重錘3の取付け方法については、特に限定はない。
次に、重錘3の取付けの例(取付け例1~3)について説明する。
<取付け例1>
取付け例1では、図4に示すように、試験用のピン1の上部側面に重錘3を取り付けるための治具5を固定する。図4では、その治具5として引っ掛け棒が例示されている。そして、その治具5に対し、ロープやチェーンなどの吊り索6によって重錘3を吊した状態とすることで、重錘3をピン1の上部に取り付ける。
図4では、重錘3の形状として板状のブロック体が図示されているが、重錘3の形状は他の形状であってもよい。また、重錘3に対し、クレーン20で吊り上げ可能な治具5を設けおくことが好ましい。
この場合、ピン1が振れた際に、重錘3も振れ回るように動くようになる。
なおこの場合、実際の重錘3の高さ位置は、ピン1上部に位置していない。しかし、重錘3によるピン1への荷重負荷位置(重錘3の支持位置)は、ピン1の上部に位置している。
<取付け例2>
取付け例2では、図5に示すように、重錘3を、下面が試験用のピン1の径よりも大きなビレット状の円柱形状とする。その重錘3の下面に対し、差込棒10の上端部を溶接その他で一体に固定しておく。差込棒10の径は、試験用のピン1の内径面1cの径よりも小さい径とする。重錘3の上部に対し、クレーン20で吊り上げ可能な金具11を設けておくことが好ましい。
そして、取付け例2では、試験用のピン1の上端開口部に、上側から差込棒10を差し込んだ状態で、当該試験用のピン1の上端に重錘3を載せた状態とする。
この場合、ピン1が横方向への振れに応じて、重錘3の重心が横方向に偏心して変位するようになる。また、差込棒10によって、重錘3がピン1上部から脱落し難くなる。差込棒10の長さは、試験用のピン1の長さの半分以上であることが好ましい。
<取付け例3>
取付け例3では、図6に示すように、円盤状の板材からなる重錘3の下面に差込棒10を設けた例である。その他の構成は、取付け例2と同様である。
重錘3の取付けには、いずれの取付け方法を採用してもよく、必要な質量の重錘3が、試験用のピン1の上部に取り付けられていれば、他の公知の方法によってピン1の上部に取り付けても良い。
このとき、取付け例1~3のように、ピン1の振れ回りに応じて、ピン1に対し、少なくとも重錘3の位置も横方向(ピンの径方向)に変位(揺動)するように、ピン1の上部に取り付けられていることが好ましい。
このように、本例では、安全かつ簡便であり、かつピン1の振れ回りに応じて重錘3による雌ねじ2aへの荷重負荷を変化可能とする。このように、若干の重錘3のガタツキによる、焼き付きを苛酷評価可能とする場合、次の条件を満たすことが好ましい。
(1)重錘3は、左右前後対称形である。
(2)重錘3がピンへ内側差込式で設置される形式(取付け例2、3など)では、20mm以上の余裕(差込棒10の外径とピン内側との余裕代)を持たせる。
ここでは、重錘3の取付け方法として、取付け例2のような差込棒10による取り付けを採用した場合を例に挙げて、具体的に説明する。
重錘3を用いて実際のピン(評価対象のピン)の重さを実現するため、重錘3として、円柱状の鉄塊を、必要な荷重相当のものに切り出しておく。円柱状の鉄塊は、例えば、シームレス圧延前のビレットから転用すれば良い。
また、差込棒10として、小径の円柱状の鉄塊を用意して、試験用のピン1の長さの7~8割の長さに切ったものを用意する。差込棒10は、管状形態(鋼管)であってもよい。小径の円柱状の鉄塊は、例えば、シームレス圧延前の細いビレットから転用すれよい。
そして、円柱状の重錘3の下面(底面)の中央部に、差込棒10の上端面を溶接で接合する。重錘3の下面への差込棒10の接合方法は、溶接に限定されず、他の公知の接合方法を採用してもよい。
なお、重錘3の上面の中央部には、吊り金具を溶接で固定する。
ここで、サイズの異なるねじ継手を評価可能なように、各種の外径及び質量の重錘3を、複数種類、用意しておくことが好ましい。
本実施形態では、図7に示すように、差込棒10に対し、径方向(横方向)に貫通する貫通穴10aを形成する。この貫通穴10aは、貫き棒12を貫通可能な径とする。また、試験用のピン1には、通し穴1dを開口しておく。通し穴1dは、ピン1の上側から差込棒10を挿入して重錘3をピン1上端に設置したときに、上記差込棒10に開口した貫通穴10aが横方向から見える位置に設ける。通し穴1dは、ピン1に対し軸対称に2箇所形成する。そして、試験の際には、一方の通し穴1dから他方の通し穴1dに向けて、外部から、貫通穴10aに貫き棒12を貫通する。貫き棒12は、貫通された貫き棒12の両端部がそれぞれ、各通し穴1dから外側に突出するだけの長さとする。
上記の通し穴1dは、図7及び図8に示すように、差し込んだ貫き棒12が上下に変位可能な大きさを有する。通し穴1dは、円形であっても、上下に長軸を向けた長穴などであってもよい。図7では、重錘3をピン1上端に載置した状態において、貫き棒12が、通し穴1dの中央位置に記載されているが、これに限定されない。例えば図8(b)の状態でも構わない。なお、重錘自体の吊り用のチェーン21と、貫き棒に玉掛けした別のスリング23は、それぞれ別個に、天井クレーンのフック29に引っかけた状態にして、張力をはった状態を初期位置としてセットする。
また、貫通棒の両端部若しくは一方の端部に、通し穴1dの小径よりも径の大きなナット部材等の大径部材を取り付けるなどして、貫き棒12の抜け止めとしても良い。
このように、差込棒10を、通し穴1dを介して貫き棒12で貫通した方が、重錘3の取付けがより安定する。
また、通し穴1d内を貫き棒12が上下に変位可能となっている。この上下方向の変位量は例えば、締付けによるピン1の下方への変位量以上に設定する。変位量は、例えば、10mm以上50mm以下とする。
更に、若干の質量調整(重りを増やす方向)で、重錘3の吊り金具のある側に、更に重りをセットして重錘3の質量調整(質量の増加)を行ってもよい。重りの追加方法には限定がなく、引っ掛け式でもよく、環状のものでもよい。
(重錘3の印加方法、及び負荷軽減方法)
