JP7111329B2 - 無線機および無線通信周波数同期確立方法 - Google Patents

無線機および無線通信周波数同期確立方法 Download PDF

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Description

本開示は、無線端末どうしが直接通信を行うシステムにおけるチャネル不整合問題を解決する無線機および無線通信周波数同期確立方法に関する。
たとえば、bluetooth(登録商標)やwifiに対応した任意の二つの無線端末が直接通信チャネルを確立するためには、一方の端末が選択してアクセスするチャネルと他方の端末が選択して信号を受信するチャネルが一致していなければならない。しかし、このような通信方式では、初期においてマスタとスレーブは任意のチャネルを選択しているため、相互に信号を受信することができないことがある。この問題をチャネル不整合問題という(非特許文献1)。
チャネル不整合問題を克服する方法として、マスタとスレーブが通信要求を示す信号である制御信号を交換する方法がある。これをハンドシェイクという。制御信号には通信相手を示す情報としてMACアドレスやIPアドレスが記載されている。ここで,通信相手を示す情報をID情報と称する。マスタはチャネルを任意に選択し、そのチャネルを選択しているスレーブに制御信号を報知する。スレーブは,制御信号を復調し、ID情報を得ることで,マスタが所望とするスレーブが自局であるかを確認する。自局が通信相手である場合、そのスレーブは応答信号を返信する。
マスタは制御信号を送信後、スレーブの応答信号が受領されるまで受信状態となる。もし選択したチャネルに通信相手のスレーブ(これを対象スレーブという)が存在しない場合には応答信号の返答がない。マスタは一定時間受信を待機したときにも、応答がない場合、選択したチャネルには対象スレーブが存在しないと認識し、別のチャネルへ切り替える。以上のように、マスタは制御信号の報知と応答確認を対象スレーブから応答があるまで繰り返す(ランデブチャネル)。これにより、チャネル不整合問題がある程度は解消される(非特許文献2)。
この方法の利点は、マスタとスレーブが共有するべき事前情報がない場合、自律分散的にシステムを運用する場合に適していることである。しかし一方で、制御信号を繰り返し送信しなければならないためマスタの消費電力が極めて大きく、しかも周波数利用効率が低下する。特にこの問題は利用可能なチャネル数が多くなるほど顕著になる。
そこで、事前情報が不要で制御信号の送信回数を少なく抑える方法として、学習型占有率測定法に基づく方法が提案されている(非特許文献3、4、特許文献1)。本方法では、マスタとスレーブが事前に各チャネルのPS(プライマリシステム)の占有する時間率を評価する。この時間率を占有率と定義する。占有率は、マスタとスレーブが共通に認識できる情報として活用でき、同時にスペクトラムセンシングを複数回繰り返すことで、自助努力で占有率を測定できる。その結果、チャネルの選択基準に占有率との間に一定の関係を設けることができる。それゆえ、一方の無線機は、推定した占有率情報を利用することで、他方の無線機が選択したチャネルを推定できる。
さらに非特許文献3の方法では、チャネル選択基準と占有率との関係に低占有率を上位とする順位付けをしてチャネルをランキング化し、優先的にチャネルを選択する。その結果、PSがチャネルを占有する確率が低いため、マスタが制御信号の送信を待機する時間を短く抑えられ、高速な制御信号の交換が可能になる。
さらに非特許文献5の方法は、非線形受信機とIFDMA変調方式を用いることにより受信信号のスペクトルを、チャネル帯域幅を超えて広範囲に拡張することで、アクセスチャネルの異なるスレーブに対しチャネル番号を通知することを可能にしている。
また、近年、チャネルボンディング(非特許文献6)などのように複数のチャネルをまとめて使用することで高スループット化を図る利用法が検討されている。
特開2016-136714
K.C.Chen, R.Prasad, Cognitive radio networks, Wiley 2009. N.C.Theis,R.W.Thomas, and L.A.DaSilva, "Rendezvous for cognitive radios,"IEEE Trans. Mobile Computing, vol.10, no.2, pp.216-227, Feb. 2011 田久 修、木下和樹、藤井威生、楳田洋太郎、"マルチチャネル無線アクセスにおけるチャネル占有率を利用したチャネル共通化手法の検討" 信学技報、SR2010-14、pp.87-94,2010年5月 Osamu Takyu, Takayuki Yamakita, Takeo Fujii, Mai Ohta, Fumihito Sasamori, and Shiro Handa, "Optimization of Learning Time for Learning-assisted Rendezvous Channel in Cognitive Radio System" IEICE Transaction on Communication, vol. E98-B, no.2, pp.360-369, Feb. 2015 黒沢諒、田久修、大田真衣、藤井威生、笹森文仁、半田志郎、"IFDMAと非線形増幅を利用したアクセスチャネルの異なる狭帯域受信機への信号伝送法" 信学技報、SR2016-108、pp.83-87、2017年2月 野林大起、福田豊、塚本和也、藤井一樹、田村 瞳、池永全志、"チャネルボンディングの実用性に関する実験評価と一検討"信学技報、NS2016-42、pp.79-84、2016年6月
しかしながら、従来の方法、特に学習型占有率測定法(非特許文献3等)において、ゼロ占有率となるチャネルが多数存在する場合、最小占有率となるチャネルを1つに絞りこむことが困難になる。このような状況は、例えば、PS(プライマリシステム)がWEBを閲覧しているときに情報交換をしないことで、一時的にチャネルの利用率がゼロとなるときに生じる。
