JP7120663B2 - 糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法、糖尿病性腎臓病の検査用キット、動物治療方法、及び糖尿病性腎臓病用医薬 - Google Patents

糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法、糖尿病性腎臓病の検査用キット、動物治療方法、及び糖尿病性腎臓病用医薬 Download PDF

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Description

本発明は、バイオマーカー、診断方法、検査用キット、動物治療方法、及び医薬に係り、特に糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカー、糖尿病性腎臓病の診断方法、糖尿病性腎臓病の検査用キット、動物治療方法、及び糖尿病性腎臓病用医薬に関する。
近年、糖尿病の患者数が年々急増している。この糖尿病に伴う糖尿病性腎症は、予後の悪い腎疾患である。
糖尿病性腎症では、自覚症状が殆どないため、病状が進行して末期腎不全に至り、透析導入となることが多い。透析導入は、糖尿病患者のQOLを著しく低下させ、更に、重篤な場合には生命に関わってくる。
従来、この糖尿病性腎症の確定診断は、腎生検で行われている。腎生検は入院が必要な侵襲的検査であり、合併症の危険もある。このため、病状評価の目的などで繰り返しの検査はできない。その他、従来から、蛋白尿(アルブミン尿)、eGFRによる腎機能の検査等で、腎臓の病状が評価されている。しかしながら、これらは、糖尿病性腎症に特異的な検査ではなく、殆どの腎疾患で共通したマーカーとなるにすぎない。
このように、糖尿病性腎症を早期に正確に診断できる診断方法は存在しなかった。
また、近年、微量アルブミン尿や蛋白尿を認めていなくても腎機能低下を示す糖尿病性腎症の患者が多数存在することが明らかになってきている。
このような従来の経過をとらない糖尿病性腎症を含めて、国際的に、病名として糖尿病性腎臓病(Diabetic kidney disease、DKD)と呼ばれるようになってきている。
一方、DKDに加え、糖尿病と直接関連しない腎疾患(IgA腎症、PKD等)患者が糖尿病を合併した場合を含む、より広い概念として、糖尿病合併CKD(CKD with diabetes)が存在する。
ところで、近年、miRNA(microRNA、マイクロRNA)が多様な病態に関与し、疾病早期診断のバイオマーカーとして有効であることが報告されている。
特許文献1を参照すると、慢性的な糖尿病の状態を示す指標、特に糖尿病性網膜症のバイオマーカーとして、miR-1、miR-144、miR-146a、miR-200b、miR-320、miR-450が記載されている。
特表2013-514277号公報
しかしながら、特許文献1のバイオマーカーは、糖尿病性腎臓病を特異的に診断できるものではなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法は、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pである糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーを用いることを特徴とする。
本発明の糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法は、前記miRNA-125b-5pの血清中での発現が上昇している場合及び/又は前記miRNA-181b-5pの発現が低下している場合、糖尿病性腎臓病と診断することを補助することを特徴とする。
本発明の糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法は、診断は、糖尿病性腎臓病(DKD)と、糖尿病を合併しているその他の腎障害との判別を含むことを特徴とする。
本発明の糖尿病性腎臓病の検査用キットは、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pを測定する試薬を含むことを特徴とする。
本発明の動物治療方法は、ヒト以外の動物の治療方法であって、miRNA-181b-5pミミックを含む組成物を投与し、糖尿病性腎臓病の腎臓を治療することを特徴とする。
本発明の糖尿病性腎臓病用医薬は、miRNA-181b-5pミミックを含む組成物であることを特徴とする
本発明の糖尿病性腎臓病用医薬は、前記組成物は、II型糖尿病による糖尿病性腎臓病用の医薬であることを特徴とする。
本発明によれば、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pを用いることで、糖尿病性腎臓病を特異的に診断可能なバイオマーカーを提供することができる。
本発明の実施例1に係る糖尿病性腎臓病モデルマウスの腎臓の変化を示す写真である。 本発明の実施例1に係るマイクロアレイ解析の結果を示す写真である。 本発明の実施例1に係るmiRNA-125b-5pの発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例1に係るmiRNA-181b-5pの発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例1に係るmiRNAによる糖尿病性腎臓病の作用機序を示す概念図である。 本発明の実施例2に係るmiRNAによる糖尿病性腎臓病の作用機序を示す概念図である。 本発明の実施例2に係るmiRNA-125b-5pの発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るmiRNA-125b-5pの発現量のROC解析結果を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るmiRNA-181b-5pの発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るmiRNA-181b-5pの発現量のROC解析結果を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るmiRNA-181b-5p及びmiRNA-181b-5pの組み合わせの診断結果を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る糖尿病合併CKDの判別性能の解析結果を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るヒト血清でのファミリーRNA(miRNA-125a-5p)の発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るヒト血清でのファミリーRNA(miRNA-181c-3p)の発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るヒト血清でのファミリーRNA(miRNA-181d-5p)の発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るマウスでのミミックの投与プロトコルを示す概念図である。 本発明の実施例2に係るマウスでのミミック投与後の腎臓でのmiRNA-181bの発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るマウスでのミミック投与後の蛋白尿の状態を測定したグラフである。 本発明の実施例2に係るマウスでのミミック投与後のメサンギウム拡張の評価のグラフである。 本発明の実施例2に係るマウスでのミミック投与後のメサンギウム細胞の様子を示す写真である。 本発明の実施例2に係るAKITAマウス及びdb/dbマウスにおける腎臓での発現量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る糖尿病性腎臓病以外のモデルマウスでの発現量の変化を示すグラフである。
<実施の形態>
従来、糖尿病性腎臓病の確定診断は腎生検が行われている。また、アルブミン尿、腎機能などで病状評価されているが、両者とも糖尿病性腎臓病に特異的ではなくほとんどの腎疾患で共通したマーカーにすぎなかった。
このため、本発明者らは、多様な病態に関与していることが知られてきたmiRNAに着目した。miRNAは人を含む哺乳類で2000種類程度あることがわかっており、その塩基配列は、公共のデータベース(miRBase等)に登録されている。
しかしながら、糖尿病性腎臓病のバイオマーカーとして有用なmiRNAは確立されていなかった。
このため、本発明者らは、鋭意実験を繰り返し、糖尿病性腎臓病に特異的なバイオマーカーとなり得るmiRNAを探索した。
