JP7112760B2 - 浄化装置およびドアノブ - Google Patents

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Description

本発明は、物体表面に付着した病原体等を不活化または低減化する技術に関するものである。
諸外国に比べて比較的衛生状況の良好とされる本邦においても、毎年、季節性のインフルエンザやノロウイルスによる感染症が後を絶たない。また近年では新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの発生も、人類にとっての新たな脅威となっている。これらの感染経路は千差万別だが、共通の感染経路のひとつとして接触感染が挙げられている。保因者の手などについた病原体が、その保因者がドアノブや手すりなどを触ることによって、その物体表面に付着してしまい、そのあとで健常者が触ってしまうことによる間接接触感染の経路である。
この接触感染を防止するために従来採られてきた方法として、エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの薬品を用いた清拭による消毒法が第一に挙げられる。しかし薬剤による消毒はその薬剤のもつ消毒スペクトルに適合しない病原体には効果がないし、薬剤が病原体を消毒するまでに一定の時間(数十秒から数分)を要するし、そもそも、例えば利用者がドアノブを握るごとに薬剤による清拭で消毒をするという、頻繁な消毒方法も現実的な手段ではない。
この課題に対する従来技術のひとつとして、抗菌や抗ウイルスをうたった表面処理の製品が世の中にだされている。それらは銀イオンを使ったものや特殊なポリマーを使ったものなどが多い。しかしこれらの多くは、付着した病原体の繁殖を無処理表面に比べて若干抑制するだけの性能であったり、数時間から数十時間をかけてゆっくり病原体を減じていくというだけの性能であったりして、やはり頻繁に利用されるドアノブなどの共用箇所に施工しても事実上、接触感染を抑制する効果はほとんど期待できない。
このように従来の技術・製品には、ドアノブのように頻繁に病原体が付着する可能性のある物体表面の病原体を数秒から数十秒程度で急速に不活化、低減化するものは存在しない。
解決しようとする問題点は、物体表面に付着した病原体を不活化または低減化し、その物体の次の利用時までに物体表面の清浄状態を実現するというものである。
上記課題を解決するため、本発明は次のような方法および装置を提案する。
清浄状態として利用したい物体表面を、一時的に利用位置から待避してその待避位置で加熱処理を加える。この時の加熱条件(温度、加熱時間等)は不活化・低減化したい病原体の種類や、どの程度低減したいかという要件によって任意である。
物体表面を待避するという意味には、加熱中にその物体表面をカバーなどで覆うという構成も考えられる。
物体表面の加熱は、一般的に加熱温度が高ければ高いほど、病原体の不活化時間は短くなる。そこで加熱温度を高めたくなるが、一方で利用時の温度がその高温では使えない場合がほとんどである。例えば、ドアノブを200℃、10秒間加熱すれば病原体はほとんど死滅、不活化されるが、常温にもどらなければ人が触ることはできない。
そこで、加熱消毒する物体表面は必要最小限の熱容量にとどめるというのが、本発明の主眼である。必要最小限の熱容量とは、すなわち、フィルムや薄板などの薄い材料を加熱するということである。この薄い材料のみを加熱し、所望の不活化・低減化が実現されたら、必要とされる剛性を持つ基材または骨格の上にこの薄い材料を載置するという手段である。
この方法によれば、消毒を行う薄い材料は必要最小限の熱容量しか持たないため、高熱に加熱した直後に人の手が触れても火傷をするおそれはない。また、高温加熱後に冷却する場合でも、蓄熱している熱量がすくないため加熱時同様に急速な放熱(冷却)がなされる。また、薄い材料は外気に触れる面積が広いため、加熱後に室温の空気にさらすことだけでも急速に常温に戻る。したがって、適切な比熱、厚みを持つ材質を選択し、かつ加熱温度を設定し、人がその加熱面に触れるまでの冷却時間を設定すれば、高温加熱後に人が火傷をするおそれはない。