また、単独のPSがあるチャネルを独占的に使用しているとき、そのPSがエリア外に移動した場合、占有率の急激な低下が生じ、最終的にゼロとなることがある。また、占有帯域幅の異なる無線システムが周波数資源を共有する場合、例えばISM-BANDにおいて、無線LANはBluetooth(登録商標)に比べて帯域幅が大きく、無線LANがチャネルの利用を停止するとBluetooth(登録商標)が定義する狭帯域のチャネルが多数未使用となり、占有率がゼロとなるチャネルが多数現れる。
このように占有率がゼロとなるチャネルを従来の学習型占有率測定法で探索し制御信号交換を実施する場合、ゼロ占有率となるチャネルをすべて探索せざるを得ず、制御信号の送信回数が却って拡大する問題が生じる。それゆえゼロ占有率となるチャネルに対しても高速に制御信号を交換する方法が必要になる。
また、非特許文献5の方法は、他のチャネルのPSが送信した信号のスペクトルとも干渉する混変調が生じ、却って検出感度が低下することが懸念される。
本開示の一態様の目的は、上記課題に鑑み、チャネル不整合問題とランデブチャネルにおける周波数利用効率の低下を改善し、さらにゼロ占有率となるチャネルが多数存在する場合であっても低占有率チャネルを絞り込み、周波数不整合に対する高速な補償を実現することを目的とする。
本開示の一態様に係る無線機は、コントローラの指令に応じて制御信号交換処理時の受信信号に対し線形増幅と非線形増幅を選択的に適用する受信部と、前記コントローラの指令に応じて前記受信部の出力からチャネル番号に応じた周波数帯域の信号をベースバンドに変換するチャネル選択部と、前記チャネル選択部の出力信号のエネルギーを積算し、前記コントローラに供給する信号認識部と、前記チャネル選択部の出力信号を復調して受信情報を生成し、前記コントローラに供給するベースバンド復調部と、前記コントローラの指令に応じて送信信号を生成する送信信号生成部と、を備えたものである。
(スレーブとして機能する場合)
前記受信信号は対象スレーブのID情報とチャネル番号を含む制御信号であり、前記ベースバンド復調部は、キャリアに対して施された第1の変調を復調して前記ID情報を得る第1の復調部と、周波数スペクトルに対して施された第2の変調を復調して前記チャネル番号を得る第2の復調部を有してもよい。
前記第1の変調は振幅変調もしくは位相変調もしくは周波数変調であってもよい。
前記第2の変調はIFDMA変調であって、櫛の歯形状をなす周波数スペクトルの配置を時間とともに変位させることによりチャネル番号を埋め込んでもよい。
(スレーブにおけるプロトコル)
本開示の一態様に係る無線通信周波数同期確立方法は、前記無線機をスレーブとして用いたときに前記コントローラにより実行される無線通信周波数同期確立方法であって、非線形増幅が適用された状態で前記信号認識部を用いてスペクトラムセンシングを実行しチャネル占有率を測定するステップと、非線形増幅が適用された状態で前記チャネル選択部を用いて占有率の高いチャネルと低いチャネルに分類し、その結果に基づいて最終的に各チャネルの占有率の中で最も低い占有率のチャネルを有利チャネルとして選択するステップと、非線形増幅が適用された状態でマスタが送信した制御信号を受信するステップと、前記制御信号に含まれるチャネル番号にチャネルを設定するステップと、前記マスタに応答信号を送信するステップと、を含む。
(スレーブ提案1)
前記制御信号に含まれるチャネル番号にチャネルを設定した後、線形増幅が適用された状態で前記マスタが送信した制御信号を受信するステップと、前記制御信号から対象スレーブのID情報を復調するステップと、前記ID情報と自身のID情報とを比較し、一致したときに前記応答信号を送信するステップと、を含んでもよい。
(スレーブ提案2)
さらに、前記応答信号を送信した後、線形増幅が適用された状態で前記マスタが送信した制御信号を受信するステップと、前記制御信号から対象スレーブのID情報を復調するステップと、前記ID情報と自身のID情報とを比較し、一致したときに再度応答信号を送信するステップと、
を含んでもよい。
本開示の一態様によれば、マスタもスレーブも、占有率測定において非線形増幅を適用することにより、より確実にかつ高速に有利チャネルを選択することができ、さらに非線形増幅を適用した状態でIFDMA変調されたチャネル番号を復調し、線形増幅を適用した状態でID情報を復調することにより、マスタとスレーブ間の制御信号の交換処理をより少ない送信回数と時間スロットで解決することができ、その結果周波数不整合に対する高速な補償を実現することができる。
本開示の一態様における無線通信システムの構成図 本開示の第1の実施の形態における無線通信周波数同期確立方法のフローチャート 本開示の第1の実施の形態における無線機のブロック図 非線形増幅をしたときのIFDMA周波数スペクトル図 本開示の一態様におけるスペトラムセンシングの説明図 本開示の一態様における学習型占有率測定の説明図 本開示の第1の実施の形態における無線通信周波数同期確立方法のタイミングチャート 本開示の第2の実施の形態における無線通信周波数同期確立方法のフローチャート 本開示の第2の実施の形態における無線通信周波数同期確立方法のタイミングチャート 本開示の一実施例における制御信号送信回数対CDFのグラフ 本開示の一実施例における時間スロット対CDFのグラフ
まず、本開示の一態様に係る実施の形態(以下、第1の実施の形態)において使用する無線環境と用語の定義について、図面を用いながら、以下説明する。ここで説明する用語は後記の実施の形態および実施例においても適宜使用することができる。
[チャネル]
無線通信資源である周波数資源であって、一定間隔に分割されたものを意味する。
[マルチチャネル環境]
分割の結果,複数のチャネルが存在する無線環境を意味する。マルチチャネル環境において、無線局は1つのチャネルを選択して通信を確立する。
[シングルラジオ]
単一チャネルで通信を確立する無線機を意味する。シングルラジオは、利用可能なチャネル数が1つに限定されるという欠点があるが、多数チャネルを一度に送受信できるマルチラジオに比べて受信信号の電力変動が小さく、無線機フロントエンドの非線形性を許容することやバンドパスフィルタを簡易に構成できるため、低コスト化を図ることができる。それゆえ、本実施の形態ではシングルラジオ型の無線機に着目する。
