以下、非限定的な実施例によって本発明をより詳細に説明する。但し、以下の実施例は、本発明を例示するための意図で記載されたものであって、本発明の範囲は、以下の実施例によって制限されるものと解釈されない。
実施例1:実験動物
8週齢のBABL/cマウスをNara Biotech,Inc.(Seoul,Korea)から購入し、BALB/c TLR9ノックアウトマウスは、Oriental Bioservice,Inc.(Kyoto,Japan)から購入した。そのマウスを、特定の無菌(SPF)条件にて、適当な温度(20~25℃及び湿度(32~37%)で維持した。そのマウスを、痛みを最小化するためにイソフルラン(isoflurane)(JW Pharmaceutical,Seoul,Korea)麻酔下で犠牲にした。全ての動物研究のプロトコルは、翰林大学の動物実験倫理委員会の承認を受けた(Permit Number:Hallym 2014-66,2015-54,2016-22,2016-36)。
実施例2:CpG-DNA
CpG-DNA 1826及びnon-CpG-DNA 2041をGenoTech(Daejeon,Korea)から購入した。この配列の骨格をホスホロチオエート(phosphorothioate)で変形した。下記のオリゴデオキシヌクレオチドの配列を使用した:CpG-DNA 1826、5’-TCCATGA CGTTCCTGA CGTT-3’(配列番号9)、non-CpG-DNA 2041、5’-CTGGTCTTTCTGGTTTTTTTCTGG-3’(配列番号10)。non-CpG-DNA 2041を陰性対照群として使用した。CpG-DNA 1826を蒸留水で希釈し、50μgのCpG-DNA 1826を、記載された時間の間、マウスに腹腔(i.p.)注射した。
実施例3:バクテリアの培養及びインビボ感染の研究
S.aureus(KCCM 12103)、Staphylococcus epidermidis(S.epidermidis,KCCM 40416)、Streptococcus pyogenes(S.pyogenes,KCCM 11873)、A.baumannii(KCCM 40203)、E.coli K1(KCCM 12119)、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa,KCCM 11803)、K.pneumoniae 11418(KCCM 11418)、K.pneumoniae 40145(KCCM 40145)、K.pneumoniae 41293(KCCM 41293)を韓国微生物保存センタ(KCCM,Seoul,Korea)から購入した。S.aureus、菌株MW2(MRSA)は、イ・ボクリュル教授(Pusan National University)から得た。Listeria monocytogenes(L.monocytogenes)は、イ・グンウク教授(Hallym University)から得、Salmonella typhimurium(S.typhimurium)は、パク・ユンギョン教授(Chosun University)から得た。
S.aureus MW2及びL.monocytogenesを除いた全ての菌株は、37℃でLysogeny broth(LB)にて培養した。S.aureus MW2を37℃で2%NaClが補充されたColumbia brothにて培養した。L.monocytogenesは、Brain Heart Inclusion(BHI)培地で培養した。全てのバクテリアを一晩培養し、1/50希釈された新鮮培地でOD6000.5~0.6、対数期の中間に達するまで再培養し、集めた。S.aureus MW2をPBSで洗浄し、遠心分離した後、PBSに5×107 CFU(colony forming units)/mLで懸濁した。0.2mLのバクテリア懸濁液を、マウスに静脈内(i.v.)又は腹腔内(i.p)注射した。注射されたマウスを2日又は7日間、死亡率又は回復を観察した。本発明者らは、感染したマウスから、生存率、組織病理、組織でのバクテリアロード(CFU)、組織の細胞群を調査し、腹腔及び血清における抗体の量を測定した。
実施例4:H&E染色
各組織のパラフィン(Paraffin)充填及び切片を、通常の方法(Kwon,S.,D.Kim,B.K.Park,S.Cho,K.D.Kim,Y.E.Kim,C.S.Park,H.J.Ahn,J.N.Seo,K.C.Choi,D.S.Kim,Y.Lee,and H.J.Kwon.2012.PLoS One 7:e33121;Weiss,A.T.,N.M.Delcour,A.Meyer,and R.Klopfleisch.2011.Vet Pathol 48:834-838)により製造した。
マウスにS.aureus MW2を感染させた後、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を含む組織を準備し、スライドにマウントし、40℃で一晩乾燥した後、その組織スライドを60℃で30分間培養してパラフィンを溶かした。その組織をキシレン(xylene)で培養し、一連の100~70%エタノールで再水和し、蒸留水で洗浄した。組織をGill’s Hematoxylin V(Muto Pure Chemicals,Tokyo,Japan)で染色し、水で洗浄し、エオシン(Eosin)Y溶液(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)で2次的に染色した。染色された組織を70~100%エタノールで脱水し、キシレンで培養し、Malinol(Muto Pure Chemicals)でマウントした。染色された組織をEclipse E200顕微鏡(Nikon,Japan)で観察した。
実施例5:CFU(colony forming units)の分析
感染後2日目に、各組織を集めて、重量を測り、PBSで2mLチューブ(Eppendorf,Hamburg,Germany)にてステンレススチールビーズ(Qiagen,Hilden,Germany)で均質化した。その混合溶液を、Columbia broth-Bactoアガーを含む6ウェルプレートに移した後、コロニーを37℃で一晩培養した後、カウントした。
実施例6:血清、腹膜細胞、脾臓細胞、及び骨髄細胞の調製
マウスにおいてS.aureus MW2で感染2日後、マウスをイソフルランで麻酔した。血清を、心臓パンチング方法によりマウスから得た。
Fortier,A.H.,and L.A.Falk.2001.Curr Protoc Immunol Chapter 14:Unit 14 11;Pineda-Torra,I.,M.Gage,A. de Juan,and O.M.Pello.2015.Methods Mol Biol 1339:101-109;Ray,A.,and B.N.Dittel.2010.J Vis Exp.;Stagg,A.J.,F.Burke,S.Hill,and S.C.Knight.2001.Methods Mol Med 64:9-22に記載されているように、腹膜細胞、脾臓細胞、及び骨髄細胞を、マウスから、5%牛胎児血清(FBS)を含むRPMI 1640培地に集めた。
