JP7100317B2 - 越波抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、越波抑制装置に関し、さらに詳しくは、簡素な構成でありながら、護岸などにおける越波流量を抑制できる越波抑制装置に関するものである。
地球温暖化にともなう水面上昇や台風の大型化などの影響により、これまで越波が生じていなかった護岸などにおいても越波災害が発生するリスクが高まっている。そこで、従来、越波対策として、既設護岸に対して新たにコンクリートなどによって波を受け止める壁体や防波ブロックなどの構造体を増設する改良方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の改良方法のように、既設護岸に対してより大きな構造体を増設して護岸を嵩上げする方法では、大掛かりな工事を行う必要があるため、多くの労力とコストが必要となる。また、この対策を施すことで、陸側から沖側を見たときの景観が損なわれるというデメリットもある。
特開2017-186759号公報
本発明の目的は、簡素な構成でありながら、護岸などにおける越波流量を抑制できる越波抑制装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の越波抑制装置は、係船岸以外の臨水壁面に沿って配置される波抑制部材と、この波抑制部材を前記臨水壁面の所定の上下範囲に規制することを必須要件として遊動可能に吊下げる係留索とを備えて、前記波抑制部材の表面に前記臨水壁面よりも柔かい保護部を有し、前記所定の上下範囲の下端位置が、前記臨水壁面が面している水域の水面よりも上方に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、越波するような高い波が臨水壁に打ち寄せてきた場合には、臨水壁面に沿って配置された波抑制部材の重さによって臨水壁を乗り越えようとする波の力が抑制される。波抑制部材を臨水壁に接続している係留索が緊張して波抵抗部材が波に抵抗することによっても波の力が抑制される。波抑制部材は、係留索により臨水壁面の所定の上下範囲に規制されているので、波抑制部材および係留索による波の減勢効果を継続して発揮することができる。そのため、非常に簡素な構成でありながら、臨水壁面における越波流量を抑制することができる。また、波抑制部材の表面に臨水壁面よりも柔かい保護部を有しているので、波抑制部材が臨水壁面に衝撃しても臨水壁面が損傷することを防ぐことができる。
本発明の越波抑制装置の実施形態を側面視で模式的に例示する説明図である。 図1のA矢視図である。 図1の臨水壁面に波が打ち寄せた状況を側面視で模式的に例示する説明図である。 本発明の別の実施形態を正面視で模式的に例示する説明図である。 本発明のさらに別の実施形態を側面視で模式的に例示する説明図である。 越波抑制装置を設置した造波実験装置を側断面視で模式的に例示する説明図である。 図6の造波実験で発生させた波の有義波高と越波抑制装置による越波流量の低減率との関係を示すグラフ図である。 図6の造波実験の越波抑制装置と波の状況を側面視で模式的に例示する説明図である。
以下、本発明の越波抑制装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1~図3に例示する本発明の越波抑制装置1は、係船岸以外の臨水壁面10に沿って配置される波抑制部材2と、波抑制部材2を臨水壁面10の所定の上下範囲に規制して遊動可能に吊下げる係留索5とを備えている。越波抑制装置1が設置される臨水壁面10としては、海や湖、河川などにおいて船舶が接岸しない護岸などを例示できる。
本願図中では、臨水壁面10に沿う水平方向(臨水壁面10の延在方向)を矢印X、X方向と直交する水平方向(臨水壁面10に対する法線方向)を矢印Y、上下方向を矢印Zで示している。図1では、波抑制部材2が最も下方に位置する状態、波抑制部材2が最も上方に位置する状態をそれぞれ、実線、破線で示している。この実施形態では、垂直な臨水壁面10を例示しているが、本発明の越波抑制装置1は、臨水壁面10が傾斜面や曲面である場合にも採用することができる。
波抑制部材2は、例えば、合成樹脂や天然樹脂、金属などで形成され、比重が1以上の部材も1未満の部材も採用できる。取扱性や臨水壁面10との干渉などを考慮すると、
波抑制部材2は、樹脂、ゴムやこれらの発泡体などの比重が1未満の部材を採用するとよい。波抑制部材2の形状としては、円柱状や円筒状、俵状、球状、多角柱状などが例示できる。
