JP7107259B2 - アワビ類用餌料及びアワビ類用餌料の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、アワビ類用餌料及びアワビ類用餌料の製造方法に関する。
アワビ類の養殖には、育成カゴを湾内に吊るして行う海面養殖と、内陸のコンクリート水槽などに海水を引き入れて陸上で行う陸上養殖とがある。陸上養殖は、海面養殖と比較して、気候、気象等の影響を受けにくく、飼育環境を制御できるため、安定してアワビ類を生産できるというメリットがある。
陸上養殖の一つとして、海水を循環ろ過して行う閉鎖循環式陸上養殖があり、実用化もなされている。例えば、非特許文献1には、アワビの養殖において海水を再利用する閉鎖循環式陸上養殖が実用化されていることが記載されている。
陸上養殖では、内陸に設置した水槽やコンクリート水槽にアワビ類の稚貝を入れ、餌料を与え出荷サイズになるまで育成を行う。アワビ類の養殖に使用される餌料としては、天然海藻及び市販の配合飼料がある。天然海藻は安価であり、アワビ類の養殖の大部分の餌料は天然海藻である。しかし、天然海藻には、近年磯焼けによって資源量が減少していること、天然のため栄養成分の組成が不安定であること、及び稚貝の成長が遅いこと、といった課題がある。一方、配合飼料は、栄養価が高く稚貝の成長に優れる反面、崩れやすいので水を汚し水質が低下しやすいという課題がある(非特許文献2)。特に、無脊椎動物であるアワビ類は、硬骨魚類と比べて水質に非常に敏感であるため、水質をいかに維持するかが重要である。水質が低下すると、稚貝の生残率が低下する場合がある。
辻洋一、「アワビ種苗生産開発 閉鎖循環式での実用化」、養殖ビジネス臨時増刊号「よくわかる!種苗生産と育種」、2014、p.103-106 原田恭行、熊谷敬之、小善圭一、横井健二、「異なる餌料で養殖したアワビF1交雑種の肉質の比較」、日本水産学会誌、2012、第78巻、第5号、p.945-950
本開示の一局面は、稚貝の成長及び生残率に優れた、アワビ類の養殖に適する新たな餌料及びその製造方法を提供する。
本開示の一態様は、コッコミクサ属に属する微細藻類を含有するアワビ類用餌料である。本開示の一態様のアワビ類用餌料は、稚貝の成長及び生残率に優れる。
本開示の一態様は、コッコミクサ属に属する微細藻類を培養し、培養した微細藻類を含有させたアワビ類用餌料を製造する、アワビ類用餌料の製造方法である。本開示の一態様のアワビ類用餌料の製造方法によれば、稚貝の成長及び生残率に優れるアワビ類用餌料を製造することができる。
TBARSの測定結果を示すグラフである。 ω3脂肪酸(ω3高度不飽和脂肪酸)の測定結果を示すグラフである。 図3(a)は旨味成分の測定結果を示すグラフ、図3(b)は甘味成分の測定結果を示すグラフ、図3(c)は苦味成分の測定結果を示すグラフである。 各成分の含有量の測定結果を示すレーダーチャートである。
本開示の一態様のアワビ類用餌料は、コッコミクサ(Coccomyxa)属に属する微細藻類(以下、単に微細藻類ともいう)を含有する。
本発明者の検討によれば、本開示の一態様のアワビ類用餌料は、稚貝の成長及び生残率に優れている。また、本発明者の検討によれば、本開示の一態様のアワビ類用餌料を用いて養殖されたアワビ類は、肉質中における、機能性成分である、α-リノレン酸等のω3脂肪酸の含有量が多い。また、本発明者の検討によれば、本開示の一態様のアワビ類用餌料を用いて養殖されたアワビ類は、その肉質中における、旨味成分及び甘味成分の含有量が多い。さらに、本発明者の検討によれば、本開示の一態様のアワビ類用餌料を用いると、アワビ類の免疫力が高い。
以下、本開示の一態様のアワビ類用餌料及びその製造方法について詳細に説明する。
[アワビ類用餌料]
アワビ類用餌料は、アワビ類の養殖に好適に使用することができる。本開示中のアワビ類とは、軟体動物門腹足網に属する巻貝類の総称である。アワビ類には、磯根資源である、クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ、エゾアワビ等のアワビ属類、トコブシ等のトコブシ属類など、水産産業上、重要とされる巻貝類が含まれる。
