JP7117117B2 - 水処理用薬剤、水処理用薬剤の製造方法、および水処理方法 - Google Patents

水処理用薬剤、水処理用薬剤の製造方法、および水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、水処理用薬剤、およびその水処理用薬剤を用いた水処理方法に関する。
水処理設備においては、必要に応じて各種の殺菌処理等の水処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。水処理設備における殺菌処理は、設備や材への影響、処理水質への影響、コスト等を検討しながら決定、実施される。殺菌剤としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、過酸化水素等の無機系薬剤や、有機系薬剤が使用される。また、熱水殺菌が行われることもある。
例えば、純水製造工程および超純水製造工程における逆浸透膜(RO膜)装置においては、系内の微生物の増殖に伴う微生物由来のスライム等により、透過水量の低下、処理水質の悪化、通水差圧の上昇等の性能低下が引き起こされることがある。これらの微生物汚染等を抑制するために種々の殺菌剤(スライム抑制剤)が提案されている。殺菌剤としては、一般的には、無機系薬剤である次亜塩素酸等の酸化系殺菌剤や、有機系薬剤である有機窒素系殺菌剤、ハロシアノアセトアミド系殺菌剤等が知られている(例えば、特許文献2,3参照)。
酸化系殺菌剤の中でも次亜塩素酸は、汎用的に使用される水処理用の薬剤であるが、酸化力が強く、後段の設備や材(逆浸透膜やイオン交換樹脂等)にダメージを与えることがあるため、殺菌処理後の余剰な薬剤は、還元剤や活性炭等で処理する必要がある。また、薬剤注入により後段の塩負荷が増加する。
過酸化水素は後段の塩負荷を増加させないが、例えば%オーダの高濃度での処理が必要であり、殺菌処理後の処理水について過酸化水素の分解処理が必要となる(例えば、特許文献4参照)。
有機系薬剤は、処理水のTOCの増加等に注意が必要である(例えば、特許文献5,6参照)。また、熱水殺菌は、設備の耐熱性や、処理コスト等に課題がある。
以上のことから、新たな殺菌剤等の水処理用薬剤が求められている。
ところで、次世代機能性材料として酸化グラフェンが注目されている。酸化グラフェンは抗菌性を有しており、酸化グラフェンを口腔内に存在する細菌に対する抗菌性付与材料として利用することが提案されている(特許文献7)。しかし、酸化グラフェンを、水処理用薬剤として利用する具体的な報告は見当たらない。
特開2016-120487号公報 特開2008-272667号公報 特開2008-056644号公報 特開2008-279387号公報 特開2009-247992号公報 特開2010-063998号公報 特開2016-074636号公報
本発明の目的は、新たな水処理用薬剤、およびその水処理用薬剤を用いた水処理方法を提供することにある。
本発明は、酸化グラフェンを含有する水処理用薬剤であって、前記酸化グラフェンの平面形状が、長手方向の大きさで0.1~50μmの範囲であり、前記酸化グラフェンの酸素含有量が、25~65重量%の範囲であり、前記酸化グラフェンのXPS分析において、C-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度が0.3倍以上であり、C=Oピーク強度が0.1倍以上である、水処理用薬剤である。
前記水処理用薬剤において、前記酸化グラフェンの厚さが、炭素原子10層以下であることが好ましい。
前記水処理用薬剤において、前記水処理用薬剤中の前記酸化グラフェンの含有量が、0.01~50重量%の範囲であることが好ましい。
前記水処理用薬剤において、前記水処理用薬剤のpHが、0~8の範囲であることが好ましい。
本発明は、前記水処理用薬剤の製造方法であって、前記酸化グラフェンは、硫酸に黒鉛を加えて、過マンガン酸カリウムと50℃以下で反応させたものである。
本発明は、前記水処理用薬剤を用いて被処理水の水処理を行う水処理方法である。
