以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光モジュールの製造方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光モジュールにおける寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
(発光モジュールの構造)
本開示の実施形態の理解をより容易とするために、まず、本開示の導光体集合基板を用いて作製される発光モジュールの例を説明する。
図1は、本開示のある実施形態によって得られる発光モジュールの例示的な構成を示す。図1に示す発光モジュール200は、上面210aおよび上面210aとは反対側に位置する下面を有する導光体210と、導光体210の下面側に配置された複数の光源と、導光体210の下面を覆う光反射性部材240とを含む。後述するように、複数の光源のそれぞれは、1以上の発光素子を含んでいる。なお、図1には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印があわせて図示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。
発光モジュール200は、全体として板形状を有する。導光体210は、下面側に位置する複数の発光素子から出射する光を導光体210の内部で拡散させて上面210aから出射させる機能を有する。導光体210の上面210aは、発光モジュール200の発光面であり、典型的には、矩形状を有する。ここでは、上述のX方向およびY方向は、導光体210の矩形状の互いに直交する辺の一方および他方にそれぞれ一致している。上面210aの矩形状の一辺の長さは、例えば1cm以上50cm以下の範囲である。本開示の典型的な実施形態では、導光体210の上面210aの矩形状の一辺は、10mm以上30mm以下の長さを有する。上面210aの矩形状のX方向およびY方向に沿った長さは、例えば、それぞれおよそ24.3mmおよび21.5mmであり得る。以下では、X方向およびY方向をそれぞれ第1方向および第2方向と呼ぶことがある。
図1に例示する構成において、発光モジュール200は、各々が少なくとも1つの発光素子を含む複数の発光ユニット100の集合体である。図1に模式的に示すように、発光モジュール200は、この例では、2次元に配列された合計16個の発光ユニット100を含んでおり、ここでは、これら16個の発光ユニット100が4行4列に配置されている。発光モジュール200に含まれる発光ユニット100の数およびそれら発光ユニット100の配置は、任意であり、図1に示す構成に限定されない。例えば、発光モジュール200に含まれる発光ユニットの数が1つであってもよい。すなわち、発光モジュール200が1つの発光ユニット100から構成されることもあり得る。
図1に示す例において、各発光ユニット100は、導光体210の上面210aに位置する開口をその一部に含む第1穴部10を有する。後述するように、各発光ユニット100の光源は、第1穴部10の概ね直下の位置に配置される。この例では、合計で16個の光源が、X方向およびY方向に沿って4行4列に配列される。光源の配置ピッチは、例えば0.05mm以上20mm以下程度とすることができ、1mm以上10mm以下程度の範囲であってもよい。ここで、光源の配置ピッチとは、ある光源中の発光素子の光軸と、その光源に最近接の光源中の発光素子の光軸との間の距離のうち最小の距離を意味する。複数の光源は、発光モジュール200において等間隔に配置されてもよいし、不等間隔で配置されてもよい。光源の配置ピッチは、互いに異なる二方向の間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図2は、発光ユニット100を示す。図2では、発光ユニット100を発光ユニット100の中央付近で導光体210の上面210aに垂直に切断したときの断面と、導光体210の上面210a側から上面210aに垂直に見たときの発光ユニット100の例示的な外観とをあわせて1つの図に模式的に示している。
図2に例示する構成において、発光ユニット100は、第1穴部10が設けられた上面110aおよび上面110aとは反対側の下面110bを有する導光体110と、発光素子120を含む光源220と、第1穴部10の内部に位置する光調整部130とを含む。導光体110は、図1に示す導光体210の一部であり、導光体110の第1穴部10は、図1に表された複数の第1穴部10のうちの1つである。なお、導光体110は、発光モジュール200において互いに隣接する2つの発光ユニット100の間で連続した単一の導光板の形で形成され得る。
図2に例示する構成において、発光ユニット100は、導光体110の下面110b側に位置する光反射性部材140をさらに有する。光反射性部材140は、図1に示す光反射性部材240の一部である。この例では、光反射性部材140は、層状の基部140nと、導光体110の下面110b側から上面110a側に向かって立ち上がる壁部140wとを含む。図2の上段に示すように、光反射性部材140の壁部140wは、導光体110の下面110bに対向する傾斜面140sを有し得る。発光ユニット100の平面図に相当する図2の下段では、破線の矩形Bにより、壁部140wの内縁の位置を示している。ここでは、壁部140wの内縁が矩形状である例を示しているが、壁部140wの内縁は、円形状、楕円形状等の他の形状であってもよい。導光体110と同様に、光反射性部材140は、発光モジュール200において互いに隣接する2つの発光ユニット100にまたがって連続的に形成され得る。ここでは、光反射性部材140の下面140b上に配線層190が設けられている。
導光体110の第1穴部10は、上面110aの中央付近に形成されており、ここでは、第1穴部10は、概ね逆円錐体形状を有する第1部分11と、概ね逆円錐台形状を有する第2部分12とを含む。図示するように、第2部分12は、第1部分11よりも導光体110の上面110aのより近くに位置する。本実施形態では、第1穴部10の第1部分11に光調整部130が位置している。図2に例示する構成において、光調整部130は、第1穴部10の第1部分11の概ね全体を占める光反射性の部材である。
導光体110は、下面110b側の、第1穴部10と対向する位置に第2穴部20を有する。第2穴部20は、例えば四角錐台状を有する。典型的には、導光体110の下面110b側に位置する第2穴部20の中心は、上面110a側に位置する第1穴部10の中心に概ね一致させられる。
発光ユニット100において、光源220は、導光体110の上面110aに設けられた第1穴部10に対向して導光体110の下面110b側に配置される。図2に示す例では、導光体110の下面110b側に第2穴部20が設けられており、光源220は、平面視においてこの第2穴部20の内側に位置する。光源220の光軸は、第1穴部10の中心に概ね一致させられる。なお、この例では、第1穴部10と第2穴部20とが導光体110によって隔てられている。換言すれば、第1穴部10と第2穴部20との間に導光体110の一部が介在しているが、例えば、第2穴部20が第1穴部10と接続することにより、導光体110の下面110bから上面110aに達する貫通孔が導光体110に形成されてもよい。
(発光モジュールの製造方法)
次に、本開示のある実施形態による発光モジュールの製造方法を説明する。
図3は、発光モジュールの例示的な製造方法を示すフローチャートである。図3に例示する製造方法は、それぞれが導光体構造を有する複数のモジュール領域、一対の余白領域、および、複数のアライメントマークを含む導光体集合基板を準備する工程(ステップS1)と、複数のモジュール領域に対応して複数の光源を配置する工程(ステップS2)と、アライメントマークのそれぞれの位置を基準として、一対の余白領域の少なくとも一方を切断せずに残したまま導光体集合基板を切断する工程(ステップS3)とを含む。以下、各工程の詳細を説明する。
[導光体集合基板を準備する工程]
まず、導光体集合基板を準備する(図3のステップS1)。導光体集合基板は、作製によって準備されてもよいし、購入によって準備されてもよい。
図4および図5は、本開示の実施形態による製造方法に適用され得る導光体集合基板の例示的な外観を示す。図4は、導光体集合基板の上面図であり、図5は、導光体集合基板の底面図である。図6は、図4および図5のVI-VI線断面を模式的に示す。
図4~図6に示す導光体集合基板300は、主面300aと、主面300aとは反対側に位置する裏面300bとを有する透光性の基板である。本実施形態において、導光体集合基板300の外形は、平面視において長方形状である。なお、本明細書における「透光」および「透光性」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。
図4に模式的に示すように、導光体集合基板300は、1次元または2次元に配置された複数のモジュール領域310を有する。図4に例示する構成において、複数のモジュール領域310は、導光体集合基板300の主面300a上においてX方向およびY方向(第1方向および第2方向)に複数の行および列をなすように配置されている。この例では、合計で20のモジュール領域310が導光体集合基板300の主面300a上において4行5列に互いに間隔をあけて2次元に配置されている。言うまでもないが、複数のモジュール領域310の数および配置は、この例に限定されず、複数のモジュール領域310は、主面300a上において例えば1行および複数列をなすように1次元に配置されてもよい。
図4および図5に示すように、複数のモジュール領域310は、導光体集合基板300の主面300a上および裏面300b上において互いに間隔をあけて配置され得る。モジュール領域310のこのような配置の下では、導光体集合基板300の主面300aおよび裏面300bにおいて、各モジュール領域310の周囲には、余白領域311が位置する。つまり、ここでは、互いに隣接する2つのモジュール領域310の間に余白領域311が設けられている。導光体集合基板300のうち互いに隣接する2つのモジュール領域310に挟まれた領域の一部または全部は、後述する個片化の工程において切断によって除去され得る。
余白領域311は、主面300a上において4行5列に配置された複数のモジュール領域310の群の外側に位置する部分も有する。図4および図5に例示する構成において、余白領域311は、導光体集合基板300の長方形状の各辺に沿って設けられた4つの領域を含む。具体的には、余白領域311は、X方向に沿って延びる一対の第1余白領域311Tおよび311Bと、Y方向に沿って延びる一対の第2余白領域311Rおよび311Lとをその一部に含んでいる。第1余白領域311Tおよび311Bは、導光体集合基板300の主面300a上においてモジュール領域310の複数の列のY方向における両端よりも外側、換言すれば、上端よりも外側と下端よりも外側とにそれぞれ位置する。第2余白領域311Rおよび311Lは、導光体集合基板300の主面300a上においてモジュール領域310の複数の行のX方向における両端よりも外側、換言すれば、右端よりも外側と左端よりも外側とにそれぞれ位置する。
導光体集合基板300には、複数のモジュール領域310の位置を特定するための複数のアライメントマークが設けられる。本開示の実施形態において、導光体集合基板300は、少なくとも、第1方向に配列された複数の第1アライメントマークを主面300aに有する。第1アライメントマークは、一対の第1余白領域311Tおよび311Bの一方または両方に配置される。図4に示す例では、導光体集合基板300は、第1余白領域311Tに配置された第1アライメントマーク11tと、第1余白領域311Bに配置された第1アライメントマーク11uとを有する。
