JP7109894B2 - 薬液容器 - Google Patents

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Description

実施の形態は、隔室と液供給通路とを隔離する剥離可能なシール部を有する密封型薬液容器に関する。
密封型薬液容器には、用途に応じた種々のタイプがある。特許文献1及び特許文献2には、複数の溶液或いは薬剤が分離して隔室に格納され、隔室が脆弱なヒートシールで仕切られている密封型薬液容器が開示されている。このような密封型薬液容器では、複数の溶液或いは薬剤の混合に際して、脆弱なヒートシールが剥離されて隔室が連通され、溶液或いは薬剤が混合され、必要に応じて溶液が外部に取り出される。
また、密封型薬液容器として検査に供される検査容器が特許文献3及び特許文献4で知られている。引用文献3の検査容器は、閉塞壁で仕切られ、密閉された隔室を有する容器に開封キャップがねじ嵌合され、開封キャップがねじ込まれることによって閉塞壁が切断され、内容物を注出できる構成を採用している。更に、引用文献4の密封型薬液容器は、複数の隔室を利用してより複雑な処理を可能にすることが記載されている。
特許第4366131号公報 特表2011-509218号公報 特許第5021323号公報 特表2015-529085号公報
特許文献1に開示された密封型薬液容器においては、第1融着部によって第1及び第2空間に仕切られ、第2融着部によって、第2空間内に第3空間が仕切られている。ここで、第1融着部は、第2融着部に比べて剥離しやすいシール強度を有している。従って、第1或いは第2空間を圧迫することによって第1融着部が剥離し、第1及び第2空間の内容物が混合される。混合された溶液を排出する際には、第2空間が更に圧迫されて第2融着部が剥離されてその内の混合溶液が排出口から外部に排出される。
この特許文献1に開示された密封型薬液容器は、内容物の混合及び内容部の排出の工程が第1及び第2融着部のシール強度に依存している。従って、密封型薬液容器の製造において、そのシール強度の設定に困難性を伴うとともに設定されたシール強度が大きすぎる場合には、密封型薬液容器の破損を招く虞がある。シール強度が小さすぎる場合には、外部からの第2空間の圧迫に限らず、第1空間の圧迫によっても、簡単に第1融着部が剥離して内容物が混合され、或いは、第2融着部が剥離して混合溶液の排出状態となる虞がある。
引用文献2は、多重チャンバを有する密封型薬液容器を開示している。多重チャンバ容器では、第1チャンバ及び第2チャンバ間が永久シールによって仕切られ、第1チャンバと第3チャンバとの間及び第2チャンバと第3チャンバとの間が剥離可能なシールによって仕切られている。第1チャンバ及び第2チャンバに外圧が選択的に付されると、第1チャンバ或いは第2チャンバが第3チャンバに連通され、第1チャンバ及び/又は第2チャンバの内容物が第3チャンバの内容物に混合される。このように特許文献2の密封型薬液容器は、第1及び第2のチャンバへの選択的な外圧の付加で第1及び第2の剥離シールが選択に剥離される構成を採用している。しかし、この容器は、意図せずに第3のチャンバに外圧が印加された際に、第1及び第2の剥離シール或いは第1及び第2の剥離シールのいずれかが剥離され、意図しない内容物の混合を招く虞がある。また、特許文献1と同様にシール強度に依存して第1及び第2シールが意図せずに剥離する虞もある。
引用文献3の密封型薬液容器においては、第1の隔室から第2の隔室に内容物を送るためには、隔室間を隔てる隔壁をネジ込み動作により突き破る必要があり、複数の隔室を用意することで、より高度な処理を行わせようとすると、容器構造の複雑化を招き、また、複雑な処理動作が必要とされる問題がある。
引用文献4には、隔室間の遮断に関する記述はなく、第1の隔室から第2の隔室に内容物を送るためには、検出装置が具備するピストンロッドにより通路を閉鎖し、他の機構により隔室を押圧する必要がある。換言すれば、隔室間の内容物の移動には、押圧だけでなく通路の閉鎖を同時に行う必要があり、専用の検出装置内の機構が複雑になり、検出装置の重量増並びにコスト増を招く虞がある。また、このような容器構造では、特定の隔室内に予め試薬類を密封保持しておくことは困難であり、試薬保持用の隔室を別に用意する必要がある。結果として、容器の小型化、低コスト化を困難にするという問題もある。
この発明の実施形態は、上記の問題に鑑み、単純な容器構造でありながら、簡易に容器内の隔室から溶液を移動させることができる低コストの密封型薬液容器を提供することを目的の一つとする。また、この密封型薬液容器を利用した生物組織の核酸を抽出するための前処理用キット及び核酸抽出方法を提供することを目的の一つとする。
実施形態によれば、
プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された1次シール領域を有し、この1次シール領域が、第1の隔室と、第2の隔室と、前記第1の隔室に開口する開口部を有し、この開口部を介して前記第1の隔室を第2の隔室に連通させる流出路と、を前記プレート上に区画し、前記第1の隔室が第1の膨出部分及び前記プレートに接するように潰され、前記第1の膨出部分への加圧により押し広げられて変形される第1の変形部を備え、前記第2の隔室が第2の膨出部分と前記プレートに接するように潰され、前記第2の膨出部分の変形により押し広げられる第2の変形部を備えるように、前記第1の隔室及び第2の隔室を前記プレート上に形成するシート状部材と、
前記開口部から前記第1の隔室に向けて前記第1の変形部内に突出し、前記開口部を介して前記流出路に連通可能な拡張部を前記第1の変形部内に区画する2次シール部であって、前記開口部を塞ぐように、前記拡張部を前記第1の変形部内に区画する境界にて前記1次シール領域に比べて弱く前記シート状部材を前記プレート上に剥離可能にシールし、前記第1の隔室と前記流出路との連通を遮断する2次シール部とを備え、
前記第1の膨出部分への加圧に伴い前記プレートに接している前記第1の変形部が押し広げられて前記2次シール部が前記プレートから剥離され、前記第1の隔室が前記拡張部及び前記流出路を介して前記第2の隔室に連通されることを特徴とする薬液容器が提供される。
第1の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 図1に示す密封型薬液容器の断面構造をA-A線に沿って概略的に示す断面図である。 図1に示す密封型薬液容器のシール部の剥離過程を概略的に示す模式図である。 第2の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第3の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第4の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第5の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第6の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第7の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第8の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 上述した種々の密封型薬液容器の構造を有する、生物組織の核酸を抽出するための実施の形態に係る前処理用キットを概略的に示す正面図である。 図11に示した前処理用キットのB-B線に沿った断面構造を概略的に示す側断面図である。 図11に示した前処理用キットの背面を概略的に示す背面図である。 図11に示した前処理用キットを装着した核酸抽出装置における処理動作を示すフローチャートである。 図11に示した前処理用キットを装着した、核酸を抽出する核酸抽出装置のブロックを概略的に示すブロック図である。 図11に示した前処理用キットを装着した核酸抽出装置における処理動作を概略的に示す側断面図である。 図14に示した前処理用キットを装着した核酸抽出装置における処理動作を概略的に示す側断面図である。 図14に示した前処理用キットを装着した核酸抽出装置における処理動作を概略的に示す側断面図である。 上述した種々の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を有する、他の実施の形態に係る生物組織の核酸を抽出するための前処理用キットを概略的に示す正面図である。 上述した種々の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を有する、更に他の実施の形態に係る生物・化学処理用キットを概略的に示す正面図である。 比較例に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第9の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 第10の実施の形態に係る密封型薬液容器の構造を概略的に示す正面図である。 図21に示す密封型薬液容器、図22及び図23に示す密封型薬液容器の剥離特性を比較して示す表である。