具体的には、後述の実施例1で詳細を説明するように、本発明者らは、糖尿病性腎臓病モデルマウスの腎臓と血液で変化しているmiRNAをマイクロアレイ法、及びリアルタイムPCRの一種であるqRT-PCR法で網羅的に解析、同定した。さらに、同定したmiRNA発現変化をヒトの血清サンプルについて、qRT-PCRで、健常人、腎障害のない糖尿病患者、腎生検で組織学的に診断された糖尿病性腎臓病患者、糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者で比較検討し、糖尿病性腎臓病患者の血清で特異的に変化するmiRNAを同定し、本発明を完成させるに至った。
〔バイオマーカー〕
より詳細に説明すると、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーは、患者のmiRNAであることを特徴とする。
miRNAは、タンパク質へ翻訳されないRNAであり、機能性のノンコーディングRNAの一種である。miRNAは、真核生物のゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て、最終的に20~25塩基程度の一本鎖RNAとなり、遺伝子の転写後発現調節に関与する。miRNAは、転写後発現調節により、発生、増殖、分化、アポトーシス、代謝といった広範な生物学的プロセスに重要な働きをする。
具体的には、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーは、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pであることを特徴とする。
このうち、マウスの成熟型miRNA-125b-5p(miRbase No:MIMAT0000136)の配列を以下に示す:

5’-ucccugagacccuaacuuguga-3’ (配列番号1)
ヒトの成熟型miRNA-125b-5p(miRbase No:MIMAT0000423)の配列を以下に示す:

5’-ucccugagacccuaacuuguga-3’ (配列番号2)
さらに、マウスの成熟型miRNA-181b-5p(miRbase No:MIMAT0000673)の配列を以下に示す:

5’-aacauucauugcugucgguggguu-3’(配列番号3)
ヒトの成熟型miRNA-181b-5p(miRbase No:MIMAT0000257)の配列を以下に示す:

5’-aacauucauugcugucggugggu-3’ (配列番号4)
ここで、本実施形態のmiRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pは、それぞれの種において、一種単独でも二種以上併用することも可能である。
さらに、本実施形態のmiRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pとして、マウス及びヒト以外の真核生物、具体的には各種動物において、相同性のあるmiRNAを用いることが可能である。この動物は特に限定されず、例えば、家畜動物種、野生動物等を含む。各miRNAは、哺乳類で、ほぼ同じ塩基配列であるため、相同性を基に検索して用いることが可能である。この相同性としては、80%以上であることが好適であり、90%以上であることが更に好適である。さらに、これらの配列と相補的な配列、又は、ハイブリダイズ可能な程度に同一な配列を含んでいてもよい。
加えて、本実施形態の各miRNA及び後述する機能活性調整剤は、pri-miRNA(primary miRNA、初期転写産物)又はpre-miRNA(precursor miRNA、前駆体)として提供されてもよい。この場合、本実施形態のmiRNAは、一本鎖ではなくてもよく、ステム及びループ構造等により、二本鎖部分を形成していてもよい。
さらに、本実施形態の各miRNAは、miRNA、pri-miRNA、pre-miRNA等をコードするRNA、DNA等の核酸分子であってもよい。また、この核酸分子は、人工核酸分子、例えば、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid、PNA)、ロックド核酸(Locked Nucleic Acid、LNA)等も含む。
本実施形態の各miRNA、及び機能活性調整剤の製造は、当業者に一般的な化学合成法、又は組換え手法等で製造することが可能である。この組み換え手法では、上述のような成熟(mature)型のmiRNA、pri-miRNA、及びpre-miRNAのいずれか又はこれらをコードするDNAの塩基配列が、適切なベクターに含まれるようにしてもよい。このベクターは、例えば、真核生物において、核酸の発現に適した発現ベクターである。このベクターに含まれる核酸分子は、各miRNA分子の転写、miRNAに成熟するまでの前駆体又は一次転写産物を標的としていてもよい。さらに、各miRNAのゲノム上のコピー等を変更するような配列、転写調製配列等を含んでいてもよい。
〔診断方法〕
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病の診断方法は、上述の糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーを用いることを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病の診断方法では、主に、患者の血清中又は血漿(以下、単に「血液」という。)に存在するmiRNAレベルを検出することで、糖尿病性腎臓病であることを診断する。すなわち、本実施形態の糖尿病性腎臓病の診断方法は、糖尿病性腎臓病の検査方法としても用いることが可能である。
さらに、miRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pは、いずれも、糖尿病性腎臓病と、糖尿病を合併しているその他の腎障害と判別することが可能である。
具体的には、患者のmiRNA-125b-5pの血清での発現が上昇している場合には、糖尿病性腎臓病と診断することが可能である。加えて、miRNA-125b-5pの腎臓での発現が低下している場合には、糖尿病性腎臓病と診断することが可能である。
さらに、miRNA-181b-5pの発現が血清及び/又は腎臓中で低下している場合、糖尿病性腎臓病と診断することが可能である。
これら、miRNA-125b-5pの血清での発現の上昇若しくは腎臓中での発現低下、miRNA-181b-5pの血清並びに/若しくは腎臓中での発現の低下については、組み合わせて判断しても、いずれかの発現のみで判断してもよい。
miRNA-181b-5pの発現が低下と、miRNA-125b-5pの発現の上昇とを組み合わせて判断すると、より確実に糖尿病性腎臓病と診断することが可能となる。後述の実施例2では、この組み合わせの効果について、実際の実験結果を示している。
これらの発現量の差は、例えば、患者の血液中に存在する発現量を測定し、得られた数値について、統計的に有意差があるか否かを検定する。
この血液中の発現量の測定としては、例えば、ヒト等の患者から採血をし、その上澄みを遠心し、血球を除いた血清又は血漿からトータルRNAを抽出する。トータルRNAの抽出方法としては、例えば、グアニジン-塩化セシウム超遠心法、AGPC(Acid Guanidinium-Phenol-Chloroform)法、当業者に一般的なRNA抽出用カラム等を用いることが可能である。この上で、抽出されたトータルRNA中から、本実施形態の各miRNAの発現量を測定する。この測定は、例えば、ノーザンブロット、マイクロアレイ、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサ測定法、qRT-PCRを含むリアルタイムPCR法等、当業者に一般的な方法を用いて実現することが可能である。リアルタイムPCR法を用いる場合、内在性コントロール(endogenous control)miRNAを用いた発現補正を行うことが可能である。この際の内在性コントロールは、以前に内在性コントロールとして適切と報告されている配列から、健常と病気で変化しないものを当業者が適切に選択することが好適である。
その後、測定された発現量から統計的な有意差を検定する場合、健常者に由来するサンプルから得られたmiRNAの発現量と比較し、例えば、5%、好ましくは1%有意であるか否かを統計検定する。この検定は、例えば、T検定、F検定、カイ二乗検定等の手法をデータ量やデータの性質等に対応して、適宜用いることが可能である。
検定の結果、統計的に有意であれば、当該患者は、糖尿病性腎臓病であると診断され得る。逆に、統計的に有意でなければ、当該患者は、糖尿病性腎臓病ではないと診断され得る。この場合、他の指標等から、糖尿病性腎臓病ではない、別の腎症の患者であると診断することも可能である。