ここでは、第1アライメントマーク11tは、X方向に沿って並ぶ4つのマークを含み、同様に、第1アライメントマーク11uも、X方向に沿って並ぶ4つのマークを含んでいる。4つの第1アライメントマーク11tおよび4つの第1アライメントマーク11uのそれぞれは、X方向に関し、モジュール領域310の列31Cの配列に対応して、モジュール領域310の複数の列31Cのうち互いに隣接する一対の列31Cの間に対応した位置に設けられる。
この例では、4つの第1アライメントマーク11tおよび4つの第1アライメントマーク11uのそれぞれは、十字状のマークの形で導光体集合基板300の主面300aの余白領域(第1余白領域311T、311B)に形成されている。各第1アライメントマークのX方向に関する位置は、十字の中心の位置によって特定される。ここで、「アライメントマークが、モジュール領域の複数の列のうち互いに隣接する一対の列の間に対応した位置にある」とは、1次元または2次元に配置された複数のモジュール領域の行が延びる方向(例えばX方向)に関して、アライメントマークによって特定される位置がモジュール領域の2つの列の間にあることを指す。例えば図4に示す例では、各第1アライメントマークは、X方向に関し、互いに隣接する2つの列31Cの概ね中央に位置している。ただし、第1アライメントマークの位置は、この例に限定されない。例えば、第1余白領域311Tおよび/または311Bにおいて、モジュール領域310の矩形状の左端に位置する辺R1のY方向に沿った延長線上、および/または、矩形状の右端に位置する辺R2のY方向に沿った延長線上に第1アライメントマークが位置していてもよい。同様に、本明細書において、「アライメントマークが、モジュール領域の複数の行のうち互いに隣接する一対の行の間に対応した位置にある」とは、2次元に配置された複数のモジュール領域の列が延びる方向(例えばY方向)に関して、アライメントマークによって特定される位置がモジュール領域の2つの行の間にあることを指す。
上述したように、この例では、導光体集合基板300の第1アライメントマークは、余白領域311のうち第1余白領域311Tに配置された4つの第1アライメントマーク11tのセットと、余白領域311のうち第1余白領域311Bに配置された4つの第1アライメントマーク11uのセットとを有している。換言すれば、この例では、複数の第1アライメントマークは、それぞれが、第1余白領域311Tに配置された第1アライメントマーク11tのうちの1つと、第1余白領域311Bに配置された第1アライメントマーク11uのうちの1つとからなる4つのペアを含んでいる。これら第1アライメントマークのペアは、X方向に沿って配列されており、各ペアに含まれる2つの第1アライメントマーク11tおよび11uの位置を結ぶ直線は、ここでは、互いに隣接する2つの列31Cの左端と右端とをX方向に平行に結ぶ線分の垂直二等分線となっている。
図4に例示する構成において、導光体集合基板300は、複数の第1アライメントマークに加えて、主面300aに複数の第2アライメントマークも有している。第2アライメントマークは、一対の第2余白領域311Rおよび311Lの一方または両方に設けられる。図4に示す例では、第2余白領域311Lに、第2方向に沿って並ぶ3つの第2アライメントマーク12vが形成され、また、第2余白領域311Rにも、第2方向に沿って並ぶ3つの第2アライメントマーク12wが形成されている。導光体集合基板300の第2アライメントマークは、余白領域311のうち第2余白領域311Lに配置された3つの第2アライメントマーク12vのセットと、余白領域311のうち第2余白領域311Rに配置された3つの第2アライメントマーク12wのセットとを有しているといってもよい。
3つの第2アライメントマーク12vおよび3つの第2アライメントマーク12wのそれぞれは、Y方向に関し、モジュール領域310の行31Rの配列に対応して、モジュール領域310の複数の行31Rのうち互いに隣接する一対の行31Rの間に対応した位置に設けられる。ここでは、各第2アライメントマークは、Y方向に関し、互いに隣接する2つの行31Rの概ね中央に位置している。
また、この例では、導光体集合基板300は、さらに、複数のモジュール領域310の全体によって規定される長方形の角部に対応する位置に、それぞれが第3アライメントマーク13および第4アライメントマーク14を有する4つの組を有している。図4に示すように、第3アライメントマーク13は、X方向に関し、複数の第1アライメントマーク11tの配列または複数の第1アライメントマーク11uの配列の延長線上に位置する。また、Y方向に沿って並ぶ2つの第3アライメントマーク13を結ぶ直線は、例えば、主面300aにおいて左端に位置するモジュール領域310の辺R1の延長線または右端に位置するモジュール領域310の辺R2の延長線に概ね一致する。他方、第4アライメントマーク14は、Y方向に関し、複数の第2アライメントマーク12vの配列または複数の第2アライメントマーク12wの配列の延長線上に位置する。また、X方向に沿って並ぶ2つの第4アライメントマーク14を結ぶ直線は、例えば、主面300aにおいて上端に位置するモジュール領域310の上辺の延長線または下端に位置するモジュール領域310の底辺の延長線に概ね一致する。
本実施形態では、第1アライメントマーク11t、11u、第2アライメントマーク12v、12w、第3アライメントマーク13、および、第4アライメントマーク14のそれぞれは、導光体集合基板300の主面300a側に形成されている。しかしながら、これらのアライメントマークは、導光体集合基板300の裏面300b側に形成されてもよい。後述する、導光体集合基板300をその一部に含む複合基板の切断の工程において例えば画像認識によってアライメントマークを検出できれば、アライメントマークは、導光体集合基板300の主面300aおよび裏面300bのいずれの面に形成されてもよい。
第1アライメントマーク11t、11u、第2アライメントマーク12v、12w、第3アライメントマーク13、および、第4アライメントマーク14のそれぞれは、例えば射出形成を利用して形成した凸部または凹部の形で主面300aに設けられてもよいし、印刷等を利用して、主面300a上におけるモジュール領域310の位置を特定できるようなマークを主面300aに描いてもよい。アライメントマークのそれぞれの形状も、十字状、直線状、複数の図形を組み合わせた形状等の任意の形状であり得る。
[複数の光源を配置する工程]
次に、準備した導光体集合基板に複数の光源を配置する(図3のステップS2)。このとき、導光体集合基板300が複数のモジュール領域310を有することに対応して、LED等の発光素子を含む光源を各モジュール領域310に配置する。光源は購入によって準備されてもよい。
ここでは、発光素子120を含む上述の光源220を準備し、これら光源220を導光体集合基板300の裏面300b側に配置する。図7は、光源220の例示的な構成を模式的に示す。図7は、図2の上段に示す断面のうち光源220を取り出して拡大した図に相当する。
図7に示す例では、光源220は、発光素子120と、板状の透光性部材150と、透光性を有する接合部材160と、被覆部材170とを含む。透光性部材150は、蛍光体の粒子等を含有し得る。図7に例示する構成において、発光素子120は、素子本体122と、電極124とを有する。発光素子120は、上面120aを有し、透光性部材150の下面150bに上面120aが対向するようにして接合部材160によって透光性部材150に接合されている。被覆部材170は、透光性部材150の下面150bにおいて、発光素子120の上面120aの反対側に位置する電極124の下面124bを除き、発光素子120および接合部材160を覆っている。換言すれば、発光素子120のうち電極124の下面124bは、被覆部材170の下面170bから露出されている。
光源220は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、板状の透光性部材150Sを準備する。透光性部材150Sは、単層の部材に限定されず、積層構造を有していてもよい。透光性部材150Sは、光反射性の材料から形成された層を含んでいてもよいし、蛍光体の粒子を含有する層を含んでいてもよい。例えば、同一種類の蛍光体を含む複数の層を重ねることにより、透光性部材150Sの厚さを調整することが可能である。透光性部材150Sは、互いに異なる種類の蛍光体を含有する複数の層を含んでいてもよい。加えて、透光性部材150Sは蛍光体を含まない層を有してもよい。透光性部材150Sはこれらの層を適宜組み合わせて、所要の特性を得ることができる。
その後、図8に模式的に示すように、透光性部材150Sの一方の主面150b上の複数箇所に透光性の接着剤160Rを付与し、接着剤160Rが付与された各領域に発光素子120を配置する。このとき、発光素子120の電極124を透光性部材150Sの主面150bとは反対側に向けて、接着剤160Rが付与された各領域に発光素子120を配置する。複数の発光素子120は、透光性部材150Sの主面150b上に2次元に配置されてもかまわない。接着剤160Rの硬化により、接着剤160Rから接合部材160を形成して発光素子120を透光性部材150Sの主面150b側に固定することができる。
その後、透光性部材150Sの主面150b側に光反射性のフィラーを含有する樹脂組成物を付与し、樹脂組成物を硬化させることにより、発光素子120および接合部材160を覆う光反射性の被覆層170Tを形成する(図9参照)。被覆層170Tの形成後、研削加工などにより、図9に示すように、発光素子120の電極124の下面124bを被覆層170Tから露出させる。さらに、互いに隣接する発光素子120の間の位置(図9中に太い矢印DCで模式的に示す)で透光性部材150Sおよび被覆層170Tを切断することにより、それぞれが発光素子120を含む光源220を効率的に得ることができる。上述した工程から理解されるように、光源220中の透光性部材150および被覆部材170は、それぞれ、図9に示す透光性部材150Sおよび被覆層170Tの一部である。被覆部材170は、この例に限らず、蛍光体の粒子を含有する透光性の部材であってもよい。
本実施形態では、図10に模式的に示すように、導光体集合基板300の裏面300b側に位置する第2穴部20にディスペンサ等によって透光性の接着剤180Rを付与し、第2穴部20の内部にさらに光源220を配置する。各モジュール領域310の複数の第2穴部20のそれぞれに、複数の光源220の1つを配置する。このとき、導光体集合基板300のうちモジュール領域310に含まれる部分に、対応する発光素子120から出射する光が入射するように、透光性部材150の下面150bとは反対側の上面150aが第2穴部20の底部に対向するようにして第2穴部20の内部に光源220を配置する。
第2穴部20の内部に光源220が配置された状態において、接着剤180Rは、光源220の側面を構成する、透光性部材150の側面および被覆部材170の側面の少なくとも一部を覆う。光の照射、加熱等によって接着剤180Rを硬化させることにより、その一部が第2穴部20の内部に位置する第2の接合部材180を接着剤180Rから形成することができる。光源220は、接合部材180によって導光体集合基板300の裏面300b側に接合される。これにより、各モジュール領域310において透光性部材150が第2穴部20の底部に位置することとなり、導光体構造である導光体110内に、発光素子120から出射された光を透光性部材150を介して入射させることが可能になる。第2穴部20に配置された発光素子120から出射した光は、対応するモジュール領域310内を透過して、第1穴部10を含む主面300a側から出射する。