波抑制部材2は、表面に臨水壁面10よりも柔かい保護部3を有している。波抑制部材2の全体を臨水壁面10よりも柔かい材料で形成して保護部3を有する仕様にすることも、臨水壁面10に接触する表面部分のみに保護部3を有する仕様にすることもできる。例えば、波抑制部材2の芯材を臨水壁面10よりも硬い材料として、芯材の外面を臨水壁面10よりも柔かい材料(ゴムや軟質樹脂など)で被覆した構造にすることもできるし、芯材の外周に臨水壁面10よりも柔かい材料で形成された突起物を設けた構造にすることもできる。
波抑制部材2を空気式防舷材のように袋状に形成し、内空部分に空気や水を注入した構造にすることもできる。尚、本発明の越波抑制装置1は、船舶が接岸しない場所に設置されるので防舷材とは設置場所が完全に相違している。波抑制部材2は、透水性が低い構造であれば、完全に水が不透過な構造に限定されず、網状の構造や、芯材に繊維状や紐状の部材を巻きつけた構造などにすることもできる。
係留索5は、合成樹脂や天然繊維、金属などで形成されたロープやチェーンなどで構成される。係留索5も表面に臨水壁面10よりも柔かい保護部を有する仕様にすることもできる。この実施形態では、円筒状の波抑制部材2の筒軸方向に延在する貫通孔4に係留索5が挿通されていて、係留索5の両端部がそれぞれ臨水壁面10に固定された固定具6に連結されている。固定具6としては例えば、打ち込みアンカーボルトや締め付けアンカーボルト、ケミカルアンカーボルトなどが例示できる。波抑制部材2と係留索5との接続方法や臨水壁面10に対する係留索5の固定方法は特に限定されず、他の構成にすることもできる。
係留索5によって規制される波抑制部材2が遊動可能な所定の上下範囲の下端位置は、臨水壁面10が面している水域の水面WLよりも上方に設定される。具体的には、臨水壁面10が海や海との河口近くの河川に面している場合には、前述した所定の上下範囲の下端位置は、朔望平均干潮位と朔望平均満潮位の平均値である平均水位、或いは、朔望平均満潮位よりも高い位置に設定される。臨水壁面10が湖に面している場合には、前述した所定の上下範囲の下端位置は、湖の平均水位よりも高い位置に設定される。即ち、図1および図2に示すように、台風や強風などによる波浪がない平常時には、波抑制部材2は水面WLよりも高い位置に吊り下げられ、水面WLに接触しない状態となる。
図1に示すように、係留索5の長さは、波抑制部材2が最も下方に位置する状態で、
臨水壁面10に対する法線方向(Y方向)と係留索5とのなす角度θが、30度以上60度以下、より好ましくは40度以上50度以下になる長さに設定するとよい。波抑制部材2が遊動可能な所定の上下範囲の上端位置は、臨水壁面10に打ち寄せる波の想定波高に応じて適宜決定され、この実施形態では、臨水壁面10の上端と同じ高さ位置に設定されている。越波が生じるような悪天候時に波抑制部材2を臨水壁面10から突出させることは望ましくないので、この上下範囲の上端位置は臨水壁面10の上端の位置以下に設定するとよい。図2に示すように、この実施形態では、複数の波抑制部材2がX方向に配列されているが、設置現場の条件に基づいて適切な配列数(単数または複数)が設定される。
図3に示すように、悪天候時などに水面WLよりも高い波Wが臨水壁面10に打ち寄せてきた場合には、波抑制部材2に波Wが衝突する。この際、波抑制部材2の重さによって臨水壁面10を乗り越えようとする波Wの力が抑制される。さらに、波抑制部材2を臨水壁面10に接続している係留索5が緊張して波抵抗部材2が波Wに抵抗することによっても臨水壁面10を乗り越えようとする波Wの力が抑制される。波抑制部材2は、係留索5により臨水壁面10の所定の上下範囲に規制されているので、波抑制部材2および係留索5による波Wの抑制効果が継続して発揮される。そのため、臨水壁面10における越波流量が抑制される。
このように、本発明の越波抑制装置1は、非常に簡素な構成でありながら、臨水壁10における越波流量を抑制できる。波抑制部材2の表面に臨水壁面10よりも柔かい保護部3を有しているので、波抑制部材2が臨水壁面10に衝撃しても臨水壁面10が損傷することを防ぐことができる。さらに、越波抑制装置1は、既設の臨水壁面10に比較的簡易な工事で設置することができる。
越波流量の抑制効果に対する波抑制部材2の重さ(比重)と波の勢力(波高)との関係を詳述すると以下のとおりである。
