JP7113994B1 - 片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法、及び片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法、及び片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度な片末端官能性オルガノポリシロキサンを得るための製造方法を提供する。【解決手段】ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンを原料とし、下記一般式(1)TIFF0007113994000052.tif2177(式中、R1は独立してアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、単結合または有機基で連結されたビニル基、単結合または有機基で連結された(メタ)アクリレート基を表す)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサンを製造する方法であって、近赤外線分光法を用いて重合反応中の反応液を分析することにより、60~95%の反応転化率になった時、反応を停止する片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法、及び片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
分子の片末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンおよびそのオルガノポリシロキサンから得られるグラフトポリマーは、高分子材料用表面改質剤、化粧料、コンタクトレンズ、塗料、粘着剤等に用いられる。このグラフトポリマーは、これらの製品に撥水性、撥油性、防汚性、耐熱性、酸素透過性、耐摩耗性、非接着性等の機能を付与することができる。
これらの片末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンは、公知の方法で製造される。例えば、リチウムトリメチルシラノレートを重合開始剤として用いてヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合し、3-(2-メタクリロキシエトキシ)プロピルジメチルクロロシランで反応を停止することにより、片末端にメタクリル基を有するオルガノポリシロキサンを合成する方法が知られている。
また、別な方法として、トリメチルシラノール又は3-メタクリロキシプロピルジメチルシラノールを開始剤として用い、五配位ケイ素触媒の存在下、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合し、次いでそれぞれ3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン又はトリメチルクロロシランで反応を停止することにより、片末端に(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサンを合成する方法が知られている。
しかしながら、これらの方法で片末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンを製造した場合、副生成物として両末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンが生成する可能性がある。特に、反応系中に含まれるヘキサメチルシクロトリシロキサンの量が少なくなると、重合した直鎖のオルガノポリシロキサン同士が反応することで、両末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンが生成しやすくなる。両末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンは架橋反応を引き起こしポリマー内部に取り込まれてしまうため、品質の低下を招く要因となる。
上記の理由から片末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンの製造においては、ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を正確に分析し、最適な転化率で反応を停止する必要がある。従来は、反応液中から採取した試料をガスクロマトグラフィー(以下GC)で分析し、その分析値に基づいて反応を停止させていた。しかし、GCによる分析は、ひとつの試料の分析に数十分の時間を要するため、試料採取時と分析値が得られるまでに時間差が生じてしまう。また、試料中に気化しないポリマーが含まれる場合は、GC装置本体を劣化させてしまう恐れがあるため、抽出等の前処理が必要であり、転化率を分析するまでに更に時間を要してしまうというのが現状であり、迅速かつ正確に反応を停止することが難しいという問題があった。
特許文献1では、ABS型グラフトポリマーの製造において、ラマン分光法を用いて、モノマー転化率を監視する方法が提案されている。この方法では、GCに比べてモノマー転化率の分析時間が短縮でき、より正確に反応を停止することが可能であったが、レーザー光を使用するため、化合物の構造によっては、試料が分解する恐れがあることや作業上の安全性確保に問題があった。
特表2005-507455号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造において、最適な反応転化率で反応を停止することにより、高純度な片末端官能性オルガノポリシロキサンを得るための製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、
ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンを原料とし、重合反応により下記一般式(1)
Figure 0007113994000001
(前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000002
(前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000003
(前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
で示される片末端官能性オルガノポリシロキサンを製造する方法であって、近赤外線分光法を用いて重合反応中の反応液を分析することにより、60~95%の反応転化率になった時、反応を停止する片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
このような片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法であれば、高純度である片末端官能性オルガノポリシロキサンを得ることができる。
