JP7125223B1 - 睡眠問題改善支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】生活習慣と睡眠との関連に基づき睡眠障害の判定と睡眠の問題の原因を特定し、それを改善するための方法・解決策を提供し、心身の健康改善と疾患の予防、不調の改善や職域における生産性の向上を図る。【解決手段】コンピュータシステムを利用したユーザーの睡眠問題の原因特定と、その改善策を自動的に作成してユーザー及び/又は管理者に提供するシステムであって、ユーザー端末及び/又は管理者端末と、システムを運用するサーバーと、サーバー内に構築されるデータベースと、サーバーにダウンロードされてシステムを運用する処理プログラムから構成され、処理プログラムは、睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段、睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段、睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段、睡眠の問題を最終判定する手段、最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段による各処理を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、コンピュータシステムを利用したユーザーが有する睡眠の問題の原因特定と、その改善策を自動的に作成してユーザーに提供する睡眠問題改善支援システムに関する。
これまで多くの研究者によってなされた多くの研究結果により、睡眠の問題は多種多様な心身の健康に害を及ぼし、肥満や糖尿病などのリスクや心血管疾患リスクを増加させるとともに、発がんにも結びつくことが分かっている。また睡眠の問題は、うつ病などの精神疾患のリスクを増加させ、これによって自殺リスクも増加し、結果として死亡率をも増大させている。
更に、睡眠の問題は心身の健康被害のみならず、生産性低下による莫大な金額のプレゼンティズムを生じさせ、更に交通事故や重大な作業ミスの発生リスクも増加させる(例えば、チェルノブイリ原発事故やチャレンジャー号爆発事故も、担当者の睡眠問題が事故原因の一つとして挙げられている)。本発明者らの研究によれば、睡眠の問題は日本において約3%の生産性低下をもたらしていることが明らかになっており、論文としても発表している(非特許文献1参照)。
睡眠に問題を有する者は非常に多く、例えば日本人の2人に1人は睡眠に何らかの問題を有しているとされる一方、睡眠を専門的に扱う医師・医療従事者は極めて少なく、睡眠に問題を抱える者がその問題を解決できる社会的環境が整っているとは言い難い状況にある。
睡眠状態を各種の機械装置を用いて自動的に測定し、睡眠の質等を判定する発明は数多く提案されているものの、睡眠に問題がある原因(特に誤った生活習慣)の特定と、当該原因を改善するための方策を提供するシステムは存在しない。睡眠の問題は公衆衛生上非常に重要である一方で、睡眠の問題をケアする仕組みは脆弱であり、睡眠医療へのアクセスも難しいのが現状である。
また、睡眠の問題及び睡眠障害を自動的に診断・把握し、それに対する対処法を本人及び睡眠の指導者に伝える仕組みは存在せず、科学的に効果が証明されたものも存在しない。
更に睡眠の問題を引き起こす誤った生活習慣として知られているものは限定的であり、入眠困難、中途覚醒、日中の過度の眠気、睡眠薬の使用・依存等のそれぞれの睡眠問題のタイプに対してどのような生活習慣が関連しているか、またそれらの生活習慣が睡眠に与える重要度の高低については明らかでない上、睡眠の状態のアセスメントを受ける者が日常生活の中のどの習慣をどの優先順位で改善すべきなのかを判定して提示するシステムは存在しない。
生産性と睡眠の研究:ISHIBASHI,Yoshiki; SHIMURA,Akiyoshi.Association between work productivity and sleep health: a cross-sectional study in Japan.Sleep health,2020,6.3:270-276. Journal of the American Heart Association,2017,6.5:e005479. Sleep,2010,33.9:1159-1164. Chronobiology international, 2018,35:8:1045-1053. Journal of affective disorders 135.1-3(2011):10-19. BMC psychiatry 16.1(2016):375. psychosomatic research 64.4 (2008):443-449. Sleep 31.8(2008):1097-1101. Sleep 31.5(2008):619-626 Sleep 29.8(2006):1009-1014 European Heart Journal 32.12(2011):1484-1492 Diabetes Care 33.2(2010):414-420 Current Biology 22.10(2012): 939-943. International Journal of Epidemiology 38.3(2009):848-854, British Journal of Cancer 99(2008)1502-1505 British Journal of Cancer 99(2008)176-178 American journal of epidemiology 173.11(2011):1272-1279. Occup Environ Med 69.8(2012):551-556.
国際公開WO2015/125477 特開2013-099507号公報 特開2016-122347号公報 特開2019-195469号公報 特開2019-204444号公報 特開2020-054839号公報
本願発明は、発明者らの研究によって明らかにされた生活習慣と睡眠問題との関連に基づき、睡眠障害の判定と睡眠の問題の原因を特定し、原因となる生活習慣を改善するための方法・解決策を提供するシステムを構築することにより、心身の健康の改善と疾患の予防、不調の改善や職場・職域における生産性の向上等を図ることを目的とする。
本願発明は、上記目的を達成するため、コンピュータシステムを利用したユーザーが有する睡眠の問題の原因特定と、その改善策を自動的に作成してユーザー及び/又は管理者に提供するシステムであって、
ユーザー端末及び/又は管理者端末と、システムを運用するサーバーと、前記サーバー内に構築されるデータベースと、前記サーバーにダウンロードされてシステムを運用する処理プログラムと、睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段と、睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段と、を含み
前記処理プログラムは、睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段、睡眠の問題の原因を最終判定する手段、最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段、による各処理を前記サーバーに実行させ、
前記睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段は、ユーザーへの問診票を前記ユーザー端末に表示し回答結果をデータベースAに記録する手段、又はユーザーが身に着ける睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段、又は寝具に装着してユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段、又はビデオシステムによってユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段のいずれかであり、
前記睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段は、ユーザーへの問診票を前記ユーザー端末に表示し回答結果をデータベースBに記録する手段、又はユーザーが身に着ける睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段、又は寝具に装着してユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段、又はビデオシステムによってユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段のいずれかであり、
前記睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段は、前記データベースA及び前記データベースBに記録された情報と予め定めた基準に基づいて、ユーザーの睡眠状態が、前記予め定めた基準に該当する場合、入眠困難タイプ、睡眠維持困難タイプ、日中の過度の眠気タイプのいずれであるかを特定するとともに、前記入眠困難タイプ、前記睡眠維持困難タイプ、前記日中の過度の眠気タイプのそれぞれに予想される原因が予め格納されたテーブルに基づいて、問題の原因を仮特定する手段であり、
前記睡眠の問題の原因を最終判定する手段は、追加で実施する問診回答結果データと予め定めた基準に基づいて、仮特定した原因が真であるか否かを最終決定する手段であり、
前記最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段は、真であると最終決定された問題の原因と、生活習慣が当該最終決定された問題に与える影響の標準化係数に基づいて予め作成した生活習慣標準化係数テーブルに基づき、前記標準化係数の大きい順に改善すべき生活習慣の内容を優先順位付けし、前記ユーザー端末及び/又は前記管理者端末に送信する、又は紙媒体としてプリンター出力する手段である、ことを特徴とする。
上記構成を有する本願発明によれば、ユーザーが抱える睡眠問題の原因についてコンピュータシステムを用いて特定し、ユーザーに対し特定した原因に基づいた具体的な生活習慣の改善策を提示し、当該改善策の実施を促すことにより、ユーザーは自身が抱える睡眠問題を解決することができ、心身の健康改善と疾患の予防、不調の改善や職場・職域における生産性の向上等を図ることができる。
本システムでカバーする原因特定の範囲を示す図 A~Eの各手段とその処理内容を説明する図 睡眠問題タイプと疑いのある原因(テーブル1) 生活習慣が睡眠問題に与える影響標準化係数(テーブル2) 実装問診票の例 ユーザー及び/又は管理者に提出(出力)する評価レポートの例 学生を対象にしたランダム化比較試験の結果
以下、本願発明の実施形態について、以下詳細に説明する。
睡眠の問題とその原因は広範囲に及び、個々人様々な原因があるが、本システムでカバーする原因特定の範囲は、図1に示すとおり、「生活習慣・睡眠衛生によるもの」、「睡眠障害疾患によるもの」、「心理的要因・精神疾患によるもの」とし、加齢その他の要因によるものは除いている。
まず、本システムの全体概要について説明する。本発明に係るシステムは、コンピュータシステムを利用したユーザーが有する睡眠の問題の原因特定と、その改善策を自動的に作成してユーザー及び/又は管理者に提供するシステムであり、ユーザー端末及び/又は管理者端末と、システムを運用する管理サーバーと、管理サーバー内に構築されるデータベース(A、B)と、管理サーバーにダウンロードされてシステム全体を運用する処理プログラムから構成され、処理プログラムは、A:睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段、B:睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段、C:睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段、D:睡眠の問題の原因を最終判定(確定・同定)する手段、E:最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段、によって5つの処理を実行する。以下、図2に基づいてA~Eの各手段とその処理内容について説明する。
A:睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段
どの時刻に就床し、入眠にどれだけの時間を要し(入眠潜時)、どの時刻に起床しているかを把握することが睡眠の問題を評価し、原因を特定する上で極めて重要である。このため、本A手段では下記(A-1)~(A-4)のいずれかの方法により、就床時刻、入眠潜時、起床時刻、睡眠時間の各データを取得し、これをデータベースAに記録する。
(A-1)ユーザー端末によるユーザー入力
ユーザーは、本システムのアプリケーションが保存されたPC又はスマートフォン等のユーザー端末を用い、アプリケーションを起動して表示されるデータ入力画面上から、日付、就床時刻、入眠したであろう時刻、起床した時刻、睡眠時間をそれぞれ入力する。或いは、ユーザーは本システムを運用するウェブサイトにユーザー端末等からアクセスし、当該ウェブサイト画面に表示されるデータ入力画面上から、上記各項目を入力するようにしても良い。入力された各日付、時刻は、データベースAに記録される。当該入力情報は当日に限らず、後日に入力しても良い。なお、睡眠時間は、入眠時刻と起床時刻から、システムで自動計算するようにしても良い。
日々入力された各データは、追加入力されるたびにシステムによって自動的に平均値が算出され、この平均値に基づいて後述する判定が行われる。なお、一部の判定には、就床時刻、入眠したであろう時刻、起床した時刻のバラつきを見ることから、平均値ではなく実際の時刻も参照される(以下説明する他の方法によって測定されたデータ構築も同じである)。
なお、既存の睡眠問診票であるピッツバーグ睡眠問診票(PSQI)やミュンヘンクロノタイプ問診票(MCTQ)、あるいは睡眠時間帯を本人や保護者・医療従事者が記録した問診票あるいは睡眠日誌の回答データがある場合には、当該データをデータベースAに記録しても良い。
ピッツバーグ睡眠問診票(PSQI): Buysse, Daniel J., et al. 「The Pittsburgh Sleep Quality Index: a new instrument for psychiatric practice and research.」 Psychiatry research 28.2(1989):193-213.