本発明は、前記水処理用薬剤を用いて被処理水の殺菌処理を行う水処理方法である。
前記水処理方法において、前記殺菌処理における前記被処理水中の前記酸化グラフェンの濃度が、0.5~50mg/Lの範囲であることが好ましい。
本発明により、新たな水処理用薬剤、およびその水処理用薬剤を用いた水処理方法を提供することができる。
実施例で用いた酸化グラフェン1のSEM写真である。 実施例で用いた酸化グラフェン3のSEM写真である。 実施例で用いた酸化グラフェン1,2のXPS分析の結果を示す図である。 実施例で用いた酸化グラフェン1,2,3の水分散液における、酸化グラフェンの濃度(ppm)と酸化還元電位(mV(NHE))との関係を示すグラフである。 実施例で用いた酸化グラフェン1,2,3の水分散液における、酸化グラフェンの濃度(ppm)と導電率(μS/cm)との関係を示すグラフである。 実施例で用いた酸化グラフェン1,2,3の水分散液における、酸化グラフェンの濃度(ppm)とpHとの関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<水処理用薬剤>
本発明者らは、酸化グラフェンが適度な殺菌作用等を有し、新たな水処理用薬剤として利用できることを見出した。
酸化グラフェンは、黒鉛(グラファイト)を特定の方法で酸化することにより得られる。黒鉛は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体であり、例えば、Hummers-Offeman法等によって黒鉛を酸化させることにより各炭素シートを酸化させ、酸化に伴って各炭素シートを個々に分離させ、酸化グラフェンとすることができる。なお、「酸化グラフェン」は、通常、酸化された1層の炭素シートのことを指すが、黒鉛を酸化させた場合に、必ずしも1層の炭素シートとなるとは限らず、複数の炭素シートが重なった状態となることもあり、このような酸化された炭素シートが1層または複数層(例えば、10層以下)となっている状態を、本明細書では「酸化グラフェン」と呼ぶ。
酸化グラフェンの構造は製造方法によっても変わり、詳細な構造は明らかではないが、酸化により、例えば、エポキシ基、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基等の官能基が炭素シートの炭素原子に導入されていると考えられている。製造方法、原料の黒鉛、用いる酸や酸化剤の種類および量、反応時間等によって得られる酸化グラフェンの構造、性質等が異なる。
本発明の実施形態に係る水処理用薬剤は、この酸化された炭素シートが1層または複数層となっている「酸化グラフェン」を含有するものである。ただし、本実施形態に係る水処理用薬剤には、酸化グラフェンの凝集体や未剥離の黒鉛が含まれていても構わない。また、本実施形態に係る水処理用薬剤には、完全に分散しておらず、粒状の物質(例えば凝集体や黒鉛)が含まれていても構わない。これらの物質は、重量で10%以下含まれていてもよく、好ましくは重量で1%以下含まれていてもよい。
本実施形態に係る水処理用薬剤に含まれる酸化グラフェンは、例えば、Hummers-Offeman法(Hummers WS, Offeman R, Preparation of graphite oxide. J. Am. Chem Soc, 1958; 80: 1339.参照)で製造されるが、製造方法は、特に限定されるものではない。Hummers-Offeman法は、一般的に、硝酸ナトリウムと、硫酸と、過マンガン酸カリウムとを含む混合液に粉末状の黒鉛を加えることにより黒鉛を酸化させ、酸化グラフェンを生じさせる方法である。Hummers-Offeman法の他には、Brodie法(Brodie BC, Sur le poids atomique du graphite. Ann. Chem. Phys, 1860; 59: 466-472.参照)、Staudenmaier法(Staudenmaier L, Verfahren zur darstellung der graphitsaure. Ber. Dtsch. Chem Ges, 1898; 31: 1481-1499.参照)等を用いてもよい。Brodie法は、過マンガン酸カリウムの代わりに塩素酸カリウムを用いる方法であり、Staudenmaier法は、過マンガン酸カリウムの代わりに塩素酸カリウムを、硫酸の代わりに硫酸と硝酸の混合酸を用いる方法である。これらの方法を組み合わせたり、繰り返し行ったりすることにより、酸素含有量を増やしてもよい。Hummers-Offeman法等によって酸化グラフェンを得た後、必要に応じて、遠心分離法、膜ろ過法等により、酸化グラフェンを濃縮、精製すればよい。