光源220が導光体集合基板300に接合された状態において、光源220中の発光素子120は、対応するモジュール領域310の第1穴部10の概ね直下に位置する。各モジュール領域310に配置される光源220は、2以上の発光素子を含んでいてもよい。
次に、未硬化の状態にある、光反射性部材140の材料を導光体集合基板300の裏面300b側にディスペンサ等で付与し、付与された材料を光の照射、加熱等によって硬化させることにより、光反射層340を形成する(図11参照)。光反射層340の形成には、射出成型、トランスファー成型等を適用できる。図11に模式的に示すように、ここでは、導光体集合基板300の裏面300bの全体を覆うように光反射層340を形成する。光反射層340は、上述の光反射性部材140が複数のモジュール領域310にわたって形成された構造であるといってよい。光反射層340は、各第2穴部20に位置する接合部材180の表面をも覆う。なお、導光体集合基板300の裏面300b側にアライメントマークが設けられている場合、光反射層340は、導光体集合基板300の裏面300bのうちアライメントマークが設けられた領域を除く領域を覆う形状で形成される。
必要に応じて、光反射層340に対して研削加工等を実行してもよい。光反射層340の薄化により、光反射層340の下面340bの位置を発光素子120の電極124の下面124bの位置に揃え、光源220中の発光素子120の電極124を光反射層340から露出させることができる。
導光体集合基板300を準備する工程以降のいずれかの段階において、光調整部130の形成を実行してもよい。例えば、導光体集合基板300を準備した後、未硬化の状態にある、光調整部130の材料を第1穴部10の例えば第1部分11に付与し、付与された材料を硬化させてもよい。これにより、第1穴部10に位置する光調整部130を形成することができる。その後、第2穴部20の内部への光源220の配置および光反射層340の形成が実行され得る。光調整部130形成の工程は、光反射層340形成の前後のいずれであってもよい。
ここでは、さらに、光反射層340の下面340b上に配線層190を形成する。以上の工程により、それぞれが発光素子120および導光体構造を含む複数のモジュール領域310を有する複合基板が完成する。
[導光体集合基板を切断する工程]
次に、得られた複合基板を切断する。このとき、一対の第1余白領域の少なくとも一方を切断せずに残したまま導光体集合基板を切断する(図3のステップS3)。
本実施形態では、まず第2方向に沿った切断を実行し、その後、第1方向に沿った切断を実行する。導光体集合基板300をその一部に含む複合基板の切断には、半導体樹脂パッケージ、半導体基板等の、半導体装置の製造工程に用いられる切断装置を適用できる。切断装置は、回転刃を備えていてもよいし、直線刃を備えていてもよい。以下では、直線刃を備える切断装置を複合基板の切断に適用した例を説明する。
複合基板の切断の工程においては、まず、複合基板を切断装置のステージに配置する。このとき、例えば、真空吸着によって複合基板を切断装置のステージに一時的に固定する。リングフレームに支持された粘着テープ等の所定の位置に複合基板を固定し、粘着テープに支持された複合基板を切断装置のステージ上に配置してもよい。ここでは、第1アライメントマーク11t、11u、第2アライメントマーク12v、12w、第3アライメントマーク13、および、第4アライメントマーク14が導光体集合基板300の主面300a側に位置しているので、導光体集合基板300の主面300aが上になるようにして複合基板を切断装置のステージ上に配置する。
図12は、複合基板を切断装置のステージ上に一時的に固定した状態を模式的に示す。図12に例示する構成において、切断装置は、第1直線刃510および第2直線刃520を含む複数の直線刃500を有している。第1直線刃510および第2直線刃520のそれぞれの刃先が延びる方向は、平行である。これら直線刃500は、ボールねじ等を含む駆動機構によって切断装置内において図のZ方向に沿って移動可能に構成されている。ここでは、複合基板400の第2方向に沿った切断に第2直線刃520を用い、第1方向に沿った切断に第1直線刃510を用いる。図12に例示する構成において、第2直線刃520の長さは、第1直線刃510の長さよりも小さい。
本実施形態では、複数の第1アライメントマーク(ここでは第1アライメントマーク11t、11u)のそれぞれの位置を基準として、互いに隣接する2つの列31Cの間の位置で第2方向(ここではY方向)に沿って複合基板400を切断する。この例では、導光体集合基板300の主面300aは、第1余白領域311Tに位置する複数の第1アライメントマーク11tのセットと、第1余白領域311Bに位置する複数の第1アライメントマーク11uのセットとを有している。したがって、これら2つのセットに含まれる、複数の第1アライメントマーク11t、11tのそれぞれの位置を、切断の位置を決定するための基準として利用することができる。
具体的には、切断装置に搭載された撮像装置によって導光体集合基板300を主面300a側から撮影し、画像認識を利用して、取得した画像中のアライメントマークの位置を取得する。例えば、複数の第1アライメントマーク11tのうちの1つと、その1つに対応する、複数の第1アライメントマーク11uのうちの1つとを検出し、これらを結ぶ線が切断装置上のY軸の平行となるようにステージを適宜回転させる。さらに、第2直線刃520の刃先がこれら第1アライメントマーク11tおよび11uを結ぶ線の直上に位置するように、切断装置上のX軸に沿ってステージを適宜移動させる。その後、導光体集合基板300の主面300aとは反対側に位置する光反射層340の下面340bに達するまで第2直線刃520を切断装置上のZ軸に沿って降下させることにより、複合基板400を第2方向に沿って切断することができる。
このとき、図12に破線で模式的に示すように、第2直線刃520の刃先は、それぞれが1以上のモジュール領域310を含む複数の列31Cのうちの2つの間に降下される。この例では、互いに隣接する2つの列31Cの間の複数の領域のそれぞれには余白領域311の一部が位置しており、第2直線刃520の刃先は、余白領域311のうち互いに隣接する2つの列31Cの間の各領域に向けて降下される。
なお、アライメントマークが導光体集合基板300の裏面300b側に位置する場合には、導光体集合基板300の裏面300bが上になるようにして複合基板400を切断装置のステージ上に配置し、切断を実行すればよい。ただし、本発明者の検討によると、導光体集合基板300と光反射層340との間の材料の違いから、直線刃を複合基板400の導光体集合基板300側に対向させて切断を実行した方が、直線刃を光反射層340に対向させた場合と比較して、切断に起因するひびが発生しにくい傾向がある。そのため、切断に起因する導光体集合基板300の割れを抑制する観点からは、導光体集合基板300の主面300aが上になるようにして複合基板400の切断を実行する方が有利であり得る。
図13は、第2方向に沿った切断の工程における複合基板の切断の位置を示す。この例では、切断により、余白領域311のうち互いに隣接する2つの列31Cの間に位置する領域314のそれぞれに、第1アライメントマーク11tと対応する第1アライメントマーク11uとを結ぶ直線状の開口CTを形成している。図13に模式的に示すように、複合基板400中の導光体集合基板300は、開口CTの位置で第2方向に沿って切断される。切断装置のステージをX軸方向に移動させながら、第1アライメントマーク11tおよび11tのペアの検出と、第2直線刃520の降下とを繰り返すことにより、第1方向に関して複数の列31Cを互いに分離させることができる。必要に応じて、第1アライメントマーク11tおよび11uのペアの検出ごとに、これら第1アライメントマーク11tおよび11uを結ぶ方向と第2直線刃520の刃先の延びる方向とが平行となるように、Z軸周りのステージの角度の調整を実行してもよい。なお、ここでは、第2余白領域311Lおよび311Rのそれぞれにも、2つの第3アライメントマーク13を結ぶようにして第2方向に延びる開口CTを形成している。
その後、ステージを90°回転させ、第1方向に沿った切断を実行することにより、図1および図2に示す、それぞれが上面視において矩形状を有する複数の発光モジュール200が得られる。ここで、本実施形態では、図13に示すように、第2方向に沿った切断の工程において、導光体集合基板300の第2方向に関する両端に位置する一対の第1余白領域311Tおよび311Bのうちの少なくとも一方を切断せずに残すようにして、複合基板の切断を実行している。換言すれば、本開示の実施形態では、1回の切断において第1余白領域311Tおよび311Bの両方が第2直線刃520によって切断されてこれらの領域のそれぞれが複数の部分に分割されることはない。
図13に示す例では、複合基板400の、第2方向に沿った切断において第1余白領域311Tおよび311Bの両方を切断せずにこれらのそれぞれを単一の連続した領域の状態で残している。したがって、複数の列31Cの間の相対的な位置関係は、複合基板400の、第2方向に沿った切断の前後で変化しない。そのため、それぞれがX方向に並ぶ5つのモジュール領域310を含む複数の行31Rと、第2余白領域311Lおよび311Rにそれぞれ位置する第2アライメントマーク12vおよび12wとの間に位置のずれが生じることを回避できる。換言すれば、第1方向(例えばX方向)に沿った切断の工程における、第2アライメントマーク12vおよび12wを利用した第1方向に関する切断位置のアライメントずれを回避し得る。
複合基板の個片化の工程において、例えば直線刃の刃先を複合基板に押し付けることによって複合基板の切断を実行すると、複合基板は、平面視において、刃先の延びる方向とは垂直の方向の力を受ける。そのため、切断によって分離される2つの基板片は、切断装置のステージ上で、刃先の延びる方向とは垂直の方向に押し広げられる。第2方向に沿った複合基板の切断の工程において、もし、複合基板のY方向における長さよりも長い直線刃でY方向に沿った切断を実行したとすると、切断によって生じる複数の基板片に、刃先の延びる方向とは垂直の方向だけでなく刃先の延びる方向に平行なシフトが生じることがある。
図12に示す例において、仮に、第2直線刃520に代えて、複合基板400のY方向における長さよりも長い直線刃でY方向に沿った切断を実行したとする。この場合、Y方向に沿った切断によって複合基板400からそれぞれが短冊状の5つの基板片と、第2余白領域311Lおよび311Rにそれぞれ対応する2つの端材とが生じることになる。5つの基板片のそれぞれは、Y方向に沿って並ぶ4つのモジュール領域310を含み、2つの端材のそれぞれは、複数の第2アライメントマーク12vのセットまたは複数の第2アライメントマーク12wのいずれかを含む。それぞれが独立した短冊状の複数の部材が生じる、このような切断の方法では、Y方向に関して、各基板片の中心の位置、および、各端材の中心の位置が、一致しないことがある。