重錘3の印加方法は、現実的には、ピン1に対し過度に荷重がアンバランスにならないように、重錘3自体に設けた吊り金具11や、重錘3に差込棒10を貫通した貫き棒12を一緒に吊り上げる構成とする(図7参照)。例えば、当該吊り金具11や貫き棒12の両端部に対し、上端部をクレーンに取り付けたスリングやチェーンなどの吊り索21,23を掛けておき、その吊り索21,23を緩めておくことで、雌ねじ2a側に荷重を掛けた状態にする。バランスが崩れるような最悪な状況を想定して、重錘3自体が、下に落下しないような工夫を行うことが好ましい。
例えば、図7にあるように、重錘3の上端面の中心部に、引っ掛け金具としての吊り金具11を溶接等で取り付ける。吊り金具11は、ねじれがなくすように回転できる方式の引っ掛け金具(Swivel)を用いることが好ましい。その吊り金具11に、チェーン等の吊り索21を掛け、更に、吊り索21を例えば天井クレーン20のフック29に取り付ける。そのチェーン等の吊り索21(以下、チェーン21とも記載する)の緊張具合、緩み具合で、重錘3の荷重が掛かっているか、掛かっていないかが容易に判別できる。
この状態から、パワートング4を駆動して、ねじ継手の締付け締戻し試験の締付けを行う。すると、雄ねじ1aが締まる方向に動く際には、雄ねじ1aの位置(ピン1の位置)が下方向に移動するので、重錘3に掛けられたチェーン21やスリング等の吊り索23に張力が張る方向に動く。張力が張った状況になってしまうと、ピン1からの荷重が軽くなる状況が起こりうるので、重錘3の落下防止として貫き棒12にスリング23を掛けた状態では、スリング23等が緩んでいることを確認しながら(応力が印加されることを確認)、重錘3を含めたピン1からの荷重を雌ねじ2a側に掛けることが望ましい。
本実施形態では、差込棒10を差し込んだ差込型の重錘3を使う場合において、重錘3の落下等の事故を避けるために、クレーン20に念のために、重錘3に連結した吊り索について張力を掛けずに玉掛けした状態とする。更に、貫き棒12の両端部にスリング23を掛けた状態で試験を行う。貫き棒12に取り付けたスリング23は、例えばテンションを掛けた状態にして天井クレーンに引っ掛けておく。この場合、クレーン20とは独立に、スリング23に張力を張れることができるように、巻き上げ装置(ウインチ)を挟んで、天井クレーンに掛けておくと、容易に張力を張ることができる。
なお、重錘3の玉掛けする先のチェーン21と、貫き棒12のスリング23が玉掛けさせる先は、それぞれが独立に、クレーン上部のフックに掛っている構造とすることが好ましい。この状態から、ねじの締付け・締戻しを行う場合には、通し穴1dと貫き棒12の上下方向の位置関係をモニターすることで、(ピンの質量+重錘3の質量)が、ボックス2の雌ねじに付与されているか否かを判別できる。
チェーン21が緩まっていることが、下にセットされているボックス2の雌ねじ側に、荷重が印加される傾向であることを意味する。全荷重(ピン1の質量+重錘3の質量)を印加するためには、図8のように、通し穴1dに対する貫き棒12の位置関係をモニターしながら、クレーン20によって、ちょい上げちょい下げしながら実験するとよい。例えば、図8(a)は、クレーンに荷重が掛かっている状態(ボックスの雌ねじに全ての荷重が印加していない状況)を、図8(b)は、クレーンに荷重が掛かっていない状態(ボックスの雌ねじに全ての荷重が印加されている状況)を示す。
図7に示すように、クレーン20での吊り位置を固定して、ねじの締付を開始するとする。なお、貫き棒12は通し穴1dの上端開口部及び下端開口部に接触しておらず、貫き棒12に取り付けたスリング23に弛みが無い状態とする。この状態から、ねじを締めて行くにしたがい、ピン1の位置が下がり、通し穴1dの位置が下方に変位するが、貫き棒12の位置は変化しない。このため、通し穴1dの位置に対し、貫き棒12の位置が上に移動して行く。そして、貫き棒12が、通し穴1dの12時位置(開口の上端位置)に触るようになったら(図8(a)参照)、重錘3による応力が完全には、雌ねじ側に掛からなくなると分かる。そして、一体化させた重錘3位置を下げる必要があると知ることができる。チェーン21の位置(張り具合)も若干変わるが、通し穴1dと貫き棒12の位置でモニターする方が、雌ねじ2aへの荷重印加を厳しい条件のまま保持することができる。また、クレーンを下げる位置も、貫き棒12が通し穴1dの6時位置(開口の下端位置)に触れていて(図8(b)参照)、かつ、貫き棒12に掛かるスリングが緩んでいないことで確認するとよい。ねじを締める時に荷重を掛ける際には、通し穴1dに対する貫き棒12の位置をモニターすることで、常に、意図する荷重を負荷できていることを、安全かつ確実に確認できる。
ここで本開示の対象とする、締付け時/締戻し時の荷重ON/OFF(荷重ON:荷重負荷、荷重OFF:荷重除去)の正確な状況について、説明を加える。チェーン21が緩んだ時に、試験用のピン1の重量と重錘3の重量が、下部にあるボックス2(カップリング)に全量印加される。正確には、貫き棒12の全重量、吊り金具11の全重量、チェーン21等の吊り索のうち、チェーンが緩んだ時に、重錘3の上部に、緩んだ状態で載っている重量分を含めて印加された状態になっている。本開示においては、短尺な試験用のピン1の重量と重錘3等の重量の主成分を占めるものが印加されたものとして表記する。これが印加される荷重という意味になる。
一方で、チェーン21が張ることによる、本開示で言う「除荷状態」とは、理想的には、試験用のピン1の重量と重錘3の重量を含めた全重量が、下部にあるボックス2(カップリング)に掛かっていない状態を指す。つまり、印加荷重ゼロの状態を指す。しかし、試験中に、常に維持するのは困難である。試験用のピン1の位置が緩めるにつれて上昇してくるからである。
よって、本開示で「除去状態」というのは、以下のように定義する。すなわち、印加荷重ゼロの状態を含み、当該試験用のピン1の2m相当までの重量が印加されるまでの範囲を「除荷状態」とする。2mの意味は、試験用のピン1の長さを600mmから2mの範囲とした場合に下記実施例の記載にあるように、緩める際に「除荷状態」で緩めるのに有効な長さの上限から規定している。