[ダイナミックスペクトラムアクセス]
マルチチャネル環境において無線機が通信を確立するチャネルを切り替える機能を意味する。
[コグニティブ無線]
チャネルの利用状況などの無線環境を考慮した無線機を意味する。特に無線環境認識の結果を反映してアクセスするチャネル番号を決定する無線機をダイナミックスペクトルアクセス型のコグニティブ無線という。
第1の実施の形態で想定するマルチチャネル環境では複数の無線機が各チャネルを共有する。これに関する用語の定義を以下述べる。
[プライマリシステム(PS)]
チャネルを優先的に利用できる無線システムを意味する。
[セカンダリシステム(SS)]
プライマリシステム(PS)が使用していない時間にチャネルを二次利用することができる無線システムを意味する。
PSとSSの無線システムのモデル化は現在運用されている無線システムにも広く適用できる。例えば、ライセンス制で運用されている周波数資源において、ライセンス権を有する無線システムがPS、ライセンス権がなくPSが未使用時にのみ使用できる無線システムがSSとなる。また、ライセンス制ではない周波数資源運用(たとえばISM-BANDなど)においては、先に通信を確立しているシステムをPS、新規に通信を確立する無線システムをSSと想定され、SSはPSの通信に阻害を与えてはならない。本実施の形態では、周波数資源運用を限定することなく、PSとSSがマルチチャネル環境において周波数を共用することを想定する。
本実施の形態では、複数の無線機がマルチチャネル環境で通信を確立することを想定している。これに関する用語の定義を以下述べる。
[マスタ]
伝送すべき情報が無線機に発生したとき、その無線機をマスタと定義する。
[スレーブ]
マスタ以外の無線機であって、情報の受信を待機している無線機をスレーブと定義する。なお、マスタ以外の無線機であって、無線通信をすでに確立している、あるいは通信中の無線機はPSとする。PSにおいては通信確立後も上位層のパケット発生の有無によってチャネルの利用の有無が切り替わるとする。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態において、マスタは多数存在するスレーブから一つのスレーブと通信を確立するものとする。また、マスタとスレーブはダイナミックスペクトルアクセス型のコグニティブ無線であると想定する。また,通信中のPSに対して通信を阻害することなく新規に通信を確立するため、マスタとスレーブは共にSSであるとする。
(無線通信システム)
図1は本実施の形態における無線通信システムを示したものである。図1において、100、101、102、200は無線機である。さらに、無線機200はマスタとして動作し、無線機100、101、102はスレーブとして動作する。以降、無線機200はマスタ200と、無線機100、101、102はそれぞれスレーブ100、101、102と読み替えることがある。無線機(スレーブ)100、101、102はそれぞれ#11:00、#11:01、#11:ff、といったID情報を有している。
図2は本実施の形態において、図1で示した無線通信システムにおける前記チャネル不整合問題を解決するための無線通信周波数同期確立方法のフローチャートを示したものである。まず、図2において、マスタ200とスレーブ100、101、102は非線形増幅の適用を実行し(ステップ2001、1001、1011、1021)、その状態でスペクトラムセンシング(ステップ2002、1002、1012、1022)、続けて学習型占有率測定(ステップ2003、1003、1013、1023)を実行する。これら一連の処理によって、プライマリシステム(PS)による占有率が最小の有利チャネルが選択される。
次に、マスタ200は制御信号を送信する(ステップ2004)。この制御信号には、後述のように、振幅変調もしくは位相変調もしくは周波数変調などの1次変調によりキャリアに埋め込まれた対象スレーブのID情報や、さらにIFDMA変調などの2次変調によりスペクトラムに埋め込まれた、マスタ200が現在使用しているチャネル番号が含まれる。この制御情報をスレーブ100、101、102が受信する(ステップ1005、1015、1025)。このとき、各スレーブは制御信号に含まれる前記チャネル番号を復調し、次にこれと同一のチャネルに切替える処理を実行する(ステップ1006、1016、1026)。ここで「切替え」というのは、変更するという動作に限定されず、直前に設定されていたチャネルがたまたまこのチャネル番号と同じであった場合、そのチャネル番号に改めて設定する動作も含むとする。
次にマスタ200は制御信号を再送する(ステップ2007)。各スレーブは線形増幅を適用した状態で(ステップ1007、1017、1027)これを受信し、復調し、制御信号に含まれる対象スレーブのID情報を復調する(ステップ1008、1018、1028)。各スレーブは、復調したID情報が自分のID情報と一致するか否かを判断し(ステップ1009、1019、1029)、一致すればそのスレーブのみ応答信号を送信する(図7のスレーブ101)。この応答信号をマスタ200が受信し、そのスレーブからの応答のID情報が対象スレーブのID情報と一致すると判断すれば(ステップ2008)、チャネル不整合問題は解決する。
以下、図1で示したシステムのより詳細な構成および図2で示したフローチャートのより詳細な動作について、図面を用いながら説明する。
(無線機の構成)
まず図3に、本実施の形態においてマスタもしくはスレーブとして使用される無線機のブロック図を示す。ここでは無線機は100(スレーブ)としているが、無線機101、102、200も同様の構成を有するものとする。機能的には、図2で示されたフローチャートはコントローラ7が(マスタ、スレーブ、それぞれの役割に応じて)各機能ブロックを順次制御することにより実行される。