そのため、第1余白領域311Tおよび311Bの両方を完全に切断するようにしてY方向に沿って複合基板400を切断すると、X方向において5つの基板片の両側に位置する2つの端材の間でこれらの中心の位置が一致しないことがあるために、2つのアライメントマークを結ぶ直線は、X方向に対して平行にならない。すなわち、第1方向に沿った、基板片の切断によって得られる個々のモジュールの外形の角部の角度が90°からずれ得る。また、一方の端材上の第2アライメントマーク12vと、そのマークに対応する、他方の端材上の第2アライメントマーク12wとを結ぶ直線が、一部のモジュール領域310と重なってしまうことも起こり得る。つまり、各基板片の中心がY方向に関して種々の位置にあるために、X方向の切断によって損傷をうけるモジュール領域310が発生する可能性がある。
これに対し、本開示の実施形態では、図13に例示するように、一対の第1余白領域311Tおよび311Bの少なくとも一方を切断せずに残したまま、第2方向に沿った複合基板400の切断を実行する。換言すれば、第2方向に沿った複合基板400の切断が完了した段階において、互いに分離された複数の基板片が生じることはない。そのため、第2方向に沿った複合基板400の切断の実行後においても、複数のモジュール領域310と、第2余白領域311L、311Rに位置する第2アライメントマーク12v、12wとの間のY方向に関する位置関係にずれが生じない。したがって、複数の第2アライメントマーク12v、12wを基準とした切断において、複合基板400の所期の位置で複合基板400を第1方向に沿って切断できる。換言すれば、所期の寸法、形状を有する複数の発光モジュールを効率的に得ることができる。特に、発光モジュールの上面視における形状の角部の角度の直角からのずれを抑制できるので、本開示の実施形態は、正方形状または長方形状を有する発光モジュールの製造に有利である。
図14は、第2方向に沿った切断後の、第1方向に沿った切断の工程における複合基板の切断の位置を示す。本実施形態では、ステージを90°回転させた後、複数の第2アライメントマーク12vおよび12wのそれぞれの位置を基準として、複数のモジュール領域310の複数の行31Rのそれぞれの間において、導光体集合基板300および光反射層340をX方向に沿って切断する。
ここでは、第1方向に沿った切断に、直線刃500のうち第1直線刃510を用いる。第2アライメントマーク12vおよび12wのペアの検出、ならびに、第1直線刃510の降下を、切断装置のステージをY軸方向に移動させながら繰り返し実行することにより、第2方向に関して複数のモジュール領域310を互いに分離させることができる。ここでは、第2余白領域311Rに位置する第4アライメントマーク14と、対応する第2余白領域311Lに位置する第4アライメントマーク14とを結ぶ直線に沿った切断も実行している。
図14に示す例では、切断により、余白領域311のうち互いに隣接する2つの行R31の間に位置する領域313のそれぞれに、第2アライメントマーク12vと、それに対応する第2アライメントマーク12wとを結ぶ直線状の開口CUを形成している。また、ここでは、第1余白領域311Tおよび311Bのそれぞれにも、2つの第4アライメントマーク14を結ぶようにして開口CUを形成している。これにより、導光体集合基板300および光反射層340から導光体210および光反射性部材240をそれぞれ形成して、図1に示す、それぞれが上面視において矩形状を有する複数の発光モジュール200が得られる。
図14に示す開口CTおよび開口CUの形状から理解されるように、本実施形態では、第1方向に沿った切断に適用される第1直線刃510の刃先の長さは、第2方向に沿った切断に適用される第2直線刃520の刃先の長さと異なっている。この例では、複合基板400は、平面視においてY方向よりもX方向に長い長方形状を有している。このような場合、複合基板400を第2方向に沿って切断する工程で使用する直線刃の長さと比較して、複合基板400を第1方向に沿って切断する工程で使用する直線刃の長さを大きくすることにより、導光体集合基板300に形成された複数の列31Cの全体にわたって複数の列31Cを一括して切断できる。
また、複合基板400を第2方向に沿って切断する工程で使用する直線刃の長さを必要以上に長くしないことにより、複合基板400を第2方向に沿って切断する工程において、一対の第1余白領域311Tおよび311Bのうちの少なくとも一方を切断せずに残すことができる。第1方向および第2方向のうち、先に切断を実行する方向に関して、複合基板に形成される開口の長さが相対的に短いことにより、複合基板に開口が形成された状態でも複数のモジュール領域310の間の位置ずれの発生を抑制し得る。したがって、所望の形状の複数の発光モジュール200を効率的に得ることが可能になる。
なお、複合基板の切断の工程において、直線刃の押し付けによって透光基板にひびが生じることがあり得る。本発明者の検討によると、ひびは、直線刃の押し付けによって形成された直線状に延びる開口の特に端部付近に生じやすい。切断に起因するひびが複合基板の外縁の位置に外縁に達すると、導光体集合基板に割れが発生してしまう。このような観点から、複合基板400の外縁から開口CTまたは開口CUの端部までの距離が3mm未満とならないように複合基板400の切断を実行すると有益である。複合基板400の外縁から開口CTの端部までの距離(図14中に両矢印Dsで示す)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上である。複合基板400の外縁から開口CUの端部までの距離についても同様のことがいえる。
図15は、複合基板400の切断の他の方法を模式的に示す。図15に示すように、第2直線刃520を用いた第2方向に沿った切断に先立ち、複合基板400に複数の貫通孔52を形成しておいてもよい。複数の貫通孔52のそれぞれは、第1余白領域311Tに位置する第1アライメントマーク11tと、第1余白領域311Bに位置する、対応する第1アライメントマーク11uとを結ぶ仮想的な直線上に位置する。図15に示すように、これら貫通孔52のペアは、Y方向に4つ並んだモジュール領域310の中心に関して概ね対称の位置に設けられる。図15に例示するように、複数の貫通孔52は、第1余白領域311Tに位置する第3アライメントマーク13と、第1余白領域311Bに位置する、対応する第3アライメントマーク13とを結ぶ仮想的な直線上にも設けられ得る。
図16および図17を参照しながら、複合基板400に設けられ得る複数の貫通孔52の配置を説明する。各貫通孔52は、複合基板400において複数のモジュール領域310および複数のアライメントマークのいずれにも重ならない位置に形成される。Y方向に関し、貫通孔52は、Y方向に4つ並んだモジュール領域310の外縁よりも外側に位置する。図16に示す例では、貫通孔52は、第1アライメントマーク11uと第1アライメントマーク11tを結ぶ線分よりもさらに外側に位置している。
ここで、説明の便宜のため、複合基板400においてX方向あるいはY方向に沿って並ぶ複数のモジュール領域310の最外周によって規定される長方形状の領域を「製品領域PA」と呼ぶことにする。図16中の両矢印D1は、製品領域PAのY方向に関する長さを表す。図16中の両矢印D2は、Y方向に沿って並ぶ2つの貫通孔52の中心間距離を表す。Y方向に沿って並ぶ2つの貫通孔52は、複合基板400においてY方向に関して少なくとも製品領域PAよりも所定の距離だけ離れた位置に形成される。すなわち、D2>D1の関係が成立する。この例では、2つの貫通孔52が、第1アライメントマーク11uと第1アライメントマーク11tとを結ぶ線分よりもさらに外側に位置している。しかしながら、貫通孔52の配置は、この例に限定されず、図17に例示するように、D2>D1の関係が満足される限りにおいて、第1アライメントマーク11uと第1アライメントマーク11tとを結ぶ線分上であってもよい。すなわち、貫通孔52は、第1アライメントマーク11uと第1アライメントマーク11tとの間の位置に形成されることもあり得る。
Y方向に沿った2つの貫通孔52の配置は、第2直線刃520の刃先の長さに応じて決定される。より具体的には、第2直線刃520の刃先の両端がこれらの貫通孔52と重なるように、2つの貫通孔52の配置および中心間距離が決められる。すなわち、第2方向に沿った複合基板400の切断において、第2直線刃520の刃先の端部は、貫通孔52の内部を通る。
一般に、直線刃の刃先の両端は、直線刃の中央部と比較して形状面での精度(例えば断面プロファイルにおける刃先の形状)において劣る傾向がある。そのため、切断に起因するひびは、複合基板400において直線刃の刃先の端部が押し付けられた位置を起点として生じることが多い。この例のように、刃先の端部が貫通孔52の位置を通るようにして複合基板400に予め複数の貫通孔52を設けておくことにより、第2方向に沿った複合基板400の工程において刃先の端部の位置を起点とするひびの発生を効果的に抑制し得る。これにより、ひいては、複合基板400の外縁に達するような複合基板400の割れまたは導光体集合基板300の割れの発生を回避することが可能になる。
第2直線刃520の刃先の長さは、第2直線刃520を導光体集合基板300の主面300aに押し付けたときに刃先の端部が製品領域PAから少なくとも1mm以上離れた場所に位置する大きさとされる。図16、図17中の両矢印D3は、第2直線刃520の刃先の位置から、X方向に延びる製品領域PAの外縁のうち、より近い方の外縁までの距離を表す。図16および図17のうち図17は、第1アライメントマーク11t、11uよりも内側に2つの貫通孔52が配置された例を示す。図17中の両矢印D3の長さは、図16中の両矢印D3の長さよりも小さい。第2直線刃520の長さは、製品領域PAの幅を示す両矢印D1の長さに両矢印D3の長さの2倍を加えた長さに等しい。なお、この長さは、2つの貫通孔52の中心間距離を示す両矢印D2の長さと概ね等しいといってよい。
複数の貫通孔52は、例えば金型を用いたパンチングによって形成できる。あるいは、ドリル、レーザを用いた孔あけ加工により、複数の貫通孔52を形成してもよい。各貫通孔52は、平面視において例えば円形状を有する。刃先の端部が貫通孔52の位置を通るようにする観点から、貫通孔52の円形状の直径は、典型的には、第2直線刃520の厚さの5倍以上とされる。貫通孔52の形状は、円形に限らず、楕円、多角形等の他の形状であってもよい。また、形状に関わらず、平面視における貫通孔52の最大幅が第2直線刃520の厚さの5倍以上であることが有益である。
第1方向に沿った複合基板400の切断に先立ち、複合基板400への複数の貫通孔52の形成に代えて、あるいは、図18に例示するように、複数の貫通孔52の形成に加えて、一対の第2余白領域311Rおよび311Lに複数の貫通孔51を形成しておいてもよい。図18に示す例のように、導光体集合基板300の主面300aのうち第1直線刃510を押し付けたときに刃先の端部が触れる位置に複数の貫通孔51を設けておくことにより、第1方向に沿った切断に起因して第1直線刃510の刃先の両端の位置を起点としたひびの発生を回避し得る。なお、複合基板400への複数の貫通孔51の形成は、第2方向に沿った複合基板400の切断の工程の前に実行されてもよいし、第2方向に沿った複合基板400の切断の工程と第1方向に沿った複合基板400の切断の工程との間に実行されてもかまわない。