ミュンヘンクロノタイプ問診票(MCTQ): Roenneberg, Till, Anna Wirz-Justice, and Martha Merrow. 「Life between clocks: daily temporal patterns of human chronotypes.」 Journal of biological rhythms 18.1(2003):80-90.
また、上記各データは、本人が紙面で回答したものをOCR等で読み取り、データベースAに保存しても良い。
更に、上記各データはAPI(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インタフェース)接続して、本システムにネットワークを介して接続された別のシステムやアプリケーションから入力しても良い。
(A-2)人体に装着するデバイスによる測定
就床時刻、入眠に要した時間、入眠時刻、起床時刻、睡眠時間は、人体に装着するデバイスによって自動的に測定し、この測定したデータをデータベースAに記録する。
例えば、終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)、脳波計、光トポグラフィー、心電図計測器、脈派計測器、脳磁計測器(EMG)、皮膚電位計測器、深部体温計測機のいずれかあるいは複数の機器を利用し、睡眠時に特徴的な脳波・脳磁図の出現や脳血流量の変化、脈拍の低下や副交感神経活動の増大、交感神経活動比対副交感神経活動(LF/HF比)の低下、活動量(加速度)の低下、深部体温の低下などによって、就床時刻、入眠潜時、入眠時刻、起床時刻、睡眠時間を自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、サーバー内に構築したデータベースAに記録される。なお、通信装置を介することなく、各測定装置によって測定したデータは、USBメモリ等の記録媒体を介してデータベースAに記録しても良い(以下、同様)。
(A-3)寝具に装着するデバイスによる測定
寝具の下、あるいはユーザー付近の寝具の上に、感圧式センサー、加速度センサー、振動センサー、磁気センサー、温度センサー、電圧センサー等を配置し、睡眠時に特徴的な運動量の減少や変動、体温の降下等に基づいて、就床時刻、入眠潜時、入眠時刻、起床時刻、睡眠時間を自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースAに記録される。
(A-4)ビデオモニタリングシステムによる測定
就寝状態をモニターできるビデオカメラ、赤外線カメラ、モーションディテクター、サーモグラフィー等を寝室に設置し、睡眠時に特徴的な運動量の減少や変動、眼球運動の低下、体温の降下等に基づいて、就床時刻、入眠潜時、入眠時刻、起床時刻、睡眠時間を自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースAに記録される。
B:睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段
中途覚醒に代表される、睡眠維持機能の障害の有無とその程度の把握は睡眠の問題を評価し原因を特定する上で極めて重要である。また、不眠症の診断には睡眠に問題が生じているのみならず、それによって日中の眠気など、日中機能に問題が生じていることが要件となる。このため、本手段では下記(B-1)~(B-4)のいずれかの方法により睡眠の質及び日中の眠気の有無を測定し、これをデータベースBに記録する。
(B-1)ユーザー端末によるユーザー入力
ユーザーは、本システムのアプリケーションが保存されたPC又はスマートフォン等のユーザー端末を用い、アプリケーションを起動して表示されるデータ入力画面上から、日付、中途覚醒の有無、回数ならびにその長さ、中途覚醒した場合のその後の再入眠の容易さ、夢を見た回数とその主観的長さをそれぞれ入力する。更に、日中における眠気の程度、居眠り・仮眠の頻度についても入力する。或いは、ユーザーは本システムを運用するウェブサイトにユーザー端末等からアクセスし、当該ウェブサイト画面に表示されるデータ入力画面上から、上記各項目を入力するようにしても良い。入力された内容は、データベースBに記録する。当該入力情報は当日に限らず、後日に入力しても良い。なおユーザーは、何らかの睡眠薬その他鎮静系薬剤等の睡眠関連薬剤を服用している場合、その情報についても入力するよう構成しても良いが、特に必須要件ではないため、本システムではこれを除外している。
日々入力された各データは、追加入力されるたびにシステムによって自動的に平均値が算出され、この平均値に基づいて後述する判定が行われる。
既存の睡眠問診票であるピッツバーグ睡眠問診票(PSQI)及び/又はアテネ不眠尺度(AIS)及び/又は不眠重症度尺度(ISI)及び/又は任意の中途覚醒や睡眠の質についての質問を本人が回答する問診票の回答データがある場合は、当該問診データをデータベースBに記録しても良い。なお、これらの既存の問診票には、睡眠の質を示す睡眠維持障害、日中の眠気や機能障害の有無、睡眠薬の使用状況についての調査項目も含まれている。
アテネ不眠尺度(AIS): Soldatos,Constantin R., Dimitris G. Dikeos, and Thomas J. Paparrigopoulos.「Athens Insomnia Scale: validation of an instrument based on ICD-10 criteria.」 Journal of psychosomatic research 48.6(2000):555-560.
不眠重症度尺度(ISI): Bastien, Celyne H., Annie Vallieres,and Charles M. Morin. 「Validation of the Insomnia Severity Index as an outcome measure for insomnia research.」Sleep medicine 2.4(2001):297-307.
上記データは本人が紙面で回答したものをOCR等で読み取り、データベースBに記録しても良い。また上記各データはユーザーの状況を認識している医師や看護師等の第三者が本人に代わって入力したものを使用しても良い。
また、上記データはAPI(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インタフェース)接続として、本システムにネットワークを介して接続された別のシステムやアプリケーションから入力しても良い。
(B-2)人体に装着するデバイスによる測定
睡眠の質は人体に装着するデバイス、例えば、終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG)、脳波計、光トポグラフィー、心電図計測器、脈派計測器、脳磁図計測器(EMG)、皮膚電位計測器等を用いて自動的に測定する。中途覚醒あるいは睡眠が著しく浅くなった時に特徴的な、覚醒脳波の出現や脳血流量の変化、脈拍の一時的増大や交感神経活動の一時的増大が見られる時間帯を測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースBに記録される。
また、日中の眠気の有無や居眠りについては、脳波計、心電図測定器、脈派測定器、皮膚電位測定器等を用いることで、強い眠気が生じた時に特徴的な、LVMF脳波の出現やデルタパワーの増大、副交感神経活動の一時的増大、あるいは眼球運動の著明な低下に基づいて、眠気あるいは居眠りとして自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースBに記録される。
(B-3)寝具に配備するデバイスによる測定
寝具の下、あるいはユーザー付近の寝具の上に、感圧式センサー、加速度センサー、振動センサー、磁気センサー、温度センサー等を配置し、中途覚醒あるいは睡眠が著しく浅くなった時に特徴的な運動量の増大や覚醒反応、体温の一過性の上昇が見られる時刻を中途覚醒として判定し、その頻度と持続時間を自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースBに記録される。
(B-4)ビデオモニタリングシステムによる測定
就寝状態をモニターできるビデオカメラ、赤外線カメラ、モーションディテクター、サーモグラフィー等を寝室に設置し、中途覚醒あるいは睡眠が著しく浅くなった時に特徴的な運動量の増大や体温の一過性の上昇が見られる時刻を中途覚醒として判定し、その頻度と持続時間を自動的に測定する。測定した各データは、通信装置を利用して本システムに送信され、データベースBに記録される。
C:睡眠の問題のタイプから原因の候補を挙げる手段
睡眠の問題のタイプから原因の候補を挙げる手段は、上記A、Bの各手段によって得られたデータから、ユーザーの睡眠に問題があるか否か、問題がある場合、どのような原因によって生じているのかを推測する手段である。発明者らによる調査研究によって、睡眠の問題のほとんどが下記に列挙する内容のいずれか単独あるいは複数の理由によって生じていることが分かっている。更に、睡眠の問題のタイプ別に、それぞれ存在している可能性のある睡眠の問題が異なることも発明者らの調査研究によって明らかになっていることから、本手段では睡眠の問題のタイプ別に、存在し得る睡眠の問題の原因の候補を、自動的に抽出するようにしている。睡眠の問題には、大きく「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」の3つのタイプが挙げられる。システムは、まず上記データベースA及びデータベースBに記録された情報から、ユーザーの睡眠の問題を、「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」のいずれのタイプであるかを特定する。例えば、就床時刻から入眠したであろう時刻までに30分以上を要している場合には「入眠困難」タイプと判定し、中途覚醒が3回以上ある場合には「睡眠維持困難」タイプと判定し、日中に週3回以上の居眠りがある場合には「日中の過度の眠気」タイプと判定する。
発明者らの研究によれば、「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」の問題を有する者は、図3に示すテーブル1のとおり、a~yの各原因と密接な関係を有していることが明らかになっている。
本システムは、ユーザーが上記3つのどのタイプの睡眠問題に該当しているかを決定した後、図3に示すテーブル1を用い、a~yの各原因候補のどれが強い疑いのある原因かを仮特定する。以下に列挙するa~yの各内容は、それぞれの問題や原因が複数であることがあるため、原因あるいは原因の候補としていずれか1つだけが決定されるものではない。それぞれの睡眠の問題の詳細や、これらの候補を更に絞り込む方法については後述する。なお、本内容のうち「睡眠薬その他鎮静系薬剤の使用」と「体内時計による概日リズムの問題」および「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの」については発明者らが過去に研究発表した既知のものであるが、これらの関連を単体で研究しただけのものであり、本発明の新規性である「複数の原因の調査」および「その重み付け」を損なうものではない。
Shimura, Akiyoshi, et al. 「Later sleep schedule and depressive symptoms are associated with usage of multiple kinds of hypnotics.」 Sleep medicine 25 (2016): 56-62.