また、前記Yを、下記式(4)または(5)
Figure 0007113994000004
(式中、pは1~5の整数である)
Figure 0007113994000005
(式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
のいずれかで表される2価の有機基であるものを用いることが好ましい。
このようなものを用いると、片末端官能性オルガノポリシロキサンとして好適なものを得ることができる。
また、前記重合反応を、リビング重合とすることが好ましい。
上記反応をリビング重合とすることで、本発明の製造方法により片末端官能性オルガノポリシロキサンをより良い純度で得ることができる。
また、前記重合反応中の反応液を分析する方法を、オンライン、またはインライン分析による方法とすることが好ましい。
このような方法を用いることで、反応転化率を正確に把握することができる。
また、前記片末端官能性オルガノポリシロキサン100質量部に対し、不純物である下記一般式(6)
Figure 0007113994000006
(前記一般式(6)において、R及びAは前記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
で示される両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量が0.01~2質量部となるように反応を停止することが好ましい。
このように反応を停止させることで、高純度の片末端官能性オルガノポリシロキサンを得ることができる。
また、本発明は、
片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物であって、
(a)下記一般式(1)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサン:100質量部、及び
Figure 0007113994000007

(前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000008
(前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000009
(前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
(b)下記一般式(6)で示される両末端官能性オルガノポリシロキサン:0.01~2質量部、
Figure 0007113994000010
(前記一般式(6)において、R及びAは前記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
を含むものである片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
本発明の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法により得られた組成物は、このような高純度の片末端官能性オルガノポリシロキサンを含む片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物となる。
また、前記Yが、下記式(4)または(5)
Figure 0007113994000011
(式中、pは1~5の整数である)
Figure 0007113994000012
(式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
のいずれかで表される2価の有機基であることが好ましい。
このようなものであれば、片末端官能性オルガノポリシロキサンとして好適なものとなる。
本発明の製造方法によれば、近赤外分光分析計を用いてシクロポリシロキサンの反応転化率を分析し、最適な反応転化率で反応を停止することで、高純度な片末端官能性オルガノポリシロキサンを得ることができる。また、本発明の製造方法で得られた組成物は、高純度の片末端官能性オルガノポリシロキサンである。
片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造において、高純度な片末端官能性オルガノポリシロキサンを得るための製造方法が求められていた。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造において、近赤外分光分析計を用いて反応転化率を分析することで、迅速かつ正確に反応を停止できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンを原料とし、重合反応により下記一般式(1)
Figure 0007113994000013
(前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000014
(前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000015
(前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
で示される片末端官能性オルガノポリシロキサンを製造する方法であって、近赤外線分光法を用いて重合反応中の反応液を分析することにより、60~95%の反応転化率になった時、反応を停止する片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法である。
また、本発明は、
片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物であって、
(a)下記一般式(1)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサン:100質量部、及び
Figure 0007113994000016
(前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000017
(前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000018
(前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
(b)下記一般式(6)で示される両末端官能性オルガノポリシロキサン:0.01~2質量部、
Figure 0007113994000019
(前記一般式(6)において、R及びAは前記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
を含むものである片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンを原料とし、重合反応により下記一般式(1)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサンを製造する方法である。
Figure 0007113994000020