図8で示したように、貫き棒12の、通し穴1dとの位置関係で、その判断は容易に可能になる。6時位置で、貫き棒12が接触しないよう、接触したらすぐに、12時位置に戻しながら試験を行なうことで実現できる。
また、クレーン重量計を使ったモニターもできる。天井クレーンにクレーン重量計を引っかけ、その下に引っかける形で、チェーン21をセットする。重錘と短尺試験用のピン1が一体となったものを、試験前に、当該クレーン重量計で重さを計る。緩める時に、クレーン重量計の値との差が、下部にあるボックス(カップリング)に全量印加されている重量に相当する。チェーン21が張っていても、重錘重量の全量、及び試験用のピン1の全量を吊り上げたことを意味しない。一部だけ吊り上げた状態でもチェーンには張力が張った状態になるために、上記のような方法で「除荷状態」を把握する。
このように、「負荷荷重を除荷する」とは、試験用のピン1の重量と重錘3の重量がボックス2側に負荷されていない状態となるように調整(制御)することを指す。本例では、負荷荷重を除荷する制御において、ボックス2側へ負荷される荷重が実際にゼロとなっていない状態も含む。
(ピンの初期セット位置)
本実施形態では、ボックス2の雌ねじ2aに対する、試験用のピン1の雄ねじ1aをセットする位置も重要である。
本実施形態では、試験用のピン1の上部に重錘3によって荷重を掛けた状態で、ねじ部のガタツキを意図的に与えた状態を締付け前の初期セット位置(締付け開始位置)とする。そこからパワートング4を用いて、ねじを締付けることによって、実際のねじ締付け条件を模擬することが可能となる。すなわち、本実施形態では、ピンを、手締め位置まで締付けない位置で意図的にセットをする。
なお、この段階で、すでに重錘3とピン1を一体化させたものを使ってセットする場合もある。また、あとから後天的に重錘3をセットする場合もある。前者の場合には、下記で示すセット時には、重錘・ピン一体型をクレーン等で吊って、重錘荷重が掛かっていない状況でセットするものとする。後者の場合には、ピン1をボックス2に差し込んで、以下のような位置までピン1のセットを行う。また、締付初期において、スタビング・ガイドを使って固定してもよい。
本実施形態では、パワートング4を用いた締付け締戻し試験における、締付けの際の初期セット位置を、雌ねじ2aに雄ねじ1aを噛み違いが発生しないようにして挿入した後にねじを手締めで締めて、ねじ同士がある程度噛みあって引っ張っても(ピン1を上にあげても)抜けない状態とする。具体的には、初期セット位置を、ピンのねじ山がボックス2上端面(カップリング端面)から5個、又は、ピンの全ねじ山数の1/4のうちの、いずれか大きい方のねじ山個数以上残す位置とする。
このような緩めの締付けの際の初期セット位置を採用するのは、Make & Breakする際のガタツキを実現させて厳しい条件を模擬するためである。
ここで、1~3山残す位置まで手締めしてしまうと、ガタツキを模擬していることにはならない。あと1~3回転で締まる状況になっている場合には、ピンはただ真下に下がりながらネジが締まるだけである。この場合、実際の井戸で起こりうるような、ピンねじが、締付け時に、カップリングねじ(ボックス2の雌ねじ2a)に局所的に当たるような状況が起き難いので、一様に、カップリングねじ(ボックス2の雌ねじ2a)に当たりながら締付けられて行く。
逆に、雄ねじ1aを雌ねじ2aに差しただけでは、Make & Break時に、クロススレッド(ねじの段違い締め)が起こり得る。このため、本来目的とする締付け締戻し試験にはならないリスクがある。クロススレッドによって、ねじ表面に形成されているDry膜が破壊されたり、ねじ山自体が損傷する状況では、Dry膜の潤滑特性を評価することにはならなかったりする。このため、締付け前の初期セット位置における、ねじ山残しの山数は、全ねじ山数の2/3以下とすることが好ましい。クロススレッドの懸念を含めて評価してもよく、雄ねじ1aを雌ねじ2aに差しただけの条件も、本願に含まれるものにする。
(重錘3を印加させながら締付け締戻し試験を行う方法)
本実施形態では、重錘3による荷重負荷だけではなく、ピン1が締まる時/緩まる時のガタツキまで考えることによって、実際のMake & Breakを理想的に模擬できる。
実際の井戸での締付けを模擬する状態を説明する。
図9は、1本のピンでのMake & Breakを模擬した模式図である。この場合、実際の井戸ではよくあるように、コンペンセータ33とピン30をクレーン32で吊ってピン30をセットすることが殆どで、ピン30が真っ直ぐボックス31の雌ねじに向くように配慮されている。
また図10にあるように、コンペンセータを使わない時には、ボックス31に対しピン30が斜めにセットされる傾向が高いので、Make/Breakの状況は、厳しい状況になる。締付初期、締戻し後期で、雄ねじと雌ねじが局部的に当たったり当たらなかったりして、一様な荷重が掛からず、一部だけに強い荷重が掛かるので、厳しい状況になる。
カップリング31(ボックス)とピン30を、手などで仮締付け位置まで締めた場合には、その位置から、ピン30が直立していることは稀である。下から見上げると、目視で、ピン30が曲がって見えることが確認できる(誇張して図示した図11(a)参照)。2本以上連結したピン30が締付けられる場合には、ピン30a、30b間のカップリング30c位置のところで、傾き方向が変わり、相補的に、若干の曲げが、互いに逆になるように配置されてしまうのが殆どである(誇張して図示した図11(b)参照)。このようなことから、実際のピンが締付けられる時には、ガタツキがある場合が多い。なお、ここでいう「斜めセット」とか、「曲がり」というのは、ピンの軸が5度から10度も傾くということを意味せず、弾性域でピンがしなっている状況を意味している。その角度は僅かで、下から見上げると、徐々に曲がっている体裁で見える状態を指す。