また、睡眠の問題全般を漠然と表すPSQIの合計スコアと年齢、性別、婚姻状況、居住状況、残業時間、通勤時間、職業性ストレス、食事の規則性、朝食の摂取状況、夕食の摂取状況、野菜類の摂取状況、寝酒の頻度、体重変動、光環境、カフェイン摂取との関連については発明者らが過去に研究発表した既知のものであるが、後述のとおり、入眠困難や睡眠維持困難など、睡眠の具体的問題や症状別のリスクを明らかにしたものではないため、やはり本発明の新規性を損なうものではない。
Shimura,Akiyoshi,et al.「Which sleep hygiene factors are important? Comprehensive assessment of lifestyle habits and job environment on sleep among office workers.」 Sleep health 6.3(2020):288-298.
睡眠の問題の原因の候補を以下列挙する(図3参照)。
a.体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの
b.体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの
c.不安・過覚醒・条件づけに起因するもの(精神生理性不眠)
d.睡眠不足・睡眠負債に起因するもの
e.長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの
f.不適切な夜間の光曝露に起因するもの
g.朝および日中の光曝露の不足に起因するもの
h.不適切(過度)なアルコール摂取に起因するもの
i.不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの
j.睡眠環境が急に変化したことに起因するもの
k.不適切(過度)なカフェイン摂取に起因するもの
l.不適切(過度)な水分・塩分摂取に起因するもの
m.不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの
n.睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの
o.鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの
p.鉄欠乏に起因するもの
q.食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの
r.不適切な入浴習慣に起因するもの
s.不適切な運動習慣に起因するもの
t.むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの
u.レム睡眠行動障害に起因するもの
v.夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因するもの
w.歯ぎしり・食いしばりに起因するもの
x.ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの
y.気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの
本手段は、睡眠の問題が存在する場合、以下に示す各パターンに応じて、上記いずれかの原因に該当するか否か、あるいは該当する可能性(疑い)があるか否かを自動的に判定し、候補として抽出する。
<入眠困難がある場合>
システムは、データベースAに記録されているデータに基づいて、ユーザーに入眠困難の問題があると判定した場合(例えば、就床から入眠までの入眠潜時間が30分以上である場合や、ユーザー自身が「寝つきが悪い」と回答している場合など)には、上記原因の中から、「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの」、「不安・過覚醒・条件づけに起因するもの」、「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの」、「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」、「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」、「不適切なアルコール摂取に起因するもの」、「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの」、「睡眠環境が急に変化したことに起因するもの」、「不適切なカフェイン摂取に起因するもの」、「不適切な温湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの」、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」、「鉄欠乏に起因するもの」、「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの」、「不適切な入浴習慣に起因するもの」、「不適切な運動習慣に起因するもの」、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」、「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの」である疑いが高いとして、これらに仮のフラグを立て、後述する方法によって最終的な問題を特定する。
<睡眠維持困難がある場合>
システムは、データベースAに記録されているデータに基づいて、ユーザーに睡眠維持困難の問題があると判定した場合(例えば、睡眠中に頻回の覚醒反応が見られるか、深睡眠の割合が減少している場合、入眠から短時間で覚醒してしまっている場合、あるいはユーザー自身が中途覚醒・早朝覚醒・悪夢が頻回にあると回答した場合など)には、上記原因の中から、「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの」、「不安・過覚醒・条件づけに起因するもの (精神生理性不眠)」、「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの」、「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」、「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」、「不適切なアルコール摂取に起因するもの」、「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの」、「不適切なカフェイン摂取に起因するもの」、「不適切な水分・塩分摂取に起因するもの」、「不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの」、「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの」、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」、「鉄欠乏に起因するもの」、「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの」、「不適切な運動習慣に起因するもの」、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」、「レム睡眠行動障害に起因するもの」、「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因するもの」、「歯ぎしり・食いしばりに起因するもの」、「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの」、「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの」である疑いが高いとして、これらに仮のフラグを立て、後述する方法によって最終的な問題を特定する。
<日中に過度の眠気がある場合>
システムは、データベースBに記録されているデータに基づいて、ユーザーに日中の過度の眠気の問題があると判定した場合(例えば、活動時間中にデバイスが睡眠時に特徴的な脳波・脳磁図の出現や脳血流量の変化、脈拍の低下や副交感神経活動の増大、LF/HF比の低下、活動量(加速度)の低下を検出した場合、あるいはユーザー自身が日中の過度の眠気や睡眠発作が頻回にあると回答した場合)には、「睡眠不足・睡眠負債に起因するもの」、「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの」、「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」、「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」、「不適切なアルコール摂取に起因するもの」、「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの」、「不適切なカフェイン摂取に起因するもの」、「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの」、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」、「鉄欠乏に起因するもの」、「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの」、「不適切な運動習慣に起因するもの」、「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの」である疑いが高いとして、これらに仮のフラグを立て、後述する方法によって最終的な問題を特定する。
<睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合>
前述のとおり、睡眠薬等の使用・服用は、本発明の必須要件ではないが、その原因として、「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの」、「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの」、「睡眠相前進症候群に起因するもの」、「不安・過覚醒・条件づけに起因するもの(精神生理性不眠)」、「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの」、「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」、「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」、「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」、「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」、「不適切なアルコール摂取に起因するもの」、「不適切なカフェイン摂取に起因するもの」、「不適切な水分・塩分摂取に起因するもの」、「不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの」、「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの」、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」、「鉄欠乏に起因するもの」、「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの」、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」、「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの」である疑いが高いことは、発明者らの研究によって明らかになっており、本システムに組み込んでも良い。
D:睡眠の問題の原因の候補を最終判定(確定・同定)する手段
上記C手段で推測した睡眠の問題の原因について、選定した各原因の候補が真であるか否かを、データベースA及びデータベースBに記録されている各データ、ユーザーに対する追加設問の回答結果データ、ユーザーに係る各種既存データ等から、以下の方法で判定し、最終的に絞り込んで原因を確定・同定する。
<a.体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの>