コッコミクサ属に属する微細藻類としては、コッコミクサ属に属するあらゆる株を用いることができる。コッコミクサ属に属する株としては、Coccomyxa sp. KJ株(以下、KJ株という)が好ましい。KJ株は、2013年6月4日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(IPOD)に受託番号FERM P-22254として寄託され、更に2015年6月2日付で受託番号FERM BP-22254としてブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管されている。なお、KJ株は、従前はシュードココミクサ(Pseudococcomyxa)属に分類されていたが、現在はコッコミクサ属に分類されている。
微細藻類は、乾燥させた状態で2質量%以上5質量%以下のα-リノレン酸を含有することが好ましい。すなわち、培養した微細藻類を乾燥させて得られる乾燥粉末において、2質量%以上5質量%以下のα-リノレン酸を含有することが好ましい。α-リノレン酸をこのような量で含有するアワビ類用餌料を使用して養殖されたアワビ類は、後述する実施例で示すように、α-リノレン酸を多量に含有することが判明している。これは、アワビ類用餌料に含まれるα-リノレン酸がアワビに取り込まれたためと考えられる。α-リノレン酸は必須脂肪酸の一つであり、血圧低下等の健康効果を有すると言われている。よって、このような量のα-リノレン酸を含有する微細藻類を使用したアワビ類用餌料を用いて養殖することで、高い健康効果が期待されるアワビ類を産生することができる。このような量のα-リノレン酸を含有する微細藻類は、窒素が欠乏しない状態で培養することで得ることができる。微細藻類の培養方法については後に詳述する。
アワビ類用餌料の形状は特に限定されないが、固体状であることが好ましい。微細藻類を使用した餌料の形状としては、例えば、微細藻類を培養した培養液を濃縮して得られる濃縮液も考えられる。しかし、着底した稚貝、特に殻長が2mm程度以上に成長した稚貝は、固形状の餌料を歯舌で剥ぎ取りながら摂餌する性質を有するため、アワビ類用餌料としては固体状の方が好ましい。アワビ類用餌料の具体的な形状としては、ペレット状又はゼリー状が挙げられる。アワビ類用餌料には、必要に応じて粘結剤等の添加剤を添加してもよい。
[アワビ類用餌料の製造方法]
アワビ類用餌料の製造方法では、コッコミクサ属に属する微細藻類を培養し、培養した微細藻類を含有させたアワビ類用餌料を製造する。具体的には、培養した微細藻類を用いてアワビ類用餌料の所望の形状に成形する。以下、アワビ類用餌料の製造方法について詳細に説明する。
<微細藻類の培養>
コッコミクサ属に属する微細藻類の培養には、微細藻類の培養に通常使用されている培地を使用することができる。具体的には、各種栄養塩、微量金属の塩、ビタミン等を含む、公知の淡水産微細藻類用の培地又は海産微細藻類用の培地等を使用することができる。栄養塩としては、例えば、NaNO、KNO、NHCl、尿素等の窒素源、KHPO、KHPO、グリセロリン酸ナトリウム等のリン源が挙げられる。微量金属としては、例えば、鉄、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛等が挙げられる。ビタミンとしては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB12等が挙げられる。
具体的な培地としては、例えば、AF-6培地が挙げられる。AF-6培地の組成は以下のとおりである。以下の数値は100mlの培地に含まれる質量である。
NaNO3:14 mg
NH4NO3:2.2 mg
MgSO4・7H2O:3 mg
KH2PO4:1 mg
K2HPO4:0.5 mg
CaCl2・2H2O:1 mg
CaCO3:1 mg
Fe-citrate:0.2 mg
Citric acid:0.2 mg
Biotin:0.2 μg
Thiamine HCl:1 μg
Vitamin B6:0.1 μg
Vitamin B12:0.1 μg
Trace metals:0.5 mL
Distilled water:99.5 mL