まず、アンテナ1によって受信された信号は、所定の帯域を有す帯域通過フィルタ(BPF)2を通った後、増幅部3に供給される。次に、ミキサー(乗算器)41、局部発振器42、低域通過フィルタ(LPF)43、A/D変換器44により構成されるチャネル選択部4により、帯域通過フィルタ2の帯域内の任意のチャネルに対応する帯域がベースバンドに変換される。受信信号のチャネル切り替えは、コントローラ7により局発発振器42の周波数を切り替えることにより行われる。ベースバンドに変換された信号はベースバンド復調部5と信号認識部6に送られる。ベースバンド復調部5はベースバンド信号帯域内で復調処理を行い、チャネル番号やID情報を再生する。信号認識部6は受信信号のエネルギーを一定期間蓄積し、閾値を超えたかどうかをコントローラ7に伝える。
さらに、特に図示はしていないが、帯域通過フィルタ2の通過帯域を切り替えることによって、一度に検出できるチャネル数を切り替えることができる。例えば、通過帯域を3チャネルに相当する幅に設計することによって、3チャネルを超える帯域の信号は除去することができる。そのため、検出可能なチャネル数は3チャネルに限定されるが、それを超えるチャネルから発生する隣接チャネル干渉は回避でき、検出可能なチャネル数と除去可能な隣接チャネル干渉のトレードオフを実現することができる。
増幅部3はコントローラ7の指令によって線形特性と非線形特性を任意に切替えることができる。例えば、線形増幅器(LA)31と並列に非線形増幅器(NLA)32を設け、切替えスイッチ33によりこれらを選択的に切替える。ここで増幅とは振幅を拡大するという意味に限定されず、ゲイン1やこれ以下である場合も含まれるとする。切替えの際、コントローラ7は前記ベースバンド復調部5の出力も参照する。
送信信号生成部8はコントローラ7からの指令に応じて送信すべき制御信号や応答信号を生成し、さらに変調(1次、2次)を施す。変調された信号はアンテナ1から送信される。9は分波器(DUP)であり、アンテナ1の送受信機能を切り替える。
(櫛の歯形状)
図3に示された無線機100がスレーブとして機能している場合、受信部3にはIFDMAにより変調された信号が入力する。IFDMA変調信号のスペクトルは、図4に示されるように、一定周期ごとにスペクトルが現れる櫛の歯形状となる。このスペクトルを有する信号の特徴は一定周期に同じ時間信号が生成されることである。しかも、非線形歪が発生した場合でもその非線形歪が繰り返し現れるため、櫛の歯スペクトルは崩れることなく維持される。その一方で、1次変調シンボルのスペクトルは崩れるため、櫛の歯スペクトルがチャネル帯域幅(所望帯域)を超えて漏洩(えい)帯域に現れる。
その結果、後述のように、マスタ200が発したIFDMA信号を、マスタ200が選択したチャネルとは異なるチャネルを選択したスレーブも、櫛の歯形状のスペクトルを検出することができ、制御信号の送信を認識できる。また、スペクトル配置を時間とともに変位させることで、チャネル番号を埋め込むことも可能である。その結果、アクセスチャネルの異なるスレーブに対しチャネル番号を通知することができる。
しかし一方で、このような非線形歪を利用して漏えい帯域の櫛の歯形状のスペクトルを検出する方法では、他のチャネルのPSが送信した信号のスペクトルとも干渉する混変調が生じ、検出感度が低下することが懸念される。この混変調による干渉成分は、特に選択した隣のチャネルから強く混入する。本実施の形態においては、このような干渉成分を隣接チャネル干渉と呼ぶ。
(スペクトラムセンシング)
本実施の形態においては、チャネル不整合問題を解決するにあたり、マスタ及びスレーブはまずはスペクトラムセンシング(図2におけるステップ1001、1011、1021)を実施する。スペクトラムセンシングとは、本実施の形態においては学習型占有率測定法(非特許文献3等)において占有率測定の際に用いる測定技術を意味する。例えば、受信アンテナから信号を受信し、一定時間信号電力を蓄積する。そして蓄積した電力を示すエネルギーが一定量を超えたときに、PS(プライマリシステム)による信号が存在すると認識する。
以下、本実施の形態におけるスペクトラムセンシングについて図5を用いて説明する。まず従来の線形的な手法で測定されたチャネル1とチャネル5の占有率がそれぞれ0.8、チャネル2、3、4の占有率(COR)がすべて0であったとする(図5(a))。この状態では、先述のように、ゼロ占有率となるチャネルをすべて探索しなければならなくなり、制御信号の送信回数が却って拡大する問題が生じる。
そこで、本実施の形態においては予め非線形増幅を適用する(ステップ1001、1011、1021)。これにより、先述の櫛の歯スペクトルの隣接チャネルへの漏えいが発生する、つまりチャネル2とチャネル4はそれぞれチャネル1とチャネル5から強烈な隣接チャネル干渉(ACI)を受ける(図5(b)ではチャネル番号2、4)。その結果、隣接チャネルを利用しているPSのから選択チャネルに漏れこんだスペクトルも検出できるため、隣接チャネルにおけるPSの利用の有無も識別できる。
また、スペクトラムセンシングをしている無線機100が選択したチャネルの信号スペクトルと、隣接チャネルから漏えいした信号スペクトルが混合されて検出される。その結果、隣接チャネルあるいは選択チャネルのいずれかあるいは両方が利用されているような場合、スペクトラムセンシングにおけるエネルギーが閾値を超えたときにチャネルが占有されていると判断される。言い換えれば、選択チャネルと隣接チャネルが同時に利用されていないときにのみチャネル(図5(b)ではチャネル番号3)が空きと判断される。
このように非線形増幅を適用したスペクトラムセンシングには次のような特徴がある。
[特徴1]シングルラジオでありながら、選択チャネルと隣接チャネルから成る連続したチャネルが同時に未使用であることを認識することができる。
[特徴2]チャネルの占有率を評価する際に、連続するチャネルが同時に未使用となる平均的な確率を求めることができる。
複数チャネル同時送信においては、IFDMA信号を送信する前に非線形増幅を適用したスペクトラムセンシングを実施する。そして空きと判断したときにのみ信号を伝送する。前記の特徴1にあるように、選択チャネルと隣接チャネルが同時に空いているときに信号を伝送することができるため、隣接チャネルからのスペクトル漏洩による不検出を一定程度避けることができる。