波抑制部材2の比重を大きくすると、波抑制部材2の重さによる波Wの力の抑制効果は高くなる。波抑制部材2は波Wの力を受けて係留索5によって規制された範囲で移動するが、波抑制部材2の比重が大きくなるほど波抑制部材2は移動し難くなる。臨水壁面10に打ち寄せる波Wの波高が比較的低く、波抑制部材2の比重が相当に大きい場合には、波抑制部材2が係留索5によって規制された所定の上下範囲の下端位置からほとんど移動せずに、臨水壁面10に近接した位置に留まるので、波抑制部材2によって臨水壁面10付近の波Wの打ち上がりが効果的に抑制される。それ故、波抑制部材2の比重を相当に大きくすると、波高の比較的低い波Wに対する越波流量の抑制効果は高くなる。
一方、臨水壁面10に打ち寄せる波Wの波高が比較的高い場合には、波抑制部材2の比重が相当に大きいと、打ち上がる波Wとともに波抑制部材2が上方移動し難いため、波抑制部材2の上を滑るように乗り越える小さな越波が生じることがある。それ故、波抑制部材2の比重を相当に大きくすると、波高の比較的高い波Wに対する越波流量の抑制効果は低くなる。
波抑制部材2の比重を小さくすると、波抑制部材2が係留索5によって規制された範囲で移動し易くなる。そのため、臨水壁面10に打ち寄せる波Wの波高が比較的低く波抑制部材2の比重が相当に小さい場合には、波抑制部材2が係留索5によって規制された所定の上下範囲の下端位置から移動して、臨水壁面10と波抑制部材2との間にすき間が生じやすくなり、そのすき間から打ち上がった波Wが臨水壁面10を越流することがある。それ故、波抑制部材2の比重を相当に小さくすると、波高の比較的低い波Wに対する越波流量の抑制効果は低くなる。
一方、臨水壁面10に打ち寄せる波Wの波高が比較的高い場合には、波抑制部材2の比重が相当に小さいと、波抑制部材2が打ち上がる波Wとともに上方移動し易くなる。そのため、係留索5が緊張して波抑制部材2が打ち上がる波Wを上から抑えつけるように抵抗することによって波Wの打ち上がりが効果的に抑制される。それ故、波抑制部材2の比重を相当に小さくすると、波高の比較的高い波Wに対する越波流量の抑制効果は高くなる。
このように、波抑制部材2の重さ(比重)と波の勢力(波高)との関係によって越波流量の抑制効果は異なるので、設置現場の条件を把握して適切な仕様の波抑制部材2を採用する。この越波抑制装置1は、臨水壁面10のサイズや形状に応じて、波抑制部材2のサイズや形状、配列数などを変えることで、様々な臨水壁面10に設置することが可能である。また、波抑制部材2の比重の大きさや設置高さを変えることで、様々な波高の波に対応することができるので、汎用性が非常に高い。
係留索5の長さを、波抑制部材2が最も下方に位置する状態で、臨水壁面10に対する法線方向(Y方向)と係留索5とのなす角度θが、30度以上60度以下になる長さに設定すると、波抑制部材2が上下移動する際の臨水壁面10と波抑制部材2との間のすき間を小さくすることができるので、臨水壁面10近くの波Wの打ち上がりを抑制するには有利になる。さらに、係留索5の長さを、前述したなす角度θが40度以上50度以下になる長さに設定すると、臨水壁面10近くの波Wの打ち上がりが抑制するにはより有利になる。
越波抑制装置1は、図4や図5の(a)~(d)に例示するように、上下方向に複数の波抑制部材2が配置された構成や、波抑制部材2が複数の部材を組み合わされて形成された構成にすることもできる。
図4および図5の(a)に例示する越波抑制装置1では、上下方向に複数の波抑制部材2を配置するとともに、平面視で、臨水壁面10に沿う水平方向に隣り合って配置された下側の波抑制部材2どうしの間のすき間を塞ぐ位置に、上側の波抑制部材2が配置されている。
なお、この実施形態では、円柱状の波抑制部材2が、柱軸方向がX方向と平行になる向きで、臨水壁面10に沿って配置されていて、波抑制部材2の円形の両端面の中心位置にそれぞれ連結具7が取り付けられている。そして、それぞれの連結具7に係留索5の一端部が着脱可能に連結され、係留索5の他端部が臨水壁面10に固定された固定具6に着脱可能に連結されている。
このように、上下方向に複数の波抑制部材2を配置すると、設置高さの異なる波抑制部材2および係留索5によって、臨水壁面10に打ち寄せる様々な波高の波に対応することが可能となるで、越波流量を低減するには有利になる。さらに、平面視で、臨水壁面10に沿う水平方向に隣り合って配置された下側の波抑制部材2どうしの間のすき間を塞ぐ位置に、上側の波抑制部材2を配置すると、下側の波抑制部材2どうしの間のすき間から波Wが打ち上がった場合にも、その波Wを上側の波抑制部材2によって抑制できるので、越波流量を抑制するにはより有利になる。
