JP7106930B2 - 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム - Google Patents

沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム Download PDF

Info

Publication number
JP7106930B2
JP7106930B2 JP2018061134A JP2018061134A JP7106930B2 JP 7106930 B2 JP7106930 B2 JP 7106930B2 JP 2018061134 A JP2018061134 A JP 2018061134A JP 2018061134 A JP2018061134 A JP 2018061134A JP 7106930 B2 JP7106930 B2 JP 7106930B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
gas
valve
channel
soc
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018061134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019175636A (ja
Inventor
知寿 若杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2018061134A priority Critical patent/JP7106930B2/ja
Publication of JP2019175636A publication Critical patent/JP2019175636A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7106930B2 publication Critical patent/JP7106930B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)
  • Fluid-Driven Valves (AREA)
  • Details Of Valves (AREA)
  • Multiple-Way Valves (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式CO2分離器、SOFCシステム、SOECシステム、及びR-SOCシステムに関し、さらに詳しくは、ガスの流通・遮断を行うためのシール部材を沸騰冷却流路により冷却する沸騰冷却式バルブ、このような沸騰冷却式バルブを用いた沸騰冷却式CO2分離器、並びに、このような沸騰冷却式CO2分離器を用いたSOFCシステム、SOCシステム、及びR-SOCシステムに関する。
CO2、H2、アンモニアなどの特定のガス成分を可逆的に吸収・放出することが可能な各種の材料(以下、これらを総称して「反応材」ともいう)が知られている。このような反応材は、いずれも吸収時には発熱を伴い、放出時には吸熱を伴う。そのため、反応材は、このような特性を利用して、
(a)固体酸化物型燃料電池の排ガス処理装置、
(b)水素を可逆的に吸蔵・放出するための水素貯蔵・供給装置、
(c)排熱を化学エネルギーとして蓄えるための化学蓄熱装置
などに応用されている。
しかしながら、反応材は、一般に、ガス成分の吸収・放出を繰り返すと、吸収・放出特性が劣化するという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、リチウムシリケートを含む炭酸ガス吸収材を用いて炭酸ガスを可逆的に吸蔵・放出する場合において、炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させる方法が開示されている。
同文献には、
(a)リチウムオルトシリケートを含有する炭酸ガス吸収材にアルカリ炭酸塩を添加すると、炭酸ガスの吸収速度を高めることはできるが、炭酸リチウムとアルカリ炭酸塩が共晶を形成し、炭酸リチウムが溶出しやすくなる点、
(b)炭酸リチウムの溶出が炭酸ガスの吸収性能の劣化の一因となっている点、及び、
(c)炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させると、溶出した炭酸リチウムが補われるために炭酸ガス吸収材を良好に再生することが可能となる点、
が記載されている。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いた発電システムにおいて、通常、SOFCに供給される燃料のすべてが発電に利用されることはなく、未反応の燃料がSOFCから排出される。この未反応の燃料を有効利用するために、SOFCのアノードオフガスをアノード流路に戻すアノードオフガス循環式発電システムが提案されている。
アノードオフガス循環式発電システムにおいて、循環ガス中の反応生成物(CO2、H2O)の濃度が増大すると、濃度分極の増加により発電起電力が低下する。そのため、循環ガス中の反応生成物の除去が必要となる。一方、循環ガスは、可燃成分に加えて、顕熱も持つ。そのため、アノードオフガスを循環させることにより、アノードオフガスの顕熱も再利用することができ、系外への放熱量が低減し、発電効率を向上させることが可能となる。
この点は、固体酸化物形電解セル(SOEC)を用いた電解システムも同様であり、電解効率を向上させるためには、カソードオフガス循環を行い、カソードオフガスに含まれる原料成分(CO2)と顕熱とを有効利用することが好ましい。そのためには、高温の循環ガスからCO2を分離することが必要不可欠となる。
高温のガスからCO2を分離するための装置として、CO2吸収材を用いたバッチ切替式のCO2分離器が知られている。バッチ切替式のCO2分離器では、
(a)CO2吸収材を備えた反応流路層にCO2を含むガスを供給し、CO2吸収材にCO2を吸収させる動作と、
(b)反応流路層にパージガスを供給し、CO2吸収材からCO2を放出させる動作と
が交互に繰り返される。
CO2吸収材には、最適なCO2の吸収温度及び放出温度がある。そのため、バッチ切替式のCO2分離器においては、反応流路層に隣接して、熱交換媒体を流すための媒体流路層が設けられている。媒体流路層に高温の熱交換媒体を流すと、媒体流路層と反応流路層との間で熱交換が行われ、反応流路層を最適な温度に維持することができる。
SOFC及びSOECの作動温度は700~800℃であるため、バッチ切替式のCO2分離器を用いてオフガスを処理するためには、高温耐熱バルブが必要となる。しかし、高温耐熱バルブは、低・中温用バルブと比較してコストが高い。また、従来の高温耐熱バルブは、長期連続使用が困難であり、耐久性に問題があった。
特開2004-098018号公報
本発明が解決しようとする課題は、CO2を含む高温のガスからCO2を分離することが可能であり、安価で耐久性に優れた沸騰冷却式CO2分離器、及び、これに用いられる沸騰冷却式バルブを提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような沸騰冷却式CO2分離器を用いたSOFCシステム、SOECシステム、及び、R-SOCシステムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る沸騰冷却式バルブは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記沸騰冷却式バルブは、
ガスの流通経路を備えたハウジング部と、
シャフトに、前記流通経路の切り替えを行うためのバルブが接合されたバルブ部と、
前記ハウジング部のシール面(A)と、前記シール面(A)に着座する前記バルブのシール面(B)との間に挿入されたシール部材と、
前記シール部材を冷却するための沸騰冷却手段と、
前記シャフトの軸方向に沿って前記バルブ部を摺動させるための駆動手段と
を備えている。
(2)前記沸騰冷却手段は、
前記ハウジング部の前記シール面(A)の直下であって、前記シール部材との接触面の近傍に形成された沸騰冷却流路(A)と、
前記沸騰冷却流路(A)に水を供給し、かつ、前記沸騰冷却流路(A)から沸騰水を排出するための冷媒流路(A)と、
前記バルブの前記シール面(B)の直下であって、前記シール部材との接触面の近傍に形成された沸騰冷却流路(B)と、
前記沸騰冷却流路(B)に水を供給し、かつ、前記沸騰冷却流路(B)から沸騰水を排出するための冷媒流路(B)と、
を備えている。
本発明に係る沸騰冷却式CO2分離器は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記沸騰冷却式CO2分離器は、
CO2を吸収・放出するためのCO2吸収材を備えた反応流路層と、
熱交換媒体を流通させることにより、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体流路層と、
前記反応流路層にCO2を含むガス又はパージガスのいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第1切替バルブと、
前記媒体流路層に第1熱交換媒体又は第2熱交換媒体のいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第2切替バルブと
を備えている。
(2)前記第1切替バルブ及び前記第2切替バルブは、それぞれ、本発明に係る沸騰冷却式バルブからなる。
本発明に係るSOFCシステムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記SOFCシステムは、
燃料から電力を生成する固体酸化物形燃料電池(SOFC)と、
前記SOFCのアノードオフガス(Aout)からCO2を分離するCO2分離器と、
前記CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)に含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器と、
前記水蒸気の全部又は一部が分離された前記Boutを前記SOFCのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と
を備えている。
(2)前記CO2分離器は、本発明に係る沸騰冷却式CO2分離器からなる。
本発明に係るSOECシステムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記SOECシステムは、
2O及びCO2から合成ガスを生成させる固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
前記SOECのカソードオフガス(A'out)からCO2を分離する第1CO2分離器と、
前記第1CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器と、
CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2を前記SOECに供給する第2CO2分離器と、
前記SOECに電解用のH2Oを供給する蒸発器と、
前記SOECのカソードオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造する燃料製造器と、
前記第1CO2分離器のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)を前記SOECのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
を備えている。
(2)前記第1CO2分離器及び前記第2CO2分離器は、それぞれ、本発明に係る沸騰冷却式CO2分離器からなる。
本発明に係るR-SOCシステムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記R-SOCシステムは、
燃料から電力を生成するSOFCモードと、H2O及びCO2から合成ガスを生成させるSOECモードとを切替可能なリバーシブルSOC(R-SOC)と、
前記R-SOCのオフガス(Aout又はA'out)からCO2を分離する第1CO2分離器と、
前記第1CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器と、
前記Boutに含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器と、
前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2を前記R-SOCに供給する第2CO2分離器と、
前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記R-SOCに電解用のH2Oを供給する蒸発器と、
前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記R-SOCのオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造し、貯蔵する燃料製造・貯蔵手段と、
前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記第1CO2分離器のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)を前記R-SOCのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