このような診断方法により、発症初期の段階でも、高い信頼性をもって糖尿病性腎臓病であることを判定することができる。これにより、治療方針の決定に対して重要な情報を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る診断方法についてまとめると、本実施形態の診断方法は、
本実施形態の診断方法は、糖尿病性腎臓病の疑いのある患者から血液及び/又は腎臓組織を採取する工程、採取した血液及び/又は腎臓組織についてmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量を測定する工程、測定されたmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量と健常者のmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量(標準量)とを比較する工程、miRNA-181b-5pの発現量がmiRNA-181b-5pの標準量よりも低いこと検出する及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量がmiRNA-125b-5pの標準量よりも高いこと検出する工程、及び検出された患者は糖尿病性腎臓病であるリスクが高いと決定する工程、を含む糖尿病性腎臓病の診断方法であることを特徴とする。
〔検査用キット〕
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病の検査用キットは、上述の糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーとなるmiRNAを測定する試薬を含むことを特徴とする。
このようなmiRNA測定用の試薬としては、例えば、ノーザンブロット、マイクロアレイ、QCMセンサ測定法、リアルタイムPCR法等の検出用の方式に対応したものを含む。すなわち、本実施形態の各miRNA検出用のプローブやプライマー等、各種酵素類、緩衝液、洗浄液、溶解液等も含まれる。これに加えて、上述の方式によりmiRNAを検出するための資材、器材等を含んでもよい。
さらに、本実施形態の糖尿病性腎臓病の検査用キットは、診断結果を解析するために、コンピュータ上で検査結果を判断し、データ処理し、可視化するためのプログラム、当該コンピュータを備えた装置及びシステム等を含んでいてもよい。このような装置及びシステム等は、当業者に一般的な技術、方式等を用いて開発可能である。このような装置及びシステム等により、ハイスループットでの検査が可能となり、患者の診断が容易となる。
〔糖尿病性腎臓病用医薬〕
本実施形態の糖尿病性腎臓病用医薬(医療用組成物)は、miRNAの発現量の増加又は低下させる組成物を含むことを特徴とする。
具体的には、本実施形態の医療用組成物は、miRNA-125b-5p、及び/又はmiRNA-181b-5pの機能活性調整剤を含むことを特徴とする。この機能活性調整剤は、miRNAの発現を調節する作用を有する組成物である。
本実施形態においては、miRNA-125b-5pに対する機能活性調整剤は、機能活性抑制剤を用いる。この機能活性抑制剤は、例えば、miRNA-125b-5pに対応したmiRNAインヒビターを用いる。このmiRNAインヒビターは、例えば、成熟型のmiRNAの生成を阻害、pri-miRNA、及びpre-miRNAを切断等して、発現を抑制するアンチセンス、siRNA、リボザイム等の核酸分子を含む各種組成物を用いることが可能である。
一方、miRNA-181b-5pに対する機能活性調整剤は、機能活性亢進剤を用いる。この機能活性亢進剤は、miRNA-181b-5pに対応したmiRNAミミックを含む。このmiRNAミミックは、合成されたmiRNAを含む組成物であってもよい。
加えて、本実施形態の糖尿病性腎臓病用医薬は、インビトロ(in vitro)又はインビボ(in vivo)で所望の標的細胞に導入される当業者に一般的な方式で、患者の細胞に導入される。このため、本実施形態の医療用組成物は、当業者に一般的な各種媒体を含んで提供されてもよい。
この媒体としては、例えば、プラスミドやウイルスベクターを用いてもよい。このウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス等の当業者に一般的なウイルスを用いて構成されてもよい。
また、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬は、任意の製剤上許容しうる担体を含んでいてもよい。この担体は、例えば、リポソーム担体、コロイド金粒子、ポリペプチド、リポ多糖類、多糖類、脂質膜等であってもよい。これらの中で、機能活性調整剤の発現調整効果を向上させる担体を用いることが好適である。たとえば、miRNAインヒビターやmiRNAミミックについては、リポソーム、特にカチオン性リポソームを用いることが好適である。
さらに、製薬上許容される担体としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウム等を含んでいてもよい。さらに、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO-50等と共に投与することが可能である。また、適切な賦形剤等を更に含んでもよい。
また、本実施形態の糖尿病性腎臓病用医薬は、製剤上許容しうる担体を調製するために、適切な薬学的に許容可能なキャリアを含んでいてもよい。このキャリアは、シリコーン、コラーゲン、ゼラチン等の生体親和性材料を含んでもよい。また、キャリアは、乳濁液として提供されてもよい。さらには、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、可塑剤等の製剤用添加物のいずれか又は任意の組み合わせを含有させてもよい。
本発明に係る糖尿病性腎臓病用医薬の医薬組成物の投与経路は、特に限定されず、非経口的又は経口的に投与を行うことが可能である。非経口投与としては、例えば、静脈内、動脈内、皮下、真皮内、筋肉内、腹腔内の投与、又は、腎臓等への直接投与が可能である。
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬は、非経口的又は経口的の投与に適した投与形態において、当該分野で周知の製剤上許容しうる担体を用いて処方され得る。
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬を上述の治療に用いる際に、投与間隔および投与量は、疾患の状況、さらに対象の状態などの種々の条件に応じて適宜選択および変更することが可能である。
本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬の1回の投与量および投与回数は、投与の目的により、更に、患者の年齢および体重、症状および疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択および変更することが可能である。
投与回数及び期間は、1回のみでもよいし、1日1回~数回、数週間程度投与し、疾患の状態をモニターし、その状態により再度又は繰り返し投与を行ってもよい。
加えて、本発明の組成物は、他の組成物等と併用することも可能である。また、他の組成物と同時に本発明の組成物を投与してもよく、また間隔を空けて投与してもよいが、その投与順序は特に問わない。
また、本発明の実施の形態において、疾患が改善又は軽減される期間は特に限定されないが、一時的な改善又は軽減であってもよいし、一定期間の改善又は軽減であってもよい。
さらに、本実施形態の糖尿病性腎臓病用医薬を予防用に用いることで、糖尿病性腎臓病の病態の進行を抑え、糖尿病や高血圧の治療と合わせて腎臓の機能を温存することが可能となる。
〔治療法〕
本発明の実施の形態に係る動物治療方法は、動物の治療方法であって、miRNA-125b-5p、及び/又はmiRNA-181b-5pの機能活性を調整することを特徴とする。
具体的には、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬は、動物の治療を行う動物治療にも用いることが可能である。この動物は、特に限定されるものではなく、脊椎動物及び無脊椎動物を広く含む。脊椎動物としては、魚類、両生類、は虫類、鳥類、及び哺乳類を含む。具体的には、例えば、哺乳類は、例えば、マウス、ラット、フェレット、ハムスター、モルモット、又はウサギ等のげっ歯類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、又は非ヒューマンのトランスジェニック霊長類等、及びヒトを含んでいてもよい。また、野生動物としては、哺乳類の他にも、魚類、家禽を含む鳥類、爬虫類等を含む。また、エビや昆虫等を含む甲殻類、その他のイカ等の無脊椎動物等も広く含む。