細胞を集めた後、赤血球を赤血球破砕バッファー(140mM NH4Cl、20mM Tris-HCl(pH7.2))により除去した。その調製された細胞をインビトロにてCpG-DNAで刺激するために、5%牛胎児血清(FBS)を含むRPMI 1640培地で懸濁し、96ウェル組織培養プレート(BD Falcon,Falcon,Mexico)に分注した。
実施例7:流動細胞分析法
マウスから準備された細胞を、10分間、抗マウス(anti-mouse)CD16/32(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)でブロッキングし、下記の蛍光標識抗体:抗マウスCD8、CD11c、CD3、CD4、CD11b、CD19(BD Biosciences,USA)、CD23、F4/80、Ly-6G抗体(eBioscience,San Diego,CA USA)で染色した。そのサンプルを、1%FBSを含むPBSで洗浄し、FACSCantoTM II(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA)により分析した。
実施例8:ELISA
マウスにCpG-DNA 1826投与及び/又はS.aureus MW2感染によるバクテリア-特異的な抗体の生成を決定するために、本発明者らは、poly-L-lysineコーティングされたプレート(Corning Inc,Corning city,NY,USA)を使用した。一晩成長したバクテリアを、2回、PBSで10,000rpmで15分間遠心分離して洗浄し、通常のELISAコーティングバッファーに再浮遊した。
各ウェルを、100uLの再懸濁されたバクテリアで、4℃で一晩コーティングした。培養後、そのバクテリアを、0.5%グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)でPBSにて15分間常温で固定した。PBSで2回洗浄した後、各ウェルを、100mMグリシン及び0.1%BSAを含むRPMI 1640溶液で培養し、PBSで2回洗浄した。そのバクテリアコーティングされたウェルを、1%BSAを含むPBSにて常温で1時間ブロッキングした。
血清、腹腔の上澄液及び腹膜細胞の培養又は精製された抗体を、各ウェルに継代希釈して添加し、常温で1時間培養した。そのサンプルを、PBS-T(0.2% Tween-20 in PBS)で3回洗浄し、HRP(horse radish peroxidase)標識ヒツジ抗マウス(goat anti-mouse)IgG(BD Biosciences,San Jose,CA,USA)、IgG1、IgG2a、IgG2b、またはIgG3(Southern Biotech,Birmingham,AL,USA)を含む抗体を、常温で1時間ウェルに添加した。
PBS-Tで4回洗浄した後、TMB Microwell Peroxidase Substrate Kit(KPL,Gaithersburg,MD,USA)を青色(blue-color)の表現に使用し、TMB Stop溶液(KPL)で黄色(yellow-color)を維持するために固定化し、450nmでSpectra Max 250 microplateリーダ(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)を使用して吸光度を測定した。
ELISAで抗体の量を決定するために、ヒツジ抗マウスIgG(BD Biosciences)を4℃で一晩コーティングした。そのウェルを、1%BSAを含むPBSで1時間常温でブロッキングし、総IgG及びIgG isotypesの量を、Kwon,S.,D.Kim,B.K.Park,S.Cho,K.D.Kim,Y.E.Kim,C.S.Park,H.J.Ahn,J.N.Seo,K.C.Choi,D.S.Kim,Y.Lee,and H.J.Kwon.2012.PLoS One 7:e33121に記載されているようにELISAで測定した。
実施例9:インビトロでCpG-DNAでマウス腹膜細胞の刺激
腹膜細胞を、5%FBSを含むRPMI 1640培地にマウスから集めた。赤血球を除去した後、その細胞を、5%FBSを含むRPMI 1640培地で洗浄し、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを含む5%FBSを含むRPMI 1640培地で培養した。5μg/mLのCpG-DNA 1826を各細胞培養プレートに処理した。48時間後、細胞培養上澄液を集めて抗体の量を定量化するために、ELISAで分析した。
実施例10:マウス腹膜細胞由来のB細胞のソーティング(sorting)
抗マウスCD19(BD Bioscience)をB細胞の指定のために染色し、抗マウスCD23(eBioscience)をB1及びB2細胞の分離されたソーティングのために染色した。抗マウスCD3(BD Bioscience)を、リンパ球からnon-B細胞を分離するために、T細胞の染色に使用した。腹膜細胞を抗体で染色し、洗浄し、ソーティングバッファー(sorting buffer)(1mM EDTA,25mM HEPES pH7.0,1% FBS diluted in PBS)で懸濁した。B1細胞及びB2細胞をFACSAriaTM II(Becton Dickinson)でソーティングした。
実施例11:マウスの腹腔から多クローン抗体の精製
マウスにi.p.でPBS又はCpG-DNA 1826を投与し、7日後に、腹腔の上澄液を遠心分離によって得て腹膜細胞を除去した。腹腔の細胞が除去された上澄液の多クローン抗体を、プロテインA親和クロマトグラフィー(Protein A affinity chromatography)(Repligen,Waltham,MA,USA)により精製し、SDS-PAGEで分析した。S.aureus MW2に対するこれら抗体の結合力を、前記のようにELISAで測定した。
実施例12:バクテリア-反応性のモノクロナール抗体を得るための腹腔のB細胞からハイブリドーマ細胞の産生
バクテリア-反応性の抗体を生成するハイブリドーマ細胞を得るために、BALB/cマウスに、i.p.で50μgのCpG-DNA 1826を注射した。マウスの腹膜細胞を7日後に集めて、マウスSP2/0 myeloma細胞と融合し、バクテリア-反応性の抗体-生成ハイブリドーマクローン(m3F5H6)を標準ハイブリドーマ技術(Kim,D.,S.Kwon,J.W.Rhee,K.D.Kim,Y.E.Kim,C.S.Park,M.J.Choi,J.G.Suh,D.S.Kim,Y.Lee,and H.J.Kwon.2011.BMC Immunol 12:29;Yokoyama,W.M.,M.Christensen,G.D.Santos,and D.Miller.2006.Curr Protoc Immunol Chapter2:Unit 2 5)によりスクリーニングした。
腹水を得るために、BALB/cマウスにi.p.でプリスティンを注射した後に、ハイブリドーマクローンを注射した。9~11日後、腹水をマウスの腹腔から集めた。そのモノクロナール抗体を、腹水からプロテインA親和クロマトグラフィー(Repligen)を使用して精製し、SDS-PAGEで分析した。Isotype及びモノクロナール抗体のバクテリア-反応性を、前記のようにELISAで測定した。
実施例13:バクテリア-反応性のモノクロナール抗体の可変重鎖及び軽鎖(Fab)のクローニング