製品領域PAと、複数の貫通孔51との間の配置関係は、上述の、製品領域PAと、複数の貫通孔52との間の配置関係と同様であり得る。すなわち、複数の貫通孔51のそれぞれは、第2余白領域311Rに位置する第2アライメントマーク12wと、第2余白領域311Lに位置する、対応する第2アライメントマーク12vとを結ぶ仮想的な直線上であって、X方向に関して製品領域PAの外縁から少なくとも1mm離れた位置に設けられる。図18に示すように、X方向に沿って並ぶ2つの貫通孔51の中心間距離は、第2アライメントマーク12wと、対応する第2アライメントマーク12vとの間の距離よりも大きくてもよい。あるいは、貫通孔51は、第2アライメントマーク12wと第2アライメントマーク12vを結ぶ線分上に位置していてもよい。この例では、第2余白領域311Rに位置する第4アライメントマーク14と、第2余白領域311Lに位置する、対応する第4アライメントマーク14とを結ぶ仮想的な直線上にも貫通孔51を形成している。
X方向に沿った2つの貫通孔51の配置は、第1直線刃510の刃先の長さに応じて決定され、第1方向に沿った複合基板400の切断において、第1直線刃510の刃先の端部は、貫通孔51の内部を通る。第1直線刃510の長さは、X方向に沿った製品領域PAの幅に、製品領域PAの外縁から貫通孔51の中心までの距離の2倍を加えた長さに概ね等しい。
複数の貫通孔52と同様に、複数の貫通孔51のそれぞれの形状は、第1直線刃510の厚さに対して5倍以上の直径を有する円形状であり得る。貫通孔51および貫通孔52のそれぞれの形状は、真円に限定されず、楕円、歪んだ円等であってもよい。第2方向に沿った複合基板400の切断と同様に、第1直線刃510の刃先の両端の位置を起点としたひびの発生をより効果的に回避する観点からは、第1方向に沿った切断において、第1直線刃510の刃先の端部が貫通孔51の概ね中心の位置を通ることが好ましい。
複合基板400の外縁に達するような複合基板400の割れの発生を抑制する観点から、複数のモジュール領域310の集合の外側に予め複数の溝部を形成しておいてもよい。図19に示す例では、直線刃を利用した複数のモジュール領域310の分離に先立ち、導光体集合基板300の主面300a側に複数の溝部61~66を形成している。これらのうち、溝部61および溝部62は、第2余白領域311Lに位置し、Y方向に沿って直線状に延びている。溝部63および溝部64は、第2余白領域311Rに位置し、溝部61、62と同様にY方向に沿って直線状に延びている。他方、溝部65および溝部66は、第1余白領域311Tおよび第1余白領域311Bにそれぞれ位置しており、X方向に沿って直線状に延びている。
溝部61~66のそれぞれは、導光体集合基板300の主面300aに例えば直線刃を押し付けることにより形成される構造である。溝部61~66の形成においては、これらの溝部を形成するための直線刃を、複合基板400の、導光体集合基板300の主面300aとは反対側の主面(以下、単に複合基板400の裏面と呼ぶことがある。)には到達させない。溝部61~66のそれぞれは、あるいは、回転刃を用いたダイシング、ビットを用いた機械加工、レーザ加工等によって複合基板400に形成されてもよい。
この例では、溝部61および溝部62は、複数のモジュール領域310に対して第2アライメントマーク12vよりも遠くの位置に設けられており、溝部63および溝部64も、複数のモジュール領域310に対して第2アライメントマーク12wよりも遠くの位置に設けられている。また、溝部65は、複数のモジュール領域310に対して第1アライメントマーク11tよりも遠くの位置に設けられており、溝部66は、複数のモジュール領域310に対して第1アライメントマーク11uよりも遠くの位置に設けられている。
図20は、複数の溝部61~66の形成後、複数の開口CUおよびCTが形成された状態の複合基板400を模式的に示す。図20から理解されるように、X方向に延びる複数の開口CUおよびY方向に延びる複数の開口CTは、基本的にこれらの溝部によって規定される矩形状の領域の内側に形成される。直線刃を利用した複数のモジュール領域310の分離に先立って複合基板400の導光体集合基板300側の一部を除去しておくことにより、第2方向あるいは第1方向に沿った複合基板400の切断において刃先の端部の位置を起点とするひびが発生したとしても、ひびの進行をこれらの溝部の位置で止めることが可能になる。複合基板400の余白領域に予め複数の溝部を設けておくことにより、複合基板400の外縁に達するような複合基板400の割れの発生を抑制する効果が期待できる。
上述の複数の溝部61~66は、例えば溝部61、62、63、64、65および66の順に複合基板400に形成され得る。なお、この例では、第2余白領域311Lに2本の溝部61、62を形成し、また、第2余白領域311Rに2本の溝部63、64を形成している。しかしながら、複数の溝部の構成は、この例に限定されない。導光体集合基板300の主面300a側の溝部は、基本的には、複数の開口CUおよびCTが形成される領域を取り囲むように設けられる。したがって、例えば、溝部61よりも内側の溝部62、および、溝部64よりも内側の溝部63の形成が省略されることもあり得る。
溝部61~66のそれぞれの幅は、複数の開口CUおよびCTに接触しない範囲で任意に設定可能である。溝部61~66のそれぞれの深さは、複合基板400の厚さ、換言すれば、導光体集合基板300の主面300aから複合基板400の裏面までの距離の30%以上70%以下程度の範囲であり得る。
再び図14を参照する。図14を参照しながら説明した例では、第1方向に沿った切断の工程において、導光体集合基板300の第1方向に関する両端に位置する一対の第2余白領域311Rおよび311Lの両方を完全に切断せずに残すようにして、複合基板400の切断を実行している。しかしながら、この例に限定されず、図21に例示するように、一対の第2余白領域311Rおよび311Lのうちの一方を選択的に残すようにして複合基板400の切断を実行してもよい。図21に示す例では、X方向に延びる複数の開口CUのそれぞれの一端は、導光体集合基板300の長方形状の第2余白領域311L側の1辺に達している。すなわち、この例では、一対の第2余白領域311Rおよび311Lのうち第2余白領域311Lを切断しながらも第2余白領域311Rを切断せずに残している。
本開示の実施形態では、第2方向に沿った切断の工程において、導光体集合基板300の第2方向に関する両端に位置する一対の第1余白領域311Tおよび311Bの少なくとも一方は、切断されずに残される。そのため、第2方向に沿った切断の工程に続く、第1方向に沿った切断の工程において、一対の第2余白領域311Rおよび311Lの片方を切断したとしても、複数のモジュール領域310が一対の第1余白領域311Tおよび311Bの少なくとも一方から分離されていない状態で第1方向に沿った切断を実行できる。したがって、発光モジュール200の上面視における外形が正方形または長方形から大きくずれることを回避し得る。このように、一対の第2余白領域311Rおよび311Lのうちの少なくとも一方を切断せずに残したまま、複合基板400を第1方向に沿って切断することにより、発光モジュール200の上面視における外形が正方形または長方形から大きくずれることを回避する効果が得られる。
あるいは、図22に例示するように、第1方向に沿った複合基板400の切断の工程において、一対の第2余白領域311Rおよび311Lの両方を切断してもよい。このような構成によっても、モジュール領域310の複数の列31Cのそれぞれが第1余白領域311Tおよび311Bの少なくとも一方に結合された状態(図13参照)で複数の列31Cの切断が実行される。すなわち、第2方向に関して、複数のモジュール領域310と、第2アライメントマーク12vおよび12wならびに第4アライメントマーク14との間の配置関係に極端なずれは基本的に生じない。したがって、複数の第2アライメントマーク12vおよび12wのそれぞれの位置を基準として、第1方向に沿った切断を実行することにより、発光モジュール200の上面視における外形が正方形または長方形から大きくずれることを回避可能である。
第1方向に沿った複合基板400の切断に先立って実行される、第2方向に沿った複合基板400の切断の工程において、図23に示すように、一対の第1余白領域311Tおよび311Bのうちの一方を切断してもよい。図23は、一対の第1余白領域311Tおよび311Bのうち、第1余白領域311Tを切断せずに残したまま、第1余白領域311Bを第2方向に沿って切断する例を示している。
図13を参照しながら説明した例と同様に、この例でも、複数のモジュール領域310と、第2アライメントマーク12vおよび12wならびに第4アライメントマーク14との間の配置関係を維持させたまま、モジュール領域310の複数の列31Cを互いに分離させることができる。したがって、これまでに説明した各例と同様に、発光モジュール200の上面視における外形が正方形または長方形から大きくずれることを回避し得る。
上述した実施形態では、第1方向に沿った切断の工程においては、余白領域311のうち互いに隣接する2つの行R31の間に位置する領域(第3余白領域)のそれぞれに開口CUを形成し(図14参照)、第2方向に沿った切断の工程においては、余白領域311のうち互いに隣接する2つの列31Cの間に位置する領域314(第4余白領域)のそれぞれに開口CTを形成している(図13参照)。換言すれば、上述した実施形態では、導光体集合基板300は、モジュール領域310の複数の行R31のそれぞれの間に位置する複数の第3余白領域と、モジュール領域310の複数の列31Cのそれぞれの間に位置する複数の第4余白領域とを含んでいる。しかしながら、導光体集合基板300が、複数のモジュール領域310の列が延びる方向(列方向)に互いに隣接する2つのモジュール領域310の間および複数のモジュール領域310の行が延びる方向(行方向)に互いに隣接する2つのモジュール領域310の間にそれぞれ第3余白領域および第4余白領域を有することは、本開示の実施形態において必須ではない。
図24および図25は、それぞれ、複数のモジュール領域310の配列の他の例を示す。図24に例示する構成では、導光体集合基板300Aの主面300a上において、複数のモジュール領域310の複数の行R31のそれぞれは、隣接するモジュール領域310の行と接して配置されている。換言すれば、図24に示す導光体集合基板300Aは、第4余白領域としての領域314を有する反面、第3余白領域としての領域313を有していない。図25に例示する構成では、導光体集合基板300Bの主面300a上において、複数のモジュール領域310の複数の列31Cのそれぞれは、隣接するモジュール領域310の列と接して配置されている。換言すれば、図25に示す導光体集合基板300Bは、第3余白領域としての領域313を有する反面、第4余白領域としての領域314を有していない。なお、導光体集合基板が第3余白領域および第4余白領域のいずれも有しないこともあり得る。
(発光モジュール200の応用例)
ここで、発光モジュール200の応用例を説明する。発光モジュール200は、単独で用いることも可能であるが、以下に説明するように、複数の発光モジュール200の集合を例えばバックライトモジュールに適用することも可能である。
図26は、複数の発光モジュール200を2次元に配置した例を示す。複数の発光モジュール200を2次元に配置することにより、より大面積の発光面が得られる。
図26に示す面状光源600は、図1に示す発光モジュール200を複数個有する。図26は、発光モジュール200を8行16列に配置した例であり、発光モジュール200の2次元配列を導光体210の上面210a側から見た外観を模式的に示している。ここでは、導光体210の上面210aの法線方向から見たときの各導光体210の上面210aの形状は、長方形状であり、面状光源600の発光面としての導光体210の上面210aの集合も、全体として長方形状である。面状光源600は、導光体210の上方に拡散シート、プリズムシート等の光学シートをさらに有していてもよい。