すなわち、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬は、ヒトの治療の他に、各種動物の治療、家畜の発育増進等の方法にも用いることができる。このため、本実施形態の患者は、ヒト、及び、上述のヒト以外の動物も含む。
本発明の実施の形態に係る治療方法についてまとめると、本実施形態の治療方法は、糖尿病性腎臓病の疑いのある患者から血液及び/又は腎臓組織を採取する工程、採取した血液及び/又は腎臓組織についてmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量を測定する工程、測定されたmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量と健常者のmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量(標準量)とをそれぞれ比較する工程、miRNA-181b-5pの発現量がmiRNA-181b-5pの標準量よりも低いこと検出する及び/又はmiRNA-125b-5pの発現量がmiRNA-125b-5pの標準量よりも高いこと検出する工程、及び検出された患者を治療する工程、を含む糖尿病性腎臓病の診断方法であることを特徴とする。
そして、この糖尿病性腎臓病の治療は、miRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの機能活性を調整する治療を含むことを特徴とする。このmiRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの機能活性を調整する治療は、上述の糖尿病性腎臓病用医薬を投与すること含むことを特徴とする。
具体的には、本実施形態では、病態(病因)、病期等に依らず、糖尿病性腎臓病に特異的な治療として、miRNA-181b-5p及び/又はmiRNA-125b-5pの機能活性を調整することで、糖尿病性腎臓病の治療を行うことが可能である。特に、上述した糖尿病性腎臓病用医薬を投与する等して、miRNA-181b-5pを過剰発現させる補充療法、及び/又はmiRNA-125b-5pのmiインヒビターによる発現抑制療法等により、糖尿病性腎臓病を予防及び治療することが可能となる。この際、例えば、上述のリポソームのようなDDS(ドラッグデリバリーシステム)等でmiRNA-181b-5p等を投与することが可能である。
さらに、下記に示すような、当業者により実行される典型的な治療法を組み合わせることで、より効果的に糖尿病性腎臓病を治療することが可能となる。
ここで、糖尿病性腎臓病では、病期として、1期(腎症前期)、2期(早期腎症期)、3A期(前期顕性腎症期)、4期(腎不全期)、5期(透析療法期)に分類される。1期では、腎臓に病変が生じ、糸球体の基底膜が厚くなる。2期では、微量のアルブミンが尿に漏れるようになる。3A期では、糸球体結節等が生じ、蛋白尿が明らかになる。そして、4期では、腎機能の低下も認められるようなる。4期では、腎機能の悪化が顕著となる。5期では、人工透析が必要となる。
これらの進行に応じた治療では、早期に診断をして、インスリン治療を含めた血糖管理をする。この際、糖尿病性腎症では、糖尿病の食事療法に加え、慢性腎不全の食事療法を併用する必要がある。薬物療法としては、高血圧の治療を行うため、一般にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシン受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬等を用いる。そして、降圧薬として利尿剤を投与し、浮腫の管理を行う。
加えて、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病用医薬は、動物の体内の一部分、又は動物から摘出又は排出された臓器や組織等についても、治療用の対象とすることができる。さらに、この治療は広義の治療であり、バイオリアクター、モデル動物での培養、人体移植様の培養臓器の培養等にも適用可能である。
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来から、透析導入となる腎疾患でもっとも多いのが糖尿病性腎臓病である。糖尿病性腎臓病は糖尿病に合併しておこる腎障害で全透析患者、新規導入透析患者のともに約4割を占めている。糖尿病性腎臓病は高齢者に多いため、今後の高齢化社会でさらに患者数が増加すると考えられている。このように糖尿病性腎臓病の予後が極めて悪く、大きな問題である原因は、糖尿病患者数が極めて多いこと、そのうち約半数が糖尿病性腎臓病に罹患していると考えられているにも関わらず、糖尿病性腎臓病の正確な診断法、特異的な治療法がないことである。糖尿病性腎臓病に特異的で有効な治療法が開発されない理由は、糖尿病性腎臓病を特異的に診断できる検査法がないため、正確な早期診断ができないこと、治療法の効果、病状の進行を正確に判断することができないことがある。
従来、糖尿病性腎臓病の確定診断は腎生検で行われていたものの、腎生検は入院が必要な侵襲的検査であり、合併症の危険もあった。そのため、病状評価の目的などで繰り返しの検査はできなかった。その他、アルブミン尿、腎機能などで病状評価されているが、これらの評価は、糖尿病性腎臓病に特異的ではなく、殆どの腎疾患で共通したマーカーにすぎなかった。
また、特許文献1に記載されたような、従来の糖尿病についてのmiRNAについては、少数の患者研究、コントロールが健常人のみの研究、特定miRNAのみの研究等、糖尿病性腎臓病特異的なmiRNAの解析ではなかった。すなわち、最大の問題は、報告されたmiRNAが糖尿病性腎臓病のみで特異的に変化するのかどうかという特異性の検討がなされていなかった。さらに、腎生検組織との相関が解明されておらず、精度が不明であった。すなわち、従来、糖尿病性腎症のバイオマーカー及び治療ターゲットとして有用なmiRNAは同定されていなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーは、血液中に存在するmiRNAであり、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pを用いることで、糖尿病性腎臓病の診断に用いることが可能となる。
すなわち、本実施形態のバイオマーカーにより、予後の悪い腎疾患である糖尿病性腎臓病を、早期のうちに正確に診断できる。これにより、治療効果が期待できる。
加えて、本実施形態のバイオマーカーは、実際の腎生検組織との相関があったため、糖尿病性腎臓病の実際の病理的な症状との関連性が高く、診断用として有用である。
加えて、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病の診断方法では、本実施形態の各miRNAが疾患早期から発現変化しているため、早期診断に用いることが可能である。すなわち、本実施形態の診断方法は、腎症のうち糖尿病性腎臓病であることを早期に、被侵襲的に診断することが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病の診断方法では、判別の難しい糖尿病性腎臓病と、糖尿病を合併しているその他の腎障害とを、臨床上の診断にて判別可能となり、治療上の有益な指標を提供することができる。
さらに、糖尿病性腎臓病の治療では、腎機能障害が軽度の段階で治療を開始する必要があるものの、特異的な治療薬も存在しなかった。
これに対して、miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pの機能活性調整剤を用いることで、新規の糖尿病性腎臓病用医薬を提供でき、上述の診断と合わせて早期治療が可能となる。
実際に、miRNA-181b-5pの発現量を増大させるmiRNAミミックを用いることで、後述の実施例2に示したように、糖尿病モデルマウスに投与して蛋白尿の増加を抑制し、メサンギウム基質の増大を抑制することが可能である。
このように、本実施形態のmiRNAは、糖尿病性腎臓病の診断から治療まで一括して使用でき、診断及び治療による糖尿病性腎臓病の予後改善が可能となる。
なお、上述の実施の形態において、糖尿病性腎臓病の検査方法として、血液からmiRNAを取得する例について記載した。
しかしながら、miRNAは血液以外、例えば、尿中にも安定して存在している。このため、血液以外の組織、体液、尿等から取得されたmiRNAの量により、糖尿病性腎臓病であると検出するように構成することも可能である。
さらに、本実施形態の診断方法は、腎症の予後を診断する糖尿病性腎臓病予後診断方法としても用いることが可能である。すなわち、糖尿病性腎臓病では、通常の腎症とは異なり、症状が出にくい。このため、早期に診断し、腎症としての予後を予測することで、早期治療に努めて、透析導入となる時期を遅らせることが可能となる。