また、人が直接触れる物体表面の消毒だけではなく、たとえばまな板のように表面の清浄化を求められる物体にも同様に適用できる。この場合においても、高温に加熱した後に急速に冷却することができるため、刺身などの熱を嫌う食材にも適用することができる。これにより、洗剤などの薬品を用いることなく食材ごとに頻繁に消毒を施すことができ、時間の節約にもなるため、まな板を介した食中毒を防ぐことが期待できる。
さらに、薄い材料だけを加熱するということは、その加熱に投入するエネルギーも極めて少なくて済む。例えば、200μmの厚みの水を25℃上昇させる熱量で、10μm厚みのアルミ箔を180℃も上昇させることができる。室温が23℃としたとき、180℃上昇させて203℃にすれば、10秒程度で病原体はほとんど無毒化することができる。
前段落を言い換えるならば、室温23℃において200℃まで加熱した10μm厚みのアルミ箔を加熱体から取り外し、その直後に手指で触っても火傷することはない。理由は、加熱体から取り外した直後からアルミ箔は23℃の大気中に速やかに放熱を開始することに加え、200μmの手指の表皮に熱が均一に加わったとしても20℃程度しか上昇しないことを意味し、ぬるま湯の湯飲み茶わんを持った程度にしか感じないためである。
このように、構造体の表面を加熱消毒する際に、可能な限り表面を薄く分離し、その分離表面だけを高温で加熱消毒することは、消毒効率の点からも省エネルギーの点からも極めて有効な手段である。
ここで加熱する温度と時間について記す。定性的に考えれば、可能な限り高温で可能な限り長時間加熱したほうが病原体の不活化、低減化が望めるのは間違いない。しかしながら実際の製品設計においては、効率や経済性を考慮してその装置の要求仕様に応じて設定、設計されるべきである。ただ、ひとつの目安として、殺菌が目的であるならば水の沸点以上に熱するというものがある。細菌類はウイルスとは異なり微生物であり、細胞壁内に水分を蓄えている。従って、沸点以上に細菌を熱すれば、水が気化した瞬間に膨張し細胞壁が内圧によって破壊され生存できなくなる。そのため水の沸点以上すなわち大気圧においては100℃以上に加熱し、付着した細菌類を100℃以上の状態にできれば瞬時に死滅させることができる。
一方、ウイルス類は必ずしもそうはならない。ウイルスやファージは生物ではなく単なる化学物質であるため、100℃以上の環境でもしばらくその分子構造を保つ場合がある。そのため、利用するアルミ箔などの薄フィルムの耐熱温度と加熱体の温度と経済性、安全性を鑑みて加熱温度は決定すればよい。事前の実験では、加熱体として入手が容易で安価な、はんだごて用セラミックヒーターを12V電源に接続し加熱したところ180℃まで10数秒で上昇した。そこで安価な装置構成の実現、部品調達の観点からは180℃で10秒程度加熱する、というのがひとつの加熱条件の目安となるだろう。
また、ウイルスにはエンベロープと呼ばれる被膜付きのものとエンベロープのないものがある。例えばインフルエンザウイルスやコロナウイルスはエンベロープ付きのタイプであり、ノロウイルスはエンベロープが付いていないタイプである。直感的には被膜がついている方が外的耐性を備えているように思われるが実際には異なる。エンベロープタイプは、そのエンベロープさえ破れてしまえば不活化できてしまうからである。一方でエンベロープ無しのタイプは、その構造自体を破壊しなければ不活化できない。従って、エンベロープタイプのものは、細菌の加熱消毒と同様に、水の沸点以上で加熱することによりエンベロープ内部の水分が気化しエンベロープを内部から破壊することが期待できる。
つまり、細菌およびエンベロープ付きウイルスに対する加熱消毒の目安として、水の沸点以上での加熱温度が効果的であり、エンベロープ無しのウイルスに対しては装置構成部品の入手性の観点から180℃以上での加熱温度が効率的であるといえる。これが装置を実設計する際の目安となるだろう。
本発明によれば、清浄化を必要とする物体の表面を急速に、かつ、省エネルギーに、かつ、自動的に消毒、減毒することができる。これにより、物体表面が頻繁に汚染されるドアノブや手すりや便座やまな板表面など、その汚染機会ごとに清浄化を求められる社会ニーズに応えることができる。