(上記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000021
(上記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000022
(上記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、デカエチルシクロペンタシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、デカフェニルシクロペンタシロキサン、ジフェニルテトラメチルシクロトリシロキサン、テトラフェニルジメチルシクロトリシロキサン、ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、テトラフェニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルジメチルシクロテトラシロキサン、ジフェニルオクタメチルシクロペンタシロキサン、テトラフェニルヘキサメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサフェニルテトラメチルシクロペンタシロキサン、オクタフェニルジメチルシクロペンタシロキサンが挙げられるが、特にヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、ジフェニルテトラメチルシクロトリシロキサンの使用が好ましい。
上記一般式(1)において、Rは、独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のようなアルキル基やフェニル基が挙げられる。
また、mは3~300の整数であり、好ましくは3~80の整数である。
上記一般式(2)または(3)において、Yは、単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。Yとしては、下記式(4)又は(5)で表される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 0007113994000023
(式中、pは1~5の整数である)
Figure 0007113994000024
(式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基のようなアルキレン基、又はエーテル結合を含む、オキシエチレン基、オキシプロピレン基のようなオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基が挙げられる。
Yがこのようなものであれば、片末端官能性オルガノポリシロキサンとして好適なものとなる。
また、本発明においては、上記重合反応をリビング重合とすることが好ましい。リビング重合とすることで、片末端官能性オルガノポリシロキサンをより良い純度で得ることができる。
本重合反応で用いられる開始剤としては、例えば、リチウムトリメチルシラノレート、リチウムトリエチルシラノレート、リチウムトリプロピルシラノレート、リチウムトリブチルシラノレートのようなリチウムトリアルキルシラノレートや、メチルリチウム、エチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムのようなアルキルリチウムが挙げられるが、特にリチウムトリメチルシラノレート又はn-ブチルリチウムが好ましい。
この場合に用いられる末端封止剤としては、例えば、ジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、アクリロキシプロピルジメチルクロロシランのようなクロロシラン誘導体が挙げられる。
また別な方法として、シラノールを開始剤として用い、五配位ケイ素触媒の存在下で重合することも可能である。開始剤としては、例えば、トリメチルシラノール、ジメチルシラノール、ジメチルビニルシラノール、3-メタクリロキシプロピルジメチルシラノールが挙げられ、五配位ケイ素触媒は、下記式(7)で示されるものが挙げられる。
Figure 0007113994000025
(上記式(7)において、Rはメチル基、またはフェニル基であり、MはLi、Na、K、NH、CCHN(CHである。)
この場合に用いられる末端封止剤としては、例えば、官能性の末端を封止する末端封止剤としてはジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、アクリロキシプロピルジメチルクロロシランのようなクロロシラン誘導体が挙げられ、官能性でない末端を封止する末端封止剤としてはトリメチルクロロシランのようなクロロシラン誘導体が挙げられる。
上記に示すような開始剤や触媒を用いるリビング重合反応においては、水が混入すると望みの反応が進行しない恐れがある。そのため、原料や大気中から水が混入しないように管理することが好ましい。
これらの反応は、適当な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、n-ヘキサン等の非極性溶剤に、重合促進剤としてジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ダイグラム等の極性溶剤を添加した混合溶媒や、上記極性溶剤を使用することが好ましい。
反応温度は、-20℃~150℃が好ましく、特に0℃~40℃が好ましい。反応時間は反応温度によって変化するが、反応温度0℃~40℃の場合、おおむね1~30時間が適当である。3~20時間が更に好ましく、4~8時間が特に好ましい。条件によっては、反応時間を15~20時間とすることもできる。
反応停止後は、反応溶液から目的物を精製するために、イオン交換水を加えて水洗し、更に有機層を加熱減圧し、反応溶媒、未反応原料、低分子不純物を除去することが好ましい。
本反応においては、副生成物として不純物である下記一般式(6)で表される両末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンが生成する可能性がある。特に反応系中に含まれるシクロポリシロキサンの量が少なくなると、重合した直鎖のオルガノポリシロキサン同士が反応することで、両末端に官能基を有するオルガノポリシロキサンが生成しやすくなるため、シクロポリシロキサンの転化率を監視し、適当な時間で反応を停止することが必須である。シクロポリシロキサンの転化率が低いと収率が低下し、シクロポリシロキサンの転化率が高いと両末端官能性オルガノポリシロキサンの生成量が増える。反応停止時のシクロポリシロキサンの転化率は60%~95%であり、70%~85%が好ましい。
Figure 0007113994000026
(上記一般式(6)において、R及びAは上記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
nは0~300の整数であり、好ましくは0~80の整数である。
