JP7117174B2 - ガラスフィルタ - Google Patents
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Description
(1)ガラスフィルタの目付が低下すると強度物性が低下するため、ガラス繊維の配合を工夫してガラスフィルタの低圧力損失化・高捕集率化を図るのが得策であること。(特許文献1:0016、特許文献2:0027)
(2)平均繊維径が0.55μm以下と平均繊維径1.0μm以上のような、繊維径差の大きい2種類以上のガラス繊維を配合することで、低圧力損失化・高捕集率化のガラスフィルタを実現できること。(特許文献1:0017、特許文献2:0028)
(3)実施例1~2、比較例1~4において、平均繊維径0.65μmの細ガラス繊維60重量%と2.7μm以上の太ガラス繊維40重量%を配合してなる、目付70g/m2のガラスフィルタを製造したこと。(特許文献1)
(4)実施例1~2、比較例1~2において、平均繊維径0.65μmの細ガラス繊維70重量%と2.7μm以上の太ガラス繊維30重量%を配合してなる、目付70g/m2のガラスフィルタを製造したこと。(特許文献2)
(5)実施例3において、平均繊維径0.50μmの細ガラス繊維38重量%と2.7μm以上の太ガラス繊維62重量%を配合してなる、目付70g/m2のガラスフィルタを製造したこと。(特許文献1、特許文献2)
[1]構成繊維としてガラス繊維を含有する目付が30g/m2以下の主濾過層を備えたガラスフィルタであって、
前記主濾過層は平均繊維径が0.50μm以下の細ガラス繊維と、前記細ガラス繊維よりも平均繊維径が太い太ガラス繊維を含んでおり、
前記細ガラス繊維および前記太ガラス繊維の質量に占める細ガラス繊維の質量の百分率は、40質量%よりも多い、
ガラスフィルタ、
[2]凝集剤を備えている、[1]のガラスフィルタ
により、解決できる。
(1)主濾過層は平均繊維径が0.50μm以下の細ガラス繊維を含んでいるため、粒子捕集率が99%以上かつQF値(フィルタ性能)が高い(具体的には、0.0313よりも高い)ガラスフィルタを実現できる。
(2)主濾過層が細ガラス繊維よりも平均繊維径が太い太ガラス繊維を含んでいると共に、細ガラス繊維および太ガラス繊維の質量に占める細ガラス繊維の質量の百分率が、40質量%よりも多いため、QF値(フィルタ性能)が更に向上したガラスフィルタを実現できる。
主濾過層は構成繊維として細ガラス繊維と、該細ガラス繊維よりも平均繊維径が太い太ガラス繊維を含んだ布帛(織物、編み物、不織布、繊維ウェブなど)である。高い捕集率を有すると共にQF値が更に向上したガラスフィルタを実現できるよう、また、柔軟性が高いことでプリーツ形状にしたガラスフィルタを提供できるよう、構成繊維がランダムに絡合してなる不織布あるいは繊維ウェブであるのが好ましい。
電子顕微鏡写真から測定対象となる繊維を800本選出し、上述のようにして測定した繊維径の平均値を算出することで、測定対象の平均繊維径を求めることができる。
本発明にかかる主濾過層は単体でガラスフィルタとして使用できるが、
・捕集率が高いと共に、フィルタ性能がより向上したガラスフィルタを提供できるように、
・剛性が高く取り扱い性に優れるガラスフィルタを提供できるように、
・プリーツ形状にした際のプリーツ山部分や谷部分で繊維のモモケや破損が発生するのを防止できるように、
・プリーツ間にアルミ箔などのセパレータを挿入していても、主濾過層とセパレータの接触部分に破損が生じ難くなるように、
主濾過層の少なくとも一方の主面上に基材を積層してなるガラスフィルタであるのが好ましく、両面に基材を積層してなるガラスフィルタであるのがより好ましい。
具体的には、主濾過層を効率良く補強できるよう、基材は主濾過層の構成繊維よりも平均繊維径の大きい繊維で構成された繊維層であるのが好ましい。