加えて、糖尿病性腎臓病用医薬となるmiRNA-125b-5p、及び/又はmiRNA-181b-5pの機能活性調整剤として、miRNAインヒビター及びmiRNAミミック以外のものを用いることも可能である。
さらに、後述する実施例1に記載したような、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pの発現調整の対象となる遺伝子、遺伝子産物、アゴニスト/アンタゴニスト、その他のパスウェイに対する作用を介した組成物を、機能活性調整剤として用いることも可能である。
さらに、miRNA-125b-5p、及び/又はmiRNA-181b-5pの機能活性調整剤として、その他のmiRNAの転写調節因子を用いたり、各種ベクターによる発現調節、CRISPR/Cas等による遺伝子治療等を行うことも可能である。
加えて、後述する実施例1に記載した対象とする遺伝子やパスウェイに対する作用を介した遺伝子治療を行うことも可能である。
ここで、上述のバイオマーカー、診断方法、検査用キット、治療方法、及び医薬のいずれにおいても、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pは、いずれか単独でも、両方を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る医薬は、他の組成物等と併用することも可能である。本発明の組成物を、他の組成物と同時に投与、散布、塗布等をしてもよい。
加えて、本発明の実施の形態に係る機能活性調整剤を、医薬以外の用途の試薬として用いることも可能である。すなわち、糖尿病性腎臓病における作用機序の動物実験やモデル等に使用可能である。
以下で、本発明の実施の形態に係る糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーについて、具体的な実験を基にして、実施例としてさらに具体的に説明する。しかしながら、この実施例は一例にすぎず、これに限定されるものではない。
〔実験方法〕
(マイクロアレイ分析)
miRNA発現の分析は、microRNA Complete Labeling Reagent及びHybキット(Agilent Technologies、CA、USA社製)を用いて、北海道システムサイエンス社(北海道、日本)に外注して実行した。100ngのトータルRNAを、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて37℃で30分間脱リン酸化し、100℃で7分間、100%ジメチルスルホキシドを用いて変性させた。次いで、このサンプルを氷上で2分間冷却した。次いで、サンプルにT4リガーゼを用いて16℃で、2時間インキュベーションさせpCp-Cy3で標識した。その後pCp-Cy標識サンプルを8×15KフォーマットAgilentマウスmicroRNAアレイ上でハイブリダイズさせた。その後プレートを洗浄し、Agilent Technologies Microarrayスキャナーを用いて3μmの分解能でスキャンした。データは、Agilent Feature Extractionソフトウェアバージョン10.7.3.1を使用して解析した。
(マイクロアレイデータ処理及び統計解析)
AgilentデータをGeneSpring GX(Agilent Technologies社製)にインポートし、チップあたり90パーセンタイルに正規化した。 一元配置分散分析(ANOVA)を用いて異なる群間の差異を解析した。ANOVAによって統計的有意性が検出された場合、2つの異なる群の平均を比較するためにポストホック検定としてTukey検定を行った。P<0.05を有意差ありと判定した。
(qRT-PCR)
(マウス腎臓)
ガラスホモジナイザー及びフィルターカラムシュレッダー(QIAシュレッダー、Qiagen、Valencia、CA、USA製)を用いて、マウス腎臓をホモジナイズした。その後、miRNeasy mini kit(Qiagen)を使用して、均質化した腎臓サンプルからmiRNAを含むトータルRNAを単離した。次に、miScript II RTキット(Qiagen)を用いて、単離された1μgのtotal RNAを逆転写した。次に、miScript SYBR green PCRキット(Qiagen)を用いてリアルタイムRT-PCR(qRT-PCR)を行った。qRT-PCRの条件はQuantStudio 12K Flex Flex Real-Time PCR systemを用いて、95℃で15分間のプレインキュベーション、次いで、(1)94℃で15秒間の変性、(2)55℃で30秒間のアニーリング、(3)70℃で30秒間の伸長のサイクルを40サイクル行い、結果は、RNU6-2(QUIAGEN社製)をendogenous controlとして用いて、2-ΔΔCT methodで解析した。
(ヒト血清)
ヒト血清のmiRNAレベル解析は、NucleoSpin miRNA Plasmaカラム(Macherey-Nagel、PA、USA製)を用いて400μlの血清からトータルRNAを単離した。次に、単離したトータルRNAをmiScript II RTキット(Qiagen)を用いて逆転写した。次に、miScript SYBR green PCRキット(Qiagen)を用いてリアルタイムRT-PCRを行った。qRT-PCRの条件はQuantStudio-12K Flex Flex Real-Time PCR systemを用いて、95℃で15分間のプレインキュベーション、次いで(1)94℃で15秒間の変性、(2)55℃で30秒間のアニーリング、(3)及び70℃で30秒間の伸長のサイクルを40サイクル行い、結果は、miRNA-16-5p(QUIAGEN社製)をendogenous controlとして用いて、2-ΔΔCT methodで解析した。
以下のプライマーを用いた。
マウスmiRNA-125b-5p:
5’-UCCCUGAGACCCUAACUUGUGA-3’ (配列番号5)
マウスmiRNA-181b-5p:
5’-AACAUUCAUUGCUGUCGGUGGGU-3’(配列番号6)
ヒトmiRNA-125b-5p:
5’-UCCCUGAGACCCUAACUUGUGA-3’ (配列番号7)
ヒトmiRNA-181b-5p:
5’-AACAUUCAUUGCUGUCGGUGGGU-3’(配列番号8)
(マウス)
糖尿病性腎臓病マウス(I型糖尿病モデルマウス):AKITA/SLcマウス(日本エスエルシー株式会社より購入)。
糖尿病性腎臓病マウス(II型糖尿病モデルマウス):db/dbマウス(C57BLKS/J Iar-+Leprdb/+Leprdb マウス。動物繁殖研究所より購入)。
コントロールマウス:正常マウス(C57/B6系統)、動物繁殖研究所より購入。
〔結果〕
(糖尿病性腎臓病マウスの腎臓の変化)
図1に、糖尿病性腎臓病モデルマウスであるAKITA/SLcマウスの腎臓の変化を示す。図1(a)がコントロールマウス(正常マウス)、図1(b)が糖尿病性腎臓病モデルマウス(AKTAマウス)の腎臓を示す。糖尿病性腎臓病マウスでは、糸球体腫大とメサンギウム基質の増大が認められた。
(マイクロアレイ解析及びqRT-PCR結果)
図2に、マイクロアレイ解析の結果を示す。本実施例1では、糖尿病性腎臓病マウス(4匹)と正常マウス(コントロールマウス)(4匹)の腎臓で、1,880種類のmiRNAのマイクロアレイ解析を行った。
結果として、糖尿病性腎臓病マウス(AKITA/SLc)の腎臓で1.2倍以上上昇しているmiRNAを13種類、1.2倍以上低下しているmiRNAを28種類、合計41種類を選出し、更に、qRT-PCRで確認した。
なお、糖尿病性腎症マウス(AKITA/SLcマウス)はI型糖尿病モデルマウスでもあるため、II型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)での変化も、qRT-PCRで確認した。糖尿病性腎症マウス及びdb/dbマウスの血清でも、コントロールマウスに比べて変化していることを確認した。
(ヒトでのqRT-PCR結果)
マウスの血清で特異的に変化するmiRNAについて、ヒトにおいて、健常人、腎障害のない糖尿病患者、他の腎疾患患者と比較し、糖尿病性腎臓病のバイオマーカーとなるmiRNAを同定した。
具体的には、上述の41種類のmiRNAの血清での発現変化をqRT-PCR法を用いて、健常人(17例)、腎障害のない糖尿病患者(miRNA-125b-5pは22例、miRNA181b-5pは10例)、腎生検で診断された糖尿病性腎臓病患者(10例)、腎生検で診断された糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者(miRNA-125b-5pは18例、miRNA181b-5pは17例。このうち、IgA腎症5例、膜性腎症4例、腎硬化症3例、間質性腎炎3例、微小変化ネフローゼ3例)で比較検討し、糖尿病性腎臓病患者の血清でのみ特異的に発現変化する2種類のmiRNAとして、miRNA-125b-5pと、miRNA-181b-5pとを同定した。なお、腎疾診断は全て腎生検で、組織学的診断した。