片末端官能性オルガノポリシロキサンに対し、両末端官能性オルガノポリシロキサンが多く含まれると、他のラジカル重合性モノマーと共重合させてグラフトポリマーを得ようとする際に、両末端官能性オルガノポリシロキサンが架橋剤として働き、ゲル化する等の品質低下を招く恐れがある。そのため、片末端官能性オルガノポリシロキサン100質量部に対し、両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量は2質量部以下となるように反応を停止することが好ましく、特に1質量部以下となるように反応を停止することが好ましい。このように反応を停止させることで、高純度の片末端官能性オルガノポリシロキサンを得ることができる。両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量の下限は特に限定されないが、0.01質量部とすることができる。
片末端官能性オルガノポリシロキサンに含まれる両末端官能性オルガノポリシロキサンの割合は、ガスクロマトグラフィー(GC)や液体クロマトグラフィーを用いて分析することができる。
本反応によって得られるポリマーの重合度は、使用する開始剤と、重合によって消費されるシクロポリシロキサンのモル比から自由にコントロールすることができる。
本発明の製造方法においては、近赤外分光分析計を用いて重合反応中の反応液を分析する(近赤外線分光法)ことにより、最適なシクロポリシロキサンの反応転化率を検出した時に、反応を停止する。
近赤外線分光法(近赤外分光分析法)としては、インライン分析、オンライン分析、オフライン分析の3種類を使用することが可能である。本明細書において、インライン分析とは反応器中で直接測定する方法を指す。また、オンライン分析とは反応器に循環ラインを設けて、別な場所で測定し、次いで反応器に戻す方法を指す。また、オフライン分析とは反応器から試料を採取し、別の場所で測定する方法を指す。
反応転化率を正確に把握するためには、インライン、またはオンライン分析が好ましい。上記分析方法であれば、試料採取等の手動操作がなくなり、測定者による誤差が生じにくい。また、上記分析方法であれば、外気との接触を避けて測定することができるため、例えば、反応系中の水分管理が重要になるリビング重合等においては、より適した測定方法となり得る。
また、近赤外線の照射及び受光部位と、近赤外分光分析計とは光ファイバーケーブルを介して接続することができるため、設置場所に距離的な制限はない。
近赤外分光分析計としては、特に制限はなく市販の測定機器を使用できる。例えば、卓上設置形NR801JL形フーリエ変換近赤外分光分析計(横河電機株式会社)等が使用できる。なお、近赤外分光分析計で反応転化率を求めるには、事前にGCでヘキサメチルシクロトリシロキサンの反応転化率(転化率)を分析した試料を用いて、近赤外分光分析計でスペクトルを測定し、各波数の測定点における変動を多変量解析して検量線を作成することで、スペクトルと反応転化率の関係を求めることができる。
よって、本発明の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法であれば、高純度である片末端官能性オルガノポリシロキサンを得ることができる。
本発明の製造方法により製造された片末端官能性オルガノポリシロキサンと不純物を含む組成物は、不純物である両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量が低く抑えられていることが特徴である。具体的には、片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物であって、
(a)下記一般式(1)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサン:100質量部、及び
Figure 0007113994000027
(上記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
Figure 0007113994000028
(上記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
Figure 0007113994000029
(上記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は上記と同じである。)
(b)下記一般式(6)で示される両末端官能性オルガノポリシロキサン:0.01~2質量部、
Figure 0007113994000030
(上記一般式(6)において、R及びAは上記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
を含むものである片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物を提供することができる。
本発明の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法により得られた組成物は、このような高純度の片末端官能性オルガノポリシロキサンを含む片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物となる。
また、この片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物において、Yとしては、下記式(4)又は下記式(5)で表される2価の有機基であることが好ましい。
Figure 0007113994000031
(式中、pは1~5の整数である)
Figure 0007113994000032
(式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
Yがこのようなものであれば、片末端官能性オルガノポリシロキサンとして好適なものとなる。
以下に、本発明を実施例によって更に詳述するが本発明はこれによって限定されるものではない。
GC測定は、以下の装置、条件にて行った。
[測定条件]
装置:キャピラリーガスクロマトグラフ(Agilent7890A)
カラム:J&W DURABOND DB-5MS (MEGABORE 内径0.53mm、長さ30m、膜厚1.0μm)
カラム温度:50℃、10℃/分で昇温、300℃で125分保持、合計150分
注入口温度:270℃
キャリアガス:He(5mL/分)
検出器:FID(300℃)
注入量:1μL
注入法:スプリット法(スプリット比1/10)
試料調製:5wt%になるようヘキサンで希釈
近赤外分光分析は、以下の装置、条件にて行った。
[測定条件]
装置:卓上設置形NR801JL形フーリエ変換近赤外分光分析計(横河電機株式会社)
分析波数:4,800~5,600cm-1、6,000~6,100cm-1、6,300~7,400cm-1、8,100~8,800cm-1
分析温度:20℃