繊維Aや繊維Bの平均繊維径は適宜調整するが、0.5μm~6μmであることができ、繊維Bの平均繊維径は2μm~6μmであることができる。
また、基材に含まれている繊維Aおよび繊維Bの質量に占める繊維Aの質量の百分率は、1質量%~50質量%であることができ、3質量%~45質量%であることができ、5質量%~40質量%であることができる。これらの各下限と各上限は、所望により、任意に組み合わせることができる。
また、基材は主濾過層と同様に、添加剤を含有していてもよい。
ガラスフィルタの構成は適宜選択できる。
ガラスフィルタが主濾過層と基材を備えている場合、バインダを付与し両材料を接着してもよい。
またプリーツフィルタのプリーツ山間に、プリーツ山同士が接触するのを防止可能なセパレータを挿入しても、溶融した樹脂を線状あるいは網目状に付与してスペーサーを設けることで、隣接するプリーツ山同士が接触するのを防止してなるフィルタであってもよい。
主濾過層を備えたガラスフィルタの製造方法は適宜選択できるが、一例として以下の製造方法を採用できる。
1.ワイヤーなどの支持体上に、水など分散媒に細ガラス繊維および太ガラス繊維を分散させてなる分散液を抄き上げ脱水することで、支持体-主濾過層の積層構造物を形成する工程、
2.積層構造物へバインダ液を付与し、不要な溶媒および/または分散媒を除去する工程、
3.支持体を除くことで、ガラスフィルタ(主濾過層単体)を調製する工程、
を含むガラスフィルタの製造方法。
1.ワイヤーなどの支持体上に、水など分散媒に基材の構成繊維を分散させてなる分散液を抄き上げ脱水することで、支持体-基材の積層構造物を形成する工程、
2.積層構造物の基材側主面上に、水など分散媒に細ガラス繊維および太ガラス繊維を分散させてなる分散液を抄き上げ脱水することで、支持体-基材-主濾過層の積層構造物を形成する工程、
3.積層構造物へバインダ液を付与し、不要な溶媒および/または分散媒を除去する工程、
4.支持体を除くことで、基材-主濾過層の積層構造を有するガラスフィルタを調製する工程、
を含むガラスフィルタの製造方法。
1.第二方法の工程2に続き、積層構造物の主濾過層側主面上に、第二方法の工程1で調製した、新たな支持体-基材の積層構造物を積層して、支持体-基材-主濾過層-基材-支持体の積層構造物を形成する工程、
2.積層構造物へバインダ液を付与し、不要な溶媒および/または分散媒を除去する工程、
3.支持体を除くことで、基材-主濾過層-基材の積層構造を有するガラスフィルタを調製する工程、
を含むガラスフィルタの製造方法。
1.第二方法の工程2に続き、積層構造物における主濾過層側主面上に、水など分散媒に基材の構成繊維を分散させてなる分散液を抄き上げ脱水することで、支持体-基材-主濾過層-基材の積層構造物を形成する工程、
2.積層構造物へバインダ液を付与し、不要な溶媒および/または分散媒を除去する工程、
3.支持体を除くことで、基材-主濾過層-基材の積層構造を有するガラスフィルタを調製する工程、
を含むガラスフィルタの製造方法。
1.上述した各方法で調製したガラスフィルタに、更に基材を積層してガラスフィルタを調製する工程、
を含むガラスフィルタの製造方法。
また、ガラスフィルタの少なくとも一方の主面上に溶融した樹脂を線状あるいは網目状に付与してスペーサーを設けたときに、ガラスフィルタ主面と該溶融した樹脂の接触角を大きくできるよう、撥水剤を添加してなるバインダ液を用いるのが好ましい。バインダの固形分質量に占める撥水剤の固形分百分率は適宜調整するが、バインダの固形分質量に占める撥水剤の固形分百分率が0.1質量%~50質量%となるように、調整するのが好ましい。
市販されている単層のガラス不織布フィルタ(目付:70g/m2)を用意した。
水1.0L中に、ガラス繊維Fを20質量部、ガラス繊維Gを50質量部、ガラスチョップドストランドを30質量部、ポリアクリル酸エステル系凝集剤を混合し分散させて基材調製用スラリーを用意した。なお、基材調製用スラリー中のポリアクリル酸エステル系凝集剤の濃度は、後述する実施例17の積層構造を有するガラスフィルタにおいて、バインダの固形分質量に占める凝集剤の固形分濃度が250ppmとなるように調整した。
