JP7090755B2 - 粘着剤組成物及び帯電防止表面保護フィルム - Google Patents
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Description
また、液晶ディスプレイパネルの消費電力を低減させるため、液晶材料の駆動電圧が低くなってきており、これに伴って、ドライバーICの破壊電圧も低くなっている。このため、表面保護フィルムを、被着体である光学用フィルムから剥離する時に、剥離帯電圧が高いことによる不具合を防止するため、剥離帯電圧を低く抑えるための帯電防止剤を含む粘着剤層を用いた表面保護フィルムが、提案されている。
また、特許文献2には、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3~40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1~4.9重量%および炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート50~99.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、ならびにアルカリ金属塩を含有してなる粘着剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、分子内に水酸基を有するアクリル系共重合体と、アルカリ金属塩と、分子内にポリオキシアルキレン基を有し、HLB値が1以上10以下であるジメチルポリシロキサン化合物とを含有する粘着剤組成物が記載されている。
さらに、被着体に対する汚染に悪影響を及ぼさない帯電防止剤を選択して、粘着剤組成物に含有させることにより、被着体に対する汚染が少なく、且つ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する粘着剤組成物を得ることが可能となり、本発明の課題を解決することができた。
すなわち、本発明は、粘着剤組成物を構成するアクリル系ポリマーを、
(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、
(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上と、
(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上と、
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、を共重合させた共重合体とし、
前記(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上とからなり、前記(a1)と前記(a2)の含有割合(a2/a1)を、質量比で特定の比率範囲にすることにより、得られた粘着剤の被着体に対する汚染を低下させることを技術思想としている。
前記アクリル系ポリマーが、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、
(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計を50~99.8重量部と、
共重合可能なモノマー群として、
(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上を0.1~14重量部と、
(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上を0.01~1.0重量部と、
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上を0超過35重量部以下とを、
水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、及びアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有させないで共重合させた共重合体(但し、アルキル基の炭素数がC4~C10の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの100重量部に対して、水酸基を含有する共重合可能なモノマーが0.1~5.0重量部含まれ、かつ、前記水酸基を含有する共重合可能なモノマーのうち、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートについて合計した含有量が0~0.9重量部であるものを除く。)であり、
前記(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上とからなり、
前記(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計100重量部に対して、前記(a1)の少なくとも1種を5~45重量部と、前記(a2)の少なくとも1種を55~95重量部と、の割合で含有してなり、
前記(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの中から選択された、少なくとも1種以上であり、
前記(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が3~14であり、モノマー中のジエステル分が0.2%以下であり、
前記架橋剤が、(E)2官能以上のイソシアネート化合物であり、
前記粘着剤組成物が、さらに、(F)架橋促進剤と、(G)ケトエノール互変異性体化合物とを含有してなることを特徴とする粘着剤組成物を提供する。
また、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計100重量部に対して、(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種を1~50重量部と、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種を50~99重量部と、の割合で含有していることが好ましく、前記(a1)の少なくとも1種を3~45重量部と、前記(a2)の少なくとも1種を55~97重量部と、の割合で含有していることがより好ましく、前記(a1)の少なくとも1種を5~45重量部と、前記(a2)の少なくとも1種を55~95重量部と、の割合で含有していることが特に好ましく、前記(a1)の少なくとも1種を8~40重量部と、前記(a2)の少なくとも1種を60~92重量部と、の割合で含有していることが最も好ましい。
(1)(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、50~99.8重量部の割合で含まれ、且つ、前記(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、前記(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上との含有割合(a2/a1)が、質量比で1超過50以下であることが好ましい。
(2)(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、62~99.5重量部の割合で含まれ、且つ、前記(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、前記(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上との含有割合(a2/a1)が、質量比で1.2~33であることがより好ましい。