反応液におけるヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率は、以下の方法で作成した検量線を基に算出した。事前にGCでヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を分析した試料を用いて、近赤外分光分析計でスペクトルを測定し、各波数の測定点における変動を多変量解析して検量線を作成した。
[実施例1]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン265.0g(1.19mol)、トルエン265.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が74%まで達したところで(重合開始から4時間後)、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン68.8g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物232g(淡黄色透明液体、収率:66%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンA100質量部に対し、両末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが0.24質量部含まれていた。
Figure 0007113994000033
片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンA
[実施例2]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン248.0g(1.12mol)、トルエン248.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が85%まで達したところで(重合開始から6時間後)、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン68.8g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物245g(淡黄色透明液体、収率:73%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンB100質量部に対し、両末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが0.35質量部含まれていた。
Figure 0007113994000034
片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンB
[実施例3]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン255.0g(1.15mol)、トルエン255.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が92%まで達したところで(重合開始から8時間後)、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン68.8g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物271g(淡黄色透明液体、収率:79%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンC100質量部に対し、両末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが0.77質量部含まれていた。
Figure 0007113994000035
片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンC
[実施例4]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン252.0g(1.13mol)、トルエン252.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が90%まで達したところで(重合開始から7.5時間後)、ジメチルビニルクロロシラン37.4g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端ビニル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物238g(淡黄色透明液体、収率:77%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端ビニル官能性オルガノポリシロキサンD100質量部に対し、両末端ビニル官能性オルガノポリシロキサンが0.58質量部含まれていた。
Figure 0007113994000036
片末端ビニル官能性オルガノポリシロキサンD
[実施例5]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン239.0g(1.07mol)、トルエン239.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が79%まで達したところで(重合開始から5時間後)、ジメチルクロロシラン29.3g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端ヒドロシリル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物200g(淡黄色透明液体、収率:70%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端ヒドロシリル官能性オルガノポリシロキサンE100質量部に対し、両末端ヒドロシリル官能性オルガノポリシロキサンが0.29質量部含まれていた。
Figure 0007113994000037
片末端ヒドロシリル官能性オルガノポリシロキサンE
[比較例1]
撹拌装置、温度計、還流冷却器、近赤外光線の照射及び受光部位を取り付けた4つ口セパラブルに、ヘキサメチルシクロトリシロキサン240.0g(1.08mol)、トルエン240.0gを仕込んだ。フラスコ内を窒素置換し、20℃まで冷却し、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)を126.8g(n-ブチルリチウム:0.30mol)加え、1時間撹拌した。ジメチルホルムアミド24.8gをフラスコ内に加え、20℃で重合を行った。近赤外分光分析計を用いて、重合開始後からヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率を測定した。ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率が98%まで達したところで(重合開始から10時間後)、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン68.8g(0.31mol)を加え、1時間撹拌して重合を停止した。その後、反応溶液にイオン交換水53.3gを加えて水洗を3回繰り返し、有機層を100℃、10mmHgの条件で減圧し、トルエンやヘキサン、未反応のヘキサメチルシクロトリシロキサン等の低沸オリゴマーを留去することで、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが主成分の生成物277g(淡黄色透明液体、収率:85%)を得た。