各発光モジュール200の縦方向の長さLおよび横方向の長さWが、例えばそれぞれおよそ24.3mmおよび21.5mmである場合、図26に示す発光モジュール200の配列は、アスペクト比が16:10の、15.6インチのスクリーンサイズに適合している。例えば、図26に示す面状光源600は、15.6インチのスクリーンサイズを有するラップトップパソコンのバックライトユニットに好適に用いることができる。
面状光源600において、行方向または列方向において隣接する2つの発光モジュール200の導光体210は、典型的には、互いに直接に接触する。このような構成において、発光モジュールの矩形状の外形の角が直角からずれていると、隣接する2つの発光モジュール200の間で隙間が生じる結果、発光面において発光モジュール200の境界の位置に暗線が発生し得る。
しかしながら、本開示の実施形態による製造方法では、導光体集合基板の第2方向に関する両端に位置する一対の第1余白領域311Tおよび311Bの少なくとも一方を切断せずに残した状態で、第2方向に沿った切断を実行することによって複数の発光モジュール200を得ている。その結果、第2方向に沿った切断の工程が完了した時点においても、複数のモジュール領域310と、第2アライメントマーク12vおよび12wならびに第4アライメントマーク14との間の配置関係が維持される。その結果、発光モジュール200の上面視における外形が正方形または長方形から大きくずれることが抑制される。これは、複数の発光モジュール200を隙間なく2次元に配列することを容易にする。
この例では、各発光モジュール200の上面である、導光体210の上面210aの集合が発光面を構成する。そのため、面状光源600に含まれる発光モジュール200の数を変更したり、発光モジュール200の配置を変更したりすることにより、スクリーンサイズの異なる複数種の液晶パネルに容易に面状光源600を適用することができる。すなわち、発光モジュール200中の導光体210等に関する光学計算をやり直したり、導光体210を形成するための金型を再製作したりする必要なく、スクリーンサイズの変更に対して柔軟に対応することが可能である。そのため、スクリーンサイズの変更に対して製造コストおよびリードタイムの増大を招来させずに済む。例えば、図26に示す複数の発光モジュール200のセットをさらに2行2列に配列することにより、アスペクト比が16:10の、31.2インチのスクリーンサイズに適合した面状光源を構成することができる。発光モジュール200のこのような配列は、液晶テレビのバックライトユニット等に用いることができる。このように、本実施形態によれば、さらに大面積の発光面を得ることも比較的容易である。
複数の発光モジュール200の組み合わせによって、より大面積の発光面を構成する手法によれば、スクリーンサイズに応じて光学系の設計をやり直したり、導光体の形成のための金型を再製作したりすることなく、多様なスクリーンサイズの液晶パネルに柔軟に対応することが可能になる。すなわち、スクリーンサイズに適合したバックライトユニットを低コストかつ短納期で提供し得る。また、仮に、断線等により点灯しない発光素子が存在した場合であっても、不具合が生じた発光素子を含む発光モジュールを交換すれば済むという利点も得られる。
以下、発光モジュール200の各構成要素をより詳細に説明する。図27は、発光モジュール中の光源とその周辺とを拡大して示す。
[導光体110(導光体210)]
導光体110(およびその集合体である導光体210)は、光源220中の発光素子120からの光を内部で拡散させて上面110aから出射させる機能を有する。導光体110は、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、または、ガラスから形成される概ね板状の部材であり、透光性を有する。これらの材料のうち、特に、ポリカーボネートは、安価でありながら、高い透明度を得ることが可能である。導光体110は、例えば母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。またそれらを積層したものであってもよい。
導光体110の上面110aに設けられる第1穴部10Aは、発光素子120から出射されて導光体110の下面110b側から導入された光を反射させて導光体110の面内に拡散させる機能を有する。導光体110にこのような光拡散構造としての第1穴部10を設けることにより、上面110aのうち発光素子120の直上以外の領域における輝度を向上させることができる。すなわち、発光ユニット100の上面における輝度ムラを抑制することができ、第1穴部10は、導光体110の薄化に貢献する。導光体110の厚さ、すなわち、下面110bから上面110aまでの距離は、典型的には、0.1mm以上5mm以下程度である。本開示の実施形態による導光体110の厚さは、例えば0.25mm程度であり得る。なお、本開示の実施形態によれば、例えば、光反射性部材140を含めた構造の厚さ、換言すれば、発光素子120の電極124の下面124bから導光体110の上面110aまでの距離を例えば5mm以下、3mm以下または1mm以下に縮小し得る。発光素子120の電極124の下面124bから導光体110の上面110aまでの距離は、0.7mm以上1.1mm以下程度であり得る。
上述したように、本開示の実施形態において、第1穴部10は、第1部分11および第2部分12の2つの部分を含む。第1部分11は、上面110aに対して傾斜する第1側面11cを有し、第2部分12は、上面110aに対して傾斜する第2側面12cを有する。第2部分12の第2側面12cは、第1穴部10の形状を規定する1以上の側面のうち、導光体110の上面110aに位置する開口12aと、第1部分11の第1側面11cとの間に位置する部分である。第1穴部10は、導光体110と外部との環境との境界における光の屈折を利用して光の出射方向を制御するレンズとして機能し得る。
第1穴部10の具体的な形状は、図27に例示する形状に限定されず、導光体110の下面110b側に配置される発光素子120の形状および特性等に応じて適宜に決定され得る。例えば、第1穴部10の第1部分11は、第1側面11cに加えて、導光体110の上面110aに概ね平行な底面をさらに有していてもよい。すなわち、第1部分11は、逆円錐台等の形状を有していてもよい。第1穴部の底面の円形状の直径は、例えば0.3mm程度であり得る。第1穴部の底面の平面視における形状は、円形に限定されず、楕円、多角形等の他の形状であってもよい。すなわち、第1穴部10は、複数の側面を含む逆角錐台等の形状を有していてもよい。
第1穴部10の深さ、すなわち、図のZ方向に沿った、第1部分11の最も深い部分から導光体110の上面110aまでの距離は、例えば、200μm以上400μm以下の範囲である。そのうち、第1部分11の深さは、例えば、80μm以上200μm以下の範囲であり得る。
図27に例示する構成において、上面110aに対する第1側面11cの傾斜は、上面110aに対する第2側面12cの傾斜よりも緩やかである。このような第1穴部10の形状によれば、第1穴部10の深さの増大を抑制しながら第1側面11cの面積を増大させられる。したがって、導光体110の厚さの増大を回避しながら、導光体110の内部で第1側面11cに入射した光をより効果的に導光体110の面内に拡散させ得る。
第1側面11cの傾斜の大きさは、断面視において、第1側面11cの下端と上端とを結ぶ線分と、導光体110の上面110aに平行な直線とのなす角として求められる。第2側面12cの傾斜についても同様に、断面視において、第2側面12cの下端と上端とを結ぶ線分と、導光体110の上面110aに平行な直線とのなす角として求めることができる。
ただし、図27に示す例では、第1側面11cおよび第2側面12cのいずれも、断面視において曲線状の形状を有している。このような場合には、以下のようにしてこれら側面の傾斜の大きさを決めればよい。例えば第1側面11cの傾斜の大きさに関しては、第1穴部10の最も深い部分および第1部分11の開口11aを結ぶ線分C1と、導光体110の上面110aに平行な直線とのなす角θ1を第1側面11cの傾斜の大きさとして採用すればよい。第1部分11が、導光体110の上面110aに概ね平行な底面を有する場合には、第1部分11の底面と第1側面11cとの間の境界と、開口11aとを結ぶ線分をC1とし、線分C1と、導光体110の上面110aに平行な直線とのなす角θ1を第1側面11cの傾斜の大きさとして採用すればよい。同様に、第2側面12cの傾斜の大きさとしては、開口11aと導光体110の上面110aに位置する開口12aとを結ぶ線分C2と、上面110aに平行な直線とのなす角θ2を採用すればよい。
ここでは、導光体110の上面110aと、図27中に破線で示す線分C1とがなす角は、導光体110の上面110aと、図27中に破線で示す線分C2とがなす角よりも小さい。すなわち、θ1<θ2の関係が成立している。これとは逆に、導光体110の上面110aに対する第2側面12cの傾斜を第1側面11cの傾斜よりも緩やかとしてもよい。言い換えると、導光体110の上面110aと、線分C1とがなす角を、導光体110の上面110aと、線分C2とがなす角よりも大きくしてもよい。すなわち、θ1>θ2の関係が成立するようにしてもよい。このような構成によれば、導光体110の厚さの増大を回避しながら、第2部分12の容積を拡大でき、例えば、第1穴部10中の空気層をより広い領域に拡大できる。したがって、より多くの光が第2側面12cに入射するようになり、光をより効果的に導光体110の面内に拡散させることが可能になる。
ここでは、第1側面11cおよび第2側面12cの断面視における形状は、曲線状である。しかしながら、第1側面11cおよび第2側面12cの断面視における形状は、曲線状に限定されず、屈曲および/または段差を含む形状、あるいは、直線状等であってもよい。第1側面11cおよび第2側面12cの断面視における形状が一致している必要も無い。第1側面11cおよび/または第2側面12cの断面視における形状が図27に例示するような曲線状、特に、第1穴部10の内部に向かって膨らんだ凸の曲線状であると、導光体110の中心から離れた位置まで光を拡散させやすく、上面110a側において均一な光を得る観点からは有利である。
導光体110の下面110b側には第2穴部20が設けられている。第2穴部20の内部には、接合部材180と、光源220とが位置する。図2から理解されるように、第2穴部20は、例えば四角錐台状を有する。発光モジュール200の導光体210は、射出成型、トランスファー成型、熱転写等により形成することができる。金型のキャビティの内部に、キャビティの内壁から突出する凸部を所定の位置に設けておくことにより、図2および図27に示すような断面形状を精度よく形成することができる。すなわち、金型を利用した成型法によれば、第2穴部20の中心と、その第2穴部20に対応する第1穴部10の中心とを比較的容易に一致させ得る。第2穴部20は、対向する第1穴部10と接続する形で導光体210に設けられてもよい。換言すれば、第2穴部20は、貫通孔の形で導光体210に設けられてもよい。
第2穴部20の平面視における形状が矩形状である場合、第2穴部20は、図2の下段に示すようにその矩形状の一辺が導光体110の矩形状の一辺と平行となるように導光体110の下面110bに形成されてもよい。あるいは、第2穴部20は、その矩形状の外形の一辺が導光体110の矩形状の辺に対して傾斜するように導光体110の下面110bに形成されてもよい。例えば、第2穴部20の開口20aの矩形状の一辺が導光体110の長方形状の対角線と概ね平行となるように第2穴部20を導光体110に形成してもよい。