システムは、ユーザーに起床時刻の遅延が高頻度に存在し、かつ、早い時刻に就床した場合の入眠潜時が長い場合、または、既知の睡眠リズムの問診票の結果値であるMSFscの時刻の顕著な遅延やMEQスコアの低値が認められる場合、「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因する疑いがある」と仮判定(仮フラグを立てる)する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下のような設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末上に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。システムは、下記設問項目の陽性回答が多いほど、「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因する疑いが強い」と最終判定(確定フラグを立てる)する。以下、仮判定・最終判定とは、システムにて仮フラグ・確定フラグを立てることを意味する。また、最終判定=確定・同定を意味する。
・朝早い時間に起きることは容易ではなく、困難であるか否か
・午前と午後であれば、午後の方が体調が良いか否か
・早朝に起こされた時あるいは目覚ましが鳴った時に、その記憶がないことや、人格が変容してしまうことがある否か
・夜間早い時間に寝床に入ってもしばらくの間は眠れないか否か
・深夜あるいは早朝に入床すれば入眠困難は改善あるいは消失するか否か
・昼ではなく夕方に眠気を催すことがあるか否か
・朝食の摂取が困難であるか否か、あるいは朝食摂取で体調を崩すことがあるか否か
・深夜に空腹を感じることがあるか否か
なお、下記データを測定装置から取得して、上記設問に代えてもよく、或いは最終判定の更なる補助材料としても良い。発明者らの研究によれば、下記の特徴が多いほど、更に「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因する疑い」が強まることが明らかになっている。
・睡眠時間帯の中間時刻の遅延
・日の出から正午までの時間で測定された合計照度
・日没から日の出までの時間で測定された合計照度
・活動量データの合計の重心時刻の遅延
・自律神経活動のピーク時刻あるいは合計の重心時刻の遅延
・深部体温の最下点域時刻の遅延
<b.体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの>
システムは、ユーザーに睡眠時間帯の全体的な前進とそれに伴う早朝の覚醒が高頻度に存在する場合、または、既知の睡眠リズムの問診票の結果値であるMSFscの時刻の顕著な前進やMEQスコアの高値が認められる場合、「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。システムは、下記設問への陽性回答が多いほど、「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・夜の早い時間や夕方になると眠くなりがちであるか否か
・夜の早い時間や夕方であっても就床すれば眠ることができるか否か
・早朝あるいは未明に目覚ましをつけていなくても勝手に目が覚めてしまうか否か
なお、下記データを測定装置等から取得して、上記設問に代えてもよく、或いは最終判定の更なる補助材料としても良い。発明者らの研究によれば、下記の特徴が多いほど、更に「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因する疑い」が強まることが明らかになっている。
・高齢
・睡眠時間帯における中間時刻の前進
・日の出から正午までの時間で測定された合計照度
・日没から日の出までの時間で測定された合計照度
・活動量データの合計の重心時刻の前進
・自律神経活動のピーク時刻あるいは合計の重心時刻の前進
・深部体温の最下点域時刻の前進
<c.不安・過覚醒・条件づけに起因するもの (精神生理性不眠)>
システムは、ユーザーに入眠困難や睡眠維持困難があり、過覚醒が疑われる場合、「不安・過覚醒・条件づけに起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不安・過覚醒・条件づけに起因する疑いが強い」と最終判定する。
・夜に眠れるか不安があるか否か
・眠かったはずが寝床に入ると目が冴えてしまうことが頻繁にあるか否か
・明日しなければならないことを考えながら眠ることが頻繁にあるか否か
・眠くもないのに寝床に入ることが頻繁にあるか否か
・眠れないのを恐れて早い時間に寝床に入ることがあるか否か
・寝床の中で睡眠以外の作業や遊興などを行うことが頻繁にあるか否か
・旅先など普段の寝床でない場所だと逆に入眠しやすいことがあるか否か
なお、下記データを測定装置等から取得して、上記設問に代えてもよく、或いは最終判定の更なる補助材料としても良い。発明者らの研究によれば、下記の特徴が多いほど、更に「不安・過覚醒・条件づけに起因する疑い」が強まることが明らかになっている。
・就床後に交感神経活動比対副交感神経活動(LF/HF比)の低下の乏しさ、もしくは上昇
・就床時活動量の大きさ、何らかの動作の検知
<d.睡眠不足・睡眠負債に起因するもの>
システムは、ユーザーに日中の過度の眠気がある場合、或いはユーザーが必要とする睡眠時間より短い時間しか就床していないと考えられる場合、「睡眠不足・睡眠負債に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは各測定装置によって得られたデータベースAに記録されている情報、あるいは問診票の回答結果をもとに、ユーザーの年齢から考えられる睡眠時間の平均値(参考文献: Ohayon, Maurice M., et al.「Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan.」 Sleep 27.7 (2004): 1255-1273.)と比較する。
比較の結果、ユーザーの睡眠時間が平均値より短く、及び/又は入眠潜時が著しく短く、及び/又は睡眠効率(総睡眠時間÷総就床時間)が非常に高く1に近い場合、システムは、「睡眠不足・睡眠負債に起因する疑いが強い」と最終定する。この時、システムはユーザーに対してどの程度の睡眠時間を取ることが望ましいと考えているのかを追加で質問し、必要睡眠時間を過少に見積もっていないかどうか、あるいは、人間は睡眠をとらなくても平気だという誤った信念を持っていないかどうかを確認しても良い。
<e.長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用があり、必要とする睡眠時間より長い時間就床している場合、もしくは不適切な時刻に就床したり、入眠しようとしている場合、「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは各測定装置によって得られたデータベースAに記録されている情報、睡眠時間帯に関する記録が存在するデータベース、あるいは問診票の回答結果をもとに、ユーザーの年齢から考えられる平均睡眠時間と比較する。平均値を上回る時間就床し、かつ睡眠効率(総睡眠時間÷総就床時間)が低い場合、あるいは覚醒した後も就床を続けている場合、システムは「長過ぎる床上時間による睡眠の問題である疑いが強い」と最終判定する。
また、既知の研究で明らかになっている通り、概日リズム(体内時計)の影響により、習慣的な起床時刻前後からその後5時間程度、及び習慣的な入眠時刻の前2~4時間程度は「Sleep Forbidden Zone」に該当する「入眠が困難な時間」である。このため、この時間に就床している場合、システムは、不適切な時間に入眠しようとしていると判定する。また、交替勤務に従事していて夜勤終了後の朝、習慣的な起床時刻前後からその後5時間程度以内にすぐに眠ろうとしている、あるいは、夜勤前のふだん入眠する時間の2~4時間前に眠ろうとしていることが、労務管理データや本人の回答から把握できる場合には、システムは更に「交替勤務に起因するもの、あるいは交替勤務睡眠障害の疑い」のフラグを立てる。
参考文献: Lavie, P. (1986). Ultrashort sleep-waking schedule. III.‘Gates’ and ‘forbidden zones’ for sleep. Electroencephalography and clinical neurophysiology 63, 414-425.既存技術:特許第6722911号
<f.不適切な夜間の光曝露に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気がある場合、「不適切な夜間の光曝露に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、日没後以降の夜間、あるいは就寝中に、過度の光曝露を生じていないかどうかを追加で調査する。ユーザーが装着した測定装置もしくは部屋に据え付けられた照度計が夜間に概ね30~50Lx以上の照度、もしくは10Lx以上の青色波長照度を継続的に検知した場合、あるいはユーザーの就寝中に3Lx以上の照度を継続的に検知した場合、システムは「不適切な夜間の光曝露に起因する疑いが強い」と最終判定する。
また、システムは、以下のような設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムはその疑いが更に強いと判定する。
・夜間にオフィスなどの明るい照明環境で長時間過ごすことが多いか否か
・夜間の照明は白色系か否か
・夜間の照明は間接照明ではないか否か
・日没後にテレビ、PC、スマートフォンなどの光を発する電子的ディスプレイを長時間あるいは頻回に使用するか否か
・寝床の中でも携帯型ゲーム機やスマートフォンなどの電子的ディスプレイを使用するか否か
・睡眠中に光を浴びてしまうことがあるか否か(消灯せずに入眠することがある、あるいは窓や扉から外光が入ってきてしまうなどして、概ね3lxを超える明るさに至るか否か)
<g.朝および日中の光曝露の不足に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気がある場合、「朝および日中の光曝露の不足に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、起床時前後の時間、あるいは日中の活動中に光曝露が不足していないかどうかについて追加で調査する。ユーザーが装着する測定装置もしくはユーザー本人が過ごしている部屋に据え付けられた照度計が、ユーザー本人の起床時刻または日の出前後に概ね50~300lx以上の照度を検知しない場合、あるいは、ユーザー本人が複数の部屋で過ごす場合には、ユーザーが装着する測定装置あるいは複数の部屋に据え付けられた複数の照度計のユーザーの滞在時間ごとの合計照度が日の出から日没までの間に、概ね500~1000lx以上の照度を検知した合計時間が1時間に満たない場合、システムは「朝および日中の光曝露の不足に起因する疑いが強い」と最終判定する。
また、システムは、以下のような設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムはその疑いが更に強いと判定する。
・遮光カーテンや雨戸を用いるなどしており、朝日が部屋に入らない
・部屋の窓が西向きであったり日当たりが悪かったりして起床時あるいは朝の部屋が暗い
・屋内に引きこもる、あるいは屋内作業が主である、あるいは通勤通学時にも屋外の光に曝露しないなどにより、1日の中で屋外の光あるいはそれに準じる高照度の環境(1000lx以上)にいる時間が概ね合計1時間未満である日が多い
<h.不適切(過度)なアルコール摂取に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「不適切なアルコール摂取に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不適切なアルコール摂取に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・就寝前4~5時間以内に、酩酊や眠気など何らかの精神作用を及ぼす程度の量のアルコール類摂取を行うことが頻回にあるか否か
・寝酒を行うことがあるか否か
・昼間にアルコールを摂取することが頻繁にあるか否か
・毎日あるいはそれに近い頻度で飲酒をしているか否か
・アルコールを摂取しないとイライラや心身の不調が生じることがあるか否か
・アルコールを摂取したい欲求に抗うことが困難であるか否か
・アルコール依存症あるいはその疑いを指摘されたことがあるか否か
・CAGE、AUDITに代表されるアルコール依存症のスクリーニングに陽性回答がなされているか否か
<i.不適切(過度)な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気がある場合、「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・催眠効果を謳う市販薬やサプリメントを頻回に使用しているか否か
・何らかのGABA受容体作動薬あるいは中枢移行性の高い抗ヒスタミン薬を長期にわたり使用しているか否か
・短時間型のGABA受容体作動薬を夜間に使用しているか否か
・高力価のGABA受容体作動薬あるいは中枢移行性の高い抗ヒスタミン薬を夜間に使用しているか否か
・複数(多剤)のGABA受容体作動薬あるいは中枢移行性の高い抗ヒスタミン薬を夜間に使用しているか否か
・その他何らかの鎮静や傾眠をもたらす薬剤や物質であって依存性・耐性の形成が否定されていないものを連用しているか否か