(miRNA-125b-5pの発現解析)
ここで、図3により、miRNA-125b-5pの発現量の変化について説明する。
図3(a)は、リアルタイムPCRによる血清中のmiRNA-125b-5pの測定について、健常人(15例)、糖尿病患者(22例)、糖尿病性腎臓病患者(10例)、及び糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者(15例)について、健常人を1として正規化し、qRT-PCRによる発現量の差をみたグラフである。miRNA-125b-5pは、同様の対照患者に比べて、P<0.05で有意に発現量が増加した。
この解析結果について、下記の表1に平均及び標準偏差を示す。
Figure 0007120663000001
図3(b)は、miRNA-125b-5pについてのROC曲線(感度/1-特異度)による精度評価(信用性)を示すグラフである。ここでは、糖尿病性腎臓病10例と、それ以外の40例(健常人15例、腎障害のない糖尿病10例、その他の腎疾患15例)に分けた合計50例での解析を行った。AUCは0.778となり、P<0.05で特異的なマーカーであった。
この曲線の下の領域積についての検定結果を、下記の表2に示す。
Figure 0007120663000002
(miRNA-181b-5pの発現解析)
次に、図4により、miRNA-181b-5pの発現量の変化について説明する。
図4(a)は、健常人、糖尿病患者、糖尿病性腎臓病患者、糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者について、健常人を1として正規化し、qRT-PCRによる発現量の差をみたグラフである。miRNA-181b-5pの発現量は、P<0.05で有意に低下していた。
この解析結果について、下記の表3に平均及び標準偏差を示す。
Figure 0007120663000003
図4(b)は、miRNA-181b-5pについてのROC曲線による精度評価(信用性)を示すグラフである。ここでは、糖尿病性腎臓病10例と、それ以外の40例(健常人15例、腎障害のない糖尿病10例、その他の腎疾患15例)に分けた合計50例での解析を行った。AUCは0.832となり、P<0.01で特異的なマーカーであった。加えて、miRNA-181b-5pよりも、miRNA-181b-5pの方がやや高い精度を示した。
この曲線の下の領域積についての検定結果を、下記の表4に示す。
Figure 0007120663000004
〔まとめ〕
図5により、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pの発現の変化による糖尿病性腎臓病の作用機序についての考察について説明する。
miRNA-125b-5pは、従来から、血管平滑筋細胞で、ヘテロクロマチンの形成や機能の維持に中心的な役割を果たすヒストンメチル化酵素であるSuv39h1を標的mRNAとして抑制し、その結果MCP-1、IL-6を上昇させることが知られている。さらに、miRNA-125b-5pは、滑膜繊維芽細胞でIκB及びp65上昇を介して、TNF-α、IL-6、IL-1βを上昇させ、マクロファージを活性化させることが知られている。このため、miRNA-125b-5pの発現量が上昇することで、炎症関連の因子により、糖尿病性腎臓病の症状を生じさせると考えられる。
一方、miRNA-181b-5pは、血管内皮細胞でNF-κBによる炎症パスウェイに関する転写因子であるp65を抑制し、動脈硬化を抑制することが知られている。さらに、miRNA-181b-5pは、血管内皮細胞でimportin-α3を標的mRNAとして抑制を介してTNF-α、NF-κBを抑制することも知られている。これに加えて、miRNA-181b-5pは、血管平滑筋でTGF-β1を抑制し、動脈石灰化を抑制することも知られている。このため、miRNA-181b-5pの発現量が下降することで、これらの因子が活性化して炎症が生じやすくなり、糖尿病性腎臓病の症状を生じさせると考えられる。
これらの作用機序のパスウェイに関する調整剤を用いることで、さらなる糖尿病性腎臓病の診断及び治療効果が期待できる。また、遺伝子治療にも用いることが可能である。
〔追加試験結果〕
(糖尿病性腎臓病の作用機序)
図6に、他の予備実験を含めて推定された、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pによる糖尿病性腎臓病の発症、進展の推定機序について説明する。
miRNA-125b-5pは、Suv39h1の他にもIkB、STAT3、TNFAIP3、VEGF、TNF-α、IRF4等の発現を調整し、これを介して、少なくとも一部は、P53、MCP-1、IL-6、IL-1βの発現を調整することで、糖尿病性腎臓病の発症、進展に関わると考えられる。
一方、miRNA-181b-5pは、TGFβR1、importin α3、PHLPP2、CYLD、TIMP3等の発現を調整し、これを介して、少なくとも一部は、TNF-α、NF-kBの発現を抑制することで、糖尿病性腎臓病の発症、進展に関わると考えられる。
(miRNA-125b-5pの発現解析)
次に、図7A及び図7Bにより、上述の実施例1における実験と同様の手法により、患者数を増加させて、miRNA-125b-5pの発現量の変化を調べた結果について説明する。
図7Aは、リアルタイムPCRによる血清中のmiRNA-125b-5pの測定について、健常人(20例)、糖尿病患者(10例)、糖尿病性腎臓病患者(15例)、及び糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者(50例)について、健常人を1として正規化し、qRT-PCRによる発現量の差をみたグラフである。グラフは、グラフ中の「*」は、P<0.05であることを示す。miRNA-125b-5pは、同様の対照患者に比べて、P<0.05で有意に発現量が増加した。
この解析結果について、下記の表5に、平均、標準偏差、2±SE(標準誤差)の解析結果を示す。
Figure 0007120663000005
次に、この解析結果のうち、分散分析を行った結果を下記の表6に示す。
Figure 0007120663000006
次に、この解析結果のうち、多重比較を行った結果を下記の表7に示す。
Figure 0007120663000007
図7Bは、miRNA-125b-5pについてのROC曲線(感度/(1-特異度))による精度評価(信用性)を示す。ここでは、糖尿病性腎臓病15例と、それ以外の80例(健常人20例、腎障害のない糖尿病10例、その他の腎疾患50例)に分けた合計95例での解析を行った。AUCは0.853となり、P<0.01であった。これにより、特異的なマーカーであることがより裏付けられた。
この曲線の下の領域積についての検定結果を、下記の表8に示す。
Figure 0007120663000008
(miRNA-181b-5pの発現解析)
次に、図8A、図8Bにより、上述の実施例1における実験と同様の手法により、患者数を増加させて、miRNA-181b-5pの発現量の変化を調べた結果について説明する。
図8Aは、健常人(20例)、糖尿病患者(10例)、糖尿病性腎臓病患者(20例)、及び糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者(50例)について、健常人を1として正規化し、qRT-PCRによる発現量の差をみたものである。miRNA-181b-5pの発現量は、P<0.05で有意に低下していた。
この解析結果について、下記の表9に、平均、標準偏差、2±SE(標準誤差)の解析結果を示す。
Figure 0007120663000009
次に、この解析結果のうち、分散分析を行った結果を下記の表10に示す。
Figure 0007120663000010
次に、この解析結果のうち、多重比較を行った結果を下記の表11に示す。
Figure 0007120663000011
図8Bは、miRNA-181b-5pについてのROC曲線による精度評価(信用性)を示す。ここでは、糖尿病性腎臓病20例と、それ以外の80例(健常人20例、腎障害のない糖尿病10例、その他の腎疾患50例)にわけた合計100例での解析を行った。AUCは0.766となり、P<0.01で特異的なマーカーであった。
この曲線の下の領域積についての検定結果を、下記の表12に示す。
Figure 0007120663000012