それがために、締付初期や締戻し後期で、雄ねじと雌ねじが局部的に当たったり当たらなかったりする。このため、雄ねじに一様な荷重が掛からず、一部だけに強い荷重が掛かるので、厳しい状況になる。ガタツキは、ピンからの大きな荷重と、一様に締付されず局部的に触れ回るために偏荷重が掛かる原因になる。この状況を、図12に示すように、短尺のピン1に重錘3付きで模擬する場合には、ピン1の締付け位置を、完全に手締めしきれないように、緩めにセットすることによって、本実施形態では模擬する。実際の井戸で想定される大荷重が付与される状態を考えると、締付け締戻し時にねじ継手部に一様に荷重が作用するのは稀であり、局部的な接触により偏荷重が掛かる状況を想定する必要がある。本開示は、この苛酷な印加状態を意図的に作り出して模擬するということである。
ここで、試験用のピン1の長さが、3,000mm以上5,000mm以下の時には、重錘荷重を締付け時(Make-up時)にも緩める時(Break-Out時)でも、荷重を負荷したまま実施するとよい。この荷重方法は、実際の井戸で実施されている状況に酷似しているが、少し違う部分がある。大荷重と偏荷重の効果を、ピン端部に、ピン素管8m相当重量以上の重錘3をセットすることと、初期セット位置を規定範囲にすることに実現していることである。
一方で、一層簡便に、試験の取り回しを行うために、試験用のピン1として、長さ600mm以上2,000mmのより短い短尺ピンを使う場合には、重錘荷重を、締付け時(Make-up時)には印加するが、緩める時(Break-Out時)には荷重を印加しないか軽減することによって、大荷重と偏荷重の効果を実現することができる。
緩める際に(Break-Out時)、重錘3を印加しない方向で重錘3を吊るようにすることと、偏荷重の掛かり方には、ピン長さと相関関係がある。ピンの長さと相関する傾向ではあるが、重錘3付きのピンに荷重を掛けたまま、Break-Outをした際には、ピンが短いと、ピンは真っ直ぐ上方向にガタツキなく上がってくる傾向がある。すなわち、重錘3を印加することで、むしろ、バランサーとなって、がたつくことなく、ネジが緩まるからと推定される。この場合には、偏荷重が模擬できていないことになる。一方で、ピンが長いと、ピン自体が長いためにしなる傾向があるため、重錘3の荷重を掛けたままでねじを緩めても、ガタツキ、偏荷重の条件は模擬できていることになる。
より短い短尺ピンでは、ピン1を緩める際にガタツキを発生させるためには、重錘3を上から吊って緩めることをすることで実現できる。全く重錘3を印加させないように吊り上げながら試験を行うことを荷重ゼロ条件(理想的な重錘荷重ゼロ条件)とし、重錘3を僅かに吊ることを最大荷重条件として、これらの範囲で緩めると、ガタツキを模擬できる。実際に、手で触った温度で確認すると、重錘3を含めたピン荷重を全て雌ねじ2aに掛けようとした状態よりも、重錘3を含めたピン全体を吊って、Break-Outした方が温かくなっている。この事実から、ガタツキによって摺動性が変わって、潤滑に寄与する表面の膜、コンパウンド他に悪影響を与えているのは間違いない。
ここで、ピン1に対しパワートング4でトルクを付与する位置は、図1に示すように、重錘3によるピン1への荷重位置より下方の位置である。また、油井管ねじ継手の締付け締戻し試験における、継手の締付け締戻しは、縦型のパワートング4で行われる。パワートング4の駆動は、例えば実際の井戸で使用されるものと同様なコンピュータ制御によって実行されることが多い。手動で締付ける方法も、本開示に含まれる。
(その他)
本実施形態では、以下のような構成も取ることができる。
(1)本実施形態は、雌ねじを有するボックスと雄ねじを有するピンとからなる油井管ねじ継手に対し、パワートングで締付け締戻しを行う締付け締戻し評価方法であって、軸を上下に向けて設置したボックスの上部にピンの下部を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、締付け締戻しの試験を行う際に、試験に使用するピンとして、評価対象のピンよりも長さが短いピンからなる試験用のピンを使用し、上記試験用のピンの上部に重錘を取り付け、上記重錘の質量を、上記評価対象のピンの質量から上記試験用のピンの質量を差し引いた質量以上とし、上記試験用のピンをパワートングで締付ける締付け前の締付け開始位置である初期セット位置を、上記試験用のピンのねじ山が5個、又は上記試験用のピンの全ねじ山数の1/4のうちのいずれか大きい方のねじ山個数以上、上記ボックスの上端面から露出した状態とする。
例えば、上記重錘の質量は、評価対象のピンの長さ8m以上の質量とする。
また例えば、上記試験用のピンの長さを600mm以上5m以下の範囲とする。
この構成によれば、実長のねじ継手で試験しなくても、油井管ねじ継手の耐焼き付き性を、精度良く評価可能な締付け締戻し評価方法を提供できる。
すなわち、評価対象のピンよりも短いピンを試験用のピンとしても、評価対象のピン相当の荷重をピン上部に負荷すると共に、締付けの前の初期セット位置を従来よりも意図的に緩めに設定することで、本実施形態では、ねじが振れ回りながら締付けが行われ、実際の井戸条件に近い条件で締付けが行われる。
この結果、本発明の一態様は、従来の実験室レベルの設備をもとに工夫を加えて、実際の井戸での焼き付き有無、潤滑特性を評価・推定するための評価方法を対象としたものである。本発明の一態様は、ねじ継手のデザインや、表面処理及び潤滑が、実際の井戸での使用条件に適するかを判断するための評価方法に関するものであり、本発明の一態様に基づく試験で合格となった条件では、実際の井戸でも焼き付きのトラブルなく、十分な潤滑を有し、適用可能であることを判断できる。
(2)本実施形態では、上記締戻しは、上記重錘及び上記試験用のピンのうち少なくとも上記重錘から上記ボックスの雌ねじへの負荷荷重を軽減して実行する。
例えば、上記重錘及び上記試験用のピンから上記ボックスの雌ねじに印加される負荷荷重を除荷状態(例えばゼロに調整(制御))しつつ、締戻しを行う。