前記R-SOCが前記SOFCモードにある時に、前記水蒸気の全部又は一部が分離された前記Boutを前記R-SOCのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と、
前記R-SOCが前記SOFCモードにある時に、貯蔵された前記炭化水素を前記R-SOCに供給する燃料供給手段と
を備えている。
(2)前記第1CO2分離器及び前記第2CO2分離器は、それぞれ、本発明に係る沸騰冷却式CO2分離器からなる。
ガスの流通経路を備えたハウジング部と、流通経路の切り替えを行うためのバルブ部とを備えた高温耐熱バルブにおいて、ハウジング部のシール面(A)と、シール面(A)が着座するバルブのシール面(B)との間にシール部材を挿入し、シール部材を介してシール面(A)にシール面(B)を着座させると、相対的に小さな駆動力でガスの流通・遮断を行うことができる。
また、シール面(A)及びシール面(B)の直下に、それぞれ、沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)を設けると、シール部材のみを選択的に冷却することができる。そのため、安価なシール部材を用いることができ、耐久性にも優れている。また、ガスの温度を過度に低下させることなく、ガスの流通・遮断を行うことができる。
このような構造を備えた沸騰冷却式バルブをバッチ切替式のCO2分離器に適用すると、高価なシール部材を用いることなく、CO2を含む高温のガスからCO2を分離することができる。また、このような沸騰冷却式CO2分離器をSOFCシステム、SOECシステム、あるいは、R-SOCシステムに適用すると、オフガスに含まれる燃料成分(炭化水素、H2、CO)又は原料成分(CO2)だけでなく、オフガスの顕熱も有効利用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブの側面断面図(図1(A))、及び正面断面図(図1(B))である。 断熱部を備えた沸騰冷却式バルブの第1バルブ近傍の拡大断面図(図2(A):バルブ開、図2(B):バルブ閉)である。 本発明の第2の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブの側面断面図(図3(A))、及び正面断面図(図3(B))である。
本発明の第1の実施の形態に係る沸騰冷却式CO2分離器の平面図(図4(A))、及びB-B’線断面図(図4(B))である。 本発明の第2の実施の形態に係る沸騰冷却式CO2分離器の平面図(図5(A))、及びB-B’線断面図(図5(B))である。 本発明の第1の実施の形態に係るSOFCシステムの模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係るSOFCシステムの模式図である。
本発明に係るSOECシステムの模式図である。 本発明に係るR-SOCシステムの模式図である。 沸騰冷却効果の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルである。 沸騰冷却流路がない場合(左図)及び沸騰冷却流路がある場合(右図)のバルブ部/ハウジング部のシール部材付近の温度である。 沸騰冷却流路がある場合のバルブオープン時(左図)、及びバルブクローズ時(右図)のシール部材付近の温度である。
バルブ部及びハウジング部に断熱部がない場合(左図)、及び断熱部がある場合(右図)のシール部材近傍の温度である。 沸点温度と蒸気圧力との関係を示す図である。 沸点、ハウジング部材のシール面(B)の表面温度、及びシール部材の温度の沸騰冷却蒸気圧力依存性を示す図である。 伝熱面積の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルである。 SOFCシステムにおけるバルブ流路直径と伝熱面積との関係を示す図である。
SOFCのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す図である。 SOFCのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す図である。 SOFCのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す図である。 SOFCのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す図である。 伝熱面積の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルである。
SOECシステムにおけるバルブ流路直径と伝熱面積との関係を示す図である。 SOECのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す図である。 SOECのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す図である。 SOECのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す図である。 SOECのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 沸騰冷却式バルブ(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブの側面断面図(図1(A))、及び正面断面図(図1(B))を示す。
図1において、沸騰冷却式バルブ10aは、
ガスの流通経路を備えたハウジング部20と、
シャフト42に、前記流通経路の切り替えを行うためのバルブ(第1バルブ44、第2バルブ46)が接合されたバルブ部40と、
ハウジング部20のシール面(A)と、シール面(A)に着座するバルブ(第1バルブ44、第2バルブ46)のシール面(B)との間に挿入されたシール部材(第1シール部材52、第2シール部材54)と、
シール部材(第1シール部材52、第2シール部材54)を冷却するための沸騰冷却手段(図示せず)と、
シャフト42の軸方向に沿ってバルブ部40を摺動させるための駆動手段(図示せず)と
を備えている。
[1.1. ハウジング部]
ハウジング部20は、シャフト42の軸方向に沿ってバルブ部40が摺動可能となるように、バルブ部40を収容するためのものである。ハウジング部20内には、ガスの流通経路が設けられており、バルブ部40をシャフト42の軸方向に沿って摺動させることにより、ガスの流通経路を開状態(ガスが流通している状態)又は閉状態(ガスの流通が遮断されている状態)のいずれか一方に切り替えることができる。
ハウジング部20は、1種類のガスの流通・遮断を行うものでも良く、あるいは、2種類のガスの流通・遮断を行うものでも良い。図1に示す例は、後者の例である。
図1において、ハウジング部20は、
第1ガスを導入又は排出するための第1室22と、
第2ガスを導入又は排出するための第2室24と、
第1室22と第2室24との間に設けられた、第1ガス又は第2ガスを排出又は導入するための第3室26と
を備えている。
第1室22と第3室26との間の第1隔壁28には第1貫通穴28aが設けられ、第1貫通穴28aの内表面又は周囲には第1シール面(A)が設けられている。
同様に、第2室24と第3室26との間の第2隔壁30には第2貫通穴30aが設けられ、第2貫通穴30aの内表面又は周囲には第2シール面(A)が設けられている。
なお、図1では、第1貫通穴28aが逆テーパ状になっており、第1貫通穴28aの内表面すべてが第1シール面(A)になっているが、これは単なる例示である。ガスの流通を確実に遮断できる限りにおいて、第1貫通穴28aの内表面の一部が第1シール面(A)であっても良く、あるいは、第1貫通穴28aの周囲に第1シール面(A)が形成されていても良い。これらの点は、第2貫通穴30aと第2シール面(A)との関係についても同様である。
第1室22には、第1ガス導入・排出口22aが設けられている。また、第2室24には、第2ガス導入・排出口24aが設けられている。さらに、第3室26の一端には開口部26aが設けられている。
そのため、バルブ部40をシャフト42の軸方向に沿って摺動させると、
(a)第1室22から供給される第1ガス、又は第2室24から供給される第2ガスのいずれか一方を第3室26の開口部26aから排出し、あるいは、
(b)第3室26の開口部26aから供給される第1ガス又は第2ガスを、第1室22又は第2室24のいずれか一方に排出することができる。
[1.2. バルブ部]
バルブ部40は、ハウジング部20内にあるガスの流通経路を開状態又は閉状態のいずれか一方に切り替えるためのものである。バルブ部40を用いたガスの流通経路の遮断は、具体的には、バルブのシール面(B)をハウジング部のシール面(A)に着座させることにより行う。バルブ部40は、シャフト42に1個のバルブが接合されているものでも良く、あるいは、2個のバルブが接合されているものでも良い。図1に示す例は、後者の例である。
図1において、バルブ部40は、
シャフト42と、
シャフト42に接合された、第1シール面(B)を備えた第1バルブ44と、
シャフト42に接合された、第2シール面(B)を備えた第2バルブ46と、
を備えている。
第1バルブ44は、シャフト42の先端に接合されている。第2バルブ46は、シャフト42の中間部であって、第1バルブ44よりもやや上方の位置に接合されている。
第1バルブ44は、下に凸のテーパ状になっており、テーパ面が第1シール面(B)として機能する。一方、第2バルブ46は、上に凸のテーパ状になっており、テーパ面が第2シール面(B)として機能する。さらに、第1バルブ44及び第2バルブ46は、第3室26内において上下に移動可能になっている。
第1バルブ44の第1シール面(B)を第1隔壁28の第1シール面(A)に着座させると、第1バルブ44側が閉となり、第2バルブ46側が開となる。そのため、第2室24と第3室26との間で第2ガスを流通させることができる。
逆に、第2バルブ46の第2シール面(B)を第2隔壁30の第2シール面(A)に着座させると、第2バルブ46側が閉となり、第1バルブ44側が開となる。そのため、第1室22と第3室26との間で第1ガスを流通させることができる。
[1.3. シール部材]
シール部材は、ガスの流通経路を遮断するためのものである。高温で使用することが可能なシール部材は、一般に高価である。また、耐熱性の高いシール部材であっても、高温において長期間連続使用すると耐久性が低下する。
これに対し、本発明においては、沸騰冷却手段を備えているため、シール部材の過度の温度上昇を抑制することができる。そのため、安価な材料(例えば、PEEK)からなるシール部材を使用することができる。また、シール部材を用いることによって、相対的に小さな駆動力でガスの流通経路の遮断を確実に行うことができる。
シール部材は、バルブの数だけ必要となる。図1において、第1隔壁28の第1シール面(A)と、第1バルブ44の第1シール面(B)との間には、第1シール部材52が挿入されている。また、第2隔壁30の第2シール面(A)と、第2バルブ46の第2シール面(B)との間には、第2シール部材54が挿入されている。
なお、図1において、第2シール部材54は、第2バルブ46の第2シール面(B)上に固定されているが、第2隔壁30の第2シール面(A)上に固定されていても良い。この点は、第1シール部材52も同様である。
[1.4. 沸騰冷却手段]
「沸騰冷却手段」とは、高温に加熱された沸騰冷却流路に水を供給し、沸騰冷却流路内で水蒸気を含む熱水(沸騰水)を生成させ、沸騰水を沸騰冷却流路から排出することにより、沸騰冷却流路の近傍にある対象物を水冷時よりも高い熱伝達率により冷却するための手段をいう。
本発明において、沸騰冷却手段は、シール部材を冷却するために用いられる。バルブが閉状態にある場合、シール部材は、ハウジング部20のシール面(A)とバルブ部40のシール面(B)との間で狭持される。そのため、沸騰冷却手段は、ハウジング部20側及びバルブ部40側の双方に設けられている。また、シール部材が複数個ある場合には、沸騰冷却手段は、シール部材ごとに設けられる。
図1において、沸騰冷却式バルブ10aは、第1シール部材52及び第2シール部材54を備えているため、2組の沸騰冷却手段を備えている。
[1.4.1. 第1シール部材52側の沸騰冷却手段]
第1シール部材52の近傍に設けられたハウジング部20側の沸騰冷却手段は、
(a)第1隔壁28の第1シール面(A)の直下であって、第1シール部材52との接触面の近傍に形成された第1沸騰冷却流路(A)(図示せず)と、
(b)第1沸騰冷却流路(A)に水を供給し、かつ、第1沸騰冷却流路(A)から沸騰水を排出するための第1冷媒流路(A)(図示せず)と
を備えている。
ここで、「近傍」とは、沸騰冷却流路を用いてシール部材を所定の温度まで冷却することが可能な位置をいう。
第1隔壁28内には、第1冷媒流路(A)(図示せず)が形成されており、第1冷媒流路(A)を介して、第1沸騰冷却流路(A)への水の供給及び沸騰水の排出を行うようになっている。第1冷却流路(A)の構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
また、第1シール部材52の近傍に設けられたバルブ部40側の沸騰冷却手段は、