(miRNA-181b-5p及びmiRNA-181b-5pの組み合わせ)
次に、図9により、miRNA-181b-5p及びmiRNA-181b-5pを組み合わせて診断した結果について説明する。
図9(a)は、各個人でmiRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pの2つのマイクロRNAの比を算出し、診断能力について解析した結果を示すグラフである。
具体的には、健常人(20例)、糖尿病患者(10例)、糖尿病性腎臓病患者(15例)、及び糖尿病性腎臓病以外の腎疾患患者(50例)について、

発現量の比 = miRNA-125b-5pの発現量/miRNA-181b-5pの発現量

を算出し、健常人を1として正規化することで、相対的な変化量を算出した。結果として、この相対的な変化量は、糖尿病性腎臓病患者で、P<0.01で統計的に有意に上昇した。
図9(b)は、上述の相対的な変化量についてのROC曲線による精度評価(信用性)を示すグラフである。AUCは0.853、P<0.01で特異的なマーカーであった。また、Cut off valueは1.8倍、感度は0.87、特異度は0.75となった。
このように、miRNA-125b-5pとmiRNA-181b-5pとの組み合わせ(miRNA-125b-5p/miRNA-181b-5p)により、更に糖尿病性腎臓病の診断能の感度と特異度を上昇させることができた。
〔糖尿病合併CKDの判別性能〕
次に、糖尿病合併CKDのうち、糖尿病性腎臓病(DKD)(13例)と、糖尿病を合併しているその他の腎障害(10例)とについて、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pで鑑別可能であるかを調べた。いずれも腎生検で確定診断している症例について調べた。
図10に、この解析結果を示す。図10(a)はmiRNA-181b-5pの結果、図10(b)はmiRNA-125b-5pの結果を示す。
結果として、miRNA-181b-5pの発現量は、P<0.01で有意に低下していた。一方、miRNA-125b-5pの発現量については、5%有意にはならなかったものの、明らかに増加していた。
上述のように、miRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pは、いずれも、糖尿病性腎臓病(DKD)と糖尿病を合併しているその他の腎障害と判別可能であった。このように、臨床上で診断の難しい症状の判別が可能となり、有用性が高い。
なお、更に、miRNA-125b-5pとmiRNA-181b-5pの組み合わせ(miRNA-125b-5p/miRNA-181b-5p)の比(相対的な変化量)を求めることで、糖尿病性腎臓病(DKD)と、糖尿病を合併しているその他の腎障害とを、より顕著に鑑別(判別)可能であった。すなわち、さらに糖尿病性腎臓病の診断能の感度と特異度とが上昇した。
〔ヒト血清でのファミリーRNAのバイオマーカー評価〕
miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pと相同性のあるファミリーRNAについて、上述の実施例1と同様にqRT-PCRで発現量が変化するか評価した。このうち、miRNA-125b-5pのファミリーRNAとして、miRNA-125a-3p、miRNA-125a-5p、及びmiRNA-125b-3pを用いた。
プライマーは、以下のものを用いた:
ヒトmiRNA-125a-3p:
5’-ACAGGUGAGGUUCUUGGGAGCC-3’ (配列番号9)
ヒトmiRNA-125a-5p:
5’-UCCCUGAGACCCUUUAACCUGUGA-3’(配列番号10)
ヒトmiRNA-125b-1-3p:
5’-ACGGGUUAGGCUCUUGGGAGCU-3’ (配列番号11)
miRNA-181b-5pのファミリーRNAとしては、miRNA-181a-3p、miRNA-181a-5p、miRNA-181b-3p、miRNA-181c-3p、miRNA-181c-5p、miRNA-181d-3p、及びmiRNA-181d-5pを用いた。
プライマーは、以下のものを用いた:
ヒトmiRNA-181a-3p:
5’-ACCAUCGACCGUUGAUUGUACC-3’ (配列番号12)
ヒトmiRNA-181a-5p:
5’-AACAUUCAACGCUGUCGGUGAGU-3’ (配列番号13)
ヒトmiRNA-181b-3p:
5’-CUCACUGAACAAUGAAUGCAA-3’ (配列番号14)
ヒトmiRNA-181c-3p:
5’-AACCAUCGACCGUUGAGUGGAC-3’ (配列番号15)
ヒトmiRNA-181c-5p:
5’-AACAUUCAACCUGUCGGUGAGU-3’ (配列番号16)
ヒトmiRNA-181d-3p:
5’-CCACCGGGGGAUGAAUGUCAC-3’ (配列番号17)
ヒトmiRNA-181d-5p:
5’-AACAUUCAUUGUUGUCGGUGGGU-3’ (配列番号18)
これらのうち、患者血清で発現があったファミリーRNAは、miRNA-125a-5p、miRNA-181c-3p、及びmiRNA-181d-5pの3種類のみであった。
図11A、図11B、図11Cに、これらのファミリーRNAの相対発現量の変化を示す。具体的には、図11AはmiRNA-125a-5p、図11BはmiRNA-181c-3p、図11CはmiRNA-181d-5pにおける健常人、糖尿病患者、糖尿病性腎臓病患者、他腎疾患患者についての発現量の差をそれぞれ調べた結果である。いずれも、灰色の点線は、健常人を1と正規化した際の、糖尿病性腎臓病の相対発現量(fold)を示す。
結果として、いずれも糖尿病性腎臓病で特異的に変化する傾向は、認められなかった。すなわち、上述のmiRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pのみが特異的に糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーとして効果的に利用可能であることが分かった。
〔マウスでの治療効果〕
次に、DDS(ドラッグデリバリーシステム)として、Polyethylenimine nanoparticle(PEI-NPs)を用いて、miRNAミミックをマウス腎臓へのデリバリーし、実際の糖尿病性腎臓病への治療効果について調べた。
(方法)
(マウス)
本実施例においては、上述の実施例1と同じII型糖尿病モデルマウスdb/db(C57BLKS/J Iar-+Leprdb/+Leprdb マウス(動物繁殖研究所より購入)を、糖尿病性腎臓病(DKD)のモデルマウスとして用いた。
(miRNA-181b-5p-mimic-PEI-NPの調製)
DDSとして、Linear polyethylenimine-based nanoparticle(in vivo-jetPEI(TM)、以下「PEI-NP」という。)は、Polyplust transfection SA, Illkirch-Graffenstaden、France)から購入した。miRNA-181b-5pミミック(ジーンデザイン社製)を蒸留水に溶解し100μMとした。このmiRNAミミック及びPEI-NPを混合し、室温で15分間インキュベートし、miRNA-181b-5pミミック-PEI-NPとして調整した(以下、図面では「miRNA-181b-5p-mimic」と記載する。)。同じ方法を用いて、miRNA-125b-5pミミック-PEI-NP(以下、図面では「miRNA-125b-5p-mimic」と記載する。)、及びmiRNAコントロール-PEI-NP(以下、図面では「miRNA-control」と記載する。)を調製した。miRNA-125b-5pミミック、miRNAコントロールは、いずれもジーンデザイン社製である。
これらのミミック及びコントロールの配列は以下の通りである:

マウスmiRNA-181b-5pミミック:
5’-AACAUUCAUUGCUGUCGGUGGGUU-3’(配列番号19)
マウスmiRNA-125b-5pミミック:
5’-UCCCUGAGACCCUAACUUGUGA-3’ (配列番号20)
miRNAコントロール:
5’-GGUUCGUACGUACACUGUUCA-3’ (配列番号21)
(投与プロトコル)
図12によると、ミミックの添付プロトコルに従って、各db/dbマウスに、合計200μLのmiRNA-181b-5pミミック-PEI-NP(miRNA:50μg、N/P比=6)を尾静脈から静脈注射して投与した。コントロールとして、db/dbマウスに水(Mock)だけ投与(以下、図面では「db/db」と記載する。)、正常マウスにmiRNA-181b-5pミミック-PEI-NPを投与したもの(以下、図面では「m+/m+」と記載する。)も用意した。期間、回数としては、10週齢から週1回、合計10回投与し、20週齢で解剖して比較した。