本実施形態に係る水処理用薬剤において、酸化グラフェンは、濃硫酸等の硫酸に黒鉛を加えて、過マンガン酸カリウムと50℃以下で反応させたものであることが好ましい。すなわち、酸化グラフェンは、Hummers-Offeman法、またはHummers-Offeman法を修正した方法で製造されたものであることが好ましい。この方法は、酸化グラフェンの製造に数日から1週間程度を要するBrodie法やStaudenmaier法に比べて、製造時間の短縮が可能であり、ClOの生成を避けられることから安全性が高く、過剰に酸化されていない酸化グラフェンが得られるという利点がある。また、反応温度を50℃以下とすることで、過剰な酸化が抑制される。「過剰な酸化反応が抑制される」ことは、反応を制御して、所望の特性の酸化グラフェンを得ることができることを意味し、酸化グラフェンの収率が高まり、酸化グラフェンの品質のばらつきが少なくなり、酸化グラフェンの品質が高まる。「過剰に酸化された」酸化グラフェンとは、原料の黒鉛から剥離された平面シート状の酸化グラフェンが酸化ダメージを受けることを意味し、例えば、酸化によって、平面シート形状が崩れ、シート形状分布が広がり、小さくなったり、穴のあいたシート形状の酸化グラフェンが得られることになる。
酸化グラフェンの平面形状は、長手方向の大きさで0.1~50μmの範囲であることが好ましく、0.5~30μmの範囲であることがより好ましく、1~10μmの範囲であることがさらに好ましい。酸化グラフェンの平面形状が長手方向の大きさで0.1μm未満であると、Hummers-Offeman法等による反応後の遠心分離法、膜ろ過法等による濃縮、精製において酸化グラフェンを分離、除去しにくい場合があり、また、水処理薬剤として使用した後の被処理水中に添加された酸化グラフェンの膜ろ過法等による固液分離において酸化グラフェンを分離、除去しにくい場合がある。酸化グラフェンの平面形状が長手方向の大きさで50μmを超えると、凝集してしまい、平面状に剥離した表面積が高い酸化グラフェンの表面積が小さくなり、期待する水処理効果が得られない場合がある。同様の化学組成(酸化度)で、同じ重量濃度の場合、小粒径の方がエッジ効果により、単位重量あたりの粒子のエッジの割合が増え、エッジ周辺に官能基が多く存在し易くなり、官能基の密度が増えることから、殺菌効果等が高くなると考えられる。原料の違い、製造方法の違い、製造のしやすさ、濃縮のしやすさ、溶媒への分散、凝集のしやすさ、水処理後の後処理のしやすさ等を考慮して、水処理用薬剤に含有される酸化グラフェンの大きさを適宜決定してもよい。なお、酸化グラフェンの長手方向の大きさは、酸化グラフェンのSEM観察において、30個の粒子を任意に選択し、選択した30個の粒子について測定した長手方向の大きさの平均値として求めたものである。なお、用いる酸化グラフェン中に、長手方向の大きさが上記範囲に含まれないものが全体の1~30重量%程度は含まれていてもよい。
酸化グラフェンの厚さは、炭素原子10層以下であることが好ましく、5層以下であることがより好ましく、1層であることがさらに好ましい。酸化グラフェンの厚さは、炭素原子10層で約10nmの厚さとなる。酸化グラフェンの厚さが10層を超えると、十分な殺菌性能を示さない場合がある。炭素原子10層酸化グラフェンの厚さが薄い(層数が少ない)ほど、酸化グラフェンの単位重量(モル)あたりの表面積が大きくなり、殺菌効果(殺菌効率)等が高くなる。一方、酸化グラフェンの厚さを薄くする(層をより剥離する)ためには、よりエネルギーをかける必要がある。また、酸化グラフェンの保管中に凝集する可能性もあるが、凝集が発生した場合に、再度剥離するための処理を行うことや、凝集を抑制するために、分散剤を添加することは、コストの増加につながる。また、純水製造用の殺菌剤等の水処理用薬剤として使用する場合、分散剤の添加は余計な負荷となる可能性がある。なお、酸化グラフェンの厚さは、AFM(原子間力顕微鏡)によりタッピングモードで、任意に選択した10個の粒子について測定した厚さの平均値として求めたものである。なお、用いる酸化グラフェン中に、厚さが10層を超えるものが全体の0~20重量%程度は含まれていてもよい。