(a)第1バルブ44の第1シール面(B)の直下であって、第1シール部材52との接触面の近傍に形成された第1沸騰冷却流路(B)(図示せず)と、
(b)第1沸騰冷却流路(B)に水を供給し、かつ、第1沸騰冷却流路(B)から沸騰水を排出するための第1冷媒流路(B)(図示せず)と、
を備えている。
シャフト42内には、第1冷媒流路(B)(図示せず)が形成されており、第1冷媒流路(B)を介して、第1沸騰冷却流路(B)への水の供給及び沸騰水の排出を行うようになっている。第1冷媒流路(B)の構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
第1冷媒流路(B)の構造としては、例えば、
(a)内管に水が流れ、外管に沸騰水が流れるように構成された2重管式構造、
(b)水が流れる流路と沸騰水が流れる流路とが独立しているU字管式構造、
などがある。
2重管式構造の場合、内管と外管の間に緻密なセラミックスからなる断熱材が挿入されているのが好ましい。
[1.4.2. 第2シール部材54側の沸騰冷却手段]
第2シール部材54の近傍に設けられたハウジング部20側の沸騰冷却手段は、
(a)第2隔壁30の第2シール面(A)の直下であって、第2シール部材524の接触面の近傍に形成された第2沸騰冷却流路(A)(図示せず)と、
(b)第2沸騰冷却流路(A)に水を供給し、かつ、第2沸騰冷却流路(A)から沸騰水を排出するためめの第2冷媒流路(A)(図示せず)と
を備えている。
第2隔壁30内には、第2冷媒流路(A)(図示せず)が形成されており、第2冷媒流路(A)を介して、第2沸騰冷却流路(A)への水の供給及び沸騰水の排出を行うようになっている。第2冷却流路(A)の構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
また、第2シール部材54の近傍に設けられたバルブ部40側の沸騰冷却手段は、
(a)第2バルブ46の第2シール面(B)の直下であって、第2シール部材54との接触面の近傍に形成された第2沸騰冷却流路(B)(図示せず)と、
(b)第2沸騰冷却流路(B)に水を供給し、かつ、第2沸騰冷却流路(B)から沸騰水を排出するための第2冷媒流路(B)(図示せず)と、
を備えている。
シャフト42内には、第2冷媒流路(B)(図示せず)が形成されており、第2冷媒流路(B)を介して、第2沸騰冷却流路(B)への水の供給及び沸騰水の排出を行うようになっている。第2冷媒流路(B)の構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
また、第2冷媒流路(B)は、第1冷媒流路(B)と完全に独立していても良く、あるいは、第1冷媒流路(B)から分岐させたものでも良い。
[1.5. 駆動手段]
「駆動手段」とは、バルブ部40をシャフト42の軸方向に沿って摺動させる手段をいう。駆動手段としては、例えば、
(a)モーターや圧縮空気を用いてシャフト42を機械的に摺動させる機械的駆動手段、
(b)蒸気の圧力を用いてシャフト42を摺動させる蒸気駆動手段
などがある。
蒸気駆動手段の詳細については、後述する。
[1.6. 断熱部]
ハウジング部20及びバルブ部40は、全体が金属製であっても良い。しかし、沸騰冷却流路の近傍にセラミックス製の断熱部を設けると、沸騰冷却式バルブ10aを通過するガスの温度を過度に低下させることなく、シール部材の温度を下げることができる。
図2に、断熱部を備えた沸騰冷却式バルブ10aの第1バルブ44近傍の拡大断面図(図2(A):バルブ開、図2(B):バルブ閉)を示す。なお、図示はしないが、第2バルブ46も同様の構成を備えているのが好ましい。また、図2においては、見やすくするために、シール部材の図示が省略されている。
図2において、ハウジング部20は、
第1シール面(A)及び第1沸騰冷却流路(A)32aが形成された金属製の受部32と、
受部32の底面及び側面に接合された、セラミックス製の断熱部(A)34と
を備えている。
また、第1バルブ44は、
第1シール面(B)及び第1沸騰冷却流路(B)48aが形成された金属製の傘部48と、
傘部48の底面に接合された、セラミックス製の断熱部(B)50と
を備えている。
ハウジング部20の第1隔壁28に設けられた第1貫通穴28aの周囲には、断熱部(A)34及び受部32が埋め込まれている。断熱部(A)34は、凹型を呈しており、外底面及び外側面、並びに、内底面及び内側面が接合面になっている。断熱部(A)34は、接合面がメタライズ処理されており、ロウ付けにより第1隔壁28及び受部32と接合されている。受部32のすり鉢状の内表面が第1シール面(A)であり、第1シール部材(図示せず)との接触面の近傍には、第1沸騰冷却流路(A)32aが形成されている。
第1バルブ44は、円錐台状の傘部48と、円柱状の断熱部(B)50とを備えている。断熱部(B)50は、接合面がメタライズ処理されており、ロウ付けにより傘部48の底面に接合されている。傘部48の円錐面が第1シール面(B)であり、第1シール部材(図示せず)との接触面の近傍には、第1沸騰冷却流路(B)48aが形成されている。
[2. 沸騰冷却式バルブ(2)]
図3に、本発明の第2の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブの側面断面図(図3(A))、及び正面断面図(図3(B))を示す。
図3において、沸騰冷却式バルブ10bは、
ガスの流通経路を備えたハウジング部20と、
シャフト42に、前記流通経路の切り替えを行うためのバルブ(第1バルブ44、第2バルブ46)が接合されたバルブ部40と、
ハウジング部20のシール面(A)と、シール面(A)に着座するバルブ(第1バルブ44、第2バルブ46)のシール面(B)との間に挿入されたシール部材(第1シール部材52、第2シール部材54)と、
シール部材(第1シール部材52、第2シール部材54)を冷却するための沸騰冷却手段(図示せず)と、
シャフト42の軸方向に沿ってバルブ部40を摺動させるための駆動手段60と
を備えている。
[2.1. ハウジング部、バルブ部、シール部材、及び沸騰冷却手段]
ハウジング部20、バルブ部40、シール部材(第1シール部材52、第2シール部材54)、及び沸騰冷却手段の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[2.2. 駆動手段]
本実施の形態において、駆動手段60は、バルブ部40の冷媒流路(B)から排出される沸騰水に含まれる水蒸気の圧力を用いてシャフト42を摺動させる蒸気駆動手段からなる。この点が、第1の実施の形態とは異なる。
図3において、蒸気駆動手段60は、
ハウジング部20に隣接して設けられた蒸気バッファタンク62と、
シャフト42の基端に接合された、蒸気バッファタンク62内を摺動するピストン64と、
沸騰水をピストン64の一方の面側又は他方の面側に切り替えて排出することにより、ピストン64を摺動させる切替手段(第1開閉バルブV1~第4開閉バルブV4)と
を備えている。
蒸気バッファタンク62の内周面とピストン64の外周面との間には、シール部材66が挿入されている。ピストン64の上面には、第2シャフト70が接続されている。第2シャフト70は、蒸気バッファタンク62の上面を貫通しており、第2シャフト70と蒸気バッファタンク62の貫通穴との間にはシール部材72が挿入されている。さらに、第2シャフト70内には、シャフト42内の冷媒流路(B)に水を供給するための冷媒流路(C)(図示せず)が設けられている。
ピストン64内には、シャフト42内の冷媒流路(B)から排出される沸騰水を導入するための冷媒流路(D)(図示せず)が設けられている。冷媒流路(D)は、ピストン64の上面及び下面にそれぞれ設けられた第3開閉バルブV3、及び第4開閉バルブV4に接続されている。さらに、蒸気バッファタンク62の上側の側面及び下側の側面には、それぞれ、蒸気バッファタンク62内の沸騰水を排出するための第1開閉バルブV1、及び第2開閉バルブV2が設けられている。
[2.3. 使用方法]
ハウジング部20が所定の温度に維持されている状態で、第2シャフト72の冷媒流路(C)に水を供給すると、水がシャフト42の冷媒流路(B)(往路)を通って、第1バルブ44及び第2バルブ46の沸騰冷却流路(B)に供給される。沸騰冷却流路(B)で生成した沸騰水は、シャフト42の冷媒流路(B)(復路)を通って、ピストン64内の冷媒流路(D)に供給される。
この時、第1開閉バルブV1を閉とし、第2開閉バルブV2を開とし、第3開閉バルブV3を開とし、かつ、第4開閉バルブV4を閉とすると、第3開閉バルブV3から排出された沸騰水に含まれる水蒸気の圧力によりピストン64が下方に押し下げられる。その結果、第1バルブ44の第1シール面(B)が第1隔壁28の第1シール面(A)に着座する。また、第2室24に導入された第2ガスが、第2隔壁30の第2貫通穴30aを通って、第3室26の開口部26aから排出される。
逆に、第1開閉バルブV1を開とし、第2開閉バルブV2を閉とし、第3開閉バルブV3を閉とし、かつ、第4開閉バルブV4を開とすると、第4開閉バルブV4から排出された沸騰水に含まれる水蒸気の圧力によりピストン64が上方に押し上げられる。その結果、第2バルブ46の第2シール面(B)が第2隔壁30の第2シール面(A)に着座する。また、第1室22に導入された第1ガスが、第1隔壁28の第1貫通穴28aを通って、第3室26の開口部26aから排出される。
[3. 沸騰冷却式CO2分離器(1)]
[3.1. 構成]
図4に、本発明の第1の実施の形態に係る沸騰冷却式CO2分離器の平面図(図4(A))、及びB-B’線断面図(図4(B))を示す。
図4において、沸騰冷却式CO2分離器80は、
CO2を吸収・放出するためのCO2吸収材を備えた反応流路層82、82…と、
熱交換媒体を流通させることにより、反応流路層82、82…と熱交換を行うための媒体流路層84、84…と、
反応流路層82、82…にCO2を含むガス又はパージガスのいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第1切替バルブ86a、86bと、
媒体流路層84、84…に第1熱交換媒体又は第2熱交換媒体のいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第2切替バルブ88a、88bと
を備えている。
反応流路層82、82…は、CO2を吸収・放出するためのものである。また、媒体流路層84、84…は、熱交換媒体を流通させることにより、反応流路層82、82…と熱交換を行うためのものである。反応流路層82、82…及び媒体流路層84、84…の構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
反応流路層82、82…と媒体流路層84、84…とは交互に積層されている。反応流路層82、82…の入口及び出口は、それぞれ、マニホールド90aの出口及びマニホールド90bの入口に接続されている。同様に、媒体流路層84、84…の入口及び出口は、それぞれ、マニホールド92aの出口及びマニホールド92bの入口に接続されている。
第1切替バルブ86a、86b、及び、第2切替バルブ88a、88bは、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブ10aと同一の構造を備えている。マニホールド90aの入口は第1切替バルブ86aの第3室26に接続され、マニホールド90bの出口は第1切替バルブ86bの第3室26に接続されている。
同様に、マニホールド92aの入口は第2切替バルブ88aの第3室26に接続され、マニホールド92の出口は第2切替バルブ88bの第3室26に接続されている。
[3.2. 使用方法]
第1切替バルブ86aのバルブ部40を摺動させると、第1切替バルブ86aの第1室22又は第2室24のいずれか一方を反応流路層82、82…の入口に接続することができる。また、第1切替バルブ86bのバルブ部40を摺動させると、反応流路層82、82…の出口を第1切替バルブ86bの第1室22又は第2室24のいずれか一方に接続することができる。そのため、反応流路層82、82…にCO2を含むガス(第1ガス)を流すと、CO2吸収材(図示せず)にCO2を吸収させることができる。一方、反応流路層82、82…にパージガス(第2ガス)を流すと、CO2吸収材からCO2を放出させることができる。
同様に、第2切替バルブ88aのバルブ部40を摺動させると、第2切替バルブ88aの第1室22又は第2室24のいずれか一方を媒体流路層84、84…の入口に接続することができる。また、第2切替バルブ88bのバルブ部40を摺動させると、媒体流路層84、84…の出口を第2切替バルブ88bの第1室22又は第2室24のいずれか一方に接続することができる。そのため、媒体流路層88、88…に適切な第1熱交換媒体又は第2熱交換媒体を流通させると、CO2の吸収反応時及び放出反応時にCO2吸収材を最適な温度に維持することができる。
[4. 沸騰冷却式CO2分離器(2)]
図5に、本発明の第2の実施の形態に係る沸騰冷却式CO2分離器の平面図(図5(A))、及びB-B’線断面図(図5(B))を示す。
図5において、沸騰冷却式CO2分離器80’は、
CO2を吸収・放出するためのCO2吸収材を備えた反応流路層82、82…と、
熱交換媒体を流通させることにより、反応流路層82、82…と熱交換を行うための媒体流路層84、84…と、
反応流路層82、82…にCO2を含むガス又はパージガスのいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第1切替バルブ86c、86dと、