この構成によれば、パワートングを用いて締め戻す際に、意図的に荷重を軽くして、できればほとんど荷重を付与しない形にして、ピンが振れ回りやすい状態とすることで、より実際の井戸での条件を模擬できるようにする。
この結果、この構成によれば、油井管ねじ継手の耐焼き付き性を、より精度良く評価可能となる。
この場合例えば、試験用のピンの長さを、例えば600mm以上2m以下の範囲と短くしても、精度良く評価可能となる。
また、締戻しの際に、上記ボックスの雌ねじに印加される負荷荷重を軽減しない場合には、試験用のピンの長さを稼いで、3m以上5m以下とすることが好ましい。
(3)本実施形態では、上記重錘及び上記試験用の上記ピンの少なくとも上記重錘を吊り上げ可能な吊り上げ装置を備え、上記吊り上げ装置による吊り上げによって、上記重錘及び上記試験用のピンから上記ボックスの雌ねじへの負荷荷重を調整(制御)する。
この構成によれば、例えば、重錘からのピンを介した雌ねじへの荷重負荷状態を調整可能となる。
なお、ピンを吊り上げること自体が、ピンの不安定化の一助となる。
(4)本実施形態では、上記重錘は、上記試験用のピンの上端の上に載置され、上記重錘の下面から下方に延在し上記試験用のピン内に遊挿される差込棒と、上記差込棒から横方向に突出して、試験用のピンに形成した通し穴を介して外部に突出した貫き棒と、を備え、上記通し穴の径は、上記貫き棒の径よりも大きい。
この構成によれば、ピン上部に重錘を揺動可能に取り付けられると共に、重錘を吊り上げることで、ピンも吊り上げ可能となる。すなわち、ピンによる雌ねじへの荷重も軽減可能に構成できる。
(5)また、本実施形態は、雌ねじを有するボックスと雄ねじを有するピンとからなる油井管ねじ継手の製造方法であって、採用する候補の評価対象のピンについて、上記記載の締付け締戻し評価方法による締付け締戻し試験を実行し、その試験に基づく評価から油井管ねじ継手の構造を決定する。
このとき、例えば、上記評価は、少なくも、油井管ねじ形状デザイン、及び、油井管ねじ継手で用いられる潤滑条件(採用する潤滑物性、潤滑物質、表面処理、潤滑剤等の条件)の少なくとも一方とする。
この構成によれば、試験に短尺ピンを用いても、評価対象のピンを用いた試験と同等の評価を得ることが出来る。この結果、より精度良く油井管ねじ継手を製造可能となる。
次に、本実施形態の実施例について説明する。
(締付け締戻し試験の判定基準と、M/B回数による合格判定基準)
M/B回数とは、Make & Break回数で、ここでは締付けの回数で表す。
先に、本実施例における、締付け締戻し試験の判定基準と、M/B回数による合格判定基準について説明する。
本例の油井管ねじのラボ潤滑試験においては、判定基準が2つある。表面状態の判定を伴ったM/B回数による合否判定と、実長のピンによる試験を基準とした判定である。
前者は、API-5C5基準に則したもので、Make & Break回数では、ケーシング適用では、3回以上の達成が合格判定である。チュービング適用では、10回以上の達成と同時に、焼付かないこと、及び、カップリング、ピン表面の金属部分に、疵がないことである。なお、ケーシング適用、チュービング適用というのは、石油メーカーが掘削する井戸デザインによって、一律には、外径サイズで峻別できるものではない。このため、本開示では、7″以下までをチュービングサイズ、7″を超えるものをケーシングと見なして、以下議論する。
焼付かない、疵がないことは、いわゆる、Galling(ゴーリング)しないことを指す。固体潤滑被膜は、自らが削れたり、削れられたものが締付け締戻し時に再付着・再構成して潤滑を達成しうる。このため、固体潤滑被膜が一部剥離したり、削れるのは不可避であり、固体潤滑膜の剥離等は合否判定には入らない。カップリング(ボックス)やピンの金属表面が目視チェックで疵がついた状況や、毛羽立ったような状況、及び、表面の金属が押し潰されて変形している状況は、たとえMake/breakできても不合格と判定する。更に、目視チェックの後で、素手か手袋で触診して、切り傷ができる程度の疵が分かる場合にも不合格と判定する。また、シール部分には、バーニッシュ(burnish、ツヤ)状のものが形成されるのは、潤滑が良好なサインであるので、不合格と判定しないように注意する。これが合格判定である。
後者は、実長ピンを使った締付け締戻し試験結果と、短尺のピンを使用したラボでの試験の評価との乖離具合で判断する。乖離が小さいほど、短尺のピンを使用したラボでの試験の評価の精度が高いことを示す。
(実施例1)
実施例1は、本開示に基づき、重錘の質量を、ピンを介して雌ねじに負荷した状態での締付け締戻し試験が、実長のピンでのMake & Breakを模擬できていることを示す例である。ここで、重錘の取付けは、いずれも図7に示すような「取付け例2」の方式を採用している。他の実施例でも同様である。
実施例1における各サンプル(C-1~C-4)の試験条件とその評価結果について表1に示す。
ここで、表1には、判断基準としてM/B回数が記載されているが、Galling判定だけで、特にNGとされたものはなかった。すなわち、M/B回数と連動して、Make/breakが達成されても、Galling判定でNGと判定されたものが無かった。このため、下記の各実施例においては、単に、M/B回数で判定した。
ここで、表1中の「(合計荷重)」とは、カップリングの雌ねじ部に負荷される荷重に相当する。他の表においても同様である。
Figure 0007126106000001
実施例1では、表1に示すC-1~C-4において、JFELIONTM(登録商標)における、9-5/8″ 43.5#サイズのL80炭素鋼系材料を用いて耐焼き付き性を評価した。ここで、各条件のねじデザインは同じ構造、すなわち同じねじ構造とした。
実施例1における、具体的な、ねじデザイン概要は次の通りである。
(1)ピン:断面で複合R凸曲線の回転形状
(2)カップリング:断面で4.7度テーパー状の直線形状
(3)シールポイント位置:ピン先端からピンノーズ長比で0.31
(4)ねじ山:5TPI(TPI:1インチ当りのネジ山数)、20山