酸化グラフェンの酸素含有量は、25~65重量%の範囲であることが好ましく、30~60重量%の範囲であることがより好ましく、45~60重量%の範囲であることがさらに好ましい。酸化グラフェンの酸素含有量が25重量%未満であると、酸化グラフェンが凝集する場合があり、65重量%を超えると、酸化グラフェンの合成が困難となる場合がある。同様のサイズの場合、酸化度が高い方が酸化性の官能基の割合が多くなり、殺菌効果等が高くなる。酸化性の官能基の割合は酸素含有量によって規定することができる。酸化グラフェンの酸化度は酸化グラフェンの製造のときの酸化条件等で調整することができる。製造コストや水処理用薬剤の使用目的等に応じて酸化条件は適宜決定してもよい。酸化グラフェンの酸素含有量は、CHN有機元素分析で求めたC,H,Nの値を100%から引いた値である。
酸化グラフェンの酸素含有量に関連し、酸化グラフェンのXPS分析において、C-C(グラフェン骨格の炭素-炭素の結合)ピーク強度に対して、C-O(官能基の炭素-酸素の一重結合)ピーク強度およびC=O(官能基の炭素-酸素の二重結合)ピーク強度の少なくとも1つが大きいことが好ましい。酸化グラフェンのXPS分析において、C-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度およびC=Oピーク強度の少なくとも1つが0.3倍以上であることが好ましく、0.7倍以上であることがより好ましい。C-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度およびC=Oピーク強度の両方が0.3倍未満以下であると、親水性が低いため凝集する場合がある。なお、XPS分析において、C-Cピークは、285eV付近に、C-Oピークは、286eV付近に、C=Oピークは、288eV付近に現れる。
本実施形態に係る水処理用薬剤は、酸化グラフェンを含有するものであり、例えば、酸化グラフェンの溶液、分散液、ペースト、粉末、粒状ペレット等の形態とすることができる。溶液および分散液の溶媒としては、水や、メタノール等のアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2--ピロリドン(NMP)等の極性有機溶媒等が挙げられる。
水処理用薬剤中の酸化グラフェンの含有量は、製造コスト、輸送コストや取り扱い等を考慮して、適切な濃度に調整すればよく、特に制限はないが、0.01~50重量%の範囲であることが好ましく、0.1~50重量%の範囲であることがより好ましく、0.5~30重量%の範囲であることがさらに好ましく、1~10重量%の範囲であることが特に好ましい。水処理用薬剤が粉体の場合は、酸化グラフェンの含有量は100重量%であってもよい。水処理用薬剤中の酸化グラフェンの含有量が0.1重量%未満であると、コスト的に不利になる場合がある。水処理用薬剤としては、酸化グラフェンは高濃度の方が望ましいが、50重量%よりも濃度が高いと、濃縮操作にエネルギーがかかり、製造コストが高くなる場合や、長期保管で分散状態が不安定になるような場合があるため、必要以上に高濃度としなくてもよい。また、次亜塩素酸等の他の薬剤と混合して、複合薬剤として使用してもよい。