第2穴部20の平面視における形状としては、矩形状のほか、円形状も採用し得る。第2穴部20の形状および大きさは、求める光学特性に応じて適宜に決定し得る。例えば、第2穴部20は、円錐台形状等を有していてもよい。導光体110の下面110bに形成される第2穴部20の開口20aの大きさは、例えば、0.05mm以上10mm以下とすることができ、好ましくは、0.1mm以上1mm以下である。ここで、第2穴部20の開口20aの大きさとは、第2穴部20が平面視において例えば矩形状の開口を有する場合、その矩形状の対角線方向に沿った長さであり、第2穴部20が平面視において円形状の開口を有する場合には、その円形状の直径である。
[光調整部130]
光調整部130は、第1穴部10の内部に位置し、特に本実施形態では、光調整部130は、第1穴部10の第1部分11に位置している。光調整部130は、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂、あるいは金属等の光反射性の材料から形成される。ここで、本明細書において、「反射性」、「光反射性」とは、発光素子120の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光調整部130の、発光素子120の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
ここでは、光調整部130は、第1穴部10の内部において第1部分11の全体を占めている。発光素子120の上方に光調整部130を配置することにより、発光素子120から出射されて導光体110の中央付近で導光体110の上面110aに向かって進行する光を光調整部130によって反射させることができる。したがって、発光素子120から出射された光を導光体110の面内でより効率的に拡散させることが可能になる。また、導光体110の上面110aのうち発光素子120の直上の領域の輝度が局所的に極端に高くなることを抑制することができる。ただし、光調整部130が発光素子120からの光を完全に遮蔽することは必須ではない。この意味で、光調整部130は、発光素子120からの光の一部を透過する半透過の性質を有していてもよい。
光調整部130を光反射性の樹脂組成物で形成する場合は、図11を参照しながら説明したように、例えばディスペンサによって第1部分11を光反射性の樹脂組成物で充填し、付与された材料を熱、光等によって硬化させることにより光調整部130を形成できる。光調整部130を形成するための樹脂組成物の母材としては、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)等を用い得る。光反射性のフィラーとしては、金属の粒子、または、母材よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光反射性のフィラーの例は、二酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウムの粒子、または、酸化イットリウムおよび酸化ガドリニウム等の各種希土類酸化物の粒子等である。光調整部130が白色を有すると有益である。
光調整部130中の光反射性のフィラーの分布は、光調整部130内でほぼ一定であってもよいし、偏りまたは勾配を有していてもよい。例えば、光調整部130の形成の工程において母材の硬化前にフィラーが沈降または母材から分離することにより、光調整部130中の光反射性のフィラーの分布に偏りが生じ得る。平面視における単位面積あたりのフィラーの数で定義されるフィラーの数密度が、光調整部130の外縁付近と比較して中央付近において相対的に高いと、発光素子120の直上の領域の輝度が局所的に極端に高くなることを抑制しやすく、有益である。
第1穴部10の第1部分11の全体が光調整部130で充填されていることは、本開示の実施形態において必須ではない。光調整部130は、第1部分11の少なくとも一部を占めていればよい。例えば、第1部分11の第1側面11cを覆うように層状に光調整部130を第1穴部10内に形成してもよい。光調整部130は、誘電体多層膜であってもよい。
図27に示す例では、光調整部130の上面130aは、概ね平坦面である。ただし、光調整部130の上面130aの形状は、この例に限定されず、発光素子120とは反対側に突出する凸状、あるいは、発光素子120側に窪んだ凹状等であってもよい。特に、光調整部130の上面130aが、発光素子120とは反対側に突出する凸状であると、第1部分11の開口11aの位置を基準としたときの光調整部130の中央付近の厚さが相対的に大きくなる結果、発光素子120の直上の領域の輝度が局所的に極端に高くなることをより効果的に抑制し得る。
[発光素子120]
発光素子120の典型例は、LEDである。発光素子120は、素子本体122と、電極124とを有する。素子本体122は、例えば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上の半導体積層構造とを含む。半導体積層構造は、n型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた活性層とを含む。半導体積層構造は、紫外~可視域の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含んでいてもよい。電極124は、正極および負極の組を含み、半導体積層構造に所定の電流を供給する機能を有する。
発光モジュール200に設けられる複数の発光素子120の各々は、青色光を出射する素子であってもよいし、白色光を出射する素子であってもよい。複数の発光素子120は、互いに異なる色の光を発する素子を含んでいてもよい。例えば、複数の発光素子120が、赤色光を出射する素子、青色光を出射する素子および緑色光を出射する素子を含んでいてもよい。
発光素子120の平面視における形状は、典型的には、矩形状である。発光素子120の矩形状の一辺の長さは、例えば1000μm以下である。発光素子120の矩形状の縦および横の寸法は、500μm以下であってもよい。縦および横の寸法が500μm以下の発光素子は、安価に調達しやすい。あるいは、発光素子120の矩形状の縦および横の寸法は、200μm以下であってもよい。発光素子120の矩形状の一辺の長さが小さいと、液晶表示装置のバックライトユニットへの適用において、高精細な映像の表現、ローカルディミング動作等に有利である。特に、縦および横の両方の寸法が250μm以下であるような発光素子は、上面の面積が小さくなるので発光素子の側面からの光の出射量が相対的に大きくなる。したがって、バットウィング型の配光特性を得やすい。ここで、バットウィング型の配光特性とは、広義には、発光素子の上面に垂直な光軸を0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において発光強度が高い発光強度分布で定義されるような配光特性を指す。光源220として、発光素子を使用できる。
[透光性部材150]
発光モジュール200中の透光性部材150は、第2穴部20の内部であって導光体110と発光素子120との間に位置する。換言すれば、透光性部材150は、発光素子120の上方であって第2穴部20の底部に位置する。ここで、「第2穴部20の底部」とは、導光体110の下面110bを上に向けたときの第2穴部20の底に相当する部分を意味する。このように、本明細書では、発光モジュールあるいは発光ユニットについて図面に表された姿勢に拘泥することなく、「底部」および「底面」の用語を使用することがある。第2穴部20の底部は、発光ユニット100を図27に示す姿勢としたとき、導光体110の下面110b側に形成されるドーム状の構造の天井部分であるともいえる。
透光性部材150は、蛍光体の粒子を含有する材料から形成され得る。この場合、透光性部材150中は、発光素子120から出射された光の少なくとも一部を吸収し、発光素子120からの光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、透光性部材150は、発光素子120からの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、透光性部材150を通過した青色光と、透光性部材150から発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。図27に例示する構成では、発光素子120から出射された光は、基本的に透光性部材150を介して導光体110の内部に導入される。したがって、混色後の光が導光体110の内部で拡散されることになる結果、輝度ムラの抑制された例えば白色光を導光体110の上面110aから取り出すことが可能である。本実施形態は、光を導光体の内部に拡散させてから波長変換する場合と比較して光の均一化に有利である。
透光性部材150の母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。導光体110に効率的に光を導入する観点からは、透光性部材150の母材が導光体110の材料よりも低い屈折率を有すると有益である。透光性部材150の材料に母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、透光性部材150に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、透光性部材150の母材に、二酸化チタン、酸化ケイ素等の粒子を分散させてもよい。
透光性部材150中に分散させる蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体およびCASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換物質の例であり、YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換物質の例である。βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換物質の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
透光性部材150に含まれる蛍光体が同一の発光モジュール200に含まれる複数の発光ユニット100内で共通であることは必須ではない。複数の発光ユニット100の間で、透光性部材150の母材に分散させる蛍光体を異ならせることも可能である。発光モジュール200の導光体210に設けられる複数の第2穴部20のうち、ある一部の第2穴部20に、入射した青色光を黄色光に変換する透光性部材を配置し、他のある一部の第2穴部20内に、入射した青色光を緑色光に変換する透光性部材を配置してもよい。さらに、残余の第2穴部20内に、入射した青色光を赤色光に変換する透光性部材を配置してもよい。
[接合部材160]
接合部材160は、発光素子120の側面の少なくとも一部を覆う透光性の部材である。図27に模式的に示すように、接合部材160は、発光素子120の上面120aと透光性部材150との間に位置する層状の部分を有し得る。
接合部材160の材料としては、透明な樹脂を母材として含む樹脂組成物を用いることができる。接合部材160は、発光素子120の発光ピーク波長を有する光に対して、例えば60%以上の透過率を有する。光を有効に利用する観点から、発光素子120の発光ピーク波長における接合部材160の透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