培地は、必要に応じて硫酸等の酸を添加することによって、酸性に調整されることが好ましい。培地が酸性である場合、雑菌の繁殖を抑制することができる。培地のpHは、4以下であることが好ましく、3以上4以下であることがより好ましい。
コッコミクサ属に属する微細藻類の培養方法としては、例えば、通気条件でCO(二酸化炭素)の供給とともに攪拌を行う方法が挙げられる。その際、例えば、明暗サイクルをつけた光照射、又は、連続光照射を行って培養することができる。明暗サイクルとして、例えば、蛍光灯での12時間の光照射と、12時間の暗条件とを繰り返す明暗サイクル等が挙げられる。
コッコミクサ属に属する微細藻類は、窒素が欠乏しない状態で培養することが好ましい。具体的には、単位体積当たりの培地に含まれる窒素源の窒素の総質量に対して、当該単位体積当たりの培地中で培養されている微細藻類の質量、例えば乾燥状態での質量が、所定の値を超えないような条件で培養することが好ましい。
この所定の値とは、以下のようにして適宜設定される。微細藻類は、栄養素としての窒素が欠乏する状態で培養すると、トリグリセリドを主成分とするオイルを産生する。この
オイルは、藻類オイルとして、バイオ燃料、化粧品等の様々な分野での利用が期待されているものである。一方、栄養素としての窒素が欠乏しない状態で培養すると、微細藻類はこのようなオイルを産生しなくなる。上記所定の値は、その値を上回ると、微細藻類がオイルを産生するようになる、窒素が欠乏した状態となる条件である。窒素が欠乏しない状態で培養した場合には、微細藻類は、オイルを産生しないかわりに、α-リノレン酸を多く産生するという特徴を有する。
窒素が欠乏しない状態での培養としては、例えば、N/DWが2質量%以上の条件を維持して培養することが好ましい。ここで、Nとは、単位体積当たりの培地に添加した窒素源の窒素の総質量であり、DWとは、当該単位体積当たりの培地に含まれる微細藻類の、乾燥状態における質量である。Nは、培地中に添加した窒素源及びその質量から求めることができる。DWは、例えば、培地の吸光度から求めることができる。具体的には、培地の、720nmの波長の光における吸光度を測定する。培地の吸光度と、単位体積当たりの培地から水を取り除き乾燥させて得られる微細藻類の粉末の質量との関係を、検量線としてあらかじめ求めておく。DWは、この検量線に基づき、測定した吸光度から求めることができる。N/DWが2質量%以上の、窒素が欠乏しない状態を維持して培養すると、上述のとおりα-リノレン酸を多量に含有する微細藻類が得られる。
窒素が欠乏しない状態で培養する方法としては、例えば、最初に培地に添加した窒素源の窒素の総質量に対し、培地中で培養されている微細藻類の質量が、上記所定の値となる前に、培地から微細藻類を取り出す方法が挙げられる。
<アワビ類用餌料の成形>
培養した微細藻類を用いてアワビ類用餌料の所望の形状に成形する。
まず、培養した微細藻類を、培地に含まれる水の少なくとも一部を除去して濃縮する。濃縮は、例えば、遠心分離、膜分離等の方法で行うことができる。次に、濃縮した微細藻類を乾燥させることで乾燥粉末を得る。そして、得られた微細藻類の乾燥粉末を用いてアワビ類用餌料の所望の形状に成形する。例えば、ペレットミル又はエクストルーダーを使用して造粒することで、ペレット状のアワビ類用餌料を製造することができる。また、寒天等に微細藻類の乾燥粉末を混合して固めることで、ゼリー状のアワビ類用餌料を製造することができる。
[1.アワビ類用餌料の製造]
以下の手順で、KJ株を培養した。
(1)AF-6培地を調製した。培地のpHは3.5に調整した。
(2)121℃、20minの条件で培地を滅菌し、KJ株を植藻した。
(3)2%COを通気した。
(4)光を照射しながら室温にて培養した。光の強さは約100μmol/m2・s、室温は25℃とした。また、上述のとおり、窒素が欠乏しない状態を維持して培養した。
培養終了後、培地に含まれる水の一部を遠心分離により除去して濃縮し、得られた濃縮液を乾燥させた。