そして、実施例1では、開発した固体潤滑剤を評価するために、締付け締戻し試験を用いて実施した例である。
ここで、カップリング側の潤滑として、リン酸Mnの化成処理膜の上に、固体潤滑被膜を形成させた。固体潤滑被膜は、多官能エポキシ樹脂からなるバインダー樹脂と、ポリエチレンを主体する固体潤滑剤からなる成分を溶媒に展開させ、塗布後に、200-300℃の焼成温度で膜形成させた。なお、雄ねじピン側には、ショットブラストした後に、F系樹脂膜を塗布した。
<C-4>
C-4は、実長ピンを用いたものである。且つ重錘を使用しないで、初期セット位置(締付け開始位置)を完全に手締めで締付けた状態(以下、従来位置と記載する)とした従来の条件で、締付け締戻し試験を実行した場合である。このC-4は、M/B回数が3回であり、評価が合格の事例(4回目で焼き付き発生)である。これを実施例1での判断基準とした。ここで、実長ピンの質量は約1.0ton(metric ton)であった。なお、短尺のピンの重さは、長さ1mでおよそ110kgである。
<C-1~C-3>
C-1~C-3は、本開示に基づき、初期セット位置(締付け開始位置)を、緩めに手締めで締付けた状態(以下、緩め位置と記載する)とし、試験用のピンに重錘で荷重を負荷した状態で、パワートング4による締付け及び締戻しを行った場合の例である。
なお、各表において、初期セット位置(締付け開始位置)を、「締付け前ピンセット位置」と記載した。
C-1~C-3のいずれも、C-4と同様の合格の判定となった。
しかし、C-1は、試験用のピンの長さが2,000mmと短く、重錘の質量も約0.5tonと軽量の場合である。このC-1の場合には、締戻し時に、重錘がバランサーになって、試験用の短尺のピンが振れ回らずに真っ直ぐに上がってくるために、実際の状態と比べて、甘い評価になっていた。このため、想像を超える回数までM/B回数が7回達成している例である。また、C-1は、試験用のピンの質量と重錘の質量を合計した質量は、実長ピンの質量よりも軽い場合の例となる。このように、C-1の評価は、C-4の評価との乖離が大きい。
これに対し、C-2、C-3は、それぞれ試験用のピン1の長さが3,000mm、5,000mmの事例で、約1tonの重さの重錘3をMake-up、Break-Out時ともに印加した事例である。
このC-2、C-3では、実長の場合のC-4と同じ回数のM/B回数となっていた。
このC-2、C-3では、試験用のピンの長さが3,000mm以上の場合の例である。また、C-2、C-3は、重錘3の質量を、実長ピンの質量相当の場合の例となる。
C-1~C-3の例から分かるように、重錘で荷重を実長ピンの質量相当の荷重を負荷した状態で締付け締戻しを実行し、且つ初期セット位置を緩め位置とすることで、実長ピンを用いた試験での評価と同等の評価を得ることができることが分かった。
これに対し、重錘の質量を実長ピンの質量相当未満とした場合には、実長ピンを用いた試験での評価に比べ甘い評価となることが分かった。
(実施例2)
実施例2は、水平型の試験と縦型の試験の比較、及び重錘の有無によるMake/Break挙動などを試験した例である。なお、実施例2では、ピンの長さを、実長の場合と、1,000mm以下の場合とした。
実施例2における各サンプル(A-1~A-6)の試験条件とその評価結果について表2に示す。
ここで、表2において、判断基準としてM/B回数を記載しているが、Galling判定だけで、特にNGとされたものはなかった。すなわち、M/B回数と連動して、Make/breakが達成されても、Galling判定でNGと判定されたものがなかった。
Figure 0007126106000002
表2に示すA-1~A-6は、新規にデザインしたねじ継手の構造を評価するために、13-3/8″ 72.0#サイズのQ125の炭素鋼系材料を用いて耐焼き付き性を評価したものである。各サンプルのねじデザインは、同じ構造、すなわち同じねじ構造とした。
実施例2における、具体的な、ねじデザイン概要は次の通りである。
(1)ピン:断面で2″R凸曲線の回転形状
(2)カップリング:断面で3度テーパー状の直線形状
(3)シールポイント位置: ピン先端からピンノーズ長比で0.25
(4)ねじ山:4TPI、18山
<A-4>
A-4は、実長ピンを用いたものである。且つ重錘を使用しないで、初期セット位置(締付け開始位置)を従来位置とした従来の条件で、締付け締戻し試験を実行した場合である。
すなわち、A-4は、本新規ねじデザインの耐焼き付き性を実長のピンを準備して試験した例である。これが判断基準と実際の井戸の条件となる。A-4では、3回目の締戻し後に焼き付きが発生してしまった。なお、初期の締付セット位置は、実際の井戸でよくあるような、現実的な締付け位置としてもっともらしい位置と思われる、ピンねじ山が10山露出位置であった。実長ピンは、どんなに工夫しても時折、構造的にやや斜めに差し込まれてしまうので、今回の例は、手締め限界で10山であった。
すなわち、A-4は、M/B回数が3回で焼き付きが発生し、評価が不合格の事例である。これを実施例2での判断基準とした。
<A-1~A-3>
A-1~A-3に示した例は、試験用のピンとして短尺ピンを使用し、且つ締付け前の初期セット位置を、完全に手締めで締付けた従来位置として試験を行ったものである。この例では、水平式のトングでは、カップリング/ピンの軸調整がうまく行っていた。また、水平式および縦型トング共に、短尺ピンを使うために、ハンドリングするのが容易であるために、ピン山が、2~3山程度露出した程度に、見た目では完全で手締めしたところまで締付けることができた。そして、その位置からパワートング4による締付けを実行した。
A-1は水平型の試験であって、締付け時にも締戻し時にも、ねじ山には荷重が掛かっていない状況で試験が行われ、6回のMake & Breakができた例である。なお、A-1では、6回のMake & Breakで試験を意図的に完了にした。