媒体流路層84、84…に第1熱交換媒体又は第2熱交換媒体のいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第2切替バルブ88c、88dと
を備えている。
本実施の形態において、第1切替バルブ86c、86d、及び、第2切替バルブ88c、88dは、それぞれ、本発明の第2の実施の形態に係る沸騰冷却式バルブ10bと同一の構造を備えている。この点が第1実施の形態とは異なる。その他の点については、第1の実施の形態に係る沸騰冷却式CO2分離器と同様であるので、説明を省略する。
[5. SOFCシステム(1)]
[5.1. 構成]
図6に、本発明の第1の実施の形態に係るSOFCシステムの模式図を示す。図6において、SOFCシステム100aは、
燃料から電力を生成する固体酸化物形燃料電池(SOFC)102aと、
SOFC102aのアノードオフガス(以下、「Aout」ともいう)からCO2を分離するCO2分離器104と、
CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(以下、「Bout」ともいう)に含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器106と、
水蒸気の全部又は一部が分離されたBoutをSOFC102aのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と
を備えている。
[5.1.1. SOFC]
SOFC102aは、CH4、CO、H2などの燃料から電力を生成するためのものである。SOEC102aのアノード流路の入口は、エジェクタ110の出口に接続され、アノード流路の出口は、CO2分離器104のフィード流路の入口に接続されている。
[5.1.2. CO2分離器]
CO2分離器104は、SOFC102aのアノードオフガス(Aout)からCO2を分離するためのものである。CO2分離器104のフィード流路の入口は、SOFC102aのアノード流路の出口に接続され、フィード流路の出口は、ガス管108の一端に接続されている。ガス管108の他端は、エジェクタ110の吸引側に接続されている。さらに、CO2分離器104のパージ流路の入口は、水蒸気供給源(図示せず)に接続されている。
CO2分離器104は、図6の下図に示すように、本発明に係る2個の沸騰冷却式CO2分離器が並列に接続されたものからなる。沸騰冷却式CO2分離器80a、80bの反応流路層82(フィード流路、パージ流路)には、SOFC102aのアノードオフガス、又は、図示しない水蒸気供給源からの水蒸気が供給される。また、沸騰冷却式CO2分離器80a、80bの媒体流路層84には、熱交換媒体(熱媒)としてのカソードオフガス、又は、熱交換媒体(冷媒)としてのカソード用空気が供給される。
[5.1.3. 凝縮器]
凝縮器106は、CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)に含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得るためのものである。凝縮器106は、ガス管108に対して並列に接続されている。そのため、Boutを任意の比率で凝縮器106に分配することができる。
[5.1.4. エジェクタ、アノードオフガス循環手段]
エジェクタ110は、燃料をSOFC102aのアノード流路に供給するためのものである。エジェクタ110の駆動側の入口は、CH4などの燃料の供給源(図示せず)に接続されている。エジェクタ110の出口は、SOFC102aのアノード流路の入口に接続されている。さらに、エジェクタ110の吸引側は、ガス管108を介してCO2分離器104のフィード流路の出口に接続されている。図6に示す例において、アノードオフガス循環手段は、凝縮器106、ガス管108及びエジェクタ110により構成されている。
[5.2. 運転方法]
エジェクタ110を介して燃料をSOFC102aのアノード流路に供給し、カソード流路に空気を供給すると、SOFC102aから電力を取り出すことができる。アノードオフガス(Aout)は、CO2分離器104のフィード流路に送られ、CO2が除去される。CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)の一部は、凝縮器106に分配され、Boutに含まれる水蒸気の一部が除去される。燃料としてCH4を用いる場合、CH4を水蒸気改質する必要があるため、Boutから水蒸気の一部が除去される。なお、燃料として水素を用いる場合には、Boutから水蒸気の全部を除去しても良い。
水蒸気の全部又は一部が除去されたBoutは、ガス管108を介してエジェクタ110の吸引側から吸引される。吸引されたBoutは、そのままSOFC102aのアノードに供給される。その結果、Boutに含まれる未反応の燃料及び顕熱を発電に再利用することができる。
この時、図6の左下図に示すように、沸騰冷却式CO2分離器80aのフィード流路(反応流路層82)にアノードオフガス(Aout)を流し、媒体流路層84にカソード用空気を流すと、カソード用空気により、フィード流路の温度が最適なCO2吸収温度域まで低下する。その結果、Aoutに含まれるCO2を効率良く除去することができる。また、CO2除去後のアノードオフガス(Bout)は、高温状態を維持したままSOFC102aのアノード流路に戻される。さらに、媒体流路層84から排出される熱交換後のカソード用空気は、SOFC発電用のカソード空気として使用される。
一方、沸騰冷却式CO2分離器80bのパージ流路(反応流路層82)に高温の水蒸気を流すと、CO2吸収材からCO2が放出される。これと同時に、媒体流路層84に高温のカソードオフガスを流すと、カソードオフガスの顕熱により、反応流路層82の温度が上昇する。冷却されたカソードオフガスは、カソード用空気と熱交換器(図示せず)にて熱交換後、系外に排出される。
所定時間経過後に、図6の右下図に示すように、パージ流路とフィード流路を切り替えると、CO2の吸収と放出を連続的に行うことができる。
[6. SOFCシステム(2)]
[6.1. 構成]
図7に、本発明の第2の実施の形態に係るSOFCシステムの模式図を示す。図7において、SOFCシステム100bは、
燃料から電力を生成する固体酸化物形燃料電池(SOFC)102aと、
SOFC102aのアノードオフガス(Aout)からCO2を分離するCO2分離器104と、
CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)に含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器106と、
水蒸気の全部又は一部が分離されたBoutをSOFC102aのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と
を備えている。
本実施の形態において、SOFCシステム100bは、凝縮器106で凝縮させた水をCO2分離器104(沸騰冷却式CO2分離器)の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(A)をさらに備えている。また、SOFCシステム100bは、CO2分離器104のパージ流路に水蒸気を供給するための蒸発器114をさらに備えている。この点が、第1の実施の形態に係るSOFCシステム100aとは異なる。
凝縮器106の凝縮水の排出口は、水管112の一端に接続され、水管112の他端は、CO2分離器104の沸騰冷却式バルブ10、10の入口に接続されている。水管112には、開閉バルブV1及び液ポンプPが接続されている。図7に示す例において、水供給手段(A)は、水管112、開閉バルブV1、及び液ポンプPにより構成されている。さらに、凝縮器106のガスの出口とガス管108との間には、蒸発器106へのBoutの分配量を制御する流量制御バルブVCが設けられている。
沸騰冷却式バルブ10、10の出口は、蒸発器114の入口に接続されている。さらに、蒸発器114の出口は、調圧弁を介してCO2分離器104のパージ流路の入口に接続されている。
CO2分離器104は、図7の下図に示すように、本発明に係る2個の沸騰冷却式CO2分離器が並列に接続されたものからなる。沸騰冷却式CO2分離器80a、80bの反応流路層82(フィード流路、パージ流路)には、SOFC102aのアノードオフガス、又は、水蒸気が供給される。また、沸騰冷却式CO2分離器80a、80bの媒体流路層84には、カソードオフガス(熱媒)、又は、カソード用空気(冷媒)が供給される。
[6.2. 運転方法]
SOFC102aのアノードオフガス(Aout)は、CO2分離器104のフィード流路に送られ、CO2が除去される。CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)の一部は、凝縮器106に分配され、Boutに含まれる水蒸気の全部又は一部が除去される。凝縮器106で分離された凝縮水は、液ポンプPにより沸騰冷却式バルブ10、10の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)に供給される。沸騰冷却式バルブ10、10から排出される沸騰水は、蒸発器114に送られる。さらに、蒸発器114で生成した水蒸気は、CO2分離器104のパージガスとして用いられる。
この時、図7の左下図に示すように、沸騰冷却式CO2分離器80aの反応流路層82(フィード流路)にアノードオフガス(Aout)を流し、媒体流路層84にカソード用空気を流すと、カソード用空気により、フィード流路の温度が最適なCO2吸収温度域まで低下する。その結果、Aoutに含まれるCO2を効率良く除去することができる。また、CO2除去後のアノードオフガス(Bout)は、高温状態を維持したままSOFC102aのアノード流路に戻される。さらに、媒体流路層84から排出される熱交換後のカソード用空気は、SOFC発電用のカソード空気として使用される。
一方、沸騰冷却式CO2分離器80bの反応流路層82(パージ流路)に高温の水蒸気を流すと、CO2吸収材からCO2が放出される。これと同時に、媒体流路層84に高温のカソードオフガスを流すと、カソードオフガスの顕熱により、反応流路層82の温度が上昇する。冷却されたカソードオフガスは、カソード用空気と熱交換器(図示せず)にて熱交換後、系外に排出される。
所定時間経過後に、図7の右下図に示すように、パージ流路とフィード流路を切り替えると、CO2の吸収と放出を連続的に行うことができる。
[7. SOECシステム]
[7.1. 構成]
図8に、本発明に係るSOECシステムの模式図を示す。図8において、SOECシステム100cは、
2O及びCO2から合成ガスを生成させる固体酸化物形電解セル(SOEC)102bと、
SOEC102bのカソードオフガス(以下、「A'out」ともいう)からCO2を分離する第1CO2分離器104と、
第1CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器116と、
CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2をSOEC102bに供給する第2CO2分離器118と、
SOEC102bに電解用のH2Oを供給する蒸発器114a、114bと、
SOEC102bのカソードオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造する燃料製造器120と、
第1CO2分離器104のパージ流路から排出される分離ガス(以下、「Cout」ともいう)をSOEC102bのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
を備えている。
[7.1.1. SOEC]
SOEC102bは、H2O及びCO2を原料として、合成ガス(H2+CO)を製造するためのものである。SOEC102bは、使用方法が異なる以外は、SOFC102aと同一の構造を備えている。
SOEC102bのカソード流路の入口は、第2CO2分離器118のパージ流路の出口に接続されている。また、カソード流路の出口は、第1CO2分離器104のフィード流路の入口に接続されている。
[7.1.2. 第1CO2分離器、第2CO2分離器]
第1CO2分離器104は、SOEC102bのカソードオフガスから未反応原料(CO2)を回収するためのものである。一方、第2CO2分離器118は、CO2源(例えば、自動車、工場など)から排出されるガスからCO2を分離し、SOEC102bに供給するためのものである。
第1CO2分離器104及び第2CO2分離器118は、いずれも、本発明に係る2個の沸騰冷却式CO2分離器(図示せず)が並列に接続されたものからなる。
第1CO2分離器104のフィード流路の入口は、SOEC102bのカソード流路の出口に接続され、第1CO2分離器104のフィード流路の出口は、H2O分離器116のフィード流路の入口に接続されている。第1CO2分離器104のパージ流路の入口は、蒸発器114aの出口に接続され、第1CO2分離器104のパージ流路の出口は、第2CO2分離器118のパージ流路の入口に接続されている。
第2CO2分離器118のフィード流路の入口は、CO2源(図示せず)に接続され、第2CO2分離器118のフィード流路の出口は、大気に開放されている。さらに、第2CO2分離器118のパージ流路の出口は、SOEC102bのカソード流路の入口に接続されている。
