JP7105328B1 - エアーカーテン装置 - Google Patents
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エアーカーテン装置の例として、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。このようなエアーカーテン装置では、室内空間と室外空間を仕切る壁の開口部において上から下にエアーカーテン気流を吹き出す垂直気流を利用して害虫の侵入を抑制している。
また、吹出し口から下に向けて吹出されるエアーカーテン気流(垂直気流)に誘引される横向きの誘引気流が発生し、この誘引気流が壁の開口部から室内空間に回り込んでしまうため、この誘引気流に乗って害虫が室内空間に侵入するおそれがある。
前記気流制御部材は、内部が中空で、かつ前記壁の壁面から立ち上がる立上り面を有する本体部と、この本体部の前記室外空間側を向く表面側に設けられて、前記吹出し口に向けて開口する気流流入口と、前記本体部の下端に設けられた気流排出口とを備え、
前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出されるエアーカーテン気流の一部は、前記気流流入口から前記本体部の内部に流入し、前記気流排出口から排出されて下方に向かって流れ、前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出される前記エアーカーテン気流の残りは、前記本体部の前記室外空間側を向く表面に沿って下方に向かって流れることを特徴とする。
また、前記立上り面は、本体部が箱状に形成される場合、本体部の両側面のうち、壁の開口部から遠い側の側面によって構成される。
また、気流制御部材の本体部は、壁の壁面から立ち上がる立上り面を有するので、吹出し口から下に向けて吹出されるエアーカーテン気流(垂直気流)に誘引される横向きの誘引気流を立上り面によって物理的に遮断できる。このため、誘引気流に乗って害虫が室内空間に侵入するのを抑制できる。
前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出されるエアーカーテン気流の一部は、前記気流流入口から前記本体部の内部に流入し、気流排出口から排出されて下方に向かって流れ、前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出される前記エアーカーテン気流の残りは、前記傾斜面に沿って下方に向かって流れてもよい。
図1~図3は第1の実施形態に係るエアーカーテン装置10を示すもので、図1はエアーカーテン装置10の正面図、図2は同底面図、図3は図1におけるA-A線断面図である。
吹出し装置11は、室内空間S1と室外空間S2とを仕切る壁Wに設けられている。すなわち、図3に示すように、壁Wの壁面には、縦胴縁12が固定される一方、吹出し装置11の上面には取付金具13が取り付けられ、背面には取付金具14が取り付けられている。そして、取付金具13と金具14をそれぞれ縦胴縁12に固定することによって、吹出装置11が壁Wに設けられている。
したがって、壁Wの開口部WOの幅全体にわたって、吹出し装置11の吹出し口11c,11cからエアーカーテン気流が下方に向けて吹出される。
気流制御部材20は、図3~図5に示すように、内部が中空の本体部21と、この本体部21の室外空間側S2を向く表面側に設けられた気流流入口22と、本体部21の下端に設けられた気流排出口23と、本体部21の室外空間S2側を向く表面側に設けられた傾斜面24とを備えている。
気流流入口22は、傾斜面24の上端縁と、当該傾斜面24より上方の本体部21の表面(壁面と平行な表面)21fとの間に設けられ、矩形状に形成されている。気流流入口22の流路断面積は、矩形状に形成された気流排出口23の流路断面積より小さくなっている。このため、気流流入口22から本体部21の内部に流入したエアーカーテン気流は気流排出口23からスムーズに排出される。なお、気流流入口22は気流流出口23と同幅となっているが、高さ(本体部21の底面からの高さ)は気流排出口23の方が高くなっている。