実施の形態では、溶解溶液が入れられ、その後、動植物、微生物等の生物組織、微生物、細菌、菌類或いはウィルス(単に生物組織と称する。)が入れられて溶解され、その溶液内の核酸を抽出するための前処理用キットに、実施の形態に係る密封型薬液容器が適用されている。ここで、実施の形態に係る密封型薬液容器には、溶解溶液によって生物組織が溶解されるに代えて生物組織が溶解された溶液が注入されても良く、或いは、密封型薬液容器内において、物理的手段で生物組織が溶解されても良い。また、溶解溶液が格納される密封型薬液容器に限らず、液状の検体や試薬類を用いる検査容器或いは食品溶液等の溶液或いは流動性を有する内容物が密封されている薬液容器等の広範囲の種々の密封型薬液容器にこの実施の形態が適用され得ることに注意されたい。
以下、図面を参照して種々の実施の形態に係る密封型薬液容器ついて説明する。
(第1の実施の形態)
図1及び図2は、第1の実施の形態に係る密封型薬液容器12の構成を概略的に示している。この密封型薬液容器12は、検査液或いは溶液等の内容物(以下、単に溶液と称する。)が格納される上流側の第1の隔室14及びこの第1の隔室14に対して下流側の第2の隔室16を有している。この密封型薬液容器12は、剛性を有する板状のプレート(基板)32上に可撓性を有する表面シート34が融着されて形成(1次シール)されている。
第1の隔室14は、表面シート34が略丸味を帯びた矩形状に膨出された膨出部分14A及び表面シート34が隔室内において板状のプレート32に接するように潰されて変形された変形部分14Bを含んでいる。表面シート34が板状のプレート32に強固にシール(1次シール)された接着領域でプレート32上の領域が区画されて膨出部分が形成されている。1次シールは、例えば、シートとプレートとを熱溶着することによって一体化させている。変形部分14Bには、表面シート34の破損を招くことなく、表面シート34を板状のプレート32から剥離可能にシールされた2次シール部として帯状、即ち、湾曲ストライプのシール部(即ち、剥離可能な部分)20が形成されている。このシール部(剥離部)20は、明らかなようにシール(1次シール)に比べて十分に弱く板状のプレート32に表面シート34が接着されている。帯状のシール部(剥離可能な剥離部)20は、第1の隔室14の下流側に配置された第2の通路22に連通可能な変形部分14Bを区画し、連通路を遮断する遮断部として第1の隔室14を第2の通路22から隔離(遮断)している。第1の隔室14が外部から押圧されると、第1の隔室14内の内部圧力が増加される。そして、この圧力増加によって変形部分14Bが押し広げられるように膨出され、帯状のシール部(剥離部)20が隔室14の底面から剥離され、膨出された変形部分14Bが第2の通路22に連通される。ここで、第1の隔室14は、外部から押圧されると、1例として、押圧された箇所が陥没され、丸味を帯びた立方体形状を折り曲げ変形して押し広げられて膨出される。
第1の隔室14では、膨出部分14Aが外部に開口する上流側の第1の通路18に連通され、この第1の通路18は、外部に開口され、その開口部(供給ポート)が閉塞蓋(キャップ)24で開閉可能に閉塞されている。ここで、第1の通路18は、膨出部分14Aに比べて狭く定められている。閉塞蓋(キャップ)24が開口部から外された際に、密封型薬液容器12の外部から溶液が開口部(供給ポート)を介して第1の隔室14内に入れられ、開口部が閉塞蓋24で塞がれる。従って、第1の隔室14は、閉塞蓋24及び帯状のシール部(剥離部)20で密封され、外部から隔離された状態に維持される。
帯状シール部20は、第2の通路22の開口側を塞ぎ、第1の隔室14内に区画された第2の通路22に連通している拡張部22Aを確保している。換言すれば、帯状シール部20は、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。より詳細には、帯状シール部20の両端基部20A、20Bは、第2の通路22の開口部に略一致してこの第2の通路22の開口部をシールし、帯状シール部20の内側に拡張部22Aを定めている。帯状シール部20は、図1に示すように、第1の隔室14内に突出している先頭部を有する逆U字状を成すように形成され、剥離し易いように緩やかに湾曲した1つの頂部を有している。後に種々の実施の形態として説明するように帯状シール部20の頂部は、第1の隔室14内の側が鋭く尖った先鋭部に形成されても良く、或いは、丸味を帯びた先頭部形状に形成されても良い。また、帯状シール部20の内面は、第2の通路22の内面に面一に形成されることが好ましいが、帯状シール部20が形成される過程で、第2の通路22の開口部の内面との間に僅かに段差が生じても良い。また、帯状シール部20の基部20A、20Bは、変形部分14B内に破線で示すように第1の隔室14の内面に沿って延出されるように形成されても良い。
第2の隔室16は、第1の隔室14と同様に、表面シート34が略略丸味を帯びた矩形状に膨出された膨出部分16A及び表面シート34が隔室内において板状のプレート32に接するように変形されて潰された変形部分16Bを含んでいる。第2の通路22には、第2の隔室16の膨出部分16Aが連通され、第2の隔室16の変形部分16Bは、下流側の第3の通路26に連通されている。ここで、第2の隔室16は、第1の隔室14とは異なり、2次シールされたシール部(剥離部)20が形成されないことから、全てが1次シールで形成された膨出部分16Aに形成されても良く、或いは、潰された変形部分16Bに形成されても良い。第3の通路26は、外部に開口する開口部(排気ポート)を有し、第2の隔室16内の溶液を第3の通路26及び開口部(排気ポート)を介して外部に排出することができる。溶液の排出に際しては、溶液の流入によって膨らんだ丸味を帯びた膨出体が押圧され、押圧された箇所が陥没されることによって溶液が第3の通路26及び開口部(排気ポート)を介して外部に排出される。開口部は、閉塞蓋(キャップ)28によって開閉可能に閉塞され、第2の隔室16内が密閉空間にすることができ、不用意に外部環境が汚染されるような事態を防止することができる。
上述したように可撓性を有する表面シート34には、予め第1及び第2の隔室14,16、通路18、22、26及び開口部に相当する空洞領域を形成するように型押しされ、膨出された際に出現する膨出部が予め形成されている。この可撓性を有する表面シート34は、これら空洞領以外の領域が剥離不能に板状のプレート32に熱溶着固定或いは接着固定されて強固に1次シールされている。表面シート34がプレート32に1次シールされた後、表面シート34の膨出部が全て潰され、或いは、その一部が潰されて第1の隔室14に相当する表面シート34の潰された部分が帯状に溶着されて帯状シール部20が2次シールされる。この2次シールは、第1の隔室14への圧力の増加に従って剥離可能にシールされる。2次シールは、1次シールに比べて小さな応力で剥離し易いシールに設定されるが、第1の隔室14内に入れられ、流動する内容物によって容易に剥離し難い十分なシール力を有している。
上述した密封型薬液容器12においては、閉塞蓋(キャップ)24が開口部(入力ポート)から除去されて溶液等の内容部が第1の隔室14内に入れられ、開口部が閉塞蓋24で塞がれると、溶液が密封型薬液容器12に密封される。この状態で、内部溶液に必要な処理(例えば、加熱処理、破砕処理、溶液混合処理)が施されると、第1の隔室14内の溶液が第2の隔室16内へ移送することができる準備が完了される。この状態において、図3に示すように第1の隔室14に外部から押圧力Fが付加されると、破線で示される第1の隔室14が実線で示すように変形されてその内の圧力が高まり、第1の隔室14を構成する膨出部の潰された部分が矢印Dで示すように次第に膨らみ、帯状シール部20の頂部に応力P1が集中して印加される。従って、帯状シール部20の頂部或いはその付近の可撓性表面シート34の一部が矢印Sで示すように板状のプレート32から剥離し、その剥離する範囲が拡がって帯状シール部20が板状のプレート32から剥離される。その結果、帯状シール部20が消出するとともに第1の隔室14の潰された変形部分14Bも完全に拡がり、通路22が第1の隔室14に連通される。従って、第1の隔室14内の溶液が第2の隔室16に流入される。第2の隔室16内に内容物がある場合には、第2の隔室16内で流入された溶液との混合或いは反応が生起されて溶液の排出が可能となる。混合或いは反応溶液は、閉塞蓋(キャップ)28が取り外されることによって第3の通路26及び開口部(排気ポート)を介して外部に排出される。