ワイヤー上に基材調製用スラリーを抄き上げ脱水することで、ワイヤー上に繊維ウェブaを備えた積層構造物を形成した。
積層構造物を乾燥機へ供することで分散媒である水を除去し、ワイヤーを取り除くことで、ガラスフィルタ(目付:50g/m2)を調製した。
水1.0L中に、ガラス繊維Aを分散させて主濾過層調製用スラリーを用意した。
参考例2で調製した積層構造物における繊維ウェブa上に、主濾過層調製用スラリーを抄き上げ脱水することで、ワイヤー-繊維ウェブa-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブの積層構造物を形成した。
積層構造物を乾燥機へ供することで分散媒である水を除去し、ワイヤーを取り除くことで、繊維ウェブa(基材)-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブ(主濾過層)の積層構造を有するガラスフィルタ(目付:15g/m2)を調製した。
繊維ウェブa上に抄き上げる主濾過層調製用スラリーの量を表2に記載の主濾過層の目付になるよう変更したこと以外は、参考例3と同様にして、積層構造を有するガラスフィルタを各種調製した。
ガラス繊維Aの代わりにガラス繊維Bを用いたこと、および、積層構造物における繊維ウェブa上に抄き上げる主濾過層調製用スラリーの量を表2に記載の主濾過層の目付になるよう調整したこと以外は、参考例3と同様にして、積層構造を有するガラスフィルタを各種調製した。
ガラス繊維Aの代わりにガラス繊維Cを用いたこと、および、積層構造物における繊維ウェブa上に抄き上げる主濾過層調製用スラリーの量を表2に記載の主濾過層の目付になるよう調整したこと以外は、参考例3と同様にして、積層構造を有するガラスフィルタを各種調製した。
ガラス繊維Aの代わりにガラス繊維Eを用いたこと、および、積層構造物における繊維ウェブa上に抄き上げる主濾過層調製用スラリーの量を表2に記載の主濾過層の目付になるよう調整したこと以外は、参考例3と同様にして、積層構造を有するガラスフィルタを各種調製した。
試験ダクトに試験対象物(ガラスフィルタ)を設置して計数法により捕集率(%)を算出した。つまり、平面状の試験対象物(試験対象物がプリーツ形状を備えている場合には、折り曲げ形状を伸ばし平面状にする)を有効間口面積0.04m2の試験ダクトのホルダーにセットした後、粒子径0.3μmのPAO粒子(ポリアルファオレフィン粒子、PAO粒子数:U)を試験対象物の上流側に供給し、面風速5.3cm/sで空気を通過させた時の、下流側における粒子径0.3μmのPAO粒子数(D)をパーティクルカウンタで測定し、次式より算出した値を捕集率(%)とした。なお、試験対象物が積層構造を有する場合には、試験対象物のうち最も平均繊維径の小さい繊維層が下流側に存在するようにして設置した。
捕集率(%)=[1-(D/U)]×100
QF値=-Ln(1-捕集率[%]/100)/圧力損失[Pa]
以上から、目付が30g/m2以下の主濾過層を備えたガラスフィルタにおいて、平均繊維径が0.50μm以下の細ガラス繊維を含有する主濾過層であることで、粒子捕集率が99%以上かつフィルタ性能に優れる(QF値が0.0313よりも高い)ガラスフィルタを提供し得ることが判明した。
水1.0L中に、ガラス繊維A、および、ガラス繊維Dあるいはガラス繊維Eを表3に記載の質量部で混合し分散させて主濾過層調製用スラリーを用意した。
参考例2で調製した積層構造物における繊維ウェブa上に、主濾過層調製用スラリーを抄き上げ脱水することで、ワイヤー-繊維ウェブa-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブの積層構造物を形成した。