バクテリア-反応性のモノクロナール抗体(m3F5H6)を産生するハイブリドーマ細胞を培養し、全RNAをハイブリドーマ細胞から抽出し、cDNAを逆転写で合成した。バクテリア-反応性のモノクロナール抗体のFab配列をクローニングするために、生成したcDNAをAccuPrime Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen)、及び次のプライマーを使用して増幅した。:重鎖primers、IGG2b:GGAAGATCTAGGGGCCAGTGGATAGACTGATGG(配列番号11)、5’MH2:CTTCCGGAATTCSARGTNMAGCTGSAGSAGTCWGG(配列番号12);kappa chain primers、3’Kc:GGTGCATGCGGATACAGTTGGTGCAGCATC(配列番号13)、5’Mk:GGGAGCTCGAYATTGTGMTSACMCARWCTMCA(配列番号14)。
標準PCR反応を25サイクル行った。PCR産生物をpGEM-Tイージーベクター(Promega)に直接ライゲーションした。クローニングされたマウスIg挿入物をDNA塩基配列分析法により分析した。
実施例14:可変切片(Fv)の配列分析及び分子モデリング
m3F5H6の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、IgBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)により分析した(Ye J,Ma N,Madden TL,Ostell JM.IgBLAST:Nucleic Acids Res.2013;41(Web Server issue):W34-4027)。6つのCDRs(complementarity determining regions)をKabatナンバリング(Kabat EA,Wu TT.J Immunol.1991;1475:1709-1719)によって決定し、m3F5H6mAbの一部の骨格(FR)残基をヒトVH1-Vk1サブファミリーにグラフトさせたが、この場合には、サマリズマブ(Samalizumab)骨格、マウス及びヒト化された3F5H6Fvアミノ酸配列の3次元構造をwebモデリングプログラム、ROSIEを使用してシミュレーションした(Lyskov S,Chou FC,Conchuir SO,Der BS,Drew K,Kuroda D,Xu J,Weitzner BD,Renfrew PD,Sripakdeevong P,Borgo B,Havranek JJ,Kuhlman B,et al.PLoS One.2013;85:e63906)。このプログラムは、重鎖及び軽鎖のFRs及びCDRsに対するほとんどのホモロゴステンプレートを同定し、このテンプレート構造を最適化されたモデルとして組み合わせる。
実施例15:3F5H6ヒト化抗体の構築
非ヒト(マウス)由来の抗体のCDRs決定
ヒト化を行うためには、一番最初に抗体のCDRsを決定することが必要である。CDRsを決定する方法には、アミノ酸配列の多様性を基準とするKabatナンバリング、ループ領域の構造を基準とするChothiaナンバリング(Dunbar J,Krawczyk K,Leem J,Baker T,Fuchs A,Georges G,Shi J,Deane CM.Nucleic Acids Res.2014;42:D1140-1146)、可変部位構造の高い保存の程度を基準とするIMGTナンバリング(Lefranc MP.Nucleic Acids Res.2001;291:207-209)などがあるが、最も広く使用されるものがKabatナンバリングである。Kabatナンバリングに従って、バクテリア-反応性のマウス由来の抗体のCDRsを決定した(図8参照)。
ヒト化抗体の構築に適するヒト抗体骨格の選定及び野生型抗体のCDR部位移植
ヒト抗体の可変部位は、アミノ酸配列によって、大きく、重鎖は7種のsubtype(VH1、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7)、軽鎖は17種のsubtype(κ1、κ2、κ3、κ4、κ5、κ6、λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、λ6、λ7、λ8、λ9、λ10、λ11)に分かれる。それぞれのsubtypeは、アミノ酸配列が異なるため、生物物理学的構造が異なり、それによって安定性も異なり、これによって、自然なヒト抗体レパートリー(repertoire)で使用される頻度数も異なる(Tiller T,Schuster I,Deppe D,Siegers K,Strohner R,Herrmann T,Berenquer M,Poujol D,Stehle J,Stark Y,et al.MAbs,2013;53:445-470)。
通常、CDR移植法を用いてヒト化抗体を作製する際には、できる限りCDRの構造を維持させるために、野生型非ヒト由来の抗体と配列相同性が非常に高いヒト骨格に移すようになるが、この場合、移されるヒト化抗体のsubtypeが自然に安定性や頻度数の低いsubtypeである場合、ヒト化後に安定性の低い抗体が得られる可能性がある。
バクテリア-反応性のマウス由来の抗体のヒト化に適する骨格を決定するために、Igblast(URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を介して、既存の野生型抗体と最も配列相同性が高いヒト抗体の可変部位のsubtypeを検索した。その結果、ヒト抗体のVH1、Vk1 subtypeと最も相同性が高いことを確認した。したがって、本発明では、抗原に対する親和度及びその機能は維持しながら、安定性が高いヒト化抗体を構築するために、VH1-Vk1 subtypeのヒト抗体骨格に抗原結合部位を移植した。VH1-Vk1 subtypeは、治療用抗体(Samalizumab)の骨格を使用した(Kretz-Rommel A,Qin F,Dakappaqari N,Cofiell R,Faas SJ,Bowdish KS.J Immunol 2008;180:699-705)。ヒト化抗体の重鎖及び軽鎖の不変領域は、商業化された治療用抗体(Herpceptin)の骨格を使用した。Herceptinの熱力学的安定性及び発現収率は、既存の研究結果によって十分に証明されており、特に、様々なマウス抗体のヒト化に成功裏に使用されてきた(Carter P,Presta L,Gorman CM,Ridgway JB,Henner D,Wong WL,Rowland AM,Kotts C Carver ME,Shepard HM.Proc Natl Acad Sci U S A 1992;8910:4285-4289;Presta LG,Chen H,O’Connor SJ,Chisholm V,Meng YG,Krummen L,Winkler M,Ferrara N.Cancer Res.1997;5720:4593-4599)。
野生型マウス抗体のCDR部位移植及び親和度の維持のための追加的な保存アミノ酸の選定