以上まとめると、チャネル不整合補償法において次に述べる学習型占有率測定法を用いる場合、占有率測定に用いるスペクトラムセンシングに非線形増幅を適用すると、元来ゼロ占有率となる一定区間のチャネル(番号2、4)が、占有率がゼロではないチャネルからのスペクトル漏えいを受け、占有率がより高く測定され、あたかもチャネルが利用されていると判断される。その結果、占有率がゼロと観測されるチャネルが狭まり、マスタ及びスレーブは占有率が小さいと判断するチャネルをより少なく限定し、最小占有率となるチャネルの選択候補(チャネル番号3)を限定しやすくなる。
また、近年、チャネルボンディング(非特許文献6)などのように複数のチャネルをまとめて使用することで高スループット化を図る利用法が検討されている。その際、前記の特徴2を利用することで、連続するチャネルを同時利用できる確率が予測でき、チャネルボンディングの適用の可否の判断に用いることができる。
以下、学習型占有率測定(ステップ2003、1003、1013、1023)の詳細について説明する。
(事前の占有率測定)
本実施の形態においては、学習型占有率測定法(非特許文献3)を基本構成とし、図6に示すような複数チャネルの送信法を用い、マスタとスレーブが学習の後、制御信号を交換する構成を有する。図6において横軸は時間スロットを縦軸はチャネルを表す。ここで、時間スロットとは制御信号あるいは応答信号の送信に要する時間単位であり、またスロット毎にPSのチャネルの占有及び非占有が独立に切り替わるものとする。
マスタ及びスレーブ、いずれにおいても、まず、図3の信号認識部6を用いて、それぞれ各チャネルの占有率を測定する(学習期間)。図6において、マスタは時間スロットごとに、#3→#2→#1→#3→#2→#1の順にチャネルをスキャンする。次に、先述のスペクトラムセンシングに非線形増幅を適用した状態(非線形増幅器32がオン)で占有率を測定する。図6では、占有率が高いチャネルはグレーで、占有率が低いチャネルは白で、それぞれ表示されている。最終的に、各チャネルの占有率の中で最も低いチャネルを有利チャネルとして選択する。図6では学習期間の時間スロット番号5で#1が選択される。さらに、マスタは時間スロット番号6でスレーブと落合い、以降制御信号を交換する処理へと進む(時間スロット7~11)。
以上の動作中、スレーブは、占有率を測定した後も非線形増幅をオンにして、さらに有利チャネルを選択する。スレーブは一定時間間隔の間でチャネル選択をランダムに切り替える方法を用いる場合、有利チャネルを選択する確率をそれ以外のチャネルを選択する確率よりも高くするように設定する方法を用いてもよいが、図6では説明の簡単のため、スレーブは占有率を測定した後に有利チャネルを1つ選択し、チャネルは切り替えないものとした。併せて、スレーブは、測定した占有率に基づき、占有率が低い順でランキングを形成する。なお、占有率が同率である場合、同率の占有率の中でランダムに並べ、各チャネルは一つの固有のランキングを有しているとする。スレーブはランキングが高い順に制御信号を送信する。
以下、制御信号の送受信から補償終了に至るまでの、制御信号交換処理(プロトコル)について、図面を用いながら説明する。
(マスタの制御信号の構成)
制御信号はマスタとして動作する無線機内の送信信号生成部8において生成され、スレーブとして動作する無線機に伝送される。すなわち、まず、マスタにおいて、対象スレーブを指定するID情報(MACアドレスやIPアドレス等)を振幅変調もしくは位相変調もしくは周波数変調などの1次変調を用いてキャリアに載せた上で、2次変調として櫛の歯スペクトルを形成するIFDMA変調を段階的に適用する。
さらに、2次変調であるIFDMA変調において、櫛の歯配置を変化させて情報(例えば、選択したチャネル番号)を埋め込む。1次変調の対象となる前記ID情報は、ノード数を任意に拡大できるようにするため余裕を持ったビット数で構成されているが、これに対しチャネル番号は事前に定義されたチャネル数の範囲内であるため、ID情報より圧倒的に少ないビット数で済む。そこで、IFDMA変調によるスペクトルによる情報伝送では、繰り返しシンボルを送信することでスペクトルの安定的な検出を図ることを最優先に考えることができる。このように、それぞれの特徴を考慮すると、対象とするID情報を1次変調に載せ、チャネル番号を伝える情報を2次変調のIFDMA変調にそれぞれ載せて伝送する方法が、本実施の形態において最も適した情報伝送法であるといえる。
以下、本実施の形態における制御信号交換のプロトコルについて説明する。これまでのステップでマスタ及びスレーブは事前の占有率測定を終え、マスタは占有率基準でチャネルをランキング化しているものとする。一方、スレーブは最も低い占有率のチャネルを有利チャネルとして選択し、接続しているとする。またスレーブは非線形増幅が依然有効であり、隣接チャネルの信号スペクトルも検出可能な状態であるとする。
(制御信号交換プロトコル1:連続送信型)
無線機200(マスタ)は既に制御信号の送信前に非線形増幅を適用したスペクトラムセンシングを実行し(ステップ2002)、選択したチャネルと隣接するチャネルが同時に空いているかを判断し(ステップ2003)、空きと判断されたとき制御信号を送信する(ステップ2004)。これら一連の動作により隣接チャネルの干渉を回避することができる。
一方スレーブは、マスタ200が選択したチャネルと両隣接のチャネルを選択しているときでも、非線形受信による櫛の歯スペクトル漏えい効果を利用して、マスタから発せられた制御信号のスペクトルを検出することができる。しかし、非線形増幅により漏えいスペクトルを検出する場合、制御信号が正しく復調できない場合がある。例えば図4に示されているスペクトルの場合、マスタ選択チャネルの周波数帯域(正規化周波数0~1)に対し、隣接チャネルの周波数帯域(正規化周波数1~2)におけるスペクトル強度は5~15dBも低い。また、非線形歪により1次変調の復調精度が大きく低下することも懸念される。そのため、非線形増幅適用の状態では1次変調されたID等の情報を復調することは極めて困難である。そこで本実施の形態では、以下述べる手順で非線形と線形とチャネルを切り替えながら、最終的に制御信号を正しく復調するプロトコルを提案する。