水処理用薬剤のpHは、0~8の範囲であることが好ましく、1~7の範囲であることがより好ましく、3~7の範囲であることがさらに好ましい。水処理用薬剤のpHが0未満であると、酸化グラフェンが十分剥離しない場合があり、8を超えると、凝集する場合がある。酸化グラフェンには、通常、酸化性官能基が存在するために、水溶液または分散液は酸性を示すが、安定的な分散状態を維持するため、必要に応じてpH調整を行ってもよい。水処理用薬剤として使用する点で、pH調整は塩酸(HCl)等の無機酸、水酸化ナトリウム(NaOH)等の無機アルカリで行うことが好ましい。
酸化グラフェンを含む水処理用薬剤の希釈条件は、純水で希釈した場合の導電率が被処理水の導電率以下(例えば100μS/cm以下)となるような濃度であることが好ましい。また、次亜塩素酸等の酸化系殺菌剤にはないマイルドな条件で殺菌処理等の水処理を行う場合、酸化還元電位(ORP)が次亜塩素酸等の酸化系殺菌剤での処理条件よりも低い(例えば、300mV(NHE)以下である)ことが好ましい。
<水処理用薬剤を用いた水処理方法>
本実施形態に係る水処理方法は、上記水処理用薬剤を用いて被処理水の水処理を行う方法である。水処理としては、上記水処理用薬剤を用いて被処理水の処理を行うものであればよく、特に制限はないが、例えば、殺菌処理、吸着処理、凝集剤または凝集助剤として凝集処理、COD除去剤としてCOD除去処理、界面活性剤除去剤として界面活性剤除去処理等に用いられる。なお、本実施形態に係る水処理方法には、水処理用薬剤を改質剤として用いて改質した逆浸透膜等の膜を用いて水処理を行う水処理方法も含まれる。
酸化グラフェンを含む水処理用薬剤を希釈して、被処理水の殺菌処理等の水処理を行ってもよい。水処理用薬剤を被処理水に直接注入してもよいが、事前に希釈操作を行ってから、希釈液を被処理水に注入してもよい。
殺菌処理における被処理水中の酸化グラフェンの濃度は、0.5~50mg/Lの範囲であることが好ましく、1~10mg/Lの範囲であることがより好ましい。被処理水中の酸化グラフェンの濃度が0.5mg/Lより低いと、十分な殺菌効果が得られない場合がある。被処理水中の酸化グラフェンの濃度が50mg/Lよりも高いと、処理コストが高くなる場合がある。また、殺菌処理後の処理水の後処理の負荷が高くなる場合がある。
次亜塩素酸等の酸化系殺菌剤による殺菌処理後は、還元剤や活性炭等による後処理が必要である。一方、本発明の実施形態に係る水処理方法において、酸化グラフェンは次亜塩素酸等の酸化系殺菌剤よりも酸化剤としてはマイルドであり、後段の設備や材(逆浸透膜やイオン交換樹脂等)に対する酸化劣化の程度を抑制することができる。また、酸化グラフェンは精密ろ過膜(MF膜)等を用いたろ過等で除去することができるため、後段の塩負荷の増加を抑制することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[酸化グラフェン1の合成]
Hummers-Offeman法を修正した方法である、文献(Naoki Morimoto et.al., Tailoring the oxygen content of graphite and reduced graphene oxide for specific applications, Nature Scientific Reports, 6:21715, DOI:10.1038/srep21715)に記載の方法で、黒鉛の3重量倍の過マンガン酸カリウムを用いて酸化グラフェン1を合成した。
得られた酸化グラフェン1のSEM写真を図1に、XPS装置(光電子分光装置、日本電子株式会社製、JPS-9030)によりXPS分析を行った結果を図3に示す。得られた酸化グラフェン1の平面形状は、長手方向の大きさで10μmであった。XPS分析においてC-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度は、1倍、C=Oピーク強度は、0.1倍であった。酸素含有量は、50重量%であった。酸化グラフェンの厚さは、炭素原子10層以下であった。
なお、酸化グラフェンの長手方向の大きさは、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S-5200)を用いた酸化グラフェンのSEM観察において、30個の粒子について測定した長手方向の大きさの平均値として求めた。酸化グラフェンの酸素含有量は、CHN有機元素分析で求めたC,H,Nの値を100%から引いた値として求めた。酸化グラフェンの厚さは、SPM(走査型プローブ顕微鏡、株式会社島津製作所製、SPM-9700HT)によりタッピングモード条件で、10個の粒子について測定した厚さの平均値として求めた。