上述したように、単純なCDR移植法によって構築されたヒト化抗体が、野生型非ヒト由来の抗体と比較したとき、その機能が減少する場合がたびたび発生するため、機能の喪失を懸念して、CDR移植と同時に、抗体骨格に位置しながらCDRループ構造に影響を及ぼし得るバーニヤ領域に位置するアミノ酸を追加で逆置換したクローン(h3F5H6)で進行した。バーニヤ領域に位置するアミノ酸は、可変部位内の計30個で、可変重鎖部位に16個、可変軽鎖部位に14個が存在し、野生型マウス抗体と、選定されたVH1-Vk1ヒト抗体骨格subtypeとの間の配列分析によって、全体30個のバーニヤ領域のアミノ酸のうち、可変重鎖部位に6個(68、70、72、74、97、98)、可変軽鎖部位に4個(36、49、69、71)のアミノ酸の配列が異なることを確認した(図11参照)。特に、可変重鎖部位内の26-30番の4個のアミノ酸は、文献上でCDR1とCDR2内の相互作用によるカノニカル(canonical)構造の維持に重要な役割を果たす(Foote J,Winter G.J Mol Biol.1992;2242:487-499)。したがって、移植された野生型抗体のCDRの構造を安定化させるものと予想されるので、既存のマウス抗体の配列を用いることが好ましい。重鎖可変部位内の71番のアミノ酸も同様に、CDR1及び2の配置を決定するのに重要な役割を果たし、この位置に、体積が大きい残基を有するアミノ酸(リシン又はアルギニン)あるいは小さい残基を有するアミノ酸(バリン、アラニン)のどちらが来るかによって、CDの特性が決定される。野生型マウス抗体は、重鎖内の74番にリシンを有しているが、これは、ヒトVH1 subtype骨格内の74番のグルタミンと反対の特性を有しているので、逆置換し、追加でヒトVH1 subtypeの重鎖可変部位内の68、70、72番のアミノ酸を野生型マウス抗体のアミノ酸配列に逆置換した。
配列分析のためのヒトVH1-Vk1 subtypeの塩基及びアミノ酸配列は、前記のsubtypeの骨格を有している抗体、サマリズマブ(Samalizumab)のものを使用した。
バーニヤ領域以外にも、安定性に影響を及ぼすVH/VLインターフェースアミノ酸は、その残基が抗体の表面ではなく内部に向かっているので、可変重鎖部位及び軽鎖部位の結合を安定化させて抗体全体の安定性に影響を及ぼす領域であり、このような理由から、ほとんど抗体は同じアミノ酸残基からなっている。
まず、アミノ酸配列の分析によって一次的に得られた候補クローン及び野生型マウス抗体の可変部位配列をモデリングオンラインサーバ(URL:http://rosie.rosettacommons.org/;Lyskov S,Chou FC,Conchuir SO,Der BS,Drew K,Kuroda D,Xu J,Weitzner BD,Renfrew PD,Sripakdeevong P,Borgo B,Havranek JJ,Kuhlman B,et al.PLoS One.2013;85:e63906)内の抗体モデリングパートにそれぞれ入力して予測された構造を得た。得られたそれぞれの構造は、CDRループの構造的変化を観察するために、タンパク質の構造を重畳させた。重畳構造上で、移植された6個のCDRsが、野生型マウス抗体のCDRsと比較したときに大きく外れない構造を有することを確認し、特に、抗原結合に影響を及ぼし得るCDRループ内のアミノ酸残基の方向がほとんど一致することを確認した。
実施例16:ヒト化されたバクテリア-反応性の抗体の構築及び発現
Intact IgGフォーマットを有するヒト化されたIgG1 Abを得るために、VH及びVkコーディング遺伝子を、5’及び3’末端の両方に制限酵素位を含むように合成した(Bioneer,Korea)。この遺伝子を、HEK 293F細胞から哺乳類細胞発現のために、ヒトIgG1固定部位(CH1-hinge-CH2-CH3)又はヒトカッパ鎖固定部位(CL)を運搬する変形されたpcDNA 3.4発現ベクター(Invitrogen)に挿入した。ヒト化されたバクテリア-反応性の抗体をHEK 293F発現システムを用いて産生し、5~7日間培養した後、製造業者のプロトコルに従って、プロテインA親和クロマトグラフィーを使用して精製した。マウス親及びヒト化された抗体を、SDS-PAGE分析によってその純度を評価した。
実施例17:IgG形態のヒト化抗体遺伝子の作製
設計されたヒト化抗体の塩基配列は、基本的に、商業化された高収率の治療用抗体サマリズマブ(Samalizumab)の塩基配列に従うものの、それと異なる部分は、コドンの使用頻度を考慮(Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services,1991)して塩基配列に変換し、ヒト化抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を設計する。設計した塩基配列は、5’と3’の両末端に動物細胞発現ベクターへのクローニングのための制限酵素の認識配列を導入して合成した(Bioneer、韓国)。
合成された遺伝子は、Bioneer社で提供する基本ベクターであるpBHAベクターにクローニングされた状態で受けることができ、完全なIgG形態への発現のために、重鎖不変領域、軽鎖不変領域がそれぞれ入っている動物発現ベクターに合成時に導入していた制限酵素認識配列を用いてクローニングした。このとき、重鎖及び軽鎖の不変領域のアミノ酸及び塩基配列は、商業化された高収率の治療用抗体ハーセプチン(Herceptin)の塩基配列に従う。
実施例18:抗体の発現及び精製
ヒト化されたバクテリア-反応性の抗体の発現は、軽鎖、重鎖発現ベクターとポリエチレンイミン(Polyethylenimine、PEI)(Polyscience)の混合物をHEK293-F(Invitrogen)細胞に一時的トランスフェクション(transient transfection)して、無血清FreeStyle 293発現培地(Invitrogen)が入っている振盪フラスコで培養することによってなされる。詳細な方法は、次の通りである。
振盪フラスコ(Corning)で200mLのトランスフェクションを行った後、HEK293-F細胞を2.0×106細胞/mlの密度で培地100mlに播種して、150rpm、8%CO2で培養した。それぞれのヒト化抗体を産生するために、それによる重鎖及び軽鎖プラスミドを10ml FreeStyle 293発現培地(Invitrogen)に重鎖125μg、軽鎖125μgの計250μg(2.5μg/ml)で希釈し、PEI750μg(7.5μg/ml)を希釈した10mlの培地と混合して、室温で10分間反応させた。
その後、反応させた混合培地を、先の100mlで播種した細胞に入れ、150rpm、8%CO2で4時間培養した後、残りの100mlのFreeStyle 293発現培地を追加して、5日~7日間培養すれば、細胞が産生したタンパク質、すなわち、IgG形態のヒト化抗体は、細胞によって細胞外に分泌されて培地に蓄積される。そのため、ヒト化抗体は、細胞培養後、2500rpmで20分間遠心分離して採取した細胞培養上澄液からタンパク質Aセファロースカラム(protein A Sepharose column,GE healthcare)を用いて精製した。
このとき、精製方法は、タンパク質Aカラム会社で提供する標準プロトコルを参照し、精製されたタンパク質は、BCA protein assay kit(Thermo)内の溶液を用いて562nmの波長で吸光度を測定し、描かれた標準曲線に従ってその量を定量した。精製された抗体の大きさ及び純度は、還元性SDS-PAGEで分析した。図12に示したように、本発明のバクテリア-反応性のヒト化抗体であるh3F5H6 IgGは、約150kDaの分子量を有し、99%以上の純度に精製されることを確認した。