本発明の実施形態の一例である、ドアノブ等の把持構造の概略構成である。図1aは把持構造の透視図である。図1bは把持部の断面をとった透視図である。図1cは駆動部のカバーを外した状態の透視図である。図1dは把持部の断面模式図である。 本発明の実施形態の一例である、ドアノブ等の押し引き構造の概略構成である。 図2の形態を半分に分割した、実施形態の一例である。図3aはドアなどの単純な押し箇所や押しボタンに用いたりする例である。図3bは水平に用いることでまな板に用いたり、手術具等の医療器具の一時置き場に利用したりする例である。図3cはペルチェ素子を利用した構成を示している。 エスカレータのハンドレールに適用した構成例である。 物体表面を待避するのではなく、一時的に蓋構造を覆いかぶせて加熱する構成の一例である。 本発明の実施の基本構成の概念図の一例である。フィルムを用いた例を示してある。 本発明の実施の基本構成の概念図の一例である。薄板を用いた例を示してある。 実施例8の構成を表す概略図である 実施例9の構成を表す概略図である
本発明の核心となる部分は、清浄化したい機能構造物(手すり、まな板、便座等)の最小限の表面厚み部分のみを加熱消毒する、ということである。しかしながら、清浄化したい部分を薄く、あるいは小さくしすぎると剛性や耐久性の問題が生じる場合が考えられる。逆にある程度厚くすると、加熱時間および冷却時間に時間がかかるため頻繁な利用に耐えられなかったり、多大な所要エネルギーを要したりするという弊害がある。
したがって、厚さや装置の構造は、病原体を何秒以内にどれだけ減じたのちに再利用状態に復帰するか、という設計要件に基づいた加熱条件を満足するものであるべきであり、その設計実現手段は無数にあり一概には決められない。以下の実施例は、それらの実設計に耐えうる構成のうちの、本発明を用いた一例のみを示すものである。
図1は、本発明の実施例のひとつであり、ドアノブ、手すり、つり革、ドアの鍵など握ったり押したり引いたりする把持構造体での実施例を示してある。
把持部1は支持構造体8、回転駆動支持体7、加熱体6、薄フィルム4で構成されている。1つあるいは複数の回転駆動支持体7は回転アクチュエータ3によって回転駆動することで、薄フィルム4を構造体に沿って走行させる。
薄フィルム4は、利用時表面5(すなわちこの場合利用者が把持する際に皮膚が接触する把持部表面)から待避した位置に載置されている加熱体6に接触加熱されたときに消毒、減毒される。そして消毒、減毒された薄フィルム4は再び利用時表面5へと走行される。
このときの加熱体6はニクロム線のような電熱線でもいいし、セラミックヒーターでもいいし、バーナー型アイロンのように間接的に火炎をあててもよい。あるいは高温の液体をパイプに通すことで間接的に熱してもよい。
薄フィルム4は回転駆動支持体7で支持されることにより、剛性をもってその場所を維持する。把持構造体が片持ち構造の場合は把持部内部に載置される支持構造体8および回転駆動支持体7によってその剛性が保たれる。把持構造体が両持ちの場合も同様ではあるが、支持構造体8を両側から引っ張って構成することができるため、ワイヤーなどの軽量部材で代替して構成することも可能である。
把持構造体2は利用されたことを自動的に検知する。検知方法は、本体にとりつけた振動計でもいいし、把持によりひずみが生じたことを検知するひずみゲージでもいいし、光検知式の非接触センサでもよい。あるいは、能動的に利用者が操作できるスイッチや、音声指示に反応するマイクが備わっていてもよい。
利用されたことを検知した把持構造体2は、利用者が手を放すなどして利用を終えた状態も同様に検知し、利用終了後すぐにあるいは一定時間後、薄フィルム4の走行を開始する。加熱体6もこのときに加熱を行い、加熱体6に接触通過する薄フィルム4を加熱することによって順次消毒、減毒を行う。
把持利用表面の全体が消毒、減毒状態になったら薄フィルム4の走行をやめ、再利用可能状態となる。
このとき、再利用可能状態、利用者による利用中状態、利用者が利用を終了した状態、把持構造体が消毒工程を行っている状態のいくつかあるいはすべてにおいて、その状態を示すランプの点灯や音声の発出機能も搭載する。
加熱体6と薄フィルム4の接触長が、薄フィルム4の利用時表面5長より長ければ、利用者が把持構造体2を利用しているときにも並行して加熱処理をしておくことによって、利用終了後に迅速に薄フィルム4を走行させて、次の利用に備えることができる。すなわち、利用中の時間と加熱消毒時間を並行して行えるために、タクトタイムの短縮ができる。