[7.1.3. H2O分離器]
2O分離器116は、第1CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するためのものである。分離されたH2Oは、第1CO2分離器104で回収されたCO2と共に、SOEC102bのカソード流路に戻される。
2O分離器116のフィード流路の入口は、第1CO2分離器104のフィード流路の出口に接続され、H2O分離器116のフィード流路の出口は、燃料製造器120の入口に接続されている。さらに、H2O分離器116のパージ流路の出口は、蒸発器114aの入口に接続されている。
[7.1.4. 蒸発器]
蒸発器114a、114bは、液ポンプPを介して水供給源(図示せず)から供給される水を蒸発させ、SOEC102bに電解用のH2Oを供給するためのものである。発生させたH2Oは、CO2のパージにも用いられる。
また、SOECシステム100cは、電解用のH2Oを沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(B)を備えている。すなわち、SOECシステム100cにおいて、水は、直接、蒸発器114a、114bには供給されず、沸騰冷却式CO2分離器(第1CO2分離器104、第2CO2分離器118)の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給される。蒸発器114a、114bには、沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)から排出される沸騰水が供給される。
第1CO2分離器104の沸騰冷却式バルブ10、10の入口は、液ポンプPを介して水供給源(図示せず)に接続されている。沸騰冷却式バルブ10、10の出口は、蒸発器114aの入口に接続されている。さらに、蒸発器114aの出口は、第1CO2分離器104のパージ流路の入口に接続されている。
同様に、第2CO2分離器104の沸騰冷却式バルブ10、10の入口は、液ポンプPを介して水供給源(図示せず)に接続されている。沸騰冷却式バルブ10、10の出口は、蒸発器114bの入口に接続されている。さらに、蒸発器114bの出口は、第2CO2分離器118のパージ流路の出口に接続されている。
[7.1.5. 燃料製造器]
燃料製造器120は、SOEC102bのカソードオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造するためのものである。燃料製造器120の構造は、特に限定されるものではなく、公知の装置を用いることができる。
[7.1.6. カソードオフガス循環手段]
カソードオフガス循環手段は、第1CO2分離器104のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)をSOEC102bのカソード流路に戻すための手段である。図8に示す例において、第1CO2分離器104のパージ流路の出口は、第2CO2分離器118を介して、SOEC102bのカソード流路の入口に接続されている。また、第1CO2分離器104では、H2O分離器116から排出される水蒸気を用いて、CO2のパージを行っている。そのため、本実施の形態において、カソードオフガス循環手段は、第1CO2分離器104、第2CO2分離器118、及びH2O分離器116、並びに、これらを繋ぐ配管により構成されていてる。
[7.2. 運転方法]
第2CO2分離器118のフィード流路にCO2を含むガスを供給する。これと同時に、蒸発器114bに水を供給し、水蒸気を発生させる。発生した水蒸気を第2CO2分離器118のパージ流路に流すと、パージ流路からH2OとCO2の混合ガスが排出される。
2OとCO2の混合ガスをSOEC102bのカソード流路に供給し、電極間に電力を供給すると、H2OとCO2の共電解が起こる。その結果、SOEC102bのカソード流路から、H2とCOを含むカソードオフガス(A'out)が排出される。
カソードオフガス(A'out)は、第1CO2分離器104でCO2が除去され、かつ、H2O分離器116でH2Oが除去された後、燃料製造器120に供給される。燃料製造器120では、A'outに含まれるH2及びCOから炭化水素が合成される。
また、H2O分離器116で分離されたH2Oは、蒸発器114aに送られる。蒸発器114aで発生させた水蒸気は、第1CO2分離器104に送られ、CO2のパージに用いられる。その結果、第1CO2分離器104のパージ流路から、CO2及びH2Oを含む混合ガスが排出される。得られた混合ガスは、蒸発器114b、及び第2CO2分離器118を通って、SOEC10bのカソード流路に戻される。
一方、沸騰冷却バルブ10、10…には、液ポンプPを介して水が供給される。供給された水は、沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)において沸騰水となる。沸騰冷却バルブ10、10…から排出された沸騰水は、蒸発器114a、114bに送られ、水蒸気となる。得られた水蒸気は、電解用原料及びパージガスとして、第1CO2分離器104、第2CO2分離器118、及びSOEC102bに送られる。
[8. R-SOCシステム]
[8.1. 構成]
図9に、本発明に係るR-SOCシステムの模式図を示す。図9において、R-SOCシステム100dは、
燃料から電力を生成するSOFCモードと、H2O及びCO2から合成ガスを生成させるSOECモードとを切替可能なリバーシブルSOC(R-SOC)102cと、
R-SOC102cのオフガス(Aout又はA'out)からCO2を分離する第1CO2分離器104と、
第1CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器116と、
前記Boutに含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器106と、
R-SOC102cがSOECモードにある時に、CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2をR-SOC102cに供給する第2CO2分離器118と、
R-SOC102cがSOECモードにある時に、R-SOC102cに電解用のH2Oを供給する蒸発器114a、114bと、
R-SOC102cがSOECモードにある時に、R-SOC102cのオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造し、貯蔵する燃料製造・貯蔵手段と、
R-SOC102cがSOECモードにある時に、第1CO2分離器104のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)をR-SOC102cのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
R-SOC102cがSOFCモードにある時に、前記水蒸気の全部又は一部が分離された前記BoutをR-SOC102cのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と、
R-SOC102cがSOFCモードにある時に、貯蔵された前記炭化水素をR-SOC102cに供給する燃料供給手段と
を備えている。
すなわち、図9に示すR-SOCシステム100dは、図7に示すSOFCシステム100bと、図8に示すSOECシステム100cとを組み合わせたものからなる。
換言すれば、図9に示すR-SOCシステム100dは、図8に示すSOECシステム100cに対して、
(a)凝縮器106、
(b)エジェクタ110(アノードオフガス循環手段、燃料供給手段)、並びに、
(c)貯蔵タンク122、第1調圧器124、及び第2調圧器126(燃料製造・貯蔵手段、燃料供給手段)
が付加されたものからなる。
[8.1.1. R-SOC]
R-SOC102cは、燃料から電力を生成するSOFCモードと、H2O及びCO2から合成ガスを生成させるSOECモードとを切替可能なものからなる。R-SOC102cは、使用方法が異なる以外は、SOFC又はSOECと同一の構造を備えている。
[8.1.2. 第1CO2分離器、第2CO2分離器]
第1CO2分離器104は、R-SOC102cのオフガス(SOFCモード時はアノードオフガス(Aout)、SOECモード時はカソードオフガス(A'out))からCO2を分離するためのものである。第2CO2分離器118は、R-SOC102cがSOECモードにある時に、CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2をR-SOC102cに供給するためのものである。
第1CO2分離器104のパージ流路の出口と第2CO2分離器118のパージ流路の入口との間には、第3三方弁V33が設けられている。第3三方弁V33は、R-SOC102cがSOFCモードにある時に、第2CO2分離器118をシステムから切り離すためのものである。
第1CO2分離器104及び第2CO2分離器118に関するその他の点については、図8に示すSOECシステム100cと同様であるので、説明を省略する。
[8.1.3. H2O分離器]
2O分離器116は、第1CO2分離器104のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するためのものである。H2O分離器116のフィード流路の出口と燃料製造器120の入口との間には、第2三方弁V32が設けられている。第2三方弁V32は、R-SOC102cがSOFCモードにある時に、アノードオフガスをエジェクタ110の吸引側に戻すためのものであり、アノードオフガス循環手段の一部を構成する。
また、H2O分離器116のパージ流路と蒸発器114aとの間には、第2開閉バルブV2が設けられている。第2開閉バルブV2は、SOFCモード時にH2O分離器116をシステムから切り離すために用いられる。
2O分離器116に関するその他の点については、図8に示すSOECシステム100cと同様であるので、説明を省略する。
[8.1.4. 凝縮器]
凝縮器106は、R-SOC102cがSOFCモードにある時に、Boutに含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得るために用いられる。得られた凝縮水は、第1開閉バルブV1及び液ポンプP1を介して、第1CO2分離器104の沸騰冷却バルブ10、10…に供給される。
すなわち、R-SOCシステム100dは、R-SOC102cがSOFCモードにある時に、凝縮器106で凝縮させた水を第1CO2分離器104(沸騰冷却式CO2分離器)の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(A)を備えている。
また、凝縮器106の出口とH2O分離器116の出口との間には、流量制御バルブVcが設けられている。流量制御バルブVcは、SOFCモード時に凝縮器106に分配するBoutの量を制御するために用いられる。
凝縮器106に関するその他の点については、図7に示すSOFCシステム100bと同様であるので、説明を省略する。
[8.1.5. 蒸発器]
蒸発器114a、114bは、液ポンプP2を介して水供給源(図示せず)から供給される水を蒸発させ、SOEC102bに電解用のH2Oを供給するためのものである。
また、R-SOCシステム100dは、電解用のH2Oを沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(B)を備えている。すなわち、R-SOCシステム100dにおいて、水は、直接、蒸発器114a、114bには供給されず、第1CO2分離器104、第2CO2分離器118(沸騰冷却式CO2分離器)の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給される。蒸発器114a、114bには、沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)から排出される沸騰水が供給される。
蒸発器114a、114bに関するその他の点については、図8に示すSOECシステム100cと同様であるので、説明を省略する。
[8.1.6. 貯蔵タンク、第1調圧器、第2調圧器]
貯蔵タンク112は、燃料製造器120で製造された炭化水素を貯蔵するためのものである。第1調圧器124は、燃料製造器120から排出されたガスを減圧又は昇圧するためのものである。また、第2調圧器126は、貯蔵タンク112から排出されたガスを昇圧又は減圧するためのものである。第1調圧器124と貯蔵タンク122の間には、第5開閉バルブV5が設けられている。また、第2調圧器126とエジェクタ110との間には、第4開閉バルブV4が設けられている。
[8.1.7. エジェクタ]
エジェクタ110は、R-SOCシステム100dがSOFCモードにある時に、R-SOC100cに燃料を供給し、かつ、アノードオフガスを循環させるためのものである。エジェクタ110の出口は、第1三方弁V31を介してR-SOC102cのアノード流路に接続されている。また、第1三方弁V31の残りの入口は、第2CO2分離器118のパージ流路の出口に接続されている。
第1三方弁V31は、
(a)R-SOCシステム100dがSOECモードにある時に、エジェクタ110をシステムから切り離すため、及び、
(b)R-SOCシステム100dがSOFCモードにある時に、第2CO2分離器118をシステムから切り離すため