前述したように、波高が比較的低い波Wによる越波流量を抑制するには、波抑制部材2の比重を大きくすることが有利であり、波高が比較的高い波Wによる越波流量を抑制するには、波抑制部材2の比重を小さくすることが有利である。それ故、上下方向に比重が異なる波抑制部材2を複数配置すると、臨水壁面10に打ち寄せる様々な波高の波に対応することが可能となるので、臨水壁面10における越波流量を低減するにはより有利になる。
さらに、上側に配置する波抑制部材2の比重を、下側に配置する波抑制部材2の比重よりも小さく設定すると、下側に配置された比較的比重の大きい波抑制部材2によって波高が比較的低い波Wによる越波流量を効果的に抑制し、上側に配置された比較的比重の小さい波抑制部材2によって波高が比較的高い波Wによる越波流量を効果的に抑制することができる。それ故、臨水壁面10における越波流量を抑制するには益々有利になる。
図5の(b)~(d)に例示する実施形態は、波抑制部材2が係留索5に接続された主部材2aと、係留索5とは別の連結部材2cにより主部材2aと連結された副部材2bとで構成されている。この実施形態では、主部材2aおよび副部材2bを円柱状の部材で構成しているが、他の形状にすることもできる。波抑制部材2および係留索5の材質や設置条件などは既述した実施形態と同じである。
図5の(b)の越波抑制装置1では、円柱状の主部材2aの両端面にそれぞれ連結具7が設けられていて、それぞれの連結具7と臨水壁面10に固定された固定具6とが、係留索5によって接続されている。そして、主部材2aと、主部材2aの下方に隣接配置された円柱状の副部材2bとが可撓性のある索状の連結部材2cによって連結されている。連結部材2cは係留索5と同じ仕様にすることもできる。
図5の(c)の越波抑制装置1では、図5の(b)の索状の連結部材2cに代えて、主部材2aと、主部材2aの下方に隣接配置された副部材2bとが可撓性のない剛直な棒状の連結部材2cによって連結されている。その他の構成は、図5の(b)の越波抑制装置1と同じである。
図5の(d)の越波抑制装置1では、図5の(b)の索状の連結部材2cに代えて、主部材2aと、主部材2aの臨水壁面10の面垂直方向(Y方向)に隣接配置された副部材2bとが可撓性のない剛直な棒状の連結部材2cによって連結されている。その他の構成は、図5の(b)の越波抑制装置1と同じである。
図5の(b)~(d)に例示する実施形態のように、波抑制部材2を主部材2a、副部材2bおよび連結部材2cで構成すると、主部材2aと副部材2bとの動きによる干渉、連結部材2の緊張、変形などに伴って波Wのエネルギーが吸収される。それ故、越波流量の抑制効果を高くするには有利になる。
波抑制部材2を主部材2a、副部材2bおよび連結部材2cで構成する場合にも主部材2aと副部材2bとを異なる比重に設定すると、一つの波抑制部材2で様々な波高の波Wに対応することが可能となり、臨水壁面10における越波流量を抑制するには有利になる。図5の(b)~(d)に例示する実施形態では、主部材2aに対して1つの副部材2bを連結する場合を例示しているが、主部材2aに対して2つ以上の副部材2bを連結した構成することもできる。
図6に示すように、造波実験装置20の造波区画に臨水壁面10と波抑制装置1を模擬した縮小模型21を設置して、越波抑制装置1による越波流量の抑制効果を確認した。この実験では、臨水壁面10(縮小模型21)の下流側に複数の区画に区切られた集水箱22を設置して、比重が大きい波抑制部材2(2H)を設置した場合と、比重が小さい波抑制部材2(2L)を設置した場合と、越波抑制装置1を設置しない場合の3通りに対して、それぞれの越波流量を測定した。波抑制部材2Hはアクリル樹脂で形成し、比重を0.509としている。比重が小さい波抑制部材2Lは発泡スチロールで形成し、比重を0.066としている。波抑制部材2H、2Lは円柱状に形成されており、同じ寸法である。
図7は実験結果を示すグラフ図であり、横軸は造波実験装置20で発生させた波Wの有義波高を示し、縦軸は越波抑制装置1を設置したことによる越波流量の低減率を示している。図7の白抜きの四角印は波抑制部材2Hを設置した場合を示し、白抜きの丸印は波抑制部材2Lを設置した場合の実験結果を示している。図7では、越波抑制装置1を設置しない場合は、越波流量の低減率は0%となる。