・上記物質や薬剤の服用を中止すると高率に不眠が生じるか否か
・アルコールと上記物質や薬剤を同時に使用することがあるか否か
<j.睡眠環境が急に変化したことに起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難があり、環境性の過覚醒や、入眠の条件付け、入眠ルーティーンが喪失したことによって不眠が生じたと疑われる場合、「睡眠環境が急に変化したことに起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「睡眠環境が急に変化したことに起因する疑いが強い」と最終判定する。
・転居したか否か
・寝室を変えたか否か
・寝室の模様替えをしたか否か
・寝具を変えたか否か
・ベッドパートナーができたか否か
・その他何らかの背景で睡眠に関する環境が変化したか否か
<k.不適切(過度)なカフェイン摂取に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「不適切なカフェイン摂取に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不適切なカフェイン摂取に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・日没後以降にカフェイン含有飲料を摂取することが頻繁にあるか否か
・就寝時に50mg以上のカフェイン(半減期を3~7時間)が残存すると考えられる時刻・量でコーヒー、栄養ドリンク、エナジードリンク、茶、カフェイン含有清涼飲料水等のカフェイン飲料やカフェイン含有食品を摂取しているか否か
・1日の合計カフェイン摂取量が400mgを超えるか否か(コーヒー換算でおよそ400~600mL以上、茶換算でおよそ2L以上)
・悪夢を見ることが多いか否か
・歯ぎしりや食いしばりを生じることが多いか否か
また、ユーザーがカフェイン含有飲食料の摂取時刻と量を自ら記録したデータベースが存在する場合には、システムはデータベースを参照してカフェインの半減期を3~7時間として計算した就床時の体内におけるカフェイン推定残量を算出し、それが50mg以上となるか否かによって、「不適切なカフェイン摂取に起因する疑いが強い」と最終判定しても良い。
<l.不適切な(過度な)水分・塩分摂取に起因するもの>
システムは、ユーザーに睡眠維持困難、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「不適切な(過度な)水分・塩分摂取に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不適切な(過度な)水分・塩分摂取に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・一日の前半に水分摂取が少ないか否か
・夕食時および夕食後以降・就寝前に水分を多く摂取する傾向があるか否か
・一日の合計摂取塩分量が多いか否か
・夕食において塩分摂取量が多いか否か
<m.不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、不適切な睡眠環境の存在を疑い、寝室・寝具に設置、或いは身体に装着した測定装置からデータを取得する。測定装置からデータが取得できない場合には、以下の内容からなる設問をシステムで自動生成しても良い。下記の項目が当てはまるほど、システムは「不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・就寝時に寝室が概ね22~28℃以外の温度である
・就寝時に寝室が概ね40~70%以外の湿度である
・就寝時に寝室に概ね0.1m/s以上の気流が存在する
・就寝時に寝室に気流の乱れや経時的な変化が存在する
・就寝時に扇風機を使用しているか、顔・体のすぐ近くで空調機器を使用している
・就寝時に寝室に概ね30dB以上の騒音が存在する
・就寝時に感知できるレベルの振動や低周波音が存在する
・寝具の通気性が著しく悪かったり著しく硬かったりするなどして、不快である
<n.睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの>
システムは、ユーザーに睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・既知の問診票である「いびき・疲労感・呼吸停止の目撃・高血圧・肥満・50歳以上の高齢・40cm以上の首周囲径・性別が男性」から構成されるSTOP-BANG(文献:Chung,Frances,Hairil R.Abdullah, and Pu Liao.「STOP-Bang questionnaire: a practical approach to screen for obstructive sleep apnea.」Chest 149.3(2016):631-638.)にあてはまるか否か
・既知の問診票である「いびき・覚醒時の眠気や疲労感・肥満か高血圧の存在」から構成されるBerlin Questionnaire (文献:Netzer, Nikolaus C., et al.「Using the Berlin Questionnaire to identify patients at risk for the sleep apnea syndrome.」 Annals of internal medicine 131.7 (1999): 485-491.)にあてはまるか否か
・18歳頃と比較して15kg以上体重が増加しているか否か
・起床時に口腔内が乾燥しているか否か
・中途覚醒時に尿意を伴うか否か
・鼻閉や扁桃肥大があるか否か
・枕が高すぎる(概ね5cmを超える)か否か
なお、上記設問に代えて、測定装置による測定データや予めデータベースに含まれている生化学指標がある場合には、これを取得して最終判定の材料としても良い。測定データにおいて、下記のような特徴が多いほど、睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因する疑いが強い。
・いびき音を頻回に検知する
・睡眠中に頻回に交感神経活動が副交感神経活動に対して急激に上昇する(LF/HF比が上昇する)
・経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)がベースラインから3%以上低下することが1時間に5回以上ある
・多血症傾向である(ヘモグロビン値、ヘマトクリット値、赤血球数が高値)
<o.鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気がある場合、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムはユーザーのレセプト等の医療情報が格納されたデータベースへアクセスし、アレルギー性疾患や疼痛性疾患の既往を確認し、それが存在するか否か、あるいは下記設問をユーザー端末に表示し、当該設問への陽性回答が多いほど、システムは「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因する疑いが強い」と最終判定する。
・鼻が詰まりやすい、あるいは鼻水が出やすい
・鼻詰まりのために眠りにくかったことがある
・中途覚醒時に鼻詰まりを認識することがある
・アトピー体質である、あるいは皮膚炎や痒みを起こしやすい
・中途覚醒時に痒みを認識することがある
・睡眠中に皮膚を掻いていることを目撃されることがある
・部屋を掃除していないあるいは寝具やシーツや寝間着を定期的に清掃・選択していない
・就寝時に何らかの疼痛を感じることがある
・中途覚醒時に痛みを認識することがある
<p.鉄欠乏に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「鉄欠乏に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「鉄欠乏に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・鉄分を含有する食品やサプリメントを摂取する頻度が少ないか否か
・調理器具に鉄を使用していないかステンレスのものを使用しているか否か
・女性の場合、月経量が多めであるか否か
・過去1年以内に赤血球献血を行ったことがあるか否か
・階段を登った際や駆け足になった際に息切れをしやすい、脈拍が上がりやすいか否か
・指の爪が扁平である、あるいはへこんでいるか否か
・眼瞼結膜の赤みが薄い、もしくは蒼白であるか否か
・氷が食べたくなるか否か
なお、上記設問に代えて、予めデータベースに含まれている年齢・性別データや睡眠指標、生化学指標を取得して最終判定の材料としても良い。システムは、下記のような特徴が多いほど、「鉄欠乏に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・50歳未満の女性である
・血清鉄あるいはTSAT(トランスフェリン飽和度)が低い
・フェリチン値が75ng/mL未満である
・貧血傾向である(ヘモグロビン値、ヘマトクリット値が低い)
・赤血球が小球性・低色素性傾向である(MCV、MCH、MCHCが低い)
・加速度センサー等で測定される活動量が上昇した際に、脈拍数が増加する
・むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害の疑いが存在する(詳細は後述)
<q.食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・野菜・海藻・きのこ類の摂取が少ないか否か
・魚類の摂取が少ないか否か
・タンパク質を含有する食品の摂取が少ないか否か
・GI値の高い食品の摂取が多いか否か
・プロバイオティクス(発酵食品や乳酸菌飲食料等)の摂取が少ないか否か
・亜鉛やマグネシウム、カルシウムなどのミネラルを含有する食品の摂取が少ないか否か
・朝食、昼食、夕食いずれかの欠食の頻度が多いか否か
・朝食から夕食までの時間が12時間を超えるか否か(絶食時間が12時間未満か否か)
・朝食から夕食までの時間が16時間を超えるか否か(絶食時間が8時間未満か否か)
・就寝前直前あるいは中途覚醒時の摂食の頻度が多いか否か
・食事の時間が不規則であるか否か
<r.不適切な入浴習慣に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難か睡眠維持困難がある場合、「不適切な入浴習慣に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「不適切な入浴習慣に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・夜に入浴する習慣がない、あるいはシャワーのみ使用し、湯船に浸からない
・就寝前2時間以内に入浴をしている
・入浴する時刻が毎日不規則である
<s.不適切な運動習慣に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬の使用がある場合、「不適切な運動習慣に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは、計やウェアラブル端末によるユーザーの運動データ、あるいはユーザーの運動時間について入力されたデータに基づき、当該運動時間が適切な範囲外である場合に「不適切な運動習慣に起因する疑いが強い」と最終判定する。
なお、発明者らの研究により、2次方程式による重回帰モデルを使った計算(下記表1)で、不眠症のリスクを最小化する運動時間は週30.9時間(95%信頼区間:18.4~95.6時間)であることが明らかとなっている。また、抑うつ(24.8時間)・不安(状態不安:20.8時間、特性不安:21.2時間)についても類似の時間が得られている。
そのため、現在の睡眠の問題の有無に関わらず、ユーザーの合計運動時間を記録・表示する測定機器によって週あたり合計運動時間が20~31時間を大きく下回れば、心身の影響と睡眠の観点から運動時間が過小であり、逆に大きく上回れば、心身の影響と睡眠の観点から運動時間が過大であることが明らかになっている。
表1
Figure 0007125223000002
<t.むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの>
システムは、入眠困難、睡眠維持困難、日中の過度の眠気、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは、以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・体、特に脚に、痛みやムズムズのような不快な感覚が生じ、動かしたくなる
・不快な感覚は安静にしている状態で生じる、あるいは増悪する
・その異常感覚は動かすことによって改善する
・その異常感覚は夕方や夜間に生じる、あるいは増悪する
・中途覚醒時や起床時に腰や手足の重い感じや疲労感が強い
・妊娠している
・鉄欠乏が存在する
・カフェインの摂取量が多い
・腰痛あるいは脊髄疾患がある
・抗うつ薬を使用している