密封型薬液容器12は、1次シールでは、上述したように表面シート34とプレート32とは、空洞部を除く、相対する面が剥離しないように強固に熱溶着されている。熱溶着で表面シート34とプレート32とが1次シールされる場合には、表面シート34とプレート32とは、同素材で作られていることが望ましく、例えば、ポリプロピレン或いはポリエチレン等の熱可塑性樹脂で作られていることが望ましい。溶着ではなく接着材等或いはその他の手段により一体化する場合は、表面シート34とプレート32とは、それぞれを異種素材で作られても良い。
図1から図3に示される密封型薬液容器12おいて、第1の隔室14にある所定の押圧力が加えられる場合に帯状シール部20が比較的容易に剥離されるに対して、第2の隔室16により大きな押圧力が加えられても帯状シール部20が容易に剥離されない構造であることは、次のように説明される。
帯状シール部20の剥離の過程では、図3に示すように、帯状シール部20の頂部に応力P1が集中して印加されて帯状シール部20が押し広げられて剥離される。これに対して、応力P1が印加される前に、外部からの変形圧力によって第2の隔室16内の内部圧力が高まり、応力P1に略等しい或いは大きい応力P2が通路22の側から帯状シール部20に印加されることがある。この応力P2は、変形部分16Bに相当する押し広げる変形が通路22の側に生じないこともあり、帯状シール部20の頂部に相当する通路22の側の端部に集中することなく、通路22の側の帯状シール部20の湾曲部に分散して均等に印加される。このような応力P2の印加では、帯状シール部20の剥離を生じさせる応力集中が無いことから、帯状シール部20は、第1の隔室14側からの剥離に比べて第2の隔室16側から剥離し難いこととなる。
尚、密封型薬液容器の搬送時等において、応力P2を生じさせない観点からは、第2の隔室16は、膨出部を構成する表面シート34が潰された状態に維持され、不用意に応力P2を生じさせないことが好ましい。同様に、不用意に第1の隔室14が外部から押圧されて応力P1が生じないように第1の隔室14が比較的剛性を有する外部被覆でその外囲部が保護された状態で保管され、搬送されることが好ましい。
図1~図3に示される密封型薬液容器12は、図4から図10に示される第2の実施の形態から第8の形態に係るシール部20を有する密封型薬液容器12の構造が採用されても良い。図4から図10を参照して第2の実施の形態から第8の形態に係る密封型薬液容器12の構造を説明する。以下の実施の形態の説明において、図1~図3に付した符号と同一の符号を付した箇所或いは部分は、同一の箇所或いは部分を示し、説明の簡略化のために説明を省略している。
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、2つの頂点(先鋭部)を有するコ字形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している矩形状の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。より詳細には、帯状シール部20の両端基部20A、20Bは、第2の通路22の開口部に略一致して設けられ、帯状シール部20は、第2通路22の内面に略面一となるように形成されている。
このコ字形状の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。また、この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(箱形内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、半円形形状を描く先頭部を有するように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している半円形の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この半円形の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その半円の頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(半円内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第4の実施の形態)
図6は、第4の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、2つの頂点(先鋭部)を有する台形形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している台形の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この台形の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その台形の2つの頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(台形内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第5の実施の形態)
図7は、第5の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、1つの頂点(先鋭部)を有する不等辺三角形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している不等辺三角形の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この三角形の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その台形の2つの頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(三角形内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第6の実施の形態)
図8は、第6の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、2つの頂点を有する逆W形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している台形の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この逆W形の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その台形の2つの頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(逆W形内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第7の実施の形態)
図9は、第7の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、1つの頂点(先鋭部)を有する等辺三角形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している等辺三角形の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この三角形の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その台形の2つの頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(三角形内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
(第8の実施の形態)
図10は、第8の実施の形態に係る密封型薬液容器12を示している。この密封型薬液容器12は、1つの頂点(先鋭部)を有する山形形状を描くように帯状シール部20が変形部分14Bに形成されている。この帯状シール部20は、第1の隔室14内に第2の通路22に連通している山形形状の拡張部22Aを確保し、拡張部22Aを第1の隔室14内に隔離するように、第1の隔室14内に剥離可能に延出されている。