上記で得られた生成物をGCで分析すると、片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンF100質量部に対し、両末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンが2.12質量部含まれていた。
Figure 0007113994000038
片末端メタクリル官能性オルガノポリシロキサンF
実施例1~5、比較例1により得られた生成物について、片末端官能性オルガノポリシロキサン(片末端官能物)、両末端官能性オルガノポリシロキサン(両末端官能物)、ヘキサメチルシクロトリシロキサンの転化率、収率を以下の表1に示す。
Figure 0007113994000039
*収率は下記計算式で算出した。
収率=(収量/(ヘキサメチルシクロトリシロキサン+n-ブチルリチウム純分+クロロシラン誘導体))×100
表1の結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られる片末端官能性オルガノポリシロキサンは、両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量が少ない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (7)

  1. ケイ素原子数3~5のシクロポリシロキサンを原料とし、重合反応により下記一般式(1)
    Figure 0007113994000040
    (前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
    Figure 0007113994000041
    (前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
    Figure 0007113994000042
    (前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
    で示される片末端官能性オルガノポリシロキサンを製造する方法であって、近赤外線分光法を用いて重合反応中の反応液を分析することにより、60~95%の反応転化率になった時、反応を停止することを特徴とする片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  2. 前記Yを、下記式(4)または(5)
    Figure 0007113994000043
    (式中、pは1~5の整数である)
    Figure 0007113994000044
    (式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
    のいずれかで表される2価の有機基であるものを用いることを特徴とする請求項1に記載の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  3. 前記重合反応を、リビング重合とすることを特徴とする請求項1に記載の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  4. 前記重合反応中の反応液を分析する方法を、オンライン、またはインライン分析による方法とすることを特徴とする請求項1に記載の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  5. 前記片末端官能性オルガノポリシロキサン100質量部に対し、不純物である下記一般式(6)
    Figure 0007113994000045
    (前記一般式(6)において、R及びAは前記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
    で示される両末端官能性オルガノポリシロキサンの含有量が0.01~2質量部となるように反応を停止することを特徴とする請求項1に記載の片末端官能性オルガノポリシロキサンの製造方法。
  6. 片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物であって、
    (a)下記一般式(1)で示される片末端官能性オルガノポリシロキサン:100質量部、及び
    Figure 0007113994000046
    (前記一般式(1)において、Rは独立して炭素数1~6のアルキル基、またはフェニル基であり、Aは水素原子、または下記一般式(2)または(3)で表される基であり、mは3~300を満たす整数である。)
    Figure 0007113994000047
    (前記一般式(2)において、Yは単結合、または炭素数1~5の2価の有機基である。なお、波線は結合手を示す。)
    Figure 0007113994000048
    (前記一般式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Y、及び波線は前記と同じである。)
    (b)下記一般式(6)で示される両末端官能性オルガノポリシロキサン:0.01~2質量部、
    Figure 0007113994000049
    (前記一般式(6)において、R及びAは前記と同じであり、nは0~300を満たす整数である。)
    を含むものであることを特徴とする片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物。
  7. 前記Yが、下記式(4)または(5)
    Figure 0007113994000050
    (式中、pは1~5の整数である)
    Figure 0007113994000051
    (式中、0≦q1≦5の整数であり、0<q2≦5の整数であり、ただし、1≦q1+q2≦5を満たす整数である。なお、q1で括られたアルキレン基の末端は結合手であり、q2で括られたアルキレン基の末端は前記一般式(2)のビニル基または前記一般式(3)の(メタ)アクリロイルオキシ基と結合するものとする。)
    のいずれかで表される2価の有機基であることを特徴とする請求項6に記載の片末端官能性オルガノポリシロキサン組成物。
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