・ヒスタミン受容体拮抗作用のある薬剤を使用している
<u.レム睡眠行動障害に起因するもの>
システムは、睡眠維持困難がある場合、日中の過度の眠気がある場合、「レム睡眠行動障害に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「レム睡眠行動障害に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・既知の問診票であり、「夢見・睡眠中の体動や寝言・寝床の周りの物を落とす」等から構成されるRBDSQ (文献:Stiasny‐Kolster, Karin, et al.「The REM sleep behavior disorder screening questionnaire-a new diagnostic instrument.」 Movement disorders 22.16 (2007):2386-2393.文献: Miyamoto,Tomoyuki,et al.「The REM sleep behavior disorder screening questionnaire: validation study of a Japanese version.」Sleep medicine 10.10 (2009): 1151-1154.)にあてはまるか否か
・寝言が多い
・ベッドから頻回に転落する、あるいはしそうになる
・眠っている最中に手足を動かしていることがある
・何かと戦ったり、何かに追いかけられたりする夢を頻回に見る
なお、人体に装着する測定装置、寝具に配備する測定装置、ビデオモニタリングシステムを利用する場合、上記設問に代えて、測定装置によってユーザーが横たわった状態で激しく手足を動かす、あるいは叫ぶなどの行動を検知した場合に、「レム睡眠行動障害に起因する疑いが強い」と最終判定しても良い。
<v.夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因するもの>
システムは、睡眠維持困難がある場合、「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・一度眠った後に起きて何かを食べてしまうことがある、あるいは食べた形跡がある
・空腹感によって、あるいは、何かを食べなければならないという気持ちのために、睡眠中に目が覚めることがある
・就寝前に、我慢することができずに大量に飲食料を摂取してしまう
・飲食料からの一日の摂取エネルギー量が標準的な一日の必要エネルギー量の2/3に満たない
・夕食を欠食している、もしくはほとんど摂取していない
・るい痩がある
・糖尿病がある、あるいは糖尿病治療薬を使用している
なお、生化学指標が記録されたデータがある場合、上記設問に代えて、他のデータを取得して判定の補助としても良い。例えば、下記のような特徴的データが多いほど、「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因する疑いが強い」と判定する。
・HbA1cあるいはグリコヘモグロビンが低値である
・空腹時血糖が低値である
<w.歯ぎしり・食いしばりに起因するもの>
システムは、睡眠維持困難がある場合、日中の過度の眠気がある場合、「歯ぎしり・食いしばりに起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「歯ぎしり・食いしばりに起因する疑いが強い」と最終判定する。
・睡眠中に歯ぎしりや食いしばりの自覚がある、あるいは他人から指摘される
・起床した際に顎や歯が痛かったり疲労していたりすることがある
・歯の摩耗や割れ・欠けがある
・親が睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをすることがある
なお、上記設問に代えて、人体に装着する測定装置を用い、顎筋電図の持続的な過活動を検出する、あるいは音声記録装置によって歯ぎしり音を記録して最終判定するようにしても良い。
<x.ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの>
システムは、日中の過度の眠気がある場合、「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・既存のナルコレプシー質問紙であるUllanlinna Narcolepsy Scale (文献:Hublin, C.F.A.U.K.,et al.「The Ullanlinna Narcolepsy Scale: validation of a measure of symptoms in the narcoleptic syndrome.」Journal of sleep research 3.1 (1994): 52-59.)やSwiss Narcolepsy Scale(文献:Sturzenegger, Christian, and Claudio L. Bassetti.「The clinical spectrum of narcolepsy with cataplexy: a reappraisal.」 Journal of sleep research 13.4(2004): 395-406.)を用いた質問への回答内容
・金縛りに頻回に遭う(睡眠麻痺)
・入眠時や居眠り時に幻覚が生じる、あるいは意識の中に夢が混入する(入眠時幻覚)
・情動が高ぶったときや楽しくなった時に、体に力が入りにくくなったり、あるいは脱力し転倒してしまったりすることがある(情動脱力発作)
・目覚まし等を使用せずに自然起床し、充分な時間眠った日であっても、日中に居眠りをしてしまう
なお、「昼間の眠気はあまり波がなく常に眠いか、あるいは昼間の眠気には波があってあまり眠くない時と耐えられない眠気に1.5時間前後の周期で急激に襲われるか」の問に対して、どちらかといえば前者と回答した場合には「特発性過眠症が強く疑われる、後者と回答した場合には「ナルコレプシーがより強く疑われる」と、システムは判定する。
<y.気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの>
システムは、ユーザーに入眠困難、睡眠維持困難、睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用がある場合、「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因する疑いがある」と仮判定する。この仮判定が正しいか否かを確認するため、システムは以下の設問を自動生成しユーザーへ回答を促すか、あるいは当初から当該設問をユーザー端末に表示し、ユーザーへ回答を促しておく。下記設問への陽性回答が多いほど、システムは「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因する疑いが強い」と最終判定する。
・既知の気分障害に関する問診票(PHQ、CES-D、QIDS、HAM-D、SDS、MADRS、うつの二質問法、YMRS、BDRS、MESなど)の回答結果が陽性を示す
・既知の不安に関する問診票(LSAS、STAIなど)への回答結果が陽性を示す
・既知の精神病性障害に関する問診票(PANSS、PRIMEなど)への回答結果が陽性を示す
・今まで楽しんでいた趣味や活動が楽しめない、あるいはする気が起きない
・急に非常に強い不安感に襲われてつらくなったり過呼吸になったりすることがある
・何か非常に恐ろしいことが起きるような気持ちになることがある
・死にたい気持ちが沸いてくる、死ななければならないと思えてくる
・自分の考えが誰かに伝わっている、もしくは読み取られているような気がする
・物音や振動に非常に敏感になり苦痛を感じる
E:最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段
システムは、上記C、Dの手段によって最終判定(確定・同定)したユーザーの睡眠の問題のタイプとその原因についてユーザーが改善すべき生活習慣項目について優先順位を付け、その結果を、ユーザー端末及び/又は管理者向け端末に送信するか、或いは紙媒体に印刷出力する。
改善すべき生活習慣項目は、優先順位付けされて表示又は印刷出力するが、この優先順位付けの処理は、図4に示すテーブル2を用いる。当該テーブル2に示す「生活習慣が睡眠の問題に与える影響の標準化係数」は、発明者らの過去の研究によって明らかにされたものである。
テーブル2は、それぞれの睡眠の問題を生じさせる固有の係数(オッズ比/調整済オッズ比)を示しており、例示の便宜上いくつか簡素化して示している。例えば、説明変数はダミー変数化したカテゴリカルデータで多変量回帰分析したものであるが、実際には睡眠時間や運動時間、積分照度データ等は連続変数で用いることができる。また、目的変数は既存の睡眠尺度によって測定されたスコアの連続変数で分析しているが、実際には、それが生じるか否かの2値、もしくは3値程度のカテゴリカルデータであっても良い。
また、係数も標準化係数として示しているが、実際には、変数の選択によって、例えば中途覚醒の回数に与える影響などの標準化されていない係数であっても良く、また睡眠の問題が生じるか否かを分析する多変量ロジスティック回帰分析におけるオッズ比であっても良く、更には機械学習によって得られた予測のための係数であっても良い。また、項目自体も可変である。
システムは、ユーザー(又は管理者)が改善すべき睡眠の問題について、当該係数に基づいて、当該睡眠の問題に与えている影響が大きいと考えられる生活習慣項目を、その係数の大きい順に、優先的に対処することで、当該睡眠の問題を改善させることが可能であるものと判断し、係数に基づいた重み付けの結果として、改善すべき生活習慣の内容を優先順位付けし、ユーザー及び/又は管理者に提示する。
上記に基づき、システムは最終特定された原因をもとに、以下の内容からなる生活習慣に係る改善策を、図示しないテーブル3に基づいて、ユーザー及び/又は管理者に示す。
(a)原因が「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの」と特定された場合の提示例
・体内時計上眠りにくい時間に就寝しないでください
・夜間に照度または色温度の高い環境下で過ごす時間を短くしてください
・日没後に電子的ディスプレイを長時間あるいは頻回に使用しないでください
・照明や外光が入ってくるなど、睡眠中の環境を明るくしないでください
・遮光カーテン等を使用せず、朝日が部屋に入るようにしてください
(b)原因が「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの」と特定された場合の提示例
・夜間に照度または色温度の高い環境下で過ごす時間を長くしてください
・朝日に曝露する頻度を少なくしてください
(c)原因が「不安・過覚醒・条件づけに起因するもの(精神生理性不眠)」と特定された場合の提示例
・明日しなければならないことを考えながら寝ないで、眠る前にToDoリストをつけるなどしてください
・眠くもないのに寝床に入らないでください
・寝床の中で睡眠以外の作業や遊興などを行わないでください
・床上時間を短くしてください
・覚醒した後、すぐに寝床から出てください
(d)原因が「睡眠不足・睡眠負債に起因するもの」と特定された場合の提示例
・睡眠時間を十分にとってください
・必要睡眠時間について過少な見積もりや誤った信念を持たないでください
(e)原因が「長過ぎる床上時間や不適切な就床時間に起因するもの」と特定された場合の提示例
・床上時間を短くしてください
・覚醒した後、すぐに寝床から出てください
・体内時計上眠りにくい時間に就寝しないでください
(f)原因が「不適切な夜間の光曝露に起因するもの」と特定された場合の提示例
・夜間に照度または色温度の高い環境下で過ごす時間を短くしてください
・日没後に電子的ディスプレイを長時間あるいは頻回に使用しないでください
・照明や外光が入ってくるなど、睡眠中の環境を明るくしないでください
(g)原因が「朝および日中の光曝露の不足に起因するもの」と特定された場合の提示例
・遮光カーテン等を使用せず、日当たりよく朝日を部屋に入れてください
・1日の中で屋外光に曝露する時間を長くしてください
(h)原因が「不適切なアルコール摂取に起因するもの」と特定された場合の提示例
・就寝前4~5時間以内にアルコールを摂取しないでください
・ほぼ毎日の飲酒をしないでください
(i)原因が「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの」と特定された場合の提示例
・市販の睡眠薬を使用しないでください
・長期あるいは高用量あるいは多剤(複数種類)の睡眠薬を使用しないでください
(j)原因が「睡眠環境が急に変化したことに起因するもの」と特定された場合の提示例
・転居や寝室・寝具の変更等によって一時的に不眠になっているようです。慣れれば改善する可能性もありますが、条件付け不眠に移行しないように注意が必要です。もしうまく眠れないことが続くような時には医療機関を受診しましょう
(k)原因が「不適切なカフェイン摂取に起因するもの」と特定された場合の提示例