この山形形状の帯状シール部20は、第1の隔室14内の圧力の増加に伴い、その台形の2つの頂点の側から剥離して拡張部22Aが膨らみ、第1の隔室14が第2の通路22に連通される。この構造では、第2の隔室16内の圧力が高まっても、第2の通路22に連通する帯状シール部20の内側(山形形状内)に略均等に圧力が分散され、帯状シール部20は、第1の隔室14の圧力の上昇に比べて容易に剥離されることはない。
図1~図10に示した密封型薬液容器12は、種々の用途に適用することができ、特に外部環境への内容物の飛散を防止することが重要視される生物組織の核酸を抽出する前処理用キットに適用することができる。以下に、密封型薬液容器12の構造が採用された前処理用キットの実施の形態について説明する。また、以下の実施の形態の説明においても、図1~図10に付した符号と同一の符号を付した箇所或いは部分は、同一の箇所或いは部分を示し、説明の簡略化のために説明を省略している。
(前処理用キットの実施の形態)
図11、図12及び図13は、第9実施の形態として、細菌やウィルス等の生物組織の核酸を抽出し、精製するための前処理用キットを示している。
前処理用キット42は、検体通路部45、溶解室部44、溶液通路52、処理液保存室部46、処理液通路54、精製室部48、チャネル溝62、回収室部70及び回収通路72を備え、これらは、図11及び図12に示すように上流側から下流側に向けて配置されている。この前処理用キット42は、上述した密封型薬液容器12と同様に剛性を有する板状のプレート32上に可撓性を有する表面シート34が気密に強圧着シールされるように融着(熱溶着)されている。溶解室部44、処理液保存室部46、精製室部48及び回収室部70は、第1及び第2の隔室14と同様に可撓性を有する表面シート34が型押しされて形成され、膨らませた際に略丸味を帯びた矩形状の膨出部を形成可能に成形される。検体通路部45、溶液通路52、処理液通路54及び回収通路72も同様に表面シート34が型押しされ、溶液がその内を流通できるようにチューブ状に形成されている。また、チャネル溝62は、図12及び図13に示すように板状プレート32の背面側に形成され、背面シート74で被覆されている。この背面シート74は、板状プレート32の背面に熱溶着によって強圧着シールされてチャネル溝62からの溶液の外部への流失が防止される。
板状プレート32は、既に述べたようにポリプロピレン若しくは類似の樹脂材料で形成されている。表面シート34は、透明な樹脂フイルムで作られ、第1及び第2の隔室14、16と同様にプッシュロッド(図示せず)で膨出部を押し潰すことができるように可撓性が与えられている。この表面シート34は、溶着でプレート32にシールされる場合には、表面シート34は、プレート32と同一素材で作られ、例えば、ポリプロピレン或いはポリエチレン等の熱可塑性樹脂で作られる。溶着ではなく接着材等或いはその他の手段により一体化する場合は、表面シート34とプレート32とは、夫々を異種素材とすることができる。
溶解室部44には、チューブ状の連通通路部45に連結され、連通通路部45の開口部から生物組織を溶解する界面活性剤等を含む溶解液を収納することができる。連通通路部45の開口部は、蓋部24で閉塞され、核酸抽出時には、蓋部24が取り外されて外部から生物組織が溶解室部44に入れられ、生物組織が溶解液で溶解されてその内の核酸(DNA)が溶液中に溶出される。ここで、溶解室部44には、溶解溶液が収納されず、単なる試薬等の溶液が収納されても良い。このように試薬等の溶液が収納される前処理用キット42では、前処理用キット42外で生物組織が破砕され、破砕された生物組織がこの溶解室部44に入れられ、溶液と混合されても良い。また、溶解室部44内に生物組織を入れた後、この溶解室部44内で生物組織が外部からの超音波振動或いは超音波振動で振動されるビーズによって破砕され、破砕された生物組織から核酸(DNA)が溶解室部44内の溶液に溶出されても良い。
溶解室部44は、第1及び第2の隔室14と同様に、膨出された膨出部分44A及び表面シート34が隔室内において板状のプレート32に接するように潰されて変形された変形部分44Bを有している。変形部分44Bには、表面シート34の破損を招くことなく、表面シート34を板状のプレート32から剥離することができる剥離可能な湾曲ストライプ部、即ち、帯状のシール部20-1が形成されている。帯状のシール部(剥離部)20-1は、下流側の溶液通路52に連通している拡張部52Aを確保し、拡張部52Aを溶解室部44内に隔離するように、溶解室部44内に剥離可能に延出されている。従って、下流側の溶液通路52は、シール部(剥離部)20-1によって溶液通路52から隔離されている。帯状のシール部(剥離部)20-1は、図1~図10を参照して説明した帯状のシール部(剥離部)20に相応し、種々の形態を取ることができる。
この溶解室部44が外部から押圧されると、溶解室部44内の圧力が増加される。そして、この圧力増加によって変形部分44Bが膨出され、帯状のシール部(剥離部)20-1が溶解室部44の底面から剥離され、膨出された変形部分44Bが溶液通路52に連通される。ここで、溶解室部44は、外部から押圧されると、押圧された箇所が陥没され、折り曲げ変形した膨出体に膨らむ。
処理液保存室部46には、吸着剤を濡らすための処理液(バッファ溶液)が保存され、精製室部48には、後の処理工程における反応を阻害する反応阻害物質、或いは、不純物としてのゴミ等を吸着する吸着剤78が収容されている。ここで、吸着剤78としては、例えば、特許第5173406号に開示される複合吸収剤があり、この複合吸収剤を濡らして安定的な吸着作用を与える処理液76(バッファ溶液)としては、例えば、Tris-HCL緩衝液がある。しかしながら、吸着剤78及び処理液76は、これらに限られるものではなく、濡らすことによって吸着作用を発揮する吸着剤及び吸着剤を濡らす処理液であれば良いことは明かである。
処理液保存室部46及び精製室部48も、例えば、膨らますことによって丸味を帯びた直方体の外観を成す変形可能な膨出部に形成されている。処理液保存室部46は、溶解室部44と同様に、膨出された膨出部分46A及び表面シート34が隔室内において板状のプレート32に接するように潰されて変形された変形部分46Bを有している。変形部分46Bには、変形部分44Aと同様に、表面シート34の破損を招くことなく、表面シート34を板状のプレート32から剥離可能な帯状のシール部(剥離部)20-2が形成されている。帯状のシール部(剥離部)20-2は、下流側の精製室部48に連通可能な処理液保存室部46を区画し、処理液保存室部46を処理液通路54から隔離している。帯状のシール部(剥離部)20-2は、帯状のシール部(剥離部)20-1と同様に、図1~図10を参照して説明した帯状のシール部(剥離部)20に相応し、種々の形態をとることができる。
この帯状シール部20-2は、処理液保存室部46内に処理液通路54に連通している拡張部54Aを確保し、拡張部54Aを処理液保存室部46内に隔離するように、処理液保存室部46内に剥離可能に延出されている。この帯状シール部20-2は、図3を参照して説明したように、処理液保存室部46内の圧力の増加に伴い、その頂点の側から剥離して拡張部54Aが膨らみ、処理液保存室部46が処理液通路54に連通される。帯状シール部20-1については、処理液保存室部46内の圧力が高まっても、処理液通路54に連通する帯状シール部20-1の内側に略均等に圧力が分散される。従って、帯状シール部20-1は、処理液保存室部46の圧力の上昇があっても、帯状シール部20-2に比べて容易に剥離されることはない。
精製室部48に対面する板状プレート32には、貫通孔60が設けられ、この貫通孔60は、板状プレート32の裏面に設けられたチャネル溝62に連通されている。精製室部48内の貫通孔60上には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)で作られたフィルタ膜66が設けられ、精製室部48内で吸着剤に吸着されなかった検査対象の核酸を含む精製された溶液がフィルタ膜66を介してチャネル溝62に流入される。フィルタ膜66では、吸着材片や吸着されなかった不純物や塵埃(以下単にゴミ等と称する)の通過が阻止され、ゴミ等が除去された核酸を含む溶液が透明な背面シート74で被覆されたチャネル溝62に流入される。チャネル溝62の流出端は、板状プレート32に穿けられた貫通孔68に連通され、この貫通孔68は、回収室部70内に開口されている。ゴミ等が除去された核酸を含む精製溶液は、この回収室部70内に流入されて精製された検体溶液として回収保存される。ここで、精製溶液のスムーズな流入を助けるために回収室部70は、予め膨出部が潰された状態に維持され、精製溶液の流入によって膨らむことが好ましい。また、回収室部70の膨出部は、完全に潰された状態に無くとも、回収室部70内に精製溶液が流入された際或いは回収室部70がプッシュされた際に、回収室部70の気密が破壊されないような余裕度を有することが好ましい。