加熱体6と薄フィルム4の接触長が、薄フィルム4の利用時表面5長より長くない場合においても、もちろん利用者が把持構造体2を利用している最中に、加熱処理を並行して行うことは可能である。ただしそれ以外の部分に関しては、利用者の利用が終了後に、薄フィルム4を順次走行させながら加熱体6に接触させて加熱消毒しなければならない。
このとき、薄フィルム4は同一方向だけに回転させてもよいし、逆転させてもよい。また、図1において薄フィルム4は始点と終点を連結してループ状にしているが、連結せずに開放しておいて、一方向に巻き取り後に逆転して利用してもよいし、すべて巻き取り直してからもういちど一方向から利用しだしてもよい。つまり例えていえば、カセットテープを一方向から再生して片面の再生後にオートリバース機能によって逆方向にテープを再生させてもよいし、片面の再生後にすべて巻き戻して同じ片面をふたたび再生してもよい、という利用方法の意味である。
なお、加熱する時間と温度は計測してあり、病原体の所望の不活化、低減化が行われ、かつ火傷と故障を含めた装置の過熱を防ぐための温度制御がなされている。
薄フィルム4は、アルミ箔のほか、樹脂フィルムでもいいし、樹脂フィルムにアルミ箔等の金属を蒸着させたものでもよい。樹脂フィルムの一例としてポリイミドフィルムが挙げられる。例えばカプトンフィルム(登録商標)という商品名で知られるデュポン社のポリイミドフィルムは耐熱温度が約400℃であり、本発明で想定する200℃程度までの加熱温度には充分耐えられる。またフィルム厚みの種類も多数あるため、利用時での残存熱量・温度と耐久性の観点を踏まえて、その製品仕様に適した厚みを選択することができる。その他、装置加熱仕様温度に耐えられる材質であればどのような薄フィルム4であっても構わない。
このように本発明を用いれば、把持部1の清浄化が施される。それとともに、加熱によって表面に付着した水分も蒸発させることができる。トイレのドアノブなどでよくあることだが、前の利用者が濡れた手でドアノブを触り、その水滴がドアノブに残っていることがある。こういった不快感、不清潔さも本発明で副次的に解決することができる。
図2に別の実施例を示す。この実施例では平面の表側、裏側を消毒できる構成になっている。扉の押し板など、両面から押されたり両面をつかんだりする構造体に適用できる。
この構成において、中央内部に加熱体6は載置する。利用時表面5の利用が検知されると、利用終了後に薄フィルム4が走行して加熱体6へと位置決めされるのは実施例1と同様である。このとき、薄フィルム4と加熱体6の接触長が充分長ければ、装置利用時や待機時といった、薄フィルム4の非走行時に予め加熱消毒しておくことができるため、時間の節約になるのも実施例1と同様である。
図3aに実施例2の変形例としての実施例3aを示す。この例では実施例2の片面だけを用いている。両面の清浄化が必要ないときはこの構成でよい。ただし、加熱体6は一般的に両側とも発熱してしまうため、反対面の熱量が無駄になったり、その発熱によって上昇した筐体などの熱を外部に逃がす機構が必要となったりする。
この実施例においては、ドアの押し板や押しボタンなど、単純に押すために接触する部材としての構造に利用できるほか、図3bのように水平に載置して利用することもできる。水平載置の場合の応用例としては、清浄性が求められる料理用のまな板や、手術器具などの医療器具を一時置くための台などが挙げられる。
さらに変形例として実施例3cを図3cに示す。ここで薄フィルム4は押し当て弾性体10によってペルチェ素子11に押し当てられる。ペルチェ素子11は図中下側を加熱側、図中上側を冷却側として載置、利用する。これにより、加熱後の薄フィルム4が常温まで冷えていない条件であったとしてもペルチェ素子11上面で強制的に冷やすことができる。また、まな板などの余熱を嫌う構造物に適用する際も、この構造であれば利用時表面が常温以下で保たれるため有益である。
図4に実施例4を示す。本発明をエスカレータのハンドレール(移動手すり)12に応用した例である。ハンドレール12は不特定多数の人が頻繁に手を触れる構造体である。そして非常に速い消毒処理を必要とされる。
既存のエスカレータで用いられているようなハンドレール12そのものを加熱すると、熱容量が大きいため短時間に加熱することが難しい。仮に高温を印加して短時間に加熱できたとしても、人が触れる常温に戻すまでの冷却時間が足りなくなる。そこで、実施例4では本発明の方式を用いて、ハンドレール12に薄フィルム4を被覆させる。