・就寝時に残存する量・タイミングでのカフェインを摂取しないでください
(l)原因が「不適切な水分・塩分摂取に起因するもの」と特定された場合の提示例
・就寝前に多量に飲水しないでください
・夕食にスープや味噌汁、麺類等の汁物を摂取しないでください
・一日の合計塩分摂取量を少なくしてください
(m)原因が「不適切な温度・湿度・気流・騒音・振動・寝具等の睡眠環境に起因するもの」と特定された場合の提示例
・就寝時に身体及び顔面周囲の雰囲気を気温22~28℃、湿度40~70%の範囲にしてください
・就寝時に風の流れが顔に当たらないようにしてください
・就寝時の騒音や振動をなくしてください
・寝具を快適なものにしてください
・枕を高くしないでください
・寝室の掃除、寝間着や寝具の洗濯・交換の頻度を多くしてください
・同一の寝具内に自分以外の者(ベッドパートナーやペット)をいないようにしてください
(n)原因が「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの」と特定された場合の提示例
・肥満を解消してください
・18~20歳時に比較して体重が5~15kg以上増加しないようにしてください
・枕を高くしすぎないでください
(o)原因が「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」と特定された場合の提示例
・寝室の掃除、寝間着や寝具の洗濯・交換の頻度を多くしてください
(p)原因が「鉄欠乏に起因するもの」と特定された場合の提示例
・貧血がある場合は、貧血を改善させましょう
・症状のある間は赤血球献血を控えましょう
・乳幼児あるいは月経のある女性の場合、鉄分を積極的に補充しましょう
(q)原因が「食生活(野菜類や魚の摂取状況、食事時刻の規則性等)に起因するもの」と特定された場合の提示例
・野菜・海藻・きのこ類の摂取を多くしてください
・魚類の摂取を多くしてください
・タンパク質の摂取を多くしてください
・食事の時間を規則正しくしてください
・絶食時間を12時間内にしてください
・亜鉛の摂取を多くしてください
(r)原因が「不適切な入浴習慣に起因するもの」と特定された場合の提示例
・入浴を習慣付けてください
・入浴時刻を規則正しくしてください
(s)原因が「不適切な運動習慣に起因するもの」と特定された場合の提示例
・運動を習慣付けてください
・週あたり合計運動時間が20~31時間内になるよう心がけてください
(t)原因が「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」と特定された場合の提示例
・鉄分の摂取を多くしてください
・就寝時に残存する量・タイミングでのカフェインの摂取は控えてください
(u)原因が「レム睡眠行動障害に起因するもの」と特定された場合の提示例
上記原因の場合、対応する生活習慣はなく、提示は行われない。しかし、後述のように医療機関受診を促す文面を表示してもよい。
(v)原因が「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因するもの」と特定された場合の提示例
・食事の時間を規則正しくしてください
・夕食を毎回食べてください
・過度の食事制限をしないでください
・体内時計上眠りにくい時間に就寝しないでください
・夜間に照度または色温度の高い環境下で過ごす時間を短くしてください
・日没後に電子的ディスプレイを長時間あるいは頻回に使用しないでください
・照明や外光が入ってくるなど睡眠中の環境を明るくしないでください
・遮光カーテン等を使用せず、朝日が部屋に入るようにしてください
(w)原因が「歯ぎしり・食いしばりに起因するもの」と特定された場合の提示例
・鉄分の摂取を多くしてください
・就寝時に残存する量・タイミングでのカフェイン摂取を控えてください
・枕を高くしないでください
(x)原因が「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの」と特定された場合の提示例
上記原因の場合、対応する生活習慣はなく、提示は行われない。しかし、後述のように医療機関受診を促す文面を表示してもよい。
(y)原因が「気分障害・不安障害・精神病性障害に起因するもの」と特定された場合の提示例
上記原因の場合、対応する生活習慣はなく、提示は行われない。しかし、後述のように医療機関受診を促す文面を表示してもよい。
システムは、管理者に対し上記結果を下記表2に示すサマリとしてテキスト出力できるようにしてもよい。このサマリには、ユーザーの睡眠問題の特徴、現在の睡眠パターン、現在の睡眠の状況、医療機関にて治療を有する疾患の疑い、改善すべき生活習慣の問題などから構成される。この出力により、管理者は自らの診療録等に簡便にシステムの利用内容を引用あるいは転記することができる。
表2
Figure 0007125223000003
またシステムは、上記した「生活習慣の改善」では睡眠の問題を解決できない疾患性の問題があると判断した場合、治療を要する睡眠障害の疑いが強いと判定し、また、ユーザーかつ/または管理者へ提示できる。このとき、「診療情報提供書またはその下書き」を自動的に発行するようにしても良い。その際、ユーザーの氏名、年齢、居住地、職業、既往歴、家族歴、生活歴、現在の服薬状況、睡眠の問題の発症時期についての情報が利用可能であれば付記し、あるいは、当該情報がなければ、本システム上から入力するよう促してもよい。
<概日リズム睡眠覚醒障害>
システムは、「体内時計による概日リズムの問題(後退・非24時間化・不規則化)に起因するもの」「体内時計による概日リズムの問題(前進)に起因するもの」「交替勤務に起因するもの、あるいは交替勤務睡眠障害の疑い」が検出された場合に、「概日リズム睡眠覚醒障害」の疑いがあるとして、少なくとも日常的な睡眠スケジュール(入眠時刻と起床時刻)を記載し、また情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答についても出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<アルコール依存症>
システムは、「不適切なアルコール摂取に起因するもの」が検出され、かつ、システムが生成した質問に対する陽性回答が多い場合に、「アルコール依存症」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答についても出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<催眠・鎮静薬の乱用・依存>
システムは、「不適切な睡眠薬その他鎮静系薬剤や物質の使用に起因するもの」が検出された場合に、「催眠・鎮静薬の乱用・依存」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答についても出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<睡眠呼吸障害>
システムは、「睡眠時無呼吸、低呼吸、上気道症候群等の睡眠中の呼吸障害に起因するもの」が検出された場合に、「睡眠呼吸障害」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答の内容、データベースに含まれていた生化学指標やデバイスデータの状況についても出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<鼻炎・鼻閉>
システムは、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」が検出され、かつ、鼻閉・鼻汁に関する追加質問への陽性回答が多い場合に、「鼻炎・鼻閉」の疑いがあるとして、追加回答データと共に出力する。この時、鑑別疾患として「アレルギー性鼻炎の疑い」「下鼻甲介肥厚・鼻中隔弯曲症の疑い」の文面を同時に出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<皮膚炎>
システムは、「鼻閉あるいは鼻汁あるいは痛みあるいは痒みに起因するもの」が検出され、かつ、痒みに関する追加質問への陽性回答が多い場合に、「皮膚炎」の疑いがあるとして、追加回答データと共に出力する。この時、鑑別疾患として「アレルギー性皮膚炎の疑い」の文面を同時に出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害>
システムは、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」が検出された場合に、「むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害に起因するもの」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答の内容について出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<レム睡眠行動障害>
システムは、「レム睡眠行動障害に起因するもの」が検出され、かつ、システムが生成した質問に対する陽性回答が多い場合に、「レム睡眠行動障害」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答について出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<夜間摂食症候群・睡眠関連摂食障害>
システムは、「夜間摂食症候群、睡眠関連摂食障害、あるいは夜間低血糖に起因するもの」が検出された場合に、「夜間摂食症候群・睡眠関連摂食障害」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答について出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<歯ぎしり・睡眠時ブラキシズム>
システムは、「歯ぎしり・食いしばりに起因するもの」が検出された場合に、「歯ぎしり・睡眠時ブラキシズム」の疑いがあるとして、追加回答データと共に出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
<中枢性過眠症>
システムは、「ナルコレプシーなどの中枢性過眠症に起因するもの」が検出され、かつ、システムが生成した質問に対する陽性回答が多い場合に、「中枢性過眠症」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答について出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。また、情動が高ぶったときの脱力感の有無への回答が陽性である場合には「情動脱力発作を伴うナルコレプシー」あるいは「ナルコレプシー1型」の疑い病名を出力しても良い。また、追加質問への回答によって特発性過眠症が強く疑われている場合にはその旨を、ナルコレプシーが強く疑われている場合にはその旨を記しても良い。
<気分障害あるいは不安障害あるいは精神病性障害>
システムは、「気分障害あるいは不安障害あるいは精神病性障害」が検出された場合に、「精神疾患」の疑いがあるとして、情報があればその継続期間あるいは問題が生じた時期、システムが生成した質問について得られた追加回答について出力する。この時、鑑別疾患として、既知の気分障害に関する問診票への陽性回答が多い場合には「うつ状態」の、既知の不安に関する問診票への陽性回答が多い場合には「不安障害」の、既知の精神病性障害に関する問診票への陽性回答が多い場合には「精神病性障害」のそれぞれの疑い病名について出力し、医療機関での検査や必要に応じた加療を促す。
紙面による問診の場合の重み付け提示
紙面などの非デジタル媒体でユーザーに問診票を回答させる場合には、以下のような方法で採点し、現状における睡眠問題の有無・度合いや、将来リスクを判定することができる。
問診票に、下記項目のうち少なくともいずれか一つを含むかを回答させる。「明日しなければならないことを考えながら眠る、眠くもないのに寝床に入る、寝床の中で睡眠以外の作業や遊興などを行う、睡眠不足である、必要睡眠時間について過少な見積もりや誤った信念がある、床上時間が長すぎる、覚醒した後にすぐに寝床から出ない、体内時計上眠りにくい時間に就寝しようとすることがある、夜間に照度または色温度の高い環境下で過ごす時間が長い、日没後に電子的ディスプレイを長時間あるいは頻回に使用する、照明や外光が入ってくるなどして睡眠中の環境が明るい、遮光カーテン等の使用や日当たりの問題で朝日が部屋に入らない、1日の中で屋外光に曝露する時間が短い、就寝前4~5時間以内にアルコールを摂取する、ほぼ毎日飲酒をする、催眠作用のある市販薬の使用がある、長期/高用量/多剤の睡眠薬の使用がある、転居あるいは寝室・寝具の変更があった、ベッドパートナーがいる、就寝時に残存する量・タイミングでのカフェイン摂取がある、就寝前に多量に飲水する、一日の合計塩分摂取量が多い、就寝時の気温22~28℃、湿度40~70%の範囲にない、就寝時に風の流れが存在していて顔に当たる、就寝時に騒音や振動が存在する、寝具が不快である、枕が高すぎる、寝室の掃除、寝間着や寝具の洗濯・交換の頻度が乏しい、貧血を指摘されたことがある、もしくは献血を行っている、乳幼児あるいは月経のある女性で、鉄分を積極的に補充していない、野菜・海藻・きのこ類の摂取が少ない、魚類の摂取が少ない、タンパク質の摂取が少ない、食事の時間が不規則である、絶食時間が12時間に満たない、亜鉛を積極的に補充していない、入浴習慣がない、あるいは時刻が不規則、週あたり合計運動時間が20~31時間の範囲にない。」上記項目に加えて、年齢、性別、睡眠の問題を感じている場合にはそれがいつから始まったのか、について記載させてもよい。