に用いられる。
[8.2. 運転方法]
[8.2.1. SOFCモード]
SOFCモードで運転する場合、第1三方弁V31を介して、R-SOC102cとエジェクタ110とを接続する。また、第2開閉バルブV2を閉とし、H2O分離器116をシステムから切り離す。また、第2三方弁V32をエジェクタ110側に切り替えて、燃料製造器120をシステムから切り離す。さらに、第3三方弁を大気側に切り替えて、第2CO2分離器118をシステムから切り離す。この状態で、貯蔵タンク112からR-SOC102cに燃料を供給する。以下、図7に示すSOFCシステム100bと同様にして、発電を行う。
[8.2.2. SOECモード]
SOECモードで運転する場合、第1三方弁V31を介して、R-SOC102cと第2CO2分離器118とを接続する。また、第2開閉バルブV2を開とし、H2O分離器116をシステムに接続する。また、第2三方弁V32を燃料製造器120側に切り替える。さらに、第3三方弁V33を介して第1CO2分離器104と第2CO2分離器118とを接続する。以下、図8に示すSOECシステム100cと同様にして、H2OとCO2の共電解を行う。また、燃料製造器120において合成ガスから炭化水素を合成し、得られた炭化水素を貯蔵タンク122に貯蔵する。
[9. 作用]
[9.1. 沸騰冷却式CO2分離器]
[9.1.1. 反応流路層と媒体流路層との間の熱交換]
アノードオフガス循環式SOFCシステムでは、循環ガス中の生成物(CO2、H2O)の濃度が増大すると、濃度分極の増加により発電起電力が低下する。このため、循環ガス中の反応生成物の除去が必要となる。一方、ガス循環は、可燃成分の有効利用の他、オフガスの顕熱を再利用することができる。その結果、系外への放熱量が低減され、発電効率を向上させることが可能となる。そのためには、循環ガス中のCO2を高温で除去することが必要不可欠となる。
CO2吸収/放出反応を利用したCO2ガス分離では、2台の分離器をバッチ方式で切り替えることにより、連続的なガス分離が可能となる。CO2放出/吸収反応を独立に作動させるためには、カソードオフガスとの熱交換/反応流路へのアノードオフガスの供給を切り替え可能な合計8個の高温耐熱バルブが必要となる。SOFC/SOECの作動温度は高温(700~800℃)であるため、金属やセラミックスを原料としたガスシールが必要となる。
しかし、従来の高温耐熱バルブは、低・中温用バルブと比較してコストが高く、長期連続使用時における耐久性にも問題がある。また、不完全なガスシールでは、循環ガス中の燃料ガス濃度の低下/系外への放出によりシステム効率が低下するため、連続的な気密シールが要求される。シールの気密性を確保するためには、シール部における高い圧力が必要で、駆動のための高圧空気・電気エネルギーが必要となる。
これに対し、図4に示す沸騰冷却式CO2分離器80は、ハウジング部20内にバルブ部40が摺動可能に収容された沸騰冷却式バルブ(第1切替バルブ86a、86b、第2切替バルブ88a、88b)を備えている。これらの沸騰冷却式バルブは、電気エネルギー、空気圧力エネルギーなどを用いてバルブを開閉することができる。
CO2吸収時では、媒体流路層84側(第2切替バルブ88a、88b側)においてバルブ部40が下方向に移動し、第2室24と第3室26が接続される。その結果、媒体流路層84に、カソードInガス(カソード用空気)を流すことが可能となる。
一方、反応流路層82側(第1切替バルブ86a、86b側)では、バルブ部40が下方向に移動し、第2室24と第3室26が接続される。その結果、反応流路層82には、アノードオフガスを流すことが可能となる。また、CO2吸収反応により温度が上昇した反応流路層82をカソードInガスにより冷却することができる。
CO2放出時では、媒体流路層84側(第2切替バルブ88a、88b側)においてバルブ部40が上方向に移動し、第1室22と第3室26が接続される。その結果、媒体流路層84にカソードオフガスを流すことができる。
一方、反応流路層82側(第1切替バルブ86a、86b側)では、バルブ部が上方向に移動し、第1室22と第3室26が接続される。その結果、反応流路層82にパージガスを流すことができる。また、媒体流路層84に供給されるカソードオフガスを熱源として、CO2放出反応が進行する。
[9.1.2. 2重管式流路構造]
沸騰冷却式バルブ10のシャフト42が2重管式流路構造であり、かつ、内管と外管との間に緻密なセラミックスからなる断熱材が挿入されている場合において、内管に冷却水を流し、外管に沸騰冷却後の沸騰水(沸点温度)を流すと、内管と外管の温度差を小さくすることができる。これにより、冷却水への入熱量が抑制され、冷却水が沸騰冷却流路へ到達するまでのクオリティ(=気化分の蒸発潜熱[W]/供給水全量の蒸発潜熱出力[W])の増加を抑制することができる。
[9.1.3. シール部材、及び沸騰冷却流路]
本発明に係る沸騰冷却式バルブ10において、気密性の高いガスシールを得るために、バルブ部40とハウジング部20のシール面の間に高温耐熱性のシール部材52、54(例えば、PEEK材等、耐熱温度380℃)が挿入されている。また、シール面の近傍には沸騰冷却流路が設けられ、沸騰冷却流路内に冷却水を流せるようになっている。そのため、シール面とシール部材52、54との間の温度差を小さくすることができる。
特に、熱伝達率の高い対流核沸騰熱伝達(1.0×105W/m2/K)による冷却効果により、沸騰水の温度を供給水の圧力における沸点温度に制御することができる。また、ハウジング部20及びバルブ部40のシール面近傍の材料がステンレス鋼(熱伝導率17W/m/K)などの金属からなる場合、シール部材52、54と沸騰冷却流路との間の温度差が小さい場合であっても、熱輸送が可能となる。また、沸騰冷却流路に供給する冷却水の圧力を制御すると、沸騰水の沸点温度、及びシール部材52、54の温度を制御することができる。
バルブ部40のシャフト42及びハウジング部20からの熱伝導、並びに、高温ガス(700℃)からの熱伝導による入熱と、沸騰冷却流路(沸点温度)への放熱との熱バランスにより、シール面の温度をシール部材52、54の耐熱温度以下に制御することができる。その結果、バルブ44、46のシール性と耐久性の確保を両立させることができる。
バルブ簡易モデルによる沸騰冷却解析(FEM解析)により、バルブ44、46側のシール面の温度を699.5℃から275℃(PEEK製シール部材内部の最大温度)まで低減できることが分かった。一方、ハウジング部20のシール面の温度は、沸騰冷却効果により117.6℃まで低下することがわかった。これにより、バルブ閉時におけるシール部材52、54の高温接触を回避し、開閉サイクルの耐久性を向上することができる。
[9.2. 沸騰冷却式蒸気駆動バルブ]
図3に示す沸騰冷却式バルブ10bは、ハウジング部20の上部に蒸気バッファタンク62が設けられ、蒸気バッファタンク62内にはピストン64が挿入され、ピストン64とバルブ部40のシャフト42とが連結されている。さらに、ピストン64の上面及び下面は、それぞれ、沸騰冷却流路の出口に連結している。このような構成を備えた沸騰冷却式バルブ10bにおいて、沸騰冷却流路から排出される沸騰水をピストン64の上面又は下面に排出すると、沸騰水に含まれる水蒸気の圧力によりバルブ44、46を開閉することができる。
このような沸騰冷却式バルブ10bを備えた沸騰冷却式CO2分離器80’(図3、図5)において、CO2吸収時では、媒体流路層84側(第2切替バルブ88c、88d側)において蒸気バッファタンク62のA室と沸騰冷却流路の出口が接続される(V1/V2を閉/開、V3/V4を開/閉)。その結果、ガスシールに要求される圧力相当の蒸気圧力がA室に印加される。これにより、ハウジング部20の第2室24と第3室26が接続され、媒体流路層84にカソードInガスを流すことができる。
一方、反応流路層82側(第1切替バルブ86c、86d側)においては、蒸気バッファタンク62のA室と沸騰冷却流路の出口が接続される(V1/V2を閉/開、V3/V4を開/閉)。その結果、ガスシールに要求される圧力相当の蒸気圧力がA室に印加される。これにより、ハウジング部20の第2室24と第3室26が接続され、反応流路層82にアノードオフガスを流すことができる。また、CO2吸収反応により温度が上昇した反応流路層82をカソードInガスにより冷却することができる。
CO2放出時では、媒体流路層84側(第2切替バルブ88c、88d側)において蒸気バッファタンク62のB室と沸騰冷却流路の出口が接続される(V1/V2を開/閉、V3/V4を閉/開)。その結果、ガスシールに要求される圧力相当の蒸気圧力がB室に印加される。これにより、第1室22と第3室26が接続され、媒体流路層84にカソードオフガスを流すことができる。
一方、反応流路層82側(第1切替バルブ86c、86d側)においては、蒸気バッファタンク62のB室と沸騰冷却流路の出口が接続される(V1/V2を開/閉、V3/V4を閉/開)。その結果、ガスシールに要求される圧力相当の蒸気圧力がB室に印加される。これにより、第1室22と第3室26が接続され、反応流路層82にパージガスを流すことができる。また、媒体流路層84に供給されるカソードオフガスを熱源として、CO2放出反応が進行する。
沸騰冷却流路に供給する冷却水の圧力を制御すると、沸騰水の沸点温度、及びシール部材52、54の温度を制御することができる。
また、バルブ部40のシャフト42及びハウジング部20からの熱伝導、並びに、高温ガス(700℃)からの熱伝導による入熱と、沸騰冷却流路(沸点温度)への放熱との熱バランスにより、シール面の温度をシール部材52、54の耐熱温度以下に制御することができる。その結果、バルブ44、46のシール性と耐久性の確保を両立させることができる。
[9.3. 断熱部]
図2に示すように、バルブ部40の傘部48及びハウジング部20の受部32を金属製とし、これに隣接してセラミックス製の断熱部50、34を設けると、熱伝導による容器からシール面への入熱を抑制することができる。金属製の傘部48及び受部32と断熱部50、34との間は、バルブ閉時において高い気密性が必要となる。セラミックス製の断熱部50、34の表面を緻密な金属膜によりメタライズ処理し、ろう材(Ni系ろう材、又はAg系ろう材)又は拡散接合により高い気密シールを行うことで、バルブ部40及びハウジング部20からの入熱と、バルブ44、46のシール面よりも上流からのガスの流入を遮断することが可能となる。
高温ガスからバルブ部40及びハウジング部20のシール面への入熱量と、沸騰冷却熱伝達による放熱量との熱バランスにより、シール面をより効果的に低温に維持することができる。その結果、シール部材52、54の温度制御性と長期耐久性を確保することができる。
さらに、金属製の部材及びセラミックス製の部材に、線膨張係数の近い材料(金属:コバール(5.0×10-6/K)、セラミックス:マグネシア(4.7×10-6/K))を用いると、界面における熱膨張による変位差が抑制される。その結果、変位差に起因して発生するせん断応力が抑制され、ろう付け部のガスシール耐久性を確保することが可能となる。また、バルブ部40及びハウジング部20の断熱効果により、シャフト42やハウジング部20からの入熱量が抑制され、シール面近傍の沸騰冷却による低温領域を拡大することができる。
[9.4. 凝縮水を用いた沸騰冷却]
アノードオフガス循環式SOFCシステムでは、凝縮器により循環ガスから不要な水分を凝縮分離することにより、循環ガス中の水分量は改質に必要な水分量(Steam/Carbon比=2~3)に維持される。分離除去された液水は、液ポンプ・調圧弁により圧力・流量が制御され、冷却水として沸騰冷却流路に供給される。これにより、沸騰冷却温度を沸点温度に制御し、シール部材52、54の温度を耐熱温度以下に制御することができる。また、蒸気駆動バルブにおいては、シール圧力に必要な蒸気圧を確保することが可能となる。
[9.5. SOECシステム]
カソードオフガス循環式SOECシステムでは、循環ガス中の生成物(CO、H2)の濃度が増大すると、濃度分極の増加によりSOEC電解電圧が増大する。このため、循環ガス中の反応生成物の除去が必要となる。一方、ガス循環は、原料成分の有効利用の他、オフガスの顕熱を再利用することができる。その結果、系外への放熱量が低減され、電解効率を向上させることが可能となる。そのためには、循環ガス中のCO2を高温で分離することが必要不可欠となる。
CO2吸収/放出反応を利用したCO2ガス分離では、2台の分離器をバッチ方式で切り替えることにより、連続的なガス分離が可能となる。CO2放出/吸収反応を独立に作動させるためには、カソードオフガスとの熱交換/反応流路へのアノードオフガス/水蒸気の供給を切り替え可能な合計16個の高温耐熱バルブが必要となる。SOFC/SOECの作動温度は高温(700~800℃)であるため、金属やセラミックスを原料としたガスシールが必要となる。
しかし、従来の高温耐熱バルブは、低・中温用バルブと比較してコストが高く、長期連続使用時における耐久性にも問題がある。また、不完全なガスシールでは、循環ガス中の原料ガス濃度の低下/系外への放出によりシステム効率が低下するため、連続的な気密シールが要求される。シールの気密性を確保するためには、シール部における高い圧力が必要で、駆動のための高圧空気・電気エネルギーが必要となる。