回収室部70は、回収通路72に連通され、回収通路72の開口には、閉塞蓋28が被せられて回収通路72が塞がれている。閉塞蓋28は、板状プレート32と同様にポリプレピレン等の樹脂で別体に形成される。
回収室部70は、溶解室部44と同様に、膨出された膨出部分70A及び表面シート34が隔室内において板状のプレート32に接するように潰されて変形された変形部分70Bを有している。変形部分70Bには、表面シート34の破損を招くことなく、表面シート34を板状のプレート32から剥離可能な帯状のシール部(剥離部)20-3が形成されている。帯状のシール部(剥離部)20-3は、下流側の回収通路72に連通可能な拡張部72Aを変形部分70Bに隔離し、回収室部70を回収通路72から分離している。帯状のシール部(剥離部)20-3は、帯状のシール部(剥離部)20-1と同様に、図1~図10を参照して説明した帯状のシール部(剥離部)20に相応し、種々の形態をとることができる。
上述した核酸前処理用キット42が製造される際には、フィルタ膜66上の精製室部48内の空間に、顆粒状の吸着剤78が収容された状態で、表面シート27と板状プレート32とが強圧着されて吸着剤78が精製室部48に収容される。また、核酸前処理用キット42の製造過程において、処理液保存室部46に処理液(バッファ溶液)が注入保存される。注入保存に際しては、1例として、板状プレート32に貫通孔(図示せず)が設けられ、この貫通孔を介して処理液が処理液保存室部46に収納された後に、貫通孔が封止される。そして、核酸前処理用キット42の保存時或いは搬送時に、処理液保存室部46を構成する膨出部の圧迫によって処理液保存室部46から処理液(バッファ溶液)が精製室部48に漏れ出ないように、この処理液保存室部46が剛性を有する保護カバー(図示せず)で保護されることが好ましい。また、核酸前処理用キット42は、未使用状態において、溶解室部44及び回収室部70は、溶液の流入によって膨出されるように潰され、外部から液を受け入れ可能としている。
上述した核酸前処理用キット42は、図14に示す手順に従って、核酸抽出処理に利用される。核酸の抽出時には、蓋部24が取り外されて溶解室部44の開口部が開放される。また、処理液保存室部46が不用意に押圧されないように処理液保存室部46を覆っている保護カバー(図示せず)が除去され、処理液保存室部46が押圧可能に外部に露出される。そして、核酸前処理用キット42が図15に示すプッシュ機構82,84,86を有する抽出装置に装着されて核酸の抽出処理が開始(S02)される。プッシュ機構82、84、86は、溶解室部44、処理液保存室部46及び回収室部70をプッシュするロッド(いずれも図示せず)を有し、駆動制御部88がプッシュ機構82、84、86を駆動制御し、対応するロッドが溶解室部44、処理液保存室部46及び回収室部70をプッシュすることができる。
処理液保存室部46の開口部からは、溶解溶液が注入され、その後、検体としての生物組織が溶解室部44に注入される(S04)。その後、蓋部24が開口部に取り付けられて溶解室部44が密閉される。その結果、密閉された溶解室部44内において、生物組織が溶液によって溶解されて核酸(DNA)が溶液中に溶解される。この生物組織の溶解工程(S04)においては、検査対象の核酸(DNA)及びゴミを含む溶液が溶解室部44内に生成される。この溶解工程(S04)では、溶解室部44が加熱されて生物組織が熱せられてより生物組織が溶解し易い処理が実行されても良い。この加熱処理は、好ましくは、次工程に移行される前に終了される。
生物組織の溶解中において、図16に示すように、プッシュ機構82が作動して処理液保存室部46が矢印P1で示すように、モータ駆動されたロッド(図示せず)でプッシュされて処理液保存室部46が押し潰される(S06)。その結果、処理液保存室部46内の圧力が高まり、シール部(剥離部)20-2が剥離されて処理液76が処理液通路54を介して精製室部48に供給されて吸着剤78が処理液76で濡らされる(S08)。ここで、処理液保存室部46が外部から外部装置のロッド等で押される際には、シール部(剥離部)20-1によって溶液通路52が閉じた状態に維持され、処理液保存室部46内の処理液の圧力によって、シール部(剥離部)20-2のシールが開放され、処理液が精製室部48に供給される。処理液76の供給は、精製室部48内の顆粒状の吸着剤78を処理液で濡らすこととなり、吸着剤の吸着作用を活性化することとなる。
吸着剤の活性化処理が完了すると、溶液から検査対象の核酸とゴミとが分離される分離工程が実施される。分離工程では、プッシュ機構82が作動して図17に矢印P2で示されるように、溶解室部44が外部ロッド(図示せず)で押し潰される。従って、溶解室部44内の圧力が高まり、溶解室部44内の溶液がシール部20-1を剥離して溶液通路52を開放し、溶液が溶液通路52を介して処理液保存室部46に流入される(S10)。溶液の処理液保存室部46への流入に伴い、この処理液保存室部46を構成する膨出部が膨らむが、処理液保存室部46が再び外部ロッドで押し潰される。従って、溶液は、処理液保存室部46を通過し、処理液通路54に流入され、処理液通路54を介して精製室部48に供給される(S12)。ここで、吸着剤の活性化処理時に処理液保存室部46がプッシュロッドによって押し潰され、プッシュロッドがこのままに維持されて処理液保存室部46が押し潰された状態に維持され、溶解室部44から溶液通路52、処理液保存室部46、処理液通路54を介して核酸及びゴミ等が溶解されている溶液が精製室部48に供給されても良い。
精製室部48においては、溶液に含まれる不純物としてのゴミが吸着剤78に吸着される。この精製工程では、溶解室部44及び処理液保存室部46を構成する膨出部が押し潰される際に、溶液が精製室部48内のフィルタ66及び貫通孔60を通過してチャネル溝62に向けられる。ここで、フィルタ膜66は、吸着剤78吸着されなかったゴミ等の通過を阻止し、ゴミ等が除去された検査対象の核酸を含む溶液がフィルタ膜66を介してチャネル溝62に流入される。チャネル溝62に流入した溶液は、回収室部70内に流入し、回収室部70で回収される。
回収室部70に所定量の溶液が流入されると、核酸前処理用キット42から核酸を含む溶液を取り出すために、回収チューブ部46の外周に設けた閉塞蓋28が取り外される。その後、プッシュ機構86が作動して図18に矢印P3で示すように、プッシュロッドで回収室部70を構成する膨出部が押し潰される。従って、回収室部70の押圧によってシール部20-3が剥離され、その内の溶液が回収通路72を介して外部の容器(図示せず)に取り出されて(S16)抽出処理が終了される(S18)。外部容器では、1例として核酸増幅及び核酸検出のための工程が実行され。
上述したような密閉タイプの前処理用キット42にあっては、生物組織の溶解から核酸の抽出までを自動化することが可能で、しかも、外部環境の汚染(コンタミネーション)を防止することができる。特に、密閉タイプの前処理用キット42は、ディスポーザルタイプで、そのまま廃棄可能であることから、より外部環境に対する汚染防止が容易となる。しかも、単純な構造でありながら、確実に一方向に向けてシールを剥離して流通路を確保するシール構造を採用していることから、外部環境の汚染(コンタミネーション)を防止しながら、確実に核酸の抽出精製が可能とすることができる。
(前処理用キットの他の実施の形態)
図19は、他の実施の形態に係る生物組織の核酸を抽出するための前処理用キットを示している。図11に示す前処理用キットでは、溶解室部44、処理液保存室部46、精製室部48及び回収室部70が上流側から下流側に向けて直列配置されているが、図19示す前処理用キットでは、回収室部70の上流側が通路54-1及び54-2に分岐され、回収室部70に夫々通路54-1及び54-2を介して処理液保存室部46及び精製室部48が並列に連結される。精製室部48の上流側には、通路52を介して溶解室部44が連結され、処理液保存室部46の上流側は、閉塞されている。そして、溶解室部44の変形部44B及び処理液保存室部46の変形部46Bには、帯状のシール部(剥離部)20-1及び20-2が形成されている。
このように隔室が配置された前処理用キットにおいては、溶解室部44内の溶液及び処理液保存室部46内の処理液、例えば、添加剤液は、溶解室部44及び処理液保存室部46を別個独立のプッシュすることによって、溶液及び処理液を別個独立に精製室部48及び回収室部70に供給することができ、比較的容易に複雑な処理或いは反応を実現することができる。しかも、溶解室部44から回収室部70への送液によって回収室部70内の内圧が一時的にあるいは定常的に高まったとしても、処理液保存室部46と回収室部70との間は、回収室部70側からシール部(剥離部)20-2を剥離して開放することが困難であり、任意のタイミングで処理液保存室部46を押圧することで処理液としての添加剤液を回収室部70に送ることができる。