利用者がハンドレール12に手を載せている時間ではハンドレール12と薄フィルム4は接触して一体となって動いているが、利用者がハンドレール12を握っていない戻り経路においてはハンドレール12と薄フィルム4は分離し、薄フィルム4だけ加熱体6によって高温で短時間加熱して消毒する。加熱消毒後、再びハンドレール12と接触、一体化することで、加熱処理にともなって薄フィルム4に蓄積された熱量はハンドレール12に移動したり、空気中に拡散したりして速やかに常温にならされる。
これによって、エスカレータの利用者は常に消毒されたハンドレール12を触ることができる。
図5に実施例5を示す。ここまでの実施例は薄フィルム4を走行して、利用時表面以外の位置において加熱処理を行っていたが、本実施例では薄フィルム4を走行させない。
薄フィルム4は支持構造体8と連結されており、図のように弾性体14を用いて、支持構造体8からは熱伝達量の少ない構造として浮かせることができる。ここでいう弾性体14とは、細い金属ばねでもいいし、熱伝達率の低い樹脂ばねでもいいし、風船のように任意の気体によって膨らませてもよい。重要なことはこの後の加熱処理工程において薄フィルム4を加熱した熱が、その弾性体14を通って支持構造体8へと伝達する量を最小限に抑えるということである。
加熱処理時は、蓋構造13の内側に載置された加熱体6が薄フィルム4に接触し薄フィルム4を加熱する。このとき、支持構造体8と薄フィルム4は熱伝達が最小限になるように前記の方法で浮かせておく。
所定の加熱処理が終了後、蓋構造13をはずせば薄フィルム4は消毒されており、その薄フィルム4で被覆された支持構造体8を利用することができる。この実施例の一例としてはトイレの便座への適用が挙げられる。本図においては便座および便座カバーを模した例として表現した。この場合、接触物体15は人の臀部であり、支持構造体8は便座である。その他、同様に、清浄さが求められるまな板や医療器具の置き場などにも応用可能である。
図6および図7に、本案の実施形態のごく基本的な構成の例を示す。図6においては薄フィルム4を利用した実現手段を示す。この図において、加熱体6は利用時表面5から隠れた位置に載置される。そのため、薄フィルム4の加熱時に利用者が誤って触れてしまうことがない。加熱消毒された薄フィルム4は、回転駆動支持体7によって利用時表面5へと走行され、利用状態に備える。
装置が利用されたかどうかは、前記の利用検知センサで確認すればよいし、装置がまったく利用されなかったとしても、飛沫などによって付着した病原体を排除するために、任意の時間ごとに加熱プロセスを行ってもよい。
また、利用時の汚染が数百μmを超える微粉をともなうような場合や、フィルム上に微生物がバイオフィルムを形成する場合も考えられる。そのような場合、加熱体の熱が充分に伝わらず、所定の温度まで上昇しないことが想定される。そのような比較的大きいパーティクル汚染物を予め取り除いておくために、加熱体6に薄フィルム*4送りこむまえにスクレーパやブラシによる表面汚染物掃引除去装置16を載置しておくとよい。
また、薄フィルム4が自然冷却によって速やかに常温まで戻らないような場合、あらかじめ冷却体17を備えておき、薄フィルム4の加熱が終わったあとに冷却してもよい。あるいは、利用時表面5を支持する回転駆動支持体7を冷却することによって、速やかに常温まで冷却してもよい。
また、本発明で表す薄フィルムとは、必ずしも樹脂の一様な薄膜品だけを指しているわけではなく、アルミ箔のような金属箔でもいいし、樹脂薄膜に金属蒸着をしてあってもよい。さらに、和紙に代表されるような丈夫な紙であってもよい。あるいは天然素材や人工素材を用いた薄い織物でも構わない。織物として織られている必要もなく、単に糸状のものを平行あるいはランダムに薄く載置してあっても構わない。すなわち、熱容量を減ずるために薄く加工したもの全般について、本発明では薄フィルムと呼んでいる。
図7に薄フィルム4を用いない場合の、本発明の実施例を示す。最小限の熱容量を持つ接触表面体19を熱伝達量のすくない接触表面支持構造体20で支持する。利用者が利用時表面5を利用後、回転軸受18によって接触表面体は利用時表面5から待避し、加熱体6まで移動する。このとき接触表面体が待避する方法は回転軸受18によらず直線駆動でも構わない。加熱体6まで移動した接触表面体19は、加熱体6と接触し、加熱処理を受ける。加熱処理を受けた後、接触表面体19の温度降下が十分でない場合、冷却体17の位置に移動し、冷却体17による放熱を受ける。そして、ふたたび利用時表面5へと送り出され、次の利用に備える。