図8に示すカソードオフガス循環式SOECシステム100cでは、電解反応後の生成物(CO、H2)は、第1CO2分離器104及びH2O分離器116で未反応原料(CO2、H2O)が除去された後、燃料ガスとして貯蔵・利用される。H2O分離器116により分離されたH2Oは、蒸発器114aの出口に接続された配管を流れ、蒸発器114aにより生成された水蒸気と合流する。
一方、電解用の原料であるH2Oは、まず第1CO2分離器104の沸騰冷却流路に送られ、沸騰冷却水として利用される。また、沸騰冷却流路から排出された沸騰水は、蒸発器114aに送られる。そのため、シール部材52、54の温度を耐熱温度以下に制御するだけでなく、電解用の水の蒸発潜熱を沸騰冷却流路から得ることができる。
[9.6. R-SOCシステム]
図9に示すR-SOCシステム100dをSOFCモードで運転する場合、第1開閉バルブV1を開き、液ポンプP1を稼働させる。第2開閉バルブV2を閉じ、H2O分離器116はバイパス(H2O分離なし)とする。第1三方弁V31及び第2三方弁V32をエジェクタ110側に切り替え、第3三方弁V33を排気側に切り替える。また、第4開閉バルブV4を開き、第5開閉バルブV5を閉じて、燃料をR-SOC102cに供給する。
流量制御バルブVcをアノード循環ガス中のSteam/Carbon比が一定となるように制御することで、発電で生成した余剰のH2Oを凝縮器106にて回収することができる。回収された液水は、液ポンプP1により昇圧され、第1CO2分離器104の沸騰冷却式バルブ(8箇所)の沸騰冷却流路を流れる。生成した沸騰水(水蒸気+水)は、第1蒸発器114aにてクオリティ100%の水蒸気となる。水蒸気は、第1CO2分離器104のCO2放出用のパージガスとして使用される。パージ流路から排出されるCO2+H2Oの混合ガスは、第3三方弁V33にて系外へ放出される。
SOECモードで運転する場合、第1開閉バルブV1を閉じ、液ポンプP1を停止させる。第2開閉バルブV2を開き、流量制御バルブVcを閉とすると、全カソードオフガスはH2O分離器116を流れる。H2O分離器116で分離されたH2Oは、電解用原料として再利用可能となる。第3三方弁V31を第2CO2分離器118側に切り替え、第2三方弁V32を燃料製造器120側に切り替え、第3三方弁V33を第2CO2分離器118側に切り替える。また、第4開閉バルブV4を閉じ、第5開閉バルブV5を開くことにより、燃料製造器120で合成された炭化水素は貯蔵タンク122に貯蔵される。
この時、電解に必要なH2Oの内、H2O分離器116から供給されるH2Oの補完分は、液ポンプP2により昇圧され、第1CO2分離器104及び第2CO2分離器118の沸騰冷却式バルブ(全16箇所)に供給される。供給されたH2Oは、沸騰冷却流路において沸騰水(水蒸気+水)となる。また、生成した沸騰水は、蒸発器114a、114bにおいて、クオリティ100%の水蒸気となる。さらに、生成した水蒸気は、CO2放出用のパージガスとして使用され、電解用原料(H2O+CO2)を生成する。
さらに、電力余剰時にはSOECモードとし、電力不足時にはSOFCモードとするリバーシブル作動とすることで、電力を化学エネルギーとして貯蔵し、あるいは、化学エネルギーを電力に変換することができる。また、これによって、再生可能エネルギーを用いた発電システムの出力の平準化が可能となる。
(実施例1)
[1. 試験方法]
沸騰冷却効果(シール面の温度、及び蒸気圧力)をFEM熱解析により評価した。図10に、沸騰冷却効果の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルを示す。なお、ガス温度は、700℃とした。また、評価は、
(a)沸騰冷却流路があるケースと、沸騰冷却流路がないケース、並びに、
(b)断熱部があるケースと、断熱部がないケース、
について行った。
[2. 結果]
[2.1. シール面の温度]
図11に、沸騰冷却流路がない場合(左図)及び沸騰冷却流路がある場合(右図)のバルブ部/ハウジング部のシール部材付近の温度を示す。図12に、沸騰冷却流路がある場合のバルブオープン時(左図)、及びバルブクローズ時(右図)のシール部材付近の温度を示す。さらに、図13に、バルブ部及びハウジング部に断熱部がない場合(左図)、及び断熱部がある場合(右図)のシール部材近傍の温度を示す。図11~図13より、以下のことが分かる。
(1)バルブが開いている場合において、沸騰冷却を行わない時には、ハウジング部のシール面(A)の温度は697℃であり、バルブのシール面(B)の温度は699.5℃であった。一方、沸騰冷却を行った時には、ハウジング部のシール面(A)の温度は117.6℃まで低下し、バルブのシール面(B)の温度は275.1℃まで低下した(図11参照)。
(2)沸騰冷却を行った状態でバルブを閉じると、ハウジング部のシール面(A)の温度は124℃に上昇した。一方、バルブのシール面(B)の温度は、141℃まで低下した(図12参照)。
(3)バルブが開いている場合において、ハウジング部が金属製の受部とセラミックス製の断熱部を備えている時には、バルブ開時のシール面(A)の温度は、116℃に低下した。同様に、バルブが金属製の傘部とセラミックス製の断熱部とを備えている時には、バルブ開時のシール面(B)の温度は269℃まで低下した。
[2.2. 沸騰冷却流路内の蒸気圧力]
図14に、沸点温度と蒸気圧力との関係を示す。図15に、沸点、ハウジング部材のシール面(B)の表面温度、及びシール部材の温度の沸騰冷却蒸気圧力依存性を示す。図14及び図15より、以下のことが分かる。
(1)沸騰冷却式バルブの沸騰冷却流路において発生する蒸気圧力は、沸騰冷却流路に供給される水の圧力及び流量により制御することができる。図14に示すように、沸騰冷却流路内の蒸気圧力が高くなるほど、沸騰冷却流路内の沸点温度が上昇する。
(2)図15に示すように、沸騰冷却流路内の沸点温度の上昇に伴い、ハウジング部のシール面(A)の温度及びシール部材内部の最大温度も上昇する。しかし、蒸気圧力が5atmでも、シール部材内部の最大温度は、PEEK製シール部材の耐熱温度(380℃)未満に抑えることができた。すなわち、沸騰冷却式蒸気駆動バルブは、シール部材の温度を耐熱温度以下に制御しつつ、高いシール圧力を確保することができる。
(実施例2)
[1. 試験方法]
沸騰冷却式CO2分離器を備えたSOFCシステム(図7)において、沸騰冷却式バルブの伝熱面積、最大流量、及び圧力損失をFEM熱解析により評価した。図16に、伝熱面積の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルを示す。なお、沸騰冷却式バルブの温度は700℃とし、沸騰冷却式バルブの個数は8個とした。また、凝縮器のH2O分離速度は、440cc/minとした。
[2. 結果]
[2.1. 伝熱面積]
図17に、SOFCシステムにおけるバルブ流路直径と伝熱面積との関係を示す。
ここで、「バルブ流路直径D」とは、ハウジング部20の隔壁28、30に設けられた第1貫通穴28a、第2貫通穴30aの直径をいう(図2参照)。
「伝熱面積」とは、沸騰冷却流路における流路断面0.3×1(cm)×流路長14.4(cm)とする。
「許容伝熱面積」とは、沸騰熱伝達率10000W/m2/K、クオリティ≦10%を確保するために必要なバルブ1個当たりの伝熱面積の最大値(=104cm2)をいう。
図17より、以下のことが分かる。
(1)伝熱面積を許容伝熱面積以下にするためには、バルブ流路直径Dを30mm以下にする必要がある。
[2.2. 最大流量、及び圧力損失]
図18に、SOFCのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す。図19に、SOFCのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す。図20に、SOFCのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す。図21に、SOFCのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す。図18~図21より、以下のことが分かる。
(1)アノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給する場合において、10%のクオリティを確保し、最大流速を音速以下とし、かつ、圧力損失を50Pa以下とするためには、バルブ流路直径を15mm以上にする必要がある。
(2)カソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給する場合において、10%のクオリティを確保し、最大流速を音速以下とし、かつ、圧力損失を50Pa以下とするためには、バルブ流路直径を25mm以上にする必要がある。
(実施例3)
[1. 試験方法]
FEM熱解析により、SOECシステムの伝熱面積、最大流量、及び圧力損失を評価した。図22に、伝熱面積の数値解析(FEM熱解析)に用いたバルブ簡易モデルを示す。なお、沸騰冷却式バルブの温度は700℃とし、沸騰冷却式バルブの個数は16個とした。また、電解用H2Oの供給速度は、1.9L/minとした。
[2. 結果]
[2.1. 伝熱面積]
図23に、SOECシステムにおけるバルブ流路直径と伝熱面積との関係を示す。ここで、「許容伝熱面積」とは、沸騰熱伝達率10000W/m2/K、クオリティ≦10%を確保するために許容されるバルブ1個当たりの伝熱面積の最大値(=220cm2)をいう。図23より、以下のことが分かる。
(1)SOECシステムの場合、伝熱面積を許容伝熱面積以下にするためには、バルブ流路直径を102mm以下にすればよい。すなわち、SOFCシステムに比べて、バルブ流路直径を大きくすることができる。これは、SOECシステムでは電解用H2Oが沸騰冷却流路に供給され、十分な冷却水量の確保が可能なためである。
[2.2. 最大流量、及び圧力損失]
図24に、SOECのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す。図25に、SOECのアノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す。図26に、SOECのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と最大流速との関係を示す。図27に、SOECのカソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給した時のバルブ流路直径と圧力損失との関係を示す。図24~図27より、以下のことが分かる。
(1)アノードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給する場合において、10%のクオリティを確保し、最大流速を音速以下とし、かつ、圧力損失を50Pa以下とするためには、バルブ流路直径を10mm以上にする必要がある。
(2)カソードオフガスを沸騰冷却式バルブに供給する場合において、10%のクオリティを確保し、最大流速を音速以下とし、かつ、圧力損失を50Pa以下とするためには、バルブ流路直径を15mm以上にする必要がある。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る沸騰冷却式バルブは、CO2分離器の高温耐熱バルブなどに用いることができる。
本発明に係る沸騰冷却式CO2分離器は、SOFCシステム、SOECシステム、及びR-SOCシステムのオフガスの処理に用いることができる。
本発明に係るSOFCシステム、SOECシステム、及びR-SOCシステムは、電力貯蔵システムとして用いることができる。
10、10a、10b 沸騰冷却式バルブ
20 ハウジング部
40 バルブ部
42 シャフト
44、46 バルブ
52、54 シール部材
80、80’ 沸騰冷却式CO2分離器
100a、100b SOFCシステム
100c SOECシステム
100d R-SOCシステム

Claims (10)

  1. 以下の構成を備えた沸騰冷却式バルブ。
    (1)前記沸騰冷却式バルブは、
    ガスの流通経路を備えたハウジング部と、
    シャフトに、前記流通経路の切り替えを行うためのバルブが接合されたバルブ部と、
    前記ハウジング部のシール面(A)と、前記シール面(A)に着座する前記バルブのシール面(B)との間に挿入されたシール部材と、
    前記シール部材を冷却するための沸騰冷却手段と、
    前記シャフトの軸方向に沿って前記バルブ部を摺動させるための駆動手段と
    を備えている。
    (2)前記沸騰冷却手段は、
    前記ハウジング部の前記シール面(A)の直下であって、前記シール部材との接触面の近傍に形成された沸騰冷却流路(A)と、
    前記沸騰冷却流路(A)に水を供給し、かつ、前記沸騰冷却流路(A)から沸騰水を排出するための冷媒流路(A)と、
    前記バルブの前記シール面(B)の直下であって、前記シール部材との接触面の近傍に形成された沸騰冷却流路(B)と、
    前記沸騰冷却流路(B)に水を供給し、かつ、前記沸騰冷却流路(B)から沸騰水を排出するための冷媒流路(B)と、
    を備えている。
    (3)前記ハウジング部は、
    第1ガスを導入又は排出するための第1室と、
    第2ガスを導入又は排出するための第2室と、
    前記第1室又は前記第2室の間に設けられた、前記第1ガス又は前記第2ガスを排出又は導入するための第3室と
    を備え、
    前記第1室と前記第3室との間の第1隔壁には第1貫通穴が設けられ、前記第1貫通穴の内表面又は周囲には第1シール面(A)が設けられ、