図7に示すように、波抑制部材2H、2Lのいずれを採用した場合にも、越波抑制装置1を臨水壁面10に設置することで、越波抑制装置1を設置しない場合に比して、越波流量を抑制できることがわかる。比重が大きい波抑制部材2Hの場合には、波高が低くなると越波流量の抑制効果が高く、比重が小さい波抑制部材2Lの場合には、波高が高くなると越波流量の抑制効果が高いことがわかる。
図8の(a)は、波抑制部材2Hを設置して波高の低い波SW(有義波高が約6.2cm)を発生させた状況を示し、図8の(b)は、波抑制部材2Hを設置して波高の高い波BW(有義波高が約14cm)を発生させた状況を示している。図8の(c)は、波抑制部材2Lを設置して波高の低い波SWを発生させた状況を示し、図8の(d)は、波抑制部材2Lを設置して波高の高い波BWを発生させた状況を示している。
図8の(a)に示すように、波抑制部材2Hの場合には、比較的波高の低い波SWに対しては、波抑制部材2Hが、係留索5によって規制されている上下範囲の下端位置からほとんど動かずに、臨水壁面10の近傍に留まった波抑制部材2Hによって臨水壁面10近くの波SWの打ち上がりが抑制された。越波抑制装置1を設置しない場合に比して越波流量は約92%低減した。
図8の(b)に示すように、比較的波高の高い波BWに対しては、波抑制部材2Hは係留索5によって規制されている上下範囲の中途位置まで移動したが、波BWの上部にまでは浮かび上がらずに、波抑制部材2Hの上を乗り越える小さな越波が生じた。越波抑制装置1を設置しない場合に比して越波流量は約77%低減した。
図8の(c)に示すように、波抑制部材2Lの場合には、比較的波高の低い波SWに対しては、波抑制部材2Lが、係留索5によって規制されている上下範囲の下端位置から移動して、臨水壁面10と波抑制部材2との間にすき間が生じ、そのすき間から波が薄く打ち上がり、小さな越波が生じた。ただし、越波抑制装置1を設置しない場合に比して、臨水壁を越える水流の勢いは弱く、集水箱22の臨水壁に最も近い区画にだけ水が溜まった。越波抑制装置1を設置しない場合に比して越波流量は約76%低減した。
図8の(d)に示すように、比較的波高の高い波BWに対しては、波抑制部材2Lが臨水壁面10近くで打ち上がる波BWの上部まで浮かび上がり、係留索5が緊張して波抑制部材2が打ち上がる波BWを上から抑えつけるように抵抗することによって、波BWの打ち上がりが抑制された。小さな越波は生じたが、越波抑制装置1を設置しない場合に比して臨水壁を越える水流の勢いは弱く、集水箱22の臨水壁から遠い区画には水が溜まらなかった。越波抑制装置1を設置しない場合に比して越波流量は約91%低減した。
1 越波抑制装置
2、2H、2L 波抑制部材
2a 主部材
2b 副部材
2c 連結部材
3 保護部
4 貫通孔
5 係留索
6 固定具
7 連結具
10 臨水壁面
20 造波実験装置
21 縮小模型
22 集水箱
W、BW、SW 波
WL 臨水壁面が面している水域の水面

Claims (6)

  1. 係船岸以外の臨水壁面に沿って配置される波抑制部材と、この波抑制部材を前記臨水壁面の所定の上下範囲に規制することを必須要件として遊動可能に吊下げる係留索とを備えて、
    前記波抑制部材の表面に前記臨水壁面よりも柔かい保護部を有し、前記所定の上下範囲の下端位置が、前記臨水壁面が面している水域の水面よりも上方に設定されていることを特徴とする越波抑制装置。
  2. 前記波抑制部材の形状が円柱状または円筒状である請求項1に記載の越波抑制装置。
  3. 上下方向に複数の前記波抑制部材が配置されている請求項1または2に記載の越波抑制装置。
  4. 上側に配置された前記波抑制部材の比重が、下側に配置された前記波抑制部材の比重よりも小さい請求項3に記載の越波抑制装置。
  5. 平面視で、前記臨水壁面に沿う水平方向に隣り合って配置された下側の前記波抑制部材どうしの間のすき間を塞ぐ位置に、上側の前記波抑制部材が配置されている請求項3または4に記載の越波抑制装置。
  6. 前記波抑制部材が、係留索に接続された主部材と、この主部材と前記係留索とは別の連結部材により連結された副部材とで構成されている請求項1~5のいずれかに記載の越波抑制装置。
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