図7では接触表面体19が2つの場合を図示したが、3つ、4つ、5つと複数の接触表面体19および加熱体6および冷却体17を用意しておいてもよい。その方が装置は大きくなるものの、タクトタイムは短縮できる。
図8を用いて実施例8を説明する。実施例8はカセットテープの駆動方法に類似している。図8において、薄フィルム4は左側の薄フィルムリール22にあらかじめ巻き取られた状態にある。この薄フィルムリール22はリール全体を加熱体6で加熱することができる。そのため、夜間等の装置を利用しない時間帯に加熱体6でリール全体を加熱することで薄フィルム4を消毒、減毒しておく。そして装置利用時間帯になったら薄フィルムリール22から薄フィルム4を順次送出させることによって、利用時表面5に載置する。このとき薄フィルム4は回転駆動体23によって巻き取られている。
ところで、薄フィルム4は同一方向だけに回転させてもよいし、逆転させてもよい。また、図のように薄フィルム4は始点と終点を連結してループ状にしているが、連結せずに開放しておいて、一方向に巻き取り後、逆転して利用してもよいし、すべて巻き取り直してからもういちど一方向から利用しだしてもよい。つまり例をあげれば、カセットテープを一方向から再生して片面の再生後にオートリバース機能によって逆方向にテープを再生させてもよいし、片面の再生後にすべて巻き戻して同じ片面をふたたび再生してもよい、という使い方の意味である。
このように、カセットテープのようにリール巻き取り方式の場合、予めリール全体に対して所定の加熱消毒を行っておくことで、利用最中での加熱処理が必要なくなるため、薄フィルムの走行速度をあげられることになり、利用頻度をさらに高めることができる。
図9に実施例9を示す。実施例9は実施例8の変形例である。図9において加熱体6は押し当て弾性体10によって、薄フィルムリール22の最外周の薄フィルム4に密着されている。加熱体6は最外周の薄フィルム4を加熱消毒するタイミングにおいて発熱する。加熱体6は押し当て弾性体10によって薄フィルムリール22の最外周に押し当てられているため、薄フィルム4の送出に伴って薄フィルムリール22の直径が減少していっても常に最外周の薄フィルム4は加熱消毒されるという構造になっている。
なお図示はしていないが、実施例9も実施例8と同様のカセットテープ方式で、左側の薄フィルムリール22から右側の薄フィルムリールに巻き取ったあとに反転駆動してもよいし、左側の薄フィルムリール22にすべて巻き取りなおしたあとに、通常駆動しても構わない。
清浄性を常に求められる構造体表面に広く用いることができる。一般用途の例としては、ドアのノブや把持部、手すり、つり革など不特定多数の人が短時間に接触を繰り返す製品の清浄装置として用いられる。また、トイレの便座のような把持をしない構造体表面の清浄化にも用いることができる。
人に対する以外の用途としては、まな板のように頻繁に清浄化を求められる用途がある。洗剤などの薬品を可能な限りつけたくないため、本発明の方法は有効である。
医療器具の用途としても有益である。一般病棟においては、院内感染を防ぐために病室のドアの取手やベッドの手すりなどに使える。トイレで手をかける部分にも使える。また、診察中や手術中に医療器具をいったん置いておきたい場合の置台としても利用できる。さらに、手術中に清浄性を必要とする手袋をはめた状態で、触ったり握ったりしなければならない構造体にも利用できる。たとえば手術の無影灯のグリップ部などである。本発明は、次の項目に記載の態様によっても実施され得る。
[項目1]
構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段であって、構造体表面にはさらされない位置において被覆部材を加熱し、所定の加熱処理が終了後に構造体の骨格をなす基材の上に該被覆部材を載置することによって、構造体表面の病原体の不活化もしくは低減化を図る方法。
[項目2]
項目1に記載の構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段であって、該被覆部材を100℃以上に加熱して、該被覆部材表面に付着した病原体の不活化もしくは低減化を図る方法。
[項目3]