[酸化グラフェン2の合成(高酸化品)]
上記文献に記載の方法で、黒鉛の5重量倍の過マンガン酸カリウムを用いて酸化グラフェン2を合成した。
得られた酸化グラフェン2についてXPS装置(光電子分光装置、日本電子株式会社製、JPS-9030)によりXPS分析を行った結果を図3に示す。得られた酸化グラフェン2の平面形状は、長手方向の大きさで10μmであった。XPS分析においてC-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度は、2倍、C=Oピーク強度は、0.6倍であった。酸素含有量は、60重量%であった。酸化グラフェンの厚さは、炭素原子10層以下であった。
[酸化グラフェン3の合成(小粒径品)]
酸化グラフェン1を、高圧式ホモジナイザーを用いて1wt%分散液、150MPaの条件で粉砕して、酸化グラフェン3を合成した。
得られた酸化グラフェン3のSEM写真を図2に示す。得られた酸化グラフェン3の平面形状は、長手方向の大きさで1μmであった。XPS分析においてC-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度は、1倍、C=Oピーク強度は、0.1倍であった。酸素含有量は、50重量%であった。酸化グラフェンの厚さは、炭素原子10層以下であった。
[酸化グラフェン4]
Aldrich社製の酸化グラフェン試薬(製品番号:794341-50ML、ロット番号:MKC0172V、炭素原子層:15~20層、酸素含有量:4~10%、水分散液(酸化グラフェン濃度:1mg/mL))を、酸化グラフェン4として用いた。酸化グラフェン4の平面形状は、SEM観察において長手方向の大きさで1μmであった。XPS分析においてC-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度は、0.1倍、C=Oピーク強度は、0.04倍であった。
<実施例>
下記模擬水を被処理水として、酸化グラフェンの殺菌効果を確認した。水処理用薬剤として、酸化グラフェン1、酸化グラフェン2、酸化グラフェン3のそれぞれについて酸化グラフェンの含有量が1重量%となるように水に分散させた水分散液を用いた。酸化グラフェン4については、購入した試薬をそのまま水処理用薬剤として用いた。被処理水に水処理用薬剤を添加し、室温(20~30℃)で放置し、所定時間経過後の一般細菌数を測定した。実験条件を以下に示し、結果を表1に示す。
(実験条件)
被処理水:相模原市南区西大沼(オルガノ株式会社開発センター内)の井戸水に普通ブイヨンを添加し、一般細菌数が10CFU/mLとなるよう調整した模擬水
水処理用薬剤:被処理水中の酸化グラフェンの濃度が1mg/L(実施例2では10mg/L)となるよう添加
評価方法:薬剤添加後2時間、24時間、48時間後の一般細菌数を生物簡易測定器具(三愛石油製、サンアイバイオチェッカー)により測定
[実施例1]
酸化グラフェン1を含有する水処理用薬剤を、被処理水中の酸化グラフェンの濃度が1mg/Lとなるよう添加して、殺菌効果を確認した。結果を表1に示す。
[実施例2]
酸化グラフェン1を含有する水処理用薬剤を、被処理水中の酸化グラフェンの濃度が10mg/Lとなるよう添加した以外は、実施例1と同様にして、殺菌効果を確認した。結果を表1に示す。
[実施例3]
酸化グラフェン1の代わりに酸化グラフェン2を含有する水処理用薬剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、殺菌効果を確認した。結果を表1に示す。
[実施例4]
酸化グラフェン1の代わりに酸化グラフェン3を含有する水処理用薬剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、殺菌効果を確認した。結果を表1に示す。