その後、得られた乾燥粉末を用いて、ペレット状のアワビ類用餌料、及びゼリー状のアワビ類用餌料を製造した。ペレット状のアワビ類用餌料は、ペレットミルダイスローラーを用いて、直径2mm、長さ6mmのペレット状に成形することで製造した。得られたペレット状のアワビ類用餌料中の微細藻類の含有割合は、100質量%であった。ゼリー状のアワビ類用餌料は、水70gに寒天粉末2gと微細藻類の乾燥粉末5gとを添加して混合し、固めることによって製造した。得られたゼリー状のアワビ類用餌料中の微細藻類の含有割合は、6.5質量%であった。
[2.給餌試験]
以下の4つの区に分けて、それぞれ、隠れ場を用意した120Lの水槽に、殻長32mm程度、総質量3.7g以上3.8g以下の稚アワビ(メガイアワビ)を100個体収容し、生海水を使用して掛け流し方式で飼育した。生海水の塩分濃度は32psu、水温は15℃以上20℃以下であった。また、生海水の回転率は15回転以上20回転以下/日とした。各区において、2日に1回、1回20gで給餌した。飼育は6ヶ月間行い、総給餌量は1800gであった。また、給餌の前にその都度、サイホンにより水槽の底面の沈んでいる残餌等の汚れを取り除いた。
(i)海藻区
対照区として、餌料に、乾燥したアラメ及びカジメを海水に戻したものを使用した。
(ii)ペレット区
実施例として、餌料に、製造したペレット状のアワビ類用餌料を使用した。
(iii)ゼリー区
実施例として、餌料に、製造したゼリー状のアワビ類用餌料を使用した。
(iv)配合飼料区
比較例として、餌料に、一般的な市販のアワビ用配合飼料を使用した。
飼育成績を下記表1に示す。
Figure 0007107259000001
表1に示すとおり、ペレット区及びゼリー区では、対照区の海藻区よりも、殻長及び体重が大きいアワビが得られ、アワビの成長に優れていた。一方、ペレット区及びゼリー区では、配合飼料区と比べると、アワビの成長は小さかったが、生残率については優れていた。生残率が高いと出荷個数が増やせるため好ましい。配合飼料区で生残率が低かったのは、配合飼料が水中で崩れ、細粉化した飼料がアワビの鰓に詰まったためと考えられる。なお、アワビの総生産量は、対照区の海藻区が最も低く、ペレット区、ゼリー区及び配合飼料区は同程度となった。
[3.アワビのTBARSの測定]
以下の手順で、各区で得られたアワビの可食肉についてTBARSを測定した。TBARSの測定には、Oxford Biomedical Research社製のFood TBARS Assayキットを使用した。なお、TBARSは、2-チオバルビツール酸反応性物質の略であり、酸化ストレスに応答して濃度が上昇する物質の総称である。得られたTBARSの測定値が低いほど、酸化ストレスに強く免疫力が高いことを示す。
(1)アワビの可食肉から5gのサンプルを正確に量り取り、蒸留水を5ml加えてホ
モジナイザーでホモジナイズした。
(2)蒸留水5mlを使用して容器の内側及びホモジナイザーを洗浄し、洗浄液をサンプルの溶液に添加し、計10mlの試料溶液とした。
(3)試料溶液1mlを分取し、指示薬1mlを加え、攪拌した。
(4)指示薬を加えた試料溶液を、室温で60分間静置し、反応させた。
(5)反応後の試料溶液を、遠心力15000×g、及び温度22℃以上25℃以下の条件で、5分間遠心分離し、上澄み液を採取した。
(6)上澄み液について、波長532nmの光の吸光度を測定した。
(7)標準試薬で作製した検量線と比較し、TBARSの測定値を算出した。
測定結果を図1に示す。図1に示すとおり、ペレット区及びゼリー区では、対照区の海藻区及び配合飼料区よりもTBARSの測定値が低く、免疫力が高いアワビが産生された。
[4.アワビのω3脂肪酸の測定]
以下の手順で、各区で得られたアワビの可食肉に含まれる脂肪酸組成中のω3脂肪酸の含有割合を測定した。
(1)アワビの可食肉のサンプルをミキサーでミンチにした。
(2)200mlの三角フラスコに、ミンチにしたサンプルの所定量を量り取り、クロロホルム:メタノール=2:1の溶液を100ml加え、攪拌しながら、65℃で1時間抽出した。
(3)得られた抽出液を放冷した後ろ過し、ろ液の液体をエバポレーターで留去した。
(4)留去して得られた残渣に、石油エーテル50mlを加えた後、適量の硫酸ナトリウムを加え、よく攪拌して静置した。