(生物・化学処理用キットの実施の形態)
図20は、更に他の実施の形態に係る生物・化学処理用キットを示している。この生物・化学処理用キット110は、複数の隔室部102、103、104、106を有し、隔室部102、103、104、106が通路114、116、118、120を介して反応室部112に連結されている。隔室部102、103、104、106内には、隔室部102、103、104、106を区画するシール部(剥離部)20-4、20-5、20-6、20-7が形成されている。シール部(剥離部)20-4、20-5、20-6、20-7は、シール部20-1と同様に通路114、116、118、120側の圧力上昇で容易に開くことがなく、隔室部102、103、104、106の夫々の内部圧力の上昇によって比較的容易に剥離されて開成される構造を有している。
図20に示される生物・化学処理用キットでは、夫々図示しない供給口から隔室部102、103、104、106に種々の反応溶液、添加剤液、洗浄溶液、検体溶液等が格納される。そして、任意の順序で隔室部102、103、104、106がプッシュされることによってシール部(剥離部)20-4、20-5、20-6、20-7が剥離される。従って、外部から閉塞された生物・化学処理用キットにおいて、種々の反応溶液、添加剤液、洗浄溶液、検体溶液等を反応室部112内に任意の順序で供給して混合或いは反応させることができる。しかも、反応室部112内の圧力の上昇に起因して、シール部(剥離部)20-4、20-5、20-6、20-7が剥離することを制限することができる。
(比較例と第9及び第10の実施の形態との比較)
図21は、比較例に係る前処理用キットの一部を示し、図22及び図23は、第9及び第10の実施の形態に係る前処理用キットの一部を抜き出して示している。いずれの前処理用キットも、丸められている両端部を有する膨出された半円柱状に形成された隔室部44、46、48を備えている。図21に示される比較例に係る前処理用キットでは、隔室部44、46を連結する通路52及び隔室46、48を連結する通路54に直線状に横切るシール部(剥離部)132が設けられて通路52、54が遮断されている。これに対して、図22に示される第9の実施の形態に係る前処理用キットでは、隔室部44、46は、両端が丸められた膨出半円柱状に形成されている。また、隔室部44、46の下流側には、夫々変形部分44B、46Bが設けられている。この変形部分44B、46Bは、潰されて円弧状に変形されている。変形部分44B、46Bに帯状シール部(剥離部)20-1、20-2が通路52、54の開口を塞ぐように延出されている。また、図23に示される第10の実施の形態に係る前処理用キットでは、隔室部44、46は、同様に、両端が丸められた膨出半円柱状に形成されている。また、隔室部44、46の下流側には、夫々変形部分44B、46Bが設けられている。この変形部分44B、46Bは、潰されて変形されることによって下流側に向けて拡張され、引き延ばされている三日月形状に形成されている。変形部分44B、46Bに帯状シール部(剥離部)20-1、20-2が通路52、54の開口を塞ぐように延出されている。
同様に両端が丸められた膨出半円柱状に形成されている。
潰されて三日月形状を下流側に向けて引き延して膨らませるように変形した変形部分44C、46Cが設けられ、この膨らんだ三日月状の変形部分44C、46Cに帯状シール部20-1、20-2が同様に通路52、54の開口を塞ぐように延出されている。ここで、図23に示される膨らんだ三日月状のをなす変形部分44C、46Cは、図22に示される円弧状の変形部分44B、46Bに比べて広い面積を有し、通路54は、上流側に向けて通路幅を拡幅しながら隔室にむけて緩やかに広げられ、広げられた開口を塞ぐように帯状シール部20-2が配置されている。従って、図23に示される帯状シール部20-2では、その突起部分には、図22に示される帯状シール部20-2の突起部分よりもより大きな応力が与えられる。
尚、上述した実施の形態と同様に、隔室部44、46、48及び通路52、54は、1次シールで区画され、帯状シール部20-1、20-2、132、134は、剥離可能に2次シールでプレート32に融着される。
図24に示す表は、隔室部46に与えられた押圧によって隔室内圧力が上昇され、隔室部46に応力が作用する構造解析モデルをシュミレーションした結果として示している。表には、隔室が形成されたシートを模擬した比較例並びに第9及び第10の実施の形態9及10の数値解析モデルに関して、シート34に作用する相当応力を比較して示している。この表には、シート圧t[mm]、相当応力[Mpa]及び応力比[%]との関係が示されている。ここで、2次シールの項目は、変形部分44Bの帯状シール部20-2に付加される相当応力[Mpa]を示し、Maxの項目は、隔室部46内に付される最大の相当押力の値を示している。この最大の相当押力は、図21、図22及び図23に矢印Maxで示されている箇所の応力値に相当する。また、応力比は、2次シールの相当応力に対する最大相当応力Maxの比と定義され、この値が大きい程、1次シールの破損を招くことなく、2次シールされた帯状シール部20-1、20-2、132、134が剥離し易い構造でことを示している。
数値解析モデルの諸条件は、次のように設定されている。
シート34は、ポリプロピレンで作られている数値解析モデルとしている。従って、縦弾性係数は、代表的な熱可塑性樹脂としてポリプロピレンの数値を使用している。シート34の寸法は、幅20mm、長さ(高さ)50mm、厚み0.15mmに設定している。隔室部46のサイズは、幅10mm、長さ(高さ)14mm、奥行き5mmの両端が丸められた略半円柱状で、両端の半円部は、半径(R=5mm)の円弧を有する半球形状に設定されている。また、通路52、54の幅は、2mmとしている。帯状シール部20-1、20-2、132、134の遮断部(帯状部)の幅は、溶液が流れる方向(上下流方向)に沿って1mmに設定されている。境界条件として膨出部周囲のシール部(1次シール部)及び帯状シール(2次シール部)部20-1、20-2は、プレート32上に剥離可能に固定され、膨出部内の中央隔室46の内圧は、押し広げる向きに50kPaが与えられるものと仮定している。
図24に示す表において、2次シールの相当応力が下流側の遮断部として機能する帯状シール部20-2、134の応力値を示しており、相当応力の数値が大きい程遮断部が剥離しやすいことを示している。図21に示す解析モデルでは、2次シールの相当応力が0.53MPaで、応力比が4.00%であり、ほとんど応力が作用されず、剥離しにくい状態であることがわかる。これに対して、図22に示す解析モデルでは、2次シールの相当応力が10.6MPaであり、図21に示す解析モデルの20倍程度にまで上昇し、応力比が59.20%の値であり、より剥離しやすい構造であることが理解される。更に、図23に示す解析モデルでは、2次シールの相当応力が14.7MPaであり、応力比が61.30%であり、図22に示す解析モデルに比べて、遮断部上流側の通路54の幅(シールされる開口幅)を広くすることで剥離しやすくなることが判明している。また、いずれの解析モデルにおいても、上流側遮断部の応力値は、1MPa以下と小さく、剥離しにくい状態にある。以上の結果から、実施の形態に係る密閉容器では隔室46の押圧という単純な動作により、任意の方向の遮断部を容易に開放し得ることができる。
以上のように、この実施の形態の検査容器によれば、単純な容器構造でありながら、簡易な方法で内容物の隔室間移動を実現することができ、低コスト化可能な検査用密封型薬液容器及び検査装置を提供することを可能にしている。
この発明の実施形態は、上記の問題に鑑み、単純な容器構造でありながら、簡易に容器内の隔室から溶液を移動させることができる低コストの密封型薬液容器を提供することを目的の一つとする。また、この密封型薬液容器を利用した生物組織の核酸を抽出するための前処理用キット及び核酸抽出方法を提供することを目的の一つとする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願の当初における特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された接着領域を有するシート状部材であって、この接着領域が前記プレート上で膨出可能な第1の隔室と、前記第1の隔室の開口部を介して連通する流出路とをそれぞれ区画しているシート状部材と、