実施例19:バクテリアの蛍光標識
OD6000.5~0.6(3×108 CFU)まで成長したS.aureus MW2を集め、洗浄して、70%エタノールで1時間固定した。その固定されたバクテリアを、0.02mM FITC(Sigma-Aldrich)で0.1M Na2CO3 buffer(pH8.5)にて常温で30分間標識し、無血清HBSSで洗浄した後、2mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES、150mM NaCl、及び0.4%BSAを含むHBSSで再懸濁した。
実施例20:インビトロで食菌作用アッセイ
マウスマクロファージ株、RAW264.7をAmerican Type Culture Collection(ATCC,Manassas,VA,USA)から購入し、その細胞を、10%FBS、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)で培養した。
RAW264.7細胞及びマウス腹膜細胞を、poly-L-lysine(Sigma)コーティングされたガラス上で12ウェルプレート(Nunc,Roskilde,Denmark)で一晩培養した。FITC-標識されたS.aureus MW2をPBS又は抗体で1時間培養した後、そのバクテリアを12ウェルプレートに添加し、1時間培養後、その細胞を4%パラホルムアルデヒド(Affymetrix,Santa Clara,CA,USA)で固定し、PBSで洗浄した後、Hoechst No.33258(Sigma-Aldrich)を用いて、常温で核を同定するために染色した。そのマウントされた細胞を、LSM 710 laser scanning microscope(Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)で分析した。食菌作用指数を、先に記載された(Sun,R.,L.Qiu,F.Yue,L.Wang,R.Liu,Z.Zhou,H.Zhang,and L.Song.2013.Fish Shellfish Immunol 34:38-45)ように、RAW264.7細胞及びマウス腹膜細胞で食菌されたFITC-標識されたS.aureus MW2の数をカウントして測定した。
実施例21:マウスの腹腔でS.aureus MW2の摂取
マウスの腹腔で食菌作用に対する抗体の影響を決定するために、そのマウスにi.p.でFITC-labeled S.aureus MW2を注射し、1時間後、腹膜細胞を集めて特定の細胞マーカー;anti-F4/80、CD11b、CD11c、及びGr-1抗体で染色した。腹腔内のマクロファージ、樹状細胞、及び好中球の食菌作用を、FACSCantoTM II(Becton Dickinson)でFACS分析によって測定した。
実施例22:インビボでS.aureus MW2感染に対する抗体の効果の分析
BABL/cマウスにi.v.で1.5×107 CFUのS.aureus MW2を注射した後、正常マウスIgG、モノクロナール抗体(m3F5H6)、正常ヒトIgG、ヒト化された抗体(h3F5H6)(25mg/kg mouse)を静脈内注射した。正常マウスIgGは、Invitrogen(Carlsbad,CA,USA)から購入した。抗体の注射後、7日(S.aureus MW2)後の生存率をモニターした。S.aureus MW2又は感染2日後、そのマウスを犠牲にし、記載された組織を除去した後、S.aureus MW2のCFU及び組織病理をモニターした。
実施例23:インビボでS.aureus MW2感染に対する補体除去されたマウスにおける抗体の効果の分析
BABL/cマウスにi.p.でcobra venom factor(CVF,30μg/mouse,Quidel,San Diego,CA,USA)を投与し、6時間後に、i.v.で1×107 CFUのS.aureus MW2を注射した後、ヒト化された抗体(h3F5H6)(25mg/kg mouse)を静脈内注射した後に生存率をモニターした。
実施例23:インビボでE.coli K1感染に対する補体除去されたマウスにおけるCpG-DNAの効果の分析
BABL/cマウスにi.p.でCpG-DNA(50μg/マウス)を注射した後、7日後に、マウスにi.p.でCVF(30μg/mouse)を投与し、6時間後に、血清において補体(C3)の量をELISA kit(Complement C3 mouse ELISA kit,Abcam,Cat.No.ab-157711)で確認した。BABL/cマウスにi.p.でCpG-DNA(50μg/マウス)を注射した後、7日後に、マウスにi.p.でCVF(30μg/mouse)を投与し、6時間後に、5×106 CFUのE.coli K1を注射した。注射されたマウスを、2日間、死亡率又は回復を観察した。
実施例24:インビボでE.coli K1感染に対する抗体の効果の分析
BABL/cマウスにi.p.で5×106 CFUのE.coli K1を注射した後、正常ヒトIgG、ヒト化された抗体(h3F5H6)(25mg/kg mouse)を静脈内注射した。正常マウスIgGはInvitrogen(Carlsbad,CA,USA)から購入した。抗体の注射後、18時間(E.coli K1)後の生存率をモニターした。
上記の実施例の結果を、以下で詳述する。
CpG-DNAの投与は、S.aureus MW2で感染後、組織においてバクテリアの除去を促進し、マウスの生存を増加させる
本発明者らは、S.aureus MW2の感染に対する抗菌効果を証明するための動物モデルとして選択し、図1Aに記載された方法によって実験を行った。まず、BALB/cマウスに腹腔内(i.p.)でCpG-DNA 1826を投与し、7日後、そのマウスに静脈内(i.v.)でS.aureus MW2を注射した後、生存率を7日間モニターした。何らの処理もしていないS.aureus MW2注射されたマウスと比較して、バクテリア感染前にCpG-DNAで前処理されたマウスの生存率は、60%まで(図1B)増加した。
特定の組織におけるバクテリア感染の評価のために、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を、S.aureus MW2の静脈内注射2日後に切り出してその組織を均質化し、その均質体をアガー培地で培養して除去し、CFUをカウントした。全てのテストされた組織は、バクテリアによって感染し、腎臓で最大のCFUを有し、組織におけるバクテリアロードは、CpG-DNA 1826の前処理によって全て減少した(図1C)。
次に、各組織の組織病理を観察した。バクテリア感染後、マウスの腎臓で膿瘍(abscess)部位が現れたが、それは、感染の前にCpG-DNA 1826で前処理した場合には検出されなかった(図1D)。したがって、本発明者らは、マウスにCpG-DNAの前処理は、S.aureus MW2の感染後にバクテリアの除去を促進し、生存率を増加させると結論を下した。
CpG-DNAの投与は、S.aureus MW2の感染後、骨髄、脾臓、腹腔の細胞群を調節し、保護する