図2において、まず、非線形増幅の適用下において、スレーブ(100、101)は1次変調のシンボルの復調処理をせずに、IFDMA変調による櫛の歯形状のスペクトル変位からチャネル番号を解読する(図2ステップ1005、1015)。このときのタイミングチャートを図7に示す。図7において、マスタ200が選択したチャネル番号は#1であり、次に、スレーブ100、101は初期のチャネル(それぞれ#1、#2)からマスタが選択したチャネル番号(それぞれ#1、#1)に切り替える(図2ステップ1006、1016)。最後に、スレーブ100、101は非線形増幅を線形増幅に切り替える(図2ステップ1007、1017)。その結果、各スレーブは周波数帯域が完全に一致した状態で、通常のスペクトル強度でマスタ200からの1次変調シンボルを受ける状態となる。
この状態でマスタ200は再び同じ制御信号を送信する(図2ステップ2007)。スレーブ100、101は既に線形増幅に切り替わっているため、前記制御信号から1次変調の情報を復調し(図2ステップ1008、1018)、これに含まれるID情報からマスタが所望とする対象スレーブであるか否かを判断する(図2ステップ1009、1019)。もし該当するスレーブが自局であった場合、そのスレーブ(101)は受信確認を示す応答信号(ID情報#11:01を含む)を送信する(図7)。マスタ200は、この応答信号を受信したとき、スレーブ101が同じチャネル(#1)を選択したと認識し(図2ステップ2008)、同時にチャネル不整合問題が補償され、プロトコルが完了する。
なお、応答信号がいずれのスレーブからも受領されない場合には、マスタ200は、選択チャネル(#1)と両隣の隣接チャネル(#2)にはスレーブが存在しないと判断し、次の順位のチャネルに切り替える。再びそのチャネルにおいてマスタは制御信号の二回の送信と応答の有無を確認し、以上の動作をスレーブ100、101、102の応答があるまで繰り返す。なお、図7においてはスレーブ102について示されていないが、対象外のスレーブとしてスレーブ100と同様に振る舞うとする。
以上、本実施の形態における前記制御信号交換プロトコルの特徴を整理すると次のようになる。
[特徴1]
一度の制御信号の送信で選択チャネルと同時に隣接チャネルに対して制御信号を通知できる。マスタの観点からは、2回の制御信号の送信で最大3つのチャネルに対してスレーブの存在を確認することができる。その結果1回の制御信号の送信で1チャネルを確認する方法に比べて2/3倍程度に制御信号の送信回数を削減できる。
[特徴2]
センシングに非線形増幅を利用し、選択チャネルと二つの隣接チャネルが同時に空いている状態のチャネルを選択するため、隣接チャネルからの漏えいの影響を抑制できる。
[特徴3]
占有率測定において非線形増幅のチャネルセンシングを用いているため、非線形増幅による隣接チャネル干渉が高確率に発生するチャネルの選択を回避でき、隣接チャネル干渉の影響を緩和しやすい。
[特徴4]
マスタの通信相手であるスレーブ(該当スレーブ)の制御信号の送信回数は1回で済む。
[特徴5]
該当スレーブが選択チャネル及び隣接チャネルを選択していない場合にも、その状況を認識するために、制御信号を2回、3ステップ(制御信号の送信2ステップ、応答信号の確認1ステップ)が必要になる。ここで、ステップ数がチャネル不整合補償に要する時間を示している
以下、本開示の一態様に係る第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図8は本実施の形態のフローチャートを示すものであり、図9はそのタイミングチャートを示すものである。本実施例においても非線形増幅適用、スペクトラムセンシング、学習型占有率測定を実行するが、最初の制御信号送信までのステップは、図2におけるステップ1001~1003、1011~1013、1021~1023、2001~20013と同様の処理あるため、図8では省略する。
(制御信号交換プロトコル2:再送型)
無線機(マスタ)200と無線機(スレーブ)100、101、102は非線形増幅適用下でのスペクトラムセンシングにより占有率の測定を完了しているものとする。すなわち、スレーブ100、101、102は有利チャネルを既に選択しており、マスタ200は占有率に基づくチャネルランキングを生成した後、最上位のランクのチャネルを選択している。さらに第1の実施の形態と同様、マスタ200は非線形増幅によるキャリアセンシングを実施し、選択チャネル#1及び隣接チャネル#2でPSが占有していないと確認した後、チャネル#1に制御信号を送信する(ステップ2004)。マスタ200の制御信号の送信とスレーブの非線形増幅も第1の実施の形態と同様であるとする。
本実施の形態では、マスタ200が制御信号を送信した後、制御信号のスペクトルを受信した(ステップ3001、3011、3021)すべてのスレーブがマスタの選択したチャネル#1へ切り替え(ステップ3002、3012、3022)、さらに各スレーブは非線形増幅を線形増幅に切り替え(ステップ3003、3013、3023)、応答信号を返信する(ステップ3004、3014、3024)。マスタ200はこれらの応答信号を受信するが(ステップ2011)、これ以降の動作は以下の3つのケースに分かれる。
[ケース1]該当スレーブが返信し、他のスレーブが存在しない
この場合、チャネル不整合が補償されて、プロトコルが終了する。
[ケース2]該当しないスレーブが1つ存在し、応答信号を受信する
この場合、応答信号を送信したスレーブは対象となるスレーブではないことを認識でき、チャネルを変更する。
[ケース3]複数のスレーブが返信した場合(該当スレーブの有無に関係なく)
この場合、複数の応答信号が衝突し(輻輳が発生し)、応答信号の復調が困難になる。
ケース3の場合、マスタは再び制御信号を送信する(ステップ2012)。スペクトルを検出したスレーブ100、101、102はマスタ200が選択したチャネルへの切り替えと線形増幅の設定(線形増幅器31への切り替え)を完了しているため、制御信号から1次変調を復調することで対象となるスレーブのID情報が得られる状態にある。そこで、対象となるスレーブのID情報(#11:01)を各スレーブが復号し(ステップ3005、3015、3025)各自のIDと一致しているかどうか判断する(ステップ3006、3016、3026)。その結果、図9のタイミングチャートに示されるように、該当スレーブ101のみ応答信号を発する。