前記第1の隔室内であって、前記開口部から前記第1の隔室に向けて突出する領域を残し、前記シート状部材により前記開口部を塞ぐように前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第1の隔室と前記流出路との連通を遮断する第1のシール部とを備え、
前記第1の隔室の内圧上昇により前記第1のシール部を剥離することで、前記第1の隔室が膨出することを特徴とする薬液容器。
[2]前記プレート上に前記シート状部材を剥離不能に強固に接着した接着領域で前記プレート上に区画形成した膨出可能な第2の隔室であって、前記流出路を介して前記第1の隔室に連通される第2の隔室と、
を更に具備することを特徴とする[1]の薬液容器。
[3]前記開口部は、前記流出路の上流側に配置され、この開口部は、前記流出路の通路の下流側通路幅よりも広いことを特徴とする[1]の薬液容器。
[4]前記第1の隔室は、前記シート部材が膨出されている膨出領域及び前記膨出可能に変形されて前記プレートに接している変形領域を含み、前記第1のシール部がこの変形領域に形成されていることを特徴とする[1]の薬液容器。
[5]前記第1のシール部は、帯状に形成され、その両端が前記開口部に連接されていることを特徴とする[1]の薬液容器。
[6]前記第1のシール部は、帯状に形成され、1以上の先鋭部或いは丸みを有する先頭部を有することを特徴とする[1]の薬液容器。
[7]前記第1の隔室に連通するように、前記シート状部材を剥離不能に前記プレート上に強固に接着された接着領域で区画された第2の通路と、
前記第2の通路を介して前記第1の隔室に内容物を供給する為の供給口部と、
この供給口部を開閉可能に塞ぐ第1の閉塞蓋と、
前記第2通路に連通され、前記第1の隔室内の前記内容物を外部に排出する排出口部と、
この排出口部を開閉可能に塞ぐ第2の閉塞蓋と、
を具備し、前記第1及び第2閉塞蓋で供給口部及び排出口部を閉塞して前記第1隔室、前記第1及び第2通路を含む容器内空間を密閉することを特徴とする[1]の薬液容器。
[8]プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された接着領域を有するシート状部材であって、この接着領域が前記プレート上で膨出可能な第1の隔室と、前記第1の隔室の開口部を介して連通する流出路とをそれぞれ区画しているシート状部材と、
前記第1の隔室内であって、前記開口部から前記第1の隔室に向けて突出する領域を残し、前記シート状部材により前記開口部を塞ぐように前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第1の隔室と前記流出路との連通を遮断する第1のシール部とを備え、
前記第1の隔室の内圧上昇により前記第1のシール部を剥離することで、前記第1の隔室が膨出する密閉型薬液容器と、
当該密閉型薬液容器が装着され前記第1の隔室を外部から押圧する押圧部材及び当該押圧部材を作動させて前記第1の隔室内圧力高めて前記第1のシール部を剥離し、前記第1の隔室内の内容物を前記第1の通路に供給する作動部と、
を具備することを特徴とする検査装置。
[9]プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された接着領域を有するシート状部材と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第1の隔室であって、外部から生物組織及び溶液を収納可能な第1の隔室と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第2の隔室であって、吸着剤が収納されている第2の隔室と、
前記接着領域によって前記第1及び第2隔室間に配置されるように前記プレート上に区画形成され、前記吸着剤を濡らして吸着作用を活性化する第1溶液が収納された第3の隔室と、
前記第3の隔室に開口され、前記第1の隔室に第1の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第1の通路と、
前記第2の隔室に開口され、前記第3の隔室に第2の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第2の通路と、
前記第1の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第1の隔室を区画して前記第1の隔室と前記第1の通路との連通を遮断する第1のシール部と、
前記第2の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第2の隔室を区画して前記第2の隔室と前記第2の通路との連通を遮断する第2のシール部と、
を具備することを特徴とする核酸抽出容器。
[10]前記第1の隔室は、前記シート部材が膨出されている第1の膨出領域及び前記膨出可能に変形されて前記プレートに接している第1の変形領域を含み、前記第1のシール部がこの変形領域に形成され、
前記第3の隔室は、前記シート部材が膨出されている第2の膨出領域及び前記膨出可能に変形されて前記プレートに接している第2の変形領域を含み、前記第2のシール部がこの第2の変形領域に形成されていることを特徴とする[9]の核酸抽出容器。
[11]前記第1及び第2のシール部は、帯状に形成され、その両端が夫々前記第1及び第2の開口部に連接されていることを特徴とする[9]の核酸抽出容器。
[12]前記第1の隔室に連通するように前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された第3の通路と、
前記第3の通路を介して前記第1の隔室に生物組織及び溶液を供給する為の供給口部と、
この供給口部を開閉可能に塞ぐ第1の閉塞蓋と、
前記第2の隔室に連通され、前記第2の隔室内の排出溶液を外部に排出する排出口部と、
この排出口部を開閉可能に塞ぐ第2の閉塞蓋と、
を具備し、前記第1及び第2閉塞蓋で供給口部及び排出口部を閉塞して前記第1及び第2の隔室、前記第1、第2及び第3通路を含む容器内空間を密閉することを特徴とする[9]の核酸抽出容器。
[13]プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された接着領域を有するシート状部材と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第1の隔室であって、生物組織及び第1溶液が収納されている第1の隔室と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第2の隔室であって、吸着剤が収納されている第2の隔室と、
前記接着領域によって前記第1及び第2隔室間に配置され前記プレート上に区画形成され、前記吸着剤を濡らして吸着作用を活性化する第2溶液が収納されている第3の隔室と、
前記第3の隔室に開口され、前記第1の隔室に第1の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第1の通路と、
前記第2の隔室に開口され、前記第3の隔室に第2の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第2の通路と、
前記第1の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第1の隔室を区画して前記第1の隔室と前記第1の通路との連通を遮断する第1のシール部と、
前記第2の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第2の隔室を区画して前記第2の隔室と前記第2の通路との連通を遮断する第2のシール部と、
を具備する核酸抽出容器と、
当該核酸抽出容器が装着され前記第1及び第3の隔室を夫々個別に外部から押圧する第1及び第2押圧部材と、
この第2押圧部材を作動させて前記第3の隔室内圧力高めて前記第2のシール部を剥離し、前記第3の隔室内の第2溶液を前記第2の通路を介して前記第2の隔室に供給し、前記吸着剤を濡らして吸着作用を活性化させる第1作動部と、
この第1押圧部材を作動させて前記第1の隔室内圧力高めて前記第1のシール部を剥離し、前記第1の隔室内の生物組織内の核酸及びゴミが溶解されている第1溶液を前記第1の通路、前記第3の隔室及び前記第2通路を介して前記第2の隔室に供給し、前記吸着剤に前記ゴミを吸着させ、核酸が溶解している第1溶液を精製して外部に排出させる第1作動部と、
から構成されることを特徴とする核酸抽出装置。
[14]プレートと、