S.aureus MW2の感染に対する保護効果と関連する機序を調査するために、本発明者は、実験計画に従って、BALB/cマウス由来の腹腔、脾臓、骨髄においてFACSで細胞群を分析した(図1A)。lymphoid細胞(B及びT細胞)及びMyeloid細胞(マクロファージ、樹状細胞、及び好中球)の群は、種々の他の組織でCpG-DNAの投与及びS.aureus MW2の感染によって差別的に変わった(図2)。
腹腔でmyeloid細胞及びlymphoid細胞の群の比率は、CpG-DNAによって逆転した(図2A)。myeloid細胞群は、CpG-DNAの投与によって減少した反面(PBS対照群の61%)、腹腔のlymphoid細胞の群は、CpG-DNAによって増加した(PBS対照群の160%)。myeloid細胞の主要群は、F4/80+CD11b+マクロファージであった。たとえF4/80-CD11c+樹状細胞群は非常に小さいが、それは、CpG-DNAの投与によって増加した(PBS対照群の3倍)。lymphoid細胞の場合、CD4+及びCD8+T細胞を含むT細胞群の増加は著しく(PBS対照群の4.6倍)、総B細胞群はほぼ同一であった。
本発明者らがB細胞群を詳細に分析すると、CpG-DNAによってB1(CD23-)細胞群は減少し、B2(CD23+)細胞群は若干増加した。S.aureus MW2を感染させたとき、好中球を除いた全ての細胞群が減少し、CpG-DNAの前処理は、たとえ細胞群の大きさは非処理対照群と比較して小さいが、細胞群を著しく回復させた(図2A)。
骨髄において、CpG-DNAによってmyeloid細胞群は増加し(PBS対照群の150%)、lymphoid群は減少した(PBS対照群の65%)(図2B)。myeloid細胞の主要群はF4/80-Gr-1+好中球であった。lymphoid細胞の主要群はB細胞、特にB1細胞であった。腹腔とは異なって、B-1及びB-2細胞群の比率はCpG-DNAによって変化しなかった。S.aureus MW2の感染は、全ての群の著しい減少を誘導し、CpG-DNAによる前処理によって、その減少は逆転した(図2B)。
脾臓において、CpG-DNAの投与によって誘導された細胞群の著しい変化はなかった(図2C)。S.aureus MW2を感染させる際、lymphoid細胞群の減少が観察された(PBS対照群の60%)。CpG-DNAをバクテリア感染前に前処理する際、細胞群はPBS対照群よりも大きくなった。S.aureus MW2感染単独と比較して、CpG-DNAによる前処理は、lymphoid及びmyeloid細胞群をいずれも2倍以上増加させた(図2C)。
これらの結果に基づいて、本発明者らは、S.aureus MW2の感染は、腹腔、骨髄及び脾臓において全細胞数の減少を誘導し、CpG-DNAによるマウスの前処理は、これらの組織において免疫細胞を保護するという結論を得た。この現象は、組織から誘導された細胞数は、感染したマウスの生存率を増加させることを示唆している。最も重要なことであるが、CpG-DNAは、B2細胞、T細胞、及びマクロファージのような適応性免疫細胞を増加させる方向に腹膜細胞の群を変化させた(図2A)。したがって、本発明者らは、腹腔細胞は、本実験システムにおいて、CpG-DNAの抗菌効果と関連する主要な調節細胞であると考える。
インビボ及びインビトロでCpG-DNAの投与によるバクテリア-反応性の抗体の誘導
本発明者らは、CpG-DNA 1826をi.p.で注射し、抗体の生成を確認するために、複数の時間で腹腔及び血清の上澄液を分析した。Non-CpG-DNA 2041を陰性対照群として使用した。総IgGのレベルは、CpG-DNA 1826の投与後3日及び7日目に腹腔上澄液で著しく増加し、血清では著しい変化はなかった(図3)。
CpG-DNAの投与がS.aureus MW2感染したマウスの生存率を増加させるのであれば、一部のバクテリア-反応性の抗体が腹腔でCpG-DNA 1826によって誘導される可能性がある。本発明者らは、CpG-DNA 1826の投与及びS.aureus MW2の静脈内注射後に、マウスから腹腔上澄液及び血清を集め(図1A)、S.aureus MW2に反応する全IgG及びIgG isotypesのレベルを、S.aureus MW2でコーティングされたプレートを使用して測定した。CpG-DNA単独は、腹腔で反応性総IgGの増加を誘導したが、血清では著しい変化はなかった。S.aureus MW2の感染は、腹腔及び血清で反応性IgGの生成を減少させた。しかし、CpG-DNA 1826のバクテリア感染前の事前投与は、反応性IgGの増加した生成を著しく誘導した。IgG3 isotypeは、全ての場合において最も豊富であり、S.aureus MW2-反応性のIgG3 isotypeは、CpG-DNA-処理された群で著しく増加した(図4A及び図4B)。
マウスにおいてCpG-DNAによって誘導される抗体をさらに調査するために、PBS又はCpG-DNA 1826をi.p.で注射し、7日後、腹腔上澄液及び血清を分析した。CpG-DNA-誘導されたIgGが様々な種のグラム陽性バクテリアに結合できるかを決定するために、本発明者らは、ELISAアッセイを、S.aureus、S.aureus MW2、S.epidermidis、またはS.pyogenes.でコーティングされたプレートを使用して行った。
各バクテリア-反応性のIgGのレベルは、腹腔及び血清でCpG-DNA 1826の処理によって増加した(図4C及び図4D)。CpG-DNAの処理がバクテリア-反応性の抗体を産生するTLR9信号伝達を活性化するかを調査するために、BALB/c TLR9-/-マウスを用いて同じ実験を行った。TLR9-/-マウスの腹腔及び血清において、CpG-DNA 1826の処理によって誘導されたバクテリア-反応性の抗体の著しい変化はなかった(図4E及び図4F)。したがって、本発明者らは、CpG-DNAが、バクテリア-反応性の抗体の生成を、TLR9を介して誘導するという結論を得た。
バクテリア-反応性の抗体の生成がインビトロでCpG-DNAによって誘導されるかを決定するために、腹腔の免疫細胞をマウスから集め、インビトロでCpG-DNA 1826及びnon-CpG-DNA 2041で刺激した後、細胞培養上澄液を抗体の量を測定するために分析した。図5Aから分かるように、一般的なIgGの産生が、PBS又はnon-CpG-DNAと比較して、CpG-DNAに対して著しく増加した。マウスを、まず、インビボでCpG-DNAでプライミングした後、腹腔細胞をインビトロで刺激する際、基本IgGの生成が対照群よりも高かったが、CpG-DNA処理の追加的な効果は非常に弱かった(図5A)。in vitro培養された腹膜細胞から分泌された抗体の結合力を決定するために、本発明者らは、4つのグラム陽性菌種でバクテリア-反応性のIgGの量を測定した。バクテリア-反応性のIgGの生成は、CpG-DNAに対して著しく増加したが、PBS又はnon-CpG-DNAに対しては反応性抗体がほとんど発見されなかった(図5B)。
B細胞が、バクテリア-反応性の抗体をCpG-DNAに反応して分泌するかを調査するために、CpG-DNA 1826をマウスにi.p.で注射し、9日後、マウスの腹腔の免疫細胞を集めて、腹膜リンパ球からCD23-CD19+B細胞(B1細胞)及びCD23+CD19+(B2細胞)をソーティングし(図5C)、CpG-DNA 1826でインビトロでその細胞を刺激した。B1及びB2細胞がいずれも、IgGの増加した量をCpG-DNA刺激に対して分泌した(図5D)。しかし、インビトロでB細胞によるIgGの生成のレベルは、腹腔細胞の分離前にCpG-DNAでマウスを前処理する際に減少し、CpG-DNAによってB細胞の活性の調節を示唆している(図5D)。