そして、図4に示すように、本体部21の閉塞板21bを吹出し装置11の下面に当接した状態で、内フランジ部21c,21dを壁Wの壁面に当接して接着することによって、気流制御部材20が同壁面に取り付け固定されている。この状態において、気流制御部材20は、図4および図5に示すように、本体部21の気流流入口22が吹出し装置11の吹出し口11cに向けて開口し、気流流入口22より上側の本体部21の表面21fの上端が吹出し口11cの縁(壁Wの壁面に近い側の縁)に位置している。
したがって、吹出し口11cから気流制御部材20に向けて吹出されるエアーカーテン気流の一部AK1は、気流流入口22から本体部21の内部に流入し、気流排出口23から排出されて下方に向かって流れ、気流制御部材20に向けて吹き出されるエアーカーテン気流の残りAK2は、傾斜面24に沿って下方に向かって流れる。
また、気流制御部材20の本体部21は、壁Wの壁面から立ち上げる立上り面21aを有するので、吹出し口11cから下に向けて吹出されるエアーカーテン気流(垂直気流)に誘引される横向きの誘引気流を立上り面21a,21aによって物理的に遮断できる。このため、誘引気流に乗って害虫が室内空間S1に侵入するのを抑制できる。
次に実験例について説明する。
本発明例として、吹出し口の幅方向の両端部にそれぞれ設けられた気流制御部材を備えた本発明エアーカーテン装置と、気流制御部材を備えていない従来の従来エアーカーテン装置とを用意し、これらをそれぞれ開口部を有する壁の壁面に、開口部の上方において取り付けた。
また、エアーカーテン装置は、その吹出し口の両端部が壁の開口部に対して外側にオーバーラップするように取り付けた(図2参照)。
そして、本発明エアーカーテン装置および従来エアーカーテン装置の双方について、それぞれ、エアーカーテン装置ON状態とOFF状態とにおける捕虫数(匹)を計測し、防虫効率を以下のようにして算出した。
防虫効率(No1)=1-(58÷1021)=94.3%とした。
また、20時5分から一定時間においてエアーカーテン装置OFF状態で捕虫数が573匹、20時45分から一定時間においてエアーカーテン装置ON状態で捕虫数が74匹、21時10分から一定時間においてエアーカーテン装置OFF状態で捕虫数が944匹である場合に、
防虫効率(No2)=1-(74÷758.5)=90.2%とした。
つまり、ある時刻におけるエアーカーテン装置ON状態の場合の一定時間の捕虫数をNON、エアーカーテン装置ON状態より以前の時刻におけるエアーカーテン装置OFF状態の場合の一定時間の捕虫数をNOFF1、エアーカーテン装置ON状態より以後の時刻におけるエアーカーテン装置OFF状態の場合の一定時間の捕虫数をNOFF2とすると、
防虫効率=1-(NON÷(NOFF1+NOFF2)/2)となる、
表1において、「実験日」は全て異なる日である。また、「壁とのラップ幅」とは、壁Wの開口部WOの縁と、吹出し口11cの外側の縁との間の距離L3である。(図2参照)。
また、ノズル角度とは、吹出しノズル17からのエアーカーテン気流の吹出し角度のことであり、ノズル風速とはエアーカーテン気流の風速のことである。
図7はシミュレーションモデルを示す図であり、(a)はエアーカーテン装置のシミュレーションモデルを示す図、(b)は屋外(室外空間)と屋内(室内空間)とを仕切る壁にエアーカーテン装置を取り付けた状態のシミュレーションモデルを示す図である。図10において数値の単位はmmである。
また、エアーカーテン装置の吹出し口からのエアーカーテン気流の吹出し速度は約20m/m、吹出し角度は屋外側へ10°とした。
図8(b)に示す気流制御部材がある場合、図8(a)に示す気流制御部材が無い場合に比して、吹出し口からエアーカーテン気流が、より壁に沿って流れていることが分かる。また、気流制御装置を設けることによって、横からの誘引気流を物理的に遮断できることが分かる。さらに、吹出し口の直下に気流制御部材があるため、コアンダ気流を安定して形成できることが分かる。
このように、気流制御部材がある場合、無い場合に比して、エアーカーテン気流が室内空間に流入するのを抑制できるので、害虫の侵入を抑制できると考えられる。
第2の実施形態のエアーカーテン装置30は正面視において門型に構成されている。