(5)上澄み液1mlを分取してネジ口試験管へ入れ、エバポレーターで乾固し、測定試料とした。
(6)測定試料について、GCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を使用してω3脂肪酸の含有割合を測定した。測定の前処理として、ナカライテスク社製の脂肪酸メチル化キットを使用して測定飼料についてメチル化を行った。GCMS測定前のクリーンアップには、ナカライテスク社製のメチル化脂肪酸精製キットを使用した。
測定結果を図2に示す。図2中、縦軸の単位は、得られた測定試料に含まれる、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)の各ω3脂肪酸、及びこれらの合計の質量割合である。図2に示すとおり、ペレット区及びゼリー区では、α-リノレン酸の含有割合が顕著に高く、ω3脂肪酸の含有割合が高いアワビが産生された。
[5.アワビの味の評価]
以下の手順で、アワビの可食肉に含まれる遊離アミノ酸の含有量を測定した。
(1)所定量のアワビの可食肉のサンプルに、0.1Mの塩酸10mlを加え、ホモジナイザーでホモジナイズした。
(2)サンプルの溶液について、遠心分離を行い、静置した後、上澄み液を分取した。
(3)上澄み液にヘキサンを加え、よく攪拌してからヘキサンを取り除くことにより、脱脂を行った。この工程を3回繰り返して行った。
(4)脱脂後の溶液200μLに600μLのアセトニトリルを加え、遠心分離を行っ
た。上澄み液を回収し、測定試料とした。なお、この工程は、タンパク質を除去するために行った。
(5)Waters社製の誘導体化試薬キット「AccQ Tag Ultra Derivatization Kit」を使用して、遊離アミノ酸のHPLC(高速液体クロマトグラフ)分析を行った。
測定結果を図3に示す。図3(a)は、測定された遊離アミノ酸のうち、アワビにおける旨味成分に該当する、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、及びロイシンの合計含有量である。図3(b)は、測定された遊離アミノ酸のうち、アワビにおける甘味成分に該当する、アルギニン、グリシン、タウリン、アラニン、セリン、及びグルタミンの合計含有量である。図3(c)は、測定された遊離アミノ酸のうち、アワビにおける苦味成分に該当する、リジン、チロシン、メチオニン、バリン、イソロイシン、及びフェニルアラニンの合計含有量である。
図3に示すとおり、ペレット区及びゼリー区では、旨味成分及び甘味成分が対照区の海藻区及び配合飼料区よりも多く、苦味成分は配合飼料区よりも少なかった。
[6.総合評価]
図4に、機能性成分、旨味成分、甘味成分、及び苦味成分の含有量について、対照区の海藻区を基準として、ペレット区、ゼリー区及び配合飼料区の各区がどの程度含有しているかを表すレーダーチャートを示す。なお、機能性成分とは、上記項目4のアワビのω脂肪酸の測定で得られたω3脂肪酸の含有量と、上記項目5の遊離アミノ酸の測定で得られた、GABA(γ-アミノ酪酸)及びタウリンの含有量との合計含有量である。なお、ω3脂肪酸及びGABAは血圧低下等の健康効果が期待される機能性成分であり、タウリンは疲労回復等の健康効果が期待される機能性成分である。
図4に示すとおり、ペレット区及びゼリー区は、旨味成分、甘味成分及び機能性成分が、対照区の海藻区及び配合飼料区と比べて多かった。

Claims (5)

  1. コッコミクサ属に属する微細藻類を含有するアワビ類用餌料。
  2. 前記微細藻類は、乾燥させた状態で2質量%以上5質量%以下のα-リノレン酸を含有する、請求項1に記載のアワビ類用餌料。
  3. 固体状である、請求項1又は請求項2に記載のアワビ類用餌料。
  4. コッコミクサ属に属する微細藻類を培養し、
    培養した前記微細藻類を含有させた材料をゼリー状としてアワビ類用餌料を製造する、アワビ類用餌料の製造方法。
  5. 前記微細藻類を、培地中の窒素が欠乏しない状態で培養する、請求項4に記載のアワビ類用餌料の製造方法。
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