積層構造物を乾燥機へ供することで分散媒である水を除去し、ワイヤーを取り除くことで、繊維ウェブa(基材)-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブ(主濾過層)の積層構造を有するガラスフィルタを調製した。
水1.0L中に、ガラス繊維A、および、ガラス繊維Dを表4に記載の質量部で混合し分散させて主濾過層調製用スラリーを用意した。
ワイヤー上に主濾過層調製用スラリーを抄き上げ脱水することで、ワイヤー上に濾過層を構成する繊維ウェブが堆積した積層構造物を形成した。
積層構造物を乾燥機へ供することで分散媒である水を除去し、ワイヤーを取り除くことで、濾過層を構成する繊維ウェブのみからなる、ガラスフィルタを調製した。
水1.0L中に、ガラス繊維A、および、ガラス繊維Dを表5に記載の質量部で混合し分散させて主濾過層調製用スラリーを調製した。
参考例2で調製した積層構造物における繊維ウェブa上に、主濾過層調製用スラリーを抄き上げ脱水することで、ワイヤー-繊維ウェブa-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブの積層構造物を形成した。
調製した積層構造物における、主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブの主面上に、参考例2で調製した積層構造物を新たに積層して、ワイヤー-繊維ウェブa-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブ-繊維ウェブa-ワイヤーの積層構造物を形成した。
次いで、酢酸ビニル系樹脂バインダ分散液(分散媒:水)、フッ素系撥水剤、フッ素系界面活性剤を配合したバインダ液を用意した。
積層構造物をバインダ液中に浸漬した後、引き上げた積層構造物を乾燥機へ供することで分散媒である水を除去し、ワイヤーを取り除くことで、繊維ウェブa(基材)-主濾過層調製用スラリー由来の繊維ウェブ(主濾過層)-繊維ウェブa(基材)の積層構造を有するガラスフィルタを調製した。
なお、ガラスフィルタの構成繊維同士はバインダで接着されていた。また、バインダの固形分質量に占める酢酸ビニル系樹脂バインダ、ポリアクリル酸エステル系凝集剤(基材のみに含有されている)、フッ素系撥水剤、フッ素系界面活性剤の存在割合は表5に記載の通りであった。
ガラスフィルタが含有するバインダの固形分質量に占める酢酸ビニル系樹脂バインダ、ポリアクリル酸エステル系凝集剤(基材のみに含有されている)、フッ素系撥水剤、フッ素系界面活性剤の存在割合を表5に記載の通りとなるよう調整したこと以外は、実施例17と同様にして、積層構造を有するガラスフィルタを調製した。
・プリーツ山の高さ:60mm
・プリーツ山同士の間隔:4mm
このようにして調製したプリーツ形状に加工したガラスフィルタには、プリーツ山部分や谷部分で繊維のモモケや破損が発生していなかった。また、プリーツ山とプリーツ谷の折り目は、くっきりと付いたものであった。
Claims (3)
- 構成繊維としてガラス繊維を含有する目付が30g/m2以下の主濾過層を備えたガラスフィルタであって、
前記主濾過層は平均繊維径が0.50μm以下の細ガラス繊維と、前記細ガラス繊維よりも平均繊維径が太い太ガラス繊維を含んでおり、
前記細ガラス繊維および前記太ガラス繊維の質量に占める細ガラス繊維の質量の百分率は、40質量%よりも多いものであり、
前記主濾過層の両主面に、前記主濾過層の構成繊維よりも平均繊維径の大きい繊維で構成された繊維層を備えている、
ガラスフィルタ。 - 前記主濾過層の両主面に設けられている前記繊維層は、同一の構成を備えている、請求項1に記載のガラスフィルタ。
- 凝集剤を備えている、請求項1又は2に記載のガラスフィルタ。
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