参考例5]
酸化グラフェン1の代わりに酸化グラフェン4を含有する水処理用薬剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、殺菌効果を確認した。結果を表1に示す。
なお、酸化グラフェン1,2,3の水分散液(純水希釈液)における、酸化グラフェンの濃度(ppm)と酸化還元電位(mV(NHE))との関係を図4に示し、酸化グラフェンの濃度(ppm)と導電率(μS/cm)との関係を図5に示し、酸化グラフェンの濃度(ppm)とpHとの関係を図6に示す。
[比較例1]
水処理用薬剤として、酸化グラフェン1を含有する水処理用薬剤の代わりに次亜塩素酸を用いた以外は、実施例1と同様にして、殺菌効果を確認した。次亜塩素酸は、被処理水中の全塩素濃度が1mg/Lとなるよう添加した。全塩素濃度は、ハンナインスツルメンツ社の残留塩素計HI96711多項目水質分析計DR/4000を用いて、全塩素測定法(DPD(ジエチル-p-フェニレンジアミン)法)により測定した値(mg/L asCl)である。結果を表1に示す。
Figure 0007117117000001
実施例の酸化グラフェンを含有する水処理用薬剤により、殺菌効果が得られることがわかった。比較例1の次亜塩素酸は、殺菌効果には優れるが、殺菌処理の後段の設備や材(逆浸透膜やイオン交換樹脂等)にダメージを与え、殺菌処理の後段の塩負荷が増加してしまうが、実施例の酸化グラフェンを含有する水処理用薬剤は次亜塩素酸よりも酸化剤としてはマイルドであり、後段の設備や材に対する酸化劣化の程度を抑制することができ、また、酸化グラフェンは精密ろ過膜(MF膜)等を用いたろ過等で除去することができるため、殺菌処理の後段の塩負荷の増加を抑制することができる。
以上の通り、酸化グラフェンを含有する新たな水処理用薬剤が得られ、酸化グラフェンを含有する水処理用薬剤を用いて、殺菌処理等の水処理が可能であることがわかった。

Claims (8)

  1. 酸化グラフェンを含有する水処理用薬剤であって、前記酸化グラフェンの平面形状が、長手方向の大きさで0.1~50μmの範囲であり、
    前記酸化グラフェンの酸素含有量が、25~65重量%の範囲であり、
    前記酸化グラフェンのXPS分析において、C-Cピーク強度に対して、C-Oピーク強度が0.3倍以上であり、C=Oピーク強度が0.1倍以上であることを特徴とする水処理用薬剤。
  2. 請求項1に記載の水処理用薬剤であって、
    前記酸化グラフェンの厚さが、炭素原子10層以下であることを特徴とする水処理用薬剤。
  3. 請求項1または2に記載の水処理用薬剤であって、
    前記水処理用薬剤中の前記酸化グラフェンの含有量が、0.01~50重量%の範囲であることを特徴とする水処理用薬剤。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の水処理用薬剤であって、
    前記水処理用薬剤のpHが、0~8の範囲であることを特徴とする水処理用薬剤。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の水処理用薬剤の製造方法であって、
    前記酸化グラフェンは、硫酸に黒鉛を加えて、過マンガン酸カリウムと50℃以下で反応させたものであることを特徴とする水処理用薬剤の製造方法。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の水処理用薬剤を用いて被処理水の水処理を行うことを特徴とする水処理方法。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の水処理用薬剤を用いて被処理水の殺菌処理を行うことを特徴とする水処理方法。
  8. 請求項に記載の水処理方法であって、
    前記殺菌処理における前記被処理水中の前記酸化グラフェンの濃度が、0.5~50mg/Lの範囲であることを特徴とする水処理方法。
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