グラム陽性菌-コーティングされたプレートを使用して測定された各バクテリア-反応性のIgGのレベルは、バクテリア-反応性のIgGの生成が、インビトロでCpG-DNA刺激によって増加し、インビボでCpG-DNAでプライミングは、抗体生成の活性を調節することを示唆している(図5E)。これらの結果は、CpG-DNA-誘導されたバクテリア-反応性の抗体は、CpG-DNAに反応して腹腔のB1及びB2の両方から産生することを示唆している。
CpG-DNAによって誘導された腹腔内バクテリア-反応性の抗体は食菌作用を促進する
本発明者らは、CpG-DNAによって誘導された腹腔内バクテリア-反応性の抗体が食菌作用を促進してバクテリア感染に抵抗できるかを調査した。本発明者らは、PBS注射されたマウスの腹腔上澄液から多クローン抗体を精製した(図6A)。腹腔溶液をCpG-DNA 1826を注射し、7日後にマウスから得て多クローン抗体を精製した(図6B)。腹腔内のIgGの量は、CpG-DNA 1826の投与によって、PBS対照群と比較して約2.5倍増加した(7.5μg/mouse対3μg/mouse)。S.aureus MW2に対する抗体の結合力をELISAで測定した。その結果、CpG-DNA 1826の投与によって誘導された抗体は、PBS注射されたマウス由来と比較して、S.aureus MW2に対するさらに高い結合力を有することを示した(図6C)。
次に、本発明者らは、食菌作用と関連するこれら抗体の効果を決定した。FITC標識されたS.aureus MW2を、精製された抗体と培養した後、食菌作用アッセイを、共焦点顕微鏡でマウスマクロファージ株RAW264.7で行った(図6D及び図6E)。食菌作用指数は、抗体によって増加し、CpG-DNA 1826注射された腹腔由来の抗体は、PBS注射された対照群由来と比較して、さらに効果的であった(1.19倍)。
バクテリア-反応性のモノクロナール抗体を生成するハイブリドーマクローンの選択及び食菌作用に対するそのモノクロナール抗体の抗菌効果
本発明者らは、CpG-DNAによって誘導された活性化されたB細胞クローンは、抗菌抗体を分泌し、その抗体は、腹腔でマクロファージ、樹状細胞及び好中球を介して食菌作用を促進することを提案した。
CpG-DNA-誘導されたバクテリア-反応性の抗体を分泌するB細胞クローンを構築するために、マウスにi.p.でCpG-DNA 1826を注射し、7日後、腹膜細胞を集めてSP2/0 myeloma細胞と融合した。本発明者らは、S.aureus MW2に対して反応するモノクロナール抗体を分泌するハイブリドーマクローンを分離し、m3F5H6と命名した(図7)。
バクテリア-反応性のモノクロナール抗体の可変ドメインのクローニング
重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(VH及びVL)をコーディングするcDNA配列を、通常の重鎖及び軽鎖プライマーを使用してバクテリア-反応性のモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ細胞(m3F5H6)からクローニングした。DNAシークエンシングによって確認された配列を図8に示した。その配列を、IgBLASTプログラムを用いて公知の配列とのホモロジーを分析した(Ye J,Ma N,Madden TL,Ostell JM.IgBLAST:Nucleic Acids Res.2013;41(Web Server issue):W34-40)。
モノクロナール抗体(m3F5H6 IgG)をm3F5H6クローン-注射された腹水から精製し、SDS-PAGEで分析した(図9A)。3F5H6 IgGのアイソタイプIgG2bであり(図9B)、グラム陽性菌に対するm3F5H6 IgGの結合力をELISAで確認した(図9C)。
m3F5H6 IgGのRAW264.7細胞の食菌作用に対する効果を調査するために、食菌作用アッセイを、FITC標識されたS.aureus MW2を使用してPBS、マウス正常IgGまたはm3F5H6 IgGで培養した後に行った(図9D及び図9E)。本発明者らは、マウス腹腔細胞の食菌作用に対するm3F5H6 IgGの効果も調査した(図9F及び図9G)。この結果は、m3F5H6 IgGがRAW264.7細胞及びマウス腹腔細胞がマウス正常IgGと比較して、S.aureus MW2を結合する活性を増加させることを示唆している(1.5~1.8倍)。
マウスの腹腔において食菌作用に対するm3F5H6 IgGの効果を直接調査するために、マウスにi.p.でm3F5H6 IgGを、FITC標識されたS.aureus MW2細胞で前処理した後に注射した。その次に、マクロファージ、樹状細胞及び好中球のような食菌性免疫細胞の効果を確認するために、流動細胞分析法によって腹腔細胞を分析した(図9H)。正常IgG対照群と比較して、m3F5H6 IgGは、腹腔でマクロファージ及び樹状細胞の食菌作用をさらに効果的に増加させた。しかし、好中球の食菌作用には効果がなかった。この結果は、m3F5H6 IgGが、マウス腹膜細胞でさらに効果的な食菌作用の媒介者であり、食菌性免疫細胞が、CpG-DNAによって誘導された抗体の抗菌効果と関連し得ることを示唆している。
モノクロナール抗体(m3F5H6 IgG)のバクテリア-反応性
モノクロナール抗体(m3F5H6 IgG)のグラム陽性菌に対する結合力をELISAで確認した(図9C)。また、モノクロナール抗体(m3F5H6 IgG)のグラム陰性菌(図10A)、及び細胞内寄生細菌(図10B)に対する結合力をELISAで確認した。
CpG-DNAで刺激された腹膜B細胞由来のバクテリア-反応性のモノクロナール抗体(m3F5H6 IgG)はS.aureus MW2の感染に対する治療効果を有する
m3F5H6 IgGのマウスにおけるS.aureus MW2の感染に対する抗菌効果を実証するために、BALB/cマウスにS.aureus MW2を感染させた後、PBS、正常IgG、及びm3F5H6 IgGを投与した後、死亡率、組織内感染及び組織病理を実験スケジュールに従って観察した(図11A)。抗体なしにS.aureus MW2で感染した全てのマウスは、感染5日後に死亡したが、30%の正常IgG注射されたマウス及び70%のm3F5H6 IgG注射されたマウスは、感染後7日まで生存した(図11B)。
特定の組織においてS.aureus MW2の感染を調査するために、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を感染2日後に得てCFUアッセイを行った。本発明者らは、組織、特に腎臓においてm3F5H6 IgGの投与によるバクテリアロードが減少したことを観察した(図11C)。組織の組織病理を感染2日後にモニターした。バクテリアバードン(burden)は腎臓でのみ発見され、S.aureus MW2注射されたマウスと比較して、抗体注射されたマウスでは、バクテリアバードンが著しく少なく検出された(図11D)。