マスタ200は、スレーブ101からの応答信号を受信すれば、チャネル周波数不整合が補償されたと判断し(ステップ2013)、プロトコルを完了する。一方、応答信号が全く来ない場合には、マスタ200はチャネルを切り替え、再び制御信号の送信から一連の処理を始める。該当スレーブから応答信号があるまでマスタはチャネル切り替えと制御信号の送信を繰り返す。
以上、第2の実施の形態の方法の特徴を整理すると次のようになる。
[特徴1]一度の制御信号で3チャネル分のスレーブの確認が可能である
スレーブ数が1つの場合には制御信号の送信回数は1回、スレーブが複数存在する場合には2回となる。
[特徴2]該当スレーブ以外も応答信号を返信する
[特徴3]マスタは制御信号を1度送信で済む場合がある
選択したチャネル及び隣接チャネルにスレーブがいない場合、マスタは制御信号を1度送信することで認識可能である(第1の実施の形態の方法ではスレーブがいない場合にも2回の制御信号を送信しなければならない)。
[特徴4]スレーブの存在確認まで最小2ステップ
各チャネルにおいて制御信号の送信とスレーブの存在確認までを完了するまでにかかるステップは最小で2ステップ、最大でも4ステップとなる。
なお、隣接チャネルからの漏えいの影響の抑制と隣接チャネル干渉の影響の緩和については、第1の実施形態の方法と同様の効果が得られる。
(方法の比較)
第1の実施の形態の方法では、制御信号は必然的に2回送信が必要であるが、返信は該当スレーブのみが行い、時間的には3ステップで完了する。一方第2の実施形態の方法では、選択したチャネル及び隣接する二つのチャネルにスレーブが0あるいは1つの場合にはマスタが送信する制御信号の送信回数は1回で済み、時間的には2ステップで完了する。しかし2つ以上のスレーブが存在し輻輳が生じる場合には、マスタは2回の制御信号の送信が必要となり、さらに時間的には4ステップが必要となる。また、該当スレーブ以外の制御信号も送信される不要な制御信号の送信が増え、その結果システム全体の消費電力が増える。以上の考察から、スレーブ数が少ない環境では第2の実施形態の方法が優位であり、スレーブ数が多い環境では第1の実施の形態の方法が優位であると言える。
非線形増幅による櫛の歯スペクトラムの漏えい効果を利用し、選択チャネルと2つの隣接チャネルにおいてスレーブの存在確認を同時に実現できる。それゆえ、チャネルを切り替えながらスレーブの存在を確認する場合、探索済みの3つのチャネルを再度探索する必要はなく、それ以外のチャネルを探索することで高速にスレーブを発見することができる。しかし、マスタが選択したチャネルの隣接チャネルを選択したスレーブは、次隣接のチャネルからも干渉を受けることがあり、その場合、制御信号のスペクトルが正しく検出できない。そこで、前記実施の形態においては、非線形増幅のセンシングにより占有率を測定している。これにより隣接チャネルから漏えいする可能性が高いチャネルをスレーブが選択する確率を低くすることができる。
マスタ200においても、非線形のセンシングによる占有率を測定するため、隣接チャネル干渉の発生の有無を認識できる。そこでマスタ200は、測定した占有率においてゼロ占有率のチャネルが存在する場合には1つの制御信号の送信で選択チャネルと隣接チャネルを同時に探索できたとし、3つのチャネル以外を探索する。もしゼロ占有率となるチャネルが存在しない場合には、隣接チャネルも探索候補とし、マスタ200は占有率が低い順に選択し、制御信号を送信する。
以下、計算機シミュレーションにより上記実施の形態の有効性を評価した結果を実施例として示す。
本実施例では、チャネル数を40、スレーブ数を40、マスタを1つとし、一般性を失うことなく一番目のスレーブとチャネル不整合を補償する方法を適用する。各チャネルを利用するPSは連続する5チャネルを1つの単位とし、4単位分をPSが使用していないゼロ占有率とし、残りの4単位を平均0.7で最大偏差0.2の一様分布としてモデル化した。各単位がどちらに属するかはランダムに決定する。
結果を図10および図11に示す。図10はチャネル不整合の補償に必要な制御信号の送信回数に対する累積分布関数(CDF)を、図11はチャネル不整合の補償に要する時間スロット数に対する累積分布関数(CDF)を、それぞれ示す。ここで,時間スロットとは制御信号あるいは応答信号の送信に要する時間単位であり、またスロット毎にPSのチャネルの占有及び非占有が独立に切り替わるものとする。各図において、シンボル〇で表示された破線は従来の(線形)学習型占有率測定法による方法(従来法)を用いてしかも1チャネルずつ探索した場合の結果を示す。また、シンボル□で表示された破線は前記従来法に単に非線形増幅を適用した方法を、シンボル■で表示された実線は連続送信型のプロトコルを用いた方法(第1の実施の形態)を、シンボル●で表示された実線は制御信号の交換に再送型のプロトコルを用いた方法(第2の実施の形態)を、それぞれ用いてチャネル不整合の補償を行った結果を表す。
両図より明らかなように、連続送信法(第1の実施の形態)が他の方法に比べて、より少ない制御信号の送信回数および時間スロットでチャネル不整合問題の補償を実現している。具体的には、連続送信法(第1の実施の形態)では16回の制御信号の送信でCDF=1.0(100%の確率で補償を実現する状態)を達成している。これは、再送法(第2の実施形態)に比べて約50%、従来法に比べて約30%早くチャネル不整合問題の補償が完了することを意味する。
従来(線形)法との比較においては、今回の評価環境では、ゼロ占有率となるチャネルの環境において有利チャネルを少なく絞り込めることや、IFDMA信号と非線形受信による複数チャネル探索により少ない制御信号で所望スレーブを発見できる点が有利に作用した。一方、再送法(第2の実施の形態)との比較においては、今回の評価環境はスレーブの数が多く、必然的に制御信号の送信に対して複数のスレーブが応答するために衝突が頻発し、そのため制御信号の送信が増え、再送法(第2の実施の形態)には不利な環境であったため、相対的に連続送信法(第1の実施の形態)の優位性が高まった。