接合部材160の母材の典型例は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂である。接合部材160の母材として、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を用いてもよい。接合部材160は、典型的には、導光体110の屈折率よりも低い屈折率を有する。接合部材160は、例えば母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。
上述したように、接合部材160は、発光素子120の側面の少なくとも一部を覆う。また、接合部材160は、被覆部材170との界面である外面を有する。発光素子120の側面から出射されて接合部材160に入射した光は、接合部材160の外面の位置で発光素子120の上方に向けて反射される。断面視における接合部材160の外面の形状は、図27に示すような直線状に限定されない。断面視における接合部材160の外面の形状は、折れ線状、発光素子120に近づく方向に凸の曲線状、発光素子120から離れる方向に凸の曲線状等であってもよい。
[被覆部材170]
被覆部材170は、光源220において透光性部材150の下面150b側(換言すれば、導光体110とは反対側)に位置する、光反射性を有する部材である。図27に示すように、被覆部材170は、接合部材160の外面、発光素子120の側面のうち接合部材160に覆われていない部分、および、発光素子120の、上面120aとは反対側に位置する下面のうち電極124を除く領域を覆う。
被覆部材170の材料としては、光調整部130の材料と同様の材料を用いることができ、例えば、被覆部材170の材料と光調整部130の材料とが共通であってもよい。発光素子120の下面のうち電極124を除く領域を被覆部材170で覆うことにより、導光体110の上面110aとは反対側への光の漏れを抑制できる。また、被覆部材170で発光素子120の側面をも覆うことにより、発光素子120からの光を上方に集中させ、透光性部材150に効率的に光を導入させることが可能になる。この例に限らず、被覆部材170は透光性部材150と一体に形成されてもよい。この場合、接合部材160は省略できる。
[(第2の)接合部材180]
光源220は、接合部材180により第2穴部20の底部に配置される。図27に示すように、接合部材180の少なくとも一部は、第2穴部20の内部に位置する。接合部材180は、第2穴部20の底部と透光性部材150との間に位置する部分を有していてもよい。接合部材180は、透光性部材150の側面および被覆部材170の側面の少なくとも一部を覆う。図27に模式的に示すように、接合部材180は、導光体110の下面110bよりも導光体110の上面110aとは反対側に盛り上がった部分を有し得る。
接合部材180は、接合部材160と同様に、透明な樹脂を母材として含む樹脂組成物から形成され得る。接合部材180の材料は、接合部材160の材料と異なっていてもよいし、共通であってもよい。接合部材180は、典型的には、導光体110の屈折率よりも低い屈折率を有する。
[光反射性部材140]
光反射性部材140は、導光体210の下面210bの少なくとも一部を覆う光反射性の構造である。導光体110の下面110b側に光反射性部材140を配置することにより、導光体110の下面110b側に向かう光を導光体110と光反射性部材140との界面で上面110a側に向けて反射させることができる。したがって、導光体110の上面110aからより効率的に光を取り出し得る。特に、ここでは、光反射性部材140は、導光体110の下面110bに加えて接合部材180をも覆っている。接合部材180を光反射性部材140で覆うことにより、接合部材180からの導光体110の下面110b側への光の漏れを抑制して光の取出し効率を向上させ得る。
図2を参照しながら説明したように、光反射性部材140は、基部140nと、基部140nから立ち上がる壁部140wとを含み得る。基部140nの厚さは、例えば0.6mm程度であり得る。平面視において光源220を取り囲むようにして導光体110の周縁部に壁部140wを配置することにより、導光体110の周縁部における輝度が中心部と比較して相対的に低くなることを回避し得る。
なお、1つの発光モジュール200に含まれる複数の発光ユニット100の間、または、1つの発光ユニット100の中で、光源220を取り囲む壁部140wの高さを異ならせてもよい。例えば、1つの発光モジュール200に含まれる複数の傾斜面140sのうち、発光モジュール200の導光体210の最外周に位置する傾斜面140sの高さを、導光体210の他の部分に位置する傾斜面140sの高さよりも大きくしてもよい。傾斜面140sの断面視における形状は、図2の上段に示すような曲線状であってもよいし、直線状であってもよい。傾斜面140sの断面視における形状は、これらに限定されず、段差、屈曲等を含んでいてもよい。
光反射性部材140の材料としては、被覆部材170の材料と同様の材料を適用し得る。例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂あるいはこれらの少なくともいずれかを含有するハイブリッド樹脂を母材とする樹脂組成物を光反射性部材140の材料に適用することができる。光反射性部材140の材料と被覆部材170の材料とを共通とすることにより、光反射性の材料で導光体210の下面210bの概ね全体を覆う光反射性部材を一体的に形成し得る。導光体210の下面210b側に光反射性部材140を形成することにより、導光体210の補強等の効果も期待できる。被覆部材170は、複数の絶縁膜の積層膜であってもよい。この絶縁膜として、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリエステル系樹脂を用いることができる。被覆部材170は、光拡散材を含有していなくてもよい。
[配線層190]
図2および図27に例示する構成において、発光モジュール200は、光反射性部材140の下面140b上に位置する配線層190をさらに有する。配線層190は、発光素子120の電極124に電気的に接続されている。図27に示すように、配線層190は、被覆部材170上に位置する部分も含み得る。
配線層190は、典型的には、Cu等の金属から形成された単層膜または積層膜である。配線層190は、不図示の電源等に接続されることにより各発光素子120に所定の電流を供給する端子として機能する。
図28は、図1に示す発光モジュール200を導光体210の上面210aとは反対の下面側から見たときの外観の一例を示す。なお、図28では、わかり易さのために複数の発光ユニット100の間の境界を点線により示しているが、複数の発光ユニット100の間に明確な境界が形成されていることは本開示の実施形態において必須ではない。
図28に例示する構成において、配線層190は、各発光ユニット100の光源220に含まれる発光素子120を電気的に接続している。配線層190の配線パターンは、発光モジュール200の駆動方法に応じて適宜に決定される。この例では、それぞれが、4行4列に配置された発光素子120のうちの2つの直列接続を含む8つの直列回路を並列に接続している。もちろん、複数の発光素子120の電気的接続は、この例に限定されず、例えば、発光モジュール200中の複数の発光素子120を2以上のグループに分け、これらグループの単位で駆動するように回路を構成してもよい。
このように、発光ユニット100の下面側に配線層190を設けることにより、例えば発光モジュール200中の複数の発光素子120同士を電気的に接続することが容易になる。特に、図28に示す例では、配線層190は、配線のうち比較的面積の大きな部分として形成された正極191および負極192を含んでいる。このような構成によれば、発光モジュール200を支持する基板側に複雑な配線パターンを形成せずとも、発光モジュール200側に設けられた正極191および負極192をはんだ等によって基板上のドライバ等と電気的に接続することにより、発光モジュール200中の複数の発光素子120と、ドライバとの間の電気的な接続を得ることができる。
図29は、発光モジュール200を配線基板に接続した例を示す。本開示の実施形態による発光モジュールは、図29に例示するように、配線基板260をさらに有していてもよい。配線基板260は、発光モジュール200の下面側、すなわち、導光体210の上面210aとは反対側に位置し、発光ユニット100の配線層190に接続される。
図29に例示する構成において、配線基板260は、絶縁基材265と、絶縁基材265上の配線層261と、被覆層263と、複数のビア264と、保護部材266とを有する。この例では、配線層261は、絶縁基材265の主面のうち、発光ユニット100とは反対側の主面上に位置する。被覆層263は、所定の厚さで配線層261の少なくとも一部を覆っており、配線層261を保護する機能を有する。
図29に示すように、ここでは、発光モジュール200と配線基板260との間に、樹脂等から形成された第3の接合部材268が介在されており、この接合部材268によって発光モジュール200が配線基板260に固定されている。図29に模式的に示すように、複数のビア264のそれぞれは、絶縁基材265を貫通して、上述の配線層261を発光モジュール200の配線層190に電気的に接続する。保護部材266は、絶縁基材265の発光ユニット100とは反対側の主面側において複数のビア264に対応するように設けられ、ビア264と、配線層261のうちビア264の周辺に位置する部分とを保護する。
配線基板260の配線層261には、配線基板260上の発光モジュール200を駆動させるための例えばドライバが接続される。その結果、配線基板260の配線層261およびビア264を介して、複数の発光素子120とドライバとの間に電気的接続が形成される。本実施形態によれば、各発光素子120との接続を有する配線層190を発光モジュール200側に設けることができるので、配線基板260側に複雑な配線パターンを形成することなく、ローカルディミング等に要求される接続を容易に形成することができる。配線層190は、各発光素子120の電極124の下面124bよりも大きな面積を有し得るので、配線基板260に対する電気的な接続の形成も比較的容易である。発光モジュール200中の発光ユニット100が配線層190を有しない場合には、発光素子120の電極124に配線基板260のビア264を接続してもよい。
このように、導光体210の上面210aとは反対側、すなわち、発光ユニット100の下面100b側に配線層190を設けることにより、複数の発光素子120を含む発光モジュール200側に配線が形成されることになり、発光素子120ごとに配線基板260との間の電気的接続を形成する必要がなくなる。換言すれば、発光モジュール200あるいは発光ユニット100と、電源等との間の接続が容易になる。すなわち、電源等に接続された配線基板260を発光モジュール200に接続することによって簡単に面発光が得られる。特に、複数の発光モジュール200を組み合わせてさらに大型の面状光源を構築し、複数の発光素子120を例えば発光モジュール200の単位で駆動させることにより、この大型の面状光源をローカルディミング動作させることができる。もちろん、発光素子120を1以上の発光ユニット100の単位で駆動させるような配線パターンを配線層190に適用してもかまわない。