ISO13679規格では、ケーシング材は、3回M/Bができれば合格レベルであるので、それを遥かにクリアしているレベルであることが分かる。すなわち、A-4の評価との乖離が大きい。
A-2は、従来の縦型の試験を模した例である。A-1では、短尺ピンの自重が、カップリングねじに負荷していない状況に対して、A-2では、ピンを立てて試験をする分、短尺のピンの自重がカップリングのねじ山に印加された状況である。このサイズであれば、短尺ピンでも約110KGの自重があり、それがカップリングねじ山に付与された状況を意味する。
A-2の場合、試験の評価は、M/B回数が5回(6回目で焼き付き)に減っているが、合格の評価となった。そして、A-4の評価との乖離が大きい。
A-3は、非特許文献2を模擬して、510KG重の重錘をピンの上部に設置して締付け締戻し試験を行った場合の例である。A-3の場合、試験の評価は、M/B回数が4回(5回目で焼き付き)に減っているが、合格の評価となり、API 5C5:2017の要求水準は満たす耐焼き付き性を有するデザインであると判断されてしまう。
以上のように、A-1~A-3の条件での試験では、実際の井戸の模擬としては、荷重が軽すぎると推定されるため、合格と判断できてしまった。すなわち、A-1~A-3の条件での試験では、耐焼き付き性の評価が実長のピンでの試験よりも緩い条件の試験となっているため、新規ねじデザインの妥当性のスクリーニングはできても、実長での締付け締戻しで焼き付きが発生しないことの保証試験になっていないことが分かった。
<A-5>
A-5は、試験用のピンとして600mmの短尺のピンを採用した。そして、本開示に基づき、初期セット位置(締付け開始位置)を緩め位置として7山露出した条件で、実長ピン1本分である1ton相当(9-10m相当)の荷重を重錘で印加した条件で、締付け締戻し試験を行った結果である。ただし、締戻し時に、重錘と共にピンをクレーンで吊り上げて、締戻し時に重錘3及びピンからの雌ねじへの負荷荷重をゼロ近傍に制御した。
A-5の条件での試験では、M/B回数が2回(3回目で焼き付き)で評価は不合格であり、A-4の実際の井戸条件と同等の評価になっていることを確認した。
すなわち、A-5の条件での試験による評価は、実長での過酷な締付け締戻し試験の評価と同等の評価が可能であることが分かった。
<A-6>
A-6の条件は、A-5と同様な条件であるが、初期セット位置(締付け開始位置)を従来位置として、1山が露出した状態で締付けを開始した場合の例である。
A-6のように、初期セット位置(締付け開始位置)を従来位置とした場合には、M/B回数は3回(4回目で焼き付き)で評価は合格となった。すなわち、初期セット位置が手締めで完全に締めた状態を締付け前として試験した場合には、良好に評価されてしまって、実際の井戸状況を模擬できないことが分かった。
以上のように、重錘で荷重を実長ピンの質量相当の荷重を負荷した状態で締付け締戻しを実行し、且つ初期セット位置を緩め位置とすることで、実長ピンを用いた試験での評価と同等の評価を得ることができることが分かった。
ここで、A-5のように、試験用のピンの長さを600mmの短尺としても、締め込み時に重錘による荷重を負荷し、締戻し時には、雌ねじへの荷重負荷を軽減することで、実長での過酷な締付け締戻し試験の評価と同等の評価が可能であることが分かった。
(実施例3)
実施例3は、本開示に基づき、重錘の荷重を、ピンを介して雌ねじに負荷した状態での締付け締戻し試験が、実長のピンでのMake & Breakを模擬できていることを示す例である。
実施例3における各サンプル(B-1~B-6)の試験条件とその評価結果について表3に示す。
ここで、表3には、判断基準としてM/B回数で記載されているが、Galling判定だけで、特にNGとされたものはなかった。すなわち、M/B回数と連動して、Make/breakが達成されても、Galling判定でNGと判定されたものが無かった。
Figure 0007126106000003
実施例3では、表3に示す各サンプル(B-1~B-6)について、JFELIONTM(登録商標)における、9-5/8″ 53.5#サイズのL80-13Crの鋼クロム鋼系材料を用いて耐焼き付き性を評価した。各サンプルのねじデザインは同じ構造、すなわち同じねじ構造とした。
実施例3における、具体的な、ねじデザイン概要は次の通りである。
(1)ピン:断面で複合R凸曲線の回転形状
(2)カップリング:断面で4.7度テーパー状の直線形状
(3)シールポイント位置:ピン先端からピンノーズ長比で0.31
(4)ねじ山:5TPI、20山
そして、実施例3では、開発した固体潤滑剤の評価を、締付け締戻し試験を用いて実施したものである。
カップリング側の潤滑として、Cu-Sn合金メッキの上に固体潤滑被膜を形成させた。固体潤滑被膜は、ポリアミドイミドとポリイミドの混合系のバインダー樹脂に、テフロン(登録商標)を展開させたものをメインの構成要素としており、200-300℃の焼成温度で膜形成させた。なお、ピンの雄ねじ側には、ショットブラストした後に、水系アクリル塗布して遠赤外光で乾燥させて膜を形成させた。
<B-4>
B-4は、実長ピンを用いたものであり、且つ重錘を使用しないで、初期セット位置(締付け開始位置)を従来位置とした従来の条件で、締付け締戻し試験を実行した場合である。このB-4は、M/B回数が2回で、評価が不合格の事例(3回目で焼き付き発生)である。これを実施例3での判断基準とした。
<B-1>
B-1では、重錘で荷重を負荷しているが、締付け前の初期セット位置を完全に手締めする従来位置とした場合である。
このB-1での条件の試験では、M/B回数が5回(6回目で焼き付き発生)で、評価が合格と判定されて、B-4の評価に対する乖離が大きい。
<B-2>
B-2は、締付け前の初期セット位置を緩め位置とした以外は、B-1の条件と同じ条件とした例である。
B-2では、締付け前の初期セット位置を緩め位置としたことで、M/B回数が3回(4回目で焼き付き発生)と、実長のB-4の評価に比べ若干甘めの評価となっている。しかし、B-1に比べ、実長のB-4の評価に近い評価となっていた。
<B-3>