また、エアーカーテン装置30はシャッタ装置31を備えており、当該シャッタ装置31は、上部ケーシング32と当該上部ケーシング32の左右両端部に設けられた側部ケーシング33,33とを備えている。上部ケーシング32は、吹出し装置11の上方に設けられ、壁Wの表面に固定されている。上部ケーシング32の内部にはシートシャッタ34が巻き付けられた巻取りドラム35が設けられており、巻取りドラム35から巻き出され、または巻取りドラム35に巻き取られるシートシャッタ34の両縁部は両側部ケーシング33,33に上下にスライド可能に挿入されている。したがって、巻取りドラム35を正逆方向に回転させることによって、シートシャッタ34が上下動し、これによって壁Wに設けられた開口部WOを開閉するようになっている。
そして、梁部材37a,37aの前面に吹出し装置10が固定され、柱部材38,38の背面に側部ケーシング33,33が固定されている。
本実施形態でも第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
第3の実施形態のエアーカーテン装置40は、正面視において門型に構成されている。
また、エアーカーテン装置40はシャッタ装置31を備えており、当該シャッタ装置31は、上部ケーシング32と当該上部ケーシング32の左右両端部に設けられた側部ケーシング33,33とを備えている。上部ケーシング32は、吹出し装置11の上方に設けられ、壁Wの表面に固定され、側部ケーシング33,33の上端部は壁Wの表面に固定されている。
上部ケーシング32の内部にはシートシャッタ34が巻き付けられた巻取りドラム35が設けられており、巻取りドラム35から巻き出され、または巻取りドラム35に巻き取られるシートシャッタ34の両縁部は両側部ケーシング33,33に上下にスライド可能に挿入されている。したがって、巻取りドラム35を正逆方向に回転させることによって、シートシャッタ34が上下動し、これによって壁Wに設けられた開口部WOを開閉するようになっている。
また、側部ケーシング33,33の上端部前面に気流制御部材20,20が固定され、さらに当該気流制御部材20,20の外側を向く側面が柱部材41,41に当接されるか、または固定されている。
本実施形態でも第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
11 吹出し装置
11c 吹出し口
20 気流制御部材
21 本体部
21a 立上り面
22 気流流入口
23 気流排出口
24 傾斜面
W 壁
WO 開口部
S1 室内空間
S2 室外空間
Claims (2)
- 室内空間と室外空間とを仕切る壁に設けられて、前記壁の開口部において上から下にエアーカーテン気流を吹き出す吹出し口を有する吹出し装置と、前記吹出し口の幅方向の両端部にそれぞれ設けられた気流制御部材とを備えたエアーカーテン装置であって、
前記気流制御部材は、内部が中空で、かつ前記壁の壁面から立ち上がる立上り面を有する本体部と、この本体部の前記室外空間側を向く表面側に設けられて、前記吹出し口に向けて開口する気流流入口と、前記本体部の下端に設けられた気流排出口とを備え、
前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出されるエアーカーテン気流の一部は、前記気流流入口から前記本体部の内部に流入し、前記気流排出口から排出されて下方に向かって流れ、前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出される前記エアーカーテン気流の残りは、前記本体部の前記室外空間側を向く表面に沿って下方に向かって流れることを特徴とするエアーカーテン装置。 - 前記本体部の前記室外空間側を向く表面は、前記気流流入口より下方において、下方に向かうほど前記室内空間側に傾斜し、かつ前記気流排出口まで延びる傾斜面となっており、
前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出されるエアーカーテン気流の一部は、前記気流流入口から前記本体部の内部に流入し、気流排出口から排出されて下方に向かって流れ、前記吹出し口から前記気流制御部材に向けて吹出される前記エアーカーテン気流の残りは、前記傾斜面に沿って下方に向かって流れることを特徴とする請求項1に記載のエアーカーテン装置。
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