なお、第1、第2実施の形態いずれの方法も用いず従来法に単にIFDMA信号と非線形受信を使用した方法(図中シンボル□で表示された破線)の場合、今回の評価環境では従来法よりもさらに悪化し、制御信号30回の送信内にはCDF=1.0を達成しえなかった。これは、隣接チャネル干渉(ACI)が原因と考えられる。すなわち、プライマリーシステム(PS)からのACIによって制御信号のスペクトルへの干渉が生じ、不検出が生じることがあり、その場合、マスタがすべてのチャネルを探索したとしても、所望のマスタを特定することができない。一方、第1および第2の実施の形態では、非線形センシングによる占有率測定によって、予めACIが発生しやすいチャネルの選択を回避できるため、このような非線形受信に起因する隣接チャネル干渉問題を相殺することができる。
制御信号の送信回数の場合と同様に、時間スロット数に対しても連続送信法(第1の実施の形態)の優位性が示される(図11)。具体的には、CDF=1.0に到達する時間スロット数は、再送法(第2の実施の形態)では31、従来法では39必要であるのに対し、連続送信法では23で済む。言い換えれば、再送法に比べて約30%、従来法に比べて約50%短い時間で、チャネル補償が完了する。
以上、本開示の態様に係る第1および第2の実施の形態について説明した。
なお、これらの実施の形態において、増幅部3は、線形増幅器31、非線形増幅器32、および切り替えスイッチ33よりなるとしたが、IFDMA変調信号に対して非線形処理を施すことができるものであれば、この構成に制限されるものではない。例えば、大振幅ほど非線形特性が強くなる増幅器を用い、これに入力する信号のゲインを切り替えることで非線形特性の強弱を切り替えるものであってもよい。
また、前記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、LSIとして実現される可能性が高い。これらは個別に1チップ化されてもよいし、1チップに統合されてもよい。また、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)やリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
また、前記実施の形態では、無線機の各ブロックをハードウェアで構成してもよいが、これらを例えばソフトウェア無線のように、DSPやマイコンを用いたマイクロコードもしくはプログラムで実現することも可能である。
本発明は、コグニティブ無線やP2P通信等、基地局を通さずに通信が可能なシステムにおけるチャネルの確立時に利用することが可能である。
1 アンテナ
2 バンドパスフィルタ(BPF)
3 増幅部
31 線形増幅器(LA)
32 非線形増幅器(NLA)
33 切替スイッチ
4 チャネル選択部
41 ミキサー
42 局部発振器
43 低域通過フィルタ(LPF)
44 A/D変換器
5 ベースバンド復調部
6 信号認識部
7 コントローラ
8 送信信号生成部
9 分波器
100 無線機(スレーブ)
101 無線機(スレーブ)
102 無線機(スレーブ)
200 無線機(マスタ)

Claims (7)

  1. コントローラの指令に応じて制御信号交換処理時の受信信号に対し線形増幅と非線形増幅を選択的に適用する受信部と、
    前記コントローラの指令に応じて前記受信部の出力からチャネル番号に応じた周波数帯域の信号をベースバンドに変換するチャネル選択部と、
    前記チャネル選択部の出力信号のエネルギーを積算し、前記コントローラに供給する信号認識部と、
    前記チャネル選択部の出力信号を復調して受信情報を生成し、前記コントローラに供給するベースバンド復調部と、
    前記コントローラの指令に応じて送信信号を生成する送信信号生成部と、
    を備えた無線機。
  2. 前記受信信号は対象スレーブのID情報とチャネル番号を含む制御信号であり、前記ベースバンド復調部は、キャリアに対して施された第1の変調を復調して前記ID情報を得る第1の復調部と、周波数スペクトルに対して施された第2の変調を復調して前記チャネル番号を得る第2の復調部を有することを特徴とする、請求項1記載の無線機。
  3. 前記第1の変調は振幅変調もしくは位相変調もしくは周波数変調であることを特徴とする請求項2記載の無線機。
  4. 前記第2の変調はIFDMA変調であって、櫛の歯形状をなす周波数スペクトルの配置を時間とともに変位させることによりチャネル番号を埋め込むことを特徴とする請求項2記載の無線機。
  5. 請求項1記載の無線機をスレーブとして用いたときに前記コントローラにより実行される無線通信周波数同期確立方法であって、
    非線形増幅が適用された状態で前記信号認識部を用いてスペクトラムセンシングを実行しチャネル占有率を測定するステップと、
    非線形増幅が適用された状態で前記チャネル選択部を用いて占有率の高いチャネルと低いチャネルに分類し、その結果に基づいて最終的に各チャネルの占有率の中で最も低い占有率のチャネルを有利チャネルとして選択するステップと、
    非線形増幅が適用された状態でマスタが送信した制御信号を受信するステップと、
    前記制御信号に含まれるチャネル番号にチャネルを設定するステップと、
    前記マスタに応答信号を送信するステップと、
    を含む無線通信周波数同期確立方法。
  6. 前記制御信号に含まれるチャネル番号にチャネルを設定した後、
    線形増幅が適用された状態で前記マスタが送信した制御信号を受信するステップと、
    前記制御信号から対象スレーブのID情報を復調するステップと、
    前記ID情報と自身のID情報とを比較し、一致したときに前記応答信号を送信するステップと、
    を含む請求項5に記載の無線通信周波数同期確立方法。
  7. さらに、
    前記応答信号を送信した後、線形増幅が適用された状態で前記マスタが送信した制御信号を受信するステップと、
    前記制御信号から対象スレーブのID情報を復調するステップと、
    前記ID情報と自身のID情報とを比較し、一致したときに再度応答信号を送信するステップと、
    を含む請求項5に記載の無線通信周波数同期確立方法。
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