(蛋白尿の測定)
24時間尿を蓄尿し尿中アルブミンを免疫比濁法で測定(μg/L)し、同時に尿中クレアチニンを酵素法で測定(mg/L)し、UACR(尿アルブミン/クレアチニン比)(μg/mg Cr)を算出して、蛋白尿の評価とした。
(メサンギウム拡張の評価)
マウスの腎臓を4%パラホルムアルデヒドで固定し、その後パラフィンに包埋した。PAS染色を使用して、AMDCCプロトコルに従ってメサンギウムインデックス(PAS染色の面積/糸球体の総面積)を決定し、メサンギウム拡張を評価した。マウスから各々10個の糸球体をランダムに選出し、その平均を計算した。個体数は各群3匹(n=3)ずつで、糸球体の総計は30個である。
(結果)
(ミミックの腎臓での発現量の確認)
図13により説明すると、まず、実施例1と同様のqRT-PCRで、Mock(水のみ投与)、miRNA-181b-5pミミックの投与、miRNAコントロール-PEI-NPの投与について発現量の変化を調べた。結果として、miRNA-181b-5pミミック-PEI-NPの投与により、miRNA-181b-5pの発現量増加(over expression)が1週間程度持続できることを確認した。
(糖尿病性腎臓病の治療効果評価)
図14に、miRNA-181b-5pミミック-PEI-NPを投与したマウスの蛋白尿の状態を測定した結果を示す。このグラフの横軸は、投与週(Weeks after treatment)、縦軸はUACR(μg/mg Cr)の値を示す。
結果として、miRNA-181b-5pミミック-PEI-NPの投与により、db/dbマウスにおいて、蛋白尿の増加が抑制された。
(メサンギウム拡張の評価結果)
図15に、各マウスにおいて、腎臓のメサンギウム細胞の機能障害を示すメサンギウム拡張の評価を行った結果を示す。このグラフは、10週(Week 10)、20週(Week 20)における、各マウスのメサンギウムインデックス(mesangial expression (% of area))を示す。
結果として、20週では、db/dbマウスにmiRNA-181b-5pミミック-PEI-NPを投与したものは、db/dbマウスにmiRNAコントロール-PEI-NPを投与したものに比べて、p<0.05でメサンギウムインデックスが減少した。すなわち、メサンギウム細胞の増加を抑制した。
図16に、この20週の状態で固定した腎臓の状態を示す。db/dbマウスと、db/dbマウスにmiRNAコントロール-PEI-NPを投与したものは、メサンギウム細胞の増加が確認できる。これに対して、db/dbマウスにmiRNA-181b-5pミミック-PEI-NPを投与したものは、正常マウスに比べて、あまりメサンギウム細胞が増加していなかった。
(血液生化学検査及び組織病理)
上述の各マウス(n=3)の血液について、AST、ALT、γ-GTP、LDHの生化学検査を行った。
この結果を、下記の表13に示す。
Figure 0007120663000013
結果として、血清学的に肝機能に異常は認められなかった。
また、投与後の組織病理についても目視で確認した。結果として、肉眼的所見で肝、脾、肺、心には、異常は認められなかった。
(まとめ)
結果として、miRNA-181b-5pの発現を増加させることで、糖尿病性腎臓病に特異的な治療薬として用いることが可能であることが分かった。すなわち、miRNA-181b-5pミミック-PEI-NPのような核酸医薬、これを模した低分子化合物等を新規の糖尿病性腎臓病用医薬として提供可能であることが裏付けられた。
〔マウスでの追加評価項目〕
(方法)
次に、上述の実施例1のAKITA/SLcマウス(AKITAマウス)、及び実施例1並びに実施例2のdb/dbマウスにおいて、高カロリー食を投与した群と、水のみ投与のコントロール(Mock)とについて、miRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pの腎臓での発現量が変化するかどうか、20週の腎臓を取得し、上述と同様のqRT-PCRで調べた。
さらに、miRNAの発現量を経時的に観察して解析した。具体的には、AKITAマウス及びdb/dbマウスにおいて、5週(5w)、12週(12w)、28週(28w)の血清及び腎臓におけるmiRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pの発現量の変化をqRT-PCRで調べた。
これに加え、老化腎障害(腎硬化症)モデルマウスであるSAMP1マウス(日本エスエルシー株式会社より購入)、腎繊維化モデルマウスであるUUOマウス、急性腎臓損傷(AKI)モデルマウスである虚血再灌流(IRI)マウス)でも同様に、腎臓で発現量が変化するかどうか調べた。
UUOマウスは、正常マウスの尿管を片側性に結紮する(UUO)ことで作成した。
IRIマウスは、C57/B6 mice(9週齢、雄)の右腎臓を摘出後、左腎動脈を45分間クランプして腎血流を遮断し、急性腎不全を誘導し、24時間後に解剖した。
(結果)
図17に、AKITAマウス及びdb/dbマウスにおける腎臓での発現量の変化を示す。図17(a)は、AKITAマウスでのmiRNA-181b-5pの発現量、図17(b)はAKITAマウスでのmiRNA-125b-5pの発現量、図17(c)はdb/dbマウスでのmiRNA-181b-5pの発現量、図17(d)はdb/dbマウスでのmiRNA-125b-5pの発現量を、それぞれ示す。各グラフは、コントロール(Mock)群の発現量を1で正規化した、相対発現量を示す。
いずれも、高カロリー食を投与した群では、コントロール群に比べて、miRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pの腎臓での発現量は低下していた。つまり、miRNA-125b-5pの発現量については、血清とは異なり、腎臓では低下していた。
図18に、糖尿病性腎臓病以外のモデルマウスでの発現量の変化を示す。図18(a)(b)にSAMP1マウス、図18(c)(d)にUUOマウス、図18(e)(f)にIRIマウスでのmiRNA-181b-5p及びmiRNA-125b-5pの発現量を調べた結果を、それぞれ示す。各グラフは、コントロール(SAMR、sham、Mock)を1として正規化し、相対発現量を調べたものである。
結果として、糖尿病性腎臓病以外のモデルマウスでは、いずれの発現量も変化していなかった。
これらの結果から、miRNA-125b-5p及びmiRNA-181b-5pは、糖尿病性腎臓病に特異的であると考えられる。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明によれば、血液中に存在するmiRNAを糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーとして用いることで、糖尿病性腎臓病の早期診断と治療用の医薬の提供が期待でき、産業上利用可能である。

Claims (7)

  1. miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pである
    糖尿病性腎臓病特異的バイオマーカーを用いる
    ことを特徴とする糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法。
  2. 前記miRNA-125b-5pの血清中での発現が上昇している場合及び/又は前記miRNA-181b-5pの発現が低下している場合、糖尿病性腎臓病と診断することを補助する
    ことを特徴とする請求項1に記載の糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法。
  3. 診断は、糖尿病性腎臓病(DKD)と、糖尿病を合併しているその他の腎障害との判別を含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の糖尿病性腎臓病の診断することを補助する方法。
  4. miRNA-125b-5p及び/又はmiRNA-181b-5pを測定する試薬を含む
    ことを特徴とする糖尿病性腎臓病の検査用キット。
  5. ヒト以外の動物の治療方法であって、
    miRNA-181b-5pミミックを含む組成物を投与し
    糖尿病性腎臓病の腎臓を治療する
    ことを特徴とする動物治療方法。
  6. miRNA-181b-5pミミックを含む組成物である
    ことを特徴とする糖尿病性腎臓病用医薬。
  7. 記組成物は、
    II型糖尿病による糖尿病性腎臓病用の医薬である
    ことを特徴とする請求項6に記載の糖尿病性腎臓病用医薬。
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