S.aureus MW2の感染30日後に、本発明者らは、肝臓、肺、腎臓及び脾臓の組織病理を調査した。バクテリアバードンや多くの炎症性免疫細胞が、抗体注射されたマウスの腎臓では検出されなかった(図11E)。総合すると、本発明者らは、CpG-DNA-誘導された抗体の投与が、増加した生存率を誘導し、正常IgGと比較して、S.aureus MW2注射されたマウスでさらに高いバクテリア除去の効果を誘導することを確認した。
バクテリア-反応性のヒト化された抗体の産生及び特性
臨床にモノクロナール抗体の適用のために、その抗体を、ヒトでの免疫原性を減少させるヒト化作業を行わなければならない。したがって、本発明者らは、得られたモノクロナール抗体m3F5H6の免疫グロブリン可変ドメイン配列をIgBLAST program(Ye J,Ma N,Madden TL,Ostell JM.IgBLAST:Nucleic Acids Res.2013;41(Web Server issue):W34-40)を使用して分析し、その可変ドメインサブタイプがマウスVH1-Vk1に属することを見出した。m3F5H6 mAbのヒト化のために、本発明者らは、VH1-Vk1骨格を、この骨格が最も共通的にヒト生殖系列(germ line)レパートリーで観察されるという事実(Caravella JA,Wang D,Glaser SM,Lugovskoy A.Curr Comput Aided Drug Des.2010;62:128-138)を参考にして選択した。本発明者らは、ヒトVH1-Vk1骨格に一部の骨格配列、この場合にはサマリズマブ(Samalizumab)骨格とCDR部位を一般に確立された方法でグラフトした(Kabat EA,Wu TT.J Immunol.1991;1475:1709-1719)。m3F5H6及びヒト化されたモノクロナール抗体(h3F5H6)由来の構造をモデル化して比較し、それらは互いに同一ではないが、類似することを示した(図12)。
本発明者ら、組換えヒト化されたモノクロナール抗体(h3F5H6)をHEK 293F細胞を使用して産生し(図13)、その反応性を評価した(図14及び図15)。そのヒト化された抗体は、ELISAに基づいてGram(+)バクテリア(S.aureus,S.aureus MW2,S.epidermidis,S,pyogenes)とGram(-)バクテリア(A.baumannii,E.coli K1,P.aeruginosa,K.pneumoniae 11418,K.pneumoniae 40145,K.pneumoniae 41293)(図14)及び細胞内寄生細菌(L.monocytogenes,S.typhimurium)(図15)に対しては特異的に反応することを確認した。
バクテリア-反応性のヒト化された抗体(h3F5H6 IgG)は、S.aureus MW2の感染に対する治療効果を有する
マウスにおいてS.aureus MW2の感染に対するh3F5H6 IgGの抗菌効果を実証するために、BALB/cマウスにS.aureus MW2を感染させた後、i.v.でPBS、正常ヒトIgG、及びh3F5H6 IgGを投与し、死亡率及び組織病理を実験スケジュールに従って観察した(図16A)。
S.aureus MW2を感染させた、抗体を投与していない全てのマウスは、5日後に全部死んだが、10%の正常IgG注射されたマウスと30%のh3F5H6 IgG注射されたマウスは、感染後7日目まで生存した(図16B)。組織の組織病理を、感染後2日目にモニターした。抗体注射されたマウスが、S.aureus MW2のみが注射されたマウスと比較して、バクテリアバードン(burdens)は腎臓でのみ発見され、さらに小さいバクテリアバードンが発見された(図16C)。
BABL/cマウスにi.p.でcobra venom factor(CVF,30μg/mouse)を投与し、6時間後にi.v.で1×107 CFUのS.aureus MW2を注射した後、ヒト化された抗体(h3F5H6)(25mg/kg mouse)を静脈内注射した後に生存率をモニターした。S.aureus MW2を感染させたCFVを投与し、抗体を投与していない全てのマウスは、4日後に全部死んだが、20%のh3F5H6 IgG注射されたマウスは、感染後7日目まで生存した(図17)。補体非依存的にh3F5H6 IgG抗体がS.aureus MW2の感染を抑制することを示した。
CpG-DNAの投与は、E.coli K1で感染後、組織でバクテリアの除去を促進し、マウスの生存を増加させる
本発明者らは、E.coli K1の感染に対する抗菌効果を証明するための動物モデルとして選択し、図18Aに記載された方法によって実験を行った。まず、BALB/cマウスに腹腔内(i.p.)でCpG-DNA 1826を投与し、7日後、そのマウスに腹腔内(i.p.)でE.coli K1を注射した後、生存率を2日間モニターした。何の処理もしていないE.coli K1注射されたマウスと比較して、バクテリア感染前にCpG-DNAで前処理されたマウスの生存率は、100%まで(図18B)増加した。
特定の組織におけるバクテリア感染の評価のために、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を、E.coli K1のi.p.注射1日後に切り出してその組織を均質化し、その均質体をアガー培地で培養して除去し、CFUをカウントした。全てのテストされた組織及び血液と腹腔はバクテリアによって感染し、組織においてバクテリアロードは、CpG-DNA 1826の前処理によって全て減少した(図18C)。
次に、各組織の組織病理を観察した。バクテリア感染後、マウスの組織で膿瘍(abscess)部位は検出されなかった(図18D)。したがって、本発明者らは、マウスにCpG-DNAの前処理は、E.coli K1の感染後にバクテリアの除去を促進し、生存率を増加させると結論を下した。
マウスにおいてE.coli K1の感染に対するCpG-DNAの抗菌効果が補体非依存的であることを実証するために、BALB/cマウスに腹腔内(i.p.)でCpG-DNA 1826を投与して7日後、そのマウスに腹腔内(i.p.)でCVFを注射した後、血清内の補体(C3)の量を測定した(図19A)。CVFの投与後に、血清で補体が全て減少することを確認した(図19B)。CpG-DNA 1826を投与して7日後、そのマウスに腹腔内(i.p.)でCVFを注射した後、6時間後にE.coli K1をi.p.で感染させた(図19C)。バクテリア感染前にCpG-DNAで前処理されたマウスの生存率は、20%まで(図19D)増加した。したがって、本発明者らは、マウスにCpG-DNAの前処理は、E.coli K1の感染後、補体非依存的にバクテリアの除去を促進し、生存率を増加させると結論を下した。
バクテリア-反応性のヒト化された抗体(h3F5H6 IgG)は、E.coli K1の感染に対する治療効果を有する
マウスにおいてE.coli K1の感染に対するh3F5H6 IgGの抗菌効果を実証するために、BALB/cマウスにi.p.でE.coli K1を感染させた後、i.v.でPBS、正常ヒトIgG、及びh3F5H6 IgGを投与し、死亡率を観察した。ヒト化されたバクテリア-反応性の抗体(h3F5H6 IgG)の投与も、正常IgGよりも、E.coli K1感染したマウスでさらに高いバクテリア除去及び生存率が増加することを確認した(図20)。