(3)(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、66~96.0重量部の割合で含まれ、且つ、前記(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、前記(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上との含有割合(a2/a1)が、質量比で1.5~19であることが特に好ましい。
(4)(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、70~93.0重量部の割合で含まれ、且つ、前記(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上と、前記(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上との含有割合(a2/a1)が、質量比で1.5超過11.5以下であることが最も好ましい。
前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上の合計を0.1~14重量部の割合で含有することが好ましく、0.5~12重量部の割合がより好ましく、2.0~10.0重量部の割合が特に好ましく、2.5~10.0重量部の割合が最も好ましい。
前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上の合計を0.01~1.0重量部の割合で含有することが好ましく、0.02~1.0重量部の割合がより好ましく、0.03~0.8重量部の割合が特に好ましく、0.05~0.8重量部の割合が最も好ましい。
ポリアルキレングリコールの有するアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の2種以上のポリアルキレングリコールの共重合体であってもよい。ポリアルキレングリコールの共重合体としては、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール等が挙げられ、該共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体であってもよい。
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が3~14であることが好ましい。「アルキレンオキサイドの平均繰り返し数」とは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子構造に含まれる「ポリアルキレングリコール鎖」の部分において、アルキレンオキサイド単位が繰り返す平均の数である。
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーにおいて、モノマー中のジエステル分が0.2%以下であることが好ましい。「モノマー中のジエステル分」とは、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマー中に含まれるポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステルの含有率(重量%)である。
より具体的には、ポリエチレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノ(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート;エトキシポリエチレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール-(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上の合計を、0超過35重量部以下の割合で含有することが好ましく、0超過25重量部以下の割合で含有することがより好ましく、2.0~23.0重量部の割合とすることが特に好ましく、4.0~20.0重量部の割合とすることが最も好ましい。
3官能以上のイソシアネート化合物としては、2官能イソシアネート化合物(1分子中に2個のNCO基を有する化合物)のビュレット変性体やイソシアヌレート変性体、トリメチロールプロパン(TMP)やグリセリン等の3価以上のポリオール(1分子中に少なくとも3個以上のOH基を有する化合物)とのアダクト体(ポリオール変性体)などが挙げられる。
(E)2官能以上のイソシアネート化合物として、(E-1)3官能イソシアネート化合物のみ、または(E-2)2官能イソシアネート化合物のみを用いることも可能である。また、(E-1)3官能イソシアネート化合物と、(E-2)2官能イソシアネート化合物を併用することも可能である。
例えば、一般式「O=C=N-X-N=C=O」(ただし、Xは2価基)でジイソシアネート化合物を、一般式「HO-Y-OH」(ただし、Yは2価基)でジオール化合物を表すとき、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させて生成された化合物としては、例えば、次の一般式Zで表される化合物が挙げられる。
O=C=N-X-(NH-CO-O-Y-O-CO-NH-X)n-N=C=O
多座配位子Lとしては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ-ケトエステルや、アセチルアセトン(別名2,4-ペンタンジオン)、2,4-ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ-ジケトンが挙げられる。これらは、ケトエノール互変異性体化合物であり、多座配位子Lにおいてはエノールが脱プロトンしたエノラート(例えばアセチルアセトネート)であってもよい。
単座配位子Xとしては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、2-エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基等のアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
本発明に係わる粘着剤組成物における(F)架橋促進剤としては、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、鉄キレート化合物からなる群の中から選択された少なくとも1種以上であることが好ましい。
(F)架橋促進剤は、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.001~0.5重量部含まれることが好ましい。
(G)ケトエノール互変異性体化合物は、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、0.1~300重量部含まれることが好ましい。
前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(H)融点が25~50℃の温度25℃で固体であるイオン性化合物の少なくとも1種以上の合計を0.01~5.0重量部の割合で含有することが好ましい。