可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された接着領域を有するシート状部材と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第1の隔室であって、生物組織及び第1溶液が収納されている第1の隔室と、
前記接着領域によって前記プレート上に区画形成された膨出可能な第2の隔室であって、吸着剤が収納されている第2の隔室と、
前記接着領域によって前記第1及び第2隔室間に配置されように前記プレート上に区画形成され、前記吸着剤を濡らして吸着作用を活性化する第2溶液が収納されている第3の隔室と、
前記第3の隔室に開口され、前記第1の隔室に第1の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第1の通路と、
前記第2の隔室に開口され、前記第3の隔室に第2の開口部を介して連通するように前記接着領域によって区画された第2の通路と、
前記第1の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第1の隔室を区画して前記第1の隔室と前記第1の通路との連通を遮断する第1のシール部と、
前記第2の開口部を塞ぐように剥離可能に前記接着領域に比べて弱く接着され、前記第2の隔室を区画して前記第2の隔室と前記第2の通路との連通を遮断する第2のシール部と、
を具備する核酸抽出容器を利用して核酸を抽出する方法において、
前記第3の隔室を外部から押圧し、前記第3の隔室内圧力高めて前記第2のシール部を剥離し、前記第3の隔室内の第2溶液を前記第2の通路を介して前記第2の隔室に供給し、前記吸着剤を濡らして吸着作用を活性化させ、
前記第1の隔室を押圧して前記第1の隔室内圧力高めて前記第1のシール部を剥離し、前記第1の隔室内の生物組織内の核酸及びゴミが溶解されている第1溶液を前記第1の通路、前記第3の隔室及び前記第2通路を介して前記第2の隔室に供給し、前記吸着剤に前記ゴミを吸着させ、核酸が溶解している第1溶液を精製して外部に排出させる核酸を抽出することを特徴とする方法。
12…薬液容器、14、16…隔室、14A、16A…膨出部分、14B、16B…変形部分、20、20-1~20-7…シール部、18、22、26…通路、22A…拡張部、24、28…閉塞蓋、32…プレート、34…シート、42…前処理用キット、44…溶解部、44A…膨出部分、44B…変形部分、45…検体通路部、46…処理液保存室部、46A…膨出部分、46B…変形部分、48…精製室部、52…溶液通路、54…処理液通路、54-1、54-2…通路、54A…拡張部、60…貫通孔、62…チャネル溝、66…フィルタ膜、70…回収室部、70A…膨出部分、70B…変形部分、72…回収通路、72A…拡張部、74…背面シート、76…処理液、78…吸着剤、82、84、86…プッシュ機構、88…駆動制御部、102、103、104、106…隔室部、114、116、118、120…通路

Claims (10)

  1. プレートと、
    可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された1次シール領域を有し、この1次シール領域が、第1の隔室と、第2の隔室と、前記第1の隔室に開口する開口部を有し、この開口部を介して前記第1の隔室を第2の隔室に連通させる流出路と、を前記プレート上に区画し、前記第1の隔室が第1の膨出部分及び前記プレートに接するように潰され、前記第1の膨出部分への加圧により押し広げられて変形される第1の変形部を備え、前記第2の隔室が第2の膨出部分と前記プレートに接するように潰され、前記第2の膨出部分の変形により押し広げられる第2の変形部を備えるように、前記第1の隔室及び第2の隔室
    を前記プレート上に形成するシート状部材と、
    前記開口部から前記第1の隔室に向けて前記第1の変形部内に突出し、前記開口部を介して前記流出路に連通可能な拡張部を前記第1の変形部内に区画する2次シール部であって、前記開口部を塞ぐように、前記拡張部を前記第1の変形部内に区画する境界にて前記1次シール領域に比べて弱く前記シート状部材を前記プレート上に剥離可能にシールし、前記第1の隔室と前記流出路との連通を遮断する2次シール部とを備え、
    前記第1の膨出部分への加圧に伴い前記プレートに接している前記第1の変形部が押し広げられて前記2次シール部が前記プレートから剥離され、前記第1の隔室が前記拡張部及び前記流出路を介して前記第2の隔室に連通されることを特徴とする薬液容器。
  2. 前記2次シール部は、剥離可能な帯状に形成され、この帯状の2次シール部が前記第1の変形部内に配置されていることを特徴とする請求項1の薬液容器。
  3. 前記2次シール部は、剥離可能な帯状に形成され、1以上の先鋭部或いは丸みを有する先頭部を有することを特徴とする請求項1の薬液容器。
  4. 前記第1の隔室に連通するように、前記シート状部材を前記プレート上に1次シールして形成された上流側の通路と、
    前記上流側の通路を介して前記第1の隔室に内容物を供給する為の供給口部と、
    この供給口部を開閉可能に塞ぐ第1の閉塞蓋と、
    を更に具備する請求項1の薬液容器。
  5. 前記第2の隔室に連通するように、前記シート状部材を前記プレート上に1次シールして形成された下流側の通路と、
    前記下流側の通路に連通され、前記第1の隔室内の前記内容物を外部に排出する排出口部と、
    この排出口部を開閉可能に塞ぐ第2の閉塞蓋と、
    を更に具備し、
    前記第1及び第2閉塞蓋で前記供給口部及び前記排出口部を閉塞して前記第1隔室、前記上流側及び下流側の通路を含む容器内空間を密閉することを特徴とする請求項4の薬液容器。
  6. プレートと、
    可撓性を有し、前記プレート上に強固に接着された1次シール領域を有し、この1次シール領域が、第1の隔室と、第2の隔室と、前記第1の隔室に開口する開口部を有し、この開口部を介して前記第1の隔室を第2の隔室に連通させる流出路と、を前記プレート上に区画し、前記第1の隔室が第1の膨出部分及び前記プレートに接するように潰され、前記第1の膨出部分への加圧により押し広げられて変形される第1の変形部を備え、前記第2の隔室が第2の膨出部分と前記プレートに接するように潰され、前記第2の膨出部分の変形により押し広げられる第2の変形部を備えるよ うに、前記第1の隔室及び第2の隔室を前記プレート上に形成するシート状部材と、
    前記開口部から前記第1の隔室に向けて前記第1の変形部内に突出し、前記開口部を介して前記流出路に連通可能な拡張部を前記第1の変形部内に区画する2次シール部であって、前記開口部を塞ぐように、前記拡張部を前記第1の変形部内に区画する境界にて前記1次シール領域に比べて弱く前記シート状部材を前記プレート上に剥離可能にシールし、前記第1の隔室と前記流出路との連通を遮断する2次シール部と、
    を備える薬液容器と、
    当該密閉型薬液容器が装着され、前記第1の隔室を外部から押圧する押圧部材及び当該押圧部材を作動させて前記第1の膨出部分に外力を与え、前記プレートに接している前記第1の変形部を押し広げて前記2次シール部を前記プレートから剥離し、前記拡張部及び前記流出路を介して前記第1の隔室を前記第2の隔室に連通させて前記第1の隔室内の内容物を前記第2の隔室に供給する作動部と、
    を具備することを特徴とする検査装置。
  7. 前記薬液容器において、前記2次シール部は、剥離可能な帯状に形成され、この帯状の2次シール部が前記第1の変形部内に配置されていることを特徴とする請求項6の検査装置。
  8. 前記薬液容器において、前記2次シール部は、剥離可能な帯状に形成され、1以上の先鋭部或いは丸みを有する先頭部を有することを特徴とする請求項6の検査装置。
  9. 前記薬液容器において、前記第1の隔室に連通するように、前記シート状部材を前記プレート上に1次シールして形成された上流側の通路と、
    前記上流側の通路を介して前記第1の隔室に内容物を供給する為の供給口部と、
    この供給口部を開閉可能に塞ぐ第1の閉塞蓋と、
    を更に具備する請求項6の検査装置。
  10. 前記薬液容器は、
    前記第2の隔室に連通するように、前記シート状部材を前記プレート上に1次シールして形成された下流側の通路と、
    前記下流側の通路に連通され、前記第1の隔室内の前記内容物を外部に排出する排出口部と、
    この排出口部を開閉可能に塞ぐ第2の閉塞蓋と、
    を更に具備し、
    前記第1及び第2閉塞蓋で前記供給口部及び前記排出口部を閉塞して前記第1隔室、前記上流側及び下流側の通路を含む容器内空間を密閉することを特徴とする請求項9の検査装置。
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