当該問診票には、上記各項目に対応する係数を記しておき、回答者本人あるいは採点者が回答終了後にその数値を全て加算して、睡眠の問題との関連を示す回帰式等に当てはめ、現状における睡眠問題の有無・度合いや、将来リスクを判定する。この時、小数点が含まれると計算が煩雑となるため、任意の係数を乗じて小数点以下を四捨五入することで、結果の精度は低下するが、本人による加算の計算を容易にすることができる。更に、負の係数が含まれると計算が煩雑となるため、任意の数値を加算して数値を用意し、最後の集計の際にその任意の数値の合計を減じる処理をすることで、本人による加算の計算を容易にすることができる。係数が線形回帰によるものである場合には、前記選択された項目に対応する回帰係数の合計値が、「睡眠の全般的な問題」「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」「睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用」「睡眠のリズムの問題」のそれぞれの度合いや強度を予測する連続変数となり、現在、睡眠の問題を抱えているか否か、問題がある場合にはどの程度か、或いは将来的に睡眠の問題を生じるリスクがあるか否か、を判定することができる。
係数が線形ではなく多変量ロジスティック回帰分析によるロジットモデルの場合等には、前記選択された項目に対応する回帰係数の合計値をロジット変換するなどしたものが、「睡眠の全般的な問題」「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」「睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用」「睡眠のリズムの問題」のそれぞれを生じているか否かの確率を示すことができる。またこの際、最終的な合計点からリスクを判定する際に、ロジットモデルの計算式を当てはめると煩雑となりその場で計算することが極めて困難となるため、得られた合計点によって、現在、各種睡眠の問題を抱えているか否か、その度合い、更には将来リスクに関する対照表を作成しておくことで、判定を簡便にすることができる。
またユーザー側が閲覧する紙面においては、前記係数と同時に、あるいは前記係数に代えて、改善すべき優先順をわかりやすくするために、係数の大きい順にA、B、C、D、Eなどのランク評価の表記を付することもできる。このランク表記から現状における睡眠問題の有無・度合いや、将来リスクを把握でき、チェックが付いた該当項目について、A、B、C、D、E等の順に、優先的に改善すべき項目であることをユーザーへ明示することができる。
また、紙媒体の場合には複写式にすることで本人に結果をそのまま持ち帰らせ、改善に役立てるための資料とすることができるとともに、管理者も、記録を保管することができる。図5は、その実装例である。
コミットメントの登録とフォローアップ・リマインド
単なる情報提供だけではユーザーの行動変容を促す効果が不確実であることから、システムは、ユーザーに対し提示した生活習慣の改善項目のどれをどのように改善するか「コミットメント」として登録するよう促しても良い。また、システムは、当該登録されたコミットメント情報を管理者が閲覧可能にしても良い。システムはユーザー端末及び管理者端末から当該コミットメントを随時確認できるようにし、また当該改善の取り組みを行っているのかを確認する通知を、フォローアップ・リマインドとしてユーザー端末、管理者端末に送信するようにしてもよい。この通知は学習曲線を参考に、コミットメントを登録した翌日から2~3日後、1週間後、または2週間後に行うことで効果を高めることができる。
APIでの提供
システムは、オンラインでのサーバー上に上記一連の処理をネットワーク上の他のシステムから呼び出すためのAPIを備えてもよい。このAPIは、一連のデータのインプットを受けること、それに対するアウトプット情報として、ユーザー端末及び/又は管理者側端末に追加の問診項目の内容、疑われる睡眠の問題の原因、改善策あるいは重み付けされた改善策、それにタグ付けられた文書・画像・動画によるレクチャー等のコンテンツ、睡眠の状態のスコア化のうち、少なくとも一つを送信し、ユーザー端末及び/又は管理者側端末画面上に表示する。
F:指定された項目あるいは個別の分析集団に合わせて対処法の重み付けを再計算して作成する手段
上記のとおり、本システムはA~Eの手段で構成されるが、「E:最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段」を適宜に修正する手段として「F:指定された項目あるいは個別の分析集団に合わせて対処法の重み付けを再計算して作成する手段」を有していることが望ましい。
前述のように本システムに含まれる問診項目は多岐に渡り、特に、ユーザーが複数の睡眠の問題を重複して有する場合には、ユーザーが回答するべき項目が膨大となる。また、電磁的方法にて問診を逐次生成することのできない紙面の場合にはその傾向がより顕著となる。このためユーザーが簡便に回答できない可能性がある。また他方で、今後、人間の睡眠に対して影響を与える新たな生活習慣が登場する可能性がある。
このため、本システムは、管理者がユーザーに回答させたい項目を選択することができ、及び/又は新たな項目を指定できるようにしてもよい。この時、システムは既存のデータベースを参照し、管理者が指定した項目を説明変数とし、「睡眠の全般的な問題」「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」「睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用」「睡眠のリズムの問題」の各種スコアあるいは程度を目的変数とした回帰分析あるいは機械学習を実施し、限定されたあるいは新たに指定された各種問診項目に対する係数を出力し記憶し、限定されたあるいは新たに指定された各種問診項目の中における改善策の重み付け・優先順位付けに利用することができる。
逐次再計算システム
前記睡眠衛生(生活習慣)が睡眠に与える影響とその係数は人口集団によって異なる場合がある。たとえば、高齢者は光感受性の低下によって夜間の不適切な光曝露の睡眠への悪影響が少なくなる傾向があり、また日本人はアルコール分解能が低いためにアルコールが睡眠に与える悪影響が多くなる傾向がある。また、カフェインの代謝についても人種差が存在する。
このため、任意の個別の人口集団において本システムを利用する際には、その集団において得られたデータが格納されたデータベースを参照し、逐次集積された生活習慣に関する回答を説明変数とし、その回答に対してその場で得られたもしくは一定期間を経過して得られた、「睡眠の全般的な問題」「入眠困難」「睡眠維持困難」「日中の過度の眠気」「睡眠薬その他鎮静系薬剤・物質の使用」「睡眠のリズムの問題」の各種スコアあるいは程度を目的変数とした回帰分析あるいは機械学習を実施し、前記係数を再計算し、システムにタグ付けられた、あるいは紙面問診票に印刷される数値を更新してもよい。
図6は、ユーザー及び/又は管理者に提出(出力)する評価レポートの例である。また、図7は、首都圏の学生を対象にしたランダム化比較試験の結果を示している。比較試験は226人を対象とし、本システムを利用して改善策を提示して介入した104人は、何もしなかった122人に対し、全般的な睡眠の問題を表すPSQIスコアが23.8%改善、昼間の眠気が10.2%改善、パフォーマンスが19.4%改善、退学率が88.3%改善した。
一般就労者を対象として単純介入した実験では、全般的な睡眠の問題を表すPSQIスコアが14.9%改善、入眠困難が27.5%改善、中途覚醒が18.9%改善、生産性が7.1%改善した。

Claims (3)

  1. コンピュータシステムを利用したユーザーが有する睡眠の問題の原因特定と、その改善策を自動的に作成してユーザー及び/又は管理者に提供するシステムであって、
    ユーザー端末及び/又は管理者端末と、システムを運用するサーバーと、前記サーバー内に構築されるデータベースと、前記サーバーにダウンロードされてシステムを運用する処理プログラムと、睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段と、睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段と、を含み
    前記処理プログラムは、睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段、睡眠の問題の原因を最終判定する手段、最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段、による各処理を前記サーバーに実行させ、
    前記睡眠時間及び時間帯をモニタリングする手段は、ユーザーへの問診票を前記ユーザー端末に表示し回答結果をデータベースAに記録する手段、又はユーザーが身に着ける睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段、又は寝具に装着してユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段、又はビデオシステムによってユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースAに記録する手段のいずれかであり、
    前記睡眠の質及び日中機能をモニタリングする手段は、ユーザーへの問診票を前記ユーザー端末に表示し回答結果をデータベースBに記録する手段、又はユーザーが身に着ける睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段、又は寝具に装着してユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段、又はビデオシステムによってユーザーの睡眠状態を測定する装置とその測定結果を前記データベースBに記録する手段のいずれかであり、
    前記睡眠の問題のタイプから原因の候補を選定する手段は、前記データベースA及び前記データベースBに記録された情報と予め定めた基準に基づいて、ユーザーの睡眠状態が、前記予め定めた基準に該当する場合、入眠困難タイプ、睡眠維持困難タイプ、日中の過度の眠気タイプのいずれであるかを特定するとともに、前記入眠困難タイプ、前記睡眠維持困難タイプ、前記日中の過度の眠気タイプのそれぞれに予想される原因が予め格納されたテーブルに基づいて、問題の原因を仮特定する手段であり、
    前記睡眠の問題の原因を最終判定する手段は、追加で実施する問診回答結果データと予め定めた基準に基づいて、仮特定した原因が真であるか否かを最終決定する手段であり、
    前記最終判定された原因に対して対処法を優先付けて作成する手段は、真であると最終決定された問題の原因と、生活習慣が当該最終決定された問題に与える影響の標準化係数に基づいて予め作成した生活習慣標準化係数テーブルに基づき、前記標準化係数の大きい順に改善すべき生活習慣の内容を優先順位付けし、前記ユーザー端末及び/又は前記管理者端末に送信する、又は紙媒体としてプリンター出力する手段である、
    ことを特徴とする睡眠問題改善支援システム。
  2. 前記処理プログラムは、前記データベースA及び前記データベースBに記録された情報と、医学的治療を要する睡眠障害を予め定めた情報とから、ユーザーに医学的治療を要する睡眠障害が存在する疑いが強いと判断した場合、ユーザー端末及び/又は管理者端末に疾患の鑑別を要する旨の情報及び/又は診療情報提供書の草稿を送信する、又は紙媒体としてプリンター出力するよう前記サーバーに実行させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の睡眠問題改善支援システム。
  3. 前記処理プログラムは、オンラインでの一連の処理をネットワーク上の他のシステムから呼び出すためのAPI機能を備え、ユーザー端末及び/又は管理者端末に対し、追加の問診項目の内容、疑われる睡眠の問題の原因、改善策あるいは重み付けされた改善策、それにタグ付けられた文書・画像・動画によるレクチャー等のコンテンツ、睡眠の状態のスコア化のうち、少なくとも一つをアウトプット情報として送信するよう前記サーバーに実行させる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の睡眠問題改善支援システム。
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