    前記第2室と前記第3室との間の第2隔壁には第2貫通穴が設けられ、前記第2貫通穴の内表面又は周囲には第2シール面(A)が設けられている。
    (4)前記バルブ部は、
    前記シャフトと、
    前記シャフトに接合された、第1シール面(B)を備えた第1バルブと、
    前記シャフトに接合された、第2シール面(B)を備えた第2バルブと、
    を備えている。
    (5)前記第1シール面(A)と前記第1シール面(B)との間には、第1シール部材が挿入され、
    前記第2シール面(A)と前記第2シール面(B)との間には、第2シール部材が挿入されている。
  2. 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の沸騰冷却式バルブ。
    (6)前記駆動手段は、前記冷媒流路(B)から排出される前記沸騰水に含まれる水蒸気の圧力を用いて前記シャフトを摺動させる蒸気駆動手段である。
    (7)前記蒸気駆動手段は、
    前記ハウジング部に隣接して設けられた蒸気バッファタンクと、
    前記シャフトの基端に接合された、前記蒸気バッファタンク内を摺動するピストンと、
    前記沸騰水を前記ピストンの一方の面側又は他方の面側に切り替えて排出することにより、前記ピストンを摺動させる切替手段と
    を備えている。
  3. 以下の構成をさらに備えた請求項1又は2に記載の沸騰冷却式バルブ。
    (8)前記ハウジング部は、
    前記シール面(A)及び前記沸騰冷却流路(A)が形成された金属製の受部と、
    前記受部の底面及び側面に接合された、セラミックス製の断熱部(A)と
    を備えている。
    (9)前記バルブは、
    前記シール面(B)及び前記沸騰冷却流路(B)が形成された金属製の傘部と、
    前記傘部の底面に接合された、セラミックス製の断熱部(B)と
    を備えている。
  4. 以下の構成を備えた沸騰冷却式CO2分離器。
    (1)前記沸騰冷却式CO2分離器は、
    CO2を吸収・放出するためのCO2吸収材を備えた反応流路層と、
    熱交換媒体を流通させることにより、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体流路層と、
    前記反応流路層にCO2を含むガス又はパージガスのいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第1切替バルブと、
    前記媒体流路層に第1熱交換媒体又は第2熱交換媒体のいずれか一方を切り替えて供給・排出するための第2切替バルブと
    を備えている。
    (2)前記第1切替バルブ及び前記第2切替バルブは、それぞれ、請求項1から3までのいずれか1項に記載の沸騰冷却式バルブからなる。
  5. 以下の構成を備えたSOFCシステム。
    (1)前記SOFCシステムは、
    燃料から電力を生成する固体酸化物形燃料電池(SOFC)と、
    前記SOFCのアノードオフガス(Aout)からCO2を分離するCO2分離器と、
    前記CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)に含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器と、
    前記水蒸気の全部又は一部が分離された前記Boutを前記SOFCのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と
    を備えている。
    (2)前記CO2分離器は、請求項4に記載の沸騰冷却式CO2分離器からなる。
  6. 以下の構成をさらに備えた請求項5に記載のSOFCシステム。
    (3)前記SOFCシステムは、前記凝縮器で凝縮させた水を前記沸騰冷却式CO2分離器の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(A)を備えている。
  7. 以下の構成を備えたSOECシステム。
    (1)前記SOECシステムは、
    2O及びCO2から合成ガスを生成させる固体酸化物形電解セル(SOEC)と、
    前記SOECのカソードオフガス(A'out)からCO2を分離する第1CO2分離器と、
    前記第1CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器と、
    CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2を前記SOECに供給する第2CO2分離器と、
    前記SOECに電解用のH2Oを供給する蒸発器と、
    前記SOECのカソードオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造する燃料製造器と、
    前記第1CO2分離器のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)を前記SOECのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
    を備えている。
    (2)前記第1CO2分離器及び前記第2CO2分離器は、それぞれ、請求項4に記載の沸騰冷却式CO2分離器からなる。
  8. 以下の構成をさらに備えた請求項7に記載のSOECシステム。
    (3)前記SOECシステムは、前記電解用のH2Oを前記沸騰冷却式CO2分離器の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(B)を備えている。
  9. 以下の構成を備えたR-SOCシステム。
    (1)前記R-SOCシステムは、
    燃料から電力を生成するSOFCモードと、H2O及びCO2から合成ガスを生成させるSOECモードとを切替可能なリバーシブルSOC(R-SOC)と、
    前記R-SOCのオフガス(Aout又はA'out)からCO2を分離する第1CO2分離器と、
    前記第1CO2分離器のフィード流路から排出されるオフガス(Bout)から水蒸気の全部又は一部を分離するH2O分離器と、
    前記Boutに含まれる水蒸気を凝縮させ、凝縮水を得る凝縮器と、
    前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、CO2源から供給されるガスからCO2を分離し、分離されたCO2を前記R-SOCに供給する第2CO2分離器と、
    前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記R-SOCに電解用のH2Oを供給する蒸発器と、
    前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記R-SOCのオフガス(A'out)に含まれる合成ガスから炭化水素を製造し、貯蔵する燃料製造・貯蔵手段と、
    前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、前記第1CO2分離器のパージ流路から排出される分離ガス(Cout)を前記R-SOCのカソード流路に戻すカソードオフガス循環手段と、
    前記R-SOCが前記SOFCモードにある時に、前記水蒸気の全部又は一部が分離された前記Boutを前記R-SOCのアノード流路に戻すアノードオフガス循環手段と、
    前記R-SOCが前記SOFCモードにある時に、貯蔵された前記炭化水素を前記R-SOCに供給する燃料供給手段と
    を備えている。
    (2)前記第1CO2分離器及び前記第2CO2分離器は、それぞれ、請求項4に記載の沸騰冷却式CO2分離器からなる。
  10. 以下の構成をさらに備えた請求項9に記載のR-SOCシステム。
    (3)前記R-SOCシステムは、
    前記R-SOCが前記SOFCモードにある時に、前記凝縮器で凝縮させた水を前記沸騰冷却式CO2分離器の沸騰冷却流路(A)及び沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(A)と、
    前記R-SOCが前記SOECモードにある時に、電解用のH2Oを前記沸騰冷却流路(A)及び前記沸騰冷却流路(B)にそれぞれ供給する水供給手段(B)と
    を備えている。
JP2018061134A 2018-03-28 2018-03-28 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム Active JP7106930B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061134A JP7106930B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061134A JP7106930B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019175636A JP2019175636A (ja) 2019-10-10
JP7106930B2 true JP7106930B2 (ja) 2022-07-27

Family

ID=68169665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018061134A Active JP7106930B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7106930B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4306502A1 (en) 2021-03-11 2024-01-17 NGK Insulators, Ltd. Methane production system and methane production method
CN116867928A (zh) 2021-03-11 2023-10-10 日本碍子株式会社 甲烷制造系统

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5814307Y2 (ja) * 1976-01-27 1983-03-22 株式会社クボタ 熱ガス弁の弁体
JPS61128474U (ja) * 1985-01-30 1986-08-12

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019175636A (ja) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100790851B1 (ko) 스택에 열교환기가 내장된 연료전지
US20060010866A1 (en) Pressurized near-isothermal fuel cell - gas turbine hybrid system
CN100411233C (zh) 燃料电池系统及其发电方法
JP3823181B2 (ja) 燃料電池用発電システム及び発電システムの廃熱再循環冷却システム
US8227119B2 (en) Fuel cell system
WO2015046464A1 (ja) 冷暖房装置
JP7106930B2 (ja) 沸騰冷却式バルブ、沸騰冷却式co2分離器、sofcシステム、soecシステム、及びr-socシステム
JPS61168876A (ja) 燃料電池の作動方式
CN110137534A (zh) 燃料电池系统及氢动力车辆
US7560181B2 (en) Fuel cell system and method of operating the same
US9991527B2 (en) Heat exchanger, method of producing heat exchanger, and fuel cell system
KR20060067890A (ko) 거의-등온의 고온 연료 전지
US10340534B2 (en) Revised fuel cell cycle for in block reforming fuel cells
KR20110062042A (ko) 연료전지 시스템
KR101817432B1 (ko) 연료전지 시스템
JP5127733B2 (ja) 複合発電装置
JPH04144069A (ja) 燃料電池
JP7332993B2 (ja) 電気化学式水素圧縮機
JP7402420B2 (ja) メタノール製造システム
US20110143231A1 (en) Integrated piping module in fuel cell system
CN114586205B (zh) 混合发电系统
JP7332990B2 (ja) 電気化学式水素圧縮機
JP7332992B2 (ja) 電気化学式水素圧縮機
JP2000294262A (ja) 燃料電池発電装置
WO2012166040A1 (en) Energy generation using a stack of fuel cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7106930

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150