(I)HLB値が7~15であるポリエーテル変性シロキサン化合物を粘着剤組成物に配合することにより、粘着剤の粘着力及び汚染性を改善することができる。粘着剤組成物がポリエーテル変性シロキサン化合物を含有しない場合、より低コストとなる。
また、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、(I)HLB値が7~15であるポリエーテル変性シロキサン化合物を0.01~1.0重量部の割合で含有することが好ましく、0.05~0.8重量部の割合がより好ましく、0.1~0.5重量部の割合が特に好ましい。
主剤の共重合体の製造に使用される各モノマーは、粘着剤組成物の粘度上昇を避けるためには、架橋剤として機能し得る、多官能性(二官能性以上)のモノマーの量を極力低減することが好ましい。特に、(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、対応するジエステル分が二官能性モノマーのジ(メタ)アクリル酸エステルであるため、ジエステル分の少ないものを用いることが好ましい。
なお、前記水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N-ジアルキル置換アミノ基やN,N-ジアルキル置換アミド基を含有するアクリル系モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドンなどのN-ビニル置換ラクタム類;N-(メタ)アクリロイルモルホリンやN-(メタ)アクリロイルピロリジンなどのN-(メタ)アクリロイル置換環状アミン類;アクリロイル基含有アンモニウム塩などのアクリロイル基含有イオン性化合物などが挙げられる。
アクリロイル基含有イオン性化合物の具体例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート 六フッ化リン酸メチル塩〔(CH3)3N+CH2OCOCQ=CH2・PF6 -、ただし、Q=HまたはCH3〕、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドメチル塩〔(CH3)3N+(CH2)2OCOCQ=CH2・(CF3SO2)2N-、ただし、Q=HまたはCH3〕、ジメチルアミノメチルメタクリレート ビス(フルオロスルホニル)イミドメチル塩〔(CH3)3N+CH2OCOCQ=CH2・(FSO2)2N-、ただし、Q=HまたはCH3〕等が挙げられる。
また、前記アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート、4-プロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-イソプロポキシブチル(メタ)アクリレート、4-ブトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の原子がアルコキシ基で置換された構造を有する。アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、ポリアルキレングリコール構造を有しないことから、アルコキシ基含有の(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、アルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーには該当しない。
本発明は、粘着剤組成物に含まれるアクリル系ポリマーが、水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、及びアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有しないでも、被着体に対する汚染が少なく、且つ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する粘着剤組成物、及び帯電防止表面保護フィルムを提供するという課題を解決したことに特徴を有している。
被着体である偏光板としては、反射率2%以下に低反射表面処理が施された偏光板(LR偏光板)、反射率2%以下に低反射表面処理が施され、且つ、防眩処理が施された偏光板(AG-LR偏光板)が挙げられる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に、メチルアクリレート15重量部、2-エチルヘキシルアクリレート85重量部、8-ヒドロキシオクチルアクリレート10.0重量部、アクリル酸0.1重量部、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(n=12)10重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を60重量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1に用いるアクリル系ポリマー溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液に対して、アセチルアセトン9.0重量部を加え撹拌したのち、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)を2.0重量部、チタニウムトリスアセチルアセトネート0.1重量部、1-ノニルピリジニウム 六フッ化リン酸塩1.0重量部、ポリエーテル変性シロキサン化合物(HLB=7)0.1重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。
実施例1の粘着剤組成物の組成を各々、表1及び表2の記載のようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2~6及び比較例1~3の粘着剤組成物を得た。
合成例1,2の、2官能イソシアネート化合物は、下記の方法で合成した。表5及び表6に示すように、ジイソシアネートとジオール化合物を、モル比:NCO/OH=16の比率で混合し、120℃で3時間反応させ、その後、薄膜蒸発装置を使用して減圧下で未反応のジイソシアネートを除去し、目的の2官能イソシアネート化合物を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造した実施例1の粘着剤組成物を、シリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の帯電防止表面保護フィルムを得た。
[実施例2~6及び比較例1~3]
上記の実施例1の帯電防止表面保護フィルムと同様にして、実施例2~6及び比較例1~3の帯電防止表面保護フィルムを得た。
実施例1~6及び比較例1~3における帯電防止表面保護フィルムを、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、表面抵抗率の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた帯電防止表面保護フィルムを、粘着剤層を介して偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力、剥離帯電圧、及び汚染性の測定試料とした。被着体の偏光板は、LR偏光板又はAG-LR偏光板である。