B-3は、B-2に対し、試験用のピンを2,000mmとし、締戻し時に荷重負荷を軽減する条件に変更したものである。
B-3では、十分な重さの重錘3の付与と締付け締戻し時にガタツキを与えた過酷試験となっており、締付け締戻し試験が3回目に焼き付きが発生して不合格となった。すなわち、B-4における、M/B回数が2回と同等の評価となっており、実長ピンを用いた試験での評価と同等の評価を得ることができることが分かった。
なお、B-2では評価が合格となっているが、初期セット位置を従来位置としたB-1に比べ、B-2の評価はB-4の評価に近似した評価となっている。そして、重錘3で荷重を負荷すると共に初期セット位置を緩め位置にすることで、評価精度が向上することが分かった。
<B-6、B-5>
B-6は、B-4の評価で不合格と判定された固体潤滑剤に対し、さらなる改良を施した固体潤滑剤に用いた以外は、B-4と同じ条件にて、締付け締戻し試験を行った例である。このB-6の条件による評価では、M/B回数が5回以上で、評価が合格と判定された。また、B-5として、B-6に使用した固体潤滑剤に用いた以外は、B-3の条件にして試験を行ったところ、M/B回数が5回で、評価が合格と判定された。
以上のように、試験用のピンとして実長よりも短いピンを用いても、本開示に基づき試験を行うことで、従来よりも精度良く耐焼き付性を評価可能となることが分かった。
なお、上記の実施例では大径側の例で構成されている場合を例示したが、外径、肉厚サイズ、鋼種等の条件に問わず、本開示は、同様な効果を得ることが出来ると推定される。
ここで、本願が優先権を主張する、米国への仮出願63/161122(2021年03月15日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
1 試験用のピン
1a 雄ねじ
1c 内径面
1d 通し穴
2 ボックス(カップリング)
2a 雌ねじ
3 重錘
4 パワートング
10 差込棒
10a 貫通穴
12 貫き棒
20 吊り上げ装置(クレーン)
21 チェーン(吊り索)
23 スリング(吊り索)

Claims (10)

  1. 雌ねじを有するボックスと雄ねじを有するピンとからなる油井管ねじ継手に対し、パワートングで締付け締戻しを行う締付け締戻し評価方法であって、
    軸を上下に向けて設置したボックスの上部に、ピンの下部を取り付けてなる油井管ねじ継手に対し、締付け締戻しの試験を行う際に、
    試験に使用するピンとして、評価対象のピンよりも長さが短いピンからなる試験用のピンを使用し、
    上記試験用のピンの上部に重錘を取り付け、上記重錘の質量を、上記評価対象のピンの質量から上記試験用のピンの質量を差し引いた質量以上とし、
    上記試験用のピンをパワートングで締付ける締付け前の締付け開始位置である初期セット位置を、上記試験用のピンのねじ山が5個、又は上記試験用のピンの全ねじ山数の1/4のうちのいずれか大きい方のねじ山個数以上、上記ボックスの上端面から露出した状態とする、
    油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  2. 上記重錘の質量は、上記評価対象のピンの長さ8m以上の質量とする、請求項1に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  3. 上記試験用のピンの長さを600mm以上5m以下の範囲とする、請求項1又は請求項2に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  4. 上記締戻しは、上記重錘及び上記試験用のピンのうち少なくとも上記重錘から上記ボックスの雌ねじへの負荷荷重を軽減して実行する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  5. 上記重錘及び上記試験用の上記ピンの少なくとも上記重錘を吊り上げ可能な吊り上げ装置を備え、
    上記吊り上げ装置による吊り上げによって、上記重錘及び上記試験用のピンから上記ボックスの雌ねじへの負荷荷重を調整する、請求項4に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  6. 上記締戻しの際は、上記重錘及び上記試験用のピンから上記ボックスの雌ねじへの負荷荷重を除荷する、請求項4又は請求項5に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  7. 上記重錘は、上記試験用のピンの上端上に載置され、
    上記重錘の下面から下方に延在し上記試験用のピン内に遊挿される差込棒と、
    上記差込棒から横方向に突出して、試験用のピンに形成した通し穴を介して外部に突出した貫き棒と、を備え、
    上記通し穴の径は、上記貫き棒の径よりも大きい、
    請求項4~請求項6のいずれか1項に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  8. 上記試験用のピンの長さを600mm以上2m以下の範囲とする、
    請求項4~請求項7のいずれか1項に記載した油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法。
  9. 雌ねじを有するボックスと雄ねじを有するピンとからなる油井管ねじ継手の製造方法であって、
    請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の油井管ねじ継手の締付け締戻し評価方法による締付け締戻し試験を実行し、その試験に基づく評価から油井管ねじ継手の構造を決定する、油井管ねじ継手の製造方法。
  10. 上記評価は、油井管ねじ形状デザイン、及び、油井管ねじ継手で用いられる潤滑条件のうちの少なくとも一方である、請求項9に記載した油井管ねじ継手の製造方法。
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