項目1に記載の構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段であって、該被覆部材を180℃以上に加熱して、該被覆部材表面に付着した病原体の不活化もしくは低減化を図る方法。
[項目4]
項目1に記載の構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段を用いた装置であって、該被覆部材の厚みは30マイクロメートル以下であることを特徴とする構造体表面の病原体を不活化もしくは低減化を図る装置。
[項目5]
項目1に記載の構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段を用いた装置であって被覆部材を加熱するための加熱体にセラミックヒーターを用いることを特徴とする構造体表面の病原体を不活化もしくは低減化を図る装置。
[項目6]
項目1に記載の構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段であって、1回分の該被覆部材の利用長以上に予め加熱消毒・減毒しておき、該消毒・減毒済みの該被覆部材を1回分の利用長だけ利用位置に載置することで、装置の再利用準備時間を短縮することを特徴とする構造体表面の病原体を不活化もしくは低減化を図る装置。
[項目7]
構造体表面における病原体の不活化もしくは低減化を施す手段であって、装置利用状態での表面にはさらされない位置において該構造体表面を加熱し、所定の加熱処理が終了後に装置利用状態での表面位置に構造体表面を移動、載置することによって、構造体表面の病原体を不活化もしくは低減化を図る方法。
1 把持部
2 把持構造体
3 回転アクチュエータ
4 薄フィルム
5 利用時表面
6 加熱体
7 回転駆動支持体
8 支持構造体
9 支持筐体
10 押し当て弾性体
11 ペルチェ素子
12 ハンドレール
13 蓋構造
14 弾性体
15 接触物体
16 表面汚染物掃引除去装置
17 冷却体
18 回転軸受
19 接触表面体
20 接触表面支持構造体
21 直動アクチュエータ
22 薄フィルムリール
23 回転駆動体

Claims (10)

  1. 浄化装置であって、
    加熱部と
    前記加熱部により加熱される薄フィルムを有する被加熱部と、
    前記加熱部によって前記被加熱部を加熱する加熱位置と、前記被加熱部が前記浄化装置において露出し表面位置とを切り替える駆動部と
    前記被加熱部を支持し、前記駆動部によって回転駆動されることで前記被加熱部を走行させる支持構造体と、
    を備える浄化装置。
  2. 前記加熱位置は、前記被加熱部が前記浄化装置において露出しない位置である
    請求項1に記載の浄化装置。
  3. 前記薄フィルムは、樹脂フィルムである
    請求項1または2に記載の浄化装置。
  4. 前記被加熱部は、ポリイミドフィルムである
    請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置。
  5. 前記被加熱部の厚みは、30μm以下である
    請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置。
  6. 前記加熱部は、前記被加熱部を100℃以上に加熱する
    請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置。
  7. 前記加熱部は、前記表面位置において同時に露出する1回分の利用長以上に前記被加熱部を加熱する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の浄化装置。
  8. 前記被加熱部を冷却するための冷却部を備える
    請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置。
  9. 浄化装置の利用を検知するための利用検知センサを備える
    請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置。
  10. 請求項1からのいずれか一項に記載の浄化装置を備えるドアノブ。
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