上記で得られた測定試料(25mm幅の帯電防止表面保護フィルムを、LR処理又はAG-LR処理を施した偏光板の表面に貼り合わせたもの)を、180°方向に引張試験機を用いて低速の剥離速度(0.3m/min)及び高速の剥離速度(30m/min)において剥がして、測定した剥離強度を粘着力(N/25mm)とした。
エージングした後、偏光板に貼り合わせる前に、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして粘着剤層を表出し、抵抗率計ハイレスタUP-HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて粘着剤層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
上記で得られた測定試料を、30m/minの引張速度で180°剥離した際に、LR処理又はAG-LR処理を施した偏光板が帯電して発生する電圧(帯電圧)を、高精度静電気センサSK-035、SK-200(株式会社キーエンス製)を用いて測定し、測定値の最大値を剥離帯電圧(kV)とした。
ガラス板の片面上に、偏光板を、貼合機を用いて、両面粘着テープ等の粘着剤層を介して貼合した。その後、LR処理又はAG-LR処理を施した偏光板の表面に、帯電防止表面保護フィルムの粘着剤層を、貼合機を用いて貼合する。23℃、50%RHの環境下で3日間および30日間の期間に渡って保管した後に、帯電防止表面保護フィルムを剥がし、偏光板の表面の汚染状態を目視にて観察した。
表面汚染性は、偏光板の表面に対して3日間保管および30日間保管のいずれにおいて汚染なしの場合を「○」、3日間保管および30日間保管のいずれかにおいて、わずかに汚染ありの場合を「△」、汚染ありの場合を「×」と評価した。
また、アクリル系ポリマーが、(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計100重量部に対して、(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーを80重量部の割合で含有し、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの20重量部より多く含有した比較例2の帯電防止表面保護フィルムは、粘着力が過大であり、表面抵抗率が高く、剥離帯電圧が高く、且つ汚染性が劣っていた。
また、アクリル系ポリマーが(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有していない比較例3の帯電防止表面保護フィルムは、表面抵抗率が高く、剥離帯電圧が高く、且つ汚染性が劣っていた。
このように、比較例1~3の帯電防止表面保護フィルムは、被着体に対する汚染の抑制と、優れた剥離帯電防止性能とを両立することができなかった。
Claims (5)
- アクリル系ポリマーと、帯電防止剤と、架橋剤とを含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系ポリマーが、前記アクリル系ポリマーの100重量部に対して、
(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計を50~99.8重量部と、
共重合可能なモノマー群として、
(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上を2.0~14重量部と、
(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーの少なくとも1種以上を0.01重量部以上300/1228重量部以下と、
(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上を0超過35重量部以下とを、
水酸基を含有しない窒素含有ビニルモノマー、及びアルコキシ基含有アルキル(メタ)アクリレートモノマーを含有させないで共重合させた共重合体であり、
前記(A)アルキル基の炭素数がC1~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計100重量部に対して、(a1)アルキル基の炭素数がC1~C4の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上を5~45重量部と、(a2)アルキル基の炭素数がC5~C18の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの少なくとも1種以上を55~95重量部との割合で含有してなり、
前記(D)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステルモノマーが、ポリアルキレングリコール鎖を構成するアルキレンオキサイドの平均繰り返し数が3~14であり、モノマー中のジエステル分が0.2%以下であり、
前記架橋剤が、(E)2官能以上のイソシアネート化合物であり、
前記粘着剤組成物が、さらに、(F)架橋促進剤と、(G)ケトエノール互変異性体化合物とを含有してなり、
前記帯電防止剤が、(H)融点が25~50℃の温度25℃で固体であるイオン性化合物であり、
前記(H)イオン性化合物が、含窒素オニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンの中から選択された1種のカチオンと、六フッ化リン酸塩(PF6 -)、チオシアン酸塩(SCN-)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(RC6H4SO3 -)、過塩素酸塩(ClO4 -)、四フッ化ホウ酸塩(BF4 -)、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩(FSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(TFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(TF)の中から選択された1種のアニオンとを有するイオン性化合物であることを特徴とする粘着剤組成物。 - 前記(B)水酸基を含有する共重合可能なモノマーが、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であり、
前記(C)カルボキシル基を含有する共重合可能なモノマーが、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸からなる化合物群の中から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。 - 樹脂フィルムの片面に、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を架橋させた粘着剤層を積層させたことを特徴とする帯電防止表面保護フィルム。
- 樹脂フィルムの片面または両面に、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を形成してなることを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項3に記載の帯電防止表面保護フィルムからなり、偏光板用保護フィルムの用途として使用する帯電防止表面保護フィルム。
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